しかしながら、特開平7−164978号公報に記載のウエザストリップは、ウエザストリップ長手方向における型成形部の幅(接続幅)が比較的大きく、そこに形成される開口部もコア抜き孔のみならず、エア抜き孔としても利用される開口面積の比較的大きなものであるため、見映えが悪く、外観品質の低下等を招くおそれがあった。
さらに、型成形部に大きな開口部が形成されることで、型成形部とその近傍の押出成形部と間で、開閉部材の閉鎖時にかかる荷重差が大きくなり、シール性が低下するおそれもある。
さらにまた、この荷重差が大きくなるのを防止するため、特開平7−164978号公報に記載のウエザストリップでは、開閉部材の閉鎖時に中空シール部を支持しつつ開口部を閉塞する支持リップが設けられている。このような支持リップが設けられると、コア抜き作業が行いにくくなるおそれがある。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、押出成形部を型成形部で接続するウエザストリップを製造するに際し、ウエザストリップの外観品質やシール性の低下等を招くことなく、コア金型を型成形部の範囲内の比較的狭い幅において抜き取ることができるウエザストリップの製造方法を提供することにある。
以下、上記問題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.押出成形された押出成形部と、当該押出成形部の端部を直線状に接続するようにして、複数の金型部材からなる金型装置によって成形された型成形部とから構成されるとともに、
ボディの開口部の周縁又は該開口部を開閉する開閉部材の周縁に取付けられる取付基部と、
前記取付基部から突出するように設けられ、前記開口部を開閉する開閉部材の閉鎖時に相手側部材に圧接される中空シール部とを有してなるウエザストリップの製造方法であって、
前記型成形部の成形に際し、前記型成形部の中空シール部の内周面を成形するコア本体と該コア本体から突出する把持部とからなるコア金型部材のうち、前記コア本体の両端がそれぞれ前記押出成形部の中空シール部の端末に挿入された状態で、ウエザストリップ長手方向における前記型成形部の接続幅が0.5mm以上3.0mm以下となるように、前記コア金型部材を前記金型装置の所定位置に設定し、前記金型部材を閉じて、前記金型装置内にキャビティを形成し、該キャビティに型成形部の材料を充填して、型成形部を形成するとともに、
当該型成形部には、少なくとも前記把持部により、前記コア本体を成形後に抜き取るためのコア抜き孔が、前記中空シール部のうち前記相手側部材に圧接されるシール面を除く範囲において、前記中空シール部の内周面の周方向に沿った長さが当該内周面の周長の25%以上45%以下となるように形成されるようにし、
前記型成形部を形成して前記金型装置の金型部材を型開した後に、前記コア抜き孔から前記コア本体を取出すようにし、
前記複数の金型部材のうち、前記コア本体の外周面と対向する所定の金型部材において、前記コア本体に挿入された前記押出成形部を係り止める係止突起を形成したことを特徴とするウエザストリップの製造方法。
上記手段1によれば、型成形部の中空シール部の成形に使用するコア金型部材を成形後に抜き取るためのコア抜き孔が型成形部自体(型成形部の範囲内の比較的狭い幅)に設けられる。すなわち、本手段では、型成形部の接続幅が0.5mm以上3.0mm以下と比較的狭く、ひいてはそこに開口するコア抜き孔の開口面積も比較的小さいため、型成形部及びコア抜き孔が目立ちにくいものとなる。結果として、見映えが向上し、外観品質の向上を図ることができる。
型成形部の接続幅を0.5mm未満としてしまうと、コア金型部材のコア本体を支持する把持部を非常に薄肉なものとしなければならず、コア金型部材の強度確保が難しく、金型の耐久性が低下するおそれがある。一方、型成形部の接続幅が3.0mmを越えるものは、見映えが悪くなるおそれがある。
また、本手段のコア抜き孔は、中空シール部の内周面の周方向に沿った長さが、当該内周面の周長の25%以上45%以下となるように形成されている。尚、一般的なウエザストリップの中空シール部の内周面(コア本体の外周面)の周長が30mm〜50mmであることを考慮すれば、コア抜き孔を型成形部の接続幅全域(最大で3.0mm)に設けたとしても、本手段のコア抜き孔は、ウエザストリップ長手方向よりも中空シール部の周方向に長いものとなる。なお、押出成形部に事前にコア抜き孔を形成する工程が不要となる。また、背景技術に記載したような押出成形部の接続に特殊なシート材等を使用する必要もない。結果として、生産性の低下やコスト増大を抑制することができる。
