JP7146403B2 - トナー - Google Patents
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Description
例えば、プリンターの電源を入れてすぐに印刷を開始できるようにするために、帯電の立ち上がりの早いトナーが求められている。
また、印刷濃度の低い画像を多数枚印刷した時の画像安定性を達成するために、帯電量が上がり続ける現象(チャージアップ)が抑制されたトナーが求められている。
さらには、気温や湿度といった環境に対し変動の少ない(環境安定性に優れた)トナーが求められている。
特許文献1には、樹脂帯電制御剤と疎水性酸化チタンを併用することで、帯電の立ち上がりを改良したトナーが開示されている。
特許文献2には、リン酸カルシウム系化合物粒子とシリカ粒子を併用することで、長期にわたり帯電性が安定したトナーが開示されている。
しかし、本発明者らの検討では、高湿環境下で帯電量が低下する場合があった。
これは、帯電制御樹脂のスルホン酸塩基の吸湿性を完全に抑制できなかったと同時に、酸化チタン微粒子の水可溶性成分の吸湿性によるものと考えている。
特に、酸化チタン微粒子の水可溶性成分は酸化チタンの抵抗を低く設定するために必須の成分である。そのため、抵抗を低くすることにより達成されるチャージアップの抑制と、水可溶性成分の吸湿による高湿環境下での帯電量の低下は、トレードオフの関係にあり、両立は困難であると推測される。
特許文献2のトナーは、リン酸カルシウム系化合物粒子を用いることにより、帯電性を向上させている。
しかし、リン酸カルシウム系化合物の吸湿性のために、高湿環境下で帯電性が低下する場合があった。
具体的には、帯電の立ち上がり性、及び環境安定性に優れ、チャージアップが抑制され
たトナーを提供するものである。
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の表面が、リン酸と、チタンを含む化合物と、の反応物を有する、ことを特徴とするトナーに関する。
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の表面が、多価酸と、第4族元素を含む化合物と、の反応物を有することを特徴とするトナーである。
発明者らは、帯電の立ち上がり性、及び環境安定性に優れ、チャージアップが抑制されたトナーを提供するために、様々な材料を試みた。
その中で、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物が、トナーにおける、帯電の立ち上がり性、環境安定性、及びチャージアップ抑制に優れた材料であることを見出した。
該多価酸は電子対を受け取り、負に帯電しやすい。そのため、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物も、負に帯電しやすく、帯電性に優れている。
さらに、第4族元素は、酸化数が+4の状態が最も安定である。そのため、多価酸と架橋構造を作り、その架橋構造により電子の移動を促進し、帯電の立ち上がり性の向上と、チャージアップの抑制を達成することができる。
また、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物は、該架橋構造により水分子をブロックすることで、環境安定性が良好になる。
以上の様に、多価酸と第4族元素を含む化合物とが、反応物になることで初めて他の多価酸を含む化合物や、他の第4族元素を含む化合物をそれぞれ用いただけでは達成できない性能を達成することができる。
すなわち、トナーにおける、帯電の立ち上がり性、環境安定性、及びチャージアップ抑制という従来ではトレードオフであった3つの特性を、強固な架橋構造による電子の移動促進と水分子のブロックにより、成立させることができる。
また、該反応物の特性は、第4族元素以外の多価酸塩が記載された前記特許文献2には、開示されていない。
さらに、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物は、部材汚染防止に対しても効果を有する。
その理由は、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物は、トナー粒子表面への固着
性が強いためであると、筆者らは考えている。
トナー粒子表面には、アニオン性官能基(カルボキシ基)や、カチオン性官能基(アミノ基)が存在している。一方、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物の表面にも、多価酸による官能基や、第4族元素由来の官能基が存在している。このトナー粒子表面の官能基と、多価酸と第4族元素を含む化合物の表面官能基が、強く引き合うことにより、トナー粒子表面に、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物が強固に固着できていると思われる。
また、第4族元素以外の多価酸塩、例えば、アルカリ土類金属の多価酸塩では、水分の吸着の抑制が不十分であった。
該多価酸は、2価以上の酸であればどのようなものでも構わない。具体例としては、以下のものがあげられる。
リン酸、炭酸、硫酸などの無機酸;ジカルボン酸、トリカルボン酸などの有機酸。
有機酸の具体例としては、以下のものがあげられる。
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのジカルボン酸。
クエン酸、アコニット酸、無水トリメリット酸などのトリカルボン酸。
そのなかでも、多価酸が、炭酸、硫酸、及びリン酸からなる群より選ばれる少なくとも一つを含有することが、第4族元素と強固に反応し、吸湿しにくいことから好ましい。より好ましくは、多価酸が、リン酸を含有することである。
該多価酸は、多価酸をそのまま用いてもよいし、多価酸とナトリウム、カリウム、リチウムなどとのアルカリ金属塩;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどとのアルカリ土類金属塩;又は、多価酸のアンモニウム塩として用いてもよい。
第4族元素としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどが挙げられる。
そのなかでも、第4族元素は、チタン及びジルコニウムの少なくとも一方を含有することが好ましい。
チタンを含む化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネートなどのチタンアルコキシド。
チタンジイソプロポキシビスアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムジ-2-エチルヘキソキシビス2-エチル-3-ヒドロキシヘキソキシド、チタンジイソプロポキシビスエチルアセトアセテート、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート、チタンイソステアレート、チタンアミノエチルアミノエタノレート、チタントリエタノールアミネートなどのチタンキレート。
中でもチタンキレートは多価酸と反応しやすいため好ましい。また、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩がより好ましい。
ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシドなどのジルコニウム
アルコキシド。
ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩などのジルコニウムキレート。
中でもジルコニウムキレートは多価酸と反応しやすいため好ましい。また、ジルコニウムラクテート、及び、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩がより好ましい。
ハフニウムラクテート、ハフニウムラクテートアンモニウム塩などのハフニウムキレート。
トナー粒子の表面に、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物を存在させる方法としては、従来公知の様々な方法を用いることができるが、例えば下記方法がある。
例えば、トナー母粒子の分散液に、多価酸及び第4族元素を含む化合物を添加及び混合することで、多価酸と第4族元素を含む化合物とを反応させ、反応物を得ると同時に、分散液を撹拌しておくことで、トナー母粒子の表面に付着させてトナー粒子を得る方法が挙げられる。
具体的には、FMミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス社製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)など、せん断力を与える高速撹拌機を用いて、トナー母粒子と該反応物の微粒子を混合するとよい。
該溶媒としては、どのようなものでも構わない。
該溶媒の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、1-ブタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、メタノール、エタノール、水。
より好ましくは、リン酸とチタンを含む化合物の反応物、及び、リン酸とジルコニウムを含む化合物の反応物の少なくとも一方である。
り好ましく、1nm以上60nm以下であることがさらに好ましい。
該微粒子の個数平均粒径を上記範囲にすることで、該微粒子の脱離による部材汚染を抑制することができる。
該微粒子の個数平均粒径を上記範囲に調整するための因子は、該微粒子の原料である多価酸と第4族元素を含む化合物の添加量や、それらが反応するときのpH、反応時の温度などが挙げられる。
該有機ケイ素化合物を併用することで、得られた反応物がより強固にトナー粒子に固着し、かつ、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物が疎水化され、環境安定性がさらに向上する。
具体的には、まず、下記式(1)で示される有機ケイ素化合物を事前に加水分解するか、トナー母粒子の分散液中で加水分解する。
その後、得られた有機ケイ素化合物の加水分解物を縮合させ、縮合物とする。
該縮合物はトナー粒子表面に移行する。該縮合物は粘性があるため、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物を、トナー粒子の表面に密着させ、該反応物をより強固にトナー粒子に固着することができる。
また、該反応物の表面にも該縮合物は移行し、該反応物を疎水化し、環境安定性をさらに向上させることができる。
式(1)中、Raは、ハロゲン原子、又はアルコキシ基を示し、Rbは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基又はメタクリロキシアルキル基を示す。nは2~4の整数を示す。ただし、Ra及びRbが複数存在する場合、複数のRa、複数のRbの置換基は、それぞれ、同一でも異なってもよい。)
式(1)で示される有機ケイ素化合物としては、特段の制限なく、公知の有機ケイ素化合物を用いることができる。具体的には、以下の、官能基を二つ有する二官能シラン化合物、官能基を三つ有する三官能シラン化合物、官能基を四つ有する四官能シラン化合物が挙げられる。
三官能シラン化合物として、以下のものが挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシランなどの置換基としてアルキル基を有する三官能シラン化合物;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシランなどの置換基としてアルケニル基を有する三官能シラン化合物
;
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどの置換基としてアリール基を有する三官能シラン化合物;
γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルジエトキシメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルエトキシジメトキシシランなどの置換基としてメタクリロキシアルキル基を有する三官能シラン化合物など。
四官能シラン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられる。
トナー粒子の表面に、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物を存在させる場合、水系媒体中でトナー母粒子を製造した場合は、そのまま、トナー母粒子の分散液として用いてもよい。また、洗浄やろ過、乾燥を行った後、水系媒体中に再分散させて、トナー母粒子の分散液としてもよい。
