以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
(第一の実施の形態)
以下、図1から図11を参照して、本発明の第一の実施の形態に係るカートリッジ式化粧料容器1について説明する。
カートリッジ式化粧料容器1は、化粧料Aが充填されたカートリッジ体2が取り付けられて用いられるものである。カートリッジ式化粧料容器1は、図1に示すように、カートリッジ体2が着脱自在に取り付けられる本体外筒30と、本体外筒30に対して同軸に、かつ相対回転可能に取り付けられる駆動体60と、外周に雄ねじ51が形成され、本体外筒30と駆動体60との相対回転によって繰り出されてカートリッジ体2内の化粧料Aを押し出す押棒50と、本体外筒30に収容され、カートリッジ体2の取り付けによって軸方向に収縮する螺合ばね40とを備える。化粧料Aを繰り出すための各部品は、カートリッジ体2には設けられず、カートリッジ式化粧料容器1に集約されている。
まず、図2及び図3を参照して、カートリッジ式化粧料容器1に取り付けられるカートリッジ体2について説明する。
カートリッジ体2は、その中心軸まわりに回転して本体外筒30に取り付けられる。カートリッジ体2は、内部に化粧料Aが充填されるカートリッジ外筒20と、カートリッジ外筒20内を軸方向に摺動可能な保持部材10と、カートリッジ外筒20に取り付けられるキャップ3とを備える。
化粧料Aは、テクスチャーの違いによって、先端開口孔21a側から充填されたり、後端開口孔24側から充填されたりする。また、充填された化粧料Aは、加熱された状態で充填され、冷却されるとゲル状になったり棒状になったりする。
図2(b)に示すように、カートリッジ外筒20は、先端開口孔21aが形成される化粧料保持部21と、後端開口孔24が形成されて本体外筒30に取り付けられたときにカートリッジ体2に嵌入される嵌入部25と、化粧料保持部21と嵌入部25との間に設けられて外周に突出するフランジ22とを有する。
化粧料保持部21は、円筒状に形成される。化粧料保持部21の内周には、化粧料Aが充填される。化粧料保持部21の外周には、フランジ22から軸方向に延設される複数の縦リブ23が形成される。この縦リブ23は、キャップ3が装着されたときに、キャップ3を相対回転不能に係止するものである。
嵌入部25は、円筒状に形成される。嵌入部25の内周は、化粧料保持部21の内周に連続して形成される。嵌入部25の外周には、フランジ22から軸方向に雄ねじ20aが形成される。この雄ねじ20aは、本体外筒30に螺合するものである。
フランジ22は、本体外筒30に取り付けられたときに、本体外筒30の端部と当接して軸方向の相対位置を規定する。また、フランジ22は、キャップ3が取り付けられたときに、キャップ3の端部と当接して軸方向の相対位置を規定する。
保持部材10は、カートリッジ体2を軸方向に貫通する貫通孔の内周に挿入される。保持部材10は、化粧料Aの後端に位置する。保持部材10は、図2(c)に示すように、略円筒状に形成され、押棒50が当接する当接部11と、化粧料Aが充填される底面12とを有する。保持部材10は、化粧料Aを保持するものではなく、充填された化粧料Aの漏れを防ぐとともに、押棒50の移動によって化粧料Aを先端開口孔21aより突出させるものである。
以上のように、カートリッジ体2では、カートリッジ外筒20と保持部材10との形状がシンプルであるため、化粧料Aをカートリッジ外筒20に直充填することが可能である。
図2(a)に示すように、キャップ3は、有底円筒状に形成される。キャップ3は、カートリッジ外筒20の化粧料保持部21に取り付けられて先端開口孔21aを閉塞する。キャップ3の開口端の内周には、カートリッジ外筒20の縦リブ23に係合するローレットリブ3aが形成される。キャップ3は、カートリッジ外筒20に取り付けられたときには、カートリッジ外筒20との相対回転が不能となる。よって、使用者は、キャップ3を保持して回転させれば、同時にカートリッジ外筒20を回転させることが可能である。
なお、キャップ3は、カートリッジ式化粧料容器1の外径を細くしたい場合や、カートリッジ体2の気密性が要求されないような場合には、設けられなくてもよい。
