JP5855973B2 - ポリエステル樹脂およびそれを用いたポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールを主成分とし、共重合成分として芳香族または脂環族のジカルボン酸と脂肪族ダイマージオールとを用いたポリエステル樹脂およびそれを用いたポリエステルフィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートに代表される芳香族ポリエステルは優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有することから、フィルムなどに幅広く使用されている。特にポリエチレン−2,6−ナフタレートは、ポリエチレンテレフタレートよりも優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有することから、それらの要求の厳しい用途、例えば高密度磁気記録媒体などのベースフィルムなどに使用されている。しかしながら、近年の高密度磁気記録媒体などでの寸法安定性の要求はますます高くなってきており、さらなる特性の向上が求められている。
一方、特許文献1〜4には、繰り返し単位の一部に、ダイマー酸や脂肪族ポリエステルを組み込むことが提案されているが、実際には融点やガラス転移温度の低下が激しく、耐熱性などが求められる用途などには、その展開が厳しく制限されるものでしかなかった。
特公昭57−48577号公報 特公昭54−15913号公報 特開平4−91123号公報 特許第3110168号公報
本発明の目的は、湿度変化に対する優れた寸法安定性を有しながらも、実用上必要なガラス転移温度(Tg)や融点(Tm)などの耐熱性を有して、製膜などの成形性をも有するポリエステルおよびそれを用いたポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決しようと鋭意研究した結果、特定の脂肪族ポリエステルを、芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールとからなるポリエステルに組込み、さらにその結合状態を特定の範囲に制御することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分(成分A)とテレフタル酸成分、イソフタル酸成分、または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸成分(成分B)とからなり、グリコール成分がエチレングリコール成分(成分C)と脂肪族ダイマージオール成分(成分D)とからなるポリエステルであって、
成分Aと成分Bのモル比が80:20〜95:5の範囲で、成分Cと成分Dのモル比が75:25〜95:5の範囲にあること、そして
成分Cと結合している成分B(成分B)と、成分Dと結合している成分B(成分B)とのモル比が、20:80〜35:65の範囲にある固有粘度が0.55以上であるポリエステル樹脂およびそれを用いたポリエステルフィルムが提供される。
また、本発明によれば、本発明の好ましい態様として、成分Aとのみ結合している成分C(成分C)の割合が、成分Cのモル数を基準として90モル%以上であること、成分Aと結合している成分D(成分D)と、成分Bと結合している成分D(成分D)とのモル比が、40:60〜5:95の範囲にあること、数平均分子量が1,500〜10,000である成分Bと成分Dからなる低分子量前駆体を用いることの少なくともいずれか一つをさらに具備するポリエステル樹脂およびそれを用いたポリエステルフィルムも提供される。
本発明によれば、低吸水性に優れ、実用に十分な耐熱性を有するポリエステルを得ることができ、低吸水性であることから、それを製膜することで、湿度変化に対する寸法安定性に優れたポリエステルフィルムを提供できる。
本発明のポリエステルおよびポリエステルフィルムを説明するにあたって、まず成分A、成分B、成分Cおよび成分Dを説明する。
<成分A>
本発明における成分Aは2,6−ナフタレンジカルボン酸成分である。これを使用することにより力学的特性の点からまた耐熱性の点からも本発明の目的を達成することができる。
<成分B>
本発明における成分Bは成分Aとは異なる芳香族または脂環族ジカルボン酸成分であり、具体的には、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸成分などが挙げられる。
<成分C>
本発明における成分Cはエチレングリコール成分である。
<成分D>
本発明における成分Dは脂肪族ダイマージオール成分である。ダイマージオールは、不飽和脂肪酸の分子間重合反応によって得られる既知の二塩基酸であるダイマー酸を触媒存在下で水素添加して、ダイマー酸のカルボン酸部分をアルコールとした炭素数36程度のジオールを主成分としたものである。ダイマー酸の工業的製造プロセスは業界でほぼ標準化されており、炭素数が11〜22の不飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルを粘土触媒等にて2量化し、トリマー酸、モノマー酸等の副生成物を除去した後に得られる。具体的なダイマージオールとしては、クローダ社製のPripol2033などが挙げられる。
