JP2019128516A - トナー - Google Patents
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Abstract
Description
オンデマンド印刷には、メンテナンス性を向上させるために、トナーカートリッジの印刷可能枚数の増加が求められている。
また、印刷待ち時間を短くするために、一枚目の印刷物が出力されるまでの時間であるFPOT(First Print Out Time)やFCOT(First Copy Out Time)の短縮が求められている。
さらには、フルカラー画像の高精細化など幅広い要望がある。
FPOTやFCOTの短縮のためには、帯電立ち上がり性を向上させたトナーが求められる。また、トナーカートリッジの印刷可能枚数の増加のためには、多数枚印刷によっても高い帯電立ち上がり性を維持(以下、帯電立ち上がり性維持ともいう)させたトナーが求められる。
さらに、高精細なフルカラー画像のためには、色再現性が高く、かつトナー飛散が起きないトナーが求められる。
前記目的のために、数々の検討が行われている。
また、特許文献2では、トナー表面に付着させた微粒子を他部材へ移行しにくくすることにより帯電立ち上がり性を維持させる方法として、トナー表面に無機微粒子を付着させた後に、シランカップリング剤由来の膜で被覆する方法が開示されている。
一方、特許文献3では、トナー飛散の防止を目的として、結着樹脂の末端基の置換や樹脂合成の反応条件の加速などを行うことによって、トナー表面の全ての測定点を同一極性にするトナーの検討が行われている。
特許文献2に記載のトナーでは、シランカップリング剤由来の膜で被覆することで無機微粒子を従来よりも他部材へ移行しにくくすることができた。しかし、高速な帯電プロセスの様にトナーに高い負荷がかかる場合には、無機微粒子がトナーから他部材へと移行し
、帯電立ち上がり性が維持できないことがあった。
また、特許文献3では、全ての測定点を同一極性にするために結着樹脂の末端をフェノキシ酢酸や安息香酸で置換する方法が開示されている。しかし、これによってトナー全体の極性が高くなるため、トナー飛散は抑制できているが、トナー1粒子当たりの帯電量が高くなりすぎることがあった。帯電量が高くなりすぎると、トナーの紙に対する載り量が少なくなり、得られる画像の色再現性が低下する。
このように、帯電立ち上がり性が高い水準で維持され、色再現性が高く、かつトナー飛散が抑制されたトナーの提供は困難であった。
すなわち、本発明は、帯電立ち上がり性が高い水準で維持され、色再現性が高く、かつトナー飛散が抑制されたトナーを提供するものである。
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の表面に、有機ケイ素縮合体を含む層を有し、
該有機ケイ素縮合体を含む層が、さらに、第3族から第13族までに属する全ての金属元素から選択される少なくとも一の金属元素を含む化合物と、多価酸と、の反応物を含有し、
走査型電子顕微鏡を用い倍率5万倍で撮影された該トナーの反射電子像において、
該反応物の面積の平均値が、10nm2以上5000nm2以下であり、
該反応物の面積の変動係数が、10.0以下であることを特徴とするトナーに関する。
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の表面に、有機ケイ素縮合体を含む層を有し、
該有機ケイ素縮合体を含む層が、さらに、第3族から第13族までに属する全ての金属元素から選択される少なくとも一の金属元素を含む化合物と多価酸との反応物を含有し、
走査型電子顕微鏡を用い倍率5万倍で撮影された該トナーの反射電子像において、
該反応物の面積の平均値が、10nm2以上5000nm2以下であり、
該反応物の面積の変動係数が、10.0以下であることを特徴とするトナーである。
また、走査型電子顕微鏡を用い倍率5万倍で撮影された該トナーの反射電子像において、該反応物の面積の平均値は10nm2以上5000nm2以下であり、10nm2以上3000nm2以下であることが好ましく、10nm2以上2000nm2以下であることがより好ましい。
該反応物の面積の平均値が10nm2以上である場合、該反応物の特性を発揮しやすくなるため、他部材との摺擦によって帯電しやすくなる。
一方、該反応物の面積の平均値が5000nm2以下である場合、トナー粒子や有機ケイ素縮合体との接触面積が十分に大きくなるため、該反応物がトナー粒子から他部材へ移行しにくくなる。
反応物の面積の変動係数が10.0以下である場合、反応物の大きさのバラツキが少なくなる。これにより、電荷を持ちやすい反応物の帯電量にバラツキが少なくなるので、トナー粒子が均一に帯電する。
さらに、変動係数が10.0以下であることで、反応物がトナー粒子から他部材へ移行しにくくなる。この要因は以下のように考えている。
該反応物の面積の変動係数が10.0より大きい場合、トナー粒子の表面における該反応物の大きさのバラつきが大きい。そのような場合、トナー粒子の表面の一部に外力が集中し、反応物が他部材へ移行しやすくなる。これに対して、該反応物の大きさのバラつきが小さい場合、トナー粒子全体に外力が分散してかかるようになり、該反応物の他部材へ移行が抑制される。
該反応物の面積の平均値、及び、反応物の面積の変動係数を上記範囲に調整する方法については後述する。
該反応物の形態は、微粒子であることが好ましい。
すなわち、有機ケイ素縮合体を含む層が、第3族から第13族までに属する全ての金属元素から選択される少なくとも一の金属元素を含む化合物と、多価酸と、の反応物を含む微粒子を含有することが好ましい。
第3族から第13族までに属する全ての金属元素から選択される少なくとも一の金属元素を含む化合物と多価酸との反応物を、トナー粒子の表面に有することでトナー粒子の抵抗値が下がる。また、該金属元素を含む化合物を通して帯電部材からトナー粒子へと電荷の移動がスムーズに起こるために、トナーの帯電立ち上がり性に優れる。
具体的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、銅、鉄、銀、亜鉛、インジウム、アルミニウム、などが挙げられる。
また、該金属元素のポーリングの電気陰性度は、1.25以上1.85以下であることが好ましく、1.30以上1.65以下であることがより好ましい。
電気陰性度が上記範囲の金属元素を含む化合物は、吸湿性が抑えられることに加え、該化合物内での分極が大きくなるため、帯電立ち上がり性に対する効果をより向上させることができる。
なお、ポーリングの電気陰性度としては「日本化学会編(2004)『化学便覧 基礎編』改訂5版、表表紙裏の表、丸善出版」記載の値を用いた。
一方、第1族及び第2族の金属元素のみを含有する化合物は不安定であり、空気中の水と反応したり、空気中の水を吸収したりすることで特性が変化しやすいため、長期使用時に性能が変化しやすい。
2価以上の酸と、上記金属元素を含む化合物との反応物は、化合物と多価酸との間で架橋構造を作り、その架橋構造により電子の移動を促進し、帯電立ち上がり性を向上させる。
該多価酸としては、具体的には以下のものがあげられる。
リン酸、炭酸、硫酸などの無機酸;ジカルボン酸、トリカルボン酸などの有機酸。
有機酸の具体例としては、以下のものがあげられる。
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのジカルボン酸。
クエン酸、アコニット酸、無水トリメリット酸などのトリカルボン酸。
そのなかでも、多価酸が、炭酸、硫酸、及びリン酸からなる群より選ばれる少なくとも一つを含有することが、金属元素を含む化合物と強固に反応し、吸湿しにくいため好ましい。より好ましくは、多価酸が、リン酸を含有することである。
該多価酸は、多価酸をそのまま用いてもよいし、多価酸とナトリウム、カリウム、リチウムなどとのアルカリ金属塩;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどとのアルカリ土類金属塩;又は、多価酸のアンモニウム塩として用いてもよい。
また、多価酸と上記金属元素を含む化合物との反応物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
リン酸とチタンを含む化合物との反応物、リン酸とジルコニウムを含む化合物との反応物、リン酸とアルミニウムを含む化合物との反応物、リン酸と銅を含む化合物との反応物、リン酸と鉄を含む化合物との反応物などに代表されるリン酸金属塩;硫酸とチタンを含む化合物との反応物、硫酸とジルコニウムを含む化合物との反応物、硫酸と銀を含む化合物との反応物などに代表される硫酸金属塩;炭酸とチタンを含む化合物との反応物、炭酸とジルコニウムを含む化合物との反応物、炭酸と鉄を含む化合物との反応物などに代表される炭酸金属塩。