また、シート材により中空シール部が塞がれることもないため、開閉部材の閉鎖時における荷重が接続部近傍にて局部的に大きくなるおそれもない。さらに、型成形部と押出成形部との間に段差が生じにくく、シール性の低下を抑制することができる。
また、本手段の構成によれば、開閉部材の閉鎖時に中空シール部を支持しつつコア抜き孔を閉塞する上記の背景技術に記載したような支持リップなどを設けずとも、型成形部とその近傍の押出成形部と間における開閉部材の閉鎖時にかかる荷重差が大きくならない。
結果として、本手段によれば、ウエザストリップのシール性や外観品質の低下等を招くことはない。
なお、本手段では、ウエザストリップ長手方向に対するコア抜き孔の幅が最大でも3.0mmと比較的狭く設定されている分、中空シール部の周方向に対するコア抜き孔の長さをある程度確保する必要がある。コア本体のウエザストリップ長手方向に対する長さにもよるが、最低でも3.0mm幅の中空シール部を形成できるコア本体のコア抜き作業を行うためには、中空シール部の内周面の周方向に沿ったコア抜き孔の長さが、最低でも中空シール部の内周面(コア本体の外周面)の周長の25%以上であることが好ましい。仮にコア抜き孔の長さが中空シール部の内周面の周長の25%を下回る場合には、コア金型部材を容易に抜き取れず、コア抜き孔周縁が破れる等の不具合が生じるおそれがある。
その反面、中空シール部の周方向に対する長さが長すぎては、シール面の確保や水の浸入防止を図ることが困難となる。このため、中空シール部の周方向に対するコア抜き孔の長さは、中空シール部の内周面の周長の45%以下とすることが好ましい。
また、上記手段1によれば、係止突起を設けることにより、押出成形部の長手方向の比較的広範囲を挟持しなくとも、十分に保持することが可能となり、キャビティ内への材料射出時の射出圧により押出成形部がコア本体から外れてしまうおそれを低減することができる。これにより、押出成形部へのコア本体の挿入量を少なくすることができるため、コア本体の長さを短くし、ひいてはコア抜き孔を比較的小さく形成することが可能となる。結果として、コア抜き作業が行いやすくなり、生産性の向上が図られるとともに、外観品質の向上を図ることができる。
なお、コア本体に係止突起を設けることも可能である。ただし、コア本体が大きくなってしまい、コア本体の挿入・抜き作業が行いにくくなるので、対向する金型部材のみに係止突起を設けることが好ましい。
手段2.前記型成形部の材料として、IRHD40度のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)を用いたことを特徴とする手段4又は5に記載のウエザストリップの製造方法。
上記手段2によれば、型成形部の中空シール部と押出成形部の中空シール部の反発力を同等にすることができ、シール性の低下を防止することができる。また、型成形部の取付基部においては、その剛性が押出成形部より低くなり、取付安定性が悪くなるように思われるが、型成形部はウエザストリップの長手方向に対して短い区間のため、両隣りの押出成形部の取付基部の剛性が補助するため、軟質TPVで構成されていても取付安定性が悪くなるようなことはない。さらに、型成形部の全体を中空シール部の剛性に合わせて1つの材料(軟質TPV)で構成できるので、各部の剛性に合わせて2色成形したものに比べて成形が容易かつ安価にできる。また、通常、型成形部を成形するに際しては、コア本体の両端部をそれぞれ押出成形部の中空シール部の端部に挿入するとともに、金型装置にセットし、金型装置のキャビティ内へ材料を供給する。この時の射出圧により押出成形部がコア本体から外れてしまわないように、当該コア本体と所定の金型部材との間で押出成形部の端部を挟持する。しかしながら、従来、型成形部の材料として使用されるEPDM等のスポンジゴム材料は比較的粘度が高く、高圧で射出する必要があるため、押出成形部の長手方向の広範囲を挟持する必要があった。つまり、押出成形部の両端部へのコア本体の挿入量も多く必要となり、コア本体自体の長さ、ひいてはそれを抜き取るためのコア抜き孔の長さもウエザストリップの長手方向に対し長いものとなってしまうおそれがあった。また、EPDM等のゴム材料は金型部材に高熱をかけて加硫する必要があるため、金型部材で押え付けられた押出成形部の端部に、その痕跡が残ってしまうおそれがあった。
