JP5510462B2 - 燃料電池用電極触媒微粒子、及び燃料電池用電極触媒微粒子の製造方法 - Google Patents

燃料電池用電極触媒微粒子、及び燃料電池用電極触媒微粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、触媒活性が高い燃料電池用電極触媒微粒子、及び燃料電池用電極触媒微粒子の製造方法に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。
従来、燃料電池のアノード及びカソードの電解触媒として、担持白金及び白金合金材料が採用されてきた。しかし、現在の最新技術の電解触媒に必要な量の白金は、燃料電池の大量生産を商業的に実現可能にするには依然として高価である。したがって、白金をより安価な金属と組み合わせることにより、燃料電池カソード及びアノードに含まれる白金の量を低減させる研究がなされてきた。
燃料電池においては、過電圧による電圧の低下が、出力低下の主な原因の1つである。過電圧には、電極反応に由来する活性化過電圧、電極表面や電池全体における抵抗に由来する抵抗過電圧、電極表面における反応物質の濃度分布に由来する濃度過電圧が挙げられる。これら3つの過電圧の内、電極触媒は、活性化過電圧の低減に効果を発揮する。
白金及び白金合金は、白金の高い触媒性能のため、燃料電池のカソード及びアノードにおける電極触媒として好んで使用されている。しかし、燃料電池を商品化するにあたって、従来の白金触媒を用いたカソードにおける酸素還元反応速度の遅さ、及び、白金の高いコストが、重大な障害となっていた。このような課題を解決することを目的とした触媒として、特許文献1には、白金原子の原子的薄層によって被覆されたパラジウム又はパラジウム合金を含む粒子複合材が開示されている。
米国特許出願公開第2007/31722号明細書
特許文献1の段落236以下には、パラジウム微粒子表面に、銅アンダーポテンシャル析出法(以下、Cu−UPD法と称する。)により白金の単原子層を形成する方法が記載されている。
Cu−UPD法に特有の問題として、白金等の最外層による被覆が不十分なため、触媒微粒子表面に中心粒子の一部が露出し、触媒活性が低下する問題がある。これは、最外層を形成する金属材料の格子定数よりも、中心粒子を形成する金属材料の格子定数が著しく小さいため、中心粒子の表面において、最外層を形成する金属原子が不安定になること、すなわち格子不整合が生じることが主な原因の1つである。例えば、パラジウム−銅合金からなる中心粒子と、白金からなる最外層から構成される触媒微粒子の場合には、中心粒子の表面上において銅が高い割合で存在する領域において、白金からなる最外層による被覆が十分ではないことが、実験結果により分かっている。このような、原子的薄層により被覆された触媒微粒子特有の問題に対しては、引用文献1には、何ら解決策が示されていない。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、触媒活性が高い触媒微粒子、及び触媒微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池用電極触媒微粒子は、パラジウム合金を含む中心粒子と、白金を含む最外層を備える燃料電池用電極触媒微粒子であって、前記中心粒子と前記最外層との間に、単体のパラジウムのみからなる中間層を備えることを特徴とする。
本発明の燃料電池用電極触媒微粒子においては、前記中間層が、前記中心粒子のエッジ部に位置する部分を除き、凹凸を実質的に有さない層であることが好ましい。
本発明の燃料電池用電極触媒微粒子においては、前記パラジウム合金が、パラジウムと、パラジウムよりも標準電極電位の低い金属材料を含む合金であることが好ましい。
本発明の燃料電池用電極触媒微粒子においては、前記パラジウム合金が、銅、コバルト、鉄、ニッケル、銀及びマンガンからなる群から選ばれる金属材料、並びにパラジウムを含む合金であることが好ましい。
本発明の燃料電池用電極触媒微粒子においては、前記中間層の厚さが0.2〜1.4nmであることが好ましい。
本発明の燃料電池用電極触媒微粒子は、担体に担持されていてもよい。
本発明の燃料電池用電極触媒微粒子の製造方法は、パラジウム合金を含む中心粒子と、白金を含む最外層を備える燃料電池用電極触媒微粒子の製造方法であって、パラジウム合金微粒子を準備する工程、少なくとも前記パラジウム合金微粒子表面に露出した金属のうち、パラジウム以外の金属を選択的に溶出させる工程、パラジウム以外の金属を選択的に溶出させた後の前記パラジウム合金微粒子表面のうち、少なくとも当該溶出した部位に、単体のパラジウムのみからなる中間層を電気化学的に堆積させる工程、前記中間層の表面に単原子層を形成する工程、及び、前記単原子層を、白金を含む前記最外層に置換する工程を有することを特徴とする。
