JP5624960B2 - 正帯電性静電潜像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、正帯電性静電潜像現像用トナーに関する。
一般に電子写真法、静電記録法等の画像形成方法においては、静電潜像担持体(感光体)の表面をコロナ放電等により帯電させた後、レーザー等により露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成し、さらにこのトナー像を記録媒体に転写して高品質な画像を得ている。通常トナー像の形成に使用するトナーには熱可塑性樹脂等の結着樹脂に、着色剤、電荷制御剤、離型剤等を混合して混練、粉砕、分級を行い平均粒径5〜15μmのトナー粒子としたものが用いられる。そしてトナーに流動性を付与したり、トナーの帯電量の制御を行ったり、転写されずに感光体上に残留したトナーのクリーニング性を向上させたりする目的で、シリカや酸化チタン等の無機微粉末、無機金属微粉末がトナーに外添されている。
近年、電子写真法、静電記録法等を用いる画像形成装置において、高画質化に加えて、長寿命化や高速化が求められている。画像形成装置に対するかかる要求に応えるためには、短時間で所望の帯電量に安定して帯電できる、良好なトナーの帯電の立ち上がり性が重要となる。トナーの帯電の立ち上がり性が不十分な場合、帯電不良のトナーにより現像が行われるため、2成分現像剤では、画像濃度の上昇、画像カブリ、画像形成装置内でのトナーの飛散等の問題が起きやすく、1成分の現像剤では画像濃度の不足や画像ムラ等の問題が起きやすい。
トナーに関する帯電の立ち上がり性や、帯電の安定性の課題を解決するために、例えば、有機溶媒を含む水性媒体と正帯電性の電荷制御樹脂とからなるエマルジョンと、ポリエステル樹脂である結着樹脂と着色剤とを含むトナー母粒子の懸濁液とを混合して、トナー母粒子の表面に正帯電性の電荷制御樹脂を付着させたトナー(特許文献1)が提案されている。
特開2008−186002号公報
特許文献1に記載のトナーは、帯電の立ち上がり性に優れ所望の帯電量にトナーを短時間で帯電可能であるため初期の現像性に優れる。しかし、特許文献1に記載のトナーでは、正帯電性の電荷制御樹脂はトナー母粒子に単に付着しているだけであるため、印字率の低い印刷が長時間にわたって行われることで、現像装置内でトナーが長時間撹拌されると、電荷制御樹脂が表面から脱落しやすい。かかる場合、ポリエステル樹脂からなるトナー母粒子は負帯電性であるため、負帯電したキャリア等と反発しやすく、トナーの飛散により画像形成装置内を汚染しやすい。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、帯電の立ち上がり性に優れ、優れた現像性を備え、印字率の低い印刷が長時間にわたって行われ、現像装置内でトナーが長時間撹拌されても、トナーの飛散等の問題が起こり難い、耐久性に優れた、正帯電性静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、結着樹脂中に、窒素原子を含む電荷制御剤と電荷制御樹脂との混合物からなる電荷制御ドメインを有し、結着樹脂がポリエステル樹脂であって、電荷制御樹脂は4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーと、スチレン及び/又はアクリルモノマーとの共重合体である4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含み、前記電荷制御ドメインがトナー表面に存在する、正帯電性静電潜像現像用トナーにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 結着樹脂中に、窒素原子を含む電荷制御剤と電荷制御樹脂との混合物からなる電荷制御ドメインを有し、前記結着樹脂はポリエステル樹脂であり、前記電荷制御樹脂は4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーと、スチレン及び/又はアクリルモノマーとの共重合体である4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含み、前記電荷制御ドメインがトナー表面に存在する、正帯電性静電潜像現像用トナー。
(2) 走査型電子顕微鏡により取得した倍率10000倍の画像を用いて、50個以上の前記電荷制御ドメインの分散径を測定した場合の、N1〜N29(Nnは、分散径が(0.01×n)μm以上(0.01×(n+1))μm未満の前記電荷制御ドメインの数であり、nは1以上の正の整数である。)の和の、分散径を測定した前記電荷制御ドメインの総数に対する個数%が98個数%以上であり、トナー断面の面積に対する、前記電荷制御ドメインの面積の和の比率が1〜10面積%である、(1)記載の正帯電性静電潜像現像用トナー。
(3) トナーに含まれる前記窒素原子を含む電荷制御剤の量が、トナーに含まれる前記窒素原子を含む電荷制御剤と前記電荷制御樹脂との質量の合計に対して、1〜10質量%である、(1)又は(2)記載の正帯電性静電潜像現像用トナー。
(4) 前記窒素原子を含む電荷制御剤が、4級アンモニウム塩である、(1)から(3)何れか記載の正帯電性静電潜像現像用トナー。
(5) 前記4級アンモニウム塩官能基含有樹脂における、前記4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーに由来する繰り返し単位の量が、前記4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を構成する全繰り返し単位に対して、0.1〜20モル%である、(1)から(4)何れか記載の正帯電性静電潜像現像用トナー。
本発明によれば、帯電の立ち上がり性に優れ、優れた現像性を備え、現像装置内で長期間撹拌作用を受けた場合でもトナーの飛散等の問題が起こり難い、耐久性に優れた、正帯電性静電潜像現像用トナーを提供できる。
電荷制御ドメインの脱落痕が形成された実施例1のトナーの電子顕微鏡写真示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本発明の正帯電性静電潜像現像用トナー(以下、単にトナーともいう)は、結着樹脂であるポリエステル樹脂に、窒素原子を含む電荷制御剤と、4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーと、スチレン及び/又はアクリルモノマーとの共重合体である4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含む電荷制御樹脂との混合物を分散させて、電荷制御ドメインが形成されており、トナーの表面に電荷制御ドメインが存在するものである。本発明のトナーは、結着樹脂中に、必要に応じ、着色剤、離型剤等を含んでいてもよい。また、本発明のトナーは、所望によりその表面を外添剤により処理されたものであってもよい。さらに、本発明のトナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。
