JP5354622B2 - 半導体発光ダイオード - Google Patents

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Description

本発明は、半導体、特に化合物半導体を材料とする高効率発光ダイオードに関し、より詳しくは形状基板におけるエバネッセント光の干渉現象を利用し、光の外部への取り出し効率を改善した半導体発光ダイオードに関する。
化合物半導体(AlGaAs,AlGaInP,AlGaInNなど)を材料とする発光ダイオード(Light-Emitting Diode: LED)は、白熱電球や蛍光灯などの既存の照明デバイスに取って代わる省エネルギー・長寿命の照明・表示用光源として期待され、その大規模な普及に向けた研究開発が世界各国で戦略的に進められている。
発光ダイオードのエネルギー変換効率は一般的に内部量子効率と光の外部への取り出し効率の積で決定される。内部量子効率に関しては、近年の結晶成長技術の進歩によって、飛躍的な向上が見られた。例えば、AlGaInP系材料を用いた100%に近い内部量子効率を持つ発光波長約650nmの赤色LEDがすでに実用化されている。
また、InGaN系青色LEDに関しても、70%−80%の内部量子効率を持つデバイスが報告されている。これに対して、半導体内部で発生した光(自然放出光)を効率よく外部(空気中)へ取り出すことは非常に困難であり、これはLEDの発光効率向上を妨げる最大の要因になっていると言っても過言ではない。
これには、主に三つの原因が存在する。すなわち1) 半導体材料の高い屈折率に起因する半導体-空気界面での光の全反射、2) オーミック電極による光の遮蔽、3) 吸収性基板による光の吸収、が存在する。例えば、界面での全反射によって、平坦基板デバイスの場合、外部に取り出せるのは全反射の臨界角より小さい角度で界面に入射する光であり、その量は通常活性層で発生した光の数パーセント(2〜4%)でしかない。
光の取り出し効率を向上させるため、これまでに様々な技術が開発されてきた。例えば、界面での全反射を抑える技術として、(1) 空気より屈折率の高い樹脂でLEDのチップを封止する、(2) 機械的方法で結晶を逆の角錐などの特殊形状に加工する(非特許文献1参照)、(3) マイクロキャビティやフォトニック結晶構造を用いて光の放射モードを制御する(特許文献1参照)、(4) 基板から剥離した発光ダイオードの本体となる薄膜結晶の一方の片面に反射率の高い金属ミラー、他方の片面に微小凹凸を意図的に形成し、そして、微小凹凸による反射角度の変調効果および金属ミラーと空気界面間の多重反射を利用し、全反射の臨界角より小さい角度で空気界面に入射する光の割合を増加させる方法などが挙げられる。しかし、これらの技術を用いても、50%を超える光取出し効率を得るのは容易ではない。
しかも、機械的方法による結晶の特殊形状加工やマイクロキャビティ、フォトニック結晶構造の作製は、(1) 作製工程が複雑で生産コストが高い、(2) 大面積(ハイパワー)デバイスには適さない、などの問題も存在する。特に、作製コストに関しては、LEDによる固体照明を大規模に普及させるためには、LEDの生産コストを現状より一桁以上下げることが必要不可欠である。したがって、作製プロセスがより簡単で、しかも50%以上の取り出し効率が容易に得られる光取出し技術の開発が強く望まれる。
我々は、複数の結晶面を有する形状基板上に成長させた半導体エピタキシャル層のバンドギャップエネルギーが結晶面方位に依存する性質を利用し、電流注入のための金属電極をバンドギャップエネルギーの高い結晶面に選択的に形成し、電流注入領域と発光領域(バンドギャップエネルギーの低い結晶面)とを空間的に分離させた新しいタイプの発光ダイオードを開発した(特許文献2参照)。
このデバイスにおいて、バンドギャップエネルギーの高い結晶面から注入されたキャリアは、バンドギャップエネルギーの低い結晶面に移動してから発光するため、電極による光の遮蔽を大幅に抑えることが可能になった。GaAs/AlGaAs系材料を用いた実証実験において、従来技術より簡単なプロセスを用いて15%程度(樹脂封止無し)の取り出し効率が得られた。しかしながら、この技術は、吸収性基板による光の吸収問題に対してほとんど効果がなく、界面での全反射に対する抑制効果も不十分であった。
特開2008−311687 特開2007−214558
M. R. Krames, M. Ochiai-Holcomb, G. E. Hofler, C. Carter-Coman, E. I. Chen, I.-H. Tan, P. Grillot, N. F. Gardner, H. C. Chui, J.-W. Huang, S. A. Stockman, F. A. Kish, T. S. Tan, C. P. Kocot, M. Hueschen, J. Posselt, B. Loh, G. Sasser, and D. Collins, "High-power truncated-inverted-pyramid (AlxGa1-x)0.5In0.5P/GaP light-emitting diodes exhibiting >50% external quantum efficiency", Applied Physics Letters, Vol. 75 (1999) 2365-2367. H. Weman, E. Martinet, A. Rudra, and E. Kapon, "Selective Carrier Injection into V-groove Quantum Wires", Applied Physics Letters, Vol. 16 (1998) 2959-2961.
