JP4476383B2 - 吸放湿性能を有する化粧材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸放湿性能を有する化粧材、特に吸放湿性能を有する紙或いは不織布等の基材上に、吸放湿性樹脂層を積層した吸放湿性能を有する化粧材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、吸放湿性能を有する内装用化粧材として、塗膜樹脂中に吸放湿性能を有する材料を分散させてなる吸放湿性樹脂層を、紙等の基材上に積層したものが知られている(特開平11−58625号公報等参照。)。
【0003】
かかる化粧材においては、一定の吸放湿性能を発揮させるためには、基材上に形成される吸放湿性樹脂層中にある程度以上の量の吸放湿性材料を含有させる必要があることから、吸放湿性樹脂層の膜厚を厚く形成する必要であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、吸放湿性樹脂層を紙類や不織布等の基材上に厚く積層する場合には、その施工性が低下し、生産加工性の面からも問題が生じていた。特に、化粧材を壁紙として用いる場合には、化粧材の可撓性が低下し、又折曲時に皺を発生し易くなるため、施工時に壁紙裏面に糊付して、糊付面を内側に折曲げて養生することが困難となる。又、壁紙(化粧材)を紙管に巻取って流通・保管させることも困難となる。
【0005】
かかる問題点を解決するために、吸放湿性樹脂層をなす塗膜の厚さは薄く抑えて、その代わりに、吸放湿性材料の添加量を増やすことも考えられるが、この場合には、塗工適性が極度に悪化し、また、塗膜が脆くなるため、吸放湿性材料の含有量を増加させることにも限界があった。
【0006】
従って、紙類や不織布等の基材上に、吸放湿性材料を含有する樹脂組成物からなる吸放湿性樹脂層を積層する化粧材において、吸放湿性樹脂層の厚さを、施工性や生産加工性に影響を与えない程度に薄く抑えつつ、かつ、吸放湿性能を向上させた化粧材の開発が望まれている。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、紙類や不織布等の基材上に、吸放湿性材料を含有する樹脂組成物からなる吸放湿性樹脂層を積層する化粧材において、吸放湿性樹脂層の厚さを施工性や生産加工性に影響を与えない程度に薄く抑えつつ、かつ、吸放湿性能を向上させた化粧材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべく、セピオライト混抄紙からなる基材上に、アクリル系樹脂又はポリオレフィン系樹脂のいずれかの樹脂中に、吸放湿性材料粒子として活性白土、およびアルカリ性添加剤を添加してなる樹脂組成物から形成された吸放湿性樹脂層を有する吸放湿性能を有する化粧材を提供する。
【0009】
また、前記本発明の化粧材においては、前記基材の吸放湿性樹脂層が形成された面とは反対側の面上に、ポリエチレンシート、ポリ塩化ビニリデンシート、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートシート、またはアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートシートを含む防湿・防水層をさらに有するのがより好ましい。
【0010】
本発明は、活性白土、およびアルカリ性添加剤を水性樹脂エマルジョン中に分散して樹脂組成物を得る工程と、前記樹脂組成物を、セピオライト混抄紙からなる基材上にコートする工程と、加熱により前記水性樹脂エマルジョン層を固化させて吸放湿性樹脂層とする工程とを有する吸放湿性能を有する化粧材の製造方法を提供する。
【0011】
本発明の化粧材は、吸放湿性能を有する紙類或いは不織布からなる基材上に、吸放湿性樹脂層が形成されてなることを特徴とする。本発明の化粧材をかかる構成とすることにより、吸放湿性樹脂層の厚さをその施工性や生産加工性に影響を与えない程度に薄く抑えつつ、かつ、吸放湿性能を向上させた化粧材となっている。
【0012】
また、本発明の化粧材の吸放湿性樹脂層を細胞状発泡体として形成する場合には、吸放湿性樹脂層内に空洞を多数有するものが得られ、通気性が良好となって、吸放湿性が極めて優れた化粧材を得ることができる。
