以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示す様に、第1の実施の形態にかかるプリンタ1は、用紙トレイ3に積載した用紙Pを、ピックアップローラ5によって媒体搬送経路R1の下流方向に繰り出す。
用紙トレイ3は、プリンタ1に対して着脱自在に形成される。そしてこの様な用紙トレイ3内部には、図示せぬ支持軸回りに回動可能に支持された用紙積載板7が形成される。用紙積載板7の端部は、リフトアップモータ9からの駆動力によって上下に駆動するリフトアップレバー11の動作に応じて上記支持軸周りに上下に移動する。この様な用紙トレイ3では、ユーザによって用紙Pが用紙積載板7上にセットされると、リフトアップモータ9が駆動し、リフトアップレバー11を上方に移動させる。そしてリフトアップレバー11が上方に移動すると用紙積載板7は、上記支持軸周りに回動し、用紙Pを上方に移動させる。そして用紙Pが上昇すると、用紙Pは上昇検知センサ13と接触し、上昇検知センサ13は用紙Pを検出する。
上昇検知センサ13によって用紙Pを検出すると、プリンタ1は、ピックアップローラ5の駆動を開始する。そして、ピックアップローラ5が回転駆動を開始すると、用紙Pは、媒体搬送経路R1の下流方向に繰り出される。
媒体搬送経路R1におけるピックアップローラ5の下流には、用紙Pをさらに下流に搬送するフィードローラ15、及びフィードローラ15と対に形成されたリタードローラ17が形成されている。フィードローラ15及びリタードローラ17に到達した用紙Pは、フィードローラ15及びリタードローラ17によってさらに下流に搬送される。
フィードローラ15及びリタードローラ17の下流には、用紙Pを検出する用紙センサ19、並びに用紙Pの斜行を修正する搬送ローラ21及びレジストローラ23が形成される。フィードローラ15及びリタードローラ17によって搬送された用紙Pは、用紙センサ19によって検出され、搬送ローラ21及びレジストローラ23によって斜行が修正されて、媒体搬送経路R1の下流方向に搬送される。
搬送ローラ21及びレジストローラ23の下流には、搬送ローラ25及び加圧ローラ27が形成されている。また、搬送ローラ25及び加圧ローラ27の上流には、搬送ローラ25及び加圧ローラ27の駆動開始のタイミングを検出する為の用紙センサ29が形成されている。そして、プリンタ1は、用紙センサ29によって用紙Pが搬送されたことを検出すると、搬送ローラ25及び加圧ローラ27の駆動を開始し、用紙Pを画像形成部31に搬送する。
画像形成部31は、情報処理装置等の上位装置から受信した画像情報に基づく現像剤画像を形成し、該現像剤画像を用紙P上に付着させることで、用紙P上に画像情報に基づく現像剤画像を形成する。この様な画像形成部31は、シアン色の現像剤画像を形成する現像ユニット33C、マゼンタ色の現像剤画像を形成する現像ユニット33M、イエロ色の現像剤画像を形成する現像ユニット33Y、及びブラック色の現像剤画像を形成する現像ユニット33Kを備える。また、画像形成部31は、現像ユニット33C,33M,33Y,33Kによって形成された現像剤画像を用紙P上に転写する転写ローラ35C,35M,35Y,35Kを備える。尚、各現像ユニット33C,33M,33Y,33K、及び各転写ローラ35C,35M,35Y,35Kは、それぞれ同一の構成を有する為、現像ユニット33C,33M,33Y,33K及び転写ローラ35C,35M,35Y,35Kの構成については、現像ユニット33、及び転写ローラ35と総称して詳細な説明を行う。
現像ユニット33は、現像剤を収容する現像剤カートリッジ37と、露光装置39によって形成された潜像画像を担持する感光体ドラム41と、感光体ドラム41の表面を一様に帯電させる帯電ローラ43と、感光体ドラム41上に担持された潜像画像に現像剤画像を付着させて感光体ドラム41上に現像剤画像を形成する現像ローラ45と、現像剤カートリッジ37から供給された現像剤を現像ローラ45に供給する供給ローラ47とを備える。この様な現像ユニット33は、先ず、帯電ローラ43によって感光体ドラム41の表面を一様に帯電させ、露光装置39によって感光体ドラム41の表面に画像情報に基づく潜像画像を形成する。そして、現像ユニット33は、感光体ドラム41上に形成された潜像画像に現像剤を付着することで、感光体ドラム41上に現像剤画像を形成する。これらの動作は、搬送ローラ25及び加圧ローラ27の下流に形成された書込センサ49による用紙Pの検出結果に基づいて開始される。そして、現像ユニット33は、搬送ベルトユニット51によって用紙Pが搬送されるタイミングに合せてこれらの動作を行い、用紙Pが通過する際に、転写ローラ35と共に用紙Pを挟持搬送することによって、現像剤画像を用紙P上に転写し、付着させる。
搬送ベルトユニット51は、用紙P上に現像剤画像が形成される際に、用紙Pを媒体搬送経路R1の下流方向に向けて搬送する。この様な搬送ベルトユニット51は、用紙Pを静電気力により吸着する搬送ベルト53と、搬送ベルト53に駆動力を供給するドライブローラ55と、ドライブローラ55と共に搬送ベルト53に張力を付与するアイドルローラ57とを備える。
現像ユニット33の下流には、用紙P上に付着した現像剤画像を定着させる定着装置59が形成される。定着装置59は、ハロゲンランプ等の第1の熱源61によって表面が加熱されたアッパローラ63と、第2の熱源65によって表面が加熱されると共にアッパローラ63に押圧されたロワローラ67とを備える。この様な定着装置59は、搬送ベルトユニット51から搬送された用紙Pを、媒体搬送経路R1の下流方向に向けて挟持搬送する。そして、挟持搬送された用紙P上に付着した現像剤画像は、アッパローラ63及びロワローラ67からの加圧力及び熱によって用紙P上に定着する。
その後、用紙Pは、用紙センサ69の検出結果に基づいて駆動を開始する搬送ローラ対71,73,75によって媒体搬送経路R1の最下流に形成された排紙スタッカ77に排出され、ユーザに提供される。
