JP4898959B2 - 磁性キャリアおよび二成分系現像剤 - Google Patents
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Description
この問題を解決するためには、多孔質磁性コア粒子において、グレインが比較的大きく、且つグレイン同士が大きな接触面積を有して結合するように制御し、グレイン間の電荷移動をスムーズにする必要がある。
6.0μm以上の長さを有する磁性コア部領域の個数が、5.0個数%よりも少ない場合には、磁性キャリアに残ったトナーと逆極性のカウンター電荷を、磁性キャリア表面からスムーズに逃がすことができなくなり、トナーが現像されにくくなる。また、6.0μm以上の長さを有する磁性コア部領域の個数が、35.0個数%よりも多い場合には、磁性キャリアの穂立ちを介して電荷のリークが起こり易くなる。
フェライトとは次式で表される焼結体である。
(M12O)x(M2O)y(Fe2O3)z(式中、M1は1価、M2は2価の金属であり、x+y+z=1.0とした時、x及びyは、それぞれ0≦(x,y)≦0.8であり、zは、0.2<z<1.0である。)
混合装置内に、秤量したフェライト原料を入れ、0.1時間以上20.0時間以下、粉砕、混合する。フェライト原料としては、例えば以下のものが挙げられる。Li、Fe、Zn、Ni、Mn、Mg、Co、Cu、Ba、Sr、Y、Ca、Si、V、Bi、In、Ta、Zr、B、Mo、Na、Sn、Ti、Cr、Al、希土類金属の金属粒子、金属元素の酸化物、金属元素の水酸化物、金属元素のシュウ酸塩、金属元素の炭酸塩。
混合装置としては、例えば以下のものが挙げられる。ボールミル、遊星ミル、ジオットミル、振動ミル。特にボールミルが混合性の観点から好ましい。
混合したフェライト原料を、大気中で焼成温度700℃以上1000℃以下の範囲で、0.5時間以上5.0時間以下仮焼成し、原料をフェライトにする。焼成には、例えば以下の炉が用いられる。バーナー式焼成炉、ロータリー式焼成炉、電気炉。
工程2で作製した仮焼フェライトを粉砕機で粉砕する。
粉砕機としては、所望の粒径が得られれば特に限定されない。例えば以下のものが挙げられる。クラッシャーやハンマーミル、ボールミル、ビーズミル、遊星ミル、ジオットミル。
仮焼フェライトの微粉砕品の体積基準の50%粒径(D50)は、0.5μm以上5.0μm以下、体積基準の90%粒子径(D90)は2.0μm以上7.0μm以下とすることが好ましい。また、仮焼フェライトの微粉砕品の粒度分布を示すD90/D50が、1.5以上10.0以下にすることが好ましい。こうすることで、磁性コア部領域の個数%と、磁性コア部以外の領域の個数%を本発明で規定する範囲にコントロールしやすくなる。
仮焼フェライトの微粉砕品を上記の粒径にするために、例えば、ボールミルやビーズミルでは用いるボールやビーズの素材、運転時間を制御することが好ましい。具体的には、仮焼フェライトの粒径を小さくするためには、比重の重いボールを用いたり、粉砕時間を長くすればよい。また、仮焼フェライトの微粉砕品の粒度分布を上記範囲内に制御するためには、粒径の異なる複数の仮焼フェライトを混合することが好ましい。
ボールやビーズの素材としては、所望の粒径・分布が得られれば、特に限定されない。例えば、以下のものがあげられる。ソーダガラス(比重2.5g/cm3)、ソーダレスガラス(比重2.6g/cm3)、高比重ガラス(比重2.7g/cm3)等のガラスや、石英(比重2.2g/cm3)、チタニア(比重3.9g/cm3)、窒化ケイ素(比重3.2g/cm3)、アルミナ(比重3.6g/cm3)、ジルコニア(比重6.0g/cm3)、スチール(比重7.9g/cm3)、ステンレス(比重8.0g/cm3)。中でも、アルミナ、ジルコニア、ステンレスは、耐磨耗性に優れているために好ましい。
ボールやビーズの粒径は、所望の粒径・分布が得られれば、特に限定されない。例えば、ボールとしては、直径5mm以上60mm以下のものが好適に用いられる。また、ビーズとしては直径0.03mm以上5mm以下のものが好適に用いられる。また、ボールミルやビーズミルは、乾式より湿式の方が、粉砕品がミルの中で舞い上がることがなく粉砕効率が高い。このため、乾式より湿式の方がより好ましい。
仮焼フェライトの微粉砕品に対し、分散剤、水、バインダーと、必要に応じて、孔調整剤を加えてもよい。
孔調整剤としては、発泡剤や樹脂微粒子が挙げられる。発泡剤として、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム。樹脂微粒子として、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂;脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアルコール類及びジフェノール類から選択されるモノマーを構造単位として有するポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂の微粒子。バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコールが用いられる。
工程3において、湿式で粉砕した場合は、フェライトスラリー中に含まれている水も考慮し、バインダーと必要に応じて孔調整剤を加えることが好ましい。
得られたフェライトスラリーを、噴霧乾燥機を用い、温度100℃以上200℃以下の加温雰囲気下で、乾燥・造粒する。噴霧乾燥機としては、所望の多孔質磁性コアの粒径が得られれば特に限定されない。例えば、スプレードライヤーが使用できる。
次に、造粒品を温度800℃以上1300℃以下で1時間以上24時間以下焼成する。温度1000℃以上1200℃以下がより好ましい。昇温時間を短くし、降温時間を長くすることで、結晶成長の速度をコントロールし、所望の多孔質構造を得ることができる。焼成温度の保持時間は、3時間以上5時間以下であることが、所望の多孔質構造を得るために好ましい。磁性キャリア粒子の断面における磁性コア部領域の面積比率を50面積%以上90面積%以下にするために、上記範囲内で焼成温度や焼成時間を制御することが好ましい。焼成温度を上げたり、焼成時間を長くすることで、多孔質磁性コアの焼成が進み、その結果、磁性コア部領域の面積比率は大きくなる。
