JP5286603B2 - 表装仕上げ建材 - Google Patents
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Description
表装仕上げシートとして、珪質頁岩などの調湿性に優れた材料が配合された塗材を塗工したり、シート材料そのものに調湿材料を配合したりしておく技術が提案されている。このようにして調湿機能を付与された表装仕上げシートは、施工空間の過剰な湿気を吸い取って保持したり、保持した水分を乾燥し過ぎた施工空間に放出したりすることで、湿度環境を一定に維持する調湿機能を果たす。調湿材料として、脱臭性やガス吸着性のある材料を使用すれば、施工空間の臭いを取り去ったり、VOC除去機能を果たしたりすることもできる。
特許文献2には、脱臭性に優れた壁装材として、含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物を配合するとともに、粘土鉱物と大気とを連通する通気孔を有することで、粘土鉱物が有する、優れた脱臭機能を発揮させる技術が提案されている。
表装仕上げシートの表面には、微細な多孔質構造を有する調湿材料あるいは吸着材料が露出している。多孔質材料は、表面に微細な細孔や凹凸を有することで調湿性や脱臭性を発揮できる。この微細な細孔や凹凸に汚れが入り込むと、表面を拭いても、汚れが拭い出せないのである。例えば、コーヒーなどの飲み物やソースなどの液体調味料は、吸水性の高い多孔質材料の内部まで迅速に吸収されてしまう。多孔質材料は、吸液性に優れ、各種物質の吸着性も高い材料であるから、液体および液体に含まる固体成分が容易に吸収され吸着保持されてしまう。また、吸放湿性に優れるので、液体に含まれる水分だけが蒸発し、後に残った着色成分などは多孔質材料の細孔内部に閉じ込められ易い。そのため、一旦、付着あるいは吸収された汚れは、取り除くのが大変に困難である。
そのため、調湿機能を付与した表装仕上げシートは、施工後、長期間の使用に耐え難かったり、比較的短い間隔で取り替えあるいは貼り直しが必要になったりすることがある。
本発明の課題は、前記したような調湿機能を持たせた表装仕上げシートの技術において、調湿機能などを大きく損なうことなく、表面が汚れ難く、汚れが落ち易くするなどして、長期間にわたって良好な外観を維持できるようにすることである。
前記表装仕上げシートは、建築物の表装面を構成する表装仕上げシートであって、基材シートと、前記基材シートの表面に配置され、珪藻泥岩、珪藻頁岩、アロフェン、シリカゲル、イモゴライト、セピオライト、ゼオライトおよび大谷石からなる群から選ばれる少なくとも一つの無機多孔質粉粒体と合成樹脂と粒径0.001〜1.0μmのコロイダルシリカおよび/またはアルミナゾルとを含む水性塗材の塗膜からなり、調湿性を有するとともに表面が透湿性かつ防水性である表装仕上げ層と、を備え、前記基材シートが透湿性を有する材料からなる、ことを特徴とする。
〔建築物の表装面〕
表装面は、一般住宅など種々の建築物において、室内の壁面、間仕切り面、天井面、床面、柱面など、建築構造の表面に露出する仕上げ面である。通常は建築物の内部における内装仕上げ面であるが、外装仕上げ面に適用する場合もある。
このような仕上げ面には、下地材が施工されていることが多い。
表装仕上げシートを施工する下地となる。建築物の躯体や柱、梁などの構造部材そのものであってもよいし、構造部材の表面を覆うパネル状の下地板などであってもよい。
下地材の材料は、通常の建築物における構造部材や下地材料と同様の材料が使用できる。具体的には、コンクリートや鋼材、セメント板、石膏ボード、繊維集積ボード、パーティクルボード、合板などが挙げられる。
下地材として、通気性や吸放湿性のある材料を用いることもできる。表装仕上げシートと組み合わせることで、壁面内部など建築構造の内部空間との間で通気性を持たせたり、湿気の出入りを図ったりすることができる。例えば、調湿石膏ボードなどが挙げられる。調湿性下地材を使用することで、表装仕上げ層の調湿機能と調湿性下地材の調湿機能とが相乗的に発揮される。調湿機能、特に吸放湿量と吸放湿速度が極めて高い表装仕上げシートを構成することができる。
表装仕上げシートの基本となる構造である。
