JP4943132B2 - AlN系III族窒化物エピタキシャル膜の転位低減方法 - Google Patents

AlN系III族窒化物エピタキシャル膜の転位低減方法 Download PDF

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Description

本発明は、III族窒化物結晶の結晶品質を改善する技術、特に、転位を低減させる技術に関する。
III族窒化物結晶は、フォトニックデバイス及び電子デバイスなどの半導体素子を構成する材料として用いられており、近年においては、携帯電話などに用いられる高速ICチップなどを構成する半導体材料としても注目を浴びている。特に、AlN膜はフィ−ルドエミッタへの応用材料として注目されている。
こうしたデバイス応用のためには、III族窒化物結晶は自立した状態で供されることが理想的である。しかし、現状のところ、結晶品質や製造コストなどの問題から、所定の単結晶基材の上に、III族窒化物結晶をせいぜい10μm程度に(熱膨張率差に起因したそりの生じない程度に)エピタキシャル形成した、いわゆるエピタキシャル基板として供給される態様が一般的である。その形成方法としては、一般にMOCVD法(有機金属化学的気相成長法)、MBE法(分子線エピタキシ−法)といった薄膜形成方法が用いられる。
ただし、このような構成を有するエピタキシャル基板においては、基材とIII族窒化物結晶との間に格子定数に差があり、係る格子ミスマッチに起因した転位が両者の界面にて発生する。係る転位は、デバイス機能層であるIII族窒化物膜に貫通し、そのほとんどが表面にまで伝搬する。良好なデバイス特性の実現のためには、このデバイス機能層にまで伝搬する転位を、できるだけ抑制することが必要となる。
係る基材とIII族窒化物結晶との間の格子ミスマッチに起因した結晶品質の改善方法として、ELO法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。これは、転位密度の低減に、マスク等を用いた選択横方向成長技術を利用するものである。
また、上記III族窒化物結晶がAlNからなる場合、選択成長が期待できないため、基材加工を行うことによるELO法を用いた低転位化(例えば、特許文献1参照)や、サファイア基板を直接に窒化することによる低転位AlNの形成方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらには、基材から分離された状態の自立したGaN基板に対して熱処理を施すことにより、転位密度を低減する方法も公知である(例えば、特許文献3参照)。加えて、基板上にAlNバッファ層を形成し、アンモニアと水素の混合雰囲気下でアニールすることにより格子不整合に起因する歪を緩和し、その上に形成するAlGaN層やGaN層のひび割れを防ぐ技術も公知である(例えば、特許文献4参照)。
酒井 朗,碓井 彰,「GaN選択横方向成長による転位密度の低減」,「応用物理」,応用物理学会,第68巻,第7号,P.774〜779 (1999) 特許3455512号公報 特開2004−137142号公報 特開2003−277195号公報 特開平9−64477号公報
機能デバイスとして作用させるべくIII族窒化物結晶を基材上に形成する際、該機能デバイスの性能を向上させるためには、転位密度をでき得る限り小さく抑えることが必要である。転位密度を小さくすることにより、例えば、不純物の取り込みの抑制、キャリア密度の向上が可能となり、発光デバイスであれば発光効率の向上が、受光デバイスであれば暗電流の低減が、さらには、電子デバイスであれば移動度の向上を見込むことができる。
本発明の発明者は、鋭意に実験・検討を行った結果、基材上にエピタキシャル形成されたAlN系III族窒化物結晶の転位低減に関する新たな知見を得た。
本発明は係る知見に基づくものであり、基材上にエピタキシャル形成されたAlN系III族窒化物結晶の転位の低減を容易に実現する方法を提供することを目的とする。なお、係る方法を提供することは、その上に、より転位の少ないIII族窒化物結晶を結晶成長させることが出来るエピタキシャル基板を提供することでもある。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、所定の酸化物単結晶基板上にAlN系III族窒化物にて形成されてなるエピタキシャル膜の転位を低減する方法であって、加熱によって前記酸化物単結晶基板から前記エピタキシャル膜中に向けて酸素原子を拡散させる拡散処理工程、を備えることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1に記載の転位低減方法であって、前記拡散処理工程においては、前記エピタキシャル膜の酸化物単結晶基板との界面からの距離が0.5μm以下の領域における酸素原子濃度が1×10 20 /cm 3 以上となるように加熱を行う、ことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1または請求項に記載の転位低減方法であって、前記拡散処理工程においては、前記酸化物単結晶基板からの前記酸素原子の拡散に加えて、さらに、前記エピタキシャル膜の外部に酸素元素含有ガスが添加された窒素元素含有ガス雰囲気を形成し、前記酸素元素含有ガス中の酸素原子を前記エピタキシャル膜中に拡散させる、ことを特徴とする。
