以下、本発明にかかる撮像ユニットおよび撮像装置を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。本実施の形態の撮像ユニットを備える撮像装置は、一例としてレンズ交換可能な一眼レフレックス式デジタルカメラへの適用例として説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1の一眼レフレックス式デジタルカメラのカメラ本体の内部構造の概略を示す中央縦断正面図であり、図2は、内部構造の概略を示すレンズ光軸上での縦断側面図であり、図3は、内部構造の概略を示すレンズ光軸上での水平断面図である。
本実施の形態1の一眼レフレックス式デジタルカメラ1は、カメラ本体10と、このカメラ本体10の前面側に交換可能に装填されることにより搭載される撮影レンズ11とにより構成される。カメラ1の外観形状を構成する樹脂製のカメラ本体10は、撮影レンズ11の光軸O上となる前面側位置に撮影レンズ11を含むレンズユニット12を交換自在に装填するためのリング状のマウント部13を備える。また、カメラ本体10は、前面側から見て左側に撮影時等において操作者の右手により保持されるグリップ部14を有する。このグリップ部14の頂部には、レリーズスイッチ等の各種スイッチ、ボタン類を備える。
カメラ本体10は、図2や図3に示すように、背面側において光軸O上の位置にアクリル製のパネル表示窓16を有する表示装置としての液晶モニタ17を備える。この液晶モニタ17は、撮影された画像の他、各種設定・調整事項等の各種情報を表示するTFT(Thin Film Transistor)タイプの矩形状表示パネルである。また、カメラ本体10内には、撮影時に操作者が覗くファインダ窓18が設けられ、頂部には、外付けのフラッシュを取り付けるホットシュー19を備える。
また、カメラ本体10は、図2に示すように、前面側において光軸O上に配設させたクイックリターンミラー20等のミラー部材を内蔵し、その下方にデフォーカス量を検出するAFセンサユニット21等を収納したミラーボックス22を備える。また、カメラ本体10内には、クイックリターンミラー20よりも奥側に向けて、フォーカルプレーンシャッタ23と、撮像素子24等を含む撮像ユニット25とが、光軸O上で光軸Oに直交させて順に配置されている。また、カメラ本体10内において、クイックリターンミラー20の光軸O上の背後にはサブミラー20aが配置され、サブミラー20aからの反射光をAFセンサユニット21に導くように光路設定されている。一方、クイックリターンミラー20の反射側光軸上には、ダハミラー26、接眼レンズ27等が配置されている。
さらに、カメラ本体10のグリップ部14の内部には、電池40を収納する電池収納室41が設けられている。電池40は、底面の開閉蓋42を開閉することにより電池収納室41内への挿脱が可能とされている。また、グリップ部14の内部において、背面側には、カメラ全体の制御や画像処理、圧縮処理、データ記憶処理等を行うための回路やSDRAM等のメモリ、電源回路等が搭載された回路基板43,44が配設されている。回路基板43と撮像素子24を搭載した支持板31との間、および回路基板43,44間は、フレキシブル基板45,46によって電気的に接続されている。また、グリップ部14において、電池収納室41と回路基板44との間には、メモリカード47を装填するためのメモリスロット48が形成され、通常は、開閉自在なカバー49で閉塞されている。また、グリップ部14内において、電池収納室41より前面側にはストロボ用のアルミニウム電解コンデンサ50が内蔵されている。
ここで、撮像ユニット25は、光学LPF(ローパスフィルタ)30と撮像素子24と支持板31とを備える。撮像素子24は、撮影レンズ11により撮像面に結像された被写体像を光電変換するもので、所定比率の横長矩形形状をなし、本実施の形態1では、例えばCCDイメージセンサが用いられている。なお、撮像素子24としては、CCDイメージセンサに限らず、CMOSイメージセンサ等であってもよい。また、支持板31は、撮像素子24を表面に搭載して固定、位置決めするためのものである。この支持板31は、放熱性のよい金属等の放熱材、本実施の形態1ではアルミニウム板からなり、撮像素子24よりも大きな横長の略長方形形状に形成されている。
撮像ユニット25は、さらに、第1の保持部材51と、第2の保持部材52と、固定部材53と、駆動機構60とを備える。第1の保持部材51は、矩形枠形状に形成されて撮像素子24が搭載された支持板31や光学LPF30を保持するためのものである。第2の保持部材52は、第1の保持部材51よりも一回り大きな矩形枠形状に形成されて、第1の保持部材51をY軸方向(上下方向)に移動可能に保持するためのものである。ここで、第1の保持部材51と第2の保持部材52との間で、X軸方向(左右方向)の一側においてはY軸方向にのみ移動可能に離間配置させた2個の鋼球54a、他側においては1個の鋼球54bが介在されることで、第1の保持部材51が第2の保持部材52に対して円滑にY軸方向に移動可能とされている。なお、鋼球54b付近において、第1の保持部材51と第2の保持部材52との間にはばね55が介在されている。
また、固定部材53は、第2の保持部材52よりも一回り大きな矩形枠形状に形成されて、第2の保持部材52をX軸方向に移動可能に保持するためのものである。ここで、第2の保持部材52と固定部材53との間で、Y軸方向の一側においてはX軸方向にのみ移動可能に離間配置させた2個の鋼球56a、他側においては1個の鋼球56bが介在されることで、第2の保持部材52が固定部材53に対して円滑にX軸方向に移動可能とされている。なお、鋼球56b付近において、第2の保持部材52と固定部材53との間にはばね57が介在されている。また、固定部材53は、撮像素子24が光軸O上に位置するようにして例えば4箇所でミラーボックス22等の固定部に位置調整されて組み付けられる。ここで、固定部材53は、支持板31の裏面に近接対向する位置に支持板31よりも大きく形成された固定放熱板58がねじ止めにより一体化されている。すなわち、固定放熱板58も固定部材の一部を構成する。また、固定部材53や固定放熱板58は、放熱性のよい金属等の材質又は熱伝導率の高い素材として炭素繊維などのフィラーが充填されたPC樹脂(ポリカーボネート樹脂)やPPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)により形成されている。
また、駆動機構60は、第1の駆動機構61と第2の駆動機構62とからなる。第1の駆動機構61は、鋼球54a部分に対応させて第1の保持部材51と第2の保持部材52との間に設けられて第1の保持部材51を第2の保持部材52に対してY軸方向に変位移動させるためのものである。この第1の駆動機構61は、例えば第1の保持部材51に押圧接触させて第2の保持部材52側に設けられて図示しない駆動電極に対する電圧印加により楕円振動を発生することにより、第1の保持部材51を第2の保持部材52に対してY軸方向に移動させる圧電素子61aを用いた圧電素子駆動モータ方式として構成されている(図3参照)。
