JP3810744B2 - グロープラグ通電制御装置及びグロープラグ通電制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の始動を補助するグロープラグへの通電を制御するグロープラグ通電制御装置及びグロープラグ通電制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
グロープラグは、抵抗発熱ヒータを用いるものが一般的である。このグロープラグは、抵抗発熱ヒータを主体金具を取り付けて構成され、抵抗発熱ヒータの先端が燃焼室内に位置するように、ディーゼルエンジンのエンジンブロックに取り付けて使用される。
このようなグロープラグへの通電を制御する装置として、グロープラグ通電制御装置が知られている。従来のグロープラグ通電制御装置では、キースイッチがオン位置とされると、抵抗発熱ヒータの温度がエンジンを始動させるのに十分な第1目標温度(例えば1000℃)に向けて上昇するように、グロープラグへの通電を制御して、グロープラグに大電力を供給する。このようなステップは、一般にプリグローやプリグローステップなどと呼ばれている。急速加熱が可能なグロープラグでは、数秒間のうちに抵抗発熱ヒータの温度を第1目標温度まで昇温させることができる。次に、抵抗発熱ヒータの温度が第1目標温度に達した後は、所定期間中(例えば180秒間)、抵抗発熱ヒータの温度が第2目標温度(例えば900℃)を維持するように、グロープラグへの通電を制御して、グロープラグに小電力を供給する。このようなステップは、一般にアフターグローやアフターグローステップなどと呼ばれている。エンジン始動前は、エンジンをいつでも始動できるように、抵抗発熱ヒータの温度を十分に高い温度に維持すると共に、エンジン始動後は、エンジンの燃焼室内の暖気を促進させ、また、ディーゼルノックの発生を防止し、騒音や白煙の発生、HC成分の排出などを抑制することができる。
このような技術に関連する文献として、例えば、特許文献1及び特許文献2が挙げられる。
【0003】
【特許文献1】
特開昭56−129763号公報
【特許文献2】
特開昭60−67775号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のグロープラグ通電装置では、プリグローステップからアフターグローステップに移行した直後に、一旦、抵抗発熱ヒータの温度が維持すべき第2目標温度よりも落ち込んでしまう現象がみられた。これは、プリグローステップで抵抗発熱ヒータの温度が第1目標温度に達しても、エンジンブロックや主体金具など抵抗発熱ヒータの周辺の温度が低く、これらがまだ定常状態に達していないために、抵抗発熱ヒータの温度がこれらに大きく奪われてしまうことに起因するものと考えられる。このように抵抗発熱ヒータの温度が落ち込んだ状態では、キースイッチをスタート位置としてクランキングを開始しても、エンジンが始動しにくい。
【0005】
また、アフターグローステップ中に、キースイッチがスタート位置とされ、エンジンのクランキングが開始されると、この場合も、抵抗発熱ヒータの温度が維持すべき第2目標温度よりも落ち込んでしまうという現象がみられた。これは、第1に、燃焼噴霧やスワールなどの外的な要因により、抵抗発熱ヒータが冷却されることに起因するものと考えられる。また、第2に、クランキング中は、クランキングに過大な電力が必要とされるために、バッテリの電圧が著しく低下することに起因するものと考えられる。特に、アフターグローステップに移行した直後では、上記のように抵抗発熱ヒータからその周囲への熱引きも生じるため、抵抗発熱ヒータの温度が著しく低下し、エンジンの始動性に劣るという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、プリグローステップ終了後に抵抗発熱ヒータの温度が落ち込むのを防止し、エンジンの始動性を向上させることができるグロープラグ制御装置及びグロープラグ通電制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
その解決手段は、キースイッチがオン位置及びスタート位置とされたときに、バッテリからエンジンに設置された抵抗発熱ヒータを有するグロープラグへの通電を制御するグロープラグ通電制御装置であって、上記キースイッチが上記オン位置とされたときに、上記抵抗発熱ヒータの温度が急速昇温するように、上記グロープラグへの通電を制御するプリグロー手段と、上記プリグロー手段による通電制御に続いて、上記バッテリから上記グロープラグに印加される電圧値に基づいて、上記グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Dhを算出し、このデューティ比Dhにより上記グロープラグへの通電をPWM制御する遷移グロー手段と、上記遷移グロー手段による通電制御中に、上記キースイッチが上記スタート位置とされ上記エンジンのクランキングが開始されたときに、上記クランキングの期間中、上記バッテリから上記グロープラグに印加される電圧値に基づいて、上記グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Dkを算出するクランキンググロー手段であって、上記遷移グロー手段による制御期間における上記バッテリの電圧値が、このクランキンググロー手段による制御期間における上記バッテリの電圧値と同一であると仮定したときに、上記遷移グロー手段で算出される仮想デューティ比Dhhよりも大きいデューティ比Dkにより、上記グロープラグへの通電をPWM制御するクランキンググロー手段と、上記エンジンの始動後、上記プリグロー手段により上記グロープラグへ供給する電力よりも小さい電力を上記グロープラグへ供給し、上記抵抗発熱ヒータの安定加熱を図る始動後グロー手段と、を備えるグロープラグ通電制御装置である。
【0008】
本発明によれば、グロープラグ通電制御装置は、4つの手段、即ち、プリグロー手段と遷移グロー手段とクランキンググロー手段と始動後グロー手段とを備える。
このうち、プリグロー手段は、キースイッチがオン位置とされたときに、抵抗発熱ヒータの温度が急速昇温するように、グロープラグへの通電を制御するものである。このような手段を持つことにより、キースイッチがオン位置とされたときに、他の手段よりも、平均電力を大きく設定してグロープラグへの通電を行うことができる。従って、抵抗発熱ヒータの温度を効率よく昇温させることができる。なお、プリグロー手段には、バッテリ電圧に拘わらず所定時間グロープラグへ連続通電するものや、後述するように、グロープラグへ投入した積算電力量が第1目標温度に対応する所定値となるまでグロープラグへ通電するものがある。いずれにしても、このプリグロー手段による制御によって、抵抗発熱ヒータの温度を第1目標温度またはその付近まで上昇させる。
【0009】
遷移グロー手段は、プリグロー手段による通電制御に続いて、バッテリからグロープラグに印加される電圧値に基づいて、グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Dhを算出し、このデューティ比Dhによりグロープラグへの通電をPWM制御するものである。前述したように、従来は、プリグローステップからアフターグローステップに移行した直後に、抵抗発熱ヒータから周囲への熱引きにより、一旦、抵抗発熱ヒータの温度が落ち込むという問題があった。これに対し、本発明では、遷移グロー手段を別途設け、グロープラグへの通電をPWM制御する。即ち、プリグロー手段による通電制御後に、抵抗発熱ヒータからその周囲への熱引きが生じることも見込んで、グロープラグへの通電を制御する。しかも、PWM制御は、デューテイ比Dhによりグロープラグへの投入電力を簡単に調整できる利点がある。従って、抵抗発熱ヒータの温度の落ち込みを防止し、エンジンの始動性を向上させることができる。なお、各々の受電電圧に応じたデューティ比Dhを予め定めておけば、制御形態を簡単なものとすることができる。
【0010】
クランキンググロー手段は、遷移グロー手段による通電制御中に、キースイッチがスタート位置とされエンジンのクランキングが開始されたときに、クランキングの期間中、バッテリからグロープラグに印加される電圧値に基づいて、グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Dkを算出するものである。また、この手段は、遷移グロー手段による制御期間におけるバッテリの電圧値が、この手段による制御期間におけるバッテリの電圧値と同一であると仮定したときに、遷移グロー手段で算出される仮想デューティ比Dhhよりも大きいデューティ比Dkにより、グロープラグへの通電をPWM制御するものである。前述したように、従来の通電制御装置では、クランキング中、燃焼噴霧やスワールなどの外的な要因やクランキングによるバッテリ電圧の低下により、抵抗発熱ヒータの温度が、遷移グロー手段による制御期間中よりもさらに落ち込むという問題があった。これに対し、本発明では、クランキンググロー手段を別途設け、グロープラグへの通電をPWM制御する。即ち、クランキング期間中に起こる抵抗発熱ヒータの温度低下をも見込んで、グロープラグへの通電を制御する。具体的には、クランキンググロー手段で算出されるデューティ比Dkを、代わりに遷移グロー手段による制御をした場合に算出される仮想デューティ比Dhhよりも大きくして、グロープラグへの通電を制御する。しかも、PWM制御は、デューテイ比Dkによりグロープラグへの投入電力を簡単に調整できる利点がある。従って、クランキング期間中であっても、抵抗発熱ヒータの温度の落ち込みを防止し、エンジンの始動性を向上させることができる。なお、各々の受電電圧に応じたデューティ比Dkを予め定めておけば、制御形態を簡単なものとすることができる。
【0011】
始動後グロー手段は、エンジンの始動後、プリグロー手段によりグロープラグへ供給する電力よりも小さい電力をグロープラグへ供給し、抵抗発熱ヒータの安定加熱を図るものである。このような手段により、エンジン始動後も抵抗発熱ヒータの温度を安定に加熱できるので、エンジンの燃焼室内の暖気を促進させ、また、ディーゼルノックの発生を防止し、騒音や白煙の発生、HC成分の排出などを抑制することができる。
【0012】
さらに、上記のグロープラグ通電制御装置であって、前記プリグロー手段は、前記グロープラグへ投入した積算電力量が第1目標温度に対応する所定値となるまで、上記グロープラグへの通電を制御するグロープラグ通電制御装置とすると良い。
【0013】
