JP5215100B2 - 電子写真用トナー - Google Patents
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Description
本発明の課題は、透明性に優れたトナーを得ることができるトナー用結晶性ポリエステル、及び電子写真用トナーを提供することである。
ここで、結晶性ポリエステルとは、軟化点と吸熱の最大ピーク温度の比(軟化点(℃)/ピーク温度(℃))が0.6〜1.3、好ましくは0.9〜1.2、より好ましくは0.9より大きく1.1以下である樹脂をいう。
また非晶質ポリエステルとは、軟化点と吸熱の最大ピーク温度の比(軟化点(℃)/ピーク温度(℃))が1.3より大きく4以下、好ましくは1.5〜3である樹脂をいう。
なお、本発明において、ポリエステルという場合は、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルの両方を意味する。
本発明における結晶性ポリエステルは、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有したアルコール成分と芳香族ジカルボン酸並びにアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られる樹脂である。
(アルコール成分)
本発明のトナー用結晶性ポリエステルにおいて、アルコール成分は、結晶性を高める観点から、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有するものである。
炭素数2〜8の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、及び1,4−ブテンジオール等が挙げられ、特にα,ω−直鎖アルカンジオールが好ましく、1,6−ヘキサンジオールがさらに好ましい。
本発明のトナー用結晶性ポリエステルにおいて、カルボン酸成分は、良好な低温定着性と透明性とを向上させる観点から、芳香族ジカルボン酸並びにアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種を含有する。
本発明で用いられる芳香族ジカルボン酸としては、縮合反応により芳香族ジカルボン酸由来の構成単位と同じ構成単位となり得る、芳香族ジカルボン酸の誘導体も含まれる。例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、並びにそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステルが好ましく挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基が挙げられる。これらの中ではテレフタル酸又はそのアルキル(炭素数1〜3)エステルが、帯電安定性及び低温定着性の観点から好ましい。
芳香族ジカルボン酸の含有量は、トナーの低温定着性の観点から、カルボン酸成分中、好ましくは50〜99モル%以上、より好ましくは70〜99モル%、さらに好ましくは90〜99モル%である。
原因は定かではないが、これは、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種を含有することで、結晶性ポリエステルが側鎖を持つことになり、結晶性ポリエステルを含む結着樹脂において、この側鎖が結着樹脂に含まれる非晶質と絡み合い結晶化時の結晶性ポリエステルの凝集を防ぐため、あるいは、側鎖があることにより結晶化速度が緩やかになるためであると考えられる。また、トナー製造の混練り時においても側鎖部分がいち早く溶融し、分散性を促進するためであると考えられる。
したがって、好ましくは分岐鎖を有する、炭素数9〜14のアルキル基を有するアルキルコハク酸、及び好ましくは分岐鎖を有する、炭素数9〜14のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、2種以上がより好ましい。
すなわち、カルボン酸成分も、上記分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルキル基を有するアルキルコハク酸及び分岐鎖を有する炭素数9〜14のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸からなる群から選ばれる、少なくとも20種以上を含有することが好ましく、より好ましくは25種以上、さらに好ましくは30種以上含有する。ここでの種類は、前述と同じ意味である。
アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸は、上記公知のアルキレン化合物と、マレイン酸、フマル酸及びそれらの酸無水物から選ばれる少なくとも一種とを混合し、加熱することで、エン反応を利用することにより得られるが、製造の容易性の観点から、前記公知のアルキレン化合物と、マレイン酸とを混合し、加熱することで、エン反応を利用することにより得られる方法が好ましい。
アルキレン化合物の合成に使用される好適な触媒としては、液体リン酸、固体リン酸、タングステン、三フッ化ホウ素錯体等が挙げられる。なお、構造異性体の数の制御容易性の観点から、ランダム重合した後に、蒸留により調整する方法が好ましい。
カルボン酸成分中における、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸の合計含有量は、トナーの透明性の観点から、好ましくは1〜30モル%であり、より好ましくは5〜25モル%、さらに好ましくは10〜20モル%である。
さらに、分子量調製等の観点から、本発明の効果を損なわない範囲で、1価のアルコールや1価のカルボン酸化合物を、アルコール成分及び/又はカルボン酸成分に適宜含有してもよい。
結晶性ポリエステルにおけるカルボン酸成分とアルコール成分とのモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、結晶性ポリエステルの高分子量化を図る際には、カルボン酸成分よりもアルコール成分が多い方が好ましい。さらに真空反応時、アルコール成分の留去によりポリエステルの分子量を容易に調整できる観点からは、0.9以上1未満が好ましく、0.95以上1未満がより好ましい。
また、重量平均分子量も数平均分子量と同様の観点から、好ましくは9,000以上、より好ましくは20,000以上、さらに好ましくは60,000以上であり、好ましくは10,000,000以下、より好ましくは6,000,000以下、さらに好ましくは4,000,000以下、特に好ましくは1,000,000以下である。