以下、本発明のトナーを構成する必須、又は任意の成分である、結着樹脂、着色剤、離型剤と、電荷制御ドメインと、外添剤と、本発明のトナーを2成分現像剤として使用する場合に用いるキャリアと、正帯電性静電潜像現像用トナーの製造方法について順に説明する。
〔結着樹脂〕
本発明の正帯電性静電潜像現像用トナーは結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる。ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合や共縮重合によって得られるものを使用できる。ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のアルコール成分やカルボン酸成分が挙げられる。
アルコール成分としては2価又は3価以上のアルコールを使用できる。2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類が挙げられる。
カルボン酸成分としては2価又は3価以上のカルボン酸を使用できる。2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキル又はアルケニルコハク酸等の2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸等が挙げられる。これらの2価又は3価以上のカルボン酸成分は、酸ハライド、酸無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成性の誘導体として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
ポリエステル樹脂の軟化点は、80〜150℃が好ましく、90〜140℃がより好ましい。
結着樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲で、ポリエステル樹脂と共に、ポリエスエテル樹脂と相溶であるポリエステル樹脂の他の熱可塑性樹脂を使用できる。
ポリエステル樹脂の他の熱可塑性樹脂の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ポリエステル樹脂の他の熱可塑性樹脂の使用量は、典型的には、ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂の他の熱可塑性樹脂との合計量100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
また、結着樹脂は電荷制御剤を含まない。ここで、電荷制御剤を含まないとは、完全に電荷制御剤が含まれない態様に限定されず、トナーの製造工程において、不可避的に少量の電荷制御剤が混入する場合も含まれる。
〔着色剤〕
本発明の正帯電性静電潜像現像用トナーは、結着樹脂中に着色剤を含んでいてもよい。結着樹脂に配合できる着色剤は、トナーの色に合わせて、公知の顔料や染料を使用できる。トナーに添加する好適な着色剤の具体例としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等の黒色顔料;黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等の黄色顔料;赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGK等の橙色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等の赤色顔料;マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等の紫色顔料;紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC等の青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等の緑色顔料;亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等の白色顔料;バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等の体質顔料が挙げられる。これらの着色剤は、トナーを所望の色相に調整する目的等で2種以上を組み合わせて用いることもできる。
着色剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的には、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、3〜7質量部がより好ましい。
〔離型剤〕
本発明の正帯電性静電潜像現像用トナーは、トナーの定着性や耐オフセット性を向上させる目的で、結着樹脂中に離型剤を含んでいてもよい。結着樹脂に配合できる離型剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。離型剤としてはワックスが好ましく、ワックスの例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等が挙げられる。これらのワックスは2種以上を組み合わせて使用できる。かかる離型剤をトナーに添加することにより、オフセットや像スミアリング(画像をこすった際の画像周囲の汚れ)の発生をより効率的に抑制できる。
離型剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的な離型剤の使用量は、トナー全量を100質量部とした場合に、1〜5質量部が好ましい。離型剤の使用量が過少である場合、オフセットや像スミアリングの発生の抑制について所望の効果が得られない場合があり、離形剤の使用量が過多である場合、トナー同士の融着によって保存安定性が低下する場合がある。
〔電荷制御ドメイン〕
本発明の正帯電性静電潜像現像用トナーは、所望により、着色剤、離型剤、電荷制御剤等を混合された結着樹脂中に、窒素原子を含む電荷制御剤と電荷制御樹脂との混合物を分散させて、窒素原子を含む電荷制御剤と電荷制御樹脂との混合物からなる正帯電性の電荷制御ドメインが形成されており、トナー表面に電荷制御ドメインが存在する。
電荷制御ドメインの形成に用いられる電荷制御樹脂は、4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーと、スチレン及び/又はアクリルモノマーとの共重合体である4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を用いる。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂はそのまま用いることもでき、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂に必要に応じてポリスチレン系樹脂を混合したものを用いることもできる。
