JP5619422B2 - 光学ガラス、精密プレス成形用プリフォーム、光学素子とそれら製造方法、ならびに撮像装置 - Google Patents

光学ガラス、精密プレス成形用プリフォーム、光学素子とそれら製造方法、ならびに撮像装置 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2008年5月30日出願の日本特願2008−143566号および2009年3月25日出願の日本特願2009−74729号の優先権を主張し、それらの全記載は、ここに特に開示として援用される。
本発明は、屈折率が高く、優れた精密プレス成形性を備える光学ガラス、および前記ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームおよび光学素子、ならびにそれらの製造方法に関する。
背景技術
カメラレンズなどに代表される撮像光学系における色収差補正は、高分散レンズと低分散レンズを組合せることによって行われる。近年では高分散レンズ、低分散レンズとも、収差補正の可能な範囲で、より屈折率の高い光学ガラスを用いることにより、一層の高機能化、コンパクト化を実現させようとする傾向がある。
レンズを構成するガラスの光学特性に加え、レンズ光学機能面を非球面化することで光学系の一層の高機能化、コンパクト化を実現することができる。こうしたレンズの量産には、精密プレス成形法が適している。
精密プレス成形法の生産性を高めるには、まずガラス素材あるいは精密プレス用プリフォームの生産性が確保されるための一定の成形性を有する必要がある。すなわち結晶が析出しない温度における一定量のガラスの粘度、あるいは成形可能なガラスの粘度を持つ温度における一定の対失透性が必要となる。
その上で、精密プレス成形における生産性も高める必要がある。精密プレス成形法では、SiCや超硬材料など耐熱性、高剛性を有する高価な型材料を使い、成形面を光学素子の光学機能面の形状を反転した形状に精密に加工した成形型を使用するため、成形型の寿命が生産コスト、量産性に大きく影響する。そのため、ガラス転移温度や屈伏点が低いガラスを用いて、プレス成形時の温度を低下し、成形型の熱的劣化を防止する工夫がなされる。
特許文献1、2には、精密プレス成形用途を目的とした低分散ガラスが提案されている。
[特許文献1]特開2006−016293号公報
[特許文献2]特開2006−016295号公報
上記特許文献1及び2、並びに上記特許文献1及び2のファミリーであるUS2005−0272589A1及びUS2008−0220961の全記載は、ここに特に開示として援用される。
発明が解決しようとする課題
ところで、特許文献1、2とも、具体的に開示しているガラスは、すべてアッベ数νdが40以上の高屈折率低分散ガラスである。
これらのガラスでは、組成において高屈折率かつ低分散を与えるLa23、Gd23などの希土類成分を多量に含有し、一方でZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3、Bi23などの高屈折率付与成分でありながら低分散性を損なう成分の含有量をなるべく少量に抑えることにより高屈折率と低分散性を両立させている。ところが希土類成分を多量に含むガラスは、屈折率を高めようとして希土類の含有率を高めるほどガラスの熱的安定性が低下し、さらにガラス転移温度を低下させるためにアルカリ成分やアルカリ土類成分を多く含有させようとすると、さらに結晶化傾向が高まるという特徴がある。
こうしたガラスにおいて、精密プレス成形時の成形型の熱劣化を防止するためにガラス転移温度を低下させると、ガラスの熱的安定性が低下したり、液相温度が上昇したり、液相温度における粘度が低下するなどして、ガラス融液の成形が難しくなる。その結果、ガラス素材あるいは精密プレス成形用プリフォームの生産性が著しく低下してしまう。ガラスの熔融からレンズの製造までの一連のプロセスで、ガラス素材あるいは精密プレス成形用プリフォームの生産性が低下すると、プロセス全体の生産性も低下することになる。
こうした不具合を解消するためには、ガラスの低温軟化性と熱的安定性に配慮しつつ、屈折率を高めることが有効である。具体的な方策としては、B23−La23系組成をベースとし、ZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3、Bi23などのガラスの安定化をもたらす高屈折率付与成分を導入、増量することが考えられる。
この際、必ずしも低分散ガラスのアッベ数νdを40以上に制限するのではなく、組み合わせる高分散レンズとの光学特性から実現される収差補正の度合いを勘案し、可能な範囲でアッベ数を減少させ、その分だけ屈折率を高めたりガラスの成形性を改善したりすることによって、光学ガラスの生産性を損なうことなく、光学機器の一層の高機能化、コンパクト化を実現できる。
しかし、ZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3、Bi23を増量したガラスは、上記に述べたとおりに低分散性を悪化させることに加え、精密プレス成形性にも問題を及ぼす。
例えば、型の熱的劣化が進みにくい温度において充分にプレス成形できるほどに粘性を低下させているにもかかわらず、精密プレス成形によりレンズ表面に種々の欠陥が生じ、光学性能が損なわれるという問題が生じる。
したがって、これらのガラスを精密プレス成形すると、同一の成形型を使用してプレス成形回数を重ねるにつれてガラスと成形型の融着がおきたり、ガラス表面で発泡が生じたり、加熱したプリフォームをプレス成形型に導入する際に使用する治具とプリフォームとが融着するなどの問題がおこる。その結果、同一成形型あたりの成形歩留まりの低減や、また型の交換などによる生産の一時的な停止によって、生産性の悪化が生じやすくなる。最悪の場合、ガラスと成形型との融着により、成形型やプレス機が破損するといった重大な問題が生じる可能性もある。
高機能化、コンパクト化の鍵を握る高屈折率低分散ガラス製のレンズは大きな需要が見込まれており、こうした問題を解決し、量産性を高めることが強く求められている。
本発明はこうした問題を解決することを目的とし、精密プレス成形に好適であって、成形性に優れた光学ガラス、および前記光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームと光学素子を提供すること、ならびに前記精密プレス成形用プリフォームと光学素子の製造方法を提供することを第一の目的とする。さらに上記光学素子を搭載する撮像装置を提供することを第二の目的とする。
課題を解決するための手段
本発明における課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
[1]
モル%表示にて、
23を5〜45%、
Li2Oを0〜3%、
ZnOを10〜40%、
La23を5〜30%、
Gd23を0〜20%、及び
TiO2、Nb25、WO3およびBi23の少なくとも一種を含み、
カチオン%表示によるTi、Nb、WおよびBiの合計含有量Xが3〜25%、アッベ数νdおよび屈折率ndが図1の点A(40,1.85)、B(39,1.91)、C(33,1.93)、D(34,1.87)、A(40,1.85)を順に直線で結んだときに囲まれる範囲(ただし、直線AB、BC、CD、DA上を含み、点Aを含まず)に含まれ、ガラス転移温度Tgが下記(1)式を満たすことを特徴とする光学ガラス。
Tg[℃]≦655℃−5×X ・・・(1)
[2]
ZrO2を0〜10モル%、及び
Ta25を0〜15モル%
さらに含む[1]に記載の光学ガラス。
[3]
モル%表示で、
Na2OとK2Oを合計で0%以上0.5%未満、
MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で0〜10%、
23を0〜10%、
Yb23を0〜10%、及び
Al230〜10%、
さらに含む[1]または[2]に記載の光学ガラス。
[4]
SiO2を任意成分として含み、かつSiO2の含有量は、B23の含有量の0〜0.55倍である[1]〜[3]のいずれかに記載の光学ガラス。
[5]
モル%表示にて、
23を5〜45%、
SiO2を0〜6%(ただし、6%を含まず。)、
Li2O、Na2OおよびK2Oを合計で0〜3%、
ZnOを10〜40%、
La23を5〜30%、
Gd23を0〜20%、
ZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3およびBi23を合計で12.5〜20%含むとともに、
Zr4+、Ta5+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量に対するTi4+の含有量のカチオン比が0.30以下であり、
107.2dPa・sの粘度を示す温度Tpが706℃以下であり、屈折率ndおよびアッベ数νdが下記(I)式〜(IV)式のすべてを満たすことを特徴とする光学ガラス。
34.0≦νd<40 ・・・(I)
nd≧1.87 ・・・(II)
nd≧2.23−0.01×νd ・・・(III)
nd≦2.28−0.01×νd ・・・(IV)
[6]
Gd23を1〜20モル%さらに含む[5]に記載の光学ガラス。
[7]
モル%表示にて、
ZrO2を10モル%以下、
Ta25を15モル%以下、
TiO2を10%以下、
Nb25を8%以下、
WO3を20%以下、及び
Bi23を10%以下さらに含む [5]または[6]に記載の光学ガラス。
[8]
モル%表示で、
MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で0〜10%、
23を0〜10%、
Yb23を0〜10%、及び
Al23を0〜10%、
さらに含む [5]〜[7]のいずれかに記載の光学ガラス。
[9]
任意成分としてY23を0〜10モル%含むとともに、La23、Gd23およびY23の合計含有量(La23+Gd23+Y23)に対するLa23の含有量の割合(La23/(La23+Gd23+Y23))が0.66を超えることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の光学ガラス。
[10]
モル%表示にて、
TiO2を10%以下、Nb25を8%以下、WO3を20%以下、Bi23を10%以下含む[1]〜[9]のいずれかに記載の光学ガラス。
[11]
Ta25を1〜15モル%含む[1]〜[10]のいずれか1項に記載の光学ガラス。
[12]
液相温度が1200℃以下である[1]〜[11]のいずれかに記載の光学ガラス。
[13]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォーム。
[14]
ガラス原料を熔融し、得られた熔融ガラスを流出して熔融ガラス塊を分離し、該熔融ガラス塊を冷却過程で成形する精密プレス成形用プリフォームの製造方法において、
[1]〜[12]のいずれかに記載の光学ガラスからなるプリフォームを成形することを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
[15]
ガラス原料を熔融し、得られた熔融ガラスを成形してガラス成形体を作製し、該成形体を加工して[1]〜[12]のいずれかに記載の光学ガラスからなるプリフォームを作製する精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
[16]
[1]〜[12]のいずれかに記載の光学ガラスからなる光学素子。
[17]
[16]に記載の精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形してなる光学素子。
[18]
[13]に記載のプリフォーム、または[14]または[15]に記載の方法により作製したプリフォームを、プレス成形型を用いて精密プレス成形する光学素子の製造方法。
[19]
[16]に記載のプリフォーム、または[14]または[15]に記載の方法により作製したプリフォームを、同一のプレス成形型を用いて精密プレス成形する工程を繰り返し、光学素子を量産する光学素子の製造方法。
[20]
プリフォームをプレス成形型に導入し、前記プリフォームとプレス成形型を一緒に加熱して精密プレス成形する[18]または[19]に記載の光学素子の製造方法。
[21]
加熱したプリフォームを予熱したプレス成形型に導入し、精密プレス成形する[18]または[19]に記載の光学素子の製造方法。
[22]
[16]または[17]に記載の光学素子を備える撮像装置。
である。
発明の効果
本発明によれば、精密プレス成形に好適であって、成形性に優れた光学ガラス、および前記光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームと光学素子を提供すること、ならびに前記精密プレス成形用プリフォームと光学素子の製造方法、前記光学素子を備える撮像装置を提供することができる。
発明を実施するための形態
本発明の光学ガラスは、2つの態様からなる。第1の態様を光学ガラスI、第2の態様を光学ガラスIIという。
[光学ガラスI]
本発明の光学ガラスIは、B23−La23系組成をベースとし、屈折率ndが1.85を超え、アッベ数νdが40未満の光学ガラスである。こうした光学特性を有するガラスの精密プレス成形性を低下させる要因は、ガラス中に相当量導入されたTiイオン、Nbイオン、Wイオン、Biイオンが高温下でプレス成形型の成形面との反応することにあると本発明者は考えた。Tiイオン、Nbイオン、Wイオン、Biイオンはプレス成形時の高温下で価数変化を起こしやすく、その結果、成形面との間で酸化還元反応をおこしやすいと考えられる。多量のTiO2、Nb25、WO3、Bi23を含むガラスでも、この反応を抑制することができれば、精密プレス成形性の改善は可能と本発明者は考える。
そこで、本発明者は、種々の結果の結果、次の4つの要素を考慮してガラスの組成、特性を定めることで、精密プレス成形性を改善することができることを見出して本発明の第1の態様を完成させた。
第1の要素は、温度に関する要素である。上記反応は温度上昇に伴い促進される。したがって、ガラスに、低温でプレス成形可能な熱的特性を付与することが重要である。従来、ガラスの低温軟化性の指標であるガラス転移温度は、成形型の熱的劣化を抑制する観点から定められていた。しかし、Tiイオン、Nbイオン、Wイオン、Biイオンと成形面の反応を抑制するには、ガラス転移温度を、成形型の熱的劣化が進みにくい程度に低下させるだけでは不十分であり、これらイオンと成形面との酸化還元反応を抑制する観点からガラス転移温度を決定することが重要であることが分かった。Ti、Nb、W、Biの合計含有量が多ければ、反応抑制の観点からガラス転移温度をより低くし、Ti、Nb、W、Biの合計含有量が少なければ、ガラス転移温度に関する制限を緩和することで、上記カチオンと成形面との反応を抑制できる。つまり、上記カチオン成分の合計含有量に応じて、ガラス転移温度の上限を決めることが課題解決のための1つの手段である。