このように構成されるカートリッジ体2は、保持部材10が内部に挿入されて化粧料Aが充填されたカートリッジ外筒20にキャップ3を取り付けて先端開口孔21aを閉塞することで、化粧料Aを内蔵したカートリッジとして単体で販売することが可能である。また、カートリッジ式化粧料容器1にカートリッジ体2を取り付けた状態で、カートリッジ体2を備えたカートリッジ式化粧料容器1として販売してもよい。
また、カートリッジ式化粧料容器1では、上述したカートリッジ体2に代えて、図3に示すような、カートリッジ外筒220内に充填された液状の化粧料Bが先端吐出孔221aから押し出されるカートリッジ体202を使用することも可能である。このカートリッジ体202は、カートリッジ外筒220に保持部材210を挿入した後、先端吐出孔221a側から細いノズルを用いて化粧料Bを充填したり、後端開口孔224から化粧料Bを充填した後で保持部材210を挿入したりして形成される。保持部材210の先端面は、カートリッジ外筒220の先端の内周面に対応した形状に形成される。これにより、カートリッジ外筒220に充填された化粧料Bを全て使い切ることが可能である。
次に、図4から図8を参照して、カートリッジ式化粧料容器1を構成する各部品について説明する。
図4に示すように、本体外筒30は、円筒状に形成される。本体外筒30の内周は、軸方向の略中央に設けられる隔壁35によって、前部腔部36と後部腔部37とに分離される。この隔壁35の中心には、押棒50の棒軸55が進退可能な貫通孔34が形成される。
本体外筒30は、前部腔部36の端部に形成される先端開口孔31近傍の内周に形成される雌ねじ32と、後部腔部37の端部近傍に形成され、駆動体60と相対回転自在に連結される嵌合凹部33とを有する。
前部腔部36には、上述したカートリッジ体2の嵌入部25が、先端開口孔31から嵌入される。そして、本体外筒30とカートリッジ体2とを中心軸まわりに相対回転させることで、カートリッジ体2のカートリッジ外筒20に形成される雄ねじ20aが、本体外筒30の雌ねじ32に螺合する。これにより、カートリッジ体2が本体外筒30に対して螺合して取り付けられる。
また、前部腔部36には、螺合ばね40が挿入される。前部腔部36の内周には、隔壁35から軸方向に延設される複数の縦リブ38が形成される。この縦リブ38は、螺合ばね40が挿入されて当接する上端面35aから軸方向に延設される。縦リブ38は、その内径が螺合ばね40の後述する後端部42と比較して小径に形成される。これにより、螺合ばね40は、前部腔部36に挿入されると、後端部42が縦リブ38によって保持されるため、カートリッジ体2が取り外されても前部腔部36から抜け落ちない。なお、後端部42の外径によっては、縦リブ38を設けない場合であっても、前部腔部36から抜け落ちないようにすることが可能である。
嵌合凹部33は、後部腔部37の内周に環状に凹設される。嵌合凹部33には、駆動体60の後述する嵌合凸部65が嵌められる。
図5(a)に示すように、駆動体60は、有底円筒状に形成される。駆動体60は、本体外筒30に嵌入される嵌入部61と、嵌入部61に連続して形成され使用者によって摘んで用いられる摘み部62と、内周に形成され押棒50と相対回転不能に係合する複数の縦リブ63とを有する。
嵌入部61は、円筒状に形成される。嵌入部61の基端近傍の外周には、本体外筒30の嵌合凹部33に嵌合する嵌合凸部65が環状に凸設される。また、嵌入部61の外周には、環状の溝部66が凹設される。この溝部66にOリングを挿入すれば、本体外筒30と駆動体60との相対回転に適度な抵抗を付与することができ、使用者による操作感を向上できる。
摘み部62は、嵌入部61と比較して大径に形成される。摘み部62は、本体外筒30の外径と略同径に形成される。これにより、駆動体60が本体外筒30に組み付けられると、本体外筒30の外周面と摘み部62の外周面とが略面一となる。
図5(b)及び図5(c)に示すように、縦リブ63は、内周の底面64から開口端までにわたって軸方向に延設される。縦リブ63は、押棒50の後述する大径部54のガイド溝56に係合する。本実施の形態では、縦リブ63は、四本設けられる。