以上の様に焼成した粒子を解砕した後に、必要に応じて、分級や篩で篩分して粗大粒子や微粒子を除去してもよい。
なお、多孔質磁性コアの体積基準50%粒径(D50)は、18.0μm以上58.0μm以下であることが、トナーへの摩擦帯電付与性を良好にし、カブリの抑制と画像へのキャリア付着の防止の観点から好ましい。
このようにして得られた多孔質磁性コアは、細孔の数や大きさによっては物理的強度が低くなりやすく、壊れやすい。このため、本発明のキャリア粒子は、多孔質磁性コア粒子の孔に樹脂が充填されている。
上述した樹脂のなかでもシリコーン樹脂が特に好ましい。シリコーン樹脂としては、従来から知られているシリコーン樹脂を使用することができる。
例えば、市販品として、以下のものが挙げられる。シリコーン樹脂では、信越化学社製のKR271、KR255、KR152、東レ・ダウコーニング社製のSR2400、SR2405、SR2410、SR2411。変性シリコーン樹脂では、信越化学社製のKR206(アルキッド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レ・ダウコーニング社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキッド変性)。
上述した樹脂のなかでもシリコーン樹脂が特に好ましい。シリコーン樹脂としては、従来から知られているシリコーン樹脂を使用することができる。例えば、市販品として、以下のものが挙げられる。シリコーン樹脂では、信越化学社製のKR271、KR255、KR152、東レ・ダウコーニング社製のSR2400、SR2405、SR2410、SR2411。変性シリコーン樹脂では、信越化学社製のKR206(アルキッド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レ・ダウコーニング社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキッド変性)。
例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、エチレンジアミン、エチレントリアミン、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン。
本発明に用いられるトナーは、平均円形度が0.940以上1.000以下であることが好ましい。トナーの平均円形度が上記の範囲内にある場合には、キャリアとトナーとの離型性が良好となる。尚、平均円形度は、一視野が画像処理解像度512×512画素(1画素あたり0.37μm×0.37μm)のフロー式粒子像測定装置によって計測された円形度を、0.200以上1.000以下の円形度範囲に800分割し解析され、円相当径1.985μm以上39.69μm未満の範囲の円形度分布に基づくものである。
平均円形度が上記範囲であるトナーと、本発明の磁性キャリアとを併用することにより、現像剤としての流動性を適度にコントロールできる。その結果、現像剤担持体上における二成分系現像剤の搬送性が良好となり、また、磁性キャリアからのトナー離れが良好となり、トナーがより現像されやすくなる。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1質量部以上30.0質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上20.0質量部以下であり、最も好ましくは3.0乃至18.0質量部である。特に、ブラックトナーにおいては、8.0乃至15.0質量部である。マゼンタトナーにおいては、8.0乃至18.0質量部である。シアントナーにおいては、6.0乃至12.0質量部である。イエロートナーにおいては、8.0乃至17.0質量部である。着色剤の分散性や発色性の観点から上記の範囲で用いるのが好ましい。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂、着色剤及びワックス、必要に応じて荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(三井鉱山社製)。
更に、溶融混練することによって得られる着色された樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
粒度分布測定は、レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置「マイクロトラックMT3300EX」(日機装社製)にて測定を行う。
仮焼フェライトの微粉砕品の体積分布基準の50%粒径(D50)、体積分布基準の90%粒径(D90)の測定では、湿式用の試料循環器「Sample Delivery Control(SDC)」(日機装社製)を装着して行う。仮焼フェライト(フェライトスラリー)を測定濃度になるように試料循環器に滴下する。流速70%、超音波出力40W、超音波時間60秒とする。
測定条件は下記の通りである。
SetZero時間 :10秒
測定時間 :30秒
測定回数 :10回
溶媒屈性率 :1.33
粒子屈折率 :2.42
粒子形状 :非球形
測定上限 :1408μm
測定下限 :0.243μm
測定環境 :約23℃/50%RH
測定条件は下記の通りである。
SetZero時間 :10秒
測定時間 :10秒
測定回数 :1回
粒子屈折率 :1.81
粒子形状 :非球形
測定上限 :1408μm
測定下限 :0.243μm
測定環境 :約23℃/50%RH
磁性キャリア粒子の断面加工には、集束イオンビーム加工観察装置(FIB)、日立ハイテクノロジーズ社製FB−2100を用いる。FIB用試料台(金属メッシュ)上にカーボンペーストを塗り、その上に磁性キャリア粒子を1粒子ずつ独立して存在するように少量固着させ、導電膜として白金蒸着することで試料を作製する。試料をFIB装置にセットし、加速電圧40kV、Gaイオン源を用いて、粗加工し(ビーム電流39nA)、続いて仕上げ加工(ビーム電流7nA)を行い、試料断面を削り出す。
