JP5441053B2 - プレグラウト鋼材の防錆構造 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼線等の線材が挿入されたシース中の線材とシースの隙間に防錆剤が満たされ、プレストレストコンクリートの緊張材として使用されるプレグラウト鋼材において、シース内に挿入された線材の防錆を図る防錆構造および防錆剤に関するものである。
プレストレストコンクリートに埋め込まれるプレグラウト鋼材のうち、コンクリートとの付着を有さない鋼材(アンボンド鋼材)では、その防錆剤としてグリス等の、防錆性能を有する未硬化の粘性体が用いられることがある。しかし、未硬化の粘性体は、経年劣化により防錆性能が低下するとともに、シースの損傷等で外部に漏出する可能性があり、長期耐久性に問題があった。一方、防錆剤として、セメントモルタル等の硬化性を有するものを用いた場合、ケーブルの巻き取り作業が困難になる等、取り扱い性に劣るという問題があった。そこで、防錆剤を遅硬化性とし、施工完了まではその取り扱いを容易なものに維持し、施工後に硬化させることで劣化や漏出を防止する方法が提案されている。例えば、特開平1‐260083号公報には、鋼線、鋼撚り線、鋼棒等を複数本使用したケーブルを、樹脂や金属等で成形されたシース中に挿入若しくは被覆し、その間隙に、硬化するまでは流動性があり、且つ経時的に硬化する(遅硬化性)樹脂配合物を充填した緊張用ケーブルが開示されている。
遅硬化性の樹脂配合物、すなわち防錆剤としては、上記公報にも記載されているエポキシ樹脂を含むものが広く採用されているが、その他の樹脂の採用も提案されており、例えば、特開平10−226973号公報には、アクリル系等からなる二液性樹脂もそのような防錆剤として好ましいことが開示されている。
特開平1−260083号公報 特開平10−226973号公報
しかしながら、アクリル系等からなる二液性樹脂はプレグラウト鋼材の製造工程において事前に二液を計量混合して使用する必要があり、製造工程が煩雑になるという問題があった。
また、エポキシ樹脂の主成分であるビスフェノールAジグリシジルエーテルは変異原性物質として、またその原料であるビスフェノールAは内分泌攪乱物質として知られており、エポキシ樹脂を含む遅硬化性防錆剤は、刺激性、感作性、毒性を有するという問題があった。
一方、従来の遅硬化性樹脂は、工場で充填された直後から硬化が進行するため、硬化するまでの時間を一定に調整したとしても、期待する時期に硬化をさせることが難しいという問題があった。例えば、プレストレストコンクリートに埋め込む場合、工場生産時に充填する樹脂の硬化時期を、プレグラウト鋼材が緊張状態とされる時点以降に設定し、打設したコンクリートが所定強度に達した後の緊張定着が図られる。ところが、硬化時期が早すぎると、工場生産から出荷までの保管期間の条件や工事の進捗条件に変動があった場合、鋼材の緊張時に樹脂配合物が既に硬化してしまい緊張状態にできなくなってしまった。その反対に硬化時期が遅すぎると、鋼材を緊張状態とした後にプレストレストコンクリート構造物を供用する時点でも樹脂が未硬化の状態となってしまった。そして、この様な場合は、未硬化の樹脂が流出し防錆性能が得られない可能性があり、また、供用後に硬化したとしても、動荷重の負荷された、すなわち変位下で硬化した樹脂は所定の接着力が得られないという欠点があった。
そこで、本発明は、硬化時期を確実に制御でき、防錆剤の漏出も無く、緊張後の確実な硬化により構造上の設計を確実なものとしながら、防錆剤の毒性が低く環境への負荷も小さい、プレグラウト鋼材の防錆構造を提供することにある。
本発明に係る防錆構造は、シースに線材を挿入し、前記シースと前記線材の隙間に防錆剤を充たして構成したプレグラウト鋼材であり、前記シースを酸素透過性とし、前記防錆剤を、(メタ)アクリルモノマーと過酸化物を含有するラジカル硬化性の1液型樹脂組成物としたものである。
本発明において、シースは、酸素透過性を有するものであれば特に制限はなく、プレグラウト鋼材に一般的に使用されている樹脂製シースを用いることができる。例えば、プレグラウト鋼材に使用されている酸素透過性を有する樹脂製シース材としては、ポリエチレン管、塩化ビニル管、FRP管、ポリプロピレン管等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を使用しても良い。ただし、本発明におけるシースは、これらに限定されるものではない。これらの中では、効果が大きい点で、ポリエチレン管が好ましい。
PC線材についても特に制限はなく、プレグラウト鋼材に一般的に使用されている鋼線、鋼撚線、硬鋼線、鋼棒などの鋼材、およびそれらの亜鉛メッキ被覆PC鋼材等を用いることができる。ただし、本発明におけるPC鋼材は、これらに限定されるものではない。
(メタ)アクリルモノマーの中では、効果が大きい点で、単官能(メタ)アクリルモノマー及び/又は多官能(メタ)アクリルモノマーが好ましく、単官能(メタ)アクリルモノマー及び多官能(メタ)アクリルモノマーを含有することが好ましい。単官能(メタ)アクリルモノマー及び多官能(メタ)アクリルモノマーを併用した場合の質量比は、単官能(メタ)アクリルモノマー:多官能(メタ)アクリルモノマー=30〜90:70〜10が好ましく、50〜70:50〜30がより好ましい。