図6(a)に示すように、押棒50は、略円柱状に形成される。押棒50は、本体外筒30と駆動体60との内周に収容される。押棒50は、本体外筒30及び駆動体60と同軸に設けられる棒軸55と、棒軸55の一端に設けられる前端部53と、棒軸55の他端に設けられる大径部54とを有する。
棒軸55の外周には、図6(b)に示すように、ピッチP=0.5mm、リードL=0.5mmの一条ねじである雄ねじ51が形成される。カートリッジ体2に充填された化粧料Aやカートリッジ体202に充填された化粧料Bは、微量ずつ押し出されて使用されるものである。よって、雄ねじ51のピッチは、押棒50が微動可能なピッチに設定される。これに限らず、雄ねじ51は、ピッチP=1.0mm、リードL=1.0mmの一条ねじや、P=1.0mm、リードL=2.0mmの二条ねじなどであってもよい。
雄ねじ51には、螺合ばね40の後述する雌ねじ突起44が噛合可能である。押棒50のストロークは、雄ねじ51の軸方向の長さによって決定される。
前端部53は、球状に形成される。前端部53は、カートリッジ体2の保持部材10の当接部11に当接する。これにより、押棒50が軸方向に移動すると、前端部53が保持部材10を押圧して、カートリッジ体2内の化粧料Aが先端開口孔21aから押し出されることとなる。
大径部54は、棒軸55と比較して大径に形成される。大径部54は、駆動体60内を軸方向に移動する。大径部54は、駆動体60の底面64と当接したときに、押棒50の繰出後退限を規定する。大径部54の外周には、駆動体60の縦リブ63と係合する複数のガイド溝56が軸方向に凹設される。このガイド溝56が縦リブ63と係合することで、押棒50と駆動体60との相対回転が不能となる。よって、使用者が駆動体60を摘んで回転させると、押棒50も同時に回転することとなる。
なお、押棒50は、カートリッジ体2内の化粧料Aを微動に進出させることを目的としている。そのため、本実施の形態においては、押棒50を使用中に後退させて、進出した化粧料Aをカートリッジ体2内に引き戻すことはできない。
図7(a)に示すように、螺合ばね40は、鼓状に形成される。螺合ばね40は、本体外筒30に支持される後端部42と、カートリッジ体2の取り付けによって後端部42に近接する前端部41と、前端部41と後端部42とを連結する複数の板ばね部43と、複数の板ばね部43のうち少なくとも一つに設けられ、板ばね部43が押棒50に向かって曲がることによって雄ねじ51と噛合する雌ねじ突起44とを備える。
螺合ばね40は、ステンレスの薄板によって形成される。これにより、螺合ばね40の耐久性及び復元性が確保され、カートリッジ式化粧料容器1を長期間使用することが可能となる。これに代えて、螺合ばね40を樹脂などの他の材料によって形成することも可能である。
前端部41は、環状に形成される。前端部41の外径は、本体外筒30の前部腔部36の内径と比較して小さく形成される。前端部41の中央には、押棒50の棒軸55が進退可能な貫通孔41aが形成される。前端部41には、本体外筒30に取り付けられるカートリッジ体2の後端面26(図2(b)参照)が当接する。螺合ばね40は、カートリッジ体2が前端部41を軸方向に押圧することによって収縮する。
後端部42は、前端部41と同形状の環状に形成される。後端部42の外径は、本体外筒30の前部腔部36の内径と比較して小さく、かつ前部腔部36に形成される縦リブ38間の内径と比較して大きく形成される。後端部42の中央には、押棒50の棒軸55が進退可能な貫通孔42aが形成される。後端部42は、前部腔部36の上端面35a(図4参照)に当接する。
図7(b)に示すように、板ばね部43は、軸方向に押圧されると内周に向かって湾曲する。これに代えて、板ばね部43を、軸方向に押圧されると内周に向かって屈曲するように形成してもよい。
板ばね部43は、カートリッジ体2が螺合する際の回転によって捩れる。具体的には、板ばね部43は、カートリッジ体2の後端面26が前端部41に当接した状態で、カートリッジ体2を本体外筒30に対して回転させて螺合させる際に、後端面26と前端部41との摩擦力によって捩れる。
雌ねじ突起44は、板ばね部43の軸方向の略中央の内側に突設される。雌ねじ突起44は、カートリッジ体2が取り付けられていない状態では、板ばね部43が捩れていないため、前端部41及び後端部42と平行である。
