以下、本発明にかかる撮像装置を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の撮像装置の内部構成例を示す中央縦断側面図である。本実施の形態のカメラ本体1は、撮影レンズ2が着脱可能な一眼レフレックス式デジタルカメラであって、下記の各構成部材を収容するカメラ外装3と、カメラ外装3に固定支持され、光軸Oに沿った中央開口部4aを有するカメラ構造体4と、撮影レンズ2の鏡筒が着脱されるボディ側マウント部5を備える。また、カメラ構造体(例えば、ミラーボックス)4の中央開口部4aの後方に光軸O上に沿って配置される構成部材として、ペリクルミラー6と、フォーカルプレーン式シャッタ7と、撮像ユニット8とを備える。さらに、カメラ構造体4の上側に固定支持され、光学ファインダ装置を構成する部材としてフォーカスマット9と、ペンタプリズム10と、接眼レンズ11とを備える。さらに、カメラ外装3の背面側のモニタ表示窓12の内側に液晶モニタ13を備える。
撮影レンズ2は、例えば、ズーム用レンズ2aと例えば、公知のオートフォーカス機能やローパスフィルタ機能や像面収差補正機能等を有する単数または複数の回折型液晶レンズ2bとレンズ群2cとからなる。また、カメラ構造体4は、撮像ユニット8等を支持する枠体であって、軽量化・低コスト化が可能で熱伝導率の高い素材として炭素繊維などのフィラーが混入されたポリカーボネート樹脂やPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂により構成されている。ボディ側マウント5は、カメラ構造体4の前面に当て付けた状態で固定される。シャッタ7は、光軸O上であって、ペリクルミラー6の後方位置に配される。
図2は、撮像ユニット8周りの構成例を示す概略縦断側面図である。撮像ユニット8は、撮像素子81とローパスフィルタ82と光学フィルタ(例えば、赤外線カットフィルタ)である防塵フィルタ83と圧電素子84とを備える。撮像素子81は、撮影レンズ2の光軸O上に光軸Oと直交するように配設されて撮影レンズ2を透過し自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得るためのものであり、本実施の形態では、例えばCCDが用いられているが、CMOSセンサ等であってもよい。ローパスフィルタ82は、撮影レンズ2と撮像素子81との間の光軸Oを通る光束上に配設されて、撮影レンズ2を透過して照射される被写体光束から高周波成分を取り除くためのものである。防塵フィルタ83は、撮影レンズ2とローパスフィルタ82との間の光軸Oを通る光束上で、ローパスフィルタ82の前面側において所定間隔をあけて対向配置されている。圧電素子84は、防塵フィルタ83の周縁部に配設されて防塵フィルタ83に対して所定の振動を与えるためのものである。
ここで、撮像素子81は、背面側に放熱板85が固着されたもので、接続端子81aは、プリント基板86およびフレキシブル基板87上に半田接続されて実装されている。連結部85bを有する放熱板85は、例えば熱伝導性の良好なアルミニウム材からなり、放熱シート(例えば、熱放射率の低い塗料を塗布したシート)85aを背面側に一体に有する。また、撮像素子81の前面側に設けられたガラス等による透明な保護板81bとローパスフィルタ82との間には、環状(例えば、矩形形状)の密封部材88aが介在されている。この密封部材88aは、黒色弾性ゴム(例えば、カーボンが充填されたシリコンゴムやウレタンゴム等)で形成され、撮像素子ホルダ15に取付部材16およびねじ17によって撮像ユニット8を固定することで、この密封部材88aが押し潰されて保護板81bとローパスフィルタ82とを気密状態に密封して塵埃等の侵入を防止する構造とされている。同様に、防塵フィルタ83や圧電素子84と撮像素子ホルダ15との間にも、黒色弾性ゴムで形成された環状(例えば、円形形状)の密封部材88bが介在され、撮像素子ホルダ15に撮像ユニット8を固定することで、この密封部材88bが押し潰されて防塵フィルタ83と撮像素子ホルダ15とを気密状態に密封して塵埃等の侵入を防止する構造とされている。放熱板85は、位置決めピン89により位置決めされて撮像素子ホルダ15に固定されている。
ここで、カメラ構造体4には、撮像素子ホルダ15を光軸Oに直交するXY平面からなる2次元方向に移動可能に支持する支持部18を有する固定部材19が取付けられている。支持部18は、固定部材19に対して複数本の位置決めピン20により位置決めされつつ固定ねじ21により固定された平板状のもので、光軸O周りに撮像素子81に対する被写体像を透過させる開口部18aが形成されている。撮像素子ホルダ15は、例えば撮像素子ホルダ15側に設けた表面硬度の高いガイド板22と支持部18側に設けた表面硬度の高いガイド板23との間に介在されてリテーナ24で位置決めされた鋼球からなるガイドベアリング25によって支持部18と平行状態を維持したままガタつきなくXY平面上を移動可能に設けられている。XY平面内を移動する支持部材26に配置された永久磁石32、35あるいは、他の位置に配置された別の永久磁石と磁性材(図示せず)が支持部18上に配置され、ガイド板22,23よびガイド板23との間に位置するガイドベアリング25に対して磁気的に吸引させて押圧する。
さらに、本実施の形態の一眼レフレックス式デジタルカメラは、撮像素子ホルダ15を光軸Oに直交するXY平面からなる2次元方向に変位移動させる像ブレ補正用駆動機構である撮像ユニット変位機構30を備える。この撮像ユニット変位機構30は、支持部18の背面側に配設された四角形状で、背面側に磁性材34a,31aが接合されたX軸駆動用プリントコイル34およびY軸駆動用プリントコイル31と、撮像素子ホルダ15と一体に設けられた支持部材26上にX軸およびY軸駆動用プリントコイル34、31に対向させて搭載され、背面側に磁性材35a,32aが接合された永久磁石35,32とを駆動源である直流リニアモータとして備える電磁駆動方式のものである。
ここで、背面側に磁性材35aが接合された永久磁石35は、厚さ方向(光軸方向)に磁化されたもので、横長の長方形状に形成されたX軸駆動用プリントコイル34に対向する永久磁石35は、N極とS極がX軸方向に並ぶように分極着磁で背面接合されている。さらに、縦長の長方形状に形成されたY軸駆動用プリントコイル31に対向する永久磁石32は、N極とS極がY軸方向に並ぶように分極着磁で接合されている。また、支持部18の背面側にはホール素子33が内側に接合されたX軸駆動用プリントコイル34が設けられ、支持部材26上にはX軸駆動用プリントコイル34に対向させて永久磁石35が搭載されている。ホール素子33は、固定部材19(支持部18)に対して変位可能な撮像素子ホルダ15のXY平面内におけるX軸上の位置を検出するためのものである。なお、撮像素子ホルダ15のXY平面内におけるY軸上の位置の検出は、Y軸駆動用プリントコイル31の内側に接合された図示しないホール素子で行う。