請求項の発明は、所定の基板上にAlN系III族窒化物にて形成されてなるエピタキシャル膜の転位を低減する方法であって、加熱によって前記酸化物単結晶基板から酸素原子を供給することにより、前記エピタキシャル膜における前記酸素不純物の総量を増加させつつ前記エピタキシャル膜中における酸素不純物の分布の均一性を高める均一化処理工程、を備えることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項に記載の転位低減方法であって、前記均一化処理工程においては、前記エピタキシャル膜の酸化物単結晶基板との界面からの距離が0.5μm以下の領域における酸素原子濃度が1×1020/cm3以上となるように加熱を行う、ことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項4または請求項に記載の転位低減方法であって、前記均一化処理工程においては、前記酸化物単結晶基板からの前記酸素原子の供給に加えて、さらに、前記エピタキシャル膜の外部に酸素元素含有ガスが添加された窒素元素含有ガス雰囲気を形成することによって前記酸素原子を供給する、ことを特徴とする。
請求項の発明は、所定の基板上にAlN系III族窒化物にて形成されてなるエピタキシャル膜の転位を低減する方法であって、前記エピタキシャル膜中に存在する、前記酸化物単結晶基板との界面側から表面側へ向かうほど酸素不純物の濃度が小さくなる濃度勾配を、加熱によって前記酸化物単結晶基板から酸素原子を供給することにより前記エピタキシャル膜における前記酸素不純物の総量を増加させつつ緩和する濃度勾配緩和処理工程、を備えることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項に記載の転位低減方法であって、前記濃度勾配緩和処理工程においては、前記エピタキシャル膜の酸化物単結晶基板との界面からの距離が0.5μm以下の領域における酸素原子濃度が1×1020/cm3以上となるように加熱を行う、ことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項7または請求項に記載の転位低減方法であって、前記濃度勾配緩和処理工程においては、前記酸化物単結晶基板からの前記酸素原子の供給に加えて、さらに、前記エピタキシャル膜の外部に酸素元素含有ガスが添加された窒素元素含有ガス雰囲気を形成することによって前記酸素元素含有ガスからも前記酸素原子を供給する、ことを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項、請求項または請求項のいずれかに記載の転位低減方法であって、前記エピタキシャル膜の表面側からの距離が0.5μm以下の領域における酸素原子濃度が1×1020/cm3以上となるように加熱を行う、ことを特徴とする。
請求項1ないし請求項10の発明によれば、成膜プロセスとは別個の処理として酸素原子の移動を生じさせる処理を行うことで、転位の移動を生じさせてその合体消失による転位の消失を促すことができる。これにより、所定の基板上に上部層としてすでに形成されているIII族窒化物結晶のエピタキシャル膜における転位の低減を、成膜プロセスに依存することなく実現できる。係る方法による転位低減処理が施されたエピタキシャル基板を下地基板に用いて結晶成長を行うことにより、より転位の少ないIII族窒化物結晶を得ることが出来る。
特に、請求項ないし請求項の発明によれば、酸素原子の濃度が小さい領域に酸素原子が移動することに伴って転位が移動するので、その合体消失による転位の消失を促すことができる。
また、請求項、請求項、請求項、および請求項10の発明によれば、III族窒化物結晶のエピタキシャル膜の表面側における酸素原子の移動を効果的に生じさせることができるので、該表面側における転位の消失を効果的に促すことができる。
<第1の実施の形態>
III族窒化物半導体材料を用いた半導体素子は、その機能層である半導体素子層をエピタキシャル基板の上にエピタキシャル形成させることによって得られるが、結晶品質を向上させるためには、下地基板であるエピタキシャル基板を高品質化させることが有効である。以下に説明する、本発明の実施の形態に係る転位低減方法は、係るエピタキシャル基板の高品質化を実現するための方法である。具体的には、エピタキシャル基板の転位密度を低減することにより、半導体素子層にまで貫通して残存する転位密度を低減できるという効果を有している。
図1は、本発明の実施の形態に係る転位低減方法の適用対象であるIII族窒化物結晶を上部層2として含む、エピタキシャル基板10の断面模式図である。なお、図示の都合上、図1の図面における各層の厚みの比率および縦横の比率は、実際の比率を反映したものではない。