単官能(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド2モル変性)アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド4モル変性)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド4モル変性)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド8モル変性)アクリレート、ノニルフェノール(プロピレンオキサイド2.5モル変性)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、エチレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレ−ト、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、n−(メタ)アクリロイルオキシアルキルヘキサヒドロフタルイミド等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリルモノマーの中では、効果が大きい点で、イソボルニル(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。イソボルニル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレートを併用した場合の質量比は、イソボルニル(メタ)アクリレート:ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート=10〜60:90〜40が好ましく、25〜45:75〜55がより好ましい。
多官能(メタ)アクリルモノマーとして、オリゴマー/ポリマー末端又は側鎖に2個以上(メタ)アクロイル化された多官能(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマーや2個以上の(メタ)アクロイル有するモノマーを使用することができる。例えば、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマーとしては、1,2−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、日本曹達社製、「TE−2000」、「TEA−1000」)、前記水素添加物(例えば、日本曹達社製、「TEAI−1000」)、1,4−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、大阪有機化学社製、「BAC−45」)、ポリイソプレン末端(メタ)アクリレート、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリート、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ビスA型エポキシ(メタ)アクリレート(例えば、大阪有機化学社製、「ビスコート#540」、昭和高分子社製、「ビスコートVR−77」)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能(メタ)アクリルモノマーの中では、効果が大きい点で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及び/又は1,2−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレートが好ましく、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及び1,2−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及び1,2−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレートを併用した場合の質量比は、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート:1,2−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート=5〜50:95〜50が好ましく、15〜35:85〜65がより好ましい。
過酸化物としては、有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物としては、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びターシャリーブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられ、これらの中から1種以上を用いることができる。これらの中では、反応性の点で、10時間半減期の温度が140〜170℃のハイドロパーオキサイド類が好ましく、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド及びターシャリーブチルハイドロパーオキサイドからなる群のうちの1種又は2種以上が好ましいが、これらに限定されるものではない。
有機過酸化物の中では、効果が大きい点で、クメンハイドロパーオキサイドが好ましい。
過酸化物の使用量は、単官能(メタ)アクリルモノマー及び多官能(メタ)アクリルモノマーの合計100質量部に対して、0.2〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