プリグロー手段による制御としては、予め設定した所定時間グロープラグへの通電を行うことにより、抵抗発熱ヒータの温度を第1目標温度まで上昇させることが考えられる。しかし、バッテリ電圧は必ずしも一定ではないため、抵抗発熱ヒータの予熱不足や予熱過剰が生じやすい。予熱不足の場合には、エンジンの始動性に影響を及ぼし、他方、予熱過剰の場合には、抵抗発熱ヒータの寿命低下や断線、溶損など不具合が生じやすくなる。これに対し、本発明のプリグロー手段は、グロープラグへの積算電力量が第1目標温度に対応する所定値となるまで、グロープラグへの通電を制御する。このように積算電力量で制御すれば、抵抗発熱ヒータの温度をより正確に第1目標温度まで上昇させることできるため、抵抗発熱ヒータの予熱不足や予熱過剰を効果的に抑制することができる。
【0014】
さらに、上記のいずれかに記載のグロープラグ通電制御装置であって、前記プリグロー手段は、その制御期間中、前記グロープラグへ連続通電を行うグロープラグ通電制御装置とすると良い。
【0015】
本発明によれば、プリグロー手段は、グロープラグへ連続通電を行う。このように連続通電をすることで、より効率よく短時間で、抵抗発熱ヒータの温度を第1目標温度に向けて昇温させることができる。
【0016】
さらに、上記のいずれかに記載のグロープラグ通電制御装置であって、前記遷移グロー手段は、この遷移グロー手段による通電制御が開始されてから所定時間内に前記キースイッチが前記スタート位置とされないときには、前記グロープラグへの通電を停止するグロープラグ通電制御装置とすると良い。
【0017】
本発明によれば、遷移グロー手段は、これによる通電制御が開始されてから所定時間内にキースイッチがスタート位置とされないときには、グロープラグへの通電を停止する。長時間遷移グロー手段による通電制御を続けると、グロープラグへの負担が大きくなり、また、バッテリ上がりも起こりやすい。一方、キースイッチがオン位置とされてから長時間経過した場合には、操作者にエンジンを始動させる意思がないものと考えられる。そこで、本発明のように所定時間経過後グロープラグへの通電を停止することにより、グロープラグやバッテリを保護することができる。
【0018】
さらに、上記のいずれかに記載のグロープラグ通電制御装置であって、前記始動後グロー手段は、前記抵抗発熱ヒータの温度が第2目標温度となり、これを維持するように、前記グロープラグへの通電を制御するグロープラグ通電制御装置とすると良い。
【0019】
本発明によれば、始動後グロー手段は、抵抗発熱ヒータの温度が第2目標温度となり、これを維持するように、グロープラグへの通電を制御する。これにより、エンジン始動後も抵抗発熱ヒータの温度を第2目標温度とし、これを維持できるので、より効果的に、エンジンの燃焼室内の暖気を促進させ、また、ディーゼルノックの発生を防止し、騒音や白煙の発生、HC成分の排出などを抑制することができる。
【0020】
さらに、上記のグロープラグ通電制御装置であって、前記始動後グロー手段は、前記抵抗発熱ヒータの抵抗値に基づいて、前記グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Daを算出し、このデューティ比Daにより上記グロープラグへの通電をPWM制御するグロープラグ通電制御装置とすると良い。
【0021】
本発明によれば、始動後グロー手段は、抵抗発熱ヒータの抵抗値に基づいて、グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Daを算出し、これによりグロープラグへの通電をPWM制御する。PWM制御は、デューテイ比によりグロープラグへの投入電力を簡単に調整できる利点がある。ここで、始動後グロー手段による制御期間中は、燃焼噴霧やスワールなどの外的な要因により、抵抗発熱ヒータの温度が低下することがあるため、これを見込んで抵抗発熱ヒータを安定加熱する必要がある。一方、始動後グロー手段による制御期間中における抵抗発熱ヒータの抵抗値は、その温度に対応した定常状態にあるので、即ち、抵抗発熱ヒータの抵抗値とその温度との間で相関があるので、その抵抗値に基づいて算出したデューティ比Daを利用すれば、ヒータ温度をより正確に第2目標温度とし、これを安定に維持することができる。なお、各々の抵抗値に応じたデューティ比Daを予め定めておけば、簡単な制御形態により、ヒータ温度を制御することができる。
【0022】
さらに、上記のグロープラグ通電制御装置であって、前記始動後グロー手段は、前記グロープラグの現在の抵抗値をR、前記抵抗発熱ヒータの温度が前記第2目標温度となったときの抵抗値をRt、上記グロープラグへの印加電圧をVbとし、誤差ΔRを、ΔR=Rt−Rで与え、制御実効電圧値Vcを、Vc=K0+K1ΔR+K2∫ΔRdtで与えたとき、前記デューティ比Daを、Da=Vc2/Vb2 に従って算出する算出手段を有するグロープラグ通電制御装置とするのが好ましい。
【0023】
本発明によれば、始動後グロー手段は、抵抗発熱ヒータの抵抗値の誤差ΔRを、ΔR=Rt−Rで与え、制御実効電圧値Vcを、Vc=K0+K1ΔR+K2∫ΔRdtで与えたとき、デューティ比Daを、Da=Vc2/Vb2 に従って算出する算出手段を有する。このようにしてデューティ比Daを算出し、グロープラグへの通電を制御すれば、始動後グロー手段による制御中の抵抗発熱ヒータの温度をより正確に第2目標温度とし、これをより安定に維持することができる。なお、K0 、K1 、K2 は係数を示すものである。
【0024】
さらに、上記のいずれかに記載のグロープラグ通電制御装置であって、前記プリグロー手段による通電制御中に前記キースイッチが前記スタート位置とされ前記エンジンのクランキングが開始されたとき、上記プリグロー手段による通電制御終了を待って、前記クランキンググロー手段による通電制御に移行させるプリグロー優先手段を備えるグロープラグ通電制御装置とするのが好ましい。
【0025】
プリグロー手段による通電制御中にクランキンググロー手段による通電制御が開始されると、バッテリ電圧の低下に伴いグロープラグへの印加電圧が低下するため、抵抗発熱ヒータが十分に加熱されず、エンジンの始動性が低下することがある。これに対し、本発明では、プリグロー手段による通電制御中にキースイッチがスタート位置とされエンジンのクランキングが開始されたときには、プリグロー手段による通電制御終了を待ってから、クランキンググロー手段による通電制御に移行させるプリグロー優先手段を備える。このため、プリグロー手段による通電制御が終了し、抵抗発熱ヒータが十分に昇温してから、クランキンググロー手段による通電制御がなされるので、エンジンを確実に始動させることができる。
【0026】
また、他の解決手段は、キースイッチがオン位置及びスタート位置とされたときに、バッテリからエンジンに設置された抵抗発熱ヒータを有するグロープラグへの通電を制御するグロープラグ通電制御方法であって、上記キースイッチが上記オン位置とされたときに、上記抵抗発熱ヒータの温度が急速昇温するように、上記グロープラグへの通電を制御するプリグローステップと、上記プリグローステップに続いて、上記バッテリから上記グロープラグに印加される電圧値に基づいて、上記グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Dhを算出し、このデューティ比Dhにより上記グロープラグへの通電をPWM制御する遷移グローステップと、上記遷移グローステップ中に、上記キースイッチが上記スタート位置とされ上記エンジンのクランキングが開始されたときに、上記クランキングの期間中、上記バッテリから上記グロープラグに印加される電圧値に基づいて、上記グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Dkを算出するクランキンググローステップであって、上記遷移グローステップにおける上記バッテリの電圧値が、このクランキンググローステップにおける上記バッテリの電圧値と同一であると仮定したときに、上記遷移グローステップで算出される仮想デューティ比Dhhよりも大きいデューティ比Dkにより、上記グロープラグへの通電をPWM制御するクランキンググローステップと、上記エンジンの始動後、上記プリグローステップで上記グロープラグへ供給する電力よりも小さい電力を上記グロープラグへ供給し、上記抵抗発熱ヒータの安定加熱を図る始動後グローステップと、を備えるグロープラグ通電制御方法である。
【0027】
本発明のグロープラグ通電制御方法は、4つのステップ、即ち、プリグローステップと遷移グローステップとクランキンググローステップと始動後グローステップとを備える。
このうち、プリグローステップでは、キースイッチがオン位置とされたときに、抵抗発熱ヒータの温度が急速昇温するように、グロープラグへの通電を制御する。このようなステップを有することにより、キースイッチがオン位置とされたときに、他のステップよりも、平均電力を大きく設定してグロープラグへの通電を行うことができる。従って、抵抗発熱ヒータの温度を効率よく昇温させることができる。
【0028】
遷移グローステップでは、プリグローステップに続いて、バッテリからグロープラグに印加される電圧値に基づいて、グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Dhを算出し、このデューティ比Dhによりグロープラグへの通電をPWM制御する。前述したように、従来は、プリグローステップからアフターグローステップに移行した直後に、抵抗発熱ヒータから周囲への熱引きにより、一旦、抵抗発熱ヒータの温度が落ち込むという問題があった。これに対し、本発明では、遷移グローステップを別途設け、グロープラグへの通電をPWM制御する。即ち、プリグローステップ後に、抵抗発熱ヒータからその周囲への熱引きが生じることも見込んで、グロープラグへの通電を制御する。しかも、PWM制御は、デューテイ比Dhによりグロープラグへの投入電力を簡単に調整できる利点がある。従って、抵抗発熱ヒータの温度の落ち込みを防止し、エンジンの始動性を向上させることができる。
【0029】