【0013】
また、本発明の化粧材は、基材裏面(吸放湿性樹脂層が形成されている面とは反対側の面)側に、さらに防湿・防水層を形成するのがより好ましい。透湿・防水層を形成した場合には、基材裏面に水分が浸透して、化粧材裏面が湿気を帯びて反りを生じたり、黴や錆を生じる等の不都合を生じることがなくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の化粧材の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の化粧材は、基本的には、図1(a)に示す如く、無機系吸放湿性材料1aを含む紙或いは不織布からなる基材1上に、アクリル樹脂又はポリオレフィン系樹脂のいずれかの樹脂2b中に、吸放湿性材料粒子2aを添加してなる樹脂組成物から形成された吸放湿性樹脂層2が積層されてなる。
【0015】
本発明の化粧材は、基材1として、無機系吸放湿性材料1aを含む紙あるいは不織布を用いることを特徴とする。無機系吸放湿性材料1aとしては、例えば、活性白土(モンモリナイト)、酸性白土、セピオライト、珪藻土、トバモライト、ゼオライト、シリカゲル等の粘土鉱物粒子を用いることができる。これらの内、吸湿容量が大きいこと及び長時間にかけて吸放湿を繰り返すことのできることから、セピオライトを用いるのが好ましい。
【0016】
セピオライトは、マグネシウムのイノケイ酸塩鉱物であり、繊維状あるいは塊状のもののどちらも用いることができる。無機系吸放湿性材料の紙或いは不織布中の含有率は、通常50〜90%程度である。また、基材の坪量としては、その塗工製造時の加工適性の面で100〜300g/m2 程度のものを用いるのが好ましい。
【0017】
また、前記基材1中には、無機系吸放湿性材料に代えて、あるいは無機系吸放湿性材料と共に、澱粉とアクリロニトリルとのグラフト共重合体の鹸化物、ポリビニルアルコール架橋体等の有機系吸放湿性材料を含有させることもできる。
【0018】
前記基材1となる紙又は不織布を構成する繊維としては、セルロース(パルプ)、アクリル系樹脂、ビニロン系樹脂、ポリエステル系樹脂或いはガラス等の繊維の1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
【0019】
混抄紙(又は填料高含有紙)は、これらの繊維の1種又は2種以上(主として天然セルロース系繊維)に、前記無機系吸放湿性材料(粒子)の1種又は2種以上を所定量配合し、抄紙機により抄紙することにより得ることができる。
【0020】
また、不織布は、紙の場合と同様に混抄して製造するか、或いは前記無機系吸放湿性材料(粒子)の1種又は2種以上を上記列記した樹脂に所定量配合した樹脂組成物を繊維状とし、適当な方法でウェブ状(薄綿状)又はマット状に配列させ、接着剤あるいは繊維状樹脂自身の融着力によって繊維状樹脂相互を接合させて得ることができる。これらの混抄紙及び不織布の中には、食品の鮮度保持用、不燃紙のアスベスト代替等の用途で使用されているものもある。
【0021】
前記吸放湿性樹脂層2に添加される吸放湿性材料2aとしては、活性白土、酸性白土、セピオライト、珪藻土、トバモライト、ゼオライト、シリカゲル等の無機系吸放湿性材料、澱粉とアクリロニトリルとのグラフト共重合体の鹸化物、ポリビニルアルコール架橋体等の有機系吸放湿性材料の何れもが用いられる。
【0022】
これらのうち、吸湿、放湿のサイクルの繰り返し再現性、吸湿による膨潤がないこと及び防黴性を有すること等の理由から、無機系の粘土鉱物を用いるのが好ましい。これらのうち、吸放湿性能の点からは活性白土又はセピオライトを用いるのがより好ましい。中でも、樹脂との相溶性が良く、樹脂中に添加した樹脂組成物の製膜、塗工適性の良好な活性白土を用いるのが特に好ましい。
【0023】
活性白土(モンモリロナイト)は、酸処理を施して活性を強めた白土である。通常、天然の酸性白土又はこれに類似の粘土を常温で乾かし、粉末とし、これを常圧又は加圧のもとで90℃以上の温度で、硫酸等の酸の適当量で加熱し、加熱後に濾別・洗浄し、120〜200℃で乾燥させたものが用いられる。活性白土は、その強い吸着特性、また多孔の細孔径の分布から、高い吸放湿性能を有していることが知られている。
