JP5313726B2 - 固体酸化物形燃料電池および該電池用インターコネクタ - Google Patents

固体酸化物形燃料電池および該電池用インターコネクタ Download PDF

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用の組成傾斜型インターコネクタおよび該インターコネクタを備えた固体酸化物形燃料電池に関する。
固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:以下、単に「SOFC」ということもある。)は、第三世代型燃料電池とも呼ばれており、他の燃料電池に比べて以下のような利点がある。例えば、SOFCでは作動温度を高くできるため反応促進剤(触媒)が不要であり、ランニングコストの低減となる。また、高温の排出ガス(排熱)を再利用することで、全体の効率(総合効率)を高めることが可能である。さらに、SOFCは出力密度が高いので小型化が可能である。これらのことから、蒸気タービン、ガスタービン等の内燃機関に代わる分散型発電装置として期待されている。
SOFCを実際に使用する場合には、典型的には、高い電圧を得るために複数個の単セルを重ね合わせて複層化した状態で運転される。この複層化された単セルの集合体をスタックという。かかるスタックにおいて、単セル同士を接続するためにインターコネクタが用いられている。インターコネクタは、単セル間を物理的且つ電気的に接続すると同時に、酸化性のガス(典型的には空気)と還元性のガス(典型的には水素やメタン等の燃料ガス)とを分離するセパレータとしての役割も担っている。
上記のようなインターコネクタとして、高導電性、還元雰囲気下での高い安定性(すなわち低い還元膨張率)、電解質材料や電極材料等のセル材料との低い反応性、およびセル材料と類似の熱膨張係数等の性質を具備した材料から形成されることが好ましい。
このようなインターコネクタ材料として、金属材料またはセラミック材料が提案されている。セラミック材料としては、特許文献1〜8に示されるように、種々のペロブスカイト型酸化物材料が提案されている。例えば、La1−pCrO(ここで、AはMg,Ca,Sr,Baからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、0≦p<1である。)等のランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物、あるいはそのBサイトを他の元素(例えばSi,Ti,Co,NiあるいはZr)で一部置換(ドープ)したペロブスカイト型酸化物、さらにはMTiO(ここで、MはLi,Ca,Cu,Sr,Ba,La,Ce,Pb,Biからなる群から選ばれる少なくとも1種である。)等のチタネート系のペロブスカイト型酸化物等が例示される。
特開平8−55629号公報 特開平8−83620号公報 特開平8−190922号公報 特開平10−125340号公報 特開平11−3720号公報 特開2003−331874号公報 特開2003−288919号公報 特開2007−39279号公報
しかしながら、上記のようなセラミック系のインターコネクタ材料のうち、例えばクロム(Cr)を含む材料の場合には、該材料からなるインターコネクタを備えた固体酸化物形燃料電池を使用すると、Crが(典型的には空気極に)拡散して電池性能が次第に低下する(この現象を一般にCr被毒という。)虞がある。
また、上記のインターコネクタ材料は還元膨張率が比較的高いため、例えば大型化した複数の単セルからなるスタックを構成する場合には、インターコネクタの燃料極(還元雰囲気)側と空気極(酸化雰囲気)側とで膨張度合に差が生じて(すなわち、両者の応力差が増大して)クラックが生じる等、燃料電池(スタック)の耐久性が低下する虞がある。このことにより、低い還元膨張率(低還元膨張性)を有するインターコネクタ材料が望まれている。しかし、このような材料の中には、低い還元膨張性を追求すると導電性が低下し得るものも多く存在するため、インターコネクタとして実用に足る高い導電性を保持しつつ低い還元膨張性をも具備するインターコネクタの実現は難しかった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、電池性能を低下させる元素を含まず、低い還元膨張性と高い導電性とを両立できるインターコネクタを備えた固体酸化物形燃料電池を提供することである。また、そのようなインターコネクタを提供することを他の目的とする。
上記目的を実現するべく、本発明によって提供されるインターコネクタは、正極である空気極と、負極である燃料極と、両極間に配置された固体酸化物電解質とからなるセルを複数備える固体酸化物形燃料電池において、該複数のセルを電気的に接続するために該セル間に配置される固体酸化物形燃料電池用の組成傾斜型インターコネクタである。そして、このインターコネクタは、該インターコネクタの一方のセル対向面から他方のセル対向面に向けて還元膨張率が段階的に上昇若しくは低下するように構成されている。ここで該インターコネクタは全体に亘って以下の一般式:
Ln1−xAeMO3−δ
(1)
(ここで、Lnはランタノイドから選択される少なくとも1種の元素であり、Aeは、Sr、BaおよびCaからなる群から選択される1種または2種以上の元素であり、Mは、Ti,Zr,Al,Ga,Nb,Ta,Fe,Co,Ni,Cu,Mn,Mg,Rh,Pd,PtおよびAuからなる群から選択される2種以上の元素であり、0≦x≦1、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。)で表わされるペロブスカイト型酸化物から形成されているとともに、該インターコネクタの上記段階的に還元膨張率が異なる部分毎に、各部分を構成しているペロブスカイト型酸化物の耐還元膨張性を増大させる一方、導電性を低下させる元素Mと、ペロブスカイト型酸化物の導電性を高める一方、還元膨張率を増大させる元素Mとのモル比率が相互に異なっていることを特徴とする。
本発明に係る組成傾斜型インターコネクタは、上記一般式(1)のペロブスカイト型酸化物から構成され、かかるペロブスカイト型酸化物の組成を変えることで段階的に還元膨張率の異なる部分を備える。かかるペロブスカイト型酸化物はCrを含まないので、本発明に係るインターコネクタを用いることによりCr被毒による電池性能の低下が防止される。
また、かかるインターコネクタは、該インターコネクタの一方のセル対向面から他方のセル対向面に向けて還元膨張率が段階的に上昇または低下するように構成されている。このことにより、例えば、上記還元膨張率が相対的に高い(すなわち高い還元膨張性を有する)一方のセル対向面を、該インターコネクタを両側から狭持する二つのセル(単セル)のうちの一方のセルの空気極に対向させ、また上記還元膨張率が相対的に低い(すなわち低い還元膨張性または高い耐還元膨張性を有する)他方のセル対向面を、もう一方のセルの燃料極に対向させるようにして該インターコネクタを配置することにより、該インターコネクタの上記燃料極に対向するセル対向面側の膨張が抑制されて、該インターコネクタの燃料極(還元雰囲気)側と空気極(酸化雰囲気)側とで生じ得る膨張差が低減されてクラック等の発生が防止される。
