JP4892335B2 - インターロイキン15(il−15)に特異的なヒト抗体 - Google Patents

インターロイキン15(il−15)に特異的なヒト抗体 Download PDF

Info

Publication number
JP4892335B2
JP4892335B2 JP2006502466A JP2006502466A JP4892335B2 JP 4892335 B2 JP4892335 B2 JP 4892335B2 JP 2006502466 A JP2006502466 A JP 2006502466A JP 2006502466 A JP2006502466 A JP 2006502466A JP 4892335 B2 JP4892335 B2 JP 4892335B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
human
antibody
cells
antibodies
sequence
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2006502466A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007528348A (ja
Inventor
デ ウィンケル, ヤン, ヘー., イェイ. ファン
ダイク, マルクス, アントニーウス ファン
ジャニンヌ スヒュールマン,
アルナウト, エフ. ヒェリッツェン,
オレ, ディー., エム., エスシー バーズゴン,
ヨーン ペターセン,
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Genmab AS
Original Assignee
Genmab AS
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US10/374,932 external-priority patent/US7329405B2/en
Priority claimed from US10/379,741 external-priority patent/US7247304B2/en
Application filed by Genmab AS filed Critical Genmab AS
Publication of JP2007528348A publication Critical patent/JP2007528348A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4892335B2 publication Critical patent/JP4892335B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/24Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against cytokines, lymphokines or interferons
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/24Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against cytokines, lymphokines or interferons
    • C07K16/244Interleukins [IL]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01KANIMAL HUSBANDRY; AVICULTURE; APICULTURE; PISCICULTURE; FISHING; REARING OR BREEDING ANIMALS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; NEW BREEDS OF ANIMALS
    • A01K2217/00Genetically modified animals
    • A01K2217/05Animals comprising random inserted nucleic acids (transgenic)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/20Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin
    • C07K2317/21Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin from primates, e.g. man
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/56Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments variable (Fv) region, i.e. VH and/or VL
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/56Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments variable (Fv) region, i.e. VH and/or VL
    • C07K2317/565Complementarity determining region [CDR]
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/70Immunoglobulins specific features characterized by effect upon binding to a cell or to an antigen
    • C07K2317/73Inducing cell death, e.g. apoptosis, necrosis or inhibition of cell proliferation