一方、乾式でトナー母粒子を製造した場合は、公知の方法によって水系媒体に分散させて、トナー母粒子の分散液としてもよい。トナー母粒子を水系媒体中に分散させるために、水系媒体が分散安定剤を含有していることが好ましい。
まず、結着樹脂を生成しうる重合性単量体、及び必要に応じて各種添加物を混合し、分散機を用いて、該材料を溶解又は分散させた重合性単量体組成物を調製する。
各種添加物として、着色剤、ワックス、荷電制御剤、重合開始剤、連鎖移動剤などが挙げられる。
分散機としては、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、又は超音波分散機が挙げられる。
次いで、重合性単量体組成物を、難水溶性の無機微粒子を含有する水系媒体中に投入し、高速攪拌機又は超音波分散機などの高速分散機を用いて、重合性単量体組成物の液滴を調製する(造粒工程)。
その後、該液滴中の重合性単量体を重合してトナー母粒子を得る(重合工程)。
重合開始剤は、重合性単量体組成物を調製する際に混合してもよく、水系媒体中に液滴を形成させる直前に重合性単量体組成物中に混合してもよい。
また、液滴の造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることもできる。
重合性単量体を重合して樹脂粒子を得たあと、必要に応じて脱溶剤処理を行い、トナー母粒子の分散液を得るとよい。
ビニル系樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;フラン樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂;シリコーン樹脂。
これらの中でも、ビニル系樹脂が好ましい。なお、ビニル系樹脂としては、下記単量体の重合体又はそれらの共重合体が挙げられる。中でも、スチレン系単量体と不飽和カルボン酸エステルとの共重合体が好ましい。
スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル
酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシルなどの不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸;マレイン酸無水物などの不飽和ジカルボン酸無水物;アクリロニトリルなどのニトリル系ビニル単量体;塩化ビニルなどのハロゲン含有ビニル単量体;ニトロスチレンなどのニトロ系ビニル単量体。
ブラック顔料としては、カーボンブラックなどが挙げられる。
イエロー顔料としては、モノアゾ化合物;ジスアゾ化合物;縮合アゾ化合物;イソインドリノン化合物;イソインドリン化合物;ベンズイミダゾロン化合物;アントラキノン化合物;アゾ金属錯体;メチン化合物;アリルアミド化合物が挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントイエロー74、93、95、109、111、128、155、174、180、185などが挙げられる。
マゼンタ顔料としては、モノアゾ化合物;縮合アゾ化合物;ジケトピロロピロール化合物;アントラキノン化合物;キナクリドン化合物;塩基染料レーキ化合物;ナフトール化合物:ベンズイミダゾロン化合物;チオインジゴ化合物;ペリレン化合物が挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19などが挙げられる。
シアン顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体;アントラキノン化合物;塩基染料レ-キ化合物が挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
また、顔料とともに、着色剤として従来知られている種々の染料を併用してもよい。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどに代表される酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルなどに代表される金属又はこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムなどの金属との合金及びその混合物などが挙げられる。
ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチルなどの1価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、1価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;セバシン酸ジベヘニル、ヘキサンジオールジベヘネートなどの2価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、2価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;グリセリントリベヘネートなどの3価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、3価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテートなどの4価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、4価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートなどの6価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、6価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;ポリグリセリンベヘネートなどの
多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸エステル、又は、多価カルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル;カルナバワックス、ライスワックスなどの天然エステルワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなどの石油系ワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸;酸アミドワックスが挙げられる。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