これらのうち、リン酸金属塩、炭酸金属塩が好ましい。
そのなかでも、リン酸金属塩は、リン酸イオンが金属間を架橋することで強度が高く、分子内にイオン結合を有することで帯電立ち上がり性にも優れており、好ましい。
より具体的には、リン酸とチタンを含む化合物との反応物、リン酸とジルコニウムを含む化合物との反応物、及びリン酸とアルミニウムを含む化合物との反応物からなる群より選ばれる少なくとも一つを含有することが好ましい。
トナー粒子が、その表面に有機ケイ素縮合体の層を有することで、上記多価酸と金属元素を含む化合物との反応物が、帯電部材との摺擦で帯電することによって発生した電荷をトナー粒子全体に速やかに移動させることができる。
これによって、帯電立ち上がり性が向上すると考えられる。
また、有機ケイ素縮合体は、上記多価酸と金属元素を含む化合物との反応物と結合することによって、該反応物をトナー粒子から他部材へ移行しにくくする。
この理由は、該反応物に含有される多価酸のカルボキシ基が有機ケイ素縮合体のシラノールと結合するためであると考えている。
有機ケイ素縮合体はトナー粒子全体を被覆する必要は無いため、トナー粒子表面に連続的に存在してもよいし、不連続に存在してもよい。
トナー粒子の表面に、該反応物を含有する有機ケイ素重合体を含む層を有し、かつ、該反応物の面積の平均値、及び、反応物の面積の変動係数を上記範囲に制御することで、帯電立ち上がり性が顕著に向上するとともに、長期にわたり帯電均一性が維持される。
その結果、多数枚印刷を実施した場合であっても、トナー飛散及びカブリの発生が抑制される。また、トナー粒子1粒子当たりの帯電量が高くなりすぎることもなく、トナーの紙に対する載り量の減少が抑制され、色再現性に優れる。
omic%以上40.0atomic%以下であることが好ましい。
該Si(ケイ素)元素の含有率は、0.5atomic%以上30.0atomic%以下であることがより好ましく、1.0atomic%以上20.0atomic%以下であることがさらに好ましい。
該Si元素の含有量が、0.1atomic%以上である場合、多価酸と上記金属元素を含む化合物との反応物がトナー粒子から他部材へ移行しにくくなる。
一方、該Si元素の含有量が40.0atomic%以下である場合、多価酸と上記金属元素を含む化合物との反応物が、適度にトナー粒子表面に露出することで、他部材との摺擦によって帯電しやすくなる。
トナー粒子表面のSi元素の含有率は、トナー粒子の製造において、有機ケイ素化合物の添加量で制御することができる。
その中でも、式(1)中のnが2〜4の整数である有機ケイ素化合物を用いた場合、有機ケイ素縮合体がシロキサン結合によって形成されるため、好ましい。
式(1)中、Raは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、又は(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは1〜3の)アルコキシ基を示し、Rbは、それぞれ独立して、(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは1〜6の)アルキル基、(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは1〜4の)アルケニル基、(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは1〜4の)アシル基、(好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは6〜10の)アリール基、又はメタクリロキシアルキル基(好ましくはメタクリロキシプロピル基)を示す。nは1〜4(好ましくは2〜4)の整数を示す。
一官能の有機ケイ素化合物として、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリイソブチルメトキシシラン、トリイソプロピルメトキシシラン、トリ2−エチルヘキシルメトキシシランなどが挙げられる。
二官能の有機ケイ素化合物として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
三官能の有機ケイ素化合物として、下記化合物が挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン;
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシランなどの三官能のアルキル基含有シラン化合物;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシランなどの三官能のアルケニル基含有シラン化合物;
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどの三官能のアリール基含有シラン化合物;
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジエトキシメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルエトキシジメトキシシランなどの三官能のメタクリロキシアルキル基含有シラン化合物;など。
四官能の有機ケイ素化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられる。
また、二種類以上の有機ケイ素化合物を併用してもよい。併用する有機ケイ素化合物としては、特に限定されるものではないが、式(1)で表される有機ケイ素化合物などが挙げられる。
該結着樹脂としては、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。
ビニル系樹脂の製造に用いることのできる重合性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;
アクリル酸メチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどのメタクリル酸エステル;
アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;
マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸;
マレイン酸無水物などの不飽和ジカルボン酸無水物;
アクリロニトリルなどのニトリル系ビニル単量体;塩化ビニルなどの含ハロゲン系ビニル単量体;
ニトロスチレンなどのニトロ系ビニル単量体;などが挙げられる。
中でも、結着樹脂として、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
乳化凝集法や懸濁重合法などによって結着樹脂を得る場合、重合性単量体としては、特段の制限なく従来公知の単量体を用いることができる。
具体的には、上記ビニル系単量体が挙げられる。
具体的には以下のものが挙げられる。
過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化−tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸−tert−ヒドロペルオキシド、過ギ酸−tert−ブチル、過酢酸−tert−ブチル、過安息香酸−tert−ブチル、過フェニル酢酸−tert−ブチル、過メトキシ酢酸−tert−ブチル、過N−(3−トルイル)パルミチン酸−tert−ブチルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレ−ト、t−ブチルパーオキシイソブチレ−ト、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどに代表される過酸化物系重合開始剤;
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどに代表されるアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;など。
該着色剤としては、従来公知のブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の顔料及び染料、他の色の顔料及び染料、並びに、磁性体などを用いることができる。
ブラック着色剤としては、カーボンブラックなどに代表されるブラック顔料などが用いられる。