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Description

発明の分野
関連出願
本出願は、2003年2月26日に提出された米国一連番号10/374,932号、及び2003年3月5日に提出された米国一連番号10/379,741に基づく優先権を主張するものであり、更に本出願は、2002年8月23日に提出された米国一連番号10/226615号、及び2001年8月23日に提出された米国一連番号60/314731号に基づく優先権も主張するものである。これら基礎出願の内容を引用を持ってここに援用することとする。
発明の背景
インターロイキン−15(IL-15)は、14乃至15kDの糖タンパク質である炎症誘発性サイトカインである。単球及びマクロファージ、線維芽細胞、ケラチノサイト及び樹状細胞を含め、多種の細胞及び組織で構成的発現が報告されている(Waldmann and
Tagaya, 1999; Fehniger and Caligiuri, 2001)。この発現は、IFN-γ及びLPSで刺激を受けたり、又はウィルス、細菌又は原生生物感染で刺激を受けた単球に関して報告されているように、炎症条件下で上方調節される(Kirkman et al.,
1998; Waldmann et al., 1998; Waldmann and Tagaya, 1999; Fehniger and Caligiuri,
2001)。更に、リウマチ様関節炎などの慢性炎症性疾患では、局所的に産生されるIL-15が滑膜T細胞の動員及び活性化により炎症を増幅している可能性が高い。このIL-15誘導性の効果は、疾患病理において中枢の役割を果たしていると示唆されている(Kirman et al.,
1998; McInnes et al., 1996; McInnes et al., 1997; McInnes and Liew, 1998;
Feniger and Caligiuri, 2001)。
in vitro研究では、共通の受容体成分があるために、IL-15はIL-2といくつかの生物学的活性を共有していることが示されている。T細胞上に存在するそのIL-15受容体は、固有のα-鎖であるIL-15α鎖を含むが、そのβ-鎖及びγ-鎖はIL-2Rと共通である。その結果、両方の受容体は、同じJak/STAT-シグナル伝達因子を用いている。しかしながら、IL-2及びIL-15並びにそれらの受容体の複雑な調節や示差的な発現に基づいて、in vivo 機能での重要な違いが報告されている(Kirman et al.,
1998; Waldmann and Tagaya, 1999; Waldmann et al., 2001)。また更に、ナチュラル・キラー(NK)細胞、NK-T細胞及び上皮内リンパ球の発生、生存、増殖及び機能にとってIL-15に重複のない役割があることに注目することも重要である (Kennedy et
al., 2000; Liu et al.,2000)。
マッキンズ氏及び共同研究者は、リウマチ様関節炎患者を由来とするT細胞にIL-15の刺激があるとTNF-α産生が誘導されることを報告した(McInnes et al.,
1997; McInnes and Liew, 1998)。更に、IL-15により活性化した末梢血T細胞が、マクロファージによる著しいTNF-α産生を、細胞接触依存的機序を通じて誘導することも示された。リウマチ様関節炎ではTNF-αは破壊的役割を果たすものであるため、このサイトカインを阻害すると疾患の活動が低下する(Bathon et al., 2000;
Klippel, 2000; Lovell et al., 2000; Maini and Taylor, 2000)。
発明の概要
本発明は、ヒトIL-15に特異的に結合すると共に、IL-15により誘導される炎症誘発効果を阻害する完全ヒトモノクローナル抗体の初めての作製及び単離や、このような新規な抗体の特徴付け、並びに、多種のIL-15媒介性疾患を治療する上でのそれらの治療上の価値の実証、に基づくものである。例えば、ここで解説するように、本ヒト抗体は、その両者ともが炎症性異常に統合的に関与しているTNF-α産生及びT細胞増殖の両方を阻害することが示されている。従って、本発明のヒト抗体は、このような異常(及びいずれかの他のIL-15媒介性異常)を治療及び防止するための優れた手段を提供するものであり、それらの固有の特異性(例えばエピトープ及び種特異性)、親和性、構造、機能上の活性や、それらが完全にヒトであるため、ヒトの患者に投与された場合に、これまで作製された他のIL-15抗体(例えばマウス及びヒト化抗体)よりも免疫原性が有意に低く、そして治療上より有効かつ有用であるという事実に、一部負うところがあるものである。更に本発明は、リウマチ様関節炎、乾癬、移植片拒絶及び癌などの炎症性疾患の治療を含め、ここで解説するヒト抗体などのIL-15阻害性抗体のための新規な治療上の用途の発見にも基づくものである。
本発明の単離されたヒト抗体には、多種の抗体アイソタイプ、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD、及びIgEが含まれる。典型的には、これらにはIgG1(例えばIgG1k)、IgG3 及びIgM アイソタイプが含まれる。本抗体は完全長(例えばIgG1 又はIgG3抗体)であってもよく、あるいは、抗原結合部分(例えばFab、F(ab')2 、Fv、一本鎖Fvフラグメント、単離された相補性決定領域(CDR)又は2種以上の単離されたCDRの組合せなど)のみが含まれていてもよい。
ある実施態様では、本ヒト抗体は組換え抗体である。ある具体的な実施態様では、本ヒト抗体は、それぞれ配列番号1及び配列番号3に記載された通りのヌクレオチド配列及びそれらの保存的配列改変をそれらの可変領域に含むヒトIgG重鎖及びヒトカッパ軽鎖核酸にコードされている。別の実施態様では、本ヒト抗体は、それぞれ配列番号2及び配列番号4に示されたアミノ酸配列及びそれらの保存的配列改変を含むIgG重鎖及びカッパ軽鎖可変領域を含む。
本発明のヒト抗体は、本抗体の重鎖及び軽鎖をコードする核酸を含有するトランスフェクトーマ(例えば不死化CHO細胞又はリンパ球性細胞から成るトランスフェクトーマなど)など、ホスト細胞内で組換えにより産生させることも、あるいは、本抗体を発現するハイブリドーマ(例えば、本抗体をコードするヒト重鎖導入遺伝子及びヒト軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する、トランスジェニック・マウスなどの非ヒト・トランスジェニック動物から得たB細胞を不死化細胞に融合させて含むものなど)から直接得ることもできる。ある具体的な実施態様では、本抗体は、ここで146B7と言及されるハイブリドーマにより、又は、それぞれ配列番号1及び3に記載されたヌクレオチド配列及びこれらの保存的改変をそれらの可変領域に含むヒト重鎖及びヒト軽鎖核酸を含有するホスト細胞(例えばCHO細胞)トランスフェクトーマにより、産生される。具体的な実施態様では、本抗体は、ここで146B7、146H5、404E4、及び404A8と言及されるハイブリドーマにより、産生される。ある好適な実施態様では、本抗体は、IL-15のうちのβ-及び/又はγ-鎖相互作用ドメイン上に位置するエピトープに特異的に結合する。
別の実施態様では、本発明のヒト抗体はヒトIL-15に特異的に結合して、IL-15がIL-15受容体に結合したときに、IL-15の炎症誘発効果誘導能を阻害し、例えば、TNFαの産生を阻害する、及び/又は、例えばPBMC又はCTLL-2T細胞などのT細胞の増殖を阻害する。典型的には、組換えヒトIL-15を分析物として、そして本抗体をリガンドとして用いたBIACORE 3000装置による表面プラズモン共鳴(SPR)技術で判定した場合に、本ヒト抗体は、例えばほぼ10-8M、10-9M又は10-10M未満又は更にそれより低いなど、ほぼ10-7M未満の解離平衡定数(KD)でIL-15に結合する。ある具体的な実施態様では、本抗体はヒトIL-15にほぼ6.5×10-8Mの解離平衡定数(KD)で結合する。
更なる実施態様では、本発明は、
(i)配列番号5、6、7、8、9、及び10;
(ii)(i)で定義された配列に対して少なくとも90%相同、好ましくは少なくとも95%相同、そしてより好ましくは少なくとも98%、又は少なくとも99%相同な配列;及び
(iii)ヒトIL-15への特異的結合能を保持した、(i)又は(ii)に定義された配列のフラグメント、
から成る群より選択される少なくとも1つのCDR配列を含む、ヒトIL-15に特異的に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体に関する。
更なる実施態様では、本発明は、
(i)配列番号7;
(ii)配列番号7に対して少なくとも90%相同、好ましくは少なくとも95%相同、そしてより好ましくは少なくとも98%、又は少なくとも99%相同な配列;又は
(iii)ヒトIL-15への特異的結合能を保持した、(i)又は(ii)に定義された配列のフラグメント、
を含む、ヒトIL-15に特異的に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体に関する。
更なる実施態様では、本発明は、
(i)配列番号5及び8;
(ii)配列番号6及び9;
(iii)配列番号7及び10;
(iv)(i)、(ii)又は(iii)に定義された配列に対して少なくとも90%相同、好ましくは少なくとも95%相同、そしてより好ましくは少なくとも98%、又は少なくとも99%相同な配列;又は
(v)ヒトIL-15への特異的結合能を保持した、(i)、(ii)、(iii)又は(iv)に定義された配列のフラグメント、
を含む、ヒトIL-15に特異的に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体に関する。
更なる実施態様では、本発明は、
(i)配列番号5、6、7、8、9、又は10;
(ii)(i)で定義された配列に対して少なくとも90%相同、好ましくは少なくとも95%相同、そしてより好ましくは少なくとも98%、又は少なくとも99%相同な配列;及び
(iii)ヒトIL-15への特異的結合能を保持した、(i)又は(ii)に定義された配列のフラグメント、
から選択される少なくとも4つのCDR配列を含む、ヒトIL-15に特異的に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体に関する。
更なる実施態様では、本発明は、
(i)配列番号5、6、7、8、9、又は10;
(ii)(i)で定義された配列に対して少なくとも90%相同、好ましくは少なくとも95%相同、そしてより好ましくは少なくとも98%、又は少なくとも99%相同な配列;又は
(iii)ヒトIL-15への特異的結合能を保持した、(i)又は(ii)に定義された配列のフラグメント、
を含む、ヒトIL-15に特異的に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体に関する。
更なる実施態様では、本発明は、アミノ酸配列配列番号2を持つ;又は、配列番号2に対して少なくとも90%相同、好ましくは少なくとも95%相同、そしてより好ましくは少なくとも98%、又は少なくとも99%相同な配列を持つ、重鎖可変領域を含む、ヒトIL-15に特異的に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体に関する。
更なる実施態様では、本発明は、アミノ酸配列配列番号4を持つ;又は、配列番号4に対して少なくとも90%相同、好ましくは少なくとも95%相同、そしてより好ましくは少なくとも98%、又は少なくとも99%相同な配列を持つ、軽鎖可変領域を含む、ヒトIL-15に特異的に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体に関する。
更なる実施態様では、本発明はヒトIL-15に特異的に結合すると共に、ヒトIL-15のγ-鎖相互作用性ドメイン上に位置するエピトープに特異的に結合することにより、IL-15Rγ-鎖を通じたcisシグナル伝達を阻害し、また、前記γ-鎖か、又はβ-及びγ-鎖を、IL-15R又は別のサイトカイン受容体の一部として発現している隣接細胞上のtransシグナル伝達を阻害する、単離されたヒトモノクローナル抗体に関する。
更に別の実施態様では、当該の単離されたヒトモノクローナル抗体はヒトIL-15に特異的に結合すると共に、IL-15受容体α-鎖、β-鎖及びγ-鎖の集合に干渉する、及び/又は、β-鎖及びγ-鎖を、IL-15受容体又は別のサイトカイン受容体の一部として発現している隣接細胞上の集合を阻害する。
別の局面では、本発明は、本発明の抗体又は抗原結合部分をコードする核酸分子を提供するものである。従って、本発明の抗体をコードする核酸を含有する組換え発現ベクタや、このようなベクタがトランスフェクトされたホスト細胞も、これらのホスト細胞を培養することにより本発明の抗体を作製する方法と同様に、本発明の包含するところである。
更に本発明は、それぞれ配列番号2及び配列番号4に示されたアミノ酸配列及びこれらの保存的改変を含む重鎖及び軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクタに関するものである。このような発現ベクタは当業で公知である。その例には、網状赤血球ライセートなどを用いたin vitro 転写/翻訳ベクタがある。
更に別の局面では、本発明は、IL-15に特異的に結合する多様なアイソタイプ(例えばIgG、IgA及び/又はIgM)のヒトモノクローナル抗体を発現することのできる、トランスジェニック・マウスなどの非ヒトトランスジェニック動物を由来とする単離されたB細胞を提供するものである。好ましくは、前記の単離されたB細胞を、IL-15抗原の精製もしくは濃縮製剤及び/又はIL-15発現細胞で免疫された、トランスジェニック・マウスなどの非ヒトトランスジェニック動物から得るとよい。好ましくは、トランスジェニック・マウスなどの前記非ヒトトランスジェニック動物が、ヒト重鎖導入遺伝子及びヒト軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するとよい。次に、この単離されたB細胞を免疫して、IL-15に対するヒトモノクローナル抗体の供給源(例えばハイブリドーマ)とする。
従って、更に本発明は、IL-15に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を産生することができるハイブリドーマを提供するものである。ある実施態様では、本ハイブリドーマは、ヒト重鎖導入遺伝子及びヒト軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する、トランスジェニック・マウスなどの非ヒトトランスジェニック動物から得られたB細胞を、不死化細胞に融合させて含む。該非ヒトトランスジェニック動物を、IL-15抗原の精製もしくは濃縮製剤及び/又はIL-15発現細胞で免疫して、抗体産生ハイブリドーマを生じさせることができる。本発明により提供される具体的なハイブリドーマには、146B7、146H5、404E4、及び404A8がある。
更に別の局面では、本発明は、IL-15に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を発現する、トランスジェニック・マウスなどの非ヒトトランスジェニック動物を提供するものである。ある具体的な実施態様では、本非ヒトトランスジェニック動物は、ヒト重鎖導入遺伝子及びヒト軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック・マウスである。該非ヒトトランスジェニック動物を、IL-15抗原の精製もしくは濃縮製剤及び/又はIL-15発現細胞で免疫することができる。好ましくは、トランスジェニック・マウスなどの該非ヒトトランスジェニック動物が、V-D-J組換え及びアイソタイプ・スイッチングを起こすことにより、複数のアイソタイプ(例えばIgG、IgA及び/又はIgM)の抗IL-15ヒトモノクローナル抗体を産生することができるとよい。アイソタイプ・スイッチングは、例えば古典的又は非古典的アイソタイプ・スイッチングなどで起きるものでよい。
別の局面では、本発明は、IL-15と特異的に反応するヒトモノクローナル抗体を作製する方法を提供する。ある実施態様では、本方法は、ヒト重鎖導入遺伝子及びヒト軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する、トランスジェニック・マウスなどの非ヒトトランスジェニック動物を、IL-15抗原の精製もしくは濃縮製剤及び/又はIL-15発現細胞で免疫 するステップを含む。次に、この動物のB細胞(例えば脾B細胞)を得、骨髄腫細胞に融合して、IL-15に対するヒトモノクローナル抗体を分泌する不死のハイブリドーマ細胞を形成する。
別の局面では、本発明は、例えば細胞毒性薬物、酵素活性毒素、又はそのフラグメント、放射性同位体、又は低分子抗癌剤など、治療的部分に結合させたヒト抗IL-15抗体を特徴とする。
別の局面では、本発明は、薬学的に許容可能な担体と、IL-15に特異的に結合する、少なくとも一種の本発明のヒトモノクローナル抗体とを含む、医薬用及び診断用組成物などの組成物を提供する。本組成物には、更に、例えば他の免疫抑制剤又は化学療法薬など、他の治療的作用薬を含めることができる。
更に別の局面では、本発明は、好ましくは構造上関連するタンパク質/サイトカイン(例えばIL-2)の活性(例えばTNFα産生及び/又はT細胞増殖)を阻害することなく、一種以上の本発明のヒト抗体を用いて、IL-15誘導性TNFα産生及び/又はT細胞増殖を阻害するなど、IL-15の炎症誘発効果を阻害するための方法を提供するものである。
本発明のヒト抗体は、多種のIL-15媒介性疾患に罹患した患者に本抗体を投与することにより、このような疾患を治療及び/又は防止するために用いることができる。
本発明の方法及び組成物を用いて治療(例えば改善)又は防止することのできる疾患の例には、限定はしないが、炎症性異常、例えば関節炎(例えば乾癬性関節炎、及び、急性リウマチ様関節炎及び弱粘性リウマチ様関節炎を含むリウマチ様関節炎)、炎症性腸疾患、がある。例えば、本抗体は、乾癬において錯角化を低下させ、上皮の厚さを低下させ、そしてケラチノサイト増殖を低下させることが示されている。更に本抗体は、炎症を減らし、及び/又は、リウマチ様関節炎に関与する活性化白血球の化学走性を防止することが示されている。更に本抗体を用いて、HIV感染などの感染性疾患を治療することもできる。更に、本抗体を用いて、移植片拒絶を治療することもできる。従って、本発明のヒトモノクローナル抗体は、例えば心臓、肺、複合心臓−肺、気管、腎臓、肝臓、膵臓、食道、腸、皮膚、四肢の移植、臍帯移植、幹細胞移植、島細胞移植等の臓器又は組織移植を行う予定の、又は行った患者において有用であろう。
このように、本発明の抗体を、同種移植片及び異種移植片拒絶の予防に用いたり、あるいは、急性同種移植片又は異種移植片拒絶エピソードを逆行、治療又は寛解させるために用いてもよい。
治療の可能な更なる疾患には、移植片対宿主疾患、例えば輸血移植片対宿主疾患及び骨髄移植片対宿主疾患など、がある。更に、本抗体を、例えばT細胞白血病など、腫瘍成長及び癌などのIL-15媒介性血管新生が関与する多種の疾患を治療するために用いることができる。血管形成の増加のある他の例には、リウマチ様関節炎などの炎症性疾患がある。
更なる実施態様では、本発明は、ヒトIL-15の過剰発現に関連する異常、及び/又は、ヒトIL-15誘導性効果を下方調節又は阻害すると有益であるような異常を治療又は防止する方法に関する。本方法は、本発明による抗体を、前記異常を治療又は防止するために有効量、対象に投与するステップを含む。
更なる実施態様では、前記異常は、
強直性関節炎、反応性関節炎、仙腸骨炎、及び成人スティル病などの関節炎疹;
全身性エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、CNS狼瘡、ループス腎炎、サルコイドーシス、CNSサルコイドーシス、及び多発性筋炎/皮膚筋炎などの結合組織異常;
ブドウ膜炎及び舞踏病リティニティス(原語:choreoritinitis)などの眼科学的異常;
ミエロパチー/熱帯性痙性不全対麻痺、重症筋無力症、子宮頚管癌、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、及び多発性硬化症などの神経学的異常;
急性劇症肝炎、コエリアキ(原語:coeliaki)、術後全腸炎、潰瘍性大腸炎、及びクローン病などの胃腸管及び肝臓の異常;
気管支喘息などのアレルギ性異常;
急性T細胞リンパ芽球性白血病、成人T細胞白血病、セザリー症候群、慢性リンパ球性白血病、菌状息肉腫、前駆B細胞急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、大型顆粒リンパ球増加症、大型顆粒リンパ球白血病、骨髄腫、形質細胞腫、形質細胞骨髄腫、重鎖疾患(γ、μ及びα疾患を含む)、外結節性ナチュラル・キラー/T細胞リンパ腫、及び進行性ナチュラル・キラー細胞白血病などの造血系の異常;
アレルギ性接触湿疹、水疱性類天疱瘡、火傷後肥厚性瘢痕、及び紅色苔癬などの皮膚の異常;
慢性閉塞性疾患、線維化性肺胞隔炎、及び急性呼吸窮迫症候群などの肺の異常;
結腸直腸癌及び悪性黒色腫などの悪性病変;
同種移植片及び異種移植片拒絶、及び移植片対宿主疾患などの移植由来の異常;
自己免疫甲状腺炎及びグレーブズ病などの内分泌の異常;
ヴェグナー肉芽腫症、顕微鏡的多発性血管炎、結節性多発性動脈炎、巨細胞性動脈炎、及びアテローム性硬化症などの血管の異常;
反復性自発性中絶、及び子宮内膜症などの産婦人科系の異常;
敗血症、及びAIDSなどの感染性疾患;
から成る群より選択される。
更なる実施態様では、前記の異常は、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、同種移植片拒絶及び移植片対宿主疾患から成る群より選択される。
また本発明のヒト抗体を、一種以上の付加的な治療薬、例えば抗炎症剤、DMARD(疾患改変抗リウマチ薬)、免疫抑制剤、化学療法薬、及び乾癬薬など、に配合してもよい。
ある実施態様では、対象を、例えばステロイド系薬物又はNSAID(非ステロイド系抗炎症剤)など、本抗体の炎症誘発効果阻害を高める一種以上の作用薬で付加的に治療することができる。好適な作用薬には、例えば、アスピリン及び他のサリチル酸塩、Cox-2阻害剤、例えばロフェコキシブ(Vioxx)及びセレコキシブ(Celebrex)、イブプロフェン(Motrin、Advil)、フェノプロフェン(Nalfon)、ナプロキセン(Naprosyn)、スリンダック(Clinoril)、ジクロフェナック(Voltaren)、ピロキシカム(Feldene)、ケトプロフェン(Orudis)、ジフルニサール(Dolobid)、ナブメトン(Relafen)、エトドラック(Lodine)、オキサプロジン(Daypro)、及びインドメタシン(Indocin)などのNSAIDがある。
別の実施態様では、本発明のヒト抗体を、一種以上のDMARD、例えばメトトレキセート(Rheumatrex)、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil)、スルファサラジン(Asulfidine)、ピリミジン合成阻害剤、例えばレフルノミド(Arava)、IL-1受容体遮断剤、例えばアナキンラ(Kineret)、及びTNF-α遮断剤、例えばエタネルセプト(Enbrel)、インフリキシマブ(Remicade)及びアダリムマブなど、と組み合わせて投与することができる。
更なる例はIL-10、可溶性IL-15R、抗IL6R抗体、CTLA4Ig、及び抗CD20抗体である。
別の実施態様では、 本発明のヒト抗体を、例えばシクロスポリン(Sandimmune、Neoral)及びアザチオプリン(Imural)などの一種以上の免疫抑制剤と組み合わせて投与することができる。
更なる例はミコフェノール酸、ミコフェノレート-モフェチル、コルチコステロイド、例えばプレドニゾン、メトトレキセート、金塩、スルファサラジン、抗マラリア剤、ブレキナー、レフルノミド、ミゾリビン、15-デオキシスペルグアリン、6-メルカプトプリン、シクロホスファミド、ラパマイシン、タクロリムス(FK-506)、及び抗胸腺細胞グロブリンである。
別の実施態様では、本発明のヒト抗体を、二種以上の免疫抑制剤、例えばプレドニゾン及びシクロスポリン;プレドニゾン、シクロスポリン及びアザチオプリン;又はプレドニゾン、シクロスポリン及びミコフェノレート-モフェチルなど、と組み合わせて投与することができる。
別の実施態様では、本発明のヒト抗体を、一種以上の化学療法薬、例えばドキソルビシン(Adriamycin)、シスプラチン(Platinol)、ブレオマイシン(Blenoxane)、カルムスチン(Gliadel)、シクロホスファミド(Cytoxan、Procytox、Neosar)、及びクロラムブシル(Leukeran)と組み合わせて投与することができる。また本発明によるヒト抗体を、放射線療法と併用して投与することもできる。
別の実施態様では、本発明のヒト抗体を、例えばコールタール、ビタミンA、コルチゾン又は他のコルチコステロイドを含有する局所用医薬や、例えばコルチコステロイド、メトトレキセート、レチノイド、例えばアシクレチン(Neogitason)又はシクロスポリン(Sandimmune、Neoral)などの経口又は注射用医薬など、乾癬を治療するための一種以上の作用薬と組み合わせて投与することができる。他の治療には、日光への曝露又は光線療法が含まれよう。
更なる例はアントラリン、カルシポトリエン、タラゾテン、エタネルセプト、アレファセプト、エファリズマブ、6-チオグアニン、ミコフェノレート-モフェチル、タクロリムス(FK-506)、及びヒドロキシウレアである。他の例は、CTLA4Ig及びインフリキシマブである。他の治療法には、UVB (広帯域及び狭帯域紫外線B)、UVA(紫外線A)及びPUVA(プソラーレン・メトキサレン+紫外線A)が含まれよう。
更なる実施態様では、本発明の組成物を、二種以上の上記治療法、例えばメトトレキセート+光線療法(PUVA又はUVA);メトトレキセート+アシトレチン;アシトレチン+光線療法(PUVA又はUVA);メトトレキセート+アシトレチン+光線療法(PUVA又はUVB;ヒドロキシウレア+光線療法(PUVA又はUVB);ヒドロキシウレア+アシトレチン;シクロスポリン+メトトレキセート;又はカルシポトリエン+光線療法(UVB)と組み合わせて投与する。
別の実施態様では、本発明のヒト抗体を、他の抗体、例えばCD4特異抗体及びIL-2特異抗体など、と組み合わせて投与することができる。本発明のヒト抗体と、CD4 特異抗体又はIL-2特異抗体との組合せは、自己免疫疾患及び移植片拒絶を治療するために特に有用であると考えられる。
更に別の実施態様では、本抗体を、他の抗体、例えばMHC、CD2、CD3、CD7、CD28、B7、CD40、CD45、IFN-γ、TNF-α、IL-2R、IL-4、IL-5、IL-6R、IL-7、IL-8、IL-10、CD11a、CD20又はCD58に、又はこれらのリガンドに結合する抗体などの他の免疫抑制性ヒトモノクローナル抗体と組み合わせて;あるいは、例えば可溶性IL-15R 又はIL-10などの他の免疫調節性化合物と組み合わせて、投与してもよい。
更に別の局面では、本発明は、例えばIL-15媒介性疾患を診断するためなど、試料中のIL-15抗原の存在をin vitro 又は in vivo で検出する方法を提供する。ある実施態様では、これは、検査しようとする試料を、コントロール試料と並行して、本発明のヒトモノクローナル抗体又はその抗原結合部分に、前記抗体とIL-15との間の複合体形成が可能な条件下で接触させることにより、なされる。次に、複合体形成を両方の試料中で(例えばELISAを用いて)検出し、これら試料間の複合体形成に統計上有意な差があれば、該検査試料中のIL-15抗原の存在の指標である。
本発明の他の特徴及び長所は、以下の詳細な説明及び請求の範囲から明白であろう。
発明の詳細な説明
本発明は、IL-15により媒介される多種の異常(即ち、IL-15の炎症誘発効果により引き起こされる異常)を治療及び診断するための新規な抗体ベースの治療法を提供するものである。ここで用いられる用語「IL-15の炎症誘発効果」には、例えばTNFα及び他の炎症性媒介物質の産生や、T細胞の動員/増殖など、IL-15により誘導されるあらゆる体液性又は細胞媒介性免疫応答が含まれる。本発明の治療法では、IL-15上に存在するエピトープに特異的に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体を用いる。
ある実施態様では、本ヒト抗体は、V-D-J組換え及びアイソタイプ・スイッチングを起こすことにより、IL-15に対して複数のアイソタイプ(例えばIgG、IgA及び/又はIgE)のヒトモノクローナル抗体を産生することができる、トランスジェニック・マウスなどの非ヒトトランスジェニック動物で産生される。従って、本発明の多様な局面には、抗体及びその医薬組成物や、このようなモノクローナル抗体を作製するための非ヒトトランスジェニック動物、B細胞、ホスト細胞トランスフェクトーマ、及びハイブリドーマが含まれる。本発明の抗体を用いて、IL-15が結合した相手の細胞を検出する、及び/又は、in vitro 又は in vivoでIL-15媒介性機能を阻害する、方法も、本発明の包含するところである。IL-15が結合した相手の細胞に作用薬を標的決定する方法も包含される。
本発明がより容易に理解されるように、いくつかの用語をまず定義しておく。更なる定義は、詳細な説明全体を通じて記載されている。
用語「IL-15」、「IL-15抗原」及び「インターロイキン15」はここで交換可能に用いられており、細胞が天然で発現するあらゆるバリアント又はアイソフォームを包含するものである。
ここで言及される用語「抗体」は、抗体全体や、そのあらゆる抗原結合フラグメント(即ち「抗原結合部分」)又は一本鎖が含まれる。「抗体」とは、少なくとも2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖をジスルフィド結合で相互に接続して含む糖タンパク質、又はその抗原結合部分、を言う。各重鎖は、重鎖可変領域(ここではVHと省略される)と重鎖定常領域とから成る。重鎖定常領域はCH、CH2及びCH3という3つのドメインから成る。各軽鎖は軽鎖可変領域(ここではVLと省略される)及び軽鎖定常領域から成る。軽鎖定常領域はCLという一つのドメインから成る。VH及びVL領域はさらに、より保存されたフレームワーク領域(FR)と呼ばれる領域間に介在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域に小さく分割することができる。各VH及びVLは、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシ末端まで並んだ3つのCDR及び4つのFRから成る。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の多種の細胞(例えばエフェクタ細胞)を含むホスト組織又は因子や、古典的な補体系の第一コンポーネント(C1q)に対する免疫グロブリンの結合を媒介していると考えられる。
抗体の「抗原結合部分」(又は簡単に「抗体部分」)という用語は、ここで用いる場合、抗原(例えばIL-15)への特異的結合能を維持した、抗体のうちの一つ以上のフラグメントを言う。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体のうちの数フラグメントに行わせることができることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合フラグメントの例には、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインから成る一価のフラグメントであるFabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメントであるF(ab')2フラグメント;(iii)VH及びCH1ドメインから成るFdフラグメント;(iv)抗体の一本の腕のVL及びVHドメインから成るFvフラグメント;(v)VHドメインから成るdAbフラグメント(Ward et al.,
(1989) Nature 341:544-546);及び(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、又は(vii)選択的に合成リンカにより接合してもよい2つ以上の単離されたCDRの組合せ、がある。更に、Fvフラグメントの2つのドメインVL及びVHは別々の遺伝子にコードされているが、これらは、VL及びVH領域が対を成して一価の分子を形成するような一個のタンパク質鎖としてこれらを作製できるようにする合成リンカーにより、組換え法を用いて接合することができる(一本鎖Fv(scFv)として知られる;例えば Bird et al.
(1988) Science 242:423-426; and Huston et
al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照されたい)。このような一本鎖抗体もまた、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されるものと、意図されている。これらの抗体フラグメントは、当業者に公知の従来技術を用いて得られ、それらのフラグメントは、インタクト抗体と同じ態様で実用性についてスクリーニングされている。
用語「モノクローナル抗体」とは、ここで用いられる場合、単一の結合特異性及び親和性を特定のエピトープに対して示す抗体を言う。従って、用語「ヒトモノクローナル抗体」とは、単一の結合特異性を示すと共に、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列を由来とする可変領域及定常領域を有するような抗体を言う。ある実施態様では、ヒトモノクローナル抗体は、ヒト重鎖導入遺伝子及び軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する、トランスジェニックマウスなどの非ヒトトランスジェニック動物から得られたB細胞を、不死化細胞に融合させて含むハイブリドーマにより産生される。
用語「組換えヒト抗体」は、ここで用いる場合、組換え手段により調製された、発現させた、作製された又は単離された全てのヒト抗体を包含するものであり、例えば(a) ヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニック又はトランスクロモゾマルな動物(例えばマウス)から、あるいは、そこから調製されたハイブリドーマ(以下のI項に詳述する)から、単離された抗体、(b) 本抗体を発現するように形質転換させたホスト細胞から、例えばトランスフェクトーマから、単離された抗体、(c) 組換えの、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離された抗体、及び(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングに関与するいずれかの他の手段により調製された、発現させた、作製された又は単離された抗体、である。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列を由来とする可変及び定常領域を有する。しかしながら、いくつかの実施態様では、このような組換えヒト抗体に in vitro 変異誘発(又はヒトIg配列についてトランスジェニックな動物を用いる場合はin vivo 体細胞変異誘発)を行うことができ、こうして当該組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VH 及び VL配列を由来とし、また関連しながらも、in vivoのヒト抗体生殖細胞系レパートリには天然で存在しないかも知れない配列である。
ここで用いる場合「異種抗体」は、このような抗体を産生する非ヒトトランスジェニック生物との関係から定義される。この用語は、当該の非ヒトトランスジェニック動物を構成しない生物に見られるものに相当するアミノ酸配列又はコーディング核酸配列を有し、一般的には当該の非ヒトトランスジェニック動物の種以外の種を由来とする抗体を言う。
ここで用いる「単離された抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を言うものと、意図されている(例えばIL-15に特異的に結合する単離された抗体は、IL-15以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、IL-15のエピトープに特異的に結合する単離された抗体であれば、他の関連するサイトカインに対して、又は、異なる種由来の他のIL-15タンパク質に対して、交差反応性を有していてもよい。しかしながら、本抗体はヒトIL-15に必ず結合することが好ましい。さらに、単離された抗体は、典型的には、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まないであろう。本発明のある実施態様では、異なるIL-15特異性を有する「単離された」モノクローナル抗体の組合せを、良く定義された組成で組み合わせる。
ここで用いる「特異的結合」とは、所定の抗原への抗体の結合を言う。典型的には、組換えヒトIL-15を分析物とし、本抗体をリガンドとして用いたBIAcore 3000装置での表面プラズモン共鳴法(SPR)技術により判定したときに、本抗体は約10-7 M未満、例えば約10-8 M 、約10-9 M 、又は約10-10
M
未満、あるいはそれより小さい親和性(KD)で結合し、所定の抗原に対しては、前記所定の抗原又は関係の近い抗原以外の非特異的な抗原(例えばBSA、カゼイン)に対するその結合親和性よりも少なくとも2倍大きい親和性で結合する。文言「抗原を認識する抗体」及び「抗原に特異的な抗体」はここでは用語「抗原に特異的に結合する抗体」と交換可能に用いられている。
ここで用いられる「KD」とは、ある抗体−抗原相互作用の解離平衡定数を言うものと、意図されている。
ここで用いる「アイソタイプ」とは、重鎖定常領域遺伝子にコードされた抗体クラス(例えばIgM又はIgG1)を言う。
ここで用いる「アイソタイプ・スイッチング」とは、ある抗体のクラス、即ちアイソタイプ、が、あるIgクラスから他のIgクラスのうちの一つに変化する現象を言う。
ここで用いる「スイッチングのないアイソタイプ」とは、アイソタイプ・スイッチングが起きなかったときに産生される重鎖のアイソタイプ・クラスを言い、スイッチングのないアイソタイプをコードするCH遺伝子は、典型的には、機能上の再編成の起きるVDJ遺伝子のすぐ下流の一番目にあるCH遺伝子である。アイソタイプ・スイッチングは、古典的もしくは非古典的なアイソタイプ・スイッチングに分類されてきた。古典的なアイソタイプ・スイッチングは、導入遺伝子中の少なくとも一つのスイッチ配列領域が関与する組換え事象により起きるものである。非古典的アイソタイプ・スイッチングは、例えばヒトσμとヒトΣμとの間の相同組換え(δ関連欠失)などで起きることがある。その他の非古典的スイッチング機序、なかでも例えば導入遺伝子間及び/又は染色体間の組換えなどがあると、アイソタイプ・スイッチングが起きることがある。
ここで用いる用語「スイッチ配列」とは、スイッチ組換えを担うDNA配列を言う。「スイッチ・ドナー」配列は典型的にμスイッチ領域であり、スイッチ組換えの際に欠失するコンストラクト領域の5'側(即ち上流)にある。「スイッチ・アクセプター」領域は、欠失するコンストラクト領域と、置換定常領域(例えばγ、ε、等)との間にあるであろう。組換えが常に起きるという特定の部位はないため、最終的な遺伝子配列は、コンストラクトからは予測できないことが多い。
ここで用いる「糖付加パターン」は、タンパク質、より具体的には免疫グロブリンタンパク質、に共有結合する糖単位のパターンであると定義しておく。ある異種抗体の糖付加パターンが、導入遺伝子のCH遺伝子の由来となった種よりも当該の非ヒトトランスジェニック動物の種の糖付加パターンの方により似ていると当業者が認識するのであれば、この異種抗体の糖付加パターンを、前記非ヒトトランスジェニック動物の種の産生する抗体に天然で起きる糖付加パターンに実質的に似ていると特徴付けることができる。
ある物質に対してここで用いられる用語「天然で発生する」とは、物質が自然界に見られる事実を言う。例えば、(ウィルスを含む)生物中に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチド配列であって、天然にある源から単離でき、実験室で人間により意図的な改変を加えられていないポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は天然で発生したものである。
ここで用いる用語「再編成される」とは、Vセグメントが、D-J又はJセグメントのすぐ隣に位置することで、それぞれ完全VH又はVLドメインを実質的にコードするコンホメーションとなるような重鎖又は軽鎖免疫グロブリン遺伝子座の配置を言う。再編成の起きた免疫グロブリン遺伝子座は、生殖細胞系DNAに比較することで特定でき、再編成の起きた遺伝子座は少なくとも一つの組換えられた7量体/9量体相同配列を有するであろう。
Vセグメントに関してここで用いる用語「再編成のない」又は「生殖細胞系の配置」とは、Vセグメントが、D又はJセグメントのすぐ隣に来るように組換えられてはいない配置を言う。
ここで用いる用語「核酸分子」には、DNA分子及びRNA分子が包含されるものと、意図されている。核酸分子は一本鎖でも、又は二本鎖でもよいが、好ましくは二本鎖DNAである。
IL-15に結合する抗体又は抗体部分(例えばVH、VL、CDR3など)をコードする核酸に関してここで用いる用語「単離された核酸分子」とは、当該抗体又は抗体部分をコードするヌクレオチド配列が、IL-15以外の抗原に結合する抗体又は抗体部分をコードする、天然ではヒトゲノムDNA中で当該核酸をフランクしているであろう他のヌクレオチド配列を含まないことを言うものと、意図されている。配列番号1−4は、本発明のヒト抗IL-15抗体146B7の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)可変領域を含むヌクレオチド及びアミノ酸配列に相当する。具体的には、配列番号1及び2は、146B7抗体のVHに相当し、配列番号3及び4は、146B7抗体のVLに相当する。
更に本発明は、配列番号1−4に記載された配列の「保存的配列改変」、即ち、当該ヌクレオチド配列にコードされた、又は、当該アミノ酸配列を含有する、本抗体の結合特性に、有意に影響しない又は変化させないようなヌクレオチド及びアミノ酸配列改変を包含する。このような保存的配列改変には、ヌクレオチド及びアミノ酸の置換、付加及び欠失、がある。また、例えば部位指定変異誘発法及びPCR媒介変異誘発法など、当業で公知の標準的な技術によっても、配列番号1−4に改変を導入することができる。保存的アミノ酸置換には、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置換されるものが含まれる。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが当業で定義されている。これらのファミリーには、塩基性の側鎖を持つアミノ酸(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性の側鎖を持つアミノ酸(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷の極性側鎖を持つアミノ酸(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性の側鎖を持つアミノ酸(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分枝側鎖を持つアミノ酸(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖を持つアミノ酸(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)、がある。このように、ヒト抗IL-15抗体の中で予測される重要でないアミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸残基に置換することが好ましい。