また、撮像素子ホルダ15の初期位置は、電源をオンにしたとき、撮影レンズ2の光軸Oと撮像素子81の平面内の中心位置が一致する位置である。この撮像素子ホルダ15の初期位置は支持部18上で、永久磁石32、35の磁束回路内で、支持部18上に配置(X,Y軸駆動用プリントコイル31,34の近傍)された磁性材31a,34aにより撮像素子ホルダ15が磁気的なバランス(X,Y軸駆動用プリントコイル31,34の通電を遮断した状態)で静止する位置でもある。
これにより、後述するブレ検出手段である角速度センサにより当該一眼レフレックス式デジタルカメラの手ブレが検出された場合、検出されたその角速度に基づいて撮像素子ホルダ15を所望の位置へ変位移動させるように撮像ユニット変位機構30を駆動させる。例えば、支持部材26上に配置されて異極接合された永久磁石32の磁束内に鉛直方向のY軸駆動用プリントコイル31が通電されて撮像素子ホルダ15がY軸方向に移動すると、図示しないホール素子により位置検出が行われる。そして、Y軸駆動用プリントコイル31の通電が遮断されると、撮像素子ホルダ15は永久磁石32と支持部18上に配置された磁性材31aとの磁気バランスで初期位置に戻る。同様に、支持部材26上に配置されて異極接合された永久磁石35の磁束内に水平方向のX軸駆動用プリントコイル34が通電されて撮像素子ホルダ15がX軸方向に移動すると、ホール素子33により位置検出が行われる。そして、X軸駆動用プリントコイル34の通電が遮断されると、撮像素子ホルダ15は永久磁石35と支持部18上に配置された磁性材34aとの磁気バランスで初期位置に戻る。
このようにして、撮影に際して、当該一眼レフレックス式デジタルカメラに手ブレが発生した場合、撮像ユニット変位機構30を駆動させて撮像素子ホルダ15をXY平面内で2次元方向に変位移動させることで、撮像素子81の受光面における画像のブレを補正することができる。なお、撮像ユニット変位機構30は、電磁駆動モータを駆動源とする電磁駆動方式に限らず、圧電素子駆動モータや屈曲振動モータを駆動源として駆動する方式であってもよい。
なお、カメラ本体1内において、撮像ユニット15の背面側には、撮像駆動回路基板27が配設されている。この撮像駆動回路基板27は、後述するCPUや、撮像素子81を高速駆動するTG(タイミングジェネレータ)ICチップまたはAFE(アナログ・フロント・エンド)ICチップ等を実装したもので、プリント基板86側とはフレキシブル基板87を介して接続されている。また、撮像素子81の背面側の温度を検出する温度センサ(Timg)28が設けられている。
また、本実施の形態では、撮像素子81の背面に固着された放熱板85のY軸方向の下端は、連結部85bとして下方に延設されている。また、固定部材19側には、撮像素子ホルダ15がY軸方向の所定位置に位置するときに連結部85bが熱結合し、撮像素子ホルダ15がY軸方向の所定位置から離れることで熱結合が解除されるように撮像素子ホルダ15の変位に従い係脱するクリップ伝導部材40がねじ41により固定されている。図3は、クリップ伝導部材40付近を示す概略構成図である。クリップ伝導部材40は、図3に示すように、変位移動する放熱板85の端部である連結部85bにおいて露出した熱伝導部材85cを挟み込んで熱結合させるクリップ形状のもので、金属箔や銅あるいは金メッキをした金属材料の拠り線からなる熱伝導線42と熱的に結合されて、係脱する連結部85bの衝撃を吸収する熱伝導性を有する弾性部材、例えば弾性ゴム43が内蔵されている。
また、クリップ伝導部材40の片側には切り欠き40aが形成され、この切り欠き40aを介してクリップ内に進出して変形自在な板ばね44がねじ45で固定されている。この板ばね44は、表面が金または銀メッキされたものである。この板ばね44の中央部には半球状の突起部44aが設けられ、クリップ伝導部材40に係脱する連結部85bには突起部44aが係脱する半球状の凹部85dが形成されている。これら板ばね44の突起部44aと凹部85dとによりロック機構46が構成されている。Y軸駆動用プリントコイル31に通電させ、撮像素子ホルダ15がY軸方向の所定位置に位置して連結部85bがクリップ伝導部材40内に係合する状態では、突起部44aに凹部85dが係合することでロック状態が確保されるように構成されている。この状態で、撮像素子81に発生した熱は、放熱板85の連結部85bからクリップ伝導部材40へ熱伝導し、クリップ伝導部材40から熱伝導線42へ伝熱伝導されることとなる。
なお、Y軸上初期位置に位置決めするための支持部18に配置された磁性材を用いず、Y軸駆動用プリントコイル31の通電を遮断したときの初期位置を所定位置にすることもできる。この場合には素早く低温処理動作が対応でき、ユーザの利便性が高くなる。
図4は、クリップ伝導部材40と熱結合された熱伝導線42の熱結合先を模式的に示す説明図である。熱伝導線42は、クリップ伝導部材40において複数本に分岐されている。その一系統の熱伝導線42aは、適宜配線経路を経て、当該一眼レフレックス式デジタルカメラのカメラ外装3の一部である外装前カバー3aに熱結合されている。あるいは、外装カバーが合成樹脂の場合には外装の内側に接合またはネジで固定された銅板などの熱拡散板に熱結合されている。また、他の一系統の熱伝導線42bは、適宜配線経路を経て、動作ユニットの一つである液晶モニタ13を覆う金属板製のシールド板51を加熱部材として熱結合されている。さらに、さらに他の一系統の熱伝導線42cは、適宜配線経路を経て、動作ユニットの一つであるバッテリ52を収納する熱伝導性部材からなる電池収納室53を加熱部材として熱結合されている。さらに他の一系統の熱伝導線42dは、適宜配線経路を経て、動作ユニットの一つである液晶レンズ2b側に熱結合されている。
なお、図4において、撮像駆動回路基板27上に実装されたCPU54等の発熱源に対しては、熱伝導性シート55及び吸熱ヒートパイプ56が設けられ、ヒートパイプ57、ベローズ管58や図示されていない金属線、金属箔等を介してカメラ外装3の外装後カバー3bに熱結合されている。
図5は、液晶レンズ2bの構成例を一部切り欠いて示す概略側面図である。ローパス作用が可変な位相ローパスフィルタ用、オートフォーカス用や像面収差補正用として撮影レンズ2内で、液晶レンズ2bは、平行平面ガラス61a,61bに挟まれた液晶素子であり、複屈折液晶材62a,62bと被写体側と撮像面側に対してそれぞれ対称な形状をした配向膜が形成されたネマチック液晶材料による中間レンズ層63を設けてなる。中間レンズ層63に電圧を印加するために、平行平面ガラス61a側の配向膜と平行平面ガラス61b側の配向膜には透明な電極が形成されている。平行平面ガラス61a,61bは、ステンレス鋼またはアルミニウム合金の金属や黒鉛や炭素繊維が充填されたPPS合成樹脂等の熱伝導性の高い材料からなる熱伝導性部材64a,64bを液晶ホルダ64として接合されている。液晶ホルダ64の熱伝導性部材64aの外周面には螺旋溝65が形成された凹凸形状とされ、螺旋溝65には、熱伝導線42dが巻回され、例えば赤外線硬化型接着剤で固着されている。これにより、液晶レンズ2aは、熱伝導性部材64aを加熱部として熱伝導線42dが熱結合されている。
