JP5136751B2 - FePtナノ粒子の製造方法、及びFePt磁性ナノ粒子配列体を有する磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

FePtナノ粒子の製造方法、及びFePt磁性ナノ粒子配列体を有する磁気記録媒体の製造方法 Download PDF

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本発明は、超高密度磁気記録システムの実現を可能とするFePtナノ粒子及びFePt磁性ナノ粒子配列体を有する磁気記録媒体の製造方法に関する。
磁気記録による情報ストレージ分野は近年の高度情報化社会を支える基盤技術である。磁気記録密度の向上は大容量の情報処理や社会に散在する知の財産の利用を可能とするだけでなく、記録デバイスの小型化及び軽量化によるユピキタスコンピューティング、更には省電力、省材料の点から低環境負荷を促すことになる。現行のハードディスクドライブ(HDD)の磁気記録媒体はスパッタリング法により作製された磁性薄膜が用いられている。更なる記録媒体の高記録密度化のためには、記録ビット面積の縮小化及び記録ビットの経時に対する記録安定性が求められる。ここで、記録ビット面積の縮小化とは、薄膜を構成する磁性粒子の微細化により実現される技術を示す。
磁性粒子の微細化に伴い、体積に比例する粒子内の磁化方向を保つKuV(Ku:一軸結晶磁気異方性エネルギー、V:磁性粒子体積)は、熱エネルギーkBTを下回るために記録情報の熱安定性がボトルネックになっている(熱擾乱)。熱擾乱を低減させる解決策の一つとして記録ビットの安定性に優れた高い結晶磁気異方性エネルギー(Ku)を備えた材料の磁気記録媒体材料への適用が求められている。
そこで、FePt合金は、そのL10(fct)−FePt結晶(図1参照)が、熱化学的に安定で高い結晶磁気異方性エネルギー(Ku)を有することから、新規超高密度磁気記録システムの実現に向けたキーマテリアルとして注目されている。特にSunらが報告した化学的合成によって得られる大きさの数ナノメートルのFePtナノ粒子は、予め規格化された構造体を基板上に配列させる方法を用いるため、現行の薄膜記録媒体の課題とされている磁性粒子間の磁気的な結合に対しての優位性があると言われている。
しかしながら、ナノ粒子の特性を最大に発揮させた磁気記録媒体を実現するためには、均一な形状、粒径及び磁気特性を有するFePtナノ粒子の作製、更に、この粒子をその磁化容易軸の向きを垂直に揃えて基板上に並べる技術の確立が不可欠である。
特開2007−81245号公報 特開2005−74578号公報 特表2007−514932号公報 特表2006−527245号公報 特開2003−168606号公報 S.Sun,Adv.Mater.,18,393(2006) S.Sun,C.B.Murray,D.Weller,L.Folks,A.Moser,Science,28,1989(2000)
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、均一な形状及び粒径を有し、均一な磁気特性を与えるFePtナノ粒子を製造する方法、及びこの粒子をその磁化容易軸の向きを垂直に揃えて基板上に並べたFePt磁性ナノ粒子配列体を有する磁気記録媒体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、以下のFePtナノ粒子の製造方法を提供する。
[1] 平均粒子径が3〜20nmのFePtナノ粒子を製造する方法であって、Pt化合物と還元剤と第1の粒子分散剤とを含む溶媒溶液から還元反応により金属Pt核粒子を生成させ、更に、上記溶媒溶液にFe化合物及び第2の粒子分散剤を添加して、上記Pt核粒子上に金属Feを析出させることによりFeとPtとを含むナノ粒子を生成させ、次いで、185〜320℃の温度で熟成してPt原子とFe原子とを相互拡散させて合金化することを特徴とするFePtナノ粒子の製造方法。
[2] 上記FePtナノ粒子が面心直方(fct)構造及び/又は面心立方(fcc)構造を含むことを特徴とする[1]記載のFePtナノ粒子の製造方法。
] 上記FePtナノ粒子が面心直方(fct)構造を含むFePt磁性ナノ粒子であることを特徴とする[]記載のFePtナノ粒子の製造方法。
] 上記FePtナノ粒子が面心立方(fcc)構造を含み、熟成処理の後に、更に、FePtナノ粒子に400℃以上でアニール処理を施すことにより、面心立方(fcc)構造を面心直方(fct)構造に相転移させてFePt磁性ナノ粒子とすることを特徴とする[]記載のFePtナノ粒子の製造方法。
[5] 上記FePt磁性ナノ粒子の保磁力が3kOe以上、角型比が0.5以上であることを特徴とする[3]又は[4]記載のFePtナノ粒子の製造方法。
上記FePtナノ粒子の平均粒子径が3〜10nmであることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載のFePtナノ粒子の製造方法。
] 上記第1の粒子分散剤として炭素数3〜17の直鎖不飽和脂肪酸又はN−2−ビニルピロリドンを用いることを特徴とする[1]乃至[]のいずれかに記載のFePtナノ粒子の製造方法。
[8] 上記第1の粒子分散剤としてオレイン酸を用いることを特徴とする[1]乃至[6]のいずれかに記載のFePtナノ粒子の製造方法。