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は、4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーと、スチレン及び/又はアクリルモノマーとの共重合体を用いる。かかる4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は結着樹脂であるポリエステル樹脂と非相溶であるので、トナーの表面に所望の状態に分散された電荷制御ドメインを形成しやすい。
4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキル(メタ)アクリルアミド、又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドから第4級化の工程を経て誘導されるモノマーが用いられる。ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、ジアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としてはジメチルメタクリルアミドが挙げられ、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としては、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが挙げられる。3級アミノ基の4級化に用いられる試薬の具体例は、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル等の炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等の炭素原子数1〜6のアルキルエステルである硫酸エステル;塩化ベンジル等の炭素原子数7〜10のハロゲン化アラルキルである。4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーは、2種以上を組み合わせて使用できる。
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂における、4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーに由来する繰り返し単位の量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーに由来する繰り返し単位の好適な量は、具体的には、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を構成する全繰り返し単位に対して、0.1〜20モル%が好ましく、0.5〜10モル%がより好ましい。4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーに由来する繰り返し単位の量が過少である場合、画像濃度の上昇や、カブリ等の画像不良が起こりやすくなる。4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーに由来する繰り返し単位の量が過多である場合、高温高湿下での帯電量の低下、画像濃度の上昇、カブリ等の画像不良が起こりやすくなる。
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂の製造に用いられるアクリルモノマーとしては、種々のアクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体を使用できる。好適なアクリルモノマーの具体例は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド等の他のアクリル酸誘導体である。これらのアクリルモノマーは2種以上を組み合わせて使用できる。
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲で、4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーと、スチレン及び/又はアクリルモノマーと、これらのモノマーの他の付加重合可能な共重合モノマーとを共重合した樹脂であってもよい。共重合モノマーの具体例は、p−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデン等のN−ビニル化合物である。これらの共重合モノマーは、2種以上を組み合わせてスチレン単量体と共重合できる。
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂における、4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマー、スチレン、及びアクリルモノマーの他の共重合モノマーに由来する繰り返し単位の量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を構成する全繰り返し単位に対して、30モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は、以上説明したモノマーを所望の比率で組み合わせて共重合させて調製できる。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を製造する際の重合方法は、特に限定されず、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等任意の方法を選択できる。
電荷制御樹脂は、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を単独で使用できるが、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂とポリスチレン系樹脂とを混合して用いることもできる。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂とポリスチレン系樹脂とを混合して用いる場合、トナーの製造時に結着樹脂と電荷制御樹脂とを溶融混練する際に、電荷制御樹脂が結着樹脂中に特に分散しやすく、所望の状態で電荷制御ドメインが形成されたトナーの製造が容易である。
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂とポリスチレン系樹脂とを混合して使用する場合、その混合方法は両者が均一に混合される限り特に限定されない。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂とポリスチレン系樹脂とを混合する方法の具体例としては、一軸押出機又は二軸押出機等を用いる溶融混練や、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂とポリスチレン系樹脂とを有機溶媒に溶解させた後に、有機溶媒を除去する方法が挙げられる。