複数の結晶面を有する形状基板上に成長させた半導体微細構造において、二つの異なる結晶面で全反射によって発生したエバネッセント光は、寸法が2λ (λ:発光波長)より小さい第3の結晶面において互いに干渉し、極めて高い効率で外部に放射される現象を見出した。そこで、本発明の目的は、上記現象を利用し、光取出し効率の高い半導体発光ダイオードを提供することにある。
以上から、本願発明は、
1.複数の結晶面を有する基板、該基板上に積層させた第1導電型の障壁層、発光層となる活性層、第2導電型の障壁層を少なくとも備える半導体発光ダイオードにおいて、前記半導体発光ダイオードは、面内方向において一つの平坦面と少なくとも二つの傾斜面によって構成されるリッジ構造を備え、前記リッジ構造の平坦面の幅(W)は2λ (λ:発光波長)以下であり、前記活性層の中心(C)から発生した光が前記リッジ構造の傾斜面と空気との界面にて全反射する最短の地点から平坦面となる地点までの最短長さ(L)がλ(λ:発光波長)以下となるように積層方向に前記活性層が位置することを特徴とする発光ダイオード、を提供する。
ここで、「前記活性層の中心(C)」とは、前記リッジ構造の平坦面の中心と一致する前記活性層の位置を意味する。
また、「最短で全反射を開始する地点」または「全反射する最短の地点」とは、傾斜面の法線方向に対してθ=sin−1(1/n)(θ:全反射の臨界角、n:半導体層の屈折率)の角度をなす、活性層の中心(C)から傾斜面に向かう線と傾斜面・空気界面との交点を意味する。
さらに、「全反射する最短の地点から平坦面となる地点までの最短長さ(L)」とは、前記傾斜面の法線の両側に存在する二つの全反射する最短の地点の内、平坦面に近い地点から平坦面となる地点までの長さを意味する。
そして、「面内方向」は、この技術分野の慣例に従い、積層方向(または成長方向)に垂直な方向を指し、前記基板を構成する複数の結晶面のそれぞれの面方位を指すものではない。
また、本願発明は、
2.複数の結晶面を有する基板、該基板上に積層させた第1導電型の障壁層、発光層となる活性層、第2導電型の障壁層を少なくとも備える半導体発光ダイオードにおいて、前記半導体発光ダイオードは、面内方向において一つの平坦面と少なくとも二つの傾斜面によって構成されるリッジ構造を備え、前記リッジ構造の平坦面の幅(W)は2λ (λ:発光波長)以下であり、前記発光ダイオードの表面上に、前記発光ダイオードの空気と接する最表面の半導体層よりも屈折率の小さい膜が、前記リッジ構造の平坦面及び前記リッジ構造の傾斜面の少なくとも一部を覆うように形成されていることを特徴とする発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
3.前記発光ダイオードの表面上に、前記発光ダイオードの空気と接する最表面の半導体層よりも屈折率の小さい膜が、前記リッジ構造の平坦面および前記リッジ構造の傾斜面の少なくとも一部を覆うように形成されていることを特徴とする上記1に記載の発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
4.前記屈折率の小さい膜は、屈折率の異なる複数の膜によって構成される多層膜であることを特徴とする上記2又は3に記載の発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
5.前記屈折率の異なる複数の膜によって構成される多層膜の屈折率は、半導体側から表面側に向かって段階的に小さくなっていくことを特徴とする上記4に記載の発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
6.前記屈折率の小さい膜は、シリコン酸化膜(SiO)やシリコン窒化膜(SiN)、酸化アルミニウム(Al)などの絶縁膜であることを特徴とする上記2〜5のいずれか一に記載の発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
7.前記屈折率の小さい膜は、ITO(酸化インジウム−酸化スズ)又は酸化亜鉛(ZnO)などの透明導電膜であることを特徴とする上記2〜5のいずれか一に記載の発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
8.前記多層膜は、シリコン窒化膜(SiN)とシリコン酸化膜(SiO)との組み合わせであることを特徴とする上記4又は5のいずれかに記載の発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
9.前記多層膜は、ITO(酸化インジウム−酸化スズ)とシリコン酸化膜(SiO)との組み合わせであることを特徴とする上記4又は5のいずれかに記載の発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
10.前記多層膜は、酸化亜鉛(ZnO)とシリコン酸化膜(SiO)との組み合わせであることを特徴とする上記4又は5のいずれかに記載の発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
11.前記リッジ構造の平坦面は、正確なミラー指数面から数度から10度程度ずれている微傾斜結晶面であることを特徴とする上記1〜10いずれか一に記載の発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
