JP5758871B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、静電荷像現像用トナーに関する。
一般に電子写真法においては、静電潜像担持体の表面を、コロナ放電等を用いて帯電させた後、レーザー等を用いて露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成し、さらにこのトナー像を記録媒体に転写して高品質な画像を得ている。通常このような電子写真法に適用するトナーには熱可塑性樹脂のような結着樹脂に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、磁性材料のような成分を混合して混練、粉砕、分級を行い平均粒径5μm以上10μm以下のトナー粒子としたものが用いられる。このような、トナーに含まれる材料の混練と、混練物の粉砕と、粉砕物の分級と、を含むトナーの製造法は「粉砕法」と呼ばれている。そしてトナーに流動性を付与したり、トナーの帯電制御を行ったり、クリーニング性を向上させたりする目的で、シリカや酸化チタンのような無機微粉末がトナーに外添されている。
このようなトナーに関して、省エネルギー化、装置の小型化のような観点から、定着ローラーを極力加熱することなく良好に定着可能な、低温定着性に優れるトナーが望まれている。しかし、低温定着性に優れるトナーは、融点やガラス転移点の低い結着樹脂や、低融点の離型剤を使用していることが多く、一般的に、高温で保存する場合に凝集しやすい。トナーに凝集が生じた場合、凝集したトナー粒子の帯電特性が他の凝集していないトナー粒子に比較して変化してしまう。この場合、凝集したトナー粒子が、出力画像の画像とは関係のない場所に付着し、定着された出力画像に色点が発生する問題もある。
一方、環境負荷低減の観点から、高硬度であるアモルファスシリコンからなる感光層を備える静電潜像担持体(感光体)が使用されることが多い。高硬度の感光層を備えるこのような感光体は、極めて長期間使用することができる。また、アモルファスシリコンからなる感光層を備える感光体は正帯電性トナーと組み合わせて使用される。このため、アモルファスシリコンからなる感光層を備える感光体を用いる場合、トナーを安定して正帯電させるために、一般的に、トナー中に4級アンモニウム塩官能基のような正帯電性の官能基を有する化合物が加えられる。
このようなトナーとして、結着樹脂微粒子と着色剤微粒子との凝集粒子を加熱して融着させたトナーの粒子の表面に、アミノ基含有化合物により疎水化処理された外添剤が付着しており、電化制御剤として、4級アンモニウム塩官能基含有アクリレート単位を含む重合体をトナーの粒子中に含む、正帯電性トナーが提案されている(特許文献1参照)。
国際公開第2007/114502号公報
しかし、特許文献1に記載のトナーでは、結着樹脂微粒子及び着色剤微粒子に、電荷制御剤として4級アンモニウム塩官能基含有アクリレート単位を含む重合体の微粒子を加えて凝集させる場合に、結着樹脂微粒子や着色剤微粒子の分散液に含まれるアニオン性の界面活性剤や、結着樹脂や着色剤が有するアニオン性の官能基の影響から、電荷制御剤の微粒子の分散安定性が損なわれ、電荷制御剤の微粒子が瞬時に凝集しやすい。
電荷制御剤が4級アンモニウム塩官能基含有アクリレート単位を含む重合体が瞬時に凝集してしまうと、微粒子の良好な凝集が阻害されたり、得られるトナー粒子が所望する量の電荷制御剤を含まなかったり、電荷制御剤が得られるトナー中に偏在したりする。電荷制御剤が凝集粒子としてトナー中に偏在する場合、低印字率で長期間にわたり画像を形成する際に、トナーが長時間ストレスを受けることで、電荷制御剤の凝集粒子のトナーからの脱落が生じやすい。トナーから電荷制御剤の凝集粒子が脱落してしまうと、所望する帯電量にトナーを帯電させにくく、これに伴いかぶりのような画像不良が発生しやすくなる。
また、トナー中に正帯電性の電荷制御剤の凝集粒子が存在する場合、電荷制御剤の凝集粒子と、結着樹脂や着色剤が有するアニオン性の官能基や、トナー中に残存するアニオン性の界面活性剤との間に生じる静電気的な作用から、現像器内でトナーが凝集しやすい問題もある。
さらに、トナーを所望の帯電量に帯電させるには、ある程度多量の電荷制御剤を用いるのが好ましい。しかし、特許文献1に記載のトナーでは、電荷制御剤である4級アンモニウム塩官能基含有アクリレート単位を含む重合体の使用量を増やすと、上記の種々の問題が顕著になる。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、色点やかぶりのような形成画像での画像不良を抑制でき、現像器内でトナーが長時間撹拌されても、所望する帯電量に帯電される、静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、静電荷像現像用トナーについて、トナー粒子の表層を、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子と、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含み、コア粒子を被覆するコート層と、からなる樹脂微粒子を用いて形成することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
本発明は、トナー粒子の表層が、樹脂微粒子を用いて形成され、
前記樹脂微粒子が、コア粒子と、前記コア粒子を被覆するコート層とからなり、
前記コア粒子が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含み、
前記コート層が、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含む、静電荷像現像用トナーに関する。
本発明によれば、色点やかぶりのような形成画像での画像不良を抑制でき、現像器内でトナーが長時間撹拌されても、所望する帯電量に帯電される、静電荷像現像用トナーを提供することができる。また、本発明によれば、前述の静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、トナーともいう)は、トナー粒子が、コア粒子と、コア粒子を被覆するコート層とからなる樹脂微粒子を用いて形成される。コア粒子は、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含む。コート層は、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含む。コア粒子に含まれる4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は、その基本骨格が、(メタ)アクリル系樹脂、又はスチレン−(メタ)アクリル系樹脂である場合がある。しかし、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、「4級アンモニウム塩官能基を有する」のような記載なく、単に「(メタ)アクリル系樹脂」、及び「スチレン−(メタ)アクリル系樹脂」と記載する場合、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂は、4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂、及び4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル系樹脂を含まない。
本発明のトナーは、その表面を外添剤により処理されたものであってもよい。本出願の明細書及び特許請求の範囲では、外添剤による処理の対象粒子を「トナー母粒子」と記す。
本出願の明細書及び特許請求の範囲では、トナーが外添剤を含むか否かによらず、「トナー母粒子」に相当する粒子を「トナー粒子」と記す。
上記の通り、本発明のトナーは、コア粒子と、コア粒子を被覆するコート層とからなる樹脂微粒子を用いて形成される。また、本発明のトナーは後述するようにコア−シェル構造であってもよい。本出願の、明細書及び特許請求の範囲では、トナー粒子を構成する材料である樹脂微粒子の中心粒子を「コア粒子」と記し、コア粒子を被覆する層を「コート層」と記す。また、本出願の、明細書及び特許請求の範囲では、コア−シェル構造のトナーについて、トナー粒子の中心粒子を「トナーコア粒子」と記し、トナーコア粒子を被覆する層を「シェル層」と記す。
本発明のトナーの例としては、トナーコア粒子と、トナー粒子の表層であって、トナーコア粒子を被覆するシェル層とからなる、コア−シェル構造をとるコア−シェル型トナーが挙げられる。また、本発明のトナーの他の例としては、トナー粒子が、結着樹脂や着色剤のようなトナー成分を溶融混練したり、結着樹脂や着色剤のようなトナー成分を含む微粒子を凝集させた後に加熱して合一化させたりする方法で得られる、表面にシェル層を備えない、非コア−シェル型トナーが挙げられる。本発明のトナーは、必要に応じて、キャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。以下、本発明のトナーについて、コア−シェル型トナーと、非コア−シェル型トナーと、2成分現像剤との順で説明する。
≪コア−シェル型トナー≫
前述の通り、コア−シェル型トナーは、トナーコア粒子と、トナーコア粒子を被覆するシェル層からなるコア−シェル構造のトナーである。コア−シェル型トナー中のシェル層は、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子が、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含む材料からなるコート層により被覆されている樹脂微粒子を用いて形成される。
コア−シェル型トナー中のトナーコア粒子は、結着樹脂中に、必要に応じて、離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような成分が配合されたものである。以下、コア−シェル型トナーについて、トナーコア粒子、及びシェル層と、コア−シェル型トナーの製造方法について順に説明する。
[トナーコア粒子]
トナーコア粒子は、結着樹脂を含む。トナーコア粒子は、必要に応じて、結着樹脂中に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び磁性粉のような成分を含んでいてもよい。以下、トナーコア粒子の必須又は任意の成分である、結着樹脂、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉と、について順に説明する。
〔結着樹脂〕
トナーコア粒子に含まれる結着樹脂は、従来からトナー用の結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に制限されない。結着樹脂の具体例としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、トナー中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、トナーの用紙に対する定着性の面から、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂が好ましい。以下、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂について説明する。