] 上記第2の粒子分散剤として炭素数1618の直鎖不飽和脂肪族アミンを用いることを特徴とする[1]乃至[]のいずれかに記載のFePtナノ粒子の製造方法。
[10] 上記還元剤として炭素数16〜18の不飽和炭化水素又は炭素数16〜18の飽和炭化水素ジオールを用いることを特徴とする[1]乃至[9]のいずれかに記載のFePtナノ粒子の製造方法。
本発明においては、まず、Pt化合物と還元剤と第1の粒子分散剤とを含む溶媒溶液から還元反応により金属Pt核粒子を生成させるが、まず、炭素数3〜17の直鎖不飽和脂肪酸などの金属Ptの凝集を抑制する第1の粒子分散剤を用いて、金属Pt核粒子を生成させて、微細な金属Pt核粒子を高分散状態とし、ここに、Fe化合物、及び炭素数3〜17の直鎖不飽和脂肪族アミンなどの金属Feの凝集を抑制する第2の粒子分散剤を添加し、上記Pt核粒子上に金属Feを析出させることにより、FeとPtとを含む小径で、かつ形状と粒子径が揃った均一なナノ粒子を得ることができる。
そして、この粒子を185〜320℃の温度で、溶媒中で熟成(エイジング)することにより、ナノ粒子中でPt原子とFe原子とを相互拡散して合金化するが、この際も、金属Ptの凝集を抑制する第1の粒子分散剤と、金属Feの凝集を抑制する第2の粒子分散剤と共存下で熟成させることにより、ナノ粒子同士の凝集が抑制され、形状と粒子径が揃った均一な粒子の状態を保持することができる。
特に、合金化によって得られた上記FePtナノ粒子は、面心直方(fct)構造を含むFePt磁性ナノ粒子であることが好ましい。FePtナノ粒子が、面心直方(fct)構造を含むFePt磁性ナノ粒子である場合、磁気異方性を有する強い磁性を与える面心直方(fct)構造を含むFePt磁性ナノ粒子を、そのまま(即ち、磁性を有する面心直方(fct)構造への相転移のためのアニール処理を施すことなく)磁性体材料として用いることが可能である。
一方、上記FePtナノ粒子が面心立方(fcc)構造を含むものである場合、合金化後(熟成処理後)のFePtナノ粒子に、更に、400℃以上でアニール処理を施すことにより、面心立方(fcc)構造を面心直方(fct)構造に相転移させてFePt磁性ナノ粒子とすることも可能である。FePtナノ粒子が面心立方(fcc)構造を含むものである場合、これを強い磁性を与える面心直方(fct)構造に相転移させることが可能であり、FePtナノ粒子に400℃以上でアニール処理を施すことにより、FePtナノ粒子をより強い磁性を有するFePt磁性ナノ粒子とすることが可能である。
また、本発明は、基板上にFePt磁性ナノ粒子が配列した配列体を有する磁気記録媒体を製造する方法として、以下のFePt磁性ナノ粒子配列体を有する磁気記録媒体の製造方法を提供する。
11] 基板上にFePt磁性ナノ粒子の配列体を有する磁気記録媒体を製造する方法であって、
[1]乃至[10]のいずれかに記載の方法により得られたFePtナノ粒子であり、面心直方(fct)構造を含むFePt磁性ナノ粒子であるFePtナノ粒子の表面に、分子鎖の一端側に上記FePtナノ粒子の表面と化学結合し得る第1の官能基、他端側に上記FePtナノ粒子の表面と化学結合しない第2の官能基を有する第1の有機コーティング剤を接触させ、上記第1の有機コーティング剤分子を上記第1の官能基を介して上記FePtナノ粒子の表面に化学結合させることにより、上記FePtナノ粒子の表面上に上記第1の有機コーティング剤分子の単分子膜を形成する工程、
上記基板の表面に、分子鎖の一端側に上記基板の表面と化学結合し得る第3の官能基、他端側に上記基板の表面と化学結合せず、上記第2の官能基と反応して結合を形成し得る第4の官能基を有する第2の有機コーティング剤を接触させ、上記第2の有機コーティング剤分子を上記第3の官能基を介して上記基板の表面に化学結合させることにより、上記基板の表面上に上記第2の有機コーティング剤の単分子膜を形成する工程、及び
上記第1の有機コーティング剤の単分子膜を備えるFePtナノ粒子と、上記第2の有機コーティング剤の単分子膜を備える基板とを接触させ、上記第2の官能基と上記第4の官能基とを反応させて結合を形成させることにより、上記基板上に、上記第1及び第2の有機コーティング剤を介してFePtナノ粒子が結合して配列したFePtナノ粒子の配列体を形成する工程
を含むことを特徴とするFePt磁性ナノ粒子配列体を有する磁気記録媒体の製造方法。
12] 基板上にFePt磁性ナノ粒子の配列体を有する磁気記録媒体を製造する方法であって、
[1]乃至[10]のいずれかに記載の方法により得られたFePtナノ粒子であり、面心立方(fcc)構造を含むFePtナノ粒子の表面に、分子鎖の一端側に上記FePtナノ粒子の表面と化学結合し得る第1の官能基、他端側に上記FePtナノ粒子の表面と化学結合しない第2の官能基を有する第1の有機コーティング剤を接触させ、上記第1の有機コーティング剤分子を上記第1の官能基を介して上記FePtナノ粒子の表面に化学結合させることにより、上記FePtナノ粒子の表面上に上記第1の有機コーティング剤分子の単分子膜を形成する工程、
上記基板の表面に、分子鎖の一端側に上記基板の表面と化学結合し得る第3の官能基、他端側に上記基板の表面と化学結合せず、上記第2の官能基と反応して結合を形成し得る第4の官能基を有する第2の有機コーティング剤を接触させ、上記第2の有機コーティング剤分子を上記第3の官能基を介して上記基板の表面に化学結合させることにより、上記基板の表面上に上記第2の有機コーティング剤の単分子膜を形成する工程、
