JP4960614B2 - α−置換アクリル酸ノルボルナニル類及びその製造方法、並びにそれを用いた共重合体 - Google Patents

α−置換アクリル酸ノルボルナニル類及びその製造方法、並びにそれを用いた共重合体 Download PDF

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Description

本発明は、次世代フォトレジストに対応するモノマーとして有用な化合物であるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類及びその製造方法、α−置換アクリル酸ノルボルナニル類の前駆体である置換ノルボルナニルアルコール及びその製造法、及びα−置換アクリル酸ノルボルナニル類に由来する繰り返し単位を含む重合体に関する。
近年、コンピューターを始めとするデジタル機器の発展により、取り扱う演算データや二次元、三次元画像データの処理量が膨大になってきており、これらの情報を素早く処理するために大容量で高速なメモリと高性能なマイクロプロセッサが必要となっている。また、インターネットなどネットワークの発展に伴って、更にブロードバンド化が加速し、デジタル機器に求められる処理能力は益々高まっていくものと予測されている。
この要求を達成するために、半導体デバイスに代表される各種デバイス機器には、より一層の高密度、高集積化が求められている。なかでも、微細加工を可能とするフォトリソグラフィー技術に対する要求は年々厳しくなっており、1Gビット以上の集積度を持つDRAMの製造には、最小線幅0.13ミクロン以下の加工技術が必要となり、それに対応してArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが利用され始めている。更に微細なパターンを加工する目的で、F2エキシマレーザー(157nm)を用いたフォトリソグラフィー及び液侵リソグラフィーの開発が進められている。
これらの波長領域においては、従来レジスト材料に用いられてきたノボラックやポリビニルフェノール系の樹脂は光の吸収が大きすぎて用いることができない。そこで、アクリル系樹脂(例えば、特許文献1)やシクロオレフィン系樹脂(例えば、特許文献2)が検討されてきている。しかしながら、F2エキシマレーザー(157nm)の波長で透明性が高い樹脂は非常に限られており、フッ素樹脂の優位性が明らかとなってきている。特にフッ素系水酸基含有のレジスト樹脂は親水性にも優れた特性をもつことが報告されており、非常に期待が持たれている(例えば、非特許文献1、2)。
しかしながら、フッ素原子の導入は紫外線領域での透明性は向上するものの、同時にエッチング耐性の低下をもたらしてしまう。また、重合反応性についても、従来のノルボルネン環に直接フッ素原子やトリフルオロメチル基がついたモノマーは、重合反応性が低くて低収率であったり、材料として充分な分子量を得ることができなかったりと多くの課題を残していた。従って、これら既存の化合物が発揮しうる機能は必ずしも充分ではなく、更に優れた高分子化合物を効率よく与え得る新規なモノマー又はその原料の創出が望まれていた。
一方、半導体デバイス用パッケージの分野においては、一般的にエポキシ樹脂などが採用されているが、プリント基板への実装時の熱ストレスを低減することを目的として封止樹脂材の中に素子基板(Si基板)と熱膨張係数の近い酸化ケイ素(SiO2)の微粒子を添加する方法が用いられている。しかし、従来の技術では、熱伝導性において、金属や、セラミックス等に劣るエポキシ樹脂を用いた従来構造のプラスチックパッケージでは、放熱特性が悪く、熱抵抗がかなり高くなるため、パワーICなどの高消費電力のICや、高速で動作するICのパッケージとしては長期的な信頼性という面から不利であった。また、低応力にするために樹脂中に添加されているSiO2の微粒子は非常に硬いため、プリント基板への実装時に発生する熱応力で、素子表面へ局所的に大きな圧力を加え、素子を破壊することが発生していた。すなわち、半導体パッケージの分野においては、耐熱性が高く、素子表面に熱応力を加え難い材料が求められていた(例えば、特許文献3)。実際には、単独の半導体パッケージ材料では要求性能を満足することは難しく、種々の保護膜等が併用されている。パッケージ材料と保護膜は一体化しており、お互いの欠点を補いあうことによって役割を果たしているといえる。半導体チップへの水及び不純物の浸入を防ぐためにパッシベーション膜が、またパッケージ材料中に生じる応力集中を緩和するためにバッファーコート膜が用いられている。従来、半導体に用いられる絶縁膜や保護膜などの薄膜材料は酸化シリコンなどの無機化合物が主流であったが、現在は、ポリイミドなどの耐熱性高分子材料の有用性が認められ、相関絶縁膜、パッシベーション膜、バッファーコート膜などに使用されている。
また、近年の半導体の高集積化、高速化の要求に対しては、信号の高速伝送に対応した材料が求められている。高速伝送では信号の伝播遅延が問題となるが、伝播遅延は材料の比誘電率に比例することから、材料の低誘電率化が有効である。現在では、フッ素樹脂が低誘電率であることが知られ、含フッ素ポリイミドも有力な材料の一つとして研究されている。フッ素原子を導入した樹脂はフッ素の持つ撥水性、非密着性などの特異な性質を有し、時には目的とする用途に採用が可能となるが、あるときはそれらの特異性のために採用が難しいこともあった。近年の新しい半導体応用製品の登場に合わせて半導体パッケージも多様化し、小型化、薄型化、低誘電率化など様々な要求がなされ、これらを満足するパッケージ材料が望まれていた。
一方、α−置換アクリル酸ノルボルナニル類は多種の異性体を含有することが知られているが、その異性体の生成を制御したり、単一異性体の取出を行った例などはほとんど報告されていない。
また、スルホンアミド構造を有する重合性エステル化合物に由来する繰り返し単位を有する重合体がエキシマレーザー露光波長での透明性及びドライエッチング耐性等に優れていることが開示されている(特許文献4)。
特開平10−161313号公報 特開2000−89463号公報 特開平8−241913号公報 特開2005−23304号公報 H. Ito, H. D. Truong, et al, J. Photopolym. Sci. Technol., 16, 523-536(2003) Francis Houlihan, Andrew Romano, Ralph R, Dammel, et al, J. Photopolym. Sci. Technol., 16, 581-590(2003)
本発明は、紫外線領域から近赤外線領域に至るまでの幅広い波長領域で高い透明性を有し、かつ基板への高い密着性及び成膜性、高いエッチング耐性を併せ持ったレジスト材料又は、半導体デバイス用パッケージ材料のモノマー原料となる、新規なα−置換アクリル酸ノルボルナニルアルコール及びここから誘導されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類及びその製造方法を提供することにある。
更に本発明では複数の異性体の中で、特定の単一なα−置換アクリル酸ノルボルナニル類を提供することも重要な目的である。一般的にα−置換アクリル酸ノルボルナニル類は製造工程で多くの異性体を持つ。通常は、4種以上の異性体を含有するため、それぞれの異性体化合物の特性を考慮した上で高分子組成の設計を行うことが難しい。
更に現実的な応用、例えばフォトレジスト材料として使用する場合、アルカリ現像液に対する溶解速度や基板との密着性が異性体構造に大きく異存し、構造式から推察できる高性能が実現できないなど、異性体混合物であるがゆえに生じる課題が多く残っていた。
すなわち、本発明は、置換ノルボルネンから、置換ノルボルナニルアルコールを経て、高い選択率、収率で、目的とする特定のα−置換アクリル酸ノルボルナニル類、及びこれらをモノマーとして含む重合体を製造、提供することを課題とする。
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ノルボルネン環とパーフルオロアルキルスルホンアミド構造を有する新規なα−置換アクリル酸ノルボルナニルアルコール及びこれから誘導される新規なα−置換アクリル酸ノルボルナニル類を見いだした。
