JP5708524B2 - 触媒微粒子の被覆率算出方法及び触媒微粒子の評価方法 - Google Patents
触媒微粒子の被覆率算出方法及び触媒微粒子の評価方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5708524B2 JP5708524B2 JP2012028849A JP2012028849A JP5708524B2 JP 5708524 B2 JP5708524 B2 JP 5708524B2 JP 2012028849 A JP2012028849 A JP 2012028849A JP 2012028849 A JP2012028849 A JP 2012028849A JP 5708524 B2 JP5708524 B2 JP 5708524B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fine particles
- catalyst fine
- coverage
- surface area
- outermost layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
Description
一方、白金触媒及び白金合金触媒は非常に高価であるにもかかわらず、触媒反応は粒子表面のみで生じ、粒子内部は触媒反応にほとんど関与しない。したがって、白金触媒及び白金合金触媒における、材料コストに対する触媒活性は、必ずしも高くなかった。
また、白金触媒及び白金合金触媒を電極に用いた場合、高電位環境下においては白金イオンが溶出する一方、低電位環境下においては白金イオンが析出する課題があった。したがって、高電位放電と低電位放電が交互に繰り返された場合、白金微粒子の凝集が起こる。このような白金微粒子の凝集は、電気化学表面積の低下を招き、電池性能の低下の一因となる。
コア−シェル構造を有する触媒微粒子において中心粒子が溶出した場合、当該触媒微粒子そのものの触媒活性が失われたり、溶出したイオンが電池材料を汚染したりする等により、電池性能の著しい低下が生じることが知られている。このような中心粒子の溶出を抑えるために、中心粒子の全表面積に対して、最外層により被覆された中心粒子の表面積の割合の高い触媒微粒子、すなわち、中心粒子に対する最外層の被覆率が高い触媒微粒子が求められている。したがって、触媒微粒子について被覆率を予め正確に算出し、被覆率の高い触媒微粒子を選択的に採用することの重要性が増している。
被覆率(%)={[(Auのピーク面積)−(Pt/Auのピーク面積)]/(Auのピーク面積)}×100 式(A)
(上記式(A)中、「Auのピーク面積」とは、白金被覆前の金粒子(Au)についてのサイクリックボルタモグラムにおける金酸化物の還元ピーク面積を、「Pt/Auのピーク面積」とは、白金被覆後の金粒子(Pt/Au)についてのサイクリックボルタモグラムにおける金酸化物の還元ピーク面積を、それぞれ示す。)
上記式(A)によれば、白金被覆前後において、サイクリックボルタモグラムにおける金酸化物の還元ピーク面積の変化率が、白金被覆率とされている。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、触媒微粒子において中心粒子に対する最外層の正確な被覆率を算出する方法、及び当該算出方法を応用した触媒微粒子の評価方法を提供することを目的とする。
被覆率n(%)={CCu/(2×CH)}×100 式(1)
(上記式(1)中、CCuは銅−アンダーポテンシャル析出(Cu−UPD)時における前記中心粒子への銅吸着電荷量(C)であり、CHは前記中心粒子へのプロトン吸着電荷量(C)であり、且つ、0<n<100である。)
本発明の触媒微粒子の被覆率算出方法は、中心粒子、及び当該中心粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子において、当該中心粒子に対する当該最外層の被覆率を算出する方法であって、前記触媒微粒子を準備する工程、前記触媒微粒子の電気化学表面積を算出する工程、前記触媒微粒子について酸素還元反応測定を行い、当該測定により生成した過酸化水素量を算出する工程、並びに、前記電気化学表面積の値及び前記過酸化水素生成量の値から前記被覆率を算出する工程、を有することを特徴とする。
なお、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;以下、TEMと称する。)観察等でも最外層の存在を確認できる。しかし、TEM観察等によっても、電気化学表面積や被覆率の正確な値を得ることはできない。
触媒微粒子の被覆率は、触媒微粒子の触媒活性等を判定する指標となる他、当該触媒微粒子を用いて膜・電極接合体を製造するにあたり、製造方法の良否を判定する指標ともなる。