雌ねじ突起44は、カートリッジ体2が取り付けられると、図8に示すように、カートリッジ体2の回転によって板ばね部43が押棒50の外周に絡みつくように捩れた状態で雄ねじ51に噛合する。雌ねじ突起44は、板ばね部43が捩れたときに、雄ねじ51のリード角と同方向に傾斜するように形成される。
これにより、雌ねじ突起44と雄ねじ51とは、強い螺合力で螺合することとなる。よって、化粧料Aがカートリッジ外筒20の内周に密着して充填されているような場合であっても、強い力で押し出すことが可能である。
図7(b)に示されるように、螺合ばね40は、α[mm]だけ圧縮されて、θ[deg]だけ捩られて使用される。なお、これに限らず、螺合ばね40の板ばね部43を捩らずに、板ばね部43を軸方向に押圧してα[mm]だけ圧縮し、内周に向かって湾曲させただけの状態で、雌ねじ突起44を雄ねじ51に噛合させて使用してもよい。
以上のように、螺合ばね40では、後端部42が本体外筒30に回動不能に支持され、カートリッジ体2を本体外筒30に対して相対回転させて前端部41を後端部42に対して回転させることで、板ばね部43が捩られる。これにより、板ばね部43の雌ねじ突起44が押棒50の雄ねじ51に噛合する。
雌ねじ突起44は、カートリッジ体2が本体外筒30から取り外されると、板ばね部43が元の形状(図7(a)の状態)に復元するため、雄ねじ51から離間する。これにより、雌ねじ突起44と雄ねじ51との噛合が解除される。
雌ねじ突起44は、複数の板ばね部43のうち一つに設けられればよいが、本実施形態のように一対の板ばね部43が対向して設けられている場合には、両方の板ばね部43に形成されることが望ましい。また、板ばね部43は、一対に限らず、複数であれば何片であってもよい。
なお、螺合ばね40は天地が決まっていない。そのため、螺合ばね40を、前端部41が前部腔部36の上端面35aに当接し、後端部42がカートリッジ体2の後端面26に当接するように前部腔部36に収容してもよい。
次に、主として図1,図9,及び図10を参照して、カートリッジ式化粧料容器1の作動について説明する。
図1は、カートリッジ式化粧料容器1の使用前の状態を示すものである。図1では、押棒50は、繰出後退限に位置している。このとき、本体外筒30に取り付けられたカートリッジ体2によって、螺合ばね40が軸方向に押圧されている。そのため、螺合ばね40の一対の板ばね部43が内周に向けて湾曲し、板ばね部43に設けられた雌ねじ突起44が押棒50の雄ねじ51に噛合している。
この状態から、使用者が、キャップ3を取り外し、本体外筒30に対して駆動体60を回転させると、雌ねじ突起44と雄ねじ51との噛合により、押棒50が前進する。これにより、化粧料Aがカートリッジ外筒20の先端開口孔21aから進出して使用可能となる。
使用者が、本体外筒30に対して駆動体60を更に回転させ続けると、図9に示すように、押棒50が繰出前進限まで繰り出される。この繰出前進限は、押棒50の棒軸55に形成される雄ねじ51のストローク端によって規定される。図9に示される状態から、使用者が、本体外筒30に対して駆動体60を更に回転させても、板ばね部43の弾性によって雌ねじ突起44が拡げられることで雄ねじ51が空回りする。よって、押棒50は、これ以上ストロークしない。
また、このとき、カートリッジ体2では、保持部材10が前進端まで移動している。よって、化粧料Aの殆どが先端開口孔21aから押し出されており、化粧料Aの交換が必要な状態である。
図9に示す状態において、本体外筒30からカートリッジ体2を取り外そうと、本体外筒30に対してカートリッジ体2を回転させると、カートリッジ体2が、本体外筒30から離間する。これにより、図10に示すように、螺合ばね40は、その復元力によって軸方向に伸びて、元の状態に復元する。よって、一対の板ばね部43は互いに離間し、螺合ばね40の雌ねじ突起44と押棒50の雄ねじ51との噛合は解除される。したがって、押棒50は、軸方向に自由に移動可能となり、直立に近い状態では、自重で繰出後退限まで移動することとなる。
以上のように、螺合ばね40が設けられることで、カートリッジ体2が取り外されると、螺合ばね40の雌ねじ突起44と押棒50の雄ねじ51との噛合が解除され、押棒50は軸方向に自由に移動可能となる。したがって、カートリッジ体2を取り外したときに押棒50を繰出後退限に移動させる機構を簡素化し、押棒50を繰出後退限に移動させる確実性を向上させることができる。
