JP5660612B2 - グロープラグ先端温度推定方法及びグロープラグ駆動制御装置 - Google Patents
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Description
このため、例えば、グロープラグの先端部に熱電対を内蔵し、先端部分の温度を直接取得可能にし、エンジン制御に供するようにした装置や、通電時のグロープラグの抵抗値からグロープラグの先端温度を推定する方法などが種々提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
また、従来のグロープラグの抵抗値からグロープラグの先端温度を推定する方法にあっては、エンジンの負荷や回転数に応じてグロープラグ周辺の伝熱環境が変化することによってグロープラグの抵抗値に少なからず影響を与えるため、推定精度は必ずしも十分ではないという問題がある。
実測されたグロープラグの抵抗値と、前記グロープラグの電気的特性に基づいて定められた定数との乗算結果を、所定のヒーター基準点温度を基に求められたオフセットにより補正し、当該補正結果を前記グロープラグの先端推定温度とし、
前記所定のヒーター基準点温度は、前記グロープラグの発熱体のアースに接続される負極側が接続された金属製外筒の計測温度であって、
前記金属製外筒は、前記発熱体が内部に埋設されてなるセラミックスヒータの外周面に取着された負極側金属取り出し部材が電気的に接続され、前記負極側金属取り出し部材は、前記発熱体の負極側が接続されてなるものである。
また、上記本発明の目的を達成するため、本発明に係るグロープラグ駆動制御装置は、
グロープラグの駆動制御を実行する演算制御部と、
前記演算制御部により実行されるグロープラグの駆動制御に応じて、前記グロープラグの通電を行う通電駆動回路とを具備してなるグロープラグ駆動制御装置であって、
前記演算制御部は、前記グロープラグの通電電流と前記グロープラグへの印加電圧とに基づいて、前記グロープラグの抵抗値を演算算出し、当該算出されたグロープラグの抵抗値と前記グロープラグの電気的特性に基づいて予め定められ定数との乗算を行う一方、
所定のヒーター基準点温度を入力し、前記ヒーター基準点温度から所定のオフセット演算式によりオフセットを算出し、当該オフセットにより前記乗算結果を補正して前記グロープラグの先端の推定温度を算出するよう構成されてなり、
前記所定のヒーター基準点温度は、前記グロープラグの発熱体のアースに接続される負極側が接続された金属製外筒の計測温度であって、
前記金属製外筒は、前記発熱体が内部に埋設されてなるセラミックスヒータの外周面に取着された負極側金属取り出し部材が電気的に接続され、前記負極側金属取り出し部材は、前記発熱体の負極側が接続されてなるものである。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態におけるグロープラグの構成例について、図1及び図2を参照しつつ説明する。
図1及び図2に示されたグロープラグ1は、セラミックス型グロープラグの構成例であり、その基本的な構成は従来から知られているものと基本的に同一のものであり、以下、概略的に説明することとする。
本発明の実施の形態におけるセラミックスヒータ2は、薄膜型発熱体一層タイプと称される構成のものである。すなわち、セラミックスヒータ2は、セラミックス絶縁体2aの内部に発熱体7が埋設されてなるもので、その発熱体7の負極側は、負極側セラミックリード部8a、負極側金属リード部9aを介して、セラミックス絶縁体2aの外周面に取着された負極側金属取り出し部材10aに電気的に接続されて取り出され(図2参照)、この負極側金属取り出し部材10aは、金属製外筒3に電気的に接続されたものとなっている。
この正極側電極取り出し部材10bは、導電性部材からなる電極取り出し線4、電極取り出しロッド5、及び、外部接続端子6を介して、ハウジング11の後端部側から突出する外部接続端子6のネジ部6aが、図示されないバッテリに接続されるようになっている(図1参照)。
本発明の実施の形態におけるGCU100は、通電駆動回路21と、計測回路22と、演算制御部(図4においては「CPU」と表記)23とに大別されて構成されたものとなっている。
通電駆動回路21は、通電制御用半導体素子31と、抵抗器32とを主たる構成要素として、グロープラグ1の通電制御を行うよう構成されたものとなっている。