上記第1の有機コーティング剤の単分子膜を備えるFePtナノ粒子と、上記第2の有機コーティング剤の単分子膜を備える基板とを接触させ、上記第2の官能基と上記第4の官能基とを反応させて結合を形成させることにより、上記基板上に、上記第1及び第2の有機コーティング剤を介してFePtナノ粒子が結合して配列したFePtナノ粒子の配列体を形成する工程、及び
上記配列したFePtナノ粒子に400℃以上でアニール処理を施すことにより、面心立方(fcc)構造を面心直方(fct)構造に相転移させてFePt磁性ナノ粒子とする工程
を含むことを特徴とするFePt磁性ナノ粒子配列体を有する磁気記録媒体の製造方法。
11]の方法は、面心直方(fct)構造を含むFePt磁性ナノ粒子を基板上に配列してFePt磁性ナノ粒子配列体を有する磁気記録媒体を製造する方法であり、この場合、FePtナノ粒子は、既に、強い磁性を与える面心直方(fct)構造を含むFePt磁性ナノ粒子であることから、このFePt磁性ナノ粒子を基板上に配列すれば、磁性を有する面心直方(fct)構造への相転移のためのアニール処理を施すことなく、配列体を磁気記録媒体の磁気記録層として適用することが可能である。
また、[12]の方法は、面心立方(fcc)構造を含むFePtナノ粒子を基板上に配列してFePt磁性ナノ粒子配列体を有する磁気記録媒体を製造する方法であり、この場合、面心立方(fcc)構造を、磁気異方性を有する強い磁性を与える面心直方(fct)構造に相転移させることが可能である。FePtナノ粒子にアニール処理を施さずに基板上に配列させた後に、FePtナノ粒子の配列体に400℃以上でアニール処理を施して、面心立方(fcc)構造を面心直方(fct)構造に相転移させることにより、配列前にアニール処理する場合とは異なり、FePtナノ粒子の凝集などによる大粒径化を避けて、小粒径の均一な粒子が配列した配列体を有する磁気記録媒体を得ることができる。
本発明によれば、均一な形状、粒径及び磁気特性を有するFePtナノ粒子、特に、面心直方(fct)構造を含むFePt磁性ナノ粒子を提供することができ、更に、この粒子をその磁化容易軸の向きを垂直に揃えて基板上に並べたFePt磁性ナノ粒子配列体を製造することができる。このようなFePt磁性ナノ粒子及びその配列体を磁気記録媒体に適用することにより、超高密度磁気記録システムの提供が可能となる。
以下、本発明について、更に詳しく説明する。
本発明のFePtナノ粒子の製造方法では、まず、Pt化合物と還元剤と第1の粒子分散剤とを含む溶媒溶液から還元反応により金属Pt核粒子を生成させる(工程a)。Pt化合物としては、例えばPtアセチルアセトナート、Ptエトキシド(Pt(OEt)2)などを用いることができる。また、還元剤としては、1−オクタデセン等の炭素数16〜18の不飽和炭化水素(直鎖状のものが好ましく、また片末端に二重結合を有するものが好ましい)、1,2−ヘキサデカンジオール等の炭素数16〜18の飽和炭化水素ジオール(飽和炭化水素基が直鎖状のものが好ましく、また1,2−位に各々ヒドロキシル基を有するものが好ましい)などを用いることができる。
一方、第1の粒子分散剤は、生成した金属Ptの凝集を抑制する作用を有するものが好ましく、例えば、オレイン酸等の炭素数3〜17の直鎖不飽和脂肪酸、N−2−ビニルピロリドンなどを用いることができる。
Pt化合物、還元剤及び第1の粒子分散剤は、溶媒に溶解させた溶液として用いられる。この溶媒としては、ベンジルエーテル、オクチルエーテル等のエーテル類、テトラエチレングリコール等のグリコール類、ノナデカン等の炭素数18〜20の飽和炭化水素などの有機溶媒を用いることが好ましい。
なお、溶媒溶液に溶解させるPt化合物の濃度はPt基準で0.45〜0.65mmol/dm3、特に0.50〜0.55mmol/dm3とすることが好ましい。また、溶媒溶液に溶解させる還元剤の濃度は1.2〜1.8mmol/dm3、特に1.5〜1.6mmol/dm3とすることが好ましい。一方、溶媒溶液に溶解させる第1の粒子分散剤の濃度は0.90〜1.5mmol/dm3、特に1.0〜1.2mmol/dm3とすることが好ましい。
このPt化合物、還元剤及び第1の粒子分散剤を溶解させた溶媒溶液を、例えば60〜275℃、特に80〜100℃にして、必要に応じて攪拌しながら加熱することにより、Pt化合物(Ptイオン)が還元剤により還元されて、金属Pt核粒子が生成する。この反応時間は、通常5〜10分間とすることが好ましい。なお、この工程で、金属Pt核粒子が生成するが、この段階でPt化合物(Ptイオン)の全てが金属Pt核粒子として生成する必要はなく、一部は残っていてもよい。残留したPt化合物(Ptイオン)は、後の工程において更に金属Ptとして析出させることができる。
次に、金属Pt核粒子を生成させた後の溶媒溶液に、Fe化合物及び第2の粒子分散剤を添加、好ましくはFe化合物を添加してFe化合物を溶解させた後に第2の粒子分散剤を添加して、金属Pt核粒子上に金属Feを析出させる(工程b)。Fe化合物としては、例えば鉄カルボニル、鉄アセチルアセトナート、鉄エトキシドなどを用いることができる。
