JP4258246B2 - ウエザストリップ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、型成形部を有してなるウエザストリップ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の車両の開口部又はドア周縁にウエザストリップが取付けられる。この種のウエザストリップを製造するに際しては、公知の押出成形法により、押出成形部が長尺状に形成される。そして、当該押出成形部の先端部が型成形部用の金型装置にセットされた状態で、型成形部が押出成形部の端面に対し連続的に接続成形される。
【0003】
上記型成形部の接続成形に使用される金型装置は、固定型、複数の可動型及びコア金型からなる。コア金型は、中空部を形成するためのコア本体及び該コア本体から延びる延出プレートからなる。型成形部の成形に際しては、まず、各型を型開きした状態で、予め公知の押出成形法により成形されてなる押出成形部の端部をコア本体に嵌め込むようにしてセットし、押出成形部を金型装置に対し取付ける。次に、各型を所定位置に配置せしめ、型締めを行う。この時点で、各型により型成形部成形用のキャビティが形成される。そして、そのキャビティ内に、図示しないゲート等を介して未加硫ゴムを注入し、充填させる。その後、未加硫ゴムを加硫させ、各型を開き、コア金型及び加硫ゴム(型成形部前駆体)の一体となったものを取り外す。このとき、型成形部前駆体には、上記延出プレートの存在によりスリットが形成される。
【0004】
そして、前記スリットからコア本体を取り出すことにより、中空部を有する型成形部前駆体が得られる。その後、スリットの相対向する開口面同士を複数箇所において接着剤で接合することにより、型成形部が得られる。つまり、この型成形部及び押出成形部の一体となったウエザストリップが得られる。
【0005】
しかしながら、従来では、スリットの接合のために型成形部前駆体がスリットの幅だけ押出成形部よりも幅広く成形されるよう見込み設計され、接合作業の際には接着剤を塗布した状態で所定時間、型成形部前駆体を幅方向に圧縮保持するといった工程が不可欠であった。その結果、作業工数の増大、生産コストの増大や生産性の低下等を招くおそれがあった。また、スリットの開口面同士を直接接合すると、取付基部の幅が不均一となりやすいため、型成形部のシール性が低下する等といった不具合が生じるおそれがあった。
【0006】
これに対し、近年、スリットの開口面同士を直接接合する代わりに、スリットを塞ぐ閉塞片を備えたウエザストリップも見受けられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−305372号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−305372号公報に記載のウエザストリップでは、単に閉塞片を回動させ、取付基部に組み付けているだけであったため、接着剤等により閉塞片と取付基部とを接合する作業が不可欠であるとともに、接着剤が乾くまで接合部を保持していることが困難であった。結果として、閉塞片の復元力により接合部が外れ、スリットが開口してしまう恐れがあった。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、型成形部を有してなるウエザストリップを製造するに際し、作業工数の増大、コストの増大や生産性の低下等を抑制することができるウエザストリップ及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及びその効果】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0011】
手段1. 押出成形される押出成形部と、当該押出成形部に対し連続的に型成形により接続成形される型成形部とから構成されるとともに、車両の開口部又はドア周縁に取付けられる取付基部と、当該取付基部に一体形成され中空部を構成するシール部とを有し、前記型成形時において前記型成形部の取付基部にコア金型抜取り用のスリットが形成されるウエザストリップであって、