この新規なα−置換アクリル酸ノルボルナニル類を重合させた含フッ素重合体は、幅広い波長領域で高い透明性を有し、かつ基板への高い密着性及び成膜性を併せ持つばかりでなく、ノルボルネン環構造に由来する高いエッチング耐性を有したレジスト材料として期待される。更に、本発明の新規なα−置換アクリル酸ノルボルナニル類を重合させたこの含フッ素高分子化合物は分子内に環状構造を有することから耐熱性が高く、パーフルオロアルキルスルホンアミド構造に由来する良好な溶剤溶解性をもってコーティング性に優れ、成膜性や成形性にも優れることが期待される。
また、本発明の新規なα−置換アクリル酸ノルボルナニル類を重合させたこの含フッ素高分子化合物をそのまま使用して、あるいはこれに硬化剤を加えて半導体デバイスのパッケージ化を行った場合には、素子基板への応力が非常に小さく、高い信頼性が得られることが期待される。
一般に、アルコールをα−置換アクリル酸エステル化する方法としては、(1)α−置換アクリル酸とアルコールとの脱水縮合又は、(2)α−置換アクリル酸クロリドとアルコールとの反応により合成することができる。
上記(1)の方法は、脱水するために高温で、長時間の反応が必要であり、また平衡をエステル側に寄せるため過剰な酸を使用する必要がある。ところがこのような条件での反応では、生成したα−置換アクリル酸エステルが、高温で長期間、反応系内に有るために重合し、単離できない可能性が高い。
上記(2)の方法は、α−置換アクリル酸クロリドとアルコールとを反応させることにより発生する酸を塩基で消費して平衡を移動させる必要があるため、本来必要としない塩等が副生し廃棄物量が増加するという問題がある。また、副生した塩等を反応系から取り除くために濾過又は水洗又は濾過及び水洗をする必要がある。すなわち、電子材料用途のモノマーとしては、塩の残留は欠陥を引き起こす要因になるため、酸クロリドを用いるエステル化は望ましくない。
また、モノマーとして使用するに十分な純度を確保するためには、蒸留操作等が必要であるが、本発明のα−置換アクリル酸ノルボルナニル類は、非常に高い沸点を持ち、これを蒸留するには高真空下、高温で蒸留する必要である。本発明のα−置換アクリル酸ノルボルナニル類には、α−置換アクリル酸部分の重合性基が含まれており、これが高い温度により容易に重合することから、高温での蒸留を実施した場合、単離することが難しい。精製を容易にするために原料の置換ノルボルナニルアルコールを精製して使用することにより、α−置換アクリル酸ノルボルナニル類の精製負荷を軽減することが必要であるが、置換ノルボルナニルアルコールもα−置換アクリル酸ノルボルナニル類同様、高沸点で粘性の高い、取り扱いにくい化合物である。
すなわち、置換ノルボルナニルアルコールの製造においても、それを原料としてエステル化するα−置換アクリル酸ノルボルナニルの製造においても、副生成物を生成させない製造方法を開発する必要があった。また、同時に目的とする特定の異性体を選択的に得る方法を開発する必要があった。
そこで本発明者らは、工業的規模での製造に適した置換ノルボルナニルアルコールの製造法、α−置換アクリル酸ノルボルナニル類の製造法を確立するべく、鋭意検討を行ったところ、副生成物の少ない置換ノルボルナニルアルコールの製造法(第一工程)及び第一工程で得られた置換ノルボルナニルアルコールとα−置換アクリル酸無水物を反応させる第二工程を組み合わせることにより、副生成物の少ないα−置換アクリル酸ノルボルナニル類が高選択率、高収率で製造できることを見出し、本発明に至った。
更に、本発明者らは、数種の異性体を含む上記生成物を特定の溶媒で再結晶することにより、単一の異性体が得られることを見出し本発明に至った。また、これらのα−置換アクリル酸ノルボルナニル類をモノマーとして用いた重合体を提供する。
すなわち、本発明は、一般式[4]
Figure 0004960614
[式中、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表される置換ノルボルナニルアルコールである。なお、本願明細書において、脂環族化合物を構成する炭素原子に結合している水素原子は省略してある。従って、R2、R3のいずれか一つは、同一炭素原子に2個の水素原子が結合している。
また、本発明は、一般式[1]
Figure 0004960614
[式中、R1は、水素原子、メチル基、エチル基、又は炭素数1から炭素数4のパーフルオロアルキル基を表す。]で表される低級カルボン酸を、一般式[2]
Figure 0004960614
[式中、R2、R3のうち、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表される置換ノルボルネンと反応させて、一般式[3]
Figure 0004960614
[式中、R1は一般式[1]のR1と同じで、R2、R3は一般式[2]のR2、R3と同じ]で表される置換ノルボルナニル類を得て、これを加水分解することを特徴とする、一般式[4]
Figure 0004960614
[式中、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表される置換ノルボルナニルアルコールの製造方法である。
また、本発明は、一般式[6]
Figure 0004960614
[式中、R4はメチル基であり、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類である。
また、α−置換アクリル酸ノルボルナニル類が、5−exo−({[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−exo−イル 2−メチルアクリレートであることを特徴とする上記のα−置換アクリル酸ノルボルナニル類である。
また、本発明は、次の二工程によりなる、一般式[6]
Figure 0004960614
[式中、R4はメチル基であり、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類の製造方法である。
第一工程:上記、一般式[4]で表される置換ノルボナニルアルコールを製造する工程。
第二工程:一般式[5]
Figure 0004960614
[式中、R4はメチル基である。]で表されるα−置換アクリル酸無水物を、上記第一工程で得られた一般式[4]
Figure 0004960614
[式中、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表される置換ノルボルナニルアルコールと反応させることを特徴とする、一般式[6]
Figure 0004960614
[式中、R4はメチル基であり、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類を製造する工程である。
また、本発明は、一般式[5]で表されるα−置換アクリル酸無水物の置換基R4がメチル基である、上記α−置換アクリル酸ノルボルナニル類の製造方法である。
本発明の上記α−置換アクリル酸ノルボルナニル類の製造方法において、第二工程は、下記スキーム1で表されるが、反応を促進するために添加剤を添加して行うことができる。本発明は、第二工程を有機スルホン酸及び/又はルイス酸よりなる添加剤の存在下行うことを特徴とする上記のα−置換アクリル酸ノルボルナニル類の製造方法である。使用される添加剤としてはメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等有機スルホン酸類、三フッ化ホウ素、四塩化チタン、四塩化スズ等のルイス酸類の群から選ばれる少なくとも一種の酸が好適に用いられる。
更に本発明は、上記α−置換アクリル酸ノルボルナニル類の製造工程後に、更に炭化水素系溶媒で再結晶する第三工程を行うことを特徴とするα−置換アクリル酸ノルボルナニル類の製造方法である。
本発明のα−置換アクリル酸ノルボルナニル類の製造方法において、第二工程をスキーム1にまとめる。
Figure 0004960614
また、本発明の共重合体は、(I)上記一般式[7]で表される繰り返し単位と、(II)一般式[8]で表される繰り返し単位と、一般式[9]から一般式[11]
Figure 0004960614
