JP2021026961A - 燃料電池用触媒及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】主成分としてPt及びAuを含み、かつ、中空ナノ粒子構造を持つ触媒粒子を備えた新規な燃料電池用触媒、及びその製造方法を提供すること。【解決手段】燃料電池用触媒は、導電性材料からなる担体と、担体の表面に担持された触媒粒子とを備えている。触媒粒子は、PtxAuyMz(但し、Mは、Pt及びAuより卑な金属元素、0.001<y≦0.22、0≦z<0.20、x+y+z=1)で表される組成を有し、中空ナノ粒子構造を持つ。このような燃料電池用触媒は、Pt前駆体、金属元素Mの前駆体、担体、及び水を含む分散液に還元剤を滴下し、Ptの析出が開始した後、Ptの析出が完了する前に、5℃以下に保持された分散液にAu前駆体を投入し、分散液から触媒前駆体を回収し、触媒前駆体からコアを溶出させることにより得られる。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池用触媒及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、主成分としてPt及びAuを含み、かつ、中空ナノ粒子構造を持つ触媒粒子を備えた燃料電池用触媒、及びその製造方法に関する。
固体高分子形燃料電池は、電解質膜の両面に触媒を含む電極(触媒層及びガス拡散層)が接合された膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly,MEA)を備えている。MEAの両面には、さらに、ガス流路を備えた集電体(セパレータ)が配置される。固体高分子形燃料電池は、通常、このようなMEAと集電体からなる単セルが複数個積層された構造(燃料電池スタック)を備えている。
固体高分子形燃料電池の電極触媒には、Pt触媒、Pt合金触媒、カーボンアロイ触媒、酸化物触媒などが用いられている。これらの内、Pt合金触媒は、純Pt触媒よりも高い効率点性能(低電流密度・高電圧作動条件)が得られることが広く知られている。そのため、Pt合金触媒の製造方法に関し、従来から種々の提案がなされている。
例えば、非特許文献1には、
(a)モデル電極を用いた実験において、表面のエッジ部のPt原子をAu原子で置き換えることで、活性が最大で1.7倍向上する点、及び、
(b)これによって電位サイクルに対する表面の安定性が向上する点
が記載されている。
非特許文献2には、
(a)PtとNiとの前駆体を室温でNaBH4で還元して触媒粒子とし、
(b)触媒粉末を室温の1M硫酸水溶液中で12時間攪拌し、コア成分である卑金属を溶出させる
ことにより得られる中空PtNi/Cナノ触媒が開示されている。
さらに、特許文献1には、
(a)白金粒子の表面を銅層で被覆し、
(b)銅層で被覆された白金粒子を金イオン水溶液に接触させることにより、銅層の銅を金に置換し、
(c)銅層が金で置換された白金粒子の表面を非酸化性ガス雰囲気下で加熱処理する
ことにより得られる触媒が開示されている。
同文献には、銅層が金で置換された白金粒子の表面を非酸化性ガス雰囲気下で加熱処理すると、電位サイクルに対する耐久性が向上する点が記載されている。
非特許文献1には、表面のエッジ部のPt原子をAu原子で置き換えることで、活性が向上することが示唆されている。しかし、Pt及びAuはいずれも高価である。
一方、触媒粒子は、その表面にある原子のみが電極反応の触媒として機能することが知られている。そのため、非特許文献2に記載されているように触媒粒子を中空構造とし、かつ、シェルを非特許文献1に記載されているようなPt−Au合金とすれば、高活性が得られるだけでなく、触媒粒子の比表面積が大きくなるために貴金属の利用率が向上し、高価な貴金属の使用量の低減が可能になると期待される。
しかしながら、非特許文献1にはモデル電極を用いたAuの修飾方法が開示されているのみであり、実触媒に適用可能なAuの修飾方法については開示されていない。
また、非特許文献2に記載の方法をそのまま用いてPt−Au中空触媒粒子を製造しても、非特許文献1に記載されているような高活性を有する中空触媒粒子は得られない。
さらに、特許文献1に記載の方法では、中空粒子は得られない。また、Pt粒子の表面が単にAu層で被覆された触媒が得られるだけであるので、非特許文献1に記載されているような高活性は得られない。さらに、特許文献1では、アンダーポテンシャルディポジション(UPD)法を用いてPt粒子表面をCu単原子層で被覆し、このCu単原子層をAuでガルバニック置換しているため、触媒表面にCuの一部が残留しやすい。Cuが触媒表面に残留している触媒を電位変動を伴う燃料電池作動環境下において使用すると、使用中にCuが溶出し、アノード触媒上で析出するなどして燃料電池性能が低下する。