イエロー着色剤としては、モノアゾ化合物;ジスアゾ化合物;縮合アゾ化合物;イソインドリノン化合物;ベンズイミダゾロン化合物;アントラキノン化合物;アゾ金属錯体;メチン化合物;アリルアミド化合物などのイエロー顔料及びイエロー染料などが挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントイエロー74、93、95、109、111、128、155、174、180、185、C.I.ソルベントイエロー162などが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、モノアゾ化合物;縮合アゾ化合物;ジケトピロロピロール化合物;アントラキノン化合物;キナクリドン化合物;塩基染料レーキ化合物;ナフトール化合物:ベンズイミダゾロン化合物;チオインジゴ化合物;ペリレン化合物などのマゼンタ顔料及びマゼンタ染料などが挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19などが挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物;塩基染料レーキ化合物などのシアン顔料及びシアン染料などが挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66などが挙げられる。
着色剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
また、トナーは、磁性体を含有させて磁性トナーとすることも可能である。
この場合、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。
磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどに代表される酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルなどに代表される金属又はこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムなどの金属との合金及びその混合物などが挙げられる。
ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチルなどの1価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
セバシン酸ジベヘニルなどの2価カルボン酸とモノアルコールのエステル類;
ヘキサンジオールジベヘネートなどの2価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
グリセリントリベヘネートなどの3価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテートなどの4価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートなどの6価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ポリグリセリンベヘネートなどの多官能アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;カルナバワックス、ライスワックスなどの天然エステルワックス類;
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなどの石油系炭化水素ワックス及びその誘導体;
フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィン系炭化水素ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;
ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸;酸アミドワックスなど。
ワックスの含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して、離型性の
観点から、1.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましく、5.0質量部以上20.0質量部以下であることがより好ましい。
具体的には、負帯電制御剤として以下の、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸などの芳香族カルボン酸の金属化合物又は該芳香族カルボン酸の金属化合物を有する重合体又は共重合体;
スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体;
アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩又は金属錯体;
ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンなどが挙げられる。
一方、正帯電制御剤として以下の、四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;ニグロシン系化合物;イミダゾール化合物などが挙げられる。
なお、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸などのスルホン酸基含有ビニル系モノマーの単重合体又は結着樹脂の項に示したビニル系単量体と前記スルホン酸基含有ビニル系モノマーの共重合体などを用いることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して、0.01質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。
ただし、さらなる改善を目的として、外部添加剤を含有してもよい。
該外部添加剤としては特段の制限なく従来公知の外部添加剤を用いることができる。
具体的には以下の;湿式製法シリカ、乾式製法シリカなどの原体シリカ微粒子又はそれら原体シリカ微粒子にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルなどの処理剤により表面処理を施したシリカ微粒子;フッ化ビニリデン微粒子、ポリテトラフルオロエチレン微粒子などの樹脂微粒子などが挙げられる。
外部添加剤の含有量は、トナー粒子100.0質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。
トナー粒子の製造方法は特に限定されないが、以下のような製造方法が挙げられる。
トナー母粒子を作製し、該トナー母粒子に多価酸と上記金属元素を含む化合物との反応物(以下単に、反応物ともいう)を付着させる。
その後、トナー母粒子を有機ケイ素縮合体で被覆する。
該製造方法を用いた場合、上記反応物の面積の平均値、及び、反応物の面積の変動係数を上記範囲に容易に調整することができる。
より具体的には、反応物の面積の平均値、及び、反応物の面積の変動係数は、多価酸と上記金属元素を含む化合物との反応物の生成時に、金属元素を含む化合物の添加量、反応温度、及び反応pH、並びに、有機ケイ素縮合体を形成する有機ケイ素化合物の種類、添加量及び添加時期などによって制御することが可能である。
該反応物の付着と有機ケイ素縮合体での被覆は同時に行ってもよいし、それぞれ別に行ってもよい。以下で、その詳細を述べるがこれらに限定されるわけではない。
水系媒体中でトナー母粒子を製造した場合は、そのまま水分散液として用いてもよく、洗浄やろ過、乾燥を行った後、水系媒体中に再分散させてもよい。
乾式でトナー母粒子を製造した場合は公知の方法によって水系媒体に分散させることができる。トナー母粒子を水系媒体中に分散させるために、水系媒体が分散安定剤を含有することが好ましい。
一例として、懸濁重合法でトナー母粒子を製造する方法を以下に述べる。
まず、結着樹脂を生成しうる重合性単量体、及び必要に応じて各種添加物を混合し、分散機を用いて、該材料を溶解又は分散させた重合性単量体組成物を調製する。
各種添加物として、着色剤、ワックス、荷電制御剤、重合開始剤、連鎖移動剤などが挙げられる。
分散機としては、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、又は超音波分散機が挙げられる。
次いで、重合性単量体組成物を、難水溶性の無機微粒子を含有する水系媒体中に投入し、高速撹拌機又は超音波分散機などの高速分散機を用いて、重合性単量体組成物の液滴を調製する(造粒工程)。
その後、該液滴中の重合性単量体を重合してトナー母粒子を得る(重合工程)。
重合開始剤は、重合性単量体組成物を調製する際に混合してもよく、水系媒体中に液滴を形成させる直前に重合性単量体組成物中に混合してもよい。
また、液滴の造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることもできる。
重合性単量体を重合して結着樹脂を得た後、必要に応じて脱溶剤処理を行い、トナー母粒子の分散液を得るとよい。
第一の方法として、該反応物の生成と同時にトナー母粒子表面に付着させる方法。