本発明の触媒微粒子の被覆率算出方法は、製造中の触媒微粒子の被覆率を正確に算出できる利点がある他に、未知の被覆率を有する触媒微粒子の完成品についても、単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量を求めることにより被覆率を算出できる利点があり、従来の方法とは全く異なる新しい方法であるといえる。
以下、主に上記工程(1)〜(4)について順に説明する。
本発明に用いられる触媒微粒子は、中心粒子と、当該中心粒子を被覆する最外層を備えるものであれば、特に限定されない。本発明に用いられる触媒微粒子は、市販のものであってもよいし、予め製造したものであってもよい。
この様な観点から、中心粒子に含まれる材料は、パラジウム、イリジウム、ロジウム若しくは金等の金属、又は2種以上の当該金属からなる合金を含むことが好ましい。これらの金属材料のうち、パラジウム、又は上記金属材料を含むパラジウム合金を中心粒子に用いることがより好ましい。
なお、本発明に用いられる粒子の平均粒径は、常法により算出される。粒子の平均粒径の算出方法の例は以下の通りである。まず、400,000倍又は1,000,000倍のTEM画像において、ある1つの粒子について、当該粒子を球状と見なした際の粒径を算出する。このようなTEM観察による粒径の算出を、同じ種類の200〜300個の粒子について行い、これらの粒子の平均を平均粒径とする。
担体として使用できる導電性材料の具体例としては、ケッチェンブラック(商品名:ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製)、バルカン(商品名:Cabot社製)、ノーリット(商品名:Norit社製)、ブラックパール(商品名:Cabot社製)、アセチレンブラック(商品名:Chevron社製)等の炭素粒子や、炭素繊維等の導電性炭素材料;金属粒子や金属繊維等の金属材料;が挙げられる。
以下、2段階の反応を経て中心粒子へ最外層が被覆される例について主に説明する。
特に、中心粒子としてパラジウム微粒子を使用し、最外層に白金単原子層を使用する場合には、Cu−UPD法によって、白金の被覆率が高く耐久性に優れる触媒微粒子を製造できる。これは、Cu−UPD法によって、Pd{111}面やPd{110}面に銅を被覆率100%で析出させることができるためである。
開始電位E0は、Cu−UPDに由来する銅の析出が始まる電位であるのが好ましい。開始電位E0は、例えば、以下の様に決定できる。サイクリックボルタモグラムの還元波においては、掃引初期、すなわち、比較的高い電位の部分に、還元波の接線の傾きが1.0×10−5〜0(A/V)、すなわちほぼ0(A/V)と見なせる電位の範囲が存在する。この電位の範囲においては、触媒表面における電気化学反応が未だ生じず、カーボン等の担体において充放電が起きると考えられる。この掃引初期の部分の直後に、還元波の接線の傾きがある所定の傾きとなる電位を、電位E0と決定することができる。ここで、所定の傾きとは、例えば、5.0×10−4〜1.0×10−4(A/V)の範囲の傾きである。
開始電位E0は、例えば、0.6〜0.7V(vsRHE)の範囲内の電位としてもよい。
停止電位E1は、例えば、以下の様に決定できる。銅析出の際のサイクリックボルタモグラムの還元波においては、掃引後期、すなわち、比較的低い電位の部分に、還元波の接線の傾きが−1.0×10−3(A/V)を超える電位の範囲が存在する。この電位の範囲においては、銅のバルク析出に由来する銅吸着電荷量が、Cu−UPDによる銅吸着電荷量よりも大きくなると考えられる。この掃引後期の電位の範囲の直前、すなわち、銅のバルク析出が優位となる直前に還元波の接線の傾きがある所定の傾きとなる電位を、電位E1と決定することができる。ここで、所定の傾きとは、例えば、−1.0×10−3〜0(A/V)の範囲の傾きである。
電位掃引速度が遅い場合には、銅のバルク析出が優位となる直前に、還元波中に極大点又は変曲点が現れることがある。この極大点又は変曲点に対応する電位を停止電位E1としてもよい。
停止電位E1は、例えば、0.34〜0.4V(vsRHE)の範囲内の電位としてもよい。なお、停止電位E1において電位の掃引を停止し、電位を所定の時間、好ましくは30〜60分間固定することが好ましい。
実際に掃引する電位の範囲は、開始電位E0から停止電位E1までの範囲を含み且つ0.01〜0.1V程度の幅だけ広い電位の範囲であってもよい。
まず、導電性炭素材料に担持されたパラジウム(以下、Pd/Cと称する)粉末を水に分散させ、ろ過して得たPd/Cペーストを電気化学セルの作用極に塗工する。なお、Pd/Cペーストは、ナフィオン(商品名)等の電解質をバインダーにして、作用極上に接着してもよい。Pd/Cペーストには、適宜、水やアルコール等の溶媒を加えてもよい。作用極としては、白金メッシュや、グラッシーカーボン等の、導電性が担保できる材料を用いることができる。
・銅イオン溶液:0.05mol/L CuSO4と0.05mol/L H2SO4の混合溶液(窒素をバブリングさせる)
・雰囲気:窒素雰囲気下
・掃引速度:0.2〜0.01mV/秒