12.前記リッジ構造が面内方向においてアレイ状に多数配列されていることを特徴とする上記1〜11のいずれか一に記載の発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
13.前記基板は、リソグラフィとエッチングプロセスを組み合わせて平坦基板上に複数の結晶面を形成させた基板であることを特徴とする上記1〜12のいずれか一に記載の発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
14.前記基板は、平坦基板上に絶縁膜のパターンを配置し選択エピタキシャル成長法によって複数の異なる結晶面を形成させた選択成長基板であることを特徴とする上記1〜12のいずれか一に記載の発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
15.半導体が閃亜鉛鉱構造半導体(AlGaAs, AlGaInPなど)の場合において、2λ(λ:発光波長)以下の幅(W)をもつ前記リッジ構造の平坦面が、{001}面であることを特徴とする上記1〜14のいずれか一に記載の発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
16.半導体が閃亜鉛鉱構造半導体(AlGaAs, AlGaInPなど)の場合において、前記リッジ構造の傾斜面が、{n11}A面(n=1、2、3、4、5)であることを特徴とする上記1〜15のいずれか一に記載の発光ダイオード、を提供する。
下記の実施例においてはAlGaAsの例及びGaNの例を示すが、同一又は近似する構造をもつ閃亜鉛鉱構造半導体及びウルツ鉱構造半導体は、共通する半導体特性を備えているので、同様に適用できることは容易に理解されるべきことである。
また、本願発明は、
17.半導体が閃亜鉛鉱構造半導体(AlGaAs, AlGaInPなど)の場合において、{111}A面が傾斜面、{001}面が平坦面であり、この{111}A傾斜面と{001}平坦面との間に、{111}A面より指数の高い結晶面を備えていることを特徴とする上記1〜16のいずれか一に記載の発光ダイオード、を提供する。
また、本願発明は、
18.半導体がウルツ鉱構造半導体(例えばGaN)の場合において、2λ (λ:発光波長)以下の幅(W)をもつ前記リッジ構造の平坦面が、{0001}面であることを特徴とする上記1〜14のいずれか一に記載の発光ダイオード、を提供する。
本発明の発光ダイオードは、複数の結晶面を有する形状基板上に成長させた半導体微細構造の自然放出光がエバネッセント光の干渉効果によって極めて高い効率で外部に放射される現象を利用するものである。
本発明の発光ダイオードによれば、従来のデバイスで問題となっていた半導体・空気界面における光の全反射を効果的に抑えることができ、従来技術を遥かに超える光取出し効率を実現することが可能である。
さらに、本発明の発光ダイオードの作製は、機械的方法による結晶の特殊形状加工や高度な結晶成長・プロセス技術を要するマイクロキャビティ、フォトニック結晶構造の形成などの複雑な作製工程を必要としないため、発光ダイオード作製の低コスト化に大きく貢献できる。
全反射によるエバネッセント光の発生を説明する図である。 エバネッセント光の干渉現象の観測に用いた試料の立体模式図である。 形状基板におけるエバネッセント光の干渉現象を説明する図である。 有限差分時間領域法を用いて計算した図2の試料のリッジ頂上付近の電磁波の電界強度分布を示す図である。 半導体層よりも屈折率の小さいSiO薄膜が表面上に形成された試料におけるエバネッセント光の二重干渉現象を説明する図である。 有限差分時間領域法を用いて計算したSiO薄膜が表面上に形成された試料のリッジ頂上付近の電磁波の電界強度分布を示す図である。 リッジ平坦面が正確な(001)面から7.5度[110]方向にずれている試料におけるエバネッセント光の干渉現象を説明する図である。 有限差分時間領域法を用いて計算したリッジ平坦面が正確な(001)面から7.5度[110]方向にずれている試料のリッジ頂上付近の電磁波の電界強度分布を示す図である。 本発明の第1の実施例に係る半導体発光ダイオードの立体模式図である。 本発明の第2の実施例に係る半導体発光ダイオードの立体模式図である。 本発明の第3の実施例に係る半導体発光ダイオードの立体模式図である。 図11の試料を用いて、さらに加工した本発明の第3の実施例に係る半導体発光ダイオードの立体模式図である。 本発明の第4の実施例に係る半導体発光ダイオードの断面模式図である。 本発明の第5の実施例に係る半導体発光ダイオードの断面模式図である。 図14の試料を用いて、さらに加工した本発明の第5の実施例に係る半導体発光ダイオードの断面模式図である。 本発明の第6の実施例に係る半導体発光ダイオードの断面模式図である。
本発明は、複数の結晶面を有する形状基板上にエピタキシャル成長させた半導体微細構造の発光特性を研究する過程において、微細構造からの自然放出光は、二つの異なる結晶面で全反射によって発生したエバネッセント光が第3の微細な結晶面で互いに干渉する効果によって、極めて高い効率で空気伝播光に変換され、外部に放射される現象を見出した。
まず、図1〜図3を用いてこの現象について詳しく説明する。
図1に示すように、半導体内部で発生した光が半導体と空気の界面2に入射するとき、入射角θが臨界角θ=sin−1(1/n)(n:半導体層の屈折率)より大きくなると、光が半導体と空気の界面を通過せず、すべて半導体内に戻されてしまう、いわゆる光の全反射現象が発生する。全反射に伴って、半導体の界面に沿ってのみ伝播し、界面の垂直方向において指数関数的に減衰するエバネッセント光1が発生することが古くから知られている。