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂と混合するポリスチレン系樹脂は、スチレン単独の重合体であってもよく、スチレンとスチレンの他の共重合モノマーとの共重合体であってもよい。スチレンと共に使用できる共重合モノマーの具体例は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド等の他のアクリル酸誘導体;p−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデン等のN−ビニル化合物である。これらの共重合モノマーは、2種以上を組み合わせてスチレン単量体と共重合できる。
ポリスチレン系樹脂における、スチレンに由来する繰り返し単位の量は、ポリスチレン系樹脂を構成する繰り返し単位全量に対して70モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂とポリスチレン系樹脂とを混合して用いる場合の、ポリスチレン系樹脂の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ポリスチレン系樹脂の使用量は、典型的には、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂100質量部に対して20〜200質量部が好ましく、40〜120質量部以下が特に好ましい。
電荷制御ドメインの形成に用いられる窒素原子を含有する電荷制御剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来よりトナーに使用されている窒素原子を含有する電荷制御剤から適宜選択できる。窒素原子を含有する電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEW、及びアジンディーブラック3RL等のアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体等のニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等のニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの、電荷制御剤の中では、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂との親和性に優れ、耐久性に優れたトナーを得やすいことから、4級アンモニウム塩がより好ましい。これらの窒素原子を含有する電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
電荷制御ドメインの形成方法は、特に限定されず、例えば、予め均一に混合された、電荷制御樹脂と電荷制御剤との混合物を、結着樹脂と溶融混練して形成される。電荷制御樹脂と電荷制御剤とを均一に混合する方法は、特に限定されず、溶融混練や、電荷制御剤樹脂と電荷制御剤とを、トルエン、キシレン等の溶媒に溶解させた後に、溶媒を除去する方法等が挙げられる。
電荷制御剤の使用量は、電荷制御剤と電荷制御樹脂との質量の合計に対して、1〜10質量%が好ましく、3〜8質量%がより好ましい。電荷制御剤の使用量が過少であると所望の帯電性を得にくい場合があり、電荷制御剤の使用量が過多であるとトナーの耐久性が損なわれる場合がある。
電荷制御樹脂と電荷制御剤との混合物の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。電荷制御樹脂と電荷制御剤との混合物の使用量は、典型的には、トナー断面の面積に対するトナー断面における電荷制御ドメインの面積の和の比率である電荷制御ドメインの面積率が1〜10%となる量が好ましく、1.5〜5%となる量がより好ましい。電荷制御ドメインの面積率が過小である場合、トナーを所望の帯電量に帯電させ難く、電荷制御ドメインの面積率が過大である場合、トナーが過剰に帯電されやすく画像不良が発生しやすい。
また、結着樹脂中に分散する電荷制御ドメインの分散径(以下、ドメイン径ともいう)は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。電荷制御ドメインは、後述の方法により測定される、ドメイン径が0.01μm以上の電荷制御樹脂のドメインの数に対する、ドメイン径が0.01μm以上0.3μm未満の電荷制御ドメインの個数%(以下、微小ドメイン比率ともいう)が98個数%以上となるように、結着樹脂に中に形成されるのが好ましい。さらに、電荷制御ドメインの分散径は、小さいほうから99個数%目の分散径で0.01〜0.3μmが好ましい。かかる態様で、結着樹脂中に電荷制御ドメインのを形成させることにより、現像性及び耐久性に優れるトナーが得られる。
ドメイン径0.01μm以上の電荷制御ドメインの数に対する、ドメイン径0.01μm以上0.3μm未満の電荷制御ドメインの個数(微小ドメイン比率)、及び結着樹脂中に分散する電荷制御ドメインの分散径と面積率とは、トナーの生産時に得られる結着樹脂と、窒素原子を含む電荷制御剤と電荷制御樹脂との混合物との溶融混練物、又はトナーを紫外線硬化性樹脂等に埋包させた試料を用いて測定できる。具体的には、以下の方法に従って電荷制御ドメインの分散径と面積率とを測定できる。まず、試料の断面を研磨して鏡面に仕上げた後に、試料を58℃にて12時間加熱処理した後、エタノール水溶液(エタノール:水=80:20(体積比))に資料を浸漬して超音波洗浄装置(UT−105S(シャープ株式会社製))にて5分間超音波処理して、電荷制御ドメインが脱落した試料を調製できる。得られた試料の表面における溶融混練物又はトナーの断面を走査型電子顕微鏡により撮影して、結着樹脂中に分散された電荷制御ドメインの脱落痕の二次電子写真画像(倍率10000倍)を取得し、得られた画像を画像解析ソフトウェア(WinROOF(三谷商事株式会社製))にて二値化処理し、電荷制御ドメインの脱落痕の径と、溶融混練物又はトナーの断面における電荷制御ドメインの面積率とを測定できる。なお、微小ドメイン比率と、ドメイン径と、電荷制御ドメインの面積率との測定は、ドメイン径0.01μm以上の電荷制御ドメインを対象に行う。倍率10000倍の電子顕微鏡画像では、ドメイン径0.01μm未満のドメインの観察が困難であるためである。
上記方法に従い、50個以上、好ましくは100〜1000個のドメイン径を測定し、N1〜N29(Nnは、分散径が(0.01×n)μm以上(0.01×(n+1))μm未満の前記電荷制御ドメインの数であり、nは1以上の正の整数である。)の和の、分散径を測定した前記電荷制御ドメインの総数に対する個数%を算出して、0.01μm以上の電荷制御ドメインの数に対する、分散径0.01μm以上0.3μm未満の電荷制御ドメインの個数%を求めることができる。
また、N1〜Nnの和の、分散径を測定した前記電荷制御ドメインの総数に対する個数%の値が、小数点第1位を四捨五入した場合に99個数%となる、最小のnの値を求め、(0.01×n)μmを、結着樹脂中に分散する電荷制御ドメインの小さいほうから99個数%目のドメイン径(μm)とする。