[式[8]から式[11]において、R5は水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基あるいはヒドロキシメチル基を表し、式[9]から式[11]において、R6はR5とは独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基を表し、nは0〜1の整数を、mは1〜2の整数をそれぞれ表す。]で表される少なくとも1つの繰り返し単位とを有するゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜100,000の共重合体である。
また、本発明の共重合体は、(I)上記一般式[7]で表される繰り返し単位と、(III)一般式[12]
Figure 0004960614
[式[12]において、R5は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基あるいはヒドロキシメチル基を表し、Aは単結合、炭素数1から炭素数10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基又は炭素数4から炭素数20の脂環式炭化水素基、アルキレングリコール基、アルキレンエステル基を表す。]で表される繰り返し単位とを有するゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜100,000の共重合体である。
本発明によれば、置換ノルボルネンから、置換ノルボルナニルアルコールを経て、高い選択率、収率で、目的とするα−置換アクリル酸ノルボルナニル類を製造することができる。
本発明のα−置換アクリル酸ノルボルナニル類由来の繰り返し単位を含む重合体、共重合体は、活性放射線、特に、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、F2エキシマレーザー(波長157nm)に代表される遠紫外線に感応する化学増幅型レジスト用樹脂として、レジストの基本性能となる放射線に対する透明性、高感度及び解像度に優れるという特性のみならず、ドライエッチング耐性、パターン形状も良好なレジストを与えることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の一般式[4]で表される置換ノルボルナニルアルコール(以下、単に置換ノルボルナニルアルコールという場合もある)
Figure 0004960614
[式中、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]及び一般式[6]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類(以下、単にα−置換アクリル酸ノルボルナニル類という場合もある)
Figure 0004960614
[式中、R4はメチル基であり、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]は、ノルボルネン環とトリフルオロメチルスルホンアミド構造を有する新規な含フッ素環状化合物である。
一般に、フッ素含有量の増加と共に、紫外線領域から近赤外線領域に至るまでの幅広い波長領域での透明性の向上や、屈折率の低下が誘起されることが知られている。一方、フッ素含有量の増加に伴って基板との密着性の低下や成膜性の低下も誘起され、透明性の高さや屈折率の低さとの両立を図ることは困難であった。
しかしながら、一般式[4]及び一般式[6]に示される化合物は、パーフルオロアルキルスルホンアミド構造を有することで、一般式[6]から誘導した高分子化合物では基板との高い密着性、また高い成膜性をも併せ持つことが十分期待される。
環状のノルボルネン骨格はレジスト材料で必要なエッチング耐性に寄与することから好ましく、また、分子内に環状の構造を導入することによって、これから誘導される高分子化合物のガラス転移温度(Tg)を高めることができる。その高分子化合物に含まれる環状構造の割合を調整することによって、Tgを調整することも可能となる。Tgは化学増幅型ポジ型レジストの酸拡散速度に重要な要素であり、半導体デバイス用パッケージ材料やバッファーコートの分野では熱膨張係数の低減や調整のための重要な要素となっている。
一般式[4]で表される置換ノルボナニルアルコールは、カルボン酸あるいはエーテル基を有する高分子化合物に後反応で導入することが可能で、上記の特性を発現させることが期待できる。また、一般式[6]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類は高分子化合物を重合するためのモノマーとして有用である。
更に本発明では、請求項5で示したα−置換アクリル酸ノルボルナニル類であって、特定の構造である5−exo−({[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−exo−イル 2−メチルアクリレートを単一異性体として提供することができる。
一般的にα−置換アクリル酸ノルボルナニル類は製造工程で多くの異性体を持ち、4種以上の異性体を含有してしまう。この異性体は側鎖構造中の酸性アミド基の位置、広がり、コンフォメーションなどに大きな影響をもたらす。現実的な応用であるフォトレジスト材料として使用する場合、アルカリ現像液に対する溶解速度や基板との密着性は大きな設計のポイントになっているが、本発明による5−exo−({[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−exo−イル 2−メチルアクリレートに代表されるexo/exoの組み合わせは最も効果的に酸性アミド基を配置させることが可能である。
次に、本発明のα−置換アクリル酸ノルボルナニル類の製造法について詳細に説明する。
本発明の一般式[6]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類の製造法は、次の2工程によりなる。下記の第一工程は、本発明の一般式[4]で表される置換ノルボルナニルアルコールの製造方法である。
第一工程:一般式[1]
Figure 0004960614
[式中、R1は、水素原子、メチル基、エチル基、又は炭素数1から炭素数4のパーフルオロアルキル基を表す。]で表される低級カルボン酸を、一般式[2]
Figure 0004960614
[式中、R2、R3のうち、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表される置換ノルボルネンと反応させて、一般式[3]
Figure 0004960614
[式中、R1は一般式[1]のR1と同じで、R2、R3は一般式[2]のR2、R3と同じ]で表される置換ノルボルナニル類を得て、これを加水分解することにより、一般式[4]
Figure 0004960614
[式中、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表される置換ノルボルナニルアルコールの製造工程である。
第二工程:一般式[5]
Figure 0004960614
[式中、R4はメチル基である。]で表されるα−置換アクリル酸無水物を、上記第一工程で得られた一般式[4]
Figure 0004960614
[式中、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表される置換ノルボルナニルアルコールと反応させることを特徴とする、一般式[6]
Figure 0004960614
[式中、R4はメチル基であり、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類を製造する工程である。
はじめに第一工程につき、説明する。第一工程は、バッチ式反応装置において実施することができる。以下においてその反応条件を述べるが、それぞれの反応装置において、当業者が容易に調節しうる程度の反応条件の変更を妨げるものではない。
一般式[4]で表される置換ノルボルナニルアルコールは、はじめに一般式[1]で表される低級カルボン酸と一般式[2]で表される置換ノルボルネンを反応させ、一般式[3]で表される置換ノルボルナニル類を製造後、これを加水分解することにより製造することができる。このとき、得られる一般式[4]で表される置換ノルボルナニルアルコールは、異性体を含む混合物である。それぞれを分離精製して当該反応に供しても良いが、異性体混合物のまま供しても問題はない。