また、このエバネッセント光の存在によって、反射光は横方向においてグース・ヘンシェンシフト(Goos−Hanchen)4と呼ばれる位置ずれが生じる。エバネッセント光は通常エネルギーを半導体から空気へ運ぶことができないため、半導体光デバイスにおいてほとんど重要な役割を果たしていなかった。これまでに知られていたエバネッセント光を空気伝播光に変換する唯一の方法は、微細なプローブをエバネッセント光に近づけ、それを散乱させる方法である。
図2の試料は[−110]方向(なお、「−1」は数字1に上付きの−を付したものを示す。以下同様。図2参照。)の周期4μm のV溝形GaAs基板上に有機金属気相エピタキシー法(MOCVD)を用いて成長したGaAs/AlGaAs系の量子構造であり、Al0.65Ga0.35As(0.75μm)の第1障壁層6、Al0.3Ga0.7As(0.25μm)の第2障壁層7、GaAs(4nm)の単一量子井戸活性層8、Al0.3Ga0.7As(0.25μm)の第3障壁層9、およびAl0.65Ga0.35As(0.75μm)の第4障壁層10を有する。
ここで、膜厚およびAl組成はすべて(001)平坦面の値を用いているが、エピタキシャル成長の異方性により、(111)A面に成長した層のAl組成は(001)面より数パーセント高く、その膜厚は(001)面の膜厚の1/2〜1/3程度である。
この試料において、リッジ構造がV溝間の(001)平坦面と二つの(111)A傾斜面によって構成され、その平坦面の横幅は約0.5μmである。また、(001)平坦面と(111)A傾斜面との交差角度(α)は約130度である。
また、図2に示すように、GaAs量子井戸層は面方位によって三つの主要構造、すなわち、(001)平坦面量子井戸13、(111)A傾斜面量子井戸11、V溝底に形成された三日月状量子細線12、に分けられる。
本願発明の発光ダイオードは、このリッジ構造を面内方向においてアレイ状に多数配列させた構造を有している。以下の実施例1〜6においても、同様のリッジ構造を有している。
この試料の発光特性を低温(4.5K)および室温のホトルミネセンス測定で評価したところ、(001)平坦面量子井戸(発光波長:4.5Kにおいて〜750nm、室温において〜790nm)は、表面占有率が12.5%(=0.5μm /4μm)しかないにもかかわらず、平坦基板に成長した同様な試料より1.6倍も強い発光強度を示した。
さらに、発光強度(単位面積当たり)は(001)面の横幅が広くなるに従って、急激に減少し、(001)面の横幅が1.5μm以上になると発光強度が横幅に依存せずほとんど一定になることも分かった。上記試料の内部量子効率が少なくとも4.5Kにおいては、全て100%であることが確認されていることから、上記ホトルミネセンスの発光強度の差は、光の外部への取り出し効率の違いを意味している。
図2の(001)面の横幅が0.5μmの試料の発光強度と(001)面の横幅が2μm以上の試料の発光強度とを定量的に比較した結果、図2の試料の(001)平坦面量子井戸の発光は50%を超える効率で空気に放射されていることが判明した。これは平坦基板に成長した同様な試料に比べて20倍以上も高い光取出し効率である。
さらに、上記試料表面上に厚さ0.15μm程度のGaAsより屈折率の小さいSiO膜(屈折率〜1.5)をプラズマCVD法で形成したところ、ホトルミネセンス発光強度は、SiO膜のない試料に比べて約1.5倍強くなり、光取出し効率が75%以上に向上されたことも判明した。
有限差分時間領域法を用いて、リッジ頂上付近の電磁波強度分布を計算したところ、上記の光取出し効率の増大は、エバネッセン光の干渉効果によるものであることが分かった。すなわち、図3、図4に示すように、量子井戸発光層14で発生した自然放出光が傾斜面と空気との界面に到達すると、全反射によって界面近傍にエバネッセント光15が発生する。なお、理論解析において、発光光源として量子井戸発光層14の中心(C)に位置する点光源を用い、材料の屈折率は発光波長付近の値を用いた。
二つの傾斜面で発生したエバネッセント光が傾斜面の界面に沿ってリッジ頂上に向かって進み、リッジ頂上に到達すると、二つのエバネッセント光が互いに干渉し、極めて高い効率で空気伝播光16に変換される。また、上記のエバネッセント光の干渉によって、図2の試料の発光強度の空間分布は従来の平坦基板のLambertian分布と全く異なり、(001)平坦面の垂直方向に強く局在されていることも理論解析と角度分解ホトルミネセンス測定の両方から確認された。
また、図2の試料表面上に屈折率の小さいSiO膜(屈折率〜1.5)が約0.15μm形成された試料についても、有限差分時間領域法によるリッジ頂上付近の電磁波強度分布の解析を行った。その結果、図5、図6に示すように、半導体とSiO膜およびSiO膜と空気との二つの界面においてエバネッセント光が発生していることが分かった。これによって、エバネッセント光の干渉効果が増強され、空気中に放出される伝播光の割合が増えるものと考える。したがって、前述するSiO膜による光取出し効率の増大現象は、半導体より屈折率の小さい薄膜の存在に起因するエバネッセント光の二重干渉効果によるものであることが分かる。
この屈折率の小さい膜は、SiOだけでなく、シリコン窒化膜(SiN)、酸化アルミニウム(Al)などの絶縁膜又はITO(酸化インジウム−酸化スズ)や酸化亜鉛(ZnO)などの透明導電膜を使用することもできる。これらは、同様の機能を持ち、本願発明は、これらを包含するものである。
