JP4929546B2 - 重合性液晶組成物及びこれを用いた光学異方体 - Google Patents

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    • C09K2019/0444Liquid crystal materials characterised by the chemical structure of the liquid crystal components, e.g. by a specific unit characterized by a linking chain between rings or ring systems, a bridging chain between extensive mesogenic moieties or an end chain group
    • C09K2019/0448Liquid crystal materials characterised by the chemical structure of the liquid crystal components, e.g. by a specific unit characterized by a linking chain between rings or ring systems, a bridging chain between extensive mesogenic moieties or an end chain group the end chain group being a polymerizable end group, e.g. -Sp-P or acrylate

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学フィルム、位相差板、偏光板、偏光プリズム、各種光フィルター等の光学異方体、光導波路、圧電素子、非線形光学素子、コレステリック液晶相等の選択反射を利用した液晶顔料、液晶−樹脂複合ディスプレー、ホログラフィック液晶ディスプレー、高分子安定化液晶(強誘電性液晶、反強誘電性液晶)ディスプレー、光ファイバー等の被覆剤などとして有用な重合性を有する液晶性化合物を含有する重合性液晶組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
重合性官能基を有する液晶性化合物(以下、重合性液晶化合物という。)又はこのような化合物を含有する重合性液晶組成物を、液晶状態で配向させた後、その状態で紫外線等の活性エネルギー線を照射すると、液晶分子の配向状態構造を固定化した高分子を作製することができる。このようにして得られた高分子は、屈折率、誘電率、磁化率、弾性率、熱膨張率等の物理的性質の異方性を有しているので、例えば、位相差板、偏光板、偏光プリズム、導波路、圧電素子、非線形光学素子、各種光フィルター、コレステリック液晶相等の選択反射を利用した顔料、光ファイバー等の被覆剤として応用可能である。
【0003】
このような用途に用いる重合性液晶組成物として、特開平8−3111号公報には、1分子中に(メタ)アクリル基を1個有する液晶性化合物を含有する重合性液晶組成物が開示されている。該公報に開示された重合性液晶組成物は、室温で液晶性を示すという特徴を有するものの、単官能化合物であることから、重合させた場合多官能化合物のように網状構造を形成することができず、得られる重合物の強度が劣る。また、単官能化合物は、重合によって分子鎖が成長していくが、丁度光散乱源となりやすい大きさで成長がとまってしまうことが多い。そのため、得られる重合物の機械的強度や透明性が不十分であるという問題点があった。
【0004】
一方、特表平6−507987号公報(米国特許第5871665号明細書)、特表平8−277247号公報、特開平10−310612号公報(欧州特許公開第869112号公報)、特表平10−509726号公報、特表平11−513360号公報(米国特許第5833880号明細書)、ドイツ国公開特許第4226994号公報、イギリス国公開特許第2306470号公報及び国際特許出願公開第98/23580号明細書などには、1分子中に(メタ)アクリル基の如き重合性官能基を2個有する液晶性化合物及びそのような化合物を含有する重合性液晶組成物が開示されている。これらの公報に記載の化合物は、少なくとも一方の重合性官能基がアルキレンオキシ基の如き連結鎖を介して連結鎖中の環Aと結合し、この環Aが、直接、あるいは、エーテル結合、チオエーテル結合、アルキレン基、オキシアルキレン基、アルキレンオキシ基、カルボニル基、エステル結合、チオエステル結合、ビニル基、ビニルカルボニルオキシ基、ビニルアルレン基、アルキレンビニル基、メチルイミノ基、アゾ基又はアミド基を介して、別のメソゲン中の環Eと結合した部分構造を有するものである。
【0005】
中でも、環に置換基を有しない化合物は、ネマチック相を示す下限温度が100度以上であるが、環にフッ素原子、メチル基、メトキシ基、メチルカルボニル基等の置換基を有する化合物の中には、ネマチック相を示す温度の下限が、60度前後のものが開示されている。
【0006】
一般に、重合性液晶組成物は、液晶分子を均一に配向させた後、液晶状態を保持したまま紫外線などのエネルギー線を照射することで光重合させ、均一な配向状態を半永久的に固定する。そのためネマチック相を示す下限温度が室温よりも高いと、液晶状態に保持したまま均一な配向を得るために加温する必要があり、この加温が原因で、エネルギー線による光重合だけでなく、意図しない熱重合も誘起されて、液晶分子の均一な配向状態が失われ、所望する配向状態とは異なる不均一な配向状態が固定化されてしまうという問題点がある。そのためこれらの材料を用いて、熱重合を誘起しない温度範囲であり、かつ、作業性に優れている室温〜40度の程度でネマチック相を示す重合性液晶組成物を調製するには、多くの種類の液晶化合物を併用しなければならないという問題点があった。
【0007】
さらに、特開平9−40585号公報(米国特許第5800733号明細書)及び特開平9−52857号公報(欧州特許第755915号公報)には、2つの架橋性中間相(液晶相)形成性残基が6員環の1,2−位に結合した構造を有する化合物が開示されている。ここでは、ネマチック相は示さずにスメクチックA相のみを示す化合物が開示されているが、スメクチックA相は、粘度が高く、配向性が悪いという問題点がある。さらにまた、「リキッドクリスタルズ」(第24巻、第3号、第375〜379頁、1998年)には、目的化合物である分子の末端に2−(アルケニルオキシフェニルオキシ)−5−(ヒドロチオアルキレンオキシフェニルオキシ)トルエンを合成した際に生じる不純物として、この化合物のヒドロチオ基と、4−ヒドロチオアルキレンオキシ安息香酸とが結合した構造を有する化合物が記載されている。しかしながら、この文献には、不純物として特定されたことが開示されているに過ぎず、不純物として特定された化合物の重合性液晶組成物への使用可能性については、全く論じられていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、ネマチック相を示す温度範囲が広く、且つ25度以下の温度域においてもネマチック相を示し、併用する他の重合性を有する液晶性化合物との相溶性に優れた、重合性を有する液晶性化合物を含有する重合性液晶組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、(A) 2以上の環構造を有する液晶性骨格と、一般式
【0009】
【化5】
Figure 0004929546
[式中、P1は、重合性官能基を表わす。S1は、エチレン基又はプロピレン基を表し、Sはエステル結合又はエーテル結合を表し、mは1又は2を表し、Sは−(CH2V−、−(CH2VO−、−(CH2−O−C(=O)−又は−(CH2−C(=O)−O−(Vは、1〜20の整数を表わす。)で表わされる連結鎖を表し、A1及びE1は、おのおの独立的に、炭化水素環又はヘテロ環を表わす。ただし、E1は、液晶性骨格に含まれる環である。D1は、−C(=O)−O−(CH2−O−、−O(CH2−O−C(=O)−、−O−(CH2−O−又は−O−C(=O)−(CH2−C(=O)−O− (wは、1〜15の整数を表わす。)で表わされる連結鎖を表わす。]で表わされる部分構造を有する化合物(c1)を含有する重合性液晶組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記(A)に記載の重合性液晶組成物の重合体から構成される光学異方体を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の重合性液晶組成物に使用する化合物(c1)は、具体的には、一般式(c2)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0012】