本発明の燃料電池用電極触媒微粒子の製造方法においては、前記パラジウム合金微粒子が、パラジウムと、パラジウムよりも標準電極電位の低い金属材料を含む合金微粒子であることが好ましい。
本発明の燃料電池用電極触媒微粒子の製造方法においては、前記パラジウム合金微粒子が、銅、コバルト、鉄、ニッケル、銀及びマンガンからなる群から選ばれる金属材料、並びにパラジウムを含む合金微粒子であることが好ましい。
本発明の燃料電池用電極触媒微粒子の製造方法においては、前記パラジウム合金微粒子が担体に担持されていてもよい。
本発明によれば、単体のパラジウムのみからなる中間層の格子定数は、パラジウム合金の格子定数と比較して、白金の格子定数により近いため、最外層の白金がより安定に存在することができる。
また、本発明の製造方法により、本発明に係る触媒微粒子が製造できる。さらに、本発明の製造方法において、パラジウム合金微粒子表面に単体のパラジウムのみからなる中間層を形成することにより、白金を含む最外層を中心粒子に高い被覆率で被覆することができる。
本発明の製造方法の各工程における、触媒微粒子表面の変遷を示した模式図である。 実施例1、並びに、比較例1及び比較例2の触媒微粒子についての電気化学測定結果を示すサイクリックボルタモグラムの一部である。 切頂八面体形のパラジウム粒子又はパラジウム合金粒子を示した斜視模式図である。 Cu−UPD法を行う装置の例の断面模式図である。
1.触媒微粒子
本発明の触媒微粒子は、パラジウム合金を含む中心粒子と、白金を含む最外層を備える触媒微粒子であって、前記中心粒子と前記最外層との間に、単体のパラジウムのみからなる中間層を備えることを特徴とする。
本発明の触媒微粒子は、上述するように、パラジウム合金を含む中心粒子に、単体のパラジウムのみからなる中間層が被覆され、さらに白金を含む最外層によって覆われた構成をとる。
単体のパラジウムのみからなる中間層の格子定数(3.89Å)は、パラジウム合金の格子定数と比較して、白金の格子定数(3.92Å)により近い。したがって、本発明の触媒微粒子においては、最外層の白金原子がより安定に存在することができる。
後述する実施例において示すように、パラジウム−銅合金からなる中心粒子に、直接白金が被覆した触媒微粒子(比較例1)は、従来のカーボン担持白金触媒(比較例2)と比較して3倍程度の活性しか示さない。これは、パラジウム−銅合金の格子定数と、白金の格子定数との差が大きいために、中心粒子と白金層との界面において格子不整合が生じ、その結果、白金層において1原子層よりも厚い部分が生じる一方で、中心粒子において白金層によって被覆されない部分が生じる等、白金が偏った分布で析出しているためと考えられる。
これに対し、後述する実施例において示すように、パラジウム−銅合金からなる中心粒子に、単体のパラジウムのみからなる中間層が被覆し、さらに白金が被覆した触媒微粒子(実施例1)は、従来のカーボン担持白金触媒(比較例2)と比較して12倍の活性を示した。
パラジウム中間層は、白金による被覆を安定化させる働きの他に、パラジウム合金の溶出による燃料電池部材の汚染を防ぐ働きも有する。
本発明に係る触媒微粒子は、数原子層の厚みしか最外層を備えていないため、下地である中心粒子がむき出しになりやすい。例えば、中心粒子が、銅、コバルト又は鉄等の3d遷移金属元素、及びパラジウムを含有するパラジウム合金微粒子である場合、中心粒子が溶出すると、触媒微粒子の耐久性、性能共に大幅に低下することが分かっている。特に、鉄イオンはppmオーダーの濃度でもフェントン反応を促進し、燃料電池内の電解質膜やアイオノマーを劣化させることが実証されている。パラジウム中間層は、これら3d遷移金属元素の溶出を防ぐ働きを有する。
単体のパラジウムのみからなる中間層は、中心粒子のエッジ部に位置する部分を除き、凹凸を実質的に有さない層であることが好ましい。
ここで、中間層における中心粒子のエッジ部に位置する部分とは、中間層のうち、中心粒子のエッジ部を被覆している部分をいう。図3は、切頂八面体形のパラジウム粒子又はパラジウム合金粒子を示した斜視模式図である。パラジウム粒子及びパラジウム合金粒子は、通常、複数の原子からなる切頂八面体50を形成する。中心粒子のエッジ部とは、切頂八面体50の辺5及び頂点6を指す。
ここで、凹凸を実質的に有さない状態とは、中心粒子表面のエッジ部に位置する部分以外の中間層のほぼ全てが平滑である状態、又は、中間層に無視しうる程度の微小な凹凸しか存在していない状態のいずれかの状態をいう。
中間層が、中心粒子のエッジ部に位置する部分を除き平滑な層であるか否かは、種々の方法により確認することができる。例えば、TEMによって中間層の数か所を観察し、観察されたすべての部分において凹凸が無い場合に、中間層が平滑であることを決定することができる。