第2の要素は、ガラスネットワーク形成成分に関するものである。ガラスネットワーク形成成分のうち、B23は3配位と4配位の構造をとる。ホウ酸希土類結晶中では4配位のBO4構造が希土類イオンに配位し、イオンの酸化数を維持していると考えられるが、この4配位のBO4構造に含まれる酸素原子は、他のイオンを酸化する力が強い。一方で、SiO2はガラス中では主にSiO4四面体として存在するが、Siに配位する酸素はSiと強く結合しているため、これらの酸素は他のイオンを酸化する力が比較的弱い。そのため、Tiイオン、Nbイオン、Wイオン、Biイオンを酸化側に保つ働きは、SiO2よりB23のほうが強いと考えられる。
これまでSiO2は、熱的安定性を高め、ガラス融液の成形性を改善するためにB23−La23系組成をベースとするガラスには積極的に導入されてきた。しかし、Tiイオン、Nbイオン、Wイオン、Biイオンを酸化側に保ち、プレス成形型の成形面とガラスの反応を抑える上から、SiO2を含有する場合は、B23の含有量を基準にしてSiO2の含有量を制限することが望ましい。また、上記観点からSiO2を含有しないこともでき、その意味で、SiO2は任意成分である。
第3の要素は、ガラスの熱的安定性に関するものである。SiO2はガラスの熱的安定性を改善し、ガラス融液の成形性を良化する働きがあるが、ガラス転移温度を上昇させる成分でもある。これとは反対に、アルカリ成分はガラス転移温度を低下させるが、ガラスの熱的安定性を低下させる成分である。したがって、第2の要素に基づき、SiO2を任意成分とし、好ましくはSiO2の含有量を制限するとともに、アルカリ成分の量も制限すれば、ガラス転移温度をさほど上昇させずに熱的安定性を維持することができる。アルカリ成分の中でも、Li2Oは屈折率を維持しつつTg、Tpを低下させる作用が最も大きいので、Li2Oの含有量を制限することが適当である。
第4の要素は、アルカリ成分に大きく依存することなく、ガラス転移温度を低下させることである。第3の要素において、アルカリ成分の量を制限するが、それを補うためにガラス成分としてZnOを導入する。
本発明の第1の態様では、これらの4つの要素を同時に満たすことにより、上記課題が解決される。
こうした思想に基づき完成した光学ガラスIは、
モル%表示にて、
23を5〜45%、
Li2Oを0〜3%、
ZnOを10〜40%、
La23を5〜30%、
Gd23を0〜20%、及び
TiO2、Nb25、WO3およびBi23の少なくとも一種を含み、
カチオン%表示によるTi、Nb、WおよびBiの合計含有量Xが3〜25%、アッベ数νdおよび屈折率ndが図1の点A(40,1.85)、B(39,1.91)、C(33,1.93)、D(34,1.87)、A(40,1.85)を順に直線で結んだときに囲まれる範囲(ただし、直線AB、BC、CD、DA上を含み、点Aを含まず)に含まれ、ガラス転移温度Tgが下記(1)式を満たすことを特徴とするものである。
Tg[℃]≦655℃−5×X ・・・(1)
以下、上記ガラスについて詳説するが、酸化物として表示する成分の含有量、合計含有量はモル%表示とし、Ti、Nb、W、Biと表示した場合のTi、Nb、W、Biの各含有量および合計含有量はカチオン%表示とする。
23は、ガラスネットワーク形成成分であり、本発明において必須成分である。その含有量が5%未満では、ガラスの熱的安定性が低下し、液相温度が上昇して、ガラス融液を成形する際、粘性が低すぎて成形が困難になる。一方、その含有量が45%を越えると所望の屈折率、アッベ数を維持することが困難になる。したがって、B23の含有量を5〜45%とする。B23の含有量の好ましい下限は10%、より好ましい下限は15%、さらに好ましい下限は20%、一層好ましい下限は25%であり、好ましい上限は40%である。
SiO2は、任意成分であり、ガラスの熱的安定性を高める働きをするが、ガラス転移温度を高めるとともに、前述のようにTi、Nb、W、Biとの結びつきが弱く、Ti、Nb、W、Biと成形型との反応を抑制する効果が弱い。これに対し、B23は前記反応を抑制する働きをする。上記観点から光学ガラスIにおいて、SiO2は必須成分ではなく、任意成分であり、SiO2を含有する場合は、B23の含有量を基準にしてSiO2の含有量を制限することが好ましい。具体的には、ネットワーク形成成分であるSiO2とB23の上記反応への影響の違いに着目すると、SiO2の含有量の上限をB23の含有量との関係で定めることが好ましい。すなわち、前記反応抑制効果を改善し、精密プレス成形による光学素子の量産性を高める上から、SiO2の含有量はB23の含有量の0〜0.55倍であることが好ましい。SiO2の含有量のより好ましい範囲はB23の含有量の0〜0.49倍、さらに好ましい範囲はB23の含有量の0〜0.48倍、一層好ましい範囲はB23の含有量の0〜0.40倍、より一層好ましい範囲はB23の含有量の0〜0.3倍であるが、さらに、B23の含有量の0〜0.25倍の範囲、B23の含有量の0〜0.20倍の範囲、B23の含有量の0〜0.15倍の範囲、B23の含有量の0〜0.10倍、B23の含有量の0〜0.08倍、B23の含有量の0〜0.06倍の範囲の順に、上限が小さくなるにつれて、より好ましい範囲となる。SiO2は含有させなくてもよい。SiO2の含有量とB23の含有量の比に関する上記好ましい範囲の各々において、SiO2の含有量を単独で規定すると、0〜6%の範囲が好ましく、0〜5.5%の範囲がより好ましく、0〜5%の範囲がさらに好ましく、0〜4%の範囲が一層好ましく、0〜3.5%の範囲がより一層好ましく、0〜3%の範囲がなお一層好ましい。上記のようにSiO2の含有量を定めることにより、ガラス転移温度を低下させるとともに、ガラスと成形型との反応抑制効果を高めることができる。
Li2Oは、ガラスの熔融性を改善し、アルカリ金属成分中、高屈折率を維持しつつ、ガラス転移温度を低下させる働きの強い成分である。しかし、その含有量が3%を超えると、熱的安定性が低下するとともに、所望の光学特性を得ることが難しくなる。また、化学的耐久性が低下するとともに、熔融、成形時に揮発が増大し、脈理が発生したり、光学特性、特に屈折率の変動が大きくなる。そのため、Li2Oの含有量を0〜3%とする。Li2Oの含有量の好ましい範囲は2%未満、より好ましい範囲は1.5%未満、さらに好ましい範囲は1%未満、一層好ましい範囲は0.5%未満である。Li2Oは含有させなくてもよい。
ZnOは、ガラスの熔融性を改善し、ガラス転移温度を低下させる働きのある必須成分である。Li2Oの含有量が上記のように制限されているので、ガラス転移温度を低下させる作用のあるZnOは重要な役割を果たす。その含有量が10%未満では前記効果を得ることが難しく、40%を超えると熱的安定性が低下するとともに、所望の光学特性を得ることが難しくなる。したがって、ZnOの含有量を10〜40%とする。ZnOの含有量の好ましい下限は15%、より好ましい下限は17%、さらに好ましい下限は18%、一層好ましい下限は25%であり、好ましい上限は35%である。
La23は、ガラスの熱的安定性を損なうことなく、また低分散を維持しつつ、屈折率を高める働きをする必須成分である。その含有量が5%未満では所望の光学特性を得ることが難しく、30%を超えると熱的安定性が低下するとともに、ガラス転移温度が上昇する。したがって、La23の含有量は5〜30%とする。La23の含有量の好ましい下限は7%、より好ましい下限は8%、さらに好ましい下限は9%、一層好ましい下限は10%であり、好ましい上限は28%、より好ましい上限は25%、さらに好ましい上限は23%、一層好ましい上限は20%である。
Gd23は、ガラスの熱的安定性を損なうことなく、また低分散を維持しつつ、屈折率を高める働きをする任意成分である。その含有量が20%を超えると熱的安定性が低下するとともに、ガラス転移温度が上昇する。したがって、Gd23の含有量は0〜20%とする。Gd23の含有量の好ましい下限は0.1%、より好ましい下限は0.5%、さらに好ましい下限は1%であり、好ましい上限は18%、より好ましい上限は15%、さらに好ましい上限は12%、一層好ましい上限は10%である。
TiO2、Nb25、WO3、Bi23は、屈折率を高める働きが大きい成分である。したがって、所望の光学特性を得る上から、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の少なくとも一種を導入する。光学特性の調整に加え、成形型との反応性を調整する上から、TiO2、Nb25、WO3、Bi23の含有量については、カチオン%表示によるTi、Nb、WおよびBiの合計含有量Xに基づき、導入量を規定する。Ti、Nb、WおよびBiの合計含有量Xをカチオン%で表示して規定するのは、前述のようにTiイオン、Nbイオン、Wイオン、Biイオン(いずれもカチオンである)と成形面との反応の抑制に関するガラスの組成についての規定だからである。
Ti、Nb、WおよびBiの合計含有量Xが3%未満であると所望の光学特性を得ること、特に熱的安定性を維持しつつ、屈折率ndを1.85超、アッベ数νdを40未満にすることが難しくなる。それに対して合計含有量Xが25%を超えると他の成分量を調整しても、精密プレス成形時にガラスと成形型の反応によりガラスが成形型に強固に融着する頻度が増えて、精密プレス成形における量産性を高めることが困難になる。したがって、カチオン%表示によるTi、Nb、WおよびBiの合計含有量Xを、3〜25%とする。Ti、Nb、WおよびBiの合計含有量Xの好ましい下限は3.5%超、より好ましい下限は4%超、好ましい上限は20%、より好ましい上限は18%、さらに好ましい上限は16%、一層好ましい上限14%、より一層好ましい上限は13%、さらに一層好ましい上限は12%、なお一層好ましい上限は11%、前記上限よりも更に好ましい上限は、順に10.5%、10%、9.5%、9%である。なお、前記Xの好ましい上限の各々と好ましい下限の各々の任意の組合せが可能である。
ガラスの熱的安定性向上、ガラスの着色低減、防止、ガラス転移温度の低下などの観点から、Ti、Nb、WおよびBiの合計含有量Xを前記上限、下限の任意の組合わせ、一例として3.5%を超え13%以下、とした上で、TiO2、Nb25、WO3、Bi23のそれぞれの含有量を以下の範囲にすることが好ましい。
TiO2の含有量は、熱的安定性の維持、着色の低減、防止の観点から10%以下にすることが好ましく、8%以下にすることがより好ましく、6%以下にすることがさらに好ましく、4%以下にすることが一層好ましく、3%にすることがより一層好ましく、2%以下にすることがなお一層好ましい。なお、TiO2の含有量をゼロにすることもできる。
Nb25の含有量は、熱的安定性の維持、着色の低減、防止の観点から8%以下にすることが好ましく、7%以下にすることがより好ましく、5%以下にすることがさらに好ましく、3%以下にすることが一層好ましく、2%にすることがより一層好ましく、1%以下にすることがなお一層好ましく、Nb25を含有しないガラスがさらに一層好ましい。
WO3の含有量は、熱的安定性の維持、着色の低減、防止の観点から20%以下とすることが好ましい。WO3は適量導入することによりガラス転移温度を低下させる働きをする。したがって、WO3の含有量の好ましい下限は1%、より好ましい下限は3%、さらに好ましい下限は4%であり、好ましい上限は18%、より好ましい上限は16%、さらに好ましい上限は14%、一層好ましい上限は12%、より一層好ましい上限は10%である。
Bi23の含有量は、熱的安定性の維持、着色の低減、防止の観点から0〜10%の範囲とすることが好ましく、0〜8%の範囲とすることが好ましく、0〜6%の範囲とすることがより好ましく、0〜4%の範囲とすることがさらに好ましく、0〜2%の範囲とすることが一層好ましく、0〜1%の範囲とすることがより一層好ましく、含有させないことが特に好ましい。
光学ガラスIは、図1の点A(40,1.85)、B(39,1.91)、C(33,1.93)、D(34,1.87)、A(40,1.85)を順に直線で結んだときに囲まれる範囲(ただし、直線AB、BC、CD、DA上を含み、点Aを含まず)に含まれるアッベ数νdおよび屈折率ndを有するものである。
図1は、光学ガラスの屈折率nd、アッベ数νdの分布を示す際、当該技術分野において一般に用いられている表示法である。縦軸が屈折率nd、横軸がアッベ数νdであり、慣習に従い、横軸はアッベ数νdが減少するにつれて右方に、増加するにつれて左方にいく。縦軸、横軸ともリニアに表示する。
図1において、アッベ数νdをx座標、屈折率ndをy座標とする点を光学恒数プロットと呼ぶことにすると、光学ガラスIの光学恒数プロットは、点A、B、C、D、Aにより囲まれる範囲内および点A、Bを結ぶ直線上(ただし、点A上を除く)、点B、Cを結ぶ直線上、点C、Dを結ぶ直線上、点D、Aを結ぶ直線上(点Aを除く)のいずれかに位置する。
光学恒数プロットが線ABの下側もしくは点A上にくると、そのような光学ガラス用いた光学素子では高機能化、コンパクト化が難しくなるので、前記プロットを線ABの上側もしくは点Aを除く線AB上に限定する。光学恒数プロットが線BCの左側、線CDの上側、線DAの左側、点A上のいずれかにくると熱的安定性が低下したり、あるいは、ガラス転移温度が上昇したりするため、光学恒数プロットを線BC上もしくは左側、かつ線CD上もしくは下側、かつ線DA上(ただし点Aを除く)もしくは右側に限定する。
光学素子の高機能化、コンパクト化により適した光学ガラスを提供する上から、屈折率nd、アッベ数νdが下記(a)式を満たすものが望ましく、下記(b)式を満たすものがより望ましい。一方、熱的安定性、精密プレス成形性をより向上させる上から、屈折率nd、アッベ数νdが下記(c)式を満たすものが望ましく、下記(d)式を満たすものがより望ましく、下記(e)式を満たすものがさらに望ましい。
nd≧1.995−0.0033×νd ・・・(a)
nd≧2.000−0.0033×νd ・・・(b)
nd≦2.035−0.0033×νd ・・・(c)
nd≦2.030−0.0033×νd ・・・(d)
nd≦2.022−0.0033×νd ・・・(e)
熱的安定性を良好に維持しつつ、精密プレス成形の量産性がより優れたガラスを得る上から、アッベ数νdの好ましい上限は39.5、より好ましい上限は39、さらに好ましい上限は38.5、一層好ましい上限は38である。また、光学素子の高機能化、コンパクト化により好適であり、高屈折率高分散ガラス製レンズとの組合わせによる色収差補正により好適なレンズの材料を提供する上から、アッベ数νdが33.5以上の光学ガラスが好ましく、アッベ数νdが34.0以上の光学ガラスがより好ましく、アッベ数νdが34.5以上の光学ガラスがさらに好ましく、アッベ数νdが35.0以上の光学ガラスが一層好ましく、アッベ数νdが35.5以上の光学ガラスがより一層好ましく、アッベ数νdが35.8以上の光学ガラスがさらに一層好ましく、アッベ数νdが36.0以上の光学ガラスがなお一層好ましく、アッベ数νdが36.2以上の光学ガラスがさらになお一層好ましく、36.4以上の光学ガラスが特に好ましい。
屈折率は、前述のガラス成分の内で主にB23、Li2O、La23、Gd23、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の導入量を本発明の範囲内で調整することで、上記範囲内になるように調整できる。但し、これらの成分以外の成分についても屈折率に影響を与えるため、適宜調整する。また、アッベ数は、前述のガラス成分の内で主にB23、La23、Gd23、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の導入量を本発明の範囲内で調整することで、上記範囲内になるように調整できる。但し、これらの成分以外の成分についても屈折率及びアッベ数に影響を与えるため、適宜調整する。