なお、液晶レンズ2bは、交換式の撮影レンズ2の一部に設けられたものであり、カメラ本体1に対して着脱交換される。このため、熱伝導線42dは、レンズマウント上に断熱部材で被覆された複数の熱伝導線を露出させて設け、交換式の撮影レンズ2をカメラ本体1に結合させたときに両方の熱伝導線が熱伝導線42dとして熱的に結合する構造とされている。
また、液晶レンズ2bにおいて、被写体側の複屈折液晶材62aの入射面には、クロムコーティングで形成された固定絞り66が設けられている。また、熱伝導性部材64a,64bと撮影レンズ2のレンズ鏡筒との間には、熱伝導線42に流れる熱が熱伝導性部材64a,64bに伝熱伝導して液晶レンズ2aを温める際に撮影レンズ2のレンズ鏡筒側に伝熱しないようにするために環状の断熱部材67a,67bが接合されている。また、平行平面ガラス61bには、透明電極に対して電気的に接続されたフレキシブル基板68が接続されている。
ここで、本実施の形態の液晶レンズ2aの組立てについて説明する。本実施の形態では、図5に示すように、熱伝導性部材64aに対して平行平面ガラス61a,61bおよび中間レンズ層63からなる液晶素子を、図中、右側から挿入して接合する。そして、熱伝導性部材64bで位置決めピン69に沿って平行平面ガラス61bを押圧する。この後、両側から熱伝導性部材64a,64bに対して断熱部材67a,67bを被せる。そして、平行平面ガラス61bの電極とフレキシブル基板68とを半田付けする。熱伝導性部材64aの右側端面に平行平面ガラス61bを押し付ける構造としており、熱伝導性部材64aの右側端面には平行平面ガラス61bが外部に突出するように切り欠きが形成されている。
ここで、例えば、特開2005-208675公報の図4に示すズームレンズ光学系内に配置された液晶レンズ2bの動作について簡単に説明する。電極に電荷かかかっていない状態では、液晶はホモジニアス配列となっており、液晶分子の長軸方向が光軸Oと直交する配列となる。複屈折液晶材62a,62bの配列方向を直交させることで、複屈折液晶材62aで常光屈折を受ける偏光方向の光は、複屈折液晶材62bで異常光屈折を受け、複屈折液晶材62aで異常光屈折を受ける偏光方向の光は、複屈折液晶材62aで異常光屈折を受けることとなり、結果として、全光束が同じ作用を受ける。一方、電極に電荷がかかっている状態では、液晶はホメオトロピック配列となり、液晶分子の長軸方向が光軸Oと平行になる配列となる。よって、全光束は、複屈折液晶材62a,62bで常光屈折の作用を受け、電荷のかかっていないときとは異なるローパス作用を受けることとなる。
なお、図5では、単線状態の熱伝導線42dを巻回する大きさの螺旋溝65として形成したが、図6に示すように、広めの螺旋溝65として形成し、例えば熱伝導線42dを2本の状態で巻回させて熱結合させるようにしてもよい。
ここで、図4に戻って説明すると、液晶モニタ13、バッテリ52、液晶レンズ2bに対するそれぞれの熱伝導線42b,42c,42dの配線経路上の途中には、クリップ伝導部材40側との熱結合を断続するためのスイッチ(SWdisp)70b,(SWbat)70c,(SWlens)70dが介在されている。スイッチ70b,70cは、撮像駆動回路基板27上に実装され、スイッチ70dは、レンズ鏡枠上に設けられた回路基板71上に実装されている。これらスイッチ70b,70c,70dは、同一構造からなるが、ここでは、例えばスイッチ70dの例で説明する。
図7は、スイッチ70dの構造および断続の様子を示す概略縦断側面図である。このスイッチ70dは、概略的には、回路基板71上に配置された形状記憶合金、バイモルフの撓みを利用した少なくとも複数の電磁駆動型感温スイッチ(サーモスタット)からなる。すなわち、スイッチ70dは、温度に応じて可動接点72を固定接点73に対して開閉するサーモスタット74をベースとし、可動接点72と一体に配置された永久磁石75と、永久磁石75に隣接させて固定接点73側に配置されて通電により永久磁石75を変位させる駆動コイル76とを備える電磁駆動型感温スイッチからなる。
図7(a)は、液晶レンズ2bが内蔵されたレンズ鏡枠が所定温度以下(例えば、10℃以下)の状態下で撮像素子ホルダ15が所定位置において、クリップ伝導部材40側から液晶レンズ2bの熱伝導性部材64aに熱伝導されている様子を示している。第1の固定導体77は、クリップ伝導部材40側の熱伝導線42dが接続される第1の端子77aを有する。第1の固定導体77は、側面的に見て略逆コの字形状に形成され、その上段部77bには固定接点73が接合されている。同様に、第2の固定導体78は、液晶レンズ2bの熱伝導性部材64a側に巻回された熱伝導線42dが接続される第2の端子78aを有する。第2の固定導体78は、側面的に見て略コの字形状に形成され、その上段部78bには弾性導体板74aの一端が固定されている。弾性導体板74aの他端には、固定接点73と接触可能な位置に可動接点72が接合されている。弾性導体板74aに形成された爪部74b間には、所定の温度を超えると形状の曲率符号を変えるバイメタル材74cが保持され、弾性導体板74aとともにサーモスタット74を構成している。このバイメタル材74cの温度変化により、基本的に、固定接点73と可動接点72が接触または離間した状態となり、熱結合を断続する。なお、第1,第2の固定導体77,78は、電気的に絶縁された合成樹脂材料を用いた基体79に組み込まれて、互いに絶縁状態で固着されている。
ここで、基体79には弾性導体板74aの中間部に対向させて凹部79aが形成されており、この凹部79a内には、上方から見てロの字形状に積層させた扁平な駆動コイル76が接合されている。この駆動コイル76は、磁性材76aと磁性材76a周りに巻回した固定コイル76bとからなる。また、基体79の凹部79a内において、駆動コイル76に対して弾性導体板74aの長手方向に隣接する位置には、永久磁石75が結合部材75a、接着剤75bにより弾性導体板74aに固定されて吊下する状態で設けられている。この永久磁石75は、弾性導体板74aの長手方向にN極、S極が位置するように磁化されている。
図7(b)は、クリップ伝導部材40側から既に熱伝導されて液晶レンズ2b側の温度が所定温度以上(例えば、25〜30℃)となった状態で、電磁駆動により、可動接点72を固定接点73から強制的に離間させ、熱が伝導されない状態を示している。すなわち、図7(b)において、固定コイル76bに図中、左側から右側に流れるように電流を流すと、駆動コイル76の電磁駆動の作用により永久磁石75は上方に変位する。よって、永久磁石75が一体に固定された弾性導体板74aも上方に強制的に押し上げられる。ここで、バイメタル材74cが冷却されると、図7(a)に示す元の位置に戻ろうとするが、電磁駆動によって図7(b)に示す位置で保持されたままとなる(スイッチオフ状態)。よって、液晶レンズ2bの温度が常温程度に上昇した後、クリップ伝導部材40側の温度が上昇しても液晶レンズ2b側に対する熱結合が強制的に遮断されるため、必要以上の温度上昇による液晶レンズ2bの性能劣化を招くことはない。