そして、グロープラグ1の発熱体7の負極側が接続されている金属製外筒3(図1参照)に設けられた発熱体負極接続部3aは、アースに接続されたものとなっている。
演算増幅器33には、抵抗器32の両端の電圧が入力されるようになっており、その出力電圧は、アナログ・ディジタル変換器34によりディジタル値として演算制御部23に入力されるようになっている。
演算制御部23においては、所定の演算式により、上述のようにディジタル入力された抵抗器32における電圧降下の値を、抵抗器32の抵抗値で除し、その除算結果を、グロープラグ1に流れる電流として、適宜な記憶領域に記憶されるものとなっている。
かかる演算制御部23には、第2のアナログ・ディジタル変換器(図3においては「A/D(2)」と表記)35を介して、熱電対36の出力が入力され、後述するグロープラグ先端温度推定処理に供されるようになっている。
まず、前提として、GCU100においては、従来と同様に、グロープラグ1の通電駆動制御処理が実行されるものとなっている。かかる通電駆動制御処理は、図示されないエンジンの駆動状態に応じて、グロープラグ1の通電を制御、換言すれば、通電制御用半導体素子31の導通、非導通を制御するものである。この通電駆動制御処理において、通電制御用半導体素子31の導通、非導通は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって行われるものとなっている。
すなわち、グロープラグ1の抵抗値Rgは、演算制御部23により、Rg=(VB−Vr)÷(Vr÷R)と演算算出されるものとなっている。
ここで、VBは車両バッテリ25の電圧、Vrは抵抗器32における電圧降下、Rは抵抗器32の抵抗値である。また、かかる演算式は、通電制御用半導体素子31における電圧降下を無視できることを前提としたものである。
なお、抵抗器32における電圧降下Vrは、計測回路22を介して取得されるものである。
ここで、ヒーター基準点温度は、後述するグロープラグ先端温度算出処理(図4のステップS110参照)において用いられるオフセット量を定めるパラメータとして必要とされるものである。
具体的には、本発明の実施の形態におけるヒーター基準点温度は、先に説明した負極側電極取り出し部材10aと接続されている発熱体負極接続部3a(図3参照)の温度とされており、かかる部位には、熱電対36(図3参照)が取着されており、その温度が演算制御部23に測定可能とされている。
かかるヒーター基準点温度は、発熱体負極接続部3aに限定されるものではなく、グロープラグ1の他の任意の部位としても勿論良いものである。例えば、発熱体負極接続部3a以外の金属製外筒3の適宜な部位が好適である。
まず、本発明の実施の形態において、グロープラグ先端温度Tgは、Tg=Cg×Rg−Koffと算出されるものとなっている。
ここで、Cgはグロープラグ1の電気的特性によって定まる定数であり、より具体的には、グロープラグ1の温度と抵抗の関係を示す定数で、その値は、グロープラグ1を構成する各部品の形状、材質等により定まるものである。
そして、Koffは、オフセット量である。このオフセット量は、上述のグロープラグ先端温度Tgを求める演算式におけるCg×Rgの部分の、ヒーター基準点温度の変化によって生ずるドリフトを相殺する値として定められるものである。本発明に実施の形態において、かかるオフセット量は、ヒーター基準点温度の関数として、回帰計算などによって算出され、定められたものとなっている。
そして、ヒーター基準点温度とオフセット量との関係は、オフセット量算出用テーブルや演算式とされ、演算制御部23の適宜な記憶領域に予め記憶されて、グロープラグ先端温度Tgに用いられるようになっている。
まず、グロープラグ先端温度とグロープラグ抵抗の相関関係はリニアな相関関係、換言すれば、一次関数として表されるが、グロープラグ1自体の温度に応じて、座標平面のY軸方向でドリフトすることを本願発明者は、試験等の結果から導くことができた。
上述のようにして得られたグロープラグ先端温度Tgは、演算制御部23の適宜な記憶領域に記憶され、必要に応じてグロープラグ1の通電制御や燃料噴射制御に供されることとなる。
なお、グロープラグOFFフラグの設定は、先に前提条件とした演算制御部23によって実行される従来同様のグロープラグ通電制御処理において、グロープラグ1の通電の要否が判断され、必要に応じて設定されるものである。