第二の方法として、該反応物を含有する微粒子を製造し、解砕しながらトナー母粒子表面に付着させる方法。
より具体的には、
(1)トナー母粒子が分散した水系媒体中で、金属元素を含む化合物と多価酸を反応させ、反応物を含有する微粒子を析出させると共に、トナー母粒子表面に付着させる。
例えば、トナー母粒子の分散液に、金属元素を含む化合物と多価酸を添加し、混合することで、金属元素を含む化合物と多価酸を反応させ、反応物を析出させると同時に、分散液を撹拌しておくことで、トナー母粒子に付着させる。
(2)金属元素を含む化合物と多価酸を反応させて得られた反応物を含有する微粒子を、解砕しながらトナー母粒子表面に付着させる。
例えば、FMミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)など、粉体にせん断力を与える高速撹拌機を用い、かつ反応物を含有する微粒子を解砕させる力を加えながら、該微粒子をトナー母粒子に付着させる。
(1)トナー母粒子に対して、水系媒体中で有機ケイ素化合物を添加、縮合させて層を形成する方法。
(2)有機ケイ素化合物を含有する溶媒をスプレードライ法によりトナー母粒子表面に噴射し、熱風によって表面を重合後に乾燥させて、有機ケイ素縮合体の層を形成する方法。
この中でも、トナー母粒子に対して、水系媒体中で有機ケイ素化合物を添加し、縮合さ
せて層を形成する方法が、層の均一性の観点から好ましい。
有機ケイ素化合物は、任意の方法で水系媒体に添加及び混合することができる。
例えば、有機ケイ素化合物をそのまま添加してもよい。また、水系媒体と混合し加水分解した後に添加してもよい。
また、有機ケイ素化合物の縮合時の温度は、10℃以上100℃以下程度であることが好ましい。
さらに、有機ケイ素化合物の縮合にはpH依存性があることが知られている。水系媒体のpHを7.0以上12.0以下に調整することによって、有機ケイ素化合物を縮合させて層を形成させることが好ましい。
水系媒体のpHは、既存の酸又は塩基で調整すればよい。pHを調整する酸としては、以下のものが挙げられる。
塩酸、臭酸、ヨウ素酸、過臭素酸、過臭素酸、メタ過ヨウ素酸、過マンガン酸、チオシアン酸、硫酸、硝酸、ホスホン酸、リン酸、二リン酸、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、トリポリリン酸、アスパラギン酸、o−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、イソニコチン酸、オキサロ酢酸、クエン酸、2−グリセリンリン酸、グルタミン酸、シアノ酢酸、シュウ酸、トリクロロ酢酸、o−ニトロ安息香酸、ニトロ酢酸、ピクリン酸、ピコリン酸、ピルビン酸、フマル酸、フルオロ酢酸、ブロモ酢酸、o−ブロモ安息香酸、マレイン酸、マロン酸。
pHを調整する塩基としては、以下のものが挙げられる。
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物及びそれらの水溶液、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどのアルカリ金属の炭酸塩及びそれらの水溶液、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウムなどのアルカリ金属の硫酸塩及びそれらの水溶液、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウムなどのアルカリ金属のリン酸塩及びそれらの水溶液、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物及びそれらの水溶液、アンモニア、ヒスチジン、アルギニン、リシンなどの塩基性アミノ酸及びそれらの水溶液、トリスヒドロキシメチルアミノメタン。
これらの酸及び塩基は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水系媒体には、水、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、これらの混合溶媒が挙げられる。
<重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナー、トナー粒子、又はトナー母粒子(以下、トナーなど、ともいう)の個数平均粒径(D1)及び重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(ベックマン・コールター株式会社製)を用いる。
測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター
Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター株式会社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター株式会社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子1
0.0μm」(ベックマン・コールター株式会社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10%水溶液、和光純薬工業株式会社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetra150」(日科機バイオス株式会社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナーなど10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーなどを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、個数平均粒径(D1)及び重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
トナー粒子の表面は、以下のように観察する。
走査型電子顕微鏡(SEM、装置名:JSM−7800F 日本電子株式会社製)を用いて、5万倍の拡大倍率でトナーの表面を観察する。
そして、EDX(エネルギー分散型X線分光法)を利用して、該トナー粒子の表面の元素のマッピングを行う。
得られたSEMの元素マッピング画像から、トナー粒子の表面の、有機ケイ素縮合体を含む層、及び、該層に含有される、多価酸と上記金属元素を含む化合物との反応物の存在を確認する。
具体的には、金属元素のマッピング像と、多価酸に含まれている元素、例えば、多価酸としてリン酸を用いたときは、リンのマッピング像とを比較し、その2つが一致していることより、金属元素を含む化合物と多価酸との反応物を含有していることが確認できる。
次に、ケイ素元素のマッピング像と、該金属元素のマッピング像、又は、多価酸に含まれている元素のマッピング像を比較する。金属元素及び多価酸に含まれている元素が存在
する場所に、該ケイ素元素が存在することで、有機ケイ素縮合体を含む層が、該反応物を含有していることを確認する。
(A)反応物の面積の平均値は以下のように算出する。
(1)JSM−7800Fを用いた観察
反応物の面積の平均値を算出するに当たり、SEM画像(反射電子像)は上記JSM−7800Fを用いる。以下に観察条件を記載する。
JSM−7800Fの「PC−SEM」を起動し、試料ホルダをJSM−7800F筐体の試料室に挿入し、試料ホルダを観察位置に移動させる。
PC−SEMの画面上にて、加速電圧を[1.0kV]、観察倍率を[50000倍]に設定する。観察アイコンの[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加し、反射電子像を観察する。
(2)反応物の面積の平均値の算出
得られた反射電子像を、画像処理解析装置LUZEX AP(株式会社ニレコ製)に読み込み、モノクロ表示にする。
平均化処理を行った後に、二値化処理を行い、反応物が白色で表された二値化画像を得る。その後、内蔵された機能によって白色部分の面積の平均値を求め、反応物の面積の平均値とする。
(B)反応物の面積の変動係数の算出
上記反射電子像を、画像処理解析装置LUZEX AP(株式会社ニレコ製)に読み込み、モノクロ表示にする。
平均化処理を行った後に、二値化処理を行い、反応物が白色で表された二値化画像を得る。その後、内蔵された機能によって白色部分の面積の標準偏差を求め、上記反応物の面積の平均値で割る。得られた値を反応物の面積の変動係数とする。
トナー粒子表面のSi元素の含有率(atomic%)は、X線光電子分光分析(ESCA)により表面組成分析を行い算出する。
なお、トナーに外添剤が存在する場合は、下記の処理を行い、外添剤を除去したトナー粒子とした後に表面組成分析を行う。
イソプロパノール中にトナーを入れ、超音波洗浄機にて10分振動を与える。