スチレン−(メタ)アクリル系樹脂は、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体である。スチレン系モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレンが挙げられる。(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合ないし共縮重合で得られるものを使用することができる。ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下の2価又は3価以上のアルコール成分や2価又は3価以上のカルボン酸成分が挙げられる。
2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのようなジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAのようなビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンのような3価以上のアルコール類が挙げられる。
2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸のようなアルキル、又はアルケニルコハク酸のような2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸のような3価以上のカルボン酸が挙げられる。これらの2価、又は3価以上のカルボン酸成分は、酸ハライド、酸無水物、低級アルキルエステルのようなエステル形成性の誘導体として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
結着樹脂としては、トナーの用紙に対する定着性が良好であることから熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、熱可塑性樹脂単独で使用するだけでなく、熱可塑性樹脂に架橋剤や熱硬化性樹脂を添加することができる。結着樹脂内に一部架橋構造を導入することで、トナーの用紙に対する定着性を低下させることなく、トナーの保存安定性、形態保持性、耐久性のような特性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂と共に使用できる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂やシアネート系樹脂が好ましい。好適な熱硬化性樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、シアネート樹脂が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用できる。
結着樹脂の軟化点は特に限定されず、典型的には、60℃以上100℃以下が好ましく、70℃以上95℃以下がより好ましい。結着樹脂の軟化点が高すぎると、トナーの現像スリーブへの付着は抑制されるが、トナーを低温で良好に定着させにくくなる場合がある。結着樹脂の軟化点が低すぎると、トナーの現像スリーブへの付着や、トナーの耐熱保存性が損なわれる場合がある。結着樹脂の軟化点は、以下の方法に従って測定することができる。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、50℃以上65℃以下が好ましく、50℃以上60℃以下がより好ましい。結着樹脂のガラス転移点が低すぎる場合、画像形成装置の現像部の内部でトナー同士が融着したり、保存安定性の低下に起因して、トナー容器の輸送時や倉庫での保管時にトナー同士が一部融着したりする場合がある。また、ガラス転移点が高すぎる場合、結着樹脂の強度が低下し、潜像担持部(像担持体:感光体)にトナーが付着しやすい。ガラス転移点が高すぎる場合、トナーが低温で良好に定着しにくい傾向がある。
〔離型剤〕
トナーコア粒子は必要に応じて、離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、通常、トナーの定着性や耐オフセット性を向上させる目的で使用される。離型剤の種類は、従来からトナー用の離型剤として使用されているものであれば特に限定されない。
好適な離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス、及び酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、及びライスワックスのような植物系ワックス;みつろう、ラノリン、及び鯨ろうのような動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、及びベトロラクタムのような鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、及びカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステルを一部、又は全部を脱酸化したワックスが挙げられる。
離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましく、5質量部以上20質量部以下がより好ましい。離型剤の使用量が過少である場合、形成画像でのオフセットや像スミアリングの発生の抑制について所望の効果が得られない場合がある。離型剤の使用量が過多である場合、トナー同士の融着に起因して、トナーの保存安定性が低下する場合がある。
〔着色剤〕
トナーコア粒子は必要に応じて、着色剤を含んでいてもよい。トナーコア粒子に含有させる着色剤としては、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。トナーコア粒子に含有させることができる好適な着色剤の具体例としては以下の着色剤が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤としては後述するイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤のような着色剤を用いて黒色に調色された着色剤も利用することができる。トナーがカラートナーである場合に、コア粒子に配合される着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、シアン着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、イエロー着色剤として、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、194;ネフトールイエローS、ハンザイエローG、及びC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物が挙げられる。具体的にはマゼンタ着色剤として、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、及び254が挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、シアン着色剤としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66;フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、及びC.I.アシッドブルーが挙げられる。
トナーコア粒子に配合される着色剤の量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、3質量部以上10質量部以下がより好ましい。
〔電荷制御剤〕
トナーコア粒子は必要に応じて、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、トナーの帯電レベルの安定性や、所定の帯電レベルに短時間でトナーを帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。本発明のトナーは、トナー粒子の表層が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子と、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含むコート層とから構成されている樹脂微粒子を用いて形成されているため、正帯電性トナーとして使用される。このため、電荷制御剤としては正帯電性の電荷制御剤が使用される。
正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリンのようなアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEW、及びアジンディープブラック3RLのようなアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体のようなニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZのようなニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライドのような4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの正帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
官能基として、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、又はカルボキシル基を有する樹脂も正帯電性の電荷制御剤として使用できる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル樹脂、カルボキシル基を有するスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂が挙げられる。これらの樹脂の分子量は、オリゴマーであってもポリマーであってもよい。
正帯電性の電荷制御剤の使用量は、典型的には、トナー全量を100質量部とした場合に、0.5質量部以上5質量部以下が好ましく、1質量部以上3質量部以下がより好ましい。電荷制御剤の使用量が過少である場合、所定の極性にトナーを安定して帯電させにくいため、形成画像の画像濃度が所望する値を超え不必要なほど高くなり画質の低下を招いたり、かぶりが形成画像に生じたりする場合がある。電荷制御剤の使用量が過多である場合、低温低湿下で帯電量が高くなりすぎることにより形成画像の画像濃度が所望する値より低くなる場合がある。
〔磁性粉〕