上部層2は、所定の酸化物単結晶材料からなる基材1の上に形成されてなる。上部層2は、例えばMOCVD法、MBE法、HVPE法(ハイドライドを用いた気相エピタキシャル成長法)、スパッタ法などの公知の成膜手法によって形成された、III族窒化物結晶からなるエピタキシャル膜である。MOCVD法には、PALE法(パルス原子層エピタキシ法;Pulsed Atomic Layer Epitaxy)、プラズマアシスト法やレーザーアシスト法などが併用できる。MBE法に関しても、同様の技術を併用可能である。MOCVD法あるいはMBE法といった成長方法は、製造条件を高精度に制御することができるので、高品質な結晶を成長させることに適している。一方、HVPE法は、原料を一時に多量に供給できるため、短時間で厚膜を成長させることに適している。上部層2を形成する際に、これらの方法を組み合わせて形成することも可能である。
上部層2は、一般的には1×109/cm2程度ないしはそれ以上の転位を含んでいる。III族窒化物結晶においては、らせん転位および刃状転位という二種類の転位が存在しうるが、上部層2においては刃状転位が主に存在する。III族窒化物結晶とは、BxAlyGazIn1-x-y-zN(x,y,z≧0)の組成で表され、ウルツ鉱構造あるいは閃亜鉛鉱構造を有する結晶をいう。上部層2の厚みは、特に限定されるものではなく、最終的に利用されるデバイス構造あるいは使用形態に最適な膜厚を選択する。例えば、数nm〜数mm程度の膜厚が想定される。また、上部層2の組成は、平均組成を示しており、必ずしも組
成を全て均一である必要はなく、例えば、傾斜組成にしたり、異なる組成の応力緩和層を挿入したりすることも可能である。また、上部層2の表面に、AlN系III族窒化物以外の材料、例えば、AlN系III族窒化物以外のIII族窒化物、窒化珪素、酸化アルミなどからなる薄膜層が、意図的であるないにも関わらず存在していてもよい。このような薄膜層には、上部層2の上にIII族窒化物結晶などを再成長させる際にバッファ層としての効果が期待できる。ただし、この場合、薄膜層は、本発明の効果を妨げない程度に薄いことが望ましい。
また、上部層2内には、上部層2を形成する際に不可避的に含まれてしまうH、C、O、Si、遷移金属等の不純物が存在する。その他、導電率制御のために意図的に導入される、Si、Ge、Be、Mg、Zn、Cdといった不純物を含むこともできる。
基材1は、所定の酸化物単結晶から、その上に形成する上部層2の組成や構造、あるいはさらにその上に形成される層を含む各層の形成手法に応じて適宜に選択される。例えば、SiC(炭化ケイ素)やサファイアの単結晶基板を用いることができる。あるいは、ZnO、LiAlO2、LiGaO2、MgAl24、(LaSr)(AlTa)O3、NdGaO3、MgOといった各種酸化物材料、Si、Geといった各種IV族単結晶、SiGeといった各種IV−IV族化合物、GaAs、AlN、GaN、AlGaNといった各種III−V族化合物およびZrB2といった各種ホウ化物の単結晶から適宜選択して用いてもよい。このうち、(0001)面を主面とするIII族窒化物結晶を上部層2として得る場合には、例えば(0001)面SiCあるいは(11−20)面及び(0001)面サファイアを基材1として用いることができる。また、(11−20)面を主面とするIII族窒化物結晶を上部層2として得る場合には、例えば(11−20)面SiC(10−12)面サファイアを基材1として用いることができる。基材1の厚みには特段の材質上の制限はないが、取り扱いの便宜上、数百μm〜数mmの厚みのものが好適である。
図2は、(0001)面サファイアを基材1とし、MOCVD法によって形成温度1200℃で、上部層2として(0001)面AlN層を膜厚1μmで形成してなるエピタキシャル基板10についての断面TEM像(明視野像)を例示する図である。以降、係るエピタキシャル基板を特に、処理前基板と称することがある。
図2においては、上部層2であるAlN中に、基材1であるサファイアとの界面近傍から略垂直に成長した直線状の転位が存在する様子が観察される。係る転位は、界面近傍で最も密であり、表面近傍では界面近傍よりも少ない。なお、平面TEMにおいて評価した、この処理前基板の上部層2の表面における転位密度は、2×1010/cm2であるので、界面近傍においては、さらに大きな転位密度で転位が存在していることになる。
図3は、係る処理前基板の断面方向(深さ方向)における、Si、C、およびOの各原子の濃度分布(単位体積あたりの原子数)の一例を示す図である。係る濃度分布は、SIMS(2次イオン質量分析計:Secondary Ion Mass Spectrometer)により得られる。ここで、Si、C、およびOの各原子は、いずれも上部層2にとってはその構成元素以外という意味では不純物である。なお、O原子に関しては、成長中の上部層2への混入はAl原料の酸化を促進し、上部層2の結晶品質を劣化させるため、出来る限りその混入を抑制する方が望ましいと、一般的には考えられている。
図3によると、Si原子およびC原子については上部層2の位置によらずおおよそ均一に分布しているのに対して、O原子については、サファイアとの界面寄りの範囲である、界面近傍から表面に向けての約0.5μm程度の範囲に偏在しており、表面近傍においては、界面近傍のおおよそ1/100程度しか存在していないことがわかる。