また、高い還元膨張性を与える組成の上記ペロブスカイト型酸化物は、典型的には比較的高い導電性を備えている一方、低い還元膨張性を与える組成の上記ペロブスカイト型酸化物の導電性は低くなる。このことにより、低い還元膨張性を有するが低い導電性を有する組成のペロブスカイト型酸化物から全体が一様に構成されるインターコネクタに比べて、本発明に係る組成傾斜型インターコネクタは、低い還元膨張性と高い導電性をともに具備し得る。
したがって、本発明によると、電池性能を低下する元素を含まず、且つ高い導電性と耐還元膨張性との両立が実現された好適な固体酸化物形燃料電池(SOFC)用の組成傾斜型インターコネクタを提供することができる。また、かかるインターコネクタを備えることにより、長期にわたり高い電池性能と耐久性を保持し得る好ましいSOFCの提供を実現することができる。
ここで開示される組成傾斜型インターコネクタの好ましい一態様では、上記還元膨張率が相対的に高い一方のセル対向面が上記インターコネクタを挟む一方のセルの空気極と対向する面であり、且つ、上記還元膨張率が相対的に低い他方のセル対向面が該インターコネクタを挟む他方のセルの燃料極と対向する面となるように配置されていることを特徴とする。
かかる構成の組成傾斜型インターコネクタを用いることにより、該インターコネクタの空気極に対向する一方のセル対向面側と燃料極に対向する他方のセル対向面側の膨張差によるクラック等の発生がより一層確実に防止されて耐久性が向上するとともにインターコネクタ全体として高い導電性をも具備するより好ましいSOFCの提供を実現することができる。
ここに開示される組成傾斜型インターコネクタのさらに好ましい一態様では、上記一方のセル対向面から他方のセル対向面に向けて上記ペロブスカイト型酸化物の組成が相互に異なる複数の層であって該一方のセル対向面を構成する層から他方のセル対向面を構成する層に向けて段階的に還元膨張率が低下するように積層された複数の層からなる多層構造を形成している。そして、該多層構造において、還元膨張率の高い上記一方のセル対向面を構成する層が該セルの空気極側に配置され、且つ、還元膨張率の低い上記他方のセル対向面を構成する層が該セルの燃料極側に配置されることを特徴とする。
かかる多層構造の組成傾斜型インターコネクタを用いることにより、該インターコネクタの一方のセル対向面から他方のセル対向面に向けて還元膨張率が段階的に上昇若しくは低下するような構成(構造)を容易に実現し、長期にわたり高い電池性能と耐久性を保持し得る好ましいSOFCを提供することができる。
ここで開示されるインターコネクタの別の好ましい一態様では、上記段階的に還元膨張率が異なる各部分を構成している相互に組成が異なるペロブスカイト型酸化物は、何れも以下の一般式:
La1−xSr1−yFe3−δ (2)
(ここで、Mは、Ti,Zr,Al,Ga,Nb,Ta,Fe,Co,Ni,Cu,Mn,Mg,Rh,Pd,PtおよびAuからなる群から選択される1種または2種以上の元素であり、0≦x≦1であり、0.5≦y≦0.9であり、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。)で表わされるペロブスカイト型酸化物に包含されることを特徴とする。
かかるペロブスカイト型酸化物をインターコネクタに適用することにより、その組成を調整することで、段階的に還元膨張率が異なる各部分(典型的には複数の層)から構成されるインターコネクタを容易に実現することをできる。
ここで開示される多層構造の組成傾斜型インターコネクタの好ましい一態様では、相互に還元膨張率が異なる一方のセル対向面を構成する層と他方のセル対向面を構成する層との二層構造により構成されていることを特徴とする。
かかる構成の組成傾斜型インターコネクタを用いることにより、簡単な構成であっても上記一方のセル対向面から他方のセル対向面に向けて還元膨張率が段階的に上昇若しくは低下するような構成を容易に且つ効果的に実現することができる。
上記二層構造の組成傾斜型インターコネクタの好ましい一態様では、上記二層構造のうちの一方の層の還元膨張率は0.15%以上であり、且つ、他方の層の還元膨張率は0.15%未満であることを特徴とする。
かかる還元膨張率を有する組成傾斜型インターコネクタを用いることにより、該インターコネクタの空気極に対向する一方のセル対向面側と燃料極に対向する他方のセル対向面側の膨張差によるクラックの発生が効果的に防止されてインターコネクタ、延いてはSOFCの耐久性が向上する。なお、本明細書における還元膨張率とは、還元雰囲気(水素ガス)下における熱膨張率をE(%)、空気雰囲気下における熱膨張率をE(%)としたとき、下記(3)式で与えられる。
還元膨張率(%)=[{(1+E/100)−(1+E/100)}/(1+E/100)]×100 (3)
また、ここで開示される組成傾斜型インターコネクタの別の好ましい一態様では、導電率がインターコネクタ全体に亘って50S/cm以上であることを特徴とする。
かかる導電率を全体に亘って有するインターコネクタを用いることにより、実用性に優れる導電性を具備したSOFCの提供を実現することができる。
また、本発明は、他の側面として、正極である空気極と負極である燃料極と両極間に配置された固体酸化物電解質とからなるセルを複数備える固体酸化物形燃料電池であって、
該複数のセル間に、ここで開示される組成傾斜型インターコネクタが配置されていることを特徴とするSOFCを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る二層構造のインターコネクタを模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る平板型の固体酸化物形燃料電池の構成を模式的に示す分解斜視図である。 実施例に係るペロブスカイト型酸化物を空気雰囲気および還元雰囲気に暴露してリーク発生を測定するための装置を模式的に示した図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、インターコネクタの構成材料)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、固体酸化物形燃料電池(単セル)の構成や構築方法)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
上述のように、本発明によって提供される組成傾斜型インターコネクタは、Cr被毒の防止、還元雰囲気下での膨張に伴う劣化の抑制(低い還元膨張性)、およびSOFCとして実用性に優れた高い導電性を実現することを目的とし、上記一般式(1)に示されるペロブスカイト型酸化物から構成されている。また、本発明に係るインターコネクタは、該インターコネクタを狭持する一方のセルの空気極側から他方のセルの燃料極側に向けて還元膨張率が段階的に低下するように構成されていることで特徴づけられる組成傾斜型インターコネクタであって、本発明を特徴づけない他の構成要素によって限定されない。したがって、上記目的を達成し得る限りにおいて、本発明に係るインターコネクタに含まれ得る他の副成分の内容や組成に特に制限はない。
また、本発明に係る組成傾斜型インターコネクタは、種々の構造の固体酸化物形燃料電池(例えば、平板型(Planar)、円筒型(Tubular)、あるいは円筒の周側面を垂直に押し潰したフラットチューブラー(Flat tubular)型等)に対して好ましく適用することができ、燃料電池の形状に特に限定されない。