(1)流動性付与剤:シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック及びフッ化カーボン。
(2)研磨剤:金属酸化物(例えば、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化クロム)、窒化物(例えば、窒化ケイ素)、炭化物(例えば、炭化ケイ素)、金属塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)。
(3)滑剤:フッ素系樹脂微粒子(例えば、フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン)、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム)。
(4)荷電制御性粒子:金属酸化物(例えば、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ)、カーボンブラック。
有機又は無機微粒子は疎水化処理することもできる。有機又は無機微粒子の疎水化処理の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で又は併用して用いられてもよい。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1.0%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。
「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1,600μAに、ゲインを2に、電解水溶液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液200.0mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液30.0mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetra150」(日科機バイオス(株)製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2.0mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
トナー粒子のガラス転移温度(Tg)は示差走査型熱量計(以下「DSC」とも表記する。)を用いて測定する。
DSCによるガラス転移温度の測定はJIS K 7121(国際規格はASTM D3418-82)に準拠して行う。
本測定では、「Q1000」(TA Instruments社製)を用い、装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
測定は、測定試料10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いる。
第1の昇温過程では測定試料を20℃から200℃まで10℃/分で昇温しながら測定を行う。その後、200℃で10分間保持した後に200℃から20℃まで10℃/分で冷却する冷却過程を行う。
さらに、20℃で10分間保持した後に、第2の昇温過程では再び20℃から200℃まで10℃/分で昇温を行う。
ガラス転移温度は中間点ガラス転移温度である。前述の測定条件によって得られる第2の昇温過程におけるDSC曲線において、ガラス転移温度の階段状変化の低温側及び高温側の各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。
なお、水系媒体中などでトナー粒子を作製している場合などは一部をサンプリングして
トナー粒子以外を洗浄後に乾燥してからDSCの測定を行う。
該反応物を含む微粒子の個数平均粒径は、ゼータサイザー Nano-ZS(MALVERN社製)を用いて、多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物を含む微粒子の濃度1.0質量%の水分散液を測定する。
測定条件は、以下のとおりである。
セル:石英ガラスセル
Dispersant:Water(DispersantRI:1.330)
Temperature:25℃
MaterialRI:1.60
ResultCalculation:GeneralPurpose
該反応物を含む微粒子の個数平均粒径は、トナー粒子表面の観察により算出する。
トナー粒子の観察は、超高分解能電界放出形走査型電子顕微鏡(以下、FE-SEMともいう)「S-4800」((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて行う。
S-4800を用いた、観察条件は以下の通りである。
S-4800の筐体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。
S-4800の「PC-SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し実行する。フラッシングによるエミッション電流が20~40μAであることを確認する。試料ホルダをS-4800筐体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
アパーチャアライメントの調整後、倍率を100000(100k)倍に設定、ピントを合わせる。モードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影する。
トナー粒子を観察し、トナー粒子表面に存在する多価酸と第4族元素を含む化合物との反応物を含む微粒子の粒子径を算出する。複数のトナー粒子に対し、該反応物を含む微粒子100個の最大径を測定し、その平均値を多価酸と第4族元素を含む化合物の反応物を含む微粒子の個数平均粒径とする。
各元素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119-1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。
なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。