代替的には、別の実施態様では、例えば飽和変異誘発法などにより、変異を抗IL-15抗体コーディング配列の全部又は一部にわたってランダムに導入することができ、その結果改変された抗IL-15抗体を、結合活性についてスクリーニングすることができる。
従って、ここに開示されたヌクレオチド配列(重鎖及び軽鎖可変領域)にコードされた 、及び/又は、ここに開示された(重鎖及び軽鎖可変領域)アミノ酸配列 (即ち、配列番号1−4)を含有する抗体には、保存的に改変された同様の配列にコードされた、又は、保存的に改変された同様の配列を含有する、実質的に同様の抗体が含まれる。このような実質的に同様の抗体を、ここに配列番号1−4として開示された部分的(即ち重鎖及び軽鎖可変領域)配列に基づいて作製できるかについての更なる議論を、下に提供する。
核酸の場合、「実質的な相同性」は、2つの核酸又はそのうちの指示した配列を、最適にアライメントして比較したときに、適当なヌクレオチドの挿入又は欠失がありながらも、ヌクレオチドの少なくとも約80%、通常はヌクレオチドの少なくとも約90%乃至95%、そしてより好ましくは少なくとも約98%乃至99.5%が同一であることを指す。代替的には、数セグメントが選択的ハイブリダイゼーション条件下で当該鎖の相補鎖にハイブリダイズするときに実質的な相同性が存在することとする。
アミノ酸配列の場合、用語「相同性」は、適当な挿入又は欠失を持たせて最適にアライメントして比較したときの、2つのアミノ酸配列間の同一性の程度を指す。
二つの配列間のパーセント同一性は、これら二つの配列を最適にアライメントするのに導入せねばならないギャップの数、及び各ギャップの長さを考慮に入れたときの、これら配列に共通の同一位置の数の関数である(即ち、%相同性=同一位置の数/位置の総数×100)。二つの配列間の配列の比較及びパーセント同一性の決定は、以下の非限定的な例に解説するように、数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。
二つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェア・パッケージ(http://www.gcg.comで入手できる)のGAPプログラムを用い、NWSgapdna.CMP マトリックスを用いて、ギャップ・ウェイトを40、50、60、70、又は80 にし、そしてレングス・ウェイトを1、2、3、4、5、又は6にして決定することができる。二つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間のパーセント同一性はまた、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれた E. マイヤース及びW. ミラーのアルゴリズム(Comput. Appl.
Biosci., 4:11-17 (1988)) を用い、PAM120 ウェイト残基表を用いて、ギャップ・レングス・ペナルティを12、そしてギャップ・ペナルティを4にして、決定することもできる。さらに、二つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェア・パッケージ(http://www.gcg.comで入手できる)のGAPプログラムに組み込まれたニードルマン及びワンシュ (J. Mol. Biol. (48):444-453 (1970))のアルゴリズムを用い、Blossum 62 マトリックス又はPAM250マトリックスのいずれかを用いて、ギャップ・ウェイトを16、14、12、10、8、6、又は4にし、レングス・ウェイトを1、2、3、4、5、又は6にして、決定することができる。
さらに本発明の核酸及びタンパク質の配列を「クエリー配列」として利用して、公開データベースの検索を行って、例えば関連する配列を同定することなどができる。このような検索は、Altschul, et al.
(1990) J. Mol. Biol. 215:403-10のNBLAST 及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)を利用して行うことができる。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラムを用い、スコア= 100、ワード長= 12 にして行うと、本発明の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、 XBLASTプログラムを用い、スコア= 50、ワード長= 3にして行うと、本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較を目的としてギャップのあるアライメントを行うには、Gapped BLAST をAltschul et al.,
(1997) Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402が解説するとおりに利用することができる。BLAST及びギャップドBLASTプログラムを利用する場合、各プログラムの(例えばXBLAST 及びNBLAST)のデフォルト・パラメータを利用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.
を参照されたい。
当該核酸は全細胞中にあっても、細胞ライセート中にあっても、又は部分的に精製されたもしくは実質的に純粋な形で存在してもよい。核酸は、アルカリ/SDS処理、CsClバンディング、カラム・クロマトグラフィ、アガロースゲル電気泳動法、及び当業で公知の他の技術を含む標準的な技術により、例えば他の細胞内核酸又はタンパク質など、他の細胞成分又は他の混入物質を取り除いて精製されている場合に、「単離されている」又は「実質的に純粋にされた」ことになる。 F. Ausubel, et
al., ed. Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley
Interscience, New York (1987)を参照されたい。
cDNA、ゲノム又はそれらの混合物由来である本発明の核酸組成物は、しばしば天然配列(改変された制限部位等を除き)のままであるが、遺伝子配列を提供する標準的技術に従って変異させてもよい。コーディング配列の場合、これらの変異は、必要に応じアミノ酸配列を左右するものでもよい。具体的には、ここで解説した天然V、D、J、定常、スイッチ及び他のこのような配列に実質的に相同又は由来とするDNA配列が考えられる(「由来する」が、ある配列が別の配列と同一か、もしくは別の配列から改変されていることを指す場合)。
核酸は、別の核酸配列と機能的な関係に置かれたときに「作動的に連結された」ことになる。例えば、あるプロモータ又はエンハンサが、あるコーディング配列の転写を左右するのであれば、その配列に作動的に連結されていることになる。転写調節配列に関する場合、作動的に連結されたとは、連結しようとするDNA配列が連続していることを意味し、また2つのタンパク質コーディング領域を接合するために必要な場合には、連続し、かつ読み取り枠内にあることを意味する。スイッチ配列の場合には、作動的に連結された、とは、当該配列がスイッチ組換えを起こし得ることを指す。
ここで用いる用語「ベクタ」とは、連結された先の別の核酸を輸送することのできる核酸分子を言うものと、意図されている。ベクタの一種が、付加的なDNAセグメントを中に連結できる環状の二本鎖DNAループを言う「プラスミド」である。ベクタのもう一つの種類がウィルスベクタであり、この場合、付加的なDNAセグメントは、ウィルスゲノム内に連結させることができる。いくつかのベクタは、導入された先のホスト細胞内で自律的複製が可能である(例えば細菌由来の複製開始点を有する細菌ベクタや、エピソームほ乳類ベクタなど)。他のベクタ(例えば非エピソームほ乳類ベクタなど)は、ホスト細胞に導入されるや、ホスト細胞のゲノムに組み込まれるため、ホストゲノムと一緒に複製させることができる。さらに、いくつかのベクタは、作動的に連結された先の遺伝子の発現を命令することができる。このようなベクタをここでは「組換え発現ベクタ」(又は単に「発現ベクタ」)と呼ぶ。一般的に、組換えDNA技術で実用性のある発現ベクタは、しばしばプラスミドの形である。本明細書では、プラスミドが最も普通に用いられている形のベクタであるため、「プラスミド」及び「ベクタ」を交換可能に用いている場合がある。しかしながら、本発明には、例えばウィルスベクタ(例えば複製欠陥レトロウィルス、アデノウィルス及びアデノ随伴ウィルス)など、同等の機能を果たす他の形のこのような発現ベクタも包含されることが、意図されている。
ここで用いる用語「組換えホスト細胞(又は単に「ホスト細胞」)とは、組換え発現ベクタが導入された細胞を言うものと、意図されている。このような用語は、特定の対象細胞だけでなく、このような細胞の後代も言うものと意図されていることは、理解されねばならない。突然変異又は環境による影響が原因で、特定の改変が継代に起きる場合があるため、このような後代は実際には親細胞と同一でないかも知れないが、それでも尚、ここで用いる用語「ホスト細胞」の範囲内に含まれる。
ここで用いる用語「対象」には、あらゆるヒト又は非ヒト動物が含まれる。例えば、本発明の方法及び組成物は、リウマチ様関節炎などの関節炎など、炎症性疾患のある対象を治療するために用いることができる。用語「非ヒト動物」には、例えばほ乳動物及び非哺乳動物、例えばヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、は虫類等、全ての脊椎動物が含まれる。
本発明の多様な局面を以下の小項で更に詳述する。
I. IL-15に対するヒト抗体の作製
本発明のヒトモノクローナル抗体は、例えばKohler and Milstein
(1975) Nature 256: 495の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術など、多様な技術により作製することができる。体細胞ハイブリダイゼーション法が基本的には好適であるが、モノクローナル抗体を作製する他の技術、例えばBリンパ球のウィルス又は腫瘍形成性形質転換や、ヒト抗体遺伝子のライブラリを用いたファージ・ディスプレイ技術など、も利用することができる。
本発明のヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製するための好適な動物系はマウス系である。免疫プロトコルや、免疫化脾細胞の単離及び融合のための技術を含め、マウスにおけるハイブリドーマ作製は当業で公知である。
ある実施態様では、IL-15を狙ったヒトモノクローナル抗体は、マウス系ではなくヒト免疫系の一部を持つトランスジェニック又はトランスクロモゾーマル・マウスを用いて作製される。ある実施態様では、本発明は、再編成のないヒト重鎖(μ及びγ)及びκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子最小遺伝子座を、内因性μ及びκ鎖遺伝子座を不活性化させる標的化された変異と一緒に含有する 、ここで「HuMAbマウス」と呼ばれるトランスジェニック・マウスを用いる(Lonberg, N. et
al. (1994) Nature 368 (6474):856-859)。従って、このマウスは、マウスIgM及又はκ軽鎖の低い発現を示し、そして免疫化に応答して、導入されたヒト重鎖及び軽鎖導入遺伝子がクラス・スイッチング及び体細胞変異を起こして、高親和ヒト IgGκモノクローナル抗体を産生する (Lonberg, N. et
al. (1994), supra; reviewed in Lonberg, N. (1994) Handbook of Experimental
Pharmacology 113:49-101; Lonberg, N. and Huszar, D. (1995) Intern. Rev.
Immunol. Vol. 13:65-93, and Harding,
F. and Lonberg, N. (1995) Ann.
N.Y. Acad.
Sci 764:536-546)。HuMAbマウスの調製は、下記の項II及びTaylor, L. et al.
(1992) Nucleic Acids Research 20:6287-6295; Chen, J. et al (1993) International
Immunology 5:647-656; Tuaillon et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci USA
90:3720:3724; Choi et al. (1991) Nature Genetics 4:117-123; Chen, J. et al.
(1993) EMBO J. 12:821:830; Tuiallon et al. (1994) J. Immunol. 152:2912-2920;
Lonberg N. et al., (1994) Nature 368(6474):856-859; Lonberg, N. (1994) Handbook
of Experimental Pharmacology 113:49-101; Taylor, L. et al. (1994) International
Immunology 6:579-591; Lonberg, N. and Huszar, D. (1995) Intern. Rev.
Immunol. Vol. 13:65-93; Harding, F.
and Lonberg, N. (1995) Ann. N.Y. Acad. Sci 764:536-546; Fishwild, D. et al.
(1996) Nature Biotechnology 14:845-851に詳述されている。更に、すべてLonberg 及びKayの米国第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,789,650号;第5,877,397号;第5,661,016号;第5,814,318号;第5,874,299号;及び第5,770,429号や、Surani et al の米国第5,545,807号;1998年6月11日に公開された国際公開番号WO 98/24884;1994年11月10日に公開されたWO 94/25585;1993年6月24日に公開されたWO 93/1227;1992年12月23日に公開されたWO 92/22645;1992年3月19日に公開されたWO 92/03918も参照されたい。具体的には、HCO12トランスジェニックHuMAbマウスの調製を実施例2で解説する。
免疫処理
IL-15に対する完全ヒトモノクローナル抗体を作製するためには、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含有するトランスジェニックもしくはトランスクロモソーマル・マウス(例えばHCo12、HCo7又はKMマウス)を、例えばLonberg, N. et al.
(1994) Nature 368 (6474): 856-859; Fishwild et al. (1996) Nature Biotechnology
14: 845-851及び WO 98/24884などに解説されたようにIL-15抗原の精製もしくは濃縮製剤及び/又はIL-15発現細胞で免疫することができる。代替的には、マウスを、ヒトIL-15をコードするDNAで免疫することができる。好ましくは、当該マウスは1回目の輸注時に6乃至16週齢であるとよい。例えば、IL-15抗原の濃縮もしくは精製済み製剤(5-50μg)を用いて、HuMAbマウスを腹腔内により免疫することができる。IL-15抗原の精製もしくは濃縮製剤を用いた免疫処置でも抗体が生じない場合、細胞株など、IL-15発現細胞でマウスを免疫して、免疫応答を促進することもできる。
多様な抗原を用いて蓄積した経験では、HuMAbトランスジェニックマウスは、まず抗原を完全フロイント・アジュバントに入れて腹腔内(IP)又は皮下(SC)免疫し、その後抗原を不完全フロイントアジュバントに入れて一週おきに(最高で合計10回)IP/SC免疫処置したときに最も良く応答することが示された。免疫応答は、眼窩後方の採血で得た血漿試料で、免疫プロトコルの経過にわたって観察することができる。この血漿はELISA(以下に解説するように)でスクリーニングすることができ、充分な抗体価の抗IL-15ヒト免疫グロブリンを持つマウスを融合に用いることができる。マウスは、と殺並びに脾臓及びリンパ節の摘出から3日前に、抗原を静注して追加免疫することができる。
IL-15に対するヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作製
IL-15に対するヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製するには、免疫後のマウスから脾細胞及びリンパ節細胞を単離し、マウス骨髄腫細胞株などの適した不死化細胞株に融合させることができる。こうして出来たハイブリドーマを次に、抗原特異的抗体の産生についてスクリーニングすることができる。例えば免疫されたマウス由来の脾臓リンパ球の単個細胞懸濁液を、50% PEG(w/v)で、SP2/0-Ag8.653非分泌性マウス骨髄腫細胞 (ATCC, CRL 1580) に融合させることができる。細胞を平底微量定量プレートにほぼ1×105個になるようにプレートした後、通常の試薬の他に10% 胎児クローン血清、5-10%のorigen ハイブリドーマ・クローニング・ファクター (IGEN)及び1X HAT (シグマ社)を含有する選択培地で2週間、インキュベートすることができる。ほぼ2週間後、HATをHTに取り替えた培地で細胞を培養することができる。次に個々のウェルをELISAによりヒト抗IL-15モノクローナルIgM及びIgG抗体についてスクリーニングすることができる。広汎なハイブリドーマ成長が起きたら、通常は10乃至14日後に、培地を観察することができる。抗体を分泌しているハイブリドーマを再度プレートし、再度スクリーニングし、ヒトIgGについてまだ尚陽性であれば、抗IL-15モノクローナル抗体を限界希釈により少なくとも2回、サブクローニングすることができる。次に安定なサブクローンをin vitroで培養して、抗体を組織培養培地中に生じさせ、特徴付けに向けることができる。
IL-15に対するヒトモノクローナル抗体を産生するトランスフェクトーマの作製
本発明のヒト抗体は、当業で公知のように、組換えDNA技術及び遺伝子トランスフェクション法の組合せなどを用いて、ホスト細胞トランスフェクトーマで作製することもできる (Morrison, S.
(1985) Science 229:1202)。
例えば、ある実施態様では、ヒト抗体遺伝子などの目的の遺伝子を、WO 87/04462、WO 89/01036 及び EP 338 841で開示されたGS遺伝子発現系や、又は、当業で公知の他の発現系で用いられるものなどの真核性発現プラスミドなどの発現ベクタにライゲートすることができる。クローニングされた抗体遺伝子を持つ精製済みプラスミドは、CHO細胞又はNSO細胞などの真核ホスト細胞に入れて導入することも、あるいは代替的には、植物由来細胞、真菌又は酵母細胞などの他の真核細胞に入れて導入することもできる。これらの遺伝子を導入するために用いられる方法は、エレクトロポレーション、リポフェクチン、リポフェクタミン又は他のものなど、当業で解説された方法であってもよいであろう。これらの抗体遺伝子をホスト細胞に導入した後に、本抗体を発現している細胞を特定及び選抜することができる。これらの細胞は、その後それらの発現レベルを増幅させ、抗体を産生するようにグレードアップすることのできるトランスフェクトーマである。組換え抗体はこれらの培養上清及び/又は細胞から単離及び精製することができる。
代替的には、これらのクローニングされた抗体遺伝子を、E. coli又は完全な生物などの他の発現系で発現させることも、あるいは合成により発現させることもできる。
インタクト抗体を発現させるための部分的抗体配列の使用
抗体は標的抗原と、主に6番目の重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR)に位置するアミノ酸残基を介して相互作用する。これが理由で、CDR内のアミノ酸配列は、CDRの外側の配列よりも、個々の抗体間でより多様である。CDR配列は、大半の抗体−抗原相互作用を担っているため、特定の天然型抗体由来のCDR配列を、異なる特性を持つ異なる抗体由来のフレームワーク配列に移植した形で含有する発現ベクタを構築することにより、この特定の天然型抗体の特性を模倣する組換え抗体を発現させることができる(例えば Riechmann, L. et
al. (1998) Nature 332:323-327; Jones, P. et al. (1986) Nature 321:522-525; and
Queen, C. et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci.. U.S.A. 86:10029-10033を参照されたい)。このようなフレームワーク配列は、生殖細胞系抗体遺伝子配列を含む公共のDNAデータベースから得ることができる。これらの生殖細胞系配列は、成熟抗体遺伝子配列とは異なるであろう。なぜなら、これらは、B細胞成熟中にV(D)Jジョイニングにより形成される完全に集合した可変遺伝子を含有しないことになるからである。生殖細胞系遺伝子配列はまた、可変領域全体に均一に、個々の高親和二次レパートリー抗体の配列とも異なるであろう。例えば、体細胞変異は、フレームワーク領域のアミノ末端部分では比較的に頻度が少ない。例えば、体細胞変異は、フレームワーク領域1のアミノ末端部分や、フレームワーク領域4のカルボキシ末端部分では、比較的に頻度が少ない。さらに、多くの体細胞変異は、当該抗体の結合特性を大きく変えない。そのため、元の抗体のものと同様な結合特性を有するインタクト組換え抗体を作り直すためにも、この特定の抗体のDNA配列全体を得る必要はない(1999年3月12日に提出されたPCT/US99/05535を参照されたい)。CDR領域にわたる部分的重鎖及び軽鎖配列があれば、典型的にはこの目的のために充分である。この部分的配列を用いて、どの生殖細胞系可変及びジョイニング遺伝子セグメントが、組換え後の抗体可変遺伝子に寄与したかを決定する。次に、この生殖細胞系配列を用いて、可変領域の消失部分を充填する。重鎖及び軽鎖リーダ配列はタンパク質成熟中に切断され、最終的な抗体の特性には寄与しない。消失配列を加えるために、クローニングされたcDNA 配列を、ライゲーション又はPCR増幅法により、合成オリゴヌクレオチドと組み合わせることができる。代替的には、可変領域全体を一組の短い、重複のあるオリゴヌクレオチドとして合成し、PCR増幅法により組み合わせて、完全に合成の可変領域クローンを作製することもできる。このプロセスは、例えば特定の制限部位の消去又は含有や、又は、特定のコドンの最適化など、いくつかの利点を有する。
ハイブリドーマ由来の重鎖及び軽鎖転写産物のヌクレオチド配列を用いて、重複のある組の合成オリゴヌクレオチドをデザインすることで、天然配列と同一のアミノ酸コーディング能を持つ合成V配列が作製されている。合成重鎖及びカッパ鎖配列は、天然配列から3つの点で異なる:反復したヌクレオチド塩基の部分に中断があるため、オリゴヌクレオチドの合成及びPCR増幅が容易である;最適な翻訳開始部位がコザックの規則に基づいて取り入れられている (Kozak (1991) J. Biol.
Chem.
266L19867-19870); そしてHindIII
部位がこの翻訳開始部位の上流に操作されている。
重鎖及び軽鎖可変領域の両方について、最適化されたコーディング鎖、及び対応する非コーディング鎖の配列は、この対応する非コーディングオリゴヌクレオチドのほぼ中間点で30乃至50ヌクレオチドに分割されている。従って、各鎖について、これらのオリゴヌクレオチドを、150乃至400個のヌクレオチドのセグメントにわたる重複した二本鎖の組に集合させることができる。次に、このプールをテンプレートとして用いて、150乃至400個のヌクレオチドのPCR増幅産物を作製する。典型的には、一個の可変領域オリゴヌクレオチドの組が、2つのプールに分割されることになり、これら2つのプールを別々に増幅して、重複のある2つのPCR産物を生じさせる。次に、これらの重複のある産物を、PCR増幅により組み合わせて、完全な可変領域を形成する。さらに、このPCR増幅で、(カッパ軽鎖のBbsI 部位、又は、ガンマ重鎖の AgeI部位を含む)重鎖又は軽鎖定常領域の重複のあるフラグメントを含有させて、発現ベクタ・コンストラクトに容易にクローニングすることのできるフラグメントを作製することも、好ましいであろう。
次に、再構築された重鎖及び軽鎖可変領域を、クローニングされたプロモータ、リーダ配列、翻訳開始、リーダ配列、定常領域、3'側非翻訳、ポリアデニレーション、及び転写終了、配列と組み合わせて、発現ベクタ・コンストラクトを形成する。この重鎖及び軽鎖発現コンストラクトを組み合わせて単一のベクタにしてホスト細胞に同時トランスフェクトしたり、順にトランスフェクトしたり、別々にトランスフェクトした後、このホスト細胞を融合させて、両方の鎖を発現するホスト細胞を形成することができる。
ヒトIgGκのための発現ベクタの構築に用いるプラスミドを以下に解説する(実施例1)。このプラスミドは、PCR増幅されたV 重鎖及びVカッパ軽鎖cDNA 配列を用いて完全重鎖及び軽鎖最小遺伝子を再構築できるように、構築された。これらのプラスミドを用いると、完全にヒトの IgG1κ又はIgG4κ抗体を発現させることができる。本発明の完全ヒト及びキメラ抗体には、更に、 IgG2、IgG3、IgE、IgA、IgM、及びIgD 抗体も含まれる。同様なプラスミドは、他の重鎖アイソタイプを発現させたり、又は、ラムダ軽鎖を含む抗体を発現させるためにも、構築することができる。
このように、本発明の別の局面では、本発明のヒト抗IL-15抗体 146B7、147H5、404A8及び404E4の構造上の特徴を用いて、IL-15への結合など、本発明の抗体の少なくとも1つの機能上の特性を保持した、構造上関連するヒト抗IL-15抗体を作製する。より具体的には、146B7、147H5、404A8 及び404E4の一つ以上のCDR領域を、組み替えにより公知のヒトフレームワーク領域及びCDRに組み合わせて、本発明の更なる、組換え操作されたヒト抗IL-15抗体を作製することができる。
従って、別の実施態様では、本発明は抗IL-15抗体を調製する方法を提供するものであり、本方法は:
(1)ヒト重鎖フレームワーク領域及びヒト重鎖CDRであって、但し前記ヒト重鎖CDRのうちの少なくとも1つが、図2に示されたCDRのアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列(又は、配列番号2の対応するアミノ酸残基)を含む、 ヒト重鎖フレームワーク領域及びヒト重鎖CDRと、(2)ヒト軽鎖フレームワーク領域及びヒト軽鎖CDRであって、但し前記ヒト重鎖CDRのうちの少なくとも1つが、図3に示されたCDRのアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列(又は、配列番号4の対応するアミノ酸残基)を含む、 ヒト軽鎖フレームワーク領域及びヒト軽鎖CDRと、
を含み、IL-15への結合能を保持している抗体、を調製するステップを含む。
本抗体のIL-15への結合能は、実施例で記載したものなど、標準的な結合検定法(例えばELISA)を用いて判定することができる。
当業においては、抗体 重鎖及び軽鎖CDR3ドメインは、特に重要な役割を、 ある抗原に対する抗体の結合特異性/親和性において果たすことが良く知られているため、上に記載された通りに調製された本発明の組換え抗体は、好ましくは、146B7、147H5、404A8及び404E4の重鎖及び軽鎖CDR3を含むとよい。更に本抗体には、 146B7、147H5、404A8及び404E4のCDR2を含めることができる。 更に本抗体には、146B7、147H5、404A8 及び404E4 のCDR1を含めることができる。更に本抗体には、前記CDRのいずれかの組合せを含めることもできる。
従って、別の実施態様では、本発明は、(1)ヒト重鎖フレームワーク領域、ヒト重鎖CDR1領域、ヒト重鎖CDR2領域、及びヒト重鎖CDR3領域であって、但し前記ヒト重鎖CDR3領域が、例えば図2に示された146B7のヒト重鎖CDR領域(又は配列番号2の対応するアミノ酸残基)など、146B7、147H5、404A8及び 404E4のCDR3から選択される、ヒト重鎖フレームワーク領域、ヒト重鎖CDR1領域、ヒト重鎖CDR2領域、及びヒト重鎖CDR3領域と、(2)ヒト軽鎖フレームワーク領域、ヒト軽鎖CDR1領域、ヒト軽鎖CDR2領域、及びヒト軽鎖CDR3領域であって、但し前記ヒト軽鎖CDR3領域が、例えば図3に示された146B7のヒト軽鎖CDR領域(又は配列番号4の対応するアミノ酸残基)など、146B7、147H5、404A8 及び404E4のCDR3から選択される、ヒト軽鎖フレームワーク領域、ヒト軽鎖CDR1領域、ヒト軽鎖CDR2領域、及びヒト軽鎖CDR3領域と、を含むと共に、IL-15に結合する、抗IL-15抗体を提供するものである。 更に、本抗体には、146B7、147H5、404A8 及び 404E4の重鎖CDR2及び/又は軽鎖CDR2を含めてもよい。本抗体には、更に、 146B7、147H5、404A8 及び 404E4の重鎖CDR1及び/又は軽鎖CDR1を含めてもよい。
上述の操作された抗体のCDR1、2、及び/又は3領域には、ここで開示された146B7、147H5、404A8 及び404E4と全く同じアミノ酸配列を含めることができる。しかしながら、当業者であれば、146B7、147H5、404A8 及び404E4通りのCDR配列からの何らかの逸脱があっても、 IL-15への結合能が事実上保持される場合があることを理解されよう(例えば保存的配列改変)。従って、別の実施態様では、操作された抗体は、146B7、147H5、404A8 及び404E4の一つ以上のCDRに対して例えば90%、95%、98% 又は99.5% 同一であるような一つ以上のCDRから成っていてもよい。
単にIL-15に結合するだけでなく、上述したものなどの操作された抗体は、
(1)ヒトIL-15に結合してIL-15誘導性炎症誘発効果を阻害する;
(2)IL-15誘導性TNFα産生又はT細胞増殖を阻害する;
(3)組換えヒトIL-15を分析物として、そして本抗体をリガンドとして用いて、BIACORE 3000装置による表面プラズモン共鳴(SPR)技術で判定した場合に、ほぼ10-7M未満の解離平衡定数(KD)でヒトIL-15に結合する;
(4)ヒトIL-15のβ鎖及び/又はγ鎖相互作用性ドメイン上に位置するエピトープに結合する;
(5)ヒトIL-15受容体のβユニットへのヒトIL-15のAsp8の結合、及び/又は、ヒトIL-15受容体のγユニットへのヒトIL-15のGln108の結合、に干渉する;
(6)受容体結合型ヒトIL-15に結合する;
(7)ヒトIL-15に結合して、ヒトIL-15の錯角化誘導能を阻害する;
(8)ヒトIL-15に結合して、ヒトIL-15の上皮肥厚誘導能を阻害する;
(9)ヒトIL-15に結合して、ヒトIL-15の、ケラチノサイト増殖誘導能を阻害する;及び/又は
(10)ヒトIL-15に結合して、ヒトIL-15の、活性化白血球化学走性誘導能を阻害する、
など、本発明の抗体の他の機能上の特性の保持をそれらが保持しているかについて、選抜してもよい。
IL-15に対するヒトモノクローナル抗体の特徴付け
本発明のヒトモノクローナル抗体は、多種の公知の技術を用いてIL-15への結合に関して特徴付けることができる。一般的には、本抗体をまずELISAで特徴付ける。簡単に説明すると、微量定量プレートを、精製済みIL-15のPBS溶液で被覆した後、ウシ血清アルブミン(BSA)などの無関係のタンパク質のPBS希釈液で遮断することができる。IL-15免疫マウスから採った血漿の希釈液を各ウェルに加え、1乃至2時間、37℃でインキュベートする。このプレートをPBS/Tween 20 で洗浄した後、あるかりホスファターゼに結合させたヤギ抗ヒトIgG Fc特異ポリクローナル試薬と一緒に1時間、37℃でインキュベートする。洗浄後、プレートをABTS基質で展開させ、405のODで分析する。好ましくは、最も高い抗体価を生じるマウスを融合に用いるとよい。
上述した通りのELISA検定法を用いて、抗体、ひいては、IL-15免疫原に対して陽性の反応性を示す抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングすることができる。こうして、IL-15に、好ましくは高親和性で、結合するハイブリドーマをサブクローニングし、更に特徴付けすることができる。次に、(ELISAにより)親細胞との反応性を保持した各ハイブリドーマから採ったクローン一つを、細胞バンクの作製、そして抗体精製に向けて選抜することができる。
ヒト抗IL-15抗体を精製するには、選抜されたハイブリドーマをローラ・ボトル、2リットル入り攪拌フラスコ又は他の培養系で成長させることができる。上清を濾過し、濃縮してからプロテインA-セファロース(ニュージャージー州ピスカタウェイ、ファルマシア社)によるアフィニティ・クロマトグラフィにかけて、このタンパク質を精製することができる。緩衝剤をPBSに交換後、1.43の吸光計数を用いたOD280により、又は、好ましくはネフェロメータによる分析により、濃度を判定することができる。IgGは、ゲル電気泳動法及び抗原特異的方法により、確認することができる。
選抜されたヒト抗IL-15モノクローナル抗体が固有のエピトープに結合するかを判定するには、各抗体を、市販の試薬(イリノイ州ロックフォード、ピアース社)を用いてビオチン化することができる。ビオチン化MAbの結合は、ストレプトアビジン標識プローブで検出することができる。精製後の抗体のアイソタイプを判定するには、アイソタイプELISAを公知の技術を用いて行うことができる。例えば、微量定量プレートのウェルを、10μg/mlの抗ヒトIgで一晩かけて4℃で被覆することができる。5%のBSAで遮断後、プレートを、10μg/mlのモノクローナル抗体又は精製済みアイソタイプ・コントロールに、周囲温度で2時間、反応させる。次に、ウェルをヒトIgG1又は他のヒトアイソタイプ特異的な結合プローブのいずれかに反応させることができる。上述したようにプレートを展開させ、分析する。
モノクローナル抗体のIL-15発現生存細胞への結合を検査するには、フローサイトメトリを用いることができる。簡単に説明すると、膜結合型IL-15を発現している細胞株及び/又はヒトPBMC(標準的な成長条件下で成長させたもの)を、0.1% BSA 及び0.01% NaN3 を含有する、4℃の多様な濃度のモノクローナル抗体のPBS溶液と1時間、混合する。洗浄後、この細胞をフルオレセイン標識抗ヒトIgG抗体に、一次抗体染色と同じ条件下で反応させる。この試料を、FACScan装置により、単個細胞の通門機序に対して光及び側光散乱特性を用いて分析することができ、標識済み抗体の結合を判定する。(フローサイトメトリ検定法に加えて、又は代わりに)蛍光顕微鏡法を用いた代替的検定法を用いてもよい。細胞を上述したのと全く同じように染色し、蛍光顕微鏡法で調べることができる。この方法により、個々の細胞の明視化が可能であるが、抗原の濃度によっては感度が劣るであろう。
更に、抗IL-15ヒトIgGを、ウェスタン・ブロット法によっても、IL-15抗原との反応性について検査することができる。簡単に説明すると、IL-15発現細胞由来の細胞抽出物を調製し、これにドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を行うことができる。電気泳動後、分離した抗原をニトロセルロース・メンブレンに移し、20%マウス血清で遮断し、検査しようとするモノクローナル抗体でプローブすることとなる。ヒトIgGの結合は、抗IgGアルカリホスファターゼを用いて検出し、BCIP/NBT基質錠剤(ミズーリ州セントルイス、シグマ・ケミカル社)で展開させることができる。
II. ヒトモノクローナル抗IL-15抗体を産生する非ヒトトランスジェニック及びトランスクロモゾーマル動物の作製
更に別の局面では、本発明は、IL-15に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を発現することのできる、トランスジェニック又はトランスクロモゾーマル・マウスなどの非ヒトトランスジェニック及びトランスクロモゾーマル動物を提供する。ある具体的な実施態様では、本発明は、IL-15抗原及び/又はIL-15発現細胞で免疫したときに当該マウスがヒト抗IL-15抗体を産生するように、ヒト重鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック又はトランスクロモゾーマル・マウスを提供する。当該のヒト重鎖導入遺伝子は、ここで詳述し、例示するように、HuMAbマウスなどトランスジェニックの場合と同様に、当該マウスの染色体DNAに組み込むことができる。代替的には、当該のヒト重鎖導入遺伝子を、WO02/43478に解説されているように、トランスクロモゾーマル(例えばKM)マウスの場合と同様に、染色体外に維持することもできる。このようなトランスジェニック及びトランスクロモゾーマル・マウスは、V-D-J組換え及びアイソタイプ・スイッチングを起こすことにより、IL-15に対して複数のアイソタイプ(例えばIgG、IgA及び/又はIgE)のヒトモノクローナル抗体を産生することができる。アイソタイプ・スイッチングは、例えば古典的又は非古典的なアイソタイプ・スイッチングなどで起きるものでよい。
外来の抗原刺激に対し、異種の抗体レパートリーで応答する非ヒトトランスジェニック又はトランスクロモソーマル動物のデザインには、当該のトランスジェニック動物に含まれた異種の免疫グロブリン導入遺伝子が、B細胞発生の経路全般にわたって正確に機能する必要がある。これには、例えば、異種重鎖導入遺伝子のアイソタイプ・スイッチングが含まれる。従って、導入遺伝子は、アイソタイプ・スイッチングと、抗体遺伝子の以下のうちの1つ以上:(1)高レベル及び細胞種特異的な発現、(2)機能的な遺伝子再編成、(3)対立遺伝子排除の活性化及び対立遺伝子排除に対する応答、(4)充分な一次レパートリの発現、(5)シグナル伝達、(6)体細胞超変異、及び(7)免疫応答中の導入遺伝子抗体遺伝子座の優性、とが生じるように構築される。
前述の基準の全てを満たす必要はない。例えば、トランスジェニック動物の内因性免疫グロブリン遺伝子座を機能的に破壊した実施態様では、この導入遺伝子は対立遺伝子排除を活性化する必要はない。さらに、導入遺伝子が機能的に再編成された重鎖及び/又は軽鎖免疫グロブリン遺伝子を含む実施態様では、機能的な遺伝子再編成という二番目の基準は、少なくとも導入遺伝子が既に再編成されている限りにおいて、不要である。分子免疫学の背景については、Fundamental Immunology, 2nd edition (1989), Paul
William E., ed. Raven Press, N.Y.を参照されたい。
いくつかの実施態様では、本発明のヒトモノクローナル抗体を作製するために用いる非ヒトトランスジェニックもしくはトランスクロモソーマル動物は、再編成された、再編成のない、又は再編成された及び再編成のないものの組合せの異種免疫グロブリン重鎖及び軽鎖導入遺伝子を、このトランスジェニック動物の生殖細胞系に含有する。重鎖導入遺伝子のそれぞれは少なくとも一つのCH遺伝子を含む。加えて、この重鎖導入遺伝子が、このトランスジェニック動物のB細胞中で、複数のCH遺伝子をコードする異種導入遺伝子のアイソタイプ・スイッチングを支援することのできる機能的アイソタイプ・スイッチ配列を含有してもよい。このようなスイッチ配列は、導入遺伝子CH遺伝子の源として働く種由来の生殖細胞免疫グロブリン遺伝子座に天然で存在するものであってもよく、あるいはこのようなスイッチ配列は、導入遺伝子コンストラクトを受け取る側の種(トランスジェニック動物)にあるものを由来としてもよい。例えば、トランスジェニックマウスを作製するために用いるヒト導入遺伝子コンストラクトは、マウス重鎖遺伝子座に天然で存在するものと類似のスイッチ配列が導入されている場合には、より高頻度でアイソタイプ・スイッチング事象を起こすと思われる。これはおそらく、マウススイッチ・リコンビナーゼ酵素系で機能するにはこのようなマウススイッチ配列は最適であるが、ヒトスイッチ配列はそうでないからであろう。スイッチ配列は従来のクローニング法で単離及びクローニングしてもよく、又は、免疫グロブリンスイッチ領域配列に関する公開された配列情報に基づいてデザインされた重複合成オリゴヌクレオチドからde novo合成してもよい(Mills et al.,
Nucl. Acids Res. 15:7305-7316 (1991); Sideras et al., Intl.
Immunol. 1:631-642 (1989))。前述のトランスジェニック動物のそれぞれの場合、機能的に再編成された異種重鎖及び軽鎖免疫グロブリン導入遺伝子が、このトランスジェニック動物のB細胞の大部分で見られる(少なくとも10パーセント)。
本発明のトランスジェニック動物を作製するために用いる導入遺伝子は、少なくとも一つの可変遺伝子セグメント、一つの多様性遺伝子セグメント、一つのジョイニング遺伝子セグメント、及び少なくとも一つの定常領域遺伝子セグメント、をコードするDNAを含む重鎖導入遺伝子を含む。当該の免疫グロブリン軽鎖導入遺伝子は、少なくとも一つの可変遺伝子セグメント、一つのジョイニング遺伝子セグメント、及び少なくとも一つの定常領域遺伝子セグメント、をコードするDNAを含む。前記軽鎖及び重鎖遺伝子セグメントをコードする遺伝子セグメントは、当該の非ヒトトランスジェニック動物を構成しない種を由来とする免疫グロブリン重鎖及び軽鎖遺伝子セグメントをコードするDNAを由来とするか、又は、このようなDNAに相当するため、この非ヒトトランスジェニック動物にとって異種である。本発明の一局面では、これら個々の遺伝子セグメントが再編成されないように、即ち、機能的免疫グロブリン軽鎖又は重鎖をコードするよう、再編成されないように、導入遺伝子を構築する。このような再編成のない導入遺伝子は、V、D、及びJ遺伝子セグメントの組換え(機能的再編成)を支援し、好ましくは、IL-15抗原に暴露したときに、当該非ヒトトランスジェニック動物内でD領域遺伝子セグメントの全部又は一部が再編成後の免疫グロブリン重鎖へ取り込まれることを支援するとよい。