これに対し、本手段によれば、型成形部の材料がEPDM等よりも粘度が低く、加硫を必要としないTPVにより構成されているため、材料の射出圧により押出成形部の端部がコア本体から外れるおそれも少なくなる。結果として、押出形成部を挟持する範囲を短くすることができ、コア抜き作業が行いやすくなり、生産性の向上が図られるとともに、外観品質の向上を図ることができる。
さらに、TPVを用いることで、加硫工程を省略でき、生産性の向上を図ることができるとともに、押出成形部に上記痕跡が残ることもない。また、ゴム材料を用いた場合に比べ、コア抜き作業においてコア抜き孔の周縁にやぶれ等が生じにくい。
さらに、上記手段1のように、押出成形部の中空シール部の外周面を係止突起により係止した場合でも、その痕跡が残りにくいため、その作用効果は大きい。
手段3.前記型成形に際しては、前記複数の金型部材のうちの所定の金型部材が、前記把持部における前記中空シール部の周方向一方側に当接しかつ前記コア本体に当接するように配置されるとともに、前記キャビティに材料が充填された後、前記コア金型部材から前記所定の金型部材を相対に離間させることで、前記コア抜き孔の一部が形成されるようにしたこと特徴とする手段1又は2に記載のウエザストリップの製造方法。
上記手段3によれば、コア金型部材の把持部のみならず、これに当接する所定の金型部材によってもコア抜き孔の一部が形成される。つまり、中空シール部の周方向に対して、把持部の幅よりも長いコア抜き孔が形成される。これにより、ウエザストリップ長手方向に対しコア抜き孔がより広く開口できるようになるため、コア抜き作業をより容易に行うことができる。
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、車両としての自動車1には、車両本体としてのボディ3に形成されたラゲッジルームの開口部4を開閉する開閉部材としてのラゲッジドア2が設けられている。また、開口部4の周縁には、ラゲッジドア2の閉鎖時においてラゲッジドア2と開口部4の周縁との間をシールするウエザストリップ5が設けられている。
図2に示すように、本実施形態のウエザストリップ5は、押出成形によりほぼ直線状に形成される押出成形部6と、押出成形部6の両端末部同士を直線状に接続する型成形部7(図2、図5で散点模様を付した部分)とを備えてなり、全体として環状をなしている。
図3に示すように、押出成形部6は、内周側側壁部12と、外周側側壁部13と、両側壁部12、13を連結する連結部14とを具備し、断面略U字状をなすトリム部11と、連結部14から車外側(図3では左上方)に突出して設けられ、内部に中空部15aを有してなる中空シール部15とを備えている。また、中空シール部15の突出方向先端部(頂部)には、車外側かつ開口部4の外周側(図3では右上方)に向けて延びる先端リップ41が設けられている。さらに、押出成形部6のトリム部11には、その長手方向に沿って金属製のインサート17が埋設されている。
また、開口部4の周縁には、ボディ3を構成するパネルが車外側に折り返されることによりフランジ部33が形成されている。そして、トリム部11の内側にフランジ部33を相対的に嵌め込むことで、ウエザストリップ5が開口部4の周縁に取付けられている。また、ラゲッジドア2の閉鎖時においては、中空シール部15が先端リップ41を含む部位においてラゲッジドア2の周縁部に圧接して潰れ変形し(図3の二点鎖線参照)、これによりラゲッジドア2とボディ3との間がシールされるようになっている。
図1に示すように、本実施形態の自動車1の後部の天井部は後方に向けて下方傾斜しており、当該自動車1の後部に設けられるラゲッジルームは、天井部の形状に合わせて、上部に斜めに開口する部分と、荷物の出し入れを容易に行えるように後方にも開口している部分とを有している。つまり、開口部4は、車幅方向に延びる上縁部と、上縁部の両端部からそれぞれ後方かつ下方に傾斜して延びる側縁部と、各側縁部の後端部からそれぞれ下方に延びる縦縁部と、両縦縁部の下端部同士を連結するようにして延びる下縁部とを備えている。但し、本実施形態では、縦縁部に関しても鉛直方向に延在しているわけではなく、下方に向けて若干後方に傾斜して延びている。以下、開口部4のうち、上縁部及び両側縁部に囲まれた部位を上部開口面4aと称し、下縁部及び両縦縁部に囲まれた部位を下部開口面4bと称する。