本体外筒30から使用済みのカートリッジ体2を取り外した後、新しいカートリッジ体2を取り付けると、再び図1に示す状態となる。
具体的には、使用者が、キャップ3を保持して、カートリッジ体2の雄ねじ20aを本体外筒30の雌ねじ32に螺合してゆくと、カートリッジ体2の後端面26と本体外筒30の上端面35aとの間で螺合ばね40が圧縮される。
螺合ばね40の一対の板ばね部43は、内周に向かって鼓状に湾曲しているため、前端部41が圧縮されると、更に湾曲して押棒50の棒軸55に当接する。このとき、螺合ばね40の前端部41には、カートリッジ体2の後端面26との間の摩擦力が作用する。よって、螺合ばね40の板ばね部43は、押棒50の外周に絡みつくように捩れ、雌ねじ突起44は、押棒50の雄ねじ51に噛合することとなる。
以上の第一の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
螺合ばね40が設けられることで、カートリッジ体2が取り外されると、螺合ばね40の雌ねじ突起44と押棒50の雄ねじ51との噛合が解除され、押棒50は軸方向に自由に移動可能となる。したがって、カートリッジ体2を取り外したときに押棒50を繰出後退限に移動させる機構を簡素化し、押棒50を繰出後退限に移動させる確実性を向上させることができる。
螺合ばね40は、ステンレスの薄板によって形成されており、耐久性及び復元性に優れている。そのため、カートリッジ式化粧料容器1を長期間使用することができる。また、交換可能なカートリッジ体2は、キャップ3とカートリッジ外筒20と保持部材10との三部品のみで構成されているため、安価に提供することができる。
また、図11に示す変形例のように、本体外筒30からカートリッジ体2を取り外したときに、押棒50が繰出後退限に強制的に移動するようにしてもよい。
この変形例では、カートリッジ体2が本体外筒30から取り外されて雌ねじ突起44と雄ねじ51との噛合が解除される際に押棒50を繰出後退限に向けて押し戻す戻しばね5が設けられる。
戻しばね5は、本体外筒30の隔壁35の下端面35bと押棒50の大径部54の前端面54aとの間に収装されるコイルばねである。戻しばね5は、押棒50が繰り出されてゆくと圧縮される。そして、戻しばね5は、螺合ばね40の雌ねじ突起44と押棒50の雄ねじ51との噛合が解除されると、その付勢力によって押棒50を押し戻して繰出後退限まで移動させる。
これにより、カートリッジ体2を本体外筒30から取り外すと、押棒50は、戻しばね5の付勢力によって常に繰出後退限に位置することとなる。
また、カートリッジ体2を装着していなくても、押棒50は軸方向に拘束されるため、自由に進退することができなくなる。よって、使用者の意図に反して押棒50が進出することを防止できる。
戻しばね5が設けられることで、押棒50が繰出前進限まで移動したときに、押棒50がそれ以上繰り出されないことを使用者に知らせるクラッチ音が発生する。具体的には、押棒50の繰出前進限において、使用者が押棒50を繰り出そうとすると、雌ねじ突起44が、棒軸55における雄ねじ51が形成されていない部分に乗り上げる。そして、使用者が押棒50を更に繰り出そうとすると、戻しばね5の復元力によって、雌ねじ突起44は、雄ねじ51の後端部に再び押し戻されて噛合する。このとき、雌ねじ突起44と雄ねじ51との接触によって音が発生する。
これにより、使用者は、押棒50が繰出上昇限に位置していることを知ることができる。したがって、使用者は、クラッチ音の発生をカートリッジ体2の交換の目安とすることができる。
(第二の実施の形態)
以下、図12から図14を参照して、本発明の第二の実施の形態に係るカートリッジ式化粧料容器101について説明する。なお、以下に示す各実施の形態では、前述した実施の形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
第二の実施の形態に係るカートリッジ式化粧料容器101は、本体外筒130に対してカートリッジ体102を取り付けるための機構が、第一の実施の形態とは相違する。