第2の駆動機構62は、鋼球56a部分に対応させて第2の保持部材52と固定部材53との間に設けられて第2の保持部材52を固定部材53に対してX軸方向に変位移動させるためのものである。この第2の駆動機構62も、例えば第2の保持部材52に押圧接触させて固定部材53側に設けられて図示しない駆動電極に対する電圧印加により楕円振動を発生することにより、第2の保持部材52を固定部材53に対してX軸方向に移動させる圧電素子62aを用いた圧電素子駆動モータ方式として構成されている(図2参照)。
なお、駆動機構60は、圧電素子駆動モータ方式に限らず、電磁駆動方式や、屈曲振動モータを駆動源として駆動する方式や、VCM(ボイスコイルモータ)を駆動源として駆動する方式であってもよい。
このような駆動機構60を備えることで、撮像素子24が搭載された支持板31は、固定部材53に対して光軸Oに直交するXY平面内で上下左右なる2次元方向に変位移動可能となる。よって、撮影に際して、当該一眼レフレックス式デジタルカメラに手ぶれが発生した場合、駆動機構60を駆動させて支持板31をXY平面内で2次元方向に変位移動させることで、撮像素子24の受光面における画像のぶれを補正することができる。
ここで、本実施の形態の撮像ユニット25は、さらに、可動放熱板71と、ガイド軸72と、圧縮コイルばね73と、電磁駆動機構80とを備える。図5は、電磁駆動機構80に対する非通電時および通電時の撮像ユニット25の一部を抽出して示す光軸部分での水平断面図であり、図6は、光軸部分での縦断側面図である。まず、ガイド部材としての2本のガイド軸72は、固定放熱板58のX軸方向の両端付近に位置させて支持板31側に向けて突出するように立設されている。また、可動放熱板71は、固定放熱板58の支持板31に対する対向面側に配置されて、ガイド軸72にスライド自在に嵌合することにより光軸O方向にガイドされて移動可能に設けられている。ここで、ガイド軸72は、放熱性を有する材料からなり、固定放熱板58および可動放熱板71とは常に熱的に結合されている。また、弾性部材としての圧縮コイルばね73は、ガイド軸72上においてガイド軸72の先端側に固定されたEリング74と可動放熱板71との間に設けられ、可動放熱板71を固定放熱板58側に付勢するためのものである。
また、通電駆動機構としての電磁駆動機構80は、励磁コイル81が巻回された磁性体コア82と、ゴム磁石83との組合せからなり、励磁コイル81に通電されることにより可動放熱板71を移動させる駆動力として電磁的吸引力を発生する電磁ソレノイド方式のもので、複数箇所、例えば6箇所にほぼ均等に分散させて設けられている。ここで、磁性体コア82は、放熱性を有する材料により円柱状に形成されて、その軸心を光軸Oに沿わせて可動放熱板71に配置されて先端が支持板31側に接離する熱伝導部を兼用するものである。
永久磁石としての磁力の弱いゴム磁石83は、支持板31の裏面側に熱伝導性の高い接着剤により一体に設けられた熱伝導性部材75上で各磁性体コア82に対向させて配置されている。このゴム磁石83の磁束は、可動放熱板71の表面に対して垂直方向に設定されている。これにより、励磁コイル81に通電されると、磁性体コア82とゴム磁石83との間に電磁的吸引力が発生し、両者が接触するように構成されている。ここで、この電磁的吸引力は、前述の駆動機構60による駆動力よりも弱く設定されている。また、ゴム磁石83は、放熱性を有するもので、接離する磁性体コア82よりも大きめな板状に形成されている。このようなゴム磁石83に関して、磁力が射出成形時の熱で低下する可能性があれば、射出成形後に得られたゴム磁石の磁力で使用するようにすればよい。あるいは、このような可撓性のゴム磁石83の着磁を射出成形後に行うようにしてもよい。なお、永久磁石としては、ゴム磁石83に限らず、プラスチック磁石等の可撓性を有する磁石であってもよく、さらには、SmCO等の希土類磁石であってもよい。
図7は、固定放熱板58、可動放熱板71周りのさらなる詳細な構成例を原理的に示す水平断面図である。可動放熱板71の表面には、プリント基板や銅板をエッチング加工してなる回路基板90が設けられ、回路基板90上の電力供給信号線部分が各励磁コイル81に半田付け接続されている。また、可動放熱板71には、各磁性体コア82周りに位置させて複数個の放熱通路91が形成されているとともに、可動放熱板71の裏面側には放熱シート92が熱伝導性の高い接着剤により一体に設けられ、放熱シート92と固定放熱板58との対向部分には複数個の放熱フィン93が設けられ、放熱性の向上が図られている。さらに、固定放熱板58の磁性体コア82に対向する部分には放熱通路94が形成されている。そして、各磁性体コア82の基部側は、拠り線などのワイヤ部材95によって液晶モニタ17のシールド板96に小ねじ97で熱的に接続固定されている。ここで、固定放熱板58とシールド板96との間には、グラファイトシート等の熱伝導性の高い熱伝導性シート98が介在されている。よって、ワイヤ部材95は、熱伝導性シート98に積層または埋め込むように設けられる。
また、可動放熱板71の表面の回路基板90上には、撮像素子24付近の温度を検出するための温度センサ99が半田付けされて搭載されている。なお、この温度センサ99は、撮像素子24の位置を検出するためのホール素子(図示せず)に温度センサが設けられている場合は省略してもよい。また、温度センサは、固定放熱板58とシールド板96との間に配置させるようにしてもよい。この場合は、熱伝導性シート98に積層または埋め込むように設ければよい。
また、支持板31上の熱伝導性部材75には、複数の熱伝導性部材76が可動放熱板71側に向けて突出形成されている。この熱伝導性部材76は、クッション性を得るためにエッチング法により形成されている。すなわち、熱伝導性部材76は、エッチング法で、金属製の熱伝導性部材75(0.5mm厚みの銅材料の薄板)に所定の間隔で直径0.5mmの円柱状部材として形成されている。あるいは、この熱伝導性部材76としては、高い熱伝導率を有する黒鉛やアルミニウム粉が充填されたPPS樹脂材料を射出成形などによって形成するようにしてもよい。
あるいは、この熱伝導性部材76としては、支持板31の2次元方向の変位移動に追従して変位する可撓性を有するように円柱形状に形成されたλゲル(登録商標)等の熱伝導性柔軟素材からなり、複数個が支持板31に接合し、支持板31と高い熱伝導率を有する黒鉛やアルミニウム粉が充填されたPPS樹脂材料製の可動放熱板71との間に上下左右均等となるように分散配置させてもよい。本実施の形態1では、図4に示すように、複数個の熱伝導性部材76の一端が取り付けられた放熱シート31aを備え、複数個の熱伝導性部材76の他端が可動放熱板71の表面に接触または離間するようにしてこの放熱シート31aを支持板31上に取り付けることで、熱伝導性部材76が装填される。
