JP4885802B2 - 無塩又は低塩のみそ系調味料の製造法及びその製品 - Google Patents

無塩又は低塩のみそ系調味料の製造法及びその製品 Download PDF

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Description

本発明は、無塩又は低塩のみそ系調味料の製造法及びその製品に関する。
従来の食塩5〜13%を含有する一般の甘口乃至辛口みその製造法は、蒸煮大豆と麹食塩と種水とから成る配合物を容器に仕込み、乳酸菌、酵母の生育温度に適した30℃前後で発酵作用と共に麹菌の酵素作用により1ヶ月程度以上の長期間かけて熟成させて行い製造する方法と、50℃前後の高温で主として麹菌の酵素作用により5日〜10日間程度の短期間熟成させて製造する方法が行われているが、いずれの場合も、食塩を5〜13%含有するため、その用途は、みそ汁、味噌漬けなど主として日本食の調理に限定される。
その上、上記の比較的低温の30℃前後で発酵、熟成を行う製造法では、乳酸菌や酵母が異常に繁殖し、異常発酵を起こし、品質の低下をもたらし、或いは保存中に湧きを生ずるなどの不都合を生ずる。また、全国味噌技術会2006年3月15日発行の「新・味噌技術ハンドブック」のP70,P71及びP116に記載されているように、食塩含有量が多い場合は問題ないが、食塩含有量が5〜7%と比較的少ないみその製造では、50℃前後の高温で、乳酸菌や酵母の生育を抑止し、主として麹の有する上記酵素の分解作用を主として熟成させる場合でも、耐熱性乳酸菌やBacillus系などの耐熱性細菌の異常増殖による酸敗、腐敗が起こることが報告されている。
一方、近年は、みその用途拡大や一般人の健康保持のため、或いは食塩の摂取が禁じられたり、制限される高血圧症、腎臓病などの患者のため、無塩又は低塩みその開発がなされ、公知である。例えば、下記の特許文献1には、腎臓疾患などの患者に適し、且つ様々な食品に利用し得る無塩又は低塩みそ及びこれらの抽出物を主成分とする機能性組成物に関する発明が開示されている。
また、下記の特許文献2には、穀類を水中に1時間浸漬する工程と、該穀類を水中で穀類が柔らかくなるまで煮沸する工程と、該穀類を潰す工程と、潰した穀類に麹菌を添加し、室内又は冷蔵して熟成させる工程とから成る無塩みその製造方法が開示されている。
全国味噌技術会2006年3月15日発行の「新・味噌技術ハンドブック」のP70,P71及びP116 特開2006-70015公報 特開2004-215626公報
しかし乍ら、特許文献1の実施例1〜4によれば、大豆及び麹を混合した混合物を50℃24時間の発酵分解させることにより無塩みそを製造したものが記載されているが、上記の非特許文献1の記載から明らかなように、食塩を5〜7%含有する味噌の製造においてすら、乳酸菌による酸敗や酵母による湧きを生ずることに鑑み、食塩5%以下の減塩や無塩みその製造においても、かゝる不都合を生ずる惧れがある。本願の発明の多くの試験研究によれば、仕込用配合物に多くの雑菌を含み、仕込み諸味中に増殖し、また、45〜65℃の高温で熟成させても耐熱性細菌が増殖して熟成物の酸敗を生じ、更には、熟成後常温になった後、増殖し、酸敗などの品質劣化を生じ、保存ができないことが判明した。
特許文献2の発明は、穀類を麹と配合する前に、上記のような処理工程を必要とし、作業が煩わしく非能率であるばかりでなく、その配合物を室温又は冷蔵して熟成させる。実施例では、該配合物を4℃〜35℃程度で24〜48時間熟成することにより無塩みそを製造することが記載されているが、麹の有するプロテアーゼ及びアミラーゼによる分解作用に適した温度より著しく低い温度であるから、48時間程度ではこれらの酵素作用が殆ど働かないので、蛋白質及び澱粉分解率及び溶解率の著しく低下した製品となる不都合を回避できない。
而も、上記従来の方法で製造された無塩又は低塩みそは、みそ特有の発酵臭があるので、みそ汁以外の特に、洋風の調味料としての利用には適さない。