【化6】
Figure 0004929546
【0013】
[式中、P2及びP3は、おのおの独立的に、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、ビニルオキシ基及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性官能基を表わす。S及びSは、おのおの独立的にエチレン基又はプロピレン基を表し、S及びSはエステル結合又はエーテル結合を表し、m及びnは0〜2の整数を表し、且つm+nは1〜4の整数を表す。S及びSは−(CH2V−、−(CH2VO−、−(CH2−O−C(=O)−又は−(CH2−C(=O)−O−(Vは、1〜20の整数を表わす。)で表わされる連結鎖を表し、A2、A3、E2、F1及びG1は、おのおの独立的に、
【0014】
【化7】
Figure 0004929546
(式中、pは1〜4の整数を表わす。)からなる群から選ばれる環構造を表わす。
2及びD3は、おのおの独立的に、−C(=O)−O−(CH2m−O−、−O(CH2m−O−C(=O)−、−O−(CH2m−O、−O−C(=O)−(CH2m−C(=O)−O− (mは、1〜15の整数を表わす。)からなる群から選ばれる連結鎖を表わす。
1及びY2は、おのおの独立的に、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2− 、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O− 、 −OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−、−CH=CH−C(=O)O−及び−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選ばれる連結基を表わす。rは、0〜3の整数を表わし、qは0又は1を表わす。]
【0015】
本発明の液晶性を有する重合性液晶組成物に用いる化合物(c1)及び一般式(c2)で表わされる化合物において、重合性官能基は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合の如き重合反応可能なものであれば、特に制限はないが、紫外線、電子線、α線、β線、ガンマ線のような電離放射線、マイクロ波、高周波活性光線の如き活性エネルギー線の照射によって重合する官能基が特に好ましい。
【0016】
重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、エポキシ基、エチニル基、メルカプト基、ビニルオキシ基、マレイミド基、ビニルケトン基などが挙げられるが、これらの中でも、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基又はビニルオキシ基が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、エポキシ基、ビニルオキシ基が特に好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基が更に好ましい。
【0017】
化合物(c1)中のS、一般式(c2)で表わされる化合物中のS及びSは、おのおの前述に定義した連結鎖を表わすが、vは2〜18の範囲のものが好ましく、4〜10の範囲のものが特に好ましい。
【0018】
化合物(c1)において、A1及びE1は、おのおの独立的に、脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環の如き炭化水素環、又は、複素環の如きヘテロ環を表わす。これらの環は、6員環あるいは、6員環同士の縮合環であることが好ましい。
また、環上の水素原子は、フッ素原子、塩素原子の如きハロゲン原子、メチル基の如き低級アルキル基、メトキシ基の如き低級アルコキシル基などの置換基で置換されていてもよい。また、E1は、液晶性骨格に含まれる環である。さらに、化合物(c1)における液晶性骨格は、炭化水素環及び/又はヘテロ環の如き環構造を2以上、好ましくは2〜6個有するものである。そのような液晶性骨格としては、上記一般式(c2)における一般式 −E−(Y−F)−Y−G− で表わされる液晶性骨格が好ましい。
【0019】
化合物(c1)において、A1及びE1は、中でも、
【0020】
【化8】
Figure 0004929546
(式中、pは1〜4の整数を表わす。)からなる群から選ばれる環構造であることが好ましい。
【0021】
また、化合物(c1)中のA1及びE1や、前述に定義した環構造を表す、一般式(c2)で表わされる化合物中のA2、A3、E2、F1及びG1は、中でも、
【0022】
【化9】
Figure 0004929546
であることが特に好ましい。
【0023】
化合物(c1)中のD1や、一般式(c2)で表わされる化合物中のD2及びD3は、前述に定義した連結鎖を表すが、中でも、−C(=O)−O−(CH2m−O−又は−O−(CH2m−O−C(=O)−が特に好ましい。なお、mは2〜12の範囲のものが好ましく、4〜10の範囲のものが特に好ましい。
【0024】
液晶性骨格の例である一般式 −E−(Y−F)−Y−G− で表わされる構造としては、例えば、以下の式(a1)〜(a447)で表わされるような構造を挙げることができる。
【0025】
【化10】
Figure 0004929546
【0026】
【化11】
Figure 0004929546
【0027】
【化12】
Figure 0004929546
【0028】
【化13】
Figure 0004929546
【0029】
【化14】
Figure 0004929546
【0030】
【化15】
Figure 0004929546
【0031】
【化16】
Figure 0004929546
【0032】
【化17】
Figure 0004929546
【0033】
【化18】
Figure 0004929546
【0034】
【化19】
Figure 0004929546
【0035】
【化20】
Figure 0004929546
【0036】
【化21】
Figure 0004929546
【0037】
【化22】
Figure 0004929546
【0038】
【化23】
Figure 0004929546
【0039】
【化24】
Figure 0004929546
【0040】
【化25】
Figure 0004929546
【0041】
【化26】
Figure 0004929546
【0042】
【化27】
Figure 0004929546
【0043】
【化28】
Figure 0004929546
【0044】
【化29】
Figure 0004929546
【0045】
【化30】
Figure 0004929546
【0046】
【化31】
Figure 0004929546
【0047】
【化32】
Figure 0004929546
【0048】
【化33】
Figure 0004929546
【0049】
【化34】
Figure 0004929546
【0050】
【化35】
Figure 0004929546
【0051】
【化36】
Figure 0004929546
【0052】
【化37】
Figure 0004929546
【0053】
【化38】
Figure 0004929546
【0054】
【化39】
Figure 0004929546
【0055】
【化40】
Figure 0004929546
【0056】
【化41】
Figure 0004929546
【0057】
【化42】
Figure 0004929546
【0058】
(式(a1)〜(a447)中の芳香環、脂環、複素環及び縮合環は、シアノ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基及びアルカノイル基からなる群から選ばれる一つ以上の置換基で置換されていても良い。)
【0059】
一般式(c2)で表わされる化合物の中でも、一般式(c3)
【化43】
Figure 0004929546
【0060】
(式中、Xは、水素原子又はメチル基を表わし、dは、2又は3の整数を表わし、fは、1〜20の整数を表わし、qは、1〜15の整数を表わす。また、それぞれの1,4−フェニレン基は、おのおの独立的に、シアノ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基及びアルカノイル基からなる群から選ばれる一つ以上の置換基で置換されていても良い。)