代替的な実施態様では、当該導入遺伝子は再編成のない「最小遺伝子座」を含むものである。このような導入遺伝子は典型的に、C、D、及びJセグメントの大部分や、V遺伝子セグメントのサブセットを含む。このような導入遺伝子コンストラクトにおいては、多様な調節配列、例えばプロモータ、エンハンサ、クラス・スイッチ領域、RNAプロセッシングの際のスプライス−ドナー及びスプライス−アクセプタ配列、組換えシグナル等、は、当該の異種DNA由来の対応する配列を含む。このような調節配列は、この導入遺伝子に、本発明で用いられる非ヒト動物と同じ種から、又は、関連する種から、導入してよい。例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントを導入遺伝子内でげっ歯類免疫グロブリンエンハンサ配列に組み合わせて、トランスジェニックマウスでの利用に向けてもよい。代替的には、哺乳動物のゲノムに天然で存在することが公知の機能的DNA配列にとって同種でないような合成調節配列を、導入遺伝子に組み込んでもよい。合成調節配列は、例えばスプライス−アクセプタ部位又はプロモータ/エンハンサ・モチーフの許容可能な配列を明示したものなど、コンセンサスの規則に従ってデザインされる。例えば、最小遺伝子座は、天然で発生する生殖細胞系Ig遺伝子座に比較して、必須でないDNA部分(例えば介在配列;イントロン又はその一部分)に、少なくとも一つの中間(即ち当該部分の末端ではない)の欠失を有するゲノム免疫グロブリン遺伝子座の一部分を含む。
本発明のある好適な実施態様では、IL-15に対するヒト抗体を作製するために用いられトランスジェニックもしくはトランスクロモゾーマル動物は、WO98/24884の実施例5、6、8、又は14に解説された軽鎖導入遺伝子を1コピー含有する動物と、WO98/24884の実施例10で解説されたJH欠失動物と交配したその仔で育種したWO98/24884の実施例12で解説された導入遺伝子(例えばpHC1又はpHC2)のコピーを少なくとも1つ、典型的には2乃至10、そして時には25乃至50又はより以上、含有する。動物は、これら3種の形質のそれぞれについてホモ接合型となるよう、交配する。このような動物は以下の遺伝子型:(WO98/24884の実施例12に解説された)ヒト重鎖の再編成のない最小遺伝子座 の一個のコピー(染色体の1ハプロイド組当たり)、(WO98/24884の実施例14に解説された)再編成されたヒトK軽鎖コンストラクトの一個のコピー(染色体の1ハプロイド組当たり)、及び(WO98/24884の実施例10に解説された)機能的JHセグメントの全てを除去する各内因性マウス重鎖遺伝子座での欠失、を有する。このような動物を、JHセグメントの欠失についてホモ接合型になったマウス(WO98/24884の実施例10)と交配して、JH欠失についてホモ接合型、そしてヒト重鎖及び軽鎖コンストラクトについてヘミ接合型となった仔を作る。その動物に抗原を注射して、これらの抗原に対するヒトモノクローナル抗体の作製に用いる。
このような動物から単離されたB細胞は、ヒト重鎖及び軽鎖について単一特異的であるが、それはこれらが各遺伝子のコピーを1つしか含有しないからである。さらに、これらはヒト又はマウス重鎖についても単一特異的となるであろうが、それは、内因性マウス重鎖遺伝子コピーの両方が、WO98/24884の実施例9及び12に解説するように導入されたJH領域全般の欠失のために、機能を失っているからである。さらに、B細胞の大部分が、ヒト又はマウス軽鎖について単一特異的となるであろうが、それは、再編成されたヒトκ軽鎖遺伝子の単一コピーが発現することで、B細胞の大部分において、内因性マウスκ及びラムダ鎖遺伝子の再編成が対立遺伝子的及びアイソタイプの上で、排除されることになるからである。
本発明で用いられるトランスジェニック及びトランスクロモゾーマル・マウスは、大きなレパートリー、理想的には天然マウスのそれと実質的に同様なレパートリーで、免疫グロブリン産生を示すであろう。このように、例えば内因性Ig遺伝子が不活化されている実施態様では、総免疫グロブリンレベルは、血清の約0.1 から10 mg/ml、好ましくは0.5 から5 mg/mlの範囲、理想的には少なくとも約1.0 mg/mlであろう。IgMからIgGへのスイッチを行うことのできる導入遺伝子がトランスジェニックマウスに導入されている場合、成体マウスの血清IgG対IgMの比は好ましくは約10:1である。IgG対IgMのこの比は幼若マウスではずっと低くなるであろう。おおざっぱに言って、当該脾臓及びリンパ節B細胞の約10%を越えるもの、好ましくは40乃至80%が、ヒトIgGタンパク質のみを発現する。
前記レパートリーは、理想的には、天然マウスが示すものに、通常は少なくとも約10%、好ましくは25乃至50%又はそれ以上、近いとよいであろう。概して、少なくとも約1000種の異なる免疫グロブリン(理想的にはIgG)、好ましくは104乃至106又はそれ以上の種類が、主に当該マウスゲノムに導入された様々なV、J及びD領域の数に応じて産生されることとなる。これらの免疫グロブリンは、典型的には、例えばブドウ球菌プロテインAなど、抗原性の高いタンパク質の約半分以上を認識するであろう。典型的には、これらの免疫グロブリンは、例えば10-8M、10-9M又は10-10Mあるいはそれ未満など、10-7M未満の親和性(KD)を、所定の抗原に対して示すであろう。
いくつかの実施態様では、所定の抗原種に対する抗体応答で現れるV遺伝子の選択幅を制限するために、予め決められたレパートリーを持つマウスを作製することが好ましいであろう。予め決められたレパートリーを有する重鎖導入遺伝子は、ヒトにおいて所定の抗原種に対する抗体応答で優先的に用いられるヒトVH遺伝子などを含んでもよい。代替的には、いくつかのVH遺伝子を、多様な理由(例えば所定の抗原に対して親和性の高いV領域をコードする可能性が低い;体細胞変異及び親和性尖鋭化を起こす傾向が小さい;又は、特定のヒトに対して免疫原性である、など)のために、規定のレパートリーから除外してもよい。このように、多様な重鎖又は軽鎖遺伝子セグメントを含有する導入遺伝子が再編成される前に、このような遺伝子セグメントを、当該トランスジェニック動物以外の生物種由来であるとして、例えばハイブリダイゼーション又はDNA配列決定法などにより、容易に特定できよう。
上述したトランスジェニック及びトランスクロモゾーマル・マウスは、例えばIL-15抗原の精製もしくは濃縮製剤、及び/又は、IL-15発現細胞で免疫することができる。代替的には、当該のトランスジェニック・マウスを、ヒトIL-15をコードするDNAで免疫することもできる。こうして、このマウスが産生するB細胞は、導入遺伝子内スイッチ組換え(cisスイッチング)を通じてクラス・スイッチングを起こして、IL-15と反応性の免疫グロブリンを発現するであろう。この免疫グロブリンはヒト抗体(ここでは「ヒト配列抗体」とも言及される)でもよく、その重鎖及び軽鎖ポリペプチドは、ヒト導入遺伝子配列にコードされているが、前記ヒト導入遺伝子配列は、体細胞変異及びV領域組換えジョイント由来の配列や、生殖細胞系にコードされた配列を含んでいてもよい。これらのヒト抗体は、ヒトVL又はVH遺伝子セグメント及びヒトJL又はDH及びJHセグメントにコードされたポリペプチド配列と実質的に同等であると言うことができ、ただし他の非生殖細胞系配列も、体細胞変異及び示差的なV-J 及びV-D-J組換えジョイントの結果として存在してもよい。各抗体鎖の可変領域は、典型的に、ヒト生殖細胞系V、J遺伝子セグメントに、そして重鎖の場合D、遺伝子セグメントに、少なくとも80パーセント、コードされている。しばしば可変領域の少なくとも85パーセントが、導入遺伝子上に存在するヒト生殖細胞系配列にコードされている。可変領域配列のうちのしばしば90又は95パーセント又はそれ以上が、導入遺伝子上に存在するヒト生殖細胞系配列にコードされている。しかしながら、体細胞変異並びにVJ及びVDJジョイニングにより非生殖細胞系配列が導入されるために、当該ヒト配列抗体はしばしば、ヒト導入遺伝子に見られるようなヒトV、D又はJ遺伝子セグメントにはコードされていない何らかの可変領域配列を(そして頻度は劣るが定常領域配列を)、このマウスの生殖細胞系中に有するであろう。典型的には、このような非生殖細胞系配列(又は個々のヌクレオチド位置)は、CDR中か、又はCDR近傍、あるいは体細胞変異が集中的に起きることが知られている領域に集まるであろう。
所定の抗原に結合するヒト抗体は、ヒト配列γ鎖(例えばγ1、γ2a、γ2B、又はγ3)及びヒト配列軽鎖(例えばカッパ)を含むヒト抗体が生じるようなアイソタイプ・スイッチングにより生じさせることができる。このようなアイソタイプ・スイッチングの起きたヒト抗体は、親和性成熟及び抗原によるB細胞の選択の結果として、特に二次(又は後続)抗原刺激に続いて、一箇所以上の体細胞変異を、典型的には可変領域、そしてしばしばCDRの内部か、又はCDRから約10残基以内に、しばしば含有する。これらの高親和性ヒト抗体は、例えば10-8M、10-9M又は10-10M未満、あるいはそれ未満など、10-7M未満の結合親和性(KD)を有するであろう。
本発明の別の局面は、ここで解説されたトランスジェニック又はトランスクロモゾーマル・マウス由来のB細胞を包含する。該B細胞は、ヒトIL-15に高親和性(例えば10-7M未満)で結合するヒトモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマを作製するために用いることができる。このように、別の実施態様では、本発明は、組換えヒトIL-15を分析物として、そして本抗体をヒトIL-15へのリガンドとして用いて、BIACORE 3000装置による表面プラズモン共鳴(SPR)技術で判定した場合に、例えば10-8M、10-9M 又は10-10M 未満又はそれ未満など、ほぼ10-7M未満の親和性(KD)を有するヒト抗体を産生するハイブリドーマを提供するものである。但し本抗体は:
(1)ヒトVL遺伝子セグメント及びヒトJLセグメントにコードされたポリペプチド配列に実質的に同一なポリペプチド配列を有する軽鎖可変領域、及び
(2)ヒトCL遺伝子セグメントにコードされたポリペプチド配列に実質的に同一なポリペプチド配列を有する軽鎖定常領域、
から成るヒト配列軽鎖と;
(1)ヒトVH遺伝子セグメント、選択的にD領域、及びヒトJHセグメントにコードされたポリペプチド配列に実質的に同一なポリペプチド配列を有する重鎖可変領域、及び
(2)ヒトCH遺伝子セグメントにコードされたポリペプチド配列に実質的に同一なポリペプチド配列を有する定常領域、
から成るヒト配列重鎖と
を含む。
IL-15に対する高親和ヒトモノクローナル抗体の開発は、ヒト可変領域遺伝子セグメントのレパートリーを、ヒト免疫グロブリン導入遺伝子を組み込ませて含むゲノムを有するトランスジェニック・マウスで拡大する方法により容易になるが、当該方法は、前記組み込まれたヒト免疫グロブリン導入遺伝子には存在しないV領域遺伝子セグメントを含むV遺伝子導入遺伝子を前記ゲノムに導入するステップを含む。しばしば前記V領域導入遺伝子は、ヒトゲノムに天然で存在するような、又は、組換え法で一緒に別にスプライスされるような、ヒトVH又はVL(VK)遺伝子セグメント・アレイの一部分を含む酵母人工染色体であり、この酵母人工染色体の含有するV遺伝子セグメントは順序が狂っていても、又は省略されていてもよい。しばしば少なくとも5つ以上の機能的V遺伝子セグメントがこのYAC上に含有されている。このバリエーションで、前記Vレパートリー拡大法で生じるトランスジェニックマウスを作製することが可能であり、このとき当該マウスは、V領域導入遺伝子上に存在するV領域遺伝子セグメントにコードされた可変領域配列と、ヒトIg導入遺伝子にコードされたC領域とを含む免疫グロブリン鎖を発現する。Vレパートリー拡大法により、少なくとも5個の異なるV遺伝子を有するトランスジェニック動物を作製でき、また少なくとも約24個又はそれ以上のV遺伝子を含有するマウスも作製することができる。いくつかのV遺伝子セグメントは非機能的であってもよい(例えば偽遺伝子等)。これらのセグメントを維持してもよいが、あるいは、必要に応じて当業者に可能な組換え法により選択的に欠失させてもよい。
マウス生殖細胞を操作して、J及びC遺伝子セグメントを含有するヒトIg導入遺伝子には実質的に存在しない拡大されたVセグメント・レパートリーを有する機能的YACを含有させたら、拡大されたVセグメント・レパートリーを有する機能的YACを、異なるヒトIg導入遺伝子を有するマウス生殖細胞に交雑するバックグラウンドを含め、他の遺伝的バックグラウンドに、この形質を伝播及び交雑することができる。拡大されたVセグメント・レパートリーを有する複数の機能的YACを、ある1つのヒトIg導入遺伝子(又は複数のヒトIg導入遺伝子)と一緒に働かせるために、生殖細胞に交雑してよい。ここではYAC導入遺伝子と言及するが、ゲノムに組み込んだときのこのような導入遺伝子は、酵母で自律的複製を行うのに必要な配列など、酵母配列を実質的に欠いていてもよい。このような配列は、選択的に、酵母での複製がもはや必要でなくなってから(即ちマウスES細胞又はマウス前接合子への導入前に)遺伝子操作(例えば制限消化及びパルス界ゲル電気泳動法又は他の適した方法など)により取り除いてもよい。ヒト配列免疫グロブリン発現の形質を伝播させる方法には、ヒトIg導入遺伝子を有し、そして選択的には、拡大されたVセグメント・レパートリーを有する機能的YACもさらに有するようなトランスジェニック動物を育種する方法がある。VH及びVL遺伝子セグメントの両方がYAC上に存在してもよい。当該トランスジェニック・マウスは、ヒトIg導入遺伝子、及び/又は、他のヒトリンパ球タンパク質をコードする導入遺伝子を含め、他のヒト導入遺伝子を持つバックグラウンドを含め、開業医が希望するいかなるバックグラウンドに交雑してもよい。さらに本発明は、拡大されたV領域レパートリーYAC導入遺伝子を有するトランスジェニックマウスが産生する高親和ヒト配列免疫グロブリンも提供する。前の記載では本発明のトランスジェニック動物の好適な実施態様を解説したが、以下、4つのカテゴリーに分類された他の実施態様も考察されている:
I.再編成のない重鎖及び再編成される軽鎖免疫グロブリン導入遺伝子を含有するトランスジェニック動物;
II.再編成のない重鎖及び再編成のない軽鎖免疫グロブリン導入遺伝子を含有するトランスジェニック動物;
III.再編成される重鎖及び再編成のない軽鎖免疫グロブリン導入遺伝子を含有するトランスジェニック動物;及び
IV. 再編成される重鎖及び再編成される軽鎖免疫グロブリン導入遺伝子を含有するトランスジェニック動物。
これらのカテゴリーのトランスジェニック動物のうち、好適な優先順は以下、II>I>III>IV(この場合の内因性の軽鎖遺伝子(又は少なくともK遺伝子)は、相同組換え(又は他の方法)によりノックアウトされている)、及びI>II>III>IV (この場合の内因性軽鎖遺伝子はノックアウトされておらず、対立遺伝子排除により劣性とならなければならない)の通りである。
III. 抗体複合体/イムノトキシン
別の局面では、本発明は、細胞毒、薬物(例えば免疫抑制剤)又は放射性同位元素などの治療部分に結合させたヒト抗IL-15モノクローナル抗体を特徴とする。細胞毒に結合させた場合、これらの抗体複合体は「イムノトキシン」と呼ばれる。細胞毒又は細胞傷害性作用薬には、細胞にとって有害(例えば致死させる)なあらゆる物質が含まれる。例にはタキソール、シトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、ミトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びプロマイシン並びにこれらの類似体又は同族体、がある。治療的作用薬には、限定はしないが、抗代謝産物(例えばメトトレキセート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えばメクロレタミン、チオテパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU) 及びロムスチン (CCNU)、シクロトスファミド(原語:cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ミトマイシンC、及びcis-ジクロロジアミンプラチナム(II) (DDP) シスプラチン)、アントラサイクリン (例えばダウノルビシン(以前のダウノマイシン)、及びドキソルビシン)、抗生物質(例えばダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC))、及び抗有糸***剤(例えばビンクリスチン及びビンブラスチン)、がある。本発明の抗体を、放射性ヨウ素などの放射性同位元素に結合させて、癌などのIL-15関連異常を治療するための細胞傷害性放射性医薬を作製することもできる。
本発明の抗体複合体を用いて所定の生物学的応答を修飾することができる。前記の治療的部分を、古典的な化学療法薬に限定されるものと、捉えられてはならない。例えば当該の薬物部分は、所望の生物活性を有するタンパク質又はポリペプチドであってもよい。このようなタンパク質には、例えばアブリン、リシンA、シュードモナス・エキソトキシン、又はジフテリア毒素などの酵素活性のある毒素又はその活性フラグメント;腫瘍壊死因子又はインターフェロン-γなどのタンパク質;又は、例えばリンホカイン、インターロイキン-1(「IL-1」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」)、又は他のサイトカインもしくは成長因子などの生物学的応答修飾物質、が含まれよう。
このような治療的部分を抗体に結合させる技術は公知であり、例えばArnon et al.,
"Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer
Therapy", in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al.
(eds.), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985); Hellstrom et al.,
"Antibodies For Drug Delivery", in Controlled Drug Delivery (2nd
Ed.), Robinson et al. (eds.), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987); Thorpe,
"Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review",
in Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, Pinchera et
al. (eds.), pp. 475-506 (1985); "Analysis, Results, And Future Prospective
Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy", in
Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwin et al. (eds.),
pp. 303-16 (Academic Press 1985), and Thorpe et al., "The Preparation And
Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates", Immunol. Rev.,
62:119-58 (1982)を参照されたい。
IV. 医薬組成物
別の局面では、本発明は、薬学的に許容可能な担体と一緒に調合された、本発明のヒトモノクローナル抗体又はその抗原結合部分を1つ又は組み合わせで含有する、医薬組成物などの組成物を提供するものである。ある好適な実施態様では、本組成物は、複数(例えば二種以上)の単離された本発明のヒト抗体の組合せを含有する。好ましくは、本組成物の抗体の各々が、IL-15の別個の、予め選択されたエピトープに結合するとよい。
さらに本発明の医薬組成物を併用療法で投与することもでき、即ち他の薬剤と組み合わせることができる。例えば、当該の併用療法に、本発明の組成物を、少なくとも1つ以上の付加的な治療薬、例えば抗炎症剤、DMARD(疾患改変抗リウマチ薬)、免疫抑制剤、化学療法薬、及び乾癬剤などと一緒に含めることができる。更に本発明の医薬組成物を放射線療法と組み合わせて投与することもできる。CD4特異抗体及びIL-2特異抗体などの他の抗体との同時投与も、本発明の包含するところである。このようなCD4特異抗体又はIL-2特異抗体との組合せは、自己免疫疾患及び移植片拒絶を治療するために特に有用であると考えられる。
ここで用いる「薬学的に許容可能な担体」には、生理学的に適合性あるあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗カビ剤、等張剤及び吸収遅延剤等が含まれる。好ましくは、当該の担体が静脈内、筋肉内、皮下、腸管外、脊髄もしくは上皮投与(例えば注射又は輸注により)に適しているとよい。投与経路によっては、活性化合物、即ち抗体、二重特異的及び多重特異的分子を、当該化合物を不活化しかねない酸及び他の天然条件の作用から当該化合物を保護する物質で被覆してもよい。
「薬学的に許容可能な塩」とは、親化合物の所望の生物活性を保持しつつも、望ましくない毒性作用を与えないような塩を言う(例えばBerge, S.M., et
al. (1977) J. Pharm.
Sci. 66:1-19を参照されたい)。このような塩の例には、酸添加塩及び塩基添加塩がある。酸添加塩には、非毒性の無機酸、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸等から誘導されたものや、非毒性の有機酸、例えば脂肪族モノカルボン酸及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族の酸、脂肪族及び芳香族のスルホン酸等から誘導されたものがある。塩基添加塩には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属から誘導されたものや、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン等の非毒性の有機アミンから誘導されたものがある。
本発明の組成物は、当業で公知の多種の方法で投与することができる。当業者であれば理解されるように、投与の経路及び/又は形態は、所望の結果に応じて様々であろう。当該活性化合物は、インプラント、経皮パッチ、及びマイクロ封入送達系を含む制御放出製剤など、急速な放出から当該化合物を保護する担体と一緒に調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸など、生分解性で生体適合性あるポリマを用いることができる。このような調合物の調製法が数多く、特許付与されており、当業者に広く公知である。 例えばSustained and
Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson,
ed., Marcel Dekker, Inc., New York,
1978を参照されたい。
特定の投与経路で本発明の化合物を投与するには、当該化合物の失活を防ぐ物質でそれを被覆するか、又は当該化合物と同時投与することが必要な場合がある。例えば本化合物を、適したリポソームなどの担体又は希釈剤に入れて対象に投与してもよい。薬学的に許容可能な希釈剤には生理食塩水及び水性の緩衝液がある。リポソームには水中油中水CGFエマルジョンや、従来のリポソームがある(Strejan et al.
(1984) J. Neuroimmunol. 7:27)。
薬学的に許容可能な担体には無菌の水溶液又は分散液並びに、無菌の注射液又は分散液の即時調製用の無菌粉末がある。このような媒質及び薬剤の、薬学的に活性な物質のための使用は当業で公知である。従来の媒質又は薬剤が当該活性化合物にとって不適合でない限り、本発明の医薬組成物中のその使用は考察されたところである。補助的な活性化合物も、本組成物中に取り入れることができる。
治療用の組成物は典型的に無菌でなければならず、また製造及び保管条件下で安定でなければならない。本組成物は、高い薬物濃度に適した溶液、マイクロ乳液、リポソーム、又は他の秩序ある構造として調合することができる。当該の担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、及びこれらの適した混合物などを含有する溶媒又は分散媒であってよい。適した流動性は、例えばレシチンなどのコーティングを用いたり、分散液の場合には必要な粒子サイズを維持したり、そして界面活性剤を使用するなどにより、維持することができる。多くの場合、例えば糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、又は塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物中に含めることが好ましいであろう。注射用組成物の吸収を長引かせるには、モノステアリン酸塩及びゼラチンなど、吸収を遅らせる薬剤を組成物中に含めることにより、可能である。
無菌の注射用溶液は、必要量の活性化合物を適した溶媒に、必要に応じて上に列挙した成分の1つ又は組み合わせと一緒に 加えた後、滅菌マイクロ濾過を行うことにより、調製することができる。分散液は一般的には、塩基性の分散媒と、上に列挙したものの中で必要な他の成分とを含有する無菌の賦形剤に当該活性化合物を加えることで、調製されている。無菌の注射用溶液の調製用の無菌粉末の場合、好適な調製法は真空乾燥及び凍結乾燥(凍結乾燥)であり、その結果、活性成分及び付加的な所望の成分の粉末が、予め殺菌濾過されたその溶液から生じる。
投薬計画は、最適な所望の応答(例えば治療的応答)が得られるように調節される。例えば一個の巨丸剤を投与してもよく、複数に分割された用量を一定期間にわたって投与しても、又は、治療状況の緊急度を指標として用量を比例的に増減させてもよい。例えば、本発明のヒト抗体を、皮下注射により毎週一回又は二回、あるいは、皮下注射により毎月一回又は二回、投与してもよい。投与の容易さ及び投薬量の均一性のためには、非経口用組成物を単位剤形で調合することが特に有利である。ここで用いる単位剤形とは、治療しようとする対象にとって単位型の投薬量として調整された物理的に別個の単位を言う。各単位は、必要な薬品用担体との関連から所望の治療効果を生ずるよう計算された所定量の活性化合物を含有する。本発明の単位剤形の詳細は、(a)活性化合物の固有の特徴、及び、達成しようとする特定の治療効果、並びに(b)このような活性化合物を、個体の感受性の治療に向けて配合する技術に内在する限界、によって決定され、またこれらに直接依存する。
薬学的に許容可能な抗酸化剤の例には:(1)水溶性の抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等;(2)油溶性抗酸化剤、例えばアスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロール、等;及び(3)金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等がある。
治療用組成物の場合、本発明の調合物には、経口、鼻孔、局所(口腔内及び舌下を含む)、直腸、膣及び/又は非経口投与に適したものが含まれる。当該調合物を適宜、単位剤形で提供してもよく、また製薬業で公知のいずれの方法で調製してもよい。一個分の剤形を作製するために担体物質と組み合わせることのできる活性成分の量は、治療しようとする対象、及び特定の投与形態に応じて様々であろう。一個分の剤形を作製するために担体物質と組み合わせることのできる活性成分の量は、一般に、治療効果を生む組成物量となるであろう。概して、100パーセントのうちで、この量は約0.001パーセント乃至約99パーセントの活性成分、好ましくは約0.005パーセント乃至約70パーセント、最も好ましくは約0.01パーセント乃至約30パーセントの範囲であろう。
経膣投与に適した本発明の調合物には、さらに、当業で適していることが公知の担体を含有するペッサリ、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー調合物がある。本発明の組成物の局所もしくは経皮投与用の剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入剤、がある。当該の活性化合物を、薬学的に許容可能な担体や、必要に応じていずれかの保存剤、緩衝剤、又は推進剤と無菌条件下で混合してよい。
ここで用いる文言「非経口投与」及び「非経口的に投与する」とは、通常は注射による、腸管内及び局所投与以外の投与形態を意味し、その中には、限定はしないが、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、硬膜外及び胸骨内注射及び輸注、がある。
本発明の医薬組成物中に用いてもよい適した水性及び非水性の担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、及びこれらの適した混合物、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステル、がある。適正な流動性は、例えばレシチンなどのコーティング材料を用いたり、分散液の場合には必要な粒子サイズを維持したり、そして界面活性剤を使用するなどにより、維持することができる。
これらの組成物には、保存剤、湿潤剤、乳濁剤及び分散剤などのアジュバントを含有させてもよい。微生物の存在を防ぐには、上述の滅菌法と、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等の多種の抗菌剤及び抗カビ剤の含有の両方を行うと、確実になるであろう。例えば糖類、塩化ナトリウム等の等張剤を組成物に含めることも好ましい場合がある。加えて、注射用の薬形の吸収を長引かせるには、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなど、吸収を遅らせる薬剤を含めることにより、可能であろう。
本発明の化合物を製薬としてヒト及び動物に投与する場合、これらを単独で与えることもできるが、又は、例えば0.001乃至90%(より好ましくは、例えば0.01乃至30%など、0.005乃至70%)の活性成分を、薬学的に許容可能な担体と組み合わせて含有する医薬組成物としても、与えることができる。
選択した投与経路に関係なく、適した水和型で用いてもよい本発明の化合物、及び/又は、本発明の医薬組成物は、当業者に公知の常法により、薬学的に許容可能な剤形に調合される。
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者に毒性となることなく、特定の患者、組成物、及び投与形態にとって所望の治療応答を得るために有効量の活性成分が得られるよう、変更してもよい。選択される投薬量レベルは、用いる本発明の特定の組成物又は、そのエステル、塩又はアミドの活性、投与経路、投与期間、用いる特定の化合物の排出速度、治療期間、用いる特定の組成物と併用する他の薬物、化合物及び/又は物質、治療しようとする患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康及び以前の医療歴等、医業で公知の因子を含め、多種の薬物動態学的因子に依拠することとなろう。当業において通常の技術を有する医師又は獣医であれば、本医薬組成物の必要な有効量を容易に決定及び処方することができる。例えば、この医師又は獣医は、当該医薬組成物中に用いる本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を得るのに必要なそれより少ないレベルで開始し、この投薬量を所望の効果が得られるまで次第に増加させていってもよいであろう。一般的には、本発明の組成物の適した一日当たりの用量は、治療効果を生むために有効な最も少ない用量である化合物量であろう。このような有効量は一般に、上で解説した因子に依拠するであろう。投与は、静脈内、筋肉内、腹腔内、又は皮下によることが好ましく、好ましくは標的部位の近位に投与するとよい。必要に応じ、治療用組成物の有効な一日分の用量を、2回、3回、4回、5回、6回又はそれ以上の小分けした用量に分けて別々に、全日にわたって適当な間隔を置きながら、選択的には単位剤形で投与するとよい。本発明の化合物を単独で投与することも可能であるが、本化合物を医薬調合物(組成物)として投与することが好ましい。
治療用組成物は、当業で公知の医療器具を用いて投与することができる。例えばある好適な実施態様では、本発明の治療用組成物を、例えば米国特許第5,399,163号;第5,383,851号;第5,312,335号;第5,064,413号;第4,941,880号;第4,790,824号;又は第4,596,556号に開示された器具などの無針皮下注射器具で投与することができる。本発明で有用な公知のインプラント及びモジュールの例には、制御された速度で薬品を分配するインプラント可能なマイクロ輸注ポンプを開示する米国特許第4,487,603号;薬品を皮膚を透過させて投与する治療器具を開示する米国特許第4,486,194号;精確な輸注速度で医薬を送達する投薬用輸注ポンプを開示する米国特許第4,447,233号;継続的な薬物送達のための可変流量式のインプラント可能な輸注装置を開示する米国特許第4,447,224号;多チャンバ・コンパートメントを有する浸透圧薬物送達系を開示する米国特許第4,439,196号;及び浸透圧薬物送達系を開示する米国特許第4,475,196号、がある。数多くの他のこのようなインプラント、送達系、及びモジュールが当業者に公知である。
いくつかの実施態様では、本発明のヒトモノクローナル抗体を、in vivoで確実に適正に分布するように調合することができる。例えば血液脳関門(BBB)は数多くの親水性化合物を排除する。本発明の治療用化合物がBBBを確実に通過するようにする(望ましい場合)には、これらを例えばリポソーム中に調合することができる。リポソームの製造方法については、例えば米国特許第4,522,811号; 第5,374,548号;及び第5,399,331号を参照されたい。前記リポソームは、特定の細胞又は臓器に選択的に輸送されて目的の薬物送達を高めるような1つ以上の成分を含んでいてもよい (例えばV.V. Ranade (1989)
J. Clin.
Pharmacol. 29:685を参照されたい)。標的決定成分の例には、葉酸又はビオチン(例えばLow et al.の米国特許第5,416,016号を参照されたい);マンノシド(Umezawa et al.,
(1988) Biochem. Biophys. Res.
Commun. 153:1038);抗体 (P.G. Bloeman et al.
(1995) FEBS Lett. 357:140; M. Owais et al. (1995) Antimicrob. Agents Chemother.
39:180);その様々な種が本発明の調合物や、本発明の分子の構成成分を成していてもよいサーファクタントプロテインA受容体 (Briscoe et al.
(1995) Am. J.
Physiol. 1233:134);p120 (Schreier et
al. (1994) J. Biol. Chem. 269:9090)があり、さらにK. Keinanen; M.L.
Laukkanen (1994) FEBS Lett.
346:123; J.J. Killion; I.J. Fidler (1994) Immunomethods 4:273を参照されたい。本発明の一実施態様では、本発明の治療用化合物をリポソーム中に調合する。より好適な実施態様では、当該リポソームが標的決定成分を含む。最も好適な実施態様では、該リポソーム中の治療用化合物を、腫瘍又は感染に近位の部位への大量注射により送達する。当該組成物は、注射筒での注入が容易な程度に流動性でなくてはならない。それは、製造及び保管条件下で安定でなくてはならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から守られていなくてはならない。
更なる実施態様では、本発明のヒトモノクローナル抗体を、胎盤を透過する輸送を防ぐ又は減らすように調合することができる。これは例えば本抗体をPEG化したり、あるいはF(ab)2'フラグメントを用いるなど、当業で公知の方法により行うことができる。更に、"Cunningham-Rundles
C, Zhuo Z, Griffith B, Keenan J. (1992) Biological activities of
polyethylene-glycol immunoglobulin conjugates. Resistance to enzymatic
degradation. J Immunol Methods. 152:177-190; and to "Landor
M. (1995) Maternal-fetal transfer of immunoglobulins, Ann
Allergy Asthma Immunol 74:279-283を参照することができる。これは、当該の抗体が、再発性自発性流産を治療又は防ぐために用いられる場合に特に関係する。
リウマチ様関節炎のための「治療上有効な投薬量」は、好ましくは、患者において ACR20の 改善の予備的定義(Preliminary
Definition of Improvement)、より好ましくはACR50の改善の予備的定義(Preliminary
Definition of Improvement)、そしてさらにより好ましくは、 ARC70の改善の予備的定義(Preliminary
Definition of Improvementをもたらすものであろう。
ACR20の改善の予備的定義(Preliminary
Definition of Improvement)は:
= 圧痛関節計数(TCJ)及び腫脹関節計数(SWJ)における≧20% の改善、及び、以下の五つの評価点のうち3つにおける≧20%の改善:患者疼痛評価 (VAS)、患者包括的評価 (VAS)、担当医包括的評価 (VAS)、患者自己評価による能力障害 (HAQ)、急性相反応物 (CRP 又は ESR)、と定義されている。
ACR50及びACR70は、同じ方法でそれぞれ≧ 50% 及び≧70%の改善と定義されている。更なる詳細については、Felson et al.
in American College of Rheumatology Preliminary Definition of Improvement in
Rheumatoid Arthritis; Arthritis Rheumatism (1995) 38: 727-735を参照されたい。
化合物の癌阻害能は、ヒト腫瘍での効験を予測する動物モデル系で評価することができる。代替的には、ある組成物のこのような性質は、当該化合物の阻害能を調べることで評価でき、このようなin vitroでの阻害を、当業者に公知の検定法で評価することができる。治療上有効量の治療用化合物であれば、対象において腫瘍の大きさを減じたり、又は症状を軽減することができる。当業者であれば、このような量を、対象の体格、対象の症状の重篤度、及び選択された特定の組成物又は投与経路などの因子に基づいて決定できよう。
本抗体の、乾癬を治療又は防止する上での能力も、当業で公知の方法に従って評価することができる。
本組成物は、無菌、かつ、本組成物を注射筒で送達可能な程度に流動性でなくてはならない。当該の担体は、水に加え、等張の緩衝生理食塩水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、及びこれらの適した混合物であってよい。適正な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングを用いたり、分散液の場合には必要な粒子サイズを維持したり、そして界面活性剤を利用するなどにより、維持することができる。多くの場合、糖類、マンニトール又はソルビトールなどの多価アルコール、及び塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物中に含めることが好ましい。注射可能な組成物の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウム又はゼラチンなど、吸収を遅らせる作用物質を組成物中に含めると、可能である。
活性化合物を上述のように適切に保護すれば、当該化合物を、例えば不活性の希釈剤又は同化可能な食用担体と一緒に経口投与してもよい。
V.発明の用途及び方法
IL-15に対する本発明のヒト抗IL-15抗体(該抗体の誘導体及び複合体を含む)及び該抗体を含有する組成物は、多様なin vitro 及びin vivo での診断上及び治療上の用途で用いることができる。
ある実施態様では、本発明のヒト抗体を、T細胞及び/又は単球/マクロファージによるIL-15誘導性TNFα産生を、好ましくはIL-2などの他のサイトカインにより誘導されるTNFα産生を阻害することなく、阻害するために用いる。本抗体をIL-15に(例えば本抗体を対象に投与するなどにより)接触させることで、IL-15受容体を通じたIL-15のシグナル伝達能を阻害し、ひいては、T細胞及び/又は単球/マクロファージによるTNFα産生も阻害する。好適な抗体は、IL-15に特異的なエピトープ(例えばガンマ・サブユニットなどの特定のサブユニットなど)に結合し、従って、IL-15誘導性TNFα産生を有利に阻害するが、IL-2など構造上関連するサイトカインによるTNFα産生には干渉しないものである。
代替的には、ヒト抗体を、IL-15受容体α-、β-及びγ-鎖の集合に干渉し、及び/又は、IL-15受容体又は別のサイトカイン受容体の一部としてβ-及びγ-鎖を発現している隣接細胞上での集合を阻害するために、用いる。
別の実施態様では、本発明のヒト抗体を、IL-15誘導性T細胞動員及び/又は増殖を、好ましくはIL-2など他の構造上関連するサイトカインにより誘導されるT細胞増殖を阻害することなく阻害するために、用いる。TNFα産生の場合と同様に、本抗体をIL-15に(例えば本抗体を対象に投与するなどにより)接触させることで、IL-15の、IL-15受容体を介したシグナル伝達能を阻害し、ひいてはIL-15によるT細胞刺激を阻害する。
従って、更に別の実施態様では、本発明は、IL-15により媒介される異常(例えば乾癬、リウマチ様関節炎、又は炎症性腸疾患などの自己免疫疾患、又はHIVなどの感染性疾患など)を治療又は防止するために有効量の本発明のヒト抗体を対象に投与することにより、前記異常を治療又は防止するための方法を提供するものである。本抗体を、単独で投与することも、あるいは、例えばステロイド系もしくは非ステロイド系炎症薬などの抗炎症薬、又は、IL-15媒介性疾患を治療又は防止するために本抗体と協働的又は相乗的に作用する細胞毒など、別の治療薬と一緒に投与することもできる。
ある具体的な実施態様では、本発明のヒト抗体を、リウマチ様関節炎(RA)を治療又は防止するために用いる。本抗体は、IL-15がRAなどの疾患に関連する炎症の進行において果たす役割を制限する。T細胞、特にCD4+Tヘルパ細胞は、RAにおける炎症プロセスの開始及び維持に関与している。別のサイトカインであるTNF-αも、最終的にはRA患者の関節の破壊及び廃疾につながる炎症経路に関与している。IL-15の局所合成は、T細胞の活性化及び動員と、TNF-α及び他の炎症性サイトカインの誘導の両方において鍵となる役割を果たしている。RAの進行におけるIL-15の役割は、マクロファージにより合成されるIL-15がT細胞動員を誘導するプロセスに関係している。こうして活性化したT細胞は次に:(1)マクロファージ活性化を維持し;そして(2)TNF-α産生を誘導する。刺激を受けたマクロファージはより多くのIL-15の合成及びT細胞活性化を促進して、このサイクルを続けさせる。IL-15は、そのTNF-α及びマクロファージに対する効果に加え、好中球を活性化し、局所的なB細胞免疫グロブリン分泌、特にリウマチ様因子の合成に影響を与える。