前述のように光学ガラスIでは、Ti、Nb、WおよびBiの合計含有量Xによってガラス転移温度Tgの上限を規定する。Ti、Nb、WおよびBiの合計含有量をX[%]とし、数値Xに5を乗じ、単位を℃として650℃から差し引いた温度がガラス転移温度Tgの上限である。Xの増減によりガラス転移温度Tgの上限も上下する。また、精密プレス成形時のガラスと成形型成形面との反応性も変化する。Xが増加すると前記反応性も増大し、Xが減少すると前記反応性は低下する。Xが多いガラスでは、精密プレス成形時のガラスと成形型成形面の温度を低く抑えることにより上記反応性を抑制することができ、Xが少ないガラスでは、精密プレス成形時のガラスと成形型成形面の温度に関する制約は緩和される。また、精密プレス成形時のガラスと成形型成形面の温度は、ガラス転移温度Tgが高いガラスの場合は高く設定しなければならず、ガラス転移温度Tgが低いガラスの場合は低く設定することができる。このように、Xを増加させるとガラス転移温度Tgが上昇傾向を示す一方、精密プレス成形時の反応性を抑制する観点からガラス転移温度Tgの上昇を抑制する必要があるから、Xとガラス転移温度Tgの関係を所定の関係式によって定め、この関係式を満たすガラスによって、精密プレス成形による量産性の向上を達成することができる。この関係式は、本発明者が、上記観点から、実験的に求めたものである。本発明の光学ガラスは、Ti、Nb、WおよびBiの合計含有量Xによって決められた範囲のガラス転移温度Tgを示す組成を有するものに限られる。
Xとガラス転移温度Tgの上限に関する上記関係を数式で表すと、下記(1)式のようになる。
Tg[℃]≦655℃−5×X ・・・(1)
例えば、Ti、Nb、WおよびBiの合計含有量Xが5カチオン%の場合は、
Tg≦655℃−5×5℃
=655℃−25℃
=630℃
となり、ガラス転移温度が630℃以下になるようにガラスの組成を調整する。
また、Xが10カチオン%の場合は、
Tg≦655℃−5×10℃
=655℃−50℃
=605℃
となり、ガラス転移温度が605℃以下になるようにガラスの組成を調整する。
なお精密プレス成形における量産性を一層高める上から、下記(2)式を満たすガラスが好ましく、下記(3)式を満たすガラスがより好ましく、下記(4)式を満たすガラスがさらに好ましく、下記(5)式を満たすガラスが一層好ましい。
Tg[℃]≦650℃−5×X ・・・(2)
Tg[℃]≦645℃−5×X ・・・(3)
Tg[℃]≦640℃−5×X ・・・(4)
Tg[℃]≦635℃−5×X ・・・(5)
なお、ガラス転移温度を低くすることは、精密プレス成形時の温度を低下させる上からは好ましいが、過度に低下させると、所望の光学特性を維持することが困難になるとともに、ガラスの熱的安定性も低下するため、ガラス転移温度は、上記式を満たしつつ500℃以上にすることが好ましい。ガラス転移温度は、前述のガラス成分の内で主にSiO2、Li2O、ZnOの導入量を本発明の範囲内で調整することで、上記範囲内になるように調整できる。但し、これらの成分以外の成分についてもガラス転移温度に影響を与えるため、適宜調整する。
精密プレス成形時にガラスが晒される最高温度は、成形方式によっても多少異なるが、ガラスが107.2Pa・sの粘度を示す温度(Tpという)を目安として考えることができる。精密プレス成形における量産性を一層高める上から、Tpの上限をXに基づき定めた以下の範囲をより好ましい範囲とすることができる。
こうした好ましい範囲は、下記(5)式を満たすガラスであり、より好ましいものは、下記(6)式を満たすガラスであり、さらに好ましいものは、下記(7)式を満たすものであり、一層好ましいものは下記(8)式を満たすものであり、より一層好ましいものは下記(9)式を満たすものである。
Tp[℃]≦755℃−5×X ・・・(5)
Tp[℃]≦750℃−5×X ・・・(6)
Tp[℃]≦745℃−5×X ・・・(7)
Tp[℃]≦740℃−5×X ・・・(8)
Tp[℃]≦735℃−5×X ・・・(9)
上記Tpの調整も、ガラス転移温度Tgの調整と同様に行うことができる。
光学ガラスIは、上記成分以外に以下の任意成分を含む成分を含むことができる。
ZrO2は、適量の導入によりガラスの熱的安定性、化学的耐久性を改善するとともに屈折率を高める働きをする。しかし、その含有量が10%を超えるとガラスの熱的安定性が低下するとともに、ガラス転移温度が上昇するため、ZrO2の含有量を0〜10%とする。ZrO2の含有量の好ましい下限は0.5%、より好ましい下限は1%、さらに好ましい下限は2%であり、好ましい上限は9%、より好ましい上限は8%、さらに好ましい上限は7%、一層好ましい上限は6%である。
Ta25は、適量の導入によりガラスの熱的安定性を飛躍的に改善するとともに、低分散を維持しつつ、屈折率を高める働きをする。しかし、その含有量が15%を超えるとガラスの熱的安定性が低下するとともに、ガラス転移温度が上昇するため、Ta25の含有量を0〜15%とする。Ta25の含有量の好ましい下限は1%、より好ましい下限は2%であり、好ましい上限は13%、より好ましい上限は11%、さらに好ましい上限は9%、一層好ましい上限は8%である。
Na2O、K2Oは、ガラスの熔融性を改善するとともにガラス転移温度を低下する働きをするが、高屈折率を維持しつつガラス転移温度を低下させる働きが、Li2Oと比べて弱い。また、過剰の導入により、ガラスの熱的安定性、屈折率、化学的耐久性が低下する。また、熔融、成形時に揮発によって脈理発生の原因になったり、光学特性、特に屈折率が変動する。したがって、Na2O、K2Oの合計含有量は0.5%未満にすることが好ましく、0.3%未満にすることがより好ましく、Na2OおよびK2Oを含有させないことがさらに好ましい。
MgO、CaO、SrO、BaOは、ガラスの熔融性を改善し、ガラス転移温度を低下させる働きをする。しかし、過剰の導入により熱的安定性、化学的耐久性が低下し、所望の光学特性を得ることも難しくなるため、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量を0〜10%とする。MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量の好ましい範囲は0〜8%、より好ましい範囲は0〜6%、さらに好ましい範囲は0〜4%、一層好ましい範囲は0〜2%、より一層好ましい範囲は0〜1%であり、さらに好ましい範囲は0〜0.8%であり、一層好ましい範囲は0〜0.5%であり、より一層好ましくは0%である。
23は、屈折率を高める働きをするが、過剰の導入によりガラスの熱的安定性が低下するともにガラス転移温度が上昇する。したがって、Y23の含有量を0〜10%とする。Y23の含有量の好ましい範囲は0〜8%、より好ましい範囲は0〜6%、さらに好ましい範囲は0〜4%、一層好ましい範囲は0〜2%、より一層好ましい範囲は0〜1%であり、なお一層好ましくは含有しない。
La23、Gd23、Y23の配分を最適化することにより、熱的安定性をさらに向上させることができる。具体的には、La23、Gd23、Y23の配分とは、La23、Gd23およびY23の合計含有量(La23+Gd23+Y23)に対するLa23の含有量の割合(La23/(La23+Gd23+Y23))を意味し、この割合を0.66より大きくすることにより熱的安定性をさらに高め、液相温度をより低下させることができる。熱的安定性を高め、液相温度をさらに低下させる上から、前記割合(La23/(La23+Gd23+Y23))のより好ましい下限は0.67、さらに好ましい下限は0.68、一層好ましい下限は0.69、より一層好ましい下限は0.70であり、好ましい上限は0.90、より好ましい上限は0.85である。
La23、Gd23の配分についても最適化することにより熱的安定性をさらに向上させることができる。具体的には、La23、Gd23の配分とは、La23およびGd23の合計含有量(La23+Gd23)に対するLa23の含有量の割合(La23/(La23+Gd23))を意味し、この割合を0.66より大きくすることにより熱的安定性をさらに高め、液相温度をより低下させることができる。熱的安定性を高め、液相温度をさらに低下させる上から、前記割合(La23/(La23+Gd23))のより好ましい下限は0.67、さらに好ましい下限は0.68、一層好ましい下限は0.69、より一層好ましい下限は0.70であり、好ましい上限は0.90、より好ましい上限は0.85である。
前記La23、Gd23、Y23の配分、あるいはLa23、Gd23の配分をそれぞれ上記範囲にすることにより、熱的安定性を良好にし、液相温度を上昇を抑えることができる。特に、屈折率とアッベ数の関係式である、前記(a)式を満たす高屈折率ガラスにおいて、La23、Gd23、Y23の配分、あるいはLa23、Gd23の配分を上記範囲にすることが好ましく、前記(b)式を満たす高屈折率ガラスにおいて、La23、Gd23、Y23の配分、あるいはLa23、Gd23の配分を上記範囲にすることがより好ましい。
Yb23は、屈折率を高める働きをするが、過剰の導入によりガラスの熱的安定性が低下するともにガラス転移温度が上昇する。したがって、Yb23の含有量を0〜10%とする。Yb23の含有量の好ましい範囲は0〜8%、より好ましい範囲は0〜6%、さらに好ましい範囲は0〜4%、一層好ましい範囲は0〜2%、より一層好ましい範囲は0〜1%であり、なお一層好ましくは含有しない。
Al23は、熔融ガラスの粘性調整などのために導入することができるが、過剰の導入によりガラスの熱的安定性が低下するため、Al23の含有量を0〜10%とする。Al23の含有量の好ましい範囲は0〜8%、より好ましい範囲は0〜6%、さらに好ましい範囲は0〜4%、一層好ましい範囲は0〜2%、より一層好ましい範囲は0〜1%であり、含有させないことがなお一層好ましい。
この他の成分として、少量のGeO2、Ga23、Lu23を導入することもできるが、これらの成分は高価である一方、無くても何ら問題のない成分であるため、それぞれ含有させないことが好ましい。なお、GeO2についてはTi、Nb、W、Biの還元を促進させることから、精密プレス成形における量産性向上の観点からも導入しないことが好ましい。
なお、上記成分の原料の一部をフッ化物に置き換えて、少量のFをガラスに導入してもよい。ただし、Fはガラスの熔融、成形時に著しい揮発性を示し、脈理発生の要因や光学特性、特に屈折率の変動要因になることから、Fの含有量を0〜8モル%、好ましくは0〜6モル%、より好ましくは0〜4モル%、さらに好ましくは0〜2モル%、一層好ましくは0〜1%とする。特に好ましくはFを含有させない。後述する熔融ガラス塊を冷却する過程で精密プレス成形用プリフォームに成形する場合、内部の均質性は勿論、表面脈理のない極めて高い光学的均質性が求められるため、Fの含有は避けるべきである。
なおPb、Cd、As、Th、Cr、Te、Seは毒性を有するので、環境影響に配慮し、ガラス導入物質として使用しないことが望ましい。Pbは精密プレス成形時に還元されて、ガラス表面や成形型表面に付着し、精密プレス成形の成形精度を低下させるから、こうした観点からも含有しないことが好ましい。
Csも導入効果が期待できず、高価な成分であるので、含有させないことが好ましい。 Fe、Cu、Co、Nd、Erなどはガラスの着色要因になるため、含有させないことが好ましい。
なお、Sb23、SnO2、CeO2、硝酸塩、アンモニウム、塩化物などを清澄剤として、外割り合計量で0〜1質量%の範囲で添加することができる。清澄効果を高める上からは、Sb23を外割りで0〜1質量%添加することが好ましいが、Sb23は強い酸化性を示すため、成形型成形面へのダメージを極力低減する上から、外割り添加量を0〜0.8質量%にすることが好ましく、0〜0.5質量%にすることがより好ましい。
SnO2、CeO2、硝酸塩、アンモニウム、塩化物は、Sb23と比べて酸化性が弱いので、清澄を促進しつつ、成形型成形面への負担を軽減する上から、SnO2、CeO2、硝酸塩、アンモニウムおよび塩化物の外割り合計添加量を0〜1質量%の範囲とすることが好ましく、0〜0.5質量%の範囲とすることがより好ましい。
精密プレス成形における量産性を高めるとともに、ガラスの熱的安定性を高め、所望の光学特性を実現する上から、上記清澄剤は別として、B23、SiO2、Li2O、ZnO、La23、Gd23、TiO2、Nb25、WO3、Bi23、ZrO2、Ta25、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、BaO、Y23、Yb23およびAl23の合計含有量を94%以上にすることが好ましく、95%以上にすることがより好ましく、96%以上にすることがさらに好ましく、97%以上にすることが一層好ましく、98%以上にすることがより一層好ましく、99%以上にすることがなお一層好ましく、100%にすることが特に好ましい。
さらに、B23、SiO2、Li2O、ZnO、La23、Gd23、TiO2、Nb25、WO3、Bi23、ZrO2およびTa25の合計含有量を94%以上にすることが好ましく、95%以上にすることがより好ましく、96%以上にすることがさらに好ましく、97%以上にすることが一層好ましく、98%以上にすることがより一層好ましく、99%以上にすることがなお一層好ましく、100%にすることが特に好ましい。
光学ガラスIの低温軟化性はガラス転移温度によって定められるが、屈伏点に注目して、より好ましいガラスを示すこともできる。
精密プレス成形における量産性を高める上から、屈伏点Tsを700℃以下にすることが好ましく、690℃以下にすることがより好ましく、685℃以下にすることがさらに好ましく、680℃以下にすることが一層好ましく、670℃以下にすることがより一層好ましい。しかし、屈伏点を過剰に低下させるとガラスの熱的安定性が低下したり、所望の光学特性を得ることが難しくなるので、屈伏点を550℃以上にすることが好ましい。
上記屈伏点Tsの調整もガラス転移温度Tgの調整と同様に行うことができる。
これまで説明してきたように、精密プレス成形における量産性は、ガラスと成形型の成形面とが高温で密着した状態でおきるガラスと成形面の反応性の大小により決まる。同種のガラスからなるプリフォームを多数用意し、同一のプレス成形型を用いて、順次、これらプリフォームを精密プレス成形する場合を考える。
前述のように、ガラスと成形面との反応は、成形型がガラスを加圧した状態かつガラスの温度がガラス転移温度以上の状態で進むと考えると、1回の精密プレス成形において、このような状態が継続する時間をt、精密プレス成形を問題なく行うことができたプレス回数をnとすると、時間t×nが長いほうが、量産性に優れたガラスということができる。
従来のガラスでは、プリフォーム表面に成形型との融着を防ぐ膜をコートしても、繰り返し精密プレス成形が可能な回数nが数十回であった。それに対し、光学ガラスIからなるプリフォームを使用すると回数nは80以上、好ましくは100以上、より好ましくは200以上、さらに好ましくは300以上、一層好ましくは500以上となる。