尚、試料とする磁性キャリア粒子は、各試料の最大径Dmaxとして、D50×0.9≦Dmax≦D50×1.1である磁性キャリア粒子を対象とする。なお、Dmaxは、キャリア粒子を固着面から平行方向に観察したときの最大径とする。さらに、各試料の固着面に対して平行な方向における、最大長を含む平面の位置を、固着面からの距離hとする(例えば、半径rの完全な球体の場合、h=rとなる)。固着面からの距離0.9×h以上1.1×h以下の範囲において、固着面に平行な方向に断面を削り出す。
断面加工した試料は、そのまま走査型電子顕微鏡(SEM)観察に適用することができる。走査型電子顕微鏡観察において、試料から放出されてくる反射電子の量は、重元素ほど多いことが知られている。例えば、有機化合物と鉄のような金属が平面状に分布している試料であれば、鉄からの反射電子の放出量がより多く検出されるため、鉄部分が画像上では明るく(輝度が高い、白く)見えることになる。一方、軽元素化合物から構成される有機化合物からの反射電子量は少ないため、画像上では暗く(輝度が低く、黒く)見えることになる。本発明の磁性キャリア粒子の断面観察においては、磁性コア部領域に由来する金属酸化物部が明るく(輝度が高い、白く)、磁性コア部以外の領域は、暗く(輝度が低く、黒く)見えるため、それぞれ大きなコントラスト差を持った画像が得られる。具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)、日立ハイテクノロジーズ社製S−4800を用いて、以下の条件にて観察する。尚、フラッシング操作を行ってから観察する。
SignalName=SE(U,LA100)
AcceleratingVoltage=5000Volt
EmissionCurrent=10000nA
WorkingDistance=4000um
LensMode=High
Condencer1=3
ScanSpeed=Slow4(40sec)
Magnification=1500
DataSize=1280x960
ColorMode=Grayscale
SpecimenBias=0V
尚、反射電子像のキャプチャは、上記条件のほか、走査電子顕微鏡S−4800の制御ソフト上で「コントラスト5、ブライトネス−5」に明るさを調整し、磁性対観察モードはOFFとし、256階調のグレースケール画像を得る。
ここで図2に、本発明の磁性キャリア粒子の加工断面のSEM反射電子画像の一例を示す。図2において、磁性キャリア粒子の加工断面領域10、磁性コア部11、樹脂部12、空隙部13、磁性キャリア表面14である。
磁性キャリア粒子の加工断面領域10のみを画像上であらかじめ指定する。尚、磁性キャリア粒子の加工断面領域と背景の境界については、反射電子観察像から容易に区別できる。粒子指定した断面領域について、256階調のグレースケール画像とする。階調値の下位より0乃至10階調を空隙部の領域、11乃至129階調を樹脂部の領域、130乃至254階調を磁性コア部領域の3領域に画像上で分割する。255階調目は加工断面領域外の背景部分とする。磁性キャリア粒子の加工断面領域10とは、磁性コア部11、樹脂部12、空隙部13であり、図3に示す。尚、本発明において、磁性コア部以外の領域とは、樹脂部2及び空隙部3を示している。
1.磁性キャリア粒子の加工断面領域における最大径をRxとする。
2.Rxの中点を磁性キャリア粒子の断面の基準点とする。さらに、中点においてRxと直交する方向の径をRyとする。
3.測定は、Rx/Ry≦1.2である磁性キャリア粒子を対象とする。
4.磁性キャリア粒子の断面の基準点を通り、10°間隔に18本引いた直線上において、0.1μm以上の長さを有する磁性コア部領域、ならびに磁性コア部以外の領域ついて、それぞれ長さ及び個数を測定する。上記の測定値より「0.1μm以上の長さを有する磁性コア部領域の全個数に対する、6.0μm以上の長さを有する磁性コア部領域」の個数(個数%)、「0.1μm以上の長さを有する磁性コア部以外の領域の全個数に対する、4.0μm以上の長さを有する磁性コア部以外の領域」の個数(個数%)とする。
5.Rx/Ry≦1.2となる粒子を対象として、該測定を25個の磁性キャリアについて繰り返し、その平均値を算出する。Rx/Ry≦1.2となる粒子の割合は、該測定が25個に達するまでに要した断面加工した粒子を分母として、算出した。
(式)Rx/Ry≦1.2となる粒子の割合=25/断面加工した粒子数×100(%)
磁性キャリア粒子の断面における磁性コア部の面積比率の測定方法は、磁性キャリア粒子の加工断面領域を画像上であらかじめ指定し、磁性キャリア粒子の断面面積とする。磁性コア部1が占める面積を磁性キャリア粒子の断面面積で除した値を、「磁性コア部の面積比率(面積%)」とする。本発明においては、前述の25個の磁性キャリア粒子について同様の測定を行い、その平均値を用いる。
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
トナー中の個数基準の4.0μm以下の粒子の個数%は、前記のMultisizer3の測定を行った後、データを解析することにより算出する。まず、前記専用ソフトでグラフ/個数%に設定して測定結果のチャートを個数%表示とする。そして、「書式/粒径/粒径統計」画面における粒径設定部分の「<」にチェックし、その下の粒径入力部に「4」を入力する。「分析/個数統計値(算術平均)」画面を表示したときの「<4μm」表示部の数値が、トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%である。
トナー中の体積基準の12.7μm以上の粒子の体積%は、前記のMultisizer 3の測定を行った後、データを解析することにより算出する。まず、前記専用ソフトでグラフ/体積%に設定して測定結果のチャートを体積%表示とする。そして、「書式/粒径/粒径統計」画面における粒径設定部分の「>」にチェックし、その下の粒径入力部に「12.7」を入力する。「分析/体積統計値(算術平均)」画面を表示したときの「>12.7μm」表示部の数値が、トナー中の12.7μm以上の粒子の体積%である。