<ポリエステル>
本発明のポリエステルは、酸成分が主として前記成分Aと前記成分B、グリコール成分が主として前記成分Cと前記成分Dからなるものである。
本発明において、前記成分Aと成分Bのモル比は80:20〜95:5の範囲である。前記範囲にあることで、耐熱性と湿度変化に対する寸法安定性とを高度に発現させることができる。好ましい前記成分Aと成分Bのモル比の下限は85:15、上限は93:7である。
また、本発明において、前記成分Cと成分Dのモル比は75:25〜95:5の範囲である。前記範囲にあることで、耐熱性と湿度変化に対する寸法安定性とを高度に発現させることができる。好ましい前記成分Cと成分Dのモル比の下限は80:20、上限は92:8である。
ところで、本発明の特徴の一つは、上記の通り、少量の成分Bと成分Dを共重合したものでありながら、成分Bと成分Dとが直接結合している割合を極めて高くし、それによって耐熱性をより高度に具備させたことにある。すなわち、本発明のポリエステルは、成分Cと結合している成分Bの割合(成分B)と、成分Dと結合している成分B(成分B)とのモル比が、モル比で15:85〜40:60の範囲であることが耐熱性の点から必要である。好ましい成分Bと成分Bとのモル比は、20:80〜35:65である。このような結合の状態は、後述の製造方法などを採用することで、調整できる。
また、本発明のポリエステルは、耐熱性の点から、成分Aとのみ結合している成分C(成分C)の割合が、90モル%以上であることが好ましい。成分Cのモル数を基準として上限は特に制限されないが、過度にエステル交換反応などを抑制しなくてもよくなることから、95モル%以下、さらに98モル%以下が好ましい。
さらにまた、本発明のポリエステルは、耐熱性の点から、成分Aと結合している成分D(成分D)と、成分Bと結合している成分D(成分D)とのモル比が、40:60〜5:95の範囲にあることが好ましい。好ましい成分Dと成分Dとのモル比は、50:50〜30:70である。このような結合の状態は、後述の製造方法などを採用することで、調整できる。
本発明のポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲で、それ自体公知の他の共重合成分を共重合しても良いし、また、ポリエーテルイミドや液晶性樹脂などをブレンドして組成物としてもよい。なお、共重合する場合は、耐熱性の点から、全酸成分のモル数を基準として、10モル%未満、さらに5モル%未満であることが好ましい。
本発明のポリエステルは、P−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定した固有粘度が好ましくは0.4〜1.5dl/g、より好ましくは0.5〜1.3dl/gの範囲である。
本発明のポリエステルは、DSCで測定した融点が、200〜280℃の範囲、さらに220〜270℃の範囲、特に240〜260℃の範囲にあることが製膜性の点から好ましい。融点が上記上限を越えると、溶融押し出しして成形する際に、流動性が劣り、吐出などが不均一化しやすくなる。一方、上記下限未満になると、製膜性は優れるものの、芳香族ポリエステルの持つ機械的特性などが損なわれやすくなる。
また、本発明のポリエステル樹脂は、DSCで測定したガラス転移温度(以下、Tgと称することがある。)が、耐熱性の点から65℃以上であることが好ましい。上限は製膜性などの点から140℃以下であることが好ましい。好ましいTgの下限は70℃、さらに80℃である。また、好ましいTgの上限は120℃である。このような融点やガラス転移温度は、成分A、成分B、成分C、成分Dの種類や割合、さらに後述の製造方法による成分A〜Dの結合の状態、そして副生物の制御などによって調整できる。
<ポリエステルの製造方法>
つぎに、本発明におけるポリエステルの製造方法について、以下で説明する。
まず、成分A〜Dの原料を用意する。具体的には、成分Aの原料として芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体を、成分Bの原料として芳香族または脂環族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体を、成分Cの原料としてエチレングリコールを、成分Dの原料として脂肪族ダイマージオールを用意する。そして、これら成分A〜Dの原料を、エステル化反応もしくはエステル交換反応を経由し、重縮合反応させればよい。ただ、これら成分A〜Dの原料を、最初から所望の割合で混合して反応させるだけでは、前述の組成や結合状態にすることは困難であり、以下、成分Aの原料として2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、成分Bとして、ジメチルテレフタレートを用いた場合を例にとって説明する。