【0024】
活性白土は強力な吸放湿剤であり、しかも水に溶解したり水で膨潤したりせず、また空気中で長時間暴露されても変質したり黴を生じたりせず、吸湿と放湿を繰り返すことができる。
【0025】
前記吸放湿性材料2aは、微粒子(吸放湿性微粒子)状で樹脂中に分離、沈降を起こすことなく均一に分散させて用いられるのが好ましい。微粒子状で含有せしめることにより、後述するように、延伸して成膜した際に、該微粒子の一部が樹脂層内部から樹脂表面に押し出され、樹脂表面に露出する粒子の面密度が増加する。また、粒子と周辺の樹脂との間の剪断応力によって、樹脂層が多孔質化され、樹脂層内部の粒子も外気と流通するため、吸放湿性の機能がより有効に利用されることになる。
【0026】
前記吸放湿性材料2aの平均粒径は、0.1〜100μm程度が好ましい。また、平均細孔径は、湿度を40〜60%に保つ意味で10〜60Å、好ましくは20〜30Å程度のものが吸放湿効果の点で良好である。
【0027】
前記吸放湿性材料2aの樹脂2b中への添加量は、樹脂分(バインダー)100重量部に対し、50〜150重量部程度が好ましい。50重量部以下では、吸放湿性能が十分に発揮されない。一方、150重量部以上添加した場合には、水分散エマルジョン中に吸放湿性材料を添加して塗工、製膜する場合に組成物が増粘し、塗工適性が低下する。又、塗膜として得られる吸放湿性樹脂層の強度が低下して脆くなる。
【0028】
また、耐光性試験及び耐熱性試験(窓から入り込む日光の影響の促進試験)の結果から、吸放湿性材料として活性白土等の酸性物質を用いる場合には、活性白土等の酸性吸放湿性材料が分散された樹脂に黄変等を生じる原因となることが知られている。従って、本発明においては、かかる問題を回避するために、樹脂中に酸性吸放湿性材料とともにアルカリ性の添加剤を配合してpHの調整を行うことにより、黄変の抑制を行うことが好ましい。
【0029】
かかるアルカリ性添加剤としては、アンモニア(アンモニア水)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩等を挙げることができる。アルカリ性添加剤の添加量は、例えばアンモニア水(28重量%)の場合でいうと活性白土の10重量%以上、好ましくは20重量%程度である。
【0030】
前記吸放湿性樹脂層2を構成する樹脂2bとしては、吸放湿性材料2aを保持可能であって、層状に形成可能な樹脂であれば制限はないが、特に、これらの添加剤との馴染み易さ、成型性、加工適性等の面から、非塩化ビニル系樹脂であるアクリル系樹脂やポリオレフィン系樹脂の使用が好ましい。
【0031】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のエチレン系不飽和単量体とそれ以外の重合可能な単量体との2元或いは3元共重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のエチレン系不飽和単量体のみからなる単独共重合体、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のエチレン系不飽和単量体同士の共重合体等を挙げることができる。
【0032】
アクリル系樹脂は、主成分がアクリル酸(メタクリル酸を含む)及びその誘導体であるアクリルアミド、アクリロニトリルを重合することにより得られるアクリル樹脂、他のアクリル酸エステル、エチレン、スチレン等の他のモノマーとの共重合体樹脂である。
【0033】
かかるアクリル系樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル−(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル−スチレン共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるものが挙げられる。なお、ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の意味で用いるものとする。これらのうち、硝子転移温度が15〜60℃のものが好ましい。
【0034】