別の見方をすれば、転位が多く存在しているところでO原子が多く存在しているともいえる。このように、酸化物単結晶である基材1上に上部層2を形成してなるエピタキシャル基板10の該上部層2においては、転位が多く存在する界面近傍領域でO原子の濃度が大きいということ、つまりは、上部層2において転位の多少と対応するようにO原子の濃度勾配が存在するということに関しては、例示した図2および図3の場合のほかにも、本発明の発明者によって確認されている。
本実施の形態においては、このような処理前基板に対して、転位の低減を目的として加熱処理を施す。図6は、係る加熱処理に用いる処理装置の一例としての熱処理炉100を示す図である。熱処理炉100は、カーボン製の炉体101の中に、図示しない治具によって1または複数のエピタキシャル基板10を保持可能とされてなる(図6では4つのエピタキシャル基板10が保持されている場合を例示)。また、窒素ガス供給源102から供給される窒素ガスを、供給管105を通じて炉体101の内部へと供給するようになっている。また、炉体101には排気口106が設けられてなる。なお、炉体101の内部は、図示しない加熱手段によって加熱されるようになっている。例えば、抵抗加熱法、RF加熱法、ランプ加熱法などを用いることができる。窒素ガスを供給しつつ炉体101の内部を加熱することで、エピタキシャル基板10が加熱処理されることになる。
一方、図4は、処理前基板と同じ条件で作製したエピタキシャル基板10に対し、1650℃で2時間の加熱処理を施した後の断面TEM像(明視野像)を例示する図である。以降、係るエピタキシャル基板を特に、処理後基板と称することがある。
図4においては、上部層2であるAlN中に、曲線状の転位が存在する様子が観察される。処理前基板と比べると、全体的にその分布は疎であり、界面近傍に偏在しているわけでもない。ゆえに、上部層2のどの部分においても、処理後基板の方が処理前基板よりも転位が少ないといえる。なお、平面TEMにおいて評価した、この処理後基板の上部層2の表面における転位密度は、9×108/cm2であるので、界面近傍においても、おおよそ同程度の転位密度であると考えられる。
このような、加熱処理の前後における転位の様子の違いを鑑みると、加熱処理に伴って転位の移動が生じ、その結果、合体消失が起こって転位が低減したものと解される。すなわち、エピタキシャル基板10に対しこのような加熱処理を施すことで、上部層2における転位がおおよそ1/10以下にまで低減されていることになる。
図5は、SIMSにより得られた、処理後基板についてのSi原子、C原子、およびO原子の濃度分布の一例を示す図である。図5からは、処理前基板においてO原子が偏在する範囲よりも広い範囲である、界面近傍から表面に向けての約0.8〜0.9μm程度の範囲において、O原子がほぼ一様に、かつ、処理前基板よりも高い濃度で存在していることが確認される。すなわち、処理後基板では処理前基板よりも濃度勾配が緩和されており、処理前基板ではO原子の濃度が小さかった領域における、O原子の濃度が高くなっていることが確認される。これはすなわち、加熱処理によってO原子の移動が生じていることを意味している。
なお、このように、酸化物単結晶である基材1上に上部層2を形成してなるエピタキシャル基板10に対して所定の条件で加熱処理を施した場合に、その上部層2においては処理を施す前に比して転位が低減しており、かつ、O原子が処理前よりも高い濃度でほぼ一様に分布していること、つまりは偏在が解消してO原子の分布が均一化されているということに関しては、例示した図4および図5の場合のほかにも、本発明の発明者によって確認されている。
具体的には、基材1との界面からの距離が0.5μm以下の領域におけるO原子濃度が1×1020/cm3以上となるように加熱処理を行った場合、上部層2の転位密度が1×109/cm2以下となることが(少なくとも、107/cm2のオーダーにまでは減少することが)確認されている。もちろん、転位低減の効果が得られるのは、O原子濃度がそのような分布である場合に限られるものではなく、分布態様に応じた効果を得ることができる。また、上部層2の総膜厚が0.5μm以下の場合は、全ての膜厚領域で、O原子濃度が1×1020/cm3以上となるように加熱処理を行うことで、同様の転位低減の効果を得ることが出来る。なお、本発明により達成することができる転位密度の下限は、原理的には特に限定されるものではない。ただし、転位を完全に消滅させる(転位密度が0になる)ことは、熱平衡状態からは想到されないため実現は難しい。
なお、エピタキシャル基板10を紫外域での透過性が重要となる受発光素子に用いる場合には、O原子濃度が1×1021/cm3以上とならないことが望ましく、このような濃度の領域が存在したとしても、存在する領域の合計膜厚が0.1μm以下の範囲に留まっていることが望ましい。
加熱処理後の上部層2においてO原子が処理前よりも高い濃度で均一に分布しているということは、係る加熱処理によって、基材1側から上部層2の表面側へ向けてO原子の拡散が生じていることを意味している。つまり、係る加熱処理は、上部層2の内部におけるO原子の分布を均一化させる処理(以降、これを「均一化処理」と称する)の一態様であることを意味している。あるいは、O原子の濃度勾配を緩和する処理(濃度勾配緩和処理)の一態様であるともいえる。すなわち、この効果は、上部層2において基材1との界面近傍の方が、表面部分よりもO原子が高濃度に存在する場合に引き起こされるものといえ