一方、第2の粒子分散剤は、生成した金属Feの凝集を抑制する作用を有するものが好ましく、例えば、オレイルアミン等の炭素数16〜18の直鎖不飽和脂肪族アミンなどを用いることができる。
溶媒溶液に添加するFe化合物の濃度はFe基準で0.95〜1.15mmol/dm3、特に0.99〜1.09mmol/dm3とすることが好ましい。一方、溶媒溶液に添加する第2の粒子分散剤の濃度は0.90〜1.5mmol/dm3、特に1.0〜1.2mmol/dm3とすることが好ましい。
このFe化合物及び第2の粒子分散剤を溶解させた溶媒溶液を、例えば100〜140℃、特に115〜125℃で必要に応じて攪拌することにより、金属Pt核粒子上に金属Feが析出する。この反応時間は、通常5〜15分間とすることが好ましい。なお、この工程で、金属Feが析出するが、この段階でFe化合物の全てが金属Feとして析出する必要はなく、一部は残っていてもよい。残留したFe化合物は、後の工程において更に、金属Feとして析出させることができる。
次に、金属Feが析出して生成したFeとPtとを含むナノ粒子を、反応液中で185〜320℃、好ましくは225〜275℃、特に好ましくは245〜255℃の温度で熟成する(工程c)。これにより、Pt原子とFe原子とが相互拡散して合金化され、PtとFeとの合金であるFePtナノ粒子が生成する。この熟成時間は、短すぎると十分な拡散がなされないおそれがあり、また、長すぎるとFePtナノ粒子の凝集を引き起こすおそれがあるため、30〜300分間、特に110〜130分間とすることが好ましい。
特に、225〜275℃の温度で熟成したものは、後述するアニール処理において、FePtナノ粒子の表面部にFe酸化物層が生成する傾向にあり、この鉄酸化物層の生成により、アニール処理において、面心立方(fcc)構造から面心直方(fct)構造への相転移がし易くなる傾向にあることから好適である。なお、このFe酸化物層の厚さは1nm以下であることが好ましい。
なお、上記工程a〜工程cは、いずれもアルゴン等の不活性ガス雰囲気又は窒素ガス雰囲気下で実施することが好ましい。
熟成後の反応液からは、ろ過等の常法に従い、生成したFePtナノ粒子を分離することができる。また、溶媒を交換して液中で保存してもよい。特に、遠心分離によりFePtナノ粒子を溶液から分離する際、例えば、溶媒の作用によるFePtナノ粒子の凝集・再分散を利用して、微小な粒子を除去することが可能であり、これにより、粒子径分布がより揃ったFePtナノ粒子とすることが可能である。
このようにして得られたFePtナノ粒子が、面心直方(fct)構造を含むFePt磁性ナノ粒子(なお、面心直方(fct)構造を含み、面心立方(fcc)構造を含まないものであっても、面心立方(fcc)構造及び面心直方(fct)構造の双方を含むものであってもよい。)である場合、磁気異方性を有する強い磁性を与える面心直方(fct)構造を含むFePt磁性ナノ粒子は、そのままで(即ち、磁性を有する面心直方(fct)構造への相転移のためのアニール処理を施すことなく)磁性体材料として用いることが可能である。
一方、FePtナノ粒子が面心立方(fcc)構造を含むもの(なお、面心立方(fcc)構造を含み、面心直方(fct)構造を含まないものであっても、面心立方(fcc)構造及び面心直方(fct)構造の双方を含むものであってもよい。)である場合、合金化後のFePtナノ粒子に、更に、400℃以上、好ましくは500℃以上、より好ましくは550℃、更に好ましくは600℃以上でアニール処理を施すことにより、面心立方(fcc)構造を面心直方(fct)構造に相転移させてFePt磁性ナノ粒子とすることが可能である。FePtナノ粒子が面心立方(fcc)構造を含むものである場合、これを強い磁性を与える面心直方(fct)構造に相転移させることが可能であり、FePtナノ粒子にアニール処理を施すことにより、FePtナノ粒子をより強い磁性を有するFePt磁性ナノ粒子とすることが可能である。なお、アニール処理温度の上限は特に限定されないが、好ましくは700℃以下、より好ましくは650℃以下である。また、アニール処理は、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、窒素ガス雰囲気下、又はアルゴン等の不活性ガス若しくは窒素ガス中に、水素ガスを1〜5容量%、特に2〜3容量%含む還元雰囲気下で処理することが好ましく、処理時間は0.5〜10時間、特に2.5〜3.5時間とすることが好ましい。
本発明におけるFePtナノ粒子及びFePt磁性ナノ粒子の平均粒子径は、いずれも3〜20nm、特に4〜10nm、とりわけ5〜7nmである。なお、この平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)像から算出することができる。
本発明によれば、四角柱形状乃至略四角柱形状(特に、立方体形状乃至略立方体形状)のFePtナノ粒子を得ることができる。この四角柱形状乃至略四角柱形状は、面心立方(fcc)構造又は面心直方(fct)構造の形状を反映した形状であり、このようなFePtナノ粒子は、特に磁気異方性が高く、強い磁性を有するFePt磁気ナノ粒子を与えるものであることから好適である。
また、FePtナノ粒子中のFeとPtとの比率は、Fe:Pt=50:50〜60:40(原子比)であることが好ましい。この比率は、図1に示される面心直方(fct)構造のFeとPtとの比率に近似するものであり、このようなFePtナノ粒子が、特に磁気異方性が高く、強い磁性を有するFePt磁気ナノ粒子を与えるものであることから好適である。