通常の表装仕上げシートと共通する材料や構造が適用できる。
基材シートの材料としては、表装仕上げ層の形成、支持が可能であればよい。具体的には、紙、不織布、編織布、合成樹脂シートなどが使用できる。複数の材料層を積層した積層シートも使用できる。
より具体的には、紙として、上質紙、グラシン紙、トレーシングペーパー、和紙、キャスト紙、コーテッド紙などの天然パルプ紙、含浸紙、ラミネート紙などが挙げられる。合成樹脂シートとして、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリオレフィン類(エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等)、変性ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂などが挙げられる。
基材シートの背面に、接着剤層や粘着剤層を設けておけば、表装仕上げシートの施工が容易になる。接着剤層および粘着剤層には、通常の表装仕上げシートと同様の材料および構造が適用できる。再湿性接着剤や熱溶融接着剤なども使用できる。
〔表装仕上げ層〕
前記基材シートの表面に配置され、表面が透湿性かつ防水性であるとともに、調湿性を有する。すなわち、表装仕上げ層の表面から内部へと、湿気は通過し易いが、表面には防水性があり、水を吸って膨潤したり強度が低下したりすることがない。水などの液体や細かい粒状の固体などは、表面から内部まで容易には浸入できない。そして、内部に浸透した湿気を吸収保持したり、吸収保持した湿気を外部に放出したりする吸放湿作用による調湿機能を果たす。
〔調湿層〕
基材シートの表面に配置され、無機多孔質粉粒体が配合される。基本的には、通常の調湿壁や調湿建材の技術が適用できる。
<無機多孔質粉粒体>
表装仕上げ層において調湿機能を果たす材料である。
無機多孔質材料は、天然鉱物として産出したままのものであってもよいし、焼成したものでもよい。焼成することによって、色などの特性を安定させることができる。また、変成したものも使用できる。
<調湿層の材料配合>
調湿層に十分な調湿機能を付与するには、調湿層の全体に対して、無機多孔質粉粒体を、5〜80重量%の範囲で配合しておくことが望ましい。
無機多孔質粉粒体を必須とする以外は、通常の調湿層に配合されている材料を種々組み合わせることができる。調湿機能を高めるには、20重量%以上を配合しておくのが好ましい。耐汚れ性を高めるには、60重量%以下が好ましい。
基材シートの表面に塗工し乾燥硬化させることで、調湿層を形成する。
基本的には、通常の建築用の調湿塗材と共通する材料や配合が使用できる。
調湿塗材の配合として、無機多孔質粉粒体5〜80重量%と有機バインダー5〜70重量%とを含むことができる。
有機バインダーによって、塗工性や塗膜性能を果たす。有機バインダーとして、後述する多孔質樹脂被膜層の合成樹脂材料が使用できる。通常の壁塗り用などの調湿塗材に配合されていた無機バインダーは、表装用仕上げシートの柔軟性を損なうので好ましくない。
その他、調湿塗材の配合材料には、着色剤や防腐剤、防カビ剤、消泡剤、分散剤、増粘剤、防蟻剤などを、必要に応じて適宜に組み合わせて使用することができる。微量放射線鉱物を配合しておくことで、調湿機能を高めたり、マイナスイオン放出機能を高めたりすることができる。
調湿塗材は、練状物あるいは液体の形態で基材シートに塗工する。
<調湿層の機能>
調湿層の機能である調湿性は、吸湿能力および放湿能力で評価できる。具体的には、吸湿量および放湿量のうち少ないほうの数値で評価する吸放湿量が50g/m2・24h以上であることが望ましい。
基材シートの存在によっても、調湿層の厚みが変更される。基材シートが調湿性を有している場合は、調湿層の調湿能力が比較的に小さくても良い場合がある。
調湿層は、調湿性に加えて、防臭性やVOC除去機能などの空気環境を改善する各種機能を備えておくことができる。
〔透明被覆層〕
調湿層の表面に配置され、透湿性および防水性を備える。
透明被膜層の厚みは、使用する材料や要求性能によっても異なるが、通常、5〜100μmに設定できる。調湿層の保護機能や防水性を高めるには比較的に厚くしたほうがよく、透湿性を高めるには比較的に薄くしたほうがよい。薄すぎると、多孔質状の凹凸がある調湿層の表面を十分に覆うことができず、汚染防止などの機能が低下する。厚すぎると、通気性が阻害されるので、調湿層の調湿効果が損なわれるとともに、塗膜にクラックが入り易くなるという欠点も生じる。