〔外添剤〕
本発明の正帯電性静電潜像現像用トナーは、結着樹脂中に電荷制御ドメインを形成し、粉砕・分級により、所望の粒子径に調整された後に、トナーの流動性、保存安定性、クリーニング性等を改良する目的で外添剤を表面に付着させてもよい。
外添剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来からトナー用に使用されている外添剤から適宜選択できる。好適な外添剤の具体例としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物が挙げられる。これらの外添剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
外添剤の粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、典型的には0.01〜1.0μmが好ましい。
外添剤の体積固有の抵抗値は、外添剤の表面に酸化スズ及び酸化アンチモンからなる被覆層を形成し、被覆層の厚さや、酸化スズと酸化アンチモンとの比率を変えることにより調整できる。
外添剤のトナー母粒子に対する使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。外添剤の使用量は、典型的には、トナー母粒子100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。かかる範囲の量で外添剤を使用する場合、流動性、保存安定性、クリーニング性に優れるトナーを得やすい。
外添剤は、疎水化処理剤により表面を処理したものを用いることができる。疎水化処理された外添剤を用いる場合、高温高湿下での帯電量の低下を抑制しやすく、流動性に優れるトナーを得やすい。疎水化処理剤としては、例えば、アミノシランカップリング剤を用いることができる。アミノシランカップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。疎水化効果を補う為に、アミノシランカップリング剤と、アミノシランカップリング剤以外の疎水化処理剤とを併用できる。アミノシランカップリング剤以外の疎水化処理剤としては、疎水化効果、及びトナーの流動性の改良効果に優れることから、ヘキサメチルジシラザンを用いるのが好ましい。
シリコーンオイルもまた、外添剤の疎水化処理剤として使用できる。シリコーンオイルの種類は、所望の疎水化効果が得られる限り、特に限定されず、従来から疎水化処理剤として用いられている種々のシリコーンオイルを使用できる。シリコーンオイルとしては、直鎖シロキサン構造を有するものが好ましく、非反応性シリコーンオイル、反応性シリコーンオイルの何れも使用できる。シリコーンオイルの具体例としては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロロフェニルシリコーンオイル、アルキルシリコーンオイル、クロロシリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、アルコキシ基含有シリコーンオイル、アセトキシ基含有シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル等が挙げられる。
外添剤の疎水化処理の方法としては、外添剤を高速で撹拌しながら、疎水化処理剤であるアミノシラン、シリコーンオイル等を滴下又は噴霧する方法、撹拌されている疎水化処理剤の有機溶剤溶液中に外添剤を添加する方法が挙げられる。疎水化処理後に加熱することにより疎水化処理された外添剤が得られる。疎水化処理剤を滴下又は噴霧する場合、疎水化処理剤は、そのまま、又は、有機溶剤等により希釈して用いることができる。
〔キャリア〕
本発明の正帯電性静電潜像現像用トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
トナーを2成分現像剤とする場合の好適なキャリアとしては、キャリア芯材が樹脂により被覆されたものが挙げられる。キャリア芯材の具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、コバルト等の粒子や、これらの材料とマンガン、亜鉛、アルミニウム等との合金の粒子、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金等の粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウム等のセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ロッシェル塩等の高誘電率物質の粒子、樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリア等が挙げられる。
キャリアを被覆する樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、アミノ樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
キャリアの粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、電子顕微鏡により測定される粒子径で、20〜200μmが好ましく、30〜150μmがより好ましい。
キャリアの見掛け密度は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。見掛け密度は、キャリアの組成や表面構造によって異なるが、典型的には、2.4〜3.0g/cmが好ましい。
トナーを2成分現像剤として用いる場合、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%が好ましい。2成分現像剤におけるトナーの含有量をかかる範囲とすることにより、適度な画像濃度を維持し、トナー飛散の抑制によって画像形成装置内部の汚染や転写紙等へのトナーの付着を抑制できる。
〔正帯電性静電潜像現像用トナーの製造方法〕
以下、本発明の正帯電性静電潜像現像用トナーの製造方法について説明する。
本発明の正帯電性静電潜像現像用トナーの製造方法は、結着樹脂中に、窒素原子を含む電荷制御剤と電荷制御樹脂との混合物を良好に分散させることができれば特に限定されず、従来知られるトナーの製造方法から適宜選択できる。好適な製造方法としては、例えば、結着樹脂と電荷制御樹脂及び窒素を含有する電荷制御剤の混合物とに、必要に応じて、着色剤、離型剤等の成分を混合後溶融混練し、得られた混練物を粉砕・分級することにより製造できる。正帯電性静電潜像現像用トナーの製造に用いる溶融混練装置は特に限定されず、熱可塑性樹脂の溶融混練に使用される装置から適宜選択できる。溶融混練装置の具体例としては、一軸又は二軸の押出機等が挙げられる。粉砕・分級されたトナーの平均粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、一般的には、5〜10μmが好ましい。