いずれにしても、熱伝導性部材76としては、その柱状体の高さが磁性体コア82の高さ程度であることが必要となる。さらに、柱状体の外形も、放熱性を高めるために立設した螺旋形状や横に這わせたS字形状などにすることもできる。したがって、熱伝導性部材76の柱状体の高さとしては、1.5mm程度で高い熱伝導率を有する黒鉛やアルミニウム粉が充填されたPPS樹脂シートがより好ましい。
このような構成において、撮像素子24はカメラ本体10内における主な発熱源となり、撮像素子24の駆動に伴い熱が発生する。これにより撮像素子24付近の温度が所定温度以上に上昇したことが温度センサ99を通じて検出されると、後述する制御系によって励磁コイル81に通電される。励磁コイル81に通電されると、離間していた磁性体コア82とゴム磁石83との間に電磁的吸引力が発生し、磁性体コア82の先端がゴム磁石83に接触するように固定放熱板58に対して可動放熱板71をガイド軸72にガイドさせつつ圧縮コイルばね73に抗して移動させる。これにより、図5(b)および図6(b)に示すように、磁性体コア82の先端がゴム磁石83に接触した状態となる。この接触時に、衝撃音が発生しやすいが、本実施の形態1では、永久磁石としてゴム磁石83を用いているので、磁性体コア82の接触時の衝撃が抑制され、衝撃音をなくすことができる。また、熱伝導性部材76の先端側も可動放熱板71に接触した状態となる。
これにより、撮像素子24により発生した熱は、放熱性を有する支持板31に伝達された後、熱伝導率の高い熱伝導性部材75、ゴム磁石83、磁性体コア82、可動放熱板71、ガイド軸72、固定放熱板58、固定部材53側に伝達される。この際、空気層を伝達するよりもこれらの放熱性を有する部材75,83,82,71,72によって熱伝達させることで、固定放熱板58、固定部材53側に効率よく伝達させることができる。また、磁性体コア82に伝導された熱は、さらにワイヤ部材95を介して液晶モニタ17のシールド板96に伝達され、磁性体コア82部分に熱が澱むことなく効率よく放熱される。さらには、熱伝導性部材76が可動放熱板71に接触しているので、支持板31側の熱は、熱伝導性部材76、可動放熱板71、ガイド軸72、固定放熱板58、固定部材53側の経路によっても効率よく放熱される。
ところで、撮像素子24が搭載された支持板31は、駆動機構60による手ぶれ補正時には、Y方向やX方向に変位移動される。ここで、本実施の形態1では、電磁駆動機構80における電磁的吸引力は、駆動機構60の駆動力よりも弱く設定されており、電磁駆動機構80の通電時であっても磁性体コア82がゴム磁石83に接触しているだけであり、磁性体コア82に対してゴム磁石83がスライド変位可能であるので、手ぶれ補正動作を損なうことはない。また、熱伝導性部材76も可動放熱板71に接触した状態にあっても、熱伝導性部材76は、円柱形状に形成された熱伝導性柔軟素材からなり、支持板31の変位移動に追従して変位する可撓性を有するので、手ぶれ補正動作を損なうことはない。よって、撮像素子24付近の温度が上昇し、磁性体コア82がゴム磁石83に接触し、熱伝導性部材76が可動放熱板71に接触して熱伝達効果を発揮する状態であっても、手ぶれ補正動作を実行させることができる。
例えば、図5(b)は、第2の駆動機構62によって支持板31(撮像素子24)をX方向にΔXだけ変位移動させた場合を示す。この場合、磁性体コア82に対してゴム磁石83がX方向にスライド変位するが、ゴム磁石83が大きめに形成されているので両者の接触状態を維持して放熱効果を発揮させることができる。また、熱伝導性部材76は、柔軟素材を円柱形状に形成してなり変形しやすいので支持板31の変位移動に追従してX方向に斜め状態となり、支持板31の裏面側と可動放熱板71とに対する接触状態を維持する。このようにして、手ぶれ補正時の支持板31の変位移動に対して支障を来たすことはない。
また、図6(b)は、第1の駆動機構61によって支持板31(撮像素子24)をY方向にΔYだけ変位移動させた場合を示す。この場合、磁性体コア82に対してゴム磁石83がY方向にスライド変位するが、ゴム磁石83が大きめに形成されているので両者の接触状態を維持して放熱効果を発揮させることができる。また、熱伝導性部材76は、柔軟素材を円柱形状に形成してなり変形しやすいので支持板31の変位移動に追従してY方向に斜め状態となり、支持板31の裏面側と可動放熱板71とに対する接触状態を維持する。このようにして、手ぶれ補正時の支持板31の変位移動に対して支障を来たすことはない。
また、撮像素子24の温度上昇がなく、電磁駆動機構80に通電されていない場合には、電磁的吸引力が発生せず、圧縮コイルばね73のばね力により磁性体コア82がゴム磁石83から離反した状態となっているので、手ぶれ補正時の支持板31の変位移動に対して全く支障を来たすことはない。そして、電磁駆動機構80に対する非通電時または図11に示すライブビュー動作開始時における撮像素子24の位置決め機能に使用することも可能である。手ぶれ補正で励磁コイルや永久磁石を用いた電磁駆動機構の場合など、常に電流を供給することで、低消費電力化に関して課題があるが、このような課題に対しては、撮像素子24が移動しないときには初期化位置(電源オン時の撮像素子24の位置)に待機させ、磁気的にロックすることができる。また、撮像素子24用の支持板31等の支持部材にテーパ状の穴をあけ、可動放熱板71側にテーパ状の穴に対応するテーパピンを設けて、非通電時にテーパ状の穴とテーパピンとを係合させることで機械的にロックすることも可能となる。
ここで、熱伝導性部材(磁性体コア82、ゴム磁石83、可動放熱板71、ガイド軸72、熱伝導性部材76等をまとめて示す)や熱伝導性シート98を備える場合と備えない場合との放熱効果の違いについて、図8を参照して説明する。図8(a)は、本実施の形態1の場合をモデル化して示す熱回路構成図であり、図8(b)は、熱伝導性部材、熱伝導性シート98および固定放熱板58を備えない従来の場合をモデル化して示す熱回路構成図である。なお、図8中、モータなどの細かい部分は、一つの熱抵抗としてまとめて示している。また、カメラ全体をモデル化すると膨大な量になるので、図8では、撮像ユニット25からパネル表示窓16までの光軸O上部分のみの熱回路として示している。また、図8中、丸付き数字で示す各構成要素は、1が光学LPF30、2が撮像素子24、3が支持板31、4が第1の駆動機構61、5が第2の保持部材52、6が第2の駆動機構62、7が固定部材53、8がシールド板96、9が液晶モニタ17、10がアクリル製のパネル表示窓16内側、11がアクリル製のパネル表示窓16外側、12が固定放熱板58、13がシールド板96外側である。
まず、熱伝導性部材や熱伝導性シート98や固定放熱板58を備えない従来の場合には、図8(b)に示すように、発熱源となる撮像素子24の熱は、空気層、光学LPF30、空気層を介して放熱される部分の他、大半は、アルミニウム製の支持板31に熱伝達された後、支持板31とシールド板96との間の空気層を介して液晶モニタ17側に熱伝達され、さらに、空気層やアクリル製のパネル表示窓16を介して外部へ放熱される。すなわち、熱抵抗の大きな空気層に依存する部分が多く、放熱効率の悪いものとなっている。