原料の一般式[2]で表される置換ノルボルネンはアリルアミンとシクロペンタジエンをルイス酸触媒存在、もしくは非存在下、Diels−Alder反応に付することによりアミノメチルノルボルネンを合成し(特開昭56−139543)、これをトリフルオロメタンスルホン酸無水物又はトリフルオロメタンスルホニルハライドと反応させることにより、得られることが知られている(Kas'yan, A. O., Maletina, I. I., et al, Zhurnal Organicheskoi Khimii, 31(3), 357-64(1995))。
一般式[4]で表される置換ノルボルナニルアルコールにおけるR2、R3のうち、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。
本発明の第一工程中、一般式[3]で表される置換ノルボルナニル類を得る反応において使用する低級カルボン酸は、一般にギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸が用いることができるが、経済性からギ酸が特に好ましい。低級カルボン酸の量は置換ノルボルネン1モルに対して1〜20モルであり、5〜17モルが好ましく、7〜13モルがより好ましい。置換ノルボルネン1モルに対して低級カルボン酸の量が1モルより少ない場合には反応の選択率、目的物の収率共に低下し、20モルを超えると反応に関与しない低級カルボン酸が増加し、経済的及び環境への負荷の増大の面から好ましくない。
実施する際の反応温度は0〜250℃であり、20〜200℃が好ましく、50〜160℃がより好ましい。0℃より低い場合には反応速度が極めて遅く実用的製造法とはならない。また、250℃を超えると原料の置換ノルボルネン又は生成物の置換ノルボルナニル類が分解する可能性があることから好ましくない。
本反応においては無溶媒が好ましいが、溶媒を使用することもできる。使用可能な溶媒の種類に特別な制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族化合物、オクタン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素類を使用することができる。これらは単独で用いても、複数の溶媒を併用しても良い。
本反応に溶媒を使用する場合、使用する溶媒の溶媒量は置換ノルボルネン1gに対して0.2〜50gであり、0.5〜20gが好ましく、1〜10gがより好ましい。溶媒量が置換ノルボルネン1gに対して50gを超えると生産性の観点から経済的に好ましくない。
本発明第一工程中、一般式[3]で表される置換ノルボルナニル類を加水分解し、一般式[4]で表される置換ノルボルナニルアルコールを製造する反応では、水とアルカリが用いられる。使用するアルカリは、一般に無機アルカリが用いることができ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好ましい。使用するアルカリの量は置換ノルボルナニル類1モルに対して1〜10モルであり、1〜5モルが好ましく、1〜3モルがより好ましい。置換ノルボルナニル1モルに対してアルカリの量が1モルより少ない場合には反応が十分に進行せず、目的物の収率が低下し、10モルを超えると反応に関与しないアルカリが増加し、経済的及び環境への負荷の増大の面から好ましくない。
また、使用する水の量は置換ノルボルナニル類1gに対して0.1〜10gであり、0.5〜5gが好ましく、1〜3gがより好ましい。置換ノルボルナニル1gに対して水の量が0.1gより少ない場合には反応が十分に進行せず、目的物の収率が低下し、10gを超えると単離するために使用する抽出溶媒量が増加し、経済的及び環境への負荷の増大の面から好ましくない。
実施する際の反応温度は0〜200℃であり、20〜170℃が好ましく、50〜120℃がより好ましい。0℃より低い場合には反応速度が極めて遅く実用的製造法とはならない。また、200℃を超えると原料の置換ノルボルナニル類又は生成物の置換ノルボルナニルアルコールが分解する可能性があることから好ましくない。
本反応において溶媒を使用することができる。使用可能な溶媒の種類に特別な制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族化合物、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒が好ましく、これらは単独で用いても、複数の溶媒を併用しても良い。
本反応に溶媒を使用する場合、使用する溶媒の溶媒量は置換ノルボルネン1gに対して0.1〜20gであり、0.2〜10gが好ましく、0.5〜5gがより好ましい。溶媒量が置換ノルボルネン1gに対して50gを超えると生産性の観点から経済的に好ましくない。
第一工程の反応を行う反応器は、四フッ化エチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂、ガラスなどを内部にライニングしたもの、グラス容器、もしくはステンレスで製作したものが好ましい。
本発明第一工程を実施する方法は限定されるものではないが、望ましい態様の一例につき、詳細を述べる。反応条件に耐えられる反応器に原料の置換ノルボルネン、低級カルボン酸を仕込み、攪拌しながら外部より加熱して反応を進行させる。サンプリング等により原料の消費をモニタリングし、反応が終了したのを確認し、反応液を冷却する。
得られた反応液を水洗し、粗の一般式[3]で表される置換ノルボルナニル類、溶媒、水、水酸化カリウムを反応条件に耐えられる反応器に仕込み、撹拌しながら外部より加熱して反応を進行させる。サンプリング等により原料の消費をモニタリングし、反応が終了したのを確認し、反応液を冷却する。有機層を分離し、水層に無機酸をpH3になるまで添加し、有機溶媒により抽出、有機溶媒を留去することにより、一般式[4]で表される置換ノルボルナニルアルコールを得ることができる。
本反応で製造された一般式[4]で表される置換ノルボルナニルアルコールは公知の方法を適用して精製しても良いが、十分に高純度の置換ノルボルナニルアルコールを得ることができるため、第二工程の原料とする場合には、特に精製の必要はない。
本反応で得られる置換ノルボルナニルアルコールは異性体混合物であるが、分離することなく第二工程の原料とすることができる。
次に第二工程につき説明する。第二工程も、バッチ式反応装置において実施することができる。以下においてその反応条件を述べるが、それぞれの反応装置において、当業者が容易に調節しうる程度の反応条件の変更を妨げるものではない。
一般式[6]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類は、一般式[4]で表される置換ノルボルナニルアルコールと一般式[5]で表されるα−置換アクリル酸無水物を反応させことにより合成することができる。
使用する原料の、一般式[5]で表されるα−置換アクリル酸の置換基R4としては水素原子、メチル基、エチル基、又は炭素数1から炭素数4のパーフルオロアルキル基である。
これらのα−置換アクリル酸無水物は公知の方法で合成することができる。R4が水素、メチル基等の場合は試薬としても容易に入手可能である。また、例えばR4がCF3の場合は、2−ブロモ1,1,1−トリフルオロプロペンに対してPdを触媒とするCO挿入反応を(Heck反応)を行うことにより、容易に合成できることが知られている(例えば、特開昭59−21648号公報)。
本反応において使用するα−置換アクリル酸無水物の量は置換ノルボルナニルアルコール1モルに対して0.5〜3.0モルであり、0.7〜2.0モルが好ましく、1.0〜1.6モルがより好ましい。置換ノルボルナニルアルコール1モルに対してα−置換アクリル酸無水物の量が0.5モルより少ない場合には反応の選択率、目的物の収率共に低下し、3.0モルを超えると反応に関与しないα−置換アクリル酸無水物が増加し、経済的及び廃棄物の増加による環境への負荷の増大の面から好ましくない。
また、反応を促進するために添加剤を添加することができ、これによって反応温度を下げることができる。反応温度が低くなることは、副生成物を抑える上で有効である。使用される添加剤としてはメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等有機スルホン酸類、三フッ化ホウ素、四塩化チタン、四塩化スズ等のルイス酸類の群から選ばれる少なくとも一種の酸が、好適に用いられる。