前記取付基部の取付面側から延出形成された基片部と、
前記基片部に一体形成され、前記基片部を前記取付基部との連接部を軸に傾動させることで前記スリット内に嵌め込まれる挿入部と、
前記挿入部に一体形成され、前記挿入部が嵌め込まれた際、前記中空部に面する前記取付基部の内側面にて係止される係止部と
を有する閉塞片を、前記スリットの形成区間において少なくとも1つ設け、
前記挿入部の厚みを前記スリットの幅と略同一にし、
前記係止部は、前記挿入部の嵌め込みによって、前記挿入部から前記取付基部に沿う方向に延出して、前記スリットを挟んで前記基片部が形成された側とは反対側の取付基部の内側面にて、傾動させた前記基片部の復元力により係止されるよう構成されていることを特徴とするウエザストリップ。
【0012】
上記手段1によれば、型成形部の外側に設けられた閉塞片の一部をスリット内へ嵌め込むことによってスリットの所定区間を塞ぐとともに、傾動させた閉塞片の復元力により係止部が取付基部の内側面にて係止された状態を維持するよう構成されている。従って、接着剤によりスリットの開口面同士を直接接合したり、閉塞片と取付基部とを接合することなく、スリットの所定区間を塞ぐことができるとともに、接合した閉塞片が外れてしまうといった不具合を抑制することができる。結果として、従来のようにスリットの幅だけ幅広に型成形部前駆体を見込み設計したり、接着剤を塗布した状態で所定時間、型成形部前駆体を幅方向に圧縮保持するといった工程を省略でき、作業工数の増大、生産コストの増大や生産性の低下等を抑制することができる。また、スリットの開口面同士を直接接合することで取付基部の幅が不均一となり、型成形部のシール性が低下する等といった不具合の発生を抑制することができる。また、仮に接着剤を塗布して接合するようにしても、上記構成により接着剤が乾くまで閉塞片等を保持している必要がなく、生産性の向上を図ることができる。また、上記構成とすることにより、従来のウエザストリップの閉塞片のようにその基部(取付基部との連接部)の厚みを比較的薄肉にすることなく、係止部及び取付基部の係合状態を確保できる。結果として、閉塞片に薄肉部を設けたために生じうる、薄肉部が破れてしまうといった不具合を防止することができる。なお、前記閉塞片の数やスリットの長手方向に対応する幅は設計により型成形部の形状に合わせて適宜異なることとなる。例えば略直線形状のように型成形部の曲率が小さい場合には、1つの閉塞片が前記スリットの形成区間の略全域に対応して設けられることが考えられる。また、型成形部の曲率が大きい場合には、スリットの長手方向に対応する幅が比較的狭い閉塞片が複数設けられることが考えられる。
また、スリットの所定区間をより確実に塞ぐことができるとともに、閉塞片の復元力に基づいた応力がより効率よく係止部にかかるため係止力が高まり、係止部及び取付基部のより安定した係合状態を確保できる。
また、挿入部がスリット間に嵌合することとなり、閉塞片及び取付基部の係合状態のさらなる安定化を図ることができるとともに、より確実に取付基部の幅を所定幅で維持し、型成形部のシール性の低下等を抑制する効果がさらに高められる。
【0015】
手段2. 押出成形される押出成形部と、当該押出成形部に対し連続的に型成形により接続成形される型成形部とから構成されるとともに、車両の開口部又はドア周縁に取付けられる取付基部と、当該取付基部に一体形成され中空部を構成するシール部とを有し、前記型成形時において前記型成形部の取付基部にコア金型抜取り用のスリットが形成されるウエザストリップであって、
前記取付基部の取付面側から延出形成された基片部と、
前記基片部に一体形成され、前記基片部を前記取付基部との連接部を軸に傾動させることで前記スリット内に嵌め込まれる挿入部と、
前記挿入部に一体形成され、前記挿入部が嵌め込まれた際、前記中空部に面する前記取付基部の内側面にて係止される係止部と
を有する閉塞片を、前記スリットの形成区間において少なくとも1つ設け、
前記挿入部の厚みを前記スリットの幅と略同一にし、
前記係止部は、
前記挿入部の嵌め込みによって、前記挿入部から前記取付基部に沿う方向に延出して、前記スリットを挟んで前記基片部が形成された側とは反対側の取付基部の内側面にて、傾動させた前記基片部の復元力により係止される第1の係止部と、