透明被膜層として、多孔質樹脂被膜が使用できる。
<多孔質樹脂被膜>
多孔質樹脂被膜は、合成樹脂を基本的な膜形成材料とするが、通常の合成樹脂被膜のように緻密な膜ではなく、微細な孔が無数にあいた多孔質構造を有するものである。
このような多孔質構造によって、水蒸気透過性が優れると同時に防水性に優れていたり、非透水性を発揮したりすることができる。多孔質構造の細孔径や分布、細孔形状などによって、多孔質樹脂被膜の性状が違ってくる。
合成樹脂として、アクリル樹脂、シラン系アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂およびシラン系アクリル−スチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つの合成樹脂であって、ガラス転移点Tgが10℃以下である合成樹脂材料が使用できる。ガラス転移点が低いことで、塗工時の成膜性が良好になる。塗膜形成能力がない微細無機粒子を配合した透明塗材は、合成樹脂による成膜機能が重要になる。ガラス転移点が高すぎると、透明塗材の成膜性が悪くなる。常温で塗工硬化される透明塗材は、常温程度で十分な成膜性が発揮できる必要がある。透明塗材を加熱硬化させる場合は、その際の加熱温度で十分な成膜性が発揮できれば良い。
微細無機粒子として、コロイダルシリカや酸化チタンゾル、アルミナゾル、酸化鉄ゾルなどが挙げられる。粒径によっても異なるが、できるだけ透明性の高い材料が、透明被膜層の透明性を高められる。透明塗材への分散性や合成樹脂に対する付着性などに優れた材料が好ましい。前記材料の中で、コロイダルシリカは取扱い易く性能も優れている。
透明塗材における微細無機粒子の配合量は、少な過ぎると目的の多孔質構造が形成され難く、透明被膜層の水蒸気透過性が悪くなる。微細無機粒子が多過ぎると、透明塗材の成膜性が低下し、透明被膜層の防水性が悪くなる。前記配合割合範囲の中で、微細無機粒子が水性エマルジョン固形分の15〜160重量%であることが、より好ましい。
多孔質樹脂被膜を形成する透明塗材の製造技術として、特公平7−110906号公報に開示された技術が利用できる。クラリアントポリマー株式会社から入手できる商品名「モビニール8000シリーズ」が使用できる。
〔透湿防水・調湿兼用層〕
表面が透湿性かつ防水性で、しかも、全体が調湿性を有する単一の層である。
前記した調湿層の材料と透明被覆層の材料とを組み合わせることで構成できる。
使用する材料や配合は、前記した調湿層および透明被覆層の場合と共通する。調湿層の材料と透明被覆層の材料とを混合するだけでもよい。目的とする機能に合わせて、それぞれを別個の層として形成する場合と、一部の配合を変えることもできる。
例えば、表面の防水性および透湿性は十分に発揮できるようにすることで、調湿性については少し低くなっても、別の手段で補うことができる。具体的には、透湿・防水・調湿兼用層からなる表装仕上げ層の背面に、調湿機能を有する基材シートを配置すれば、調湿性を高めることができる。耐汚れ性を高めるには、透湿防水・調湿兼用層における無機多孔質粉粒体の配合量を、前記した調湿層における配合量範囲の中で、60重量%以下に設定しておくことが好ましい。
前記した表装仕上げ層を有する以外は、通常の表装仕上げシートと同様の構造、形状、製造方法が適用できる。
予め製造あるいは準備された基材シートの表面に、通常の塗工技術を適用して、表装仕上げ層を形成すればよい。表装仕上げ層が、調湿層と透明被覆層とを有する場合は、それぞれの層を順次形成すればよい。
具体的には、以下の工程を組み合わせることができる。
基材シートの表面に無機多孔質粉粒体が配合された調湿層を形成する工程(a)。
工程(b)において、調湿層の含水率を20%以下に設定しておくことが重要である。
調湿層の含水率が高過ぎると、調湿層に含まれる水分によって、その上に塗工される透明塗材の塗膜が失透する問題が発生し易い。形成された透明被膜層の水蒸気透過性も低下する。含水率が十分に低く乾燥した状態であれば、透明塗材が良好に塗工でき、形成された透明被膜層の性能も良好に発揮できる。