特開2012−240000号公報
J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 4194-4200 Raphael, Chattot et al., Nano Lett. 2017, 17, 2447-2453
本発明が解決しようとする課題は、主成分としてPt及びAuを含み、かつ、中空ナノ粒子構造を持つ触媒粒子を備えた新規な燃料電池用触媒を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、高活性であり、高価な貴金属の使用量が相対的に少なく、しかも、卑金属イオンの溶出による性能低下の少ない燃料電池用触媒を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、このような燃料電池用触媒の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る燃料電池用触媒は、以下の構成を備えている。
(1)前記燃料電池用触媒は、
導電性材料からなる担体と、
前記担体の表面に担持された触媒粒子と
を備えている。
(2)前記触媒粒子は、次の式(1)で表される組成を有し、中空ナノ粒子構造を持つ。
PtxAuyz …(1)
但し、
Mは、Pt及びAuより卑な金属元素、
0.001<y≦0.22、
0≦z<0.20、
x+y+z=1。
本発明に係る燃料電池用触媒の製造方法は、
Pt前駆体、Pt及びAuより卑な金属元素Mの前駆体、及び導電性材料からなる担体を、水を含む溶媒中に分散させ、分散液を攪拌する第1工程と、
前記分散液に還元剤を滴下し、攪拌する第2工程と、
Ptの析出が開始した後、前記Ptの析出が完了する前に、5℃以下に保持された前記分散液にAu前駆体を投入し、引き続き前記分散液を攪拌する第3工程と、
前記分散液のろ過、洗浄、及び乾燥を行い、触媒前駆体を回収する第4工程と、
前記触媒前駆体を酸溶液で洗浄することにより前記金属元素Mからなるコアを溶出させ、本発明に係る燃料電池用触媒を得る第5工程と
を備えている。
Pt前駆体、金属元素Mの前駆体、及び担体を含む分散液に還元剤を滴下すると、まず、担体表面に金属元素Mからなるコアが析出する。次いで、コアの表面にPtからなるシェルが析出する。さらに、Ptの析出が開始した後、Ptの析出が完了する前に分散液にAu前駆体を投入すると、Ptのみからなるシェルの表面にPtとAuとを含むシェルがさらに形成される。
このようにして得られた触媒は、従来の触媒に比べて白金重量活性及び白金表面積比活性が高くなる。また、燃料電池作動環境下での活性維持率も高い。これは、
(a)分散液にAu前駆体を投入する時期を遅らせることによって、AuがPt表面の一部に組み込まれるような形で安定な状態で配置するため、及び、
(b)これによってAu原子がPt表面の活性及び安定性を向上させているため、
と考えられる。
Au含有量と貴金属(Pt+Au)重量活性との関係、及び、Au含有量と活性維持率との関係を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 燃料電池用触媒]
本発明に係る燃料電池用触媒は、
導電性材料からなる担体と、
前記担体の表面に担持された触媒粒子と
を備えている。
[1.1. 担体]
担体は、導電性材料からなる。担体の材料は、導電性を示し、かつ、燃料電池作動環境下において使用可能なものである限りにおいて、特に限定されない。担体の材料としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、活性炭、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、ガラス状炭素粉末などがある。
[1.2. 触媒粒子]
[1.2.1. 構造]
本発明において、触媒粒子は、中空ナノ粒子構造を持つ。「中空ナノ粒子構造」とは、直径(粒子の最大寸法)が1μm未満であり、内部に空洞を有する構造をいう。このような中空ナノ粒子構造は、PtやAuより卑な金属元素Mからなるコアの表面にPt及びAuを含むシェルを形成し、コアを酸溶液で溶出させることにより得られる。触媒の製造方法の詳細については、後述する。