本反応に使用する添加剤の量は基質の置換ノルボルナニルアルコール1.0gに対して0.00005〜0.1gであり、0.0001〜0.01gが好ましく、0.0005〜0.005gがより好ましい。基質の置換ノルボルナニルアルコール1.0gに対して添加剤の量が0.00005gより少ない場合には反応の転化率、目的物の収率共に低下し、0.1gを超えると反応に関与しない添加剤の量が増加するため経済的に好ましくない。
本反応を実施する際の反応温度は0〜200℃であり、20〜180℃が好ましく、50〜160℃がより好ましい。0℃より低い場合には反応速度が極めて遅く実用的製造法とはならない。また、200℃を超えると原料のα−置換アクリル酸無水物もしくは生成物のα−置換アクリル酸ノルボルナニル類が重合することから好ましくない。
本反応においては無溶媒が好ましいが、溶媒を使用することもできる。使用可能な溶媒の種類に特別な制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族化合物、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒が好ましく、これらは単独で用いても、複数の溶媒を併用しても良い。
本反応に溶媒を使用する場合、使用する溶媒の溶媒量は置換ノルボルナニルアルコ−ル1gに対して0.2〜50gであり、0.5〜20gが好ましく、1.0〜10gがより好ましい。溶媒量が置換ノルボルナニルアルコール1gに対して50gを超えると生産性の観点から経済的に好ましくない。
本発明の反応においてα−置換アクリル酸無水物もしくは生成物のα−置換アクリル酸ノルボルナニル類が重合することを防止することを目的として重合禁止剤を共存させて行っても良い。使用する重合禁止剤は2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、2,5−ビステトラメチルブチルヒドロキノン、ロイコキニザリン、ノンフレックスF(N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン)、ノンフレックスH(N,N’−ジナフチル−p−フェニレンジアミン)、ノンフレックスDCD(4,4'−ビス(α、α'−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン/4,4'ジクミル−ジフェニルアミン)、ノンフレックスMBP(2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、オゾノン35(N−(1−メチルヘプチル)−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン)、フェノチアジン、2−メトキシフェノチアジン、テトラエチルチウラム ジスルフィド、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジン、Q‐1300(N‐ニトロソフェニルヒドロキシルアミン)、Q‐1301(N‐ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)から選ばれる少なくとも一種の化合物が好ましい。
上記の重合禁止剤は市販品であり、容易に入手可能である。本発明に使用する重合禁止剤の量は、原料の置換ノルボナニルアルコール1モルに対して通常、0.000005〜0.1モルであり、0.00001〜0.05モルが好ましく、0.0001〜0.03モルがより好ましい。重合禁止剤の量が原料の置換ノルボナニルアルコール1モルに対して0.1モルを超えても重合を防止する能力に大きな差異はなく、そのため、経済的に好ましくない。
本発明の第二工程の反応を行う反応器は、四フッ化エチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂、ガラスなどを内部にライニングしたもの、グラス容器、もしくはステンレスで製作したものが好ましい。
本反応を実施する方法は限定されるものではないが、望ましい態様としては、。反応条件に耐えられる反応器に溶媒、原料の置換ノルボルナニルアルコール、α-置換アクリル酸無水物及び重合禁止剤を加え、攪拌しながら外部より加熱して反応を進行させる方法が一般的である。サンプリング等により原料の消費をモニタリングし、反応が終了したのを確認し、反応液を冷却する。
副生するα-置換アクリル酸及び生成物のα−置換アクリル酸ノルボルナニル類を中和し、水層に溶解させるに十分な量の水酸化カリウム水溶液及び抽出溶媒を添加し、十分に撹拌する。有機層を分離し、水層に無機酸をpH3になるまで添加し、抽出溶媒により抽出、抽出溶媒を留去することにより、一般式[6]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類を得ることができる。
本反応では原料の置換ノルボルナニルアルコールは異性体混合物を使用することができる。その場合における反応生成物も、対応するα−置換アクリル酸ノルボルナニル類の混合物として得られ、[6a](R2CF 3 SO 2 NHCH 2 −基、R3=H)、及び[6b](R2=H、R3CF 3 SO 2 NHCH 2 −基)で表される2つの位置異性体の混合物として得られる。更に、ノルボルネンのexo、endo異性を考慮すると8種類の異性体の混合物となる。
本発明では、異性体の単離を行わずに、異性体の混合物として、レジスト用のモノマーに供することも可能であるが、より必要性能を高める目的がある場合、単一異性体を用いることが好適に採用される。これらの混合物の中で特定の異性体のみを単離する場合は、カラムクロマトグラフ等の手法を用いることもできる。
特定の異性体を工業的に得る方法として、本発明では得られた異性体混合物を炭化水素系溶媒により再結晶する第三工程を加えることにより、工業的に[6b](R2=H、R3CF 3 SO 2 NHCH 2 −基)を得ることを可能とした。炭化水素系溶媒としては特に限定されないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が好ましく、入手のし易さからヘキサンが特に好ましい。
実際、α−アクリル酸ノルボルネン誘導体を製造工程により得られた[6a](R2CF 3 SO 2 NHCH 2 −基、R3=H)、及び[6b](R2=H、R3CF 3 SO 2 NHCH 2 −基)の異性体混合物にヘキサンを徐々に加え、結晶を析出させた後、濾別、減圧乾燥したところ、位置異性体の片方である[6b]が得られるばかりではなく、立体異性体的にもexo−,exo−体である5−exo−({[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−exo−イル 2−メチルアクリレートが選択的に99.9%の純度で得られた(後述する実施例2参照)。
今回、重合体にしたときの溶解速度の関係で特に有効であると期待できるexo−、exo−体(後述する実施例3参照)が再結晶という比較的容易な方法で高純度で得ることができ、単一の異性体を高分子化合物製造用のモノマーに供することが可能となった。
本発明の共重合体について以下詳細に説明する。
本発明の重合体は、上記一般式[6]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類を重合させて得られ、一般式[7]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類由来の繰り返し単位を有するゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜100,000の重合体である。
Figure 0004960614
式中、R4はメチル基であり、特に水素原子、メチル基が好ましい。
2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。
本発明の共重合体は、(I)上記一般式[7]で表される繰り返し単位と、(II)一般式[8]で表される繰り返し単位と、一般式[9]から一般式[11]で表される少なくとも1つの繰り返し単位とを有するゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜100,000の共重合体である。