その他、中間層が平滑か否かを判断する方法の例としては、金属粒子表面にCOを吸着させ、吸着したCO量を測定することで表面積を評価し、当該評価結果と、凹凸が無いとして計算した幾何面積とを比較する方法が挙げられる。
本発明に使用されるパラジウム合金は、パラジウムと、パラジウムよりも標準電極電位の低い金属材料を含む合金であることが好ましい。
具体的には、パラジウム合金は、銅、コバルト、鉄、ニッケル、銀及びマンガンからなる群から選ばれる金属材料、並びにパラジウムを含む合金であることが好ましい。
本発明の触媒微粒子の最外層は、白金以外の元素を微小量含んでいてもよい。具体的には、最外層の全質量を100質量%としたとき、白金以外の元素が3質量%以下であるのが好ましく、1質量%以下であるのがより好ましく、最外層が白金単体のみからなることがさらに好ましい。
最外層の厚みにもよるが、最外層が、例えば白金の単原子層である場合には、中間層の厚さは、コストの観点からは6原子層以下、触媒活性の観点からは4原子層以下であるのが好ましい。中間層を形成する原子がパラジウム原子であることを考慮すると、中間層の厚さは、0.2〜1.4nmであることが好ましい。また、白金層が単原子層よりも厚い場合には、コスト・活性の観点から、中間層の厚みを薄くすることが好ましい。
電気化学反応において、中心粒子の溶出をより抑制できるという観点から、中心粒子に対する最外層の被覆率が、中心粒子の表面が最外層で完全に覆われている状態の被覆率を1とした場合に、0.8〜1であることが好ましい。
仮に、中心粒子に対する最外層の被覆率が、0.8未満であるとすると、電気化学反応において中心粒子が溶出してしまい、その結果、触媒微粒子が劣化してしまうおそれがある。中心粒子に対する最外層の被覆率が、0.9〜1であることがより好ましく、0.97〜1であることがさらに好ましい。
なお、ここでいう「中心粒子に対する最外層の被覆率」とは、中心粒子の全表面積を1とした時の、最外層によって被覆されている中心粒子の面積の割合のことである。当該被覆率を算出する方法の一例としては、TEMによって触媒微粒子の表面の数か所を観察し、観察された全面積に対する、最外層によって中心粒子が被覆されていることが観察によって確認できた面積の割合を算出する方法が挙げられる。
X線光電子分光(XPS:X−ray photoelectron spectroscopy)や、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS:Time of Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)等を用いて、触媒微粒子の最表面に存在する成分を調べることによって、中心粒子に対する最外層の被覆率を算出することもできる。
本発明の触媒微粒子は、最外層が、白金のみからなる単原子層であることが好ましい。このような微粒子は、2原子層以上の最外層を有する触媒と比較して、触媒活性が極めて高いという利点、及び、白金の被覆量が最小限で済むため材料コストが低いという利点がある。
本発明の触媒微粒子の平均粒径は、2〜20nmであることが好ましく、4〜10nmであることがさらに好ましい。触媒微粒子の最外層は上述したように好ましくは単原子層であるため、最外層の厚さは、好ましくは0.17〜0.23nmである。したがって、触媒微粒子の平均粒径に対し、最外層の厚さがほぼ無視でき、中心粒子の平均粒径と、触媒微粒子の平均粒径とがほぼ等しいことが好ましい。
本発明における粒子の平均粒径は、常法により算出される。粒子の平均粒径の算出方法の例は以下の通りである。まず、400,000倍又は1,000,000倍のTEM(透過型電子顕微鏡)画像において、ある1つの粒子について、当該粒子を球状と見なした際の粒径を算出する。このようなTEM観察による平均粒径の算出を、同じ種類の200〜300個の粒子について行い、これらの粒子の平均を平均粒径とする。
本発明の触媒微粒子は、担体に担持されていてもよい。特に、当該触媒微粒子を燃料電池の触媒層に使用する場合には、触媒層に導電性を付与するという観点から、担体が導電性材料であることが好ましい。
担体として使用できる導電性材料の具体例としては、ケッチェンブラック(商品名:ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製)、バルカン(商品名:Cabot社製)、ノーリット(商品名:Norit社製)、ブラックパール(商品名:Cabot社製)、アセチレンブラック(商品名:Chevron社製)等の炭素粒子や、炭素繊維等の導電性炭素材料が挙げられる。
2.触媒微粒子の製造方法