その後、遠心分離機(1000rpmにて5分間)にて、トナー粒子と溶液を分離する。上澄み液を分離し、沈殿しているトナー粒子を真空乾燥することで乾固させて、外添剤を除去したトナー粒子を得る。
ESCAの装置及び測定条件は、下記の通りである。
使用装置:ULVAC−PHI社製 Quantum2000
X線光電子分光装置測定条件: X線源 Al Kα
X線:100μm 25W 15kV
ラスター:300μm×200μm
PassEnergy:58.70eV StepSize:0.125eV
中和電子銃:20μA、1V Arイオン銃:7mA、10V
Sweep数:Si 15回、C 10回、O 10回、Ti 40回
測定された各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いてSi元素の含有率(atomic%)を算出する。
・イオン交換水 90.0部
・メチルトリメトキシシラン(有機ケイ素化合物) 10.0部
上記材料を混合し、1.0モル/Lの塩酸を加えてpHを4.0に調整した。その後、ウォーターバスで60℃に加熱しながら1時間撹拌し、有機ケイ素化合物液1を調製した。
有機ケイ素化合物の種類を表1のように変更した以外は、有機ケイ素化合物液1の製造例と同様にして、有機ケイ素化合物液2〜6を調製した。
イオン交換水390.0部を入れた反応容器に、リン酸ナトリウム(12水和物)(ラサ工業株式会社製)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を反応容器に一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
さらに、反応容器内の水系媒体に1.0モル/Lの塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体1を調製した。
(重合性単量体組成物の調製)
・スチレン 60.0部
・C.I.ピグメントレッド122 6.0部
・C.I.ピグメントレッド150 3.6部
上記材料をアトライタ(日本コークス工業株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、顔料が分散された着色剤分散液を調製した。
次いで、該着色剤分散液に下記材料を加えた。
・スチレン 10.0部
・アクリル酸n−ブチル 30.0部
・ポリエステル樹脂 5.0部
(テレフタル酸と、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物との縮重合物)
・フィッシャートロプシュワックス(融点70℃) 7.0部
上記材料を65℃に保温し、T.K.ホモミクサーを用いて、500rpmにて均一に
溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
(造粒工程)
水系媒体1の温度を70℃、撹拌装置の回転数を12000rpmに保ちながら、水系媒体1中に重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加した。そのまま撹拌装置にて12000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
(重合工程)
高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根を備えた撹拌機に変更し、150rpmで撹拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行い、さらに85℃に昇温して2.0時間加熱することで重合反応を行った。イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子1が分散したトナー母粒子分散液1を得た。
トナー母粒子1の個数平均粒径(D1)は5.9μm、重量平均粒径(D4)は6.5μmであった。
冷却管、撹拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を混合した。
・テレフタル酸 29.0部
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
80.0部
・チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 0.1部
その後、200℃に加熱し、窒素を導入し生成する水を除去しながら9時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸5.8部を加え、170℃に加熱し、3時間反応させてポリエステル樹脂を合成した。
次いで、下記の材料をオートクレーブに仕込み、系内を窒素に置換した後、昇温撹拌しながら180℃に保持した。
・低密度ポリエチレン(融点100℃) 20.0部
・スチレン 64.0部
・アクリル酸n−ブチル 13.5部
・アクリロニトリル 2.5部
続いて、系内に、2.0%のt−ブチルハイドロパーオキシドのキシレン溶液50.0部を4.5時間かけて連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、ポリエチレンにスチレンアクリル共重合体がグラフトしたグラフト重合体を得た。
下記材料をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)でよく混合した後、温度100℃に設定した二軸混練機(池貝鉄工株式会社製)で溶融混練した。
・ポリエステル樹脂 100.0部
・フィッシャートロプシュワックス(融点70℃) 5.0部
・グラフト重合体 5.0部
・C.I.ピグメントレッド122 6.0部
・C.I.ピグメントレッド150 3.6部
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。
次に、得られた粗砕物を、ターボ工業社製のターボ・ミルを用いて、5μm程度の微粉砕物を得た後に、さらにコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー母粒子2を得た。
トナー母粒子2の個数平均粒径(D1)は5.6μm、重量平均粒径(D4)は6.5μmであった。
T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて撹
拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を反応容器に一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
さらに、反応容器内の水系媒体に1.0モル/Lの塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体を調製した。
該水系媒体中にトナー母粒子2を200.0部投入し、温度60℃にてT.K.ホモミクサーを用いて5000rpmで回転させながら15分間分散した。イオン交換水を加えて分散液中のトナー粒子濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子分散液2を得た。
下記材料を秤量し、混合及び溶解させた。
・スチレン 82.6部
・アクリル酸n−ブチル 9.2部
・アクリル酸 1.3部
・ヘキサンジオールジアクリレート 0.4部
・n−ラウリルメルカプタン 3.2部
この溶液にネオゲンRK(第一工業製薬株式会社製)の10%水溶液を添加して、分散させた。さらに10分間ゆっくりと撹拌しながら、過硫酸カリウム0.15部をイオン交換水10.0部に溶解させた水溶液を添加した。
窒素置換をした後、温度70℃で6.0時間乳化重合を行った。重合終了後、反応液を室温まで冷却し、イオン交換水を添加することで固形分濃度が12.5%、個数平均粒径が0.2μmの樹脂粒子分散液を得た。
・エステルワックス(融点70℃) 100.0部
・ネオゲンRK 15.0部
・イオン交換水 385.0部
湿式ジェットミルJN100(株式会社常光製)を用いて1時間分散してワックス粒子分散液を得た。ワックス粒子分散液の固形分濃度は20.0%であった。
・C.I.ピグメントレッド122 62.5部
・C.I.ピグメントレッド150 37.5部
・ネオゲンRK 15.0部
・イオン交換水 885.0部
湿式ジェットミルJN100を用いて1時間分散して着色剤粒子分散液を得た。着色剤粒子分散液の固形分濃度は10.0%であった。
・ワックス粒子分散液 10.0部
・着色剤粒子分散液 18.9部
・硫酸マグネシウム 0.2部
上記材料を、ホモジナイザー(IKA社製)を用いて分散させた後、撹拌させながら、65℃まで加温した。65℃で1.0時間撹拌した後、光学顕微鏡にて観察すると、個数平均粒径が6.0μmである凝集体粒子が形成されていることが確認された。ネオゲンRK(第一工業製薬株式会社製)2.2部加えた後、80℃まで昇温して2.0時間撹拌して、融合した着色樹脂粒子を得た。