また、後述する方法を用いると、従来に比べて白金重量活性(MA)及び白金表面積比活性(SA)が高い触媒粒子が得られる。これは、後述する方法を用いることにより、外表面のAuの原子割合が内表面のAuの原子割合より高い中空ナノ粒子構造が得られるためと考えられる。換言すれば、Auは、Pt表面の一部に組み込まれるような形で安定な状態で配置しており、このようなAu原子が白金表面の活性及び安定性を向上させていると考えられる(非特許文献1参照)。
[1.2.2. 組成]
触媒粒子は、次の式(1)で表される組成を有する。式(1)は、触媒粒子に含まれる各元素の平均組成を表す。
PtxAuyz …(1)
但し、
Mは、Pt及びAuより卑な金属元素、
0.001<y≦0.22、
0≦z<0.20、
x+y+z=1。
[A. 金属元素M]
金属元素Mは、中空粒子を作るためのコアの成分である。本発明において、コアを酸で溶出させるため、コアは少なくともPt及びAuより卑な金属元素Mで構成されている必要がある。金属元素Mは、Pt及びAuより卑である限りにおいて、特に限定されない。
金属元素Mとしては、例えば、Ni、Fe、Co、Cu、Mnなどがある。触媒粒子は、これらのいずれか1種の金属元素Mを含むものでも良く、あるいは、2種以上を含むものでも良い。
[B. x]
xは、触媒粒子に含まれるPt、Au、及び金属元素Mの総原子数に対する、Ptの原子数の割合を表す。本発明において、Ptは、触媒粒子の主成分である。すなわち、触媒粒子は、所定量のAu及び金属元素Mを含み、残部がPt及び不可避的不純物からなる。
[C. y]
yは、触媒粒子に含まれるPt、Au、及び金属元素Mの総原子数に対する、Auの原子数の割合を表す。一般に、触媒粒子の外表面に含まれるAuの量が多くなるほど、高い活性が得られる。このような効果を得るためには、yは、0.001超である必要がある。yは、好ましくは、0.02以上である。
一方、yが大きくなりすぎると、貴金属当たりの重量活性が低下する。従って、yは、0.22以下である必要がある。yは、好ましくは、0.10以下である。
[D. z]
zは、触媒粒子に含まれるPt、Au、及び金属元素Mの総原子数に対する金属元素Mの原子数の割合を表す。金属元素Mは、中空粒子を作るためのコアの成分である。中空粒子を作製する際に、コアを完全に溶出させても良い。すなわち、zは、ゼロでも良い。
一方、zが大きくなりすぎると、燃料電池作動環境下での使用中に余分な金属元素Mが溶出し、燃料電池の性能を低下させるおそれがある。従って、zは、0.20未満である必要がある。
[1.2.3. 平均粒径]
触媒粒子の「粒径」とは、電子顕微鏡観察下で測定される粒子の最大寸法をいう。
触媒粒子の「平均粒径」とは、無作為に選択された50個以上の触媒粒子の粒径の平均値をいう。
触媒粒子の平均粒径が小さくなりすぎると、耐久性が低下する。従って、触媒粒子の平均粒径は、10nm以上が好ましい。
一方、触媒粒子の平均粒径が大きくなりすぎると、白金質量当たりの表面積が低下する。従って、触媒粒子の平均粒径は、100nm以下が好ましい。平均粒径は、好ましくは、20nm以下、さらに好ましくは、15nm以下である。
[1.3. 特性]
[1.3.1. 有効電気化学表面積(ECSA)]
後述する方法を用いて本発明に係る燃料電池用触媒を製造する場合において、製造条件を最適化すると、有効電気化学表面積(ECSA)が35m2/gPt以上である燃料電池用触媒が得られる。製造条件をさらに最適化すると、ECSAは、40m2/gPt以上、あるいは、45m2/gPt以上となる。
[1.3.2. 白金重量活性(MA)]
後述する方法を用いて本発明に係る燃料電池用触媒を製造する場合において、製造条件を最適化すると、白金重量活性(MA)が750A/gPt以上である燃料電池用触媒が得られる。製造条件をさらに最適化すると、MAは、800A/gPt以上となる。
[1.3.3. 白金表面積比活性(SA)]
後述する方法を用いて本発明に係る燃料電池用触媒を製造する場合において、製造条件を最適化すると、白金表面積比活性(SA)が1700μA/cm2以上である燃料電池用触媒が得られる。製造条件をさらに最適化すると、SAは、2000μA/cm2以上となる。
[1.4. 用途]
本発明に係る燃料電池用触媒は、固体高分子形燃料電池のカソード用触媒として好適であるが、アノード用触媒としても用いることができる。
[2. 燃料電池用触媒の製造方法]
本発明に係る燃料電池用触媒の製造方法は、
Pt前駆体、Pt及びAuより卑な金属元素Mの前駆体、及び導電性材料からなる担体を、水を含む溶媒中に分散させ、分散液を攪拌する第1工程と、
前記分散液に還元剤を滴下し、攪拌する第2工程と、