トナーコア粒子は必要に応じて、磁性粉を含んでいてもよい。好適な磁性粉の例としては、フェライト、マグネタイトのような鉄;コバルト、ニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。このような範囲の粒子径の磁性粉を用いる場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させやすい。
磁性粉の使用量は、トナーを1成分現像剤として使用する場合、トナー全量を100質量部とした場合に、35質量部以上60質量部以下が好ましく、40質量部以上60質量部以下がより好ましい。磁性粉の使用量が過多である場合、長期間にわたり画像を形成する際に、形成した画像の画像濃度を所望の画像濃度に維持しにくかったり、定着性が極度に低下したりする場合がある。磁性粉の使用量が過少である場合、形成画像にかぶりが発生しやすくなることに起因して、形成した画像の画像濃度を長期間に渡って所望する値に維持することが困難になる場合がある。また、トナーを2成分現像剤として使用する場合、磁性粉の使用量は、トナー全量を100質量部とした場合に、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
[シェル層]
本発明のコア−シェル型トナーは、トナーコア粒子の表面が、トナー粒子の表層であるシェル層により被覆されている。シェル層は、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子が、帯電性官能基を有さない特定の樹脂を含む材料からなるコート層により被覆されている樹脂微粒子を用いて形成される。以下、シェル層を形成する樹脂微粒子について、コア粒子と、コート層と、樹脂微粒子の製造方法とについて説明する。
〔樹脂微粒子〕
(コア粒子)
コア粒子に含まれる4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は、4級アンモニウム塩官能基を有する樹脂であれば特に限定されない。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂としては、耐熱保存性に優れるトナーを得やすいことから、4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂、及び4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は2種以上を組み合わせて使用してもよい。以下、4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂、及び4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル系樹脂と、について順に説明する。
・4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂
4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂を調製する方法は特に限定されない。4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂の調製方法の例としては、4級アンモニウム塩官能基を有するモノマーと、(メタ)アクリル系モノマーとを含むモノマーを重合する方法や、4級アンモニウム基を有するモノマーと、(メタ)アクリル系モノマーとを含むモノマーを重合した後、得られる樹脂中の4級アンモニウム基を、4級アンモニウム塩官能基に変換する方法や、3級アミノ基を有するモノマーと、(メタ)アクリル系モノマーとを含むモノマーを重合した後、3級アミノ基を4級アンモニウム塩官能基に変換する方法が挙げられる。
これらの方法の中では、容易に目的とする樹脂が得られることから、4級アンモニウム塩官能基を有するモノマーと、(メタ)アクリル系モノマーとを含むモノマーを重合する方法が、より好適である。以下、この方法に用いられるモノマーについて説明する。
4級アンモニウム塩官能基を有するモノマーは、3級アミノ基を有するモノマー中の3級アミノ基を、4級アンモニウム塩官能基に変換することで調製できる。3級アミノ基を有するモノマーとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド、及びジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドが好ましい。ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレートが挙げられ、ジアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としては、ジメチルメタクリルアミドが挙げられ、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としては、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが挙げられる。
3級アミノ基の4級化に用いられる試薬としては、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチルのような炭素原子数1以上6以下のハロゲン化アルキル;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、ベンゼンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸メチルのような炭素原子数1以上6以下のアルキルエステルである硫酸エステル;塩化ベンジルのような炭素原子数7以上10以下のハロゲン化アラルキルが挙げられる。
4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂の調製に用いられる、(メタ)アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、及びプロピル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジアリール(メタ)アクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられる。
4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂の調製に用いられる、4級アンモニウム塩官能基を有するモノマー、及び(メタ)アクリル系モノマー以外の他のモノマーの例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、及びオクテン−1のようなオレフィン類;酢酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、及び乳酸アリルのようなアリルエステル類;ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、及びビニルナフチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルジエチルアセテート、ビニルクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、及びナフトエ酸ビニルのようなビニルエステルが挙げられる。
以上説明した、4級アンモニウム塩官能基を有するモノマーと、(メタ)アクリル系モノマーと、必要に応じて、4級アンモニウム塩官能基を有するモノマー、及び(メタ)アクリル系モノマー以外の他のモノマーとを、公知の方法に従って重合して、4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂が得られる。
4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂に含まれる、(メタ)アクリル系モノマーに由来する単位の含有量は、45質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、65質量%以上が特に好ましい。なお、4級アンモニウム塩官能基を有する単位が、4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系の単位である場合、4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系の単位も(メタ)アクリル系モノマーに由来する単位に含まれる。
・4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル系樹脂
4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル系樹脂は、さらにスチレン系モノマーを共重合する他は、4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂と同様にして調製することができる。
スチレン−(メタ)アクリル系樹脂の調製に使用される、スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、及びp−クロロスチレンが挙げられる。
4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル系樹脂に含まれる、スチレン系モノマーに由来する単位と、(メタ)アクリル系モノマーとに由来する単位の含有量の合計は、45質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、65質量%以上が特に好ましい。なお、4級アンモニウム塩官能基を有する単位が、4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系の単位である場合、4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系の単位も(メタ)アクリル系モノマーに由来する単位に含まれる。
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を構成する全単位に対する、4級アンモニウム塩官能基を有する単位のモル比率は、5mol%以上35mol%以下であるのが好ましい。4級アンモニウム塩官能基を有する単位のモル比率をこのような範囲とすることで、トナーを所望の帯電レベルに短時間で帯電させやすく、現像器内でトナーが長時間撹拌される場合にも、トナーを所望の帯電量に良好に帯電させることができる。
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂の融点は、80℃以上150℃以下が好ましく、90℃以上140℃以下がより好ましく、100℃以上130℃以下がより好ましい。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂の融点が高すぎると、トナーを低温で良好に定着させにくくなる場合がある。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂の融点が低すぎると、トナーの耐熱保存性が損なわれる場合がある。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂の融点は上記の結着樹脂の軟化点の測定方法と同様の方法を用いて測定することができる。