トナーの平均円形度は、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」によって、校正作業時の測定・解析条件で測定する。
円相当径と円形度は、投影面積Sと周囲長Lを用いて求める。円形当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円形当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が真円形の時に円形度は1.000になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.2以上1.0以下の範囲を800分割したチャンネルに振り分け、各チャンネルの中心値を代表値として平均値を計算し平均円形度の算出を行う。
具体的な測定方法としては、イオン交換水20mlに、分散剤として界面活性剤、好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.02g加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製など)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはシスメックス社製パーティクルシース「PSE−900A」を使用する。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径2.00μm以上200.00μm以下に限定し、トナーの平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願の実施例では、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用し、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
ピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。試料としては、樹脂、または、トナーを用いる。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム :Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0ml/min
オーブン温度 :40.0℃
試料注入量 :0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ワックスを約10mg精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30以上200℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30以上200℃以下の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、本発明のワックスの最大吸熱ピークのピーク温度とする。また、結着樹脂またはトナーのガラス転移温度(Tg)は、結着樹脂またはトナーを約10mg精秤し、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度測定と同様に、測定する。すると、温度40℃以上100℃以下の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化前と比熱変化後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、結着樹脂またはトナーのガラス転移温度Tgとする。
<多孔質磁性コアの製造例1>
Fe2O3 56.1質量%
MnCO3 35.8質量%
Mg(OH)2 6.9質量%
SrCO3 1.2質量%
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。
その後、直径(φ)10mmのジルコニアのボールを用いた乾式ボールミルで2時間粉砕、混合した(工程1:秤量、混合工程)。粉砕、混合した後、バーナー式焼成炉を用い大気中、温度950℃で2時間焼成し、仮焼フェライトを作製した(工程2:仮焼成工程)。フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d上記式において、a=0.395、b=0.150、c=0.010、d=0.445
クラッシャーで仮焼フェライトを0.3mm程度に粉砕した後に、直径(φ)10mmのステンレスのボールを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径(φ)1.0mmのジルコニアのビーズを用いた湿式ビーズミルで1時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た(工程3:粉砕工程)。得られた仮焼フェライトの微粉砕品は、体積分布基準の50%粒径(D50)2.0μm、体積分布基準の90%粒径(D90)6.4μm、D90/D50=3.2であった。
フェライトスラリーに、バインダーとして仮焼フェライト100質量部に対してポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した(工程4:造粒工程)。電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.0体積%)で、室温から温度1100℃まで3時間で昇温し、温度1100℃で4時間焼成した。その後、8時間をかけて、温度80℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した(工程5:焼成工程)。凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)29.7μmの多孔質磁性コア1を得た(工程6:選別工程)。得られた物性を表1に示す。