クランキンググローステップでは、遷移グローステップ中に、キースイッチがスタート位置とされエンジンのクランキングが開始されたときに、クランキングの期間中、バッテリからグロープラグに印加される電圧値に基づいて、グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Dkを算出する。また、このステップでは、遷移グローステップにおけるバッテリの電圧値が、このステップにおけるバッテリの電圧値と同一であると仮定したときに、遷移グローステップで算出される仮想デューティ比Dhhよりも大きいデューティ比Dkにより、グロープラグへの通電をPWM制御する。前述したように、従来では、クランキング中、燃焼噴霧やスワールなどの外的な要因やクランキングによるバッテリ電圧の低下により、抵抗発熱ヒータの温度が、遷移グローステップ中よりもさらに落ち込むという問題があった。これに対し、本発明では、クランキンググローステップを別途設け、グロープラグへの通電をPWM制御する。即ち、クランキング期間中に起こる抵抗発熱ヒータの温度低下をも見込んで、グロープラグへの通電を制御する。具体的には、クランキンググローステップで算出されるデューティ比Dkを、代わりに遷移グローステップにおいて制御をした場合に算出される仮想デューティ比Dhhよりも大きくして、グロープラグへの通電を制御する。しかも、PWM制御は、デューテイ比Dkによりグロープラグへの投入電力を簡単に調整できる利点がある。従って、クランキング期間中であっても、抵抗発熱ヒータの温度の落ち込みを防止し、エンジンの始動性を向上させることができる。
【0030】
始動後グローステップでは、エンジンの始動後、プリグローステップにおいてグロープラグへ供給する電力よりも小さい電力をグロープラグへ供給し、抵抗発熱ヒータの安定加熱を図る。このようなステップにより、エンジン始動後も抵抗発熱ヒータの温度を安定に加熱できるので、エンジンの燃焼室内の暖気を促進させ、また、ディーゼルノックの発生を防止し、騒音や白煙の発生、HC成分の排出などを抑制することができる。
【0031】
さらに、上記のグロープラグ通電制御方法であって、前記プリグローステップでは、前記グロープラグへの積算電力量が第1目標温度に対応する所定値となるまで、上記グロープラグへの通電を制御するグロープラグ通電制御方法とすると良い。
【0032】
プリグローステップにおける通電制御としては、予め設定した所定時間グロープラグへの通電を行うことにより、抵抗発熱ヒータの温度を第1目標温度まで上昇させることが考えられる。しかし、前述したように、バッテリ電圧は必ずしも一定ではないため、抵抗発熱ヒータの予熱不足や予熱過剰が生じやすい。これに対し、本発明のプリグローステップでは、グロープラグへの積算電力量が第1目標温度に対応する所定値となるまで、グロープラグへの通電を制御する。このように積算電力量で制御すれば、抵抗発熱ヒータの温度をより正確に第1目標温度まで上昇させることできるため、抵抗発熱ヒータの予熱不足や予熱過剰を効果的に抑制することができる。
【0033】
さらに、上記のいずれかに記載のグロープラグ通電制御方法であって、前記プリグローステップでは、前記グロープラグへ連続通電を行うグロープラグ通電制御方法とすると良い。
【0034】
本発明によれば、プリグローステップでは、グロープラグへ連続通電を行う。このように連続通電をすることで、より効率よく短時間で、抵抗発熱ヒータの温度を第1目標温度に向けて昇温させることができる。
【0035】
さらに、上記のいずれかに記載のグロープラグ通電制御方法であって、前記遷移グローステップでは、この遷移グローステップが開始されてから所定時間内に前記キースイッチが前記スタート位置とされないときには、前記グロープラグへの通電を停止するグロープラグ通電制御方法とすると良い。
【0036】
本発明によれば、遷移グローステップでは、このステップが開始されてから所定時間内にキースイッチがスタート位置とされないときには、グロープラグへの通電を停止する。長時間遷移グローステップにおける通電制御を続けると、グロープラグへの負担が大きくなり、また、バッテリ上がりも起こりやすい。一方、キースイッチがオン位置とされてから長時間経過した場合には、操作者にエンジンを始動させる意思がないものと考えられる。そこで、本発明のように所定時間経過後グロープラグへの通電を停止することにより、グロープラグやバッテリを保護することができる。
【0037】
さらに、上記のいずれかに記載のグロープラグ通電制御方法であって、前記始動後グローステップでは、前記抵抗発熱ヒータの温度が第2目標温度となり、これを維持するように、前記グロープラグへの通電を制御するグロープラグ通電制御方法とすると良い。
【0038】
本発明によれば、始動後グローステップでは、エンジンの始動後、抵抗発熱ヒータの温度が第2目標温度となり、これを維持するように、グロープラグへの通電を制御する。このようなステップにより、エンジン始動後も抵抗発熱ヒータの温度を第2目標温度とし、これを維持できるので、より効果的に、エンジンの燃焼室内の暖気を促進させ、また、ディーゼルノックの発生を防止し、騒音や白煙の発生、HC成分の排出などを抑制することができる。
【0039】
さらに、上記のいずれかに記載のグロープラグ通電制御方法であって、前記始動後グローステップは、上記抵抗発熱ヒータの抵抗値に基づいて、上記グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Daを算出し、このデューティ比Daにより上記グロープラグへの通電をPWM制御するグロープラグ通電制御方法とすると良い。
【0040】
本発明によれば、始動後グローステップでは、抵抗発熱ヒータの抵抗値に基づいて、グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Daを算出し、これによりグロープラグへの通電をPWM制御する。PWM制御は、デューテイ比によりグロープラグへの投入電力を簡単に調整できる利点がある。ここで、始動後グローステップ中は、燃焼噴霧やスワールなどの外的な要因により、抵抗発熱ヒータの温度が低下することがあるため、これを見込んで抵抗発熱ヒータを安定加熱する必要がある。一方、始動後グローステップ中における抵抗発熱ヒータの抵抗値は、その温度に対応した定常状態にあるので、即ち、抵抗発熱ヒータの抵抗値とその温度との間で相関があるので、その抵抗値に基づいて算出したデューティ比Daを利用すれば、ヒータ温度をより正確に第2目標温度とし、これを安定に維持することができる。
【0041】
さらに、上記のグロープラグ通電制御方法であって、前記始動後グローステップは、前記グロープラグの現在の抵抗値をR、前記抵抗発熱ヒータが前記第2目標温度となったときの抵抗値をRt、上記グロープラグへの印加電圧をVbとし、誤差ΔRを、ΔR=Rt−Rで与え、制御実効電圧値Vcを、Vc=K0+K1ΔR+K2∫ΔRdtで与えたとき、上記デューティ比Daを、Da=Vc2/Vb2 に従って算出する算出ステップを有するグロープラグ通電制御方法とするのが好ましい。
【0042】
本発明によれば、始動後グローステップでは、抵抗発熱ヒータの抵抗値の誤差ΔRを、ΔR=Rt−Rで与え、制御実効電圧値Vcを、Vc=K0+K1ΔR+K2∫ΔRdtで与えたとき、デューティ比Daを、Da=Vc2/Vb2 に従って算出する算出ステップを有する。このようにしてデューティ比Daを算出し、グロープラグへの通電を制御すれば、始動後グローステップ中の抵抗発熱ヒータの温度をより正確に第2目標温度とし、これをより安定に維持することができる。なお、K0 、K1 、K2 は係数を示すものである。
【0043】
さらに、上記のいずれかに記載のグロープラグ通電制御方法であって、前記プリグローステップ中に前記キースイッチが前記スタート位置とされ前記エンジンのクランキングが開始されたとき、上記プリグローステップが終了するのを待って、前記クランキンググローステップに移行するグロープラグ通電制御方法とするのが好ましい。
【0044】
プリグローステップ中にクランキンググローステップによる通電制御が開始されると、バッテリ電圧の低下に伴いグロープラグへの印加電圧が低下するため、抵抗発熱ヒータが十分に加熱されず、エンジンの始動性が低下する。これに対し、本発明では、プリグローステップ中にキースイッチがスタート位置とされエンジンのクランキングが開始されたときには、プリグローステップが終了を待ってから、クランキンググローステップに移行させる。このため、プリグローステップが終了し、抵抗発熱ヒータが十分に昇温してから、クランキンググローステップが行われるので、エンジンを確実に始動させることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明のグロープラグ通電制御装置101で通電制御されるグロープラグ1について説明する。図2は、グロープラグ1の断面図を示す。また、図3は、グロープラグ1をディーゼルエンジンのエンジンブロックEBに設置した状態等を示す。このグロープラグ1は、抵抗発熱ヒータとして構成されたシーズヒータ2と、その外側に配置された主体金具3とを備える。シーズヒータ2は、図3に示すように、先端が閉じたシーズチューブ11の内側に、複数の、本実施形態においては2つの抵抗線コイル、即ち、先端側に配置された発熱コイル21と、その後端に直列接続された制御コイル23とを有し、絶縁材料としてのマグネシア粉末27と共に封入されている。図2に示すように、シーズチューブ11の、発熱コイル21及び制御コイル23を収容している本体部11aは、先端側が主体金具3から突出している。図3に示すように、発熱コイル21は、その先端においてシーズチューブ11と導通しているが、発熱コイル21及び制御コイル23の外周とシーズチューブ11の内周面とは、マグネシア粉末27の介在により絶縁された状態となっている。
【0046】
このうち、発熱コイル21は、例えば、20℃での電気比抵抗R20が80μΩ・cm以上200μΩ・cm以下、1000℃での電気比抵抗をR1000として、R1000/R20が0.8以上3以下の材料、具体的には、Fe−Cr合金、あるいは、Ni−Cr合金等により構成されている。一方、制御コイル23は、例えば、20℃での電気比抵抗R20が5μΩ・cm以上20μΩ・cm以下、1000℃での電気比抵抗をR1000として、R1000/R20が6以上20以下の材料、具体的には、Ni、Co−Fe合金、あるいは、Co−Ni−Fe合金等により構成されている。
【0047】
シーズチューブ11には、その基端側から棒状の通電端子軸13が挿入され、その先端が制御コイル23の後端に溶接等により接続されている。他方、図2に示すように、通電端子軸13の後端部には、雄ねじ部13aが形成されている。また、主体金具3は、軸方向の貫通孔4を有する筒状に形成され、ここに、シーズヒータ2が、一方の開口端からシーズチューブ11の先端側を所定長突出させた状態で挿入され固定されている。この主体金具3の外周面には、グロープラグ1をディーゼルエンジンに取り付けるに際して、トルクレンチ等の工具を係合させるための六角断面形状の工具係合部9が形成されており、これに続く形で取付用のねじ部7が形成されている。
