JP5467676B2 - 芳香族化合物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、芳香族化合物の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体の製造方法に関する。
従来、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(後述の化合物50、以下BTBTと略す)の合成は、多くの方法で試みられている。
BTBTを合成する方法として、α,α−ジクロロトルエンと硫黄との反応から、BTBTを合成する方法が知られており、収率も39%であるが、一般的にジクロロメチル基を有する化合物の入手性や保存性において問題が多い(特許文献1)。α,α,α−トリクロロトルエンからBTBTを合成する方法が知られているが(特許文献1、特許文献2)、目的物は得られているものの、収率は12%程度と非常に低く実用的ではない。その後、開発された合成法として、反応式1の反応が知られているが、反応経路が長く生産コストが非常に高くなってしまう問題があった(特許文献3)。
Figure 0005467676
最近、2,2’−ジブロモジフェニルアセチレンとtert−ブチルリチウムを極低温下で反応させた後、硫黄を加えることにより目的物を得るという方法が開発されたが、空気中の水分と反応して発火するような、tert−ブチルリチウムを使用するので、安全性と工業性において問題がある(特許文献4、非特許文献1)。
なお、最新の合成法としては、2,7−ジアミノBTBTを出発物質としてジアゾ化からジアゾ分解で合成するもの(特許文献5)があるが、2,7−ジアミノBTBT(反応式1中、R=NHのもの)の合成は、数段階必要であり、それを出発物質とするのは、非常に高価にもなり効率的な製造法ではない。
また、BTBTにさらに、ベンゼン環が縮環したものとして、たとえば、Dinaphtho[2,3-b:2',3'-f]thieno[3,2-b]thiophene(以下、DNTTと略す,化合物91)が知られている。
この化合物は、有機半導体として優れた特性を有していることが報告されており、移動度も3.0cm/Vsを超え、しかも低閾値でもあるので、これらのDNTT誘導体の工業的な製造法の確立が期待されている。
現在、この化合物は、以下のルートで合成されている。
Figure 0005467676
しかしながら、この合成ルートでは、(1)工程1では、悪臭物質であるジメチルジスルフィドを使用すること、(2)禁水物質であるn−ブチルリチウムを使用すること、(3)工程3では、ヨウ素を32mol倍使用するなど、反応の効率が極めて低いこと、(4)副生物として、劇物であるMeIを生成するなど環境的な面からも問題があること、など種々の問題があった(特許文献6,非特許文献2,3)。
以上のように、BTBT誘導体(たとえば、DNTT誘導体も含む)を工業的に製造することは非常に難しかった。
このような中、芳香族アルデヒドを出発物質として、BTBTを合成できる手法が開発された(特許文献7)。この方法では、入手が容易な芳香族アルデヒドから容易に1段階でBTBT誘導体(例えば、DNTT誘導体も含む)の合成が出来るなど、非常に効果的な合成方法である。
Figure 0005467676
また、最近スチルベン誘導体から、BTBTを合成できる手法が開発された(特許文献8)。この方法では、(1)合成が容易で多様な置換基を有するスチルベン誘導体を出発物質として利用できること、(2)スチルベン誘導体の脱離基Xの位置に選択的に“S”(イオン原子)を導入することが出来るため縮環位を決められること、(3)そのため非対称なBTBT誘導体(例えば、DNTT誘導体も含む)の合成が容易に出来ること、など非常に効果的な合成方法である(特許文献8)。
Figure 0005467676
以上のように、BTBT誘導体(例えば、DNTT誘導体も含む)は、優れた特性を有する化合物群であることが容易に推定でき、現在でも工業的な製造方法の確立が続いている。
US3278552号公報 US3433874号公報 SU755785号公報 WO2006/077888 A1 特開2008−239987号 WO2008/050726 特開2008−290963号 特願2009−046477号
Journal of Heterocyclic Chemistry(1998),35(3),725−726. Journal of the American Chemical Society(2007),129(8),2224−2225. Science and Technology of Advanced Materials(2007),8(4),273−276.