・電位:0.3〜0.75V(vsRHE)の範囲で掃引し、停止電位E1=0.35V(vsRHE)で電位を固定する。
・電位固定時間:30〜60分間
この様な観点から、最外層に含まれる材料は、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム及び金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属材料であることが好ましい。
これらの金属材料の中でも、最外層は白金を含むことが特に好ましい。白金は、触媒活性、特に酸素還元反応(Oxygen Reduction Reaction;以下、ORRと称する場合がある。)活性に優れている。また、白金の格子定数は3.92Åであるのに対し、パラジウムの格子定数は3.89Åであり、パラジウムの格子定数は白金の格子定数の±5%の範囲内の値である。したがって、中心粒子にパラジウム又はパラジウム合金を、最外層に白金をそれぞれ用いることにより、中心粒子と最外層の間で格子不整合が生じず、白金による中心粒子の被覆が十分に行われる。
本発明に用いられる触媒微粒子の平均粒径は、30nm以下、好ましくは5〜10nmである。
Cu−UPDにおける電位固定時間が終了した後、速やかに作用極を白金溶液に浸漬させ、イオン化傾向の違いを利用して銅と白金とを置換メッキする。置換メッキは、窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましく、不活性ガス雰囲気に置換したグローブボックス等を用いることがより好ましい。銅イオン溶液から白金溶液へ、不活性ガス雰囲気下で作用極を速やかに移動することにより、被覆後の銅の酸化を防ぐことができる。
白金溶液は特に限定されないが、例えば、0.005M K2PtCl4溶液が使用できる。白金溶液は十分に攪拌し、当該溶液中には予め窒素をバブリングさせることが好ましい。置換メッキ時間は、90分以上確保することが好ましい。
上記置換メッキによって、UPDにより析出した銅原子と白金イオン(Pt2+)が1対1で置換され、パラジウム微粒子表面に白金単原子層が析出した触媒微粒子が得られる。
触媒微粒子のろ過・洗浄は、製造された触媒微粒子の被覆構造を損なうことなく、不純物を除去できる方法であれば特に限定されない。当該ろ過・洗浄の例としては、水、過塩素酸、希硫酸、希硝酸等を用いて吸引ろ過をする方法が挙げられる。
触媒微粒子の乾燥は、溶媒等を除去できる方法であれば特に限定されない。当該乾燥の例としては、室温下の真空乾燥を0.5〜2時間行った後、不活性ガス雰囲気下、60〜80℃の温度条件で1〜4時間乾燥させるという方法が挙げられる。
本工程において触媒微粒子の電気化学表面積を算出する方法は特に限定されない。
触媒微粒子の電気化学表面積の算出方法としては、CV、CO吸着、X線小角散乱(Small Angle X−ray Scattering;以下、SAXSと称する。)、TEM等の測定結果から算出する方法が挙げられる。SAXSの測定結果及びTEMの観察結果からは、触媒微粒子の平均粒径が算出できるので、当該平均粒径から電気化学表面積を類推し、算出できる。
触媒微粒子の電気化学表面積の測定は、例えば、回転ディスク電極(Rotational Disk Electrode;以下、RDEと称する場合がある。)、回転リングディスク電極(Rotational Ring Disk Electrode;以下、RRDEと称する場合がある。)等を作用極に用いた電気化学装置により行われる。RDE及びRRDEを用いる対流ボルタンメトリーは、物質輸送速度を回転数で再現よく制御でき、且つ、電極への物質輸送を均一にできる観点から好ましい。
電気化学測定条件は、触媒微粒子の劣化や、担体であるカーボンの劣化が生じない条件であることが好ましい。RDEを用いたCVの具体的な条件の一例を下記に示す。
・電解液:0.1M HClO4aq(窒素をバブリングさせる)
・雰囲気:窒素雰囲気下
・掃引速度:10〜100mV/秒
・電位:0〜1.1V(vsRHE)
本工程は、触媒微粒子について酸素還元反応(ORR)測定を行い、当該測定により生成した過酸化水素量を算出する工程である。
燃料電池のカソードにおいては、通常、下記式(I)に示す4電子還元反応のみが起こることが理想である。
O2+4H++4e−→2H2O 式(I)
しかし、実際には、上記4電子還元反応と同時に、下記式(II)及び(III)に示す2電子還元反応が進行する。
O2+2H++2e−→H2O2 式(II)
H2O2+2H++2e−→2H2O 式(III)
触媒微粒子のORR活性は、ORR全体における、4電子還元反応(式(I))と2電子還元反応(式(II)及び式(III))の各寄与により評価できると考えられる。本工程においては、2電子還元反応の中間生成物である過酸化水素(H2O2)を定量することにより、測定に用いた触媒微粒子のORR活性を定量的に評価できる。