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂のガラス転移点(Tg)は、40℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上70℃以下がより好ましく、55℃以上65℃以下が特に好ましい。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂のTgが低すぎると、高温高湿環境下でトナー粒子の凝集が生じる場合がある。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂のTgが高すぎると、トナーを低温で良好に定着させにくくなる場合がある。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂のガラス転移点は、上記の結着樹脂のガラス転移点の測定方法と同様の方法を用いて測定することができる。
コア粒子を構成する材料は、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂以外の他の樹脂を含んでいてもよい。コア粒子に含まれていてもよい、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂以外の他の樹脂の好適な例としては、前述の結着樹脂として好適な樹脂と同様の樹脂が挙げられる。コア粒子を構成する材料中の、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
(コート層)
コート層は、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含む材料からなる。(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂は、4級アンモニウム塩官能基を有する単位を含まない他は、4級アンモニウム塩官能基を有する(メタ)アクリル系樹脂、及び4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル系樹脂と同様である。
(メタ)アクリル系樹脂に含まれる、(メタ)アクリル系モノマーに由来する単位の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。スチレン−(メタ)アクリル系樹脂に含まれる、スチレン系モノマーに由来する単位と(メタ)アクリル系モノマーとに由来する単位の含有量の合計は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
コート層の材料は、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂以外の他の樹脂を含んでいてもよい。コート層に含まれていてもよい、メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂以外の他の樹脂の好適な例としては、前述の結着樹脂として好適な樹脂と同様の樹脂が挙げられる。コート層の材料中の、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂から選択される樹脂の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
コート層の質量は、コア粒子100質量部に対して、30質量部以上70質量部以下が好ましく、40質量部以上60質量部以下がより好ましい。
〔樹脂微粒子の製造方法〕
樹脂微粒子の製造方法は、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子を、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂から選択される樹脂を含むコート層で、良好に被覆できる限り特に限定されない。樹脂微粒子の製造方法としては、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子が分散された水性媒体中に、(メタ)アクリル系樹脂や、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂を形成するためのモノマー成分を添加し、その後、水性媒体中でモノマー成分を公知の方法で重合させ、コア粒子の表面にコート層を形成する方法が挙げられる。コア粒子が分散された水性媒体中に、(メタ)アクリル系樹脂や、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂を形成するためのモノマー成分を添加する際は、一時に添加してもよく、逐次的に添加することもできる。
水性媒体中で、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子を水性媒体中に分散させる好適な方法としては、以下に説明する方法が挙げられる。まず、公知の方法で調製された4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を、粉砕装置を用いて粗粉砕する。得られた粗粉砕物を、イオン交換水のような水性媒体に分散させる。粗粉砕物の分散液を、フローテスターで測定される4級アンモニウム塩官能基含有樹脂の融点より10℃以上高い温度に加熱する。加熱された4級アンモニウム塩官能基含有樹脂の分散液に、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)のような高速剪断乳化装置を用いて強い剪断力を与えることで、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子を含む水性媒体中の分散液が得られる。
コア粒子を含む水性媒体分散液には、コア粒子を水性媒体中で良好に分散させるため、界面活性剤を含有させるのが好ましい。コア粒子を含む水性媒体分散液に界面活性剤を含有させる場合、コア粒子を含む水性媒体分散液に含有させる界面活性剤としては、コア粒子が正帯電性の4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むため、カチオン性界面活性剤を用いるのが好ましい。
カチオン性界面活性剤の例としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドが挙げられる。
水性媒体中で製造された樹脂微粒子は、樹脂微粒子を含む水性媒体分散液のまま、後述するトナーの製造方法に用いることができる。
樹脂微粒子の体積平均粒子径(D50)は0.03μm以上0.50μm以下が好ましく、0.05μm以上0.30μm以下がより好ましい。トナーコア粒子を被覆する樹脂微粒子の体積平均粒子径が、このような範囲である場合、トナーコア粒子を均一に被覆しやすい。樹脂微粒子の体積平均粒子径(D50)は、電気泳動光散乱光度計(LA−950V2(株式会社堀場製作所製))を用いて、測定することができる。
[コア−シェル型トナーの製造方法]
コア−シェル型トナーの製造方法としては、トナーコア粒子を、水性媒体中に分散させた後、コア粒子の表面に樹脂微粒子を付着させ、次いで、コア粒子の表面の樹脂微粒子を熱で膜化させてシェルを形成する方法が挙げられる。トナーコア粒子の製造方法は特に限定されない。トナーコア粒子の好適な製造方法としては、結着樹脂や着色剤のようなトナーコア粒子の成分を混合した後に、混合物を溶融混練し、得られる溶融混練物を、所望する粒子径となるように粉砕・分級する「粉砕法」が挙げられる。また、トナーコア粒子の製造方法としては、結着樹脂や着色剤のようなトナーコア粒子の成分を含む微粒子を凝集させた後に、微粒子の凝集体を加熱して合一化させる「凝集法」も好ましい。これらの方法のなかでは、粒子径が均一なトナーを製造しやすいことや、粉砕法と比較して多量の離型剤を、トナーコア粒子に配合しやすいことから、「凝集法」がより好ましい。以下、凝集法を用いるトナーコア粒子の製造方法を含む、コア−シェル型トナーの製造方法について説明する。
コア−シェル型トナーの製造方法は、具体的には、以下の工程(I)〜(IV)を含むトナーの製造方法である。
(I):結着樹脂を含有する微粒子を含む水性媒体分散液(A)を得た後に、凝集剤の存在下に、結着樹脂を含有する微粒子を凝集させて、結着樹脂を含む微粒子凝集体を含む水性媒体分散液(B)を得る工程、
(II):微粒子凝集体を含む水性媒体分散液(B)を加熱し、微粒子凝集体に含まれる成分を合一化させて所望の粒子径のトナーコア粒子を含む水性媒体分散液(1)を得る工程、
(III):pHが5以下に調整された水性媒体分散液(1)と、樹脂微粒子を含む水性媒体分散液(2)とを混合して、トナーコア粒子と樹脂微粒子とを含む水性媒体分散液(3)を得る、混合工程、
(IV):水性媒体分散液(3)のpHを6以上10以下に調整した後、水性媒体分散液(3)を加熱して、トナーコア粒子の表面を、樹脂微粒子を用いて被覆する、被覆工程、及び
(V):樹脂微粒子で被覆されたトナーコア粒子を加熱して、トナーコア粒子表面の樹脂微粒子の層を膜化させてシェル層を形成する、シェル層形成工程。
また、本発明の[1]の実施形態に係るトナーを製造する場合、上記の工程(I)〜(V)に加え、必要に応じ、以下の工程(VI)〜(VIII)を含んでいてもよい。
(VI):トナーを洗浄する、洗浄工程。
(VII):トナーを乾燥する、乾燥工程。
(VIII):トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる、外添工程。
以下、工程(I)〜(VIII)について順に説明する。
(工程(I))
工程(I)では、結着樹脂を含有する微粒子を含む水性媒体分散液(A)を得た後に、凝集剤の存在下に、結着樹脂を含有する微粒子を凝集させて、結着樹脂を含む微粒子凝集体を含む水性媒体分散液(B)を得る。
結着樹脂を含有する微粒子を含む水性媒体分散液(A)の調製方法は特に限定されない。結着樹脂を含有する微粒子は、結着樹脂と、着色剤、離型剤、電荷制御剤のような任意成分とを含む樹脂組成物の微粒子であってもよい。
通常、結着樹脂を含有する微粒子は、水性媒体中で、結着樹脂又は結着樹脂を含む組成物を所望のサイズに微粒子化することで、微粒子を含む水性媒体分散液として調製される。また、微粒子を含む水性媒体分散液は、結着樹脂を含有する微粒子以外の他の微粒子を含んでいてもよい。結着樹脂の微粒子以外の他の微粒子としては、着色剤の微粒子、離型剤の微粒子、着色剤と離型剤とからなる微粒子が挙げられる。以下、結着樹脂の微粒子の調製方法、着色剤の微粒子の調製方法、及び離型剤の微粒子の調製方法について順に説明する。なお、ここで説明する微粒子とは異なる成分を含む微粒子については、これらの微粒子の製造方法を、適宜選択することで調製することができる。
<結着樹脂の微粒子の調製>