t×nについては、tを80秒とすると、従来のガラスを使用する場合、4000秒程度あるいは4000秒に満たないのに対し、本発明の光学ガラスからなるプリフォームを使用すると4000秒超、好ましくは8000秒以上、より好ましくは16000秒以上、さらに好ましくは24000秒以上、一層好ましくは40000秒以上となる。
このように、光学ガラスIを用いたプリフォームの場合、同一の成形型を繰り返し使用し、連続して良好な精密プレス成形ができる回数nが多く、延べ時間t×nが長い。そのため、成形型のメンテナンスが軽減され、成形型交換のために精密プレス成形工程を停止する頻度も低減できる。よって本発明によれば、光学素子の生産性、生産コストを大幅低減することができ、光学素子の量産性を飛躍的に改善することができる。
[光学ガラスII]
光学ガラスIIは、B23−La23系組成をベースとし、屈折率ndが1.87以上、アッベ数νdが34.0以上40未満の光学ガラスである。こうした光学特性を実現するために、高屈折率付与成分としてLa23、Gd23に加え、相当量のZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3、Bi23を導入するが、高屈折率付与成分の配分が適正になされていないと、精密プレス成形性が著しく低下する。
ガラスに含まれるTiイオン、Nbイオン、Wイオン、Biイオン、特にTiイオンはプレス成形時の高温下で価数変化を起こしやすく、その結果、成形面との間で酸化還元反応をおこしやすいと考えられる。多量の高屈折率付与成分を含むガラスにおいても一定の精密プレス成形性を維持するためには、上記の反応を抑制することが必要となる。
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、次の5つの要素を考慮してガラスの組成、特性を定めることで、精密プレス成形性を改善することができることを見出し、本発明を完成させた。
第1の要素は、温度に関する要素である。上記反応は温度上昇に伴い促進される。したがって、ガラスに、低温でプレス成形可能な熱的特性を付与することが重要である。従来、ガラスの低温軟化性の指標であるガラス転移温度は、ガラス成分と型成形面との反応抑制という観点よりも、成形型の熱的劣化を抑制する観点から定められていた。しかし、Tiイオン、Nbイオン、Wイオン、Biイオンと成形面の反応を抑制するには、ガラス転移温度を、成形型の熱的劣化が進みにくい程度に低下させるだけでは不十分であり、実際に精密プレス成形が行われる温度もしくはその温度に近い温度を制限することによって上記反応を抑制することが重要である。
こうしたことから、例えばガラスが107.2dPa・sの粘度を示す温度Tpなどといった、ガラスの変形温度に関する指標をもとにガラス材料を設計することが、上記の課題解決のために必要になる。
第2の要素は、ガラスネットワーク形成成分に関するものである。
光学ガラスIIのネットワーク形成成分には、主にSiO2(任意成分)とB23が挙げられる。SiO2はガラス中において主に4配位のSiO4四面体として存在すると考えられる。一方、B23は3配位と4配位の構造が知られているが、ホウ酸希土類結晶において希土類などの多価イオンに配位した4配位のBO4構造を取ることが提案されており、ここから本発明の第2の態様においても、主に4配位のBO4四面体が存在すると推察される。
ここで、SiO4四面体に配位する酸素はSiと強く共有結合していることから、これらの酸素の持つ負の有効電荷の絶対値が小さく、他のイオンを酸化する力が弱い。一方、BO4四面体に配位する酸素はイオン結合性が強いことから、これらの酸素の持つ負の有効電荷の絶対値が大きく、ゆえに他のイオンを酸化する力が強い。そのため、Tiイオン、Nbイオン、Wイオン、Biイオンの酸化状態を保つ働きは、SiO2よりB23のほうが強いと考えられる。
これまでSiO2は、熱的安定性を高め、ガラス融液の成形性を改善するために積極的に導入されてきたが、Tiイオン、Nbイオン、Wイオン、Biイオン、特にTiイオンの酸化状態を保ち、プレス成形型の成形面とガラスの反応を抑える上から、SiO2の含有量を所定の範囲に制限することが必要になる。
第3の要素は、ガラスの熱的安定性に関するものである。SiO2はガラスの熱的安定性を改善し、ガラス融液の成形性を良化する働きがあるが、ガラス転移温度やTpを上昇させる成分でもある。これとは反対に、アルカリ金属成分はガラス転移温度やTpを低下させるが、ガラスの熱的安定性を低下させる成分である。したがって、第2の要素に基づき、SiO2の含有量を制限するとともに、アルカリ金属成分の量も制限すれば、ガラス転移温度やTpを上昇させることなくガラスの熱的安定性を維持することができる。さらにLa23、Gd23等の希土類成分を所定の範囲内で共存させることにより熱的安定性を改善することができる。光学ガラスIIは、希土類成分としてY23を任意成分として含有することもできるが、Y23を含有する場合にも、所定の範囲内で共存させることにより、La23、Gd23に比べて効果は小さいが、熱的安定性を改善することができる。
第4の要素は、アルカリ金属成分に大きく依存することなく、ガラス転移温度を低下させることである。第3の要素において、アルカリ金属成分の量を制限するが、それを補うためにガラス成分として屈折率を低下させずにガラス転移温度やTpを低下する働きのあるZnOを導入する。
第5の要素は、高屈折率特性を実現するため、所定量のLa23、Gd23に加え、合計で所定量以上のZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3、Bi23を導入しつつ、精密プレス成形時に価数変化を起こしやすく、成形面との間で酸化還元反応を起こしやすいTiO2の占める割合を制限することである。なお、ZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3、Bi23の合計含有量を過剰にするとガラスの熱的安定性が低下したり、ガラス転移温度やTpが上昇するなどの問題がおきるため、こうした点を考慮して上記合計含有量を定める。
本発明の第2の態様では、これらの5つの要素を同時に満たすことにより、上記課題が解決される。
こうした思想に基づき完成した光学ガラスIIは、モル%表示にて、
23を5〜45%、
SiO2を0〜6%(ただし、6%を含まず。)、
Li2O、Na2OおよびK2Oを合計で0〜3%、
ZnOを10〜40%、
La23を5〜30%、
Gd23を0〜20%、
ZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3およびBi23を合計で12.5〜20%含むとともに、
Zr4+、Ta5+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量に対するTi4+の含有量のカチオン比が0.30以下、107.2dPa・sの粘度を示す温度Tpが706℃以下であり、屈折率ndおよびアッベ数νdが下記(I)式〜(IV)式のすべてを満たすことを特徴とする光学ガラスである。
34.0≦νd<40 ・・・(I)
nd≧1.87 ・・・(II)
nd≧2.23−0.01×νd ・・・(III)
nd≦2.28−0.01×νd ・・・(IV)
以下、上記ガラスについて詳説するが、酸化物として表示する成分の含有量、合計含有量はモル%表示とし、Zr4+、Ta5+、Ti4+、Nb5+、W6+、Bi3+と表示した場合のTi、Nb、W、Biの各含有量および合計含有量はカチオン%表示とする。
23は、ガラスネットワーク形成成分であり、本発明において必須成分である。その含有量が5%未満では、ガラスの熱的安定性が低下し、液相温度が上昇して、ガラス融液を成形する際、粘性が低すぎて成形が困難になる。一方、その含有量が45%を越えると所望の屈折率、アッベ数を維持することが困難になる。したがって、B23の含有量を5〜45%とする。B23の含有量の好ましい下限は10%、より好ましい下限は15%、さらに好ましい下限は20%、一層好ましい下限は25%であり、好ましい上限は40%である。
SiO2は、任意成分であり、ガラスの熱的安定性を高める働きをするが、ガラス転移温度や上記Tpを高めるとともに、前述のようにTi、Nb、W、Biとの結びつきが弱く、Ti、Nb、W、Biと成形型との反応を抑制する効果が弱い。これに対し、B23は前記反応を抑制する働きをする。SiO2の含有量が6%以上になると前記反応抑制効果が低下し、精密プレス成形時にガラスと型成形面との融着やガラスの発泡といった問題が起こりやすくなる。したがって、SiO2の含有量は0〜6%(ただし、6%を除く。)とする。SiO2の含有量のより好ましい範囲は0〜5.5%の範囲、さらに好ましい範囲は0〜5%の範囲、一層好ましい範囲は0〜4%の範囲、より一層好ましい範囲は0〜3.5%の範囲、さらに一層好ましい範囲は0〜3%の範囲である。上記のようにSiO2の含有量を定めることにより、ガラス転移温度やTpを低下させるとともに、ガラスと成形型成形面との反応抑制効果を高めることができる。
Li2O、Na2O、K2Oは、ガラスの熔融性を改善し、ガラス転移温度やTpを低下させる働きをする成分である。しかし、Li2O、Na2OおよびK2Oの合計含有量が3%を超えると、熱的安定性が低下するとともに、所望の光学特性を得ることが難しくなる。また、化学的耐久性が低下するとともに、熔融、成形時に揮発が増大し、脈理が発生したり、光学特性、特に屈折率の変動が大きくなる。そのため、Li2O、Na2OおよびK2Oの合計含有量を0〜3%とする。Li2O、Na2OおよびK2Oの合計含有量の好ましい範囲は2%未満、より好ましい範囲は1.5%未満、さらに好ましい範囲は1%未満、一層好ましい範囲は0.5%未満である。Li2O、Na2OおよびK2Oは含有させなくてもよい。
Li2Oは、アルカリ金属成分中、高屈折率を維持しつつ、ガラス転移温度やTpを低下させる働きの強い成分である。したがって、Li2O、Na2O、K2O中、Li2Oの含有量を最も多くすることが好ましい。Na2O、K2Oについては含有させなくてもよい。
ガラスのプレス温度を低下させ精密プレス成形性を高めようとした場合、アルカリ金属成分を多く含有させた方が好ましい。一方で、アルカリ金属成分はガラスの網目構造を切断し、結晶化を促進する成分でもある。したがって、ガラス素材の成形性を考慮した場合、Li2O含有量の好ましい範囲は0〜10%、より好ましい範囲は0〜8%、さらに好ましい範囲は0〜6%、一層好ましい範囲は0〜5%、より一層好ましい範囲は0〜3%、さらに一層好ましい範囲は0〜2%(ただし、2%を含まず。)、なお一層好ましい範囲は0〜1.5%(ただし、1.5%を含まず。)、さらになお一層好ましい範囲は0〜1%(ただし、1%を含まず。)、特に好ましい範囲は0〜0.5%(ただし、0.5%
を含まず。)であって、Li2Oを含まないガラスが最も好ましい。
ZnOは、ガラスの熔融性を改善し、ガラス転移温度を低下させる働きのある必須成分である。Li2Oの含有量が上記のように制限されているので、ガラス転移温度を低下させる作用のあるZnOは重要な役割を果たす。その含有量が10%未満では前記効果を得ることが難しく、40%を超えると熱的安定性が低下するとともに、所望の光学特性を得ることが難しくなる。したがって、ZnOの含有量を10〜40%とする。ZnOの含有量の好ましい下限は15%、より好ましい下限は17%、さらに好ましい下限は18%、一層好ましい下限は25%であり、好ましい上限は35%である。
La23は、ガラスの熱的安定性を損なうことなく、また低分散を維持しつつ、屈折率を高める働きをする必須成分である。その含有量が5%未満では所望の光学特性を得ることが難しく、30%を超えると熱的安定性が低下するとともに、ガラス転移温度やTpが上昇する。したがって、La23の含有量は5〜30%とする。La23の含有量の好ましい下限は7%、より好ましい下限は8%、さらに好ましい下限は9%、一層好ましい下限は10%であり、好ましい上限は28%、より好ましい上限は25%、さらに好ましい上限は23%、一層好ましい上限は20%である。
Gd23は、ガラスの熱的安定性を損なうことなく、また低分散を維持しつつ、屈折率を高める働きをするために有効な成分である。しかし、その含有量が20%を超えると熱的安定性が低下するとともに、ガラス転移温度やTpが上昇する。したがって、Gd23の含有量は0〜20%とする。Gd23導入の効果を得る上から、Gd23の含有量を1〜20%の範囲とすることが好ましい。なお、Gd23の含有量のより好ましい下限は1%、さらに好ましい下限は2%、一層好ましい下限は3%、より一層好ましい下限は4%であり、好ましい上限は18%、より好ましい上限は15%、さらに好ましい上限は12%、一層好ましい上限は10%である。
ZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3、Bi23は、屈折率を高める働きが大きい成分である。したがって、ZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の合計含有量が12.5%未満であると所要の光学特性が得られにくくなり、前記合計含有量が20%を超えるとガラス転移温度やTpが上昇したり、ガラスの熱的安定性が低下するため、ZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の合計含有量を12.5〜20%とする。ZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の合計含有量の好ましい下限は13%、より好ましい下限は14%、さらに好ましい下限は15%であり、好ましい上限は25%、より好ましい下限は22%、さらに好ましい下限は19%、一層好ましい下限は18%、より一層好ましい下限は17%である。
なお、Zr、Ta、Ti、Nb、W、Biの好ましい合計量は、上記観点と同じ理由により、Zr4+、Ta5+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量によっても表すことができる。すなわち、Zr4+、Ta5+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量の好ましい下限は10%、より好ましい下限は11%、さらに好ましい下限は12%、一層好ましい下限は13%であり、好ましい上限は20%、より好ましい上限は18%、さらに好ましい上限は16%、一層好ましい上限は15%、より一層好ましい上限は14%である。
またTi4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量が3%未満であると、熱的安定性を維持しつつ所望の光学特性を得にくくなる傾向が生じ、前記合計含有量が25%を超えると他の成分量を調整しても、精密プレス成形時にガラスと成形型の反応によりガラスが成形型に強固に融着する頻度が増加する傾向を示すため、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+のの合計含有量を3〜25%とすることが好ましい。上記合計含有量Xのより好ましい下限は3.5%超、さらに好ましい下限は4%超であり、より好ましい上限は20%、さらに好ましい上限は18%、一層好ましい上限は16%、より一層好ましい上限14%、さらに一層好ましい上限は13%、なお一層好ましい上限は12%、さらになお一層好ましい上限は11%、特に好ましい上限は10.5%、最も好ましい上限は10%である。