図12(a)に示すように、カートリッジ式化粧料容器101は、カートリッジ体102が着脱自在に取り付けられる本体外筒130と、本体外筒130に対して同軸に、かつ相対回転可能に取り付けられる駆動体60と、外周に雄ねじ51が形成され、本体外筒130と駆動体60との相対回転によって繰り出されてカートリッジ体102内の化粧料Aを押し出す押棒50と、本体外筒130に収容され、カートリッジ体102の取り付けによって軸方向に押圧される螺合ばね40とを備える。
カートリッジ体102は、内部に化粧料Aが充填されるカートリッジ外筒120と、カートリッジ外筒120内を軸方向に摺動可能な保持部材10と、カートリッジ外筒120に取り付けられるキャップ3とを備える。
図13(a)に示すように、本体外筒130は、内周に前部腔部136が形成される円筒状の前部内筒130aと、内周に後部腔部37が形成される有底円筒状の後部内筒130bと、前部内筒130aと後部内筒130bとの外周に装着されて両者を一体化する金属筒132とを備える。本体外筒130では、前部腔部136と後部腔部37とを分離する隔壁35は、後部内筒130bの底面である。本体外筒130は、外周が金属筒132によって覆われているため、見た目や使用感に重厚感や高級感が生じる。
本体外筒130は、第一の実施の形態における本体外筒30と同様に、後部腔部37の端部近傍に形成され、駆動体60と相対回転自在に連結される嵌合凹部33を有する。
前部腔部136には、カートリッジ体102の後述する嵌入部125が先端開口孔31から嵌入される。前部腔部136には、螺合ばね40が挿入される。前部腔部136の内周には、端部が隔壁35に当接する複数の縦リブ38が形成される。
図13(b)に示すように、前部腔部136には、一対の案内突起139が形成される。案内突起139は、一対に限定されず、一つ以上であればいくつであってもよい。つまり、本体外筒130の内周には、少なくとも一つの案内突起139が形成される。
図14(a)に示すように、カートリッジ外筒120は、先端開口孔21aが形成される化粧料保持部21と、後端開口孔24が形成されて本体外筒130に取り付けられたときにカートリッジ体102に嵌入される嵌入部125と、化粧料保持部21と嵌入部125との間に設けられて外周に突出するフランジ22とを備える。
嵌入部125は、円筒状に形成される。嵌入部125の内周は、化粧料保持部21の内周に連続して形成される。嵌入部125の外周には、本体外筒130に軸方向に挿入される際に案内突起139が摺動する縦溝127と、軸方向に挿入された後、本体外筒130に対して周方向に回転させられる際に案内突起139が摺動する横溝128とが形成される。縦溝127と横溝128とは、L字状に連続して形成される。縦溝127と横溝128とは、案内突起139に対応した各々の位置に一対設けられる。
縦溝127は、案内突起139の外径と比較して広い幅に形成される。これにより、カートリッジ体102を取り付ける際に、縦溝127に案内突起139を係合させることが容易となる。
横溝128は、案内突起139の外径と略同一の幅に形成される。また、横溝128の端部には、案内突起139を保持してカートリッジ体102と本体外筒130との周方向の位置を規定するロック突起129が突設される。このロック突起129は、横溝128の端部から案内突起139の外径に相当する距離だけ離間した位置に形成される。
カートリッジ体102を本体外筒130に取り付ける際には、まず、カートリッジ体102の嵌入部125を本体外筒130の前部腔部136に挿入する。このとき、案内突起139が縦溝127に係合するように周方向の位置を予め合わせておく。
案内突起139が縦溝127にした状態でカートリッジ体102を本体外筒130に押し込むと、案内突起139が縦溝127を摺動するとともに、前部腔部136に収容された螺合ばね40が軸方向に押圧されて圧縮される。これにより、板ばね部43は、軸方向に押圧されて内周に向かって湾曲し、雌ねじ突起44は、押棒50の雄ねじ51に噛合する。