前記挿入部の嵌め込みによって、前記挿入部から前記取付基部に沿う方向に延出して、前記基片部が形成された側の取付基部の内側面にて、傾動させた前記基片部の復元力により係止される第2の係止部とにより構成されていることを特徴とするウエザストリップ。
【0016】
上記手段2によれば、上記手段1と同様の効果を奏するとともに、スリットを挟んで両側の取付基部に閉塞片が係止されることにより、さらに閉塞片が外れにくくなる。
【0017】
手段3.前記挿入部が嵌め込まれた際、前記基片部の形成された側とは反対側の取付基部の一部を前記係止部とともに挟持するための挟持突部を前記基片部に設けたことを特徴とする手段1又は手段2に記載のウエザストリップ。
【0018】
上記手段3によれば、さらに閉塞片が外れにくくなり、閉塞片及び取付基部のより安定した係合状態を確保できる。
【0019】
手段4.前記挿入部の略先端部から前記係止部にかけてテーパ面を形成したことを特徴とする手段1乃至手段3のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0020】
上記手段4によれば、挿入部及び係止部をスリット内へ挿入しやすくなり、作業性の向上を図ることができる。
【0023】
手段5.前記挿入部が嵌め込まれた際、前記基片部の一面が前記取付基部の取付面と略面一となり、前記基片部が前記取付基部の一部を構成するようにしたことを特徴とする手段1乃至手段4のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0024】
上記手段5によれば、ウエザストリップを車両の開口部又はドア周縁に取付ける際の装着性の低下等を防止することができる。
【0025】
手段6.車両の開口部又はドア周縁に取付けられる取付基部と、当該取付基部に一体形成され中空部を構成するシール部とを有するウエザストリップの製造方法であって、
押出成形法により押出成形部を成形する工程と、
少なくとも固定型、可動型及び前記中空部を形成するためのコア本体を具備するコア金型を備えた金型装置により型成形部を成形するためのキャビティを形成するとともに、前記コア本体から延びる延出プレートを前記キャビティ外方へ延出するようセットする工程と、
前記押出成形部の端面が前記キャビティに臨むよう前記押出成形部を前記金型装置に固定する工程と、
前記キャビティ内に可塑化状態にあるゴム材料を注入、充填する工程と、
前記ゴム材料が固化した後、前記固定型に対し、前記可動型を離間させるとともに、前記固化により成形された型成形部前駆体を前記コア金型とともに取り外す工程と、
前記型成形部前駆体のうち、少なくとも前記延出プレートが突出するスリットから前記コア本体を取り出す工程とを備え、
前記型成形部前駆体を成形する際に、前記スリットの形成区間に対応して複数の閉塞片を、当該閉塞片を成形する可動型の離間方向に沿って当該型成形部前駆体と一体形成するとともに、前記閉塞片が、前記取付基部の取付面側から延出形成された基片部と、前記基片部に一体形成された挿入部と、前記挿入部に一体形成された係止部とを有するようにし、
前記コア本体を取り出す工程の後、前記閉塞片の基片部を、前記取付基部との連接部を軸に傾動させ、前記挿入部及び係止部を前記スリット内に嵌め込むとともに、前記係止部を前記中空部に面する前記取付基部の内側面にて係止させることにより、前記型成形部を得る工程を備え、
前記挿入部の厚みを前記スリットの幅と略同一にし、
前記係止部が、前記嵌め込みにより、前記挿入部から前記取付基部に沿う方向に延出して、前記スリットを挟んで前記基片部が形成された側とは反対側の取付基部の内側面にて、傾動させた前記基片部の復元力により係止されるようにしたことを特徴とするウエザストリップの製造方法。
【0026】
上記手段6によれば、上記手段1と同様の効果を奏する。
また、可動型の離間の際に比較的容易に閉塞片を可動型より抜き出すことができる。結果として、閉塞片が破損してしまうといった不具合を低減するとともに、作業性の向上を図ることができる。
【0027】