特に、他の多価イオンに比べ、Ti4+は単位量あたりの粘性の増加量およびガラスの還元性が大きい。したがって、プレス成形型との融着反応を引き起こす傾向を低減するため、Zr4+、Ta5+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量に対するTi4+含有量のカチオン比を0.40以下にすることが好ましく、0.35以下にすることがより好ましく、0.30以下にすることがさらに好ましく、0.25以下にすることが一層好ましく、0.20以下にすることがより一層好ましく、0.15以下にすることがさらに一層好ましく、0.10以下にすることがなお一層好ましく、0.05以下にすることがより一段と好ましく、0.03以下とすることがさらに一段と好ましく、0.02以下とすることが特に好ましい。
ZrO2は、適量の導入によりガラスの熱的安定性、化学的耐久性を改善するとともに屈折率を高める働きをする。しかし、その含有量が10%を超えるとガラスの熱的安定性が低下するとともに、ガラス転移温度やTpが上昇するため、ZrO2の含有量を0〜10%とすることが好ましい。ZrO2の含有量の好ましい下限は0.5%、より好ましい下限は1%、さらに好ましい下限は2%であり、好ましい上限は9%、より好ましい上限は8%、さらに好ましい上限は7%、一層好ましい上限は6%である。
Ta25は、適量の導入によりガラスの熱的安定性を飛躍的に改善するとともに、低分散を維持しつつ、屈折率を高める働きをする。しかし、その含有量が15%を超えるとガラスの熱的安定性が低下するとともに、ガラス転移温度が上昇するため、Ta25の含有量を0〜15%とすることが好ましい。Ta25の含有量の好ましい下限は1%、より好ましい下限は2%であり、好ましい上限は13%、より好ましい上限は11%、さらに好ましい上限は9%、一層好ましい上限は8%である。
TiO2の含有量は、熱的安定性の維持、着色の低減、防止の観点から10%以下にすることが好ましく、8%以下にすることがより好ましく、6%以下にすることがさらに好ましく、4%以下にすることが一層好ましく、3%にすることがより一層好ましく、2%以下にすることがなお一層好ましい。なお、TiO2の含有量をゼロにすることもできる。
Nb25の含有量は、熱的安定性の維持、着色の低減、防止の観点から8%以下にすることが好ましく、7%以下にすることがより好ましく、5%以下にすることがさらに好ましく、3%以下にすることが一層好ましく、2%にすることがより一層好ましく、1%以下にすることがなお一層好ましく、Nb25を含有しないガラスがさらに一層好ましい。
WO3の含有量は、熱的安定性の維持、着色の低減、防止の観点から20%以下とすることが好ましい。WO3は適量導入することによりガラス転移温度を低下させる働きをする。したがって、WO3の含有量の好ましい下限は1%、より好ましい下限は3%、さらに好ましい下限は4%であり、好ましい上限は18%、より好ましい上限は16%、さらに好ましい上限は14%、一層好ましい上限は12%、より一層好ましい上限は10%である。
Bi23の含有量は、熱的安定性の維持、着色の低減、防止の観点から0〜10%の範囲とすることが好ましく、0〜8%の範囲とすることが好ましく、0〜6%の範囲とすることがより好ましく、0〜4%の範囲とすることがさらに好ましく、0〜2%の範囲とすることが一層好ましく、0〜1%の範囲とすることがより一層好ましく、含有させないことが特に好ましい。
光学ガラスIIの屈折率nd、アッベ数νdは下記(I)式から(IV)式までの4つの式を同時に満たす範囲として特定することができる。
34.0≦νd<40 ・・・(I)
nd≧1.87 ・・・(II)
nd≧2.23−0.01×νd ・・・(III)
nd≦2.28−0.01×νd ・・・(IV)
図2は、図1と同様、縦軸が屈折率nd、横軸がアッベ数νdであり、慣習に従い、横軸はアッベ数νdが減少するにつれて右方に、増加するにつれて左方にいく。縦軸、横軸ともリニアに表示する。
図2において、上記4つの関係式を満たす(アッベ数νd 屈折率nd)は、点A(34,1.94)、B(40,1.88)、C(40,1.87)、D(36,1.87)、E(34,1.89)、A(34,1.94)を順に直線で結んだときに囲まれる範囲(ただし、直線AB(点Bを含まず)、CD(点Cを含まず)、DE、EA上を含み、直線BC上を含まず)に含まれるアッベ数νdおよび屈折率ndを有するものである。
図2は、光学ガラスIIの屈折率nd、アッベ数νdの分布を示す際、当該技術分野において一般に用いられている表示法である。縦軸が屈折率nd、横軸がアッベ数νdであり、慣習に従い、横軸はアッベ数νdが減少するにつれて右方に、増加するにつれて左方にいく。縦軸、横軸ともリニアに表示する。
光学恒数プロットが線ABの上側にくると熱的安定性が低下したり、ガラス転移温度やTpが上昇したりするため、前記プロットを線AB上もしくは線ABより屈折率ndが低い範囲とする。前記プロットが線BC上もしくは線BCの左側にくると熱的安定性を維持し、ガラス転移温度やTpの上昇を抑えつつ、所要の屈折率を得ることが困難になるため、図2において前記プロットを線BCより右側の範囲とする。前記プロットが線CDより低屈折率側、線DEより低屈折率側にくると光学素子の高機能化、コンパクト化により適した光学ガラスではなくなることから前記プロットを線CD上もしくは線CDより屈折率の高い範囲かつ線DE上もしくは線DEより屈折率の高い範囲とする。さらに色収差の補正に適した光学ガラスを提供する上から、図2において前記プロットが線EA上または線EAより左側にくるようにする。
なお、上記光学特性の範囲において、色収差補正に好適な光学素子用の光学ガラスを提供する上から、下記(I−1−1)式を満たす光学ガラスが好ましく、下記(I−1−2)式を満たす光学ガラスがより好ましく、下記(I−1−3)式を満たす光学ガラスがさらに好ましく、下記(I−1−4)式を満たす光学ガラスが一層好ましく、下記(I−1−5)式を満たす光学ガラスがより一層好ましく、下記(I−1−6)式を満たす光学ガラスがさらに一層好ましい。
νd≧34.5 ・・・(I−1−1)
νd≧35.0 ・・・(I−1−2)
νd≧36.0 ・・・(I−1−3)
νd≧36.5 ・・・(I−1−4)
νd≧36.75 ・・・(I−1−5)
νd≧37.0 ・・・(I−1−6)
また、図2に示した光学特性の範囲において、ガラス転移温度やTpを低下しつつ、熱的安定性を改善する上から、下記(I−2−1)式を満たす光学ガラスが好ましく、下記(I−2−2)式を満たす光学ガラスがより好ましく、下記(I−2−3)式を満たす光学ガラスがさらに好ましい。
νd≦39.5 ・・・(I−2−1)
νd≦39.3 ・・・(I−2−2)
νd≦39.0 ・・・(I−2−3)
また、図2に示した光学特性の範囲において、高機能を備えた光学素子用の光学ガラスを提供したり、光学素子のコンパクト化により適した光学ガラスを提供する上から、下記(II−1)式を満たす光学ガラスが好ましく、下記(II−2)式を満たす光学ガラスがよ
り好ましく、下記(II−3)式を満たす光学ガラスがさらに好ましく、下記(II−4)式を満たす光学ガラスが一層好ましい。
nd≧1.8725 ・・・(II−1)
nd≧1.875 ・・・(II−2)
nd≧1.8775 ・・・(II−3)
nd≧1.88 ・・・(II−4)
また、色収差補正用の光学素子などにより好適であって、高機能を備えた光学素子用の光学ガラスあるいは光学素子のコンパクト化により好適な光学ガラスを提供する上から、図2に示した光学特性の範囲において、下記(III−1)式を満たす光学ガラスが好ましく、下記(III−2)式を満たす光学ガラスがより好ましく、下記(III−3)式を満たす光学ガラスがさらに好ましく、下記(III−4)式を満たす光学ガラスが一層好ましく、下記(III−5)式を満たす光学ガラスがより一層好ましく、下記(III−6)式を満たす光学ガラスがさらに一層好ましく、下記(III−7)式を満たす光学ガラスがなお一層好ましく、下記(III−8)式を満たす光学ガラスがさらになお一層好ましく、下記(III−9)式を満たす光学ガラスが特に好ましく、下記(III−10)式を満たす光学ガラスが最も好ましい。
nd≧2.230−0.01×νd ・・・(III−1)
nd≧2.2325−0.01×νd ・・・(III−2)
nd≧2.235−0.01×νd ・・・(III−3)
nd≧2.2375−0.01×νd ・・・(III−4)
nd≧2.240−0.01×νd ・・・(III−5)
nd≧2.2425−0.01×νd ・・・(III−6)
nd≧2.245−0.01×νd ・・・(III−7)
nd≧2.2475−0.01×νd ・・・(III−8)
nd≧2.250−0.01×νd ・・・(III−9)
nd≧2.2525−0.01×νd ・・・(III−10)
また、熱的安定性を一層改善したり、あるいはガラス転移温度やTpの上昇を抑制する上から、図2に示した光学特性の範囲において、下記(IV−1)式を満たす光学ガラスが好ましく、下記(IV−2)式を満たす光学ガラスがより好ましく、下記(IV−3)式を満たす光学ガラスがさらに好ましく、下記(IV−4)式を満たす光学ガラスが一層好ましく、下記(IV−5)式を満たす光学ガラスがより一層好ましく、下記(IV−6)式を満たす光学ガラスがさらに一層好ましく、下記(IV−7)式を満たすなお一層光学ガラスが好ましく、下記(IV−8)式を満たす光学ガラスがさらになお一層好ましく、下記(IV−9)式を満たす光学ガラスが特に好ましく、下記(IV−10)式を満たす光学ガラスが最も好ましい。
nd≦2.280−0.01×νd ・・・(IV−1)
nd≦2.2775−0.01×νd ・・・(IV−2)
nd≦2.275−0.01×νd ・・・(IV−3)
nd≦2.2725−0.01×νd ・・・(IV−4)
nd≦2.270−0.01×νd ・・・(IV−5)
nd≦2.2675−0.01×νd ・・・(IV−6)
nd≦2.265−0.01×νd ・・・(IV−7)
nd≦2.2625−0.01×νd ・・・(IV−8)
nd≦2.260−0.01×νd ・・・(IV−9)
nd≦2.2575−0.01×νd ・・・(IV−10)
アッベ数νdを上記範囲より大きくし過ぎると、La23、Gd23といった希土類酸化物成分の含有量が過剰となり、ガラスの熱的安定性が低下する傾向を示し、アッベ数νdを上記範囲より小さくし過ぎると、TiO2、Nb25、WO3、Bi23などの高屈折率高分散付与成分の含有量が過剰となって精密プレス成形性が低下する。ガラスの熱的安定性と精密プレス成形性をともに改善し、光学素子の量産性を高める上からもアッベ数νdを上記範囲にすることが望ましい。
屈折率は、前述のガラス成分の内で主にB23、Li2O、La23、Gd23、ZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の導入量を本発明の範囲内で調整することで、上記範囲内になるように調整できる。但し、これらの成分以外の成分についても屈折率に影響を与えるため、適宜調整する。また、アッベ数は、前述のガラス成分の内で主にB23、La23、Gd23、ZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3およびBi23の導入量を本発明の範囲内で調整することで、上記範囲内になるように調整できる。但し、これらの成分以外の成分についても屈折率及びアッベ数に影響を与えるため、適宜調整する。
次に107.2Pa・sの粘度を示す温度Tpについて説明する。精密プレス成形時にガラスが晒される最高温度は、成形方式によっても多少異なるが、ガラスが107.2Pa・sの粘度を示す温度(Tpという)を目安として考えることができる。精密プレス成形における量産性を一層高める上から、Tpの上限を706℃とする。前述の第1の要素から第5の要素を一体化することにより、精密プレス成形における量産性を飛躍的に改善することができる。
精密プレス成形における量産性を一層改善する上から、Tpが704℃以下である光学ガラスが好ましく、702℃以下である光学ガラスがより好ましく、700℃以下である光学ガラスがさらに好ましく、698℃以下である光学ガラスが一層好ましく、696℃以下である光学ガラスがより一層好ましく、694℃以下である光学ガラスがさらに一層好ましく、690℃以下である光学ガラスがなお一層好ましい。なお、光学恒数よりも精密プレス成形性を重視した場合、Tpは700℃以下が好ましく、690℃以下がより好ましく、680℃以下がさらに好ましく、670℃以下が一層好ましい。
光学ガラスのTpは、ガラス転移温度Tgの調整と同様に行うことができる。即ち、前述のガラス成分の導入量を本発明の範囲内で調整することで、上記範囲内になるように調整できる。但し、これらの成分以外の成分についてもガラス転移温度に影響を与えるため、適宜調整する。
光学ガラスIIは、上記成分以外に以下の任意成分を含む成分を含むことができる。
MgO、CaO、SrO、BaOは、ガラスの熔融性を改善し、ガラス転移温度を低下させる働きをする。しかし、過剰の導入により熱的安定性、化学的耐久性が低下し、所望の光学特性を得ることも難しくなるため、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量を0〜10%とすることが好ましい。MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量のより好ましい範囲は0〜8%、さらに好ましい範囲は0〜6%、一層好ましい範囲は0〜4%、より一層好ましい範囲は0〜2%、さらに一層好ましい範囲は0〜1%であり、なお好ましい範囲は0〜0.8%であり、特に好ましい範囲は0〜0.5%であり、0%にすることもできる。
23は、屈折率を高める働きをするが、過剰の導入によりガラスの熱的安定性が低下するともにガラス転移温度やTpが上昇する。したがって、Y23の含有量を0〜10%とすることが好ましい。Y23の含有量のより好ましい範囲は0〜8%、さらに好ましい範囲は0〜6%、一層好ましい範囲は0〜4%、より一層好ましい範囲は0〜2%、さらに一層好ましい範囲は0〜1%であり、なお一層好ましくは含有しない。
La23、Gd23、Y23の配分を最適化することにより、熱的安定性をさらに向上させることができる。具体的には、La23、Gd23およびY23の合計含有量(La23+Gd23+Y23)に対するLa23の含有量の割合(La23/(La23+Gd23+Y23))を0.66より大きくすることにより熱的安定性をさらに高め、液相温度をより低下させることができる。熱的安定性を高め、液相温度をさらに低下させる上から、前記割合(La23/(La23+Gd23+Y23))のより好ましい下限は0.67、さらに好ましい下限は0.68、一層好ましい下限は0.69、より一層好ましい下限は0.70であり、好ましい上限は0.90、より好ましい上限は0.85である。