一方、本実施の形態1の場合には、図8(a)に示すように、発熱源となる撮像素子24の熱は、空気層、光学LPF30、空気層を介して放熱される部分の他、アルミニウム製の支持板31に熱伝達された後、まず、熱伝導性部材を介して効率よく固定放熱板58側に熱伝達され、さらに、固定放熱板58や固定部材53に伝達された熱は熱伝導性シート98を介して効率よくシールド板96に熱伝達される。シールド板96に伝達された熱は、そのまま外部に放熱されたり、液晶モニタ17側に熱伝達され、さらに、空気層やアクリル製のパネル表示窓16を介して外部へ放熱される。このようにして、本実施の形態1によれば、従来例に比して、撮像素子24に発生した熱を効率よく固定放熱板58や液晶モニタ17側に熱伝達させて放熱させることができる。
つづいて、このような構成要素を含む本実施の形態1の一眼レフレックス式デジタルカメラの電装制御系の構成について説明する。図9は、本実施の形態1の一眼レフレックス式デジタルカメラの電装制御系の構成例を示すブロック図である。まず、カメラ全体の制御を司るシステムコントローラ100を備える。システムコントローラ100は、CPU101と、複数の回路ブロック、例えば画像処理回路102、圧縮伸張回路103、外部メモリIF回路104、割込み制御回路105、タイマカウンタ106、ADコンバータ107等により構成されている。CPU101と各回路ブロック102〜107とは制御ラインやバスラインで接続されている。
画像処理回路102は、撮像ユニット25中の撮像素子24で撮像されて撮像素子IF回路110から取り込んだ画像データに対してγ補正、色変換、画素変換、ホワイトバランス処理等の所定の画像処理を施す。圧縮伸張回路103は、画像処理回路102で画像処理された画像データの圧縮処理やメモリカード47から読み出された圧縮画像データの伸張処理を行う。
また、外部メモリIF回路104は、メモリカード47、SDRAM111、FlashRom112とシステムコントローラ100内部のデータバスとのブリッジ機能を果す。FlashRom112には、全体の動作を制御するための制御プログラム、制御パラメータ等が記録されている。システムコントローラ100は、CPU101がFlashRom112に格納されている制御プログラムを読み出して実行することにより、カメラの動作を制御し、制御手段としての機能を実現する。SDRAM111は、撮像素子IF回路110を介して得られた画像データの一時格納用や、システムコントローラ100のワークエリアとして用いられる。メモリカード47は、半導体の不揮発性メモリや小型HDD等の着脱可能な記録媒体である。
割込み制御回路105は、カメラ操作スイッチ113による割込み信号、タイマカウンタ106による割込み信号などを生成する。タイマカウンタ106は、クロックをカウントしてシステム制御に必要なタイミング信号を発生させる。ADコンバータ107は、カメラ本体10が備える温度センサ99等の各種センサの検出出力をA/D変換する。
撮像ユニット25中に設けられた撮像素子24は、撮影レンズ11により結像された被写体像をアナログ電気信号に光電変換する。撮像素子IF回路110は、撮像素子24を駆動するタイミングパルスを生成し、撮像素子24が光電変換したアナログ電気信号を読み出し、AD変換して画像データとしてシステムコントローラ100へ転送する。
温度センサ99は、温度検出回路114とともに温度検出手段を構成する。温度センサとしては、温度に応じて抵抗値が変化する素子や、半導体温度センサを用いればよい。温度センサ99は、前述したように撮像素子24付近の温度を検出するためのものである。
また、防塵フィルタ駆動回路115は、撮像ユニット25中に含まれる図示しない防塵フィルタに付着した塵埃を振動によって除去するために図示しない圧電素子に対して駆動信号を出力する。駆動機構60は、撮像素子24を撮影レンズ11の光軸Oに垂直なXY平面内で2次元的に変位させるためのものであり、駆動源として圧電素子駆動モータなるアクチュエータを備えている。アクチュエータ駆動回路116は、このアクチュエータに対して駆動信号を出力する。システムコントローラ100は、カメラに生じたぶれに応じて撮像素子24を変位させることで画像が劣化することを防止する、いわゆる手ぶれ補正動作を実行できる。カメラに生じたぶれは、ジャイロスコープを利用した角速度センサ117aと、この角速度センサ117aの出力を増幅する角速度検出回路117とによって検出される。システムコントローラ100は、角速度検出回路117の出力に基づきアクチュエータ駆動回路116に対してぶれ補正動作のための制御信号を出力する。
撮像ユニット25の前面(被写体側)に設けられて撮像素子24の露光時間を制御するフォーカルプレーンシャッタ23は、シャッタ駆動機構118によって開閉駆動される。システムコントローラ100は、露光時間に応じてアクチュエータ駆動回路116によってシャッタ駆動機構118による開閉動作を制御する。クイックリターンミラー20は、ミラー駆動機構119によって撮影レンズ11の光路上に位置するダウン位置(Down位置)と光路外に位置するアップ位置(Up位置)とに切換え設定可能である。このクイックリターンミラー20の中央部は、半透過状態にあり、クイックリターンミラー20がダウン位置にあるとき撮影レンズ11の光束をペンタプリズム26側とサブミラー20a側とに分ける。サブミラー20aは、クイックリターンミラー20の裏面側に配置され、クイックリターンミラー20がアップ位置にあるときは折り畳まれ、ダウン位置にあるときはクイックリターンミラー20の中央部を透過した光をAFセンサユニット21中のAFセンサへ反射させる。また、ペンタプリズム26を通過した光束の一部は測光回路120内の図示しない測光センサへ導かれ、ここで検知された光量に基づき周知の測光処理が行われる。
また、電源回路(DC/DCコンバータ)121は、電池40の電圧をシステムコントローラ100とその周辺回路に必要な駆動電圧に変換して供給する。電力分配は、システムコントローラ100の指令に基づき制御される。液晶モニタ駆動回路122は、液晶モニタ17を駆動する。液晶モニタ17は、液晶モニタ駆動回路122からの駆動信号に応じてライブビュー動作時の画像データを表示したり、各種メニュー等を表示する。カメラ操作スイッチ113は、カメラを操作するためのスイッチであり、レリーズスイッチ、モード設定スイッチ、ファインダモード切換スイッチ、防振モード切換スイッチ、パワースイッチ等を含む。
さらに、吸着アクチュエータ駆動回路123は、撮像ユニット25内に設けられた電磁駆動機構80中の励磁コイル81に対して駆動電流を供給するためのものである。励磁コイル81に電流が流れると、磁性体コア82とゴム磁石83との間に電磁的吸引力が発生する。