まず、結着樹脂、又は結着樹脂とトナーコア粒子が含んでいてもよい任意成分とを含む樹脂組成物を、粉砕装置を用いて粗粉砕する。粗粉砕物を、イオン交換水のような水性媒体に分散させた状態で、フローテスターで測定される結着樹脂の軟化点より10℃以上高い温度(最高でも200℃程度までの温度)に加熱する。加熱された結着樹脂の分散液に、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)のような高速剪断乳化装置を用いて強い剪断力を与えることで、結着樹脂を含む微粒子を含む水性媒体中の分散液が得られる。
結着樹脂を含有する微粒子の体積平均粒子径(D50)は1μm以下が好ましく,0.05μm以上0.5μm以下がより好ましい。結着樹脂を含有する微粒子の粒子径がこのような範囲であると、粒子径分布がシャープであり、形状が均一なトナーを得やすいため、トナーの性能や生産性のばらつきが小さくなる。結着樹脂を含有する微粒子の体積平均粒子径(D50)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2200(株式会社島津製作所社製))を用いて測定することができる。
結着樹脂の微粒子を含む水性媒体分散液や、後述する着色剤の微粒子を含む水性媒体分散液、及び離型剤の微粒子を含む水性媒体分散液は、微粒子の分散を安定化させるために、アニオン性、カチオン性、又はノニオン性の界面活性剤を含んでいてもよい。これらの界面活性剤の中では、微粒子の分散安定化の効果の点で、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤がより好ましい。
アニオン性界面活性剤の例としては、硫酸エステル塩型界面活性剤、スルホン酸塩型界面活性剤、リン酸エステル塩型界面活性剤、及び石鹸が挙げられる。カチオン性界面活性剤の例としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドが挙げられる。ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコール型界面活性剤、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物型界面活性剤、及びグリセリン、ソルビトール、ソルビタンのような多価アルコールの誘導体である多価アルコール型界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種を用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤の使用量は、結着樹脂又は結着樹脂の組成物の質量に対して、0.5質量%以上5質量%以下が好ましい。
結着樹脂として、ポリエステル樹脂を用いる場合や、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合、結着樹脂が酸性基であるカルボキシル基を有する場合がある。このように、酸性基を有する結着樹脂をそのまま水性媒体中で微粒子化させると、結着樹脂の比表面積が増大するため、微粒子表面に露出した酸性基の影響で、水性媒体のpHが3以上4以下程度まで低下する場合がある。水性媒体のpHが極度に低下すると、得られる微粒子の粒子径を所望の粒子径まで微粒子化しにくかったり、結着樹脂がポリエステル樹脂である場合にはポリエステル樹脂の加水分解が生じたりする。
このような問題を抑制するために、結着樹脂を含む微粒子を調製する際に、水性媒体中に塩基性物質を加えてもよい。塩基性物質は、上記問題を抑制できるものであれば特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウムのようなアルカリ金属炭酸水素塩、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソプロピルアミン、モノメタノールアミン、モルホリン、メトキシプロピルアミン、ピリジン、ビニルピリジンのような含窒素有機塩基が挙げられる。
<着色剤の微粒子の調製>
界面活性剤を含む水性媒体中で、着色剤と、必要に応じて着色剤の分散剤とを、公知の分散機を用いて分散処理することで、着色剤の微粒子が得られる。分散剤としての界面活性剤の種類は特に限定されず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、及びノニオン界面活性剤の何れも使用できる。界面活性剤の使用量は特に限定されないが、臨界ミセル濃度(CMC)以上であるのが好ましい。
分散処理に使用する分散機は特に限定されず、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン、及び圧力式ホモジナイザーのような加圧式分散機や、サンドグラインダー、ゲッツマンミル、ダイヤモンドファインミルのような媒体型分散機を使用できる。
着色剤の微粒子の体積平均粒子径(D50)は0.05μm以上0.5μm以下であることが好ましい。着色剤の微粒子の体積平均粒子径(D50)は、結着樹脂を含有する微粒子と同様の方法で測定できる。
<離型剤の微粒子の調製>
離型剤を予め100μm以下程度に粗粉砕しておく。離型剤の粗粉砕品を、界面活性剤を含む水性媒体中に添加してスラリーを調製する、次いで、得られるスラリーを離型剤の融点以上の温度に加熱する。加熱されたスラリーに、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を付与し、離型剤の微粒子の分散液を調製する。
離型剤の融点は通常100℃以下の場合が多く、この場合は大気圧下で融点以上に加熱し、通常のホモジナイザーを用いて微粒子化が可能である。離型剤の融点が100℃を超える場合、耐圧型の装置を用いて微粒子化を行うことで、離型剤の微粒子化が可能である。
離型剤の微粒子を含む水性媒体分散液に含まれる離型剤の微粒子の体積平均粒子径(D50)は1μm以下が好ましく、0.1μm以上0.3μm以下がより好ましい。このような範囲の粒子径の離型剤の微粒子を用いることで、結着樹脂中に離型剤が均一に分散したトナーコア粒子を得やすい。離型剤の微粒子の体積平均粒子径(D50)は、結着樹脂を含有する微粒子と同様の方法で測定できる。
トナーコア粒子に所定の成分が含まれるように、以上説明した種々の微粒子を適宜組み合わせて、結着樹脂を含有する微粒子を含む水性媒体分散液(A)を得る。そして、水性媒体分散液(A)に含まれる微粒子を凝集させて、結着樹脂を含む微粒子凝集体を含む水性媒体分散液(B)を得る。微粒子を凝集させる好適な方法としては、結着樹脂の微粒子を含む水性媒体分散液(A)のpHを調整した後に、水性媒体分散液(A)に凝集剤を添加し、次いで、水性媒体分散液(A)の温度を所定の温度に調整して微粒子を凝集させる方法が挙げられる。
凝集剤を添加する際の水性分散液(A)のpHは8以下が好ましい。凝集剤は一時に添加してもよく、逐次的に添加することもできる。
水性媒体分散液(A)に添加できる凝集剤としては、無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。無機金属塩としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムのような金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウムのような無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムが挙げられる。また、4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミンのような含窒素化合物も凝集剤として使用できる。
凝集剤としては、2価の金属の塩、及び1価の金属の塩が好ましく用いられる。凝集剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてよい。2種以上の凝集剤を組み合わせて用いる場合、2価の金属の塩と1価の金属の塩とを併用するのが好ましい。2価の金属の塩と1価の金属の塩とでは、微粒子の凝集速度が異なるため、これらを併用することで、得られる微粒子凝集体の粒子径の増大化を制御しつつ、粒度分布をシャープなものとしやすい。凝集剤の添加量は、水性媒体分散液(A)の固形分に対して、0.1質量%以上25質量%以下が好ましい。
水性媒体分散液(A)は、結着樹脂のガラス転移点(Tg)以上、Tg+10℃未満の温度に加熱されるのが好ましい。結着樹脂の微粒子を含む水性媒体分散液(A)をこのような範囲の温度に加熱することで、水性媒体分散液(A)に含まれる微粒子の凝集を良好に進行させることができる。
微粒子凝集体が所望の粒子径となるまで凝集が進行した後には、凝集停止剤を添加してもよい。凝集停止剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムが挙げられる。このようにして微粒子凝集体を含む水性媒体分散液(B)を得ることができる。
(工程(II))
工程(II)では、微粒子凝集体を含む水性媒体分散液(B)を加熱し、微粒子凝集体に含まれる成分を合一化させて所望の粒子径のトナーコア粒子を含む水性媒体分散液(1)を得る。
合一化を行う際の、水性媒体分散液(B)の温度は、微粒子凝集体に含まれる成分の合一化を良好に進行させることができれば特に限定されない。典型的には、水性媒体分散液(B)は、結着樹脂のガラス転移点(Tg)+10℃以上、結着樹脂の融点以下の温度に加熱されるのが好ましい。
(工程(III))
工程(III)では、トナーコア粒子を含む水性媒体分散液(1)のpHを5以下に調整する。トナーコア粒子を含む水性媒体分散液(1)のpHを5以下とすることで、水性媒体分散液(1)と、後述する樹脂微粒子を含む水性媒体分散液(2)と、を混合する際、水性媒体分散液(2)に含まれる樹脂微粒子を、水性媒体中に良好に分散させやすい。
水性媒体分散液(1)のpHが5超である場合、水性媒体中で樹脂微粒子同士が凝集しやすくなり、後述の工程(V)で、トナーコア粒子の表面を、樹脂微粒子を用いて所望する状態で被覆しにくい場合がある。この場合、離型剤のトナーの粒子表面への染み出しに起因するトナーの凝集が生じやすく、保存安定性に優れるトナーを得にくい。また、トナー粒子同士の凝集が起こると、トナーを所定の帯電レベルに短時間で帯電させにくくなり、形成画像に色点やかぶりが生じやすい。
水性媒体分散液(1)のpHを5以下に調整した後は、水性媒体分散液(1)と、樹脂微粒子を含む水性媒体分散液(2)とを混合して、トナーコア粒子と樹脂微粒子とを含む水性媒体分散液(3)を得る。水性媒体分散液(2)は、上述する樹脂微粒子の製造方法を用いて調製される、樹脂微粒子を含む水性媒体分散液をそのまま使用することができる。
水性媒体分散液(1)と、水性媒体分散液(2)との混合は、樹脂微粒子中のコート層を形成する樹脂のガラス転移点(Tg)より高く、Tg+10℃より低い温度で行われるのが好ましい。水性媒体分散液(1)と、水性媒体分散液(2)とを、このような範囲内の温度で混合することで、トナーコア粒子と、樹脂微粒子とを水性媒体中に良好に分散させることができる。
水性媒体分散液(1)と水性媒体分散液(2)との混合比率は、水性媒体分散液(2)に含まれる樹脂微粒子の質量が、水性媒体分散液(1)に含まれるトナーコア粒子中の結着樹脂100質量部に対して、25質量部以上50質量部以下となる比率で、水性媒体分散液(1)と水性媒体分散液(2)とが混合されるのが好ましい。