このような動作は、液晶モニタ13に対するスイッチ70bや、バッテリ52に対するスイッチ70cの場合も同様である。
つづいて、このような構成要素を含む本実施の形態の一眼レフレックス式デジタルカメラの電装制御系の構成について説明する。図8は、本実施の形態の一眼レフレックス式デジタルカメラの電装制御系の構成例を示すブロック図である。まず、カメラ全体の制御を司るシステムコントローラ100を備える。システムコントローラ100は、CPU54と、複数の回路ブロック、例えば画像処理回路101、圧縮伸張回路102、画像認識回路103、外部メモリIF回路104、汎用I/O回路105、割り込み制御回路106、タイマカウンタ107、A/Dコンバータ108等により構成されている。CPU54と各回路ブロック101〜108とは制御ラインやバスラインで接続されている。
画像処理回路101は、撮像素子81で撮像されて撮像素子IF回路110から取り込んだ画像データに対してγ補正、色変換、画素変換、ホワイトバランス処理等の所定の画像処理を施す。圧縮伸張回路102は、画像処理回路101で画像処理された画像データの圧縮処理やメモリカード111から読み出された圧縮画像データの伸張処理を行う。画像認識回路103は、撮像素子81で撮像された画像データから所定の画像認識アルゴリズムを用いて被写体である人物の顔の特徴点を検出する際に必要な画像処理アルゴリズムを実行する。
また、外部メモリIF回路104は、メモリカード111、SDRAM112、FlashRom113とシステムコントローラ100内部のデータバスとのブリッジ機能を果す。FlashRom113には、全体の動作を制御するための制御プログラム、制御パラメータ等が記録されている。システムコントローラ100は、CPU54がFlashRom113に格納されている制御プログラムを読み出して実行することにより、カメラの動作を制御し、像ブレ制御手段、放熱制御手段、加熱制御手段等の機能を実現する。SDRAM112は、撮像素子IF回路110を介して得られた画像データの一時格納用や、システムコントローラ100のワークエリアとして用いられる。メモリカード111は、半導体の不揮発性メモリや小型HDD等の着脱可能な記録媒体である。
汎用I/O回路105は、システムコントローラ100に接続されたカメラ操作スイッチ114の読込み端子、周辺回路を制御する制御信号の出力端子として用いられる。割り込み制御回路106は、カメラ操作スイッチ114による割り込み信号、タイマカウンタ107による割り込み信号などを生成する。タイマカウンタ107は、クロックをカウントしてシステム制御に必要なタイミング信号を発生させる。A/Dコンバータ108は、カメラが備える温度センサ(Timg)26、(Tdisp)115、(Tbat)116、(Tlens)117等の各種センサの検出出力をA/D変換する。
撮像ユニット8中に設けられたCCD等からなる撮像素子81は、撮影レンズ2により結像された被写体像をアナログ電気信号に光電変換する。撮像素子IF回路110は、撮像素子81を駆動するタイミングパルスを生成し、撮像素子81が光電変換したアナログ電気信号を読み出し、A/D変換して画像データとしてシステムコントローラ100へ転送する。
温度センサ(Timg)26、(Tdisp)115、(Tbat)116、(Tlens)117は、温度検出回路118とともに温度検出手段を構成する。温度センサとしては、温度に応じて抵抗値が変化する素子や、半導体温度センサを用いればよい。温度センサ(Timg)26は、前述したように、撮像素子81の近傍背面に配設されて撮像素子81の温度を検出するためのものである。温度センサ(Tdisp)115は、カメラ背面側に設けられた液晶モニタ13の温度を検出するためのものである。温度センサ(Tbat)116は、カメラ内蔵のバッテリ52の温度を検出するためのものである。温度センサ(Tlens)117は、撮影レンズ2中に含まれる液晶レンズ2bの温度を検出するためのものである。
また、防塵フィルタ駆動回路119は、撮像ユニット8中に含まれる防塵フィルタ83に付着した塵埃を振動によって除去するために圧電素子84に対して駆動信号を出力する。撮像ユニット変位機構30は、撮像ユニット8を保持した撮像素子ホルダ15を撮影レンズ2の光軸Oに垂直なXY平面内で2次元的に変位させるためのものであり、駆動源として電磁駆動モータなるアクチュエータを備えている。アクチュエータ駆動回路120は、このアクチュエータに対して駆動信号を出力する。システムコントローラ100は、カメラに生じたブレに応じて撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)を変位させることで画像が劣化することを防止する、いわゆる手ブレ補正動作を実行できる。カメラに生じたブレは、ジャイロスコープを利用した角速度センサ121aと、この角速度センサ121aの出力を増幅する角速度検出回路121とによって検出される。システムコントローラ100は、角速度検出回路121の出力に基づきアクチュエータ駆動回路120に対してブレ補正動作のための制御信号を出力する。
撮像ユニット8の前面(被写体側)に設けられて撮像素子81の露光時間を制御するシャッタ7は、シャッタ制御回路122から出力される制御信号に応じて開閉動作が制御される。システムコントローラ100は、露光時間に応じてシャッタ制御回路122を制御する。ペリクルミラー6は、撮影レンズ2の光束を撮像素子81と観察光学系(ペンタプリズム10と接眼レンズ11)とへ導くためのビームスプリッタであり、薄いガラスまたはニトセルロース膜から構成された半透過ミラーである。このペリクルミラー6は、収差を発生しないレベルの厚さに設定されている。また、シャッタ7とペリクルミラー6との間の空間にはサブミラー6aが配設されている。サブミラー6aは、サブミラー変位機構123によって撮影レンズ2の光路中と光路外との位置を選択的に取り得る。サブミラー駆動回路124は、サブミラー変位機構123中のアクチュエータに対して駆動信号を送る。サブミラー6aが光路中にあるときは、撮影レンズ2の光束は、AFセンサ125へ導かれる。したがって、システムコントローラ100は、AFセンサ125の出力からデフォーカス量(ピントのずれ量)を求める場合には、サブミラー6aを光路中に設定する。そして、撮影動作を行う場合は、サブミラー6aを光路外へ退避させる。このAFセンサ125としては、例えば周知の位相差方式のAFセンサが用いられる。
また、電源回路(DC/DCコンバータ)126は、バッテリ52の電圧をシステムコントローラ100とその周辺回路に必要な駆動電圧に変換して供給する。電力分配は、システムコントローラ100の指令に基づき制御される。液晶モニタ駆動回路127は、液晶モニタ13を駆動する。液晶モニタ13は、液晶モニタ駆動回路127からの駆動信号に応じてライブビュー動作時の画像データを表示したり、各種メニュー等を表示する。カメラ操作スイッチ114は、カメラを操作するためのスイッチであり、レリーズSW、モード設定SW、ファインダモード選択SW、パワーSW等を含む。