また、開口部4の周縁に沿って形成されるフランジ部33は、車外側に向けて、対応する開口面4a、4bに対して垂直に延出している。より具体的には、フランジ部33のうち開口部4の上縁部に対応する部位に関しては、上方に向けて若干後方に傾斜した向きに延出し(図3参照)、開口部4の下縁部に対応する部位に関しては、後方に向けて若干上方に傾斜した向きに延出している(図4参照)。尚、本実施形態では、ウエザストリップ5は、型成形部7が、開口部4の下縁部中央に位置するようにしてフランジ部33に取着されている。
さらに、中空シール部15は、トリム部11の連結部14から対応するフランジ部33の延出方向に沿って車外側に突出している。すなわち、ウエザストリップ5のうち、開口部4の上縁部に対応する部位(以下、上辺部5aと称する)に関しては、トリム部11の連結部14から上方に向けて若干下方に傾斜した向きに突出し(図3参照)、開口部4の下縁部に対応する部位(以下、下辺部5bと称する)に関しては、トリム部11の連結部14から後方に向けて若干上方に傾斜した向きに突出している(図4参照)。これにより、中空シール部15は、その突出方向先端部に設けられた上記先端リップ41を含む部位において、各開口面4a、4bに対して垂直に(フランジ部33の延出方向において)ラゲッジドア2と圧接することとなる。
また、トリム部11には、内周側側壁部12の内側面から延出する内周側保持リップ21と、外周側側壁部13の内側面から延出する外周側保持リップ22とが設けられている。内周側保持リップ21及び外周側保持リップ22は、それぞれ2本ずつ、トリム部11のフランジ部33への取付方向において所定距離を隔てて設けられている。そして、トリム部11の内側にフランジ部33を相対的に嵌め込むことで、内周側保持リップ21及び外周側保持リップ22がフランジ部33に圧接するとともに、保持リップ21、22による弾性力等に基づいてウエザストリップ5の取付状態が保持されるようになっている。
さらに、押出成形部6は、内周側側壁部12から開口部4の内周側に延出し、内装部材29の端縁を覆う意匠リップ23と、外周側側壁部13から開口部4の外周側に延出し、ボディ3を構成するパネル(アウタパネル)と当接する水切りリップ24と、外周側側壁部13の先端部から開口部4の内周側に延出し、アウタパネルと当接するサブリップ25とを備えている。
本実施形態では、基本的に、トリム部11、及び保持リップ21、22は、ソリッドEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)により構成され、中空シール部15、意匠リップ23、水切りリップ24、及びサブリップ25は、スポンジEPDMにより構成されている。但し、外周側保持リップ22のうちフランジ部33の付根部側のものはスポンジEPDMで構成されている。
また、押出成形部6は、連結部14の内側面からトリム部11内側に突出する断面略半円形状のシール突部27を備えている。ウエザストリップ5のフランジ部33への取付状態においては、シール突部27とフランジ部33の先端縁とが当接状態とされる。当該シール突部27や上記水切りリップ24及びサブリップ25の存在により、トリム部11とフランジ部33との間から雨水等が室内側(ラゲッジルーム)に進入してしまうといった事態をより確実に防止することができる。
一方、型成形部7は、図5に示すように、ウエザストリップ長手方向(図5の左右方向)における接続幅W1が2.0mmとなるように形成されている。型成形部7についても、図6に示すように、基本的には押出成形部6とほぼ同様の断面形状を有しており、トリム部11及び中空シール部15等を備えている。但し、型成形部7においては、その全体がIRHD(国際ゴム硬度)40度の動的架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)により構成されている点、シール突部27が省略されている点、インサート17が設けられていない点等において押出成形部6と相違している。