(工程(IV))
工程(IV)では、水性媒体分散液(3)のpHを6以上10以下に調整した後、水性媒体分散液(3)を加熱して、トナーコア粒子の表面を、樹脂微粒子を用いて被覆する。水性媒体分散液(3)のpHをこのような範囲内の値とすることで、続く工程(V)で、トナーコア粒子を被覆する樹脂微粒子の層の膜化を良好に進行させることができる。
(工程(V))
工程(V)では、樹脂微粒子で被覆されたトナーコア粒子を加熱して、トナーコア粒子表面の樹脂微粒子の層を膜化させて、シェル層を形成する。樹脂微粒子の層を膜化する際に、水性媒体分散液(3)を加熱する温度は、膜化が良好に進行する限り特に限定されない。工程(V)で、水性媒体分散液(3)を加熱する温度は、Tg+10℃以上結着樹脂の融点−10℃以下が好ましい。水性媒体分散液(3)をこのような範囲内の温度に加熱することで、トナーコア粒子を被覆する樹脂微粒子の層の膜化を良好に進行させることができる。
(工程(VI))
工程(V)で得られるトナー粒子は、必要に応じて、工程(VI)で、水を用いて洗浄される。洗浄方法は特に限定されず、トナー粒子の分散液から、固液分離でトナー粒子をウエットケーキとして回収し、得られたウエットケーキを、水を用いて洗浄する方法や、トナー粒子の分散液中のトナー粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
(工程(VII))
工程(V)で得られるトナー粒子は、必要に応じて、工程(VII)で乾燥される。トナー粒子を乾燥する方法は特に限定されない。好適な乾燥方法としては、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、減圧乾燥機のような乾燥機を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー粒子の凝集を抑制しやすいことからスプレードライヤーを用いる方法がより好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、トナー粒子の分散液と共に、シリカのような外添剤の分散液を噴霧することで、トナー粒子の表面に外添剤を付着させることができる。
(工程(VIII))
本発明の方法を用いて製造された静電荷像現像用トナーは、必要に応じてその表面に外添剤が付着したものであってもよい。上記方法を用いて、トナー粒子がトナー母粒子として回収される場合、工程(VI)で、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤をトナー母粒子の表面に付着させる方法は特に限定されない。好適な方法としては、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、外添剤がトナー表面に埋没しないように条件を調整して、トナー母粒子と、外添剤とを混合する方法が挙げられる。
好適な外添剤としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムのような金属酸化物が挙げられる。これらの外添剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。また、これらの外添剤は、アミノシランカップリング剤やシリコーンオイルのような疎水化剤を用いて疎水化して使用することもできる。疎水化された外添剤を用いる場合、高温高湿下でのトナーの帯電量の低下を抑制しやすく、流動性に優れるトナーを得やすい。
外添剤の粒子径は、0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
外添剤の使用量は、典型的には、トナー母粒子100質量部に対して1質量部以上10質量部以下が好ましく、2質量部以上5質量部以下がより好ましい。
≪非コア−シェル型トナー≫
本発明のトナーは、トナー粒子の表層と、トナー粒子の表層以外の箇所とが、ともに、前述の、それぞれ特定の材料からなるコア粒子とコート層とからなる樹脂微粒子を用いて形成されている非コア−シェル型トナーであってもよい。非コア−シェル型トナーでは、樹脂微粒子を結着樹脂として用いる。非コア−シェル型トナーは、結着樹脂中に、必要に応じて離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような成分を含んでいてもよい。
非コアシェル型トナー中の、離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉の好適な含有量は、前述のコア−シェル型トナーのトナーコア粒子中の、離型剤、着色剤、及び電荷制御剤の好適な含有量と同様である。
非コア−シェル型トナーの製造方法としては、トナーを構成する成分を混合した後、混合物を溶融混錬し、溶融混錬物を所望の粒子径となるように粉砕・分級する、粉砕法と、トナーを構成する成分の微粒子を凝集させた後、凝集粒子を加熱し、凝集粒子中の成分を合一化させる凝集法とがある。本発明のトナーが、非コア−シェル型トナーである場合、トナー粒子の表層を、それぞれ所定の材料からなるコア粒子とコート層からなる前述の樹脂微粒子を用いて形成する必要がある。しかし、この樹脂微粒子を用いて、粉砕法によりトナーを製造する場合、コート層により被覆されている樹脂微粒子の構造が、溶融混練時に失われてしまうため、特定の構造の樹脂微粒子を用いることが意味をなさない。このため、本発明のトナーとして、非コア−シェル型トナーを製造する際には、トナーの製造方法として凝集法が採用される。
非コア−シェル型トナーは、コア−シェル型トナーについて説明した、凝集法によるトナーコア粒子の製造方法と同様の方法により製造することができる。凝集法により、非コア−シェル型トナーを製造する際、コア粒子とコート層とからなる樹脂微粒子と、前述のコア−シェル型トナーのトナーコア粒子の結着樹脂として使用可能な樹脂の微粒子と、を併用して形成されたものであってもよい。
前述の樹脂微粒子と、前述のコア−シェル型トナーのトナーコア粒子の結着樹脂として使用可能な樹脂の微粒子とを併用する場合、前者と後者の微粒子の合計の質量に対する、後者の微粒子の割合は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
≪2成分現像剤≫
本発明のトナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
好適なキャリアとしては、キャリア芯材が樹脂を用いて被覆されたものが挙げられる。キャリア芯材としては、具体的に、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、コバルトの粒子や、これらの材料とマンガン、亜鉛、アルミニウムのような金属との合金の粒子、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金の粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウムのようなセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ロッシェル塩のような高誘電率物質の粒子、樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリアが挙げられる。
キャリア芯材を被覆する樹脂としては、具体的に、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、アミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
キャリアの粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定される粒子径で、20μm以上120μm以下が好ましく、25μm以上80μm以下がより好ましい。
本発明のトナーを2成分現像剤として用いる場合、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、3質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下が好ましい。2成分現像剤中のトナーの含有量をこのような範囲とすることで、形成画像の適度な画像濃度を維持し、現像装置からのトナー飛散を抑制することで、画像形成装置内部のトナーによる汚染や転写紙のような被記録媒体へのトナーの付着を抑制できる。
以上説明した、本発明の静電荷像現像用トナーは、色点やかぶりのような形成画像での画像不良を抑制でき、現像器内でトナーが長時間撹拌されても、トナーを所望の帯電量に帯電させることができ、形成画像でのかぶりの発生を抑制できる。このため、本発明の静電荷像現像用トナーは、種々の画像形成装置で、好適に使用される。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
[調製例1]
〔樹脂微粒子分散液の調製〕
(樹脂微粒子分散液A〜C)
<(i)4級化反応工程>
撹拌機、コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を備えた容量2リットルの4つ口フラスコを反応容器として用いた。溶剤として表1に記載の量のイソブタノールを入れた反応容器に、表1に記載の量のジエチルアミノエチルメタクリレートと、p−トルエンスルホン酸メチルとを仕込んだ。反応容器をマントルヒーター上に置き、ガラス製窒素導入管から窒素ガスを反応容器内に導入して、反応容器内を不活性雰囲気とした。次いで、混合物を、速度200rpmで撹拌しながら反応容器の内温を80℃に昇温し、同温度で1時間撹拌を継続して4級化反応を行った。
<(ii)重合反応工程>
4級化反応後、反応容器に、表1に記載の量のスチレンと、ブチルアクリレートと、過酸化物系開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富株式会社製)12gと、を加えた。次いで、反応容器の内温を、95℃(重合温度)まで上げた後、反応容器の内容物を、速度200rpmで3時間撹拌した。その後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート12gをさらに反応容器に加えた。反応容器の内容物を速度200rpmで3時間撹拌して、重合反応を完了させ、4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル樹脂微粒子の分散液を得た。得られた分散液を、減圧乾燥機を用いて、140℃、10kPaの条件で加熱減圧乾燥させて、4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル樹脂微粒子分散液から溶剤を除去して、4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル樹脂の乾燥物を得た。得られた乾燥物を、粉砕機(サンプルミル(SM−1C HSIANGTAI社製))を用いて粗粉砕し、平均粒子径が10μm程度の4級アンモニウム塩官能基を有するスチレン−(メタ)アクリル樹脂の粗粉砕物を得た。
<(iii)コア粒子の分散工程>