冷却後、ろ過し、ろ別した固体を720.0部のイオン交換水で、1.0時間撹拌洗浄した。該着色樹脂を含む分散液をろ過してから乾燥させ、トナー母粒子3を得た。
トナー母粒子3の個数平均粒径(D1)は6.2μm、重量平均粒径(D4)は7.1μmであった。
T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
さらに、反応容器中の水系媒体に1.0モル/Lの塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体を調製した。
該水系媒体中にトナー母粒子3を100.0部投入し、温度60℃にてT.K.ホモミクサーを用いて5000rpmで回転させながら15分間分散した。イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子3の固形分濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子分散液3を得た。
660.0部のイオン交換水と、48.5%ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液25.0部を混合撹拌し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、10000rpmにて撹拌して水系媒体を調製した。
下記の材料を酢酸エチル500.0部へ投入し、プロペラ式撹拌装置にて100rpmで溶解して溶解液を調製した。
・スチレン/ブチルアクリレート共重合体 100.0部
(共重合質量比:80/20)
・ポリエステル樹脂 3.0部
(テレフタル酸とビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物との縮重合物)・C.I.ピグメントレッド122 6.0部
・C.I.ピグメントレッド150 3.6部
・フィッシャートロプシュワックス(融点70℃) 9.0部
次に上記水系媒体150.0部を容器に入れ、T.K.ホモミクサーを用い、回転数12000rpmで撹拌し、これに上記溶解液100.0部を添加し、10分間混合して乳化スラリーを調製した。
その後、脱気用配管、撹拌機及び温度計をセットしたフラスコに、乳化スラリー100.0部を仕込み、撹拌周速20m/分で撹拌しながら30℃にて12時間、減圧下、脱溶剤し45℃で4時間熟成させて、脱溶剤スラリーとした。
脱溶剤スラリーを減圧濾過した後、得られた濾過ケーキにイオン交換水300.0部を添加し、T.K.ホモミクサーで混合、再分散(回転数12000rpmにて10分間)した後、濾過した。
得られた濾過ケーキを乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩いトナー母粒子4を得た。
トナー母粒子4の個数平均粒径(D1)は5.7μm、重量平均粒径(D4)は6.9μmであった。
T.K.ホモミクサーを用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。さらに、水系媒体に1.0モル/Lの塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体を調製した。
該水系媒体中にトナー母粒子4を100.0部投入し、温度60℃にてT.K.ホモミクサーを用いて5000rpmで回転させながら15分間分散した。イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子4の固形分濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子分散液4を得た。
反応容器内に下記材料を秤量し、プロペラ撹拌羽根を用いて混合した。
・チタンラクテート44%水溶液 0.07部
(TC−310:マツモトファインケミカル社製、チタンラクテートとして0.03部相当)
・トナー母粒子分散液1 500.0部
次に、1.0モル/Lの塩酸を加えて混合溶液のpHを5.5に調整した直後に有機ケイ素化合物液1を20.0部添加し、1.0モル/LのNaOH水溶液を用いてpHを7.0に調整した。
混合液の温度を50℃にした後に、プロペラ撹拌羽根を用いて混合しながら、1時間保持した。その後、1.0モル/LのNaOH水溶液を用いてpHを9.5に調整し、温度は50℃のまま撹拌しながら2時間保持した。
温度を25℃に下げたのち、1.0モル/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、トナー粒子1を得た。これをトナー1とした。
分析の結果、トナー1は、リン酸とチタンを含む化合物との反応物(微粒子の形態)を含有する有機ケイ素縮合体を、表面に有していることを確認した。
また、反応物の面積の平均値は12nm2、反応物の面積の変動係数は1.3、Si元素の含有率は1.8atomic%であった。
なお、該リン酸とチタンを含む化合物との反応物は、チタンラクテート(チタンを含む化合物)と、水系媒体中のリン酸ナトリウム、又は、リン酸カルシウム由来のリン酸イオン(多価酸)との反応物である。
有機ケイ素化合物液、及び、金属元素を含む化合物の種類と添加量、並びに、トナー母粒子分散液の種類を表2に示すように変更した以外は、トナー1の製造例と同様にしてトナー2〜15、17〜19を得た。また、各トナーの物性を表2に示す。
・イオン交換水 100.0部
・炭酸ナトリウム 1.0部
以上を混合したのち、室温で、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、10000rpmにて攪拌しながら、チタンラクテート44%水溶液(TC−310:マツモトファインケミカル社製、チタンラクテートとして0.03部相当)10.0部を添加した。1.0モル/Lの塩酸を加えpHを7.0に調整した。
その後、遠心分離で固形分を取り出した。その後、イオン交換水に再度分散、遠心分離で固形分を取り出すという工程を3回繰り返し、ナトリウムなどのイオンを除去した。再度、イオン交換水に分散させ、スプレードライで乾燥し、炭酸とチタンを含む化合物との反応物を得た。
トナー母粒子分散液1に1.0モル/Lの塩酸を添加、pHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、真空乾燥機を用いて乾燥させ、トナー母粒子1を得た。
100.0部のトナー母粒子1に対して、炭酸とチタンを含む化合物との反応物1.0部を、図1に示す装置に投入した。
図1で表す装置は、本体ケーシング1の内周部の径が130mmであり、処理空間9の
容積が2.0×10−3m3であり、駆動部8の定格動力を5.5kWとし、攪拌部材3の形状を図2のものとした。そして、図2における攪拌部材3aと攪拌部材3bの重なり幅dを攪拌部材3の最大幅Dに対して0.25Dとし、攪拌部材3と本体ケーシング1内周とのクリアランスを6.0mmとした。
次に、トナー母粒子1と該反応物を均一に混合するために、プレ混合を実施した。プレ混合の条件は、撹拌部材3a(図2)の最外端部周速を2.0m/秒とし、処理時間を1分間とした。
プレ混合終了後、外添混合処理を行った。外添混合処理条件は、撹拌部材3aの最外端部を10m/秒に調整し、処理時間を5分間とした。外添混合処理後、直径500mm、目開き75μmのスクリーンを設置した円形振動篩機で粗粒などを除去し、該反応物が付着したトナー母粒子16を得た。
一方、イオン交換水390.0部を入れた反応容器に、リン酸ナトリウム(12水和物)(ラサ工業株式会社製)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を反応容器に一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
さらに、反応容器内の水系媒体に1.0モル/Lの塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体を調製した。
該水系媒体中に、トナー母粒子16を100.0部投入し、温度60℃にてT.K.ホモミクサーを用いて5000rpmで回転させながら15分間分散した。イオン交換水を加えて分散液中のトナー粒子濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子分散液16を得た。
500.0部のトナー母粒子分散液16に対し、1.0モル/Lの塩酸を加えて混合溶液のpHを5.5に調整した後、有機ケイ素化合物液6を20.0部添加し、1.0モル/LのNaOH水溶液を用いてpHを7.0に調整した。混合液の温度を50℃にした後に、プロペラ撹拌羽根を用いて混合しながら、1時間保持した。