【0048】
主体金具3の貫通孔4は、シーズチューブ11が突出する開口側に位置する大径部4bと、これに続く小径部4aとを備え、この小径部4aにシーズチューブ11の基端側に形成された大径部11bが圧入され、固定されている。他方、貫通孔4の反対側の開口部には座ぐり部3aが形成され、ここに、通電端子軸13に外装されたゴム製のOリング15と絶縁ブッシュ16(例えばナイロン製のもの)とがはめ込まれている。そして、そのさらに後方側において通電端子軸13には、絶縁ブッシュ16の脱落を防止するための押さえリング17が装着されている。この押さえリング17は、外周面に形成された加締め部17aにより通電端子軸13に固定されると共に、通電端子軸13に対応する表面には、加締め結合力を高めるためのローレット部13bが形成されている。なお、19は、通電用のケーブルを通電端子軸13に固定するためのナットである。
【0049】
図3に示すように、グロープラグ1は、主体金具3のねじ部7によりディーゼルエンジン等のエンジンブロックEBのプラグホールに取り付けられている。シーズヒータ2の先端部はエンジン燃焼室CR内に一定長突出している。制御コイル23は、そのほぼ全体がエンジン燃焼室CR内に位置している。また、発熱コイル21は、制御コイル23の先端側に直列接続されているので、その全体がエンジン燃焼室CR内に位置している。
【0050】
エンジン燃焼室CRの内面から突出する制御コイル23の突出長hは、3mm以上確保されている。なお、この突出長hは、一般的に10mm以下に設定される。本明細書では、燃焼室CRの内面のプラグホール開口周縁の3次元的な幾何学的重心位置を起点として、そこからのコイル中心軸線の突出長で突出長hを定義する。但し、プラグホール開口側がテーパ面や座ぐりによる拡径部とされている場合は、その拡径部開始底の周縁を、プラグホール開口周縁と定義する。また、制御コイル23の全体がプラグホールの外にある場合には、制御コイル23の全長が突出長hである。
【0051】
制御コイル23を、上記のように、エンジン燃焼室CRの内面から突出させる取付形態を採用することにより、どのような効果を得られるかを検証した実験結果を以下に説明する。まず、各コイル21,23の詳細について以下に示す(各コイル21,23の寸法を示す記号については、図3(a),(b)を参照。)。
(発熱コイル21)
材質:鉄−クロム合金(組成:Al=7.5重量%;Cr=26重量%;Fe=残部)。
寸法:コイル太さk=0.3mm、コイル中心軸線長さCL1=2mm、コイル外径d1=2mm、ピッチP=0.8mm、R20=0.25Ω、R1000/R20=1。
(制御コイル23)
材質:コバルト−ニッケル−鉄合金(組成:Ni=25重量%;Fe=4重量%;Co=残部)。
寸法:コイル太さk=0.22mm、コイル中心軸線長さCL2=3mm、コイル外径d1=2mm、ピッチP=0.8mm、R20=0.1Ω、R1000/R20=9。
(コイル間ギャプ25)
JL:2mm。
(シーズチューブ11)
材質:SUS310S。
寸法:本体部11aの外径D1=3.5mm、肉厚t=0.5mm、本体部11aの内面から発熱コイル21(または制御コイル23)外面までの距離CG=0.25mm。
【0052】
この試験品を、炭素鋼製のブロックに形成した試験用プラグホールに装着した。制御コイル23のブロック面(燃焼室内面に相当)からの突出長(図3のhに相当)は、実施例が3mm、比較例が0mmである。そして、シーズヒータ2のブロック面からの突出部を無風状態、及び、送風機により4m/s(弱風)、あるいは、6m/s(強風)で送風しながら、後述する始動後グローステップにおいて、通電抵抗値の目標値を種々に定めてPWM方式により通電し、電流と電圧の値からシーズヒータ2の通電抵抗値を、また、シーズチューブ11の表面に接触させた熱電対により飽和温度を測定した。
【0053】
その結果、実施例では、無風、弱風及び強風のいずれの場合でも、通電抵抗値に応じて、シーズヒータ2の飽和温度が一義的に決まっている。これは、燃焼ガス等による冷却の影響を受けても制御コイル23の抵抗値変化が速やかに追従し安定な抵抗制御が実現していることを意味している。
他方、比較例では、無風、弱風及び強風の各場合により、通電抵抗値と飽和温度との関係がみな異なる傾向を示し、通電抵抗値が同じでもシーズヒータ2の飽和温度が必ずしも同一になっていない。これは、制御コイル23の全体がブロック内の没入しているために、冷却の影響が制御コイル23に及びにくく、制御コイル23の抵抗値が追従変化しなかったためであると考えられる。
【0054】
次に、本発明のグロープラグ通電制御装置101について説明する。
図1は、本発明のグロープラグ通電制御装置101の電気的構成を示すブロック図である。
主制御部111は、電源回路103を介して、信号処理のための安定した動作電圧を受電する。また、電源回路103は、バッテリBTからキースイッチKSW及び端子101Bを介して受電する。従って、キースイッチKSWをオン位置及びスタート位置にすると、電源回路103に電力が供給され、主制御部111が動作する。一方、キースイッチKSWをOFFにすると、電源回路103への電力供給が途絶え、主制御部111は動作を停止する。
【0055】
また、バッテリBTの電力は、端子101Fを介して、n個存在するスイッチング素子1051〜105nにそれぞれ供給されている。各スイッチング素子1051〜105nは、本実施例ではFETから構成され、バッテリBTの電圧は、FETのドレインに供給される。各FETのソースは、各端子101G1〜101Gnを介して、複数(n個)のグロープラグGP1〜GPnに接続されている。また、各FETのゲートには、主制御部111からのスイッチング信号が入力され、各グロープラグGP1〜GPnへの通電がON/OFFされる。また、各スイッチング素子1051〜105nを構成するFETは、本実施例では電流検知機能付きFET(Infineon Technologies AG 社製 PROFET(登録商標))から構成されており、これらから主制御部111へ電流信号が出力される。
【0056】
主制御部111には、バッテリBTから各グロープラグGP1〜GPnへの印加電圧、各グロープラグGP1〜GPnへの通電電流が入力される。主制御部111に入力されたグロープラグGP1〜GPnへの印加電圧とグロープラグGP1〜GPnへの通電電流の大きさは、図示しないA/Dコンバータによりデジタル化される。
また、主制御部111は、インターフェースを介して、マイクロコンピュータにより構成されたエンジン制御ユニット201(Engine Control Unit:以下、ECUとも言う。)と通信可能とされている。また、主制御部111は、オルタネータ211の駆動信号を入力可能に構成されている。
【0057】
次いで、このグロープラグ通電制御装置101によるグロープラグ1の通電制御について、図4〜図10に示したフローチャートを参照しつつ説明する。
この通電制御では、基本的に、以下の動作を行う。即ち、操作者がキースイッチKSWをオン位置にすると、プリグロー手段により制御されるプリグローステップに入る。即ち、バッテリBTの電圧をグロープラグ1に直接印加して、シーズヒータ2を短時間で昇温させて第1目標温度(例えば1000℃)まで到達させる。その後、遷移グロー手段により制御される遷移グローステップに移行する。即ち、グロープラグ1の印加電圧に基づいて、グロープラグ1への通電をPWM制御して、シーズヒータ2の温度の落ち込みを抑制する。この遷移グローステップ中に、操作者がキースイッチKSWをスタート位置にすると、今度はクランキンググロー手段により制御されるクランキンググローステップに移行する。即ち、グロープラグ1の印加電圧に基づいて、グロープラグ1への通電をPWM制御して、シーズヒータ2の温度の落ち込みを抑制し、エンジンの始動性を向上させる。エンジン始動後は、始動後グロー手段により制御される始動後グローステップに移行して、シーズヒータ2の温度を所定時間(例えば180秒間)制御し、その温度を第2目標温度(例えば900℃)とし、これを維持する。
【0058】
図4に示すように、キースイッチKSWをオン位置にすると、主制御部111に電源が投入され、具体的には、バッテリBTから、キースイッチKSW、端子101B、電源回路103を介して、主制御部111に駆動電圧が印加され、主制御部111が所定の手順で作動し始める。そして、まず、ステップS1において、主制御部111のプログラムの初期化を行う。例えば、グロープラグ1への積算電力量GwはGw=0とされる。また、プリグロー中フラグ(プリグローステップ中であることを意味するフラグ)がセットされる。一方、プリグロー終了フラグ(プリグローステップが終了したことを意味するフラグ)、スタート信号フラグ(キースイッチKSWがスタート位置とされたことを意味するフラグ)、始動後グロー中フラグ(始動後グローステップ中であることを意味するフラグ)は、それぞれクリアされる。
【0059】
次に、ステップS2において、バッテリBTからグロープラグ1に印加される電圧値と、各スイッチング素子1051〜105nを通じてグロープラグ1に流れる電流値を取り込む。そして、これらの電圧値と電流値より、各シーズヒータ2の現在の抵抗値Rを算出する。
【0060】
次に、ステップS3において、スタート信号の入力処理を行う。即ち、図5に示すスタート信号入力処理のサブルーチンに進む。具体的には、まず、ステップS31において、プリグローステップが終了し、かつ、始動後グローステップ中でないことを判断する。即ち、プリグロー終了フラグがセットされ、かつ、始動後グロー中フラグがクリアされているかを判断する。ここで、YES、即ち、プリグローステップが終了し、かつ、始動後グローステップ中でない場合には、ステップS32に進む。つまり、遷移グローステップ中あるいはクランキンググローステップ中の場合に、ステップS32に進む。一方、NO、即ち、プリグローステップが終了していないか、あるいは、始動後グローステップ中の場合には、そのままメインルーチンに戻る。つまり、プリグローステップ中あるいは始動後グローステップ中の場合に、そのままメインルーチンに戻る。
【0061】