得られた粗粉砕物100g、カチオン性界面活性剤(コータミン 24P(花王株式会社製))1g、及び0.1N−水酸化ナトリウム水溶液(塩基性物質)25gに対して、イオン交換水を加えて全量400gのスラリーを調製した。得られたスラリーを、耐圧丸底ステンレス容器に投入し、高速剪断乳化装置クレアミックス(CLM−2.2S(エム・テクニック社製))を用いて、スラリーを140℃、圧力0.5MPaに加温加圧した状態で、ローター回転数20000rpmで30分間剪断分散を行った。その後、ローター回転数15000rpmで撹拌を続けながら、ステンレス容器内部の温度が50℃になるまで5℃/分の速度でスラリーを冷却して、コア粒子を含む水性媒体分散液を得た。
<(iv)コート層の形成工程>
得られたコア粒子を含む水性媒体分散液を、撹拌機を備える反応容器、温度計を備えた容量2リットルの4つ口フラスコ)に仕込んだ。次いで、メチルメタクリレート25g、ブチルアクリレート25g、チオグリコール酸オクチル0.2g、及びカチオン性界面活性剤(コータミン 24P(花王株式会社製))1gと、イオン交換水とを混合した、総量100gの混合液を、反応容器の内容物を速度200rpmで撹拌しながら、反応容器内に30分かけて滴下した。次いで、反応容器の内温を、95℃(重合温度)まで上げた後、速度200rpmで2時間撹拌を続けて、コア粒子の表面にコート層を形成した。その後、反応容器内温を常温まで下げ、樹脂微粒子分散液を得た。得られた樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子の体積平均粒子径(D50)と、樹脂微粒子を構成する4級アンモニウム塩官能基含有樹脂中の、ジエチルアミノエチルメタクリレートに由来する4級アンモニウム塩官能基含有単位のモル比率と、樹脂微粒子分散液の固形分濃度と、を表1に記す。樹脂微粒子の体積平均粒子径(D50)は、粒子径測定装置(LA−950(株式会社堀場製作所製))を用いて測定した。
(樹脂微粒子分散液D)
<(ii)重合反応工程>
撹拌機、コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を備えた容量2リットルの4つ口フラスコを反応容器として用いた。溶剤として表1に記載の量のイソブタノールを入れた反応容器に、表1に記載の量のスチレンと、ブチルアクリレートと、過酸化物系開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富株式会社製)12gと、を加えた。次いで、反応容器の内温を、95℃(重合温度)まで上げた後、反応容器の内容物を、速度200rpmで3時間撹拌した。その後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート12gをさらに反応容器に加えた。次いで、反応容器の内容物を、速度200rpmで3時間撹拌し、重合反応を終えて、スチレン−(メタ)アクリル樹脂の微粒子分散液を得た。得られたアクリル樹脂微粒子分散液を、減圧乾燥機を用いて、140℃、10kPaの条件で加熱減圧乾燥し、アクリル樹脂微粒子分散液から溶剤を除去して、スチレン−(メタ)アクリル樹脂の乾燥物を得た。得られた乾燥物を、粉砕機(サンプルミル(SM−1C HSIANGTAI社製))を用いて粗粉砕し、平均粒子径が10μm程度のスチレン−(メタ)アクリル樹脂の粗粉砕物を得た。
<(iii)コア粒子の分散工程・(iv)コート層の形成工程>
得られた粗粉砕物を、カチオン性界面活性剤に変えてアニオン界面活性剤(エマール 0(花王株式会社製))を用いる他は、樹脂微粒子分散液Aと同様にして、コア粒子の分散工程を行った後、樹脂微粒子分散液Aと同様にしてコート層の形成工程を行って樹脂微粒子分散液Fを得た。得られた樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子の体積平均粒子径(D50)、及び固形分濃度を表1に記す。
(樹脂微粒子分散液E)
<(i)4級化反応工程>
表1に記載の量のジエチルアミノエチルメタクリレートと、p−トルエンスルホン酸メチルとを用いた他は、樹脂微粒子分散液Aと同様にして、4級化反応工程を行った。
<(ii)重合反応工程・(iii)コア粒子の分散工程>
表1に記載の量のスチレンと、ブチルアクリレートとを用いた他は、樹脂微粒子分散液Aと同様にして、重合反応工程を行った後、樹脂微粒子分散液Aと同様にしてコア粒子の分散工程を行って樹脂微粒子分散液Gを得た。得られた樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子の体積平均粒子径(D50)と、樹脂微粒子を構成する4級アンモニウム塩官能基含有樹脂中の、ジエチルアミノエチルメタクリレートに由来する4級アンモニウム塩官能基含有単位のモル比率、及び固形分濃度を表1に記す。
Figure 0005758871
[調製例2]
〔着色剤微粒子分散液Aの調製〕
カチオン性界面活性剤(コータミン 24P(花王株式会社製))60gを、イオン交換水600gに溶解させた。得られた水溶液に、シアン着色剤(銅フタロシアニン、CTBX121(DIC株式会社製))100gを徐々に添加した。次いで、シアン着色剤を含む水性分散液を、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50(IKA社製))を用いて5分間、撹拌速度2,000rpmで撹拌して、乳化した。さらに、ゴーリンホモジナイザー(15M−8TA(APV社製))を用いて100℃、500kg/cmの処理条件で、5回乳化処理を行った。その結果、固形分濃度が16.1質量%の着色剤微粒子分散液を得た。分散液中の着色剤微粒子の体積平均粒子径(D50)は0.21μmであった。
〔着色剤微粒子分散液Bの調製〕
カチオン性界面活性剤に変えて、アニオン界面活性剤(エマール 0(花王株式会社製))21gを用いた他は、着色剤微粒子分散液Aと同様にして、着色剤微粒子分散液Bを得た。その結果、固形分濃度が15.9質量%の着色剤微粒子分散液を得た。分散液中の着色剤微粒子の体積平均粒子径(D50)は0.22μmであった。
[調製例3]
〔離型剤微粒子分散液Aの調製〕
離型剤(WEP−5、ペンタエリスリトールと炭素数14以上20以下の飽和脂肪酸とのエステル化合物、溶融温度73℃、(日本油脂株式会社製))200g、カチオン性界面活性剤(コータミン 24P(花王株式会社製))3g、及びイオン交換水800gを混合し、100℃に加熱して離型剤を融解させた。次いで、水と離型剤との混合液を、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50(IKA社製))を用いて撹拌し、5分間、撹拌速度2,000rpmで乳化を行った。さらに、ゴーリンホモジナイザー(15M−8TA(APV社製))を用いて100℃、500kg/cmの処理条件で、5回乳化処理を行った。その結果、固形分濃度が20.2質量%の離型剤微粒子分散液を得た。分散液中の離型剤微粒子の体積平均粒子径(D50)は0.15μmであった。
〔離型剤微粒子分散液Bの調製〕
カチオン性界面活性剤に変えて、アニオン界面活性剤(エマール 0(花王株式会社製))1gを用いた他は、離型剤微粒子分散液Aと同様にして、離型剤微粒子分散液Bを得た。その結果、固形分濃度が19.7質量%の離型剤微粒子分散液を得た。分散液中の離型剤微粒子の体積平均粒子径(D50)は0.15μmであった。
[調製例4]
〔シリカの調製〕
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製)100g、及び3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製)100gをトルエン200gに溶解させた後、10倍に希釈した。次いで、ヒュームドシリカアエロジル#90(日本アエロジル株式会社製)200gを撹拌しながら、ジメチルポリシロキサンと3−アミノプロピルトリメトキシランとの希釈溶液を徐々に滴下した後、30分間超音波照射・撹拌して混合した。得られた混合物を150℃の恒温槽で加熱した後、トルエンをロータリーエヴァポレーターで留去して固形物を得た。得られた固形物を、減圧乾燥機を用いて設定温度50℃で減量しなくなるまで乾燥したさらに、電気炉を用いて、窒素気流下、200℃で3時間、乾燥された固形物を処理して、シリカの粗粉体を得た。シリカの粗粉体を、ジェットミル(IDS型ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製))を用いて、解砕してバグフィルターで捕集し、シリカを得た。
[実施例1〜3]
<凝集工程>
ステンレス製の容量2Lの丸底フラスコに、表2〜4に記載の種類の樹脂微粒子分散液320gと、離型剤微粒子分散液A90gと、着色剤微粒子分散液A40gと、下記の界面活性剤水溶液A100gと、蒸留水500gとを入れた。次いで、フラスコの内容物を、25℃、撹拌羽根を用いて速度100rpmで撹拌した状態で、1N−水酸化ナトリウム水溶液1gをフラスコ内に加えて、フラスコの内容物のpHを8に調整した。pH調整されたフラスコの内容物を、25℃、速度100rpmで10分間撹拌した後、凝集剤(塩化マグネシウムと水との混合液、塩化マグネシウム含有量50質量%)39gを5分間かけて、フラスコ内に添加した。凝集剤添加後、フラスコの内容物を速度200rpmで撹拌しながら、フラスコの内温を0.2℃/分の昇温速度で上げた。粒度計(マルチサイザー3(ベックマンコールター株式会社製))を用いて、昇温中のフラスコの内容物に含まれる凝集粒子の体積平均粒子径を測定し、凝集粒子の体積平均粒子径が4.5μmになった時点で昇温を停止した。昇温を停止した温度は48℃付近であった。
界面活性剤水溶液A:カチオン性界面活性剤(コータミン 24P(花王株式会社製))水溶液(10質量%濃度)
<合一化工程>
凝集工程後、速度を200rpmに上昇させ、撹拌羽根を用いてフラスコ内の凝集粒子の分散液を撹拌しながら、フラスコの内温を、0.2℃/分の昇温速度で55℃まで上げた。昇温後、同温度で、フラスコの内容物を60分間撹拌して、凝集粒子の合一化を行い、トナー母粒子を含む水性媒体分散液を得た。水性媒体中のトナー母粒子の平均円形度は0.955であった。なお、平均円形度はFPIA3000(シスメック株式会社製)を用いて測定した。
<洗浄工程>
トナー母粒子を含む水性媒体分散液を吸引ろ過して、トナー母粒子のウエットケーキをろ取した。次いで、ウエットケーキを再度イオン交換水に分散させてトナー母粒子を洗浄した。同様の操作を計5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した後、トナー母粒子のウエットケーキをろ取した。
<乾燥工程>
トナー母粒子のウエットケーキを、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを連続式表面改質装置(コートマイザー(フロイント産業株式会社製))を用いて、熱風温度40℃、72時間、ブロアー風量2m/分の乾燥条件で乾燥させて、トナー母粒子を得た。
<外添工程>