その後、1.0モル/LのNaOH水溶液を用いてpHを9.5に調整し、温度は50℃のまま撹拌しながら2時間保持した。
温度を25℃に下げたのち、1.0モル/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、トナー粒子16を得た。これをトナー16とした。
分析の結果、トナー16は、炭酸とチタンを含む化合物との反応物(微粒子)を含有する有機ケイ素縮合体を、表面に有していることを確認した。
反応物の面積の平均値、反応物の面積の変動係数、及びSi元素の含有率の値を、表2に示す。
有機ケイ素化合物液、及び、金属元素を含む化合物の種類と添加量、並びに、トナー母粒子分散液の種類を表2に示すように変更し、さらに、有機ケイ素化合物液の添加タイミングを、pHを9.5に調整した直後に変更した以外はトナー1の製造例と同様にしてトナー20を得た。
反応物の面積の平均値、反応物の面積の変動係数、及びSi元素の含有率の値を、表2に示す。
有機ケイ素化合物液、及び、金属元素を含む化合物の種類と添加量、並びに、トナー母粒子分散液の種類を表2に示すように変更し、さらに、有機ケイ素化合物液の添加タイミングを、pHを9.5に調整してから0.5時間後に変更した以外はトナー1の製造例と
同様にしてトナー21を得た。
反応物の面積の平均値、反応物の面積の変動係数、及びSi元素の含有率の値を、表2に示す。
表中において、
Aは、反応物の面積の平均値(nm2)を表し、
Bは、反応物の面積の変動係数を表し、
Cは、トナー粒子表面のSi元素の含有率(atomic%)を表す。
金属元素を含む化合物の添加量は、実際に添加された化合物の量を示す。
また、*1は、チタンラクテートの固形分として添加されていることを示す。
反応容器内に下記材料を秤量し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて10000rpmにて混合した。
・酸化チタン(体積平均粒径15nm) 1.0部
・トナー母粒子分散液1 500.0部
次に、1.0モル/Lの塩酸を加えて混合溶液のpHを5.5に調整した直後に有機ケイ素化合物液1を20.0部添加し、1.0モル/LのNaOH水溶液を用いてpHを7.0に調整した。
混合液の温度を50℃にした後に、プロペラ撹拌羽根を用いて混合しながら、1時間保持した。その後、1.0モル/LのNaOH水溶液を用いてpHを9.5に調整し、温度は50℃のまま撹拌しながら2時間保持した。
温度を25℃に下げたのち、1.0モル/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、比較トナー粒子1を得た。これを比較トナー1とした。
分析の結果、比較トナー1は、酸化チタンを含有する有機ケイ素縮合体を、表面に有していることを確認した。
また、酸化チタンの面積の平均値は2569nm2、酸化チタンの面積の変動係数は5.4、Si元素の含有率は2.2atomic%であった。
反応容器内に下記材料を秤量し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて10000rpmにて混合した。
・チタンラクテート44%水溶液 0.19部
(TC−310:マツモトファインケミカル社製、チタンラクテートとして0.08部相当)
・トナー母粒子分散液1 500.0部
次に、1.0モル/LのNaOH水溶液を用いてpHを9.5に調整し、温度を90℃にして撹拌しながら2時間保持した。
温度を25℃に下げたのち、1.0モル/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、比較トナー粒子2を得た。これを比較トナー2とした。
分析の結果、比較トナー2は、リン酸とチタンを含む化合物との反応物を、表面に有していることを確認した。
また、反応物の面積の平均値は480nm2、反応物の面積の変動係数は2.3であった。一方、トナー粒子表面にSi元素は検出されなかった。
冷却管、撹拌機、及び、窒素導入管のついた反応容器中に、下記材料を仕込んだ。
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 148.0部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物 43.2部
・イソフタル酸 47.2部
・アジピン酸 17.8部
その後、500ppmのチタンテトライソプロポキシドと共に常圧で230℃にて10時間反応させた。次いで、反応容器に安息香酸26.0部を加え、10mmHgの減圧下
で5時間反応させた。その後、反応容器に無水トリメリット酸11.0部を入れ、180℃、常圧で3時間反応し、ポリエステル樹脂1を得た。
冷却管、撹拌機、及び、窒素導入管のついた反応容器中に、下記材料を仕込んだ。
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 96.6部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物 28.2部
・イソフタル酸 19.4部
・フマル酸 13.6部
・テレフタル酸 9.7部
その後、500ppmのチタンテトライソプロポキシドと共に常圧で230℃にて10時間反応させた。次いで、10mmHgの減圧下で5時間反応後、反応容器に無水トリメリット酸15.0部を入れ、180℃、常圧で3時間反応し、ポリエステル樹脂2を得た。
下記材料をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)でよく混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(池貝鉄工株式会社製)で溶融混練した。
・ポリエステル樹脂1 90.4部
・ポリエステル樹脂2 9.6部
・フィッシャートロプシュワックス(融点70℃) 5.0部
・ボントロンE−84 1.0部
・C.I.ピグメントレッド122 5.7部
・C.I.ピグメントレッド150 3.4部
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。
次に、得られた粗砕物を、ターボ工業社製のターボ・ミルを用いて、5μm程度の微粉砕物を得た後に、さらにコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー母粒子5を得た。トナー母粒子5の個数平均粒径(D1)は5.2μm、重量平均粒径(D4)は6.1μmであった。
100.0部のトナー母粒子5に対して、体積平均粒径30nmの疎水性シリカ(NY50:日本アエロジル社製)1.1部、及び、体積平均粒径100nmの疎水性シリカ(X−24−9163A:信越化学工業社製)1.0部を添加した。
さらに、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で周速32m/sで10分間混合し、開口部が45μmのメッシュで粗大粒子を除去して比較トナー3を得た。
100.0部のトナー母粒子1に対して、体積平均粒径30nmの疎水性シリカ(NY50:日本アエロジル社製)1.1部、及び、体積平均粒径100nmの疎水性シリカ(X−24−9163A:信越化学工業社製)1.0部を添加した。
さらに、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で周速32m/sで10分間混合し、開口部が45μmのメッシュで粗大粒子を除去して比較トナー4を得た。
・イオン交換水 100.0部
・リン酸ナトリウム(12水和物)(ラサ工業(株)製) 8.5部
以上を混合したのち、室温で、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、10,000rpmにて攪拌しながら、チタンラクテート44%水溶液(TC−310、マツモトファインケミカル株式会社)10.0部を添加した。1モル/Lの塩酸を加えpHを7.0に調整した。
その後、遠心分離で固形分を取り出した後、イオン交換水に再度分散、遠心分離で固形分を取り出すという工程を3回繰り返し、ナトリウムなどのイオンを除去した。再度、イオン交換水に分散させ、スプレードライで乾燥し、個数平均粒径が310nmの、リン酸とチタン元素を含む化合物との反応物微粒子1を得た。
100.0部のトナー母粒子1に対して、4.0部の反応物微粒子1を添加した。
さらに、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で周速32m/sで10分間混合し、開口部が45μmのメッシュで粗大粒子を除去して比較トナー5を得た。
100.0部のトナー母粒子1に対して、4.0部の反応物微粒子1を、図1に示す装置に投入した。