本発明においては、保磁力が3kOe以上、特に5〜6kOe、角型比が0.5以上、特に0.6〜0.9のFePt磁性ナノ粒子を得ることができる。なお、1Oeは約79A/mである。
また、本発明においては、基板上に上記した方法で得たFePt磁性ナノ粒子が配列した配列体を製造すること、特に、基板上にFePt磁性ナノ粒子の配列体を有する磁気記録媒体を製造することができる。
まず、得られたFePtナノ粒子が、面心直方(fct)構造を含むFePt磁性ナノ粒子である場合、
[A]FePtナノ粒子の表面に、分子鎖の一端側に上記FePtナノ粒子の表面と化学結合し得る第1の官能基、他端側に第2の官能基、好ましくは上記FePtナノ粒子の表面と化学結合しない第2の官能基を有する第1の有機コーティング剤を接触させ、上記第1の有機コーティング剤分子を上記第1の官能基を介して上記FePtナノ粒子の表面に化学結合させることにより、上記FePtナノ粒子の表面上に上記第1の有機コーティング剤分子の単分子膜を形成する工程、
[B]上記基板の表面に、分子鎖の一端側に上記基板の表面と化学結合し得る第3の官能基、他端側に、好ましくは上記基板の表面と化学結合せず、上記第2の官能基と反応して結合を形成し得る第4の官能基を有する第2の有機コーティング剤を接触させ、上記第2の有機コーティング剤分子を上記第3の官能基を介して上記基板の表面に化学結合させることにより、上記基板の表面上に上記第2の有機コーティング剤の単分子膜を形成する工程、
[C]上記第1の有機コーティング剤の単分子膜を備えるFePtナノ粒子と、上記第2の有機コーティング剤の単分子膜を備える基板とを接触させ、上記第2の官能基と上記第4の官能基とを反応させて結合を形成させることにより、上記基板上に、上記第1及び第2の有機コーティング剤を介してFePtナノ粒子が結合して配列したFePtナノ粒子の配列体を形成する工程
により、基板上にFePt磁性ナノ粒子が配列したFePt磁性ナノ粒子配列体を製造することができる。
ここで、第1の官能基としては、チオール基、アミノ基、シアノ基など、第2の官能基としては、チオール基などを挙げることができ、第1の有機コーティング剤として具体的には1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオール等を挙げることができる。第1の官能基としては、FePtナノ粒子中のFe原子又はPt原子と結合を形成すること、特にFe原子又はPt原子と選択的に結合を形成することができるものであることが好ましい。一方、第2の官能基としては、後述する第2の有機コーティング剤の第4の官能基と反応して結合を形成し得るものであることが必要である。
この第1のコーティング剤をFePtナノ粒子に接触させる方法としては、例えば、第1のコーティング剤をトルエン、ヘキサン等の溶媒に溶解させた溶液に、FePtナノ粒子を、例えば20〜60℃の温度で、1〜20分間浸漬する方法が挙げられる。これにより、第1のコーティング剤分子が第1の官能基を介してFePtナノ粒子の表面に化学結合して、FePtナノ粒子の表面上に第1の有機コーティング剤分子の単分子膜が形成される。
一方、第3の官能基としては、メトキシシラニル基、エトキシシラニル基等のアルコキシシラニル基、シラノール基、ヒドロキシル基など、第4の官能基としては、チオール基、アミノ基などを挙げることができ、第2の有機コーティング剤として具体的には3−メルカプトトリエトキシシラン等を挙げることができる。なお、第3の官能基は、基板と結合を形成し得るものであるが、この基板には、磁気記録媒体、特に垂直磁気記録媒体において、磁気記録層が積層される部分に軟磁性裏打ち層(SUL)、酸化ケイ素(SiO2)中間層等の下地層などを形成した基板が含まれ、この場合、第3の官能基はこの下地層などに結合するものとする。
この第2のコーティング剤を基板に接触させる方法としては、例えば、第2のコーティング剤をトルエン等の溶媒に溶解させた溶液に、基板を、例えば50〜70℃の温度で、1〜20分間浸漬する、又は上記溶液をスピンコート等により塗布して上記時間保持する方法が挙げられる。これにより、第2のコーティング剤分子が第3の官能基を介して基板(下地層)の表面に化学結合して、基板(下地層)の表面上に第2の有機コーティング剤分子の単分子膜が形成される。
そして、第1の有機コーティング剤の単分子膜が形成されたFePtナノ粒子を、例えば、トルエン、ヘキサン等の溶媒に分散させた分散液に、第2の有機コーティング剤の単分子膜が形成された基板を、例えば20〜60℃の温度で、1〜20分間浸漬する、又は上記分散液をスピンコート等により塗布して上記時間保持することにより、第1の有機コーティング剤分子の第2の官能基と、第2の有機コーティング剤分子の第4の官能基とが結合して、例えば、図2(A)に模式的に示されるような、基板(下地層)上に、第1及び第2の有機コーティング剤を介してFePtナノ粒子が結合してFePtナノ粒子が1層に配列したFePtナノ粒子の配列体が形成される。なお、図2(A)中、1はFePtナノ粒子、2は第1の有機コーティング剤分子、3は第2の有機コーティング剤分子、4は基板である。