本発明の正帯電性静電潜像現像用トナーは、所定の方法により測定される、ドメイン径が0.01μm以上の電荷制御ドメインの数に対する、ドメイン径0.01μm以上0.3μm未満の電荷制御ドメインの個数%(微小ドメイン比率)が98個数%以上となるように、結着樹脂中に電荷制御ドメインが形成されているのが好ましい。また、結着樹脂中に分散する電荷制御ドメインの小さいほうから99個数%目のドメイン径は0.01〜0.3μmであるのが好ましい。
微小ドメイン比率は、溶融混練条件を適宜調節することにより調整できる。微小ドメイン比率を高めるための方法の具体例としては、溶融混練装置への材料の供給量の低減、及び/又は溶融混練装置内での被混練物の滞留時間の延長が挙げられる。溶融混練装置が押出機である場合、軸の回転数の低下、L/Dの大きな溶融混練装置の使用等により、被混練物の滞留時間を延長できる。
このようにして得られるトナーは、必要に応じて、その表面を外添剤により処理してもよい。外添剤によるトナーの処理方法は特に限定されず、従来知られる外添剤による処理方法から適宜選択できる。具体的には、外添剤の粒子がトナー母粒子に埋め込まれないように処理条件を調整し、ヘンシェルミキサーやナウターミキサー等の混合機によって、外添剤による処理が行われる。
以上説明した、本発明の正帯電性静電潜像現像用トナーは、帯電の立ち上がり性に優れ、優れた現像性を備え、長期にわたって印刷を行った際にトナーの飛散等の問題が起こり難い、耐久性に優れたものであるため、種々の画像形成装置において好適に使用される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例、及び比較例では、電荷制御ドメインに含まれる樹脂として、以下のRES1、及びRES2を用いた。
RES1:4級アンモニウム塩官能基含有樹脂(FCA−196P(藤倉化成株式会社製)、4級アンモニウム塩官能基を有するモノマーに由来する単位の含有量は5モル%である)
RES2:ポリスチレン(G100C(東洋スチレン株式会社製))
また、実施例、及び比較例では、電荷制御ドメインに含まれる窒素原子を含む電荷制御剤として、以下のCCA1、及びCCA2を用いた。
CCA1:4級アンモニウム塩電荷制御剤、BONTRON P−51(オリヱント化学工業株式会社製)
CCA2:アジン系化合物電荷制御剤、BONTRON N−21(オリヱント化学工業株式会社製)
〔実施例1〕
(電荷制御ドメイン材料の製造)
電荷制御ドメイン材料を下記の方法に従い調製した。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂(RES1)50質量部、及び4級アンモニウム塩電荷制御剤(CCA1)4質量部をトルエン500質量部に溶解させた。得られた溶液の溶媒を50℃で減圧下に除去し、電荷制御ドメイン材料1(CCD−1)を得た。
(トナーの製造)
ポリエステル樹脂(結着樹脂、タフトンNE−7200(花王株式会社製))100質量部、カルナバワックス(離型剤、C1(加藤洋行株式会社製))5.5質量部、カーボンブラック(着色剤、MA100(三菱化学株式会社製))4質量部、及び電荷制御ドメイン材料1(CCD1)8.8質量部を、ヘンシェルミキサー(FM−20B(日本コークス株式会社製))を用いて、240rpmの条件にて混合した。得られた混合物を、二軸押出機(PCM−30(株式会社池貝製))を用いて、材料供給速度5kg/hr、軸回転数160rpm、シリンダー温度130℃の条件にて溶融混練した後冷却し、得られた混練物をロートプレックスミル(8/16型(株式会社東亜器機製作所製))にて粗粉砕した後、ジェットミル(超音波ジェットミルI型(日本ニューマチック工業株式会社製))で微粉砕し、得られた微粉砕品をエルボージェット(EJ−LABO型(日鉄鉱業株式会社製))で分級して、体積平均粒子径6.8μmの黒色のトナーを得た。得られたトナー100質量部に対して、外添剤として、疎水性シリカ微粒子(RA−200H(日本アエロジル株式会社製)1質量部、及び酸化チタン微粒子(ST−100(チタン工業株式会社製))0.5質量部を加え、ヘンシェルミキサー(FM−20B(日本コークス株式会社製))により混合して、外添処理されたトナーを得た。
得られたトナーを用い、下記方法に従ってトナー表面の電荷制御ドメインの存在を確認した。その結果、トナー表面に電荷制御ドメインの脱落痕が観察され、トナー表面に電荷制御ドメインが形成されていたことを確認できた。
<電荷制御ドメイン確認方法>
トナー60±0.1mgを50mlのサンプル管に精秤した後、エタノール水溶液(エタノール:水=80:20(体積比))10mlをサンプル管に加えた。サンプル管を、水位15mmとなるように水が張り込まれた超音波洗浄機(UT−105S(シャープ株式会社製))に浸し、目盛りを最大にして、5分間超音波を照射した。超音波処理されたサンプル管内の試料を、ろ紙(No.2(東洋濾紙株式会社製))によりろ過してトナーを回収し、回収したトナーを真空乾燥した。乾燥されたトナーを、走査型電子顕微鏡(JSM−7600F(日本電子株式会社製))により二次電子写真画像(倍率10,000)を取得し、得られたトナーのSEM写真から、トナー表面の電荷制御ドメインの脱落痕の有無により電荷制御ドメインが形成されているか否かを確認した。実施例1のトナーについて、電荷制御ドメインの脱落痕が形成されたトナーの二次電子写真画像を図1に示す。図1によれば、トナー表面に電荷制御ドメインの脱落痕が確認でき、実施例1のトナーでは、電荷制御ドメインがトナー表面に形成されていることが分かる。
また、得られたトナーについて、下記の方法に従って、ドメイン径が0.01μm以上の電荷制御ドメインの数に対する、ドメイン径0.01μm以上0.3μm未満の電荷制御ドメインの個数%(微小ドメイン比率)、電荷制御ドメインの小さいほうから99個数%目のドメイン径、及び面積率を測定した。
<微小ドメイン比率と、電荷制御ドメインのドメイン径及び面積率との測定>
トナーの製造工程において二軸押出機による溶融混練により得られた混練物を、研磨機(ドクターラップML−180SL(株式会社マルトー製))に装着し、#220、#800、#2000の順にサンドペーパーにより研磨した。さらに、粒子径3μmのダイヤモンドスラリー、粒子径1μmのダイヤモンドスラリー、粒子径0.1μmのアルミナを順に用いて研磨し、混練物の表面を鏡面仕上げした。鏡面仕上げされた溶融混練物の試料を58℃にて12時間加熱した後、エタノール水溶液(エタノール:水=80:20(体積比))に浸漬して超音波洗浄機(UT−105S(シャープ株式会社製))にて5分間超音波処理した。超音波処理により、試料表面の電荷制御ドメインが脱落し、電荷制御ドメインの脱落痕が形成される。超音波処理された試料を乾燥した後、走査型電子顕微鏡(JSM−7600F(日本電子株式会社製))により、試料の表面の二次電子写真画像(倍率10000倍)を撮影した。撮影したSEM写真を、画像解析ソフトウェア(WinROOF(三谷商事株式会社製))にて二値化処理し、電荷制御ドメインの脱落痕の小さいほうから99個数%目の径と、試料の表面における電荷制御ドメインの面積率とを測定した。なお、微小ドメイン比率と、ドメイン径と、電荷制御ドメインの面積率との測定は、ドメイン径0.01μm以上の電荷制御ドメインを対象に行った。