さらに、この屈折率の小さい膜は、屈折率の異なる複数の膜、すなわち多層膜とすることができる。特に、屈折率が半導体側から表面側に向かって段階的に小さくなっていく多層膜の場合、二つ以上の界面でエバネッセント光の発生が可能であり、光取出し効率の更なる向上が可能である。このような多層膜の例として、シリコン窒化膜(屈折率〜2)とシリコン酸化膜(屈折率〜1.5)、酸化インジウム−酸化スズ(屈折率〜2.1)とシリコン酸化膜(屈折率〜1.5)、酸化亜鉛(屈折率〜2)とシリコン酸化膜(屈折率〜1.5)、などの組み合わせが挙げられる。
上記のエバネッセント光の干渉現象を効率よく発生させるためには、試料の幾何学的形状はいくつかの条件を満たさなければならない。まず、発光強度のリッジ平坦面横幅依存性を系統的に調べた結果、リッジ平坦面の横幅Wは発光波長の2倍以下である必要があることが分かった。
また、図1の説明から、図3において活性層(量子井戸発光層14)の中心(C)からの光が傾斜面と空気との界面で最短で全反射が起きる場所(図3の直線矢印と傾斜面・空気界面との交点)から平坦面までの距離Lがグース・ヘンシェンシフトより短くなければならない。グース・ヘンシェンシフトが通常発光波長より短いため、上記の条件を言い換えれば、活性層の中心からの光が傾斜面・空気界面で最短で全反射が起きる場所(図3の直線矢印と傾斜面・空気界面との交点)からリッジ平坦面までの距離Lが発光波長より短くなければならないということになる。
さらに、活性層が多重量子井戸の場合、すべての量子井戸の積層方向における位置関係は上記のように調整されていることが望ましい。
また、市販の発光ダイオードでは、半導体チップの保護および光取出し効率向上のために、半導体チップをエポキシー樹脂またはシリコン樹脂で封止する処理が一般的に行われる。エポキシー樹脂、シリコン樹脂の屈折率(1.4〜1.5)は空気より若干大きいが、半導体材料に比べてかなり小さい。したがって、半導体チップを樹脂で封止した場合においても、エバネッセント光が発生する界面は半導体と樹脂との界面に変わるが、本発明は同様に適用できることは容易に理解されるべきことである。
以上、リッジ構造の平坦面が正確なミラー指数面である場合について、エバネッセント光の干渉現象について説明した。この場合、リッジ構造を構成する傾斜面は平坦面に対して左右対称に形成されるのが一般的である。しかし、エピタキシャル成長層の性質を制御するため、正確なミラー指数面から数度から10度程度ずれている微傾斜基板上に発光ダイオードを成長させることが望ましい場合もある。例えば、AlGaInP/GaAs系赤・黄色発光ダイオードの場合、エピタキシャル成長時の自己オーダリング現象による発光波長の長波長シフト(レッドシフト)を抑えるため、正確な(001)面から[110]方向に数度から10度程度ずれているGaAs基板が一般的に用いられている。このような微傾斜基板上にリッジ構造を成長させると、リッジ構造の傾斜面が平坦面に対して左右非対称に形成される。このような場合においても、本発明が適用可能である。図7、図8にそれぞれ、(001)面から[110]方向に7.5度ずれているGaAs基板上に成長させた試料におけるエバネッセント光の干渉現象の原理および有限差分時間領域法を用いて解析したリッジ頂上付近の電磁波の電界強度分布を示す。この二つの図から、この場合、伝播光16の放射方向103はリッジ構造の平坦面の法線方向102に対して7.5度ずれていることが分かる。
以下、本発明の実施形態を図9乃至図16を用いて説明する。
ここで、材料系としてGaAs/AlGaAsを用いて本発明の実施例を説明するが、他の材料系、特にAlGaInP系を用いても実施可能である。
(実施例1)
図9を用いて第1の実施例の発光ダイオードを説明する。
まず、図9において、n型の(001)GaAs平坦基板上に、フォトリソグラフィおよびウェットエッチング用いて[−110]方向に周期4μmのV形の溝パターンを形成する。ここで、エッチング液としてNHOH:H:HO=1:3:50を用い、室温で約3分間エッチングを行った。これによって、横幅約0.5μmの(001)平坦面および二つの(111)A傾斜面(正確な(111)A傾斜面から数度ずれることがある)を持つV溝パターンが得られる。
また、上記のエッチングプロセスを用いて0.5μmより広い(001)平坦面を持つV溝パターンを形成した後、エピタキシャル成長の条件を調整することによって、最終的に0.5μm程度の(001)面横幅を得ることも可能である。
次に、上記の方法で作成したV溝形GaAs基板19上に、有機金属気相エピタキシー法を用いて、0.3μmのSiドープn型GaAsバッファー層20、0.75μmのSiドープAl0.65Ga0.35As障壁層(正孔ブロック層)21、0.25μmのSiドープ(またはノンドープ)Al0.3Ga0.7As障壁層22、ノンドープGaAs単一または多重量子井戸活性層8、0.25μmのZnドープ(またはノンドープ)Al0.3Ga0.7As障壁層23、0.75μm のZnドープAl0.65Ga0.35As障壁層(電子ブロック層)24、および20nmのZnドープGaAsキャップ層25を順次成長させる。ここで、Alの組成および成長層の膜厚はいずれも(001)リッジ平坦面での値である。