一方、ステップS112において、グロープラグOFFフラグが成立していないと判定された場合(NOの場合)、すなわち、グロープラグ1の通電停止は必要ではないと判定された場合には、先のステップS102へ戻り、一連の処理が繰り返されることとなる。
さらに、ヒーター基準点温度は、熱電対などの直接的な方法によることなく、例えば、車両に従来から取着されている各種センサにより取得された物理量、例えば、エンジン冷却水温、エンジン回転数、吸気量、吸気温度等や、またさらには、各種の検出信号に基づいて演算算出されるEGR率、燃焼圧等を代用し、ヒーター基準点温度に換算して用いるようにしても良い。
グロープラグは、図6に示されたように、セラミック抵抗などによる発熱体によるA部と、金属製のリード線などによるC部と、A部とC部とを接続する部分であるB部との3つに大別できる。
図7において、横軸はグロープラグの先端部(A部側)からの距離であり、右側の縦軸はヒータ回路(A部、B部、及びC部の直列接続により構成される回路)を0.1mm単位のユニットに分解した際の部分抵抗を、左側の縦軸は温度を、それぞれ示すものとなっている。
同図において、実線は、先端温度が1200℃、陰極取り出し部の温度が350℃における部分抵抗分布を、点線は、先端温度が1200℃、陰極取り出し部の温度が250℃における部分抵抗分布を、それぞれ表しており、図7においては、図を見易くするため、2つの特性線は若干離れているが、実際にはほとんど重複している。
グロープラグの長手軸方向における温度分布は、通常、例えば、放射温度計により計測可能であるが、グロープラグをエンジンに取り付けた状態では、そのような計測を行うことは不可能である。
まず、図6に示されたように、特性の異なる材料が先端側から発熱部A、リード部B、リード部Cと直列接続されたヒータ回路を想定した。回路における各部は、仮想的に単一断面積、単位長のユニットであると仮定した。そして、ある部分での通電時の温度をTg、基準となる常温をTr、常温抵抗をRr、抵抗温度係数をCとするとき、部分抵抗Rgは、Rg=Rr{1+C(Tg−Tr)}と表すことができる。すると、このときのヒータ回路全体の抵抗ΣRgは、ΣRg=ΣRra{1+Ca(Tga−Tr)}+ΣRrb{1+Cb(Tgb−Tr)}+ΣRrc{1+Cc(Tgc−Tr)}と表すことができる。
Tgb、TgcがTgaと比べて無視できるほど小さい場合は、ΣRg≒ΣRra{1+Ca(Tga−Tr)}と近似できるが、グロープラグ通電時は、電熱作用があるためTgb、Tgcを無視することはできない。それどころが、エンジンの運転状態によってTgb、Tgcが大きく変化し、ΣRgに対し少なからず影響を及ぼす。一方、Tgbは、エンジンの運転状態によらず、TgaとTgcをつなぐ線上に存在するため、TgcからTgbを推定することは比較的容易である。すなわち、結果として、ΣRgとTgcからTgaを精度良く推定することが可能となる。
同図において、点線の特性線は、基準点温度が275℃〜300℃の範囲にある場合、二点鎖線の特性線は、基準点温度が300℃〜325℃の範囲にある場合、一点鎖線の特性線は、基準点温度が375℃〜400℃の範囲にある場合、実線の特性線は、基準点温度が400℃〜425℃の範囲にある場合、それぞれのグロープラグ抵抗とグロープラグ先端温度との相関関係を表している。
かかる特性に鑑みて、種々試験等を行った結果、本願発明者は、グロープラグ抵抗と基準点の温度が判明していれば、マスターカーブのドリフトを実質的にキャンセルできることを導くに至り、かかる結果に基づき、先に図4において説明したような処理手順によりグロープラグの先端温度を高精度で推定可能としたものである。
なお、図4に示された処理内容と同一であるステップについては、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明することとする。
演算制御部23による処理が開始されると、図4に示された第1の例と同様に、グロープラグ1の通電がなされているか否かが判定され(図5のステップS102参照)、グロープラグ1が通電されていると判定されると、グロープラグ1の抵抗測定が実行される(図5のステップS104参照)。