また、プリンタ1は、用紙トレイ3に積載した用紙Pを給紙する機構とは別に、媒体供給装置としてのマルチパーパスフィーダ79を備える。
マルチパーパスフィーダ79は、図2及び図3に示す様に、用紙Pを積載する媒体積載部材としての用紙スタッカ81と、用紙スタッカ81上に積載された用紙Pを、媒体搬送経路R2の下流方向に繰り出す媒体繰出部材としての給紙ローラ83とを備える。この様なマルチパーパスフィーダ79は、用紙スタッカ81上に積載した用紙Pを、給紙ローラ83によって媒体搬送経路R2の下流方向に繰り出す。そして、媒体搬送経路R2の下流方向に繰り出された用紙Pは、一定の区間搬送された後、媒体搬送経路R1に合流させられる。この様に、プリンタ1の媒体搬送経路は、フィードローラ15から排紙スタッカ77までの経路で構成される媒体搬送経路R1と、給紙ローラ83から媒体搬送経路R1に合流するまでの経路で構成される媒体搬送経路R2とによって構成される。以下、マルチパーパスフィーダ79の構成について、更に詳細な説明を行う。
用紙スタッカ81は、駆動軸81a回りに矢印A方向に回転することで、積載された用紙Pを上昇させる。そして用紙スタッカ81は、用紙Pを上昇させることで、用紙Pを給紙ローラ83と接触する位置、すなわち給紙ローラ83によって媒体搬送経路R2の下流方向に繰り出すことが可能な位置まで移動させる。この様な用紙スタッカ81は、昇降部材としての遊星ギヤ機構85を介して駆動モータMから供給された駆動力によって駆動する。
遊星ギヤ機構85は、駆動モータMから供給された駆動力を用いて、用紙スタッカ81上に積載された用紙Pを給紙ローラ83によって媒体搬送経路R2の下流方向に繰り出すことが可能な位置まで前記媒体積載部材を上昇させる。また、遊星ギヤ機構85は、用紙スタッカ81上に積載された用紙Pが給紙ローラ83から離れる様に用紙スタッカ81を降下させる。この様な遊星ギヤ機構85は、太陽ギヤ87と、遊星ギヤ89L,89Rと、内歯ギヤ91L,91Rとを備える。太陽ギヤ87は、ギヤ93から後述する方法で供給された駆動力に基づいて、軸87a回りを自転する。そして、太陽ギヤ87が自転することにより、太陽ギヤ87の駆動力は遊星ギヤ89L,89Rに供給される。
遊星ギヤ89L,89Rは、太陽ギヤ87から供給された駆動力に基づいて太陽ギヤ87の周りを公転すると共に、シャフト89a周りを自転し、さらに内歯ギヤ91L,91Rの内歯を駆け上がる。この様な遊星ギヤ89L,89Rは、用紙スタッカ81における媒体搬送経路R2方向と垂直方向に延在するシャフト89aを介して互いに接続される。そして、この様な遊星ギヤ89L,89Rは、それぞれ用紙スタッカ81における媒体搬送経路R2方向の端部に配置される。また、シャフト89aは、遊星ギヤ89L,89Rに固定されると共に、用紙スタッカ81における用紙Pを積載する面の下部に形成されたガイド穴81bに挿通される。そしてこの様な遊星ギヤ89L,89R及びシャフト89aは、太陽ギヤ87が矢印B方向に回転することによって太陽ギヤ87から供給された駆動力に基づいて用紙スタッカ81を駆動軸81a回りに矢印A方向に回転させる。具体的には、太陽ギヤ87からの駆動力が、太陽ギヤ87と噛み合う遊星ギヤ89Lに供給されると、太陽ギヤ87からの駆動力は、シャフト89aを介して遊星ギヤ89Rに供給される。そして、太陽ギヤ87からの駆動力に基づいて遊星ギヤ89L,89Rが同期して回転を開始すると、遊星ギヤ89L,89Rはそれぞれ内歯ギヤ91L,91Rの内歯に沿って矢印C方向に駆け上がる。すると、用紙スタッカ81は、ガイド穴81bを水平方向にスライドするシャフト89aによって上方に押し上げられ、矢印A方向に移動する。そして用紙スタッカ81が上方に押し上げられると、用紙スタッカ81上に積載された用紙Pは給紙ローラ83と接触し、給紙ローラ83が矢印D方向に駆動することによって媒体搬送経路R2の下流方向に繰り出される。
一方、用紙Pを給紙ローラ83から離す際には、太陽ギヤ87への駆動力の供給を停止する。そして太陽ギヤ87からの駆動力の供給が停止されると、遊星ギヤ89L,89Rは、自転及び公転を停止する。そして遊星ギヤ89L,89Rの自転及び公転が停止すると、遊星ギヤ89L,89Rは、用紙スタッカ81上に積載された用紙Pの重みによって、矢印C方向とは逆方向に移動する。これにより用紙Pは給紙ローラ83から離れる。この様な太陽ギヤ87とギヤ93においては、両者は離れる動作と噛み合う動作を交互に行う為、両者又は一方を正転位させて歯先を尖らせておくことが好ましい。
また、マルチパーパスフィーダ79は、駆動モータMから一定の量の駆動力が供給されている場合には駆動モータMからの駆動力を遊星ギヤ機構85の太陽ギヤ87に供給する駆動力制限部材としての駆動力制限機構95を備える。具体的には、駆動力制限機構95は、駆動モータMから供給された駆動力が一定の量以上である場合には、供給された駆動力を太陽ギヤ87に供給する。一方で、駆動力制限機構95は、駆動モータMから供給された駆動力が一定の量以下である場合には、供給された駆動力の太陽ギヤ87への供給を停止する。そして駆動モータMは、用紙センサ29の検出結果に応じて駆動力制限機構95に供給する駆動力を調整する。尚、上述の駆動力の量とは、一定の方向に供給される駆動力の量をいう。
駆動力制限機構95は、太陽ギヤ87に駆動力を供給するギヤ93と、ギヤ93と平行して配置されたギヤ97と、ギヤ93及びギヤ97の間に形成されたトルクリミッタ99と、駆動モータMからの駆動力をギヤ97に供給するギヤ101と、ギヤ93を所定の軸回りに公転させる遊星キャリア103と、遊星キャリア103に所定の付勢を与えるスプリング105とを備える。
トルクリミッタ99は、駆動モータMと遊星ギヤ機構95との間に介在し、駆動モータMから駆動力が供給されている場合には駆動モータMからの駆動力を遊星ギヤ機構95に伝達する。
ギヤ101は、ギヤ107を介して駆動モータMから供給された駆動力に基づいて軸101a回りを自転する。そして、ギヤ101に供給された駆動力は、ギヤ97に供給される。