La23、Gd23の配分についても最適化することにより熱的安定性をさらに向上させることができる。具体的には、La23およびGd23の合計含有量(La23+Gd23)に対するLa23の含有量の割合(La23/(La23+Gd23))を0.66より大きくすることにより熱的安定性をさらに高め、液相温度をより低下させることができる。熱的安定性を高め、液相温度をさらに低下させる上から、前記割合(La23/(La23+Gd23))のより好ましい下限は0.67、さらに好ましい下限は0.68、一層好ましい下限は0.69、より一層好ましい下限は0.70であり、好ましい上限は0.90、より好ましい上限は0.85である。La23、Gd23、Y23の配分、あるいはLa23、Gd23の配分を上記範囲にすることにより、熱的安定性を良好にし、液相温度を上昇を抑えることができる。特に、上記(II−1)式〜(II−4)式のいずれかを満たす高屈折率ガラスにおいて、La23、Gd23、Y23の配分、あるいはLa23、Gd23の配分を上記範囲にすることが好ましい。また、上記(III−1)式〜(III−10)式のいずれかを満たす高屈折率ガラスにおいて、La23、Gd23、Y23の配分、あるいはLa23、Gd23の配分を上記範囲にすることが好ましい。
Yb23は、屈折率を高める働きをするが、過剰の導入によりガラスの熱的安定性が低下するともにガラス転移温度が上昇する。したがって、Yb23の含有量を0〜10%とすることが好ましい。Yb23の含有量のより好ましい範囲は0〜8%、さらに好ましい範囲は0〜6%、一層好ましい範囲は0〜4%、より一層好ましい範囲は0〜2%、さらに一層好ましい範囲は0〜1%であり、なお一層好ましくは含有しない。
Al23は、熔融ガラスの粘性調整などのために導入することができるが、過剰の導入によりガラスの熱的安定性が低下するため、Al23の含有量を0〜10%とすることが好ましい。Al23の含有量のより好ましい範囲は0〜8%、さらに好ましい範囲は0〜6%、一層好ましい範囲は0〜4%、より一層好ましい範囲は0〜2%、さらに一層好ましい範囲は0〜1%であり、含有させないことがなお一層好ましい。
この他の成分として、少量のGeO2、Ga23、Lu23を導入することもできるが、これらの成分は高価である一方、無くても何ら問題のない成分であるため、それぞれ含有させないことが好ましい。なお、GeO2については、それ自身が価数変化して前述の酸化還元反応を誘起する恐れがあることから、精密プレス成形における量産性向上の観点からも導入しないことが好ましい。
なお、上記成分の原料の一部をフッ化物に置き換えて、少量のFをガラスに導入してもよい。ただし、Fはガラスの熔融、成形時に著しい揮発性を示し、脈理発生の要因や光学特性、特に屈折率の変動要因になることから、Fの含有量を0〜8モル%、好ましくは0〜6モル%、より好ましくは0〜4モル%、さらに好ましくは0〜2モル%、一層好ましくは0〜1%とする。特に好ましくはFを含有させない。後述する熔融ガラス塊を冷却する過程で精密プレス成形用プリフォームに成形する場合、内部の均質性は勿論、表面脈理のない極めて高い光学的均質性が求められるため、Fの含有は避けるべきである。
なおPb、Cd、As、Th、Cr、Te、Seは毒性を有するので、環境影響に配慮し、ガラス導入物質として使用しないことが望ましい。Pbは精密プレス成形時に還元されて、ガラス表面や成形型表面に付着し、精密プレス成形の成形精度を低下させるから、こうした観点からも含有しないことが好ましい。
Csも導入効果が期待できず、高価な成分であるので、含有させないことが好ましい。Fe、Cu、Co、Nd、Erなどはガラスの着色要因になるため、含有させないことが好ましい。
なお、Sb23、SnO2、CeO2、硝酸塩、アンモニウム、塩化物などを清澄剤として、外割り合計量で0〜1質量%の範囲で添加することができる。清澄効果を高める上からは、Sb23を外割りで0〜1質量%添加することが好ましいが、Sb23は強い酸化性を示すため、成形型成形面へのダメージを極力低減する上から、外割り添加量を0〜0.8質量%にすることが好ましく、0〜0.5質量%にすることがより好ましい。
SnO2、CeO2、硝酸塩、アンモニウム、塩化物は、Sb23と比べて酸化性が弱いので、清澄を促進しつつ、成形型成形面への負担を軽減する上から、SnO2、CeO2、硝酸塩、アンモニウムおよび塩化物の外割り合計添加量を0〜1質量%の範囲とすることが好ましく、0〜0.5質量%の範囲とすることがより好ましい。
精密プレス成形における量産性を高めるとともに、ガラスの熱的安定性を高め、所望の光学特性を実現する上から、上記清澄剤は別として、B23、SiO2、Li2O、ZnO、La23、Gd23、TiO2、Nb25、WO3、Bi23、ZrO2、Ta25、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrO、BaO、Y23、Yb23およびAl23の合計含有量を94%以上にすることが好ましく、95%以上にすることがより好ましく、96%以上にすることがさらに好ましく、97%以上にすることが一層好ましく、98%以上にすることがより一層好ましく、99%以上にすることがなお一層好ましく、100%にすることが特に好ましい。
さらに、B23、SiO2、Li2O、ZnO、La23、Gd23、TiO2、Nb25、WO3、Bi23、ZrO2およびTa25の合計含有量を94%以上にすることが好ましく、95%以上にすることがより好ましく、96%以上にすることがさらに好ましく、97%以上にすることが一層好ましく、98%以上にすることがより一層好ましく、99%以上にすることがなお一層好ましく、100%にすることが特に好ましい。
光学ガラスIIの低温軟化性はTpによって定められるが、屈伏点に注目して、より好ましいガラスを示すこともできる。
精密プレス成形における量産性を高める上から、屈伏点Tsを700℃以下にすることが好ましく、690℃以下にすることがより好ましく、685℃以下にすることがさらに好ましく、680℃以下にすることが一層好ましく、670℃以下にすることがより一層好ましい。
なお、光学恒数よりも精密プレス成形性を重視した場合、屈伏点Tsは670℃以下が好ましく、660℃以下がより好ましく、650℃以下がさらに好ましく、640℃以下が一層好ましく、630℃以下がより一層好ましく、620℃以下がさらに一層好ましく、610℃以下が特に好ましい。
しかし、屈伏点を過剰に低下させるとガラスの熱的安定性が低下したり、所望の光学特性を得ることが難しくなるので、屈伏点を550℃以上にすることが好ましい。
上記屈伏点Tsの調整はTpの調整と同様に行うことができる。
前述のように、1回の精密プレス成形において、成形型がガラスを加圧した状態かつガラスの温度がガラス転移温度以上の状態が継続する時間をt、精密プレス成形を問題なく行うことができたプレス回数をnとすると、光学ガラスIIからなるプリフォームを使用すると回数nは100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、さらに好ましくは500以上となる。
t×nについては、tを80秒とすると、従来のガラスを使用する場合、4000秒程度あるいは4000秒に満たないのに対し、光学ガラスIIからなるプリフォームを使用すると8000秒以上、好ましくは16000秒以上、より好ましくは24000秒以上、40000秒以上となる。
このように、光学ガラスIIを用いたプリフォームの場合、同一の成形型を繰り返し使用し、連続して良好な精密プレス成形ができる回数nが多く、延べ時間t×nが長い。そのため、成形型のメンテナンスが軽減され、成形型交換のために精密プレス成形工程を停止する頻度も低減できる。よって本発明の第2の態様によれば、光学素子の生産性、生産コストを大幅低減することができ、光学素子の量産性を飛躍的に改善することができる。
[光学ガラスI、光学ガラスIIの共通点]
光学ガラスIおよび光学ガラスIIは、高屈折率ガラスでありながら、Tpが低い上に優れた熱的安定性を有する。本発明の光学ガラスの好ましいものは液相温度が1200℃以下であり、より好ましいものでは1180℃以下、さらに好ましいものでは1160℃以下、一層好ましいものでは1140℃以下、より一層好ましいものでは1120℃以下、さらに一層好ましいものでは1100℃以下、特に好ましいものでは1080℃以下、最も好ましいものでは1060℃以下である。
なお、液相温度の下限について特に限定はないが、液相温度を過剰に低下させてもプリフォームの成形性はさほど改善せず、ガラス転移温度、屈伏点を低下させることが難しくなるため、液相温度を800℃以上にすることが好ましい。このように高屈折率、低ガラス転移温度のガラスとしては液相温度が低いので、失透を防止しつつ熔融ガラスを成形する際の成形性を良好に維持することができる。
上記液相温度は、前述のガラス成分の内で主にLi2OやSiO2の導入量や、La23/(La23+Gd23+Y23)の比率、La23/(La23+Gd23)の比率を調整することで、上記範囲内の特性を得ることがさらに容易になる。但し、これらの成分以外の成分についても液相温度に影響を与えることがあるが、その場合は、上記範囲内で適宜調整すればよい。
また、熔融ガラスを成形する際の成形性をより良好にする上から、液相温度における粘度が1.5dPa・s以上であることが好ましく、1.7dPa・s以上であることがより好ましく、2.0dPa・s以上であることがさらに好ましく、2.2dPa・s以上であることが一層好ましく、2.5dPa・s以上であることがより一層好ましい。一方、前記粘度が高すぎてもガラスの成形性が低下するため、液相温度における粘度が50dPa・s以下であることが好ましい。
上記液相温度におけるガラス粘度は、前述のガラス成分の内で主にB23、SiO2、Li2O、ZnOの導入量を調整することで、上記範囲内になるように調整できる。但し、これらの成分以外の成分についても液相温度におけるガラス粘度影響を与えるため、適宜調整する。
光学ガラスIおよび光学ガラスIIは、ホウ酸、酸化物、必要に応じて炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物などの原料を用い、所要の特性が得られるように、各原料を秤量、調合して十分混合し、白金坩堝などの熔融容器中に投入し、加熱、熔融、清澄、均質化した後、成形して得ることができる。均質なガラスを得る上から熔融温度は、例えば、1100〜1400℃とすることが好ましい。
あるいは、ホウ酸、酸化物、必要に応じて炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物などの原料を用いて、粗熔解(ラフメルト)して複数種のカレットを作製し、これらカレットを所要の特性が得られるように調合し、加熱、熔融、清澄、均質化した後、成形して得ることもできる。
なお、本発明において、光学ガラスI及び光学ガラスIIの屈折率-アッベ数の関係を示す図1及び2において、重複する部分及び重複しない部分がある。ガラスIについての範囲の内、ガラスIIについての範囲からはみ出している部分は、相対的に熱的に安定なガラスを製造しやすい範囲であり、ガラスIIについての範囲の内、ガラスIについての範囲からはみ出している部分は、相対的に光学設計上の利用価値が高いガラスの範囲である。両者は、熱的安定性を重視するか、光学設計上の利用価値を高めるかは、ある程度、トレードオフの関係になっている。両ガラスは組成及び特性について共通する部分を有しつつ、このような違いもある。
このような観点から、重視する特性に応じて、光学ガラスIと光学ガラスIIとが重複する範囲に属する光学ガラスが好ましい場合がある。光学ガラスIにおいて、光学ガラスIIの好ましい組成、諸特性を備えるもの、光学ガラスIIにおいて、光学ガラスIの好ましい組成、諸特性を備えるものも好ましい光学ガラスである。
[精密プレス成形用プリフォーム]
本発明の精密プレス成形用プリフォームは、2つの態様からなる。第1の態様(プリフォームIという。)は、上記光学ガラスIからなるものであり、第2の態様(プリフォームIIという。)は、上記光学ガラスIIからなるものである。
以下、プリフォームIおよびプリフォームIIをまとめて精密プレス成形用プリフォーム(以下、単にプリフォームをいうことがある。)と呼ぶ。プリフォームは、加熱して精密プレス成形に供されるガラス予備成形体を意味するが、ここで精密プレス成形とは、周知のようにモールドオプティクス成形とも呼ばれ、光学素子の光学機能面をプレス成形型の成形面を転写することにより形成する方法である。なお、光学機能面とは光学素子において、制御対象の光を屈折したり、反射したり、回折したり、入出射させる面を意味し、レンズにおけるレンズ面などがこの光学機能面に相当する。
精密プレス成形時にガラスとプレス成形型成形面との反応、融着を防止しつつ、成形面に沿ってガラスの延びが良好になるようにするため、プリフォームの表面に離型膜を被覆することが好ましい。離型膜の種類としては、貴金属(白金、白金合金)、酸化物(Si、Al、Zr、La、Yの酸化物など)、窒化物(B、Si、Alの酸化物など)、炭素含有膜があげられる。炭素含有膜としては、炭素を主成分とするもの(膜中の元素含有量を原子%で表したとき、炭素の含有量が他の元素の含有量よりも多いもの)が望ましい。具体的には、炭素膜や炭化水素膜などを例示することができる。炭素含有膜の成膜法としては、炭素原料を使用した真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法や、炭化水素などの材料ガスを使用した熱分解などの公知の方法を用いればよい。その他の膜については、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ゾルゲル法等を用いて成膜することが可能である。
本発明のプリフォームの作製方法は限定されないが、上記ガラスの優れた特質を活かして、次の方法により製造することが望ましい。
本発明の第1の精密プレス成形用プリフォームの製造方法(プリフォーム製法Iという。)は、ガラス原料を熔融し、得られた熔融ガラスを流出して熔融ガラス塊を分離し、該熔融ガラス塊を冷却過程で成形する精密プレス成形用プリフォームの製造方法において、上記光学ガラスからなるプリフォームを成形することを特徴とするものである。
本発明の第2の精密プレス成形用プリフォームの製造方法(プリフォーム製法IIという)は、ガラス原料を熔融し、得られた熔融ガラスを成形してガラス成形体を作製し、該成形体を加工して上記本発明の光学ガラスからなるプリフォームを作製するものである。
プリフォーム製法I、IIともガラス原料から均質な熔融ガラスを作製する工程は共通する。例えば、所要の特性が得られるように調合したガラス原料を白金製の熔融容器内に入れ、加熱、熔融、清澄、均質化して均質な熔融ガラスを用意し、温度調整された白金または白金合金製の流出ノズルあるいは流出パイプから流出する。なお、ガラス原料を粗熔解してカレットを作製し、得られたカレットを調合して加熱、熔融、清澄、均質化して均質な熔融ガラスを得、上記流出ノズルあるいは流出パイプから流出するようにしてもよい。