これらの樹脂のうち、樹脂それ自体に或る程度の吸放湿性があり、しかも吸放湿性材料との馴染みがよく、且つ吸放湿性材料の分散性が良好で添加量が増やせること等の理由から、エチレン−酢酸ビニル共重合体、或いはこれの鹸化物を使用するのが特に好ましい。
【0035】
また、本発明においては、これらアクリル系樹脂とポリオレフィン系樹脂の1種乃至2種以上からなる混合樹脂、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体とアクリル系樹脂との混合樹脂を用いることもできる。
【0036】
前記樹脂2b中には、吸放湿性材料2a及び所望によりアルカリ性添加剤を含有せしめるが、さらに必要に応じ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の難燃剤、10,10’−オキシビスフェノキシアルシン等の防黴剤、銀イオン担持ゼオライト等の抗菌剤、有機アミノ化合物等のホルムアルデヒド捕捉剤、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤等の光安定剤、アルキルフェノール類、アミン類、キノン類等の酸化防止剤、ベンゾフェノン系、サリチレート系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系等の各種紫外線吸収剤、シリコン系或いは非シリコン系消泡剤やポリカルボン酸等の分散剤、チタン白、カーボンブラック、フタロシアニンブルー等の着色顔料、熱安定剤、可塑剤のほか、後述するような発泡剤を添加することができる。
【0037】
本発明の化粧材においては、前記吸放湿性樹脂層2を構成する樹脂組成物中には発泡剤を含有せしめ、例えば、図1(b)に示すように、該樹脂組成物を塗工・固化した後、加熱発泡させることにより、吸放湿性樹脂層2を細胞状発泡体で形成することも好ましい。吸放湿性樹脂層2を内部に多数の気泡2cを有する細胞状発泡体として形成することにより、通気性が良好であって、優れた吸放湿性能を発揮するものを得ることができる。
【0038】
用いられる発泡剤としては、例えば、次の(1)〜(3)に挙げるものを用いることができる。
【0039】
(1)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の樹脂の中空体中に、ブタン、ヘキサン、ペンタン等の揮発、熱膨張性物質を内包させたマイクロカプセル型発泡剤、
(2)アゾジカーボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、ソジウムボロハイドライド等の熱分解型発泡剤、及び、これらにさらに必要に応じて、鉛、亜鉛、カルシウム、錫等の金属石鹸、二塩基性硫酸鉛、三塩基性鉛、亜鉛華等の発泡促進剤を添加したもの、
(3)上記(1)と(2)の混合物。
【0040】
発泡剤の添加量は、樹脂100重量部に対して、通常1〜10重量部程度が好ましい。1重量部未満の添加では、発泡剤を添加する効果に乏しく、一方、10重量部を越える場合には、吸放湿性樹脂層2の空隙が大きくなりすぎ、表面の凹凸が大きくなり好ましくない。
【0041】
また、本発明の化粧材においては、図1(c)に示す如く、基材1裏面(吸放湿性樹脂層とは反対側の面)に、ポリエチレンシート、ポリ塩化ビニリデンシート、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートシート、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートシート等からなる防湿・防水層3を形成しておくことも好ましい。
【0042】
本発明の化粧材においては、基材1として紙あるいは不織布を用いるため、吸放湿性樹脂層2で吸着された水分が基材1を通ってその裏面(例えば、壁の内部)に浸透することがあり、場合によっては、裏面に浸透した水分のために裏面のものが湿気を帯びたり、反りを生じたり、或いは黴や錆を生じる等の不都合を生じる場合がある。従って、基材1裏面に、防湿・防水層3を形成しておくことによって、かかる不都合を防止することができる。
【0043】
かかる防湿・防水層3の厚さは、通常30〜100μm程度であり、2液硬化型ウレタン樹脂等の接着剤で貼り合わせたり、或いは熔融押出し法(エクストルージョンコート法)等で塗工することによって形成することができる。
