JP5608974B2 - 車両用開閉体制御装置 - Google Patents
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Description
従来、上記のような問題を解決するために開閉体の速度制御方法が提案されている。
パワーウィンドウについて、従来例では、窓ガラスの開閉開始時の操作スイッチによる微小な開閉コントールを容易にし、窓ガラスの高速起動や急停止によって発生する音を防止するため、車両の走行状況に応じて窓ガラスの開閉開始及び開閉終了時の速度を低下させる制御装置が知られている(特許文献1を参照)。
また、他の従来例では、窓ガラスの開閉開始時にモータに所定時間だけ一定の起動電圧を印加した後、窓ガラスの開閉速度を所定の加速目標速度とするように階段状にモータの速度制御が行われる(特許文献2を参照)。
しかしながら、直流モータを小型化して開閉体を低い速度から開閉開始させようとすると、開閉体の静止摩擦が大きい場合に直流モータの起動トルクが不足して起動できないという問題点がある。一方、小型のモータの起動を確実にするために起動時に大きな駆動電力を供給した場合には、開閉体が急速に高速作動するためスローアップ制御が困難であるという問題があった。
しかし、同じ開閉体であっても環境条件等によって起動負荷が変動するため、予定された滑らかな加速が実現されないという問題点、小型のモータを使用した場合に起動トルクが十分に得られないという問題点がある。また、開閉体の位置を基準にして制御モードが定められるため、その位置や開閉方向に関わらず開閉体を低速から起動する制御は考慮されていない。
1.車両に装備される開閉体を直流モータによって駆動し、該開閉体を低速で開閉開始してその後定常移動するように制御する車両用開閉体制御装置であって、該直流モータの駆動電圧を制御するための駆動信号を送出する制御手段と、該駆動信号に応じて該直流モータに該駆動電圧を印加する駆動回路と、該直流モータの回転に応じた回転信号を該制御手段に出力する回転センサと、を備え、該制御手段は、操作スイッチからの開閉指示を受けてから所定数の該回転信号を検出するまでの起動期間においては該駆動電圧を該開閉体の定常移動時の駆動電圧よりも高い該直流モータの略定格電圧とし、該起動期間終了時に該駆動電圧を低減することによって該開閉体を該低速で開閉開始させることを特徴とする車両用開閉体制御装置。
2.前記制御手段は、前記起動期間の長さによって該起動期間終了時の前記駆動電圧を設定する前記1.記載の車両用開閉体制御装置。
3.前記制御手段は、前記起動期間終了時の前後で前記開閉体の速度が略同一となるように該起動期間終了時に前記駆動電圧を低減する前記1.又は2.に記載の車両用開閉体制御装置。
4.前記開閉体は、パワーウィンドウ又はサンシェードのいずれかである前記1.乃至3.のいずれかに記載の車両用開閉体制御装置。
5.前記開閉体は、サンルーフ又は可動ルーフのいずれかである前記1.乃至3.のいずれかに記載の車両用開閉体制御装置。
さらに、前記起動期間終了時の前後で前記開閉体の速度が略同一となるように該起動期間終了時に前記駆動電圧を低減すれば、開閉体の開閉開始の作動をより滑らかにすることができる。
また、本車両用開閉体制御装置をサンルーフ、可動ルーフのいずれかに適用すれば、その開閉体の質量が大きく静止摩擦が大きい場合であっても確実に起動でき、使用する直流モータを小型化することができるとともに、操作性及び高級感に優れた開閉動作を実現することができる。
また、車両のルーフに開口部を設けたサンルーフ、車両ルーフの全体又は一部を電動で開閉する可動ルーフ(格納式ルーフ)等、質量や静止摩擦が大きい開閉体に適用することができる。
本車両用開閉体制御装置は図1に示すように構成され、車両用の開閉体8は直流モータ1によって駆動される。本車両用開閉体制御装置は、少なくとも直流モータ1を制御するための制御手段7、駆動回路5及び回転センサ2を備える。
本車両用開閉体制御装置を構成する内部回路には、車両のバッテリから給電を受ける電源回路(図示せず)によって、所定の電圧により必要な電力が供給される。
直流モータ1の定格電圧とは、本来最も効率のよい出力と回転数(定格出力、定格回転数)で直流モータ1を運転するために必要な電圧であり、直流モータ1を駆動する基準となる電圧である。
なお、直流モータ1の回転方向を検出するために複数の回転センサを設けてもよいし、開閉体8の位置を検出するために開閉体の位置センサが別途に設けられてもよい。
PWM制御においては、駆動信号dによって駆動回路5を構成するトランジスタ等スイッチ素子がスイッチングされることにより、モータ用電源3が断続的に直流モータ1に印加される。この駆動信号dのデューティ比に応じて直流モータ1に印加される電圧が変化するため、直流モータ1の駆動電力が調整される。
次に、本車両用開閉体制御装置の制御動作について説明する。本車両用開閉体制御装置による制御は、直流モータ1の起動時に、図2に示すような起動フェーズを備えることを特徴とする。図2では、起動フェーズの後、開閉体8を低速から緩やかに加速し(加速フェーズ)、一定の速度で移動させた後減速する動作の例を示す。通常、操作スイッチによって設定される自動、手動等の開閉モードや操作スイッチの投入解除による開閉中止等については、本発明に関係しないため考慮しないこととする。
PWM制御では駆動電圧Vdはデューティ比に対応する。したがって、図2の縦軸はデューティ比に対応している。通常の動作(図2においては破線で示す動作)においては、目標とする直流モータ1の回転速度に対応するデューティ比によって駆動することにより、直流モータ1の回転速度を制御することができる。