本発明は、かゝる従来技術の課題を解消し、その製造工程数は従来一般のみそ醸造法における工程と変わらず、而も、仕込用配合物を容器に仕込んだときから、混入している細菌の増殖を抑制し得られ、且つ主として麹の有するプロテアーゼ及びアミラーゼによる分解作用により、約45〜65℃の高温で熟成させる過程において、耐熱性細菌、その他のバクテリアなどを含む一般生菌数を著しく減少せしめることができ、安定した而も従来の無塩又は低塩のみそ特有の発酵臭のない而もみその旨みを有すると共に、爽やかな酸味と風味を有する無塩又は低塩のみそ系調味料熟成物を短時間に且つ高能率に得られ、更には、従来使用されている各種保存料を添加することなく、そのまま保存し得る無塩又は低温のみそ系調味料の製造法とその製品を提供することを目的とする。
本発明は、請求項1に記載の通り、蒸煮大豆、みそ用麹、0〜5%の食塩及び種水から成る配合物に少なくとも1種の食用有機酸を添加し、混合したものを容器内に仕込み、45〜65℃の温度で熟成せしめることを特徴とする無塩又は低塩のみそ系調味料の製造法に存する。
更に本発明は、上記の調味料の製造法において、クエン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸から成る群から選択した1種又は2種以上の食用有機酸を該配合物に添加することを特徴とする。
更に本発明は、該みそ用麹に代えクエン酸生成麹を蒸煮大豆、0〜5%の食塩及び種水とから成る配合物を、食用有機酸を添加することなく、混合したものを容器内に仕込み、45〜65℃の温度で熟成せしめることを特徴とする無塩又は低塩のみそ系調味料の製造法に存する。
更に本発明は、上記の配合物に少なくとも1種の食用有機酸を添加し、混合したものを容器内に仕込み、45〜65℃の温度で熟成せしめることを特徴とする。
更に本発明は、上記の各製造法により得られた無塩又は低塩のみそ系調味料に係る。
請求項1に係る発明によれば、上記の仕込まれる配合物に少なくとも1種の食用有機酸を添加したので、食塩が5%以下又は無塩の仕込用配合物であっても、これに混入している耐熱性細菌その他の一般細菌数の増殖が抑制され、安心して良好な仕込み作業が可能となり、その後、45〜65℃の高温で熟成せしめるので、一般の細菌はもとより、耐熱性細菌を死滅させる効果が増大し、一般生菌数を著しく減少し得られると同時に、みそ用麹の有するプロテアーゼやアミラーゼによる蛋白質、澱粉の分解を良好に行うことができ、最短で1日、所望により2〜10日程度の短期間で発酵臭がなく而もみその旨みを有すると共に、添加した食用有機酸による爽快な酸味が付与された無塩又は低塩のみそ系調味料が得られる。更には、その食用有機酸の含有により熟成後保存中に一般細菌の増殖が抑制されるので、従来行われている保存料を添加することなく保存することができる製品が得られる。
而して、本発明のみそ系調味料は、上記の特性を有するので、その用途として、従来と同様に、味噌汁の他、例えば、洋風の各種のドレッシング、ソースなどの各種調理に利用でき、更には、腎臓患者などの食用とした場合に、爽快な風味を与えることができ、従来の無塩又は低塩みそに比し、利用範囲を拡大することができる。
食用有機酸としては、クエン酸、乳酸、酢酸等の単独又は混合物は、上記の請求項1に記載の効果をもたらすことに加え、夫々の有機酸特有の爽快な風味を有するみそ系調味料を製造することができる。
また、請求項3に記載のように、クエン酸生成麹を該配合物に添加するときは、クエン酸生成麹にはその製麹中に生成したクエン酸が含まれるので、別個に、食用有機酸を添加する必要がなく、上記の微生物抑制効果をもたらす。また、クエン酸生成麹菌は、みそ用麹菌とは異なり、特に耐酸性に優れた分解酵素を持っているので、蛋白質及び澱粉分解率が向上し、更に食感の滑らかなみそ系調味料が得られる。
更に本発明は、請求項4に記載のように、クエン酸生成麹の使用下で、少なくとも1種の食用有機酸を添加するときは、後記に明らかにするように、みそ用麹の使用下での食用有機酸の添加量より少ない添加量で同時に良好なみそ系調味料が得られる。