ORR測定は、例えば、上述したRRDE等を作用極に用いた電気化学装置により行われる。RRDEを用いる対流ボルタンメトリーは、上述したRDEを用いる利点に加えて、ディスク電極において生成した生成物を、リング電極で検出できるという利点がある。リング電極においては、上記式(III)の逆反応が起き、検出される電流(A)から、過酸化水素生成量を定量できる。また、RRDEにおいては、酸素還元電流をディスク電極で検出すると同時に、生成した過酸化水素をリング電極で定量することができる。
電気化学測定条件は、触媒微粒子の劣化や、担体であるカーボンの劣化が生じない条件であることが好ましい。RRDEを用いたCVの具体的な条件の一例を下記に示す。
・電解液:0.1M HClO4aq(酸素をバブリングさせる)
・雰囲気:酸素雰囲気下
・掃引速度:10〜100mV/秒
・電位:0.05〜1.1V(vsRHE)
・回転数:400〜3,000rpm
本発明においては、リング電極により検出された過酸化水素に由来する電流値(A)を過酸化水素生成量とみなして、各触媒微粒子間で相対的に比較してもよい。
本工程は、上記電気化学表面積の値及び上記過酸化水素生成量の値から前記被覆率を算出する工程である。本工程においては、まず、上記過酸化水素生成量の値を上記電気化学表面積の値で除して、触媒微粒子における単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量を求め、次に、触媒微粒子における単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量から触媒微粒子の被覆率を算出することが好ましい。
本発明において、中心粒子に対する最外層の被覆率とは、中心粒子の全表面積に対する、最外層によって被覆されている中心粒子の表面積の割合(%)を指す。
以下、本発明に用いられるマップについて説明する。
過酸化水素生成量はORR測定時の電位に依存する。したがって、ORR測定時の電位V0(V)をz軸にとれば、上記データは、(x,y,z)=(0,P0,V0)、(n,Pn,V0)、(100,P100,V0)となる。ORR測定時の電位を変数とすることにより、3次元のマップも得られる。
被覆率n(%)={CCu/(2×CH)}×100 式(1)
上記式(1)中、CCuはCu−UPD時における中心粒子への銅吸着電荷量(C)であり、CHは中心粒子へのプロトン吸着電荷量(C)である。また、0<n<100である。なお、上記式(1)において分母に2を乗じる理由は、銅(II)イオンとプロトンとではカチオンの価数が異なるため、その価数の違いを是正するためである。
本発明に係る触媒微粒子の評価方法は、中心粒子、及び当該中心粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子の評価方法であって、前記触媒微粒子を準備する工程、前記触媒微粒子の電気化学表面積を算出する工程、前記触媒微粒子について酸素還元反応測定を行い、当該測定により生成した過酸化水素量を算出する工程、前記電気化学表面積の値及び前記過酸化水素生成量の値から前記被覆率を算出する工程、並びに、算出された前記被覆率と予め設定した基準値とを比較し、算出された前記被覆率が前記基準値以上である場合に触媒微粒子を合格と判定し、算出された前記被覆率が前記基準値未満である場合に触媒微粒子を不合格と判定する工程を有し、前記判定工程において不合格と判定された場合、触媒微粒子を準備する工程から被覆率を算出する工程まで再度実施することを特徴とする。
判定の基準となる基準値は、触媒微粒子の用途により適宜決定できる。例えば、触媒微粒子を燃料電池の電極触媒として用いる場合には、基準値を好ましくは90%以上の値、より好ましくは95%以上の値に設定する。
まず、評価の対象となる触媒微粒子を準備する(S1)。次に、触媒微粒子について、電気化学表面積の算出及び過酸化水素生成量の算出を行う(S2)。電気化学表面積の算出方法、及び過酸化水素生成量の算出方法は、上述した通りである。続いて、電気化学表面積の値及び過酸化水素生成量の値から、触媒微粒子の被覆率を算出する(S3)。被覆率の算出には、例えば、上述したように関係式やマップ、プログラム等が使用できる。次に、判定工程として、算出された被覆率n(%)と予め設定した基準値n0(%)とを比較する(S4)。n≧n0である場合には触媒微粒子を合格と判定し(S5)、触媒微粒子の評価を終了する。一方、n<n0である場合には触媒微粒子を不合格と判定し、再度触媒微粒子を準備する(S1)。この場合に準備される触媒微粒子とは、不合格と判定された触媒微粒子とは異なる触媒微粒子であってもよいし、不合格と判定された触媒微粒子に再度最外層を被覆することにより、再生させた触媒微粒子であってもよい。このように、判定工程(S4)において不合格と判定された場合、触媒微粒子を準備する工程から再度実施し、所望の被覆率を有する触媒微粒子が得られるまで繰り返し評価を行う。
1−1.銅単原子層の形成