なお、上述したFePtナノ粒子の製造において用いた第1の粒子分散剤及び第2の粒子分散剤を第1の有機コーティング剤として利用することも可能である。その場合、上記[A]工程の代わりに、FePtナノ粒子が生成した反応液からFePtナノ粒子を分離する際に、例えば洗浄する溶媒を適宜選択して、FePtナノ粒子の表面に第1の粒子分散剤及び第2の粒子分散剤の一方又は双方、好ましくは一方の単分子膜を形成するようにすればよく、この場合、表面に第1の粒子分散剤及び/又は第2の粒子分散剤である第1の有機コーティング剤の単分子膜が形成されたFePtナノ粒子を用い、更に、上記[B]及び[C]工程を実施することにより、基板上にFePt磁性ナノ粒子が配列したFePt磁性ナノ粒子配列体を製造することができる。
また、上記[B]工程における第2の有機コーティング剤の第4の官能基が、FePtナノ粒子中のFe原子又はPt原子と結合を形成するもの、特にFe原子又はPt原子と選択的に結合を形成することができるものである場合は、FePtナノ粒子を第4の官能基に直接結合させることもできる。その場合、上記[A]工程を実施することなく上記[B]工程を実施し、更に、上記[C]工程の代わりに、
[C’]上記FePtナノ粒子と、上記第2の有機コーティング剤の単分子膜を備える基板とを接触させ、上記FePtナノ粒子と上記第4の官能基とを反応させて結合を形成させることにより、上記基板上に、上記第2の有機コーティング剤を介してFePtナノ粒子が結合して配列したFePtナノ粒子の配列体を形成する工程
を実施すればよい。
この場合、FePtナノ粒子を、例えば、トルエン、ヘキサン等の溶媒に分散させた分散液に、第2の有機コーティング剤の単分子膜が形成された基板を、例えば20〜60℃の温度で、1〜20分間浸漬する、又は上記分散液をスピンコート等により塗布して上記時間保持することにより、FePtナノ粒子と、第2の有機コーティング剤分子の第4の官能基とが結合して、例えば、図2(B)に模式的に示されるような、基板(下地層)上に、第2の有機コーティング剤を介してFePtナノ粒子が結合してFePtナノ粒子が1層に配列したFePtナノ粒子の配列体が形成される。なお、図2(B)中、1はFePtナノ粒子、3は第2の有機コーティング剤分子、4は基板である。
このようにして形成したFePtナノ粒子の配列体は、そのFePtナノ粒子が、既に、強い磁性を与える面心直方(fct)構造を含むFePt磁性ナノ粒子であることから、磁性を有する面心直方(fct)構造への相転移のためのアニール処理を施すことなく、配列体を磁気記録媒体の磁気記録層として適用することが可能である。
一方、得られたFePtナノ粒子が、面心方(fc)構造を含むFePt磁性ナノ粒子である場合、上記[A]〜[C]の工程により、FePtナノ粒子を配列させた後、更に、
[D]上記配列したFePtナノ粒子に400℃以上でアニール処理を施すことにより、面心立方(fcc)構造を面心直方(fct)構造に相転移させてFePt磁性ナノ粒子とする工程
を施すことにより、基板上にFePt磁性ナノ粒子が配列したFePt磁性ナノ粒子配列体を製造することができる。
このアニール処理により、面心立方(fcc)構造を、磁気異方性を有する強い磁性を与える面心直方(fct)構造に相転移させることが可能である。この場合のアニール処理の条件は、上述した合金化後のFePtナノ粒子のアニール処理と同様の条件を適用することができる。
面心立方(fcc)構造を含むFePtナノ粒子(アニール処理をしていないFePtナノ粒子)を基板上に配列させた後にアニール処理を施して、面心立方(fcc)構造を面心直方(fct)構造に相転移させることにより、配列前に(即ち、多数のFePtナノ粒子がランダムに集合した状態で)アニール処理する場合とは異なり、FePtナノ粒子の凝集などによる大粒径化を避けて、小粒径の均一な粒子が配列したFePt磁性ナノ粒子の配列体を得ることができる。
なお、上記した第1の有機コーティング剤の単分子膜が形成されたFePtナノ粒子の分散液にはシリカコート剤を添加することが可能である。シリカコート剤を用いることにより、FePtナノ粒子を配列させた配列体に対して施される熱処理やアニール処理におけるFePtナノ粒子の凝集を更に抑制することができる。
なお、FePtナノ粒子を基板に配列させる場合、四角柱形状乃至略四角柱形状(特に、立方体形状乃至略立方体形状)のFePtナノ粒子を用いることが好ましい。この四角柱形状乃至略四角柱形状は、面心立方(fcc)構造又は面心直方(fct)構造の形状を反映した形状であり、特に、図1に示される面心直方(fct)構造を含むFePtナノ粒子にあっては、第1の有機コーティング剤として、第1の官能基がFeとの結合を形成する(特にFe原子と選択的に結合を形成する)ものを用いれば、四角柱形状の対向する3組の面のうち、5つのFe原子で構成されている1組の端面側に集中して、上記第1の有機コーティング剤が結合することとなる。従って、第1の有機コーティング剤の単分子膜が形成されたFePtナノ粒子は、この第1の有機コーティング剤が結合した両端面の一方の面を基板側として配列することになり、FePtナノ粒子、特に、FePt磁性ナノ粒子をその磁化容易軸の向きを垂直に揃えて基板上に並べたFePt磁性ナノ粒子の配列体を形成することができる。