まず、前述の結合状態とするために、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルと過剰のエチレングリコールとをエステル交換反応させて2,6−ナフタレンジカルボン酸にエチレングリコールが2つ付加したポリエステル前躯体E(2,6−ナフタレンジカルボン酸のエチレングリコール付加体)を作成する。
また、ジメチルテレフタレートと脂肪族ダイマージオールとをエステル交換反応させて、ポリエステル前躯体や2個以上連結した二量体や三量体など低分子量体Fを作成する。これらは使用する脂肪族ダイマージオールとジメチルテレフタレートの使用モル比によって調整することが可能となる。
ポリエステルの前駆体を製造する際の反応温度としては、グリコール成分がエチレングリコールである場合は、その沸点以上で行うことが好ましく、特に190℃〜250℃の範囲で行なうことが好ましい。190℃よりも低いと反応が十分に進行しにくく、250℃よりも高いと副反応物であるジアルキレングリコールなどが生成しやすい。このエステル交換反応によってポリエステル前駆体としての反応物が得られる。
ポリエステルの前駆体を製造する反応工程では、公知のエステル化もしくはエステル交換反応触媒を用いてもよい。例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、チタン化合物などが上げられる。そして低分子量前駆体Fはさらに反応器内を減圧することによって得やすくなる。そして、その低分子量前駆体Fの数平均分子量は1,500〜10,000の範囲にあることが好ましい。下限値よりも低いときは上述の各成分の結合割合を達することができず、また上限値よりも高いときは、ポリエステル前駆体Eとの重縮合反応性が悪化する。
そして、このポリエステル前躯体Eとポリエステル低分子量前駆体Fとを、所望の分子量になるまで重縮合反応させることで製造できる。ここで、重縮合反応について説明する。まず、重縮合温度は得られるポリマーの融点以上でかつ230〜280℃以下、より好ましくは融点より5℃以上高い温度から融点より30℃高い温度の範囲である。重縮合反応では通常50Pa以下の減圧下で行うのが好ましい。50Paより高いと重縮合反応に要する時間が長くなり且つ重合度の高い共重合芳香族ポリエステル樹脂を得ることが困難になる。
重縮合触媒としては、少なくとも一種の金属元素を含む金属化合物が挙げられる。なお、重縮合触媒はエステル化反応においても使用することができる。金属元素としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、スズ、コバルト、ロジウム、イリジウム、ジルコニウム、ハフニウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。より好ましい金属としては、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム、スズなどであり、中でも、チタン化合物はエステル化反応と重縮合反応との双方の反応で、高い活性を発揮するので特に好ましい。
これらの触媒は単独でも、あるいは併用してもよい。かかる触媒量は、共重合芳香族ポリエステルの繰り返し単位のモル数に対して、0.001〜0.5モル%、さらには0.005〜0.2モル%が好ましい。
具体的な重縮合触媒としてのチタン化合物としては、例えば、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェエルチタネート、テトラベンジルチタネート、蓚酸チタン酸リチウム、蓚酸チタン酸カリウム、蓚酸チタン酸アンモニウム、酸化チタン、チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステル、チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸からなる反応生成物、チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸とリン化合物からなる反応生成物、チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステルと少なくとも2個のヒドロキシル基を有する多価アルコール、2−ヒドロキシカルボン酸、または塩基からなる反応生成物などが挙げられる。
また、本発明のポリエステルは、上記のような方法で製造できるが、例えば成分Bと成分Dの割合を目標よりも多いポリエステルを用意し、成分Bと成分Dの割合の少ないポリエステルとを用意し、それらを溶融混練させて所望の組成のポリエステルとしたものであっても良いし、そのようにすることで生産効率よく、成分A,成分B、成分Cおよび成分Dの割合が異なるポリエステルを製造することもできる。
<ポリエステルフィルム>