ここで開示されるインターコネクタは、該インターコネクタの一方のセル対向面から他方のセル対向面に向けて還元膨張率が段階的に上昇若しくは低下するように構成されており、かかるインターコネクタ全体にわたって以下の一般式:
Ln1−xAeMO3−δ
(1)
で表わされるペロブスカイト型酸化物から形成されている。ここで、上記Lnはランタノイドから選択される少なくとも1種の元素であり、好ましくはLa(ランタン)である。また、Aeは、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)およびCa(カルシウム)からなる群から選択される1種または2種以上の元素であり、好ましくはSrである。また、Mは、チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),アルミニウム(Al),ガリウム(Ga),ニオブ(Nb),タンタル(Ta),鉄(Fe),コバルト(Co),ニッケル(Ni),銅(Cu),マンガン(Mn),マグネシウム(Mg),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd),白金(Pt)および金(Au)からなる群から選択される2種以上の元素である。さらに、上記一般式(1)における「x」は、このペロブスカイト型構造においてLnがAeによって置き換えられた割合を示す値である。このxの取り得る範囲は0≦x≦1(好ましくは0≦x<1、例えば0.4≦x≦0.6)である。
なお、上記δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。上記一般式(1)における酸素原子数は、ペロブスカイト型構造の一部を置換する原子の種類および置換割合その他の条件により変動するため正確に表示することは困難である。このため、電荷中性条件を満たすように定まる値として、1を超えない正の数δ(0<δ<1)を採用し、酸素原子の数を3−δと表示するのが妥当であるが、以下では便宜的に3と表示することもある。ただし、該酸素原子の数を便宜的に3として表示しても、異なる化合物を表しているわけではない。
また、上記ペロブスカイト型酸化物として、より好ましくは、上記一般式(1)で表わされるペロブスカイト型酸化物のうち、一般式:
La1−xSr1−yFe3−δ (2)
で表わされるペロブスカイト型酸化物であって、そのBサイトにFeを含有する。また、Mは、Ti,Zr,Al,Ga,Nb,Ta,Fe,Co,Ni,Cu,Mn,Mg,Rh,Pd,PtおよびAuからなる群から選択される1種または2種以上の元素であり、好ましくはTiおよび/またはZrである。すなわち、このようなペロブスカイト型酸化物の好適例として、La1−xSrTi1−yFe3−δで表わされるペロブスカイト型酸化物(以下、「LSTF酸化物」という。)、またはLa1−xSrZr1−yFe3−δで表わされるペロブスカイト型酸化物(以下、「LSZF酸化物」という。)が挙げられる。このようにTiおよび/またはZrを含むペロブスカイト型酸化物は、該酸化物の還元膨張が抑制されて低い還元膨張率(高い耐還元膨張性)を示し得るので好ましい。
また、ZrおよびFeは、一般的なSOFCにおける単セルの構成材料として含まれ得る元素である。すなわち、代表的な電解質材料としてはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、もしくはその他の安定化ジルコニア(例えばスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ))が挙げられる。また、空気極(カソード)材料としては、例えばランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)系やランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)系のペロブスカイト型酸化物、あるいはこれら酸化物とジルコニア系のコンポジット(複合材料)等が用いられている。さらに、燃料極(アノード)材料としては、例えばニッケルとジルコニア系のコンポジットが用いられている。このように、典型的な単セル構成材料の成分元素としてZrおよびFeが含まれている。したがって、ここで開示されるインターコネクタの構成材料として、FeおよびZrを含むペロブスカイト型酸化物粉体を適用することにより、長期間使用して該インターコネクタからZrやFeが単セルの電極(例えば空気極)側に拡散する虞があっても、SOFCの電池性能は劣化(低下)しにくい。
ただし、上記TiおよびZrは、上記一般式(2)で表わされるペロブスカイト型酸化物に耐還元膨張性を与える一方、導電性を低下させる虞がある。他方、Feは該ペロブスカイト型酸化物に導電性を与える一方、還元膨張率を増大させる虞がある。したがって、BサイトのFeとTi(および/またはZr)の含有率(モル比率)を変化させることにより、上記一般式(2)で表わされるペロブスカイト型酸化物から形成されるインターコネクタの導電性と耐還元膨張性とをバランスよく調節することができる。
このことにより、上記耐還元膨張性と導電性とをともに与え得る構成成分として好適なペロブスカイト型酸化物として、上記一般式(2)におけるBサイトのMおよびFeのモル比率を(1−y):yとすると、yの取り得る範囲は0<y≦1であり、好ましくは0.4≦y<1であり、より好ましくは、0.5≦y≦0.9である。特に好ましくは0.7≦y≦0.9である。
ここで開示される組成傾斜型インターコネクタは、該インターコネクタを介して単セル同士が電気的に(典型的には直列に)接続されてスタックとして実用性に優れる高出力を得られる程度の導電性をインターコネクタ全体に亘って有することが好ましい。このようなインターコネクタとしては、SOFCの使用温度域(例えば800℃〜1000℃)において50S/cm以上(より好ましくは55S/cm以上、特に好ましくは75S/cm以上)の導電率を全体に亘って有するものが好ましく、上記ペロブスカイト型酸化物から形成されるインターコネクタは上記範囲の導電率を有するので好ましい。
また、ここで開示される組成傾斜型インターコネクタは、上記ペロブスカイト型酸化物から形成されることにより、SOFCの電極材料と類似の熱膨張係数を有し得るので好ましい。上記のような電極材料の熱膨張係数(典型的には一般的な示差膨張方式(TMA)に基づく室温(25℃)〜1000℃の間の平均値)は、1×10−5〜1.2×10−5/Kであり、上記一般式(1)および/または(2)で表わされるペロブスカイト型酸化物のうち、特にLSTF酸化物およびLSZF酸化物は、その熱膨張係数が上記範囲内にあるので好ましい。このようなインターコネクタでは、SOFCの使用時に隣り合う電極との間で熱膨張差が小さくなるため、インターコネクタと電極との接続部に生じ得る歪みやクラック等を効果的に防止することができる。