調湿層の表面に透明塗材を塗工して透明被覆層を形成する手段として、通常の塗装技術が適用できる。例えば、コーティング(ナイフコーター、グラビアコ−ター、スクリーンコ−ター、ロールコ−ター、フレキソコーターなど)が採用できる。ブレードコ−ター、バーコ−ター、カーテンコ−ターも採用できる。塗布(ローラー、スプレー、刷毛、モップ、スポンジ、ウェスなどを使用)、デッピングなども採用できる。これらの方法で、透明塗材を塗工し乾燥させれば透明被覆層が形成できる。必要に応じて、エンボス加工を施すこともできる。エンボス加工の前に発泡処理や柄プリント加工を行うこともできる。
その結果、優れた外観性や表面性状を、長期間にわたって良好に維持することができる。表装仕上げシートの貼り換え期間を大幅に延長でき、建築物の維持管理に要するコストを低減できる。
〔表装仕上げシートS〕
基材シート10は、紙や不織布等の通気性を有するシート材料が使用される。
基材シート10の表面に、表装仕上げ層20が構成されている。表装仕上げ層20は、基材シート10に隣接する調湿層24、調湿層24の表面に配置された透明被覆層22からなる。
調湿層24は、珪質頁岩などの無機多孔質粉粒体が配合された塗壁材を、基材シート10に塗工し乾燥硬化させて形成される。形成された調湿層24の表面は、配合された形質頁岩などに特有の自然な質感や色を発現している。
〔内装仕上げ施工〕
図1において、表装仕上げシートSは、図示を省略した壁躯体や柱、枠材などの室内側表面に施工されている。内装下地材40として施工された石膏ボードや繊維質ボードなどの表面に、接着剤で貼り付けられる。
また、表装仕上げシートSの表面に、珪質頁岩などで構成された調湿層24が露出していると、モノが当たったり引っ掻いたりしたときに傷が付いたり欠けたりし易いが、透明被覆層22で覆われていれば、少しの外力や摩擦程度では容易に損傷することはない。
さらに、表装仕上げシートSは、透明被覆層22および調湿層24の何れもが微細な穴を有していて通気性がある。そのため、室内空間で発生する音を吸収する吸音特性にも優れたものとなる。
〔透湿防水・調湿兼用層〕
図2に示す実施形態は、透明被覆・調湿兼用層を備える表装仕上げシートSである。
前記実施形態と同様の基材シート10の表面に、表装仕上げ層20として、透湿防水・調湿兼用層26が形成されている。
透湿防水・調湿兼用層26は、不透明な無機多孔質粉粒体が配合されているので、全体としては透明ではなく不透明である。但し、透明塗材の材料である合成樹脂および微細無機粒子は実質的に透明性を示す。その結果、形成された状態の透湿防水・調湿兼用層26は、無機多孔質粉粒体に使用された珪質頁岩などが有する色や質感が発現する。
この実施形態でも、室内空間の過剰な湿気が透湿防水・調湿兼用層26に吸収保持されたり、透湿防水・調湿兼用層26から室内空間に水分が放出されたりして、室内空間の湿度環境を居住に適切な一定範囲に調湿することができる。
この実施形態でも、透湿防水・調湿兼用層26は微細な穴を有することで通気性があり、吸音特性にも優れたものになる。
〔表装仕上げ建材〕
図3に示す実施形態は、表装仕上げシートSを用いて構成されたボード状の表装仕上げ建材を示す。
このような構造を備えた表装仕上げ建材は、建築物の室内壁面の内装仕上げ施工に使用される。内装下地材を施工した上で表装仕上げ建材を貼り付けてもよいし、表装仕上げ建材を、表装仕上げと内装下地の両方に兼用することもできる。
室内壁面で、表装仕上げシートSの調湿層24あるいは透湿防水・調湿兼用層26が調湿機能を果たすとともに、表装仕上げシートSの背面の調湿建材ボード50も湿気の吸収保持および放出の機能を発揮するので、調湿能力がさらに向上する。特に、室内空間に露出していて迅速に湿気が出入りできる表装仕上げシートSの調湿特性と、比較的に厚みがあって水分の保持容量が大きな調湿建材ボード50の調湿特性とが組み合わされることで、単独では発揮できない相乗的あるいは補完的で良好な調湿機能を発揮することが可能になる。
〔使用材料〕
<基材シート>
通気性を有する不織布シートを用いた。
<調湿塗材>