る。なお、界面部においては、1×1019/cm3以上のO原子が存在していることが望ましい。なお、図2ないし図5に例示した場合においては、上部層2の内部でO原子の総量の増加も起こっているので、O原子を上部層2の外部から供給することで、均一化あるいは濃度勾配緩和をより促進しているともいえる。
加熱処理によるO原子の分布の変化を鑑みると、均一化処理によるO原子の移動が、転位の移動による合体消失を引き起こしているものと解される。
なお、均一化処理としての加熱処理を行う場合、O原子の拡散は加熱温度が高いほど促進される。その一方で、基材1として用いる材料が、係る熱処理の温度帯で分解、融解しないこと、あるいは、上部層2を形成するIII族窒化物結晶と強く反応しないことが要求される。加熱処理中に基材1の結晶配列に乱れが生じるのを回避する必要があるからである。従って、加熱処理の際、基材1と上部層2との界面において両者の反応生成物が顕著に形成されないように、加熱温度が設定されることが望ましい。反応生成物が顕著に形成されないとは、具体的には、加熱処理後の両者の界面に反応生成物が全く存在しないか、あるいは存在したとしてもその厚みがせいぜい上部層2の膜厚の1/10以下であることを意味する。この膜厚を超えると、反応生成物の存在により、上部層2の表面平坦性が損なわれる可能性があるからである。
従って、均一化処理としての加熱処理は、基材1の融点を超えない温度範囲で、あるいは、基材1と上部層2との反応生成物の生成が顕著に起こらない温度範囲つまりは過度な反応による上部層2の結晶品質の劣化が生じない温度範囲で行うことが望ましい。
ただし、加熱処理により基材1と上部層2との界面において全体的にあるいは局所的に極薄の反応生成物が生成されることは、本発明からは除外されない。転位の低減等のためのバッファ層的な役割を果たすなど、こうした極薄の反応生成物が存在した方がむしろ好ましい場合もある。係る観点からは、融点の高いサファイアやMgOが、基材1の材料として望ましい。これらサファイアやMgOは、基材1の側からの酸素の拡散を生じさせるという観点からも望ましいといえる。
例えば、基材1としてサファイアを用い、上部層2をAlを含むIII族窒化物にて形成する場合には、両者の界面にγ−ALONが顕著に形成されない温度範囲で加熱処理を行うことが好ましい。γ−ALONが顕著に形成されてしまうと、上部層2の表面粗さが大きくなり、デバイス応用が困難となってしまうからである。
一方、加熱処理の温度の下限については、一般に、MOCVD法などで上部層2を形成
する際の基板自体の温度は1250℃以下であることを鑑みると、それ以上の温度で加熱を行うことが望ましい。ここで、1250℃以下としているのは、原子ステップが明瞭に観察出来る程度に平坦な上部層2を得ることが、加熱機構の構成上、大きな負荷無く実現できるからである。ただし、MOCVD法による形成温度は1250℃以下に限定されるものではなく、それ以上の温度で形成するものであってもよい。Alを主成分とするIII族窒化物、特にAlNの場合、MOCVD法による形成温度を1250℃以上に高くする
ことが想定される。もちろん、1250℃以上の基板温度で成膜した場合においても、均一化処理として上記形成温度以上の温度で加熱処理を行うことにより、転位低減の効果は得られる。
なお、1600℃以上の加熱であれば、上部層2の表面におけるピットの解消と平坦性の向上という効果が、上部層2の厚みが0.005μm程度ないしそれ以上の比較的薄い場合であっても、併せて得られることが確認されている。上部層2の膜厚がある程度大きい場合、例えば0.5μm程度ないしはそれ以上の場合は、1250℃以上の加熱であれば上部層2の表面におけるピットの解消が実現でき、1500℃以上の加熱であれば、表面平坦性の改善が実現できることも確認されている。
なお、加熱温度は、必ずしも一定の温度に保たなくともよく、上記温度範囲内で多段に加熱温度を設定する態様であってもよいし、上述の効果を奏する限りにおいて、上記温度範囲内の温度と範囲外の温度とを組み合わせて多段の加熱温度を設定する態様であってもよい。
また、表面エッチングによる表面荒れを発生させないためには、加熱雰囲気として、水素ガスを含まない雰囲気で行うことが望ましい。特に、窒素元素を含むガス(窒素元素含有ガス)を主成分とする雰囲気がさらに望ましく、その中でも窒素ガスを主成分とする雰囲気が最も望ましい。ただし、窒素元素を含むガスを主成分とする場合に、添加ガスとして、水素ガスを微量添加することは、本発明の範囲である。
本実施の形態に係るこのようなO原子分布の均一化処理による転位の低減は、III族窒化物が全III族元素におけるAlの割合が80モル%以上である場合に特に有効であり、なかでもAlNの場合に有効である。III族窒化物がAlNの場合、III族窒化物について組成揺らぎ等のばらつきの問題が無いので、品質管理上はこの場合が最も望ましいが、全III族元素におけるAlの割合が80モル%以上であれば、AlNの場合と同じ条件での均一化処理(例えば同じ温度での加熱処理)において、同様の転位低減効果が確認される。全III族元素におけるAlの割合が80%未満の場合にAlNの場合と同じ条件で均一化処理を行うと(例えば同じ温度での加熱処理を行うと)、上部層2の表面において、他のIII族元素、例えばGa成分の蒸発によってピットが発生し、表面平坦性が損なわれてしまう場合があり好ましくない。