で表わされる重合性液晶化合物、一般式(c4)
【0061】
【化44】
Figure 0004929546
【0062】
(式中、Xは、水素原子又はメチル基を表わし、dは、2又は3の整数を表わし、fは、1〜20の整数を表わし、qは、1〜15の整数を表わす。また、それぞれの1,4−フェニレン基は、おのおの独立的に、シアノ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基及びアルカノイル基からなる群から選ばれる一つ以上の置換基で置換されていても良い。)
で表わされる重合性液晶化合物、一般式(c5)
【0063】
【化45】
Figure 0004929546
【0064】
(式中、Xは、水素原子又はメチル基を表わし、dは、2又は3の整数を表わし、fは、1〜20の整数を表わし、qは、1〜15の整数を表わす。また、それぞれの1,4−フェニレン基は、おのおの独立的に、シアノ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基及びアルカノイル基からなる群から選ばれる一つ以上の置換基で置換されていても良い。)
で表わされる重合性液晶化合物、一般式(c6)
【0065】
【化46】
Figure 0004929546
【0066】
(式中、Xは、水素原子又はメチル基を表わし、dは、2又は3の整数を表わし、fは、1〜20の整数を表わし、qは、1〜15の整数を表わす。また、それぞれの1,4−フェニレン基は、おのおの独立的に、シアノ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基及びアルカノイル基からなる群から選ばれる一つ以上の置換基で置換されていても良い。)
で表わされる重合性液晶化合物が特に好ましい。
【0067】
本発明の化合物の好ましい例として、(メタ)アクリレート化合物を挙げてきたが、反応性基としてエポキシ基を有する化合物又はビニルオキシ基を有する化合物も好ましい。そのような化合物としては、例えば、以下の一般式(c7)又は(c8)で表わされる化合物等を挙げることができる。
【0068】
【化47】
Figure 0004929546
【0069】
(式中、dは、2又は3の整数を表わし、fは、1〜20の整数を表わし、qは、1〜15の整数を表わす。また、それぞれの1,4−フェニレン基は、おのおの独立的に、シアノ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基及びアルカノイル基からなる群から選ばれる一つ以上の置換基で置換されていても良い。)
【0070】
【化48】
Figure 0004929546
【0071】
(式中、dは、2又は3の整数を表わし、fは、1〜20の整数を表わし、qは、1〜15の整数を表わす。また、それぞれの1,4−フェニレン基は、おのおの独立的に、シアノ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基及びアルカノイル基からなる群から選ばれる一つ以上の置換基で置換されていても良い。)
以上、本発明の化合物の好ましい例を挙げたが、一般式(c3)で表わされる化合物は、例えば、以下の方法により、合成することができる。
【0072】
【化49】
Figure 0004929546
【0073】
(式中、X、d、f及びqは、一般式(c3)の場合と同じ内容を表わす。また、DCCは、ジシクロヘキシルカルボジイミドを表わす。)
即ち、一般式(c9)で表わされるアルコール誘導体と、これに対し2当量の一般式(c10)で表わされるカルボン酸誘導体をDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の縮合剤を用いることによりエステル化反応させることにより、目的とする一般式(c3)で表わされる化合物を合成することができる。
【0074】
一般式(c3)で表わされる化合物の合成原料となる一般式(c9)で表わされるアルコール誘導体は、例えば、以下の方法により合成することができる。
【0075】
【化50】
Figure 0004929546
【0076】
(式中、qは、上記一般式(c3)と同じ内容を表す。また、Phは、フェニル基を表す。)即ち、式(c9−1)で表わされる4−ブロモ−フェノールの水酸基を、テトラピラニルエーテルを用いて保護して、式(c9−2)で表わされる化合物を得た後、パラジウム触媒の存在下に、2−メチル−3−ブチン−2−オールと反応させ、式(c9−3)で表わされる化合物を得る。引き続き、t−ブチルアルコール基を脱離させて、一般式(c9−4)で表わされるアセチレン誘導体を得る。一般式(c9−4)で表わされるアセチレン誘導体と4−ヨードフェノールとを、パラジウム触媒の存在下に、カップリング反応させて、一般式(c9−5)で表わされる化合物を得る。一般式(c9−5)で表わされる化合物と一般式(c9−6)で表わされる臭素を有するアルコール誘導体とを反応させた後、酸触媒下、脱保護させることにより、目的とする一般式(c9)で表わされるアルコール誘導体を得ることができる。
【0077】
一般式(c3)で表わされる化合物の合成原料となる一般式(c10)で表わされるカルボン酸誘導体は、例えば、以下の方法により合成することができる。
【0078】
【化51】
Figure 0004929546
【0079】
(式中、X、d及びqは、一般式(c3) と同じ内容を表わす。)
即ち、式(c10−1)で表わされる4−ヒドロキシ安息香酸と一般式(c10−2)で表わされるブロム基を有するアルコール誘導体とを反応させて、一般式(c10−3)で表わされる化合物を得る。この化合物を酸触媒の存在下に、水を留去しながら一般式(c10−4)で表わされるカルボン酸誘導体と反応させることにより、目的とする一般式(c10)で表わされるカルボン酸誘導体を得ることができる。
【0080】
次に、一般式(c4)及び一般式(c5)で表わされる化合物について説明する。一般式(c4)及び一般式(c5)で表わされる化合物は、例えば、一般式(c10)で表わされるカルボン酸誘導体と共に、一般式(c11)で表わされるカルボン酸誘導体を用いて、
【0081】
【化52】
Figure 0004929546
上記の一般式(c3)で表わされる化合物の合成方法と同様にして合成することができる。
一般式(c4)及び一般式(c5)で表わされる化合物の合成原料となる一般式(c11)で表わされるカルボン酸誘導体は、例えば、以下の方法により合成することができる。
【0082】
【化53】
Figure 0004929546
【0083】
一般式(c10−3)で表わされるアルコール誘導体の化合物を酸触媒の存在下に、水を留去しながら(メタ)アクリル酸と反応させることにより、目的とする一般式(c11)で表わされるカルボン酸誘導体を得ることができる。
【0084】
次に、一般式(c6)で表わされる化合物について説明する。一般式(c6)で表わされる化合物は、例えば、以下の方法によって合成することができる。
【0085】
【化54】
Figure 0004929546
(式中、X、d、f及びqは、一般式(c6)の場合と同じ内容を表わす。また、DCCは、ジシクロヘキシルカルボジイミドを表わす。)
【0086】
即ち、一般式(c12)で表わされるアルコール誘導体と、これに対し2当量の一般式(c10)で表わされるカルボン酸誘導体をDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の縮合剤を用いることによりエステル化反応させることにより、目的とする一般式(c6)で表わされる化合物を合成することができる。
【0087】
一般式(c6)で表わされる化合物の合成原料となる一般式(c12)で表わされるアルコール誘導体は、例えば、以下の方法により合成することができる。
【0088】
【化55】
Figure 0004929546
【0089】
(式中、qは、一般式(c6)と同じ内容を表す。また、DMFは、ジメチルホルムアミドを表し、PTSはパラトルエンスルホン酸を表す。)
即ち、1、4−ジヒドロキノンとこれに対し2.0当量の4−ヒドロキシ安息香酸をパラトルエンスルホン酸触媒下、脱水エステル化反応させることにより化合物(c12−1)を合成する。引き続き、一般式(c12−1)で表わされるフェノール誘導体と、これに対し2.0当量の一般式(c9−6)で表わされるハロゲン誘導体を炭酸カリウムの存在下DMF溶剤中で、置換反応させることにより、目的とする一般式(c12)で表わされる化合物を合成することができる。