ただし、これら(メタ)アクリルモノマーや過酸化物に制限はなく、上記のもの、或いはそれ以外のものの1種或いは2種以上を適宜用いることができる。更に(メタ)アクリルモノマーについては、単官能のもののみ、多官能のもののみ、或いは単官能のものと多官能のものの双方を、適宜用いることができる。
本発明の防錆剤は、第3級アミンを含有することが好ましい。なお第3級アミンには、例えば、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジンが好適であるが、特に限定はなく、その他のものを適宜用いても良い。3級アミンとしては、アルキルジイソプロピルアミン、アルキルジイソブルアミン、アルキルジオクチルアミン、トリオクチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、3−(ジブチルアミノ)−プロピルアミン、トリイソアルカノールアミン、アルキルジシクロヘキシルアミン、テトラメチル−1、3−ジアミノプロパン、トリブチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチルアニリン、ジアルキルアニリン、ジアルケニルアニリン、アルキルジフェニルアミン、ジベンジルアミン、トリベンジルアミン、イソキノリン、アルキルイソキリン、キナルジン酸、コリジン、シアノピリジン、ジメチルピペラジン、ジメチルピラジン、トリエチレンジアミン、4−ピペジノピリジン、ピラジンモノカルボン酸、ピリジンメタノール、フェニルビラゾリドン、2−メチルピペラジン、N−メチルピペリジン、N−アルキルモルホリン、N、N´−ジアルキルアミノ酸、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン等が挙げられる。
第3級アミンの使用量は、単官能(メタ)アクリルモノマー及び多官能(メタ)アクリルモノマーの合計100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
また、本発明では、強度発現、粘度調整等のために、各種の無機充填剤を使用することができる。無機充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、酸化カルシウム、沈降性硫酸バリウム、シリカ粉等が挙げられる。これらの中では、効果が大きい点で、シリカ粉が好ましい。
充填剤の使用量は、単官能(メタ)アクリルモノマー及び多官能(メタ)アクリルモノマーの合計100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、3〜15質量部がより好ましい。
本発明に係る防錆構造によれば、酸素透過性を有するシースと、このシースに挿入された線材の空隙に充填たされた防錆剤は、金属に接触した時点から重合・硬化反応を開始するが、コンクリートを打設する前はシースを透過する酸素の重合阻害効果によって充填された防錆剤の実質的な硬化の進行はなく、コンクリート打設後に実質的な硬化が始まる。従って、充填された防錆剤の硬化反応の開始をコンクリート打設時点まで遅らせることが可能となる。そのため、コンクリートの強度が発現する緊張時期には防錆剤を液状に保ち、コンクリート構造物の供用時期には防錆剤を確実に硬化させることが可能となる。すなわち、硬化時期を確実に制御でき、防錆剤の漏出も無く、緊張後の確実な硬化により構造上の設計を確実なものにできる。しかも、防錆剤である、(メタ)アクリルモノマーと過酸化物を主成分とするラジカル硬化性の1液型樹脂組成物は、毒性が低く、環境への負荷も小さいものとなる。
また、防錆剤が3級アミンを含有するものであれば、その添加量によって硬化速度をより正確に調整することができる。
本発明に係る防錆構造が採用されたプレグラウト鋼材の横断面を拡大して示す斜視図である。
図1は、本発明に係る防錆構造が採用されたプレグラウト鋼材の横断面を拡大して示す斜視図である。
図1に示すプレグラウト鋼材は、管状のシース1に、鋼撚線で形成した線材2を挿入し、シース1と線材2の隙間に防錆剤3を充填したものである。シース1は、外表面1aが外気に露出された状態において酸素を内部に透過させる性質を有するものとなっている。また、防錆剤3は、シース1と線材2の隙間に充填され金属である線材2に接触した時点から重合・硬化反応を開始する性質を有しているが、この重合・硬化反応は酸素の存在下ではその進行が阻害される。従って、シース1の外表面1aが外気に露出された状態、例えば、倉庫に保管された状態では、外部から透過してきたシース内部の酸素により防錆剤3の実質的な硬化の進行はない。一方、シース1の外表面1aにコンクリートが打設され外気と遮断されると、シース1内への酸素透過が無くなり、防錆剤3の実質的な硬化が始まることになる。
PC綱撚り線の周囲に、凹凸の無いシースを設け、PC綱撚り線とシースとの間に防錆剤を充填し、プレグラウト鋼材の試験体を作成した。そして、それら試験体について、強度発現時間の算出を行った。PC綱撚り線は、φ21.8mmの19本撚りのものを使用した。シースは、凹凸のない内径23mm、外径26mmのものを使用した。また、使用したPC綱撚り線は長さ15cm、シースは長さ10cmとし、端部の5cmはシースの無い構造とした。
また、防錆剤は、次の材料を選択配合して得た。