ところで、III族窒化物結晶のエピタキシャル膜による上部層2の形成そのものを、本実施の形態に係る均一化処理の一態様としての加熱処理と同程度の高温下で行うことで、転位の低減を図ろうとする場合、エピタキシャル成長の条件を好適に維持しつつ係る転位の低減を行うことになるため、その条件設定や成膜制御は一般に難しくなる。これに対して、本実施の形態においては、いったんIII族窒化物結晶のエピタキシャル膜を何らかの方法で基材上に形成した上で、これを均一化処理に供する(例えば、作成温度(成膜温度)よりも高温に加熱する)ことから、成膜自体の条件設定や制御に対して、特段の制限が要求されることがなく、III族窒化物結晶の転位を低減することができる、というメリットがある。
なお、本実施の形態に係る均一化処理の一態様としての加熱処理は、III族窒化物の形成と連続して、同じ処理装置で行っても良いし、それぞれの処理を別の処理装置で行うことも可能である。後者の場合、成膜処理と加熱処理とを、それぞれの処理に好適な別個の装置で行うことが出来る、というメリットがある。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、成膜プロセスとは別個に均一化処理としての加熱処理を行うことで、エピタキシャル基板の成膜プロセスに依存することなく、該エピタキシャル基板において上部層として形成されているIII族窒化物結晶のエピタキシャル膜の転位を低減することができる。本実施の形態に係る方法による転位低減処理が施されたエピタキシャル基板を下地基板に用いて結晶成長を行うことにより、より転位の少ないIII族窒化物結晶を得ることが出来る。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態において述べたように、エピタキシャル基板10の上部層2を構成するIII族窒化物結晶の内部において酸素原子の移動を生じさせることで、転位の合体消失が引き起こされるものと解される。しかしながら、第1の実施の形態に係る加熱処理においては、上部層2の表面近傍では内部ほどには酸素原子濃度の増加が得られていない。これは、転位の合体消失が、該表面近傍においては内部ほど十分に生じていないことを意味するものと解される。本実施の形態においては、係る表面近傍においても酸素原子の濃度を増加させ、上部層2における酸素原子濃度の均一性をより高めることができる態様について説明する。
図7は、本実施の形態での熱処理に用いる熱処理炉の一例としての熱処理炉200を示す図である。なお、熱処理炉200の構成要素であって、第1の実施の形態に係る熱処理炉100の構成要素と同一の作用効果を奏するものは、図7において同一の符号を付してその説明を省略する。熱処理炉200は、カーボン製の炉体101の内部に酸化物製のさや207を備え、該さや207の内部に図示しない治具によって1または複数のエピタキシャル基板10を保持可能とされてなる(図7では4つのエピタキシャル基板10が保持されている場合を例示)。さや207の素材となる酸化物としては、エピタキシャル基板
10に含まれる元素と酸素元素からなるアルミナやサファイアなどが好適である。あるいは、MgO、BeO、CaO、SiO2などを用いる態様であってもよい。また、さや207には開口208および209が設けられており、供給管105を通じて供給される窒素ガスがさや207にも出入りするようになっている。熱処理炉200においても、炉体101の内部は、図示しない加熱手段によって加熱されるようになっている。本実施例では、さや207をエピタキシャル基板10の周囲に離して配置しているが、エピタキシャル基板に接するように配置することもできるし、治具の素材を酸化物とすることができる。
窒素ガスを供給しつつ炉体101の内部を加熱すると、さや207の内部には、さや207を形成する酸化物が分解することによって酸素元素含有ガスが生成する。これにより、熱処理炉200の炉体101の内部では、酸素元素含有ガスが添加された窒素元素含有ガス雰囲気が形成されることになる。すなわち、本実施の形態においては、係る雰囲気下でエピタキシャル基板10が熱処理されることになる。
図8は、第1の実施の形態に係る処理前基板と同じ条件で作製したエピタキシャル基板10に対し、係る雰囲気下で1750℃で2時間の加熱処理を施した後の処理後基板について、SIMSにより得られたSi原子、C原子、およびO原子の濃度分布の一例を示す図である。図8と図5とを比較すると、基材1との界面側でのO原子の濃度分布は概ね同様であるのに対して、本実施の形態に係る処理後基板では、基板表面側から約0.5〜0.6μm程度までの範囲におけるO原子の濃度が、第1の実施の形態に係る処理後基板よりも著しく高くなっている。別の見方をすれば、本実施の形態に係る処理後基板では、よ
りO原子の濃度勾配が緩和されており、濃度均一性が高くなっていることが確認される。加熱処理における第1の実施の形態との実質的な相違は、さや207の存在に起因して雰囲気中に酸素原子含有ガスが含まれていることであるので、基板表面側での酸素原子の濃度増加は、この雰囲気ガス中の酸素原子が上部層2の表面から内部へと拡散したことによるものと解される。