ここで開示される組成傾斜型インターコネクタは、一方のセル対向面から他方のセル対向面に向けて還元膨張率を段階的に低下(若しくは上昇)するように構成されている。還元膨張率が異なる各部分が上記のように段階的に配置される構造は、相互に組成の異なる上記ペロブスカイト型酸化物から形成される各部分が段階的に配置されること(すなわち上記ペロブスカイト型酸化物の組成が段階的に傾斜した組成傾斜構造)によって好適に実現される。また、このような組成傾斜構造は、上記ペロブスカイト型酸化物の組成が相互に異なる複数の層が上記一方のセル対向面を構成する層から他方のセル対向面を構成する層に向けて段階的に還元膨張率が低下するように積層された多層構造によって好適に実現される。
このような多層構造を構成する各層を形成する上記ペロブスカイト型酸化物としては、いずれも上記一般式(1)および/または(2)で表わされるペロブスカイト型酸化物であればよいが、各層を形成するペロブスカイト型酸化物は、いずれも構成元素は同一であるが該各構成元素の含有量(モル比率)が異なることにより、組成が相互に異なっていることがより好ましい。すなわち、例えば上記一般式(2)で表わされるペロブスカイト型酸化物から形成される層が積層されてなる組成傾斜型インターコネクタにおいて、好ましくは、全ての層がそのペロブスカイト型酸化物の構成元素としてLa、Sr、Fe、および同一のMを備えているが、xおよび/またはyの値が各層で相互に異なっている。このような組成のペロブスカイト型酸化物から形成される多層構造の組成傾斜型インターコネクタは、隣り合う層同士の親和性が高まるため、各層の界面(接触面)での剥離やクラック等の発生が抑制され、インターコネクタ全体としての耐久性が向上するので好ましい。
上記のような多層構造を有する組成傾斜型インターコネクタにおいて最も簡単な構造のものとしては、相互に還元膨張率が異なる一方のセル対向面を構成する層と他方のセル対向面を構成する層との二層構造により構成されているインターコネクタである。かかる二層構造の組成傾斜型インターコネクタでは、二層構造のうちの一方の層が相対的に還元膨張率の高い層を構成し、且つ他方の層が相対的に還元膨張率の低い層を構成しているため、二層という単純な構造であっても多層構造と同等の効果を発揮することができる。したがってかかる二層構造の組成傾斜型インターコネクタを好ましく用いることができる。以下、本発明に係る組成傾斜型インターコネクタの一実施形態として、図1を参照しつつ二層構造のインターコネクタについて説明する。図1は、かかる二層構造のインターコネクタ10を模式的に示す断面図であるが、該二つの層2,4は断面表示していない。
本発明の一実施形態に係る二層構造の組成傾斜型インターコネクタ10は、図1に示されるように、相対的に還元膨張率が低い層2(以下、単に「低還元膨張性層2」ということもある。)と相対的に還元膨張率は高いが導電率が高い層4(以下、単に「高導電性層4」ということもある。)の二つの層から構成される。かかるインターコネクタ10がセル間に配置された際に低還元膨張性層2が一方のセルに対向する面をセル対向面12とし、高導電性層4が他方のセルに対向する面をセル対向面14とする。かかるインターコネクタ10がSOFCに具備される際は、上記セル対向面12は該インターコネクタ10を狭持する一方のセルの燃料極と対向し、上記セル対向面14は他方のセルの空気極と対向するように配置されて具備される。
かかる二層構造の組成傾斜型インターコネクタ10における還元膨張率は、空気雰囲気(例えば酸素分圧約200hPa(約0.12tm)における熱膨張率をEとし、還元雰囲気(例えば水素(H)5vol%、窒素(N)95vol%を含有する還元雰囲気)における熱膨張率をEとして、以下に示す(3)式によって与えられる。
還元膨張率(%)=[{(1+E/100)−(1+E/100)}/(1+E/100)]×100 (3)
ここで、かかるインターコネクタ10において、低還元膨張性層2の還元膨張率は0.15%未満(より好ましくは0.14%以下、さらに好ましくは0.10%以下)であることが好ましい。低還元膨張性層2がかかる範囲に含まれる還元膨張率を有すると、低還元膨張性層2を構成する上記セル対向面12が一方のセルの燃料極に対向するように該インターコネクタ10を配置した際に、該低還元膨張性層2が還元雰囲気下に曝されても該暴露部分の還元膨張は効果的に防止され得るので好ましい。
他方、高導電性層4は高い導電性を有する半面、その還元膨張率は上記低還元膨張性層2の還元膨張率よりも高くなる。かかる還元膨張率は、典型的には0.15%以上(例えば0.15%〜0.7%)、または0.2%以上(例えば0.28%〜0.7%)であり得る。例えばLSZF酸化物から形成される高導電性層4の還元膨張率が上記範囲以上であると、かかる層の1000℃での導電率は凡そ80S/cm以上となる。このような導電率を有する高導電性層4を備えた組成傾斜型インターコネクタ10は、該インターコネクタ全体としても実用性に優れる高い導電性を有し得るので好ましい。
上記式(3)における熱膨張率E,Eとしては、例えば、室温から1000℃までの間の体積の増大を測定することにより求めた値を用いることができる。上記のような範囲の還元膨張率を有する二層構造の組成傾斜型インターコネクタ10は、上記一般式(1)および/または一般式(2)におけるxおよびyの値を上述の好ましい範囲内に調整することにより実現され得る。かかる二層構造の組成傾斜型インターコネクタ10が、例えば、LSTF酸化物またはLSZF酸化物から形成されている場合には、低還元膨張性層2として好適な組成(xおよびyの好適範囲)は、0.4≦x≦0.6であり0.5≦y≦0.8(例えば0.6≦y≦0.8)である。また、高導電性層4として好適な組成は、0.4≦x≦0.6であり0.7≦y≦0.9(例えば0.8≦y≦0.9)である。
かかる二層構造の組成傾斜型インターコネクタ10の形状およびその寸法は、適用される種々のSOFCの構造およびサイズにより適宜変えることができ、特に限定されない。例えば、かかるインターコネクタ10が平板型SOFC(図2参照)に適用される場合には、セル(単セル)間に挟まれて積層される平板状(または層状)に成形される。また、例えばインターコネクタを介して円筒形状の単セルを並列に連結させた構成の円筒型SOFCの場合には、かかるインターコネクタ10に係る各層を形成するスラリー状の原料を単セルの周側面上の所定領域に塗布して焼成することに得られる形態であってもよい。
かかる二層構造の組成傾斜型インターコネクタ10は、例えば以下のようにして製造される。
まず、製造しようとする二層構造のインターコネクタ10を構成する低還元膨張性層2と高導電性層4のそれぞれを作製する。すなわち、まず低還元膨張性層2を形成するペロブスカイト型酸化物であって上記一般式(1)で表わされるペロブスカイト型酸化物を構成する金属原子(すなわち、上記一般式(1)におけるLn(例えばLa)、Ae(例えばSr)およびペロブスカイト型酸化物のBサイトを構成し得る金属元素M(例えばFeおよびTiまたはZr))をそれぞれ含む化合物の粉末(原料粉末)を用意する。そして各原料粉末を所定の配合割合(すなわち、上記ペロブスカイト型酸化物全体を1モルとして、上記各金属原子が所定の組成比でそれぞれ含まれるように決定された配合比)で混合する。この混合物を所定形状(板状、または層状)に成形し、酸化性雰囲気(例えば大気中)または不活性ガス雰囲気下で焼成(本焼成)することにより低還元膨張性層2としての成形体を得る。高導電性層4の成形体についても上記低還元膨張性層2と同様にして作製する。