手段7.前記型成形部を得る工程が行われる際に、前記閉塞片の所定部位と前記型成形前駆体とを接合する工程が行われることを特徴とする手段6に記載のウエザストリップの製造方法。
【0028】
上記手段7によれば、閉塞片が外れてしまうといった不具合がより確実に防止され、閉塞片及び取付基部のより安定した係合状態が確保される。なお、上記接合工程が行われる際には、閉塞片の復元力により閉塞片が位置決めされた所定位置に維持されるため、接着剤を塗布した状態で閉塞片を所定位置に所定時間保持するといった工程を省略できる。
【0031】
手段8.前記閉塞片を成形する可動型の離間方向に対して、前記閉塞片の少なくとも一側辺部をテーパ状にしたことを特徴とする手段6又は手段7に記載のウエザストリップの製造方法。
【0032】
上記手段8によれば、手段7と同様の効果を奏する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、例えば自動車用ドアの外周縁に沿うようにしてEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)よりなるドアウエザストリップ(以下、単に「ウエザストリップ」と称する)11が取付けられる。
【0034】
上記ウエザストリップ11は、押出成形部12,13と型成形部(同図散点模様を付した部分)14,15とを備えている。すなわち、押出成形部12,13は、図示しない押出成形機によりほぼ直線状に(長尺状に)形成される。また、型成形部14,15は、隣接する押出成形部12,13の端縁を連結するようにして所定の金型装置によって形成されている。
【0035】
図2に示すように、押出成形部12,13は、自動車ドアの図示しないドアサッシュに取付けられる取付基部21、当該取付基部21から延び、内部に中空部22を有してなるシール部23及びシール部23の基端部から延びるリップ部24等を備えている。
【0036】
また、図3〜図7に示すように、上部コーナー部に相当する型成形部14についても、形状こそ違うものの、押出成形部12,13の場合と同様、取付基部31、シール部32、リップ部33及び中空部34を有している。以下、図示は省略するが、もう一方の型成形部15も、形状こそ違うものの型成形部14と同様に構成されている。
【0037】
また、型成形部14の取付基部31には、その長手方向に沿って後述する型取り出しによってスリット35が形成されている。さらに、型成形部14には、その長手方向(スリット35の長手方向)に沿って複数の閉塞片36が所定間隔で設けられている。なお、図4及び図7(a)には、後述する型成形部14の成形完了前の型成形部前駆体14Aが示されている。
【0038】
閉塞片36は、取付基部31の取付面側から延出形成された基片部37と、基片部37に一体形成され、基片部37を取付基部31との連接部を軸に傾動させることでスリット35内に嵌め込まれる挿入部38と、挿入部38が嵌め込まれた際、中空部34に面する取付基部31の内側面にて係止される係止部39とにより構成されている。なお、本実施の形態では、係止部39は、スリット35を挟んで基片部37が形成された側とは反対側の取付基部31の内側面にて係止されるよう構成されるとともに、挿入部38及び係止部39をスリット35内へ挿入しやすいように、挿入部38の略先端部から係止部39にかけてテーパ面39aが形成されている。また、挿入部38がスリット35間に嵌合されるように挿入部38の厚みがスリット35の幅と略同一となっている。さらに、挿入部38がスリット35に嵌め込まれた際、基片部37の一面が取付基部31の取付面と略面一となり、基片部37が取付基部31の一部を構成するようになっている。
【0039】
また、各閉塞片36は、当該閉塞片36を成形する後述する可動型(可動型46等)の離間方向に沿って型成形部前駆体14Aの本体部より延出形成されている。従って、型成形部14の成形完了時には、図5に示すように、各閉塞片36はスリット35の長手方向に対して交差する方向に沿った態様でスリット35に係合されている。
【0040】