まず、カーボン担持パラジウム微粒子粉末(Basf社製、20%Pd/C)を準備した。
次に、Cu−UPD法によりパラジウム微粒子上に銅単原子を被覆した。具体的には、まず、カーボン担持パラジウム微粒子粉末0.5g、及びナフィオン(商品名)0.2gをアルコール水溶液に分散させ、ろ過して得た触媒インクを、グラッシーカーボン電極に塗工した。
Cu−UPDを行った電気化学装置は、図1に示す通りである。電気化学装置の詳細は下記の通りである。
・銅イオン溶液:0.05mol/L CuSO4と0.05mol/L H2SO4の混合溶液(予め窒素をバブリングさせた)
・電極:グラッシーカーボンを備えた電極
・対極:白金電極(北斗電工製)
・参照極:銀−塩化銀電極(サイプレス社製)
・デュアル電気化学アナライザー:BAS社製、ALS700C
本実施例においては、まず、0.29Vから0.73V(vsRHE)まで電位を掃引した。次に、0.73V(vsRHE)から、停止電位E1(図3中の黒丸に対応する電位)まで電位を掃引し、且つ、当該停止電位E1で電位を所定時間維持し、パラジウム微粒子の表面に銅の単原子層を析出させた。
まず、0.005M K2PtCl4溶液を調製し、予め当該溶液中に窒素をバブリングさせた。上記「1−1.銅単原子層の形成」の項で述べた方法で銅単原子層をパラジウム微粒子表面に析出させた後、上記グラッシーカーボンを備えた電極を、窒素雰囲気下のグローブボックス中で速やかにK2PtCl4溶液に所定の時間浸漬させた。当該浸漬によりCu−UPDで析出した銅原子と白金イオンとが1対1で置換され、パラジウム微粒子の表面に白金単原子層が析出したカーボン担持触媒微粒子が製造された。
被覆率と、触媒微粒子の単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量との関係を表すマップを作成した。
まず、カーボン担持パラジウム微粒子、カーボン担持白金微粒子、及びコア−シェル構造を有し且つ互いに異なる被覆率(5〜95%)を有する4種類の触媒微粒子サンプルを準備した。なお、当該4種類の触媒微粒子サンプルは、Cu−UPDを用いて互いに異なる条件で作製された触媒微粒子であり、被覆率は上述した式(1)により予め算出された値である。
まず、カーボン担持パラジウム微粒子、カーボン担持白金微粒子、及び上記4種類の触媒微粒子サンプル(以下、これら6種類の微粒子を、6種類の触媒と称する場合がある。)について、それぞれ触媒インクを調製した。具体的には、触媒粉末0.5g、及びナフィオン(商品名)0.2gをアルコール水溶液に分散させ、そのろ過物を触媒インクとした。
次に、当該触媒インクをグラッシーカーボン電極に塗工した。当該グラッシーカーボン電極を、図1に示した電気化学装置に設置した。装置の詳細は、電解液を0.1mol/L HClO4に替えたこと以外は、図1に示した装置と同様である。
続いて、0.05〜1.2V(vsRHE)の範囲で、掃引速度50mV/sで電位を掃引してCVを行った。図4(a)はある触媒微粒子サンプルについて当該CVにより得られたサイクリックボルタモグラムである。図4(b)は、当該サイクリックボルタモグラム中のプロトン吸着ピーク電荷量に相当する面積を斜線で表したグラフである。
図4(b)より得られるプロトン吸着ピーク面積から電気化学表面積を算出した。
次に、「2−1.電気化学表面積の算出」で用いた触媒インクを、白金リング電極を備えたグラッシーカーボン電極(RRDE)のグラッシーカーボン電極部分に塗工した。当該RRDEを、図1に示した電気化学装置に設置した。装置の詳細は、電解液を0.1mol/L HClO4に替え、且つ、窒素バブリングを酸素バブリングに替えたこと以外は、図1に示した装置と同様である。
続いて、RRDEを1600rpmで回転させながらORR測定を行った。図5(a)はある触媒微粒子サンプルについてORR測定における酸素還元波を示したグラフであり、図5(b)は当該触媒微粒子サンプルについてORR測定における過酸化水素生成量を示したグラフである。図5(b)より、電圧0.1Vにおける過酸化水素生成量の値を算出した。
続いて、被覆率と、単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量との関係を表すマップを作成した。上記過酸化水素生成量の値を、上記電気化学表面積の値で除した値を、その触媒の単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量Pnとした。なお、カーボン担持パラジウム微粒子の単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量をP0とし、カーボン担持白金微粒子の単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量をP100とした。