多孔質磁性コア製造例1のうち、工程3のクラッシャーでの粉砕粒度を0.3mm程度から0.5mm程度に変更し、湿式ボールミルのボールを直径(φ)10mmのステンレスから直径(φ)10mmのジルコニアに、粉砕時間を1時間から2時間に変更した。湿式ビーズミルの粉砕時間を1時間から2時間に変更した。工程5の焼成温度を温度1100℃から温度1050℃に変更し、そのときの室温から焼成温度までの昇温時間を3時間から2時間に変更した以外は、多孔質磁性コア製造例1と同様にして、多孔質磁性コア2を得た。得られた物性を表1に示す。
多孔質磁性コア製造例1のうち、工程3のクラッシャーでの粉砕粒度を0.3mm程度から0.5mm程度に変更し、湿式ボールミルのボールを直径(φ)10mmのステンレスから直径(φ)10mmのジルコニアに、粉砕時間を1時間から2時間に変更した。湿式ビーズミルの粉砕時間を1時間から3時間に変更した。工程4で、フェライトスラリーに、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部と共に、孔調整剤として、炭酸ナトリウムを2.0質量部添加した。工程5の焼成温度を温度1100℃から温度1050℃に変更した以外は、多孔質磁性コア製造例1と同様にして、多孔質磁性コア3を得た。得られた物性を表1に示す。
多孔質磁性コア製造例1のうち、工程3のクラッシャーでの粉砕粒度を0.3mm程度から0.5mm程度に変更し、湿式ボールミルのボールを直径(φ)10mmのステンレスから直径(φ)10mmのジルコニアに、粉砕時間を1時間から3時間に変更した。湿式ビーズミルのビーズを直径(φ)1.0mmのジルコニア(から直径(φ)1.0mmのアルミナに、粉砕時間を1時間から2時間に変更した。工程4で、フェライトスラリーに、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部と共に、孔調整剤として、炭酸ナトリウムを0.5質量部添加した。工程5の焼成温度を温度1100℃から温度1050℃、焼成時間を4時間から2時間に変更した以外は、多孔質磁性コア製造例1と同様にして、多孔質磁性コア4を得た。得られた物性を表1に示す。
多孔質磁性コア製造例1のうち、工程1でフェライト原材料の比率を
Fe2O3 61.3質量%
MnCO3 31.0質量%
Mg(OH)2 7.7質量%
に変更した。
工程3の粉砕時間を1時間から2時間に変更した。湿式ビーズミルのビーズを直径(φ)1.0mmのジルコニアから直径(φ)1.0mmのステンレスに、粉砕時間を1時間から2時間に変更した。工程4のバインダーとして添加するポリビニルアルコールを2.0質量部から1.0質量部に変更した。工程5の焼成温度を温度1100℃から温度1200℃、焼成時間を4時間から6時間に変更した以外は、多孔質磁性コア製造例1と同様にして、多孔質磁性コア5を得た。得られた物性を表1に示す。
多孔質磁性コア製造例1のうち、工程1でフェライト原材料の比率を
Fe2O3 60.7質量%
MnCO3 32.0質量%
Mg(OH)2 6.4質量%
SrCO3 0.9質量%
に変更した。
工程3の湿式ビーズミルのビーズを直径(φ)1.0mmのジルコニアから直径(φ)1.0mmのステンレスに、粉砕時間を1時間から4時間に変更した。室温から焼成温度までの昇温時間を3時間から5時間に変更した以外は、多孔質磁性コア製造例1と同様にして、多孔質磁性コア6を得た。得られた物性を表1に示す。
多孔質磁性コア製造例1のうち、工程1でフェライト原材料の比率を
Fe2O3 60.8質量%
MnCO3 24.0質量%
Mg(OH)2 14.2質量%
SrCO3 1.0質量%
に変更した。
工程2の仮焼成温度を温度950℃から温度900℃に変更した。
工程3のクラッシャーでの粉砕粒度を0.3mm程度から0.5mm程度に変更し、湿式ボールミルのボールを直径(φ)10mmのステンレスから直径(φ)10mmのアルミナに、粉砕時間を1時間から4時間に変更した。湿式ビーズミルでの粉砕は行わなかった。工程4で、フェライトスラリーに、バインダーとしてポリビニルアルコール4.0質量部と共に、孔調整剤として、炭酸ナトリウムを4.0質量部添加した。工程5の焼成温度を1100℃から1250℃、焼成時間を4時間から5時間に変更した以外は、多孔質磁性コア製造例1と同様にして、多孔質磁性コア7を得た。得られた物性を表1に示す。
多孔質磁性コア製造例1のうち、工程1でフェライト原材料の比率を下記の様に変更した。
Fe2O3 95.4質量%
Li2CO3 4.6質量%
工程3の湿式ビーズミルの粉砕時間を1時間から20時間に変更した。工程5の焼成温度を温度1100℃から温度1150℃に変更した以外は、多孔質磁性コア製造例1と同様にして、多孔質磁性コア8を得た。得られた物性を表1に示す。
Fe2O3 73.3質量%
CuO 12.2質量%
ZuO 14.5質量%
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径(φ)10mmのジルコニアのボールを用いた乾式ボールミルで2時間粉砕、混合した(工程1:秤量・混合工程)。粉砕、混合した後、大気中、温度950℃で2時間焼成し、仮焼フェライトを作製した(工程2:仮焼成工程)。クラッシャーで0.5mm程度に粉砕した後に、直径(φ)10mmのステンレスのボールを用い、仮焼フェライト100質量部に対し水を30質量部加え、湿式ボールミルで6時間粉砕した(工程3:粉砕工程)。フェライトスラリーに、バインダーとして仮焼フェライト100質量部に対しポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で球状粒子に造粒した(工程4:造粒工程)。大気中で室温から焼成温度までの昇温時間を3時間とし、温度1300℃で4時間焼成した。その後、6時間をかけて、温度40℃まで降温し、取り出した。(工程5:焼成工程)凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、磁性コア9を得た(工程6:選別工程)。得られた物性を表1に示す。
多孔質磁性コア製造例1のうち、工程1でフェライト原材料の比率を
Fe2O3 61.8質量%
MnCO3 31.1質量%