なお、本発明において、結晶性ポリエステルの数平均分子量及び重量平均分子量は、いずれもクロロホルム可溶分を測定した値をいう。
結晶性ポリエステルの軟化点は、トナーの低温定着性及び透明性の観点から、80〜160℃が好ましく、80〜140℃がより好ましく、90〜130℃がさらに好ましく、100〜120℃がさらに好ましい。
また、結晶性ポリエステルの融点は、トナーの低温定着性及び透明性の観点から、70〜130℃が好ましく、80〜110℃がより好ましく、90〜100℃がさらに好ましい。
軟化点及び融点は、原料モノマー組成、重合開始剤、分子量、触媒量等の調整又は反応条件の選択により容易に調整することができる。
本発明のトナー用結晶性ポリエステルは、例えばトナー製造における溶融混練時の溶解粘度保持の観点から、非晶質ポリエステルとともに結着樹脂として用いられることが好ましい。
非晶質ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル成分を含むことが好ましい。
本発明において非晶質ポリエステルは、前記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を70モル%以上含有したアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル成分を含有する樹脂であることが好ましい。
前記ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%である。本発明では、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物により、環境安定性が改善される。
アルコール成分に含有され得るビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外のアルコールとしては、結晶性ポリエステルに用いられるのと同様の多価アルコールを例示することができる。
カルボン酸成分中には、結晶性ポリエステルと同様に、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種を含有することが、非晶質ポリエステル中の結晶性ポリエステルの分散を高め、低温定着性及び透明性を向上させる観点から好ましい。アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸としては、前述と同様に、好ましくは分岐鎖を有する、炭素数9〜14のアルキル基を有するアルキルコハク酸、及び好ましくは分岐鎖を有する、炭素数9〜14のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、2種以上がより好ましい。
さらに、前述の芳香族ジカルボン酸化合物、なかでもテレフタル酸を含有することが好ましく、芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは30〜95モル%、より好ましくは40〜90モル%、さらに好ましくは50〜85モル%である。
芳香族ジカルボン酸化合物以外に含み得る多価カルボン酸化合物としては、結晶性ポリエステルに用いられるのと同様の多価カルボン酸化合物を例示することができる。
本発明において、上記アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル成分を含有する非晶質ポリエステルには、ポリエステル成分のみならず、ポリエステル変性樹脂も含まれる。
ポリエステル変性樹脂としては、例えば、ポリエステルがウレタン結合で変性されたウレタン変性ポリエステル、ポリエステルがエポキシ結合で変性されたエポキシ変性ポリエステル、及びポリエステル成分を含む2種以上の樹脂成分を有するハイブリッド樹脂等が挙げられる。
非晶質ポリエステルとして、ポリエステル成分とその変性樹脂は、いずれか一方であっても、両者が併用されてもよく、具体的にはポリエステル成分及び/又はポリエステル成分とビニル系樹脂成分とを有するハイブリッド樹脂であってもよい。
なお、ビニル系樹脂成分の原料モノマーを重合させる際には、重合開始剤、架橋剤等を必要に応じて使用してもよい。
非晶質ポリエステルの数平均分子量は、1,000〜6,000が好ましく、2,000〜5,000がより好ましい。また、重量平均分子量は、好ましくは10,000以上、より好ましくは30,000以上であり、好ましくは1,000,000以下である。なお、非晶質ポリエステルの数平均分子量及び重量平均分子量は、いずれもテトラヒドロフラン可溶分を測定した値をいう。
結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルのいずれにおいても、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、エステル化触媒の存在下で行うことが好ましい。縮重合に好適に用いられるエステル化触媒としては、チタン化合物及びSn−C結合を有していない錫(II)化合物が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は両者を併用して用いることができる。
チタン化合物としては、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
Sn−O結合を有する錫(II)化合物としては、シュウ酸錫(II)、ジ酢酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジラウリル酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、及びジオレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);ジオクチロキシ錫(II)、ジラウロキシ錫(II)、ジステアロキシ錫(II)、及びジオレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が挙げられる。Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられる。これらの中では、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ここでR1は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(ここでR2は炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるジアルコキシ錫(II)、及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、ジオクタン酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、及び酸化錫(II)がさらに好ましく用いられる。