さらに、型成形部7においては、図5〜図7に示すように、当該型成形部7の中空シール部15の内周面15b(中空部15a)を成形するためのコア金型部材58を成形後に抜き取るためのコア抜き孔44が形成されている。なお、コア金型部材58の詳細については後述するが、以下、コア金型部材58をはじめ、他の金型部材については、「部材」の文言を省略して表現する。
コア抜き孔44は、中空シール部15のうち、ラゲッジドア2と圧接するシール面となる範囲W2を除く範囲で、フランジ部33への取付状態において下側に位置する部位に形成されている。
コア抜き孔44は、ウエザストリップ長手方向において型成形部7の全域(2.0mm幅)に設定されるとともに、中空シール部15の内周面15bの周方向に沿った長さW3が、当該内周面15bの周長の40%となるように設定されている。
次に、型成形部7を成形するための金型装置51について説明する。図8は、型成形部7を成形するために使用される金型装置51を示す断面図である。金型装置51は、例えば図の下側に位置する固定型52と、複数の可動型(第1の可動型53、第2の可動型54、第3の可動型55、第4の可動型56、第5の可動型57)とを備えている。また、固定型52と第4の可動型56との間には、コア金型58が設けられる。第1〜第5の可動型53〜57は、図示しないシリンダ等により固定型52に対し相対移動可能に設けられている。コア金型58は、コア本体59と、該コア本体59から一体的に延びる把持部60とを備えている。
コア本体59は、図10に示すように、中空シール部15内に挿入される挿入部59aの長さW4がそれぞれ3.0mmに設定されるとともに、把持部60の厚みW5が2.0mmに設定されている。
固定型52及び各可動型53〜57には、型成形部7の外形形状に対応した成形面がそれぞれ形成されている。また、コア本体59は、中空シール部15の内周面15b(中空部15a)を形成するためのものであって、固定型52及び各可動型53〜57で囲まれた空間の中央に設置される。そして、これら成形面及びコア本体59の外面によって、型成形部7を成形するためのキャビティ61が形成されている。
また、図10に示すように、第1の可動型53には、コア本体59の挿入部59aの外周面と対向する位置において、当該挿入部59aに嵌め込まれる押出成形部6を係り止めるための一対の係止突起53aが形成されている。一対の係止突起53aは、ウエザストリップ長手方向(図10の上下方向)に沿った断面形状がそれぞれ直角三角形状をなし、第1の可動型53の成形面に直交する面が互いに相対向するように形成されている。なお、図示は省略するが、第5の可動型57にも同様の係止突起が形成されている。
次に、上記の構成を有してなるウエザストリップ5の製造方法及び製造に際しての作用効果について説明する。
まず、図示しない押出成形機を用い、公知の押出成形法により押出成形部6を成形する。そして、装着しようとするラゲッジルームの開口部4のフランジ部33の周長に応じた所定の長さに押出成形部6を切断する。
続いて、押出成形部6の両端部間を型成形部7により接続する。より詳しくは、各型52〜57等を相互に型開きした状態で、長尺状の押出成形部6をラゲッジルームの開口部4の形状にあわせて湾曲させ、その両端部が向かい合うように、その中空シール部15をコア金型58のコア本体59の長手方向(図10の上下方向)両端部にそれぞれ嵌め込み、可動型53〜57及びコア金型58を固定型52に対し所定位置にセットし型締めする。これにより、押出成形部6が金型装置51に対し取付固定されるとともに、図8に示すように、キャビティ61が形成される。
型締めが完了すると、図10に示すように、コア本体59に嵌め込まれた押出成形部6は、その両端部が型成形部7の接続幅W1(2.0mm)分だけ間隔をあけた状態で対峙するとともに、第1の可動型53等の係止突起53aによりコア本体59からの抜け落ちが防止された状態となる。
また、型締めされた状態では、図8に示すように、固定型52が、コア本体59の下側面に当接するとともに、把持部60のうちコア本体59の下側面に連続する面にも当接している。
そして、この状態から図9に示すように、キャビティ61内に、可塑化状態にあるTPVを図示しないゲートより注入し、充填させる。その後、TPVを固化させる。このとき、型成形部7の中空シール部15には、把持部60及びこれに当接した固定型52の存在によりコア抜き孔44が形成される。
固化完了後、可動型53〜57を順次型開きして、成形された型成形部7をコア金型58とともに固定型52から離型する。