ステップS32に進んだ場合には、まず、スタート信号を取り込む。そして、ステップS33に進み、スタート信号の入力が0.1sec連続してオンか否か、具体的には、スタート信号の入力が8周期連続してオンか否かを判断する。即ち、キースイッチKSWがスタート位置とされているか否かを判断する。0.1sec連続して入力をみるのは、ノイズ等による誤ったスタート信号が入力されている場合を排除するためである。ここで、YES、即ち、スタート信号の入力が0.1sec連続してオンの場合(キースイッチKSWがスタート位置とされている場合)には、ステップS34に進み、スタート信号フラグをセットする。そして、メインルーチンに戻る。一方、NO、即ち、スタート信号の入力が0.1sec連続してオンでない場合(キースイッチKSWがスタート位置とされていない場合)には、ステップS35に進む。ステップS35では、スタート信号入力が0.1sec連続してオフか否か、具体的には、スタート信号の入力が8周期連続してオフか否かを判断する。即ち、キースイッチKSWがスタート位置にないかどうかを判断する。ここで、YES、即ち、スタート信号入力が0.1sec連続してオフの場合(キースイッチKSWがスタート位置とされていない場合)には、ステップS36に進み、スタート信号フラグをクリアにする。一方、NO、即ち、スタート信号入力が0.1sec連続してオフでない場合には、そのままメインルーチンに戻る。
【0062】
次に、図4のメインルーチンのステップS5において、遷移グローステップ中に参照するデューティ比Dhと、クランキンググローステップ中に参照するデューティ比Dkをそれぞれ算出する。具体的には、遷移グローステップに関しては、グロープラグ1に印加される電圧値に基づいて、グロープラグ1に印加する電圧波形のデューティ比Dhを算出する。例えば、グロープラグ1に印加される電圧値とデューティ比Dhとの関係を示すテーブルまたは関数の形で用意しておき、これを参照してデューティ比Dhを決定するようにすればよい。同様に、クランキンググローステップに関しても、グロープラグ1に印加される電圧値に基づいて、グロープラグ1に印加する電圧波形のデューティ比Dkを算出する。例えば、グロープラグ1に印加される電圧値とデューティ比Dkとの関係を示すテーブルまたは関数の形で用意しておき、これを参照してデューティ比Dhを決定するようにすればよい。
なお、クランキンググローステップ中に参照されるデューティ比Dkは、遷移グローステップ中におけるグロープラグ1に印加される電圧値が、クランキンググローステップ中におけるグロープラグ1に印加される電圧値と同一であると仮定したときに、遷移グローステップで参照される仮想デューティ比Dhhよりも大きい。
【0063】
次に、ステップS6において、始動後グローステップ中に参照されるデューティ比Daを計算する。即ち、図6に示すサブルーチンに進む。ここでは、まず、ステップS61において、シーズヒータ2の抵抗値の誤差ΔRの計算を行う。具体的には、シーズヒータ2の現在の抵抗値をR、シーズヒータ2が第2目標温度となったときの抵抗値をRtとし、抵抗値の誤差ΔRを、ΔR=Rt−Rで与える。次に、ステップS62に進み、制御実効電圧値Vcを計算する。具体的には、制御実効電圧値Vcを、Vc=K0+K1ΔR+K2∫ΔRdtで与える。なお、K0、K1、K2は定数であるが、K0、K1、K2>0である。続いて、ステップS63に進み、デューティ比Daを計算する。具体的には、デューティ比Daを、Da=Vc2/Vb2 に従って算出する。なお、Vbは、ステップS2で取り込んだ電圧値(グロー電圧)である。そして、メインルーチンに戻る。
【0064】
次に、図4のメインルーチンのステップS7において、クランキング中か否かを判断する。即ち、スタート信号フラグがセットされているか否かを判断する。ここで、YES、即ち、クランキング中である場合(スタート信号入力フラグがセットされている場合)には、ステップS8に進む。一方、NO、即ち、クランキング中でない場合(スタート信号入力フラグがクリアされている場合)には、ステップS10に進む。
【0065】
ステップS8に進んだ場合には、クランキンググロー処理を行う。即ち、図7に示すサブルーチンに進む。ここでは、ステップS81において、クランキング通電をオンにする。即ち、ステップS5で算出したデューティ比Dkに基づいて、グロープラグ1への通電をPWM制御する。その後、メインルーチンに戻る。
【0066】
次に、図4のメインルーチンでステップS7からステップS10に進んだ場合には、オルタネータが発動中か否かを判断する。
ここで、YES、即ち、オルタネータが発動中である場合には、ステップS11の始動後グロー処理に進む。即ち、図8に示すサブルーチンに進む。ここでは、まず、ステップS111において、始動後グローステップの所定時間(例えば180秒間)が経過したか否かを判断する。具体的には、後述するステップS112においてカウントアップするカウンタが所定値となったか否かで判断する。ここで、NO、即ち、始動後グロー時間が経過していない場合には、ステップS112に進む。そして、ステップS112において、始動後グロー通電をオンとし、始動後グロー中フラグをセットする。また、上記のように始動後グロー時間をカウントアップする。始動後グロー通電は、ステップS6で算出したデューティ比Daに基づいて、グロープラグ1への通電をPWM制御して、シーズヒータ2の温度がまだ第2目標温度になっていない場合には、この温度が第2目標温度となるようにし、あるいは、既に第2目標温度をなっている場合には、この温度を維持するものである。その後は、メインルーチンに戻り、ステップS9に進む。一方、ステップS111において、YES、即ち、始動後グロー時間が経過した場合には、ステップS113に進む。そして、ステップS113において、始動後グロー通電をオフとし、始動後グロー中フラグをクリアする。その後はメインルーチンに戻り、ステップS9に進む。
【0067】
次に、ステップS10において、NO、即ち、オルタネータが発動中でない場合について説明すると、この場合には、ステップS12のプリグロー処理に進む。即ち、図9に示すサブルーチンに進む。ここでは、まず、ステップS121において、プリグローステップ中であるか否かを判断する。即ち、プリグロー中フラグがセットされているかどうかを判断する。ここで、YES、即ち、プリグローステップ中である場合(プリグロー中フラグがセットされている場合)には、ステップS122に進み、1サイクルの期間中にグロープラグ1に投入された電力量(Gw1)を計算する。次に、ステップS123に進み、グロープラグ1の積算電力量(Gw)を算出する。即ち、以前の積算電力量Gwに新たに投入された電力量Gw1を加算して、新たな積算電力量Gwとする。
【0068】
次に、ステップS124において、この積算電力量Gwが、第1目標温度に対応する目標投入量を越えたか否かを判断する。ここで、NO、即ち、積算電力量Gwが目標投入量を超えていない場合には、ステップS126に進み、プリグロー通電をオンとする。具体的には、グロープラグ1へ連続通電を行う。その後、メインルーチンに戻る。一方、ステップS124において、YES、即ち、積算電力量Gwが目標投入量を超えた場合には、ステップS125に進み、プリグロー通電をオフとする。また、プリグロー中フラグをクリアし、一方でプリグロー終了フラグをセットする。その後、メインルーチンに戻る。
なお、ステップS121の判断において、NO、即ち、プリグローステップ中ではないと判断された場合(プリグロー中フラグがセットされていない場合)には、そのままメインルーチンに戻り、ステップS9に進む。
【0069】
次に、メインルーチンのステップS9では、遷移グロー処理を行う。即ち、図10に示すサブルーチンに進む。ここでは、まず、ステップS91において、クランキングステップ中か否か、あるいは、始動後グローステップ中か否かを判断する。即ち、スタート信号フラグがセットされているか、あるいは、始動後グロー中フラグがセットされているかを判断する。ここで、YES、即ち、クランキング中である場合(スタート信号フラグがセットされている場合)、あるいは、始動後グローステップ中である場合(始動後グロー中フラグがセットされている場合)には、ステップS97に進み、遷移グロー通電をオフとする。そして、メインルーチンに戻る。
【0070】
一方、ステップS91において、NO、即ち、クランキング中でなく(スタート信号フラグがクリアされており)、かつ、始動後グロー中でもない(始動後グロー中フラグもクリアされている)場合には、ステップS92に進む。ステップS92では、遷移グロー時間(遷移グローステップの所定時間)が経過したか否かを判断する。具体的には、後述するステップS94でカウントアップするカウンタが所定値となったか否かを判断する。ここで、YES、即ち、遷移グロー時間が経過している場合には、ステップS96に進み、遷移グロー通電をオフとする。そしてその後、メインルーチンに戻る。一方、ステップS92において、NO、即ち、遷移グロー時間が経過していない場合には、ステップS93に進み、プリグローステップが終了したか否かを判断する。即ち、プリグロー終了フラグがセットされているかどうかを判断する。ここで、NO、即ち、プリグローステップが終了していない場合(プリグロー終了フラグがクリアされている場合)には、ステップS95に進み、遷移グロー通電をオフとする。そしてその後、メインルーチンに戻る。これに対し、ステップS93において、プリグローステップが終了している場合(プリグロー終了フラグがセットされている場合)には、ステップS94に進み、遷移グロー通電をオンとする。この遷移グロー通電は、ステップS5で算出されたデューティ比Dhに基づいて、グロープラグ1への通電をPWM制御して、シーズヒータ2の温度の落ち込みを抑制する。また、ステップ94では、前述したように、遷移グロー時間をカウントアップする。その後、メインルーチンに戻る。
【0071】
ステップS9を経た後は、ステップS13に進む。そして、ステップS13において、12.5msが経過したか否かを判断する。ここで、YES、即ち、12.5msが経過した場合には、ステップS2に返る。一方、NO、即ち、12.5msが経過していない場合には、経過するまでステップS13を繰り返す。本発明のグロープラグ通電制御装置101は、以上で述べた通電制御を行う。
【0072】
(実施例)
次に、具体的な実施例について説明する。本実施例では、操作者がキースイッチKSWをオン位置とした後、しばらくしてから、即ち、シーズヒータ2が十分に加熱されてから、キースイッチKSWをスタート位置とする場合のグロープラグ通電制御装置101の通電制御について説明する。図11は、本発明のグロープラグ通電制御装置101を使用したときのグロープラグ1の温度変化についてに示す。なお、本実施例においては、400℃以下の温度は測定不能であったため、400℃以上における温度変化について示してある。本実施例では、グロープラグ1を、前述したようにして、炭素鋼製のブロックに形成した試験用プラグホールに装着し、シーズヒータ2のうち、発熱コイル21の外側に位置する部分に熱電対を接触させて、シーズヒータ2の温度を測定した。この机上実験では、プリグローステップ及び遷移グローステップおいては無風状態とし、クランキンググローステップ及び始動後グローステップおいては送風機により6m/s(強風)で送風した。