図1で表す装置は、本体ケーシング1の内周部の径が130mmであり、処理空間9の容積が2.0×10−3m3であり、駆動部8の定格動力を5.5kWとし、攪拌部材3の形状を図2のものとした。そして、図2における攪拌部材3aと攪拌部材3bの重なり幅dを攪拌部材3の最大幅Dに対して0.25Dとし、攪拌部材3と本体ケーシング1内周とのクリアランスを6.0mmとした。
次に、トナー母粒子1と該反応物微粒子1を均一に混合するために、プレ混合を実施した。プレ混合の条件は、撹拌部材3a(図2)の最外端部周速を2.0m/秒とし、処理時間を1分間とした。
プレ混合終了後、外添混合処理を行った。外添混合処理条件は、撹拌部材3aの最外端部を10m/秒に調整し、処理時間を5分間とした。外添混合処理後、直径500mm、目開き75μmのスクリーンを設置した円形振動篩機で粗粒などを除去し、比較トナー6を得た。
また、各比較トナーの物性を表3に示す。
表中において、
Aは、反応物の面積の平均値(nm2)を表し、
Bは、反応物の面積の変動係数を表す。
ただし、反応物を用いていない場合は、酸化チタン、または、シリカの値を記載した。
Cは、トナー粒子表面のSi元素の含有率(atomic%)を表す。
トナー1〜21及び比較トナー1〜6を用いて、下記評価を実施した。
画像形成装置として、市販のカラーレーザープリンター「LBP−712Ci(キヤノン製)」をプロセススピードが300mm/secとなるように改造した改造機を用いた
。
また、感光体上の暗電位(Vd)と現像ローラに印加する電位(Vdc)との電位差である|Vd−Vdc|(Vback)を、Vdcを調整することで100Vに下げた。
その後、マゼンダカートリッジのトナーを取り出して、このカートリッジにトナー1〜21及び比較トナー1〜4をそれぞれ120g充填した。その後、以下の評価を行った。
カートリッジをプリンターのマゼンダステーションに装着し、常温常湿環境下(温度23℃、湿度60%RH)、A4サイズの普通紙office70(キヤノンマーケティングジャパン製 70g/m2)を用いて、印字率5%チャートを1枚画像出力した。
その後、トナーを補給しながら、2枚出力して10秒間停止する動作を繰り返して1000枚の画像を出力するごとに、機内のトナー汚染の有無を目視で確認した。
機内のトナー汚染が発生する出力枚数を指標として、トナー飛散を以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
A:10000枚まで機内のトナー汚染発生なし
B:10000枚までに機内のトナー汚染が発生
C:5000枚までに機内のトナー汚染が発生
D:2000枚までに機内のトナー汚染が発生
カートリッジをプリンターのマゼンダステーションに装着し、Vbackが100Vであることを確認した。その後、常温常湿環境下(温度23℃、湿度60%RH)、A4サイズの普通紙office70(キヤノンマーケティングジャパン製 70g/m2)を用いて、0%印字比率の全白画像を1枚出力した。
続いて、該常温常湿環境下において、印字用紙上に印字率0.5%の画像を1000枚連続で出力した後、評価用紙上に0%印字比率の全白画像を出力した。
カブリ濃度(%)の測定は、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)を用い、1000枚出力後の全白画像の白地部分の白色度と、1枚出力後の全白画像の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出することにより行った。
フィルターは、アンバーフィルターを用い、以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
A:カブリ濃度0.5%未満
B:カブリ濃度0.5%以上1.0%未満
C:カブリ濃度1.0%以上2.0%未満
D:カブリ濃度2.0%以上
プロセスカートリッジをプリンターのマゼンダステーションに装着し、A4サイズの普通紙office70(キヤノンマーケティングジャパン製 70g/m2)と共に低温低湿環境下(15℃/10%RH、以下L/L環境)に48時間静置した。
その後、全黒画像部の、紙上での載り量が0.40mg/cm2になるように調整した。
該L/L環境において、用紙を縦に見たとき、用紙先頭から10mmの位置から、長さ10mmの横帯状の画像部を有し、そこから下流方向に長さ10mmの全白画像部(載り量0.00mg/cm2)を有し、そこからさらに下流方向に長さ100mmのハーフトーン画像部(載り量0.20mg/cm2)を有する画像を紙上に出力した。
該ハーフトーン画像部上の、全黒画像部から現像ローラ一周分下流にあたる部分の画像濃度と、全白画像部から現像ローラ一周分下流にあたる部分の画像濃度の差から、帯電立ち上がり性能を以下の基準で評価した。
画像濃度の測定は、アンバーフィルターを取り付けたマクベス反射濃度計 RD918
(マクベス社製)を用いて画像濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を付属の取扱説明書に沿って測定することによって行った(初期の評価)。得られた相対濃度を画像濃度の値とした。結果を表3に示す。
帯電の立ち上がりが良好であると、帯電ローラ上に供給されたトナーが速やかに帯電するため、全黒画像部の後と全白画像部の後の画像濃度が変化せず、良好な画像が得られる。
さらに、該帯電立ち上がり性の評価後に、常温常湿環境下(温度23℃、湿度60%RH)で、評価用紙上に印字比率0.5%の画像を25,000枚連続で出力した。同環境で24時間静置したのち、帯電立ち上がり性の評価と同様の測定を行い、同じ評価基準に従って評価した(該評価が耐久後の評価、すなわち、帯電立ち上がり性維持の評価となる)。
A:画像濃度差が0.06未満
B:画像濃度差が0.06以上0.12未満
C:画像濃度差が0.12以上0.20未満
D:画像濃度差が0.20以上
カートリッジをプリンターのマゼンダステーションに装着し、A4サイズの普通紙office70(キヤノンマーケティングジャパン製 70g/m2)と共に常温常湿環境下(温度23℃、湿度60%RH)に48時間静置した。10mm×10mmの全黒画像が紙上に均等に9点配列された画像パターンを1枚出力した。得られた全黒画像上の彩度(C*)測定を「Spectrolino」(マクベス社製)を用いて付属の取り扱い説明書に沿って行った。得られた9点の彩度を平均したものを彩度の値とし、以下の基準で色再現性の評価とした。結果を表3に示す。
○:彩度が74以上
×:彩度が74未満
Claims (6)
- 結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の表面に、有機ケイ素縮合体を含む層を有し、
該有機ケイ素縮合体を含む層が、さらに、第3族から第13族までに属する全ての金属元素から選択される少なくとも一の金属元素を含む化合物と、多価酸と、の反応物を含有し、
走査型電子顕微鏡を用い倍率5万倍で撮影された該トナーの反射電子像において、
該反応物の面積の平均値が、10nm2以上5000nm2以下であり、
該反応物の面積の変動係数が、10.0以下であることを特徴とするトナー。 - 前記反応物の面積の平均値が、10nm2以上2000nm2以下である、請求項1に記載のトナー。
- 前記有機ケイ素縮合体を含む層が、第3族から第13族までに属する全ての金属元素から選択される少なくとも一の金属元素を含む化合物と、多価酸と、の反応物を含む微粒子を含有する、請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記金属元素のポーリングの電気陰性度が、1.25以上1.85以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記有機ケイ素縮合体が、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも一の有機ケイ素化合物の縮合体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
Ra(n)−Si−Rb(4−n) (1)
(式(1)中、Raは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、又はアルコキシ基を示し、Rbは、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アリール基、又はメタクリロキシアルキル基を示し、nは2〜4の整数を示す。) - X線光電子分光法で測定される前記トナー粒子表面のSi元素の含有率が、0.1atomic%以上40.0atomic%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
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