次に、上記ウエザストリップ11のうち、上部コーナー部に相当する型成形部14を成形するための金型装置41について説明する。図8は、型成形部14を成形するために使用される金型装置41を示す断面図である。金型装置41は、例えば図の下側に位置する固定型42と、複数の可動型(第1の可動型43、第2の可動型44、第3の可動型45、第4の可動型46、第5の可動型47、第6の可動型48)とを備えている。また、第5の可動型47及び第6の可動型48間には、コア金型49が設けられる。第1〜第6の可動型43〜48は、図示しないシリンダ等により固定型42に対し相対移動可能に設けられている。また、コア金型49は、コア本体50及び該コア本体50から一体的に延びる延出プレート51からなる。
【0041】
固定型42及び各可動型43〜48には、前記型成形部14の外形形状に対応した成形面がそれぞれ形成されている。また、コア本体50は、前記中空部34を形成するためのものであって、固定型42及び各可動型43〜48で囲まれた空間の中央に設置される。そして、これら成形面及びコア本体50の外面によって、型成形部14を成形するためのキャビティ52が形成されている。なお、キャビティ52の所定位置には、前記閉塞片36を成形する部分も含まれている。詳しくは、各可動型46,47及び延出プレート51によって閉塞片36の外形形状に対応した成形面が形成されている。
【0042】
次に、上記の構成を有してなるウエザストリップ11の製造方法及び製造に際しての作用効果について説明する。まず、図示しない押出成形機を用い、公知の押出成形法により上記押出成形部12,13を成形する。この成形により、押出成形部12,13の取付基部21、シール部23、中空部22及びリップ部24が形成される。
【0043】
次に、以下のようにして型成形部14を成形する。すなわち、まず、各型42〜48等を相互に型開きした状態で、上記押出成形部12,13の端部をコア金型49のコア本体50の長手方向両端部に嵌め込みセットし、可動型43〜48及びコア金型49を固定型42に対し所定位置にセットし型締めする。これにより、押出成形部12,13が金型装置41に対し取付固定されるとともに、図8に示すように、キャビティ52が形成される。
【0044】
そして、この状態から図9に示すように、キャビティ52内に、可塑化状態にあるEPDMを図示しないゲートより注入し、充填させる。その後、EPDMを加硫固化させるとともに、固化完了後、可動型43〜48を順次型開きして、成形されたゴム部材(以下、「型成形部前駆体」と称する)14Aをコア金型49とともに金型装置41から取り外す。
【0045】
次に、型成形部前駆体14Aを別途支持した状態で、延出プレート51を把持し、同図左方向に抜き取るようにして引っ張る。このとき、型成形部前駆体14Aのうちの前記スリット35からコア本体50は取り出される。そして、この取り出しにより、型成形部前駆体14Aの内部は中空状態となる(図7(a)等参照)。
【0046】
次に、図7(b)に示すように、閉塞片36の基片部37を取付基部31との連接部を軸に傾動させ、挿入部38をスリット35内に嵌め込むとともに、係止部39を中空部34に面する型成形部前駆体14Aの内側面にて係止させることにより、型成形部14が最終的に得られる。なお、説明は省略するが、もう一方の型成形部15についても、所定の金型装置を用いることにより上記と同様にして形成される。但し、型成形部14,15の形状が異なることから、両者に設けられる閉塞片の数やスリットの長手方向に対応する幅は異なる。このようにして、押出成形部12,13と、同押出成形部12,13に対し連続的に接続成形された型成形部14,15とを備えたウエザストリップ11が得られる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態によれば、型成形部14の外側に設けられた閉塞片36の一部をスリット35内へ嵌め込むことによってスリット35の所定区間を塞ぐとともに、傾動させた閉塞片36の復元力により係止部39が取付基部31の内側面にて係止された状態を維持するよう構成されている。従って、接着剤によりスリット35の開口面同士を直接接合したり、閉塞片36と取付基部31とを接合することなく、スリット35の所定区間を塞ぐことができるとともに、接合した閉塞片36が外れてしまうといった不具合を抑制することができる。結果として、従来のようにスリット35の幅だけ幅広に型成形部前駆体14Aを見込み設計したり、接着剤を塗布した状態で所定時間、型成形部前駆体14Aを幅方向に圧縮保持するといった工程を省略でき、作業工数の増大、生産コストの増大や生産性の低下等を抑制することができる。また、スリット35の開口面同士を直接接合することで取付基部31の幅が不均一となり、型成形部14のシール性が低下する等といった不具合の発生を抑制することができる。