【0073】
まず、操作者がキースイッチKSWをオン位置とすると、プリグローステップに入り、プリグロー手段によるグロープラグ1への通電制御により、シーズヒータ2が第1目標温度(本実施例では1000℃)までほぼ直線的に上昇する(図11参照)。
前述のフローチャートに沿って説明すると、キースイッチKSWがオン位置とされると、ステップS1に進み、グロープラグ通電制御装置101が初期化され、プリグロー中フラグがセットされ、プリグロー終了フラグ、スタート信号フラグ及び始動後グロー中フラグがクリアされる(図4参照)。続いて、ステップS2に進むが、この段階ではまだグロープラグ1に通電されていないので、抵抗値Rは算出されない。次に、ステップS3のサブルーチンに進む(図5参照)。ステップS31では、現在プリグロー中であって(プリグロー中フラグがセットされていて)、プリグローステップがまだ終了していないため(プリグロー終了フラグがセットされていないため)、NOと判断される。従って、そのままメインルーチンに戻る。次に、ステップS5に進むが、この段階ではまだグロープラグ1に通電されていないので、遷移グローステップにおけるデューティ比Dhとクランキンググローステップにおけるデューティ比Dkは算出されない。次に、ステップS6のサブルーチンに進むが、この段階ではまだグロープラグ1に通電されていないので、その抵抗値Rを求めることはできない(図6参照)。従って、始動後グローステップにおけるデューティ比Daは計算されない。次に、ステップS7に進む(図4参照)。ステップS7では、クランキング中でないので(スタート信号入力フラグがセットされていないので)、NOと判断され、ステップS10に進む。
【0074】
ステップS10では、オルタネータは発動していないので、NOと判断され、ステップS12のサブルーチンに進む(図9参照)。ステップS121では、プリグローステップ中であるので(プリグロー中フラグがセットされているので)、YESと判断され、ステップS122に進む。ステップS122では、この段階ではまだグロープラグ1への通電が行われていなめ、電力量GW1=0とされる。そして、ステップS123に進む。ステップS123では、積算電力量Gwの初期値が0であり、また、投入された電力量Gw1も0であるため、Gw=0とされる。続いて、ステップS124では、積算電力Gwが目標投入量に達していないため、NOと判断され、ステップS126に進む。そして、ステップS126において、プリグロー通電がオンとされる。即ち、バッテリBTからグロープラグ1へ連続通電が行われる。その後、メインルーチンに戻る。
【0075】
次に、ステップS9のサブルーチンに進む(図10参照)。そして、ステップS91において、クランキング中でもなく(スタート信号フラグがセットされておらず)、始動後グロー中でもないので(アフタグロー中フラグもセットされていないので)、NOと判断され、ステップS92に進む。ステップS92では、まだ遷移グローステップがされておらず、遷移グロー時間が経過していないので、NOと判断され、ステップS93に進む。ステップS93では、現在プリグローステップ中であって、まだプリグローステップが終了していないので(プリグロー終了フラグがセットされていないので)、NOと判断され、ステップS95に進む。ステップS95では、遷移グロー通電がオフとされる。その後、メインルーチンに戻り、ステップS13に進む(図4参照)。そして、12.5ms経過した後に、ステップS2に返る。
【0076】
次に、ステップS2において、グロープラグ1に印加される電圧値とグロープラグ1に流れる電流値が取り込まれ、シーズヒータ2の現在の抵抗値Rが計算される。続いて、ステップS3に進むが、上記と同様、ステップS31を経てメインルーチンに戻る(図5参照)。次に、ステップS5において、上述したように、遷移グローステップにおけるデューティ比Dhとクランキンググローステップにおけるデューティ比Dkが計算されるが、このプリグローステップ中では、これらのデューティ比Dh,Dkは使用されない(図4参照)。次に、ステップS6のサブルーチンに進み、ステップS61〜ステップS63を経て、始動後グローステップにおけるデューティ比Daが計算される(図6参照)。但し、プリグローステップ中には、このデューティ比Daは使用されない。次に、ステップS7に進む(図4参照)。ステップS7では、上記のように、クランキング中でないので、NOと判断され、ステップS10に進む。
【0077】
ステップS10では、オルタネータは発動していないので、NOと判断され、ステップS12のサブルーチンに進む(図9参照)。ステップS121では、上記のように、プリグローステップ中であるので、YESと判断され、ステップS122に進む。ステップS122では、1サイクルの期間中にグロープラグ1に投入された電力量GW1を計算する。続いて、ステップS123に進む。ステップS123で、積算電力量Gwを計算する。即ち、1サイクル前の積算電力量Gw(ここでは0)に、新たに投入された電力量Gw1を加算し、新たな積算電力量Gwとする。次に、ステップS124において、積算電力量Gwがまだ目標投入量に達していないため、NOと判断され、ステップS126に進む。そして、ステップS126において、引き続きプリグロー通電がオンとされる。その後、メインルーチンに戻る。
【0078】
次に、ステップS9のサブルーチンに進む(図10参照)。ステップS91においては、プリグローステップ中であるので、上記のように、NOと判断され、ステップS92に進む。ステップS92では、遷移グロー時間が経過していないので、NOと判断され、ステップS93に進む。ステップS93では、まだプリグローステップが終了していないので、NOと判断され、ステップS95に進む。そして、引き続き遷移グロー通電がオフとされる。その後、メインルーチンに戻り、ステップS13に進む。そして、12.5ms経過した後に、ステップS2に返る。
【0079】
その後は、積算電力量Gwが目標投入量を超えるまで(図9のステップS124参照)、しばらくの間上記のサイクルを繰り返す。そして、積算電力量Gwが目標投入量を超えた場合には、ステップS124でYESと判断され、ステップS125に進み、プリグロー通電がオフされる。また、プリグロー中フラグがクリアされ、一方でプリグロー終了フラグがセットされる。このとき、シーズヒータ2の温度は、図11に示すように、第1目標温度(1000℃)に到達している。その後、メインルーチンに戻り、ステップS9のサブルーチンに進む(図10参照)。ステップS91においては、上記と同様、クランキング中でも始動後グロー中でもないので、NOと判断され、ステップS92に進む。ステップS92では、まだ遷移グロー時間が経過していないので、NOと判断され、ステップS93に進む。そして、ステップS93においては、上記と異なり、プリグローステップが終了しているので(プリグロー終了フラグがセットされているので)、YESと判断され、ステップS94に進む。
【0080】
そして、ステップS94において、遷移グロー通電がオンとされる。即ち、ここで、プリグローステップから遷移グローステップに移行する。この遷移グローステップでは、図11に示すように、このステップ中、シーズヒータ2を第1目標温度(1000℃)に維持し、温度の落ち込みを防止する。この遷移グロー通電は、前述したように、デューティ比Dhに基づいてグロープラグ1へPWM通電される。その後、メインルーチンに戻り、ステップS13に進む(図4参照)。そして、12.5ms経過した後に、ステップS2に返る。
【0081】
次に、ステップS2において、上記のように、電圧値と電流値が取り込まれ、グロープラグ1の抵抗値Rが計算される。続いて、ステップS3のサブルーチンに進む(図5参照)。ステップS31では、プリグローステップが終了し(プリグロー終了フラグがセットされ)、かつ、始動後グローステップ中でもないので(始動後グロー中フラグがクリアされているので)、上記とは異なり、YESと判断され、ステップS32に進む。そして、ステップS32でスタート信号を取り込んだ後、ステップS33に進むが、この段階でまだ操作者がキースイッチKSWをスタート位置にしていなければ、連続したスタート信号入力はないので、NOと判断される。そして、ステップS35に進む。ステップS35では、スタート信号入力が8周期連続してオフとされていないため、NOと判断される。なお、スタート信号フラグは、ステップS1にてクリアされているので、そのクリア状態が維持される。その後、メインルーチンに戻り、ステップS5に進む(図4参照)。そして、遷移グローステップにおけるデューティ比Dhとクランキングステップにおけるデューティ比Dkが計算される。次に、ステップS6のサブルーチンに進み、始動後グローステップにおけるデューティ比Daが計算される(図6参照)。但し、遷移グローステップ中には、このデューティ比Daは使用されない。
【0082】
次に、ステップS7に進み、クランキング中でないので、NOと判断され、ステップS10に進む(図4参照)。ステップS10では、オルタネータは発動していないので、NOと判断され、ステップS12のサブルーチンに進む(図9参照)。ステップS121では、既にプリグローステップを終了しているので(プリグロー中フラグがクリアされているので)、上記とは異なり、NOと判断され、そのままメインルーチンに戻り、ステップS9のサブルーチンに進む(図10参照)。ステップS91において、上記のように、クランキング中でも始動後グロー中でもないので、NOと判断され、ステップS92に進む。ステップS92では、所定の遷移グロー時間(本実施例では30秒)が経過していないので、NOと判断され、ステップS93に進む。ステップS93では、上記のように、プリグローステップが終了しているので、YESと判断され、ステップS94に進む。そして、ステップS94において、引き続き遷移グロー通電がオンとされる。その後、メインルーチンに戻り、ステップS13に進む(図4参照)。そして、12.5ms経過した後に、ステップS2に返る。
【0083】