従って、本発明の抗IL-15抗体を、RAを引き起こすIL-15の前述のような効果を防止又は遮断するために用いることができ、従ってこの疾患を防止又は治療するために用いることができる。例えば、本発明の抗IL-15抗体を、炎症を阻害し、及び/又は、RAに関与する活性化白血球の走化性を防止するために用いることができる。
本発明のヒト抗体は、メトトレキセートへの応答が不充分だったリウマチ様関節炎患者において構造上の損傷の進行を阻害したり、又は、過去にDMARDでの治療に失敗したことのない患者を含め、中度から重度の進行性リウマチ様関節炎患者において兆候及び症状を減らし、構造上の損傷を遅らせるために、用いられよう。
更に本発明のヒト抗体は、IL-15の他の効果を遮断又は阻害するためにも、用いることができる。IL-15は、単球及びマクロファージ、線維芽細胞、樹状細胞、及びケラチノサイトを含め、多様な細胞及び組織で発現する。ケラチノサイトは上皮や粘膜組織の上皮被膜の主要な構成成分である。ケラチノサイトの成長の制御は、そのいくつかはケラチノサイト自身により産生されるサイトカイン及び成長因子の複雑なネットワークにより媒介されている。ケラチノサイト由来IL-15は、乾癬性プラークにおいてT細胞の蓄積、増殖及び生存に寄与する。ケラチノサイト数が増加して、関連する疾患症状の少なくともいくつかを担う上皮の過形成につながるような疾患が数多く、公知である。これらの疾患には、乾癬及びアトピー性皮膚炎などの慢性疾患や、慢性手湿疹、接触性皮膚炎、ウィルス性疣贅(HPV関連)、皮膚性T細胞リンパ腫、損傷した創傷の治癒、例えば糖尿病を原因とする損傷した創傷の治癒、などの状態がある。従って、本発明は、本発明のヒト抗IL-15抗体を、このような異常を治療又は防止するために有効量、患者に投与することにより、該異常を治療又は防止するための方法を提供するものである。例えば、本発明の抗IL-15抗体は、乾癬における錯角化を遮断又は阻害したり、乾癬における上皮厚さを減らしたり、そして乾癬におけるケラチノサイト増殖を減らすために、用いることができる。
IL-15はまた、腸管上皮細胞の機能を調節する(Reinecker, et
al. (1996) Gastroenterology 111:1706-13)。具体的には、IL-15は粘膜上皮細胞上及び腸管上皮細胞皮膜上で修飾を起こすことができるため、小児脂肪便症などの炎症性腸疾患の病理に関与している。このような疾患におけるIL-15の役割が、未治療の小児脂肪便症患者の小腸のIL-15+細胞の選択的過剰表現で示されている(WO 00/02582)。このように、IL-15は小児脂肪便症の開始及び維持に直接関与していることが示されている。従って、別の実施態様では、本発明の(即ち、IL-15の炎症誘発効果を阻害する)抗IL-15ヒト抗体は、小児脂肪便症を治療又は防止するために有効量の本抗体を患者に投与することにより、前記異常を治療及び/又は防止するために用いることができる。
加えて、本発明の発明者により、IL-15は更に、新しい血管の形成という、血管新生又は脈管形成と呼ばれるプロセスも促進することが見出された。従って、本発明の抗体の更に別の用途には、血管新生が関与する疾患の防止又は治療が含まれる。これらの疾患には、炎症性疾患に加え、血管新生に依拠する又は血管新生を特徴とする、多種の癌がある。
また本発明のヒト抗体は、HIVなど、感染性疾患に関連するIL-15の効果を遮断又は阻害するためにも用いることができる。従って、本発明の抗体の別の用途には、HIV-1などの感染性疾患の防止又は治療が含まれる。
例えば、IL-15により媒介される多種の疾患を診断するために本抗体をin vitro 又はin vivo で用いることができる。具体的には、本抗体を、IL-15のレベル、又は、IL-15を細胞膜表面上に結合させた状態で、もしくは、それらの受容体に結合させた状態(受容体結合型ヒトIL-15)で含有する細胞のレベルを検出するために用いることができる。こうして、IL-15のこのようなレベルの検出を、特定の疾患の症状に相関させることができる。代替的には、本抗体を用いてIL-15機能を阻害又は遮断し、ひいては、IL-15機能により引き起こされる疾患症状を防止又は改善することができる。
前述したように、本発明のヒト抗IL-15抗体を、例えば免疫抑制剤や、又は、全体的な抗炎症効果を増すための抗炎症剤など、一種以上の他の治療薬と同時投与することができる。本抗体を該作用薬に(免疫複合体として)連結することも、あるいは、該作用薬とは別に投与することもできる。後者(別の投与)の場合、本抗体を、該作用薬の前、後又は同時に投与することができる。適した治療薬には、とりわけ、抗炎症剤、DMARD(疾患改変抗リウマチ薬)、免疫抑制剤、化学療法薬、及び乾癬薬、がある。本発明に依るヒト抗体を放射線療法と併用投与することも可能である。
別の実施態様では、本発明のヒト抗体を、例えばCD4特異抗体及びIL-2特異抗体などの他の抗体と組み合わせて投与することもできる。本ヒト抗体と、CD4特異抗体又はIL-2特異抗体との組合せは、自己免疫疾患及び移植片拒絶を治療するために特に有用であると考えられる。
更に、本発明のヒト抗IL-15抗体と、選択的に使用に関する指示とを含むキットも、本発明の範囲内にある。本キットには、更に、例えば免疫抑制性試薬などの一種以上の付加的な試薬や、又は、一種以上の付加的な本発明のヒト抗体(例えば、第一のヒト抗体とは異なるIL-15抗原のエピトープに結合する補完的な活性を有するヒト抗体など)を含めることができる。
従って、本発明の抗体で治療された患者に、更に、本ヒト抗体の治療効果を高める又は増強する、抗炎症剤などの別の治療薬を(本発明のヒト抗体の投与の前、同時、又は後で)付加的に投与することができる。
更に別の実施態様では、化合物(例えば治療薬、標識、細胞毒、免疫抑制剤等)を本抗体に連結させることにより、本発明のヒト抗体を用いて、IL-15をその表面上に結合させて有する細胞(例えば膜に結合した、又は、IL-15受容体に結合した)に、このような化合物の標的を決定することができる。このように、更に本発明は、IL-15及びIL-15受容体を発現している細胞をex vivo、in vivo又は in vitroで(例えば放射性同位体、蛍光化合物、酵素、又は酵素コファクタなどの検出可能な標識で)位置特定する方法を提供する。
本発明の他の実施態様を、以下の実施例で解説する。
本発明を以下の実施例で更に解説するが、以下の実施例を、更に限定的なものと捉えられてはならない。本出願全体を通じて引用された配列表、図面及び全参考文献、特許及び公開済み特許出願の内容を、引用をもってここに援用することを明示しておく。
実施例1 Cmu標的化マウスの作製
CMDターゲティング・ベクタの構築
プラスミドpICEmuは、mu遺伝子に延びる、Balb/Cゲノム・ラムダ・ファージ・ライブラリから得られたマウスIg重鎖遺伝子座のEcoRI/XhoI断片を含有する(Marcu et al. Cell 22: 187, 1980)。このゲノム断片をプラスミドpICEMI9HのXhoI/EcoRI部位にサブクローニングした (Marsh et al;
Gene 32, 481-485, 1984)。pICEmuに含まれたこれら重鎖配列は、muイントロン・エンハンサのちょうど3'側に位置するEcoRI部位の下流から、mu遺伝子の最後の膜貫通エキソンのほぼ1kb下流に位置するXhoI部位まで延びる。しかし、このmuスイッチ反復領域の大半は、E. coli内を継代させて欠失させてある。
該ターゲティング・ベクタは以下の通りに構築された。1.3 kb のHindIII/SmaI 断片をpICEmuから切り出し、HindIII/SmaIで消化したpBluescript(カリフォルニア州ラホーヤ、ストラタジーン社)内にサブクローニングした。このpICEmu断片は、Cmu1のほぼ1 kb 5'側に位置するHindIII部位からCmu1内にあるSmaI部位まで延びる。その結果得られたプラスミドをSmaI/SpeIで消化し、pICEmu由来の、Cmu1の3'側のSmaI部位から最後のCmuエキソンのちょうど下流に位置するXbaI部位まで延びる約4 kb のSmaI/XbaI 断片を挿入した。その結果得られたプラスミドpTAR1をSmaI部位で直線化し、neo発現カセットを挿入した。このカセットは、マウスホスホグリセレートキナーゼ(pgk)プロモータ(XbaI/Taq1断片Adra et al. (1987) Gene 60: 65-74)の転写制御下にあると共に、pgkポリアデニレーション部位(PvuII/HindIII 断片;Boer et al. (1990) Biochemical Genetics 28:
299-308) を含有するneo遺伝子から成る。このカセットは、プラスミドpKJ1 (Tybulewicz
et al. (1991) Cell 65: 1153-1163に解説がある)から得たが、このプラスミドから前記neoカセットをEcoRI/HindIII断片として切り出し、EcoRI/HindIIIで消化したpGEM-7Zf(+)内にサブクローンニングして、pGEM-7 (KJ1)を作製した。このneoカセットを、pGEM-7 (KJ1)からEcoRI/SalI消化により切り出し、平滑末端にしてから、プラスミドpTAR1のSmaI部位にゲノムCmu配列とは反対の方向でサブクローニングした。その結果得られたプラスミドをNot Iで直線化し、単純疱疹ウィルスチミジンキナーゼ(tk)カセットを挿入して、Mansour et
al. (1988) Nature 336: 348-352が解説した通りに、相同組換え体を持つESクローンを濃縮できるようにした。このカセットは、Tybulewicz et
al. (1991) Cell 65: 1153-1163が解説したように、マウスpgkプロモータ及びポリアデニレーション部位を両端に持つtk遺伝子のコーディング配列から成る。その結果得られたCMDターゲティング・ベクタは、前記重鎖遺伝子座に合計でほぼ5.3 kb の相同性を含有し、neo発現カセットが一番目のCmuエキソンの非反復SmaI部位に挿入されているような変異mu遺伝子を生ずるよう、デザインされている。このターゲティング・ベクタを、ES細胞内に電気穿孔注入する前に、プラスミド配列内で切断するPvuIで直線化した。
標的設定されたES細胞の作製及び分析
AB-1 ES 細胞 (McMahon, A. P.
and Bradley, A., (1990) Cell 62:
1073-1085) を有糸***不活性期のSNL76/7 細胞支持層(同書)上で、基本的には解説 (Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: a
Practical Approach (E.
J. Robertson,
ed.) Oxford:
IRL Press, p. 71-112のRobertson,
E. J.
(1987))された通りに成長させた。直線化させたCMDターゲティング・ベクタを、電気穿孔法でAB-1細胞に、Hasty et al. (Hasty,
P. R. et al. (1991) Nature 350: 243-246)で解説された方法により注入した。注入後の細胞を100 mm 皿に、1-2×106細胞/皿の密度になるようにプレートした。24時間後、G418 (200マイクログラム/mlの活性成分)及び FIAU (5×10-7M)を培地に加え、薬物耐性クローンを8乃至9日間、展開させた。クローンを摘みだし、トリプシン処理し、2つの部分に分割し、さらに展開させた。その後各クローン由来の細胞の半分を凍結させ、残りの半分を、ベクタと標的配列との間の相同組換えについて分析した。
DNA解析をサザン・ブロット・ハイブリダイゼーションで行った。DNAはLaird et al.
(Laird, P. W. et al., (1991) Nucleic Acids Res. 19 : 4293)が解説した通りに前記クローンから単離された。単離されたゲノムDNAをSpeIで消化し、muイントロン・エンハンサとmuスイッチ領域との間の配列にハイブリダイズするプローブA(図1を参照されたい)である915 bp のSacI 断片でプローブした。プローブAは、野生型遺伝子座の9.9 kbのSpeI断片と、CMDターゲティング・ベクタと相同組換えを起こしたmu遺伝子座の判断材料となる7.6kbのバンドとを検出する(neo発現カセットはSpeI部位を含有する)。サザン・ブロット解析でスクリーニングした1132 個のG418及びFIAU 耐性クローンのうち、3個が、mu遺伝子座での相同組換えを示す7.6 kb のSpeI バンドを示した。これら3個のクローンを酵素BglI、BstXI、及びEcoRI でさらに消化して、当該ベクタがmu遺伝子に相同的に組み込まれたことを確認した。プローブAとハイブリダイズした場合、BglI、BstXI、又はEcoRI で消化した野生型DNAのサザン・ブロットでは、それぞれ15.7、7.3、及び12.5 kbの断片が生ずるが、標的にしたmuアレルの存在は、それぞれ7.7、6.6、及び14.3 kbの断片で示される。SpeI消化により検出された3個の陽性クローンはすべて、neoカセットがCmu1エキソンへ挿入されたことの判断材料となる、予想通りのBglI、BstXI、及びEcoRI制限断片を示した。
変異mu遺伝子を持つマウスの作製
264番、272番及び408番と指定した3つの標的設定されたESクローンを解凍し、C57BL/6J胚盤胞にBradley (Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: a
Practical Approach. (E. J.
Robertson, ed.)
Oxford: IRL
Press, p. 113-151のBradley,
A. (1987))の解説通りに注入した。注入された胚盤胞を偽妊娠メスの子宮に移して、注入されたES細胞及びホストの胚盤胞を由来とする細胞の混合物であるキメラマウスを作製した。このキメラへのES細胞の寄与度は、黒色のC57BL/6Jバックグラウンド上に見える、当該ES細胞系由来の野鼠色の皮の量により視覚的に判断することができる。クローン272及び408では、ごく低いパーセンテージでキメラが生じた(即ち、野鼠色の着色率が低い)が、クローン264では、高率でオスのキメラが生じた。これらのキメラをC57BL/6Jメスと交配し、ES細胞ゲノムの生殖細胞伝播を示す野鼠色の仔を作った。尾の生検で得たDNAをBgII消化し、サザン・ブロット分析して、標的設定されたmu遺伝子のスクリーニングを行った(ES細胞DNAの分析について上述した通り)。野鼠色の仔のほぼ50%が、野生型のバンド15.7kbに加え、ハイブリダイズした7.7kbのBgIIバンドを示し、標的設定されたmu遺伝子の生殖細胞伝播が実証された。
mu遺伝子の機能不活性化に関するトランスジェニックマウスの分析
neoカセットをCmu1に挿入したことでIg重鎖遺伝子が不活性化したかどうかを調べるために、クローン264キメラを、JH遺伝子セグメントを欠失させて重鎖発現を不活性化させるJHD変異がホモ接合型となったマウスと交配した(Chen et al,
(1993) Immunol. 5: 647-656)。4匹の野鼠色の仔を得た。血清を1月齢のこれら動物から得、ELISAで検定してマウスIgMの存在を調べた。4匹の仔のうち2匹がIgMを完全に欠いていた(表1を参照されたい)。4匹の動物を、尾の生検で得たDNAをBgII消化し、プローブA(図1を参照されたい)にハイブリダイズさせ、さらにStuI消化し、475bpのEcoRI/StuI断片(同書)にハイブリダイズさせる、といったサザン・ブロット分析で遺伝子型決定したところ、血清IgMを発現できない当該動物は、重鎖遺伝子座の一方の対立遺伝子がJHD変異を持ち、他方の対立遺伝子がCmu1変異を持つものであることが実証された。JHD変異がヘテロ接合型となったマウスは野生型のレベルの血清Igを示す。これらのデータは、Cmu1変異はmu遺伝子の発現を不活性化することを実証するものである。
Figure 0004892335
表1は、CMD及びJHD 変異の両方を持つマウス (CMD/JHD)、JHD変異についてヘテロ接合型のマウス (+/JHD)、野生型 (129Sv
×C57BL/6J)F1 マウス(+/+)、及び、JHD変異がホモ接合型のB細胞欠損マウス(JHD/JHD)について、ELISAで検出された血清IgMレベルを示す。
実施例2 HCO12トランスジェニックマウスの作製
HCO12ヒト重鎖導入遺伝子
80 kb のpHC2 のインサート(Taylor et al.,
1994, Int. Immunol., 6: 579-591)及び25 kbのpVx6のインサートを同時注入することで、HCO12導入遺伝子を作製した。プラスミドpVx6 は以下に解説するように構築された。
生殖細胞系ヒトVH1-18 (DP-14)遺伝子を、ほぼ2.5 kb の5' 側フランキング及び5 kb の3'側フランキングゲノム配列と一緒に含む、8.5 kb のHindIII/SalI DNA 断片をプラスミド・ベクタpSP72 (ウィスコンシン州マジソン、プロメガ社)内にサブクローニングして、プラスミドp343.7.16を作製した。生殖細胞系ヒトVH5-51 (DP-73)遺伝子を、ほぼ5 kbの5' 側フランキング及び1 kb の3' 側フランキングゲノム配列と一緒に含む、7 kbのBamHI/HindIII DNA断片を、pBR322ベースのプラスミド・クローニング・ベクタpGP1f (Taylor et
al. 1992, Nucleic Acids Res. 20: 6287-6295)内にクローニングして、プラスミドp251fを作製した。pGP1f、pGP1k (配列番号13)を由来とする新しいクローニング・ベクタを、EcoRV/BamHIで消化し、生殖細胞ヒトVH3-23 (DP47)遺伝子をほぼ4 kbの5' 側フランキング及び5 kb の3' 側フランキングゲノム配列と一緒に含む、10 kbのEcoRV/BamHI DNA 断片にライゲートした。その結果得られたプラスミドp112.2RR.7をBamHI/SalI で消化し、p251fの7 kbの精製済みBamHI/SalI インサートにライゲートした。その結果得られたプラスミドpVx4をXhoIで消化し、p343.7.16の8.5 kbの XhoI/SalI インサートにライゲートした。
VH1-18遺伝子を他の2つのV遺伝子と同じ方向で持つクローンを得た。このクローンをpVx6と命名した後、NotIで消化し、精製されたその26 kbのインサートを、pHC2の精製済み80kbのNotIインサートと一緒に、1:1のモル比で、Hogan et al. (B.
Hogan et al., Manipulating the Mouse Embryo, A Laboratory Manual, 2nd edition, 1994,
Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview NY)が解説したように半日齢(C57BL/6J x
DBA/2J)F2 胚の前核に同時注入した。これらの注入を受けた胚から発生したマウスから、V×6及びHC2の両方を由来とする配列を含むトランスジェニックマウスの3つの個別の株を確立した。これらの株を(HCO12)14881、(HCO12)15083、及び(HCO12)15087と命名する。次にこれらの3つの株のそれぞれを、実施例1で解説したCMD変異、JKD 変異 (Chen et al.
1993, EMBO J. 12: 811-820)、及び(KCo5)9272
導入遺伝子(Fishwild et al.
1996, Nature Biotechnology 14: 845-851)を含むマウスに交配した。その結果得られるマウスは、ヒト重鎖及びカッパ軽鎖導入遺伝子を、内因性マウス重鎖及びカッパ軽鎖遺伝子座の破壊についてホモ接合型であることをバックグラウンドとして発現する。
実施例3 IL-15に対するヒトモノクローナル抗体の作製
上述のように作製され、米国カリフォルニア州サンホセ、メダレックス社から提供されたHCo12及びHCo7 トランスジェニック・マウスを、完全フロイント・アジュバント(CFA、ロット番号121024LA、米国ミシガン州デトロイト、ディフコ・ラボラトリーズ社)又は不完全フロイント・アジュバント(ICFA、ロット番号 121195LA、ディフコ社)のいずれかを添加したヒト組換えIL-15 (hIL-15、米国シアトル、イムネックス社)で、皮下(SC)、腹腔内(IP)又は静脈内(IV)により免疫した。いくつかの場合では、KLHに結合させたhIL-15を免疫処理に用いた。完全フロイント又は不完全フロイントアジュバントのいずれかを添加したhIL-15で数回、追加刺激した後、マウスの血清を、IL-15を狙ったヒト抗体の存在について検査した。
最終クローン146B7、146H5、404E4 及び404A8を生じさせたトランスジェニックマウスの免疫処理スキーム
マウス番号146 (HCo12)、ID 995-146、メス
170699 SC 12μgのhIL-15 のCFA(ディフコ社、ロット番号121024LA)溶液
010799 SC 12μgのhIL-15 のICFA (ディフコ社、ロット番号121195LA)溶液150799 SC 12μgの hIL-15のICFA溶液
020899 SC 12μgのhIL-15-KLH のICFA溶液
070999 SC 12μgのhIL-15-KLH のICFA溶液
280999 SC 12μgのhIL-15-KLH のCFA溶液
111099 IV 30μgのhIL-15 のPBS溶液
121099 IV 30μgのhIL-15 のPBS溶液
151099 このマウス由来のリンパ節及び脾細胞のSP2/0との融合
マウス番号404(HCo7)、ID 997-404、メス
201099 IP 25μgのhIL-15-KLH のCFA(ディフコ社、ロット番号121024LA)溶液
031199 IP 12.5μgのhIL-15、12.5μgのhIL-15-KLH、25μgのICFA (ディフコ社、ロット番号121195LA)溶液
101199 IV 12.5μgのhIL-15、12.5μgのhIL-15-KLH
121199 IV 12.5μgのhIL-15、12.5μgのhIL-15-KLH
191199 このマウス由来のリンパ節及び脾細胞のSP2/0との融合
培養基
融合相手の培地(FPM):
イスコーブの改良ダルベッコ培地に100 IU/ml ペニシリン、100μg/ml ストレプトマイシン、1 mM ピルビン酸ナトリウム、0.5 mM β-メルカプトエタノール(スコットランド、ペーズリー、ライフ・テクノロジーズ社)及び10% 熱不活性化ウシ胎児血清(米国ユタ州、ハイクローン社)を添加した。
融合選択培地(FSM):
30 ml オリゲン・ハイブリドーマ・クローニング・ファクタ(米国メリーランド州ガイザーズバーグ、IGEN社)、HAT (1バイアル、メーカの推奨濃度、米国ミズーリ州セントルイス、シグマ・ケミカル社)及び0.5 mg/ml カナマイシン(スコットランド、ペーズリー、ライフ・テクノロジーズ社)を添加したFPM。
融合クローニング培地(FCM): 20 ml オリゲン・ハイブリドーマ・クローニング・ファクタ(米国メリーランド州ガイザーズバーグ、IGEN社)、HT (1バイアル、メーカの推奨濃度、米国ミズーリ州セントルイス、シグマ・ケミカル社)及び0.5 mg/ml カナマイシン(スコットランド、ペーズリー、ライフ・テクノロジーズ社)を添加したFPM。
ハイブリドーマの調製:SP2/0骨髄腫細胞との脾臓及びリンパ節細胞の融合
ハイブリドーマを得るために、脾臓、鼠径部及び大動脈周囲リンパ節をマウスから取り出した。脾臓及びリンパ節細胞の単個細胞懸濁液をSP2/0骨髄腫細胞に、細胞比1:2になるように混合した。細胞を遠心して沈降させ、そのペレットを37℃の1mlのポリエチレングリコール(PBS、英国アーヴィン、シグマ-アルドリッチ社、中50% w/v) 中に静かに再懸濁させた。この細胞を60秒間、渦流させた後、25 ml FPM-2 を加え、細胞を37℃で30乃至60分間、インキュベートした。インキュベート後、細胞を1ウェル当たり0.75×105個の細胞(100μl中)の細胞濃度にして、FSMを入れた96ウェル・プレート中で培養した。3日後、100μlのFSMを各ウェルに加えた。
hIL-15で免疫したHCo7及びHCo12マウスの脾臓及びリンパ節を融合すると、IL-15を狙う抗体を産生するハイブリドーマがいくつか、生じた。完全ヒト抗IL-15抗体を産生する以下の4つの安定なクローンを単離した:(1)146LyD7F7B7 改め:146B7;(2)146DE2E12A3H5 改め:146H5;(3)404CG11B7E4 改め:404E4;及び(4)404FB12E7A8改め:404A8。これらのクローンは全て、ヒトIgG1/kサブクラスのものだった。
ハイブリドーマのスクリーニング
融合から7日目から11日目の間に、ウェルを、ヒト抗体の存在について以下のELISAを用いてスクリーニングした。
培養上清中のヒトIgGの存在に関するスクリーニングのためのELISA
ヒトIgG抗体の存在を検出するELISAを行うために、100μl/ウェルの0.9μg/ml ウサギ-α-k-軽鎖抗体(デンマーク、グロストラップ、DAKO社)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に入れてNunc Maxisorp
ELISA-プレートに加えた(室温で一晩のインキュベート)。このプレートを、ニワトリ血清(2 %;スコットランド、ペーズリー、ライフ・テクノロジーズ社)及びTween-20 (0.05 %;PBSTC)を添加したPBSで遮断した後、培養上清を加えた。1.5時間のインキュベート後、プレートを洗浄し、ウサギ-α-ヒトIgG (Fab2-フラグメント)に西洋わさびペルオキシダーゼ(デンマーク、グロストラップ、DAKO社)0.5μg/mlをPBSTCに希釈して結合させたものを加えた。 1時間インキュベートした後、ウェルを洗浄し、基質である ABTS (2,2’-アジノビス-3-エチルベンズチアゾリン-スルホン酸、ドイツ、マンハイム、ロシュ・ダイアグノスティックス社)をメーカのプロトコルに従って加え、抗体結合を405nmで、EL808 ELISA-リーダ(米国ヴァーモント州、ウィヌースキ、バイオ-テック・インスツルメンツ社)で評価した。
IL-15特異抗体の存在に関するスクリーニングのためのELISA
ヒトIgG/k抗体を含有するウェルを、更にIL-15特異的ELISAでヒト抗IL-15抗体の存在についても検査した。このELISAを行うために、100μl/ウェルの1μg/ml IL-15をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に入れて Nunc Maxisorp
ELISA-プレートに加えた(インキュベートは室温で一晩)。このプレートを、ニワトリ血清(2%;スコットランド、ペーズリー、ライフ・テクノロジーズ社)及びTween-20(0.05%;PBSTC)を添加したPBSで遮断後、培養上清を加えた。1.5時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、α-ヒトIgG Fcに西洋わさびペルオキシダーゼ(米国ペンシルヴァニア州、ウェスト・グローブ、ジャクソン・イムノ・リサーチ社)をPBSTCに1/5000に希釈して結合させたものを加えた。1時間インキュベート後、ウェルを洗浄し、基質、ABTS (2,2’-アジノビス-3-エチルベンズチアゾリン-スルホン酸、ドイツ、マンハイム、ロシュ・ダイアグノスティックス社)をメーカのプロトコルに従って加え、抗体結合を405nmで、EL808 ELISA-リーダ(米国ヴァーモント州ウィヌースキ、バイオ-テック・インスツルメンツ社)で評価した。
ハイブリドーマのサブクローニング
安定な抗IL-15細胞株を得るために、96ウェル・プレートでの細胞の限界希釈(0.5細胞/ウェルに)により、ハイブリドーマをサブクローニングした。
ほぼ1日後、該サブクローンを、上述のIL-15 ELISAで検査した。数回のサブクローニング法の間、FSM をFCMからFPMに相変化させた。このサブクローンのアイソタイプを下に解説するELISAで判定した。
ELISAによる抗IL-15抗体のアイソタイプ判定
アイソタイプELISAを行うために、100μl/ウェルの1μg/mlの抗ヒトFc (ジャクソン・イムノ・リサーチ社)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に入れて、Nunc Maxisorp
ELISA-プレートに加えた(インキュベートは室温で一晩)。このプレートを、ニワトリ血清(2%;スコットランド、ペーズリー、ライフ・テクノロジーズ社)及びTween-20(0.05%;PBSTC)を添加したPBSで遮断後、培養上清を加えた。1.5時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、マウス-α-HuIgG1にアルカリホスファターゼ(ランド、プラーツ、Zymed社)を結合させたもの、又は、マウス-α-HuIgG3を西洋わさびペルオキシダーゼ(Zymed社)に結合させたものを加えた。1時間インキュベート後、ウェルを洗浄し、基質、ABTS (2,2’-アジノビス-3-エチルベンズチアゾリン-スルホン酸、ドイツ、マンハイム、ロシュ・ダイアグノスティックス社)をメーカのプロトコルに従って加えた。抗体結合を405nmで、EL808 ELISA-リーダ(米国ヴァーモント州ウィヌースキ、バイオ-テック・インスツルメンツ社)で評価した。
実施例4 完全ヒト抗IL-15抗体のエピトープ特異性
治療的に機能し、そしてIL-15誘導性炎症誘発効果を阻害するためには、IL-15特異抗体は、IL-15受容体のIL-2Rβ-鎖及び/又はγ-鎖との相互作用に関与するIL-15エピトープを認識しなければならない。
(Pettit et al.により解説された)変異型タンパク質を用いて、完全ヒト抗IL-15抗体、146B7、146H5、404A8 及び404E4のエピトープ特異性を評価した。用いられたIL-15変異体には、IL-15の変異型 Q108S (残基108位のGlnをSerに置換した;γ-鎖相互作用部位での変異)及び変異型 D8SQ108S (残基108位のGlnをSerに、そして8位のAspをSerに置換した;IL-15のβ及びγ-鎖相互作用部位の両方での変異)が含まれる。
hIL-15及び変異型IL-15タンパク質へのhIL-15特異抗体、146B7、147H5、404A8及び404E4 の結合を判定するためのELISA
本ELISAを行うために、100μlの1μg/ml IL-15 又はhIL-15 変異型タンパク質を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に入れて、Nunc Maxisorp
ELISA-プレート に加えて被覆させた。このプレートをニワトリ血清(2%;スコットランド、ペーズリー、ライフ・テクノロジーズ社)及びTween-20(0.05%;PBSTC)を添加したPBSで遮断後、hIL-15特異抗体の連続希釈液をインキュベートした。洗浄後、α-ヒトIgG Fcを、PBSTCで1/5000に希釈したペルオキシダーゼ(米国ペンシルヴァニア州ウェスト・グローブ、ジャクソン・イムノ・リサーチ社)に結合させたものを加えた。洗浄後、基質、ABTS (2,2’-アジノビス-3-エチルベンズチアゾリン-スルホン酸、ドイツ、マンハイム、ロシュ・ダイアグノスティックス社)をメーカのプロトコルに従って加え、抗体結合を405nmで、EL808 ELISA-リーダ(米国ヴァーモント州ウィヌースキ、バイオ-テック・インスツルメンツ社)で評価した。
完全ヒトIL-15 特異抗体 146B7、146H5、404A8及び 404E4 のhIL-15並びにIL-15 変異型タンパク質 Q108S 及びD8SQ108Sへの結合を図1に示す。146B7 又は146H5のいずれも、これらの変異型IL-15タンパク質に結合することができなかった。両方の変異体とも、Q108S変異を持つため、 146B7及び146H5 により認識されるエピトープは、IL-15がIL-15受容体のγ-鎖と相互作用する重要なドメイン内にある。404A8 及び404E4は両者とも、該変異型タンパク質に結合することができたため、これらの抗体は、IL-15のβ-及びγ-鎖相互作用ドメインの外側のエピトープを認識する。146B7 及び146H5の両方とも、IL-15のうちで、IL-15受容体のγ-鎖と相互作用する領域に結合する。このことは、本発明の完全ヒト抗IL-15抗体を用いた増殖検定で得られたデータと一致する。下に詳述するように、404A8 又は404E4 のいずれも、CTLL-2細胞及びヒトPBMCのIL-15誘導性増殖を阻害することができなかった。146B7 及び146H5 は両者とも、IL-15誘導性増殖を阻害することができた。更に、増殖の阻害は、IL-15受容体のγ-サブユニットとのIL-15の相互作用を遮断することで達成される。
実施例5 146B7のVH及びVL−領域配列
146B7の再編成後のVH及びVLドメインのヌクレオチド及び推定アミノ酸配列を、以下の手法を用いて判定した。これらの配列は、用いられたVH及びVL生殖細胞系ファミリに関する情報を提供する;これらの生殖細胞系配列中の点変異は、当該動物の免疫中のB細胞の親和性成熟が原因である。
RNAの調製
全RNAを5×106個の146B7ハイブリドーマ細胞から、メーカのプロトコルに従ってRNAzol (英国プール、バイオジェネシス社)で調製した。
cDNAの調製
146B7由来のRNAのcDNAを、3μgの全RNAから、メーカのプロトコルに従って、緩衝液を加えたAMV リバース・トランスクリプターゼ(ドイツ、マンハイム、ロシュ・ダイアグノスティックス社)、オリゴd(T)15(米国ウィスコンシン州マジソン、プロメガ社)、dNTP(米国、ベーリンガー・マンハイム社)及びRNAsin(プロメガ社)を用いて調製した。
クローニング用のV H 及びV L 領域を増幅するために用いたPCRプライマ
用いたプライマ対:
VH:
FR1 5’側プライマ
(1) AB62 CAg gTK CAg CTg
gTg CAg TC
(2) AB63 SAg gTg CAg CTg
KTg gAg TC
(3) AB65 gAg gTg CAg CTg
gTg CAg TC
VHリーダ5'側プライマ
(4) AB85 ATg gAC Tgg ACC Tgg
AgC ATC
(5) AB86 ATg gAA TTg ggg
CTg AgC Tg
(6) AB87 ATg gAg TTT ggR
CTg AgC Tg
(7) AB88 ATg
AAA CAC
CTg Tgg TTC TTC
(8) AB89 ATg ggg TCA ACC
gCC ATC CT
VH3’側プライマ
(9) AB90 TgC CAg ggg gAA
gAC CgA Tgg
VK
FR1 5’側プライマ
(1) AB8 RAC ATC CAg
ATg AYC
CAg TC
(2) AB9 gYC ATC YRg ATg
ACC CAg TC
(3) AB10 gAT ATT gTg ATg
ACC CAg AC
(4) AB11 gAA ATT gTg TTg
ACR CAg TC
(5) AB12 gAA ATW gTR ATg ACA CAg TC
(6) AB13 gAT gTT gTg ATg
ACA CAG TC
(7) AB14 gAA ATT gTg CTg
ACT CAg TC
VKリーダ5’側プライマ:
(8) AB123 CCC gCT Cag CTC
CTg ggg CTC CTg
(9) AB124 CCC TgC TCA gCT
CCT ggg gCT gC
(10) AB125 CCC
AgC gCA gCT TCT CTT CCT CCT gC
(11) AB126 ATg gAA CCA Tgg
AAg CCC CAg CAC AgC
VK3’側プライマ
(12) AB16 Cgg gAA gAT gAA
gAC AgA Tg
クローニング用のV H 及びV L 領域を増幅するために用いたPCR条件
PCR反応を、GeneAmp PCR システム9700 (米国カリフォルニア州フォスター・シティ、パーキン・エルマ・アプライド・バイオシステムズ社でAmpliTaq ポリメラーゼ(パーキン・エルマ社)を用いて行わせた。
PCR サイクリング・プロトコル:
94°2'
11サイクル 94° 30’’
65° 30’’、1サイクル毎にマイナス1°
72° 30”
30 サイクル 94° 30’’
55° 30”
72° 30’’
72° 10’
4°まで冷却
pGEMT-ベクタ・システムIでのV H 及びV L のクローニング
該PCR産物をアガロース・ゲル上で分析した後、この産物をS-400もしくはS300マイクロスピン・カラム(米国ニュージャージー州ピスカタウェイ、アマーシャム・ファルマシア・バイオテック社)又はQIAEX II ゲル・エクストラクション・キット(ドイツ、ヒルデン、キアジェン社)で精製した。各実験毎に、各VH及びVL領域のうちでFR1又はリーダ・プライマを用いて個別に増幅された2つのPCR産物を、pGEMT-ベクタ・システムI(プロメガ社)でメーカのプロトコルに従ってクローニングした。
E. coli DH5αへの形質転換後、個々のコロニを、T7 及びSP6 プライマを用いた30 サイクル、55℃でのコロニPCRによりスクリーニングした。各個々のコロニ由来のプラスミドDNAをQiaprep スピン・ミニプレップ・キット(キアジェン社)を用いて精製した。更に分析するためにNco1/Not1 (英国バイオラブズ社及びロシュ・ダイアグノスティックス社)消化を行い、アガロース・ゲル上で分析した。
配列決定
pGEMT-ベクタ・システムIでのクローニング後、該V領域を配列決定した。T7 及びSp6 プライマ (ベルギー、リュイック、ユーロジェンテック社)を、配列キット: ABI プリズムBigDyeターミネータ・サイクル配列決定レディ・リアクション・キット(英国ウォリントン、アプライド・バイオシステムズ社)にプロトコル通りに組み合わせて用いた。反応は、ABI プリズム 377 シーケンサ(PEアプライド・バイオシステムズ社)で行わせ、当該配列を、プログラムDNAStar、SeqmanIIで解析した。次にその配列を生殖細胞系V-遺伝子配列にVBASE(www.mrc-cpe.cam.ac.uk/imt-doc/public/intro.htm)でアライメントした。
146BのV H 及びV L 領域のクローニング及び配列決定
ハイブリドーマ146B7由来のVH及びVL領域をPCRにより増幅し、pGEMT-ベクタ・システムI内にクローニングして、そのcDNA配列を決定した。当該ヌクレオチドと、その対応するアミノ酸配列を、それぞれ図2(配列番号1及び2)及び図3(配列番号3及び4)に示す。当該のフレームワーク(FR)及び相補性決定領域(CDR)も示されている。Vbaseでのアライメントに基づく146B7のVH領域の生殖細胞系ファミリ:VH5-51 (VH5-サブグループ)、D2-15/D2(DH-セグメント)、JH4b (JH-セグメント)。 Vbaseでのアライメントに基づく146B7のVL領域の生殖細胞系ファミリ:A27(VKIII-サブグループ)及びJK2(JK-セグメント)。VH及びVLドメインに関するより多くの情報は、Kabatデータベースhttp://immuno.bme.nwu.edu/
もしくは http://www.Vbase.com.に示されている。
実施例6 146B7の親和性結合特徴
146B7の親和性を、表面プラズモン共鳴法(SPR)技術により、BIACORE 3000装置を用いて分析して、生体分子タンパク質相互作用を以下の手法に従って判定した。生体分子の結合により起きる表面層上のSPRシグナルの変化を検出し、この表面層での質量濃度の変化を表す。親和性は、以下の定義を用いて表される:ka=結合速度定数(M-1sec-1);kd=解離速度定数(sec-1);KA=結合平衡定数=ka/kd(M-1);及びKD=解離平衡定数=kd/ka(M)。
様々な手法を行って、ヒトIL-15(hIL-15)に対する146B7の親和性を得た。二社の異なる供給業者(米国シアトル、イムネックス社及び米国ニュージャージー州ロッキー・ヒル、ペプロテック社)からのヒト組換えIL-15をCM5センサ・チップに結合させた。このセンサ・チップに結合させた化合物をリガンドと定義する。他の実験では、146B7をリガンドとして用いた。
各動態分析では、当該分析物である146B7、又はこのリガンドに適合させたhIL-15の該センサ・チップへの結合を、基準コントロールCM5センサ・チップへの結合と比較した。分析物の連続希釈液を検査した(0、3.125、6.25、12.5、25、50μg/ml)。結合及び解離曲線を、ラングミュア・モデル1:1での単量体相互作用に整合させてka及びkdを判定し、KA及びKDを計算した。データは全て、BIA-エバリュエーション・ヴァージョン3.1を用いて分析された。二価の相互作用にはモデル「二価分析物」を用いた。分析はすべて、流動的な基線について補正された。
146B7の抗体親和性を判定するために、抗体146B7の親和性を、2つの異なる供給業者、イムネックス社及びペプロテック社から得たヒト組換えIL-15について、BIACORE 3000を用いて測定した。146B7をリガンドとし、そしてhIL-15を分析物として用いて、この一価の相互作用を判定した(曲線整合 ラングミュア1:1)。
IL-15(イムネックス社)に対する146B7の親和性を以下の通りに測定した:
結合速度定数ka: 1.07 (± 0.17) ´ 105 M-1 sec-1
解離速度定数kd: 6.56 (± 0.09) ´ 10-3 sec-1
結合平衡定数KA: 1.55 (± 0.21) ´ 107 M-1
解離平衡定数KD: 6.59 (± 0.88) ´ 10-8 M
146B7の親和力を判定するためには、IL-15(イムネックス社)をリガンドとし、そして146B7を分析物として用いた。得られたデータをラングミュア(1:1)曲線整合を用いて分析すると、当該抗体の二価相互作用が表され、当該抗体の親和力が判定された。
IL-15(イムネックス社)に対する146B7の親和力を以下の通りに測定した:
結合速度定数ka: 7.30 (± 0.81) ´ 105 M-1 sec-1
解離速度定数kd: 1.45 (± 2.05) ´ 10-3 sec-1
結合平衡定数KA: 5.03 (± 3.40) ´ 108 M-1
解離平衡定数KD: 1.55 (± 1.24) ´ 10-9 M
ペプロテック社から得たIL-15に対する146B7の親和性及び親和力も判定した。2つの異なる供給業者から得たIL-15に親和性又は親和力で大きな違いは見られなかった。
完全ヒト抗IL-15抗体によるCTLL-2細胞及びPBMCのヒトインターロイキン-15(hIL-15)誘導性増殖の阻害に関して下の実施例で解説するように、146B7は、[3H]-チミジン取り込みで測定されたように、IL-15誘導性増殖を用量依存的に阻害した。これらの増殖阻害実験で、親和性を判定するためにより機能的方法である50%阻害時の濃度であるIC50は、3.1±0.91nMと計算された。このIC50は、146B7をリガンドとし、組換えヒトIL-15を分析物として用いた BIACORE 3000 (KD 1.5 nM)で測定される親和力と一致し、ここで得られた親和性及び親和力測定値を裏付けた。
実施例7 完全ヒト抗IL-15抗体によるhIL-15誘導性TNF-α産生の阻害
完全ヒト抗IL-15抗体、146B7、146H5、404E4 及び404A8のIL-15誘導性TNF-α産生に対する効果を、健康なボランティアを由来とする末梢血由来単核細胞(PBMC)を用いて、以下の手法を用いて研究した。IL-15に対する特異性を評価するために、これらの抗体のIL-2媒介性TNF-α産生に対する効果も調べた。
細胞培養