このような形状基板に成長させる場合、結晶成長の異方性により、(111)A傾斜面に成長した層のAl組成は(001)面より若干高く、障壁層21,24および障壁層22,23の(111)A傾斜面におけるAl組成はそれぞれ約0.69および0.34である。この成長において、Al、GaおよびAsの原料としてそれぞれトリメチルアルミニウム(TMAl)、トリエチルガリウム(TEGa)およびターシャリブチルアルシン(TBAs)を用いた。また、成長温度は約680°Cとし、AlGaAs層成長時のV/III比は40−80とした。
上記条件において、(001)平坦面の横幅は成長中ほぼ維持され、最終的に(001)平坦面横幅約0.5μmの構造が得られる。この試料の(001)平坦面量子井戸活性層の室温における発光波長は約0.79μmであり、また、(001)平坦面量子井戸活性層の中心からの光が(111)A傾斜面と空気との界面で最短で全反射が起きる場所から平坦面までの距離は約0.38μmである。
次に、図9に示していなが、標準的な真空蒸着法及びリフトオフ技術を用いて、試料の表面側にp型オーミック電極となるTi/Pt/Auの多層膜またはAuZn合金のパターンを形成する。ここで、p型オーミック電極の形状として、デバイスのサイズに応じて直径100μm程度の円形またはメッシュ構造を用いることが可能である。
次に、試料の裏面全面にn型オーミック電極形成用金属としてAuGe/Ni/Auを真空蒸着する。最後に、アロイ処理を行い、p型オーミック電極およびn型オーミック電極26の形成が完成する。
(実施例2)
図10を用いて第2の実施例の発光ダイオードを説明する。
本実施例に用いた基板は、n型(001)GaAs平坦基板上に形成した二つの(111)A傾斜面と上部および底部の二つの(001)平坦面を持つU形の溝基板である。U形基板は実施例1と同様なエッチング液を用いて、エッチングの時間およびフォトレジストパターンの幅を調整することによって容易に作製できる。
次に、MOCVD法を用いて実施例1と同様な発光ダイオード構造を上記のU形溝基板上に成長する。この構造において、GaAs量子井戸活性層8は二つの(111)A傾斜面量子井戸11と上部13および底部27の二つの(001)平坦面量子井戸によって構成される。ここで、実施例1と同様に、リッジ平坦面の最終横幅が0.5μm程度となるように、U溝形成プロセスおよびMOCVD成長条件を調整する。
次に、図10に示すように、リッジ構造の二つの傾斜面の一部にp型オーミック電極となるTi/Pt/AuまたはAuZnのストライプ状パターン28をフォトリソグラフィ、真空蒸着およびリフトオフ法で選択的に形成する。ここで、オーミック電極を傾斜面の一部に選択的に形成することによって、電極による光の遮蔽を大幅に抑制する効果が期待できる。
すなわち、前述するように、結晶成長の異方性により(111)A傾斜面に成長した層のバンドギャップエネルギーが(001)平坦面に成長した層より高い。その結果、図10の矢印で示すように、(111)A傾斜面から注入されたキャリアのほとんどがまずバンドギャップエネルギーの低い(001)平坦面量子井戸に移動してから発光するため、電流注入領域と発光領域とは実質的に空間的に分離している。これによって、電極による光の遮蔽を大幅に抑制できる。さらに、上記効果に加えて、次の現象もキャリアを(001)平坦面量子井戸に集中させる働きがある。すなわち、(001)平坦面のAl組成が若干低いため、ダイオードとしての立ち上がり電圧が若干低く(0.1V程度)、電流が(001)平坦面に流れ込みやすい(上記非特許文献2参照)。
次に、実施例1と同じプロセスで、裏面にn型オーミック電極26の蒸着、アロイ処理を行い、オーミック電極の形成を完了する。次に、図10に示していないが、最後のプロセスとして、U溝の垂直方向にストライプ状のp型オーミック電極28を接続するための金属パターンとボンディングパッドを試料表面に形成する。
このデバイスにおいて、底部(001)平坦面量子井戸27の光取出し効率が上部平坦面量子井戸13より低いと予想されるので、必要に応じて底部(001)平坦面部を選択エッチングやイオン注入などの方法で高抵抗化し、底部(001)平坦面量子井戸27へのキャリア注入を抑えることも考えられる。
(実施例3)
図11と図12を用いて、第3の実施例の発光ダイオードを説明する。
まず、図11において、実施例2と同様なプロセスで形成したU溝形GaAs基板19上にMOCVD法を用いて、SiドープGaAsバッファー層20、0.2μmのSiドープAl0.65Ga0.35Asエッチングストッパー層30、50nmのSiドープGaAsエッチングストッパー層29、SiドープAl0.65Ga0.35As障壁層(正孔ブロック層)21、Siドープ(またはノンドープ)Al0.3Ga0.7As障壁層22、ノンドープGaAs単一または多重量子井戸活性層8、Znドープ(またはノンドープ)Al0.3Ga0.7As障壁層23、ZnドープAl0.65Ga0.35As障壁層(電子ブロック層)24、および20nmのZnドープGaAsキャップ層25を順次成長させる。
ここで、GaAsエッチングストッパー層29の底部平坦面の横幅が0.5μm程度となるように、基板形成プロセスおよびMOCVD成長条件を調整する。次に、表面全面に反射ミラーとなる金属膜Ag(200nm)31およびAu(500nm)32を真空蒸着する。ここで、Ag膜はp型オーミック電極としても働く。