ギヤ97は、ギヤ101から供給された駆動力に基づいてシャフト97a回りを自転すると共に、ギヤ101の軸101a回りを公転する。そしてシャフト97aは、トルクリミッタ99を介してギヤ97と、ギヤ93とを接続する。そしてトルクリミッタ99は、ギヤ93の回転速度とギヤ97の回転速度との間に差が有る場合に所定のトルクを発生させてギヤ93に供給する。この様に接続されたギヤ93及びギヤ97との間では、ギヤ101からギヤ97に供給された駆動力はトルクリミッタ99供給される。そして、ギヤ93は、トルクリミッタ99から供給された駆動力に基づいて駆動する。具体的には、ギヤ101から供給された駆動力によってギヤ97が矢印E方向に回転すると、かかる回転はトルクリミッタ99に伝達される。そして、ギヤ97の回転速度が一定の速度に達すると、トルクリミッタ99は所定のトルクを発生させてギヤ93に供給する。これによりギヤ93は矢印E方向に回転を開始する。
遊星キャリア103は、ギヤ97が軸101a回りを公転することによって、これと同期して軸101a回りを回転する。そして、遊星キャリア103は、ギヤ97がギヤ101回りを公転する動作に同期して軸101a回りを回転する。そしてこれにより遊星キャリア103は、矢印F方向に回転することによりギヤ93を太陽ギヤ87と噛み合わせ、又は矢印F方向と反対方向に回転することにより両者を離す様に駆動する。この様な遊星キャリア103は、ギヤ101の軸101aを回転可能に支持される。また、遊星キャリア103は、ギヤ93及びギヤ97が支持されるシャフト97aを支持する。
また、マルチパーパスフィーダ79は、駆動モータMからの駆動力に基づいてシャフト109に駆動力を供給するギヤ111を備える。ギヤ111は、駆動モータMから供給された駆動力に基づいてシャフト109を中心に回転する。そしてシャフト109は、ギヤ107及び給紙ローラ83を支持する。給紙ローラ83は、ワンウェイクラッチ83aを内蔵する。そして、例えばシャフト109が矢印D方向に回転すると、ギヤ107及び給紙ローラ83は、これと同期して矢印D方向に回転する。一方で、シャフト109が矢印D方向と反対方向に回転すると、給紙ローラ83は空転し、ギヤ107はシャフト109と同期して矢印D方向と反対方向に回転する。
また、マルチパーパスフィーダ79は、用紙Pが給紙される際に、用紙Pを1枚毎に分離するフリクションパッド113を備える。フリクションパッド113は、給紙ローラ83が用紙を搬送する際に、用紙Pに給紙ローラ83方向への押圧力を付加することで用紙を分離する。
ここで、給紙ローラ83と、用紙Pとの間の摩擦係数をμ1とし、フリクションパッド113と用紙Pとの間の摩擦係数をμ2とし、積載された用紙P同士の摩擦係数をμ3とすると、給紙ローラ83が用紙Pを1枚毎に搬送する為の条件としては、不等式μ1>μ2、且つ、不等式μ2>μ3を満たす必要がある。すなわち、上記摩擦係数の間では、不等式μ1>μ2>μ3が成立する。
この様なマルチパーパスフィーダ79から繰り出された用紙Pは、プリンタ1内部の媒体搬送経路R2に沿って搬送される。その後、マルチパーパスフィーダ79から繰り出された用紙Pは、上述した搬送ローラ25及び加圧ローラ27によって挟持搬送される。
搬送ローラ25は、表面をゴム等の高摩擦部材で被覆されて形成される。この様な搬送ローラ25は、ワンウェイクラッチ115を内蔵したギヤ117を介して駆動モータMから供給された駆動力に基づいて、矢印G方向に駆動する。そして、プリンタ1では、駆動モータMが正回転すると給紙ローラ83が矢印D方向に回転する様に、且つ、ギヤ117が矢印G方向と反対方向に回転する様に各部が構成される。そして、駆動モータMが逆回転すると、ギヤ111は逆回転する為給紙ローラ83は停止し、ギヤ117が矢印G方向に駆動することで搬送ローラ25は矢印G方向に駆動する。
以下、プリンタ1の駆動系統について図4を参照しながら詳細な説明を行う。
プリンタ1は、プリンタ1を構成する各部の動作を制御する制御部119と、画像形成部31を制御する画像形成制御部121と、各給紙機構を制御する給紙搬送制御部123と、搬送ベルトユニット51を制御するベルト駆動制御部125と、定着装置59を制御する定着制御部127と、ユーザによって各種情報が入力される操作部129と、用紙Pの位置を検出するセンサ群131とを備える。
制御部119は、情報処理装置等の上位装置PCから送信された画像情報を受信する。そして制御部119は、受信した画像情報に基づいて、画像形成制御部121、給紙搬送制御部123、ベルト駆動制御部125、定着制御部127、及びセンサ群131を制御し、各部材に画像情報に基づく現像剤画像を用紙P上に形成する為の処理を実行させる。
画像形成制御部121は、制御部119からの指令に応じて画像形成部31を駆動し、画像情報に基づく現像剤画像を形成する。具体的には画像形成制御部121は、制御部119によって作成された画像情報に基づく印刷情報を参照し、各部を制御する。各部の駆動開始のタイミングは、センサ群131を構成する書込センサ49の検出結果に基づいて制御部119によって算出される。
給紙搬送制御部123は、一連の画像形成処理に際して用紙Pを搬送する為に各部を制御する。具体的には、給紙搬送制御部123は、マルチパーパスフィーダ79から用紙Pを繰り出す場合には、マルチパーパスフィーダ79に対して給紙開始の指令を供給する。そしてこれを受けたマルチパーパスフィーダ79は、駆動モータMの正転駆動を開始し、用紙Pを給紙ローラ83に接触させると共に、給紙ローラ83の駆動を開始する。
また、給紙搬送制御部123は、制御部119からの指令に応じてピックアップローラ5及びリフトアップモータ9、又は給紙ローラ83を駆動し、用紙Pを媒体搬送経路R1又は媒体搬送経路R2の下流方向に繰り出す。ここで、用紙トレイ3又は用紙スタッカ81の何れから用紙Pを繰り出すかは、上位装置PCから送信された画像情報に含まれる情報に応じて変化する。