その後は、キースイッチKSWが連続して0.1秒間スタート位置とされるか(図5のステップS33参照)、あるいは、所定の遷移グロー時間が経過するまで(図10のステップS92参照)、上記のサイクルを繰り返す。
キースイッチKSWが連続して0.1秒間スタート位置とされないまま所定の遷移グロー時間が経過した場合には、図10に示すサブルーチンのステップS92において、YESと判断され、ステップS96に進む。そして、ステップS96において、遷移グロー通電がオフされる。即ち、遷移グローステップが終了する。その後、メインルーチンに戻り、ステップS13に進み(図4参照)、12.5ms経過した後に、ステップS2に返る。
【0084】
一方、遷移グロー時間が経過する前に、キースイッチKSWが0.1秒間連続してスタート位置とされた場合には、ステップS3のサブルーチン(図5参照)のステップS33において、連続したスタート信号入力が認められるので、YESと判断される。そして、ステップS34に進み、スタート信号フラグがセットされる。即ち、ここで、遷移グローステップからクランキンググローステップに移行する。つまり、クランキングの期間中、シーズヒータ2を第1目標温度(1000℃)に維持するように、グロープラグ1への通電をPWM制御する。その結果、図11に示すように、送風が行われているにも拘わらず、シーズヒータ2の温度に落ち込みはなく、第1目標温度(1000℃)に維持される。
【0085】
次に、ステップS5において、遷移グローステップにおけるデューティ比Dhとクランキングステップにおけるデューティ比Dkが、それぞれバッテリBTからグロープラグ1に印加される電圧値に基づいて計算される。次に、ステップS6のサブルーチンに進み(図6参照)、始動後グローステップにおけるデューティ比Daが計算される。但し、クランキンググローステップ中には、このデューティ比Daは参照されない。次に、ステップS7に進む(図4参照)。ステップS7では、上記と異なり、この段階ではスタート信号フラグがセットされているので、クランキング中とみなされ、YESと判断される。そして、ステップS8のサブルーチンに進む(図7参照)。そして、ステップS81において、クランキング通電がオンとされる。このクランキング通電は、前述したように、デューティ比Dkに基づいてグロープラグ1へPWM通電される。その後は、メインルーチンに戻り、ステップS9のサブルーチンに進む(図10参照)。ステップS91では、上記とは異なり、クランキング中であるので(スタート信号フラグがセットされているので)、YESと判断され、ステップS97に進む。そして、ステップS97において、遷移グロー通電はオフとされる。その後、メインルーチンに戻り、ステップS13に進む(図4参照)。そして、12.5ms経過した後に、ステップS2に返る。
【0086】
次に、ステップS2において、上記のように、電圧値と電流値が取り込まれ、グロープラグ1の抵抗値Rが計算される。続いて、ステップS3のサブルーチンに進む(図5参照)。ステップS31では、上記のように、プリグローステップが終了し、かつ、始動後グローステップ中でもないので、YESと判断され、ステップS32に進む。ステップS32では、連続したスタート信号入力が認められるので、YESと判断される。そして、ステップS33に進み、引き続きスタート信号フラグがセットされる。その後は、クランキングが終了し、エンジンが始動してオルタネータが発動するまで(図4のステップS10参照)、上述のサイクルが繰り返される。
【0087】
エンジンが始動した場合には、操作者はキースイッチKSWをスタート位置からオン位置に戻すので、ステップS3のサブルーチンのステップS32において、0.1秒間連続したスタート信号入力が認められなければ、NOと判断され(図5参照)、ステップS34にてYESと判断される。次に、ステップS35に進み、スタート信号フラグがクリアされる。即ち、ここで、クランキンググローステップから始動後グローステップに移行する。つまり、シーズヒータ2を第2目標温度(本実施例では900℃)とし、これを維持するように、グロープラグ1への通電をPWM制御する。その結果、図11に示すように、シースヒータ2の温度は、第1目標温度(1000℃)から徐々に低下し、第2目標温度(900℃)となった後はこの温度を維持する。
【0088】
次に、ステップS5において、遷移グローステップにおけるデューティ比Dhとクランキンググローステップにおけるデューティ比Dkがそれぞれ計算されるが、始動後グローステップ中には、これらのデューティ比Dh,Dkは参照されない(図4参照)。次に、ステップS6のサブルーチンに進む(図6参照)。そして、前述したように、ステップS61〜ステップS63を経て、始動後グローステップにおけるデューティ比Daが計算される。次に、ステップS7に進み、クランキング中でなく、スタート信号入力フラグが既にクリアされているので、NOと判断され、ステップS10に進む(図4参照)。ステップS10では、エンジンの始動によりオルタネータが発動しているので、YESと判断され、ステップS11のサブルーチンに進む(図8参照)。ステップS111では、まだ始動後グローステップの所定時間(本実施例では180秒)が経過していないため、NOと判断され、ステップS112に進む。そして、ステップS112において、始動後グロー通電がオンとされる。また、始動後グロー中フラグがセットされる。始動後グロー通電は、前述したように、シーズヒータ2の温度がまだ第2目標温度(900℃)となっていない場合には、第2目標温度となるようにグロープラグ1への通電をPWM制御し、既に第2目標温度となっている場合には、この温度を維持するようにグロープラグ1への通電をPWM制御する。その後、メインルーチンに戻り、ステップS9のサブルーチンに進む(図10参照)。ステップS91において、アフタグロー中フラグがセットされ、始動後グロー中であるので、YESと判断され、ステップS97に進む。そして、遷移グロー通電がオフとされる。その後、メインルーチンに戻り、ステップS13に進み(図4参照)、12.5ms経過した後に、ステップS2に返る。
そして、ステップS2において、上記のように、電圧値と電流値が取り込まれ、グロープラグ1の抵抗値Rが計算される。
【0089】
その後は、始動後グロー時間が経過するまで(図8のステップS111参照)、上記のサイクルが繰り返される。始動後グロー時間が経過すると、ステップS11のサブルーチンのステップS111において、YESと判断され、ステップS113に進む。そして、ステップS113において、始動後グロー通電がオフとされる。また、始動後グロー中フラグがクリアされる。これにより、始動後グローステップが終了する。即ち、本発明のグロープラグ通電制御装置101によるグロープラグ1への通電制御が終了する。
【0090】
以上で説明したように、本実施形態では、グロープラグ通電制御装置101は、4つの手段、即ち、プリグロー手段と遷移グロー手段とクランキンググロー手段と始動後グロー手段とを備える。
このうち、プリグロー手段は、キースイッチKSWがオン位置とされたときに、シーズヒータ2の温度が急速昇温するように、グロープラグ1への通電を制御するものである。このような手段を持つことにより、キースイッチKSWがオン位置とされたときに、他の手段よりも、平均電力を大きく設定してグロープラグ1への通電を行うことができる。従って、シーズヒータ2の温度を効率よく昇温させることができる。
【0091】
遷移グロー手段は、プリグロー手段による通電制御に続いて、バッテリBTからグロープラグ1に印加される電圧値に基づいて、グロープラグ1に印加する電圧波形のデューティ比Dhを算出し、このデューティ比Dhによりグロープラグ1への通電をPWM制御するものである。このような手段を持つことにより、プリグロー手段による通電制御後にシーズヒータ2からその周囲への熱引きが生じることをも見込んで、グロープラグ1への通電を制御することができる。しかも、PWM制御は、デューテイ比Dhによりグロープラグへの投入電力を簡単に調整できる利点がある。従って、シーズヒータ2の温度の落ち込みを防止し、エンジンの始動性を向上させることができる。
【0092】
クランキンググロー手段は、遷移グロー手段による通電制御中に、キースイッチKSWがスタート位置とされエンジンのクランキングが開始されたときに、クランキングの期間中、バッテリBTからグロープラグ1に印加される電圧値に基づいて、グロープラグ1に印加する電圧波形のデューティ比Dkを算出するものである。また、この手段は、遷移グロー手段による制御期間におけるバッテリBTの電圧値が、この手段による制御期間におけるバッテリBTの電圧値と同一であると仮定したときに、遷移グロー手段で算出される仮想デューティ比Dhhよりも大きいデューティ比Dkにより、グロープラグ1への通電をPWM制御するものである。このような手段を持つことにより、クランキング期間中に起こるシーズヒータ2の温度低下をも見込んで、グロープラグ1への通電を制御することができる。しかも、PWM制御は、デューテイ比Dkによりグロープラグ1への投入電力を簡単に調整できる利点がある。従って、クランキング期間中であっても、シーズヒータ2の温度の落ち込みを防止し、エンジンの始動性を向上させることができる。
【0093】
始動後グロー手段は、エンジンの始動後、プリグロー手段によりグロープラグ1へ供給する電力よりも小さい電力をグロープラグ1へ供給し、シーズヒータ2の安定加熱を図るものである。このような手段により、エンジン始動後もシーズヒータ2の温度を安定に加熱できるので、エンジンの燃焼室内の暖気を促進させ、また、ディーゼルノックの発生を防止し、騒音や白煙の発生、HC成分の排出などを抑制することができる。
【0094】
さらに、本実施形態のプリグロー手段は、グロープラグ1への積算電力量が第1目標温度に対応する所定値となるまで、グロープラグ1への通電を制御する。このように積算電力量で制御すれば、シーズヒータ2の温度をより正確に第1目標温度まで上昇させることできるため、シーズヒータ2の予熱不足や予熱過剰を効果的に抑制することができる。
【0095】
またさらに、本実施形態のプリグロー手段は、グロープラグ1へ連続通電を行う。このように連続通電をすることで、より効率よく短時間で、シーズヒータ2の温度を第1目標温度に向けて昇温させることができる。
またさらに、本実施形態の遷移グロー手段は、これによる通電制御が開始されてから所定時間内にキースイッチKSWがスタート位置とされないときには、グロープラグ1への通電を停止する。これにより、グロープラグ1やバッテリBTに掛かる負担を軽減し、これらを保護することができる。
【0096】