また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)を用い、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)を用いる。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中に、トナー4.0gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ2mm、直径39mmに成型したペレットを用いる。
前記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)からその濃度を算出する。
(水系媒体1の製造例)
反応容器に、イオン交換水390.0部、及びリン酸ナトリウム(12水和物)〔ラサ工業(株)製〕14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
さらに、該水系媒体に10%塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体1を得た。
(重合性単量体組成物1の製造例)
・スチレン 60.0部
・着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5部
前記材料をアトライタ(日本コークス工業(株)製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、着色剤が分散された分散液1を調製した。
前記分散液1に下記材料を加えた。
・スチレン 20.0部
・アクリル酸n-ブチル 20.0部
・ポリエステル樹脂 5.0部
(ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物/テレフタル酸/トリメリット酸の縮合物、ガラス転移温度:75℃)
・フィッシャートロプシュワックス(融点:78℃) 7.0部
これを65℃に保温し、T.K.ホモミクサーを用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物1を調製した。
(造粒工程)
水系媒体1の温度を70℃、撹拌装置の回転数を12,000rpmに保ちながら、水系媒体1中に重合性単量体組成物1を投入し、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加した。そのまま該撹拌装置にて12,000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
(重合工程)
高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根を備えた撹拌機に変更し、150rpmで攪拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行い、さらに85℃に昇温して2.0時間加熱することで重合反応を行い、トナー母粒子分散液1を得た。
トナー母粒子分散液1中のトナー母粒子の重量平均粒径(D4)は6.7μm、個数平均粒径(D1)は5.3μmであり、ガラス転移温度(Tg)は56℃であった。
また、トナー母粒子分散液1は、イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子濃度が20.0%になるように調整した。
(樹脂粒子分散液の製造例)
下記材料を秤量し、混合及び溶解させた。
・スチレン 82.6部
・アクリル酸n-ブチル 9.2部
・アクリル酸 1.3部
・ヘキサンジオールジアクリレート 0.4部
・n-ラウリルメルカプタン 3.2部
得られた溶液にネオゲンRK(第一工業製薬(株)製)の10%水溶液を添加して、分散させた。さらに10分間ゆっくりと撹拌しながら、過硫酸カリウム0.15部をイオン交換水10.0部に溶解させた水溶液を添加した。窒素置換をした後、温度70℃で6.0時間乳化重合を行った。重合終了後、反応液を室温まで冷却し、イオン交換水を添加することで固形分濃度が12.5%、体積基準のメジアン径が0.2μmの樹脂粒子分散液を得た。
(ワックス粒子分散液の製造例)
以下の材料を秤量し混合した。
・エステルワックス(融点:70℃) 100.0部
・ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製) 15.0部
・イオン交換水 385.0部
前記材料を湿式ジェットミル JN100((株)常光製)を用いて1時間分散してワックス粒子分散液を得た。ワックス粒子分散液中のワックスの固形分濃度は20.0%であった。
(着色剤粒子分散液の製造例)
以下の材料を秤量し混合した。
・着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 100.0部
・ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製) 15.0部
・イオン交換水 885.0部
前記材料を湿式ジェットミル JN100((株)常光製)を用いて1時間分散して着色剤粒子分散液を得た。
・ワックス粒子分散液 10.0部
・着色剤粒子分散液 10.0部
・硫酸マグネシウム 0.2部
前記材料をホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、撹拌させながら、65℃まで加温した。
65℃で1.0時間撹拌した後、光学顕微鏡にて観察すると、個数平均粒径が6.0μmである凝集体粒子が形成されていることが確認された。
これにネオゲンRK(第一工業製薬(株)製)2.2部加えた後、80℃まで昇温して2.0時間撹拌して、融合した球形トナー母粒子を得た。
冷却後、ろ過し、ろ別した固体を720.0部のイオン交換水で、1.0時間撹拌洗浄した。トナー母粒子を含む溶液をろ過し、真空乾燥機を用いて乾燥させ、トナー母粒子2を得た。トナー母粒子2の重量平均粒径(D4)は7.1μm、個数平均粒径(D1)は5.6μmであり、ガラス転移温度(Tg)は58℃であった。
容器中に、イオン交換水390.0部、及びリン酸ナトリウム(12水和物)〔ラサ工業(株)製〕14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサーを用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
さらに、該水系媒体に10%塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体2を得た。