本発明の触媒微粒子の製造方法は、パラジウム合金を含む中心粒子と、白金を含む最外層を備える触媒微粒子の製造方法であって、パラジウム合金微粒子を準備する工程、前記パラジウム合金微粒子表面に単体のパラジウムのみからなる中間層を形成する工程、前記中間層の表面に単原子層を形成する工程、及び、前記単原子層を、白金を含む前記最外層に置換する工程を有することを特徴とする。
中心粒子に金属被膜を形成した触媒微粒子は、活性向上とコスト低減のため、被膜金属よりも標準電極電位が低い金属を中心粒子として用いることが効果的である。しかし、このようないわゆる卑な金属を含有する中心粒子を用いた触媒微粒子においては、中心粒子表面の格子定数が被膜金属の格子定数より5〜10%以上小さくなると被膜金属が中心粒子を十分に被覆できなくなるため、触媒微粒子の耐久性や性能が低下する問題がある。
そこで、本発明の製造方法は、パラジウム合金を含む中心粒子の表面に、最外層に含まれる白金と格子定数が近い単体のパラジウムのみからなる中間層を凹凸なく形成することを目的とする。本発明により、白金よりも卑な金属であるパラジウム合金を含有する中心粒子を用いた場合においても、耐久性や性能に優れる触媒微粒子を提供することができる。
本発明に係る製造方法は、(1)パラジウム合金微粒子を準備する工程、(2)中間層を形成する工程、(3)中間層の表面に単原子層を形成する工程、及び、(4)単原子層を、白金を含む最外層に置換する工程、を有する。本発明は、必ずしも上記4工程のみに限定されることはなく、上記4工程以外にも、例えば、後述するようなろ過・洗浄工程、乾燥工程、粉砕工程等を有していてもよい。
以下、上記工程(1)〜(4)並びにその他の工程について、順に説明する。
2−1.パラジウム合金微粒子を準備する工程
本工程において準備するパラジウム合金微粒子は、市販のものであってもよいし、パラジウムを含む材料と他の金属材料を原料として調製したものであってもよい。また、市販のパラジウム合金微粒子を適宜調製したものを、本発明に用いてもよい。
パラジウム合金微粒子の平均粒径は特に限定されない。
パラジウム合金微粒子は、パラジウムと、パラジウムよりも標準電極電位の低い金属材料を含む合金微粒子であることが好ましい。具体的には、上述した中心粒子の説明において例示した金属材料を含む合金微粒子であることが好ましい。
パラジウム合金微粒子は、担体に担持されていてもよい。担体の具体例は、上述した通りである。
2−2.中間層を形成する工程
本工程は、パラジウム合金微粒子表面に単体のパラジウムのみからなる中間層を形成する工程である。
本工程で形成する中間層は、パラジウム合金微粒子由来のパラジウム原子からなる層であってもよいし、パラジウム合金微粒子以外のパラジウム材料由来のパラジウム原子からなる層であってもよい。また、当該中間層は、パラジウム合金微粒子由来のパラジウム原子と、パラジウム合金微粒子以外のパラジウム材料由来のパラジウム原子をいずれも含む層であってもよい。
本工程においては、パラジウム合金微粒子表面に上述した中間層を形成することができれば、具体的な方法は特に限定されない。
本工程においては、例えば、パラジウム合金微粒子表面に、単体のパラジウムのみからなる中間層を電気化学的に堆積させる方法や、少なくともパラジウム合金微粒子表面に露出した金属のうち、パラジウム以外の金属を選択的に溶出させる方法等を採用することができる。また、上記2つの方法を併用し、少なくともパラジウム合金微粒子表面に露出した金属のうち、パラジウム以外の金属を選択的に溶出させ、その後、パラジウム以外の金属を選択的に溶出させた後のパラジウム合金微粒子表面のうち、少なくとも当該溶出した部位に、単体のパラジウムのみからなる中間層を電気化学的に堆積させる方法を採用してもよい。
以下、本工程を、少なくともパラジウム合金微粒子表面に露出した金属のうち、パラジウム以外の金属を選択的に溶出させる工程、及び、単体のパラジウムのみからなる中間層を電気化学的に堆積させる工程の、合計2工程に分けて行う場合について、詳細に説明する。
2−2−1.パラジウム以外の金属を選択的に溶出させる工程
本工程は、少なくともパラジウム合金微粒子表面に露出した金属のうち、パラジウム以外の金属を選択的に溶出させる工程である。
本工程において、パラジウム以外の金属を選択的に溶出させるためには、パラジウムを全く溶出させず、パラジウム以外の金属のみを完全に溶出させることが理想である。しかし、本工程はあくまで、パラジウム合金微粒子表面に露出したパラジウム以外の金属を完全に除去することが目的であるので、実際には、パラジウムが微小量溶出してしまっても、パラジウム以外の金属を完全に溶出させることができればよい。