また給紙搬送制御部123は、用紙トレイ3から用紙Pを繰り出した場合には、所定のタイミングでフィードローラ15及びリタードローラ17の駆動を開始する。かかる処理は、制御部119がセンサ群131を構成する上昇検知センサ13の検出結果に応じてフィードローラ15及びリタードローラ17の駆動開始のタイミングを算出し、該タイミングを給紙搬送制御部123に供給することで実行される。また、給紙搬送制御部123は、用紙トレイ3から用紙Pを繰り出した場合には、所定のタイミングで搬送ローラ25及び加圧ローラ27の駆動を開始する。かかる処理は、制御部119がセンサ群131を構成する用紙センサ19の検出結果に応じて搬送ローラ25及び加圧ローラ27の駆動開始のタイミングを算出し、該タイミングを給紙搬送制御部123に供給することで実行される。また、給紙搬送制御部123は、所定のタイミングで搬送ローラ対71,73,75の駆動を開始する。かかる処理は、制御部119がセンサ群131を構成する用紙センサ69の検出結果に応じて搬送ローラ対71,73,75の駆動開始のタイミングを算出し、該タイミングを給紙搬送制御部123に供給することで実行される。
ベルト駆動制御部125は、制御部119からの指令に応じてドライブローラ55を駆動し、搬送ベルトユニット51を駆動する。具体的にはベルト駆動制御部125は、制御部119が書込センサ49の検出結果に基づいて算出したドライブローラ55の駆動開始のタイミングに基づいてドライブローラ55の駆動を開始する。
定着制御部127は、制御部119からの指令に応じて定着装置59を制御する。具体的には定着制御部127は、制御部119からの画像形成処理開始の指令に応じて第1の熱源61及び第2の熱源65の駆動を開始し、アッパローラ63及びロワローラ67の表面を加熱する。また定着制御部127は、制御部119からの指令に応じてアッパローラ63及びロワローラ67の駆動を開始する。
操作部129は、ユーザが各種情報を入力する操作キー129aと、ユーザに対して各種情報を表示する表示パネル129bとを備える。ユーザによって操作キー129aに入力された、例えば印刷中止の指令等は、制御部119に供給される。また、画像形成中にジャム等が発生した場合には、表示パネル129bは、制御部119の指令に応じてその旨をユーザに対して表示する。
センサ群131は、用紙Pを検出する用紙センサ19、用紙センサ29、書込センサ49、及び用紙センサ69、並びに上昇検知センサ13、図示せぬ温湿度センサ、図示せぬ現像剤画像の濃度を検出する濃度センサ、用紙トレイ3の用紙残量を検出する図示せぬ用紙残量センサ等によって構成される。そして各センサの検出結果は、制御部119に供給される。
以下、プリンタ1の動作について図5を用いて詳細な説明を行う。尚、以下では、マルチパーパスフィーダ79から用紙Pを繰り出す場合における処理について詳細な説明を行う。
上位装置PCから画像情報を受信して、一連の動作を開始すると、ステップS1においてプリンタ1は、駆動モータMを正転駆動する。具体的には、かかる処理は、制御部119が、給紙搬送制御部123に対してマルチパーパスフィーダ79からの給紙を開始する旨の指令を供給することで実行される。そして、かかる指令が供給された給紙搬送制御部123は、マルチパーパスフィーダ79に対して駆動モータMを正転駆動させる旨の指令を供給する。
マルチパーパスフィーダ79は、一連の処理の開始時には、図3に示す様な状態にある。そしてこの状態をホームポジションとして、駆動モータMが正転駆動を開始すると、給紙ローラ83及びギヤ107は、矢印D方向に駆動する。そして、ギヤ107が矢印D方向に駆動すると、ギヤ107と噛み合うギヤ101が矢印H方向に駆動する。そして、ギヤ101が矢印H方向に駆動すると、これと同期して遊星キャリア103が、スプリング105を引っ張りながら、軸101a回りに矢印F方向に駆動する。また、ギヤ101が矢印H方向に駆動すると、ギヤ101と噛み合うギヤ97が矢印E方向に駆動する。そしてギヤ97が矢印E方向に駆動して、ギヤ97の回転速度が一定の速度に達すると、トルクリミッタ99は所定のトルクを発生させる。そしてトルクリミッタ99が所定のトルクを発生させると、かかるトルクはギヤ93に伝達され、ギヤ93は矢印E方向に駆動する。そしてギヤ93が矢印E方向に駆動している状態で、ギヤ93と太陽ギヤ87が噛み合うと、ギヤ93の駆動力は太陽ギヤ87に伝達され、太陽ギヤ87が矢印B方向に駆動する。そして太陽ギヤ87が矢印B方向に駆動すると、遊星ギヤ89L,89Rは、自転しながら内歯ギヤ91L,91Rの内歯に沿って矢印C方向に移動する。そして、遊星ギヤ89L,89Rが矢印C方向に移動すると、用紙スタッカ81は、駆動軸81aを中心に矢印A方向に回転し、用紙スタッカ81上に積載された用紙Pは持ち上げられ、駆動している給紙ローラ83に接触する。これにより、マルチパーパスフィーダ79は、図7に示す様な状態となる。そして用紙Pは、フリクションパッド113によって1枚毎に分離され、媒体搬送経路R2の下流方向に繰り出される。またこのとき駆動力制限機構95は、トルクリミッタ99によって駆動モータMから供給された駆動力を制限し、遊星ギヤ89L,89Rの上昇を停止させる。これにより用紙スタッカ81は、用紙Pが給紙ローラ83によって繰り出されることが可能な位置に保持される。
次に、ステップS2においてプリンタ1は、用紙センサ29がオン状態となったか否かを判断する。かかる処理は、用紙Pの先端部が用紙センサ29を通過して用紙センサ29がオン状態となるまで繰り返し実行される。
次に、ステップS3においてプリンタ1は、用紙センサ29がオン状態となってから所定の時間が経過したか否かを判断する。本ステップにおいてプリンタ1は、用紙Pの先端が、少なくとも搬送ローラ25と加圧ローラ27とのニップ部まで到達するまで待機する。すなわち本ステップにおける所定の時間とは、用紙Pの先端が用紙センサ29を通過し、少なくとも搬送ローラ25と加圧ローラ27とのニップ部に到達するまでに要する時間をいう。そして、かかる時間は、用紙センサ29と、搬送ローラ25及び加圧ローラ27のニップ部との間の距離に応じて決定される。