レンズユニット12中の撮影レンズ11は、レンズ制御コントローラ130によって制御される。レンズ制御コントローラ130は、システムコントローラ100に対して通信ラインによって接続され、システムコントローラ100からの指令に応じて所定の制御動作を実行する。
つづいて、システムコントローラ100内のCPU101によって実行される動作制御例の説明に先立ち、本実施の形態1における温度制御の概要について説明する。図10は、撮像素子24付近の検出温度Tと、カメラ制御動作の対応関係を示すグラフである。温度の判定値T1〜T4は、T1<T2<T3<T4なる大小関係を有する。これらの判定値T1〜T4は、FlashRom112に記憶された制御パラメータである。
ここでは、撮像素子24の温度が十分に低い状態からパワースイッチがオンされてカメラ動作が開始するものと仮定する。そして、ユーザが例えばライブビュー動作を選択したとする。すると、撮像素子24が連続的に動作するために撮像素子24付近の温度Tが上昇する。そこで、時刻t1に示すように、検出された温度Tが判定値T2を超えると、液晶モニタ17の表示レートを30fpsから15fpsへ変更する。表示レートを下げることで撮像素子24の温度上昇は抑制される。
しかし、カメラ外気温が高い場合など、撮像素子24の温度上昇を抑制できない場合もある。そして、時刻t2に示すように、検出された温度Tが判定値T3を超えると、表示レートを低下させたまま、さらに、撮像素子24の熱を効率よく逃がすために吸着アクチュエータ駆動回路123により励磁コイル81に通電して磁性体コア82をゴム磁石83に吸着させる。この吸着動作によって、撮像素子24で発生した熱を可動放熱板71を介して固定放熱板58側や液晶モニタ17側に逃がすことができる。
通常は、このような2つの温度上昇防止動作(表示レートの変更動作と、励磁コイル81への通電による放熱動作)によって撮像素子24の温度上昇は止まり、温度は次第に低下する。そこで、時刻t3に示すように、検出された温度Tが判定値T1以下に低下すると、液晶モニタ17の表示レートが15fpsから30fpsへ変更され、励磁コイル81は非通電となり吸着動作が解除され、2つの温度上昇防止動作が停止する。なお、判定値T2より低い温度の判定値T1になるまで温度上昇防止動作を停止しないのは、判定値T2を基準に温度上昇防止動作の開始と停止を制御すると、温度Tが判定値T2近傍にあるときに動作が不安定になるためであり、不感帯領域を確保するためである。
また、時刻t4に示すように、2つの温度上昇防止動作を実行しても、撮像素子24の温度上昇が止まらず、判定値T4を超えてしまうような事態に至った場合には、カメラシステムの動作を強制的に停止させる。
以上の説明は、ライブビュー動作に伴い撮像素子24の温度が上昇する場合を仮定したが、ユーザがライブビュー動作を選択しない場合であっても、連続的に撮影動作(例えば、連続撮影モードにおいてユーザがレリーズスイッチを押した状態を維持する)を実行した際にも、撮像素子24の温度は同様に上昇し得るものである。このような場合にも、上記の2つの温度上昇防止動作が実行される。
つづいて、システムコントローラ100内のCPU101によって実行される温度上昇防止動作、手ぶれ補正動作等を含むカメラの動作制御例について説明する。図11〜図13は、CPU101によって実行されるカメラの動作制御例を示す概略フローチャートである。まず、当該カメラ1のパワースイッチが投入されると、当該カメラ1のシステムを初期化する(ステップS100)。ついで、カメラ操作スイッチ113の1つであるファインダモード切換スイッチがユーザにより操作されたか否かを判定する(ステップS102)。ファインダモード切換スイッチは、このスイッチを操作することでファインダモードとして光学ファインダモードとライブビューモードとを選択できる。光学ファインダモードは、撮影レンズ11が形成した被写体像を、ファインダ窓18を通じて直接観察するモードである。一方、ライブビューモードは、撮影レンズ11が形成した被写体像を、撮像素子24を用いて画像データとして取得し、液晶モニタ17へ表示させることで、ユーザが液晶モニタ17を利用して被写体像を観察するモードである。
ファインダモード切換スイッチの操作が検出されると(ステップS102;Yes)、現在設定されているファインダモードの状態を判定する(ステップS104)。ライブビューモードに設定されていた場合には、光学ファインダモードに設定し(ステップS106)、光学ファインダモード用にクイックリターンミラー20をダウン位置に設定するとともにライブビュー動作を停止させる(ステップS108)。一方、光学ファインダモードに設定されていた場合には、ライブビューモードに設定し(ステップS110)、ライブビューモード用にクイックリターンミラー20をアップ位置に設定するとともにライブビュー動作を開始させる(ステップS112)。ファインダモード切換スイッチの操作が検出されない場合には(ステップS102;No)、ステップS120へ移行する。
つづいて、カメラ操作スイッチ113の1つである防振モード切換スイッチがユーザにより操作されたか否かを判定する(ステップS120)。防振モード切換スイッチは、このスイッチを操作することで、手ぶれ補正動作の許可と禁止とを選択するためのものである。手ぶれ補正動作が許可されると、駆動機構60を動作させることで露光動作中やライブビュー動作中に手ぶれ補正動作が行われる。防振モード切換スイッチの操作が検出されると(ステップS120;Yes)、現在防振モードが設定されているか否かを判定する(ステップS122)。防振モードに設定されていない場合には(ステップS122;No)、防振モードに設定する(ステップS123)。これにより、露光動作中やライブビュー動作中に手ぶれ補正動作が実行されることとなる。一方、防振モードに設定されていた場合には(ステップS122;Yes)、防振モードを解除する(ステップS124)。これにより、露光動作中やライブビュー動作中の手ぶれ補正動作が禁止されることとなる。防振モード切換スイッチの操作が検出されない場合には(ステップS120;No)、ステップS125へ移行する。
さらに、本実施の形態1では、カメラ1が落下したときにはカメラ1に加わる衝撃から撮像ユニット25を保護するための動作を行う。まず、カメラ1が落下状態にあるか否かを判定する(ステップS125)。この処理は、角速度センサ117aの出力を周期的にモニタすることで、カメラ1が落下状態にあるか否かを判定する。落下状態になければ(ステップ125;No)、ステップS130へ移行する。