ここで、上記原料粉末としては、かかるペロブスカイト型酸化物を構成する上記各金属原子を含む酸化物あるいは加熱により酸化物となり得る化合物(当該金属原子の炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、オキシハロゲン化物等)の一種以上を含有するものを用いることができる。この原料粉末は、上記金属原子のうち二種以上の金属原子を含む化合物(複合金属酸化物、複合金属炭酸塩等)を含有してもよい。上記各原料粉末の平均粒径は、例えば0.5μm〜3μm(好ましくは凡そ1μm〜2μm)である。ここで平均粒径とは、原料粉末の粒度分布におけるD50(メジアン径)をいう。なお、上記原料粉末の代わりに、所定組成比からなるペロブスカイト型酸化物粉末の市販品を使用しても良い。
適切な焼成(本焼成)温度は、上記ペロブスカイト型酸化物の組成等によっても異なるが、典型的には1200〜1800℃(好ましくは1400〜1600℃)である。また、焼成工程は、一回以上の仮焼工程とその後に行われる本焼成工程とを包含することができる。この場合、本焼成工程は上記のような焼成温度で行い、仮焼工程は本焼成工程よりも低い焼成温度(例えば800〜1500℃、好ましくは1000〜1300℃)で行うことが好ましい。
また、上記範囲よりもさらに小さい平均粒径を有する原料粉末を用いて上記成形体を得る場合には、例えば以下の方法により得られる。すなわち上記原料粉末を仮焼し、湿式ボールミル等を用いて当該仮焼原料を粉砕することにより、仮焼粉末を得る。次いでこの仮焼粉末に水、有機バインダ等の成形助剤および分散剤を添加・混合してスラリーを調製し、スプレードライヤー等の造粒機を用いることにより所望する粒径(例えば平均粒径が10〜100μm)に造粒された本焼成用原料粉末を得ることができる。このようにして得られた本焼成用原料粉末を成形、本焼成することにより上記成形体が得られる。
なお、原料粉末の成形、あるいは仮焼工程後に得られる仮焼物を粉砕して得られた仮焼粉末の成形には、一軸圧縮成形、静水圧プレス、押出し成形等の、従来公知の成形法を採用することができる。この成形のために従来公知のバインダ等を使用することができる。
なお、上記低還元膨張性層2および高導電性層4は、その性能(Cr被毒による電池劣化防止性、低還元膨張性、高導電性、またはセル材料と類似の熱膨張係数による歪みやクラックの発生防止性等)を顕著に損なわない範囲で、上記一般式(1)で表されるペロブスカイト酸化物以外の成分を含有してもよい。
次に、上記得られた低還元膨張性層2と高導電性層4の各成形体を所望の厚さに研磨する。ここで、インターコネクタ10全体の導電性を最大限高く保持するために高導電性層4の厚さが低還元膨張性層の厚さよりも大きくなるように各厚さを調整してもよい。この場合には、例えば、高導電性層の厚さは低還元膨張性層の厚さの2倍〜10倍(より好ましくは3倍〜8倍、例えば凡そ4倍)であることが好ましい。
次に、上記のように厚さが調整された低還元膨張性層2と高導電性層4の各成形体を互いに対向させ、これらの対向面同士を接触させて接合する。接合方法としてはインターコネクタ全体としての導電性と耐還元膨張性を高く保持できる限りにおいて特に限定されないが、例えば固相接合が好ましく、特に、固相状態で塑性変形が生じない程度に加熱、加圧して接合部分の原子を拡散させることにより接合する拡散接合法を好ましく採用することができる。拡散接合により上記低還元膨張性層2と高導電性層4を接合する場合には、例えば1000℃〜1400℃に加熱することが好ましい。
以上のようにして、上記低還元膨張性層2と高導電性層4とが積層された二層構造の組成傾斜型インターコネクタ10が製造される。
なお、かかるインターコネクタ10の製造方法は上記のような製造方法に限定されず、例えば以下のようにインターコネクタの形成とスタックの構築を同時に行う方法であってもよい。かかる方法では、まず低還元膨張性層を形成する原料粉末をスラリー状に調製し、これを一方のセル(後述するように該セルの燃料極側)表面の全体または一部に塗布してから乾燥、焼成することにより上記セルの燃料極側に低還元膨張性層を形成する。次に、高導電性層を形成する原料粉末をスラリー状に調製し、これを上記低還元膨張性層上に塗布し、当該塗布部分と別のセルの空気極側表面とが対向するようにして上記別のセルを連結(接続)させてから乾燥、焼成する。このことにより、上記低還元膨張性層と高導電性層が積層されて二層構造のインターコネクタが形成されると同時に、複数個のセル同士が該インターコネクタを介して接続されてなるスタックを一体的に構築することができる。
上記のようにして得られた二層構造の組成傾斜型インターコネクタ10は、例えば以下に示されるようなSOFCに好ましく備えられる。特に限定することを意図したものではないが、以下では、かかるインターコネクタ10が平板型のSOFCに適用される場合を例として、かかるインターコネクタ10を備えるSOFCの好ましい一形態について、図2を参照しつつ本発明を詳細に説明する。図2は、一実施形態に係る平板型の固体酸化物形燃料電池(SOFC)100の構造を模式的に示す分解斜視図である。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
図2に示されるように、本実施形態に係る平板型SOFC100は、層状の固体電解質22と空気極24と燃料極26とを備えたセル(単セル)20が上記組成傾斜型インターコネクタ10を介して複数層積み重なったスタックとして構成されている。セル20は、固体電解質22の両面がそれぞれ層状の空気極24と燃料極26とで挟まれたサンドイッチ構造を備えている。
ここで、上記SOFC100に具備される二層構造の組成傾斜型インターコネクタ10について、該インターコネクタ10のうちの一つであるインターコネクタ10Aを例として図2を参照しつつ説明する。かかるインターコネクタ10Aは、その両面を二つのセル20A,20Bで挟まれており、低還元膨張性層2が構成するセル対向面12が一方のセル20Aの燃料極26と対向(隣接)し、高導電性層4が構成するセル対向面14が他方のセル20Bの空気極24と対向(隣接)している。上記セル対向面12には、複数の溝が形成されていてもよく、かかる溝は供給された燃料ガス(例えばHガス)が流れるための燃料ガス用流路13となっている。同様に、上記セル対向面14には、供給された空気が流れる空気用流路15としての溝が複数形成されていてもよい。かかる形態のインターコネクタ10では、図2に示されるように、典型的には燃料ガス用流路13と空気用流路15は、その流路の方向が互いに直交するように形成されている。なお、SOFC100は、典型的には、スタック内に供給されるガスが漏れないようにガラスシーリング等の封止部材で密閉された密閉構造を有している。
本実施形態に係るセル20における固体電解質22は、従来公知の構成および形態でよく特に制限されない。また、その構成材料についても従来公知の各種の固体電解質材料を好ましく用いることができる。固体電解質22は、酸化(空気)雰囲気および還元(燃料ガス)雰囲気のいずれにおいても酸素イオン(酸化物イオン)伝導性が高く、ガス透過性の無い緻密な層を形成できる材料から構成されることが好ましい。例えば、固体電解質材料としては、イットリアやスカンジアをジルコニアに分散固溶させたイットリア安定化ジルコニア(YSZ)またはスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)、ランタンガレート(LaGaO)等のセラミック材料が好ましく挙げられる。