Ptの析出が開始した後、前記Ptの析出が完了する前に、5℃以下に保持された前記分散液にAu前駆体を投入し、引き続き前記分散液を攪拌する第3工程と、
前記分散液のろ過、洗浄、及び乾燥を行い、触媒前駆体を回収する第4工程と、
前記触媒前駆体を酸溶液で洗浄することにより前記金属元素Mからなるコアを溶出させ、本発明に係る燃料電池用触媒を得る第5工程と
を備えている。
[2.1. 第1工程]
まず、Pt前駆体、Pt及びAuより卑な金属元素Mの前駆体、及び導電性材料からなる担体を、水を含む溶媒中に分散させ、分散液を攪拌する(第1工程)。
[2.1.1. Pt前駆体]
Pt前駆体は、Ptを含み、かつ、水溶性の化合物であれば良い。Pt前駆体としては、例えば、テトラアンミンクロリド白金水和物などがある。Pt前駆体には、これらのいずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
[2.1.2. 金属元素Mの前駆体]
金属元素Mの前駆体は、金属元素Mを含み、かつ、水溶性の化合物であれば良い。金属元素Mの前駆体としては、例えば、NiCl2、Ni(NO3)2、Ni(CH3COO)2などがある。金属元素Mの前駆体には、これらのいずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
[2.1.3. 担体]
担体は、導電性材料からなる。担体の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
[2.1.4. 分散媒]
原料を分散又は溶解させる分散媒には、水、又は、水と有機溶媒との混合物を用いる。有機溶媒は、水と相溶するものであれば良い。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールなどがある。
分散媒として、水と有機溶媒との混合物を用いる場合において、有機溶媒の含有量が多くなりすぎると、NaBH4の還元速度が低下する。従って、有機溶媒の含有量は、10wt%以下が好ましい。
[2.1.5. 分散液の組成]
分散液に含まれる各成分の組成は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な組成を選択することができる。
[2.1.6. 分散液の温度]
分散液の温度が高くなりすぎると、Au前駆体を添加した時に金の還元速度が速くなり、金の粗大粒子が生成する。従って、分散液の温度は、少なくともAu前駆体を添加する時において、5℃以下とする必要がある。分散液の攪拌は、氷浴中で行うのが好ましい。
[2.2. 第2工程]
次に、分散液に還元剤を滴下し、攪拌する(第2工程)。
還元剤は、Pt前駆体及び金属元素Mの前駆体、並びに、後から添加されるAu前駆体を還元させることが可能なものであれば良い。還元剤としては、例えば、NaBH4などがある。還元剤には、これらのいずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
分散液に滴下される還元剤の量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な量を選択することができる。分散液に適量の還元剤を滴下すると、最初に金属元素Mの前駆体が還元され、担体表面に金属元素Mからなるコアが析出する。次いで、コアの表面にPtからなるシェルが析出する。
[2.3. 第3工程]
次に、Ptの析出が開始した後、前記Ptの析出が完了する前に、5℃以下に保持された前記分散液にAu前駆体を投入し、引き続き前記分散液を攪拌する(第3工程)。
[2.3.1. Au前駆体]
Au前駆体は、Auを含み、かつ、水溶性の化合物であれば良い。Au前駆体としては、例えば、テトラブロモ金(III)酸などがある。Au前駆体には、これらのいずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
[2.3.2. Au前駆体の投入時期]
Ptの析出が開始した後、Ptの析出が完了する前に、5℃以下に保持された分散液にAu前駆体を投入すると、高い活性を示すシェルを形成することができる。これは、Au前駆体の投入時期を遅らせることにより、AuがPt表面の一部に組み込まれるような形で安定な状態で配置するためと考えられる。
最適な投入時期は、使用する原料の種類や分散液中の各成分の濃度などにより異なる。通常、還元剤を投入した後、5〜10分間経過後にAu前駆体を投入するのが好ましい。
また、この時、分散液の温度は、5℃以下に保持されている必要がある。
[2.4. 第4工程]