小型のプリフォームや球状のプリフォームを成形する場合は、熔融ガラスを流出ノズルから所望質量の熔融ガラス滴として滴下し、それをプリフォーム成形型によって受けてプリフォームに成形する。あるいは、同じく所望質量の熔融ガラス滴を流出ノズルより液体窒素などに滴下してプリフォームを成形する。中大型のプリフォームを作製する場合は、流出パイプより熔融ガラス流を流下させ、熔融ガラス流の先端部をプリフォーム成形型で受け、熔融ガラス流のノズルとプリフォーム成形型の間にくびれ部を形成した後、プリフォーム成形型を真下に急降下して、熔融ガラスの表面張力によってくびれ部にて熔融ガラス流を分離し、受け部材に所望質量の熔融ガラス塊を受けてプリフォームに成形する。
キズ、汚れ、シワ、表面の変質などがない滑らかな表面、例えば自由表面を有するプリフォームを製造するためには、プリフォーム成形型などの上で熔融ガラス塊に風圧を加えて浮上させながらプリフォームに成形したり、液体窒素などの常温、常圧下では気体の物質を冷却して液体にした媒体中に熔融ガラス滴を入れてプリフォームに成形する方法などが用いられる。
熔融ガラス塊を浮上させながらプリフォームに成形する場合、熔融ガラス塊にはガス(浮上ガスという)が吹きつけられ上向きの風圧が加えられることになる。この際、熔融ガラス塊の粘度が低すぎると浮上ガスがガラス中に入り込み、プリフォーム中に泡となって残ってしまう。しかし、熔融ガラス塊の粘度を3〜60dPa・sにすることにより、浮上ガスがガラス中に入り込むことなく、ガラス塊を浮上させることができる。
プリフォームに浮上ガスが吹き付けられる際に用いられるガスとしては、空気、N2ガス、O2ガス、Arガス、Heガス、水蒸気等が挙げられる。また、風圧は、プリフォームが成形型表面等の固体と接することなく浮上できれば特に制限はない。
プリフォームより製造される精密プレス成形品(例えば、光学素子)は、レンズのように回転対称軸を有するものが多いため、プリフォームの形状も回転対称軸を有する形状が望ましい。具体例としては、球あるいは回転対称軸を一つ備えるものを示すことができる。回転対称軸を一つ備える形状としては、前記回転対称軸を含む断面において角や窪みがない滑らかな輪郭線をもつもの、例えば上記断面において短軸が回転対称軸に一致する楕円を輪郭線とするものなどがあり、球を扁平にした形状(球の中心を通る軸を一つ定め、前記軸方向に寸法を縮めた形状)を挙げることもできる。
プリフォーム製法Iでは、ガラスを塑性変形可能な温度域で成形するので、ガラス塊をプレス成形することによりプリフォームを作製してもよい。その場合、プリフォームの形状を比較的自由に設定することができるので、目的とする光学素子の形状に近似させ、例えば、対向する面の一方を凸、他方を凹形状にしたり、両方を凹面にしたり、一方の面を平面、他方の面を凸面にしたり、一方の面を平面、他方の面を凹面にしたり、両面とも凸面に成形することもできる。
このようにして作製したプリフォームの表面には炭素含有膜を被覆して使用することが好ましい。
プリフォーム製法2では、例えば、熔融ガラスを鋳型に鋳込んで成形した後、成形体の歪をアニールによって除去し、切断または割断して、所定の寸法、形状に分割し、複数個のガラス片を作製し、ガラス片を研磨して表面を滑らかにするとともに、所定の質量のガラスからなるプリフォームとする。このようにして作製したプリフォームの表面にも炭素含有膜を被覆して使用することが好ましい。プリフォーム製法2は、研削、研磨を容易にすることができる球状のプリフォーム、平板状のプリフォームなどの製造に好適である。
いずれの製法においても、使用する光学ガラスの熱的安定性が優れているため、ガラスの失透、脈理などにより不良品が発生しにくく、高品質のプリフォームを安定して製造することができ、光学素子の製造プロセス全体の量産性を高めることができる。
次に、精密プレス成形による光学素子の量産性をさらに高める上から、より好ましいプリフォームについて説明する。
光学ガラスI、光学ガラスIIはともにガラス素材の面から、優れた精密プレス成形性を提供するが、精密プレス成形におけるガラスの変形量を減少させることにより、精密プレス成形時のガラスと成形型の温度の低下、プレス成形に要する時間の短縮化、プレス圧力の低下などが可能になる。その結果、ガラスと成形型成形面との反応性が低下し、精密プレス成形時に発生する上記不具合が低減され、量産性がより高まる。
レンズを精密プレス成形する場合に使用する好ましいプリフォームは、互いに反対方向を向く被プレス面(精密プレス成形時に対向する成形型成形面でプレスされる面)を有するプリフォームであり、さらに2つの被プレス面の中心を貫く回転対称軸を有するプリフォームがより好ましい。こうしたプリフォームのうち、メニスカスレンズの精密プレス成形に好適なものは、被プレス面の一方が凸面、他方が凹面、平面、前記凸面より曲率が小さいと凸面のいずれかであるプリフォームである。
また、両凹レンズの精密プレス成形に好適なプリフォームは、被プレス面の一方が凸面、凹面、平面のいずれか、他方が凸面、凹面、平面のいずれかであるプリフォームである。
両凸レンズの精密プレス成形に好適なプリフォームは、被プレス面の一方が凸面、他方が凸面または平面のプリフォームである。
いずれの場合も精密プレス成形品の形状に、より近似する形状のプリフォームが好ましい。
熔融ガラス塊をプリフォーム成形型を用いてプリフォームに成形する場合、前記成形型上のガラスの下面は成形型成形面の形状によって概ね定まる。一方、前記ガラスの上面は熔融ガラスの表面張力とガラスの自重によって定まる形状となる。精密プレス成形時におけるガラスの変形量を低減するには、プリフォーム成形型において成形中のガラスの上面の形状も制御する必要がある。熔融ガラスの表面張力とガラスの自重によって定まるガラス上面の形状は凸面状の自由表面となるが、上面を平面、凹面あるいは前記自由表面よりも曲率が小さい凸面にするには、前記ガラス上面に圧力を加える。具体的には、ガラス上面を所望形状の成形面を有する成形型でプレスしたり、ガラス上面に風圧を加えて所望形状に成形する。なお、成形型でガラス上面をプレスする際、成形型の成形面に複数のガス噴出口を設け、これらガス噴出口からガスを噴出して成形面とガラス上面の間にガスクッションを形成し、ガスクッションを介してガラス上面をプレスしてもよい。あるいは、上記自由表面よりも曲率の大きい面にガラス上面を成形したい場合は、ガラス上面を近傍に負圧を発生させて上面を盛り上げるように成形してもよい。
また、精密プレス成形品の形状に、より近似する形状のプリフォームを得るために、表面を研磨したプリフォームも好ましい。例えば、被プレス面の一方が平面または球面の一部になるように研磨され、他方が球面の一部または平面になるように研磨されたプリフォームが好ましい。球面の一部は凸面でも凹面でもよいが、凸面とするか凹面とするかは、上記のように精密プレス成形品の形状によって決めることが望ましい。
上記各プリフォームは、直径が10mm以上のレンズの成形に好ましく、直径が20mm以上のレンズの成形により好ましい。また中心肉厚が2mmを超えるレンズの成形にも好ましい。
[光学素子]
次に本発明の光学素子について説明する。
本発明の第1の光学素子は、上記光学ガラスIまたは光学ガラスIIからなる光学素子である。
本発明の第2の光学素子は、上記プリフォームIまたはプリフォームIIを加熱、精密プレス成形してなる光学素子である。
光学素子の種類は限定されないが、典型的なものとしては、非球面レンズ、球面レンズ、あるいは平凹レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、両凸レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズなどのレンズ、マイクロレンズ、レンズアレイ、回折格子付きレンズ、プリズム、レンズ機能付きプリズムなどを例示することができる。表面には必要に応じて反射防止膜や波長選択性のある部分反射膜などを設けてもよい。
本発明の光学素子は、屈折率が高く、低分散特性を有するガラスからなるので、他のガラスからなる光学素子と組合せることにより、良好な色補正を行うことができる。また、本発明の光学素子は屈折率が高いガラスからなるので、撮像光学系、投射光学系などに使用することで光学系をコンパクト化することができる。
次に本発明の光学素子の製造方法について説明する。
本発明の光学素子の製造方法は、上記本発明のプリフォーム(プリフォームIまたはプリフォームII)、または上記本発明の方法(プリフォーム製法Iまたはプリフォーム製法II)により作製したプリフォームを、プレス成形型を用いて精密プレス成形する光学素子の製造方法である。
本発明の光学素子の製造方法の好ましい態様は、上記本発明のプリフォーム(プリフォームIまたはプリフォームII)、または上記本発明の方法(プリフォーム製法Iまたはプリフォーム製法II)により作製したプリフォームを、同一のプレス成形型を用いて精密プレス成形する工程を繰り返し、光学素子を量産する光学素子の製造方法である。
本発明で使用するプリフォームは、前述のように、高屈折率低分散ガラスでありながら、精密プレス成形時、プレス成形型の成形面と反応しにくいガラスからなるので、同一のプレス成形型を用いて精密プレス成形する工程を繰り返しても、ガラスと成形型の融着、ガラス表面における発泡などの不具合が生じにくい。したがって、高い生産性のもと、光学素子を製造、量産することができる。また、高価な成形型の寿命を延ばすこともでき、非常に経済的である。
プレス成形型ならびにプリフォームの加熱および精密プレス成形工程は、プレス成形型の成形面あるいは前記成形面に設けられた離型膜の酸化を防止するため、窒素ガス、あるいは窒素ガスと水素ガスの混合ガスなどのような非酸化性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。非酸化性ガス雰囲気中ではプリフォーム表面を被覆する炭素含有膜も酸化されずに、精密プレス成形された成形品の表面に前記膜が残存することになる。この膜は、最終的には除去するべきものであるが、炭素含有膜を比較的容易にしかも完全に除去するには、精密プレス成形品を酸化性雰囲気、例えば大気中において加熱すればよい。炭素含有膜の酸化、除去は、精密プレス成形品が加熱により変形しないような温度で行うべきである。具体的には、ガラスの転移温度未満の温度範囲において行うことが好ましい。
精密プレス成形では、予め成形面を所望の形状に高精度に加工されたプレス成形型を用いるが、成形面には、プレス時のガラスの融着を防止するため、離型膜を形成してもよい。離型膜としては、炭素含有膜や窒化物膜、貴金属膜が挙げられ、炭素含有膜としては水素化カーボン膜、炭素膜などが好ましい。
本発明の光学素子の製造方法には、以下に示す2つの態様がある。
第1の態様(光学素子製法Iという)は、プリフォームIまたはプリフォームIIをプレス成形型に導入し、前記プリフォームとプレス成形型を一緒に加熱して精密プレス成形する光学素子の製造方法であり、第2の態様(光学素子製法IIという)は、加熱したプリフォームIまたはプリフォームIIを予熱したプレス成形型に導入し、精密プレス成形する光学素子の製造方法である。
光学素子製法Iでは、成形面が精密に形状加工された対向した一対の上型と下型との間にプリフォームを供給した後、ガラスの粘度が105〜109dPa・s相当の温度まで成形型とプリフォームの両者を加熱してプリフォームを軟化し、これを加圧成形することによって、成形型の成形面をガラスに精密に転写する。光学素子製法Iは、面精度、偏心精度など成形精度の向上を重視した場合、推奨される方法である。
光学素子製法IIでは、成形面が精密に形状加工された対向した一対の上型と下型との間に、予めガラスの粘度で104〜108dPa・sに相当する温度に昇温したプリフォームを供給し、これを加圧成形することによって、成形型の成形面をガラスに精密に転写することができる。光学素子製法IIは、生産性向上を重視した場合に推奨される方法である。
加圧時の圧力及び時間は、ガラスの粘度などを考慮して適宜決定することができ、例えば、プレス圧力は約5〜15MPa、プレス時間は10〜300秒とすることができる。プレス時間、プレス圧力などのプレス条件は成形品の形状、寸法に合わせて周知の範囲で適宜設定すればよい。
この後、成形型と精密プレス成形品を冷却し、好ましくは歪点以下の温度となったところで、離型し、精密プレス成形品を取出す。なお、光学特性を精密に所望の値に合わせるため、冷却時における成形品のアニール処理条件、例えばアニール速度等を適宜調整してもよい。
なお、本発明の光学素子は、プレス成形工程を経なくても作製することはできる。例えば、均質な熔融ガラスを鋳型に鋳込んでガラスブロックを成形し、アニールして歪を除去するとともに、ガラスの屈折率が所望の値になるようにアニール条件を調整して光学特性の調整を行ったのち、次にガラスブロックを切断または割断してガラス片を作り、さらに研削、研磨して光学素子に仕上げることにより得ることができる。
本発明の撮像装置は、上記本発明の光学素子を備えるものである。本発明の光学素子は、高屈折率低分散特性を備える上記光学ガラスからなるため、例えば、高分散特性を備えるレンズと本発明の光学素子であるレンズとを組合わせることにより、良好な色収差補正を可能とするコンパクトな撮像光学系を備えた撮像装置を提供することができる。撮像装置を構成する撮像素子としてはCCDあるいはCMOSなどのイメージセンサーを用いることができる。
実施例
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
表1に示すガラス組成になるように、各成分を導入するための原料としてそれぞれ相当するホウ酸、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物などを用い、原料を秤量し、十分に混合して調合原料とし、これを白金坩堝に入れ、ガラス組成の違いに応じて1200℃〜1350℃の範囲の温度で加熱、熔融した。なお、上記温度範囲で、原料の熔解性を一層改善するには ガラスの熔解温度を1250℃以上とすることが好ましく、 ガラスの着色を抑制するには1300℃以下とすることが好ましかった。熔融後、熔融ガラスを鋳型に流し込み、ガラス転移温度付近まで放冷してから直ちにアニール炉に入れ、ガラスの転移温度範囲で約1時間アニール処理した後、炉内で室温まで放冷することにより、表1に示す各光学ガラスを得た。得られた光学ガラス中には、顕微鏡で観察できる結晶は析出しなかった。このようにして得られた光学ガラスの諸特性を表1に示す。表1のNo.1〜No.35は光学ガラスIに相当し、表1のNo.5〜No.8、No.10、No.11、No.18〜No.20、No.22、No.23、No.26〜No.28は光学ガラスIIに相当する。
(注1)Ti+Nb+W+Biは、カチオン%表示によるTi、Nb、WおよびBiの合計量
(注2)Tpは、ガラスが107.2dPa・sの粘度を示す温度
なお、光学ガラスの諸特性は、以下に示す方法により測定した。
(1)屈折率ndおよびアッベ数νd
降温速度−30℃/時間で降温して得られたガラスについて、日本光学硝子工業会規格の屈折率測定法により、屈折率nd、nF、ncを測定し、これらの結果からアッベ数νdを算出した。
(2)液相温度LTおよび液相温度における粘度
ガラスを所定温度に加熱された炉内に入れて2時間保持し、冷却後、ガラス内部を100倍の光学顕微鏡で観察し、結晶の有無から液相温度を決定した。