また、セル20における空気極24は、従来公知の構成および形態でよく、特に制限されない。また、その構成材料についても従来公知の各種の空気極材料を好ましく用いることができる。空気極24は、酸化雰囲気でも高耐久性であり、ガスを効率よく透過可能な多孔質体から構成されることが好ましい。例えば、ランタンマンガナイト(LaAeMnO(ここで、AはSrまたはCa)、ランタンコバルタイト(LaSrCoO)、ランタンフェライト(LaSrFeO)、ランタンニッケル酸化物(LaNiO)、サマリウムコバルタイト(SmSrCoO)等が好ましく挙げられる。また、かかる空気極24に対向するセル対向面14を構成する高導電性層4と同質の構成元素を含む組成のペロブスカイト型酸化物を用いることもできる。
セル20における燃料極26は、従来公知の構成および形態でよく、特に制限されない。また、その構成材料についても従来公知の各種の燃料極材料を好ましく用いることができる。還元雰囲気でも高耐久性であり、ガスを効率よく透過可能な多孔質体から構成されることが好ましい。例えば、NiO‐YSZ、NiO‐ScSZ等、酸化ニッケルと典型的には固体電解質材料と同様のセラミックスとのコンポジット(複合材料)が挙げられる。
なお、上記セル20としては、上記の構成に限られず一般的なSOFCに適用可能な従来公知の構成を特に制限なく適宜選択して用いることができる。また、SOFCに適用可能なこれら以外の他の構成(例えば、空気極24と固体電解質22との間に配置される空気極中間層や、燃料極26と固体電解質22との間に配置される燃料極中間層)を備えていてもよい。
SOFC100の製造方法としては、例えば、以下のような方法によりSOFC100を得ることができる。まずセル20を製造する。すなわち、上記のような従来公知の固体電解質材料を用いて所定の成形方法(あるいは成膜方法)により固体電解質22を用意する。次に、上記のような従来公知の空気極材料を上記固体電解質22の片側面に付与する。かかる付与方法については特に限定されず、従来公知の方法(例えば湿式成膜法)を好ましく用いることができる。また、燃料極についても同様にして、上記のような従来公知の燃料極材料を上記固体電解質22のもう片方の面に付与する。
次いで、両側面に空気極材料と燃料極材料とが付与された上記固体電解質22を焼成することにより、該固体電解質22の両側面にと燃料極とがそれぞれ形成されたセル20を得る。そして、上述のようにして得られた組成傾斜型インターコネクタ10を用いて複数のセル20をスタックすることにより、SOFC100を得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明を係る実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<ペロブスカイト型酸化物の作製>
市販の酸化ランタン(La)粉末(平均粒径約2μm)、炭酸ストロンチウム(SrCO)粉末(平均粒径約2μm)、酸化チタン(TiO)粉末(平均粒径約1μm)および酸化鉄(Fe)粉末(平均粒径約2μm)を、焼成後に得られる焼成体の組成の化学量論比で混合した。すなわち、Laは0.6、Srは0.4、Tiは0.1、Feは0.9モルとなるように配合して、ボールミルを用いて混合した。これにより得られた混合粉末を1200℃の焼成温度で6時間仮焼した。このようにして得られた仮焼物を湿式ボールミルにより粉砕してペロブスカイト型酸化物の原料粉末を得た。
次に、この原料粉末に対して、バインダを混合して約80μmの粒子に造粒した。この造粒粉末を100MPaでのプレス成形により直径約30mm、厚さ約4mmの円板状に成形した。この成形体を大気中で1400℃〜1600℃まで昇温して6時間保持して焼成し、その後機械研磨することにより所定厚さのペロブスカイト型酸化物LSTF1(La0.6Sr0.4Ti0.1Fe0.9)を得た。
ペロブスカイト型酸化物LSTF2およびLSTF3についても上記LSTF1と同様にして得た。
ペロブスカイト型酸化物LSZF1〜LSZF4については、上記酸化チタン(TiO)粉末に代えて酸化ジルコニウム(ZrO)粉末(平均粒径約1μm)を用意し、上記LSTF1と同様にして作製した。
ペロブスカイト型酸化物LSCFについては、上記酸化チタン(TiO)粉末に代えて酸化クロム(Cr)粉末(平均粒径約1μm)を用意し、上記LSTF1と同様にして作製した。
ペロブスカイト型酸化物LSCについては、上記酸化チタン(TiO)粉末および酸化鉄(Fe)粉末に代えて上記酸化クロム(Cr)粉末を用意し、上記LSTF1と同様にして作製した。
以上のようにして、9種類の組成のペロブスカイト型酸化物を得た。以下に、各ペロブスカイト型酸化物の組成と各酸化物の組成名(呼称)を示す。
LSTF1;La0.6Sr0.4Ti0.1Fe0.9
LSTF2;La0.6Sr0.4Ti0.2Fe0.8
LSTF3;La0.6Sr0.4Ti0.3Fe0.7
LSZF1;La0.6Sr0.4Zr0.1Fe0.9
LSZF2;La0.6Sr0.4Zr0.15Fe0.85
LSZF3;La0.6Sr0.4Zr0.2Fe0.8
LSZF4;La0.6Sr0.4Zr0.3Fe0.7
LSCF;La0.6Sr0.4Cr0.5Fe0.5
LSC;La0.6Sr0.4CrO
次に、上記9種類のペロブスカイト型酸化物のそれぞれに対して還元膨張率評価を実施した。
<還元膨張率の評価>
上記得られたLSTF1において、LSTF1を空気雰囲気(酸素分圧約200hPa(約0.2atm))下で室温から1000℃まで維持した。その温度領域におけるLSTF1の体積の増加分を測定し、その増加分を室温における体積に対する百分率で表した。これを空気雰囲気下における熱膨張率Eとした。これと同様にして、還元雰囲気(水素5vol%、窒素の95vol%を含有する)下におけるLSTF1の熱膨張率Eを求めた。これら熱膨張率EおよびEを上記(3)式にあてはめることによりLSTF1の還元膨張率[%]を算出した。
その他の8種類のペロブスカイト型酸化物についても、LSTF1と同様にして還元膨張率[%]を求めた。これらの結果を表1に示す。
<導電率測定>
次に、上記LSTF1における導電率を以下のようにして測定した。まず、上記LSTF1の表面に電極となる白金ペーストを塗布した後、該電極部分に電流端子および電圧端子を接続するための白金線を取り付けて850〜1100℃で10〜60分間焼き付け、任意の温度に調整可能な装置内で、直流四端子法で導電率[S/cm]を求めた。その他の8種類のペロブスカイト型酸化物における導電率についても上記と同様にして求めた。一定の温度条件(1000℃)下における導電率の測定結果を表1に示す。
Figure 0005313726
Figure 0005313726
<二層構造の組成傾斜型インターコネクタの作製>
表1に示されるような還元膨張率と導電率を備える上記9種類のペロブスカイト型酸化物を用いて二層構造の組成傾斜型インターコネクタ(の試供体)(1)〜(9)を作製した。