次に、前記分散液のろ過、洗浄、及び乾燥を行い、触媒前駆体を回収する(第4工程)。ろ過、洗浄、及び乾燥の方法及び条件は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な方法及び条件を選択することができる。
[2.5. 第5工程]
次に、前記触媒前駆体を酸溶液で洗浄することにより前記金属元素Mからなるコアを溶出させる(第5工程)。これにより、本発明に係る燃料電池用触媒が得られる。
酸は、コアを溶出させることが可能なのもである限りにおいて、特に限定されない。酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸などがある。
酸処理条件は、特に限定されるものではなく、目的とする組成に応じて最適な条件を選択することができる。すなわち、酸処理は、コアを完全に溶出させるものでも良く、あるいは、コアを部分的に溶出させるものでも良い。
[3. 作用]
貴金属元素の前駆体、金属元素Mの前駆体、及び担体を含む分散液に還元剤を滴下すると、まず、担体表面に金属元素Mからなるコアが析出する。次いで、金属元素Mからなるコアの表面に貴金属元素からなるシェルが析出する。この時、分散液中にPt前駆体及びAu前駆体を同時に添加すると、Pt原子とAu原子が均一に混合しているPt−Au合金シェルが得られる。このようにして得られたシェルは、高活性を示すが、貴金属当たりの重量活性は低い。
これに対し、Pt前駆体、金属元素Mの前駆体、及び担体を含む分散液に還元剤を滴下すると、まず、担体表面に金属元素Mからなるコアが析出する。次いで、コアの表面にPtからなるシェルが析出する。さらに、Ptの析出が開始した後、Ptの析出が完了する前に分散液にAu前駆体を投入すると、Ptのみからなるシェルの表面にPtとAuとを含むシェルがさらに形成される。
このようにして得られた触媒は、従来の触媒に比べて白金重量活性及び白金表面積比活性が高くなる。また、燃料電池作動環境下での活性維持率も高い。これは、
(a)分散液にAu前駆体を投入する時期を遅らせることによって、AuがPt表面の一部に組み込まれるような形で安定な状態で配置するため、及び、
(b)これによってAu原子がPt表面の活性及び安定性を向上させているため、
と考えられる。
(実施例1〜3、比較例1)
[1. 試料の作製]
[1.1. 比較例1]
非特許文献2に記載の方法を用いて、中空PtNi/Cナノ触媒を作製した。すなわち、Pt前駆体、Ni前駆体、及び担体を水・アルコール混合溶媒中に分散させ、攪拌した。この分散液に、還元剤としてNaBH4を滴下した。還元剤の滴下終了後、55分間攪拌を行った。分散液から回収した固形分を洗浄・ろ過し、100℃で乾燥させ、コアシェル粒子/C触媒を得た。次に、室温の1M硫酸溶液中にコアシェル粒子/C触媒を加えて12時間攪拌した。さらに、処理液から回収した固形部を洗浄・ろ過し、中空PtNi/Cナノ触媒を得た。
[1.2. 実施例1〜3]
Pt前駆体、Ni前駆体、及び担体を水・アルコール混合溶媒中に分散させ、氷浴中で攪拌した。この分散液に、還元剤としてNaBH4を滴下した。還元剤の滴下終了後、5分経過したところで、分散液にAu前駆体を投入し、分散液を10分間攪拌した。Auの仕込み量(Pt及びAuの総重量に対するAuの重量の割合)は、3.7wt%(実施例1)、10.4wt%(実施例2)、又は18.8wt%(実施例3)とした。以下、比較例1と同様にして、中空ナノ粒子構造を備えたPtxAuyNiz/C触媒を得た。
[2. 試験方法]
[2.1. 組成分析]
各触媒について、ICP分析を行った。
[2.2. 電気化学特性の評価]
回転ディスク電極(RDE)法にて電気化学特性を評価した。触媒を超純水、アルコール、及びナフィオン(登録商標)を含む混合溶媒中に分散させ、触媒インクを作製した。この触媒インクをグラッシーカーボン(GC)電極上に塗布し、乾燥させ、評価用電極を得た。
RDE法のセルは三極式とし、電解液には0.1M過塩素酸水溶液を用いた。参照極には可逆水素電極(RHE)を用い、対極にはPt黒メッシュを用いた。
有効電気化学表面積(ECSA)は、サイクリックボルタモグラム(CV)の水素吸脱着波の電荷量から求めた。酸素還元反応(ORR)の白金重量活性(MA)及び白金表面積比活性(SA)は、リニアスイープボルタモグラム(LSV)の測定結果から求めた。
[2.3. 電位変動サイクル耐久試験]
作製された触媒をカソードに使用したセル(電極面積:1cm2)を作製した。得られたセルを用いて、電位変動サイクル耐久試験を行った。耐久試験は、0.6Vで3秒間保持し、次いで1Vで3秒保持する操作を1サイクルとし、このような操作を合計10000サイクル繰り返すことにより行った。