図12に示すように、図11の試料をAuSn膜34の蒸着されている薄膜試料のキャリアとなる平坦基板(GaAs又はSi)33上に共晶ボンディング技術で接着させる。次に、機械研磨とクエン酸:H=4:1液による選択エッチングを行い、U溝GaAs基板およびGaAsバッファー層20を除去する。その後、HF液を用いてAl0.65Ga0.35Asエッチングストッパー層30を除去し、発光ダイオード本体となる薄膜結晶だけを平坦基板キャリア33上に残す。最後に、実施例2と同様なプロセスを用いて、SiドープGaAsエッチングストッパー層29上にストライプ状のn型オーミック電極28とボンディングパッドを形成する。
このデバイスにおいて、エバネッセント光の干渉効果によって取り出し切れない光の一部は、金属ミラー31とデバイス−空気界面間の多重反射によって取り出されるので、50%を遥かに超える光取り出し効率が期待できる。
(実施例4)
図13を用いて第4の実施例の発光ダイオードを説明する。
この実施例は、絶縁膜マスクによる選択成長形状基板を利用したデバイスに関するものである。まず、n型の(001)平坦GaAs基板37上に、SiOなどの絶縁膜のストライプパターン35を[−110]方向に形成する。
このような基板上にGaAsバッファー層20を成長させる場合、絶縁膜上に結晶成長が起こらない成長条件が広範囲に存在するため、図13に示すような(001)平坦面と二つの(111)A傾斜面を持つリッジ構造が容易に成長させることができる。この際、絶縁膜パターンの開口径および成長条件を調整し、GaAsバッファー層20の(001)平坦面の横幅を0.5μm程度に制御する。
上記の方法で作製した形状基板上に、0.75μmのSiドープAl0.65Ga0.35As障壁層(正孔ブロック層)21、0.25μmのSiドープ(またはノンドープ)Al0.3Ga0.7As障壁層22、ノンドープGaAs単一または多重量子井戸活性層8、0.25μmのZnドープ(またはノンドープ)Al0.3Ga0.7As障壁層23、0.75μmのZnドープAl0.65Ga0.35As障壁層(電子ブロック層)24、および20nmのZnドープGaAsキャップ層25を順次成長させる。
次に、試料の表面に、隣接するリッジ構造の間に二つのリッジ構造の傾斜面の一部をカバーするようにV形またはU形のp型オーミック電極36をリフトオフ法で形成する。最後に、裏面全面にn型オーミック電極26を蒸着する。
この方法は、基板エッチングの困難なGaN系デバイスに特に適している。
(実施例5)
図14、図15を用いて第5の実施例の発光ダイオードを説明する。
この実施例は最表面の半導体層上に形成された屈折率の小さい膜による取り出し効率の増大効果を利用したものである。
まず、図14において、実施例4と同様な方法で作製した選択成長形状基板上に、実施例4と同様なデバイス構造、すなわち、0.75μmのSiドープAl0.65Ga0.35As障壁層(正孔ブロック層)21、0.25μmのSiドープ(又はノンドープ)Al0.3Ga0.7As障壁層22、ノンドープGaAs単一または多重量子井戸活性層8、0.25μmのZnドープ(またはノンドープ)Al0.3Ga0.7As障壁層23、0.75μmのZnドープAl0.65Ga0.35As障壁層(電子ブロック層)24、および20nmのZnドープGaAsキャップ層25を成長させる。
次に、上記試料表面上に、最表面の半導体層、すなわちGaAsキャップ層25より屈折率の小さい屈折率約1.5のSiO膜38を、TEOS(Si(OC)とOを原料ガスとするプラズマCVD法を用いて堆積させる。この際、SiO膜の厚さを0.15μm程度とする。次に、フォトリソグラフィおよびウェットエッチング(エッチング液としてバッファーフッ酸を用いる)技術によって、隣接するリッジ構造の間のSiO膜の一部を除去し、GaAsキャップ層25を二つのリッジ構造の傾斜面の一部をカバーするように露出させる。
その後、図15において、露出させたGaAsキャップ層25上にV形またはU形のp型オーミック電極36を実施例4と同様にリフトオフ法で形成する。最後に、裏面全面にn型オーミック電極26の蒸着、アロイ処理を行い、電極の形成を完成させる。
(実施例6)
図16を用いて第6の実施例の発光ダイオードを説明する。
この実施例は最表面の半導体層上に形成された屈折率が段階的に小さくなる多層膜による二重干渉効果を利用した発光ダイオードの例である。
まず、実施例5と同様な方法で、SiO選択成長マスク35が形成されているn型GaAs基板37上に、実施例5と同様なデバイス構造を成長させる。次に、上記試料表面上に、最表面の半導体層、すなわちGaAsキャップ層25より屈折率の小さい屈折率約2のシリコン窒素化膜39を、SiHおよびNHを原料ガスとするプラズマCVD法を用いて堆積させる。この際、シリコン窒化膜の厚さを0.15μm程度とする。さらに、上記試料表面上に、上記のシリコン窒素化膜39よりも屈折率の小さい屈折率約1.5のSiO膜38を、TEOS(Si(OC)とOを原料ガスとするプラズマCVD法を用いて堆積させる。この際、SiO膜の厚さを0.15μm程度とする。
次に、実施例5と同様に、フォトリソグラフィおよびバッファーフッ酸をエッチング液とするウェットエッチング技術によって、隣接するリッジ構造の間のSiO膜およびシリコン窒化膜の一部を除去し、GaAsキャップ層25を二つのリッジ構造の傾斜面の一部をカバーするように露出させる。
最後に、実施例5と同様なプロセスを用いて、p型オーミック電極36およびn型オーミック電極26を形成し、デバイスを完成させる。