まず、上記のようにして得られた円板状のLSTF1とLSTF3の互いの面同士を接触させて所定圧力で加圧し、1000℃〜1400℃の温度条件下で拡散接合した。これにより上記LSTF1とLSTF3とが積層されてなる二層構造の組成傾斜型インターコネクタ(1)を作製した。このとき、上記測定された還元膨張率が相対的に高いLSTF1の層が高導電性層(高還元膨張性層)として機能し、上記還元膨張率が相対的に低いLSTF3の層が低還元膨張性層として機能するものとする。また、高導電性層となるLSTF1をその形状の厚みが凡そ0.4mmとなるように研磨するとともに、低還元膨張性層となるLSTF3をその形状の厚みが0.05mm〜0.1mmとなるように研磨した後、両者を接合することによりインターコネクタ(1)を作製した。
かかるインターコネクタ(2)〜(9)についても、上記インターコネクタ(1)と同様にして作製した。なお、これらのインターコネクタ(2)〜(9)のそれぞれにおける低還元膨張層と高導電性層に対応する二つのペロブスカイト型酸化物の組み合わせを表2に示す。なお、インターコネクタ(2)〜(9)においても、高導電性層となる側の厚みを凡そ0.4mm、低還元膨張性層となる側の厚みを0.05mm〜0.1mmとなるようにした。
<インターコネクタ(1)〜(9)の導電率測定>
上記9種類のペロブスカイト型酸化物の導電率測定と同様に直流四端子法でインターコネクタ(1)〜(9)の導電率[S/cm]をそれぞれ求めた。その結果を表2に示す。
この結果、二層とも導電率の低い(50S/cm以下の導電率を有する)ペロブスカイト型酸化物からなるインターコネクタ(6),(7)および(9)の導電率が50S/cmを下回った。また、上記インターコネクタ(1)〜(9)においては、高導電性層となるペロブスカイト型酸化物単体の導電率がより高いインターコネクタ、そして高導電性層となるペロブスカイト型酸化物の導電率と低還元膨張性層となるペロブスカイト型酸化物の導電率の差がより大きいインターコネクタが、それぞれより高い導電率を示す傾向にあることがわかった。
<リーク試験の実施>
次に、インターコネクタ(1)〜(9)について、かかるインターコネクタの一方の面に空気、他方の面に水素(H)ガス(燃料ガス)を暴露し、所定時間経過後にリークが生じているか否かを測定した。その試験方法について図3を参照しつつ説明する。図3は、円板状に形成された二層構造の上記インターコネクタ(1)〜(9)を空気雰囲気および還元雰囲気に暴露してリーク発生を測定するための装置60を模式的に示した図である。
<測定装置>
この測定装置60は、インターコネクタ(1)〜(9)(以下、「サンプル40」ということもある。)を収容するケーシング30と、サンプル40を所定の使用温度に維持するためのヒータ50とを備える。ケーシング30は、サンプル40の一方の面側に接続された空気極側外管32と、空気極側外管32の内部に挿入された空気供給内管34と、サンプル40の他方の面側に接続された燃料極側外管36と、燃料極側外管36の内部に挿入された燃料ガス供給内管38とを有する。上記内管34,38および外管32,36は、いずれもアルミナ、ムライト等の緻密なセラミック(ここではアルミナ)により形成されている。サンプル40の外周部にはガラスシール35がリング状に形成されている。このガラスシール35は、外管32,36の一端をサンプル40に気密に接合するとともに、サンプル40の外周端を気密にシールしている。サンプル40の上記一方の面側には、該サンプル40および空気極側外管32によって空気供給空間33が区画形成されている。また、サンプル40の上記他方の面側には、該サンプル40および燃料極側外管36によって燃料ガス供給空間37が区画形成されている。
上記測定装置60は、上記空気供給内管34が図示しない空気供給手段に接続されており、空気は該空気供給内管34を通じて空気供給空間33に供給されるように構成されている。且つ該測定装置60は、上記燃料ガス供給内管38が図示しない燃料ガス供給手段に接続されており、燃料ガスは該燃料ガス供給内管38を通じて燃料ガス供給空間37に供給されるように構成されている。
このような構成の測定装置60にサンプル40をセットすることにより、サンプル40の一方の面は、空気供給空間33に供給された空気と接触するとともに、該サンプル40の他方の面は、燃料ガス供給空間37に供給された燃料ガスと接触することができる。このことにより、かかるサンプル40を、一方のセルの空気極と他方のセルの燃料極とに挟まれたインターコネクタの状態に模擬することができる。
<測定方法>
次に、測定方法について説明する。
サンプル40を上記測定装置60にセットし、空気供給空間33に、空気(酸素分圧約200hPa(約0.2atm))を所定流量で供給した。また、燃料ガス供給空間37には、水素(H)含有混合ガス(Hを5vol%、窒素(N)を95vol%)を所定流量で供給した。この状態で測定装置60(サンプル40)の温度を1000℃にして10時間維持した後、空気供給空間33から排出されるガスの組成をガスクロマトグラフにより測定し、燃料ガス供給空間37に燃料ガスの構成成分として供給された窒素(N)ガスが含まれるか否か(すなわち、Nガスがリークしているか否か)を測定した。
上記のようにして、インターコネクタ(1)〜(9)のそれぞれについて測定した。
この結果、インターコネクタ(1)〜(9)のうち、インターコネクタ(5)においてのみ、空気供給空間33から排出されたガスの中にNガスが認められた。すなわち、インターコネクタ(5)では、上記測定装置60を昇温する前に空気および燃料ガスを供給した際に測定されるNガスの含有量に対して、上記測定装置60を1000℃に維持した際に測定されたNガスの含有量が1%〜3%増加していた。このインターコネクタ(5)において低還元膨張層として燃料ガス(還元雰囲気)に暴露されていたのはLSZF2であり、該LSZF2は上記還元膨張率測定で0.15%を与えるものであった。
<Cr拡散の評価>
次に、Cr拡散の可能性を評価した。上記リーク試験実施後のインターコネクタ(1)〜(9)において各層にCrの拡散が起こっているかどうかをEDXにより観察した。この結果、インターコネクタ(8)において、高導電性層となるLSCFに含まれるCrが隣り合う低還元膨張性層のLSZF3の内部にまで拡散していることが確認された。またインターコネクタ(9)においても、高導電性層となるLSCに含まれるCrが隣り合う低還元膨張性層のLSTF3の内部にまで拡散していることが確認された。それ以外のインターコネクタ(1)〜(7)ではCrの拡散は認められなかった。
<SOFCの発電性能評価>
上記インターコネクタ(1),(3)および(5)をそれぞれ備えた3種類の模擬的なSOFC(1)〜(3)を作製し、各SOFCの発電性能として出力密度を評価した。ここで、SOFC(1)はいずれも固体電解質層として膜厚20μmのYSZ膜、燃料極層として厚さ1mmのNiO−YSZ層、および空気極層として膜厚50μmのLaSrMn酸化物層から構成される積層構造を有するセルAを1個備えており、かかるセルA同士の間にインターコネクタ(1)を配置してなるスタックである。SOFC(2)は上記セルAを1個とインターコネクタ(3)とを備えるスタックである。SOFC(3)は上記セルAを1個とインターコネクタ(5)とを備えるスタックである。