撮影レンズ2は、レンズ制御コントローラ130によって制御される。レンズ制御コントローラ130は、システムコントローラ100に対して通信ラインによって接続され、システムコントローラ100からの指令に応じて所定の制御動作を実行する。変倍機構131は、撮影レンズ2中のズーム用レンズ2aの焦点距離を変化させるズーム動作を行わせるための機構である。焦点調整機構132は、撮影レンズ2中のフォーカス用レンズ2cの結像位置を変化させるための機構である。それぞれの機構131,132に設けられたモータに対する駆動信号は、レンズモータ駆動回路133から供給される。レンズ制御コントローラ130は、レンズモータ駆動回路133を制御することで撮影レンズ2のズーム動作と焦点調整動作とを行う。液晶駆動回路134は、撮影レンズ2中の液晶レンズ2bを駆動するための回路である。
クリップ伝導部材40は、前述のように、撮像素子81から生じた熱を効率的に放熱させたり、熱を有効に活用するために、撮像ユニット8の近傍に固定配置されている。そして、撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)がY軸方向の所定位置に位置する場合に、クリップ伝導部材40は、撮像ユニット8中の放熱板85を介して撮像素子81と熱結合し、撮像素子81で発生した熱が伝達されるように構成されている。
撮像素子81からクリップ伝導部材40に伝達された熱は、前述したように、熱伝導線42a〜42dを介して外装前カバー3aの他、液晶モニタ13用のシールド板51、バッテリ52用の電池収納室53、液晶レンズ2b用の熱伝導性部材64aへ伝達可能に構成されている。ここで、熱伝導線42b〜42dの配線経路上には、熱の伝達を断続するスイッチ(SWdisp)70b,(SWbat)70c,(SWlens)70dが介在されている。これらのスイッチ70b〜70dは、熱伝達遮断SW回路128によって電気的にオン・オフ状態を変更できる。システムコントローラ100は、温度センサ26,115〜117の出力に応じて撮像ユニット変位機構30を駆動させて撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)を所定位置に移動させるとともに、熱伝達遮断SW回路128によってスイッチ70b〜70dのオン・オフを制御して加熱が必要な部材に撮像素子81の熱を伝達させる。
つづいて、システムコントローラ100のCPU54により実行される本実施の形態のカメラの動作制御例について説明する。図9は、検出温度に応じた動作制御の切換えを示す説明図であり、図10〜図12は、メインルーチンを示すフローチャートであり、図13〜図14は、メインルーチン中に含まれる低温対策動作のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、カメラのパワーSWが操作されてカメラシステムの動作が起動すると、システムの初期化動作を実行する(ステップS120)。なお、スタンバイモードに設定されたカメラが何らかのSWが操作されてスタンバイモードが解除された場合にもシステムの初期化動作を実行する。
初期化動作が実行された後、カメラの動作中に低温対策動作を周期的に実行する(ステップS122)。この低温対策動作では、低温になると動作性能が低下する、あるいは、動作できない動作ユニット(本実施の形態の場合、液晶モニタ13、バッテリ52、液晶レンズ2b)の温度を検出して、必要に応じて(例えば、10℃以下の場合)、撮像素子81から発生する熱を利用してこれらの動作ユニットを加熱し動作可能にする。この低温対策動作については後述する。
引き続き、カメラが動作可能な状況下で、カメラ操作SW114の一つであるライブビューSWの状態をチェックする(ステップS124)。ライブビューSWが操作された場合であれば(ステップS124;Yes)、ステップS126へ移行し、操作されていなければ(ステップS124;No)、ステップS140へ移行する。ライブビューモードが設定された場合には、システムコントローラ100は、撮像素子IF回路110を制御して被写体の画像データを所定のフレームレートで取得し、取得した画像データを液晶モニタ13に表示させることで、ユーザに被写体像をライブビューによって提供する。この処理に際して、まず、現在ライブビューモードに設定されているか否かを判定し(ステップS126)、設定されていた場合には(ステップS126;Yes)、モード解除のためにステップS132に移行し、設定されていなかった場合には(ステップS126;No)、モード設定のためにステップS128に移行する。
ライブビューモードに設定するステップS128では、サブミラー6aを光路外に退避させ、シャッタ7を開状態に設定する。これにより、撮影レンズ2の光束は、撮像素子81の受光面に結像される。そして、所定のフレームレート(30fps)で被写体像の画像データを取得できるように撮像素子IF回路110を設定し、取得した画像データを読み出して液晶モニタ駆動回路127へ出力させることで、ライブビュー動作を開始させる(ステップS130)。この状態で、周期的にステップS122に戻る。
一方、ライブビューモードを解除するステップS132では、サブミラー6aを光路中に移動させるとともに、シャッタ7を閉状態に設定する。そして、撮像素子IF回路110および液晶モニタ駆動回路127の動作を停止させることで、ライブビュー動作を停止させる(ステップS134)。これにより、液晶モニタ13のライブビュー表示は消える。この状態で、周期的にステップS122に戻る。
一方、ライブビューSWが操作されなかった場合(ステップS124;No)、カメラの動作中において、周期的に撮像素子81の温度を温度センサ(Timg)26および温度検出回路118を通じて検出し、検出温度に応じて必要な冷却動作を判断する(ステップS140)。すなわち、撮像素子81の温度は、ライブビュー動作または連続的な撮影動作によって上昇し、冷却動作(放熱対策)が必要となる。本実施の形態では、図9に示すように、検出温度に応じた冷却動作を実行させるように制御する。
まず、検出温度Timgが第1の所定の温度Timg1以下の場合(Timg1≧Timg)は、カメラが通常通りに動作可能であるので、ステップS140からステップS160へ移行する。また、第2の所定温度Timg2以下で第1の所定温度Timg1より高い場合(Timg2≧Timg>Timg1)において、ライブビュー動作を行うときには、通常より低いフレームレート(15fps)で実行させるよう、ステップS140からステップS152へ移行させる。さらに、第2の所定温度Timg2より高い場合(Timg>Timg2)は、ライブビュー動作を禁止し、撮像素子81の熱をクリップ伝導部材40、熱伝導線42を利用してカメラ外装3の外装前カバー3aに逃がす放熱動作を実行させるため、ステップS140からステップS141へ移行させる。ここで、所定の温度Timg1,Timg2は、予め設定された温度判定値であり、Timg2>Timg1なる関係にある。具体的には、Timg2=80℃、Timg1=70℃の如く設定され、FlashRom113中に制御パラメータとして格納されている。これらの温度Timg1,Timg2の値は、必要に応じて適宜変更設定される。