【0090】
次に、一般式(c7)で表わされるエポキシ化合物について説明する。一般式(c7)で表わされる化合物は、例えば、以下の方法によって合成することができる。
【0091】
【化56】
Figure 0004929546
【0092】
(式中、d、f及びqは、一般式(c7)の場合と同じ内容を表わす。また、DMFは、ジメチルホルムアミドを表す。)
一般式(c14)で表わされるフェノール誘導体と、これに対し3.0当量の一般式(c13)で表わされるハロゲン誘導体を炭酸カリウムの存在下DMF溶剤中で、置換反応させることにより、目的とする一般式(c7)で表わされる化合物を合成することができる。
【0093】
次に、一般式(c8)で表わされるビニルエーテル化合物について説明する。一般式(c8)で表わされる化合物は、例えば、以下の方法によって合成することができる。
【0094】
【化57】
Figure 0004929546
【0095】
(式中、d、f及びqは、一般式(c8)の場合と同じ内容を表わす。また、DCCは、ジシクロヘキシルカルボジイミドを表わす。)
即ち、一般式(c12)で表わされるアルコール誘導体と、これに対し2当量の一般式(c15)で表わされるカルボン酸誘導体をDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の縮合剤を用いることによりエステル化反応させることにより、目的とする一般式(c8)で表わされる化合物を合成することができる。
【0096】
本発明で使用する重合性液晶化合物は、それ自体で組成物を調製することができるが、公知の重合性液晶化合物を混合して組成物とすることもできる。公知の重合性液晶化合物としては、分子内に通常この技術分野で液晶性環骨格と認められる骨格と重合性官能基を同時に有する重合性の液晶化合物が挙げられる。当該液晶性環骨格は、少なくとも2つ又は3つの6員環を有するものが特に好ましい。重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、ビニルオキシ基、シンナモイル基、ビニル基、エチニル基、マレイミドなどを挙げることができる。
【0097】
一分子中に複数の重合性官能基を有する化合物の場合には、重合性官能基の種類が異なっていてもよい。例えば、重合性官能基を2つ有する化合物の場合、一方がメタクリロイル基、他方がビニルオキシ基であってもよい。
【0098】
本発明の重合性液晶組成物は、通常この技術分野で液晶相と認識される相を示す組成物であればよい。そのような組成物の中でも、液晶相として、ネマチック相、スメクチックA相、(キラル)スメクチックC相、コレステリック相を発現するものが好ましい。それらの中でも、ネマチック相は良好な配向性を有するため、特に好ましい。また、(キラル)スメクチックC相を示す場合には、該(キラル)スメクチックC相の温度領域より高い温度領域でスメクチックA相を、該スメクチックA相の温度領域より高い温度領域でネマチック相を、それぞれ発現する液晶組成物は、良好な配向性を得られる傾向にあるので好ましい。
【0099】
本発明の重合性液晶組成物に含有させることができる化合物としては、例えば、液晶性(メタ)アクリレート化合物としては、一般式(c16)
【0100】
【化58】
Figure 0004929546
【0101】
(式中、Xは、水素原子又はメチル基を表わし、R1は、炭素原子数1〜10のアルキル基を表わす。)で表わされる化合物や、一般式(c17)
【0102】
【化59】
Figure 0004929546
【0103】
(式中、Xは、水素原子又はメチル基を表わし、R1は、炭素原子数1〜10のアルキル基を表わす。)で表わされる化合物が好ましい。これらの一般式(c16)で表わされる化合物や一般式(c17)で表わされる化合物は、単独で用いても良いし、組み合わせて用いても良い。組み合わせて用いる場合、一般式(c16)と一般式(c17)で表わされる化合物の濃度を等しくすることが好ましい。しかしながら、本発明の重合性液晶組成物において使用することができる化合物は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0104】
また、本発明の重合性液晶組成物には、一般式(c16)及び一般式(c17)で表わされる(メタ)アクリレート化合物以外にも、他の単官能(メタ)アクリレート化合物を含有させることもできる。
一般式(c16)及び(c17)で表わされる化合物、そして他の単官能(メタ)アクリレート化合物の具体的なものとして、式(a-1)〜式(a-25)で表わされる化合物が挙げられる。なお、例示した式(a-1)〜式(a-25)で表わされる化合物の構造式の下に、相転移温度を示した。(式中、シクロヘキサン環はトランスシクロヘキサン環を表わす。また、数字は相転移温度を表わし、Cは結晶相、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、Iは等方性液体相をそれぞれ表わす。)
【0105】
【化60】
Figure 0004929546
【0106】
【化61】
Figure 0004929546
【0107】
【化62】
Figure 0004929546
【0108】
【化63】
Figure 0004929546
【0109】
また、本発明の重合性液晶組成物には、側鎖に液晶性環骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を含有することもできる。また、本発明の重合性液晶組成物には、重合性官能基を有していない液晶化合物を用途に応じて添加することもできる。しかしながら、液晶組成物を用いて作製する高分子の耐熱性を確保する観点から、その添加量は80重量%以下が好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、10重量%以下が特に好ましい。また、本発明の重合性液晶組成物には、重合性官能基を有する化合物であって、液晶性を示さない化合物を添加することもできる。このような化合物としては、通常、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができる。
【0110】
本発明の重合性液晶組成物は、液晶相の温度領域で活性エネルギー線を照射して、組成物中の重合性化合物を重合させることを目的としている。従って、活性エネルギー線照射工程における、望ましくない熱重合の誘起を避け、均一性に優れた高分子を製造するために、本発明の重合性液晶組成物は、室温(典型的には25度)又は室温付近で液晶性を示すものが好ましい。例えば、(キラル)スメクチックC相において、本発明の重合性液晶組成物に活性エネルギー線を照射して、組成物中の重合性化合物を重合させる場合、室温又は室温付近で(キラル)スメクチックC相を発現するものが好ましい。
【0111】
また、本発明の重合性液晶組成物には、液晶骨格の螺旋構造を内部に有する高分子を得ることを目的として、キラル(光学活性)化合物を添加することもできる。そのような目的で使用するキラル化合物は、それ自体が液晶性を示す必要は無く、また、重合性官能基を有していても有していなくても良い。また、キラル化合物の螺旋の向きは、重合体の使用用途によって適宜選択することができる。
【0112】
そのようなキラル化合物としては、例えば、キラル基としてコレステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、キラル基として2−メチルブチル基を有するビーディーエイチ社(BDH社;イギリス国)製の「CB−15」、「C−15」、メルク社(ドイツ国)製の「S−1082」、チッソ社製の「CM−19」、「CM−20」、「CM」;キラル基として1−メチルヘプチル基を有するメルク社製の「S−811」、チッソ社製の「CM−21」、「CM−22」、などを挙げることができる。
【0113】
キラル化合物を添加する場合の好ましい添加量は、液晶組成物の用途によるが、重合して得られる重合体の厚み(d)を重合体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が0.1〜100の範囲となる量が好ましく、0.1〜20の範囲となる量がさらに好ましい。
【0114】
更に本発明の重合性液晶組成物には、その重合反応性を向上させることを目的として、熱重合開始剤、光重合開始剤等の重合開始剤を添加することもできる。