IR補正セル電圧:0.86Vにおける電流値を「活性値」と定義し、耐久試験前後の活性値から、次の式(2)で表される活性維持率を算出した。
活性維持率=I×100/I0 …(2)
但し、
Iは、耐久試験後の活性値(IR補正セル電圧:0.86Vにおける電流値)、
0は、耐久試験前の活性値。
[3. 結果]
[3.1. 組成分析]
表1に、ICP測定から得られた各触媒の組成を示す。表1より、Auの仕込み量が増えるにつれて、Auの存在量が増えていることが分かる。
Figure 2021026961
[3.2. 電気化学特性の評価]
[3.2.1. ECSA、MA、及びSA]
表2に、0.9V(vs. RHE)における各触媒の電気化学特性を示す。実施例1、3は、比較例1よりMA及びSAが高い。これは、触媒表面に存在するAuが影響を及ぼしているためと考えられる。
Figure 2021026961
[3.3. 電位変動サイクル試験]
比較例1の活性維持率は、34.5%であった。一方、実施例1の活性維持率は46.1%、実施例2の活性維持率は46.2%であった。すなわち、本発明に係る触媒は、触媒活性が高いだけでなく、耐久性も高いことが分かった。
図1に、Au含有量と貴金属(Pt+Au)重量活性との関係、及び、Au含有量と活性維持率との関係を示す。ここで、「貴金属重量活性」とは、Pt及びAuの総重量あたりの触媒活性をいう。貴金属重量活性は、Au含有量が0から4at%までは一旦増加する。これは、Auの存在により白金重量活性が向上する効果が、貴金属であるAuが増加することによる貴金属重量の増加分を上回るためである。しかし、ここからAu含有量を増加させても、白金重量活性向上は頭打ちとなり(表2参照)、Auが増える分だけ、貴金属重量活性は低下した。
ここで、白金重量活性が実施例1と実施例3で変わらないとして、Au含有量に対する貴金属重量活性を計算すると、図1中の破線の曲線となる。その際、貴金属重量活性が比較例1を上回るAu含有量は、10at%と見積もられる。
さらに、活性維持率については、Au含有量が0から4at%で向上し、それ以上では頭打ちになっていることが分かる。
以上から、最適なAu含有量は、2〜10at%の範囲にあると判断される。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る燃料電池用触媒は、自動車用動力源、定置型小型発電機等に用いられる固体高分子形燃料電池の空気極の電極触媒として用いることができる。

Claims (7)

  1. 以下の構成を備えた燃料電池用触媒。
    (1)前記燃料電池用触媒は、
    導電性材料からなる担体と、
    前記担体の表面に担持された触媒粒子と
    を備えている。
    (2)前記触媒粒子は、次の式(1)で表される組成を有し、中空ナノ粒子構造を持つ。
    PtxAuyz …(1)
    但し、
    Mは、Pt及びAuより卑な金属元素、
    0.001<y≦0.22、
    0≦z<0.20、
    x+y+z=1。
  2. 0.02≦y≦0.10である請求項1に記載の燃料電池用触媒。
  3. 前記触媒粒子の平均粒径が10nm以上100nm以下である請求項1又は2に記載の燃料電池用触媒。
  4. 有効電気化学表面積(ECSA)が35m2/gPt以上である請求項1から3までのいずれか1項に記載の燃料電池用触媒。
  5. 白金重量活性(MA)が750A/gPt以上である請求項1から4までのいずれか1項に記載の燃料電池用触媒。
  6. 白金表面積比活性(SA)が1700μA/cm2以上である請求項1から5までのいずれか1項に記載の燃料電池用触媒。
  7. Pt前駆体、Pt及びAuより卑な金属元素Mの前駆体、及び導電性材料からなる担体を、水を含む溶媒中に分散させ、分散液を攪拌する第1工程と、
    前記分散液に還元剤を滴下し、攪拌する第2工程と、
    Ptの析出が開始した後、前記Ptの析出が完了する前に、5℃以下に保持された前記分散液にAu前駆体を投入し、引き続き前記分散液を攪拌する第3工程と、
    前記分散液のろ過、洗浄、及び乾燥を行い、触媒前駆体を回収する第4工程と、
    前記触媒前駆体を酸溶液で洗浄することにより前記金属元素Mからなるコアを溶出させ、請求項1から6までのいずれか1項に記載の燃料電池用触媒を得る第5工程と
    を備えた燃料電池用触媒の製造方法。
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