次に、ステップS4においてプリンタ1は、駆動モータMを逆転駆動する。これにより、プリンタ1は、搬送ローラ25及び加圧ローラ27の駆動が開始すると共に、給紙ローラ83から用紙Pを離す。これにより、マルチパーパスフィーダ79は、図8に示す様な状態となり、既に搬送されている用紙Pは、搬送ローラ25及び加圧ローラ27によって媒体搬送経路R2の下流方向に繰り出される。具体的には、駆動モータMが逆転駆動すると、先ず、給紙ローラ83はワンウェイクラッチ83aの作用により空転し、給紙ローラ83による用紙Pの給紙動作は停止する。また、駆動モータMが逆転駆動すると、トルクリミッタ99からのトルクの発生が停止する為、ギヤ93の駆動は停止する。また、駆動モータMが停止すると、遊星キャリア103はスプリング105の付勢によって軸101a回りに、矢印F´方向に駆動する。これにより太陽ギヤ87への駆動力の供給が停止し、用紙スタッカ81は、矢印A´方向に移動する。そして、用紙スタッカ81に積載された用紙Pは、給紙ローラ83から離れ、給紙が停止する。
次に、ステップS5においてプリンタ1は、書込センサ49がオフ状態となったか否かを判断する。これにより、プリンタ1は、用紙Pの後端が書込センサ49を通過し、次の用紙Pを給紙するタイミングを計測する。
次に、ステップS6においてプリンタ1は、次のページがあるか否かを判断する。具体的には、制御部119は、上位装置PCから送信された画像情報が複数枚の用紙上に画像を印刷するものである場合には、該枚数に応じてステップS1からステップS5の処理を繰り返し実行する。そして、最後のページの印刷が終了した後、ステップS6においてプリンタ1は、駆動モータMの駆動を停止し、一連の処理を終了する。
この様にプリンタ1によれば、駆動モータMが正転駆動し、駆動モータMからギヤ93に対して矢印E方向に一定の量以上の駆動力が供給されている場合には、トルクリミッタ99によって所定のトルクを発生させて用紙スタッカ81を上昇させ、用紙Pを給紙可能な位置まで移動させることができる。一方で、繰り出された用紙Pが一定の量搬送された後、駆動モータMは、書込センサ49による用紙Pの検出結果に応じてギヤ93に対して矢印E方向の駆動力を供給する動作を停止し、逆転駆動を開始することでトルクリミッタ99によるトルクの発生を停止させる。そして、これにより用紙スタッカ81上に積載された用紙Pは、給紙ローラ83から離れ、マルチパーパスフィーダ79からの給紙を停止させることができる。
すなわち、プリンタ1は、給紙ローラ83の表面の摩擦係数が低下し、通常時の回転数で用紙Pを書込センサ49の位置まで搬送することができなくなった場合においても、書込センサ49によって用紙Pを検出するまで用紙Pの搬送を継続する為、用紙Pを確実に搬送ローラ25及び加圧ローラ27の位置まで到達させることができる。
また、プリンタ1は、従来用いられていた技術では、何らかの原因で用紙トレイがホームポジションに戻っていない場合には、用紙トレイと給紙ローラとが同一の駆動源から駆動力を供給されている為、用紙トレイをホームポジションに戻す動作に合せて給紙が行われてしまうという問題があった。しかし、本発明にかかるプリンタ1によれば、トルクリミッタ99によって用紙スタッカ81の動作と給紙ローラ83の動作とが連動しない為、用紙スタッカ81に積載された用紙Pを給紙ローラ83から離す動作によっては、用紙Pは搬送されることはない。
以下、本発明の第2の実施の形態について詳細な説明を行う。尚、第2の実施の形態では、プリンタ1と同一の構成を有する箇所がある為、以下では、差異のある構成についてのみ詳細な説明を行う。
具体的には、第2の実施の形態にかかるプリンタは、図9に示す様にフリクションパッド113に代えて、用紙Pを1枚毎に分離しながら搬送する分離搬送ローラとしてのリタードローラ201を備える。
リタードローラ201は、給紙ローラ83に押圧され、給紙ローラ83と共に用紙Pを挟持搬送することによって用紙Pを1枚毎に分離する。この様なリタードローラ201は、スプリング203によって給紙ローラ83の方向に付勢され、図示せぬ軸回りを自転可能に形成される。また、リタードローラ201の外周は、ゴム等の高摩擦部材によって被覆されている。また、リタードローラ201は、トルクリミッタ205を備える。
トルクリミッタ205は、リタードローラ201に対して設定された値以上のトルクが付加されるとリタードローラ201が空転する様に形成される。この様なトルクリミッタ205は、一方のギヤを図示せぬフレームに固定され、他方のリタードローラ201に固定されて形成される。
ここで、給紙ローラ83と、用紙Pとの間の摩擦係数をμ1とし、リタードローラ201と用紙Pとの間の摩擦係数をμ4とし、積載された用紙P同士の摩擦係数をμ3とすると、さらにリタードローラ201の半径をRとし、トルクリミッタ205に設定されたトルクの閾値をTとし、スプリング203の反力をNとすると、給紙ローラ83が用紙Pを搬送する為の条件としては、不等式μ1・N>T/R(式1)を満たす必要がある。また、上記条件のもと、リタードローラ201が用紙Pを分離する為の条件としては、不等式T/R>μ3・N(式2)を満たす必要がある。また、リタードローラ201が用紙Pを分離する際に両者の間でスリップが発生しない為の条件としては、不等式μ4>T/R(式3)を満たす必要がある。
従って、上記式1乃至式3によれば、リタードローラ201によって用紙Pを1枚毎に分離して正確に搬送する為には、
不等式:μ1>T/(N・R)>μ3、及び (式4)
不等式:μ4>T/(N・R)>μ3 (式5)
を満たす必要がある。
第2の実施の形態では、リタードローラ201を用い、さらに用紙P、給紙ローラ83、及びリタードローラ201の間で上記式4及び式5を満足させることによって、用紙Pを分離する際の性能を安定させることができる。すなわち、従来用いられていたフリクションパッドでは、フリクションパッドと用紙との間の摩擦係数の関係で用紙を分離していたが、フリクションパッドの表面の摩擦係数は、使用環境、経過時間によって大きく左右されてしまう。そして、フリクションパッドの表面が磨耗し、摩擦係数が変動すると、用紙を1枚毎に分離することが出来なくなってしまうという問題があった。しかし、第2の実施の形態では、リタードローラ201を用いる為、トルクリミッタのトルクの閾値Tと、スプリング203の反力Nによって分離条件を決定することができる。そしてこれにより、使用環境や経過時間に左右されずに、安定して用紙Pを分離することができる。