上記の製造法により得られた製品は、食塩含有量が0〜5%であり、発酵臭がなく而も爽やかな酸味、風味を有するため、上記したように、一般人には勿論、腎臓疾患その他の患者用に適すると共に、みそ汁などの和食や中華料理用の調味料としてばかりでなく、各種のドレッシング、スープ類などの洋風の調味料として利用し、従来の無塩又は減塩みそとは異なる利用価値の高い新規なみそ系調味料として提供できる。
本発明の無塩又は低塩のみそ系調味料の製造法の実施形態例につき、以下詳述する。
仕込用配合原料は、大豆と米、麦、豆から選んだ原料に常法により麹菌を種付けして製麹したみそ用麹と0〜5%の食塩と種水を夫々所望の割合で配合して成る通常の仕込用配合物に、本発明によれば、更に仕込用の配合原料として、例えば、クエン酸、乳酸、酢酸などの各種食用有機酸の少なくとも1種又は2種以上の食用有機酸を所定量添加、混合したものを仕込用原料とする。かゝる食用有機酸を含有する配合物を容器内に仕込むことにより、その仕込んだ、いわゆる諸味に含有する一般細菌の増殖が該有機酸により抑制されるばかりでなく、この諸味を45〜65℃、好ましくは、50〜60℃の高温で、例えば、1〜10日間程度の短時間熟成せしめることにより、含有する或いは外部から侵入した耐熱性細菌を含む一般細菌の生育を抑制し、一般生菌数を著しく少なくできるので、酸敗や腐敗を防止したみそ系調味料が得られる。
一方、同時にみそ麹の有するプロテアーゼ、アミラーゼ、その他各種の酵素により、原料成分は分解し、ペプチド、アミノ酸、ブドウ糖などを生ずると共に、生成物の化学的な分解合成により、みそらしい光沢、旨味、香味、組織を醸成された熟成物を生ずるが、本発明では、有機酸を含有するので、その熟成物は、いわゆるみその有する発酵臭がなく、爽快な酸味を有するみそ系調味料として得られ、更には、その得られた製品を常法により包装し、保存したとき、有機酸は保存剤として働き、長期に亘り保存でき、別個に保存剤を添加する必要がない。
尚、仕込用配合物中の食塩の含有量0〜5%に対して各種有機酸の仕込用配合物に対する添加量は、食塩の含有量が0%〜5%に増大するに伴ない、少ない量で済む。例えば、食塩0%の場合は、有機酸の添加量は約2%であれば足りる。これ以上添加量を増大しても良いが、経済的な検知からみて、この程度にとどめることが有利である。
本発明によれば、通常使用されているみそ用麹に代えて、製麹中、クエン酸を生成する麹菌を用いて製麹したクエン酸生成麹を仕込用配合原料として使用できる。該クエン酸生成麹はクエン酸を含有するので、以下の試験例で明らかにするように、仕込用配合原料として別個に有機酸を必ずしも添加配合する必要がない。
また、クエン酸生成麹の有する各種酵素は、耐酸性であるので、みそ用麹を用いた場合に比し、熟成度の向上したみそ系調味料が得られることが判った。
次に、本発明の実施例を従来例と対比した比較試験例につき詳述する。
比較試験例1
原料米は一晩浸漬後、水切りし、次いでこれを甑(こしき)で蒸気吹き付け後、30分蒸煮し、これを送風機で35℃程度まで冷却し、蒸し米を得た。この蒸し米にみそ用麹菌としてAsp. oryzae(アスペルギリス オリゼー)と、Asp. awamori(アスペルギリス アワモリ)などのクエン酸を生成する麹菌(以下、クエン酸生成麹菌と略称)を夫々種付けして、夫々、30〜40℃で2日間かけて製麹した。
一方、原料大豆は洗浄し、一晩浸漬した後、水切りし、次いで、オートクレーブで0.75Kg/cm2で15分蒸し、得られた蒸し豆を30℃まで冷却した後、5m/mのチョッパーで擂砕した。
次いで、上記の仕込用原料と種水とを、下記表1に示す夫々の仕込用原料を配合した4種類の無塩の仕込用配合物を調製し、これらの仕込用配合物を夫々の容器に仕込み、55℃で2日間熟成させた。下記表1から明らかなように、対照区1は、従来の無塩みそ製造用の仕込用配合物である。テスト区1〜3は夫々本発明の実施例の仕込用配合物を示し、テスト区1は、食用有機酸としてクエン酸2%を配合した仕込用配合物であり、テスト区2は、みそ用麹に代え、クエン酸生成麹を配合し、且つクエン酸を1%配合して成る仕込用配合物であり、テスト区3は、クエン酸生成麹を20歩配合し、クエン酸無添加の仕込用配合物である。