図6は、上記6種類の触媒のデータを基に、縦軸に単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量Pn(A/C)を、横軸に被覆率n(%)をとったマップである。なお、図6中においては、カーボン担持パラジウム微粒子の被覆率を0%とし、カーボン担持白金微粒子の被覆率を100%とした。
図6に示すように、上記6種類の触媒のデータは、ほぼ一直線上に並ぶことが分かる。図6より、Pnとnの関係は、下記式(2)で表すことができる。
Pn=−(2×10−4)×n+0.0181 式(2)
22 銅イオン溶液
23 ペースト
24 作用極
26 対極
27 参照極
28 気体の導入管
29 気泡
Claims (6)
- 中心粒子、及び当該中心粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子において、当該中心粒子に対する当該最外層の被覆率を算出する方法であって、
前記中心粒子に含まれる材料は、パラジウム、イリジウム、ロジウム及び金からなる金属、並びに2種以上の当該金属からなる合金、からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料であり、
前記最外層に含まれる材料は、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム及び金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属材料であり、
前記触媒微粒子を準備する工程、
前記触媒微粒子の電気化学表面積を算出する工程、
前記触媒微粒子について酸素還元反応測定を行い、当該測定により生成した過酸化水素量を算出する工程、並びに、
中心粒子に対する最外層の被覆率と、触媒微粒子における単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量との関係を表す少なくとも1つの所定のマップにより、前記電気化学表面積の値及び前記過酸化水素生成量の値から前記被覆率を算出する工程、を有することを特徴とする、触媒微粒子の被覆率算出方法。 - 前記所定のマップは、
前記中心粒子における単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量のデータ、
前記最外層における単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量のデータ、並びに、
前記中心粒子及び前記最外層を備え、当該中心粒子に対する当該最外層の被覆率がn%の触媒微粒子サンプルにおける単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量のデータ、を少なくとも含むマップである、請求項1に記載の触媒微粒子の被覆率算出方法。 - 前記触媒微粒子サンプルは、銅−アンダーポテンシャル析出(Cu−UPD)により中心粒子に最外層を被覆させた触媒微粒子のサンプルであって、
前記被覆率n%は下記式(1)により得られる値である、請求項2に記載の触媒微粒子の被覆率算出方法。
被覆率n(%)={CCu/(2×CH)}×100 式(1)
(上記式(1)中、CCuは銅−アンダーポテンシャル析出(Cu−UPD)時における前記中心粒子への銅吸着電荷量(C)であり、CHは前記中心粒子へのプロトン吸着電荷量(C)であり、且つ、0<n<100である。) - 中心粒子、及び当該中心粒子を被覆する最外層を備える触媒微粒子の評価方法であって、
前記中心粒子に含まれる材料は、パラジウム、イリジウム、ロジウム及び金からなる金属、並びに2種以上の当該金属からなる合金、からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料であり、
前記最外層に含まれる材料は、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム及び金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属材料であり、
前記触媒微粒子を準備する工程、
前記触媒微粒子の電気化学表面積を算出する工程、
前記触媒微粒子について酸素還元反応測定を行い、当該測定により生成した過酸化水素量を算出する工程、
中心粒子に対する最外層の被覆率と、触媒微粒子における単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量との関係を表す少なくとも1つの所定のマップにより、前記電気化学表面積の値及び前記過酸化水素生成量の値から前記被覆率を算出する工程、並びに、
算出された前記被覆率と予め設定した基準値とを比較し、算出された前記被覆率が前記基準値以上である場合に触媒微粒子を合格と判定し、算出された前記被覆率が前記基準値未満である場合に触媒微粒子を不合格と判定する工程を有し、
前記判定工程において不合格と判定された場合、触媒微粒子を準備する工程から被覆率を算出する工程まで再度実施することを特徴とする、触媒微粒子の評価方法。 - 前記所定のマップは、