該水系媒体2中にトナー母粒子2を100.0部投入し、T.K.ホモミクサーを用いて、温度60℃、5,000rpmで回転させながら15分間分散した。イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子分散液2を得た。
イオン交換水660.0部、及び48.5%のドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液25.0部を混合し、T.K.ホモミクサーを用いて、10000rpmにて撹拌して水系媒体3を調製した。
下記材料を酢酸エチル500.0部へ投入し、プロペラ式撹拌装置にて100rpmで溶解して溶解液を調製した。
・スチレン/ブチルアクリレート共重合体 100.0部
(共重合質量比:80/20)
・飽和ポリエステル樹脂 3.0部
(テレフタル酸とビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物の縮合物)
・着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5部
・フィッシャートロプシュワックス(融点:78℃) 9.0部
150.0部の水系媒体3を容器に入れ、T.K.ホモミクサーを用い、回転数12,000rpmで撹拌し、これに前記溶解液100.0部を添加し、10分間混合して乳化スラリーを調製した。
その後、脱気用配管、撹拌機及び温度計を備えたフラスコに、乳化スラリー100.0部を仕込み、500rpmで撹拌しながら30℃にて12時間減圧下、脱溶剤し45℃で4時間熟成させて、脱溶剤スラリーとした。
脱溶剤スラリーを減圧濾過した後、得られた濾過ケーキにイオン交換水300.0部を添加し、T.K.ホモミクサーで混合、再分散(回転数12,000rpmにて10分間)した後、濾過した。
得られた濾過ケーキを乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩いトナー母粒子3を得た。トナー母粒子3の重量平均粒径(D4)は6.9μm、個数平均粒径(D1)は5.5μmであり、ガラス転移温度(Tg)は55℃であった。
容器中に、イオン交換水390.0部、及びリン酸ナトリウム(12水和物)〔ラサ工業(株)製〕14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサーを用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
さらに、該水系媒体に10%塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体を調整した。得られた水系媒体中にトナー母粒子3を100.0部投入し、T.K.ホモミクサーを用いて、温度60℃、5,000rpmで回転させながら15分間分散した。イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子分散液3を得た。
冷却管、攪拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を投入した。
・テレフタル酸 29.0部
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
80.0部
・チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 0.1部
その後、200℃に加熱し、窒素を導入しながら生成する水を除去しながら9時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸5.8部を加え、170℃に加熱し、3時間反応さ
せポリエステル樹脂を合成した。
また、
・低密度ポリエチレン(融点:100℃) 20.0部
・スチレン 64.0部
・アクリル酸n-ブチル 13.5部
・アクリロニトリル 2.5部
をオートクレーブに仕込み、系内を窒素置換後、昇温攪拌しながら180℃に保持した。
系内に、2.0%のt-ブチルハイドロパーオキシドのキシレン溶液50.0部を4.5時間かけて連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、ポリエチレンに共重合体がグラフトしたグラフト重合体を得た。
・パラフィンワックス(融点:75℃) 5.0部
・グラフト重合体 5.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.0部
前記材料をFMミキサ(FM-75型、日本コークス工業株式会社製)でよく混合した後、温度100℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、池貝鉄工(株)製)にて溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。
次に、得られた粗砕物を、ターボ工業社製のターボ・ミル(T-250:RSSローター/SNBライナー)を用いて、5μm程度の微粉砕物を得た。
その後、さらにコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粉及び粗粉をカットしてトナー母粒子4を得た。
トナー母粒子4の重量平均粒径(D4)は6.4μm、個数平均粒径(D1)は5.2μmであり、ガラス転移温度(Tg)は59℃であった。
容器中に、イオン交換水390.0部、及びリン酸ナトリウム(12水和物)〔ラサ工業(株)製〕14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサーを用いて、12,000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
さらに、該水系媒体に10%塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体4を得た。
該水系媒体4中にトナー母粒子4を200.0部投入し、T.K.ホモミクサーを用いて、温度60℃、5,000rpmで回転させながら15分間分散した。イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子分散液4を得た。
・イオン交換水 90.0部
・メチルトリメトキシシラン 10.0部
前記材料を200mLのビーカーに秤量し、1モル/Lの塩酸でpHを4.5に調整した。その後、ウォーターバスで60℃に加熱しながら1時間撹拌し、有機ケイ素化合物液1を作製した。