熱重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ビスアゾブチロニトリル等が挙げられる。また、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類等が挙げられる。熱重合開始剤あるいは光重合開始剤を添加する場合の添加量は、液晶組成物に対して、10重量%以下が好ましく、5重量%以下が特に好ましく、0.5〜1.5重量%の範囲が更に好ましい。
【0115】
また、本発明の重合性液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、重合禁止剤を添加することもできる。使用できる重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類等が挙げられる。重合禁止剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下が特に好ましい。
【0116】
以上のように、本発明の重合性液晶組成物には、一般式(c1)あるいは一般式(c2)で表わされる重合性化合物以外に、重合性官能基を有する液晶化合物、重合性官能基を有さない液晶化合物、液晶性を示さない重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤を適宜組み合わせて添加してもよいが、少なくとも得られる液晶組成物の液晶性が失われないよう、各成分の添加量を調整する必要がある。
【0117】
また、本発明の重合性液晶組成物を偏光フィルムや配向膜の原料、又は印刷インキ及び塗料、保護膜等の用途に利用する場合には、その目的に応じて、金属、金属錯体、染料、顔料、色素、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタンの如き金属酸化物、などを添加することもできる。
【0118】
本発明の重合性液晶組成物は、重合させて重合体とすることによって、位相差板、偏光板、偏光プリズム、導波路、圧電素子、非線形光学素子、各種光フィルター、コレステリック液晶相等の選択反射を利用した液晶顔料、液晶−樹脂複合ディスプレー、ホログラフィック液晶ディスプレー、高分子安定化液晶(強誘電性液晶、反強誘電性液晶)ディスプレー、光ファイバー等の被覆剤などの各種の用途に応用することができる。中でも、本発明の重合性液晶組成物を、配向させた状態において重合させた重合体は、物理的性質に異方性を有しており、有用である。このような重合体は、例えば、本発明の重合性液晶組成物を、布等で表面をラビング処理した基板、有機薄膜を形成した基板の表面を布等でラビング処理した基板、あるいはSiO2 を斜方蒸着した配向膜を有する基板上に塗布するか、基板間に挟持させた後、重合性化合物を重合させることによって製造することができる。
【0119】
本発明の重合性液晶組成物を基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法、などが挙げられる。また、コーティングの際、重合性液晶組成物に有機溶媒を添加することもできる。そのような目的で使用することができる有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、セロソルブ類、などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いることも、2種類以上を組み合わせて用いることもでき、その蒸気圧と重合性液晶組成物の溶解性を考慮し、適宜選択すれば良い。また、有機溶剤の添加量は、コーティング材料の90重量%以下が好ましい。90重量%以上になると、得られる膜厚が薄くなってしまう傾向にあるので好ましくない。
【0120】
添加した有機溶媒を揮発させる方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥を使用することができる。重合性液晶組成物の塗布性をさらに向上させるために、基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設ける方法、あるいは重合性液晶組成物にレベリング剤を添加する方法も有効である。特に、基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設ける方法は、重合性液晶組成物を重合させて得られる高分子と基板の密着性が良くない場合に、密着性を向上させる手段としても有効である。
【0121】
本発明の重合性液晶組成物を基板間に挟持させる方法としては、毛細管現象を利用した注入法が挙げられる。また、基板間に形成された空間を減圧し、その後、重合性液晶組成物を注入する手段も有効である。
【0122】
ラビング処理あるいはSiO2 斜方蒸着以外の配向処理の方法としては、液晶材料の流動配向を利用する方法、電場又は磁場の利用する方法が挙げられる。これらの配向手段は、単独で用いることも、2種類以上の方法を組み合わせて用いることもできる。
【0123】
さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。この方法は、例えば、ポリビニルシンナメート等の分子内に光二量化反応する官能基を有する有機薄膜、光で異性化する官能基を有する有機薄膜又はポリイミド等の有機薄膜に、偏光した光、好ましくは偏光した紫外線を照射することによって、配向膜を形成するものである。この光配向法に光マスクを適用することにより、配向のパターン化が容易に達成できるので、高分子内部の分子配向も精密に制御することができる。
【0124】
基板の形状としては、平板の他、曲面を有するものであってもよい。基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板の材料となる有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、また、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
【0125】
これらの基板を布等でラビングすることによって適当な配向性を得られない場合、公知の方法に従ってポリイミド薄膜又はポリビニルアルコール薄膜等の有機薄膜を基板表面に形成し、これを布等でラビングしても良い。また、通常のツイステッド・ネマチック(TN)素子又はスーパー・ツイステッド・ネマチック(STN)素子で使用されているプレチルト角を与えるポリイミド薄膜は、高分子内部の分子配向構造を更に精密に制御することができることから、特に好ましい。また、電場によって配向状態を制御する場合には、電極層を有する基板を使用する。この場合、電極上に前述のポリイミド薄膜等の有機薄膜を形成することが好ましい。
【0126】
液晶組成物の配向状態としては、液晶の技術分野で一般的に知られている種々の配向状態でよく、例えば、ホモジニアス(水平)配向、傾いたホモジニアス配向、ホメオトロピック(垂直)配向、傾いたホメオトロピック配向、ハイブリッド配向、ツイステッドネマチック配向、スーパーツイステッドネマチック配向状態を挙げることができる。また、これらの配向の組み合わせや、場所ごとに配向状態を変えてパターン化しても良い。
【0127】
傾いたホモジニアス配向及び傾いたホメオトロピック配向の場合、双方の場合とも基板面と液晶分子長軸のなす角度が0度又は90度以外になっている状態を意味する。基板面と液晶分子長軸のなす角度は、得られる重合体の用途・機能によって選択すれば良い。基板面と液晶分子長軸のなす角度を10〜80度、さらに好ましくは、20〜70度の範囲に設定した場合、得られる重合体は、液晶ディスプレイの視野角を広く改善するための光学部材として使用することができる。
【0128】
また、液晶組成物の配向状態をハイブリッド配向にした場合も、得られる重合体は、液晶ディスプレイの視野角を広く改善するための光学部材として使用可能である。また、基板面と液晶分子長軸のなす角度を30〜60度、さらに好ましくは、40〜50度、特に好ましくは45度に設定した場合、得られる重合体に、偏光分離能を効率良く付与することができる。このような重合体は、偏光分離素子や光学的ローパスフィルターとして有用である。また、液晶組成物の配向状態をハイブリッド配向にした場合も、得られる重合体は、偏光光学素子や光学的ローパスフィルターとして有用である。
【0129】
一方、ツイステッドネマチック配向、スーパーツイステッドネマチック配向、コレステリック配向に代表されるような螺旋構造を有する配向構造も有用である。ねじり角度を60〜270度に設定した場合、得られる重合体は、液晶表示素子の光学補償用途に有用である。また、螺旋ピッチを調節し、特定の波長領域を選択的に反射するように設定した場合、得られる重合体は、ノッチフィルターや反射型カラーフィルターとして有用である。