一方、落下状態にある場合には(ステップS125;Yes)、カメラ1が落下して地面に衝突した際に生ずる衝撃からカメラ1内部の可動部を保護するための動作(衝撃緩和動作)を実行する(ステップS126)。衝撃緩和動作として、駆動機構60による撮像素子24のセンタリング動作と、電磁駆動機構80による励磁コイル81への通電に伴う吸着動作とが実行される。センタリング動作によって撮像素子24(撮像ユニット25)を移動範囲の中央部に位置決めする。さらに、励磁コイル81へ通電して磁性体コア82とゴム磁石83とを吸着させることで、撮像ユニット25が衝突時の衝撃で不用意に動かないようにする。そして、カメラ1が落下して地面に衝突するまで待機し(ステップS127)、衝突し安定したところで(ステップS127;Yes)、ステップS202へ移行してシステムの動作を停止させる。
つづいて、撮像素子24付近の温度を温度センサ99および温度検出回路114の出力によって検出し、測定された温度データTxと閾値(所定の判定値T1〜T4)との大小を比較し、比較結果に応じて所定の動作ステップに分岐する(ステップS130)。まず、T3≧Tx>T2の場合には(図10中の時刻t1に相当)、フレームレート30fpsでのライブビューモード中であるか否かを判定し(ステップS136)、この条件で動作中であれば(ステップS136;Yes)、ライブビューモードのフレームレートを15fpsに下げるように変更する(ステップS138)。このようなフレームレートの低下により、撮像素子24が発生する熱が抑制される。
また、T4≧Tx>T3の場合には(図10中の時刻t2に相当)、磁性体コア82がゴム磁石83に吸着されているか否かを判定する(ステップS132)。吸着されていない場合には(ステップS132;No)、吸着アクチュエータ駆動回路123へ制御信号を送り、励磁コイル81へ通電させることで磁性体コア82をゴム磁石83に吸着させ(ステップS134)、放熱経路を確保する。
さらに、T1≧Txの場合には(図10中の時刻t3に相当)、フレームレート15fpsでのライブビューモード中であるか否かを判定し(ステップS140)、この条件で動作中てあれば(ステップS140;Yes)、ライブビューモードのフレームレートを30fpsに変更する(ステップS142)。撮像素子24付近の温度が十分に下がれば、ライブビュー動作におけるフレームレートを通常の30fpsに戻しても問題ないためである。さらに、磁性体コア82がゴム磁石83に吸着されているか否かを判定する(ステップS144)。吸着されている場合には(ステップS144;Yes)、吸着アクチュエータ駆動回路123へ制御信号を送り、励磁コイル81への通電を停止させることで磁性体コア82とゴム磁石83との吸着を解除し(ステップS146)、圧縮コイルばね73によるばね力で離反させる。撮像素子24付近の温度が十分に下がれば、磁性体コア82等を利用した放熱経路での放熱動作は必要ないためである。
また、Tx>T4の場合には(図10中の時刻t4に相当)、ステップS202へ移行してシステムの動作を停止させる。
その後、ステップS150では、カメラ操作スイッチ113中のレリーズスイッチが1stレリーズスイッチON状態にあるか否かを判定する。レリーズスイッチが半押しされることにより1stレリーズスイッチはON状態となる。1stレリーズスイッチON状態になければ(ステップS150;No)、パワースイッチがON状態にあるか否かを判定し(ステップS200)、ON状態にあれば(ステップS200;Yes)、ステップS102に戻る。パワースイッチがON状態になければ(ステップS200;No)、システム動作を停止し(ステップS202)、処理を終了する。
一方、1stレリーズスイッチON状態であれば(ステップS150;Yes)、ライブビューモードおよび防振モードに設定されているか否かを判定する(ステップS152)。これら2つのモードがともに設定されている場合には(ステップS152;Yes)、アクチュエータ駆動回路116を介して駆動機構60を駆動させることで、ぶれ補正動作を開始させる(ステップS154)。この動作によって、ユーザは液晶モニタ17上の被写体像を安定した状態で観察することができる。上記2つのモードが設定されていない場合には(ステップS152;No)、ステップS154の処理をジャンプする。
その後、1stレリーズスイッチON状態に従い、撮影準備動作を行う(ステップS156)。撮影準備動作としては、焦点自動調整動作(AF)および被写体輝度を測定し露出条件を決定する動作(AE)である。ここで、ライブビューモードが設定されている場合には、撮像素子24の出力からコントラスト値を検出し、コントラスト値が最大となる位置に撮影レンズ11の位置を設定する(コントラスト方式のAF動作)。また、撮像素子24の出力から被写体輝度を測定する。一方、光学ファインダモードが設定されている場合には、AFセンサユニット21中のAFセンサの出力からデフォーカス値(ピントのずれ量)を検出し、この検出値に基づき撮影レンズ11を駆動する(位相差方式のAF動作)。また、測光回路120の出力から被写体輝度を測定する。
このようにして、撮影準備動作が終了すると、レリーズスイッチが2ndレリーズスイッチON状態にあるか否かを判定する(ステップS158)。レリーズスイッチが全押しされることにより2ndレリーズスイッチはON状態となる。ここで、2ndレリーズスイッチがON状態になければ(ステップS158;No)、1stレリーズスイッチがON状態にあるか否かを判定する(ステップS190)。1stレリーズスイッチがON状態であれば(ステップS190;Yes)、ユーザがフォーカスロック状態を維持していることを示し、2ndレリーズスイッチがON状態となるのを待つ。しかし、1stレリーズスイッチのON状態が解除されると(ステップS190;No)、フォーカスロック状態も解除され、ぶれ補正動作中であるか否かを判定する(ステップS192)。ぶれ補正動作中であれば(ステップS192;Yes)、アクチュエータ駆動回路116を介して駆動機構60の動作を停止させることでぶれ補正動作を停止させた後、センタリング動作を実行し撮像素子24をセンタ位置に位置付け(ステップS194)、ステップS102に戻る。
一方、2ndレリーズスイッチがON状態になると(ステップS158;Yes)、ぶれ補正動作中であるか否かを判定する(ステップS160)。ぶれ補正動作中であれば(ステップS160;Yes)、アクチュエータ駆動回路116を介して駆動機構60の動作を停止させることでぶれ補正動作を停止させる(ステップS162)。ぶれ補正動作中でなければ(ステップS160;No)、ステップS162の処理はジャンプする。
ついで、設定中のファインダモードを判定する(ステップS164)。ここで、ライブビューモードであった場合は、ライブビュー動作を停止させる(ステップS166)。一方、光学ファインダモードであった場合には、クイックリターンミラー20をアップ位置へ駆動させる(ステップS168)。
さらに、防振モードに設定されているか否かを判定する(ステップS170)。防振モードに設定されている場合には(ステップS170;Yes)、撮像素子24を移動範囲の中央部へ位置決めするセンタリング動作を実行後、ぶれ補正動作を開始させる(ステップS174)。すなわち、カメラ1の振れ量を角速度センサ117aから検出し、この振れ量に基づきアクチュエータ駆動回路116を介して駆動機構60を駆動させることで撮像素子24を移動させる。この動作は、露光動作中維持される。防振モードに設定されていない場合には(ステップS170;No)、ステップS174の処理はジャンプする。