反応容器内に下記材料を秤量し、プロペラ撹拌羽根を用いて混合した。
・有機ケイ素化合物液1 20.0部
・チタンラクテート(TC-310 マツモトファインケミカル(株)製)
0.05部
・トナー母粒子分散液1 500.0部
次に、得られた混合液のpHを7.0に調整し、混合液の温度を50℃にした後に、プロペラ撹拌羽根を用いて混合しながら、1時間保持した。
その後、1モル/LのNaOH水溶液を用いてpHを9.5に調整し、温度は50℃で、撹拌しながら2時間保持した。
1モル/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、リン酸とチタンを含む化合物との反応物を含有する微粒子が表面に存在するトナー粒子1を得た。
なお、該微粒子は、チタンラクテート(チタンを含む化合物)と、水系媒体1中のリン酸ナトリウム、又は、リン酸カルシウム由来のリン酸イオン(多価酸)との反応物を含有している。
電界放出形走査型電子顕微鏡(FE-SEM)で観察したところ、上記微粒子の個数平均粒径は、2nmであった。
一方、蛍光X線で、トナー粒子中の、リン酸とチタンを含む化合物との反応物の存在量を算出したところ、0.01質量%であった。得られたトナー粒子1をトナー1とした。
トナー1の製造例において、(1)有機ケイ素化合物液1を使用しないこと、(2)チタンラクテートの添加量を0.05部から0.18部に変更したこと、(3)混合液の温度を50℃から85℃に変更し、その後、pHを9.5に調整し、温度は85℃で撹拌したこと、以外は同様にして、リン酸とチタンを含む化合物との反応物を含有する微粒子が表面に存在するトナー粒子2を得た。
FE-SEMで観察したところ、該微粒子の個数平均粒径は5nmであった。
一方、蛍光X線で、トナー粒子中の、リン酸とチタンを含む化合物との反応物の存在量を算出したところ、0.05質量%であった。得られたトナー粒子2をトナー2とした。
トナー1の製造例において、チタンラクテート(TC-310 マツモトファインケミカル(株)製)0.05部を、チタンラクテートアンモニウム塩(TC-300 マツモトファインケミカル(株)製)0.85部に変更した以外は同様にして、リン酸とチタンを含む化合物との反応物を含有する微粒子が表面に存在するトナー粒子3を得た。
なお、電界放出形走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて撮影されたトナー粒子3の写真を図1に示す。
FE-SEMで観察したところ、該微粒子の個数平均粒径は12nmであった。
一方、蛍光X線で、トナー粒子中の、リン酸とチタンを含む化合物との反応物の存在量を算出したところ、0.20質量%であった。得られたトナー粒子3をトナー3とした。
反応容器内に下記材料を秤量し、プロペラ撹拌羽根を用いて混合した。
・有機ケイ素化合物液1 20.0部
・リン酸ナトリウム12水和物 5.0部
・チタントリエタノールアミネート(TC-400 マツモトファインケミカル(株)製)
1.7部
・トナー母粒子分散液1 500.0部
次に、得られた混合液のpHを7.0に調整し、混合液の温度を50℃にした後に、プロペラ撹拌羽根を用いて混合しながら、1時間保持した。
その後、1モル/LのNaOH水溶液を用いてpHを9.5に調整し、温度は50℃で、撹拌しながら2時間保持した。
1モル/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、リン酸とチタンを含む化合物との反応物を含有する微粒子が表面に存在する
トナー粒子4を得た。
FE-SEMで観察したところ、該微粒子の個数平均粒径は、51nmであった。
一方、蛍光X線で、トナー粒子中の、リン酸とチタンを含む化合物との反応物の存在量を算出したところ、0.50質量%であった。得られたトナー粒子4をトナー4とした。
なお、該微粒子は、チタントリエタノールアミネート(チタンを含む化合物)と、混合液中のリン酸ナトリウム由来のリン酸イオン(多価酸)との反応物を含有している。
トナー1の製造例において、18.0部のリン酸ナトリウム12水和物を追加し、チタンラクテートの添加量を0.05部から10.0部へ変更した以外は同様にして、リン酸とチタンを含む化合物との反応物を含有する微粒子が表面に存在するトナー粒子5を得た。
FE-SEMで観察したところ、該微粒子の個数平均粒径は、190nmであった。
一方、蛍光X線で、トナー粒子中の、リン酸とチタンを含む化合物との反応物の存在量を算出したところ、2.88質量%であった。得られたトナー粒子5をトナー5とした。
トナー1の製造例において、チタンラクテートを、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩(ZC-300 マツモトファインケミカル(株)製)3.5部に変更した以外は同様にして、リン酸とジルコニウムを含む化合物との反応物を含有する微粒子が表面に存在するトナー粒子7を得た。
FE-SEMで観察したところ、該微粒子の個数平均粒径は、32nmであった。
一方、蛍光X線で、トナー粒子中の、リン酸とジルコニウムを含む化合物との反応物の存在量を算出したところ、0.21質量%であった。得られたトナー粒子7をトナー7とした。
反応容器内に下記材料を秤量し、プロペラ撹拌羽根を用いて混合した。
・チタンイソプロポキシド 2.4部
・トナー母粒子分散液1 500.0部
次に、得られた混合液のpHを7.0に調整し、混合液の温度を85℃にした後に、プロペラ撹拌羽根を用いて混合しながら、1時間保持した。
1モル/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、酸化チタン化合物を含有する微粒子が表面に存在するトナー粒子14を得た。
FE-SEMで観察したところ、該微粒子の個数平均粒径は、52nmであった。
一方、蛍光X線で、トナー粒子中の、酸化チタン化合物の存在量を算出したところ、0.52質量%であった。得られたトナー粒子14をトナー14とした。
・イオン交換水 100.0部
・リン酸ナトリウム(12水和物)〔ラサ工業(株)製〕 8.5部
以上を混合したのち、室温で、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、10,000rpmにて攪拌しながら、チタンラクテート(TC-310、マツモトファインケミカル株式会社)10.0部を添加した。1モル/Lの塩酸を加えpHを7.0に調整した。