【0048】
また、係止部39は、スリット35を挟んで基片部37が形成された側とは反対側の取付基部31の内側面にて係止されるよう構成されている。従って、スリット35の所定区間をより確実に塞ぐことができるとともに、閉塞片36の復元力に基づいた応力がより効率よく係止部39にかかるため係止力が高まり、係止部39及び取付基部31のより安定した係合状態を確保できる。
【0049】
また、上記構成とすることにより、従来のウエザストリップの閉塞片のようにその基部の厚みを比較的薄肉にすることなく、係止部39及び取付基部31の係合状態を確保できる。結果として、閉塞片に薄肉部を設けたために生じうる、薄肉部が破れてしまうといった不具合を防止することができる。
【0050】
また、本実施の形態のように、サッシュタイプのドアに取付けられるウエザストリップでは、通常、ドア閉時において略直線的に変形するため、比較的幅広の閉塞片36を設けることができる。その結果、上記各種効果をより確実なものとすることができる。
【0051】
尚、上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0052】
(a)上記実施の形態では、閉塞片36をスリット35へ嵌め込むだけで、閉塞片36と取付基部31とが接合されていないが、閉塞片36の抜け外れをより確実に防止するため、閉塞片36と取付基部31との当接面の少なくとも一部に接着剤を塗布し両者を接合するようにしてもよい。なお、この場合、接着剤が乾くまで閉塞片36を保持している必要がなく、生産性の向上が図られる。
【0053】
(b)上記実施の形態では、スリット35を挟んで基片部37が形成された側とは反対側の取付基部31の内側面にて係止される係止部39のみが設けられている。これに限らず、図10(a),(b)に示すように、第1の係止部としての係止部39に加えて、基片部37が形成された側の取付基部31の内側面にて係止される第2の係止部としての係止部61を備えた構成としてもよい。なお、ここでは、上記実施の形態と同一の構成については、同一の符号を付しその説明を省略する。このような構成とすることで、スリット35を挟んで両側の取付基部31に閉塞片36が係止されることにより、さらに閉塞片36が外れにくくなる。
【0054】
また、図11(a),(b)に示すように、挿入部38がスリット35へ嵌め込まれた際、基片部37の形成された側とは反対側の取付基部31の一部を係止部39とともに挟持するための挟持突部62を基片部37に備えた構成としてもよい。このような構成とすることで、さらに閉塞片36が外れにくくなり、閉塞片36及び取付基部31のより安定した係合状態を確保できる。
【0055】
また、図12(a),(b)に示すように、上記係止部39、係止部61及び挟持突部62をすべて有する閉塞片36を備えた構成としてもよい。
【0056】
(c)上記実施の形態において、各閉塞片36は、当該閉塞片36を成形する可動型(可動型46等)の離間方向に沿って型成形部前駆体14Aの本体部より延出形成されている。これに代えて又は加えて、閉塞片36を成形する可動型の離間方向に対して、閉塞片36の少なくとも一側辺部をテーパ状にしてもよい。
【0057】
(d)上記実施の形態では、コーナー部に対応する型成形部について具体化しているが、コーナー部に限られず、押出成形部の端末に接続成形される例えば略直線形状の型成形部についても適用可能である。
【0058】