Figure 0004960614
式[8]から式[11]において、R5は水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基あるいはヒドロキシメチル基であり、特に水素原子、メチル基が好ましい。
また、式[9]から式[11]において、R6はR5とは独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基であり、式[11]においては特にt−ブチル基が好ましい。nは0又は1の整数、mは1又は2の整数である。
式[]から式[11]の繰り返し単位は、それぞれ共重合体中単独で又は2種以上が存在することができる。
なお、式[8]から式[11]の繰り返し単位は、それぞれ対応するα−置換アクリル酸誘導体の重合性不飽和結合が開裂することで得られる。
本発明の他の共重合体は、(I)上記一般式[7]で表される繰り返し単位と、(III)一般式[12]で表される繰り返し単位とを有するゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜100,000の共重合体である。
Figure 0004960614
式[12]において、R5は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基あるいはヒドロキシメチル基であり、特に水素原子、メチル基が好ましい。
式[12]において、Aは単結合、炭素数1から炭素数10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基又は炭素数4から炭素数20の脂環式炭化水素基、アルキレングリコール基、アルキレンエステル基であり、特に炭素数1から炭素数10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基が好ましい。式[12]の好適な具体例として、以下の一般式[12−1]、[12−2]、[12−3]が挙げられる。
Figure 0004960614
本発明の共重合体は、ポジ型感光性樹脂組成物を形成する場合、一般式[7]で表される繰り返し単位(イ)、及び、一般式[9]、[10]及び[11]の少なくとも一つで表される酸解離性基含有繰り返し単位(ロ)、上記繰り返し単位(イ)及び繰り返し単位(ロ)と式[8]で示される繰り返し単位(ハ)とで構成することが好ましい。
その割合は、全繰り返し単位の合計量に対して、繰り返し単位(イ)が10〜80モル%、好ましくは20〜70モル%;繰り返し単位(ロ)が1〜70モル%、好ましくは3〜60モル%;繰り返し単位(ハ)が0〜60モル%、好ましくは0〜50モル%である。
繰り返し単位(イ)の含有率が、20モル%未満では、レジストとしての現像性が低下する傾向にあり、70モル%を超えると解像度の劣化及びレジスト溶剤への溶解性が低下する傾向にある。繰り返し単位(ロ)の含有率が、1モル%未満では、解像性が低下する傾向にあり、70モル%を超えると解像性が劣化する傾向にあり、また繰り返し単位(ハ)の含有率が60モル%を超えると現像性が低下する傾向にある。
本発明の共重合体は、ネガ型感光性樹脂組成物を形成する場合、一般式[7]で表される繰り返し単位(イ)と、式[12]で表される繰り返し単位(ニ)とを含む構成であることが好ましい。
その割合は、全繰り返し単位に対して、繰り返し単位(イ)が10〜80モル%、好ましくは20〜70モル%;繰り返し単位(ニ)が20〜90モル%、好ましくは30〜80モル%である。
繰り返し単位(イ)の含有率が10モル%未満では、現像液に対する溶解性が劣化する傾向にあり、80モル%を超えると放射線照射部の溶解性が高すぎ解像劣化及び膨潤する傾向にある。繰り返し単位(ニ)の含有率が、20モル%未満では、放射線照射部の架橋度が足りなく解像性が劣化する傾向にあり、繰り返し単位(ニ)の含有率が90モル%を超えると現像性が低下すると共に、放射線照射部が膨潤する傾向にある。
本発明の重合体、共重合体は、例えば、その各繰り返し単位に対応する重合性不飽和単量体を、ヒドロパーオキシド類、ジアルキルパーオキシド類、ジアシルパーオキシド類、アゾ化合物等のラジカル重合開始剤を使用し、必要に応じて連鎖移動剤の存在下、適当な溶媒中で重合することにより製造することができる。
上記重合に使用される溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーエル類等を挙げることができる。
これらの溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
また、上記重合における反応温度は、通常、40〜120℃、好ましくは50〜90℃であり、反応時間は、通常、1〜48時間、好ましくは1〜24時間である。
本発明の重合体、共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、1,000〜100,000、好ましくは2,000〜70,000、更に好ましくは2,000〜20,000である。この場合、重合体のMwが1,000未満では、レジストとしたときの耐熱性が低下する傾向があり、一方100,000を超えると、レジストとしたときの現像性が低下する。
また、本発明の重合体、共重合体のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常、1〜5、好ましくは1〜3である。
なお、本発明の重合体、共重合体は、ハロゲン、金属等の不純物が少ないほど好ましく、それにより、レジストとしたときの感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等を更に改善することができる。本発明の重合体の精製法としては、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外濾過、遠心分離等の物理的精製法との組み合わせ等を挙げることができる。
本発明の重合体、共重合体は、特に、ArFエキシマレーザー等の遠紫外線の如き放射線による微細加工に使用される化学増幅型レジストとして有用な感放射線性樹脂組成物の樹脂成分として極めて好適に使用することができる。
本発明の重合体、共重合体を放射線の照射により酸を発生する成分である酸発生剤と組み合わせることによりポジ型感放射線性樹脂組成物が得られ、また、更に架橋剤と組み合わせることによりネガ型感放射線性樹脂組成物が得られる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが本発明はこれらの実施態様に限られない。ここで、組成分析値の「%」とは、反応混合物の一部を採取してガスクロマトグラフィによって測定して得られた、溶媒成分を除く有機成分の「面積%」を表す。
また、本発明の重合体、共重合体の各測定・評価は、下記の要領で行った。
(1)各重合体のモノマー含有率及びMw
日本電子(株)製「JNM−EX270」を用いた12C−NMR分析で、測定溶媒としてCDCL3を使用して実施した。また、Mwは東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
(2)溶解速度(以下DRとする)
リソテックジャパン社(株)製RDA-808RBを用い、通常のフォトレジスト工程で使用するテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(2.38%)のアルカリ現像液を用いて測定した。
(3)ドライエッチング耐性
供試試料溶液をシリコーンウエハー上にスピンコートにより塗布し、乾燥して形成した膜厚500nmのレジスト被膜に対して、PMT社製ドライエッチング装置(Pinnacle8000)を用い、エッチングガスをCF4とし、ガス流量75sccm、圧力2.5mTorr、出力2,500Wの条件でドライエッチングを行って、エッチング速度を測定し、比較例1に使用される樹脂からなる被膜のエッチング速度に対する相対値により、相対エッチング速度を評価した。エッチング速度が小さいほど、ドライエッチング耐性に優れることを意味する。
実施例1