本発明のポリエステルフィルムは、前述のポリエステルを溶融製膜して、シート状に押出すことで得られる。
本発明のポリエステルフィルムは、優れた寸法安定性を発現するため、フィルム面方向における少なくとも一方向に延伸された配向ポリエステルフィルムであることが好ましく、さらに製膜方向と幅方向の両方向に延伸された二軸配向ポリエステルフィルムであることがさらに好ましい。
ところで、本発明のポリエステルフィルムは、前述の本発明のポリエステルからなるが、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の熱可塑性ポリマー、紫外線吸収剤等の安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤(粒子やワックスなど)、難燃剤、離型剤、顔料、核剤、充填剤あるいはガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などを必要に応じて配合してポリエステル樹脂組成物としても良い。他種熱可塑性ポリマーとしては、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどが挙げられる。特に耐熱性を上げる観点から、ガラス転移温度の高いなどを含有させることは好ましい態様といえる。
本発明のポリエステルフィルムは、前述の通り、製膜方向または幅方向に延伸して、その方向の分子配向を高めた配向ポリエステルフィルムであることが好ましく、例えば以下のような方法で製造することが、製膜性を維持しつつ、ヤング率を向上させやすいことから好ましい。
まず、上述の本発明のポリエステル、もしくは溶融混練する前の成分(A)と成分(C)の多いポリエステルと成分Bと成分Dの多いポリエステル樹脂とを原料とし、これを乾燥後、該ポリエステル樹脂の融点(Tm:℃)ないし(Tm+50)℃の温度に加熱された押出機に供給して、例えばTダイなどのダイよりシート状に押出す。この押出されたシート状物を回転している冷却ドラムなどで急冷固化して未延伸フィルムとし、さらに該未延伸フィルムを延伸する。このとき、溶融混練の間に過度にエステル交換反応が進んでしまわないように注意する。なお、冷却ドラムによる冷却は非常に速やかに行なうことが好ましい。このような低温で行うことで、未延伸フィルムの状態での結晶化が抑制され、その後の延伸をよりスムーズに行うことが可能となる。
なお、二軸延伸の場合、その延伸方法は、逐次二軸延伸でも同時二軸延伸でもよい。
ここでは、逐次二軸延伸で、縦延伸、横延伸および熱処理をこの順で行う製造方法を一例として挙げて説明する。まず、最初の縦延伸は共重合芳香族ポリエステルのガラス転移温度(Tg:℃)ないし(Tg+40)℃の温度で、3〜8倍に延伸し、次いで横方向に先の縦延伸よりも高温で(Tg+10)〜(Tg+50)℃の温度で3〜10倍に延伸し、さらに熱処理としてポリマーの融点以下の温度でかつ(Tg+50)〜(Tg+150)℃の温度で1〜20秒、さらに1〜15秒熱固定処理するのが好ましい。
なお、ポリエステルフィルムの厚みは、用いる用途に応じて適宜選定すればよいが、磁気記録媒体のベースフィルムに用いる場合、10μm以下、さらに8μm以下が好ましく、厚みの下限は特に制限されないが、1μm以上、さらに3μm以上が好ましい。
前述の説明は逐次二軸延伸について説明したが、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは縦延伸と横延伸とを同時に行う同時二軸延伸でも製造でき、例えば先で説明した延伸倍率や延伸温度などを参考にすればよい。
また、上述の二軸配向ポリエステルフィルムをベースフィルムとし、その一方の面に非磁性層および磁性層がこの順で形成され、他方の面にバックコート層が形成することなどで磁気記録テープとすることができる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明では、以下の方法により、その特性を測定および評価した。
(1)固有粘度
得られたポリエステルの固有粘度はP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
(2)ガラス転移点および融点
ガラス転移点と融点は、DSC(TAインスツルメンツ(株)製、商品名:DSC2920)によりサンプル重量20mg、昇温速度10℃/minで測定した。
(3)数平均分子量
ポリマーをHFIP(ヘキサフロロイソプロパノール)に溶解し、GPC(Shodex GPC−101)にて測定を行った。本数平均分子量はポリスチレン換算で求めた。
(4)共重合量
試料20mgを重トリフルオロ酢酸:重クロロホルム=1:1の混合溶媒0.6mLに溶解し、室温でH−NMRスペクトル(日本電子製 JEOL A600)を測定した。NMRのスペクトルより、共重合量の割合を見積もった。
(5)吸水率