培養物を2 mM L-グルタミン、100 IU/ml ペニシリン、100μg/ml ストレプトマイシン(全て、スコットランド、ペーズリー、ライフ・テクノロジーズ社から得た)及び10% 熱不活化ウシ胎児血清(米国ユタ州、ハイクローン社)を加えたRPMI-1640中に維持した。
末梢血単核細胞(PBMC)の精製
新鮮なヒト血液を、インフォームド・コンセント後に健康なボランティアから採取し、凝固を防ぐためにヘパリンを加えた。PBMCの精製を、フィッコール(スウェーデン、ウプサラ、ファルマシア社)を用いた密度勾配遠心分離により行った。
検査化合物
HIL-15、ロット番号:6870-011、米国ワシントン州シアトル、イムネックス社。
hIL-2、オランダ、アムステルダム、キロン・ベネルクス社。
用いた完全ヒト抗体:146B7 (バッチ:070101)及び146B7RDJW07、404A8 (バッチ:030101)及び404E4 (バッチ:080101)及びアイソタイプ・コントロール抗体としてT1 (97-2B11-2B12、バッチ:190900)。
PBMCのヒトIL-15(hIL-15)又はhIL-2誘導性TNF-α産生の抗IL-15抗体による阻害
PBMCを、hIL-2又はhIL-15の存在下又は非存在下で、そして抗IL-15抗体有りで、又は無しで、1ウェル当たり1.5×105個の細胞になるように96ウェル平底プレートに三重又は四重にして培養した。アイソタイプ・コントロール抗体(T1)を陰性コントロールとして含めた。コンカナバリンA (2.5μg/ml、カルバイオケム社)を増殖の陽性コントロールとして加えた。細胞を72時間、37℃及び5% CO2下でインキュベートした。上清を採集して、ヒトTNF-αの量をELISA(オランダ、ユトレヒト、U-CyTech社)で定量した。
146B7及びアイソタイプ・コントロール抗体の、PBMCによるIL-15媒介性TNF-α産生に対する効果を検査した。146B7はhIL-15媒介性TNF-α産生を用量依存的に阻害したが、他方、アイソタイプ・コントロール抗体は、hIL-15誘導性TNF-α産生を阻害しなかった(図4)。2人の健康なボランティアのデータを示す。404E4及び404A8はhIL-15誘導性TNF-α産生を阻害することができなかった。
抗IL-15抗体の特異性を確認するために、それらのhIL-2媒介性TNF-α産生に対する効果を評価した。IL-2媒介性TNF-α産生の阻害は、146B7によっては誘導されなかった(図5)。404E4 又は404A8 のいずれでも、hIL-2媒介性TNF-α産生に用量依存的な阻害は見られなかった。
hIL-15媒介性TNF-α産生の用量依存的な阻害は、146B7によってのみ見られ、404E4 及び404A8では見られなかった。この阻害効果はhIL-15に特異的だった;IL-2媒介性TNF-α産生は阻害されなかった。
実施例8 CTLL-2細胞及びPBMCのヒトインターロイキン-15(hIL-15)誘導性増殖の完全ヒト抗IL-15抗体による阻害
抗体146B7、146H5、404E4及び404A8をそれらのT細胞増殖阻害能について、CTLL-2細胞(Gillis et al.,
1978)及び末梢血単核細胞(PBMC)を用いて、以下の手法を用いて検査した。
細胞培養
培養物を、2 mM L-グルタミン、100 IU/ml ペニシリン、100μg/ml ストレプトマイシン(スコットランド、ペーズリー、ライフ・テクノロジーズ社から得た)及び10% 熱不活化ウシ胎児血清(米国ユタ州、ハイクローン社)を加えたRPMI-1640中に維持した。CTLL-2細胞(Gillis et al.,
1978)を36 単位 hIL-2/ml (オランダ、アムステルダム、キロン・ベネルクス社)を加えた上述の培地に維持し、hIL-2 を3乃至4日間枯渇させてから、実験を開始した。使用前にCTLL-2細胞を3回、洗浄した。
末梢血単核細胞(PBMC)の精製
新鮮なヒト血液を健康なボランティアからインフォームド・コンセント後に採取し、凝固を防ぐためにヘパリンを加えた。PBMCの精製をフィッコール(スウェーデン、ウプサラ、ファルマシア社)を用いた密度勾配遠心分離により行った。
検査化合物
HIL-15、ロット番号:6870-011、米国ワシントン州シアトル、イムネックス社。
hIL-2、オランダ、アムステルダム、キロン・ベネルクス社。
図6に示されたこの報告においてCTLL-2検定に用いられた抗IL-15抗体:146B7、146H5、404A8、404E4。
PBMC検定に用いられた抗IL-15抗体:146B7 (バッチ:070101)、404A8 (バッチ:030101)及び404E4 (バッチ:080101)。
ヒトIL-15(hIL-15)又はhIL-2誘導性CTLL-2増殖の抗IL-15抗体による阻害
各実験において、細胞を三重にして96ウェル・プレートに、hIL-2又はhIL-15の存在下又は非存在下で1ウェル当たり5×103個の細胞になるように接種した。増殖に対するその効果を評価するために、4つの抗IL-15抗体のそれぞれを加えた。細胞を16時間、37℃及び5% CO2下でインキュベートした。[3H]チミジン(1μCi/ウェル、 英国バッキンハムシャイア、リトル・チャルフォント、アマーシャム・ライフ・サイエンセズ社)を加えて4時間してから採集した(米国コネチカット州オレンジ、トムテック、Harvester 96 Mach
II M)。
図6に示すように、CTLL-2細胞のIL-15誘導性増殖は、[3H]チミジン取り込み減少に反映されたように、146B7及び146H5 により用量依存的に減少した。404E4及び404A8は両者とも、CTLL-2細胞のIL-15誘導性増殖を遮断することはできなかった。
hIL-15(hIL-15)又はhIL-2 誘導性PBMC増殖の抗IL-15抗体による阻害
PBMCを三重にして96ウェルU底プレート(デンマーク、ナルジ・ナンク・インターナショナル、Nunc社)に、1ウェル当たり5×104個の細胞になるようにhIL-2 又はhIL-15及び本抗IL-15抗体の存在下又は非存在下で培養した。コンカナバリンA(2.5μg/ml、カルバイオケム社)を増殖の陽性コントロールとして加えた。この細胞を72時間、37℃及び5% CO2下でインキュベートした。[3H]チミジン(1μCi/ウェル、米国バッキンハムシャイア、リトル・チャルフォント、アマーシャム・ライフ・サイエンセズ社)を加えてから16時間後に採集した(米国コネチカット州オレンジ、トムテック、(Harvester 96)。
146B7 は、IL-15誘導性[3H]チミジン取り込みを用量依存的に阻害することができ、従って、増殖を阻害した(IC50=3.1±0.91 nM)(図7)。404E4 及び404A8は両者とも、hIL-15誘導性PBMC 増殖を遮断することができなかった(図8−9)。146H5 は、前に行われた実験で得られたデータに基づき、検査されなかった。
146B7、404E4 及び404A8 のIL-15に対する特異性を確認するために、これらの抗体を、IL-2媒介性増殖に対するそれらの効果についても評価した。検査された抗IL-15抗体のいずれも、IL-2誘導性増殖に対して効果を示さなかった(図7−9)。
実施例9 ヒト抗IL-15抗体146B7は、ヒトPBMC上に存在するヒトIL-15に結合する
検査化合物
ヒトPBMCを健康なボランティアからインフォームド・コンセント後に得た。
抗体146B7(バッチ番号 MDX015)、米国ニュージャージー州アナンデール、メダレックス社)。
146B7及びヒトIgGのビオチン化
N-ヒドロキシスクシンイミド-ビオチン(シグマ社)をまず、 DMSO(最終希釈度:100 mg/ml)中に、そして次に 0.1 M NaHCO3(最終希釈度:1 mg/ml、シグマ社)中に希釈した。(1ml中に希釈して)抗体1mg当たり、600μlのビオチン溶液を加えた(暗室、2時間、室温)。抗体-ビオチン溶液をスライド-a-ライザTM透析カセット(10,000 MWCO、オランダ、ピアス、ペルビオ・サイエンス社)(4℃で一晩)で透析して未標識のビオチンを取り除いた。翌日、 ビオチン化した抗体の濃度を分光測光法(Ultrospec 2100pro)でOD 280nmで判定した。
末梢血の刺激
IL-15を誘導するために、血液を静脈穿刺により健康なボランティアから得た。PBMCを、ペニシリン(5 U/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)、L-グルタミン(2mM)(バイオホイッテカー・ヨーロッパ社)、及び10% ウシ胎児血清(ウィセント社、オプチマムC241、マルチセル)を添加したRPMI 1640(バイオホイッテカー・ヨーロッパ社) 中で最大2日間(37℃)、培養し、 500 U/ml IFNγ(ベーリンガー・インゲルハイム社)で刺激した。
フローサイトメトリ
細胞を、ペニシリン (5 U/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)、L-グルタミン(2mM)(バイオホイッテカー・ヨーロッパ社)及び10% ウシ胎児血清(ウィセント社、オプティマム C241、マルチセル)を添加したRPMI 1640(バイオホイッテカー・ヨーロッパ社)に入れた10% ヒトAB血清(オランダ、アムステルダム、CLB社)と一緒にプレインキュベートした。透過性にし(カリフォルニア州サンディエゴ、ベクトン・ディッキンソン社、Cytofix/CytopermTMキット中で4℃で20分間)、Perm/WashTM緩衝液(Cytofix/CytopermTMキット)での洗浄後、PBMCにフローサイトメトリによりIL-15の染色を行った。継続的な透過性は、染色法全体を通じてPerm/WashTM緩衝液(Cytofix/CytopermTMキット)を用いることにより達成された。細胞をビオチン化146B7又はビオチン化hIgG1 (20μg/ml、30分間、4℃)と一緒にインキュベートし、Perm/WashTM緩衝液で洗浄した後、細胞をストレプトアビジン-フィコエリトリン(DAKO社)と一緒に30分間(4℃)、インキュベートした。フローサイトメトリ(ベクトン・ディッキンソン社、FACS Calibur)及び単球上の通門機序による分析後、1試料当たり少なくとも5000個の細胞の蛍光強度を、CellQuest Pro ソフトウェアを用いて判定した。データは、以下の通りに計算される刺激指数(S.I.)を示す:S.I. = (平均蛍光陽性染色)/(平均蛍光バックグラウンド染色)
免疫細胞化学
ヒト単球に存在するIL-15を検出するために、サイトスピン製剤を全血試料から作製した。5×104個の細胞(200μl)をSuperfrost(R)-プラス顕微鏡スライド(メンゼル社)上に遠心した後、スライドを空気乾燥(<60分間)させ、2% パラホルムアルデヒド/PBS (8分間、4℃)で固定し、PBSで洗浄し、再度、空気乾燥させた。染色前にサイトスピン製剤をPBS(+0.1% サポニン;PBSS)で透過性にし、その後これを染色法全般に用いた。内因性のペルオキシダーゼ活性を遮断するために、サイトスピン製剤を、クエン酸/リン酸緩衝液(pH5.8、20分間、室温)に希釈した0.05%(v/v)過酸化水素(H2O2)と一緒にインキュベートした。PBSSで洗浄後、内因性のビオチン活性をメーカの指示(ビオチン・ブロッキング・キット、ベクター・ラブ、DAKO社)に従って遮断した。PBSSでの洗浄後、サイトスピン製剤を10% (v/v) ヒト・プールAB-血清(オランダ、アムステルダム、CLB社)(30分間)のPBSS溶液と一緒にインキュベートすることにより、非特異的結合部位を遮断した。その後、サイトスピン製剤をビオチン化一次抗体と一緒にインキュベート(60分間、室温)し、PBSSでの洗浄後、ビオチン化西洋わさびペルオキシダーゼと複合体形成させたストレプトアビジン(DAKO社、streptABComplex/HRP、;2% ヒトAB 血清を含有するPBSSに1:100;30分間、室温)と一緒にインキュベートした。PBSSでの洗浄後、このサイトスピン製剤を、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(0.5 mg/ml)及びH2O2(0.01%)の酢酸ナトリウム緩衝液(50 mM、pH 4.9)溶液 と一緒に10分間(室温)、インキュベートして、HRP活性の検出に向けた。サイトスピンを、流れる水道水で5分間洗浄し、ヘマトキシリン(DAKO社)で1分間、対比染色し、流れる水道水で更に5分間、洗浄し、ファラマウント又はグリセルゲル(DAKO社)に包埋した。
フローサイトメトリ
146B7のIFNγ被刺激ヒト単球への結合を図10に示す。ビオチン化146B7は未刺激の単球に結合することから、未刺激細胞にIL-15が存在することが分かる。単球をIFNγで刺激すると、146B7の該細胞への結合が増加し、最大には培養1日目で達する。コントロール抗体であるhIgG1は、未刺激単球への結合をほとんど示さない。IFNγで刺激すると、hIgG1の結合が、単球上のFcγ受容体の発現増加を介して増す。
免疫細胞化学
図11は、ヒト単球の146B7による、又はコントロール抗体であるhIgG1による染色を示す。細胞質のはっきりとした赤色の染色が、細胞を146B7と一緒にインキュベートした後に観察されるが、コントロール抗体とインキュベートした後では観察されない。従って、146B7は単球においてhIL-15に結合するが、この結合は、IFNγによる刺激後に上方調節される。図11はまた、IL-15染色が主に細胞内で起きることも示す。
実施例10 ヒト抗IL-15抗体146B7は、免疫組織化学により組織中のIL-15に結合する
検査化合物
ヒト乾癬皮膚 − 組織試料をインフォームド・コンセント後に得た。デンマーク、コペンハーゲン、ゲントフテ大学病院、皮膚科、ルイス・ヴィラッセン。
抗体146B7(バッチ番号MDX015)、米国ニュージャージー州アナンデール、メダレックス社。
146B7及びヒトIgGのビオチン化
N-ヒドロキシスクシンイミド-ビオチン(シグマ社)をまずDMSO(最終希釈度:100 mg/ml)に、そして次に0.1 M NaHCO3(最終希釈度:1 mg/ml、シグマ社)に希釈した。(1mlに希釈して)抗体1mg当たり、600μlのビオチン溶液を加えた(暗室、2時間、室温)。抗体−ビオチン溶液をスライド-a-ライザTM透析カセット(10,000 MWCO、オランダ、ペルビオ・サイエンス、ピアース社)(ON、4℃)で透析して未標識のビオチンを取り除いた。翌日、ビオチン化抗体の濃度を分光測光法(Ultrospec 2100pro)でOD280で判定した。
免疫組織化学
組織を−80℃で検定まで保存した。解凍後、組織切片をアセトン中に固定し(10分間、室温)、空気乾燥させた。内因性ペルオキシダーゼ活性を遮断するために、切片をクエン酸/リン酸緩衝液(pH5.8、20分間、室温)に希釈した0.05% (v/v)過酸化水素(H2O2)と一緒にインキュベートした。PBS-Tween 20 (PBST、0.05% v/v)で洗浄後、内因性ビオチン活性をメーカの指示に従って遮断した(ビオチン・ブロッキング・キット、ベクタ・ラブ、DAKO社)。PBSTで洗浄した後、組織切片を、PBSTに入れた10% (v/v) ヒト・プールAB-血清(オランダ、アムステルダム、CLB社)と一緒にインキュベート(30分間)することにより、非特異的結合部位を遮断した。血清をブロット・オフした後、切片を2% ヒトAB 血清を含有するPBSに希釈したビオチン化一次抗体(146B7又はhIgG1)と一緒に60分間(室温)、インキュベートした。切片をPBSTで洗浄した。PBSTでの洗浄後、全ての組織切片をstreptABComplex/HRP
(DAKO社;2% ヒトAB血清を含有するPBSに1:100に希釈;30分間、室温)と一緒にインキュベートした。PBSTで洗浄後、該切片を3-アミノ-9-エチルカルバゾール(0.5 mg/ml)及びH2O2(0.01%)の酢酸ナトリウム緩衝液(50 mM、pH 4.9)溶液と一緒に10分間(室温)、インキュベートして、HRP活性の検出に向けた。切片を流れる水道水で5分間、洗浄し、ヘマトキシリン(DAKO)社で1分間、対比染色し、流れる水道水で更に5分間、洗浄し、最後にファラマウント又はグリセルゲル(DAKO)中に包埋した。
結果
乾癬皮膚中のケラチノサイトの明確な細胞質染色が、組織切片を146B7で染色後に観察されたが、コントロール抗体で染色した場合には観察されなかった(図12;146B7は乾癬プラークから得られたIL-15陽性ケラチノサイトを染色する)。
実施例11 ヒト抗IL-15抗体146B7はSCIDマウス−ヒト組織キメラでIL-15を遮断する:関節炎及び乾癬組織の両方で炎症の著しい阻害
検査化合物
滑膜組織 − 若年性リウマチ様関節炎患者からインフォームド・コンセント後に得た。米国オハイオ州シンシナチ、チルドレンズ・ホスピタル・メディカル・センター、小児リウマチ科、アレクセイ・グロム。
角膜切開片生検 − 組織試料をインフォームド・コンセント後に得た。デンマーク、コペンハーゲン、ゲントフテ大学病院、皮膚科、ルイス・ヴィラッセン。
乾癬実験には米国ニュージャージー州アナンデール、メダレックス社の抗体146B7(バッチ番号MDX015)。
リウマチ様関節炎実験には米国ニュージャージー州アナンデール、メダレックス社の抗体146B7(バッチ番号15-00RDJW07)。
SCIDマウス −ヒト滑膜組織キメラ− においてIL-15を遮断する
新鮮な滑膜組織試料を若年性リウマチ様関節炎患者から関節置換術後に得た。試料は無菌条件下で採集された。全滑膜組織試料を刻んだ組織断片を完全に混合して、各プレパラートが確実に均質になるようにした。刻んだ組織を(動物1匹当たり2乃至4移植片;1部位当たり100mg)をSCID/NOD マウス(ジャクソン・ラボラトリーズ社)の背中の皮下に植え付けた。各動物に146B7 (500μg、腹腔内)又はPBSを移植片移植の日と、移植後7日目、14日目、及び21日目に投与した。動物を移植後28日目にと殺した。滑膜移植片を切除し、H&E染色に向けてホルマリン上に置いた。
SCIDマウス −ヒト滑膜組織キメラ− 由来の組織のH&E染色の定量(Lehr et al., J. Histochem. Cytochem. 1997, 45, 1559から変更)
SCIDマウス −ヒト滑膜組織キメラ− から得られた切片のデジタル画像(2600×2060、jpg)を10倍対物レンズ(ツァイス顕微鏡;アキシオヴィジョン・ソフトウェア)を用いて得た後、データを、フォトショップ、バージョン6.0 (カリフォルニア州マウンテン・ビュー、Adobe システムズ)を用いてコンピュータ解析し、1300×1300ピクセルに縮小した。各切片内から6つの10倍野を選び出して、全スライド上の組織の全体的染色を最も良好に反映するようにした。染色した核の全てを(許容度10で暗い核上にマジック・ワンドを置いて)選択した後、選択された区域の光学密度表を作成し、平均染色強度を記録した(同様な/画像ヒストグラム・コマンドを選択後)。次に、バックグラウンドを選択し、染色を定量した許容度10でバックグランド上にマジック・ワンドを置いて)。染色強度は、核の染色とバックグラウンドの染色との間の差として計算された。これは任意の単位で細胞化学指数と指定された。データを平均及びs.e.m.として示す。データはステューデントのt検定で解析された。
SCIDマウス −ヒト乾癬組織キメラ− 中のIL-15を遮断する
2人の患者の乾癬プラークから角膜生検を得、分割し、C.B-17 SCID (ジャクソン・ラボラトリーズ社)マウスに移植した。移植から3週間後にマウスにPBS(プラセボ)、CsA (シクロスポリンA)(サンドス社)を1日置きに15日間、10 mg/kg の用量、又は、146B7を1日目に20 mg/kgの用量、そして8日目及び15日目に10 mg/kgの用量、投与した。最後の注射から1週間後にマウスをと殺し、4 mmの穿孔生検を各異種移植片から採取した。生検をホルマリンに固定してパラフィン包埋し、H&E(図15)で染色し、そして Ki-67核内抗原について(図16)染色した。
SCIDマウス −ヒト乾癬組織キメラ− 由来の組織の免疫組織化学染色の定量
H&E染色切片を、上側真皮の上皮厚さ(μm)、錯角化の等級(0から3までに格付け)及び炎症性単核細胞数について評価した。Ki-67に関して染色された切片は、血中ケラチノサイト/mm2切片の数について評価された。各処理群の4匹のマウスの平均値を計算し、各患者から採ったデータを平均及びs.e.m.として要約した。
SCID/RAモデル
切片の顕微鏡観察により、最も暗く染色された核は、浸潤細胞のものであることが分かった。従って、(相対的表面積として測定された)核の数は、浸潤の尺度と考えられる。146B7を注射すると、賦形剤処理に比較して、炎症滑膜組織への浸潤細胞の数が減少する(図13a、p<0.05)。図13B及び13Cは、異種移植された滑膜組織への細胞浸潤に対する146B7の効果(図13C)を示し、賦形剤処理に比較したときの、暗い核を持つ細胞数の減少を示している(図13B)。
SCID/乾癬モデル
図14は、146B7で処理された又はコントロール処理されたSCID/乾癬マウスを示す。賦形剤PBSに比較して、146B7を注射すると、角質層から釘脚の始まりまで測定した場合の上皮厚さで評価される乾癬の重篤度が減少した(図14A)PBS(177.8±42.2μm)、CsA (91.0±15.2μm)、146B7 (62.5±9.1μm)。厚さの減少は、角質層から釘脚の最深部まで測定した場合でも観察された(図14B):PBS (433.8±32.1μm)、CsA(303.8±62.9μm)及び146B7(208.0±33.8μm)。更に、錯角化の等級も146B7処理により減少した(図14C):PBS (1.6±0.4)、CsA (1.3±0.3)、146B7(0.5±0.3)。更に、146B7 は、上側真皮中の炎症性単核細胞の数を減少させる(図14D):PBS (33.3±1.9単核細胞)、CsA (19.4±8.5)、146B7 (16.4±0.1)。ヒトKi-67タンパク質の発現は細胞増殖と密に関係している。中間期の間は、該抗原は核内でのみ検出することができるが、***中は該タンパク質の大半は染色体表面に移動している。Ki-67タンパク質が細胞周期の活動期全て(G(1)、S、G(2)、及び***期)に存在しているが、休止期(G(0)期)細胞には存在していないという事実をもとにすると、それは、ある細胞集団のうちの所謂成長群を判定するための優れたマーカということになる。146B7 はKi-67+血中ケラチノサイトの数を減らす(図14E):PBS (247.9±77.0)、CsA (116.0±24.1)、146B7(73.8±9.9)。
146B7で処理すると、リウマチ様関節炎のヒトSCIDモデルにおける炎症組織への炎症性細胞の浸潤が阻害された。更に、ヒト乾癬プラークが移植されたSCIDマウスでは、146B7による処理により、CsAでの処理に比較して乾癬の重篤度が減少した。実際、146B7による処理の結果、ヒト/SCIDマウスにおいて炎症、上皮の厚さ、***ケラチノサイトの数、及び錯角化の重篤度に大きな減少があった。
実施例12 ヒト抗IL-15抗体146B7は受容体結合型IL-15を認識する
検査化合物
hIgG1 - ヒト・コントロール抗体(シグマ社)。
抗体146B7 − 米国ニュージャージー州アナンデール、メダレックス社、MDX015。
IL-15Rαを構成的に発現しているRaji細胞(英国サザンプトン、サザンプトン・ゼネラル病院、テノバス・リサーチ・ラボラトリ、マーチン・グレニー)。
146B7及びヒトIgGのビオチン化
N-ヒドロキシスクシンイミド-ビオチン(シグマ社)をまず、DMSO (最終希釈度:100 mg/ml) に、そして次に0.1 M NaHCO3(最終希釈度:1 mg/ml、シグマ社)に希釈した。(1mlに希釈した)抗体1mg当たり、600μlのビオチン溶液を加えた(暗室、2時間、室温)。抗体−ビオチン溶液をスライド-a-ライザTM透析カセット(10,000 MWCO、オランダ、ペルビオ・サイエンス、ピアース社)(4℃で一晩)で透析して未標識のビオチンを取り除いた。翌日、ビオチン化抗体の濃度を分光測光法(Ultrospec 2100pro)でOD 280nmで判定した。
ELISAによる146B7のIL-15−IL-15Rα複合体への結合
平底微量定量プレート(グライナ社)をIL-15Rα(米国ミネソタ州ミネアポリス、R&Sシステムズ社)で(室温で一晩)被覆した後、プレートをPBS及びニワトリ血清と一緒にインキュベートした(2%、室温、60分間)。PBS (+0.05% Tween 20:
PBST)で洗浄した後、プレートを未標識のIL-15(50μl、室温、米国シアトル、イムネックス社)の数種の希釈液と一緒にインキュベートした。10分後、ビオチン化抗体を様々な濃度でこのウェル(50μl)に加えた(室温で90分間)。PBSTで洗浄後、プレートを、PBST-C(PBST及び2%のニワトリ血清)に1:10,000に希釈したストレプトアビジン-ポリ-西洋わさびペルオキシダーゼ(オランダ、アムステルダム、CLB社)と一緒に(室温で60分間)、インキュベートした。最後に、プレートを洗浄した後、ABTS(アジノビス-3-エチルベンズチアゾリン-スルホン酸、ドイツ、マンハイム、ロシュ・ダイアグノスティックス社)のABTS緩衝液溶液と一緒にメーカのプロトコルに従ってインキュベートした。呈色反応を2% シュウ酸(50μl)で停止させた。結合を405 nmでEL808 ELISA-リーダ(米国ヴァーモント州、ウィヌースキ、バイオ-テック・インスツルメンツ社)で評価した。
Raji細胞上のIL-15−IL-15R複合体への146B7の結合
Raji細胞を10% ヒト・プールAB 血清(オランダ、アムステルダム、CLB社)のFACS緩衝液(PBS、0.05%BSA、0.02% NaNO3)溶液と一緒にプレインキュベートする(4℃で20分間)。Raji細胞(1-2105個の細胞/ml)を ウェルに入れ、50μlの未標識のIL-15を数種の濃度で(10%のヒトAB血清を加えたFACS緩衝液に希釈して)加えた。この細胞を30分間(4℃)、インキュベートし、FACS緩衝液で2回、洗浄後、50μlのビオチン化抗体(146B7又はhIgG1)をウェルに加えた(4℃で30分間)。FACS緩衝液で2回、洗浄後、50μlのストレプトアビジン-フィコエリトリンを各ウェルに加えた(4℃で30分間)。FACS緩衝液で2回、洗浄後、細胞を200μlのFACS緩衝液中に採り、1試料当たり少なくとも5000個の細胞の蛍光強度をフローサイトメトリ(ベクトン・ディッキンソン社、FACS Calibur)による分析後にCellQuestソフトウェアを用いて判定した。データは、以下の通りに計算される刺激指数(S.I.)を示す:
S.I. =(平均蛍光陽性染色)/(平均蛍光バックグラウンド染色)
ELISA
ELISAにおける146B7のIL-15/IL-15R複合体への結合を図17に示す。146B7の結合は、その受容体に結合しているIL-15の濃度が高くなるにつれ、増加する。コントロール抗体のIL-15への又はIL-15Rへの結合の効果は何ら観察されなかった。
IL-15R発現Raji細胞への結合
146B7の、Raji細胞上のIL-15/IL-15R複合体への結合を図18に示す。146B7はIL-15/IL-15R複合体に用量依存的に結合する。hIgG1の、Raji細胞上のIL-15/IL-15R 複合体への結合は何ら観察されなかった(図18)。
146B7 は、IL-15に、このサイトカインのその受容体への結合後に結合することができる。146B7 は、IL-15上のうちで、該受容体への結合に関与しないエピトープに結合する。
参考文献
Bathon J. M.,
Martin R. W., Fleischmann R. M., Tesser J. R., Schiff M. H., Keystone E. C.,
Genovese M. C., Wasko M. C., Moreland L. W., Weaver A. L., Markenson J. and
Finck B. K. (2000) A comparison of etanercept and methotrexate in patients with
early rheumatoid arthritis. N Engl
J Med 343, 1586-93.
Fehniger T.A. and Caligiuri
M.A. (2001)
Interleukin 15: biology and relevance to human disease. Blood 97: 14-28.
Fishwild D.M., O’Donnell S.L.,
Bengoechea T., Hudson D.V., Harding F., Bernhard S.L., Jones D., Kay R.M.,
Higgins K.M., Schramm S.R. and Lonberg N. (1996) High-avidity human IgGk
monoclonal antibodies from a novel strain of minilocus transgenic mice. Nature
biotechn. 14: 845-51.
Gillis S., Ferm M.
M., Ou W. and Smith K. A. (1978) T cell growth factor: parameters of production
and a quantitative microassay for activity. J Immunol 120, 2027-32.
Kennedy M.K., et
al. (2000) Reversible defects in
natural killer and memory CD8 T cell lineages in IL-15 deficient mice. J.
Exp. Med.
191: 771-80
Kirman I.,
Vainer B. and Nielsen O. H. (1998) Interleukin-15 and its role in chronic
inflammatory diseases. Inflamm Res 47, 285-9.
Klippel
J. H.
(2000) Biologic therapy for rheumatoid arthritis. N Engl
J Med 343, 1640-1.
Kohler G. and
Milstein C. (1975) Continuous cultures of fused cells secreting antibody of
predefined specificity. Nature 256: 495-7.
Liu
C. C., Perussia
B. and Young J. D. (2000) The
emerging role of IL-15 in NK-cell development. Immunol Today 21, 113-6.
Lovell D. J.,
Giannini E. H., Reiff A., Cawkwell G. D., Silverman E. D., Nocton J. J., Stein
L. D., Gedalia A., Ilowite N. T., Wallace C. A., Whitmore J. and Finck B. K.
(2000) Etanercept in children with polyarticular juvenile rheumatoid arthritis.
Pediatric Rheumatology Collaborative Study Group. N Engl
J Med 342, 763-9.
Maini
R. N. and
Taylor P.
C. (2000) Anti-cytokine therapy for
rheumatoid arthritis. Annu Rev Med 51, 207-29.
McInnes I. B.,
al-Mughales J., Field M., Leung B. P., Huang F. P., Dixon R., Sturrock R. D.,
Wilkinson P. C. and Liew F. Y. (1996) The role of interleukin-15 in T-cell
migration and activation in rheumatoid arthritis. Nat Med 2, 175-82.
McInnes I. B.,
Leung B. P., Sturrock R. D., Field M. and Liew F. Y. (1997) Interleukin-15
mediates T cell-dependent regulation of tumor necrosis factor-alpha production
in rheumatoid arthritis. Nat Med 3, 189-95.
McInnes I. B. and Liew
F. Y.
(1998) Interleukin 15: a proinflammatory role in rheumatoid arthritis
synovitis. Immunol Today 19, 75-9.
Oppenheimer-Marks,
et al. (1997) J. Clin. Investig. 101:1261-72.
Pettit D. K., Bonnert
T. P., Eisenman J., Srinivasan S., Paxton R., Beers C., Lynch D., Miller B., Yost
J., Grabstein K. H. and Gombotz W. R. (1997) Structure-function studies of
interleukin 15 using site-specific mutagenesis, polyethylene glycol
conjugation, and homology modeling. J Biol
Chem 272, 2312-8.
Ruchatz, et al.
(1998) J. Immunol. 160:5654-60.
Waldmann
T., Tagaya Y.
and Bamford R.
(1998) Interleukin-2, interleukin-15, and their receptors. Int Rev
Immunol 16, 205-26.
Waldmann
T. A., Dubois
S. and Tagaya
Y. (2001) Contrasting Roles of IL-2
and IL-15 in the Life and Death of Lymphocytes. Implications for Immunotherapy.
Immunity 14, 105-110.
Waldmann
T. A. and
Tagaya Y.
(1999) The multifaceted regulation of interleukin-15 expression and the
role of this cytokine in NK cell differentiation and host response to
intracellular pathogens. Annu Rev Immunol
17, 19-49.
均等物
当業者であれば、慣例的な実験を用いて、ここに解説した本発明の具体的な実施態様の均等物を数多く、認識し、又は確認できることであろう。このような均等物は以下の請求の範囲の包含するところと、意図されている。従属請求項に開示された実施態様のいかなる組合せも、本発明の範囲内にあると考えられる。
引用による援用
ここで言及された全公開文献、特許、及び係属中の特許出願の全文を、引用をもってここに援用することとする。
図1は、ヒトIL-15特異抗体146B7、147H5、404A8 及び404E4のヒトIL-15(hIL-15)及び変異型IL-15タンパク質Q108S 及びD8SQ108Sへの結合を示すグラフを含む。該抗体の連続希釈液を、それらのhIL-15又は変異型IL-15タンパク質D8SQ108S及びQ108S への結合についてELISAで調べた。 図2及び3は、抗体146B7のVH及びVL-領域のそれぞれアミノ酸(配列番号2及び4)及びヌクレオチド(配列番号1及び3)配列を示す。フレームワーク(FR)及び相補性決定領域(CDR)を示す。 図2及び3は、抗体146B7のVH及びVL-領域のそれぞれアミノ酸(配列番号2及び4)及びヌクレオチド(配列番号1及び3)配列を示す。フレームワーク(FR)及び相補性決定領域(CDR)を示す。 図4A−Dは、抗体146B7によるIL-15媒介性TNF-α放出の阻害を示すグラフを含む。ヒトPBMCを、146B7又はアイソタイプ・コントロール抗体(0.1、1、10μg/ml)を組み合わせたhIL-15 (0、50、100 ng/ml)と一緒に72時間、インキュベートした。産生したTNF-αの量をELISAで測定した。2人の健康なボランティアから採ったデータを示す。 図5は、抗体146B7のIL2もしくはIL-15媒介性TNF-α産生に対する効果を示すグラフである。ヒトPBMCを、146B7(0.1、1、10μg/ml)を組み合わせたhIL-15 (0、50、100 ng/ml)又はhIL-2(100 ng/ml)と一緒に72時間、インキュベートした。産生したTNF-αの量をELISAで測定した。 図6は、抗体146B7、146H5、404E4 及び404A8 のhIL-15誘導性CTLL-2増殖に対する阻害活性を示すグラフである。hIL-2を枯渇させたCTLL-2細胞を、146B7、146H5、404E4 及び404A8 の連続希釈液を組み合わせたhIL-15(60 pg/ml)と一緒に48時間、インキュベートした。増殖を表すために[3H]-チミジン 取り込みを測定した(cpm)。結果は平均値で表されている。 図7−9は、IL-15誘導性PBMC増殖に対する抗体146B7(図7)、404E4 (図8)及び404A8 (図9)の阻害活性を示すグラフを含む。ヒトPBMCを、0.1、1、10μ/mlの 146B7 (図7)、 404E4(図8)又は404A8 (図9)と組み合わせたhIL-15(0、25、100 ng/ml;それぞれ図7A、8A、及び9A)又はhIL-2(0、10、100 ng/ml;それぞれ図7B、8B、及び9B)と一緒に72時間、インキュベートした。増殖を表すために[3H]-チミジン取り込みを測定した(cpm)。 図7−9は、IL-15誘導性PBMC増殖に対する抗体146B7(図7)、404E4 (図8)及び404A8 (図9)の阻害活性を示すグラフを含む。ヒトPBMCを、0.1、1、10μ/mlの 146B7 (図7)、 404E4(図8)又は404A8 (図9)と組み合わせたhIL-15(0、25、100 ng/ml;それぞれ図7A、8A、及び9A)又はhIL-2(0、10、100 ng/ml;それぞれ図7B、8B、及び9B)と一緒に72時間、インキュベートした。増殖を表すために[3H]-チミジン取り込みを測定した(cpm)。 図7−9は、IL-15誘導性PBMC増殖に対する抗体146B7(図7)、404E4 (図8)及び404A8 (図9)の阻害活性を示すグラフを含む。ヒトPBMCを、0.1、1、10μ/mlの 146B7 (図7)、 404E4(図8)又は404A8 (図9)と組み合わせたhIL-15(0、25、100 ng/ml;それぞれ図7A、8A、及び9A)又はhIL-2(0、10、100 ng/ml;それぞれ図7B、8B、及び9B)と一緒に72時間、インキュベートした。増殖を表すために[3H]-チミジン取り込みを測定した(cpm)。 図10は、抗体146B7のIFNγ被刺激単球への結合を示すグラフである。ヒトPBMCをIFNγ(500 U/ml)の存在下で最長2日間、培養した(37℃)。 1試料当たり少なくとも5000個の細胞の蛍光強度を、フローサイトメトリ及び単球上の通門機序による分析後に判定した。データは、刺激指数(S.I.=平均蛍光陽性染色)/(平均蛍光バックグラウンド染色))を示す。 図11は、抗体146B7(パネルB)又はアイソタイプ・コントロール抗体(パネルA)とのヒト単球の結合を示す。ヒトPBMCを単離し、この細胞をIFNγ(500U/ml)と培養した後にサイトスピンを作製した。細胞をヘマトキシリンで対比染色した。 図12は、ヒト乾癬皮膚の146B7(パネルB)又はアイソタイプ・コントロール抗体(hIgG1)(パネルA)との結合を示す。ヒト乾癬プラークを患者からインフォームド・コンセント後に得、検定まで−80℃で保存した。組織をビオチン化抗体で染色し、西洋わさびペルオキシダーゼの活性化後に観察した。 図13Aは、SCIDマウスを146B7又は賦形剤で処理した後のリウマチ様関節炎組織中の有核細胞のパーセンテージを示すグラフである。組織をヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色し、フォト・ショップ・ヴァージョン6.0で分析した。データは、146B7処理(n=4)又は賦形剤処理(n=2)後のマウスの(総面積のパーセンテージで表したときの)核の平均及びs.e.m.として示されている。図13B及び13Cは、146B7(図13C)又はPBS(図13B)による処理後のSCIDマウスの異種移植されたRA組織の代表的H&E染色を示す。 図14は、SCID/乾癬マウスにおける抗体146B7処理の効果を示すグラフを含む。生検をホルマリンに固定してパラフィン包埋に向け、H&Eで、そしてKi-67核内抗原について染色した。図14Aは、角質層から釘脚の始まりまで測定した場合の上皮の厚さで評価される乾癬の重篤度を示す。図14Bは、角質層から釘脚の最深部まで測定した場合の上皮の厚さを示す。図14Cは、錯角化の等級を示す。図14Dは、上側真皮中の炎症性単核細胞の数を示す。図14Eは、Ki-67+血中ケラチノサイトの数を示す。 図15は、抗体146B7(パネルC)、CsA(パネルB)、又は賦形剤(パネルA)で処理した後のSCIDマウスにおける移植されたヒト乾癬皮膚のH&E染色を示す。移植から3週間後のマウスに、PBS (プラセボ)、CsA(シクロスポリンA)(サンドス社)を、一日おきに10 mg/kg の用量を15日間、又は、146B7 を1日目に20 mg/kgの用量、そして8日目及び15日目に10 mg/kg、投与した。最後の注射から1週間後にマウスをと殺し、4 mm の穿孔生検を各異種移植片から採取した。生検をホルマリンに固定してパラフィン包埋に向け、H&Eで染色した。 図16は、146B7(パネルC)、CsA(パネルB)、又は賦形剤(パネルA)で処理した後のSCIDマウスに移植されたヒト乾癬皮膚のKi-67染色を示す。移植から3週間後にマウスにPBS(プラセボ)、CsA (シクロスポリンA)(サンドス社)を10 mg/kgの用量を一日置きに15日間、又は146B7を20 mg/kgの用量を1日目、そして10 mg/kg を8日目及び15日目に、投与した。最後の注射から1週間後にマウスをと殺し、4 mmの穿孔生検を各異種移植片から採取した。生検をホルマリンに固定してパラフィン包埋し、Ki-67核内抗原について染色した。 図17は、抗体146B7の受容体結合型IL-15への結合を示すグラフである。プレートをIL-15Rαで被覆し、IL-15と一緒にインキュベートした。10分後にビオチン化146B7 をウェルに加えた。146B7の受容体結合型IL-15への結合を405 nmでELISA-リーダで評価した。 図18は、IL-15がRaji細胞上に発現したその受容体への結合した後の、抗体146B7のIL-15への結合を示すグラフである。IL-15R発現Raji細胞をIL-15と一緒にインキュベートした後に、ビオチン化146B7を該細胞に10分後に加えた。146B7の受容体結合型IL-15への結合をFACS分析により評価した。