本発明は、芳香族化合物誘導体の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体の製造に関するものであり、従来の合成技術に比べて高選択的かつ高収率であり、かつ目的の[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体(一般式(2))の合成をより簡便な技術で可能とした製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体(一般式(2))の簡便な製造方法の開発に成功した。
すなわち、(1)一般式(1)
Figure 0005467676

(式中、Xはハロゲン原子、Rは置換基を表す。mは、置換基Rの置換基の数を表し、0〜4の整数を表す。mが2以上の場合、置換基Rは同一でも異なっていてもよく、また互いに連結して環を形成してもよい。)
で表される芳香族化合物と、硫黄、硫化水素、金属水硫化物及び金属硫化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の硫黄化合物とを反応させ、一般式(2)
Figure 0005467676

(式中、R、mは、それぞれ一般式(1)のR、mと同じ意味を示す。)
で表される芳香族化合物を製造する、芳香族化合物の製造方法。
(2)一般式(1)で表される芳香族化合物の置換基Xのハロゲン原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、Rが、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜18のアルキル基、カルボニル基、アルコキシ基(OC1〜C18)、アルキルチオ基(SC1〜C18)、エステル基、アリール基、又は炭素数1〜18のアルキル基を有するシリル基、である、(1)に記載の芳香族化合物の製造方法。
(3)前記硫黄化合物が、硫黄、硫化水素、含水又は無水の水硫化ナトリウム、含水又は無水の硫化ナトリウム、及び含水又は無水の多硫化ナトリウムからなる群から選ばれる、(1)又は(2)に記載の芳香族化合物の製造方法。
(4)複数種の前記硫黄化合物を混合して用いる、(1)乃至(3)のいずれかに記載の芳香族化合物の製造方法。
(5)前記硫黄化合物として、硫黄と含水又は無水の水硫化ナトリウムとの混合物、硫黄と含水又は無水の硫化ナトリウムとの混合物、又は、硫黄と含水又は無水の水硫化ナトリウムと含水又は無水の硫化ナトリウムとの混合物を用いる、(1)乃至(4)のいずれかに記載の芳香族化合物の製造方法。
(6)銅含有化合物を含む金属触媒の存在下で反応を行う、(1)乃至(5)のいずれかに記載の芳香族化合物の製造方法。
(7)反応溶媒として、少なくとも一種の沸点100℃以上の高沸点溶媒を使用する、(1)乃至(6)のいずれかに記載の芳香族化合物の製造方法。
(8)前記沸点100℃以上の高沸点溶媒がN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリンジノン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる、(7)に記載の芳香族化合物の製造方法。
本発明により、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体の簡便な製造を可能とした。また、出発物質におけるアルデヒド基に対して2位の位置に脱離基であるハロゲン原子を持たせることにより、高選択的にBTBT骨格の構築を可能にした。
以下、本発明の製造法について詳細に述べる。本発明の製造法のスキームは次の通りである。
Figure 0005467676
本発明において、Xで表されるハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が好ましい。より好ましくは、塩素原子、及び臭素原子である。
一般式(1)で示されるRは置換基を表す。Rは通常、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜18のアルキル基、カルボニル基、アルコキシ基(OC1〜C18)、アルキルチオ基(SC1〜C18)、エステル基、アリール基、又は炭素数1〜18のアルキル基を有するシリル基、を示す。なお、式(1)においてRが複数の場合(mが2以上の場合)は、各Rは同一でも異なっていてもよく、また互いに連結して、ベンゼン環などの環を形成してもよい。
ここで炭素数1〜18のアルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、及びn−オクタデシル基などを挙げることができ、これらが1つ又は複数脱水素したものでもよい。
好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基などのアルキル基、及びこれらが1つ又は複数脱水素したものであり、より好ましくは、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、及びこれらが1つ又は複数脱水素したものである。
アリール基とは、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、ベンゾピレニル基などの芳香族炭化水素基やピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピロリル基、インドレニル基、イミダゾリル基、カルバゾリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、ピリドニル基などの複素環基、ベンゾキノリル基、アントラキノリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基のような縮合系複素環基が挙げられる。またこれらの置換基は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスレン環、ピレン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環などで縮環していてもよい。これらのうち、好ましいアリール基は、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基及びチエニル基である。