SOFCの使用温度域内である1000℃の下での上記SOFC(1)〜(3)の出力密度[W/cm]を従来と同様の方法を用いて測定した。この結果、SOFC(1)の出力密度は0.3W/cmであった。SOFC(2)の出力密度は0.3W/cmであった。SOFC(3)の出力密度は0.2W/cmであった。以上より、上記インターコネクタ(1),(3)および(5)は実用的なSOFCに具備されるインターコネクタとして適用可能であることが確認された。
かかる実施例によると、低還元膨張性層と高導電性層とから構成される二層構造の組成傾斜型インターコネクタであって何れの層もLa0.6Sr0.4Ti1−yFeおよびLa0.6Sr0.4Zr1−yFe(0.7≦y≦0.9)で表わされるペロブスカイト型酸化物から形成される組成傾斜型インターコネクタはCrを含まないので、Cr拡散に伴うCr被毒の発生を防止しSOFCの電気性能を高い状態で維持することができる。また、0.15%未満の還元膨張率を有する上記LSTF酸化物またはLSZF酸化物からなる低還元膨張性層と、0.15%以上の還元膨張率を有して高い導電性(例えば70S/cm以上の導電率)を有する上記LSTF酸化物またはLSZF酸化物からなる高導電性層とから構成される二層構造の組成傾斜型インターコネクタは、かかる低還元膨張性層を該インターコネクタを挟持する一方のセルの燃料極側に対向させて配置することにより、燃料極側で生じ得る還元膨張を防止してSOFCに高い耐久性を与えるとともに、インターコネクタ全体に亘って高い導電性を与えることができる。したがって、ここで開示される(典型的には二層構造を含む多層構造の)組成傾斜型インターコネクタは、以上のような効果を発揮し、長期にわたり高い電池性能と耐久性を保持し得る好ましいSOFCの提供を実現することができる。
以上、本発明を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、さらに別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加えうるものである。
2 低還元膨張性層
4 高導電性層
10 組成傾斜型インターコネクタ
12 低還元膨張性層が構成するセル対向面
13 燃料ガス用流路
14 高導電性層が構成するセル対向面
15 空気用流路
22 固体電解質
24 空気極
26 燃料極
30 ケーシング
32 空気極側外管
33 空気供給空間
34 空気供給内管
35 ガラスシール
36 燃料極側外管
37 燃料ガス供給空間
38 燃料ガス供給内管
40 サンプル
50 ヒータ
60 測定装置
100 固体酸化物形燃料電池(SOFC)

Claims (8)

  1. 正極である空気極と、負極である燃料極と、両極間に配置された固体酸化物電解質とからなるセルを複数備える固体酸化物形燃料電池において、該複数のセルを電気的に接続するために該セル間に配置される固体酸化物形燃料電池用インターコネクタであって、
    該インターコネクタの一方のセル対向面から他方のセル対向面に向けて還元膨張率が段階的に上昇若しくは低下するように構成されており、
    ここで該インターコネクタは全体に亘って以下の一般式:
    Ln1−xAeMO3−δ (1)
    ここで、Lnはランタノイドから選択される少なくとも1種の元素であり、Aeは、Sr、BaおよびCaからなる群から選択される1種または2種以上の元素であり、Mは、Ti,Zr,Al,Ga,Nb,Ta,Fe,Co,Ni,Cu,Mn,Mg,Rh,Pd,PtおよびAuからなる群から選択される2種以上の元素であり、0≦x≦1、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。;
    で表わされるペロブスカイト型酸化物から形成されているとともに、該インターコネクタの前記段階的に還元膨張率が異なる部分毎に、各部分を構成しているペロブスカイト型酸化物の耐還元膨張性を増大させる一方、導電性を低下させる元素Mと、ペロブスカイト型酸化物の導電性を高める一方、還元膨張率を増大させる元素Mとのモル比率が相互に異なっていることを特徴とする、組成傾斜型インターコネクタ。
  2. 前記還元膨張率が相対的に高い一方のセル対向面が前記インターコネクタを挟む一方のセルの空気極と対向する面であり、且つ、前記還元膨張率が相対的に低い他方のセル対向面が該インターコネクタを挟む他方のセルの燃料極と対向する面となるように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の組成傾斜型インターコネクタ。
  3. 前記一方のセル対向面から他方のセル対向面に向けて前記ペロブスカイト型酸化物の前記元素Mのモル比率が相互に異なる複数の層であって該一方のセル対向面を構成する層から他方のセル対向面を構成する層に向けて段階的に還元膨張率が低下するように積層された複数の層からなる多層構造を形成しており、
    該多層構造において、還元膨張率の高い前記一方のセル対向面を構成する層が該セルの空気極側に配置され、且つ、還元膨張率の低い前記他方のセル対向面を構成する層が該セルの燃料極側に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成傾斜型インターコネクタ。
  4. 前記段階的に還元膨張率が異なる各部分を構成している相互に前記元素Mのモル比率が異なるペロブスカイト型酸化物は、何れも以下の一般式:
    La1−xSr1−yFe3−δ (2)
    ここで、該一般式(2)中のMは、Ti,Zr,Al,Ga,Nb,Ta,Fe,Co,Ni,Cu,Mn,Mg,Rh,Pd,PtおよびAuからなる群から選択される1種または2種以上の元素であり、0≦x≦1であり、0.5≦y≦0.9であり、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。;
    で表わされるペロブスカイト型酸化物に包含されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組成傾斜型インターコネクタ。
  5. 相互に還元膨張率が異なる一方のセル対向面を構成する層と他方のセル対向面を構成する層との二層構造により構成されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の組成傾斜型インターコネクタ。
  6. 前記二層構造のうちの一方の層の還元膨張率は0.15%以上であり、且つ、他方の層の還元膨張率は0.15%未満であることを特徴とする、請求項5に記載の組成傾斜型インターコネクタ。
  7. 導電率がインターコネクタ全体に亘って50S/cm以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の組成傾斜型インターコネクタ。
  8. 正極である空気極と負極である燃料極と両極間に配置された固体酸化物電解質とからなるセルを複数備える固体酸化物形燃料電池であって、
    該複数のセル間に、請求項1〜7のいずれかに記載の組成傾斜型インターコネクタが配置されていることを特徴とする、固体酸化物形燃料電池。
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