まず、ステップS141においては、冷却動作を示す警告を液晶モニタ13へ表示する。冷却動作中は撮影ができないことをユーザに告知するためである。ついで、ライビュー動作の実行中であるか否かを判定し(ステップS142)、実行中でなければ(ステップS142;No)、ステップS146へ移行し、実行中であれば(ステップS142;Yes)、ライブビューモードを解除する(ステップS144)。すなわち、サブミラー6aを光路中に復帰させ、シャッタ7を閉状態に設定し、撮像素子IF回路110の動作を停止させ、ライブビュー表示を停止させる。そして、アクチュエータ駆動回路120を介して撮像ユニット変位機構30を駆動制御することで、撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)を所定位置へ変位させる(ステップS146)。このような撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)の所定位置への変位駆動により、クリップ伝導部材40に対して放熱板85の連結部85bが熱結合する状態にロックされ、撮像素子81に発生した熱は放熱板85、クリップ伝導部材40、熱伝導線42aを熱伝導して外装前カバー3aへ伝達され空気中に逃げる。これにより、撮像素子81の放熱が行われる。
このような冷却動作は、温度センサ26、温度検出回路118を通じて撮像素子81の温度を検出し、この検出温度Timgが第1の所定温度Timg1以下となるまで継続させる(ステップS148)。撮像素子81の温度Timgが第1の所定温度Timg1以下まで低下すると、通常動作が可能となる。この際、冷却動作を停止させる温度判定値として第2の所定温度Timg2を設定することも可能である。また、ライブビュー動作もさらに低いフレームレートで実行させることも可能である。もっとも、現実的には、検出温度がTimg2以下になった時点で冷却動作を停止させると、冷却動作の停止後すぐに検出温度が上昇し、また、冷却動作へ移行するおそれがある。そこで、本実施の形態のように、カメラ動作が完全に実行できる温度に下がるまで冷却動作を継続させることが好ましい。
撮像素子81の温度が低下し、冷却動作が終了すると、アクチュエータ駆動回路120を介して撮像ユニット変位機構30を駆動制御することで、撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)のセンタリング動作を行う(ステップS150)。すなわち、撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)の可動範囲の中央位置に撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)を移動させる。このようなセンタリング動作は、手ブレ補正動作を実行させる際に必要な動作である。つづいて、液晶モニタ13に表示された警告表示を消す(ステップS151)。冷却動作中は、警告表示とともに、撮像素子81の検出温度をリアルタイムで表示させるようにしてもよい。また、検出温度の降下曲線から冷却動作の終了時間を予測して表示させるようにしてもよい。この場合も、冷却動作が終了すると、ステップS122へ移行する。
一方、ステップS140の判定において、Timg2≧Timg>Timg1の場合、30fpsなる高速のフレームレートでライブビュー動作中であるか否かを判定し(ステップS152)、30fpsでなければ(ステップS152;No)、そのまま(フレームレート15fpsのまま)とし、30fpsであった場合には(ステップS152;Yes)、ライブビュー動作のフレームレートを30fpsから低速の15fpsに変更させる(ステップS154)。このようにフレームレートを下げる処理によって、撮像素子81の駆動周波数(あるいは、読出し周波数)が下がり、撮像素子81の熱の発生が抑制される。これにより、冷却動作を行う状況の発生頻度が低下し、放熱対策となる。この後、ステップS164へ移行する。
また、ステップS140の判定において、Timg1≧Timgの場合、15fpsなる低速のフレームレートでライブビュー動作中であるか否かを判定し(ステップS160)、15fpsでなければ(ステップS160;No)、そのまま(フレームレート30fpsのまま)とし、15fpsであった場合には(ステップS160;Yes)、ライブビュー動作のフレームレートを15fpsから高速の30fpsに変更させる(ステップS162)。この後、ステップS164へ移行する。
ステップS164では、カメラ操作SW114の一つであるレリーズSWが操作されたか否かを判定する。レリーズSWが操作された場合には(ステップS164;Yes)、撮影準備動作を行う(ステップS166)。すなわち、被写体輝度に応じて露光条件(シャッタ時間と絞り値)を決定し、焦点調整動作(AF)も行う。そして、ライブビューモードが設定されているか否かを判定し(ステップS168)、設定されていなければ(ステップS168;No)、そのままステップS172へ移行するが、設定されている場合には(ステップS168;Yes)、ライブビュー動作を停止させ(ステップS170)、ステップS172へ移行する。
ステップS172では、手ブレ補正動作を可能にするために撮像ユニット変位機構30を駆動させて撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)のセンタリング動作を実行する。そして、角速度センサ121aの検出出力に基づき撮像ユニット変位機構30を駆動制御することでブレ補正動作を開始させる(ステップS174)。さらに、ステップS166の処理で決定された露光条件に従い撮影動作を行う(ステップS176)。撮影動作によって取得された画像データは、所定の画像処理を行った後、圧縮されてメモリカード111へ格納される。
撮影動作が終了すると、ブレ補正動作を停止させ(ステップS178)、再び、ライブビューモードが設定されているか否かを判定する(ステップS180)。ライブビューモードが設定されていない場合には(ステップS180;No)、そのままステップS122へ移行するが、ライブビューモードが設定されている場合には(ステップS180;Yes)、ライブビュー動作を再開し(ステップS182)、ステップS122へ移行する。ステップS182においては、ライブビュー動作を再開するために、撮像素子IF回路110と液晶モニタ駆動回路127の設定を行う。