以下本発明の第3の実施の形態について詳細な説明を行う。尚、第3の実施の形態では、プリンタ1と同一の構成を有する箇所がある為、以下では、差異のある構成についてのみ詳細な説明を行う。
具体的には、第3の実施の形態にかかるプリンタは、トルクリミッタ99に代えて、図10に示す様にギヤ97の回転速度に応じてギヤ93に所定のトルクを供給する減衰部材としてのロータリーダンパ211を備える。
ロータリーダンパ211は、オイル等の一定の粘性抵抗を有する液体を筐体に封入し、その粘性によってトルクを発生させる。この様なロータリーダンパ211によれば、ギヤ97の回転速度に応じてギヤ93にトルクを供給することが可能となる。具体的には、図11に示す様に、ロータリーダンパ211を用いると、ギヤ97の回転数が上昇するに従って、ロータリーダンパ211が発生するトルクが上昇することとなる。
この様なロータリーダンパ211を用いた場合、ギヤ97が低速で回転している場合には、ロータリーダンパ211が発生するトルクが少なくなる。そしてこれによりギヤ93の回転速度は遅くなる。そして、ギヤ93の回転速度が遅くなると、太陽ギヤ87、遊星ギヤ89L,89R、及び用紙スタッカ81の駆動速度が低下し、用紙Pが給紙ローラ83に押圧される力が弱い状態が発生する。このとき、用紙Pが給紙ローラ83に押圧されていない為、用紙Pが給紙ローラ83に押圧されている場合と比較して、用紙P間の摩擦抵抗が低下する。そしてこれにより、用紙Pを分離し易くなる。
一方で、ギヤ97の回転速度が速くなると、太陽ギヤ87、遊星ギヤ89L,89R、及び用紙スタッカ81の駆動速度が上昇し、用紙Pが給紙ローラ83に押圧される力が強くなる。これにより、用紙Pと給紙ローラ83との摩擦抵抗が増加する為、用紙Pの半総力が上昇する。
すなわち、用紙Pの搬送を開始する際に駆動モータMの立ち上げた場合、駆動モータMの駆動力は次第に速度を増すが、駆動モータMの立ち上がり時におけるギヤ97の回転速度は、通常の状態と比較して遅くなる。これにより、マルチパーパスフィーダ79では、容易に用紙Pを分離することが可能となる。そして、用紙Pが分離した後に駆動モータMの駆動速度が上昇すると、ギヤ97の回転速度は次第に速くなる。そしてこのとき、マルチパーパスフィーダ79では、立ち上がり時と比較して強い搬送力を発生させることが可能となる。
この様に、ギヤ93とギヤ97との間に駆動力を減衰させるロータリーダンパ211を形成することによって、駆動モータMの駆動速度に応じて、用紙Pに伝達される力を制御することが可能となる。そして第3の実施の形態によれば、用紙Pを好適に分離し、搬送することができる。また、ギヤ93とギヤ97との間に駆動力を減衰させるロータリーダンパ211を形成することによって、用紙Pを分離する際に用紙Pを給紙ローラ83に押圧することがない為、給紙ローラ83の磨耗を低減させることができる。
以下、本発明の第4の実施の形態について詳細な説明を行う。尚、第4の実施の形態では、プリンタ1と同一の構成を有する箇所がある為、以下では、差異のある構成についてのみ詳細な説明を行う。
具体的には、第4の実施の形態にかかるプリンタは、図12に示す様に太陽ギヤ87の駆動力を減衰させるダンパ機構221を備える。
ダンパ機構221は、用紙スタッカ81を降下させる際に太陽ギヤ87の駆動力を減衰させる。この様なダンパ機構221は、太陽ギヤ87と同一軸回りを回転駆動する様に形成された従属ギヤ223と、従属ギヤ223と噛み合う様に形成されたロータリーダンパギヤ225とを備える。
従属ギヤ223は、ワンウェイクラッチ機構を備える。具体的には、従属ギヤ223は、太陽ギヤ87が矢印B方向に回転するときは空転し、太陽ギヤが矢印B方向と反対の矢印B´方向に回転するときは太陽ギヤ87と共に矢印B´方向に回転する様に形成される。
ロータリーダンパギヤ225は、従属ギヤ223が一定の速度で回転すると、従属ギヤ223の回転方向とは反対方向にトルクを発生させる。これにより、従属ギヤ223の回転速度を低下させ、ひいては太陽ギヤ87の回転速度を低下させる。この様なロータリーダンパギヤ225は、オイル等の一定の粘性抵抗を有する液体を筐体に封入し、その粘性によってトルクを発生させる。この様なロータリーダンパギヤ225によれば、従属ギヤ223の回転速度に応じてトルクを発生させることが可能となる。具体的には、図13に示す様に、ロータリーダンパギヤ225を用いると、従属ギヤ223の回転数が上昇するに従って、ロータリーダンパギヤ225が発生するトルクが上昇することとなる。これにより、駆動モータMを逆転駆動させて用紙スタッカ81を下降させる際に、太陽ギヤ87の矢印B´方向への回転速度が低下する。そしてこれにより遊星ギヤ89L,89Rの公転速度が低下し、用紙スタッカ81の下降速度が低下する。そしてこれにより用紙スタッカ81は、急激に落下せず、緩やかに落下し、用紙スタッカ81が下降した際に発する衝撃音をなくすことができる。また、用紙スタッカ81の下降速度を低下させると、用紙スタッカ81に加わる衝撃が少なくなる為、用紙スタッカ81の破損等を防止することができる。さらに、用紙スタッカ81が急激に落下した場合には、その衝撃により用紙Pが飛散し、給紙ローラ83に巻き込まれる可能性があるが、第3の実施の形態によれば、この様な事態の発生を防止することができる。
以下本発明の第5の実施の形態について詳細な説明を行う。尚、第5の実施の形態では、第3の実施の形態にかかるプリンタと同一の構成を有する箇所がある為、以下では、差異のある構成についてのみ詳細な説明を行う。