その後、遠心分離で固形分を取り出した。その後、イオン交換水に再度分散、遠心分離で固形分を取り出すという工程を3回繰り返し、ナトリウムなどのイオンを除去した。再度、イオン交換水に分散させ、スプレードライで乾燥し、個数平均粒径が310nmのリン酸とチタンを含む化合物との反応物を含有する微粒子を得た。
微粒子1の製造例において、多価酸としてのリン酸ナトリウム(12水和物)、第4族元素を含む化合物としてのチタンラクテート、及び、T.K.ホモミクサーの回転数を表1の様に変更した以外は同様にして、微粒子2~6を得た。
なお、pHの調整には、1モル/Lの塩酸、又は、1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
表中の化合物の製造元及び品名は以下の通り。
チタンラクテート:「TC-310」マツモトファインケミカル(株)
チタンラクテートアンモニウム塩:「TC-300」マツモトファインケミカル(株)
ジルコニウムラクテートアンモニウム塩:「TZ-300」マツモトファインケミカル(株)
チタントリエタノールアミネート:「TC-400」マツモトファインケミカル(株)
トナー母粒子分散液1に、1モル/Lの塩酸を添加して、pHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、真空乾燥機を用いた乾燥させて、トナー母粒子1を得た。
100.0部のトナー母粒子1に対して、5.0部の微粒子1をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で混合することでトナー粒子6を得た。
蛍光X線で、トナー粒子中の、リン酸とチタンを含む化合物との反応物の存在量を算出
したところ、4.9質量%であった。得られたトナー粒子6をトナー6とした。
トナー6の製造例において、5.0部の微粒子1の添加量を、表2に記載された添加量に変更した以外は同様にして、トナー8~13、15を得た。
トナー1~15を用いて、下記の評価を行った。
カラーレーザープリンター(LBP-7700C、キヤノン製)を使用し、シアンカートリッジのトナーを取り出して、このカートリッジに各トナーを160g充填した。充填後のカートリッジを用いて帯電性能及び部材汚染の評価を行った。
なお、以下、実施例7~12は、それぞれ参考例7~12とする。
低温低湿環境下(10℃、15%RH;以下「L/L」ともいう)において、以下の評価を行った。
磁性キャリアF813-300(パウダーテック社製)19.0gと評価トナー1.0gを50mLの蓋付きプラスチックボトルに投入したものを2つ用意する。
振とう器(YS-LD:(株)ヤヨイ製)で、1秒間に4往復のスピードで3分間と、10分間それぞれ振とうし、二成分現像剤を準備した。
図2に示す底に500メッシュ(目開き25μm)のスクリーン3のある金属製の測定容器2に摩擦帯電量を測定しようとする二成分現像剤を0.200g入れ金属製のフタ4をする。このときの測定容器2全体の質量を秤りW1(g)とする。
次に、吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し、風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を50mmAqとする。この状態でトナーを1分間吸引し、除去する。
このときの電位計9の電位をV(ボルト)とする。ここで、8はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。吸引後の測定容器全体の質量を秤りW2(g)とする。このトナーの摩擦帯電量は下記式により計算される。
摩擦帯電量(mC/kg)=(C×V)/(W1-W2)
「3分間振とう後の摩擦帯電量」/「10分間振とう後の摩擦帯電量」を計算し、その結果を帯電の立ち上がり性とし、以下の基準で評価を行った。評価結果を表3に示す。
A:帯電の立ち上がり性が90%以上
B:帯電の立ち上がり性が80%以上90%未満
C:帯電の立ち上がり性が70%以上80%未満
D:帯電の立ち上がり性が70%未満
低温低湿環境下(10℃、15%RH)、及び、高温高湿環境下(30℃、80%RH;以下「H/H」ともいう)において、以下の評価を行った。
磁性キャリアF813-300(パウダーテック社製)19.0gと評価トナー1.0gを50mLの蓋付きプラスチックボトルに投入したものを用意する。
振とう器(YS-LD:(株)ヤヨイ製)で、1秒間に4往復のスピードで10分間、振とうし、二成分現像剤を準備した。
帯電の立ち上がり性の評価と同様に、摩擦帯電量を測定した。
「高温高湿環境の摩擦帯電量」/「低温低湿環境の摩擦帯電量」を計算し、その結果を環境による帯電量安定性(環境安定性)とし、以下の基準で評価を行った。評価結果を表3に示す。
A:帯電量安定性が90%以上
B:帯電量安定性が80%以上90%未満
C:帯電量安定性が70%以上80%未満
D:帯電量安定性が70%未満
低温低湿環境下(10℃、15%RH)において、充填後のカートリッジを前記プリンターのシアンステーションに装着した。A4普通紙 Office70(キヤノンマーケティングジャパン 70g/m2)を用い、トナーを補給しながら印字率30%チャートを2,000枚連続して印刷後、ハーフトーン画像を印刷した。
なお、帯電部材が汚染されている場合には、感光体上に帯電ムラが生じ、ハーフトーン画像に濃度ムラが生じる。
評価基準は以下のとおりである。
A:ハーフトーン画像に濃度ムラがなく均一である
B:ハーフトーン画像にごくわずかに濃度ムラがある
C:ハーフトーン画像にわずかに濃度ムラがある
D:ハーフトーン画像に濃度ムラがある
評価結果を表4に示す。
Claims (3)
- 結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー粒子の表面が、リン酸と、チタンを含む化合物と、の反応物を有する、ことを特徴とするトナー。 - 前記トナー粒子の表面に、前記反応物を含有する微粒子が存在し、
該微粒子の個数平均粒径が、1nm以上200nm以下である、
請求項1に記載のトナー。 - 前記トナー粒子中の前記反応物の含有量が、0.01質量%以上5.00質量%以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
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