アルコキシ基(OC1〜C18)とは、上記炭素数1〜18のアルキル基を有するアルコキシ基、アリールオキシ基など意味し、そのアルコキシ基(OC1〜C18)中のアルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、及びフェニル基であり、より好ましくは、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、及びフェニル基である。
アルキルチオ基(SC1〜C18)とは、上記炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキルチオ基、アリールチオ基などを意味し、そのアルキルチオ基(SC1〜C18)中のアルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、及びフェニル基などのアルキルチオ基であり、より好ましくは、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、及びフェニル基を有するアルキルチオ基である。
Rが炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基(OC1〜C18)、アルキルチオ基又はアリール基を表す場合、これらの基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホルミル基、及びアシルアミノ基からなる群から選ばれる。
エステル基とは、カルボン酸、上記炭素数1〜18のアルキル基(CO2−アルキル基)又はアリール基(CO2−アリール基)を有するエステル基のことを言う。
カルボニル基とは、アルデヒド、上記炭素数1〜18のアルキル基(CO−アルキル基)又はアリール基(CO−アリール基)を有するケトン基のことを言う。
アミノ基とは、無置換、又は、上記炭素数1〜18のアルキル基、カルボニル基又は上記アリール基のいずれかが1つ又は2つ置換したアミノ基のことを言う。
一般式(1)で表される化合物は、市販されているものも多く入手も容易である。また、従来マクマリー反応(McMurry reaction)に用いられていた芳香族アルデヒドの合成法に従って、合成することも可能である(反応式2、特許文献5、非特許文献2,3)。
一般式(1)で表される化合物としては、X=Clとして、以下のような化合物1〜40で表される具体例を下記表1及び表2に例示するが、これらに限定されるものではない。なお、以下表中特記しない限り、空欄は水素原子を表し、メチル基をMe、エチル基をEt、プロピル基をPr、ブチル基をBu、ヘキシル基をHexyl、アセチル基をAc、フェニル基をPh、トリル基をTolyl、ナフチル基をNapで表す。
Figure 0005467676
Figure 0005467676
Figure 0005467676
さらに、一般式(1)で表される化合物をX=Clとして、以下のような化合物41〜49で表される具体例を例示するが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005467676
出発物質(一般式(1))1molに対して、反応に用いる硫黄化合物は、通常1〜30mol使用する。好ましくは、1.5〜20mol、より好ましくは1.5〜6molである。
硫黄化合物としては、硫黄、硫化水素、金属水硫化物、金属硫化物であれば、いかなるものでも使用可能であるが、入手が容易な、硫黄、硫化水素、含水又は無水の水硫化ナトリウム、含水又は無水の硫化ナトリウム、及び含水又は無水の多硫化ナトリウムが好ましい。より好ましくは、硫黄、含水又は無水の水硫化ナトリウム、含水又は無水の硫化ナトリウム、及び含水又は無水の多硫化ナトリウムである。
また、単独の硫黄化合物を用いても、反応は進行するが、複数の硫黄化合物を用いることで、反応の収率が向上したり、反応の後処理でタール化を抑えることが出来るなど、メリットが有る場合もある。
複数の硫黄化合物を混合して用いる場合、用いる硫黄化合物は、硫黄、硫化水素、金属水硫化物、金属硫化物であればよい。より好ましくは硫黄と含水又は無水の水硫化ナトリウムとの混合物、又は、硫黄と含水又は無水の硫化ナトリウムとの混合物、又は、硫黄と含水又は無水の水硫化ナトリウムと含水又は無水の硫化ナトリウムとの混合物(3種を混合したもの)である。
複数の硫黄化合物を混合して用いる場合、出発物質1molに対して、硫黄化合物合計量が、1〜30molとなる様に混合するのが望ましい。より好ましくは、1.5〜20mol、さらに好ましくは1.5〜6molである。
反応温度は通常0〜300℃で行い、反応温度を可変して行うこともできるし、一定にして行うこともできる。好ましい反応温度は100〜250℃であり、より好ましくは、120〜250℃である。