上記方法に従い、324個の電荷制御ドメインのドメイン径を測定し、N1〜N29(Nnは、分散径が(0.01×n)μm以上(0.01×(n+1))μm未満の電荷制御ドメインの数であり、nは1以上の正の整数である。)の和の、分散径を測定した電荷制御ドメインの総数に対する個数%を算出して、ドメイン径0.01μm以上の電荷制御ドメインの数に対する、ドメイン径0.01μm以上0.3μm未満の電荷制御樹ドメインの個数%を求めた。
また、N1〜Nnの和の、分散径を測定した電荷制御ドメインの総数に対する個数%の値が、小数点第1位を四捨五入した場合に99%となる、最小のnの値を求め、(0.01×n)μmを、結着樹脂中に分散する電荷制御ドメインの小さいほうから99個数%目のドメイン径(μm)とした。
さらに、得られたトナーを用いて、下記の方法に従って、現像性と耐久性とを評価した。
<現像性>
TASKalfa500ci(複合機(京セラミタ株式会社製))用の現像剤に使用されているキャリアと、外添処理されたトナーとを、現像剤全量の質量に対してトナーの比率が12質量%となるように混合し、ボールミルにて30分処理して2成分現像剤を調製した。
得られた2成分現像剤を京セラミタ株式会社製複合機(TASKalfa500ci)の黒色用現像部にインストールして、現像スリーブとマグネットロールとの間の電圧(ΔV)を250V、マグネットロールに印加する交流電圧(Vpp)を2.0kVに設定し、紙無しでコピーを行い、3cm×3cmのソリッド画像を中間転写体上に現像した。中間転写体上のトナーを、QMメーター(MODEL 210HS−1:トレック・ジャパン株式会社製)を用いて目開き5μmのフィルターにより捕集し、捕集されたトナーの重量を測定して、中間転写体上に形成されたソリッド画像における単位面積当たりのトナー量であるトナー現像量(mg/cm)を測定した。また、QMメーター(MODEL 210HS−1:トレック・ジャパン株式会社製)によりトナーの帯電量を測定した。トナー現像量について、トナー現像量0.8mg/cm以上を良と判定し、0.8mg/cm未満を不良と判定した。帯電量について、20〜27μC/gを良と判定し、20μC/g未満、及び27μC/g超を不良と判定した。
<耐久性>
現像性評価に使用した複合機を、紙に印字可能な状態とし、常温常湿度の環境(20℃、60%RH)において、印字率5%で1万枚印字を行う耐久試験を行った。耐久試験後に、複合機内部で飛散したトナーの重量を計測した。また、耐久試験後のトナーの帯電量をQMメーター(MODEL 210HS−1:トレック・ジャパン株式会社製)により測定した。さらに、耐久試験後のトナーについて、トナーの飛散性の指標となる逆帯電しているトナーの量(質量%)をイースパートアナライザ(EST−III型(ホソカワミクロン株式会社製))を用いて測定した。飛散したトナーの重量については、100mg以下を良と判定し、100mg超を不良と判定した。トナーの帯電量については、12〜27μC/gを良と判定し、12μC/g未満、及び27μC/g超を不良と判定した。逆帯電トナー量については1質量%以下を良と判定し、1質量%超を不良と判定した。
〔実施例2〕
電荷制御ドメイン材料1(CCD1)の使用量を16.5質量部に変えることの他は、実施例1と同様にして、外添処理されたトナーを得た。実施例2で得たトナーの、微小ドメイン比率と、電荷制御ドメインの小さいほうから99個数%目のドメイン径及びトナー断面の面積に対する面積率と、現像性と、耐久性との評価結果を表1に記す。なお、ドメイン径を測定した電荷制御ドメインの総数は224個であった。
〔実施例3〕
電荷制御ドメイン材料1(CCD1)の使用量を4.4質量部に変えることの他は、実施例1と同様にして、外添処理されたトナーを得た。実施例3で得たトナーの、微小ドメイン比率と、電荷制御ドメインの小さいほうから99個数%目のドメイン径及びトナー断面の面積に対する面積率と、現像性と、耐久性との評価結果を表1に記す。なお、ドメイン径を測定した電荷制御ドメインの総数は203個であった。
〔実施例4〕
(電荷制御ドメイン材料の製造)
電荷制御ドメイン材料を下記の方法に従い調製した。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂(RES1)50質量部、及びアジン系化合物電荷制御剤(CCA2)5質量部をトルエン500質量部に溶解させた。得られた溶液の溶媒を50℃で減圧下に除去し、電荷制御ドメイン材料2(CCD2)を得た。
(トナーの製造)
電荷制御剤ドメイン材料1(CCD1)を電荷制御ドメイン材料2(CCD2)に変えることの他は、実施例1と同様にして、外添処理されたトナーを得た。実施例4で得たトナーの、微小ドメイン比率と、電荷制御ドメインの小さいほうから99個数%目のドメイン径及びトナー断面の面積に対する面積率と、現像性と、耐久性との評価結果を表1に記す。なお、ドメイン径を測定した電荷制御ドメインの総数は425個であった。
〔実施例5〕
(電荷制御ドメイン材料の製造)
電荷制御ドメイン材料を下記の方法に従い調製した。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂(RES1)30質量部、ポリスチレン(RES2)23質量部、及び4級アンモニウム塩電荷制御剤(CCA1)4質量部をトルエン500質量部に溶解させた。得られた溶液の溶媒を50℃で減圧下に除去し、電荷制御ドメイン材料3(CCD3)を得た。
(トナーの製造)
電荷制御ドメイン材料を電荷制御剤ドメイン材料1(CCD1)から電荷制御ドメイン材料3(CCD3)に変え、電荷得制御ドメイン材料の使用量を8.8質量部から11.4質量部に変えることの他は、実施例1と同様にして、外添処理されたトナーを得た。実施例5で得たトナーの、微小ドメイン比率と、電荷制御ドメインの小さいほうから99個数%目のドメイン径及びトナー断面の面積に対する面積率と、現像性と、耐久性との評価結果を表1に記す。なお、ドメイン径を測定した電荷制御ドメインの総数は121個であった。
〔比較例1〕
電荷制御ドメイン材料1(CCD1)に変えて、混合されていない、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂(RES1)8.0質量部と4級アンモニウム塩電荷制御剤(CCA1)0.8質量部とを用いることの他は、実施例1と同様にして、外添処理されたトナーを得た。比較例1で得たトナーの、微小ドメイン比率と、電荷制御ドメインの小さいほうから99個数%目のドメイン径及びトナー断面の面積に対する面積率と、現像性との評価結果を表1に記す。なお、ドメイン径を測定した電荷制御ドメインの総数は67個であった。また、比較例1で得たトナーについては、現像性が不良であったため、耐久性の評価を行わなかった。
〔比較例2〕