上記チタン化合物及び錫(II)化合物は、1種又は2種以上を併せて使用することができる。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、例えば、前記エステル化触媒の存在下、不活性ガス雰囲気中にて、120〜250℃の温度で行うことができる。
具体的には、例えば樹脂の強度を上げるために全モノマーを一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価のモノマーを先ず反応させた後、3価以上のモノマーを添加して反応させる等の方法を用いてもよい。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応促進させてもよい。
さらに、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルは、有機溶剤への溶解性にも優れたものであることが好ましい。
本発明の結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとの重量比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)は、低温定着性及び透明性の観点から、5/95〜50/50が好ましく、10/90〜40/60がより好ましく、15/85〜35/65がさらに好ましい。
本発明のトナーは、前記の結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを含有するポリエステルを結着樹脂として用いることが好ましい。
結着樹脂には、本発明の結晶性ポリエステル及び前記非晶質ポリエステル以外の他の樹脂が、本発明を損なわない限り、含有されていてもよい。
本発明のトナーは、例えば、後述するように、上記の結着樹脂と、さらに必要に応じて添加剤とを含有する原料成分とを、凝集・合一過程で、粒子化する工程を有する方法により得ることが好ましい。
必要に応じて含有することができる添加剤としては、例えば着色剤、荷電制御剤、離型剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、及び老化防止剤等が挙げられる。これらは、水系分散液として使用することもできる。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、及びマラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、及びチアゾール系等の各種染料を1種又は2種以上を併せて使用することができる。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がより好ましい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、結着樹脂中への分散性の観点から、0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましく、1.5〜7重量部がさらに好ましい。
本発明のトナーは、前記結晶性ポリエステルを用いて得られるものであればよく、その製造方法は特に限定されない。
例えば、結着樹脂を溶解したラジカル重合性単量体溶液を乳化重合して樹脂微粒子を得、この樹脂微粒子を水系媒体中で融着させる方法(特開2001−42568号公報参照);結着樹脂を含有した原料からなる樹脂加熱溶融体を、結着樹脂の溶融状態を維持しながら、有機溶剤を含まない水系媒体中に分散し、次いで乾燥する方法(特開2001−235904号公報参照);結着樹脂、着色剤等の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合して後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級する方法等が挙げられる。好ましくは下記に記載する製造方法である。
本発明のトナーは、例えば(A)結晶性ポリエステル粒子を含む水系分散液と非晶質ポリエステル粒子を含む水系分散液とを、混合、凝集及び合一させて得られる方法、あるいは、(B)結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含有する混合ポリエステル粒子の水系分散液を凝集及び合一させて得られる方法、により得られることが好ましい。具体的には、下記工程を含む製造方法である。
工程a−1:炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有したアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸並びにアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られる結晶性ポリエステル粒子の水系分散液、及び非晶質ポリエステル粒子の水系分散液を得る工程、
工程a−2:工程a−1で得られた結晶性ポリエステルの水系分散液と非晶質ポリエステルの水系分散液とを混合し、凝集させて樹脂粒子の水系分散液を得る工程、
工程a−3:工程a−2で得られた樹脂粒子を合一させる工程
工程b−1:炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有したアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸並びにアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られる結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含有する混合ポリエステル粒子の水系分散液を得る工程、
工程b−2:工程b−1で得られた混合ポリエステル粒子の水系分散液を凝集させて樹脂粒子の水系分散液を得る工程、
工程b−3:工程b−2で得られた樹脂粒子を合一させる工程
なお、本明細書中、水系とは、有機溶剤等の溶剤を含有していてもよいが、水を好ましくは50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上含有するものである。
工程a−1は、結晶性ポリエステル粒子の水系分散液及び非晶性ポリエステル粒子の水系分散液を別々に製造する工程である。
結晶性ポリエステル粒子の水系分散液又は非晶性ポリエステル粒子の水系分散液は、結晶性又は非晶質ポリエステル、有機溶剤及び水、さらに必要に応じ中和剤を混合し、攪拌した後、得られた分散体から有機溶剤を除去して得ることができる。
好ましくは、結晶性ポリエステル又は非晶質ポリエステルを有機溶剤に溶解した後、水、さらに必要に応じ中和剤を混合する。
結晶性ポリエステル又は非晶質ポリエステルと有機溶剤との重量比は、結晶性ポリエステル又は非晶質ポリエステル100重量部に対して、有機溶剤は100〜1000重量部が好ましく、有機溶剤と水との重量比は、有機溶剤100重量部に対して、水は100〜1000重量部が好ましい。
混合物を攪拌させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。中和剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム等のアルカリ金属;アンモニア、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、及びトリブチルアミン等の有機塩基が挙げられる。
得られたポリエステル粒子の水系分散液の固形分濃度は、好ましくは3〜50%、より好ましくは5〜30%、さらに好ましくは7〜15%である。
この方法は、少なくとも水と非イオン性界面活性剤があればよいため、有機溶剤に不溶な樹脂にも適用できる他、有機溶剤の回収や作業環境維持のための設備負担が不要であり、また機械的手段を利用する場合に必要とされる特別な装置も不要であるため、経済的に樹脂粒子分散液を製造できるという利点も有する。
非イオン性界面活性剤の使用量は、ポリエステルの融点を下げる観点から、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとの合計量100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、トナーに残存する非イオン性界面活性剤を制御する観点からは、80重量部以下が好ましい。したがって、これらを両立させる観点から、非イオン性界面活性剤の使用量は、ポリエステル100重量部に対して、5〜80重量部が好ましく、10〜70重量部がより好ましく、20〜60重量部がさらに好ましい。
工程b−1は、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含有する混合ポリエステル粒子の水系分散液を得る工程である。結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとの好ましい混合重量比は、前述の重量比のとおりである。
工程b−1において、混合ポリエステルを得る方法としては、(i)結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを加熱して予め溶融混合した混合ポリエステルを用いる方法、(ii)結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを有機溶剤中で予め溶融混合した混合ポリエステルを用いる方法が挙げられる。工程2の水系分散液を製造する際に、有機溶剤を用いる場合は、(ii)を用いる方法が容易である。有機溶剤を用いない場合は、有機溶剤を除去すればよい。
混合ポリエステル粒子の水系分散液は、上記(i)で得られた混合ポリエステル、有機溶剤及び水、さらに必要に応じ中和剤を混合し、攪拌した後、得られた分散体から有機溶剤を除去して得ることができる。
好ましくは、混合ポリエステルを有機溶剤に溶解した後、水、さらに必要に応じ中和剤を混合する。
あるいは、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを有機溶剤に溶解・混合し、混合ポリエステルを得る上記(ii)を行った後、水、さらに必要に応じ中和剤を混合し、攪拌した後、得られた分散体から有機溶剤を除去して得ることができる。
用いる有機溶剤、中和剤、その他の各種条件等については、〈工程a−1〉と同様に行い、混合ポリエステル粒子の水系分散液を得ることができる。
〈工程a−1〉〈工程b−1〉で得られる水系分散液中、ポリエステル粒子又は混合ポリエステル粒子の平均粒径は、〈工程a−2及び工程b−2〉で均一に凝集させる観点から、体積中位粒径で0.05〜2μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.8μmがさらに好ましい。
工程a−2は、工程a−1で得られた結晶性ポリエステル粒子の水系分散液及び非晶質ポリエステル粒子の水系分散液を混合し、結晶性ポリエステル粒子と非晶質ポリエステル粒子とを凝集させて樹脂粒子、すなわち凝集粒子の水系分散液を得る凝集工程である。工程a−2において、工程a−1で得られた結晶性ポリエステル粒子の水系分散液と非晶質ポリエステル粒子の水系分散液との好ましい混合重量比は、前述の重量比のとおりである。
また、工程b−2は、工程b−1で得られた混合ポリエステル粒子の水系分散液中の混合ポリエステル粒子同士を凝集させて樹脂粒子、すなわち凝集粒子の水系分散液を得る凝集工程である。
さらに、工程a−2及び工程b−2(以下、工程2という。)において、前記の着色剤、荷電制御剤、及び離型剤等の添加剤を添加してもよい。
凝集工程における系内のpHは、混合液の分散安定性と、樹脂粒子の凝集性とを両立させる観点から、2〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。
同様の観点から、凝集工程における系内の温度は、結着樹脂の軟化点−60℃(軟化点より60℃低い温度、以下同様)以上、軟化点以下が好ましい。
溶融混練には、オープンロール型二軸混練機を使用することが好ましい。オープンロール型二軸混練機は、2本のロールが並行に近接して配設された混練機であり、各ロールに熱媒体を通すことにより、加熱機能又は冷却機能を付与することができる。したがって、オープンロール型二軸混練機は、溶融混練する部分がオープン型であり、また加熱ロールと冷却ロールを備えていることから、従来用いられている二軸押出機と異なり、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。
凝集剤の使用量は、トナーの耐環境特性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。
凝集剤は、水系媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後は十分攪拌することが好ましい。
具体的には、界面活性剤を含む塩基性水系媒体中において、例えばポリエステル等の酸基を有する樹脂粒子を着色剤等の添加剤とともに、該樹脂粒子の軟化点未満、例えば10〜50℃程度の温度で攪拌して分散処理する等の通常の方法により、均一な樹脂分散液を調製することができる。
水系媒体の使用量は、続く工程で均一な凝集粒子を得る観点から、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとの合計量100重量部に対して100〜3000重量部が好ましく、400〜3000重量部がより好ましく、800〜3000重量部がさらに好ましい。
本発明において樹脂粒子の体積中位粒径は、レーザー回折型粒径測定機等により測定できる。
工程a−3は工程a−2で得られた樹脂粒子を、合一させる工程である。
また、工程b−3は工程b−2で得られた樹脂粒子を、合一させる工程である。
工程a−3及び工程b−3(以下、工程3という。)において、合一工程は、下記のとおりである。
合一工程における系内の温度は、目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、結着樹脂の軟化点−30℃以上、軟化点+10℃以下が好ましく、軟化点−25℃以上、軟化点+10℃以下がより好ましく、軟化点−20℃以上、軟化点+10℃以下がさらに好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度が好ましい。
本発明では、コア部が、上記方法(A)又は上記方法(B)により得られるものであって、シェル部が、非晶質ポリエステルである、コアシェル粒子を含むトナーも好ましい。
すなわち、コア部が、結晶性ポリエステル粒子を含む水系分散液と非晶質ポリエステル粒子を含む水系分散液とを含む水系分散液を凝集させて得られるものであって、シェル部が、非晶質ポリエステルである、コアシェル粒子を結着樹脂として含む電子写真用トナー、又はコア部が、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルを含有する混合ポリエステル粒子の水系分散液を凝集させて得られるものであって、シェル部が、非晶質ポリエステルである、コアシェル粒子を結着樹脂として含む電子写真用トナーも好ましい。
これにより、コア部が、非晶質ポリエステル及び結晶性ポリエステルを含むポリエステルであり、シェル部が、非晶質ポリエステルである、コアシェル粒子を製造することができる。シェル部に、非晶質ポリエステルを用いることで、さらに低温定着性を高めつつ、保存安定性にも優れる。
この際の非晶質ポリエステルの配合量は、樹脂粒子の結晶性ポリエステル100重量部に対して、10〜300重量部が好ましく、20〜100重量部がさらに好ましい。また、樹脂粒子の非晶質ポリエステル100重量部に対しては、5〜100重量部が好ましく、10〜80重量部が好ましい。
樹脂粒子と非晶質ポリエステル粒子の水系分散液とを混合して得られる樹脂粒子Aの平均粒径は、続いて均一に凝集させる観点から、体積中位粒径で1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmがさらに好ましい。
樹脂粒子の凝集条件は、前記工程2と同じであり、合一条件は、前記工程3と同じである。
なお、コアシェル粒子中の結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとの好ましい重量比も、前述のとおりである。
前記工程により得られた合一樹脂粒子を、適宜、ろ過等の固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程に供することにより、本発明のトナーを得ることができる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保するため、トナー表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましい。また、添加した非イオン性界面活性剤も洗浄により完全に除去することが好ましく、非イオン性界面活性剤の曇点以下での水系溶液での洗浄が好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナーの乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
また、トナーの軟化点は、低温定着性の観点から、80〜160℃が好ましく、80〜150℃がより好ましく、90〜140℃がさらに好ましい。また、ガラス転移温度は、同様の観点から、45〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。
外添剤の個数平均粒子径は好ましくは4〜200nm、より好ましくは8〜30nmである。外添剤の個数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡を用いて求められる。
本発明のトナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
各例により得られたポリエステルの軟化点、ガラス転移温度、融点、酸価、重量平均分子量、及び粒子の体積中位粒径(D50)の測定は次のとおり行った。
(軟化点)
フローテスター(株式会社島津製作所製、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(ガラス転移温度)
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q−100)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q−100)を用いて、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのまま1分間静止させ、その後昇温速度10℃/分で150℃まで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とし、最大ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とした。
(酸価)
JIS K 0070の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.04g/10mlになるように、ポリエステルをTHFに溶解させる。ついで、この溶液をメッシュ0.45μmのフッ素樹脂フィルター[アドバンテック株式会社社製、「DISMIC−25JP」]を用いて濾過して不溶成分を除き、試料溶液とした。
(2)分子量測定
下記装置を用いて、THFを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行った。試料の分子量は、あらかじめ作製した検量線に基づき算出した。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレンを標準試料として作成したものを用いた。
測定装置:HLC−8220 GPC(東ソー株式会社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー株式会社製)
(体積中位粒径(D50))
レーザー回折型粒径測定機(株式会社島津製作所製、SALD−2000J)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定する。
表1に示す1,6−ヘキサンジオール及びテレフタル酸、さらにオクチル酸錫40gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した10L容の四つ口フラスコに投入し、180℃で4時間反応させた後、10℃/1時間で210℃まで昇温、210℃で8時間保持した。その後、200℃に下げ、残りの酸を加えさらに4時間反応した後、さらに8.3kPaにて1時間反応させた。
得られた樹脂の物性を表1に示す。表1中( )内はアルコール成分のモル数を100としたときのモル比(モル%)である。
表2に示す無水トリメリット酸以外の原料、及びオクチル酸錫40gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した10L容の四つ口フラスコに投入し、230℃で8時間かけ反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに210℃にて無水トリメリット酸を加え軟化点に達するまで反応させた。
得られた樹脂の物性を表2に示す。表2中( )内はアルコール成分のモル数を100としたときのモル比(モル%)である。
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した10L容の四つ口フラスコに、表3に示すとおり、上記非晶質ポリエステルの製造例で得られた非晶質ポリエステル樹脂AA,AB3.5kgを投入し、180℃にて溶融攪拌しながら、上記実施例及び比較例で得られた結晶性ポリエステル樹脂A〜C1.5kgを加え、30分攪拌後冷却し、溶融混合樹脂を得た。
(ポリエステル分散液A〜C,AA,AB)
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた5L容の容器にメチルエチルケトン600gを投入し、上記で得られたポリエステル樹脂A〜C,AA,ABのそれぞれ200gを60℃にて添加し、溶解させた。得られた溶液に、トリエチルアミン10gを添加して中和し、続いてイオン交換水2000gを添加した後、250r/minの攪拌速度で、減圧下、50℃以下の温度でメチルエチルケトンを留去し、自己分散型の水系樹脂粒子分散液(樹脂含有量:9.6重量%(固形分換算))を得た。得られた樹脂分散体中に分散するポリエステル粒子の体積中位粒径は0.3μmであった。
ポリエステル樹脂A〜C,AA,ABの代わりに、上記溶融混合樹脂の製造例で得られた溶融混合樹脂BA〜BDを用いた以外は、上記ポリエステル樹脂を含む水系分散液と同様に行い、溶融混合樹脂を含む自己分散型の水系樹脂粒子分散液(樹脂含有量:9.6重量%(固形分換算))を得た。得られた樹脂分散体中に分散するポリエステル粒子の体積中位粒径は0.3μmであった。
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた5L容の容器にメチルエチルケトン600gを投入し、結晶性ポリエステル樹脂B60g及び非晶質ポリエステル樹脂AB140gを60℃にて添加し溶解させた。得られた溶液に、トリエチルアミン10gを添加して中和し、続いてイオン交換水2000gを添加した後、250r/minの攪拌速度で、減圧下、50℃以下の温度でメチルエチルケトンを留去し、自己分散型の水系樹脂粒子分散液(樹脂含有量:9.6重量%(固形分換算))を得た。得られた樹脂分散体中に分散するポリエステル粒子の体積中位粒径は0.3μmであった。
〈着色剤分散液〉
銅フタロシアニン(大日精化工業株式会社社製、型番:ECB−301)50gノニオン性界面活性剤(花王株式会社製、エマルゲン150)5g及びイオン交換水200gを混合し、銅フタロシアニンを溶解させ、ホモジナイザーを用いて10分間分散させて、分散した着色剤分散液を得た。体積中位粒径は120nmであった。
〈ワックス分散液〉
パラフィンワックス(日本精蝋株式会社製、HNP0190、融点:85℃)50g、カチオン性界面活性剤(花王株式会社製、サニゾールB50)5g及びイオン交換水200gを95℃に加熱して、ホモジナイザーを用いて、パラフィンワックスを分散させた後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、ワックス分散液を得た。パラフィンワックスの体積中位粒径は550nmであった。
実施例及び比較例により得られたトナーの体積中位粒径(D50)の測定及び透明性についての評価は次のとおり行った。なお、トナーの融点及びガラス転移温度の測定は、上記ポリエステル樹脂の測定と同様である。
(トナーの体積中位粒径(D50))
(1)分散液の調製:分散液[「エマルゲン 109P」(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5重量%水溶液]5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解質[「アイソトンII」(ベックマンコールター社製)]25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させ分散液を得る。
(2)測定装置:「コールターマルチサイザーII」(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:「コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19」(ベックマンコールター社製)
(3)測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子について、体積中位粒径(D50)を求める。
(1)プリンター(株式会社沖データ製、ML5400)にトナーを実装し、紙面上の未定着のトナー付着量が0.60±0.05 mg/cm2となるように現像バイアスを調整し、未定着のベタ画像を出力した。
上記プリンターの定着機をオフラインで、90℃から200℃へ5℃ずつ順次定着温度を上昇させながら、60mm/secで用紙に定着させ、定着画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆株式会社製、幅:18mm、JIS Z 1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計(マクベス社製、RD−915)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前)が最初に90%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とした。最低定着温度において印刷したベタ画像について、下記処理を行い、透明性を測定した。
(2)用紙はA4判のOHPシート(ナカバヤシ株式会社製、OHPフィルム、両面タイプ乾式コピーLBP用)を用いた。得られたベタ画像を4cm×5cmに切断し、分光色差計(日本電色工業株式会社製、SE2000)を用いて透明率を測定した。
透明率は予め未印字のOHPシートを4cm×5cmに切断し、測定面積30mmΦの冶具に固定しバックグラウンド測定をした後、同様の手法によりベタ画像を印字したOHPシートの透明率を測定した。この際にベタ画像の印字面の裏面から照射光があたるように設置し測定を行った。測定条件は380〜780nmの範囲で波長出力間隔を10nm毎で測定した。480nmにおける透明率(%)をシアンでの透明率とし、以下の評価基準に従って、透明性を評価した。
B :80〜95未満
C :70〜80未満
D :60〜70未満
E :50〜60未満
F :50%未満
(1)上記分散液の製造例により得られた、表4に示すポリエステル分散液(実施例5は結晶性ポリエステルの分散液と非晶質ポリエステルの分散液を表4に記載のとおり用いた)500g、着色剤分散液20g、ワックス分散液15g、及びカチオン性界面活性剤(花王株式会社製、サニゾールB50)1.5gを、丸型のステンレス製フラスコ中でホモジナイザーを用いて混合し、分散させた後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら48℃まで加熱した。さらに、48℃で1時間保持した後、重量平均粒径が5.1μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。
(2)凝集粒子が形成された凝集粒子分散液に、アニオン性界面活性剤(花王株式会社製、ペレックスSS−L)3gを添加した後、前記ステンレス製フラスコに還流管を装着し、攪拌を継続しながら、0.1℃/minの速度で80℃まで加熱し、5時間保持して、凝集粒子を合一し、融合させた。その後、室温まで冷却し、融合粒子をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、着色樹脂微粒子粉末を得た。得られた着色樹脂微粒子粉末の体積中位粒径(D50)は5.0μmであった。
(3)次に、得られた着色樹脂微粒子粉末100重量部に対して0.2重量部の疎水性シリカ(TS530、ワッカーケミー社製、個数平均粒子径:8nm)を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は5.0μmであった。
得られたシアントナーの融点、ガラス転移温度を測定し、透明性についての評価を表4に示す。
上記結晶性及び非晶性ポリエステルの製造により得られた、表5に示すポリエステル樹脂100重量部(合計重量5kg)、シアン顔料(大日精化工業株式会社製、ECB−301)4重量部、ポリエチレンワックス(日本精鑞株式会社製、HNP−9、融点80℃)1重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度90℃で溶融混練した。混合物の供給速度は20kg/hr、平均滞留時間は約18秒であった。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が5.0μmの粉体を得た。
得られた粉体100重量部に、外添剤として疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、アエロジル R−972)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、シアントナーを得た。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は5.0μmであった。
得られたシアントナーの融点、ガラス転移温度を測定し、透明性についての評価を表5に示す。
上記分散液の製造により得られた、溶融混合ポリエステル分散液BB=500g、着色剤分散液20g、ワックス分散液15g、荷電制御剤分散液7g及びカチオン性界面活性剤(花王株式会社製、サニゾールB50)1.5gを、丸型のステンレス製フラスコ中でホモジナイザーを用いて混合し、分散させた後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら48℃まで加熱した。さらに、48℃で1時間保持した後、重量平均粒径が5.1μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。その後、ポリエステル分散液ABを50g加え、カプセル化したコアシェル粒子である凝集粒子を得た。
コアシェル凝集粒子が形成された凝集粒子分散液に、アニオン性界面活性剤(花王株式会社製、ペレックスSS−L)3gを添加した後、上記ステンレス製フラスコに還流管を装着し、攪拌を継続しながら、0.1℃/minの速度で80℃まで加熱し、5時間保持して、凝集粒子を合一し、融合させた。その後、冷却し、融合粒子をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、着色樹脂微粒子粉末を得た。得られた着色樹脂微粒子粉末の体積中位粒径(D50)は5.0μmであった。
次に、得られた着色樹脂微粒子粉末を実施例3と同様に行いシアントナーとした。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は5.0μmであった。
得られたシアントナーの融点、ガラス転移温度を測定し、透明性についての評価を表6に示す。
(ポリエステル分散液A’)
上記実施例1で得られたポリエステル樹脂A200g、及び非イオン性界面活性剤〔ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO=9モル付加)、曇点:98℃、HLB:15.3〕100gを、5L容のステンレス容器中でカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、140℃で溶融させた。内容物を非イオン性界面活性剤の曇点より3℃低い95℃で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5重量%)75.5gを滴下した。続いて、カイ型の攪拌機で300r/minの攪拌下、脱イオン水を6g/minで滴下し、計1624.5g添加した。この間、系の温度は95℃に保持し、200メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、ポリエステル分散液A’を得た。
得られたポリエステル分散液中のポリエステル粒子(一次粒子)の体積中位粒径(D50)は0.35μm、固形濃度は12.0重量%であった。なお、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
前記ポリエステルの製造例により得られた、非晶質ポリエステルAAを用いて、上記ポリエステル分散液A’と同様に、ポリエステル分散液AA’を得た。
得られたポリエステル分散液中のポリエステル粒子(一次粒子)の体積中位粒径(D50)は0.35μm、固形濃度は12.0重量%であった。なお、金網上には樹脂成分は何も残らなかった。
上記分散液の製造により得られた、ポリエステル分散液A’/AA’=60/140gの割合で調製したもの、着色剤分散液8g、ワックス分散液6g、荷電制御剤分散液2g、及び脱イオン水52gを2L容の容器に入れ、次に、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、室温で6.2重量%硫酸アンモニウム水溶液146gを30分かけて滴下した。その後、攪拌しながら、昇熱し、50℃になった時点で50℃に固定し、3時間保持した。これにより凝集粒子を形成させた後、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム水溶液(固形分28重量%)4.2gを脱イオン水37gで希釈した希釈液を添加した。80℃まで0.16℃/minで昇温し、80℃になった時点から1時間80℃を保持した後、加熱を終了した。室温まで徐冷し、吸引ろ過工程、洗浄工程および乾燥工程を経てトナー母粒子を得た。
このトナー母粒子100重量部に対して2.0重量部の疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、R972、個数平均粒子径16nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、シアントナーとした。得られたトナーの体積中位粒径(D50)は、4.7μmであった。
得られたシアントナーの融点、ガラス転移温度を測定し、透明性についての評価を表7に示す。
Claims (7)
- アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる結晶性ポリエステル、及び非晶質ポリエステルを予め溶融混合して含有する溶融混合ポリエステルの水系分散液を、凝集及び合一させて得られる電子写真用トナーであって、
上記アルコール成分が炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有し、上記カルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸と、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種とを含有する、電子写真用トナー。 - 前記カルボン酸成分中、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸の合計の含有量が、1〜30モル%である、請求項1記載の電子写真用トナー。
- 前記アルコール成分がα,ω−直鎖アルカンジオールを含む、請求項1又は2記載の電子写真用トナー。
- 前記溶融混合ポリエステルが、前記結晶性ポリエステルと前記非晶質ポリエステルとを加熱し溶融混合して得られるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 前記溶融混合ポリエステルの水系分散液を凝集させて得られるコア部と、非晶質ポリエステルであるシェル部とからなるコアシェル凝集粒子を、合一させて得られる、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 前記溶融混合ポリエステル中の結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとの重量比が5/95〜50/50である、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナー。
- 前記非晶質ポリエステルが、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から選ばれる少なくとも一種を含有するカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させて得られるポリエステル成分を含む、請求項1〜6いずれかに記載の電子写真用トナー。
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