反応を行うときは溶媒を使用しても使用しなくてもよい。溶媒を使用する場合、その溶媒は、通常の有機合成に用いられる溶媒であれば、いかなるものでも使用可能である。例えば、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ニトロベンゼン等のメチル基を有しない芳香族化合物や、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−ペンタン等の飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンタン等の環状炭化水素、n−プロピルブロマイド、n−ブチルクロライド、n−ブチルブロマイド、ジクロロメタン、ジブロモメタン、ジクロロプロパン、ジブロモプロパン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、ジクロロプロパン、ジブロモプロパン、ジクロロブタン、クロロホルム、ブロモホルム、四塩化炭素、四臭化炭素、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン等の飽和脂肪族ハロゲン化炭化水素、クロロシクロヘキサン、クロロシクロペンタン、ブロモシクロペンタン等のハロゲン化環状炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチル等のエステル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトンを挙げることが出来る。これらの溶媒は単独でも2種以上混合して用いてもよい。
また、反応溶媒として、少なくとも一種の沸点100℃以上の高沸点溶媒を使用すると大幅に反応速度が向上するので好ましい。
沸点100℃以上の高沸点溶媒としてはアミド類(N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAc)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリンジノン)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、及びスルホキシド類(ジメチルスルホキシド(以下、DMSO)、スルホラン)が好ましく、より好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)である。
溶媒の使用量は、一般式(1)で示される出発物質1に対して、通常0.01〜300重量倍、好ましくは、0.1〜300重量倍、より好ましくは、2〜50重量倍である。この際、複数の溶媒を組み合わせて使用してもよい。
反応を行うときに、触媒の使用は必須ではないが、触媒を利用すると反応がスムーズに進行する場合がある。
また、この反応は、金属触媒を使用することでも反応を進行させることが出来る場合がある。
用いる金属触媒としては、銅、塩化銅(I)、塩化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(I)、及びヨウ化銅(II)等の銅含有化合物が挙げられ、これらの一種又は複数を組み合わせて使用することができる。好ましくは、銅、塩化銅(I)、及び臭化銅(I)である。
用いる金属触媒量は、出発物質1molに対して、通常0.01〜1mol、好ましくは、0.05〜0.6mol、より好ましくは0.1〜0.6molである。
金属触媒を複数用いる場合は、各金属触媒量の合計は、出発物質1molに対して、通常0.01〜1mol、好ましくは、0.05〜0.6mol、より好ましくは0.1〜0.6molである。
反応時間は、通常、1〜50時間であるが、おおむね24時間以内に終了する。
必要に応じて通常の有機合成反応に用いられる単離・精製法により反応物から目的化合物が得られる。より純度を上げるためには、真空昇華精製を行うことも可能である。
また、一般式(2)で表される化合物の具体例(化合物50〜89)を、特に例示するが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005467676
Figure 0005467676
Figure 0005467676
また、一般式(2)で表される化合物として、以下のような化合物90〜98で表される具体例を例示するが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005467676
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1 ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンの合成(化合物50)
70%NaSH・nHO(1.14g,14.2mmol)とo−クロロベンズアルデヒド(化合物1,1.0g,7.1mmol)をNMP(20ml)に混合し、180℃で3時間加熱した。反応液を放冷し、飽和塩化アンモニウム水溶液(100ml)に加え、この混合液をトルエン(30ml×2回)で抽出した。有機層を集めて、無水MgSOで乾燥し、ろ過して濃縮して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,展開溶媒ヘキサン)で精製し、目的物(化合物50,395mg,収率39%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)d7.95−7.85(m,4H),7.50−7.39(m,4H);MS(70eV,EI)m/z=240(M
実施例2 ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンの合成(化合物50)
実施例1のはじめのNMP混合溶媒に、塩化銅(0.1g,1mmol)を加え、実施例1と同様の操作で反応を行い、目的物50を収率42%で得ることが出来た。得られた化合物のスペクトル等は、実施例1のものと同じであった。
実施例3 ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンの合成(化合物50)