4級アンモニウム塩電荷制御剤(CCA1)の使用量を3.0質量部に変えることの他は、比較例1と同様にして、外添処理されたトナーを得た。比較例2で得たトナーの、微小ドメイン比率と、電荷制御ドメインの小さいほうから99個数%目のドメイン径及びトナー断面の面積に対する面積率と、現像性と、耐久性との評価結果を表1に記す。なお、ドメイン径を測定した電荷制御ドメインの総数は84個であった。
〔比較例3〕
電荷制御ドメイン材料1(CCD1)に変えて、4級アンモニウム塩電荷制御剤(CCA1)3.0質量部を用いることの他は、実施例1と同様にして、外添処理されたトナーを得た。比較例3で得たトナーの、現像性と、耐久性との評価結果を表1に記す。
〔比較例4〕
(電荷制御ドメイン材料の製造)
電荷制御ドメイン材料を下記の方法に従い調製した。ポリスチレン(RES2)50質量部、及び4級アンモニウム塩電荷制御剤(CCA1)5質量部をトルエン500質量部に溶解させた。得られた溶液の溶媒を50℃で減圧下に除去し、電荷制御ドメイン材料4(CCD4)を得た。
(トナーの製造)
電荷制御剤ドメイン材料1(CCD1)を電荷制御ドメイン材料4(CCD4)に変えることの他は、実施例1と同様にして、外添処理されたトナーを得た。比較例4で得たトナーの、微小ドメイン比率と、電荷制御ドメインの小さいほうから99個数%目のドメイン径と、現像性と、耐久性との評価結果を表1に記す。なお、ドメイン径を測定した電荷制御ドメインの総数は177個であった。
実施例1〜5のトナーは、ポリエステル樹脂と非相溶の電荷制御樹脂に窒素原子を含む電荷制御剤を含有させた後に、電荷制御樹脂とポリエステル樹脂とを溶融混練して、トナーの表面に電荷制御ドメインを形成させているため、電荷制御樹脂に含まれる窒素原子を含む電荷制御剤は、殆どポリエステル樹脂に分配しない。このため、実施例1〜5のトナーは、トナー表面において、電荷制御剤が電荷制御ドメインに集中して存在するため、良好な帯電性を示し現像性に優れている。また、電荷制御剤と電荷制御樹脂とは化学構造が類似しており親和性が高く、電荷制御ドメインに存在する電荷制御剤はトナーを長期間使用しても容易に脱落しにくいため、実施例1〜5では耐久性に優れたトナーが得られた。
比較例1によれば、事前に均一に混合されていない窒素原子を含む電荷制御剤と電荷制御樹脂とをポリエステル樹脂に配合してトナーを調製する場合、トナーの帯電量が高くなりすぎることが分かる。このため、比較例1では現像性に優れたトナーが得られなかった。
比較例2のトナーは、比較例1のトナーに対して窒素原子を含む電荷制御剤の使用量を大幅に増やしたものであるため、トナー表面に多量の電荷制御剤が露出し、現像性に優れたトナーが得られた。しかし、比較例2のトナーでは、電荷制御剤の大部分はトナー表面のポリエステル樹脂の部分に露出しており、ポリエステル樹脂と電荷制御剤との親和性がさほど高くないことから、トナーを長期間使用した際に、トナー表面から容易に電荷制御剤が脱落してしまう。このため、比較例2のトナーは、耐久性に劣っている。
比較例3のトナーは、電荷制御樹脂を用いることなく、比較例2と同量の窒素原子を有する電荷制御剤を直接ポリエステル樹脂に配合して調製された。このため、トナー表面には比較例2のトナーとほぼ同様に電荷制御剤が露出しているので、比較例2と同様に現像性に優れたトナーが得られた。しかし、比較例3のトナーは、比較例2のトナーと同様の理由により、耐久性に劣っている。
比較例4のトナーは、ポリエステル樹脂と非相溶であるポリスチレンに窒素原子を含む電荷制御剤を含有させた後に、電荷制御剤とポリスチレンとの混合物、及びポリエステル樹脂を溶融混練して、トナーの表面に電荷制御ドメインを形成させているため、ポリスチレンに含まれる窒素原子を含む電荷制御剤は、殆どポリエステル樹脂に分配しない。このため、比較例4のトナーは、トナー表面において、電荷制御剤が電荷制御ドメインに集中して存在するため、良好な帯電性を示し現像性に優れている。しかし、電荷制御剤とポリスチレンとは、さほど親和性が高くないため、トナーを長期間使用した際に、電荷制御剤が電荷制御ドメインから容易に脱落してしまう。このため、比較例4のトナーは耐久性に劣る。
また、実施例3、及び5によれば、電荷制御ドメインの小さいほうから99個数%目のドメイン径を0.3μm以下とし、電荷制御ドメインの結着樹脂に対する面積率を1〜10面積%とした場合、初期の現像性に特に優れ、且つ耐久性に優れるトナーが得られることが分かる。
さらに、実施例1、及び4によれば、窒素原子を含む電荷制御剤が4級アンモニウム塩である場合、他の化学構造(アジン系)の窒素原子を含む電荷制御材を用いる場合と比較して、現像性、耐久性の双方に特に優れるトナーが得られることが分かる。

Claims (5)

  1. 少なくとも、電荷制御樹脂と窒素原子を含む電荷制御剤とを予め混合して得られる混合物と、結着樹脂とを溶融混錬して得られる正帯電性静電潜像現像用トナーであって、
    前記結着樹脂中に、前記混合物からなる電荷制御ドメインを有し、
    前記結着樹脂はポリエステル樹脂であり、
    前記電荷制御樹脂は4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーと、スチレン及び/又はアクリルモノマーとの共重合体である4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含み、
    前記電荷制御ドメインがトナー表面に存在する、正帯電性静電潜像現像用トナー。
  2. 走査型電子顕微鏡により取得した倍率10000倍の画像を用いて、50個以上の前記電荷制御ドメインの分散径を測定した場合の、N1〜N29(Nnは、分散径が(0.01×n)μm以上(0.01×(n+1))μm未満の前記電荷制御ドメインの数であり、nは1以上の正の整数である。)の和の、分散径を測定した前記電荷制御ドメインの総数に対する個数%が98個数%以上であり、トナー断面の面積に対する、前記電荷制御ドメインの面積の和の比率が1〜10面積%である、請求項1記載の正帯電性静電潜像現像用トナー。
  3. トナーに含まれる前記窒素原子を含む電荷制御剤の量が、トナーに含まれる前記窒素原子を含む電荷制御剤と前記電荷制御樹脂との質量の合計に対して、1〜10質量%である、請求項1又は2記載の正帯電性静電潜像現像用トナー。
  4. 前記窒素原子を含む電荷制御剤が、4級アンモニウム塩である、請求項1から3何れか記載の正帯電性静電潜像現像用トナー。
  5. 前記4級アンモニウム塩官能基含有樹脂における、前記4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーに由来する繰り返し単位の量が、前記4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を構成する全繰り返し単位に対して、0.1〜20モル%である、請求項1から4何れか記載の正帯電性静電潜像現像用トナー。
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