撹拌装置及び還流冷却器をつけた500mlの三つ口フラスコにギ酸を205g(4.45モル)、N−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメチル)1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミドを113.6g(0.445モル)を入れ、130℃にて加熱撹拌した。
4時間後、組成をガスクロマトグラフィにより測定したところ、N−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメチル)1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミドの反応転化率は、98%であった。反応液を冷却後、227mlの水で2回洗浄し、粗の5−({[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル ホルメート120gを得た。これを撹拌装置及び還流冷却器をつけた500mlの三つ口フラスコに移し、水240ml、水酸化カリウム89.3g(1.6モル)、イソプロピルエーテル120gを入れ、80℃にて加熱撹拌した。
1時間後、組成をガスクロマトグラフィにより測定したところ、5−({[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル ホルメートの反応転化率は、99%以上であった。
反応液を冷却後、有機層を二層分離し、得られた水層に5%塩酸水をpH3に達するまで加えた。分液ロートに移し、イソプロピルエーテル120gを加え、抽出した。
得られた有機層からイソプロピルエーテルを留去し、目的物である1,1,1−トリフルオロ−N−[(5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)メチル]メタンスルホンアミド105gを得た。
ガスクロマトグラフィにより組成を調べたところ、1,1,1−トリフルオロ−N−[(5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)メチル]メタンスルホンアミドの純度は99.5%(1,1,1−トリフルオロ−N−[(5−exo−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト―2−exo−イル)メチル]メタンスルホンアミド 80.0%、その他異性体19.5%であった。収率は、85.9%であった。
NMR分析結果を以下に示す。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準物質:TMS);δ1.02 (ddd, J = 4.8,4.8,13.2, 1H), 1.24 (dddd, J = 1.3, 1.3, 1.3, 10.6 , 1H), 1.31 (dd, J = 2.6, 8.7, 1H), 1.36 (ddd, J = 2.6, 4.1, 13.2, 1H), 1.52 (dd, J =4.8, 8.7, 1H), 1.56 (dd, J =3.0, 10.5, 1H), 1.67 (dd, J =6.4, 13.2, 1H), 2.14 (d, J =4.1, 1H), 2.18 (d, J =4.5, 1H), 3.04(m, 1H), 3.07(m, 1H), 3.78 (dd, J =2.6, 6.4, 1H), 5.23(m, 1H), 7.95 (s, 1H)
19F−NMR(溶媒:CDCl3、基準物質:CCl3F);δ-77.7(s, 3F)
実施例2
撹拌装置及び還流冷却器をつけた500mlの三つ口フラスコにメタクリル酸無水物を78.7g(0.42モル)、メタンスルホン酸を0.10g(1.0ミリモル)、1,1,1−トリフルオロ−N−[(5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)メチル]メタンスルホンアミドを105g(0.39モル)、ノンフレックスMBPを0.05g入れ、80℃で加熱撹拌した。
3時間後、組成をガスクロマトグラフィにより測定したところ、1,1,1−トリフルオロ−N−[(5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)メチル]メタンスルホンアミドの反応転化率は、99%以上であった。反応液を冷却後、水酸化カリウム50g(0.9モル)と水200mlからなる溶液を加え、良く撹拌した後、イソプロピルエーテル150gを加え、二層分離した。得られた水層に5%塩酸水をpH3に達するまで加えた。分液ロートに移し、イソプロピルエーテル150gを加え、抽出した。
得られた有機層からイソプロピルエーテルを留去し、5−({[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル 2−メチルアクリレートと6−({[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル 2−メチルアクリレートの混合物を得た。
この混合物にヘキサンを徐々に加え、結晶を析出させ、濾別後、減圧乾燥すると53.3gの結晶を得た。NMR及びガスクロマトグラフィにより組成を調べたところ、純度99.9%の5−exo−({[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−exo−イル 2−メチルアクリレートであった。収率は、40%であった。
NMR分析結果を以下に示す。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準物質:TMS);δ0.57 (ddd, J = 2.2, 4.6, 13.2, 1H), 0.85 (ddd, J = 1.2, 2.4, 10.6, 1H), 0.96 (ddd, J = 2.2, 8.5,13.2, 1H), 1.08 (m, 1H), 1.25 (m, 1H), 1.28 (ddd, J = 1.2, 3.0, 3.9,, 1H), 1.46 (ddd, J = 1.2, 2.4, 7.1, 1H), 1.72 (m, 1H), 1.80 (dd, J = 1.5, 1.7, 3H), 2.09 (m, 1H), 2.50 (dd, J = 7.2, 13.2, 1H), 2.62 (m, 1H), 4.53 (ddd, J = 1.2, 3.0, 7.1, 1H), 5.11 (dd, J = 5.3, 5.6, 1H), 5.22 (dd, J = 1.7, 1.7, 1H), 6.07 (dd, J = 1.5, 1.7, 1H)
19F−NMR(溶媒:CDCl3、基準物質:CCl3F);δ-77.8 (s, 3F)
実施例3〜6、比較例1
実施例2で得られた5−({[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル 2−メチルアクリレートと6−({[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル 2−メチルアクリレートの混合物モノマー(以下M−1とする)、及び単一異性体として取り出した5−exo−({[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−exo−イル 2−メチルアクリレート(以下M−2とする)を単一モノマーとして、次の重合反応を行った。用いたモノマーを以下に示す。なお、実施例3及び実施例4は参考例である。
Figure 0004960614
上記モノマー[M−1]〜モノマー[M−4]を表1に示す仕込みモル比率で合計量が30gとなるように混合し、60gの2−ブタノンに溶解させ、更にこれに2,2−アゾビスイソブチロニトリル1.46gを加えて溶解した溶液を10分窒素パージし、滴下漏斗に入れて準備する。500mlの三口フラスコへ60gの2−ブタノンを入れ、10分窒素パージする。窒素パージの後、三口フラスコ内をマグネチックスターラーにて攪拌しながらオイルバスに浸して80℃に保持し、滴下漏斗に入れて準備した溶液を3時間かけて滴下し、更に3時間加熱した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、1000gのn−ヘプタンへ投入し、析出した白色粉末を濾別する。濾別された白色粉末を100gの2−ブタノンに溶解させ1000gのn−ヘプタンへ投入、濾別回収する作業を3回繰り返して洗浄した後、濾別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体、共重合体を得た。重合結果及び重合体、共重合体の特性を表1に示す。