本工程において、パラジウム合金微粒子表面に露出した金属を溶出させる方法は、具体的には、パラジウム合金微粒子に電位をかける方法や、パラジウム合金微粒子を酸処理する方法等が例示できるが、必ずしもこれらの方法に限定されない。なお、これらの方法のうち、酸処理する方法の場合は、pHと温度を調整することによって、選択的にパラジウム以外の金属を溶出させることができる。
以下、電位を付与する方法を用いて、カーボン担体に担持したパラジウム−銅微粒子(以下、PdCu/Cと称する場合がある。)の表面から、銅を選択的に溶出させる例について具体的に説明する。
まず、PdCu/Cを、パラジウムイオンの飽和電解液内に浸す。続いて、電解液全体に、パラジウムが溶解し難く、銅が溶解しやすい電位をかける。銅の標準電極電位が0.337V、パラジウムの標準電極電位が0.915Vであるので、パラジウムが溶解し難く、銅が溶解しやすい電位としては、0.8〜1.2Vの範囲内の電位を選択することが好ましい。
酸処理する方法を用いて、PdCu/Cの表面から銅を選択的に溶出させる場合には、PdCu/Cを強酸内に浸せばよい。ここで、銅がイオン化して溶出するpHは4以下、パラジウムがイオン化して溶出するpHは1.5以下であるので、パラジウムが溶解し難く、銅が溶解しやすい条件としては、pH=3〜4に調整した強酸で洗浄することが好ましい。
また、温度を適宜設定することによって、溶出する金属の選択性を高めることができる。PdCu/Cの粒径によって溶出し易さも異なるが、例えば、PdCu/Cの粒径が好適な粒径である6nmの場合、80℃の温度条件下においては、室温(15℃〜25℃)条件下の場合と比較して、パラジウムの溶出量は約6倍である。したがって、PdCu/Cの表面から銅を選択的に溶出させる場合には、pH=3〜4に調整した酸を使用して、温度を上げずに、好ましくは冷却しながら銅を溶出させることが適している。
本工程において、パラジウム以外の金属を、少なくともパラジウム合金微粒子表面から選択的に溶出させることによって、パラジウム合金微粒子表面がパラジウムの単一層のみからなることとなる。パラジウムの格子定数である3.89Åは、白金の格子定数である3.92Åに近いので、後述する白金を含む最外層を被覆する工程において、パラジウム合金微粒子を白金によって十分に被覆できる。特に、上述したパラジウム合金微粒子に電位をかける方法を用いた場合には、パラジウム飽和溶液内で行うことができるので、パラジウムの溶出が最小限に抑えられ、貴金属を効率よく利用できるといった利点がある。
2−2−2.単体のパラジウムのみからなる中間層を電気化学的に堆積させる工程
本工程は、上記溶出工程の後、パラジウム以外の金属を選択的に溶出させた後のパラジウム合金微粒子表面のうち、少なくとも当該溶出した部位に、単体のパラジウムのみからなる中間層を電気化学的に堆積させる工程である。
上記パラジウム以外の金属を溶出させる工程においては、パラジウム合金微粒子の表面からパラジウム原子以外の金属原子が溶出した結果、パラジウム合金微粒子の表面に凹凸ができた状態となる。したがって、そのまま最外層を被覆したとしても、得られた触媒微粒子の表面には凹凸が残る。特に凸部は他の部分よりも溶出しやすくなるため、触媒微粒子の耐久性が低下するおそれがある。
したがって、本工程において、単体のパラジウムのみからなる中間層をパラジウム合金微粒子の表面に形成することにより、表面に凹凸がなく、耐久性に優れた触媒微粒子が製造できる。
以下、表面から銅を選択的に溶出させたPdCu/Cに、単体のパラジウムのみからなる中間層を電気化学的に堆積させる方法について具体的に説明する。
まず、PdCu/Cを、パラジウムイオンの飽和電解液内に浸す。続いて、電解液全体に、パラジウムが析出しやすい電位をかける。パラジウムの標準電極電位は0.915Vであるので、それ以下の電位では析出する。パラジウムが析出しやすい電位として、0.8〜1.2Vの範囲内の電位を選択することが好ましい。
なお、パラジウムが析出する際には、パラジウム合金微粒子の凹部分に優先的に析出する。これは、パラジウム合金微粒子の凸部分に析出するより、凹部分を埋める様に析出する方が、表面エネルギー的に安定であるという理由による。したがって、本工程を経ることによって、中心粒子表面に、平滑なパラジウム単一層が形成される。
2−3.中間層の表面に単原子層を形成する工程、及び、当該単原子層を、白金を含む最外層に置換する工程
本工程の具体例としては、アンダーポテンシャル析出法によって予め中間層の表面に単原子層を形成した後、当該単原子層を、白金を含む最外層に置換する方法が挙げられる。アンダーポテンシャル析出法としては、Cu−UPD法を用いることが好ましい。
以下、Cu−UPD法の具体例について説明する。