(e)上記実施の形態では、サッシュタイプのドアに取付けられるウエザストリップについて具体化しているが、これに限られず、プレスタイプのドアに取付けられるウエザストリップにも適用できる。もちろん、ドアの開口部に取付けられるウエザストリップにも適用できる。
【0059】
(f)上記実施の形態では、ウエザストリップ11の素材としてEPDMを採用しているが、その外にもスチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレン共重合ゴム、アクリルゴム等の各種ゴム、或いはゴム状弾性を有する合成樹脂素材(この場合、かかる合成樹脂素材もゴム材料の範疇に含まれるものとする)によりウエザストリップを形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態においてウエザストリップの概略構成を説明する模式図である。
【図2】図1のJ−J線断面図であって、押出成形部を説明する図である。
【図3】上部コーナー部に相当する型成形部を説明するための図である。
【図4】ウエザストリップの取付面側から見た、型成形部前駆体を説明するための図である。
【図5】ウエザストリップの取付面側から見た、型成形部を説明するための図である。
【図6】図4のP−P線断面図であって、型成形部(型成形部前駆体)を示す図である。
【図7】(a)は図4のQ−Q線断面図であって型成形部前駆体を示す図であり、(b)は図5のR−R線断面図であって型成形部を示す図である。
【図8】型成形部成形用の金型装置を示す断面図である。
【図9】キャビティ内にゴム材料を充填した状態を示す金型装置の断面図である。
【図10】(a)は別の実施の形態における型成形部前駆体を示す断面図であり、(b)は型成形部を示す断面図である。
【図11】(a)は別の実施の形態における型成形部前駆体を示す断面図であり、(b)は型成形部を示す断面図である。
【図12】(a)は別の実施の形態における型成形部前駆体を示す断面図であり、(b)は型成形部を示す断面図である。
【符号の説明】
11…ウエザストリップ、12,13…押出成形部、14,15…型成形部、14A…型成形部前駆体、31…取付基部、32…シール部、34…中空部、35…スリット、36…閉塞片、37…基片部、38…挿入部、39…係止部、39a…テーパ面、41…金型装置、42…固定型、43〜48…可動型、49…コア金型、50…コア本体、51…延出プレート、52…キャビティ。
Claims (8)
- 押出成形される押出成形部と、当該押出成形部に対し連続的に型成形により接続成形される型成形部とから構成されるとともに、車両の開口部又はドア周縁に取付けられる取付基部と、当該取付基部に一体形成され中空部を構成するシール部とを有し、前記型成形時において前記型成形部の取付基部にコア金型抜取り用のスリットが形成されるウエザストリップであって、
前記取付基部の取付面側から延出形成された基片部と、
前記基片部に一体形成され、前記基片部を前記取付基部との連接部を軸に傾動させることで前記スリット内に嵌め込まれる挿入部と、
前記挿入部に一体形成され、前記挿入部が嵌め込まれた際、前記中空部に面する前記取付基部の内側面にて係止される係止部と
を有する閉塞片を、前記スリットの形成区間において少なくとも1つ設け、
前記挿入部の厚みを前記スリットの幅と略同一にし、
前記係止部は、前記挿入部の嵌め込みによって、前記挿入部から前記取付基部に沿う方向に延出して、前記スリットを挟んで前記基片部が形成された側とは反対側の取付基部の内側面にて、傾動させた前記基片部の復元力により係止されるよう構成されていることを特徴とするウエザストリップ。 - 押出成形される押出成形部と、当該押出成形部に対し連続的に型成形により接続成形される型成形部とから構成されるとともに、車両の開口部又はドア周縁に取付けられる取付基部と、当該取付基部に一体形成され中空部を構成するシール部とを有し、前記型成形時において前記型成形部の取付基部にコア金型抜取り用のスリットが形成されるウエザストリップであって、
前記取付基部の取付面側から延出形成された基片部と、
前記基片部に一体形成され、前記基片部を前記取付基部との連接部を軸に傾動させることで前記スリット内に嵌め込まれる挿入部と、