一方、この処理後基板の上部層2の表面における転位密度は、7×108/cm2であり、第1の実施の形態の処理後基板の表面よりも小さな値となっている。これは、上述のように、表面側においても拡散によるO原子の移動が十分に引き起こされることで、転位の合体消失が促進されたことによると解される。
具体的には、上部層2の表面側からの距離が0.5μm以下の領域におけるO原子濃度が1×1020/cm3以上となるように加熱処理を行った場合、上部層2の転位密度が7×108/cm2以下となることが(少なくとも、107/cm2のオーダーにまでは減少することが)確認されている。なお、本発明により達成することができる転位密度の下限は、原理的には特に限定されるものではない。ただし、転位を完全に消滅させる(転位密度が0になる)ことは、熱平衡状態からは想到されないため実現は難しい。もちろん、転位低減の効果が得られるのは、O原子濃度がそのような分布である場合に限られるものではなく、分布態様に応じた効果を得ることができる。なお、上部層2の総膜厚が0.5μm以下の場合は、全ての膜厚領域で、O原子濃度が1×1020/cm3以上となるように加熱処理を行えば同様の転位低減効果を得られること、および、エピタキシャル基板10を紫外域での透過性が重要となる受発光素子に用いる場合には、O原子濃度が1×1021/cm3以上とならないことが望ましく、このような濃度の領域が存在したとしても、存在する領域の合計膜厚が0.1μm以下とすることが望ましいことは、第1の実施の形態の場合と同様である。
なお、図5からは、第1の実施の形態に係る処理後基板においては基板表面近傍にSi原子やC原子が多く存在することが確認される。これに対して、図8に示すように、本実施の形態に係る処理後基板においては、第1の実施の形態に係る処理後基板よりも、基板表面におけるSi原子やC原子の濃度が小さいことが分かる。この結果は、本実施の形態に係る加熱処理の場合には、基板表面からのSi原子やC原子の混入が抑制されることを示すものである。
以上、説明したように、本実施の形態においては、酸素元素含有ガス雰囲気で加熱処理を行うことにより、基材との界面側のみならず基板表面側における酸素原子の移動をも引き起こすことにより、エピタキシャル基板において上部層として形成されているIII族窒化物結晶のエピタキシャル膜の転位を、より効果的に低減させることができる。
<変形例>
第2の実施の形態においては、さや207を加熱することで、熱処理炉200内に酸素元素ガス含有雰囲気を形成していたが、酸素元素含有ガス雰囲気を形成する態様は、これに限られるものではない。例えば、第1の実施の形態に係る熱処理炉100のような処理装置の内部にエピタキシャル基板を保持した状態で、窒素ガスなどの窒素元素含有ガスに酸素元素含有ガスを添加した混合ガスを供給する態様であってもよい。係る場合の酸素元素含有ガスとしては、水分(水蒸気ガス)、COxガス、NOxガス、あるいはO2ガスなどを用いることができる。例えば、窒素元素含有ガスに対してそれらの添加成分を混合し
た混合ガスを熱処理炉内に供給する態様が好適である。ただし、熱処理炉にカーボン部材が用いられている場合には、O2ガス添加は該部材の劣化を引き起こす可能性が相当に高いので留意が必要である。安全性の面からは、水分添加が最も好適である。ただし、水分ガス添加の場合でも、カーボン部材との反応の可能性があるので、必要に応じて、バリアガス(図示せず)を供給する、あるいは、基板にガスを吹き付ける等の態様によってガス流を最適化することがより望ましい。
また、第1および第2の実施の形態においては、MOCVD法など、基材上に窒化物を堆積させる手法を用いて得られたエピタキシャル膜を対象として、その転位を低減させる態様について説明しているが、所定の酸化物単結晶材料からなる基材の表面を変質させることによって形成されるエピタキシャル膜についても、上述の実施の形態と同様に、O原子の均一化処理(もしくは濃度勾配緩和処理)としての加熱処理を行うことによって、その転位を低減することが可能である。例えば、サファイア基板のアンモニア雰囲気下での窒化、窒素ガスを含む雰囲気下での窒化若しくは還元窒化、あるいは、イオン注入法によ
る窒化を行うことで、サファイア基板を基材とし、AlNエピタキシャル膜を上部層2とするエピタキシャル基板10を得ることができる。そして、該エピタキシャル基板10に対し、上述の実施の形態と同様の加熱処理を行うことで、AlNエピタキシャル膜の転位を低減することができる。
上述の実施の形態においては、少なくとも基材1の側からの酸素の拡散を生じさせることで転位を低減させる態様を示しているが、過度の拡散が生じることによる劣化が懸念される場合など、基材1からの拡散が望ましくないような場合には、上部層2の表面側から優先的に拡散を生じさせることが望ましい。係る場合、基材1の材料としてはSiCを用いることが望ましい。