ここで、センサは、車両に従来から取着されている各種センサが好適であり、例えば、エンジン冷却水温を検出するための水温センサ、エンジン回転数を検出するための回転センサ、吸気量を検出するための吸気センサ等が好適である。
このオフセット量Koffの算出においては、まず、センサ出力値が、所定の変換式を用いてヒーター基準点温度、例えば、発熱体負極接続部3aにおける温度に変換される。ここで、所定の変換式は、センサ出力値とヒーター基準点温度との相関関係についての試験やシミューレーション結果等に基づいて設定されたものである。
そして、グロープラグ先端温度Tgが、Tg=Cg×Rg−Koffとして算出され(図5のステップS110参照)、算出値は、演算制御部23の適宜な記憶領域に記憶され、必要に応じてグロープラグ1の通電制御や燃料噴射制御に供されることとなる。
3…金属製外筒
3a…発熱体負極接続部
7…発熱体
10a…負極側金属取り出し部材
21…通電駆動回路
22…計測回路
23…演算制御部
36…熱電対
Claims (6)
- 実測されたグロープラグの抵抗値と、前記グロープラグの電気的特性に基づいて定められた定数との乗算結果を、所定のヒーター基準点温度を基に求められたオフセットにより補正し、当該補正結果を前記グロープラグの先端推定温度とし、
前記所定のヒーター基準点温度は、前記グロープラグの発熱体のアースに接続される負極側が接続された金属製外筒の計測温度であって、
前記金属製外筒は、前記発熱体が内部に埋設されてなるセラミックスヒータの外周面に取着された負極側金属取り出し部材が電気的に接続され、前記負極側金属取り出し部材は、前記発熱体の負極側が接続されてなることを特徴とするグロープラグ先端温度推定方法。 - 前記金属製外筒の計測温度である前記ヒーター基準点温度に代えて、車両に搭載された所定のセンサ出力と前記ヒーター基準点温度との相関関係に基づいて求められる前記センサの出力に対応する前記ヒーター基準点温度を用いることを特徴とする請求項1記載のグロープラグ先端温度推定方法。
- 前記オフセットは、実測されたグロープラグの抵抗値と、前記グロープラグの電気的特性に基づいて定められた定数の乗算結果に生ずる前記ヒーター基準点温度の変化によるドリフトを相殺する値であって、前記ヒーター基準点温度の関数として算出されるよう定められた演算式によって求められることを特徴とする請求項1、又は、請求項2記載のグロープラグ先端温度推定方法。
- グロープラグの駆動制御を実行する演算制御部と、
前記演算制御部により実行されるグロープラグの駆動制御に応じて、前記グロープラグの通電を行う通電駆動回路とを具備してなるグロープラグ駆動制御装置であって、
前記演算制御部は、前記グロープラグの通電電流と前記グロープラグへの印加電圧とに基づいて、前記グロープラグの抵抗値を演算算出し、当該算出されたグロープラグの抵抗値と前記グロープラグの電気的特性に基づいて予め定められ定数との乗算を行う一方、
所定のヒーター基準点温度を入力し、前記ヒーター基準点温度から所定のオフセット演算式によりオフセットを算出し、当該オフセットにより前記乗算結果を補正して前記グロープラグの先端の推定温度を算出するよう構成されてなり、
前記所定のヒーター基準点温度は、前記グロープラグの発熱体のアースに接続される負極側が接続された金属製外筒の計測温度であって、
前記金属製外筒は、前記発熱体が内部に埋設されてなるセラミックスヒータの外周面に取着された負極側金属取り出し部材が電気的に接続され、前記負極側金属取り出し部材は、前記発熱体の負極側が接続されてなることを特徴とするグロープラグ駆動制御装置。 - 前記演算制御部は、前記金属製外筒の計測温度である前記ヒーター基準点温度に代えて、車両に搭載された所定のセンサ出力と前記ヒーター基準点温度との相関関係に基づいて、前記センサ出力に対応する前記ヒーター基準点温度を算出し、当該算出値を用いるよう構成されてなることを特徴とする請求項4記載のグロープラグ駆動制御装置。
- 前記オフセット演算式は、実測されたグロープラグの抵抗値と、前記グロープラグの電気的特性に基づいて定められた定数の乗算結果に生ずる前記ヒーター基準点温度の変化によるドリフトを相殺する値が、前記ヒーター基準点温度の関数として算出されるよう定められてなるものであることを特徴とする請求項4、又は、請求項5記載のグロープラグ駆動制御装置。
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