【0130】
また、選択的に反射する光の波長領域を赤外線の領域に設定した場合、得られる重合体は、熱線カットフィルターとして有用である。また、ホモジニアス配向、ホメオトロピック配向状態にした場合、得られる重合体は、プラスチックを延伸処理したものと比較して、屈折率の異方性が大きいため、同じ屈折率の異方性を示すものを薄く設計できるという利点がある。また、液晶セル内部に、光学補償板を作り込める可能性もある。反射型液晶表示素子の光学補償に用いる場合、この特性は重要であり、特に1/4波長板として極めて有用である。
【0131】
本発明の重合性液晶組成物を重合させる方法としては、迅速に重合する点で、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、重合性液晶組成物を2枚の基板間に挟持させた状態で重合させる場合には、少なくとも照射面側の基板は、活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。また、照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって高分子を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り、室温に近い温度、即ち、典型的には25度での温度で重合させることが好ましい。活性エネルギー線の強度は、0.1mW/cm2〜2W/cm2の範囲が好ましい。強度が0.1mW/cm2未満の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり、生産性が悪化する傾向にあり、2W/cm2を超える強度では、重合性液晶組成物が劣化する傾向にあるので好ましくない。
【0132】
本発明の重合性液晶組成物に活性光線を照射した後、得られた重合体の初期特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として、熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は、50〜250度の範囲で、熱処理時間は30秒〜12時間の範囲が好ましい。
このような方法によって製造される本発明の重合性液晶組成物からなる重合体は、基板から剥離して単体で用いることも、基板から剥離せずにそのまま用いることもできる。また、本発明の重合性液晶組成物からなる重合体は、2つ以上を積層して用いることも、他の基板に貼り合わせて用いることもできる。
【0133】
【実施例】
以下、実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0134】
<合成例1>〔液晶性アクリレート化合物の合成〕
4−ブロモ−2−フルオロフェノール48.0gとジクロロメタン250mの溶液にピリジニウムパラトルエンスルホン酸を6.3g加えた後、氷浴下でジヒドロピラン42.0gとジクロロメタン75mlの溶液を滴下漏斗から約1時間掛けて徐々に滴下した。滴下終了後に反応温度を室温にして約4時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーによって反応が終了したことを確認した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液250mlで1回洗浄、飽和食塩水250mlで1回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムより脱水した後、減圧下溶媒留去して式(S1)
【0135】
【化64】
Figure 0004929546
で表わされる化合物67.0gを得た。
【0136】
1H−NMR(300MHz、CDCl3);
ケミカルシフト=1.50〜2.08(m、6H)、3.56〜3.63(m、1H)、3.84〜3.92(m、1H)、5.38〜5.40(m、1H)、7.00〜7.32(m、3H)
【0137】
上記の合成で得られた(S1)化合物34.4g、トリメチルシリルアセチレン14.7g、ジメチルホルムイミド120ml及びトリエチルアミン45mlの溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム1.73g及びヨウ化銅0.57gを加えて撹拌しながら、80度で8時間加熱した。薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:ジクロロメタン=2:1)によって反応が終了したことを確認した後、酢酸エチル300mlを用いて反応液を希釈した。飽和塩化アンモニウム水溶液200mlで1回洗浄、飽和食塩水200mlで2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムより脱水し、減圧下溶媒留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=2:1)より精製して式(S2)
【0138】
【化65】
Figure 0004929546
で表わされる化合物32.8gを得た。
【0139】
75%テトラノルマルブチルアンモニウムフロリド34.5gとジクロロメタン60mlの溶液を氷浴下で冷やした後、上記合成した式(S2)で表わされる化合物30.7gとジクロロメタン60mlの溶液を滴下漏斗から約1時間掛けて徐々に滴下した。滴下終了後に反応温度を室温にして約3時間攪拌した。
薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;トルエン)によって反応が終了したことを確認した後、飽和食塩水150mlで2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムより脱水した後、減圧下溶媒留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(トルエン)より精製して、式(S3)
【0140】
【化66】
Figure 0004929546
で表わされる化合物22.1gを得た。
【0141】
1H−NMR(300MHz、CDCl3);
ケミカルシフト=1.50〜2.09(m、6H)、3.01(s、1H)、3.60〜3.65(m、1H)、3.85〜3.93(m、1H)、5.46〜5.48(m、1H)、7.10〜7.35(m、3H)
【0142】
上記の合成で得られた(S3)化合物22.5g、4−ヨードフェノール25.3g、ジメチルホルムイミド120ml及びトリエチルアミン35mlの溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム1.25g及びヨウ化銅0.41gを加えて30度で8時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=10:1)によって反応が終了したことを確認した後、酢酸エチル200mlを用いて反応液を希釈した。飽和塩化アンモニウム水溶液150mlで1回洗浄、飽和食塩水150mlで2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムより脱水し、減圧下溶媒留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;トルエン:酢酸エチル=10:1)より精製して式(S4)
【0143】
【化67】
Figure 0004929546
で表わされる化合物22.5gを得た。
【0144】
1H−NMR(300MHz、CDCl3);
ケミカルシフト=1.60〜2.06(m、6H)、3.62〜3.66(m、1H)、3.90〜3.98(m、1H)、5.11(s、1H)、5.47〜5.49(m、1H)、6.70〜7.41(m、7H)
【0145】
上記の合成で得られた(S4)化合物14.4g、6−ブロモヘキサノール16.7g及びジメチルホルムイミド140mlの溶液に炭酸カリウム12.7gを加えて撹拌しながら、85度で約4時間加熱した。薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;トルエン:酢酸エチル=4:1)によって反応が終了したことを確認した後、酢酸エチル200mlを用いて反応液を希釈した。飽和食塩水100mlで3回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムより脱水し、減圧下溶媒留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=4:1)によって分離した。減圧下溶媒留去した後、再結晶(クロロホルム:ヘキサン=1:3)より精製して式(S5)