【0044】
さらに本発明の化粧材においては、必要に応じて、吸放湿性を阻害しない範囲で、吸放湿性樹脂層2の表面(もし該樹脂層が透明ならば基材1上でも可)に装飾層4を形成することもできる。装飾層4は内装用化粧材の装飾性を向上させる為に設けられる。装飾層4の形成方法として、例えば、顔料添加により基材1あるいは吸放湿性樹脂層2自体を着色したり、前記吸放湿性樹脂層2上に絵柄を印刷等により設けたりすることができる。この場合には、図1(d)に示す如く、前記吸放湿性樹脂層2上の全面ではなく、部分的に装飾層4を形成することが、前記吸放湿性材料2aの機能を発揮させる上で好ましい。
【0045】
模様印刷としては、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等の公知の印刷法を用いて、インキ(或いは塗料)にて模様を形成することができる。
【0046】
模様としては、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学模様、文字記号、或いは全面ベタ等がある。
【0047】
インキ或いは塗料としては、バインダー、顔料、染料などの着色剤、更に必要に応じて、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものを用いることができる。バインダーとしては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリオレフィン或いはこれらの混合系を用いることができる。アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の両者を混合する場合には、アクリル樹脂/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体=1/9から9/1の範囲が好ましい。
【0048】
着色剤としては、例えば、チタン白、カーボンブラック、ニッケルチタンイエロー、弁柄、群青等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等の有機顔料、二酸化チタン被覆雲母の箔粉からなるパール顔料などが挙げられる。
【0049】
また、表面に凹凸模様をエンボスしたり、さらにエンボス凹部に着色インキをワイピング法により充填し着色することもできる。
【0050】
本発明の化粧材は、アクリル系樹脂又はポリオレフィン系樹脂等からなる樹脂2b中に、吸放湿性材料2a及び所望により発泡剤やアルカリ添加剤を所定割合で配合した樹脂組成物(有機溶剤溶液、加熱熔融物或いは水分散エマルジョンの形で用いる。)を、基材1上に塗工し、乾燥させて吸放湿性樹脂層2を形成することにより製造することができる。
【0051】
即ち、(a)基材1上に、ロールコータ、コンマコータ、カーテンフロータ等の塗工機を用いて前記樹脂組成物を50〜300μmの厚さで塗工し、(b)例えば、120〜200℃で30秒から1時間加熱乾燥し、(c)その後、例えば、200〜250℃程度で、30秒から1時間加熱乾燥することによって固化せしめる。(d)更に発泡剤を添加した場合には、これを発泡させて、基材1上に細胞状発泡体からなる吸放湿性樹脂層2を積層せしめる。
【0052】
また、上記樹脂組成物を製膜乃至塗工するには、有機溶剤溶液、加熱熔融物等の形で用いることも出来るが、pHの調整の上では水分散エマルジョンの形で用いるのが好ましい。即ち、ポリオレフィン系樹脂又はアクリル系樹脂の1種乃至2種以上からなる混合樹脂の水分散エマルジョン中に、所望によりアルカリ性添加剤を配合してエマルジョンのpHをアルカリ性領域にするのが好ましい。
【0053】
活性白土等の酸性吸放湿性材料の酸性度は、活性能を上げるためになされた硫酸処理の残留分、及び酸処理により塩基性成分が溶出したことに起因している。また、該酸性吸放湿性材料は、水分散エマルジョン中では均一に分散しているものの溶解していない。従って、かかる酸性度を完全に中和することは困難であるため、見かけ上エマルジョンをアルカリ性領域にしておくことが好ましい。また、作業者の安全を考慮して、pH値としては8〜11程度に設定することがより好ましい。
【0054】