実施例1で用いた70%NaSH・nHO(1.14g,14.2mmol)の代わりに、NaS・5HO(2.38g,14.2mmol)用いて、実施例1と同様の操作で反応を行い、目的物50を収率5%で得ることが出来た。得られた化合物のスペクトル等は、実施例1のものと同じであった。
実施例4 ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンの合成(化合物50)
実施例1で用いたo−クロロベンズアルデヒドの代わりに、o−ブロモベンズアルデヒド(1.31g,7.1mmol)用いて、実施例1と同様の操作で反応を行い、目的物50を収率15%で得ることが出来た。得られた化合物のスペクトル等は、実施例1のものと同じであった。
実施例5 ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンの合成(化合物50)
実施例1で用いた70%NaSH・nHO(1.14g,14.2mmol)の代わりに、70%NaSH・nHO(375mg,4.7mmol)、NaS・5HO(788mg,4.7mmol)、及び硫黄(150mg,4.7mmol)の混合物を用いて、実施例1と同様の操作で反応を行い、目的物50を収率30%で得ることが出来た。得られた化合物のスペクトル等は、実施例1のものと同じであった。
実施例6 ジナフト[2,3−b:2’,3’−f]チエノ[3,2−b]チオフェン(化合物91)
3−クロロ−2−ナフトアルデヒド(化合物42,3.81g,20mmol)と70%NaSH・nHO(3.20g,40mmol)のNMP(56ml)混合液をディーンスターク脱水管をつけて、180℃で5時間加熱した。反応液を放冷して、ろ別して、水200ml、アセトン200mlで洗浄し、乾燥してDNTT(化合物91,0.30g,収率8.8%)を得た。
黄色結晶;mp>300℃;H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.54−7.57(m,4H,ArH),7.96−7.98(m,2H,ArH),8.05−8.07(m,2H,ArH),8.40(s,2H,ArH),8.45(s,2H,ArH);IR(KBr)ν 1273,872,750,739 cm−1;MS(70eV,EI)m/z=340(M),170(M/2);Anal.Calcd for C22H12S2:C,77.61;H,3.55%.Found:C,77.40;H,3.38%.
以上のように本発明により、優れた特性を有する化合物群であるBTBT誘導体である、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン誘導体(一般式(2))の選択的かつ効率的な製造を可能とした。
従って、本発明の芳香族化合物の誘導体の製造方法は極めて有用なものである。

Claims (8)

  1. 一般式(1)
    Figure 0005467676

    (式中、Xはハロゲン原子であり、Rは、水素原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基(OC1〜C18)、アルキルチオ基(SC1〜C18)、アリール基、又は炭素数1〜18のアルキル基を有するシリル基である。mは、置換基Rの置換基の数を表し、0〜4の整数を表す。mが2以上の場合、置換基Rは同一でも異なっていてもよい。)
    で表される芳香族化合物と、硫黄、硫化水素、金属水硫化物及び金属硫化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の硫黄化合物とを反応させ、一般式(2)
    Figure 0005467676

    (式中、R、mは、それぞれ一般式(1)のR、mと同じ意味を示す。)
    で表される芳香族化合物を製造する、芳香族化合物の製造方法。
  2. 一般式(1)で表される芳香族化合物の置換基Xのハロゲン原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である、請求項1に記載の芳香族化合物の製造方法。
  3. 前記硫黄化合物が、硫黄、硫化水素、含水又は無水の水硫化ナトリウム、含水又は無水の硫化ナトリウム、及び含水又は無水の多硫化ナトリウムからなる群から選ばれる、請求項1又は2に記載の芳香族化合物の製造方法。
  4. 複数種の前記硫黄化合物を混合して用いる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の芳香族化合物の製造方法。
  5. 前記硫黄化合物として、硫黄と含水又は無水の水硫化ナトリウムとの混合物、硫黄と含水又は無水の硫化ナトリウムとの混合物、又は、硫黄と含水又は無水の水硫化ナトリウムと含水又は無水の硫化ナトリウムとの混合物を用いる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の芳香族化合物の製造方法。
  6. 銅含有化合物を含む金属触媒の存在下で反応を行う、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の芳香族化合物の製造方法。
  7. 反応溶媒として、少なくとも一種の沸点100℃以上の高沸点溶媒を使用する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の芳香族化合物の製造方法。
  8. 前記沸点100℃以上の高沸点溶媒がN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリンジノン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる、請求項7に記載の芳香族化合物の製造方法。
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