また、ステップS164において、レリーズSWが操作されていない場合には、レリーズSWが操作されていない時間が所定時間(例えば、30秒)に達しているか否かを判定する(ステップS190)。レリーズSWが操作されない時間が所定時間に達した場合には(ステップS190;Yes)、アクチュエータ駆動回路120を介して撮像ユニット変位機構30を駆動制御することで、撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)を所定位置へ変位させる(ステップS191)。このような撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)の所定位置への変位駆動により、クリップ伝導部材40に対して放熱板85の連結部85bが熱結合する状態にロックされる。そして、カメラ操作SW114のいずれかが操作されたことを検出されるとスタンバイモードが解除されるように割り込み制御回路106を設定して、スタンバイモードへ移行する(ステップS192)。スタンバイモード中は、ほとんどの回路の動作が停止することで消費電力は低下する。また、スタンバイモード中にカメラ操作SW114のいずれかが操作されると、スタンバイモードが解除され、ステップS120へ移行する。
一方、ステップS190において、レリーズSWが操作されていない時間が所定時間に達していない場合には、カメラ操作SW114の一つであるパワーSWが操作されたか否かを判定する(ステップS194)。パワーSWが操作された場合には(ステップS194;Yes)、アクチュエータ駆動回路120を介して撮像ユニット変位機構30を駆動制御することで、撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)を所定位置へ変位させる(ステップS196)。このような撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)の所定位置への変位駆動により、クリップ伝導部材40に対して放熱板85の連結部85bが熱結合する状態にロックされる。そして、システムを停止させるための処理を実行してカメラの動作を停止させる(ステップS196)。パワーSWが操作されない場合には(ステップS194;No)、ステップS122へ移行する。
つづいて、ステップS122の低温対策動作について説明する。この処理の目的は、液晶モニタ13やバッテリ52や液晶レンズ2bの温度を測定し、低温環境にあり、加熱が必要であれば、撮像素子81をダミー駆動させて発熱源として利用し、撮像素子81の熱をこれらの液晶モニタ13やバッテリ52や液晶レンズ2bに伝熱させて温めることである。
まず、液晶モニタ13の温度を温度センサ115から取得し、その検出温度Tdispが所定の温度判定値Tdisp_lowに達しているか否かを判定する(ステップS52)。検出温度が温度判定値Tdisp_lowに達している場合には(ステップS52;Yes)、対応する制御フラグF_dispをクリアする(ステップS54)。検出温度が温度判定値Tdisp_lowに達していない場合には(ステップS52;No)、対応するスイッチ(SWdisp)70bをオン状態に設定するとともに、対応する制御フラグF_dispをセットする(ステップS56)。液晶モニタ13に関して、その検出温度Tdispが所定の温度判定値Tdisp_lowよりも低い場合には液晶モニタ13を動作させるには適さない。一般に、液晶は温度が低下すると応答速度が遅くなり、ライブビュー表示に適さなくなるためである。したがって、加熱の必要がある。温度判定値Tdisp_lowは、制御パラメータとしてFlashRom113に予め格納されるが、液晶モニタ13の温度特性等に応じて変更設定可能である。そして、液晶モニタ13に加熱を要する場合には、制御フラグF_dispが1にセットされ、不要な場合には、制御フラグF_dispは0にクリアされる。また、スイッチ(SWdisp)70bをオン状態に設定することで、熱伝導線42bによる熱伝導が有効とされる。
同様に、液晶レンズ2bの温度を温度センサ117から取得し、その検出温度Tlensが所定の温度判定値Tlens_lowに達しているか否かを判定する(ステップS58)。検出温度が温度判定値Tlens_lowに達している場合には(ステップS58;Yes)、対応する制御フラグF_lensをクリアする(ステップS60)。検出温度が温度判定値Tlens_lowに達していない場合には(ステップS58;No)、対応するスイッチ(SWlens)70dをオン状態に設定するとともに、対応する制御フラグF_lensをセットする(ステップS62)。液晶レンズ2bに関して、その検出温度Tlensが所定の温度判定値Tlens_lowよりも低い場合には液晶レンズ2bを動作させるには適さない。したがって、加熱の必要がある。温度判定値Tlens_lowは、制御パラメータとしてFlashRom113に予め格納されるが、液晶レンズ2bの温度特性等に応じて変更設定可能である。そして、液晶レンズ2bに加熱を要する場合には、制御フラグF_lensが1にセットされ、不要な場合には、制御フラグF_lensは0にクリアされる。また、スイッチ(SWlens)70dをオン状態に設定することで、熱伝導線42dによる熱伝導が有効とされる。
さらに、バッテリ52の温度を温度センサ116から取得し、その検出温度Tbatが所定の温度判定値Tbat_lowに達しているか否かを判定する(ステップS64)。検出温度が温度判定値Tbat_lowに達している場合には(ステップS64;Yes)、対応する制御フラグF_batをクリアする(ステップS66)。検出温度が温度判定値Tbat_lowに達していない場合には(ステップS64;No)、対応するスイッチ(SWbat)70cをオン状態に設定するとともに、対応する制御フラグF_batをセットする(ステップS68)。バッテリ52に関して、その検出温度Tbatが所定の温度判定値Tbat_lowよりも低い場合にはバッテリ52の出力電圧が低下し、動作させるには適さない。したがって、加熱の必要がある。温度判定値Tbat_lowは、制御パラメータとしてFlashRom113に予め格納されるが、バッテリ52の温度特性等に応じて変更設定可能である。そして、バッテリ52に加熱を要する場合には、制御フラグF_batが1にセットされ、不要な場合には、制御フラグF_batは0にクリアされる。また、スイッチ(SWbat)70cをオン状態に設定することで、熱伝導線42cによる熱伝導が有効とされる。
このような処理を経た後、制御フラグの状態を判定する(ステップS70)。この判定処理において、制御フラグの一つでも1にセットされ、スイッチがオン状態に設定されていれば(ステップS70;Yes)、ステップS79へ移行するが、全ての制御フラグが0にクリアされている場合には(ステップS70;No)、メインルーチンに戻る。
ステップS79においては、加熱動作の実行中であることを示す警告を液晶モニタ13へ表示する。加熱動作中は、撮影できないことをユーザへ告知するためである。ついで、アクチュエータ駆動回路120を介して撮像ユニット変位機構30を駆動制御することで、撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)を所定位置へ変位させる(ステップS80)。このような撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)の所定位置への変位駆動により、クリップ伝導部材40に対して放熱板85の連結部85bが熱結合する状態にロックされる。そして、撮像素子81をダミー駆動させて発熱させることで加熱動作を開始させる(ステップS81)。この動作において、撮像素子81をダミー駆動するために撮像素子IF回路110を設定する。例えば、フレームレートを30fpsに設定して画像データを撮像素子81から読み出す。読み出した画像データは利用せず、撮像素子81を熱源として利用するためのダミー駆動であり、撮像素子81の動作が許容される範囲でフレームレートをさらに高く設定してもよい。