得られたフィルムを50±2℃に保った恒温槽中で24±1時間乾燥し、デシケータ内で放冷し、23±2℃のイオン交換水の入った容器に入れ、完全に浸せき液中に24時間浸せきする。フィルムサンプルを取り出した後、表面を清浄な乾いた布でふきとり、浸漬前後の重量変化を浸漬前の重量で割り、吸水率を測定した。
(6)(成分B)(成分B)(成分C)(成分D)および(成分D)の割合
重合したポリマーの約20mgを重トリフルオロ酢酸:重クロロホルム=1:1の混合溶媒0.6mLに溶解し、室温でH−NMRスペクトル(日本電子製 JEOL A600)を測定した。NMRのスペクトルより、成分B、B、C、D、Dの割合を見積もった。
(7)製膜性
実施例1に記載した条件で、縦方向、および横方向に延伸して製膜し、安定に製膜できるか観察した。下記基準で評価した。
○:1時間以上安定に製膜できる
×:1時間以内に切断が発生し、安定な製膜ができない
[参考例1]
モル比1:1.25でジメチルテレフタレート、脂肪族ダイマージオールとしてpripol2033(クローダ社製)を反応器に仕込み、更に触媒として酢酸マンガン(ジメチルテレフタレートのモル数を基準として30mmol%)を添加した。180℃に加熱して溶融し撹拌した。反応容器内温度をゆっくりと235℃まで昇温しながら反応を進め、生成するメタノールを反応容器外へ留出させた。メタノールの留出が終了したらリン化合物としてフェニルホスホン酸(ダイマー酸のモル数を基準として40mmol%)を添加し、エステル化反応を終了させた。続いて5分後に、重縮合触媒として三酸化アンチモンを添加し(ダイマー酸のモル数を基準として20mmol%)、280℃まで加熱して、徐々に真空度を高めてポリエステル低分子量前駆体F1を作成した。
[参考例2]
モル比1:1.22でシクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、ダイマージオールとしてpripol2033(クローダ社製)を反応器に仕込んだこと以外は、参考例1と同様に行い、ポリエステル低分子量前駆体F2を作成した。
[参考例3]
モル比1:1.05でジメチルテレフタレート、ダイマージオールとしてpripol2033(クローダ社製)を反応器に仕込んだこと以外は、参考例1と同様に行い、ポリエステル低分子量前駆体F3を作成した。
[参考例4]
モル比1:2でジメチルテレフタレート、ダイマージオールとしてpripol2033(クローダ社製)を反応器に仕込んだこと以外は、参考例1と同様に行い、ポリエステル低分子量前駆体F4を作成した。
[実施例1]
エステル交換反応容器に2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコール、酢酸マンガン(2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルのモル数を基準として30mmol%)を仕込み、150℃に加熱して溶融し撹拌した。反応容器内温度をゆっくりと235℃まで昇温しながら反応を進め、生成するメタノールを反応容器外へ留出させた。メタノールの留出が終了したらリン化合物としてフェニルホスホン酸(2,6−ナフタレンジカルボン酸のモル数を基準として50mmol%)を添加し、エステル交換反応(以下、EI反応と略す)を終了させた。続いて5分後に、重縮合触媒として三酸化アンチモンを添加し(2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルのモル数を基準として20mmol%)、240℃まで加熱して一部のエチレングリコールを留出させて、ポリエステル前躯体E1を作成した。
このようにして得られたポリエステル前躯体E1とポリエステル低分子量前駆体F1とを、内部に撹拌翼を有する重縮合装置に移行した。この際、ポリエステル低分子量前駆体F1を2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルの20wt%となるように仕込んだ。その後、10分間溶解攪拌させた後に、徐々に真空度を高めながら35分間を要して、反応温度を290℃に到達せしめた。この温度を保持して真空度を40Paに保ち、重縮合反応(PN反応と略す)を行った。得られたポリエステルの固有粘度は0.61dl/gであった。得られたポリエステルのポリマー物性について表1に記す。
このようにして得られたポリエステルを、押し出し機に供給して300℃(平均滞留時間:20分)でダイから溶融状態で回転中の温度55℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度がTg+25℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率3.5倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、横延伸温度Tg+30℃で横延伸倍率3.5倍、熱固定処理(205℃で10秒間)および冷却を行い、厚さ4.5μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを構成するポリエステル樹脂の特性を表1に示す。