具体的には、第5の実施の形態にかかるプリンタは、太陽ギヤ87に代えて、図14に示す様に駆動力制限機構としての遊星ギヤ機構231を備える。遊星ギヤ機構231は、2段階のギヤ比によって用紙スタッカ81に駆動力を供給する。
具体的には、遊星ギヤ機構231は、用紙スタッカ81に供給する駆動力を制御する。具体的には、遊星ギヤ機構231は、用紙Pの種類に応じて複数の段階の押圧力で用紙Pを給紙ローラ83に押圧する様に、用紙スタッカ81を上昇させる。この様な遊星ギヤ機構231は、ギヤ93から駆動力が入力されるキャリア機構233と、キャリア機構233に入力された駆動力に基づいて駆動する内歯ギヤ機構235、及び2段ギヤ機構237とを備える。そして遊星ギヤ機構231は、内歯ギヤ機構235、又は2段ギヤ機構237の何れかからシャフト89aに駆動力を供給し、用紙スタッカ81を駆動する。
キャリア機構233は、遊星キャリア103によって公転するギヤ93と噛み合うことで軸X回りを自転する遊星キャリア239と、遊星キャリア239と同期して自転しながら軸X回りを公転する遊星ギヤ241,243とを備える。遊星ギヤ241,243は、それぞれポスト239a,239bを介して遊星キャリア239から駆動力を供給される。そして、遊星ギヤ241,243は、遊星キャリア239が軸X回りに回転すると、ポスト239a,239bによって軸X回りを公転させられる。この様なキャリア機構233は、回転軸穴239cに挿通される図示せぬシャフトに固定されて回転する。
内歯ギヤ機構235は、遊星ギヤ241,243と噛み合う内歯245aを有する内歯ギヤ245と、内歯ギヤ245の周囲に形成された外歯245bと噛み合う第1ギヤ部247aを有する第1フレーム247と、シャフト89a回りを回転可能に形成された遊星ギヤ249とを備える。内歯ギヤ245は、遊星ギヤ241,243が内歯245aに沿って公転することで軸X回りを自転する。そして、内歯ギヤ245が軸X回りを自転すると、内歯ギヤ245の外歯245bと噛み合っている遊星ギヤ249は、第1フレーム247に形成された第2ギヤ部247bと噛み合いながら上下方向に移動する。そして、遊星ギヤ249が第1フレーム247に形成された第2ギヤ部247bと噛み合いながら上下に移動すると、遊星ギヤ249に固定されたシャフト89aもこれに従って移動し、用紙スタッカ81も移動する。
遊星ギヤ249は、ワンウェイクラッチ249aを備える。具体的には遊星ギヤ249は、ワンウェイクラッチ249aを介してシャフト89aと固定される。そして、この様なワンウェイクラッチ249aは、遊星ギヤ249が第2ギヤ部247bを駆け上がる際には、かかる駆動力をシャフト89aに伝達し、一方で遊星ギヤ249が第2ギヤ部247bを駆け下る際には、遊星ギヤ249を空転させる。
第1フレーム247は、遊星ギヤ249の移動方向を規制すると共に、一定の場合には、内歯ギヤ245の駆動を停止させる。第1フレーム247は、図15に示す様に、内歯ギヤ245の外歯245bと噛み合う様に形成された第1ギヤ部247aと、第2ギヤ部247bが駆け上がる為の第2ギヤ部247bとを備える。第1フレーム247は、媒体搬送経路R2の下流方向(矢印Y方向)及び上流方向(矢印Z方向)にスライド可能に形成される。そして、第1フレーム247は、スプリング247cによって矢印Y方向に付勢される。そして、第1フレーム247が矢印Y方向に付勢されている状態では、第1ギヤ部247aが内歯ギヤ245の外歯245bと噛み合い、内歯ギヤ245の駆動を停止させる。またこのとき第1フレーム247は、遊星ギヤ249から離れる。
2段ギヤ機構237は、2個のギヤを配列して形成された2段ギヤ251と、シャフト89a回りを回転可能に形成された遊星ギヤ253と、第1フレーム247と略同一構成を有する第2フレーム255とを備える。
2段ギヤ251は、異なる径を有する第1ギヤ251a、及び第2ギヤ251bとを互いに固定して形成される。具体的には、第2ギヤ251bは、第1ギヤ251aと比較して径が小さくなる様に形成される。そして、第2ギヤ251bは、回転軸穴239cに挿通された図示せぬシャフトを挿通する回転軸穴251cを備える。そしてこの様な第2ギヤ251bは、内歯ギヤ245の中心部に形成された挿通孔245c内部に挿通され、遊星ギヤ241,243と噛み合う。そして、遊星ギヤ241,243が回転すると、かかる駆動力は挿通孔245cに挿通された第2ギヤ251bを介して2段ギヤ251に供給され、2段ギヤ251は、遊星キャリア239と同期して回転する。
また、第1ギヤ251aは、第2フレーム255の第1ギヤ部255aと噛み合うことができる様に形成される。また、第1ギヤ251aは、遊星ギヤ253と噛み合う様に形成される。そして、遊星ギヤ253は、遊星ギヤ249と同様に、第1ギヤ251aから供給された駆動力に基づいて第2ギヤ部255bを上下に移動する。
第2フレーム255は、矢印Y方向及び矢印Z方向にスライド可能に形成され、スプリング255cによって矢印Y方向に付勢される。そして、第2フレーム255が、矢印Y方向にスライドしている状態では、第1ギヤ部255aは、第2ギヤ251bと噛み合い、2段ギヤ251の駆動を停止させる。また、このとき第2ギヤ部255bは、遊星ギヤ253から離れる。
この様な遊星ギヤ機構231では、遊星ギヤ249によって用紙スタッカ81を上昇させる場合には、以下の様な動作を行う。先ず、ギヤ93が矢印I方向に回転すると、遊星キャリア239は、これと同期して矢印J方向に回転する。そしてこれにより遊星ギヤ241,243は、内歯ギヤ245の内歯245aに沿って矢印K方向に自転しながら軸X回りを矢印J方向に公転する。これにより内歯ギヤ245は、矢印J方向に自転する。そして、内歯ギヤ245が自転すると遊星ギヤ249は、第2ギヤ部247bを駆け上がる。そしてこれによりシャフト89aが矢印L方向に移動し、用紙スタッカ81は上昇する。一方、このとき遊星ギヤ253は、第2ギヤ部255bから離れている為、遊星ギヤ253は、シャフト89aの移動に伴って上方に移動する。