本発明の化粧材は他の被着体に積層して用いることができる。積層は、被着体に化粧材自体が(熱融着等で)接着可能な場合は、接着剤層は省略することもできる。また、化粧材自体では被着体と接着しない場合は、適当な接着剤にて積層する。被着体が最終製品であり、その表面化粧の為に化粧材を積層する場合もあれば、必要に応じ、化粧材の力学的強度の補強、或いは隠蔽性の付与の為、化粧材裏面に被着体を積層する場合もある。
【0055】
被着体としては各種素材がある。形状としては、平板、曲面板等の板材、立体形状物品、或いはシート(或いはフィルム)等である。これら形状のいずれにも用いられる素材としては、杉、樫、ラワン、チーク等各種樹種からなる木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル樹脂、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアセテート共重合体、ポリエステル、ポリスチレン、オレフィン系樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂、
【0056】
専ら板材或いは立体形状物品として用いられる素材としては、ガラス、陶磁器等のセラミックス、ALC(発泡軽量コンクリート)等のセメント、珪酸カルシウム、石膏等の非セメント窯業系材料、専らシート(或いはフィルム)として用いられる素材としては、上質紙、和紙等の紙、或いは炭素、石綿、チタン酸カリウム、ガラス、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布等がある。
【0057】
以上説明した本発明の化粧材は、例えば、壁、床、天井等の建築物内装、扉、手摺、扉枠、窓枠等の建築物,箪笥等の家具、自動車、電車等の車両内装、航空機、船舶の内装、間仕切り、容器等の吸放湿性機能が要求される表面の装飾材料として用いることができる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお以下の実施例は、あくまで本発明の実施態様の一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、自由に設計、変更が可能である。
【0059】
実施例1
平均粒径20μm、平均細孔径25Åの活性白土(水澤化学(株)製、商品名:ガレオンアースV2R)23重量部を、下記に示す組成〔A〕の水性樹脂エマルジョン中に分散し、得られた樹脂組成物を、坪量150g/m2 のセピオライト混抄紙(常盤電機(株)製、セピオライト含有量85重量%のもの)からなる基材上に、150μmの厚さでコートした。次いで、190℃で1分間加熱してその水性樹脂エマルジョン層を固化させて吸放湿性樹脂層とし、その後、200℃で約2分間加熱することにより吸放湿性樹脂層の発泡を完了させて、吸放湿性樹脂層を細胞状発泡体とすることにより、図1(b)に示す化粧材と同様の層構成を有する実施例1の壁材シート(化粧材)を得た。
【0060】
【0061】
比較例1
平均粒径20μm、平均細孔径25Åの活性白土(水澤化学(株)製、商品名:ガレオンアースV2R)23重量部を、前記組成〔A〕の水性樹脂エマルジョン中に分散し、得られた樹脂組成物を、坪量150g/m2 の裏打ち紙(特殊製紙(株)製、無機系吸放湿性材料は無添加のもの)からなる基材上に、150μmの厚さでコートした。次いで、190℃で1分間加熱してその水性樹脂エマルジョン層を固化させて吸放湿性樹脂層とし、その後、200℃で約2分間加熱することにより吸放湿性樹脂層の発泡を完了させて、吸放湿性樹脂層を細胞状発泡体とすることにより、図1(b)に示す化粧材と同様の層構成を有する(但し、基材中には、無機系吸放湿性材料は無添加である。)比較例1の壁材シート(化粧材)を得た。
【0062】
比較例2
前記組成〔A〕の水性樹脂エマルジョン(活性白土は無添加のもの)を、坪量150g/m2 の裏打ち紙(特殊製紙(株)製、吸放湿性材料は無添加のもの)からなる基材上に、150μmの厚さでコートした。次いで、190℃で1分間加熱してその水性樹脂エマルジョン層を固化させ、その後、200℃で約2分間加熱することにより水性湿性樹脂エマルジョン層の発泡を完了させることにより、図1(b)に示す化粧材と同様の層構成を有する〔但し、図1(b)において、基材1中には、無機系吸放湿性材料は無添加であり、また、吸放湿性樹脂層2は、吸放湿性材料粒子(活性白土)が無添加の細胞状発泡体からなる水性樹脂エマルジョン層となっている。〕比較例2の壁材シート(化粧材)を得た。