この段階で、コア本体59と固定型52とが離間した部位では、コア本体59が露出した状態となる。つまり、コア抜き孔44の一部が開口した状態となる。
続いて、型成形部7を別途支持した状態で、把持部60を把持し、中空シール部15から引き抜くことにより、コア抜き孔44からコア本体59が取り出される。これにより、中空シール部15の内部には中空部15aが形成される。
このようにして、押出成形部6の両端部が型成形部7により接続形成された環状のウエザストリップ5が得られる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、型成形部7の中空シール部15の成形に使用するコア金型58を成形後に抜き取るためのコア抜き孔44が型成形部7自体に設けられる。このため、押出成形部6に事前にコア抜き孔を形成する工程が不要となる。また、押出成形部6の接続に特殊なシート材等を使用する必要もない。結果として、生産性の低下やコスト増大を抑制することができる。
また、シート材により中空シール部15が塞がれることもないため、ラゲッジドア2の閉鎖時における荷重が接続部近傍にて局部的に大きくなるおそれもない。さらに、型成形部7と押出成形部6との間に段差が生じにくく、シール性の低下を抑制することができる。
加えて、型成形部7の接続幅W1が2.0mmと比較的狭く、ひいてはそこに開口するコア抜き孔44の開口面積も比較的小さいため、型成形部7及びコア抜き孔44が目立ちにくいものとなる。結果として、見映えが向上し、外観品質の向上を図ることができる。
さらに、コア抜き孔44の開口面積が比較的小さいため、ラゲッジドア2の閉鎖時に中空シール部15を支持しつつコア抜き孔44を閉塞する支持リップなどを設けずとも、型成形部7とその近傍の押出成形部6と間におけるラゲッジドア2の閉鎖時にかかる荷重差が大きくならない。また、コア抜き作業の妨げとなる支持リップ等を設ける必要がない。
コア抜き孔44は、ウエザストリップ長手方向における幅が2.0mmと比較的狭く設定されている分、中空シール部15の内周面15bの周方向に沿った長さW3が、当該内周面15bの周長の40%となるように比較的長め設定されているため、コア抜き作業が行いにくくなるおそれもない。
結果として、本実施形態のウエザストリップ5及びその製造方法によれば、シール性や外観品質の低下等を招くことなく、コア金型58を容易に抜き取ることが可能となる。
また、第1の可動型53等には、コア本体59に嵌め込まれる押出成形部6を係り止めるための一対の係止突起53aが形成されている。これにより、キャビティ61内への材料射出時の射出圧により押出成形部6がコア本体59から外れてしまうおそれを低減することができる。
さらに、型成形部7が、EPDM等のゴム材料よりも粘度が低く、加硫を必要としないIRHD40度のTPVにより構成されており、材料の射出圧により押出成形部6がコア本体59から外れるおそれも少ない。
その結果、ゴム材料により成形する場合に比べて、押出形成部6を挟持する範囲を短くすることが可能となる。また、本実施形態のように、コア本体59の挿入部59aの長さW4を3.0mmにするといったように、押出成形部6へのコア本体59の挿入量を少なくすることができるため、コア本体59の長さを短くし、ひいてはコア抜き孔44を比較的小さく形成することが可能となる。
また、TPVを用いることで、ゴム材料を加硫する際に高温となる金型によって付される痕跡が押出成形部6に残ることもなく、係止突起53aにより係止した痕跡なども残りにくくなる。さらに、TPVを用いることで、加硫工程を省略できるとともに、ゴム材料を用いた場合に比べ、コア抜き作業においてコア抜き孔44の周縁にやぶれ等が生じにくくなる。
結果として、コア抜き作業が行いやすくなり、生産性の向上が図られるとともに、外観品質の向上を図ることができる。