カートリッジ体102が本体外筒130に押し込まれた状態から、カートリッジ体102を本体外筒130に対して回転させると、案内突起139が横溝128を摺動する。そして、図12(b)に示すように、案内突起139が、横溝128に設けられたロック突起129を乗り越える。これにより、案内突起139が横溝128の端部に保持され、カートリッジ体102と本体外筒130との周方向の位置が規定される。
このとき、カートリッジ体102の後端面26との間の摩擦力が螺合ばね40の前端部41に作用して、螺合ばね40の板ばね部43が捩れる。これにより、螺合ばね40の板ばね部43は、押棒50の外周に絡みつくように捩れ、雌ねじ突起44は、強い螺合力で螺合することとなる。
以上の第二の実施の形態によれば、第一の実施の形態と同様に、螺合ばね40が設けられることで、カートリッジ体102が取り外されると、螺合ばね40の雌ねじ突起44と押棒50の雄ねじ51との噛合が解除され、押棒50は軸方向に自由に移動可能となる。したがって、カートリッジ体102を取り外したときに押棒50を繰出後退限に移動させる機構を簡素化し、押棒50を繰出後退限に移動させる確実性を向上させることができる。
(第三の実施の形態)
以下、図15から図18を参照して、本発明の第三の実施の形態に係るカートリッジ式化粧料容器301について説明する。
第三の実施の形態に係るカートリッジ式化粧料容器301は、カートリッジ体302を取り付ける際に螺合ばね340を軸方向に押圧しなくても雌ねじ突起44が押棒50の雄ねじ51に噛合する点で、上述した各実施の形態とは相違する。
図15(a)に示すように、カートリッジ式化粧料容器301は、カートリッジ体302が着脱自在に取り付けられる本体外筒130と、本体外筒130に対して同軸に、かつ相対回転可能に取り付けられる駆動体60と、外周に雄ねじ51が形成され、本体外筒130と駆動体60との相対回転によって繰り出されてカートリッジ体302内の化粧料Aを押し出す押棒50と、本体外筒130に収容され、カートリッジ体302の取り付けによって軸方向に収縮するとともに捩れる螺合ばね340とを備える。
図16(a)に示すように、本体外筒130は、内周に前部腔部136が形成される円筒状の前部内筒130aと、内周に後部腔部37が形成される有底円筒状の後部内筒130bと、前部内筒130aと後部内筒130bとの外周に装着されて両者を一体化する金属筒132とを備える。前部腔部136には、一対の案内突起139が形成される。この第三の実施の形態では、本体外筒130には、前部腔部136の内周に縦リブが設けられていない。
図17(a)に示すように、カートリッジ外筒320は、先端開口孔21aが形成される化粧料保持部21と、後端開口孔24が形成されて本体外筒130に取り付けられたときに本体外筒130の前部腔部136に嵌入される嵌入部325と、化粧料保持部21と嵌入部325との間に設けられて外周に突出するフランジ22とを備える。
嵌入部325は、円筒状に形成される。嵌入部325の内周は、化粧料保持部21の内周に連続して形成される。嵌入部325における後端面26に臨む後端開口孔24の内周には、縦目ローレット326aが形成される。
縦目ローレット326aは、後述する螺合ばね340の前端部341に形成される突起部345が係合するものである。縦目ローレット326aは、カートリッジ体302の取り付けによって螺合ばね340が収縮する軸方向の長さと比較して長く形成される。
嵌入部325の外周には、本体外筒130に軸方向に挿入される際に案内突起139が摺動する縦溝127と、軸方向に挿入された後、本体外筒130に対して周方向に回転させられる際に案内突起139が摺動する横溝128とが形成される。
図18(a)に示すように、螺合ばね340は、鼓状に形成される。螺合ばね340は、カートリッジ体302と係合する前端部341と、本体外筒130に支持される後端部342と、前端部341と後端部342とを連結する複数の板ばね部343と、複数の板ばね部343のうち少なくとも一つに設けられ、板ばね部343が押棒50に向かって曲がることによって雄ねじ51と噛合する雌ねじ突起44とを備える。
前端部341は、環状に形成される。図18(c)に示すように、前端部341の外周には、縦目ローレット326aと係合する複数の突起部345が形成される。突起部345は、前端部341の外周に少なくとも一つ以上形成されればよい。前端部341の中央には、押棒50の棒軸55が進退可能な貫通孔41aが形成される。