前記中心粒子における単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量のデータ、
前記最外層における単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量のデータ、並びに、
前記中心粒子及び前記最外層を備え、当該中心粒子に対する当該最外層の被覆率がn%の触媒微粒子サンプルにおける単位電気化学表面積あたりの過酸化水素生成量のデータ、を少なくとも含むマップである、請求項4に記載の触媒微粒子の評価方法。 - 前記触媒微粒子サンプルは、銅−アンダーポテンシャル析出(Cu−UPD)により中心粒子に最外層を被覆させた触媒微粒子のサンプルであって、
前記被覆率n%は下記式(1)により得られる値である、請求項5に記載の触媒微粒子の評価方法。
被覆率n(%)={CCu/(2×CH)}×100 式(1)
(上記式(1)中、CCuは銅−アンダーポテンシャル析出(Cu−UPD)時における前記中心粒子への銅吸着電荷量(C)であり、CHは前記中心粒子へのプロトン吸着電荷量(C)であり、且つ、0<n<100である。)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012028849A JP5708524B2 (ja) | 2012-02-13 | 2012-02-13 | 触媒微粒子の被覆率算出方法及び触媒微粒子の評価方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012028849A JP5708524B2 (ja) | 2012-02-13 | 2012-02-13 | 触媒微粒子の被覆率算出方法及び触媒微粒子の評価方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013164404A JP2013164404A (ja) | 2013-08-22 |
JP5708524B2 true JP5708524B2 (ja) | 2015-04-30 |
Family
ID=49175815
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012028849A Active JP5708524B2 (ja) | 2012-02-13 | 2012-02-13 | 触媒微粒子の被覆率算出方法及び触媒微粒子の評価方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5708524B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109911860A (zh) * | 2019-04-26 | 2019-06-21 | 北京凯迪森科技有限公司 | 一种强化蒽醌法生产双氧水加氢固定床层气液分布的方法 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6500174B2 (ja) * | 2014-05-26 | 2019-04-17 | 株式会社新光化学工業所 | パラジウムコア白金シェルナノ粒子、その製造装置及び製造方法ならびに電池 |
JP2023061148A (ja) * | 2021-10-19 | 2023-05-01 | 株式会社キャタラー | 水素燃料電池アノード用電極触媒 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3903598B2 (ja) * | 1997-09-24 | 2007-04-11 | トヨタ自動車株式会社 | 排ガス浄化用触媒およびその製造方法 |
US7691780B2 (en) * | 2004-12-22 | 2010-04-06 | Brookhaven Science Associates, Llc | Platinum- and platinum alloy-coated palladium and palladium alloy particles and uses thereof |
JP5660603B2 (ja) * | 2010-03-19 | 2015-01-28 | 学校法人同志社 | 白金コアシェル触媒の製造方法 |
CN102822389B (zh) * | 2010-04-07 | 2014-09-17 | 丰田自动车株式会社 | 核壳型金属纳米微粒以及核壳型金属纳米微粒的制造方法 |
JP5573438B2 (ja) * | 2010-07-09 | 2014-08-20 | トヨタ自動車株式会社 | コアシェル型触媒微粒子の製造方法 |
JP5955501B2 (ja) * | 2010-12-06 | 2016-07-20 | トヨタ自動車株式会社 | 白金/パラジウムコアシェル触媒の製造方法 |
-
2012