本発明のFePt磁性ナノ粒子及びFePt磁性ナノ粒子配列体は、磁気記録媒体の磁気記録層として有効に機能するものであり、基板上にFePt磁性ナノ粒子の配列体を有する磁気記録媒体として、特に、次世代の超高密度磁気記録システムとして有望視されているディスクリートトラック型の磁気記録媒体の磁気記録層に適用すれば、例えば1Tbit/inch2以上の記録密度を有する超高密度磁気記録媒体の提供も可能となる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜7]
化合物としてPアセチルアセトナート(P(acac)2)を0.5mmol/dm3、還元剤として1−オクタデセンを1.5mmol/dm3、第1の粒子分散剤としてオレイン酸を0.94mmol/dm3含む、ベンジルエーテルを溶媒とした溶液を調製した。この溶液を、フラスコ中、アルゴン雰囲気下で、100℃まで加熱し、100℃になったところで、Fe化合物として鉄カルボニル(Fe(CO)5)を0.99mmol/dm3添加し、更に温度を120℃まで昇温して5分間保持した後、鉄カルボニルが溶解したところで、第2の粒子分散剤としてオレイルアミンを1.4mmol/dm3添加した。
次に、各々、195℃(実施例1)、215℃(実施例2)、225℃(実施例3)、245℃(実施例4)、255℃(実施例5)、265℃(実施例6)、275℃(実施例7)まで昇温し、この温度で120分間熟成した後、室温まで冷却して、FePtナノ粒子を得た。
〔FePtナノ粒子の配列、並びにFePtナノ粒子の粒子径及び粒子形状〕
実施例4で製造したFePtナノ粒子を用い、オレイン酸・オレイルアミン修飾されたFePtナノ粒子がヘキサン中に分散した分散液を、カーボン膜塗布TEM(透過型電子顕微鏡)用グリッド表面に滴下した後、自然乾燥して、FePtナノ粒子を配列させた。
FePtナノ粒子を配列させたTEM用グリッド上のFePtナノ粒子をTEMにて観察したところ、図3(a)に示されるように、平均粒子径が6nmのFePtナノ粒子が規則的に配列していることが確認された。また、図3(b)に示されるFePtナノ粒子の制限視野電子線回折(SAED)による回折線から、fcc−FePt(111)を示すリングより内側の4点のスポットから4回対称であることが確認された。これは、FePtナノ粒子が立方体乃至略立方体形状であることを意味する。
〔FePtナノ粒子のアニール処理〕
実施例1,3及び4で得られたFePtナノ粒子をN2雰囲気下、600℃で3時間アニール処理し、X線回折(XRD)により評価した。結果を図4(b)に示す。また、アニール処理前の粒子のXRDパターン、及びJCPDSに記載されているfct−FePtの標準ピーク位置及び強度を、各々、図4(a)及び(c)に示す。
アニール処理前においては、熟成温度が高温側にシフトするにつれて、fcc結晶性が向上すると共に35°付近にFe酸化物由来のピークが確認された。これからより高温側で熟成すると、粒子の表面部にFe酸化物層が形成され易くなるものと考えられる。アニール処理後においては、fct相への相転移が進行していることが確認され、また、この場合も、熟成温度が高温側であったものでは35°付近にFe酸化物由来のピークが確認された。
また、実施例1〜7で得られたFePtナノ粒子をN2雰囲気下、600℃で3時間アニール処理して得たFePt磁性ナノ粒子の磁気特性(保磁力及び角型比)を超伝導量子干渉素子(SQUID)により測定した。結果を表1及び図5に示す。
熟成温度が高温側にシフトするにつれて、FePt磁性ナノ粒子の磁気特性が向上することが確認された。また、比較的高い磁気特性を示すものは、XRDにおいて、Fe酸化物由来のピークが確認されることから、粒子の表面部にFe酸化物層がある程度形成されている粒子のほうが、fcc相からfct相への相転移が進行し易いと考えられる。
面心直方(fct)のFePt構造を示す図である。 基板上に有機コーティング剤を介してFePtナノ粒子が結合して配列した状態を示す模式図である。 実施例4で得られたFePtナノ粒子の、(a)透過型電子顕微鏡像、及び(b)制限視野電子線回折線像である。 実施例1,3及び4で得られたFePtナノ粒子の、(a)アニール処理前の粒子のX線回折パターン、(b)アニール処理後の粒子のX線回折パターン、及び(c)fct−FePtの標準ピーク位置及び強度を示す図である。 実施例1〜7で得られたアニール処理後のFePt磁気ナノ粒子の磁気特性を示すグラフである。
符号の説明
1 FePtナノ粒子
2 第1の有機コーティング剤分子
3 第2の有機コーティング剤分子
4 基板

Claims (12)

  1. 平均粒子径が3〜20nmのFePtナノ粒子を製造する方法であって、Pt化合物と還元剤と第1の粒子分散剤とを含む溶媒溶液から還元反応により金属Pt核粒子を生成させ、更に、上記溶媒溶液にFe化合物及び第2の粒子分散剤を添加して、上記Pt核粒子上に金属Feを析出させることによりFeとPtとを含むナノ粒子を生成させ、次いで、185〜320℃の温度で熟成してPt原子とFe原子とを相互拡散させて合金化することを特徴とするFePtナノ粒子の製造方法。
  2. 上記FePtナノ粒子が面心直方(fct)構造及び/又は面心立方(fcc)構造を含むことを特徴とする請求項1記載のFePtナノ粒子の製造方法。
  3. 上記FePtナノ粒子が面心直方(fct)構造を含むFePt磁性ナノ粒子であることを特徴とする請求項記載のFePtナノ粒子の製造方法。