まず、カーボン担体に担持され、表面がパラジウムのみからなる中間層で被覆されたパラジウム−銅微粒子(以下、Pd/PdCu/Cと称する場合がある。)粉末を水に分散させ、ろ過して得たPd/PdCu/Cペーストを電気化学セルの作用極に塗工する。なお、Pd/PdCu/Cペーストは、ナフィオン(商品名)等の電解質をバインダーにして、作用極上に接着してもよい。当該作用極としては、白金メッシュや、グラッシーカーボンを用いることができる。
次に、電気化学セルに銅溶液を加え、当該銅溶液中に上記作用極、参照極及び対極を浸し、Cu−UPD法により、Pd/PdCu/Cの表面に銅の単原子層を析出させる。
図4に示すように、Cu−UPD法を行う装置は、大別して銅溶液及び電極が格納されたセル60と、電圧・電流制御を行うポテンショスタットとに分かれる。セル60内には、Pd/PdCu/Cペーストが塗工又は接着された作用極61、対極62、参照極63が銅溶液64に十分に浸かるように配置されており、これら3つの電極は、ポテンショスタットと電気的に接続されている。また、窒素導入管65が銅溶液64に浸かるように配置されており、セル外部に設置された窒素供給源(図示せず)から一定時間窒素が銅溶液64にバブリングされ、銅溶液が窒素で飽和されている状態とする。円66は窒素の気泡を示す。
Cu−UPD法の具体的な条件の一例を下記に示す。
・銅溶液:0.05mol/L CuSOと0.05mol/L HSOの混合溶液(窒素をバブリングさせる)
・雰囲気:窒素雰囲気下
・掃引速度:0.2〜0.01mV/秒
・電位:0.8V(vsRHE)から0.4V(vsRHE)まで掃引した後、約0.4V(vsRHE)で電位を固定する。
・電位固定時間:1秒間〜10分間
上記電位固定時間が終了した後、速やかに作用極を白金溶液に浸漬させ、イオン化傾向の違いを利用して銅と白金とを置換メッキする。置換メッキは、窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。白金溶液は特に限定されないが、例えば、0.1mol/L HClO中にKPtClを溶解させた白金溶液が使用できる。白金溶液は十分に攪拌し、当該溶液中には窒素をバブリングさせる。置換メッキ時間は、90分以上確保することが好ましい。
本工程を経ることによって、パラジウム合金微粒子の表面が平滑であり、且つ、当該微粒子が完全に白金層で被覆された、本発明に係る触媒微粒子が得られる。
以下、図1を用いて、これまで説明した本発明の製造方法の概要をまとめる。図1は、本発明の製造方法の各工程における、触媒微粒子表面の変遷を示した模式図である。S1〜S5の各長方形の間に描かれた白矢印は、被覆状態がS1からS5へ移り変わることを示す。S1〜S5の長方形内には、パラジウム合金微粒子と中間層、及び白金を含む最外層の一部が、3列又は4列の丸で示されている。これらの丸は、それぞれ1つの金属原子を表す。これらの丸の内、下段の丸ほどパラジウム合金微粒子中心に近い丸であり、上段の丸ほど白金を含む最外層に近い丸である。なお、同じ模様の丸は同じ元素の原子であることを示す。
まず、パラジウム合金微粒子を準備する(S1)。パラジウム合金微粒子の表面10は、パラジウム原子1及びパラジウム以外の金属原子2が混在している。
次に、少なくともパラジウム合金微粒子表面に露出した金属のうち、パラジウム以外の金属を選択的に溶出させる(S2)。本工程において、少なくともパラジウム合金微粒子表面からはパラジウム以外の金属原子2は除去される。しかし、この状態のままでは、パラジウム粒子表面の凹凸が多く、微小な凸部が数多く生じるため、パラジウムが溶出しやすくなるおそれがある。
したがって、次の工程において、単体のパラジウムのみからなる中間層を電気化学的に堆積させる(S3)。凹部分に優先的に析出する結果、パラジウム合金微粒子の表面10に、単体のパラジウムのみからなる中間層20が形成される。
続いて、中間層20の表面に単原子層30を形成する(S4)。具体例としては、Cu−UPD法によって形成された銅原子3からなる銅原子層が挙げられる。
最後に、単原子層30を、白金原子4を含む最外層40に置換し、本発明に係る触媒微粒子が完成する(S5)。
このように、パラジウム中間層を設けることで、最外層の白金がより安定に存在できる結果、最外層の白金により中心粒子を完全に被覆でき、触媒微粒子の耐久性と性能を向上させることができる。また、触媒微粒子表面に凹凸がなくなるため、耐久性が向上する。触媒微粒子の耐久性の向上とは、すなわち、パラジウム合金微粒子がより溶解し難くなるということである。また、触媒微粒子の性能の向上とは、触媒微粒子の酸素還元反応(ORR:Oxygen Reduction Reaction)活性が向上するということである。
2−4.その他の工程
白金を含む最外層を形成した後は、触媒微粒子のろ過・洗浄、乾燥及び粉砕を行ってもよい。