ここで、例えば液晶モニタ13を加熱中(F_disp=1)であるか否か判定する(ステップS82)。液晶モニタ13を加熱中であれば(ステップS82;Yes)、ダミー駆動される撮像素子81に発生した熱が、放熱板85、クリップ伝導部材40、熱伝導線42b、スイッチ70bを介してシールド板51に伝達され、液晶モニタ13が加熱される。そこで、液晶モニタ13の温度を温度センサ115で監視し(ステップS84)、検出温度Tdispが温度判定値Tdisp_lowを超えるまで加熱動作を継続させる(ステップS84;No)。液晶モニタ13の検出温度Tdispが温度判定値Tdisp_lowを超えた場合には(ステップS84;Yes)、スイッチ(SWdisp)70bをオフ状態に設定することで、熱伝導線42bによる熱伝導を強制的に遮断させるとともに、液晶モニタ13の加熱動作が終了したことを示すために制御フラグF_dispを0にクリアする(ステップS86)。
同様に、液晶レンズ2bを加熱中(F_lens=1)であるか否か判定する(ステップS88)。液晶レンズ2bを加熱中であれば(ステップS88;Yes)、ダミー駆動される撮像素子81に発生した熱が、放熱板85、クリップ伝導部材40、熱伝導線42d、スイッチ70dを介して熱伝導性部材64aに伝達され、液晶レンズ2bが加熱される。そこで、液晶レンズ2bの温度を温度センサ117で監視し(ステップS90)、検出温度Tlensが温度判定値Tlens_lowを超えるまで加熱動作を継続させる(ステップS90;No)。液晶レンズ2bの検出温度Tlensが温度判定値Tlens_lowを超えた場合には(ステップS90;Yes)、スイッチ(SWlens)70dをオフ状態に設定することで、熱伝導線42dによる熱伝導を強制的に遮断させるとともに、液晶レンズ2bの加熱動作が終了したことを示すために制御フラグF_lensを0にクリアする(ステップS92)。
さらに、バッテリ52を加熱中(F_bat=1)であるか否か判定する(ステップS94)。バッテリ52を加熱中であれば(ステップS94;Yes)、ダミー駆動される撮像素子81に発生した熱が、放熱板85、クリップ伝導部材40、熱伝導線42c、スイッチ70cを介して電池収納室53に伝達され、バッテリ52が加熱される。そこで、バッテリ52の温度を温度センサ116で監視し(ステップS96)、検出温度Tbatが温度判定値Tbat_lowを超えるまで加熱動作を継続させる(ステップS96;No)。バッテリ52の検出温度Tbatが温度判定値Tbat_lowを超えた場合には(ステップS96;Yes)、スイッチ(SWbat)70cをオフ状態に設定することで、熱伝導線42cによる熱伝導を強制的に遮断させるとともに、バッテリ52の加熱動作が終了したことを示すために制御フラグF_batを0にクリアする(ステップS98)。
このような処理を経た後、全ての動作ユニット(液晶モニタ13、液晶レンズ2b、バッテリ52)は、動作可能な温度に達したか否かを制御フラグの状態で判定する(ステップS100)。制御フラグが全て0にクリアされていれば(ステップS100;Yes)、加熱動作を停止させる(ステップS102)。すなわち、撮像素子81のダミー駆動を停止させるように撮像素子IF回路110を設定する。また、液晶モニタ13に表示された警告表示を消す(ステップS104)。加熱動作中は、警告表示とともに、加熱対象の検出温度をリアルタイムで表示させるようにしてもよい。また、検出温度の上昇曲線から加熱動作の終了時間を予測して表示させるようにしてもよい。このようにして加熱動作が終了すると、アクチュエータ駆動回路120を介して撮像ユニット変位機構30を駆動制御することで、撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)のセンタリング動作を行う(ステップS106)。すなわち、撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)の可動範囲の中央位置に撮像ユニット8(撮像素子ホルダ15)を移動させる。このようなセンタリング動作は、手ブレ補正動作を実行させる際に必要な動作である。ステップS106の処理後、メインルーチンに戻る。
このように、本実施の形態によれば、撮像素子81の温度が所定温度以上に上昇した場合には撮像ユニット変位機構30を利用して撮像素子ホルダ15を所定位置に位置させ、撮像素子ホルダ15に保持された撮像ユニット8中の撮像素子81の背面に固着された放熱板85の連結部85bを、固定部材19側のクリップ伝導部材40に熱結合させることで、撮像素子81の熱をクリップ伝導部材40、熱伝導線42aを介して外装前カバー3aへ伝熱させて放熱させるようにしたので、バッテリ駆動を要するペルチェ素子等の冷却素子を用いることなく、簡単な制御で撮像素子81の放熱を効果的に行うことができる。
また、液晶モニタ13、バッテリ52、液晶レンズ2b等のように、温度が所定温度以下の場合には撮像ユニット変位機構30を利用して撮像素子ホルダ15を所定位置に位置させて、撮像素子ホルダ15に保持された撮像ユニット8中の撮像素子81の背面に固着された放熱板85の連結部85bを、固定部材19側のクリップ伝導部材40に熱接合させるとともに、撮像素子81をダミー駆動させることで、撮像素子81を発熱源として利用しこの熱をクリップ伝導部材40、熱伝導線42b〜42dを介して液晶モニタ13、バッテリ52、液晶レンズ2bへ伝熱させて加熱させるようにしたので、バッテリ駆動を要するヒータ等の特別な加熱素子を用いることなく、簡単な制御で低温環境下では動作が制限される液晶モニタ13、バッテリ52、液晶レンズ2bの加熱を効果的に行うことができるという効果を奏する。
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変形が可能である。例えば、本実施の形態では、撮像ユニット8の所定位置において連結部85bが重力を利用してクリップ伝導部材40に係合するように連結部84bとクリップ伝導部材40との結合方向をY軸方向に設定したが、X軸方向(左右方向)に係脱するように係合方向を設定するようにしてもよい。
また、撮像装置としても、レンズ交換可能な一眼レフレックス式デジタルカメラに限らず、例えばコンパクト型のデジタルカメラや、撮影機能を有する携帯電話、携帯情報端末、ノート型パーソナルコンピュタ、電子医療機器等であっても同様に適用することができる。
さらには、熱伝導線部分に関しては、内壁にウイックが形成されたヒートパイプ等の伝熱部材を用いるようにしてもよい。