材料1:イソボルニルメタクリレート
材料2:ジシクロペンテニロキシエチルメタクリレート
材料3:トリメチロールプロパントリメタクリレート
材料4:液状1,2−ポリブタジエン末端ウレタンメタクリレート、TE−2000(製品名、日本曹達株式会社製)
材料5:クメンハイドロパーオキサイド
材料6:N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン
材料7:シリカ粉、アエロジルR972(製品名、東新化成株式会社製)
防錆剤の配合組成を表1及び表2に、シースの材質、およびシースと防錆剤の組合せを表3に示す。
Figure 0005441053
Figure 0005441053
Figure 0005441053
強度発現時間の算出を行うにあたっては、まず、表3に示す実施例及び比較例について、50〜80℃の所定の温度におけるコンクリートを打設した場合と打設しない場合の付着力を測定した。コンクリートを打設した場合とは、表3に示した試験体で付着力試験体を作製し、それを所定温度に一定時間保持した後、常温で付着力を測定したものである。また、コンクリートを打設しない場合とは、表3に示した試験体を所定温度に一定時間保持した後、常温で付着力試験体を作製し付着力を測定したものである。そして、所定温度における強度発現時間を求め、それらのアレニウスプロットから、常温(23℃)における硬化時間(強度発現時間)を算出した。
付着力は、(社)日本コンクリート工学協会の「硬化コンクリートの引抜き試験方法(試案)」に準じて行った。その付着力試験方法は次の通りである。
1)10cm×10cm×10cmのコンクリートブロック中央にPC鋼材を埋設する。この際、長さ15cmの試験体の内、シースで被覆された10cmの部分をコンクリートに埋設し、シースで被覆されていない5cmの鋼材部分は、引き抜くための余長としてコンクリートブロックの外になるように配置する。
2)コンクリートブロックには、φ6mm、ピッチ40mmのスパイラル筋を配置する。
3)コンクリートの呼び強度は30N/mmとする。
4)コンクリート強度が発現した時点で、PC鋼材を引き抜く。
5)引き抜き力の最大値を測定し記録する。
6)付着力を式(1)で求める。
Figure 0005441053
そして、シースとコンクリートの付着力が1.0N/mmに達した時点を防錆剤の硬化時間(強度発現時間)とした。算出結果を表4に示す。
Figure 0005441053
表4の註
註1:コンクリート打設無しでの強度発現時間の判定は、棚寿命(生産から出荷までの保管可能期間)を考慮して、360日以上を合格判定とし、360日未満を不合格とした。
註2:コンクリート打設有りでの強度発現時間の判定は、鋼材の緊締時期及びコンクリート構造物の供用開始を考慮して、20日から540日を合格判定とし、それ以外を不合格とした。
表4によれば、比較例1〜2は、コンクリートを打設した場合の硬化時間はコンクリートを打設しない場合の硬化時間に比べ早くはなるが、コンクリート構造物の供用開始までに強度が発現しない。また、比較例3〜4は、コンクリートを打設しない場合の硬化時間とコンクリートを打設した場合の硬化時間に大きな差は無く、さらに鋼材の緊締以前に硬化して強度が発現してしまう虞がある。これに対し、実施例1〜6は、コンクリートを打設しない場合の硬化時間は、コンクリートを打設した場合の硬化時間よりも極めて長くなることが確認できた。すなわち、実施例1〜6では、コンクリート打設後に実質的な効果が始まるため製品の棚寿命が確保可能で、且つ、鋼材の緊締以降、コンクリート構造物の供用開始以前に防錆剤が硬化し、プレグラウト鋼材としての性能が発揮されることが確認できた。更に、実施例1〜4では、第3級アミンを多く使用すると、強度が早く発現することが確認できた。
1 シース
1a 外表面
2 線材
3 防錆剤

Claims (7)

  1. シースに線材を挿入し、前記シースと前記線材の隙間に防錆剤を充たして構成したプレグラウト鋼材であり、前記シースを酸素透過性とし、かつ、前記防錆剤を、(メタ)アクリルモノマーと過酸化物を含有するラジカル硬化性の1液型樹脂組成物としたことを特徴とする防錆構造。
  2. シースの材料が、ポリエチレン、塩化ビニル、FRP及びポリプロピレンからなる群の1種又は2種以上である請求項1に記載の防錆構造。
  3. 前記防錆剤が、第3級アミンを含有する請求項1又は2に記載の防錆構造。
  4. 前記1液型樹脂組成物が、無機充填剤を含有する請求項1〜3のうちの1項に記載の防錆構造。
  5. (メタ)アクリルモノマーが、単官能(メタ)アクリルモノマー及び/又は多官能(メタ)アクリルモノマーである請求項1〜4のうちの1項に記載の防錆構造。
  6. 単官能(メタ)アクリルモノマーがイソボルニル(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレートである請求項5に記載の防錆構造。
  7. 多官能(メタ)アクリルモノマーがトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及び/又は1,2−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレートである請求項5又は6に記載の防錆構造。
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