【0063】
湿度調節効果試験
実施例1、比較例1及び2にて作製した壁材シートを用いて、以下の手法により湿度調節効果試験を行った。
即ち、内寸25cm×25cm×25cmのアルミニウムケース内壁面に、実施例及び比較例にて作製した壁材シートを25cm×25cmの大きさに切り取り、各1枚をそれぞれアルミニウムケース内壁面に貼り合わせ、初期設定温度20℃、50%RHに恒量化した後、アルミニウムケースを密閉し、外気温度20℃、0.5時間、30℃、2時間、20℃、2時間、及び10℃、2時間のサイクルで変化させ、アルミニウムケース内の湿度変化を測定した。
【0064】
測定結果を図2に示す。図2中、▲1▼は実施例1の壁紙シートの場合、▲2▼は比較例1の壁紙シートの場合、及び▲3▼は比較例2の壁紙シートの場合をそれぞれ示している。また、図2中、横軸は経過時間(単位:分(min))、縦軸は、湿度(%RH)の変化をそれぞれ示す。
【0065】
図2に示す測定結果から、実施例1の壁紙シートは、同じく吸放湿性樹脂層を有する比較例1の壁材シートに比して湿度の変化幅が小さく、極めて優れた湿度調節機能を有することがわかった。一方、吸放湿性樹脂層を有さない比較例2の壁材シートは、実施例1及び比較例1の壁紙シートに比して、吸放湿性能が大きく劣っていた。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の化粧材は、吸放湿性能を有する紙類或いは不織布からなる基材上に、吸放湿性樹脂層が積層されてなることを特徴とする。本発明の化粧材をかかる構成とすることにより、吸放湿性樹脂層の厚さをその施工性や生産加工性に影響を与えない程度に薄く抑えつつ、かつ、吸放湿性能を向上させた化粧材となっている。
【0067】
また、本発明の化粧材の吸放湿性樹脂層を細胞状発泡体として形成する場合には、吸放湿性樹脂層内に空洞を多数有するものが得られ、通気性が良好であって、吸放湿性が極めて優れた化粧材を得ることができる。
【0068】
また、本発明の化粧材において、基材裏面(吸放湿性樹脂層が形成されている面とは反対側の面)側に、さらに防湿・防水層を形成した場合には、基材裏面に水分が浸透したり、化粧材裏面が湿気を帯びて反りを生じたり、黴や錆を生じる等の不都合を生じることを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の化粧材の構造断面図である。
【図2】図2は、実施例1、比較例1及び2の壁紙シートを用いて、湿度調節効果試験を行った結果をグラフに表した図である。
【符号の説明】
1…基材、1a…無機系吸放湿性材料、2…吸放湿性樹脂層、2a…吸放湿性材料(粒子)、2b…樹脂(バインダー)、3…透湿・防水層、4…装飾層
Claims (3)
- セピオライト混抄紙からなる基材上に、アクリル系樹脂又はポリオレフィン系樹脂のいずれかの樹脂中に、吸放湿性材料粒子として活性白土、およびアルカリ性添加剤を添加してなる樹脂組成物から形成された吸放湿性樹脂層を有する、
吸放湿性能を有する化粧材。 - 前記基材の吸放湿性樹脂層が形成された面とは反対側の面上に、ポリエチレンシート、ポリ塩化ビニリデンシート、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートシート、またはアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートシートを含む防湿・防水層をさらに有する、
請求項1に記載の化粧材。 - 活性白土、およびアルカリ性添加剤を水性樹脂エマルジョン中に分散して樹脂組成物を得る工程と、
前記樹脂組成物を、セピオライト混抄紙からなる基材上にコートする工程と、
加熱により前記水性樹脂エマルジョン層を固化させて吸放湿性樹脂層とする工程とを有する
吸放湿性能を有する化粧材の製造方法。
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