【0146】
【化68】
Figure 0004929546
で表わされる化合物17.0gを得た。
【0147】
白色結晶、融点:96.5〜97.0度
1H−NMR(300MHz、CDCl3);
ケミカルシフト=1.32〜2.12(m、14H)、3.61〜3.69(m、3H)、3.88〜3.99(m、3H)、5.46〜5.48(m、1H)、6.84〜7.45(m、7H)
【0148】
上記の合成で得られた(S5)化合物7.6g及びテトラヒドロフラン70mlの溶液に10%塩酸水溶液35mlを加えて撹拌しながら、室温で約4時間反応を行った。薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;トルエン:酢酸エチル=4:1)によって反応が終了したことを確認した後、酢酸エチル200mlを用いて反応液を希釈した。飽和食塩水100mlで2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下溶媒を留去した後、粗生成物を再結晶(クロロホルム)より精製して式(S6)
【0149】
【化69】
Figure 0004929546
で表わされる化合物5.5gを得た。
【0150】
白色結晶、融点:127.0〜128.0度
1H−NMR(300MHz、CDCl3);
ケミカルシフト=1.42〜1.83(m、8H)、3.00(br.s、1H)3.56(t、2H)、4.02(t、2H)、6.92〜7.45(m、7H)
【0151】
4−ヒドロキシ安息香酸138.1g、6−クロロ−1−ヘキサノール136.1g、水酸化ナトリウム84.0g、ヨウ化カリウム25.0g、エタノール440ml及び水440mlから成る混合物を撹拌しながら、80度で32時間加熱した。得られた反応液を室温まで冷却した後、反応液に飽和食塩水1000mlを加え、反応液の水層が弱酸性になるまで希塩酸を加えた。この反応溶液に酢酸エチル1000mlを加えて反応生成物を抽出した。有機層を水洗した後、抽出溶媒を減圧留去し、さらに風乾させて、式(S7)
【0152】
【化70】
Figure 0004929546
で表わされる化合物223.9gを得た。
【0153】
式(S7)で表わされる化合物110.0g、アクリル酸133.1g、p−トルエンスルホン酸27.0g、ヒドロキノン6.0g、トルエン420ml、n−ヘキサン180ml及びテトラヒドロフラン260mlから成る混合物を加熱撹拌し、生成してくる水を留去しながら6時間還流させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液に飽和食塩水1000ml及び酢酸エチル800mlを加えて反応生成物を抽出した。有機層を水洗した後、有機溶媒を減圧留去して粗生成物231.4g得た。次に、この粗生成物を、n−ヘキサン400mlとトルエン100mlの混合物から再結晶させる操作を2回行なうことにより、式(S8)
【0154】
【化71】
Figure 0004929546
で表わされる化合物114.7gを得た。
【0155】
1H−NMR(300MHz、CDCl3);
ケミカルシフト=1.40〜1.87(m、8H)、4.03(t、2H)、4.16(t、2H)、5.80(d、1H)、6.14(d、1H)、6.44(d、1H)、6.93(d、2H)、8.07(d、2H)
【0156】
式(S7)で表わされる化合物110.0g、アクリル酸ダイマー(M−5600、東亜合成株式会社製)266.2g、p−トルエンスルホン酸27.0g、ヒドロキノン6.0g、トルエン900mlから成る混合物を加熱撹拌し、生成してくる水を留去しながら8時間還流させた。反応液を室温まで冷却した後、反応液に飽和食塩水1000ml及び酢酸エチル800mlを加えて反応生成物を抽出した。有機層を水洗した後、有機溶媒を減圧留去して粗生成物231.4g得た。次に、この粗生成物を、n−ヘキサン400mlとトルエン400mlの混合物から再結晶させる操作を2回行なうことにより、式(S9)
【0157】
【化72】
Figure 0004929546
で表わされる化合物50.4gを得た。
【0158】
1H−NMR(300MHz、CDCl3);
ケミカルシフト=1.40〜1.87(m、8H)、2.70(t、2H)、4.03(t、2H)、4.16(t、2H)、4.42(t、2H)、5.80(d、1H)、6.14(d、1H)、6.44(d、1H)、6.93(d、2H)、8.07(d、2H)
【0159】
上記の合成で得られた(S6)化合物16.4g、(S7)化合物の4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸15.3g、(S8)化合物19.1g及び塩化メチレン700mlの溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩20.1g及び4−ジメチルアミニピリジン12.8gを加えて撹拌しながら、室温で約2日間反応させた。薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;トルエン:酢酸エチル=10:1)によって反応が終了したことを確認した後、酢酸エチル200mlを用いて反応液を希釈した。飽和食塩水100mlで2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下溶媒留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;トルエン:酢酸エチル=10:1)によって分離して式(S10)
【0160】
【化73】
Figure 0004929546
【0161】
で表わされる2つ異性体の混合物としての重合性液晶組成物19.0gを得た。
得られた2つの異性体は分離困難のためにそれ以上の分離は行わなかった。式(S10)の重合性液晶組成物の昇温時における相転移温度は、結晶相−ネマチック相が2度、ネマチック相−等方性液体相が56度で、広い範囲でネマチック相を示した。
【0162】
1H−NMR(300MHz、CDCl3);
ケミカルシフト=1.44〜1.83(m、24H)、2.70(t、2H)、3.96〜4.33(m、12H)、4.45(t、2H)、5.80(m、2H)、6.13(m、2H)、6.43(m、2H)、6.85〜7.46(m、11H)、8.00(d、2H)、8.14(d、2H)
【0163】
<実施例1>〔液晶組成物の調製(1)〕
式(a−1)
【0164】
【化74】
Figure 0004929546
で表わされる液晶性アクリレート化合物50重量部及び式(a−4)
【0165】
【化75】
Figure 0004929546
【0166】
で表わされる液晶性アクリレート50重量部から成る組成物(A)を調製した。組成物(A)は、室温(25度)でネマチック液晶相を呈した。ネマチック相−等方性液体相転移温度は46度であった。また、589nmで測定したne(異常光の屈折率)は1.662で、no(常光の屈折率)は1.510、複屈折率は0.152であった。
【0167】
合成例1で得た式(S10)で表わされる液晶性アクリレート化合物10重量部及び組成物(A)90重量部から成る組成物(B)を調製した。組成物(B)は、13度からネマチック液晶相を呈した。ネマチック相−等方性液体相転移温度は51度であった。
【0168】
<実施例2>〔液晶組成物の調製(2)〕
実施例1で得た式(S10)で表わされる液晶性アクリレート化合物30重量部及び組成物(A)70重量部から成る組成物(C)を調製した。組成物(C)は、−38度からネマチック液晶相を呈した。ネマチック相−等方性液体相転移温度は60度であった。
【0169】
<実施例3>〔液晶組成物の調製(3)〕
実施例1で得た式(S10)で表わされる液晶性アクリレート化合物50重量部及び組成物(A)50重量部から成る組成物(D)を調製した。組成物(D)は、−38度からネマチック液晶相を呈した。ネマチック相−等方性液体相転移温度は56度であった。
<実施例4>〔液晶組成物の調製(4)〕
実施例1で得た式(S10)で表わされる液晶性アクリレート化合物70重量部及び組成物(A)30重量部から成る組成物(E)を調製した。組成物(E)は、2度からネマチック液晶相を呈した。ネマチック相−等方性液体相転移温度は64度であった。
以上の実施例2から実施例5に示したように合成例1で得た式(S10)で表わされる重合性液晶化合物は70重量部以上までに組成物(A)との良い相溶性を示した。また、それらの組成物は−38度から60度までの広い範囲でネマチック液晶相を呈し、優れた液晶性を示した。