触媒微粒子のろ過・洗浄は、製造された微粒子の層構造を損なうことなく、不純物を除去できる方法であれば特に限定されない。当該ろ過・洗浄の例としては、純水を溶媒にして、ろ紙(Whatman社製、#42)等を用いて吸引ろ過して分離する方法が挙げられる。
触媒微粒子の乾燥は、溶媒等を除去できる方法であれば特に限定されない。当該乾燥の例としては、60〜100℃の温度条件下、10〜20時間真空乾燥する方法が挙げられる。
触媒微粒子の粉砕は、固形物を粉砕できる方法であれば特に限定されない。当該粉砕の例としては、乳鉢等を用いた粉砕や、ボールミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル等のメカニカルミリングが挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
1.触媒微粒子の作製
[実施例1]
まず、カーボン担体に担持されたパラジウム−銅合金を準備した。次に、カーボン担体に担持されたパラジウム−銅合金、電解質の1種であるナフィオン(商品名)、及びエタノール水溶液を混合し、カーボン担体に担持されたパラジウム−銅合金ペーストを調製した。続いて、図4に示した装置を用意した。セル中の作用極61としては、上記ペーストが塗工されたグラッシーカーボン電極を使用した。またセル中には、銅溶液64の代わりに、0.1mol/L HClO溶液を加えた。
まず、窒素又はアルゴン雰囲気下、電位0.05V〜1.2V(vs RHE)の範囲で、掃引速度1mV/secにて電位サイクルを40回かけた。このことにより、作用極上のパラジウム−銅合金粒子の表面の銅を溶解させた。
次に、0.1mol/L HClO溶液を、パラジウム飽和0.5mol/L硫酸溶液に交換した。窒素又はアルゴン雰囲気下、電位0.8V(vs RHE)から0.5Vまで掃引速度0.1mV/secにて掃引した後、約0.5V(vs RHE)で電位を固定した。このことにより、作用極上のパラジウム−銅合金粒子の表面にパラジウムを析出させ、パラジウムのみからなる中間層を形成させた。
続いて、パラジウム飽和0.5mol/L硫酸溶液を、0.05mol/L CuSOと0.05mol/L HSOの混合溶液に交換した。窒素又はアルゴン雰囲気下、電位0.8V(vs RHE)から0.4Vまで掃引速度0.1mV/secにて掃引した後、約0.4V(vs RHE)で電位を固定した。このことにより、パラジウムのみからなる中間層の表面に銅単原子層を析出させた。
最後に、セルから作用極を取り出し、窒素又はアルゴン雰囲気下、白金(II)イオンの飽和溶液に5分間浸漬させた。このことにより、銅単原子層を白金単原子層に置換し、実施例1の触媒微粒子が完成した。
[比較例1]
まず、カーボン担体に担持されたパラジウム−銅合金を準備した。次に、カーボン担体に担持されたパラジウム−銅合金、電解質の1種であるナフィオン(商品名)、及びエタノール水溶液を混合し、カーボン担体に担持されたパラジウム−銅合金ペーストを調製した。次に、図4に示した装置を用意した。セル中の作用極61としては、上記ペーストが塗工されたグラッシーカーボン電極を使用した。またセル中には、0.05mol/L CuSOと0.05mol/L HSOの混合溶液を加えた。窒素又はアルゴン雰囲気下、電位0.8V(vs RHE)から0.4Vまで掃引速度0.1mV/secにて掃引した後、約0.4V(vs RHE)で電位を固定した。このことにより、パラジウム−銅合金粒子の表面に銅単原子層を析出させた。
最後に、セルから作用極を取り出し、窒素又はアルゴン雰囲気下、白金(II)イオンの飽和溶液に5分間浸漬させた。このことにより、銅単原子層を白金単原子層に置換し、比較例1の触媒微粒子が完成した。
[比較例2]
市販品の固体高分子形燃料電池用電極触媒(田中貴金属工業株式会社製、商品名:TEC10E50E)を、比較例2の触媒微粒子とした。
2.触媒微粒子の評価
以下の方法により、実施例1、並びに比較例1及び比較例2の触媒微粒子について電気化学測定を行い、白金質量活性を算出した。
まず、上記実施例1、又は、比較例1若しくは比較例2の触媒微粒子と、電解質の1種であるナフィオン(商品名)、及びエタノール水溶液を混合しペーストを調製した。次に、図4に示した装置を用意した。セル中の作用極61としては、上記ペーストが塗工されたグラッシーカーボン電極を使用した。またセル中には、銅溶液64の代わりに、0.1mol/L HClO溶液を加えた。
電気化学測定は以下の(i)及び(ii)の条件で行った。(i)酸素雰囲気下、電位1.05V(vs RHE)から0.1V(vs RHE)まで、掃引速度10mV/secにて掃引した。(ii)電位が0.1V(vs RHE)となった後、電位1.05V(vs RHE)まで掃引速度10mV/secにて掃引し、電位を戻した。