Claims (6)

  1. 結合組織障害、眼科学的障害、神経学的障害、肝障害、造血障害、肺の障害、内分泌学的障害、血管障害、婦人科学的障害、強直性脊椎炎、成人スティル病、全身性エリテマトーデス、水疱性類天疱瘡、火傷後過形成性瘢痕、紅色苔癬、及び敗血症の治療のための医薬の製造における、それぞれ配列番号:2及び4に示すアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖可変領域を含む、ヒトIL-15のIL-15Rγ鎖相互作用性ドメイン上に位置するエピトープに特異的に結合するモノクローナル抗体又はその抗原結合部分の使用。
  2. 前記抗体が、IL-15Rを介したcisシグナル伝達を阻害すると共に、隣接細胞上のtransシグナル伝達を阻害する、請求項1に記載の使用。
  3. 前記抗体がIL-15受容体α、β、及びγ-鎖集合に干渉する、上記請求項1又は2のいずれかに記載の使用。
  4. 前記抗体が、IL-15受容体又は別のサイトカイン受容体の一部としてα-、β-、及びγ-鎖を発現する隣接細胞上の集合を阻害する、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の使用。
  5. 前記抗体が、IL-15受容体又は別のサイトカイン受容体の一部としてβ-、及びγ鎖を発現する隣接細胞上の集合も阻害する、上記請求項4に記載の使用。
  6. 別の治療薬を更に含む、上記請求項1乃至5のいずれかに記載の使用であって、前記治療薬が:
    (i)IL-10、可溶性IL-15R、抗IL-6R抗体、CTLA4Ig及び抗CD20抗体から選択される、疾患改変抗リウマチ薬;
    (ii)ミコフェノール酸、ミコフェノレートモフェチル、コルチコステロイド、金塩、スルファサラジン、抗マラリア剤、ブレキナール、レフルノミド、ミゾリビン、15-デオキシスペルグアリン、6-メルカプトプリン、シクロホスファミド、ラパマイシン、タクロリムス及び抗胸腺細胞グロブリンから選択される免疫抑制剤;
    (iii)アントラリン、カリポトリン、タラゾテン、エタネルセプト、アレファセプト、エファリズマブ、6-チオグアニン、ミコフェノレートモフェチル、タクロリムス、ヒドロキシウレア及びインフリキシマブから選択される乾癬薬;
    (iv)UVB、UVA及び光線療法から選択される乾癬治療;
    (v)MHC、CD2、CD3、CD7、CD28、B7、CD40、CD45、IFN-γ、TNF-α、IL-2R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、CD11a、CD20、CD58又はこれらのリガンドに対する抗体から選択される、免疫抑制性のヒトモノクローナル抗体、
    である、使用。
JP2006502466A 2003-02-26 2004-02-25 インターロイキン15(il−15)に特異的なヒト抗体 Expired - Lifetime JP4892335B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US10/374,932 2003-02-26
US10/374,932 US7329405B2 (en) 2001-08-23 2003-02-26 Human antibodies specific for interleukin 15 (IL-15)
US10/379,741 2003-03-05
US10/379,741 US7247304B2 (en) 2001-08-23 2003-03-05 Methods of treating using anti-IL-15 antibodies
PCT/IB2004/000484 WO2004076620A2 (en) 2003-02-26 2004-02-25 Human antibodies specific for interleukin 15 (il-15)