本発明の発光ダイオードは、複数の結晶面を有する形状基板上に成長させた半導体微細構造の自然放出光がエバネッセント光の干渉効果によって、極めて高い効率で外部に放射される現象を利用するものであり、従来のデバイスで問題となっていた半導体・空気界面における光の全反射を効果的に抑えることができ、従来技術を遥かに超える光取出し効率を実現することができる。このように、本発明の発光ダイオードは、機械的方法による結晶の特殊形状加工や高度な結晶成長・プロセス技術を要するマイクロキャビティ、フォトニック結晶構造の形成などの複雑な作製工程を必要とせず、低コスト化に大きく貢献できるので、発光ダイオード作製に極めて有用である。

Claims (17)

  1. 複数の結晶面を有する基板、該基板上に積層させた第1導電型の障壁層、発光層となる活性層、第2導電型の障壁層を少なくとも備える半導体発光ダイオードにおいて、前記半導体発光ダイオードは、面内方向において一つの平坦面と少なくとも二つの傾斜面によって構成されるリッジ構造を備え、前記リッジ構造の平坦面の幅(W)は2λ (λ:発光波長)以下であり、前記活性層の中心(C)から発生した光が前記リッジ構造の傾斜面と空気との界面にて全反射する最短の地点から平坦面となる地点までの最短長さ(L)がλ(λ:発光波長)以下となるように積層方向に前記活性層が位置することを特徴とする発光ダイオード。
  2. 前記発光ダイオードの表面上に、前記発光ダイオードの空気と接する最表面の半導体層よりも屈折率の小さい膜が、前記リッジ構造の平坦面および前記リッジ構造の傾斜面の少なくとも一部を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
  3. 前記屈折率の小さい膜は、屈折率の異なる複数の膜によって構成される多層膜であることを特徴とする請求項2に記載の発光ダイオード。
  4. 前記屈折率の異なる複数の膜によって構成される多層膜の屈折率は、半導体側から表面側に向かって段階的に小さくなっていくことを特徴とする請求項3に記載の発光ダイオード。
  5. 前記屈折率の小さい膜は、シリコン酸化膜(SiO)やシリコン窒化膜(SiN)、酸化アルミニウム(Al)などの絶縁膜であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
  6. 前記屈折率の小さい膜は、ITO(酸化インジウム−酸化スズ)又は酸化亜鉛(ZnO)などの透明導電膜であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
  7. 前記多層膜は、シリコン窒化膜(SiN)とシリコン酸化膜(SiO)との組み合わせであることを特徴とする請求項3又は4のいずれかに記載の発光ダイオード。
  8. 前記多層膜は、ITO(酸化インジウム−酸化スズ)とシリコン酸化膜(SiO)との組み合わせであることを特徴とする請求項3又は4のいずれかに記載の発光ダイオード。
  9. 前記多層膜は、酸化亜鉛(ZnO)とシリコン酸化膜(SiO)との組み合わせであることを特徴とする請求項3又は4のいずれかに記載の発光ダイオード。
  10. 前記リッジ構造の平坦面は、正確なミラー指数面から10度以下ずれている微傾斜結晶面であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
  11. 前記リッジ構造が面内方向においてアレイ状に多数配列されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
  12. 前記基板は、リソグラフィとエッチングプロセスを組み合わせて平坦基板上に複数の結晶面を形成させた基板であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
  13. 前記基板は、平坦基板上に絶縁膜のパターンを配置し選択エピタキシャル成長法によって複数の異なる結晶面を形成させた選択成長基板であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
  14. 半導体が閃亜鉛鉱構造半導体(AlGaAs, AlGaInPなど)の場合において、2λ(λ:発光波長)以下の幅(W)をもつリッジ平坦面が、{001}面であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
  15. 半導体が閃亜鉛鉱構造半導体(AlGaAs, AlGaInPなど)の場合において、前記リッジ構造の傾斜面が、{n11}A面(n=1、2、3、4、5)であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の発光ダイオード、を提供する。
  16. 半導体が閃亜鉛鉱構造半導体(AlGaAs, AlGaInPなど)の場合において、{111}A面が傾斜面、{001}面が平坦面であり、この{111}A傾斜面と{001}平坦面との間に、{111}A面より指数の高い結晶面を備えていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の発光ダイオード、を提供する。
  17. 半導体がウルツ鉱構造半導体(例えばGaN)の場合において、2λ (λ:発光波長)以下の幅(W)をもつリッジ平坦面が、{0001}面であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の発光ダイオード。
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