また、型成形に際しては、コア金型58の把持部60のみならず、これに当接する固定型52によってもコア抜き孔44の一部が形成される。つまり、中空シール部15の周方向に対して、把持部60の幅よりも長いコア抜き孔44が形成される。これにより、ウエザストリップ長手方向に対しコア抜き孔44がより広く開口できるようになるため、コア抜き作業をより容易に行うことができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、ラゲッジルームの開口部4周縁に装着されるウエザストリップ5に具体化されているが、これに限らず、他のウエザストリップに具体化してもよい。例えば図11に示すような、平板状の取付基部511と中空シール部515を備え、ドアの周縁部に取付けられるドアウエザストリップ500に適用してもよい。なお、この実施形態でのコア抜き孔は544である。また、上記実施形態では、中空シール部(15)に先端リップ(41)を設けたものを示したが、このドアウエザストリップ500のように中空シール部(515)に先端リップを設けない形状のものでも良い。
(b)上記実施形態では、型成形部7のウエザストリップ長手方向における接続幅W1が2.0mmに設定されているが、接続幅W1はこれに限定されるものではない。但し、型成形部7の接続幅W1を0.5mm未満としてしまうと、コア金型58の把持部60を非常に薄肉なものとしなければならず、コア金型58の強度確保が難しく、金型装置51の耐久性が低下するおそれがある。一方、型成形部7の接続幅W1が3.0mmを越えるものは、見映えが悪くなるおそれがある。よって、型成形部7の接続幅W1が0.5mm以上3.0mm以下に設定されることが好ましい。
(c)上記実施形態では、中空シール部15の内周面15bの周方向に沿ったコア抜き孔44の長さW3が、当該内周面15bの周長の40%となるように設定されているが、コア抜き孔44の長さW3はこれに限定されるものではない。但し、コア抜き孔44の長さW3が中空シール部15の内周面15bの周長の25%を下回る場合には、コア本体59を容易に抜き取れず、コア抜き孔44周縁が破れる等の不具合が生じるおそれがある。一方、コア抜き孔44の長さW3が中空シール部15の内周面15bの周長の45%を越える場合には、シール面の確保や水の浸入防止を図ることが困難となるおそれがある。よって、コア抜き孔44の長さW3が中空シール部15の内周面15bの周長の25%以上45%以下となるように設定されることが好ましい。
(d)上記実施形態では、型成形部7がTPVにより構成されているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば、非架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の他の材料により構成されることとしてもよい。また、TPVの硬度についてもIRHD20度〜60度のものを用いることができる。
(e)上記実施形態では、コア抜き孔44が、中空シール部15のうち、フランジ部33への取付状態において下側に位置する部位に形成されている。コア抜き孔44の形成位置は、これに限定されるものではなく、例えば、コア抜き孔44の長さW3が中空シール部15の内周面15bの周長の25%と比較的短い場合などにおいては、中空シール部15のうち、ラゲッジドア2と圧接するシール面となる範囲W2を除く範囲で、フランジ部33への取付状態において上側に位置する部位に形成されることとしてもよい。但し、コア抜き孔44が下側に向いて形成されている方が、ウエザストリップ5の装着後、人目につきにくくなるため、外観品質の低下抑制の面においては好ましい。
(f)上記実施形態では、第1の可動型53等において、コア本体59の挿入部59aに嵌め込まれる押出成形部6を係り止める一対の断面直角三角形状の係止突起53aが形成されている。係止突起53aの構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、断面二等辺三角形のものや、断面四角形状のものを採用してもよい。但し、押出形成部6の抜けを防止する点においては、上記実施形態のように、一対の係止突起の対向面として、ウエザストリップ長手方向に直交する直交面を有することが好ましい。
なお、コア本体59側に係止突起を設けることも可能であるが、かかる場合、コア本体59が大きくなってしまい、コア抜き作業が行いにくくなるとともに、コア抜き作業中に係止突起により、コア抜き孔44の周縁がやぶれてしまうおそれもあるため、コア本体59と対向する第1の可動型53等に設ける方がより好ましい。
(g)上記実施形態では、型成形に際しては、コア金型58の把持部60のみならず、これに当接する固定型52によってもコア抜き孔44の一部が形成される構成となっているが、これに限らず、コア金型58の把持部60のみによって、コア抜き孔44が形成される構成としてもよい。