Mg(OH)2 6.5質量%
SrCO3 0.6質量%
に変更した。
工程3の湿式ビーズミルのビーズを直径(φ)1.0mmのジルコニアから直径(φ)1/8インチ径のステンレスに変更し、1時間粉砕したのち、さらに直径(φ)1/16インチ径のステンレスビーズを用いて4時間粉砕した。工程4のバインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部から1.0質量部に変更し、工程5の室温から焼成温度までの昇温時間を3時間から5時間に変更し、雰囲気を酸素濃度0体積%にした以外は、多孔質磁性コア製造例1と同様にして、多孔質磁性コア10を得た。得られた物性を表1に示す。
シリコーンワニス(SR2411、東レ・ダウコーニング株式会社製)を固形分換算で18.0質量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.5質量部、トルエン200.0質量部を1時間混合し、樹脂液1を得た。
シリコーンワニス(SR2410、東レ・ダウコーニング株式会社製)を固形分換算で100.0質量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン10.0質量部、トルエン300.0質量部を2時間混合し、樹脂液2を得た。
スチレン・メタクリル酸メチル共重合体(共重合モル比50:50、Mw=72000)を固形分換算で22.0質量部、4級アンモニウム塩化合物(P−51、オリエント化学製)1.0質量部、トルエン200.0質量部を直径(φ)10mmのソーダガラスボールを用いて、ボールミルで1時間混合し、樹脂液3を得た。
シリコーンワニス(SR2411、東レ・ダウコーニング株式会社製)を固形分換算で20.0質量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン2.0質量部、トルエン1000.0質量部を1時間混合し、樹脂液4を得た。
シリコーンワニス(SR2411、東レ・ダウコーニング株式会社製)を固形分換算で20.0質量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン2.0質量部、導電性カーボン(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製のケッチェンブラックEC)2.0質量部、トルエン1000.0質量部を直径(φ)10mmのソーダガラスボールを用いて、ボールミルで1時間混合し、樹脂液5を得た。
工程1(樹脂充填工程):
多孔質磁性コア1の100.0質量部を混合撹拌機(ダルトン社製の万能撹拌機NDMV型)の撹拌容器内に入れ、温度30℃に保ちながら、減圧しながら窒素を導入し、樹脂液1を多孔質磁性コア1に対し樹脂成分として13.0質量部となるように減圧下で滴下し、滴下終了後2時間そのまま撹拌を続けた。その後、70℃まで温度を上げ、減圧下で溶剤を除去して、多孔質磁性コア1のコア粒子内にシリコーン樹脂組成物を充填した。冷却後、得られた磁性キャリア粒子を回転可能な混合容器内にスパイラル羽根を有する混合機(杉山重工業社製のドラムミキサーUD−AT型)に移し、窒素雰囲気下、温度200℃で2時間熱処理した後、目開き70μmの篩で分級して磁性コアを得た。
工程2(樹脂被覆工程):
この磁性コア100.0質量部を流動層コーティング装置(フロイント産業社製のスパイラフローSFC型)に入れ、給気風量0.8m3/minとした窒素を導入し、給気温度を温度80℃とした。回転ローターの回転数を1分間に1000回転とし、品温が温度50℃になった後、樹脂液2を用いてスプレーを開始した。スプレー速度3.5g/minとした。上記磁性コア100.0質量部に対して被覆樹脂量が0.8質量部となるまで被覆を行った。
樹脂充填工程における充填樹脂の種類、量、および樹脂コート工程における樹脂の種類、量を表2の様に変え、磁性キャリア2乃至11を得た。
工程1(樹脂充填工程):
多孔質磁性コア10の100.0質量部を一軸式間接加熱型乾燥機(ホソカワミクロン社製のトーラスディスクTD型)に入れ、窒素を導入しながら温度75℃に保ちながら、樹脂液4を多孔質磁性コア10に対し樹脂成分として20.0質量部となるように滴下し、滴下終了後2時間そのまま撹拌を続けた。その後、200℃まで温度を上げ、減圧下に溶剤を除去した。その後、200℃で2時間加熱を行い、冷却後、目開き70μmの篩で分級し、磁性キャリア12を得た。工程2(樹脂被覆工程)は、行わなかった。
磁性キャリア12の製造例において、工程1の充填量を20.0質量部から13.0質量部に変更した。さらに、工程2として、100.0質量部の磁性キャリア12を流動層コーティング装置(フロイント産業社製のスパイラフローSFC型)に入れ、給気風量0.8m3/minとした窒素を導入し、給気温度を温度70℃とした。回転ローターの回転数を1分間に1000回転とし、品温が温度50℃になった後、樹脂液5を用いてスプレーを開始した。スプレー速度3.5g/minとした。100.0質量部の磁性キャリア12に対して被覆樹脂量が2.0質量部となるまで被覆を行った。さらに、被覆後の熱処理を真空乾燥機に代え、窒素を流量0.01m3/minでフローさせつつ、減圧下(約0.01MPa)において温度220℃で2時間処理して、磁性キャリア13を得た。
得られた磁性キャリア1乃至13の物性を表3に示す。
(トナー1の製造例)
冷却管、攪拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を秤量した。
テレフタル酸 288質量部
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
880質量部
チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 1質量部
その後、温度210℃に加熱し、窒素を導入しながら生成する水を除去しながら9時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸61質量部を加え、温度170℃に加熱し、3時間反応させ樹脂1を合成した。GPCで求めた樹脂1の分子量は、重量平均分子量(Mw)68,000、数平均分子量(Mn)5,700、ピーク分子量(Mp)10,500、ガラス転移点(Tg)61℃であった。