そして、撮像素子24を所定の条件で露光する露光動作を行い、露光動作が終了すると、撮像素子24から画像データを読み出して所定の画像ファイルを作成しメモリカード47へ格納する画像取得動作を実行する(ステップS176)。この場合の露光動作は、ステップS156で決定された露出条件に基づきフォーカルプレーンシャッタ23と撮影レンズ11の絞りを制御することで行われる。
撮影動作が終了すると、再び、防振モードに設定されているか否かを判定する(ステップS178)。防振モードに設定されている場合には(ステップS178;Yes)、ぶれ補正動作を停止させた後、撮像素子24を移動範囲の中央部へ位置決めするセンタリング動作を実行する(ステップS182)。防振モードに設定されていない場合には(ステップS178;No)、ステップS182の処理はジャンプする。
さらに、設定中のファインダモードを判定する(ステップS184)。ここで、ライブビューモードであった場合は、ライブビュー動作を再開させる(ステップS188)。一方、光学ファインダモードであった場合には、クイックリターンミラー20をダウン位置へ駆動させる(ステップS186)。
このように、本実施の形態1によれば、撮像素子24付近の温度が所定温度以上に上昇した場合には電磁駆動機構80の励磁コイル81に通電して磁性体コア82とゴム磁石83との間に電磁的吸引力を駆動力として発生させて固定放熱板58に対して可動放熱板71を移動させ、可動放熱板71の磁性体コア82(熱伝導部)を撮像素子24用の放熱性を有する支持板31に接触させることで、支持板31側から固定放熱板58や固定部材53側への熱伝達を磁性体コア82(熱伝導部)、可動放熱板71によって効率よく行わせることができる。このためにも、支持板31に対する磁性体コア82(熱伝導部)の接触がぶれ防止のための支持板31側の変位移動に支障を来たすことなく、かつ、構造を複雑化させることなく実現することができる。
特に、本実施の形態1では、磁性体コア82に伝導された熱は、さらにワイヤ部材95を介して液晶モニタ17のシールド板96に伝達させ、磁性体コア82部分に熱が澱むことなく効率よく放熱させることができる。さらには、支持板31の変位移動に支障を来たすことのない熱伝導性部材76も可動放熱板71に接触しているので、支持板31側の熱を、熱伝導性部材76、可動放熱板71、ガイド軸72、固定放熱板58、固定部材53側の経路によっても効率よく放熱させることができる。
なお、本実施の形態1において、ぶれ防止用の駆動機構60の駆動源をVCM(ボイスコイルモータ)とする場合、励磁コイル81への通電をオフさせたときに磁性体コア82とゴム磁石83とが接触して撮像素子24の移動が機械的にロックされるようにしてもよい。すなわち、磁性体コア82とゴム磁石83との吸着力を圧縮コイルばね73のばね力よりも大きくし、励磁コイル81の非通電時には磁性体コア82とゴム磁石83とが吸着ロックされるように設定し、カメラ動作開始時にロックを解除するように励磁コイル81に通電を開始させるようにしてもよい。この場合、機械的ロック機構を兼用させることで消費電力は大きくなるが、ユーザがカメラ搬送時やカメラ使用時に万一カメラを落下させてしまった場合でも、撮像素子24周りの可動部材の破損防止を図ることができる。
(実施の形態2)
つづいて、本発明の実施の形態2について図14を参照して説明する。図14は、実施の形態2にかかる電磁駆動機構周りの構成例を抽出して示す水平断面図である。実施の形態1で示した部分と同一部分は同一符号を付して示す。
本実施の形態2では、可動放熱板71の表面側複数箇所に支持板31(熱伝導性部材75)に接離する熱伝導部71aが突出形成されている。また、通電駆動機構となる電磁駆動機構300は、可動放熱板71の裏面側と固定放熱板58との間に配置され、通電されることで駆動力として電磁駆動力を発生するように構成されている。なお、図14では、電磁駆動機構300は1個のみ図示するが、実施の形態1の電磁駆動機構80の場合と同様、複数個、例えば6個が配設されている。このような電磁駆動機構300は、駆動コイル301と磁性体コア302と永久磁石303とからなる。磁性体コア302は、固定放熱板58の表面側に設けられたプリント基板304上に軸心が光軸Oに沿うようにして接着剤で固定させて設けられ、周囲に駆動コイル301が巻回されている。また、永久磁石303は、ネオジューム磁石からなり、磁束方向を可動放熱板71の表面に対して平行となる(したがって、光軸Oに直交する)ようにして磁性体コア302に近接させて可動放熱板71の裏面側に配置されている。
なお、永久磁石303の近傍においてプリント基板304上には可動放熱板71に対向させてホール素子305が半田付けされて設けられている。このホール素子305は、可動放熱板71の位置を検出することで、駆動コイル301の遮断(断線)の状態を検出するためのものである。
また、ガイド軸72上には、可動放熱板71を復帰移動させるための圧縮コイルばね73が設けられているとともに、可動放熱板71と固定放熱板58(プリント基板304)との間に位置させて可動放熱板71を支持板31側に付勢するための別の圧縮コイルばね310が設けられている。ここで、圧縮コイルばね73の弾性力は、圧縮コイルばね310の弾性力よりも大きく設定されている。また、可動放熱板71と固定放熱板58との間には、熱を良好に伝導するための熱伝導性シート311が介在されている。この熱伝導性シート311は、例えばグラファイトシートまたはシリコンゴムシートからなり、可動放熱板71に対して圧縮コイルばね73,310間の弾性力の差分だけの与圧を与えるように構成されている。
このような構成において、撮像素子24付近の温度が所定温度より低くて駆動コイル301に通電されていない状態では、圧縮コイルばね73,310の弾性力の大小関係に従い、可動放熱板71は固定放熱板58側に付勢された状態で停止している。この状態では、熱伝導部71aは、撮像素子24側の支持板31(熱伝導性部材75)とは非接触状態にある。
そして、撮像素子24付近の温度が所定温度以上となり駆動コイル301に所定方向の駆動電流が通電されることにより、駆動コイル301の電磁駆動の作用により永久磁石303、したがって可動放熱板71に下降力が働き、圧縮コイルばね73のばね力に抗して可動放熱板71を支持板31側に移動させる。これにより、可動放熱板71の熱伝導部71aが支持板31(熱伝導性部材75)に対して接触状態となる。よって、撮像素子24に発生した熱は、支持板31(熱伝導性部材75)、熱伝導部71aを介して可動放熱板71に伝熱される。そして、可動放熱板71の熱は、ガイド軸72から固定放熱板58側に伝熱されるとともに、電磁駆動機構300周りに配設された熱伝導性シート311を介しても固定放熱板58側に伝熱される。このようにして、撮像素子24に発生した熱に対する放熱経路が形成され、撮像素子24の温度上昇が抑制される。