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007528348A JP2007528348A (ja) 2007-10-11
JP4892335B2 true JP4892335B2 (ja) 2012-03-07

Family

ID=36770634

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006502466A Expired - Lifetime JP4892335B2 (ja) 2003-02-26 2004-02-25 インターロイキン15(il−15)に特異的なヒト抗体

Country Status (6)

Country Link
JP (1) JP4892335B2 (ja)
CN (1) CN1780856A (ja)
AR (1) AR043405A1 (ja)
EA (1) EA015897B1 (ja)
RS (1) RS20050724A (ja)
ZA (1) ZA200506724B (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2470772T3 (es) 2007-05-11 2014-06-24 Altor Bioscience Corporation Moléculas de fusión y variantes de IL-15
EP2918607B1 (en) * 2010-09-21 2017-11-08 Altor BioScience Corporation Multimeric il-15 soluble fusion molecules and methods of making and using same
US11053299B2 (en) 2010-09-21 2021-07-06 Immunity Bio, Inc. Superkine
CN102250243B (zh) * 2011-07-01 2013-08-28 华绍炳 抗白细胞介素-15抗体
CN112494646A (zh) 2014-06-30 2021-03-16 阿尔托生物科学有限公司 基于il-15的分子及其方法和用途
EP2963057A1 (en) * 2014-07-02 2016-01-06 Calypso Biotech SA Antibodies to IL-15
CN109311972A (zh) * 2016-06-15 2019-02-05 美国安进公司 用于治疗乳糜泻、非乳糜泻麸质敏感和难治性乳糜泻的方法和组合物
AU2017345791B2 (en) 2016-10-21 2020-10-22 Altor Bioscience Corporation Multimeric IL-15-based molecules
MX2019007357A (es) * 2016-12-21 2019-09-05 Cephalon Inc Anticuerpos que se unen especificamente a il-15 humana y usos de estos.
WO2021129766A1 (zh) * 2019-12-25 2021-07-01 江苏集萃药康生物科技股份有限公司 一种il-15人源化小鼠模型及其用途
CN114377133A (zh) * 2022-01-20 2022-04-22 山东大学 靶向肾脏cd8+trm形成与活化在肾小球损伤中的应用
CN115362984B (zh) * 2022-07-07 2024-01-16 成都中医药大学 一种小鼠自身免疫性甲状腺炎模型的构建方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001002003A1 (en) * 1999-07-06 2001-01-11 Bulfone Paus Silvia Method of treating psoriasis with il-15 antagonist
JP2002520294A (ja) * 1998-07-10 2002-07-09 ザ マティルダ アンド テレンス ケネディ インスティチュート オブ リューマトロジー インターロイキン−15拮抗薬によるセリアック病の治療
JP4359503B2 (ja) * 2001-08-23 2009-11-04 ゲンマブ エー/エス インターロイキン15(il−15)に特異的なヒト抗体

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5795966A (en) * 1995-02-22 1998-08-18 Immunex Corp Antagonists of interleukin-15

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002520294A (ja) * 1998-07-10 2002-07-09 ザ マティルダ アンド テレンス ケネディ インスティチュート オブ リューマトロジー インターロイキン−15拮抗薬によるセリアック病の治療
WO2001002003A1 (en) * 1999-07-06 2001-01-11 Bulfone Paus Silvia Method of treating psoriasis with il-15 antagonist
JP4359503B2 (ja) * 2001-08-23 2009-11-04 ゲンマブ エー/エス インターロイキン15(il−15)に特異的なヒト抗体

Also Published As

Publication number Publication date
CN1780856A (zh) 2006-05-31
AR043405A1 (es) 2005-07-27
EA015897B1 (ru) 2011-12-30
ZA200506724B (en) 2007-03-28
EA200501362A1 (ru) 2006-02-24
JP2007528348A (ja) 2007-10-11
RS20050724A (en) 2007-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4359503B2 (ja) インターロイキン15(il−15)に特異的なヒト抗体
US7247304B2 (en) Methods of treating using anti-IL-15 antibodies
AU2002332628A1 (en) Human antibodies specific for interleukin 15 (IL-15)
KR101329843B1 (ko) Cd25에 대한 인간 모노클로날 항체
JP4606172B2 (ja) 上皮成長因子受容体(egfr)に対するヒトモノクローナル抗体
JP4999158B2 (ja) 炭疽菌(bachillusanthracis)の感染防御抗原に対するヒトモノクローナル抗体
CN103709250B (zh) 抗cd20的人单克隆抗体
JP4892335B2 (ja) インターロイキン15(il−15)に特異的なヒト抗体
US7329405B2 (en) Human antibodies specific for interleukin 15 (IL-15)

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100413

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100713

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100817

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101217

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110208

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20110302

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20110426

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110927

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111104

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111213

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111219

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4892335

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141222

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250