樹脂1 100.0質量部
ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物〔ボントロンE88(オリエント化学工業社製)〕 1.0質量部
精製ノルマルパラフィン(DSC最大吸熱ピークのピーク温度65℃)
5.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 5.5質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度120℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)に溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物1を得た。次に、得られた粗砕物1を、ターボ工業社製のターボ・ミル(T−250:RSSローター/SNBライナー)を用いて、5μm程度の微粉砕物1を作製した。
次に、得られた微粉砕物1の100質量部に対してAEROSIL R972(日本アエロジル社製)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した。次に、得られた混合物を図1に示す表面改質装置により表面改質を行った。表面改質時の条件は、原料供給速度は2.0kg/h、熱風の吐出温度は温度210℃で表面改質を行った。次に、コアンダ効果を利用した風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)で分級しで微粉及び粗粉を同時に分級除去して、トナー粒子1を得た。得られたトナー粒子1の100.0質量部に、STT−30A(チタン工業社製)1.0質量部、AEROSIL R972(日本アエロジル社製)1.0質量部を、外添混合し、トナー1を得た。トナー1の重量平均粒径(D4)は6.2μm、4.0μm以下である粒子が個数基準で21.3個数%、12.7μm以上である粒子が体積基準で1.0体積%、平均円形度は0.969であった。
トナー1の製造例において、得られた微粉砕物1を、ハンマー形状と数を改良したホソカワミクロン社製の粒子設計装置(製品名:ファカルティ)を用いて、分級と同時に球形化を行い、トナー粒子2を得た。上記以外は、トナー1の製造例と同様にしてトナー2を得た。トナー2の重量平均粒径(D4)は5.5μm、4.0μm以下である粒子が個数基準で27.6個数%、12.7μm以上である粒子が体積基準で0.4体積%、平均円形度は0.950であった。
スチレンモノマー100.0質量部に対して、C.I.ピグメントブルー15:3を16.5質量部、ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミ化合物〔ボントロンE88(オリエント化学工業社製)〕を3.0質量部用意した。これらを、アトライター(三井鉱山社製)に導入し、直径(φ)1.25mmのジルコニアビーズ140質量部を用いて3.3s-1(200rpm)にて温度25℃で180分間撹拌を行い、マスターバッチ分散液1を調製した。
・マスターバッチ分散液1 40.0質量部
・スチレンモノマー 67.0質量部
・n−ブチルアクリレートモノマー 19.0質量部
・エステルワックス (吸熱ピーク温度=66℃) 12.0質量部
・ジビニルベンゼン 0.2質量部
・飽和ポリエステル(ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物、テレフタル酸、無水トリメリット酸の重縮合物、Mp=11,000) 5.0質量部
上記処方を55℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、83.3s-1(5,000rpm)にて均一に溶解・分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3.5質量部を溶解し、モノマー組成物を調製した。前記水系媒体中に上記モノマー組成物を投入し、温度60℃,N2雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて233.3s-1(14,000rpm)で撹拌し、モノマー組成物を造粒した。
その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、5時間経過時に昇温速度40℃/hで温度80℃に昇温し5時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去した。冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、6時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解した。この後、ろ過、イオン交換水による水洗、乾燥をして、トナー粒子3を得た。
上記以外は、トナー1の製造例と同様にしてトナー3を得た。得られたトナー3の重量平均粒径(D4)は4.5μm、4.0μm以下である粒子が個数基準で33.1個数%、12.7μm以上である粒子が体積基準で0.0体積%、平均円形度は0.991であった。GPCで求めたトナー3のTHF可溶分の分子量は、重量平均分子量(Mw)40,000、数平均分子量(Mn)11,500、ピーク分子量(Mp)28,000であった。
トナー1の製造例において、得られた微粉砕物1を、エルボージェット分級機(日鉄鉱業社製)により風力分級してトナー粒子4を得た。このトナー粒子4の重量平均粒径(D4)は5.1μm、4.0μm以下である粒子が個数基準で34.8個数%、12.7μm以上である粒子が体積基準で0.6体積%、平均円形度は0.939であった。上記以外は、トナー1の製造例と同様にしてトナー4を得た。