その後、撮像素子24付近の温度が低下し、駆動コイル301に対する通電を停止させると、永久磁石303に対する下降力が働かなくなり、可動放熱板71が圧縮コイルばね73の弾性力で元の位置に復帰し、熱伝導部71aが支持板31から離反した状態となる。
本実施の形態2によれば、磁性体コア302に駆動コイル301を巻回することで、低電力で磁性体コア302の移動が可能で消費電力を抑えることができ、かつ、駆動コイル301の発熱を抑制することができる。また、可動放熱板71の上下動時には、熱伝導性シート311が常に接触しているため、駆動コイル301に通電することで永久磁石303と可動放熱板71に作用する下降力に熱伝導性シート311の反発力も加わり、駆動コイル301の電力消費を少なくすることができる。
(変形例)
なお、本実施の形態2の電磁駆動機構300に関しては、駆動コイル301および磁性体コア302と永久磁石303とを入れ替えるように配置させてもよい。すなわち、駆動コイル301および磁性体コア302をプリント基板304とともに可動放熱板71側に設け、永久磁石303を固定放熱板58側に設け、駆動コイル301に通電することで駆動コイル301および磁性体コア302側が移動するようにしてもよい。これに準じて、実施の形態1に示す電磁駆動機構80の構成において、励磁コイル81を駆動コイルとして設けるとともに、支持板31(熱伝導性部材75)上で駆動コイル81に近接させて磁束が駆動コイル81を通るように磁束方向が設定された永久磁石を設け、駆動コイル(励磁コイル81)に通電することで駆動コイル81および磁性体コア80が移動し、可動放熱板71が移動するようにしてもよい。
(実施の形態3)
また、本発明の実施の形態3について図15を参照して説明する。図15は、実施の形態3にかかる形状記憶合金ばね周りの構成例を抽出して示す水平断面図である。実施の形態1,2で示した部分と同一部分は同一符号を付して示す。
本実施の形態3では、可動放熱板71の複数箇所に支持板31(熱伝導性部材75)に接離する熱伝導部71bが支持板31側に突出するように埋め込んで設けられている。また、本実施の形態3では、図14に示した圧縮コイルばね310に代えて通電駆動機構となる形状記憶合金ばね320が可動放熱板71と固定放熱板58(プリント基板304)との間に位置させてガイド軸72上に設けられている。ここで、形状記憶合金は、マルテンサイト変態終了温度以下に冷却するとマルテンサイト変態を生じて、オーステナイト相からマルテンサイト相に変化する一方、通電により逆変態終了温度以上に加熱すると、マルテンサイト相からオーステナイト相に変化する相変態を生ずるものである。このような形状記憶合金ばね320は、非通電状態では、マルテンサイト相の状態であって、圧縮コイルばね73の弾性力と釣り合うばね力を呈し、通電することにより発熱してオーステナイト相に変態することで伸長する方向に変化し、圧縮コイルばね73に抗するばね力を駆動力として発生するものである。
また、各熱伝導部71bの基部側は、拠り線などのワイヤ部材330によって固定放熱板58に止めねじ331で熱的に接続固定されている。また、固定放熱板58と可動放熱板71との間には、グラファイトシート、シリコンゴムシート等の熱伝導性の高い熱伝導性シート332が介在されている。よって、ワイヤ部材330は、熱伝導性シート332に積層または埋め込むように設けられる。
このような構成において、撮像素子24付近の温度が所定温度より低くて形状記憶合金ばね320に通電されていない状態では、圧縮コイルばね73の弾性力と形状記憶合金ばね320のばね力とは釣り合っており、この状態では、熱伝導部71bは、撮像素子24側の支持板31(熱伝導性部材75)とは非接触状態にある。
そして、撮像素子24付近の温度が所定温度以上となり形状記憶合金ばね320に通電されると、発熱してオーステナイト相に変態することで伸長する方向に変化し、圧縮コイルばね73に抗するばね力を駆動力として発生する。この際、形状記憶合金ばね320は、ガイド軸72を介する経路Aの伝熱によって予熱されているので、形状記憶合金ばね320に対する通電電流は小さくてよく、消費電力の低減を図ることができる。
これにより、可動放熱板71はガイド軸72にガイドされつつ支持板31側に移動し、熱伝導部71bが支持板31(熱伝導性部材75)に対して接触状態となる。よって、撮像素子24に発生した熱は、支持板31(熱伝導性部材75)、熱伝導部71bを介して可動放熱板71に伝熱される。そして、可動放熱板71の熱は、ガイド軸72を介する経路A、熱伝導性シート332を介する経路Bによって固定放熱板58側に良好に伝熱される。また、熱伝導部71bの熱は、ワイヤ部材330を介する経路Cによって固定放熱板58側に良好に伝熱される。このようにして、撮像素子24に発生した熱に対する放熱経路が形成され、撮像素子24の温度上昇が抑制される。
その後、撮像素子24付近の温度が低下し、形状記憶合金ばね320に対する通電を停止させ、形状記憶合金ばね320の温度が低下すると、マルテンサイト相に変態し、圧縮コイルばね73と釣り合う状態に可動放熱板71が圧縮コイルばね73の弾性力で元の位置に復帰し、熱伝導部71bが支持板31から離反した状態となる。
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。例えば、実施の形態では、固定部材53と支持板31との間に第1の保持部材51、第2の保持部材52を介在させた2段構造とし、支持板31を搭載した第1の保持部材51を第1の駆動機構61によって第2の保持部材52に対してY方向に変位可能とし、第2の保持部材52を第2の駆動機構62によって固定部材53に対してX方向に変位可能とすることで、光軸に直交する2次元方向に変位移動させるようにした。しかし、このような2段構造に限らず、固定部材に対して支持板(第1の保持部材)を直接的にXY方向に変位可能とした1段の平面的な構造とし、第1、第2の駆動機構によって固定部材に対して直接的にY方向、X方向に変位移動させる駆動機構であってもよい。
また、撮像装置としてはレンズ交換可能な一眼レフレックス式デジタルカメラに限らず、例えばコンパクト型のデジタルカメラや、撮影機能を有する携帯電話、携帯情報端末、ノート型パーソナルコンピュタ、電子医療機器などであっても同様に適用することができる。
さらには、この種のカメラにあっては、CCDデバイスの備える画素数より高い画素数で撮影する画素ずらし法という手法がある。例えば、普通に撮影した画像と,撮像素子を載せた可動部が1/2画素ずつ斜めに変位させて撮影した2枚の画像を連続撮影し、シャッタースピードが半分とする技術である。よって、撮像素子24を手ぶれ防止のために光軸Oに直交する2次元方向に変位移動させる場合に限らず、このように、画素ずらしのために撮像素子を光軸に直交する2次元方向に変位移動させる場合にも、本発明は適用可能である。