【0170】
<実施例5>〔光学異方体の作製(1)〕
実施例2で調製した組成物(B)99重量部、光重合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社製)1重量部からなる組成物(F)を調製した。セルギャップ50ミクロンのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に、組成物(F)を室温にて注入した。注入後、均一な一軸配向が得られていることを確認することができた。次に、室温(25度)にてUVP社のUVGL−25を用いて1mW/cm2の紫外線を10分間照射して、組成物(F)を重合させて、重合物を得た。得られた重合物は、方向によって屈折率が異なっており、光学異方体として機能することを確認することができた。
【0171】
<実施例6>〔光学異方体の作製(2)〕
実施例3で調製した組成物(C)99重量部、光重合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社製)1重量部からなる組成物(G)を調製した。セルギャップ50ミクロンのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に、組成物(G)を室温にて注入した。注入後、均一な一軸配向が得られていることを確認することができた。次に、室温(25度)にてUVP社のUVGL−25を用いて1mW/cm2の紫外線を10分間照射して、組成物(G)を重合させて、重合物を得た。得られた重合物は、方向によって屈折率が異なっており、光学異方体として機能することを確認することができた。
【0172】
<実施例7>〔光学異方体の作製(3)〕
実施例4で調製した組成物(D)99重量部、光重合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社製)1重量部からなる組成物(H)を調製した。セルギャップ50ミクロンのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に、組成物(H)を室温にて注入した。注入後、均一な一軸配向が得られていることを確認することができた。次に、室温(25度)にてUVP社のUVGL−25を用いて1mW/cm2の紫外線を10分間照射して、組成物(H)を重合させて、重合物を得た。得られた重合物は、方向によって屈折率が異なっており、光学異方体として機能することを確認することができた。
【0173】
<実施例8>〔光学異方体の作製(4)〕
実施例5で調製した組成物(E)99重量部、光重合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社製)1重量部からなる組成物(I)を調製した。セルギャップ50ミクロンのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に、組成物(I)を室温にて注入した。注入後、均一な一軸配向が得られていることを確認することができた。次に、室温(25度)にてUVP社のUVGL−25を用いて1mW/cm2の紫外線を10分間照射して、組成物(I)を重合させて、重合物を得た。得られた重合物は、方向によって屈折率が異なっており、光学異方体として機能することを確認することができた。
【0174】
<実施例9>
実施例7で調製した組成物(G)50重量部及び酢酸エチル50重量部からなる組成物(J)を調製した。次に、5cm角のガラス基板の表面にポリイミド配向剤「AL1051」(JSR製)を用いて、膜厚約100ナノメートルのポリイミド薄膜を形成し、さらにポリイミド薄膜表面をラビング処理した。ラビング処理した表面上に、組成物(J)を乾燥膜厚10ミクロンになるようにコーティングした。酢酸エチルが自然乾燥する間に、組成物は大きく流動せず、良好な膜厚均一性を保った。酢酸エチルを自然乾燥させた後、窒素気流下でUVP社のUVGL−25を用いて2mW/cm2の紫外線を5分間照射して、組成物を重合させた。得られた重合物は方向によって屈折率が異なっており、光学異方体として機能することを確認することができた。膜厚ムラは少なかった。
【0175】
<比較例1>
実施例6において、組成物(G)に代えて、実施例1で調製した組成物(A)99重量部、光重合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社製)1重量部からなる組成物(K)を用いた以外は、実施例9と同様にして、コーティングしたところ、自然乾燥中に組成物が流動しやすく、膜厚均一性が損なわれた。酢酸エチルを自然乾燥させた後、窒素気流下でUVP社のUVGL−25を用いて2mW/cm2の紫外線を5分間照射して、組成物を重合させた。得られた重合物は方向によって屈折率が異なっており、光学異方体として機能することを確認することができたが、膜厚ムラも観察された。
【0176】
実施例9と比較例1から、本発明の重合性液晶組成物の粘度は、コーティングに適した粘度に調整されていることがわかる。本発明で使用する一般式(1)の化合物は、粘度の調整剤としても有用である。
【0177】
【発明の効果】
本発明で使用する重合性液晶化合物は、ネマチック相を示す温度範囲が広く、且つ25度以下の温度域においてもネマチック相を示し、また、他の液晶化合物との相溶性にも優れている。また、当該化合物を含有する本発明の重合性液晶組成物は、コーティングに適した粘度に調整することができる。従って、本発明の重合性液晶組成物は、例えば、位相差板、偏光板、偏光プリズム等の光学異方体、光導波路、圧電素子、非線形光学素子、各種光フィルター、コレステリック液晶相等の選択反射を利用した顔料、光ファイバー等の被覆剤への応用に極めて有用である。

Claims (5)

  1. 一般式(c2)
    Figure 0004929546
    [式中、P2及びP3は、おのおの独立的に、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、エポキシ基、ビニルオキシ基及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性官能基を表わす。S及びSは、おのおの独立的にエチレン基又はプロピレン基を表し、S及びSはエステル結合又はエーテル結合を表し、m及びnは0〜2の整数を表し、且つm+nは1〜4の整数を表す。S及びSは−(CH2V−、−(CH2VO−、−(CH2−O−C(=O)−又は−(CH2−C(=O)−O−(Vは、1〜20の整数を表わす。)で表わされる連結鎖を表し、A2 2、F1及びG1は、おのおの独立的に、
    Figure 0004929546
    (式中、pは1〜4の整数を表わす。)からなる群から選ばれる環構造を表わす。 2 は、−C(=O)−O−(CH2m−O−、−O(CH2m−O−C(=O)−、−O−(CH2m−O、−O−C(=O)−(CH2m−C(=O)−O− (mは、1〜15の整数を表わす。)からなる群から選ばれる連結鎖を表わす。Y1及びY2は、おのおの独立的に、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2− 、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O− 、 −OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−、−CH=CH−C(=O)O−及び−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選ばれる連結基を表わす。rは、0〜3の整数を表わし、qは0を表わす。]で表わされる化合物を含有することを特徴とする重合性液晶組成物。
  2. 一般式(c2)で表わされる化合物が、A2 2、F1及びG1
    Figure 0004929546
    であり、かつ、連結鎖D 2 が、−C(=O)−O−(CH2m−O−又は−O(CH2m−O−C(=O)−(mは、1〜15の整数を表わす。)である請求項1に記載の重合性液晶組成物。
  3. 一般式(c2)で表わされる化合物が、連結鎖S及び連結鎖Sが−(CH2VO−(Vは、1〜20の整数を表わす。)である請求項1に記載の重合性液晶組成物。
  4. 2及びP3がともに(メタ)アクリロイルオキシ基である請求項1に記載の重合性液晶組成物。
  5. 請求項1に記載の重合性液晶組成物の重合体から構成される光学異方体。
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