[実施例2]
ポリエステル低分子量F1との仕込みを、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルの40wt%となるように変更する以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られたポリマー物性と、二軸延伸フィルムの物性について表1に記す。
[実施例3]
ポリエステル低分子量前躯体F1の代わりにF2を使用したこと、また添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られたポリマー物性と、二軸延伸フィルムの物性について表1に記す。
[比較例1]
ポリエステル前躯体F1の添加のタイミングを、実施例1におけるポリエステル前躯体E1のエステル交換反応の始めに変更したこと、また添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られたポリマー物性と、二軸延伸フィルムの物性について表1に記す。
[比較例2]
ポリエステル前躯体F1をF3に変更したこと以外は、また添加量を変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行なった。重縮合反応は進まず、高い粘度のポリマーを得ることができず、また製膜を行うことができなかった。得られたポリマー物性について表1に記す。
[比較例3]
ポリエステル前躯体F1をF4に変更したこと、また添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られたポリマー物性と、二軸延伸フィルムの物性について表1に記す。
[比較例4]
添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られたポリマー物性と、二軸延伸フィルムの物性について表1に記す。
[比較例5]
ポリエステル前躯体F1を重合する際に、1,6−ヘキサンジオールではなく、1,4−ブタンジオールを用いて重合したものを前駆体F3とする。ポリエステル前駆体F1の代わりにポリエステル前駆体F3を使用する以外は実施例1と同様の操作を行なった。得られたポリマー物性と、二軸延伸フィルムの物性について表1に記す。
Figure 0005855973
表1中の、検出量の成分Aは芳香族ジカルボン酸成分、成分Bはジメチルテレフタレートまたはシクロヘキサンジカルボン酸成分、成分Dはダイマージオール成分、成分Cはエチレングリコール成分、DEGはジエチレングリコール成分、成分Bは成分Cと結合している成分B、成分Bは成分Dと結合している成分B、成分Cは成分Aとのみ結合している成分C、成分Cは成分Bとも結合している成分C、成分Dは成分Aと結合している成分D、成分Dは成分Bと結合している成分D、Tgはガラス転移温度、を示す。
本発明のポリエステルおよびそれを用いたポリエステルフィルムは、従来のポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートでは達成できなかったような優れた寸法安定性を有し、寸法安定性が求められる用途、特に高密度磁気記録媒体のベースフィルムとして、好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分(成分A)とテレフタル酸成分、イソフタル酸成分、または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸成分(成分B)とからなり、グリコール成分がエチレングリコール成分(成分C)と脂肪族ダイマージオール成分(成分D)とからなるポリエステルであって、
    成分Aと成分Bのモル比が80:20〜95:5の範囲で、成分Cと成分Dのモル比が75:25〜95:5の範囲にあること、そして
    成分Cと結合している成分B(成分B)と、成分Dと結合している成分B(成分B)とのモル比が、20:80〜35:65の範囲にある固有粘度が0.55以上であるポリエステル樹脂。
  2. 成分Aとのみ結合している成分C(成分C)の割合が、成分Cのモル数を基準として90モル%以上である請求項1記載のポリエステル樹脂。
  3. 成分Aと結合している成分D(成分D)と、成分Bと結合している成分D(成分D)とのモル比が、40:60〜5:95の範囲にある請求項1または2のいずれか記載のポリエステル樹脂。
  4. 数平均分子量が1,500〜10,000である成分Bと成分Dからなる低分子量前駆体を用いた請求項1〜3のいずれか記載のポリエステル樹脂。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載のポリエステル樹脂からなるポリエステルフィルム。
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