先ず、操作スイッチ6が投入されて開閉指示が与えられると、極性切替回路4によって直流モータ1の回転方向が設定された後、駆動回路5によって駆動電圧VD0が供給される(T=0)。駆動電圧VD0は、直流モータ1の定格電圧に略等しい値とすることができる。開閉体8の質量及び静止摩擦が大きい場合であっても、その負荷に見合った起動トルクを得るため、起動フェーズの間、直流モータ1に駆動電圧VD0が印加される。駆動回路5を駆動するPWM信号は、起動フェーズの間、この駆動電圧VD0に対応するデューティ比とすればよい。
駆動電圧VD0が印加されると、直流モータ1に大きなトルク(起動トルク)が発生する。起動後、直流モータ1には大きな起動電流が流れ、その後電流値は漸減する。起動フェーズの間、略定格電圧が印加されることにより十分な駆動電力が直流モータ1に供給され、直流モータ1の性能をフルに活用することが可能になる。
上記所定の数nは、起動時の負荷及びその変動範囲、直流モータ1の特性等によって適切に定められればよい。
図3に示すように、制御手段7は起動フェーズの終了時に直流モータ1の駆動電圧をVDSに低減することにより、開閉体8が低速で移動するように制御する。制御手段7は、駆動信号dを駆動電圧VDSに対応するデューティ比に変更すればよい。
起動フェーズ終了時に駆動電圧をVD0からVDSに低減させても、直流モータ1及び開閉体8の慣性によって直流モータ1が停止することはなく、開閉体を低い速度で移動させることが可能な状態を得ることができる。
駆動電圧VDSの値は、負荷の大きさや直流モータ1の特性等によって、例えば定格電圧の30〜50%程度の範囲で適切に定めることができる。
例えば、図3の加速フェーズに示すように、起動フェーズの終了時に駆動電圧をVDSに設定し、その後駆動電圧を漸増させることによって直流モータ1の回転速度を緩やかに上昇(スローアップ)させることができる。具体的には、制御手段7は目標とする回転速度に対応するようにPWM信号のデューティ比を調整すればよい。例えば、起動フェーズにおいて直流モータ1に略定格電圧を印加するためのデューティ比が0.7であった場合、起動フェーズの終了時にデューティ比を0.3に低減し、加速フェーズにおいて0.4〜0.5程度まで漸増させることによって、開閉体8を低速で開閉開始させることができる。
前記の通り、制御手段7は起動フェーズの開始後に到来する回転信号rの周期を計時することができ、起動フェーズを開始してから所定数の回転信号を検出するまでの時間を計測することができる。そして、この時間が所定の時間より短い場合には直流モータ1の負荷が小さく、長い場合には負荷が大きいと判断することができるため、負荷の軽重に応じて起動フェーズ終了時の駆動電圧を設定し、また、それ以後の速度制御パターンを選択することも可能となる。
図5は、本車両用開閉体制御装置の起動フェーズにおける制御方法の一例を示すフローチャートであり、制御手段7はPWM制御により直流モータ1を制御する。
開閉体8が全閉状態で開スイッチ6aが押されたとき又は開閉体8が全開状態で閉スイッチ6bが押されたとき、又は開閉体8が中間位置にあるときにいずれかのスイッチが押されたとき、開閉指示がされる(S10、S11)。
開閉指示が開閉体を開方向に移動させるか閉方向に移動させるかによって、極性切換回路4に正転信号又は逆転信号を出力して直流モータ1の回転方向を設定する(S12)。
上記タイマにより所定数nの回転信号rが検出されるまでに要した時間(tS)を計測し、前記の通り、その時間によって起動フェーズ終了時における直流モータ1の駆動電圧VDSを設定することができる。具体的には、その駆動電圧VDSに対応するデューティ比DSを選定する(S17)。例えば、上記時間tSが500msであった場合にはデューティ比をDS1、200msであればDS2と選定する(DS1>DS2)。
そして、選定されたデューティ比DSにより駆動信号dを出力する(S18)。
直流モータ1の起動後、起動フェーズ(起動期間)は数十〜数百ms、加速フェーズの時間は数秒程度とすることができる。
Claims (5)
- 車両に装備される開閉体を直流モータによって駆動し、該開閉体を低速で開閉開始してその後定常移動するように制御する車両用開閉体制御装置であって、
該直流モータの駆動電圧を制御するための駆動信号を送出する制御手段と、
該駆動信号に応じて該直流モータに該駆動電圧を印加する駆動回路と、
該直流モータの回転に応じた回転信号を該制御手段に出力する回転センサと、
を備え、
該制御手段は、操作スイッチからの開閉指示を受けてから所定数の該回転信号を検出するまでの起動期間においては該駆動電圧を該開閉体の定常移動時の駆動電圧よりも高い該直流モータの略定格電圧とし、該起動期間終了時に該駆動電圧を低減することによって該開閉体を該低速で開閉開始させることを特徴とする車両用開閉体制御装置。 - 前記制御手段は、前記起動期間の長さによって該起動期間終了時の前記駆動電圧を設定する請求項1記載の車両用開閉体制御装置。
- 前記制御手段は、前記起動期間終了時の前後で前記開閉体の速度が略同一となるように該起動期間終了時に前記駆動電圧を低減する請求項1又は2に記載の車両用開閉体制御装置。
- 前記開閉体は、パワーウィンドウ又はサンシェードのいずれかである請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用開閉体制御装置。
- 前記開閉体は、サンルーフ又は可動ルーフのいずれかである請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用開閉体制御装置。
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