一方で、遊星ギヤ253によって用紙スタッカ81を上昇させる場合には、以下の様な動作を行う。先ず、ギヤ93が矢印I方向に回転すると、遊星キャリア239は、これと同期して矢印J方向に回転する。このとき、内歯ギヤ245は、後述する方法で第1ギヤ部247aと噛み合っており、回転しない。そして、遊星キャリア239が回転すると、遊星ギヤ241,243は、内歯ギヤ245の内歯245aに沿って自転しながら公転する為、第2ギヤ251bは、矢印J方向に回転する。そしてこれにより2段ギヤ251は矢印J方向に回転し、遊星ギヤ253は、第2ギヤ部255bを矢印L方向に駆け上がる。そしてこれにより用紙スタッカ81は上昇する。
この様な内歯ギヤ機構235、及び2段ギヤ機構237は、異なるギヤ比によって駆動し、何れかの機構からシャフト89aに駆動力を供給することによって用紙Pの搬送性能を向上させる。そして、何れかの機構からシャフト89aに駆動力を供給するかは、例えば用紙Pの品質等に応じて制御部119が判断し、図16に示す様な押圧力選択部としての切替機構257によって駆動力の供給元を切り替える。
切替機構257は、第1フレーム247又は第2フレーム255の何れか一方を矢印Z方向に押し、第1ギヤ部247a,255aによって内歯ギヤ245又は2段ギヤ251を駆動可能な状態にする。そしてこれにより、内歯ギヤ245又は2段ギヤ251のうち駆動可能となったギヤと噛み合う遊星ギヤ249,253が駆動し、シャフト89aを上下方向に移動させ、用紙スタッカ81を駆動する。具体的には、切替機構257は、軸257a回りに回転し第1フレーム247又は第2フレーム255の何れか一方を矢印Z方向に押す切替レバー259と、トグル効果により切替レバー259を静止させる板バネ261とを供える。
切替レバー259は、制御部119による制御のもと駆動する図示せぬ駆動源によって先端部259aを押圧され、軸257a回りに回転させられる。そして、切替レバー259が回転すると、切替レバー259は、先端部259aとは反対側に形成された押圧部259b,259cによって第1フレーム247又は第2フレーム255の何れか一方を矢印Z方向に押す。そして押されたフレームは、ストッパ263,265の位置まで押されると共に、第1ギヤ部247a,255aは、内歯ギヤ245又は2段ギヤ251から離れる。図示する例で説明すると、切替レバー259が、矢印M方向に回転すると、第2フレーム255は、押圧部259bによってストッパ263の位置まで押される。これにより第1ギヤ部255aは、2段ギヤ251から離れ、2段ギヤ251は回転可能となる。そしてこれにより、用紙スタッカ81は、遊星ギヤ253から供給された駆動力によって回転する。一方で、第1フレーム247は、スプリング247cによって矢印Y方向に押圧された状態である為、内歯ギヤ245は、第1ギヤ部247aと噛み合い、駆動することができない状態となる。そしてこれにより、遊星ギヤ249は回転しないこととなる。
また、切替レバー259が、矢印M´方向に回転すると、第1フレーム247は、押圧部259cによってストッパ265の位置まで押される。これにより第1ギヤ部247aは、内歯ギヤ245から離れ、内歯ギヤ245は回転可能となる。そしてこれにより、用紙スタッカ81は、遊星ギヤ249から供給された駆動力によって回転する。一方で、第2フレーム255は、スプリング255cによって矢印Y方向に押圧された状態である為、2段ギヤ251は、第1ギヤ部255aと噛み合い、駆動することができない状態となる。そしてこれにより、遊星ギヤ253は回転しないこととなる。この様な遊星ギヤ機構231の動作の切替は、制御部119が、例えばユーザが入力した用紙の種類等に応じて変更される。
この様な遊星ギヤ機構231では、内歯ギヤ245、及び2段ギヤ251のギヤ数は以下の様に決定される。
例えば、2段ギヤ251の第2ギヤ251bの歯数をZaとし、内歯ギヤ245の内歯245aの歯数をZcとし、ギヤ93の歯数をZ1とし、遊星キャリア239の歯数をZ2とし、2段ギヤ251の第1ギヤ251a及び内歯ギヤ245の外歯245bの歯数をZ3とし、第2ギヤ部247b,255bの歯数をZ4とした場合、ギヤ93から遊星ギヤ249,253までのギヤ比Gは、以下の様に決定される。第1ギヤ部255aと2段ギヤ251とが噛み合っており、2段ギヤ251の回転が規制されている場合には、ギヤ比G1は、
G1=Z2/Z1・(Za+Zc)/Zc・(Z4+Z3)/Z3
によって算出される。一方で、内歯ギヤ245の回転が規制されている場合には、ギヤ比G2は、
G2=Z2/Z1・(Za+Zc)/Za・(Z4+Z3)/Z3
によって算出される。ここで、不等式Zc>Zaを満たす為には、不等式G2>G1を満たす必要がある。そして、内歯ギヤ245の回転が規制されている場合には、用紙スタッカ81の上昇速度は遅くなる。そしてこの場合、ロータリーダンパ211が発生するトルクは減少し、用紙スタッカ81が給紙ローラ83に用紙Pを押圧する力が弱くなる。そして、遊星ギヤ機構231のギヤ比は、内歯ギヤ245と2段ギヤ251とのギヤ比が、ギヤ比G2>G1となる様に設定される。
この様に、遊星ギヤ機構231によって用紙スタッカ81上に積載された用紙Pを給紙ローラ83に押圧する力を2段階に構成することにより、様々な種類の用紙に応じて用紙Pを給紙ローラ83に押圧する力を調整することができる。そしてこれにより、第5の実施の形態にかかるプリンタによれば、例えば厚い用紙に対しては用紙を給紙ローラ83に押圧する力を低減させて用紙間の摩擦力を調整する等、好適に用紙を搬送することができる。
尚、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、各構成は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
また、上述の実施の形態では、画像形成装置の例として4色のカラープリンタを用いて詳細な説明を行ったが、本発明は、中間転写方式のプリンタ、モノクロ印刷を行うプリンタ、MFP、コピー機等についても適用可能である。