Figure 0004960614
表1に示すように、モノマー(M−1)、(M−2)双方共に酸性アミド基の効果である溶解速度は得られるが、単一モノマー(M−2)にした場合、より高い溶解効果が発現する。また、モノマー(M−1)、(M−2)双方共にモノマー(M−4)に対して高いドライエッチング耐性を有する。
実施例7〜12、比較例2〜3
下記[M−2]、[M−5]〜[M−9]を表2に示す仕込みモル比率で合計量が30gとなるように混合し、60gの2−ブタノンに溶解させ、更にこれに2,2−アゾビスイソブチロニトリル1.46gを加えて溶解した溶液を10分窒素パージし、滴下漏斗に入れて準備する。500mLの三口フラスコへ60gの2−ブタノンを入れ、10分窒素パージする。窒素パージの後、三口フラスコ内をマグネチックスターラーにて攪拌しながらオイルバスに浸して80℃に保持し、滴下漏斗に入れて準備した溶液を3時間かけて滴下し、更に3時間加熱した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、1000gのn−ヘプタンへ投入し、析出した白色粉末を濾別する。濾別された白色粉末を100gの2−ブタノンに溶解させ1000gのn−ヘプタンへ投入、濾別回収する作業を3回繰り返して洗浄した後、濾別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の共重合体を得た。重合結果を表2に示す。
Figure 0004960614
Figure 0004960614
新規なα−置換アクリル酸ノルボルナニル類を重合させることにより得られる含フッ素重合体、共重合体は、紫外線領域から近赤外線領域に至るまでの幅広い波長領域で高い透明性を有し、かつ基板への高い密着性及び成膜性、高いエッチング耐性を併せ持ったレジスト材料となることが期待される。また、本発明の含フッ素高分子化合物は、好適な半導体デバイス用パッケージ材料として期待される。

Claims (7)

  1. 一般式[4]
    Figure 0004960614
    [式中、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表される置換ノルボルナニルアルコール。
  2. 一般式[1]
    Figure 0004960614
    [式中、R1は、水素原子、メチル基、エチル基、又は炭素数1から炭素数4のパーフルオロアルキル基を表す。]で表される低級カルボン酸を、一般式[2]
    Figure 0004960614
    [式中、R2、R3のうち、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、であり、残りが水素原子である。]で表される置換ノルボルネンと反応させて、一般式[3]
    Figure 0004960614
    [式中、R1は一般式[1]のR1と同じで、R2、R3は一般式[2]のR2、R3と同じ]で表される置換ノルボルナニル類を得て、これを加水分解することを特徴とする、一般式[4]
    Figure 0004960614
    [式中、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表される置換ノルボルナニルアルコールの製造方法。
  3. 次の二工程によりなる、一般式[6]
    Figure 0004960614
    [式中、R4はメチル基であり、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類の製造方法。
    第一工程:一般式[1]
    Figure 0004960614
    [式中、R1は、水素原子、メチル基、エチル基、又は炭素数1から炭素数4のパーフルオロアルキル基を表す。]で表される低級カルボン酸を、一般式[2]
    Figure 0004960614
    [式中、R2、R3のうち、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表される置換ノルボルネンと反応させて、一般式[3]
    Figure 0004960614
    [式中、R1は、水素原子、メチル基、エチル基、又は炭素数1から炭素数4のパーフルオロアルキル基を表し、R2、R3のうち、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表される置換ノルボルネン類を得て、これを加水分解により一般式[4]
    Figure 0004960614
    [式中、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表される置換ノルボルナニルアルコールを製造する工程。
    第二工程:一般式[5]
    Figure 0004960614
    [式中、R4はメチル基である。]で表されるα−置換アクリル酸無水物を、上記第一工程で得られた一般式[4]
    Figure 0004960614
    [式中、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表される置換ノルボルナニルアルコールと反応させることを特徴とする、一般式[6]
    Figure 0004960614
    [式中、R4はメチル基であり、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類を製造する工程。
  4. 第二工程を有機スルホン酸及び/又はルイス酸よりなる添加剤の存在下にて行うことを特徴とする請求項記載のα−置換アクリル酸ノルボルナニル類の製造方法
  5. 請求項の製造工程後に、更に炭化水素系溶媒で再結晶する第三工程を行うことを特徴とするα−置換アクリル酸ノルボルナニル類の製造方法。
  6. (I)一般式[7]
    Figure 0004960614
    [式中、R4はメチル基であり、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類由来の繰り返し単位と、
    (II)一般式[8]で表される繰り返し単位と、一般式[9]から一般式[11]
    Figure 0004960614
    [式[8]から式[11]において、R5は水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基あるいはヒドロキシメチル基を表し、式[9]から式[11]において、R6はR5とは独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基を表し、nは0〜1の整数を、mは1〜2の整数をそれぞれ表す。]で表される少なくとも1つの繰り返し単位とを有するゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜100,000である共重合体。
  7. (I)一般式[7]
    Figure 0004960614
    [式中、R4はメチル基であり、R2、R3は、いずれか一つがCF 3 SO 2 NHCH 2 −基であり、残りが水素原子である。]で表されるα−置換アクリル酸ノルボルナニル類由来の繰り返し単位と、
    (III)一般式[12]
    Figure 0004960614
    [式[12]において、R5は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基あるいはヒドロキシメチル基を表し、Aは単結合、炭素数1から炭素数10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基又は炭素数4から炭素数20の脂環式炭化水素基、アルキレングリコール基、アルキレンエステル基を表す。]で表される繰り返し単位とを有するゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜100,000である共重合体。
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