トナー1の製造例において、得られた粗砕物1を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕物2とした。得られた微粉砕物2をエルボージェット分級機(日鉄鉱業社製)により風力分級してトナー粒子5を得た。このトナー粒子5の重量平均粒径(D4)は8.9μm、4.0μm以下である粒子が個数基準で11.7個数%、12.7μm以上である粒子が体積基準で5.2体積%、平均円形度は0.932であった。上記以外は、トナー1の製造例と同様にしてトナー5を得た。
次に、作製した磁性キャリアとトナーを表5のように組み合わせて、二成分系現像剤を作製した。二成分系現像剤は、磁性キャリア90.0質量%、トナー10.0質量%の配合割合とし、V型混合機で5分間混合した。得られた二成分系現像剤を、以下の評価方法に基づいて評価した。その結果を表6に示す。
印刷環境 常温常湿環境:温度23℃/湿度60%RH(以下「N/N」)
高温高湿環境:温度30℃/湿度80%RH(以下「H/H」)
紙 レーザービームプリンター用紙CS−814(81.4g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
1画素を1ドットで形成するドット画像(FFh画像)を作成した。紙上の1ドットあたりの面積が、20,000μm2以上25,000μm2以下となるように、レーザービームのスポット径を調整した。デジタルマイクロスコープVHX−500(レンズワイドレンジズームレンズVH−Z100・キーエンス社製)を用い、ドット1,000個の面積を測定した。ドット面積の個数平均(S)とドット面積の標準偏差(σ)を算出し、ドット再現性指数を下記式により算出した。
ドット再現性指数(I)=σ/S×100
A:Iが4.0未満
B:Iが4.0以上6.0未満
C:Iが6.0以上8.0未満
D:Iが8.0以上
N/N及びH/Hにて00h画像を10枚プリントアウトし、10枚目の紙上の平均反射率Dr(%)をリフレクトメーター(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。一方、画像を出力していない紙上の反射率Ds(%)を測定し、カブリ(%)は下記式から算出した。
カブリ(%)=Dr(%)−Ds(%)
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.0%未満
C:1.0%以上2.0%未満
D:2.0%以上
A3紙全面に90h画像を3枚出力し、3枚目の画像を評価に用いた。画像均一性の評価は、5箇所の画像濃度を測定し、最大値と最小値との差を求めた。画像濃度は、X−Riteカラー反射濃度計(Color reflection densitometer X−Rite 404A)で測定した。
A:0.04未満
B:0.04以上0.08未満
C:0.08以上0.12未満
D:0.12以上
N/N及びH/Hにおける耐久後、5cm×5cmの大きさのFFh画像を3枚出力し、3枚目の画像濃度を測定した。評価機本体をそのまま各環境に3日間放置した後、5cm×5cmの大きさのFFh画像を1枚出力し、その画像濃度を測定し、放置前後の濃度差を評価した。尚、濃度は前述のX−Riteカラー反射濃度計を用いて測定した。
A:0.00以上0.05未満
B:0.05以上0.10未満
C:0.10以上0.20未満
D:0.20以上
N/Nにおける、耐久前後でのキャリア付着を評価した。00h画像を印刷し、静電荷像担持体(感光ドラム)上を透明な粘着テープを密着させてサンプリングし、1cm×1cm中の静電荷像担持体上に付着していた磁性キャリア粒子の個数をカウントし、1cm2当りの付着キャリア粒子の個数を算出した。
A:3個以下
B:4個以上10個以下
C:11個以上20個以下
D:21個以上
Claims (5)
- 多孔質磁性コア粒子の孔に樹脂を充填した磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、
該磁性キャリア粒子を試料台に固着させ、固着面に対して平行な方向における該磁性キャリア粒子の最大長を含む平面と該固着面との距離をhとし、
該固着面からの距離0.9×h以上1.1×h以下の範囲で、該固着面に平行な方向に該キャリア粒子を切断したときの該磁性キャリア粒子の断面を、走査型電子顕微鏡により撮影した反射電子像において、該磁性キャリア粒子の該断面の最大径の中点を基準点として、該基準点を通り、10° 間隔に18本直線を引いたときに、下記(a)及び(b)を満たす磁性キャリア粒子を80個数%以上含有することを特徴とする磁性キャリア。
(a)該直線上における0.1μm以上の長さを有する磁性コア部領域の個数に対する、6.0μm以上の長さを有する磁性コア部領域の個数が、5.0個数%以上35.0個数%以下である。
(b)該直線上における0.1μm以上の長さを有する磁性コア部以外の領域の個数に対する、4.0μm以上の長さを有する磁性コア部以外の領域の個数が、1.0個数%以上15.0個数%以下である。 - 走査型電子顕微鏡により撮影された前記磁性キャリア粒子の断面の反射電子像において、前記磁性コア部領域の面積比率が、該磁性キャリア粒子の断面の面積に対して、50面積%以上90面積%以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁性キャリア。
- 前記磁性キャリア粒子は、前記多孔質磁性コア粒子の孔に樹脂が充填されている粒子の表面をさらに樹脂で被覆した粒子であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の磁性キャリア。
- 磁性キャリアとトナーとを少なくとも含有する二成分系現像剤であり、該磁性キャリアは、請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性キャリアであることを特徴とする二成分系現像剤。
- 前記トナーの粒度分布において、4.0μm以下である粒子の含有量が個数基準で35.0個数%以下であり、12.7μm以上である粒子の含有量が体積基準で3.0体積%以下であることを特徴とする請求項4に記載の二成分系現像剤。
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