後端部342は、前端部341と比較して大径の環状に形成される。図18(c)に示すように、後端部342の外周には、螺合ばね340を本体外筒130の前部腔部136に固定するための複数の突起部346が形成される。後端部342の中央には、押棒50の棒軸55が進退可能な貫通孔42aが形成される。後端部342は、前部腔部136の上端面35a(図16(a)参照)に当接する。
突起部346の外径は、前部腔部136の内径と比較して僅かに大きく形成される。これにより、螺合ばね340が前部腔部136に挿入されると、突起部346が前部腔部136の内周に喰い込む。よって、螺合ばね340の後端部342は、前部腔部136の内周に、軸方向へ移動不能かつ回転不能に固定される。
図18(c)に示すように、板ばね部343は、後端部342との連結部に、組み立て時に内周に折り返される折り返し部343aが設けられる。そのため、板ばね部343は、螺合ばね340が収縮していない状態(図18(a)の状態)では、互いに平行となる。このように、折り返し部343aを設けて板ばね部343を互いに平行とすることで、前端部341と後端部342との外径が異なる場合にも、螺合ばね340の雌ねじ突起44を押棒50の雄ねじ51に噛合させることが可能である。
なお、螺合ばね340は、図18(c)に示す展開図の形状にステンレスの薄板を成形し、折り返し部343aを後端部342に接着,ろう付け,又は溶接などによって固定することによって形成される。
カートリッジ体302を本体外筒130に取り付ける際には、まず、カートリッジ体302の嵌入部325を本体外筒130の前部腔部136に挿入する。このとき、案内突起139が縦溝127に係合するように周方向の位置を予め合わせておく。
案内突起139が縦溝127にした状態でカートリッジ体302を本体外筒130に押し込むと、案内突起139が縦溝127を摺動する。このとき、前部腔部136に収容された螺合ばね340は、前端部341の突起部345が縦目ローレット326aを摺動する。この状態では、板ばね部343は、未だ軸方向に収縮していない。よって、雌ねじ突起44は、未だ押棒50の雄ねじ51に噛合していない。
カートリッジ体302が本体外筒130に押し込まれた状態から、カートリッジ体302を本体外筒130に対して回転させると、案内突起139が横溝128を摺動する。そして、案内突起139が、横溝128に設けられたロック突起129を乗り越える。これにより、案内突起139が横溝128の端部に保持され、カートリッジ体302と本体外筒130との周方向の位置が規定される。
このとき、カートリッジ体302が本体外筒130に対して回転し、螺合ばね340の前端部341が縦目ローレット326aの回転と同期して回転する。そのため、螺合ばね340の前端部341は、後端部342に対して相対回転することとなる。
螺合ばね340は、前端部341と後端部342との相対回転によって板ばね部343が捩れて、その全長が収縮する。このとき、後端部342は前部腔部136の内周に固定されているため、軸方向に移動することができない。よって、前端部341の突起部345が縦目ローレット326aを摺動して、前端部341が後端部342に近接する。このように、螺合ばね340は、軸方向に押圧されることなく、軸方向に収縮するとともに捩れることとなる。
以上のように、螺合ばね340は、案内突起139が横溝128を摺動する際に、前端部341が後端部342に対して回転することによって捩れながら収縮する。よって、螺合ばね340の板ばね部343は、押棒50の外周に絡みつくように捩れ、雌ねじ突起44は、押棒50の雄ねじ51に螺合することとなる。
以上の第三の実施の形態によれば、上述した各実施の形態と同様に、螺合ばね340が設けられることで、カートリッジ体302が取り外されると、螺合ばね340の雌ねじ突起44と押棒50の雄ねじ51との噛合が解除され、押棒50は軸方向に自由に移動可能となる。したがって、カートリッジ体302を取り外したときに押棒50を繰出後退限に移動させる機構を簡素化し、押棒50を繰出後退限に移動させる確実性を向上させることができる。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。