- 2012-02-13 JP JP2012028849A patent/JP5708524B2/ja active Active
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109911860A (zh) * | 2019-04-26 | 2019-06-21 | 北京凯迪森科技有限公司 | 一种强化蒽醌法生产双氧水加氢固定床层气液分布的方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013164404A (ja) | 2013-08-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5516722B2 (ja) | コアシェル型金属ナノ微粒子 | |
JP2017183242A (ja) | PdRu合金電極材料およびその製造方法 | |
WO2011125195A1 (ja) | コアシェル型金属ナノ微粒子、及び、コアシェル型金属ナノ微粒子の製造方法 | |
JP6075305B2 (ja) | コアシェル触媒粒子の製造方法 | |
JP6541373B2 (ja) | PdRu合金電極材料およびその製造方法 | |
JP5664370B2 (ja) | 触媒微粒子の製造方法 | |
JP5510462B2 (ja) | 燃料電池用電極触媒微粒子、及び燃料電池用電極触媒微粒子の製造方法 | |
JP5708524B2 (ja) | 触媒微粒子の被覆率算出方法及び触媒微粒子の評価方法 | |
JP2014229516A (ja) | 燃料電池用触媒の製造方法 | |
JP6172734B2 (ja) | 固体高分子形燃料電池カソード用の触媒およびそのような触媒の製造方法 | |
Aufa et al. | Fast and accurate determination of the electroactive surface area of MnOx | |
JP5678698B2 (ja) | 触媒微粒子の製造方法 | |
JP5708525B2 (ja) | 触媒微粒子の被覆率算出方法及び触媒微粒子の評価方法 | |
JP6020506B2 (ja) | 触媒微粒子及びカーボン担持触媒の各製造方法 | |
US20170209850A1 (en) | Method for producing core-shell catalyst | |
JP5929942B2 (ja) | カーボン担持触媒 | |
JP5673598B2 (ja) | コアシェル粒子の被覆率定量方法およびコアシェル粒子の製造方法 | |
US9941521B2 (en) | Method for producing core-shell catalyst | |
JP2014221448A (ja) | コアシェル触媒粒子の製造方法及びコアシェル触媒粒子 | |
JP2006092957A (ja) | 固体高分子形燃料電池用カソード触媒、該触媒を備えてなるカソード電極、該電極を有する固体高分子形燃料電池、ならびに該触媒の製造方法 | |
Abdullah Mirzaie et al. | High-Stability Platinum Nano-Electrocatalyst Synthesized by Cyclic Voltammetry for Oxygen Reduction Reaction | |
JP7245517B2 (ja) | 白金コアシェル触媒、その製造方法、及び検査方法 | |
Nikiforova et al. | Palladium catalysts on porous nickel substrates for alcohol fuel cells | |
WO2023166754A1 (ja) | 金属担持触媒、電極及び電池 | |
JP2021026961A (ja) | 燃料電池用触媒及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140226 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20141105 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20141118 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150107 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150203 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150216 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5708524 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |