JP5460257B2 - トナー用結着樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トナー用結着樹脂の製造方法及び該製造方法により得られる結着樹脂を含有する電子写真用トナー、並びにトナー用結晶性ポリエステルの製造方法及び該製造方法により得られるトナー用結晶性ポリエステルに関する。
結晶性ポリエステルは、ポリエチレン等の他の結晶性樹脂と異なり、非晶質ポリエステルとの相溶性が高く、分散が容易であるという特徴や、結晶部分が発現するシャープメルト性を有するという特徴により、トナーの低温定着性向上に適した結着樹脂として、近年注目されている。
特許文献1には、低温定着性に優れ、かつ良好な粉砕性及び保存性を有するトナーを製造し得る方法を提供することを課題として、2種以上のポリエステルを含有した原料の溶融混練工程、加熱処理工程、粉砕工程及び分級工程を含むトナーの製造方法であって、前記2種以上のポリエステルが少なくとも1種の非晶質ポリエステルを含有してなり、前記加熱処理工程を、特定の式を満足する温度及び時間にて行うトナーの製造方法が開示されている。
特許文献2には、低めの定着温度で使用し得るトナーであって、優れた文書オフセット及び加熱凝集性等の特性を備えた低溶融トナーを提供することを課題として、結晶性樹脂及び非晶質樹脂を含むトナーを、該結晶性樹脂の再結晶温度の約10℃以内の温度でアニーリングする工程を含むトナーの製造方法が開示されている。
特開2005−308995号公報 特開2006−276855号公報
結晶性ポリエステルを含む水系分散液を凝集及び合一するトナー用結着樹脂の製造方法では、結晶性ポリエステルは非晶質樹脂に比べ、得られたポリエステルを水系分散液にした際の粒径が大きいという問題があった。
特許文献1及び2は、いずれもトナーの加熱処理について開示しているが、結晶性ポリエステルの水系分散液を用いる、いわゆるケミカル法における上記の問題点及びその解決手段については何ら開示していない。
本発明の課題は、上記問題を解決し、結晶性ポリエステルを水系分散液にした際の粒径を小さくすること、並びに表面処理時に融着量が少なく、帯電度の環境安定性が高く、加重保存安定性に優れた電子写真用トナーを得ることである。更には、これら特性を有する電子写真用トナーを得るためのトナー用結着樹脂の製造方法及び該製造方法により得られる結着樹脂を含有する電子写真用トナー、並びにトナー用結晶性ポリエステルの製造方法及び該製造方法により得られるトナー用結晶性ポリエステルを提供することである。
前記の現象は、カルボン酸成分として、炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物を用いた場合に顕著となる。その理由として、本発明者らは、結晶化(球晶化)が不十分な低分子量成分(例えば重量平均分子量400以下の低分子量成分であり、以下同様)が結晶性ポリエステル粒子中から分散媒体中へ溶け出し、これが凝集を促進するためと推測した。本発明者らは、この結晶ポリエスルの樹脂物性を安定化させるために、結晶性ポリエステルを含む水系分散液を製造する前に、結晶性ポリエステルを特定条件下にて加熱処理することにより、結晶性ポリエステルを水系分散液にした際の小粒径化できることを見出した。これは、前記低分子量成分を結晶化(球晶化)させることで、分散媒体中へ溶解する低分子量成分の量を減少させることができたためと考えられる。
更に、該方法により得られる結晶性ポリエステルを含有する水系分散液を用いて得られる結着樹脂を含有するトナーは、表面処理時に融着量が少なく、帯電度の環境安定性が高く、加重保存安定性に優れることを見出した。
本発明は、下記[1]〜[4]に関する。
[1]下記工程1〜工程4を有する、トナー用結着樹脂の製造方法。
工程1:少なくとも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分とを縮重合反応に付した後、40℃以下になるまで冷却後、40℃を超える温度であって、「吸熱の最大ピーク温度(℃)−40℃」〜「吸熱の最大ピーク温度(℃)−5℃」で加熱処理し、結晶性ポリエステルを得る工程。
工程2:工程1で得られた結晶性ポリエステルを含む水系分散液を得る工程。
工程3:工程2で得られた結晶性ポリエステルを含む水系分散液を、非晶質樹脂を含む水系分散液と混合し、次いで凝集工程に付すことにより凝集粒子の水系分散液を得る工程。
工程4:工程3で得られた凝集粒子の水系分散液を合一工程に付すことにより合一粒子の水系分散液を得る工程。
[2]上記[1]に記載の製造方法により得られるトナー用結着樹脂を含有する、電子写真用トナー。
[3]下記工程1−1〜工程1−3を有する、トナー用結晶性ポリエステルの製造方法。
工程1−1:少なくとも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分とを縮重合反応に付す工程。
工程1−2:工程1−1で得られたポリエステルを40℃以下になるまで冷却する工程。
工程1−3:工程1−2で冷却したポリエステルを、40℃を超える温度であって、「吸熱の最大ピーク温度(℃)−40℃」〜「吸熱の最大ピーク温度(℃)−5℃」で加熱処理する工程。
[4]上記[3]に記載の製造方法により得られるトナー用結晶性ポリエステル。
本発明の製造方法により得られる結晶性ポリエステルは、水系分散液にした際に小粒径化することができ、該結晶性ポリエステルを用いて得られる結着樹脂を含有する電子写真用トナーは、表面処理時に融着量が少なく、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性に優れる。
実施例1により得られた結晶性ポリエステルについて、示差走査熱量計(1st RUN)によって観測された全吸熱ピークを示す図である。 比較例1により得られた結晶性ポリエステルについて、示差走査熱量計(1st RUN)によって観測された全吸熱ピークを示す図である。 実施例1により得られた結晶性ポリエステルについて、示差走査熱量計(1st RUN及び2nd RUN)によって観測された吸熱の最大ピーク温度を示す図である。
[結晶性ポリエステルの製造方法]
本発明は、下記工程1−1〜工程1−3を有する、トナー用結晶性ポリエステルの製造方法であって、好ましくは結晶性ポリエステルを含む水系分散液を凝集、合一して得られるトナー用結着樹脂に用いる結晶性ポリエステルの製造方法である。
工程1−1:少なくとも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分とを縮重合反応に付す工程。
工程1−2:工程1−1で得られたポリエステルを40℃以下になるまで冷却する工程。
工程1−3:工程1−2で冷却したポリエステルを、40℃を超える温度であって、「吸熱の最大ピーク温度(℃)−40℃」〜「吸熱の最大ピーク温度(℃)−5℃」で加熱処理する工程。
なお、本明細書では、単に吸熱の最大ピーク温度という場合には、実施例に記載の方法により測定した「1st RUN」での値を示す。
ここで、ポリエステル等の樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最大ピーク温度との比、即ち、「軟化点/吸熱の最大ピーク温度」で定義される結晶性指数によって表わされ、一般にこの結晶性指数が1.4を超えると樹脂は非晶質であり、0.6より小さいときは結晶性が低く非晶質部分が多い。本発明において、「結晶性ポリエステル」とは、結晶性指数が0.6〜1.4、好ましくは0.8〜1.2、更に好ましくは0.9〜1.1であるポリエステルをいい、「非晶質樹脂」とは、結晶性指数が1.4より大きいか、0.6未満の樹脂をいう。
上記の吸熱の最大ピーク温度とは、実施例に記載する測定方法の条件下で観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度のことを指す。最大ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば結晶性樹脂(結晶性ポリエステル)の融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークは非晶質樹脂のガラス転移に起因するピークとする。
前記樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。
以下、工程1−1〜工程1−3について順に説明する。
<工程1−1>
工程1−1は、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分とを縮重合反応に付す工程である。
−アルコール成分−
工程1−1で使用する、結晶性ポリエステルの原料モノマーであるアルコール成分は、ポリエステルの結晶性を高める観点から、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを含有する。
炭素数2〜10の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,4−ブテンジオール等が挙げられる。これらの中でも、炭素数4〜8の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数4〜6の脂肪族ジオールがより好ましく、また、結晶性の観点からは、炭素数2〜10のα,ω−直鎖アルカンジオールが好ましく、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオールがより好ましく、トナーの外添剤による表面処理時の融着量及び帯電度の環境安定性の観点からは、1,6−ヘキサンジオールが更に好ましい。
上記炭素数2〜10の脂肪族ジオールの含有量は、結晶性ポリエステルの結晶性をより高める観点から、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%である。1種類のα,ω−直鎖アルカンジオールのアルコール成分中における含有量は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは70〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%である。
アルコール成分として使用し得る、炭素数2〜10の脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等を含む下記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。
Figure 0005460257
(式中、Rは、炭素数2又は3のアルキレン基を示す。x及びyは、正の数を示し、xとyの和は、1〜16、好ましくは1.5〜5である。)
−カルボン酸成分−
工程1−1で使用する、結晶性ポリエステルの原料モノマーであるカルボン酸成分としては、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点並びに工程1−2及び工程1−3による効果が顕著になるという観点から、少なくとも炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物を使用する。
なお、本発明においては、カルボン酸並びにその酸無水物及びそのアルキル(炭素数1〜3)エステル等の誘導体等を、カルボン酸化合物と総称する。
(炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物)
炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、炭素数10〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましく、セバシン酸がより好ましい。
炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、カルボン酸成分中、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%、より更に好ましくは実質的に100モル%である。
本発明では、炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分を併用することができる。例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、炭素数2〜7の脂肪族ジカルボン酸化合物、3価以上の芳香族多価カルボン酸化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
芳香族ジカルボン酸化合物には、縮合反応により芳香族ジカルボン酸由来の構成単位と同じ構成単位となり得る芳香族ジカルボン酸誘導体も含まれる。芳香族ジカルボン酸化合物の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、並びにそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステルが好ましく挙げられる。該アルキルエステル中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。
炭素数2〜7の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸等;ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸;それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等の誘導体が挙げられる。
(複合樹脂)
更に、工程1−1では、(i)スチレン系樹脂の原料モノマー、及び(ii)該スチレン系樹脂の原料モノマーと前記アルコール成分のいずれとも反応し得る両反応性モノマーを反応系に添加することにより、縮重合反応に加えて付加重合反応に付すことにより、結晶性ポリエステルを複合樹脂とすることもできる。
スチレン系樹脂成分の原料モノマーとしては、スチレン、又はα−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体(以下、スチレンとスチレン誘導体をまとめて「スチレン誘導体」と称する)が用いられる。
スチレン誘導体を使用する場合、その使用量は、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、前記アルコール成分100モルに対して、50〜130モルが好ましく、70〜120モルがより好ましく、90〜110モルが更に好ましい。
スチレン誘導体以外に用いられるスチレン系樹脂成分の原料モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のアミノ基を含有する不飽和モノマー;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類等が挙げられる。
上記スチレン系樹脂成分の原料モノマーは、2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
スチレン系樹脂の原料モノマーと前記アルコール成分のいずれとも反応し得る両反応性モノマーとしては、分子内に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する化合物が好ましく、カルボキシル基とエチレン性不飽和結合とを有する化合物がより好ましい。このような両反応性モノマーを用いることにより、分散相となる樹脂の分散性をより向上させることができる。
両反応性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種がさらに好ましく、縮重合反応及び付加重合反応の反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸又はフマル酸がさらにより好ましい。
両反応性モノマーを使用する場合、その使用量は、スチレン系樹脂成分の分散性の観点、並びにトナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、前記アルコール成分100モルに対して、2〜25モルが好ましく、3〜20モルがより好ましく、5〜18モルが更に好ましく、8〜15モルがより更に好ましい。また、スチレン系樹脂成分の原料モノマー100モルに対して、2〜25モルが好ましく、3〜20モルがより好ましく、5〜18モルが更に好ましく、6〜13モルがより更に好ましい。
(複合樹脂の製造方法)
複合樹脂は、以下の(1)〜(3)の方法により製造することが好ましい。なお、両反応性モノマーは、スチレン系樹脂成分の原料モノマーと共に反応系に供給されることが好ましい。
(1)アルコール成分及びカルボン酸成分による縮重合反応の工程(A)の後に、スチレン系樹脂成分の原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合反応の工程(B)を行う方法。工程(B)の後に、再度反応温度を上昇させ、必要に応じて、縮重合系樹脂成分の3価以上の原料モノマー等を架橋剤として重合系に添加し、工程(A)の縮重合反応や両反応性モノマーとの反応をさらに進めることもできる。
(2)スチレン系樹脂成分の原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合反応の工程(B)の後に、縮重合系樹脂成分の原料モノマーによる縮重合反応の工程(A)を行う方法。
アルコール成分及びカルボン酸成分については、付加重合反応時に反応系内に存在させておき、縮重合反応に適した温度でエステル化触媒を添加させることにより縮重合反応を開始することもできるし、縮重合反応に適した温度条件下で反応系内に後から添加することにより縮重合反応を開始することもできる。前者の場合は、縮重合反応に適した温度でエステル化触媒を添加することで調節できる。
(3)アルコール成分及びカルボン酸成分による縮重合反応の工程(A)とスチレン系樹脂成分の原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合反応の工程(B)とを並行して行う方法。
この方法では、付加重合反応に適した反応温度条件下で工程(A)と工程(B)とを行い、反応温度を上昇させ、縮重合反応に適した温度条件下で、必要に応じて、縮重合系樹脂成分の3価以上の原料モノマー等を架橋剤として重合系に添加し、更に工程(A)の縮重合反応を行うことが好ましい。その際、縮重合反応に適した温度条件下では、ラジカル重合禁止剤を添加して縮重合反応だけを進めることもできる。両反応性モノマーは付加重合反応と共に縮重合反応にも関与する。
以上の中でも、方法(2)が簡便であり好ましい。
付加重合反応に適した温度は、スチレン系樹脂の数平均分子量を前記の範囲とし、120℃以上180℃未満が好ましく、165℃以上180℃未満がより好ましい。なお、後述の通り、縮重合反応に適した温度は、180〜250℃が好ましく、180〜230℃が好ましい。
上記(1)〜(3)の方法は、同一容器内で行うことが好ましい。
(縮重合反応)
工程1−1では、少なくとも前記アルコール成分と前記カルボン酸成分とを縮重合反応に付す。該縮重合反応は、エステル化触媒の存在下で行うことが好ましく、貯蔵弾性率の高い結晶性ポリエステルを得る観点から、エステル化触媒とピロガロール化合物の共存在下で行うことがより好ましい。
縮重合に好適に用いられるエステル化触媒としては、チタン化合物及びSn−C結合を有していない錫(II)化合物が挙げられ、これらはそれぞれ単独で使用又は両者を併用することができる。
チタン化合物としては、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
チタン化合物の具体例としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C37O)2〕、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート〔Ti(C4102N)2(C37O)2〕、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C511O)2〕、チタンジエチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C25O)2〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(OHC816O)2〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C1837O)2〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)1(C37O)3〕、及びチタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C6143N)3(C37O)1〕等が挙げられる。これらの中では、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート、及びチタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが好ましく、これらは、例えば株式会社マツモト交商の市販品としても入手可能である。
他の好ましいチタン化合物の具体例としては、テトラ−n−ブチルチタネート〔Ti(C49O)4〕、テトラプロピルチタネート〔Ti(C37O)4〕、テトラステアリルチタネート〔Ti(C1837O)4〕、テトラミリスチルチタネート〔Ti(C1429O)4〕、テトラオクチルチタネート〔Ti(C817O)4〕、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネート〔Ti(C817O)2(OHC816O)2〕、及びジミリスチルジオクチルチタネート〔Ti(C1429O)2(C817O)2〕等が挙げられる。これらの中では、テトラステアリルチタネート、テトラミリスチルチタネート、テトラオクチルチタネート、及びジオクチルジヒドロキシオクチルチタネートが好ましく、これらは、例えばハロゲン化チタンを対応するアルコールと反応させることにより得ることもできるが、ニッソー株式会社等の市販品としても入手可能である。
Sn−C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn−O結合を有する錫(II)化合物、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく挙げられ、Sn−O結合を有する錫(II)化合物がより好ましい。
Sn−O結合を有する錫(II)化合物としては、シュウ酸錫(II)、ジ酢酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジラウリル酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、及びジオレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);ジオクチロキシ錫(II)、ジラウロキシ錫(II)、ジステアロキシ錫(II)、及びジオレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)等が挙げられる。
Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物としては、塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)等が挙げられる。これらの中では、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(R1COO)2Sn(式中、R1は、炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(式中、R2は、炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるジアルコキシ錫(II)、及びSnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)及び酸化錫(II)がより好ましく、ジオクタン酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、及び酸化錫(II)が更に好ましい。
上記チタン化合物及び錫(II)化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記エステル化触媒の存在量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましい。
また、工程1−1においてスチレン系樹脂成分の原料モノマーを使用する場合、重合開始剤として、例えばベンゾイルパーオキシド;ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート;ジイソプロピルパーオキシド;ジクミルパーオキシド;ターシャリーブチルパーオキシジイソプロピルカーボネート;1,3−ビス(ターシャリーブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;2,2−ジターシャリーブチルパーオキシブタン等の公知の有機化酸化物を併用することができる。
また、ピロガロール化合物は、互いに隣接する3個の水素原子が水酸基で置換されたベンゼン環を有するものであり、ピロガロール、没食子酸、没食子酸エステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート等のカテキン誘導体等が挙げられる。
縮重合反応におけるピロガロール化合物の存在量は、縮重合反応に供されるアルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.001〜1重量部が好ましく、0.005〜0.4重量部がより好ましく、0.01〜0.2重量部が更に好ましい。ここで、ピロガロール化合物の存在量とは、縮重合反応に供したピロガロール化合物の全配合量を意味する。
ピロガロール化合物とエステル化触媒の重量比(ピロガロール化合物/エステル化触媒)は、樹脂の耐久性の観点から、0.01〜0.5が好ましく、0.03〜0.3がより好ましく、0.05〜0.2が更に好ましい。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合反応は、例えば、錫化合物、チタン化合物等のエステル化触媒、重合禁止剤等の存在下、不活性ガス雰囲気中で行うことができ、温度条件は、120〜250℃が好ましく、最終到達温度としては、180〜250℃が好ましく、190〜230℃がより好ましい。
具体的には、例えば樹脂の強度を上げるために全原料モノマーを一括仕込みしたり、例えば、重量平均分子量400以下の低分子量成分を少なくするために2価の原料モノマーを先ず反応させた後、3価以上の原料モノマーを添加して反応させる等の方法を用いてもよい。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応促進させてもよい。
縮重合反応の終点は、攪拌装置を用いない反応槽中で終了する場合は、反応槽から結晶性ポリエステルを取り出した時であり、攪拌装置を用いる反応槽中で終了する場合は、攪拌を実質上停止した時である。なお、縮重合反応中の攪拌速度は、好ましくは50〜1000rpm程度であり、より好ましくは100〜500rpm程度である。
<工程1−2>
工程1−2は、前記工程1−1で得られたポリエステルを40℃以下になるまで冷却する工程である。トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、好ましくは35℃以下、より好ましくは30℃以下になるまで冷却する。該冷却操作によって、球晶を十分に析出させることができる。冷却が不十分であると、球晶の析出が不十分となり、トナーの外添剤による表面処理時の融着量が増大し、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性が低下する傾向にある。冷却工程は、空冷、水冷などの冷却方法を用いることができる。実機ではスチールベルトクーラー(日本ベルティング株式会社製、サンドビック株式会社製)、ドラムクーラー(菱化テクノ株式会社製、三井三池化工機株式会社製)等の冷却装置を使用してもよい。
球晶を十分に析出させるため、目安として、結晶性ポリエステルの縮重合反応終了時の温度から40℃になるまでの冷却時間が1〜24時間であることが好ましく、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、より好ましくは3〜18時間、更に好ましくは5〜12時間である。40℃になるまでにかける冷却時間が上記範囲であれば、結晶化(球晶化)が十分に進み、トナーの外添剤による表面処理時の融着量が低減され、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性がより良好になる。なお、冷却速度は、好ましくは5〜100℃/時、より好ましくは10〜85℃/時、更に好ましくは15〜60℃/時、より更に好ましくは15〜45℃/時である。一定の速度で冷却することが好ましく、冷却操作中、冷却速度の緩急は、±20℃/時の範囲内(好ましくは±10℃/時の範囲内、より好ましくは±5℃/時の範囲内、更に好ましくは±3℃/時の範囲内)に抑えることが好ましい。
トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、工程1−2の後、後述する加熱処理の工程1−3を行うまで(以下、「工程1−2から工程1−3への移行所要時間」と称する)の間に、好ましくは1日以上、より好ましくは1〜30日、更に好ましくは1〜15日設け、工程1−2で得られたポリエステルを前記冷却後の温度以下(40℃以下)、好ましくは0〜40℃、より好ましくは5〜35℃、更により好ましくは5〜30℃にて放置しておく。結晶性ポリエステルを工程1−2において冷却した後にも結晶化が進行するため、工程1−2から工程1−3への移行所要時間を設け、十分に結晶化が進んでから加熱処理を施すことが上記観点から好ましい。
<工程1−3>
工程1−3は、工程1−2で冷却したポリエステルを、40℃を超える温度であって、「吸熱の最大ピーク温度(℃)−40℃」〜「吸熱の最大ピーク温度(℃)−5℃」で加熱処理する工程である。加熱処理は、実質的に結晶性ポリエステルのみで行なう。ここで、上記の吸熱の最大ピーク温度は、前記工程1−2にて冷却した結晶性ポリエステルを室温(20℃)まで冷却し、実施例に記載の条件にて示差走査熱量計(DSC)で測定した値である。吸熱の最大ピーク温度(℃)は、工程1−2から工程1−3への移行所要時間経過時に測定した温度であり、該温度は、工程1−2から工程1−3への移行所要時間の変動によって本質的に変化しない。
加熱温度は、球晶を均一化し、水系分散液にした際の粒径を小さくし、結晶性ポリエステル粒子の粒度分布の変動係数(CV値)を小さくする観点、並びにトナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、好ましくは「吸熱の最大ピーク温度(℃)−35℃」〜「吸熱の最大ピーク温度(℃)−10℃」、より好ましくは「吸熱の最大ピーク温度(℃)−30℃」〜「吸熱の最大ピーク温度(℃)−10℃」、更に好ましくは「吸熱の最大ピーク温度(℃)−25℃」〜「吸熱の最大ピーク温度(℃)−10℃」、より更に好ましくは「吸熱の最大ピーク温度(℃)−25℃」〜「吸熱の最大ピーク温度(℃)−14℃」である。
加熱処理時間は、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、0.5〜48時間が好ましく、1〜24時間がより好ましく、3〜18時間が更に好ましく、5〜15時間がより更に好ましい。加熱処理時間がこの範囲であれば、球晶が均一化されると考えられる。
工程1−3における加熱処理には、オーブン等を用いることができる。例えば、オーブンを用いる場合、工程1−2で得られたポリエステルをそのままオーブン内に入れ、前記温度に保持することにより、加熱処理を簡便に行なうことができる。
工程1−2に加えて工程1−3を行うことにより、結晶性ポリエステルのみならず、結晶性ポリエステル中の例えば重量平均分子量400以下の低分子量成分も十分に球晶化して、分散媒体中へ溶解する低分子量成分の含有量を減少させることができたため、結晶性ポリエステルを水系分散液にした際の粒径を小さくできたものと考えられる。
なお、前記低分子量成分が球晶化することは、工程1−3後に得られる結晶性ポリエステルについて示差走査熱量計を用いて吸熱ピーク(1st RUN)を観測した場合に、吸熱の最大ピークから2番目の吸熱ピークが確認されることで説明される。該2番目の吸熱ピークの温度は、「2番目のピーク温度以下のベースラインの延長線と2番目のピークの立ち上がり部分から2番目のピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度」であり、好ましくは「工程1−3後に得られる結晶性ポリエステルの融点−30℃」〜「該融点−5℃」、より好ましくは「該温度−20℃」〜「該融点−5℃」、更に好ましくは「該温度−20℃」〜「該融点−10℃」である。
更に、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、工程1−3後に得られる結晶性ポリエステルを、昇温速度10℃/分で180℃まで昇温しながら測定した(1st RUN)際に観測される吸熱ピークのうち最も高温側の最大ピーク温度が、引き続き、180℃から0℃まで10℃/分で降温した後、再び、昇温速度10℃/分で180℃まで昇温しながら測定した(2nd RUN)際に観測される吸熱ピークのうち最も高温側の最大ピーク温度(2nd RUNの吸熱の最大ピーク温度)より、2〜7℃高いことが好ましく、3〜7℃高いことがより好ましい。この温度差は、結晶性ポリエステルの球晶の大きさと相関すると考えられ、工程1−2において、結晶性ポリエステルの冷却速度を前記のように制御することで達成することができる。2nd RUNの吸熱の最大ピーク温度は、結晶性ポリエステルの急冷後の最大ピーク温度に該当する。
(結晶性ポリエステルの物性)
以上の様にして得られる結晶性ポリエステルは、トナー用の結晶性ポリエステルとして有用である。本発明の結晶性ポリエステルの物性は以下の通りである。
本発明の結晶性ポリエステルの数平均分子量は、特に制限されるものではないが、通常好ましくは1,000以上、より好ましくは1,500以上である。ただし、結晶性ポリエステルの生産性を考慮すると、数平均分子量は6,000以下が好ましく、5,000以下がより好ましく、4,500以下が更に好ましい。上記観点から、本発明の結晶性ポリエステルの数平均分子量は、1,000〜6,000が好ましく、1,000〜5,000がより好ましく、1,500〜4,500が更に好ましい。
また、重量平均分子量も、数平均分子量と同様の観点から、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは8,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、更に好ましくは30,000以下、より更に好ましくは20,000以下である。上記観点から、本発明の結晶性ポリエステルの重量平均分子量は、3,000〜100,000が好ましく、5,000〜50,000がより好ましく、5,000〜30,000が更に好ましく、8,000〜20,000がより更に好ましい。
なお、本発明において、結晶性ポリエステルの数平均分子量及び重量平均分子量は、いずれもクロロホルム可溶分を測定した値をいう。
なお、結晶性ポリエステルを前記複合樹脂とした場合には、結晶性ポリエステル中のスチレン系樹脂成分の数平均分子量は、複合樹脂である結晶性樹脂における分散性の観点から、400〜7,000が好ましく、1,000〜4,000がより好ましく、1,500〜3,000が更に好ましい。本発明において、スチレン系樹脂の数平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分を測定した値をいう。
また、本発明により得られる結晶性ポリエステルの軟化点は、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、60〜160℃が好ましく、60〜120℃がより好ましく、65〜100℃が更に好ましく、65〜90℃がより更に好ましい。
本発明により得られる結晶性ポリエステルの融点は、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、好ましくは60〜130℃、より好ましくは65〜110℃、更に好ましくは65〜90℃である。
結晶性ポリエステルの酸価は、水系分散液中における結晶性ポリエステルの分散を良好なものとする観点より、1〜40mgKOH/gが好ましく、2〜35mgKOH/gがより好ましく、3〜30mgKOH/gが更に好ましい。
なお、数平均分子量、軟化点、融点及び酸価は、原料モノマー組成、重合開始剤、分子量、触媒量等の調整又は反応条件の選択により容易に調整することができる。
(非晶質樹脂)
後述する本発明の電子写真用トナーの製造には、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、前記結晶性ポリエステルと共に非晶質樹脂を用いることが好ましい。
非晶質樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる縮重合系樹脂であることが好ましい。本発明においては、非晶質樹脂は、前記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物及び/又は炭素数2〜10の脂肪族ジオールを70モル%以上含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル樹脂であることが好ましい。
−アルコール成分−
前記ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物及び/又は炭素数2〜10の脂肪族ジオールの合計含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%である。炭素数2〜10の脂肪族ジオールとしては、炭素数2〜5の脂肪族ジオールが好ましく、1,2−プロパンジオールがより好ましい。ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を使用すると、環境安定性が改善される。
アルコール成分に含有され得るビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外のアルコールとしては、前記結晶性ポリエステルに用いられるのと同様の3価以上のアルコールを例示することができる。
−カルボン酸成分−
非晶質樹脂のカルボン酸成分は、非晶質樹脂と結晶性ポリエステルとの相溶性を高める観点から、結晶性ポリエステルに用いられるカルボン酸成分として記載されたのと同様の芳香族ジカルボン酸化合物を含有することが好ましく、テレフタル酸化合物を含有することがより好ましい。なお、テレフタル酸化合物をカルボン酸成分として用いて得られた非晶質樹脂と、テレフタル酸化合物を用いずに得られた非晶質樹脂とをそれぞれ準備し、組み合わせて用いてもよい。
芳香族ジカルボン酸化合物を含有する場合、その含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは30〜95モル%、より好ましくは40〜90モル%、更に好ましくは50〜85モル%である。なお、テレフタル酸化合物をカルボン酸成分として用いて得られた非晶質樹脂と、テレフタル酸化合物を用いずに得られた非晶質樹脂とをそれぞれ準備し、組み合わせて用いる場合には、テレフタル酸化合物をカルボン酸成分として用いて得られた非晶質樹脂とテレフタル酸化合物を用いずに得られた非晶質樹脂との比率(前者/後者)は、重量比で、1/3〜3/1が好ましく、1/2〜3/1がより好ましく、1/1〜2/1が更に好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物以外の使用し得る2価のカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸等の炭素数2〜10(好ましくは炭素数4〜10、より好ましくは炭素数4〜8)の脂肪族ジカルボン酸;ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸;それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
上記炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸を含有する場合、その含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは30〜90モル%、より好ましくは40〜85モル%、更に好ましくは50〜75モル%である。上記炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸を含有する場合、その含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは3〜30モル%、より好ましくは5〜20モル%、更に好ましくは5〜15モル%である。
また、芳香族ジカルボン酸化合物以外の使用し得る3価以上の多価カルボン酸化合物としては、前記結晶性ポリエステルに用いられるのと同様のものを例示することができる。
3価以上の多価カルボン酸化合物を含有する場合、その含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは3〜40モル%、より好ましくは5〜35モル%、更に好ましくは5〜30モル%である。
(非晶質樹脂の物性)
非晶質樹脂の数平均分子量は、1,000〜6,000が好ましく、2,000〜5,000がより好ましい。また、重量平均分子量は、好ましくは10,000以上、より好ましくは30,000以上であり、好ましくは1,000,000以下である。なお、非晶質樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量は、いずれもテトラヒドロフラン可溶分を測定した値をいう。
非晶質樹脂の軟化点は、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、好ましくは70〜180℃、より好ましくは90〜150℃である。なお、本発明に用いられる非晶質樹脂は、軟化点の高い樹脂(以下、高軟化点樹脂と称する)と軟化点の低い樹脂(以下、低軟化点樹脂と称する)とを併用することで、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の点においてより優れるものとなる。高軟化点樹脂と低軟化点樹脂とを併用する場合、一方又は両者を2種以上用いてもよい。
具体的には、高軟化点樹脂の軟化点は、好ましくは110〜150℃であり、低軟化点樹脂の軟化点は、好ましくは90℃以上、110℃未満である。併用する高軟化点樹脂の軟化点と低軟化点樹脂の軟化点は、10℃以上異なることが好ましく、15〜40℃異なることがより好ましい。
高軟化点樹脂と低軟化点樹脂を併用する場合、高軟化点樹脂の低軟化点樹脂に対する重量比(高軟化点樹脂/低軟化点樹脂)は、1/3〜3/1が好ましく、1/3〜2/1がより好ましく、1/2〜1/1が更に好ましい。
非晶質樹脂のTgは、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、好ましくは45〜80℃、より好ましくは55〜75℃である。
非晶質樹脂の酸価は、水系分散液中における非晶質樹脂の分散を良好なものとする観点より、1〜40mgKOH/gが好ましく、2〜35mgKOH/gがより好ましく、3〜30mgKOH/gが更に好ましい。
なお、数平均分子量、軟化点、Tg及び酸価は、原料モノマー組成、重合開始剤、分子量、触媒量等の調整又は反応条件の選択により容易に調整することができる。
(変性非晶質樹脂)
本発明で用いられる非晶質樹脂には、変性非晶質樹脂も含まれる。
変性非晶質樹脂としては、例えば、樹脂がウレタン結合で変性されたウレタン変性ポリエステル、ポリエステルがエポキシ結合で変性されたエポキシ変性ポリエステル、及びポリエステル成分を含む2種以上の樹脂を有するハイブリッド樹脂等が挙げられる。
非晶質樹脂として、前記ポリエステル樹脂とその変性非晶質樹脂は、いずれか一方でも、両者が併用されてもよく、具体的には、ポリエステル、及び/又はポリエステルとスチレン系樹脂とを有するハイブリッド樹脂であってもよい。
[トナー用結着樹脂の製造方法]
本発明のトナー用結着樹脂(以下、単に結着樹脂と称することがある)の製造方法に特に制限は無いが、結晶性ポリエステルを含む水系分散液と非晶質樹脂を含む水系分散液とを凝集工程及び合一工程に付すことにより得られる。具体的には、下記工程1〜工程4を含む製造方法により得ることができる。
工程1:少なくとも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分とを縮重合反応に付した後、40℃以下になるまで冷却後、40℃を超える温度であって、「吸熱の最大ピーク温度(℃)−40℃」〜「吸熱の最大ピーク温度(℃)−5℃」で加熱処理し、結晶性ポリエステルを得る工程。
工程2:工程1で得られた結晶性ポリエステルを含む水系分散液を得る工程。
工程3:工程2で得られた結晶性ポリエステルを含む水系分散液を、非晶質樹脂を含む水系分散液と混合し、次いで凝集工程に付すことにより凝集粒子の水系分散液を得る工程。
工程4:工程3で得られた凝集粒子の水系分散液を合一工程に付すことにより合一粒子の水系分散液を得る工程。
結着樹脂中における結晶性ポリエステルと非晶質樹脂との重量比(結晶性ポリエステル/非晶質樹脂)は、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、5/95〜50/50が好ましく、10/90〜40/60がより好ましく、15/85〜35/65が更に好ましい。
更に、結晶性ポリエステル、非晶質樹脂及びこれらを含む結着樹脂は、有機溶剤への溶解性に優れたものであることが好ましい。
上記製造方法により得られる結着樹脂の酸価は、トナーの帯電性及び耐加水分解性の観点より、1〜40mgKOH/gが好ましく、2〜35mgKOH/gがより好ましく、3〜30mgKOH/gが更に好ましい。
上記結着樹脂を含有する本発明の電子写真用トナーは、本発明の効果を損なわない範囲で、前記結着樹脂とは異なる公知のトナー用結着樹脂、例えば、ポリエステル、スチレン−アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂を含有していてもよい。
本発明の電子写真用トナーにおいて、本発明のトナー用結着樹脂の製造方法により得られる結着樹脂の含有量は、全結着樹脂中、50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上が更に好ましく、実質的に100重量%であることがより更に好ましい。
以下、本発明のトナー用結着樹脂の製造方法に関する前記工程1〜工程4について順に説明する。
[工程1]
工程1は、前記工程1−1、工程1−2及び工程1−3を有する工程であり、これらの工程については前記説明と同じである。該工程1で得られる結晶性ポリエステルを、後述の工程2に用いる。
[工程2]
工程2は、工程1で得られた結晶性ポリエステルを含む水系分散液を得る工程である。該工程2の説明において、工程3で使用する非晶質樹脂を含む水系分散液を得る方法についても併せて説明する。
本明細書中、「水系」とは、有機溶剤等の溶剤を含有していてもよいが、水を好ましくは50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは99重量%以上含有するものをいう。また、以下、単に「樹脂」と記載する場合には、結晶性ポリエステルと非晶質樹脂の両方を指す。
結晶性ポリエステルを含む水系分散液又は非晶質樹脂を含む水系分散液は、結晶性ポリエステル又は非晶質樹脂、有機溶剤及び水、更に必要に応じて中和剤や界面活性剤を混合し、攪拌した後、蒸留等によって有機溶剤を除去することにより得られる。好ましくは、結晶性ポリエステル又は非晶質樹脂及び必要に応じて界面活性剤を有機溶剤に溶解した後、水、更に必要に応じて中和剤を混合する。なお、混合物を攪拌する際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。
本発明で得られた前記結晶性ポリエステルを用いて水系分散液を製造すると、得られる結晶性ポリエステル粒子(球晶)の体積中位粒径は小さく、かつ結晶性ポリエステル粒子の粒度分布の変動係数(CV値)が小さいという特徴を有する。その結果、該結晶性ポリエステルを用いて得られる結着樹脂を含有する本発明の電子写真用トナーは、トナーの外添剤による表面処理時の融着量が少なく、かつ帯電度の環境安定性及び加重保存安定性に優れる。
有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、及びイソブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、2−ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びジエチルケトン等のケトン系溶媒;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチルが挙げられる。これらの中では、結晶性ポリエステルの分散性の観点から、酢酸エチル、2−ブタノンが好ましい。
中和剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム等のアルカリ金属;アンモニア、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、及びトリブチルアミン等の有機塩基が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系(例えばアルキルエーテルカルボン酸塩等)等のアニオン性界面活性剤;アミン塩型、第4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤;後述の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤を使用する場合、その使用量は、結晶性ポリエステル又は非晶質樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。
結晶性ポリエステル又は非晶質樹脂と混合する際に用いる有機溶剤の使用量は、結晶性ポリエステル又は非晶質樹脂100重量部に対して、100〜1000重量部が好ましい。結晶性ポリエステル又は非晶質樹脂と混合する際に用いる水の使用量は、有機溶剤100重量部に対して、100〜1000重量部が好ましい。
結晶性ポリエステル又は非晶質樹脂を有機溶剤に混合(溶解)する際の温度は、30〜90℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。結晶性ポリエステルを有機溶剤に混合(溶解)する際の温度は、溶解性の観点から、非晶質樹脂を有機溶剤に混合(溶解)する際の温度よりも高い(好ましくは10℃以上高い)ことが好ましい。
結晶性ポリエステル含む水系分散液及び非晶質樹脂を含む水系分散液の固形分濃度は、適宜水を加えることにより、いずれも好ましくは3〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは7〜15重量%に調整する。
また、前記有機溶剤を使用せずに、分散液とすることもできる。これは、樹脂は、非イオン性界面活性剤と混合することにより、得られる混合物の粘度が低下するためであり、混合物の粘度の低下が、非イオン性界面活性剤が樹脂に相溶し、樹脂の軟化点が見掛け上、低下することによるものである。この現象を利用して、非イオン性界面活性剤が相溶した樹脂の見かけ上の軟化点を水の沸点以下に下げることができ、樹脂単独では100℃以上の融点又は軟化点を有する樹脂でも、常圧で水を滴下することにより、樹脂が水中に分散した分散液を得ることができる。
この方法は、少なくとも水と非イオン性界面活性剤があればよいため、有機溶剤に不溶な樹脂にも適用できる他、有機溶剤の回収や作業環境維持のための設備負担が不要であり、また機械的手段を利用する場合に必要とされる特別な装置も不要であるため、経済的に樹脂粒子分散液を製造できるという利点も有する。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類;ポリエチレングルコールモノラウレート、ポリエチレングルコールモノステアレート、及びポリエチレングルコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類;オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。また、非イオン性界面活性剤にアニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤を併用してもよい。
非イオン性界面活性剤としては、樹脂との相溶性のよいものを選択することが好ましい。安定な樹脂の分散液を得るためには、非イオン性界面活性剤のHLBは12〜18であることが好ましく、樹脂の種類によっては2種以上の異なるHLBの非イオン性界面活性剤を用いることがより好ましい。たとえば、親水性が高い樹脂の場合は、HLBが12〜18の非イオン性界面活性剤を少なくとも1種用いればよいが、疎水性の高い樹脂の場合は、HLBの低いもの、例えば7〜10程度のものと、HLBの高いもの、例えば14〜20ものを併用して、両者のHLBの加重平均を12〜18に調整することが好ましい。この場合、主としてHLBが7〜10程度のものは樹脂を相溶化させることができ、HLBの高いものは水中での樹脂の分散を安定化させることができると推定される。
非イオン性界面活性剤の曇点は、常圧、水中で樹脂を微粒化させる場合には、70〜105℃が好ましく、80〜105℃がより好ましい。
非イオン性界面活性剤の使用量は、樹脂の融点を下げる観点から、結晶性ポリエステル又は非晶質樹脂100重量部に対して、5重量部以上が好ましく、トナーに残存する非イオン性界面活性剤を制御する観点からは、80重量部以下が好ましい。したがって、これらを両立させる観点から、非イオン性界面活性剤の使用量は、結晶性ポリエステル又は非晶質樹脂100重量部に対して、5〜80重量部が好ましく、10〜70重量部がより好ましく、20〜60重量部が更に好ましい。
結晶性ポリエステルを含む水系分散液中の結晶性ポリエステル粒子の体積中位粒径、及び非晶質樹脂を含む水系分散液中の非晶質樹脂粒子の体積中位粒径(中和度90%)は、工程3で均一に凝集させる観点から、50〜1,000nmが好ましく、50〜500nmがより好ましく、50〜300nmが更に好ましく、80〜200nmがより更に好ましい。各粒子の体積中位粒径は、レーザー回折型粒径測定機等により測定でき、以下同様である。
また、水系分散液中の結晶性ポリエステル粒子の粒度分布の変動係数(CV値)は、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは37%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは28%以下、より更に好ましくは25%以下である。水系分散液中の非晶質樹脂粒子のCV値は、上記同様の観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは37%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは28%以下、より更に好ましくは25%以下である。CV値の下限値としては、製造し易さの観点から、いずれも5%であることが好ましい。
[工程3]
工程3は、工程2で得られた結晶性ポリエステルを含む水系分散液を、非晶質樹脂を含む水系分散液と混合し、次いで凝集工程に付すことにより、凝集粒子の水系分散液を得る工程である。
工程3においては、更に例えば着色剤、荷電制御剤、離型剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、及び老化防止剤等の添加剤を添加してから凝集工程に付してもよい。該添加剤は、水系分散液としてから使用することもできる。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、及びマラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、及びチアゾール系等の各種染料が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。着色剤を添加する場合、その添加量は、結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂の総量100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がより好ましい。
荷電制御剤としては、クロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、及びサリチル酸金属錯体等が挙げられる。各種荷電制御剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。荷電制御剤を添加する場合、その添加量は、結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂の総量100重量部に対して、0.1〜8重量部が好ましく、0.3〜7重量部がより好ましい。
離型剤としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、及びステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバロウワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、及びホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、及びフィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等のワックス;ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス及びシリコーン類等が挙げられる。離型剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。離型剤の融点は、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、60〜140℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。
離型剤を添加する場合、その添加量は、結晶性ポリエステル及び非晶質樹脂の総量100重量部に対して、樹脂中への分散性の観点から、0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部がより好ましく、1〜7重量部が更に好ましい。
結晶性ポリエステルと非晶質樹脂との好ましい混合重量比は、前述のトナー用結着樹脂に関する記載中に示した重量比の通りである。
凝集工程において、系内の固形分濃度は、均一な凝集を起こさせるために、5〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、5〜20重量%が更に好ましい。
凝集工程における系内のpHは、混合液の分散安定性と、樹脂粒子の凝集性とを両立させる観点から、2〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、3〜8が更に好ましい。
同様の観点から、凝集工程における系内の温度は、「結着樹脂の軟化点−60℃」(軟化点より60℃低い温度、以下同様)以上、且つ結着樹脂の軟化点以下であることが好ましい。本発明では、結着樹脂として結晶性ポリエステルと非晶質樹脂とを用いるので、結晶性ポリエステルの軟化点と非晶質樹脂の軟化点を加重平均した温度を、結着樹脂の軟化点とする(非晶質樹脂を2種類以上用いる場合も同様に加重平均する。以下、同じである)。また、マスターバッチを使用する場合は、それに用いた樹脂をも含めて加重平均した温度を、混合樹脂の軟化点とする。
また、着色剤、荷電制御剤等の添加剤は、樹脂粒子を調製する際に結晶性ポリエステル又は非晶質樹脂に予め混合してもよく、別途各添加剤を水等の分散媒中に分散させた分散液を調製して、樹脂粒子と混合し、凝集工程に供してもよい。樹脂粒子を調製する際に結晶性ポリエステル又は非晶質樹脂に添加剤を予め混合する場合には、予め結晶性ポリエステル又は非晶質樹脂と添加剤とを溶融混錬することが好ましい。
溶融混練には、オープンロール型二軸混練機を使用することが好ましい。オープンロール型二軸混練機は、2本のロールが並行に近接して配設された混練機であり、各ロールに熱媒体を通すことにより、加熱機能又は冷却機能を付与することができる。したがって、オープンロール型二軸混練機は、溶融混練する部分がオープン型であり、また加熱ロールと冷却ロールを備えていることから、従来用いられている二軸押出機と異なり、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することができる。凝集剤としては、有機系では、4級塩のカチオン性界面活性剤、及びポリエチレンイミン等が用いられ、無機系では、無機金属塩、無機アンモニウム塩及び2価以上の金属錯体等が用いられる。
無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、及び硫酸アルミニウム等の金属塩;ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、及び多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられる。
凝集剤を添加する場合、その添加量は、トナーの耐環境特性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、60重量部以下が好ましく、55重量部以下がより好ましく、50重量部以下が更に好ましい。
凝集剤は、水系媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後は十分攪拌することが好ましい。
工程3においては、結晶性ポリエステルを含む水系分散液及び非晶質樹脂を含む水系分散液と、必要に応じて用いられる各種添加剤との混合物を、均一に分散させる観点から、好ましくは結着樹脂の軟化点未満の温度、より好ましくは「該軟化点−30℃」以下の温度で分散処理を行う。具体的には、好ましくは65℃以下、より好ましくは55℃以下であり、また、媒体の流動性及び樹脂の水系分散液の製造エネルギーの観点から、分散処理は0℃より高い温度で行なうことが好ましく、10℃以上で行うことがより好ましい。
これらの観点から、好ましくは0〜65℃、より好ましくは10〜55℃程度の温度で攪拌して分散処理する等の通常の方法により、均一な樹脂分散液を調製することができる。
分散処理の方法としては、ウルトラディスパー(浅田鉄工株式会社製、商品名)、エバラマイルダー(株式会社荏原製作所製、商品名)、及びTKホモミクサー(プライミクス株式会社製、商品名)等の高速攪拌混合装置;高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ製、商品名)、ミニラボ8.3H型(Rannie社製、商品名)に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー;マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)、及びナノマイザー(ナノマイザー株式会社製、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。
工程3で得られる凝集粒子の体積中位粒径は、続く工程4で均一に合一させ、トナー粒子を製造する観点から、1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmが更に好ましい。
[工程4]
工程4は、工程3で得られた凝集粒子の水系分散液に必要に応じて凝集停止剤を加えた後、合一工程に付すことにより、水系分散液中の凝集粒子を合一させて、合一粒子の水系分散液を得る工程である。
工程4では、前記工程3で得られた凝集粒子を、加熱することにより合一させることができる。
工程4における系内の温度は、目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御及び粒子の融着性の観点から、「結着樹脂の軟化点−30℃」以上、「該軟化点+10℃」以下が好ましく、「該軟化点−25℃」以上、「該軟化点+10℃」以下がより好ましく、「該軟化点−20℃」以上、「該軟化点+10℃」以下が更に好ましい。また、攪拌速度は、凝集粒子が沈降しない速度が好ましい。具体的には、好ましくは70〜100℃、より好ましくは70〜90℃である。
なお、凝集停止剤を用いる場合、凝集停止剤として界面活性剤を用いることが好ましく、アニオン性界面活性剤を用いることがより好ましい。アニオン性界面活性剤のうち、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが更に好ましい。
本発明では、コア部が前記結晶性ポリエステルと前記非晶質樹脂とを含み、シェル部が前記非晶質樹脂である、「コアシェル粒子」を結着樹脂として含有する電子写真用トナーであってもよい。該コア部は、前記工程3の通り、前記結晶性樹脂を含む水系分散液と前記非晶質樹脂を含む水系分散液とを含む水系分散液を凝集工程に付すことにより得られる樹脂であることが好ましい。
該コアシェル粒子を含有する電子写真用トナーは、前述の工程4の前に、工程3で得られた凝集粒子の水系分散液を、非晶質樹脂を含む水系分散液と混合し、凝集させる工程を設けることで得ることができる。
[電子写真用トナー]
前記工程4により得られた合一粒子を、適宜、ろ過等の固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程に供することにより、本発明の電子写真用トナー(単にトナーと称することがある)を得ることができる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー表面の金属イオンを除去するため、酸を用いることが好ましい。また、添加した非イオン性界面活性剤も洗浄により完全に除去することが好ましく、非イオン性界面活性剤の曇点以下での水系溶液での洗浄が好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナーの乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、更には1.0重量%以下に調整することが好ましい。
以上のようにして得られたトナーは、外添処理時の融着性が低いため、流動化剤等の助剤を外添剤としてトナー粒子表面に容易に添加することができる。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、及びカーボンブラック等の無機微粒子;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、及びシリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。
外添剤の個数平均粒子径は、好ましくは4〜200nm、より好ましくは8〜30nmである。外添剤の個数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡を用いて求められる。
外添剤を添加する場合、その添加量は、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、外添剤による処理前のトナー100重量部に対して、0.8〜5重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましく、1.5〜3.5重量部が更に好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、外添剤による処理前のトナー100重量部に対して、疎水性シリカを0.8〜3.5重量部、好ましくは1〜3重量部用いることで、前記所望の効果が得られる。
(電子写真用トナーの物性)
本発明の電子写真用トナーの体積中位粒径は、トナーの高画質化及び生産性の観点から、1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmが更に好ましい。
また、トナーの軟化点は、トナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の観点から、80〜160℃が好ましく、80〜150℃がより好ましく、90〜140℃が更に好ましい。また、トナーのガラス転移温度は、上記同様の観点から、45〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。
本発明の電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
[樹脂物性の測定]
各例により得られた樹脂の軟化点、吸熱の最大ピーク温度(1st RUN及び2nd RUN)、融点、2番目の吸熱ピーク温度、結晶性指数、ガラス転移温度、酸価、数平均分子量と、各粒子の体積中位粒径(D50)の測定及びCV値の算出は次の通りに行った。
(樹脂の軟化点)
フローテスター(株式会社島津製作所製、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(樹脂の吸熱の最大ピーク温度、融点、結晶性指数)
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「Q−100」)を用いて、室温(20℃)から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのまま1分間静止させ、その後、昇温速度10℃/分で180℃まで昇温しながら測定した。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(1st RUNの吸熱の最大ピーク温度)とし、最大ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば結晶性樹脂とし、その融点とした。
さらに、引き続き、降温速度10℃/分で180℃から0℃まで冷却した後、再び昇温速度10℃/分で0℃から180℃まで測定した際に観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(2nd RUNの吸熱の最大ピーク温度)とした。
また、軟化点を1st RUNの吸熱の最大ピーク温度で除することにより、結晶性指数を算出した。
(工程1−3後に得られる結晶性ポリエステルの2番目の吸熱ピーク温度の測定)
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「Q−100」)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温(20℃)から200℃まで昇温速度10℃/分で昇温した後、降温速度10℃/分で200℃から−80℃まで冷却した結晶性ポリエステルを昇温速度10℃/分で昇温して測定した際に観測される吸熱ピークのうち、最も高温側から2番目のピークの温度であって、そのピーク温度以下のベースラインの延長線と2番目のピークの立ち上がり部分から2番目のピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度を、2番目の吸熱ピーク温度として求めた。
(樹脂の酸価)
JIS K 0070の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
(結晶性ポリエステルの数平均分子量)
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、樹脂の数平均分子量を求めた。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.04g/10mlになるように、ポリエステルをクロロホルムに溶解させる。ついで、この溶液をメッシュ0.45μmのフッ素樹脂フィルター(アドバンテック株式会社製、「DISMIC−25JP」)を用いて濾過して不溶成分を除き、試料溶液とした。
(2)分子量測定
下記装置を用いて、クロロホルムを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行った。試料の分子量は、あらかじめ作製した検量線に基づき算出した。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレンを標準試料として作成したものを用いた。
測定装置:HLC−8220 GPC(東ソー株式会社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー株式会社製)
(非晶質樹脂のガラス転移温度)
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「Q−100」)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
(非晶質樹脂の数平均分子量)
溶媒をクロロホルムからテトラヒドロフラン(THF)に代えた以外は、結晶性ポリエステルと同様にして測定した。
(樹脂の中和度)
樹脂がアニオンである場合の中和度(%)は、下記式によって求めることができる。
中和度={[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/〔[樹脂の酸価(KOHmg/g)×樹脂の重量(g)]/(56×1000)〕}×100
樹脂がカチオンである場合の中和度(%)は、下記式によって求めることができる。
中和度={[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[樹脂のアミン価(HCLmg/g)×樹脂の重量(g)/(36.5×1000)]}×100
なお、アミン価は、前記した酸価の測定方法に準じて測定する。
(樹脂粒子、着色剤微粒子、離型剤微粒子及び荷電制御剤微粒子の体積中位粒径(D50))
レーザー回折型粒径測定機(株式会社堀場製作所製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定した。
また、CV値は下記の式に従って算出した。水系分散液中の樹脂粒子のCV値が低い方が、粒径が揃っていることを示す。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積中位粒径(D50))×100
実施例1〜7(結晶性ポリエステルA−1〜A−7の製造)
(工程1−1)
窒素導入管、脱水管、攪拌装置及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに、室温にて、表1に示す原料モノマーを所定量入れた。140℃まで素早く昇温し、140℃から200℃までは10時間かけて昇温させながら反応を行い、更に、15kPaに減圧して200℃のまま、所望の酸価になるまで反応を行い、攪拌を停止し、結晶性ポリエステルを得た。なお、反応中の攪拌速度は300rpmであった。
(工程1−2)
上記工程1−1で得られたポリエステルを、表1に示す条件で冷却した。得られたポリエステルの吸熱の最大ピーク温度(融点)の測定結果を表1に示す。
(工程1−3)
上記工程1−2で得られたポリエステルを、すぐに又は5日間もしくは15日間25℃で放置した後に表1に示す条件で昇温し、昇温後に表1に示す時間保持し、結晶性ポリエステルA−1〜A−7を得た。工程1−2で得られたポリエステルを15日間25℃で放置した場合に得られた結晶性ポリエステルの軟化点、酸価、数平均分子量、結晶性指数、得られた結晶性ポリエステルの吸熱の最大ピーク温度(融点)、2番目の吸熱ピーク温度、2nd RUNの吸熱の最大ピーク温度、並びに水系分散液としたときの結晶性ポリエステル粒子の体積中位粒径及びCV値を表1に示す。
更に、示差走査熱量計を用いて観測された、示差走査熱量計を用いて観測された、工程1−3後に得られた結晶性ポリエステルA−1の全吸熱ピークを図1に示し、別途、吸熱の最大ピーク温度(1st RUN及び2nd RUN)を図3に示す。
比較例1(結晶性ポリエステルB−1の製造)
実施例4において、工程1−3を行わないこと以外は同様にして操作を行い、結晶性ポリエステルB−1を得た。得られた結晶性ポリエステルの軟化点、酸価、数平均分子量、結晶性指数、吸熱の最大ピーク温度(融点)、2nd RUNの吸熱の最大ピーク温度、並びに水系分散液としたときの結晶性ポリエステル粒子の体積中位粒径及びCV値を表1に示す。
更に、示差走査熱量計を用いて観測された、結晶性ポリエステルB−1の全吸熱ピークを図2に示す。
比較例2(結晶性ポリエステルB−2の製造)
実施例1において、工程1−2における冷却を55℃までとし、そのまま工程1−3へ移行して、工程1−3における保持時間を10時間に変更したこと以外は同様にして操作を行い、結晶性ポリエステルB−2を得た。得られた結晶性ポリエステルの軟化点、酸価、数平均分子量、結晶性指数、吸熱の最大ピーク温度(融点)、2nd RUNの吸熱の最大ピーク温度、並びに水系分散液としたときの結晶性ポリエステル粒子の体積中位粒径及びCV値を表1に示す。
実施例8(結晶性ポリエステルA−8の製造)
実施例1において、アルコール成分及びカルボン酸成分を表1に示す通りに変更したこと以外は同様にして操作を行い、結晶性ポリエステルA−8を得た。得られた結晶性ポリエステルの軟化点、酸価、数平均分子量、結晶性指数、吸熱の最大ピーク温度(融点)、2nd RUNの吸熱の最大ピーク温度、並びに水系分散液としたときの結晶性ポリエステル粒子の体積中位粒径及びCV値を表1に示す。
実施例9(結晶性ポリエステルA−9の製造)
実施例1において、工程1−1を以下の様に変更したこと以外は同様に操作を行い、結晶性ポリエステルA−9を得た。得られた結晶性ポリエステルの軟化点、酸価、数平均分子量、結晶性指数、吸熱の最大ピーク温度(融点)、2nd RUNの吸熱の最大ピーク温度、並びに水系分散液としたときの結晶性ポリエステル粒子の体積中位粒径及びCV値を表1に示す。
(工程1−1)
窒素導入管、脱水管、攪拌装置及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに、室温にて、1,6−ヘキサンジオールを所定量入れ、170℃に昇温した。そこへ、スチレン、ジクミルパーオキシド及びアクリル酸を所定量混合した混合液を1時間かけて滴下した。170℃に保持したまま1時間付加重合反応を継続した。その後、140℃に降温し、セバシン酸を所定量加え、200℃まで10時間かけて昇温しながら反応を行い、更に所望の酸価になるまで15kPaにて200℃のまま反応させた。
Figure 0005460257
表1より、本発明の製造方法により得られた結晶性ポリエステルは、体積中位粒径が小さく、2番目の吸熱ピーク温度を有していることからも、低分子量成分が結晶化(球晶化)していることが推測される。また、結晶性ポリエステル粒子の粒度分布の変動係数(CV値)が全て24%以下であり、小さく制御されている。工程1−2から工程1−3への移行所要期間を長く設けた方が、結晶性ポリエステル粒子の粒径が小さくなったが、これは球晶化がより一層進んだためと考えられる。
一方、比較例1及び比較例2では、体積中位粒径が大きく、2番目の吸熱ピーク温度が無いことからも、低分子量成分が結晶化(球晶化)していないと考えられる。
製造例1(非晶質樹脂AAの製造)
窒素導入管、脱水管、攪拌装置及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに、表2に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマーを所定量と、ターシャリブチルカテコール5gを入れ、180℃までは素早く昇温し、180℃から210℃までは10時間かけて昇温させながら反応を行い、更に8.3kPaに減圧して210℃で1時間反応を行った。その後、210℃にて無水トリメリット酸を加え、210℃及び8kPaにて表2に示す軟化点に達するまで反応させ、非晶質樹脂AAを製造した。
製造例2(非晶質樹脂ABの製造)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに、表2に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマーを所定量と、オクチル酸錫40g及び没食子酸1水和物2gを入れ、230℃で8時間反応させた後、8.3kPaに減圧して230℃で1時間反応させた。更に、210℃にて無水トリメリット酸を加え、表2に示す軟化点に達するまで反応させ、非晶質樹脂ABを製造した。
Figure 0005460257
[結晶性ポリエステルの水系分散液の調製(工程2)]
攪拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた5L容の容器に、メチルエチルケトン600g及び結晶性ポリエステルA−1〜A−9又はB−1〜B−2 200gを60℃にて入れ、結晶性ポリエステルを溶解させた。なお、結晶性ポリエステルは、工程1−2から工程1−3への移行所要時間を15日設けたものを用いた。
得られた溶液に、5%水酸化カリウム水溶液を中和度90%になるように添加し、続いてイオン交換水2500gを添加した後、250r/minの攪拌速度で、減圧下、60℃でメチルエチルケトンを30ppm以下まで留去した。自己分散型の結晶性ポリエステルの水系分散液の固形分濃度を測定し、固形分濃度が10重量%になるようにイオン交換水を加えて、それぞれ結晶性ポリエステルの分散液(分散液A−1〜A−9、分散液B−1及びB−2)を得た。
[非晶質樹脂の水系分散液の調製(工程2)]
攪拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた5L容の容器に、メチルエチルケトン600g、アニオン性界面活性剤として「Kao Akypo RLM-100」(成分;ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、花王株式会社製)を2g投入し、非晶質樹脂AA又はAB200gを50℃にて添加し、非晶質樹脂を溶解させた。
得られた溶液に、水酸化カリウムを中和度90%になるように添加し、続いてイオン交換水2000gを添加した後、250r/minの攪拌速度で、減圧下、50℃以下の温度でメチルエチルケトンを30ppm以下まで留去した。自己分散型の非晶質樹脂の水系分散液の固形分濃度を測定し、固形分濃度が10重量%になるようにイオン交換水を加えて、非晶質樹脂AAの分散液と非晶質樹脂ABの分散液を得た。
(着色剤分散液の調製)
銅フタロシアニン(大日精化工業株式会社製、型番:ECB−301)50g、ノニオン性界面活性剤(「エマルゲン(登録商標)150」、花王株式会社製)5g及びイオン交換水200gを混合し、銅フタロシアニンを溶解させ、ホモジナイザーを用いて10分間分散させて、着色剤微粒子を含有する着色剤分散液を得た。着色剤微粒子の体積中位粒径は120nmであった。
(離型剤分散液の調製)
パラフィンワックス(「HNP9」、日本精蝋株式会社製、融点:85℃)50g、カチオン性界面活性剤(「サニゾール(登録商標)B50」、花王株式会社製)5g及びイオン交換水200gを95℃に加熱して、ホモジナイザーを用いて、パラフィンワックスを分散させた後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤微粒子を含有する離型剤分散液を得た。離型剤微粒子の体積中位粒径は550nmであった。
(荷電制御剤分散液の調製)
荷電制御剤(「ボントロンE−84」、オリエント化学工業株式会社製)50g、ノニオン性界面活性剤(「エマルゲン(登録商標)150」、花王株式会社製)5g及びイオン交換水200gを混合し、ガラスビーズを使用し、サンドグラインダーを用いて10分間分散させて、荷電制御剤微粒子を含有する荷電制御剤分散液を得た。荷電制御剤微粒子の体積中位粒径は500nmであった。
実施例10〜18、比較例3及び4(トナーの製造方法)
(工程3)
結晶性ポリエステルと非晶質樹脂の含有量が表3に記載の割合となるように各分散液を混合した樹脂分散液300g、着色剤分散液8g、離型剤分散液6g、荷電制御剤分散液2g及び脱イオン水52gを2L容の容器に入れた。
次に、カイ型の攪拌機で100r/minの攪拌下、室温で6.2重量%硫酸アンモニウム水溶液146gを30分かけて滴下した。その後、攪拌しながら昇熱し、50℃になった時点で50℃に固定し、3時間保持した。これにより凝集粒子を形成させた後、凝集停止剤としてポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム水溶液(固形分28重量%)4.2gを脱イオン水37gで希釈した希釈液を添加した。
(工程4)
次いで80℃まで0.16℃/minで昇温し、80℃になった時点から1時間80℃を保持した後、加熱を終了した。これにより合一粒子を形成させた後、室温まで徐冷し、吸引ろ過工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て、トナーT−1〜T−11を得た。
得られたトナーの外添剤による表面処理時の融着量、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性の評価を、以下の通りに行った。結果を表3に示す。
<表面処理時の融着量>
トナー母粒子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ「NAX−50」(個数平均粒子径40nm、日本アエロジル株式会社製)、0.6重量部の疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル株式会社製、個数平均粒子径16nm)、及び0.5重量部の酸化チタン「JMT−150IB」(テイカ株式会社、平均粒子径15nm)を、10Lヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)に、ST(上羽根)−A0(下羽根)型の攪拌羽根を装着して、3000rpmにて4分間攪拌して外添を行い、トナーを得た。表面処理後、トナー抜き出し、ヘンシェルミキサー内に残った粉体を掃除機で除去した後、羽根の状態を確認し、表面処理時の融着量について、以下の評価基準に従って評価した。なお、攪拌羽根にトナーが融着すると、他の製品の製造に利用する際にコンタミの原因となるため、好ましくない。以下の評価Bであれば、実用上は問題無い。評価Cでは若干のコンタミの懸念が生じる。評価Dの場合、コンタミの原因となるため、アセトン等により羽根の洗浄を行う必要がある。
A:ST羽根及びA0羽根ともに攪拌羽根に融着しなかった。
B:ST羽根に融着しなかったが、A0羽根の先端に若干の融着が確認された。
C:ST羽根に融着しなかったものの、A0羽根に融着が確認された。
D:ST羽根及びA0羽根ともに融着が確認された。
<帯電度の環境安定性>
トナー0.6gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業株式会社製、体積平均粒子径90μm)19.4gを50ml容のポリ瓶に入れ、25℃及び湿度40%の環境に12時間放置した。
その後、ボールミルを用いて400r/minで300秒混合し、帯電量をq/mメーター(EPPING社製)を用いて測定し、帯電量Aとした。
トナー0.6gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業株式会社製、体積平均粒子径90μm)19.4gを50ml容のポリ瓶に入れ、25℃及び湿度80%の環境に12時間放置した。
その後、ボールミルを用いて400r/minで300秒混合し、帯電量をq/mメーター(EPPING社製)を用いて測定し、帯電量Bとした。
帯電量Bを帯電量Aで除する(帯電量B/帯電量A)ことにより、帯電度の環境安定性について、以下の評価基準に従って評価した。値が1に近いほど帯電度の環境安定性に優れる。
A:0.8〜1.0
B:0.7〜0.8
C:0.6〜0.7
D:0.5〜0.6
E:0.5未満
<加重保存安定性>
トナー10gを半径12mmの円筒型容器に入れ、上から100gの重りをのせ、45℃及び相対湿度90%の環境で24時間保持した。パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)に、上から順に、篩いA(目開き250μm)、篩いB(目開き150μm)、篩いC(目開き75μm)の3つの篩を重ね合わせて設置し、篩いA上に前記保持後のトナー10gを乗せて60秒間振動を与えた。
下記式から算出される値により、高温高湿下での加重保存安定性について、以下の評価基準に従って評価した。値が100に近いほど、加重保存安定性に優れる。
100−〔篩いA上に残存したトナー重量(g)+篩いB上に残存したトナー重量(g)×0.6+篩いC上に残ったトナー重量(g)×0.2〕/10(g)×100
A:90〜100
B:80〜90未満
C:70〜80未満
D:60〜70未満
E:60未満
Figure 0005460257
表3より、本発明の製造方法により得られたトナーT−1〜T−9は、本発明の製造方法における工程1−2又は工程1−3を行わずに得た結晶性ポリエステルを含有したトナーT−10、T−11より、表面処理時の融着量が少なく、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性についても優れている。
なお、表3中の実施例10〜13より、工程1−2において40℃に到達するまでの所要時間を0.5時間から2時間、4時間又は8時間へ延ばすことで、トナーの外添剤による表面処理時の融着量がより少なくなり、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性が更に改善された。実施例10と14より、工程1−3における加熱処理の時間を1時間から8時間へ延ばすことで、トナーの外添剤による表面処理時の融着量がより少なくなり、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性が更に改善された。
本発明により得られる結晶性ポリエステル及び結着樹脂を含有するトナーは、表面処理時の融着量が少なく、帯電度の環境安定性及び加重保存安定性に優れるという特性を有するため、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等に用いられる電子写真用トナーとして好適に使用できる。
1 1st RUNでの吸熱の最大ピーク
2 2番目の吸熱ピーク
3 1st RUNでの吸熱の最大ピーク
4 1st RUNでの吸熱の最大ピーク
5 2nd RUNでの吸熱の最大ピーク

Claims (7)

  1. 下記工程1〜工程4を有する、トナー用結着樹脂の製造方法。
    工程1:少なくとも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分とを縮重合反応に付す工程(工程1−1)工程1−1で得られたポリエステルを40℃以下になるまで冷却する工程(工程1−2)工程1−2で冷却したポリエステルを、40℃を超える温度であって、「吸熱の最大ピーク温度(℃)−40℃」〜「吸熱の最大ピーク温度(℃)−5℃」で加熱処理する工程(工程1−3)を有する、結晶性ポリエステルを得る工程。
    工程2:工程1で得られた結晶性ポリエステル、有機溶剤及び水を混合し、攪拌した後、有機溶剤を除去し、結晶性ポリエステルを含む水系分散液を得る工程。
    工程3:工程2で得られた結晶性ポリエステルを含む水系分散液を、非晶質樹脂を含む水系分散液と混合し、次いで凝集工程に付すことにより凝集粒子の水系分散液を得る工程。
    工程4:工程3で得られた凝集粒子の水系分散液を合一工程に付すことにより合一粒子の水系分散液を得る工程。
  2. 工程1−2において、工程1−1における縮重合反応終了時の温度から40℃になるまでの冷却時間が1〜24時間である、請求項に記載のトナー用結着樹脂の製造方法。
  3. 工程1−3における加熱処理の時間が0.5〜48時間である、請求項1又は2に記載のトナー用結着樹脂の製造方法。
  4. 工程2において、工程1で得られた結晶性ポリエステル、有機溶剤及び水のほかに、さらに中和剤を混合する、請求項1〜3のいずれかに記載のトナー用結着樹脂の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られるトナー用結着樹脂を含有する、電子写真用トナー。
  6. 示差走査熱量計を用いて、室温(20℃)から200℃まで昇温速度10℃/分で昇温した後、降温速度10℃/分で−80℃まで冷却した結晶性ポリエステルを昇温速度10℃/分で昇温して測定した際に観測される吸熱ピークのうち、最も高温側から2番目のピークの温度が、「工程1−3後に得られる結晶性ポリエステルの融点−30℃」〜「工程1−3後に得られる結晶性ポリエステルの融点−5℃」である、下記工程1−1〜工程1〜3を有する製造方法により得られるトナー用結晶性ポリエステル。
    工程1−1:少なくとも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分とを縮重合反応に付す工程。
    工程1−2:工程1−1で得られたポリエステルを40℃以下になるまで冷却する工程。
    工程1−3:工程1−2で冷却したポリエステルを、40℃を超える温度であって、「吸熱の最大ピーク温度(℃)−40℃」〜「吸熱の最大ピーク温度(℃)−5℃」で加熱処理する工程。
  7. 示差走査熱量計を用いて、室温(20℃)から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのまま1分間静止させ、その後、昇温速度10℃/分で180℃まで昇温しながら測定した際に観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度(1st RUNの吸熱の最大ピーク温度)が、引き続き、降温速度10℃/分で180℃から0℃まで冷却した後、再び昇温速度10℃/分で0℃から180℃まで昇温しながら測定した際に観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度(2nd RUNの吸熱の最大ピーク温度)より、2〜7℃高い、請求項に記載のトナー用結晶性ポリエステル。
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