  4. 上記FePtナノ粒子が面心立方(fcc)構造を含み、熟成処理の後に、更に、FePtナノ粒子に400℃以上でアニール処理を施すことにより、面心立方(fcc)構造を面心直方(fct)構造に相転移させてFePt磁性ナノ粒子とすることを特徴とする請求項記載のFePtナノ粒子の製造方法。
  5. 上記FePt磁性ナノ粒子の保磁力が3kOe以上、角型比が0.5以上であることを特徴とする請求項3又は4記載のFePtナノ粒子の製造方法。
  6. 上記FePtナノ粒子の平均粒子径が3〜10nmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のFePtナノ粒子の製造方法。
  7. 上記第1の粒子分散剤として炭素数3〜17の直鎖不飽和脂肪酸又はN−2−ビニルピロリドンを用いることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のFePtナノ粒子の製造方法。
  8. 上記第1の粒子分散剤としてオレイン酸を用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のFePtナノ粒子の製造方法。
  9. 上記第2の粒子分散剤として炭素数1618の直鎖不飽和脂肪族アミンを用いることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載のFePtナノ粒子の製造方法。
  10. 上記還元剤として炭素数16〜18の不飽和炭化水素又は炭素数16〜18の飽和炭化水素ジオールを用いることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載のFePtナノ粒子の製造方法。
  11. 基板上にFePt磁性ナノ粒子の配列体を有する磁気記録媒体を製造する方法であって、
    請求項1乃至10のいずれか1項記載の方法により得られたFePtナノ粒子であり、面心直方(fct)構造を含むFePt磁性ナノ粒子であるFePtナノ粒子の表面に、分子鎖の一端側に上記FePtナノ粒子の表面と化学結合し得る第1の官能基、他端側に上記FePtナノ粒子の表面と化学結合しない第2の官能基を有する第1の有機コーティング剤を接触させ、上記第1の有機コーティング剤分子を上記第1の官能基を介して上記FePtナノ粒子の表面に化学結合させることにより、上記FePtナノ粒子の表面上に上記第1の有機コーティング剤分子の単分子膜を形成する工程、
    上記基板の表面に、分子鎖の一端側に上記基板の表面と化学結合し得る第3の官能基、他端側に上記基板の表面と化学結合せず、上記第2の官能基と反応して結合を形成し得る第4の官能基を有する第2の有機コーティング剤を接触させ、上記第2の有機コーティング剤分子を上記第3の官能基を介して上記基板の表面に化学結合させることにより、上記基板の表面上に上記第2の有機コーティング剤の単分子膜を形成する工程、及び
    上記第1の有機コーティング剤の単分子膜を備えるFePtナノ粒子と、上記第2の有機コーティング剤の単分子膜を備える基板とを接触させ、上記第2の官能基と上記第4の官能基とを反応させて結合を形成させることにより、上記基板上に、上記第1及び第2の有機コーティング剤を介してFePtナノ粒子が結合して配列したFePtナノ粒子の配列体を形成する工程
    を含むことを特徴とするFePt磁性ナノ粒子配列体を有する磁気記録媒体の製造方法。
  12. 基板上にFePt磁性ナノ粒子の配列体を有する磁気記録媒体を製造する方法であって、
    請求項1乃至10のいずれか1項記載の方法により得られたFePtナノ粒子であり、面心立方(fcc)構造を含むFePtナノ粒子の表面に、分子鎖の一端側に上記FePtナノ粒子の表面と化学結合し得る第1の官能基、他端側に上記FePtナノ粒子の表面と化学結合しない第2の官能基を有する第1の有機コーティング剤を接触させ、上記第1の有機コーティング剤分子を上記第1の官能基を介して上記FePtナノ粒子の表面に化学結合させることにより、上記FePtナノ粒子の表面上に上記第1の有機コーティング剤分子の単分子膜を形成する工程、
    上記基板の表面に、分子鎖の一端側に上記基板の表面と化学結合し得る第3の官能基、他端側に上記基板の表面と化学結合せず、上記第2の官能基と反応して結合を形成し得る第4の官能基を有する第2の有機コーティング剤を接触させ、上記第2の有機コーティング剤分子を上記第3の官能基を介して上記基板の表面に化学結合させることにより、上記基板の表面上に上記第2の有機コーティング剤の単分子膜を形成する工程、
    上記第1の有機コーティング剤の単分子膜を備えるFePtナノ粒子と、上記第2の有機コーティング剤の単分子膜を備える基板とを接触させ、上記第2の官能基と上記第4の官能基とを反応させて結合を形成させることにより、上記基板上に、上記第1及び第2の有機コーティング剤を介してFePtナノ粒子が結合して配列したFePtナノ粒子の配列体を形成する工程、及び
    上記配列したFePtナノ粒子に400℃以上でアニール処理を施すことにより、面心立方(fcc)構造を面心直方(fct)構造に相転移させてFePt磁性ナノ粒子とする工程
    を含むことを特徴とするFePt磁性ナノ粒子配列体を有する磁気記録媒体の製造方法。
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