前記挿入部に一体形成され、前記挿入部が嵌め込まれた際、前記中空部に面する前記取付基部の内側面にて係止される係止部と
を有する閉塞片を、前記スリットの形成区間において少なくとも1つ設け、
前記挿入部の厚みを前記スリットの幅と略同一にし、
前記係止部は、
前記挿入部の嵌め込みによって、前記挿入部から前記取付基部に沿う方向に延出して、前記スリットを挟んで前記基片部が形成された側とは反対側の取付基部の内側面にて、傾動させた前記基片部の復元力により係止される第1の係止部と、
前記挿入部の嵌め込みによって、前記挿入部から前記取付基部に沿う方向に延出して、前記基片部が形成された側の取付基部の内側面にて、傾動させた前記基片部の復元力により係止される第2の係止部とにより構成されていることを特徴とするウエザストリップ。 - 前記挿入部が嵌め込まれた際、前記基片部の形成された側とは反対側の取付基部の一部を前記係止部とともに挟持するための挟持突部を前記基片部に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウエザストリップ。
- 前記挿入部の略先端部から前記係止部にかけてテーパ面を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のウエザストリップ。
- 前記挿入部が嵌め込まれた際、前記基片部の一面が前記取付基部の取付面と略面一となり、前記基片部が前記取付基部の一部を構成するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のウエザストリップ。
- 車両の開口部又はドア周縁に取付けられる取付基部と、当該取付基部に一体形成され中空部を構成するシール部とを有するウエザストリップの製造方法であって、
押出成形法により押出成形部を成形する工程と、
少なくとも固定型、可動型及び前記中空部を形成するためのコア本体を具備するコア金型を備えた金型装置により型成形部を成形するためのキャビティを形成するとともに、前記コア本体から延びる延出プレートを前記キャビティ外方へ延出するようセットする工程と、
前記押出成形部の端面が前記キャビティに臨むよう前記押出成形部を前記金型装置に固定する工程と、
前記キャビティ内に可塑化状態にあるゴム材料を注入、充填する工程と、
前記ゴム材料が固化した後、前記固定型に対し、前記可動型を離間させるとともに、前記固化により成形された型成形部前駆体を前記コア金型とともに取り外す工程と、
前記型成形部前駆体のうち、少なくとも前記延出プレートが突出するスリットから前記コア本体を取り出す工程とを備え、
前記型成形部前駆体を成形する際に、前記スリットの形成区間に対応して複数の閉塞片を、当該閉塞片を成形する可動型の離間方向に沿って当該型成形部前駆体と一体形成するとともに、前記閉塞片が、前記取付基部の取付面側から延出形成された基片部と、前記基片部に一体形成された挿入部と、前記挿入部に一体形成された係止部とを有するようにし、
前記コア本体を取り出す工程の後、前記閉塞片の基片部を、前記取付基部との連接部を軸に傾動させ、前記挿入部及び係止部を前記スリット内に嵌め込むとともに、前記係止部を前記中空部に面する前記取付基部の内側面にて係止させることにより、前記型成形部を得る工程を備え、
前記挿入部の厚みを前記スリットの幅と略同一にし、
前記係止部が、前記嵌め込みにより、前記挿入部から前記取付基部に沿う方向に延出して、前記スリットを挟んで前記基片部が形成された側とは反対側の取付基部の内側面にて、傾動させた前記基片部の復元力により係止されるようにしたことを特徴とするウエザストリップの製造方法。 - 前記型成形部を得る工程が行われる際に、前記閉塞片の所定部位と前記型成形前駆体とを接合する工程が行われることを特徴とする請求項6に記載のウエザストリップの製造方法。
- 前記閉塞片を成形する可動型の離間方向に対して、前記閉塞片の少なくとも一側辺部をテーパ状にしたことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のウエザストリップの製造方法。
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