得られたトナー母粒子100gと、調製例5で得たシリカとを、ヘンシェルミキサー(三井三池工業株式会社製,容量5L)を用いて5分間混合し、その後、混合物を、篩(#300メッシュ、目開き48μm)を用いて篩別し、実施例1〜16、及び比較例1〜6のトナーを得た。
[実施例4〜7、及び比較例1、3、4]
<凝集工程>
樹脂微粒子分散液を表3、及び4に記載の種類に変えること、離型剤微粒子分散液を離型剤微粒子分散液Bに変えること、着色剤微粒子分散液を着色剤微粒子分散液Bに変えること、及び界面活性剤水溶液を下記の界面活性剤水溶液B50gに変えることの他は、実施例1と同様にして、凝集工程を行った。凝集粒子の体積平均粒子径が4.5μmになった時点の温度は46℃付近であった。
界面活性剤水溶液B:アニオン界面活性剤(エマール 0(花王株式会社製))水溶液(25質量%濃度)
<合一化工程>
凝集工程後、撹拌速度を200rpmに上昇させ、撹拌羽根を用いてフラスコ内の凝集粒子の分散液を撹拌しながら、フラスコの内温を、0.2℃/分の昇温速度で54℃まで上げた。次いで、フラスコの内温を55℃に上げた後、同温度で、フラスコの内容物を60分間撹拌して、凝集粒子の合一化を行い、トナーコア粒子を含む水性媒体分散液を得た。水性媒体中のトナーコア粒子の平均円形度は0.953であった。
<混合工程>
合一化工程に引き続き、フラスコ内のトナーコア粒子を含む水性媒体分散液を、速度100rpmで撹拌羽根を用いて撹拌した状態で、2N−塩酸水溶液を用いて、トナーコア粒子を含む水性媒体分散液のpHを4.5に調整した。次いで、フラスコ内に、表2〜4に記載の種類の樹脂微粒子分散液160gを投入した。その後、フラスコ内の内容物を15分間撹拌して、トナーコア粒子と、樹脂微粒子とを含む、水性媒体分散液を得た。
<被覆・膜化工程>
混合工程で得た、トナーコア粒子と、樹脂微粒子とを含む、水性媒体分散液に1N−水酸化ナトリウム水溶液を加えて、トナーコア粒子と、樹脂微粒子とを含む、水性媒体分散液のpHを7に調整した。次いで、フラスコの内温を、0.2℃/分の昇温速度で55℃まで上げた。その後、フラスコの内温を60℃に上げ、同温度で、120分間、フラスコの内容物を撹拌して、トナーコア粒子を樹脂微粒子で被覆し、トナーコア粒子を被覆する樹脂微粒子を膜化させて、トナーコア粒子の表面にシェル層を形成した。その後、フラスコの内容物を、10℃/分の速度で25℃まで冷却して、トナー母粒子を含む水性媒体分散液を得た。
<洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程>
その後、得られたトナー母粒子を含む水性媒体分散液に対し、実施例1と同様にして、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程を順次行い、実施例4〜7、及び比較例1、3、4のトナーを得た。
≪評価≫
実施例1〜7、及び比較例1〜3で得られたトナーを用いて、以下の方法に従って、初期画像欠陥、帯電性、及び画像かぶりを評価した。初期画像欠陥、帯電性、及び画像かぶりの評価には、カラー複合機(TASKalfa 550ci(京セラミタ株式会社製))を用いた。被記録媒体には、普通紙を用いた。なお、初期画像欠陥、帯電性、及び画像かぶりの評価は、以下の方法に従って調製した2成分現像剤を用いて行った。実施例1〜7、及び比較例1〜3のトナーの評価結果を、表2〜4に記す。
[調製例5]
(キャリアの調製)
ポリアミドイミド樹脂30gを水2Lで希釈して希釈液を得た。得られた希釈液に、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FEP)120gを分散させた後、さらに酸化ケイ素3gを分散させて被覆層形成液を得た。この被覆層形成液とノンコートフェライトキャリアEF−35B(パウダーテック株式会社製、平均粒子径35μm)10kgとを、流動床被覆装置に投入して被覆を行った。その後、250℃で1時間焼付けを行い、キャリアを得た。
(トナーとキャリアとの混合)
得られた樹脂被覆フェライトキャリアと、実施例1〜7、及び比較例1〜3のトナーとを、2成分現像剤中のトナー濃度が10質量%となるように、500mlのポリボトルに秤量し、ターブラミキサー(T2F(株式会社シンマルエンタープライゼス製))を用いて30分間混合して、2成分現像剤を調製した。
<初期画像欠陥の評価方法>
調製したシアントナー、及びカラー複合機(TASKalfa 550ci(京セラミタ株式会社製))用のシアン以外の他の3色のトナーの計4色のトナーを用いて、カラー複合機を用いて、テストパターンの形成を行った。形成されたテストパターンを目視で観察し、色点及びかぶりの有無を観察した。初期画像欠陥を、下記の基準に従って評価した。
○:画像上に色点、及びかぶりが確認されなかった。
×:画像上に色点、又はかぶりが確認された。
<帯電性の評価方法>
調製したシアントナーを用いて、カラー複合機を用いて、20℃65%RHの環境下、印字率2%の条件で、5,000枚連続して文字パターンの形成を行った。5,000枚画像形成後、印字率50%の条件で、1,000枚連続してパッチパターンの形成を行った。5,000枚連続の画像形成後のトナーの帯電量(Q)と、1,000枚連続の画像形成後のトナーの帯電量(Q)とを、帯電量測定装置を用いて測定し、その帯電量の変化量(|Q−Q|)を求めた。帯電性の評価は、下記の基準に従って評価し、○、又は△の評価を合格とした。
○:|Q−Q|が、2μC/g未満。
△:|Q−Q|が、2μC/g以上、5μC/g未満。
×:|Q−Q|が、5μC/g以上。
<画像かぶりの評価方法>
調製したシアントナー、及びカラー複合機(TASKalfa 550ci(京セラミタ株式会社製))用のシアン以外の他の3色のトナーの計4色のトナーを用い、カラー複合機を用いて、20℃65%RHの環境下、印字率2%の条件で、5,000枚連続してカラーの文字パターンの形成を行った。5,000枚画像形成後、印字率50%の条件で、1,000枚連続してカラーのパッチパターンの形成を行った。パッチパターンの白紙部の画像濃度から画像出力前の白紙の画像濃度を差し引いた値をかぶり濃度とした。画像かぶりの評価は、下記の基準に従って評価し、○、又は△の評価を合格とした。
○:かぶり濃度が、0.004未満。
△:かぶり濃度が、0.004以上、0.010未満。
×:かぶり濃度が、0.010以上。
Figure 0005758871
Figure 0005758871
Figure 0005758871
実施例1〜7によれば、トナー粒子の表層が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子と、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含み、コア粒子を被覆するコート層と、からなる樹脂微粒子を用いて形成されている静電荷像現像用トナーであれば、色点やかぶりのような形成画像での画像不良を抑制でき、現像器内でトナーが長時間撹拌されても、トナーを所望の帯電量に帯電させることができることが分かる。
比較例1によれば、トナー粒子の表層であるシェル層が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子が、コート層で被覆されていない樹脂微粒子を用いて形成されており、トナーコア粒子が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子と、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含み、コア粒子を被覆するコート層と、からなる樹脂微粒子を用いて形成されている静電荷像現像用トナーは、画像を形成する際に、形成画像に色点やかぶりのような画像不良が生じやすいことが分かる。
比較例2によれば、トナー粒子が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子が、コート層で被覆されていない樹脂微粒子を用いて形成された静電荷像現像用トナーは、色点やかぶりのような形成画像での画像不良が生じやすく、現像器内でトナーが長時間撹拌された場合に、トナーを所望の帯電量に帯電させることができないため、かぶりが生じやすいことが分かる。
比較例3によれば、トナー粒子の表層であるシェル層が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含むコア粒子が、コート層で被覆されていない樹脂微粒子を用いて形成されており、トナーコア粒子が、4級アンモニウム塩官能を含まないスチレン−(メタ)アクリル系樹脂を結着樹脂として用いて形成されている静電荷像現像用トナーは、色点やかぶりのような形成画像での画像不良が生じやすく、現像器内でトナーが長時間撹拌された場合に、トナーを所望の帯電量に帯電させることができないため、かぶりが生じやすいことが分かる。

Claims (4)

  1. 脂微粒子を水性媒体中で凝集させて微粒子凝集体を形成し、前記微粒子凝集体を水性媒体中で加熱して、前記微粒子凝集体に含まれる成分を合一化させて形成される、表面にシェル層を備えない非コア−シェル型のトナー粒子を含み
    前記樹脂微粒子が、コア粒子と、前記コア粒子を被覆するコート層とからなり、
    前記コア粒子が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含み、
    前記コート層が、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含む、静電荷像現像用トナー。
  2. 着樹脂を含むトナーコア粒子と、前記トナーコア粒子を被覆するシェル層とからなるコア−シェル型のトナー粒子を含み
    前記シェル層が、前記トナーコア粒子の表面に樹脂微粒子を付着させた後に、前記トナーコア粒子の表面に付着した前記樹脂微粒子を加熱により膜化させて形成され、
    前記樹脂微粒子が、コア粒子と、前記コア粒子を被覆するコート層とからなり、
    前記コア粒子が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含み、
    前記コート層が、(メタ)アクリル系樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル系樹脂からなる群から選択される1種類以上の樹脂を含む、静電荷像現像用トナー。
  3. 前記トナーコア粒子が、前記結着樹脂を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて微粒子凝集体を形成し、前記微粒子凝集体を水性媒体中で加熱して、前記微粒子凝集体に含まれる成分を合一化させて形成される、請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を構成する全単位に対する、前記4級アンモニウム塩官能基を有するモノマーに由来する単位のモル比率が5mol%以上35mol%以下である、請求項1〜の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
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