またさらに、本実施形態の始動後グロー手段は、シーズヒータ2の温度が第2目標温度となり、これを維持するように、グロープラグ1への通電を制御する。これにより、エンジン始動後もシーズヒータ2の温度を第2目標温度とし、これを維持できるので、より効果的に、エンジンの燃焼室内の暖気を促進させ、また、ディーゼルノックの発生を防止し、騒音や白煙の発生、HC成分の排出などを抑制することができる。
またさらに、本実施形態の始動後グロー手段は、シーズヒータ2の抵抗値に基づいて、グロープラグ1に印加する電圧波形のデューティ比Daを算出し、これによりグロープラグ1への通電をPWM制御する。PWM制御は、デューテイ比によりグロープラグへの投入電力を簡単に調整できる利点がある。ここで、始動後グロー手段による制御期間中は、燃焼噴霧やスワールなどの外的な要因により、シーズヒータ2の温度が低下することがあるため、これを見込んでシーズヒータ2を安定加熱する必要がある。一方、始動後グロー手段による制御期間中におけるシーズヒータ2の抵抗値は、その温度に対応した定常状態にあるので、即ち、シーズヒータ2の抵抗値とその温度との間で相関があるので、その抵抗値に基づいて算出したデューティ比Daを利用すれば、ヒータ温度をより正確に第2目標温度とし、これを安定に維持することができる。
【0097】
またさらに、本実施形態の始動後グロー手段は、シーズヒータ2の抵抗値の誤差ΔRを、ΔR=Rt−Rで与え、制御実効電圧値Vcを、Vc=K0+K1ΔR+K2∫ΔRdtで与えたとき、デューティ比Daを、Da=Vc2/Vb2 に従って算出する算出手段を有する。このようにしてデューティ比Daを算出し、グロープラグ1への通電を制御すれば、始動後グロー手段による制御中のシーズヒータ2の温度をより正確に第2目標温度とし、これをより安定に維持することができる。
またさらに、本実施形態では、プリグロー手段による制御中にキースイッチがスタート位置とされエンジンのクランキングが開始されたときには、プリグロー手段による制御終了を待ってから、クランキンググロー手段による制御に移行させるプリグロー優先手段を備える。このため、プリグロー手段による制御が終了し、シーズヒータ2が十分に昇温してから、クランキンググロー手段による制御がなされるので、エンジンを短時間で確実に始動させることができる。
【0098】
以上において、本発明を実施形態及び実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るグロープラグ通電制御装置を示す回路図である。
【図2】実施形態に係り、使用するグロープラグの断面図である。
【図3】実施形態に係り、グロープラグをエンジンに取り付けた状態を示す部分断面図である。
【図4】実施形態に係るグロープラグ通電制御装置による通電制御を示すフローチャートである。
【図5】実施形態に係るグロープラグ通電制御装置による通電制御のうち、スタート信号入力処理について示すフローチャートである。
【図6】実施形態に係るグロープラグ通電制御装置による通電制御のうち、始動後グロー中のデューティ比Da計算について示すフローチャートである。
【図7】実施形態に係るグロープラグ通電制御装置による通電制御のうち、クランキンググロー処理について示すフローチャートである。
【図8】実施形態に係るグロープラグ通電制御装置による通電制御のうち、始動後グロー処理について示すフローチャートである。
【図9】実施形態に係るグロープラグ通電制御装置による通電制御のうち、プリグロー処理について示すフローチャートである。
【図10】実施形態に係るグロープラグ通電制御装置による通電制御のうち、遷移グロー処理について示すフローチャートである。
【図11】実施例に関し、キーをオン位置にしてからの時間とグロープラグの温度との関係について示すグラフである。
【符号の説明】
1 グロープラグ
2 シーズヒータ(抵抗発熱ヒータ)
101 グロープラグ通電制御装置
111 主制御部
KSW キースイッチ
BT バッテリ
EB エンジンブロック
Claims (12)
- キースイッチがオン位置及びスタート位置とされたときに、バッテリからエンジンに設置された抵抗発熱ヒータを有するグロープラグへの通電を制御するグロープラグ通電制御装置であって、
上記キースイッチが上記オン位置とされたときに、上記抵抗発熱ヒータの温度が急速昇温するように、上記グロープラグへの通電を制御するプリグロー手段と、
上記プリグロー手段による通電制御に続いて、上記バッテリから上記グロープラグに印加される電圧値に基づいて、上記グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Dhを算出し、このデューティ比Dhにより上記グロープラグへの通電をPWM制御する遷移グロー手段と、
上記遷移グロー手段による通電制御中に、上記キースイッチが上記スタート位置とされ上記エンジンのクランキングが開始されたときに、上記クランキングの期間中、上記バッテリから上記グロープラグに印加される電圧値に基づいて、上記グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Dkを算出するクランキンググロー手段であって、上記遷移グロー手段による制御期間における上記バッテリの電圧値が、このクランキンググロー手段による制御期間における上記バッテリの電圧値と同一であると仮定したときに、上記遷移グロー手段で算出される仮想デューティ比Dhhよりも大きいデューティ比Dkにより、上記グロープラグへの通電をPWM制御するクランキンググロー手段と、
上記エンジンの始動後、上記プリグロー手段により上記グロープラグへ供給する電力よりも小さい電力を上記グロープラグへ供給し、上記抵抗発熱ヒータの安定加熱を図る始動後グロー手段と、
を備えるグロープラグ通電制御装置。 - 請求項1に記載のグロープラグ通電制御装置であって、
前記プリグロー手段は、前記グロープラグへ投入した積算電力量が第1目標温度に対応する所定値となるまで、上記グロープラグへの通電を制御する
グロープラグ通電制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載のグロープラグ通電制御装置であって、
前記プリグロー手段は、その制御期間中、前記グロープラグへ連続通電を行うグロープラグ通電制御装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のグロープラグ通電制御装置であって、
前記遷移グロー手段は、この遷移グロー手段による通電制御が開始されてから所定時間内に前記キースイッチが前記スタート位置とされないときには、前記グロープラグへの通電を停止する
グロープラグ通電制御装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のグロープラグ通電制御装置であって、
前記始動後グロー手段は、前記抵抗発熱ヒータの温度が第2目標温度となり、これを維持するように、前記グロープラグへの通電を制御する
グロープラグ通電制御装置。 - 請求項5に記載のグロープラグ通電制御装置であって、
前記始動後グロー手段は、前記抵抗発熱ヒータの抵抗値に基づいて、前記グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Daを算出し、このデューティ比Daにより上記グロープラグへの通電をPWM制御する
グロープラグ通電制御装置。 - キースイッチがオン位置及びスタート位置とされたときに、バッテリからエンジンに設置された抵抗発熱ヒータを有するグロープラグへの通電を制御するグロープラグ通電制御方法であって、
上記キースイッチが上記オン位置とされたときに、上記抵抗発熱ヒータの温度が急速昇温するように、上記グロープラグへの通電を制御するプリグローステップと、
上記プリグローステップに続いて、上記バッテリから上記グロープラグに印加される電圧値に基づいて、上記グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Dhを算出し、このデューティ比Dhにより上記グロープラグへの通電をPWM制御する遷移グローステップと、
上記遷移グローステップ中に、上記キースイッチが上記スタート位置とされ上記エンジンのクランキングが開始されたときに、上記クランキングの期間中、上記バッテリから上記グロープラグに印加される電圧値に基づいて、上記グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Dkを算出するクランキンググローステップであって、上記遷移グローステップにおける上記バッテリの電圧値が、このクランキンググローステップにおける上記バッテリの電圧値と同一であると仮定したときに、上記遷移グローステップで算出される仮想デューティ比Dhhよりも大きいデューティ比Dkにより、上記グロープラグへの通電をPWM制御するクランキンググローステップと、
上記エンジンの始動後、上記プリグローステップで上記グロープラグへ供給する電力よりも小さい電力を上記グロープラグへ供給し、上記抵抗発熱ヒータの安定加熱を図る始動後グローステップと、
を備えるグロープラグ通電制御方法。 - 請求項7に記載のグロープラグ通電制御方法であって、
前記プリグローステップでは、前記グロープラグへの積算電力量が第1目標温度に対応する所定値となるまで、上記グロープラグへの通電を制御する
グロープラグ通電制御方法。 - 請求項7または請求項8に記載のグロープラグ通電制御方法であって、
前記プリグローステップでは、前記グロープラグへ連続通電を行う
グロープラグ通電制御方法。 - 請求項7〜請求項9のいずれか一項に記載のグロープラグ通電制御方法であって、
前記遷移グローステップでは、この遷移グローステップが開始されてから所定時間内に前記キースイッチが前記スタート位置とされないときには、前記グロープラグへの通電を停止する
グロープラグ通電制御方法。 - 請求項7〜請求項10のいずれか一項に記載のグロープラグ通電制御方法であって、
前記始動後グローステップでは、前記抵抗発熱ヒータの温度が第2目標温度となり、これを維持するように、前記グロープラグへの通電を制御する
グロープラグ通電制御方法。 - 請求項11に記載のグロープラグ通電制御方法であって、
前記始動後グローステップでは、前記抵抗発熱ヒータの抵抗値に基づいて、前記グロープラグに印加する電圧波形のデューティ比Daを算出し、このデューティ比Daにより上記グロープラグへの通電をPWM制御する
グロープラグ通電制御方法。
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