本発明の実施の形態に係る転位低減方法の適用対象であるIII族窒化物結晶を上部層2として含む、エピタキシャル基板10の断面模式図である。 エピタキシャル基板10についての断面TEM像を例示する図である。 エピタキシャル基板10の断面方向における、Si、C、およびOの各原子の濃度分布の一例を示す図である。 第1の実施の形態に係る加熱処理を施した後のエピタキシャル基板10についての断面TEM像を例示する図である。 第1の実施の形態に係る加熱処理を施した後のエピタキシャル基板10の断面方向における、Si、C、およびOの各原子の濃度分布の一例を示す図である。 第1の実施の形態に係る加熱処理に用いる処理装置の一例としての熱処理炉100を示す図である。 第2の実施の形態に係る加熱処理に用いる処理装置の一例としての熱処理炉100を示す図である。 第2の実施の形態に係る加熱処理を施した後のエピタキシャル基板10の断面方向における、Si、C、およびOの各原子の濃度分布の一例を示す図である。
符号の説明
1 基材
2 上部層
10 エピタキシャル基板
100、200 熱処理炉
102 窒素ガス供給源
105 供給管
106 排気口
207 さや
208、209 (さやの)開口

Claims (10)

  1. 所定の酸化物単結晶基板上にAlN系III族窒化物にて形成されてなるエピタキシャル膜の転位を低減する方法であって、
    加熱によって前記酸化物単結晶基板から前記エピタキシャル膜中に向けて酸素原子を拡散させる拡散処理工程、
    を備えることを特徴とするAlN系III族窒化物エピタキシャル膜の転位低減方法。
  2. 請求項1に記載の転位低減方法であって、
    前記拡散処理工程においては、前記エピタキシャル膜の酸化物単結晶基板との界面からの距離が0.5μm以下の領域における酸素原子濃度が1×10 20 /cm 3 以上となるように加熱を行う
    ことを特徴とするAlN系III族窒化物エピタキシャル膜の転位低減方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の転位低減方法であって、
    前記拡散処理工程においては、前記酸化物単結晶基板からの前記酸素原子の拡散に加えて、さらに、前記エピタキシャル膜の外部に酸素元素含有ガスが添加された窒素元素含有ガス雰囲気を形成し、前記酸素元素含有ガス中の酸素原子をも前記エピタキシャル膜中に拡散させる、
    ことを特徴とするAlN系III族窒化物エピタキシャル膜の転位低減方法。
  4. 所定の基板上にAlN系III族窒化物にて形成されてなるエピタキシャル膜の転位低減する方法であって、
    加熱によって前記酸化物単結晶基板から酸素原子を供給することにより、前記エピタキシャル膜における前記酸素不純物の総量を増加させつつ前記エピタキシャル膜中における酸素不純物の分布の均一性を高める均一化処理工程、
    を備えることを特徴とするAlN系III族窒化物エピタキシャル膜の転位低減方法。
  5. 請求項4に記載の転位低減方法であって、
    前記均一化処理工程においては、前記エピタキシャル膜の酸化物単結晶基板との界面からの距離が0.5μm以下の領域における酸素原子濃度が1×10 20 /cm 3 以上となるように加熱を行う、
    ことを特徴とするAlN系III族窒化物エピタキシャル膜の転位低減方法。
  6. 請求項4または請求項5に記載の転位低減方法であって、
    前記均一化処理工程においては、前記酸化物単結晶基板からの前記酸素原子の供給に加えて、さらに、前記エピタキシャル膜の外部に酸素元素含有ガスが添加された窒素元素含有ガス雰囲気を形成することによって前記酸素元素含有ガスからも前記酸素原子を供給する、
    ことを特徴とするAlN系III族窒化物エピタキシャル膜の転位低減方法。
  7. 所定の基板上にAlN系III族窒化物にて形成されてなるエピタキシャル膜の転位低減する方法であって、
    前記エピタキシャル膜中に存在する、前記酸化物単結晶基板との界面側から表面側へ向かうほど酸素不純物の濃度が小さくなる濃度勾配を、加熱によって前記酸化物単結晶基板から酸素原子を供給することにより前記エピタキシャル膜における前記酸素不純物の総量を増加させつつ緩和する、濃度勾配緩和処理工程、
    を備えることを特徴とするAlN系III族窒化物エピタキシャル膜の転位低減方法。
  8. 請求項7に記載の転位低減方法であって、
    前記濃度勾配緩和処理工程においては、前記エピタキシャル膜の酸化物単結晶基板との界面からの距離が0.5μm以下の領域における酸素原子濃度が1×1020/cm3以上となるように加熱を行う、
    ことを特徴とするAlN系III族窒化物エピタキシャル膜の転位低減方法。
  9. 請求項7または請求項に記載の転位低減方法であって、
    前記濃度勾配緩和処理工程においては、前記酸化物単結晶基板からの前記酸素原子の供給に加えて、さらに、前記エピタキシャル膜の外部に酸素元素含有ガスが添加された窒素元素含有ガス雰囲気を形成することによって前記酸素元素含有ガスからも前記酸素原子を供給する、
    ことを特徴とするAlN系III族窒化物エピタキシャル膜の転位低減方法。
  10. 請求項3、請求項6、または請求項9のいずれかに記載の転位低減方法であって、
    前記エピタキシャル膜の表面側からの距離が0.5μm以下の領域における酸素原子濃度が1×10 20 /cm 3 以上となるように加熱を行う、
    を備えることを特徴とするAlN系III族窒化物エピタキシャル膜の転位低減方法。
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