上記(ii)の場合における、電位0.9V(vs RHE)の電流値をA(A)、0.1〜0.2V(vs RHE)の電流値(限界電流)をB(A)、グラッシーカーボン電極上の白金質量をD(g)とすると、白金質量活性C(A/g−Pt)は、以下の式(1)で表すことができる。
C={(A×B)/(B−A)}/D 式(1)
図2は、実施例1、並びに、比較例1及び比較例2の触媒微粒子についての電気化学測定結果を示すサイクリックボルタモグラムの一部である。また、下記表1は、実施例1、並びに比較例1及び2の触媒微粒子の白金質量活性をまとめた表である。
Figure 0005510462
上記表1より、比較例2の触媒微粒子と比べて、比較例1の触媒微粒子は白金質量活性が3倍高いことが分かる。これは、比較例1の触媒微粒子が、パラジウム微粒子を中心粒子として備えることから、従来の白金担持カーボンと比較して、より少ない質量の白金しか使用されず、白金の単位質量当たりの活性が高いためである。また、白金とパラジウムとの相互作用により、最外層の白金の比活性が向上していることも理由として挙げられる。
上記表1より、比較例1の触媒微粒子と比べると、実施例1の触媒微粒子は白金質量活性がさらに4倍高いことが分かる。これは、単体パラジウムのみからなる中間層が存在することにより、活性がさらに高くなることを示す。その理由としては、当該中間層が、中心粒子に対する白金最外層の被覆率向上に寄与し、電気化学的表面積(ECSA:Elecrtrochemical Surface Area)が向上した結果、触媒微粒子表面の活性サイトが増えたためである。
1 パラジウム原子
2 パラジウム以外の金属原子
3 銅原子
4 白金原子
5 切頂八面体の辺
6 切頂八面体の頂点
10 パラジウム合金微粒子の表面
20 単体のパラジウムのみからなる中間層
30 単原子層
40 最外層
50 切頂八面体
60 CVセル
61 作用極
62 対極
63 参照極
64 銅溶液
65 窒素導入管
66 窒素の気泡

Claims (10)

  1. パラジウム合金を含む中心粒子と、白金を含む最外層を備える燃料電池用電極触媒微粒子であって、
    前記中心粒子と前記最外層との間に、単体のパラジウムのみからなる中間層を備えることを特徴とする、燃料電池用電極触媒微粒子。
  2. 前記中間層が、前記中心粒子のエッジ部に位置する部分を除き、凹凸を実質的に有さない層である、請求項1に記載の燃料電池用電極触媒微粒子。
  3. 前記パラジウム合金が、パラジウムと、パラジウムよりも標準電極電位の低い金属材料を含む合金である、請求項1又は2に記載の燃料電池用電極触媒微粒子。
  4. 前記パラジウム合金が、銅、コバルト、鉄、ニッケル、銀及びマンガンからなる群から選ばれる金属材料、並びにパラジウムを含む合金である、請求項1又は2に記載の燃料電池用電極触媒微粒子。
  5. 前記中間層の厚さが0.2〜1.4nmである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の燃料電池用電極触媒微粒子。
  6. 担体に担持されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の燃料電池用電極触媒微粒子。
  7. パラジウム合金を含む中心粒子と、白金を含む最外層を備える燃料電池用電極触媒微粒子の製造方法であって、
    パラジウム合金微粒子を準備する工程、
    少なくとも前記パラジウム合金微粒子表面に露出した金属のうち、パラジウム以外の金属を選択的に溶出させる工程、
    パラジウム以外の金属を選択的に溶出させた後の前記パラジウム合金微粒子表面のうち、少なくとも当該溶出した部位に、単体のパラジウムのみからなる中間層を電気化学的に堆積させる工程、
    前記中間層の表面に単原子層を形成する工程、及び、
    前記単原子層を、白金を含む前記最外層に置換する工程を有することを特徴とする、燃料電池用電極触媒微粒子の製造方法。
  8. 前記パラジウム合金微粒子が、パラジウムと、パラジウムよりも標準電極電位の低い金属材料を含む合金微粒子である、請求項7に記載の燃料電池用電極触媒微粒子の製造方法。
  9. 前記パラジウム合金微粒子が、銅、コバルト、鉄、ニッケル、銀及びマンガンからなる群から選ばれる金属材料、並びにパラジウムを含む合金微粒子である、請求項7に記載の燃料電池用電極触媒微粒子の製造方法。
  10. 前記パラジウム合金微粒子が担体に担持されている、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の燃料電池用電極触媒微粒子の製造方法。
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