"JIS Z 8803−1991 「液体の粘度−測定方法」8.単一円筒形回転粘度計による粘度測定"に基づき、回転円筒法によってガラスの液相温度における粘度を測定した。
(3)ガラス転移温度Tgおよび屈伏点Ts
ブルカーAXS社製 熱機械分析(TMA)により、昇温速度4℃/分として測定した。
(4)Tp
平行板粘度計を用いて105〜109dPa・sの粘度範囲で測定を行い、107.2dPa・sの粘度を示す温度をTpとした。
[実施例2]
実施例1で作製した各光学ガラスが得られるように調合したガラス原料を熔融、清澄、均質化して熔融ガラスを作り、白金製のノズルから熔融ガラス滴を滴下してプリフォーム成形型で受け、風圧を加えて浮上させながら上記各種ガラスからなる球状のプリフォームに成形した。
また、上記熔融ガラスを白金製パイプから連続的に流出し、その下端部をプリフォーム成形型で受け、熔融ガラス流にくびれ部を作った後、プリフォーム成形型を真下に急降下して熔融ガラス流をくびれ部で切断し、プリフォーム成形型上に分離した熔融ガラス塊を受け、風圧を加えて浮上させながら上記各種ガラスからなるプリフォームに成形した。
さらに、上記熔融ガラスを白金製パイプから連続的に流出し、その下端部をプリフォーム成形型で受け、熔融ガラス流にくびれ部を作った後、プリフォーム成形型を真下に急降下して熔融ガラス流をくびれ部で切断し、プリフォーム成形型上に分離した熔融ガラス塊を受け、プリフォーム成形型上でプレス成形した後、風圧を加えて浮上させながら上記各種ガラスからなるプリフォームに成形した。
上記いずれの方法で得られたプリフォームにも失透、脈理などの欠陥は認められず、光学的に均質なものであった。
[実施例3]
実施例2で用意した熔融ガラスを連続的に流出して鋳型に鋳込み、ガラスブロックに成形した後、アニールし、切断して複数個のガラス片を得た。これらガラス片を研削、研磨して上記各種ガラスからなるプリフォームを作製した。
この方法で得られたプリフォームにも失透、脈理などの欠陥は認められず、光学的に均質なものであった。
[実施例4]
実施例2、3で作製したプリフォームの表面に炭素含有膜をコートし、成形面に炭素系離型膜を設けたSiC製の上下型および胴型を含むプレス成形型内に導入し、窒素雰囲気中で成形型とプリフォームを一緒に加熱してプリフォームを軟化し、精密プレス成形して上記各種ガラスからなる非球面凸メニスカスレンズ、非球面凹メニスカスレンズ、非球面両凸レンズ、非球面両凹レンズの各種レンズを作製した。(光学素子製法1に相当する。)
同様にして、炭素含有膜がコートされたプリフォームを加熱し、プリフォームとは別に予熱され、成形面に炭素系離型膜が設けられたSiC製の上下型および胴型を含むプレス成形型内に前記プリフォームを導入して精密プレス成形し、上記各種ガラスからなる非球面凸メニスカスレンズ、非球面凹メニスカスレンズ、非球面両凸レンズ、非球面両凹レンズの各種レンズを作製した。(光学素子製法2に相当する。)
上記各例において、成形条件は、前述の光学素子製法1、2の成形条件をそれぞれ適用した。
いずれの光学素子も成形型から取り出した後、ガラス表面に残存する炭素含有膜を酸化して除去した。
1回目のテストとして、表1に記載のNo.1〜No.11の各光学ガラスを用いた場合の、同一の成形型を用いて良好な精密プレス成形ができたプレス成形回数n、ならびに1回の精密プレス成形において、成形型がガラスを加圧した状態、すなわち、成形面がガラスに密着した状態であって、ガラスの温度がガラス転移温度以上の時間tに上記プレス成形回数を乗じたプレス成形の延べ時間に相当する時間t×nを表2に示す。
次に、2回目のテストとして、表1に記載のNo.5〜No.35の各光学ガラスを用いた場合の、同一の成形型を用いて良好な精密プレス成形ができたプレス成形回数n、ならびに1回の精密プレス成形において、成形型がガラスを加圧した状態、すなわち、成形面がガラスに密着した状態であって、ガラスの温度がガラス転移温度以上の時間tに上記プレス成形回数を乗じたプレス成形の延べ時間に相当する時間t×nを表1に示す。
さらに、1回目、2回目のテストとは別に、表1に記載のNo.1〜No.35の各光学ガラスを用いて精密プレス成形したときのt×nの値を求める実験を10回繰り返し行い、t×nの相加平均値(10回)を求めた。得られたt×nの各相加平均値(10回)を表1に示す。これら相加平均値は、上記2回目のテスト結果と一致している。
いずれの光学ガラスを用いても、優れた量産性を示す。
なお、光学ガラスIの範囲ならびに光学ガラスIIの範囲の両方の範囲から外れたガラスを精密プレス成形すると、n×tは4000秒に達せず、精密プレス成形できたとしても量産性が乏しいという結果になった。
[実施例5]
実施例2で用意した熔融ガラスを流出し、鋳型に鋳込んでガラスブロックを作製し、これらのブロックを切断、研削、研磨して各種球面レンズ、プリズムを作製した。
[実施例6]
実施例4で作製した非球面凸メニスカスレンズ、非球面凹メニスカスレンズ、非球面両凸レンズ、非球面両凹レンズ、実施例5で作製した球面レンズの各々のレンズを用いて、各レンズを内蔵する一眼レフカメラ用の交換レンズ各種を作製した。
実施例4で作製した非球面凸メニスカスレンズ、非球面凹メニスカスレンズ、非球面両凸レンズ、非球面両凹レンズ、実施例5で作製した球面レンズの各々のレンズを用いて、コンパクトデジタルカメラの光学系各種を作製し、モジュール化した。さらにこれら光学系にCCDあるいはCMOSなどのイメージセンサーを取り付けモジュール化した。
このように実施例3、4で得られた各種レンズを用いることにより、高機能、コンパクトな光学系、交換レンズ、レンズモジュール、撮像装置を得ることができる。
[実施例7]
次に、表1に記載のNo.1〜No.35の各光学ガラスを用いて、互いに反対方向を向く2つの被プレス面を有するプリフォームであって、前記2つの被プレス面の中心を貫く回転対称軸を有するプリフォームを作製した。
清澄、均質化した熔融ガラスを流出し、所要量の熔融ガラス塊を分離し、プリフォーム成形型の凹部上でガラス塊の上面をプレスして、あるいは、成形したガラスを研削、研磨して、以下の各種プリフォームを成形した。
被プレス面の一方が凸面であり、他方が凹面のプリフォーム。
被プレス面の一方が凸面であり、他方が平面のプリフォーム。
被プレス面の一方が凸面であり、他方が前記一方の凸面よりも曲率が小さいプリフォーム。
これらのプリフォームを用いて、精密プレス成形により、非球面凸メニスカスレンズ、非球面凹メニスカスレンズを作製したところ、優れた量産性を得ることができる。また、非球面両凹レンズについても優れた量産性を得ることができる。直径が20mm以上の大口径レンズや、光軸方向の最大肉厚が3mmを越えるレンズ(好ましくは前記最大肉厚が3mmを超えるレンズ、より好ましくは前記最大肉厚が5mmを超えるレンズ)、あるいは、光軸方向の最大肉厚と最小肉厚の比である肉厚比が1.5を超えるレンズ(好ましくは前記肉厚比が2.0を超えるレンズも高い生産性のもとに作製することができる。
2つの被プレス面がともに平面のプリフォーム。
2つの被プレス面がともに凹面のプリフォーム。
被プレス面の一方が平面、他方が凹面のプリフォーム。
これらのプリフォームを用いて、精密プレス成形により、非球面両凹レンズについて優れた量産性を得ることができる。
2つの被プレス面がともに凸面のプリフォーム。
被プレス面の一方が凸面、他方が凹面のプリフォーム。
これらのプリフォームを用いて、精密プレス成形により、非球面両凸レンズについて優れた量産性を得ることができる。直径が20mm以上の大口径レンズや中心肉厚が2mmを越えるレンズも高い生産性のもとに作製することができる。
いずれの場合も目的とするレンズの形状に、より近似する形状のプリフォームを作製することにより量産性を高めることができる。
上記各々のレンズを用いて、各レンズを内蔵する一眼レフカメラ用の交換レンズ各種を作製した。
また、上記各レンズを用いて、コンパクトデジタルカメラの光学系各種を作製し、モジュール化した。さらにこれら光学系にCCDあるいはCMOSなどのイメージセンサーを取り付けモジュール化した。
このようにして高機能、コンパクトな光学系、交換レンズ、レンズモジュール、撮像装置を得ることができる。
光学ガラスIの屈折率nd、アッベ数νdの分布を示す。 光学ガラスIIの屈折率nd、アッベ数νdの分布を示す。

Claims (22)

  1. モル%表示にて、
    23を5〜45%、
    Li2Oを0〜3%、
    ZnOを10〜40%、
    La23を5〜30%、
    Gd23を0〜20%、及び
    TiO2、Nb25、WO3およびBi23の少なくとも一種を含み、
    TiO 2 の含有量が0〜2.33%であり、
    カチオン%表示によるTi、Nb、WおよびBiの合計含有量Xが3.5%、アッベ数νdおよび屈折率ndが図1の点A(40,1.85)、B(39,1.91)、C(33,1.93)、D(34,1.87)、A(40,1.85)を順に直線で結んだときに囲まれる範囲(ただし、直線AB、BC、CD、DA上を含み、点Aを含まず、下記(2)式を満たす)に含まれ、ガラス転移温度Tgが下記(1)式を満たすことを特徴とする光学ガラス。
    Tg[℃]≦655℃−5×X ・・・(1)
    nd≧2.000−0.0033×νd ・・・(2)
  2. ZrO2を0〜10モル%、及び
    Ta25を0〜15モル%
    さらに含む請求項1に記載の光学ガラス。
  3. モル%表示で、
    Na2OとK2Oを合計で0%以上0.5%未満、
    MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で0〜10%、
    23を0〜10%、
    Yb23を0〜10%、及び
    Al23を0〜10%、
    さらに含む請求項1または2に記載の光学ガラス。
  4. SiO2を任意成分として含み、かつSiO2の含有量が、B23の含有量の0〜0.55倍である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  5. モル%表示にて、
    23を5〜45%、
    SiO2を0〜6%(ただし、6%を含まず。)、
    Li2O、Na2OおよびK2Oを合計で0〜3%、
    ZnOを10〜40%、
    La23を5〜30%、
    Gd23を0〜20%、
    ZrO2、Ta25、TiO2、Nb25、WO3およびBi23を合計で12.5〜25%含むとともに、
    Zr4+、Ta5+、Ti4+、Nb5+、W6+およびBi3+の合計含有量に対するTi4+の含有量のカチオン比が0.15以下、
    カチオン%表示によるTi、Nb、WおよびBiの合計含有量Xが3.5〜10%であり、
    107.2dPa・sの粘度を示す温度Tpが706℃以下であり、屈折率ndおよびアッベ数νdが下記(I)式〜(IV)式のすべてを満たすことを特徴とする光学ガラス。
    34.0≦νd<40 ・・・(I)
    nd≧1.87 ・・・(II)
    nd≧2.235−0.01×νd ・・・(III)
    nd≦2.28−0.01×νd ・・・(IV)
  6. Gd23を1〜20モル%さらに含む請求項5に記載の光学ガラス。
  7. モル%表示にて、
    ZrO2を10モル%以下、
    Ta25を15モル%以下、
    TiO2を10%以下、
    Nb25を8%以下、
    WO3を20%以下、及び
    Bi23を10%以下さらに含む 請求項5または6に記載の光学ガラス。
  8. モル%表示で、
    MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で0〜10%、
    23を0〜10%、
    Yb23を0〜10%、及び
    Al23を0〜10%、
    さらに含む 請求項5〜7のいずれかに記載の光学ガラス。
  9. 任意成分としてY23を0〜10モル%含むとともに、La23、Gd23およびY23の合計含有量(La23+Gd23+Y23)に対するLa23の含有量の割合(La23/(La23+Gd23+Y23))が0.66を超える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  10. モル%表示にて、
    TiO2を10%以下、Nb25を8%以下、WO3を20%以下、及びBi23を10%以下さらに含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  11. Ta25を1〜15モル%さらに含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  12. 液相温度が1200℃以下である請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  13. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォーム。
  14. ガラス原料を熔融し、得られた熔融ガラスを流出して熔融ガラス塊を分離し、該熔融ガラス塊を冷却過程で成形する精密プレス成形用プリフォームの製造方法において、
    請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学ガラスからなるプリフォームを成形することを特徴とする精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
  15. ガラス原料を熔融し、得られた熔融ガラスを成形してガラス成形体を作製し、該成形体を加工して請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学ガラスからなるプリフォームを作製する精密プレス成形用プリフォームの製造方法。
  16. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子。
  17. 請求項16に記載の精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形してなる光学素子。
  18. 請求項13に記載のプリフォーム、または請求項14または15に記載の方法により作製したプリフォームを、プレス成形型を用いて精密プレス成形する光学素子の製造方法。
  19. 請求項16に記載のプリフォーム、または請求項14または15に記載の方法により作製したプリフォームを、同一のプレス成形型を用いて精密プレス成形する工程を繰り返し、光学素子を量産する光学素子の製造方法。
  20. プリフォームをプレス成形型に導入し、前記プリフォームとプレス成形型を一緒に加熱して精密プレス成形する請求項18または19に記載の光学素子の製造方法。
  21. 加熱したプリフォームを予熱したプレス成形型に導入し、精密プレス成形する請求項18または19に記載の光学素子の製造方法。
  22. 請求項16または17に記載の光学素子を備える撮像装置。
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