配合:珪質頁岩(平均細孔径20〜200Å、比表面積20〜200m2/g、平均粒径30μm)40重量%、シリカゲル10重量%、炭酸カルシウム30重量%、ビニロン繊維4.5重量%、アクリル樹脂15重量%、増粘剤0.5重量%、水50重量%。
<透明塗材>
樹脂エマルジョン:アクリル樹脂粒子が水に分散された水性エマルジョンからなる汎用の樹脂エマルジョン製品(樹脂Tg=5℃)を用いた。
微細無機粒子:汎用のコロイダルシリカ(粒子径0.05μm)製品を用いた。
固形分比率で樹脂エマルジョン69重量%、微細無機粒子30重量%、アクリル系増粘剤1重量%を混合し、さらに、水を加えて固形分濃度が205になるようにして、透明塗材を調製した。
珪質頁岩(平均細孔径20〜200Å、比表面積20〜200m2/g、平均粒径30μm)30重量%、シリカゲル10重量%、炭酸カルシウム20重量%、ビニロン繊維4.5重量%、前項で調製された透明塗材を固形分濃度換算で35重量%、増粘剤0.5重量%の割合で配合し十分に撹拌混合して、透湿防水・調湿兼用塗材を調製した。
〔表装仕上げシートの製造〕
参考例1:
基材シートにロールコ−ターで調湿塗材を塗布し、熱風乾燥路内で60℃、30分の乾燥処理を行って調湿層を形成した。調湿層の上に、透明塗材をスプレー塗装し、熱風乾燥路内で80℃、10分の乾燥処理を行って透明被覆層を形成した。
基材シートにロールコ−ターで透湿防水・調湿兼用塗材を塗布し、熱風乾燥路内で60℃、30分の乾燥処理を行って透湿防水・調湿兼用層を形成した。
〔表装仕上げ建材の製造〕
参考例2、実施例2:
汎用の調湿性石膏ボードの表面に、透明塗材を刷毛で塗布し、室温で1分間放置し、塗布表面が粘着性を発現した段階で、参考例1、実施例1の表装仕上げシートをそれぞれ押し当てて圧着し、調湿性石膏ボードと表装仕上げシートとが一体化された表装仕上げ建材を得た。
<水蒸気透過量>
JIS−K7129に準じて、透明被膜層単独での水蒸気透過量を測定した。
<吸湿性>
各試験体の裏面および側面をアルミ箔で密封した。25℃、50%RHの環境で48時間保持したあと、25℃、90%RHで24時間保持したときの重量増加量を測定して、吸湿量(g/m2・24h)を算出した。
<耐汚染性>
各試験体の表面に、コーヒー、日本茶、醤油、ソースなどの生活上で室内壁面に付着する可能性のある物質を含む汚れ液体を、スポイトで1cc滴下した。1分後に、水洗して、汚れ液体の除去状況を目視観察した。評価基準は以下のとおりである。
△:かなり除去できたが、付着痕が明確に認められる。
×:全く除去できなかった。
<表面硬度>
常法にしたがって、鉛筆硬度を測定した。HBのほうがBよりも硬い。
以上に説明した各試験の結果を、下記表に示す。表中、水蒸気透過量の「>>1000」は、1000g/m2・24hを大きく超えることを意味する。
〔評価〕
(1) 実施例1の表装仕上げシートは、良好な吸湿性を有すると同時に、耐汚染性に優れていることが裏付けられた。
これに対し、比較例1の表装仕上げシートは、透明被覆層を有しないため、耐汚染性が劣るものとなった。
(2) 実施例2の表装仕上げ建材は何れも、調湿性石膏ボードの吸湿性と表装仕上げシートの吸湿性とが相乗的に発揮され、非常に優れた吸湿性を発揮できる。勿論、表面の耐汚染性も良好である。
20 表装仕上げ層
22 透明被覆層
24 調湿層
26 透湿防水・調湿兼用層
40 下地材
50 調湿建材ボード
S 表装仕上げシート
Claims (1)
- 調湿機能を有する調湿建材ボードと、前記調湿建材ボードの表面に貼り付けられた表装仕上げシートとを備え、
前記表装仕上げシートは、建築物の表装面を構成する表装仕上げシートであって、
基材シートと、
前記基材シートの表面に配置され、珪藻泥岩、珪藻頁岩、アロフェン、シリカゲル、イモゴライト、セピオライト、ゼオライトおよび大谷石からなる群から選ばれる少なくとも一つの無機多孔質粉粒体と合成樹脂と粒径0.001〜1.0μmのコロイダルシリカおよび/またはアルミナゾルとを含む水性塗材の塗膜からなり、調湿性を有するとともに表面が透湿性かつ防水性である表装仕上げ層と、
を備え、前記基材シートが透湿性を有する材料からなる、
ことを特徴とする、表装仕上げ建材。
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