Figure 0004885802
上記表1に示す夫々の仕込用配合物の熟成物の分析並びに官能テスト結果は、下記表2に示す通りであった。
Figure 0004885802
表1及び表2から明らかなように、無塩の仕込み用配合物において、対照区の熟成物は、従来の無塩みそに相当するが、一般生菌数が多く酸敗臭があり、異常発酵が確認された。クエン酸を添加したテスト区1の熟成物は、一般生菌数が300以下/gとなり、有機酸による微生物制御作用が認められると共に、発酵臭がなく、爽快な酸味を有し、而も、みそ特有の旨味を有するみそ系調味料として得られた。
テスト区2は、みそ用麹10歩に代え、クエン酸生成麹を10歩配合し、クエン酸の添加量を1%と、テスト区1の半分の量としたものであるが、テスト区1と同様に有機酸による微生物制御作用を有し、同様のみそ系調味料として得られた。このことは、クエン酸生成菌10歩はクエン酸1%弱の添加量に相当し、これにより、一般細菌(耐熱性細菌を含む)の制御作用を発揮すると考えられる。テスト区3は、クエン酸生成麹の麹歩合をテスト区3の2倍の20歩用いれば、別個にクエン酸を添加しないでも、そのクエン酸生成麹の含有する約2%弱のクエン酸がテスト区2と同様に微生物制御作用を発揮し、良好なみそ系調味料として得られることが判った。
比較試験例2
次に、本発明の実施例として、クエン酸に代え、乳酸、酢酸を無塩の仕込用配合物に配合して成る仕込用配合物を下記表3に示すテスト区4〜7の4種類の仕込用配合物を調製し、夫々の有機酸による微生物制御効果について試験した。
更に詳細には、下記表3に示すように、テスト区4は、従来の無塩みそ製造用の仕込用配合物に乳酸を1%添加して成る本発明の実施例の仕込用配合物、テスト区5は、従来の無塩みそ製造用の仕込用配合物に酢酸を0.4%添加して成る本発明の実施例の仕込用配合物、テスト区6は、みそ用麹に代え、クエン酸生成麹を用い、且つ乳酸を0.5%添加して成る本発明の実施例の仕込用配合物、テスト区7は、みそ用麹に代え、クエン酸生成物を用い、且つ酢酸を0.2%添加して成る本発明の実施例の仕込用配合物である。而して、これら4種類の仕込用配合物を夫々の容器に仕込み、55℃で2日間熟成させた。
Figure 0004885802
これら4種類の仕込用配合物の仕込み直後、熟成2日後及び熟成後30℃で1週間放置後の一般生菌数の測定結果を下記表4に示す。
Figure 0004885802
下記表5は、これら4種類の仕込用配合物の55℃で2日間熟成後の分析並びに官能テストの結果を示す。
Figure 0004885802
上記表3〜表5から明らかなように、テスト区4〜7の夫々の仕込用配合原料に混入している一般細菌は、夫々添加されている乳酸、酢酸の各有機酸により、著しい微生物抑制効果を受け、熟成後の一般生菌数は著しく減少し、食感、風味良好な熟成物をもたらす。因みに、対照区1の仕込用配合物の仕込直後の一般生菌数は、106オーダー/gであった。
尚また、夫々の熟成物を熟成後、30℃で1週間放置しておいても、一般細菌が増殖することがなく、良好な品質を維持し、有機酸を含有することにより、保存性が付与され、特に保存剤を添加する必要がない。
尚、クエン酸生成麹を使用した場合は、含有するクエン酸と乳酸、酢酸との併用により、微生物抑制効果をもたらすばかりでなく、乳酸、酢酸の添加量をみそ用麹使用の場合における半分の量で済むことが判った。
結局、本発明の実施例であるテスト区4〜7の仕込用配合物が示すように、無塩の仕込用配合物であっても、乳酸、酢酸の単独又はクエン酸との併用により、酸敗を防止し、而も、みその旨味を有するが、その発酵臭がない酸味を有する洋風の調味料にも適した、而も長期保存の効くみそ系調味料として得られることが確認された。
比較試験例3
5%以下の食塩を添加した仕込用配合物を熟成させる場合の有機酸添加効果を試験するべく、下記表6及び表7に示す仕込用配合物を調製し、これらの7種類の仕込用配合物を夫々の容器に仕込み、55℃で2日間熟成させた。
対照区2及び対照区3は、食塩3%及び5%を夫々添加した従来の低塩みそ製造用の仕込用配合物である。テスト区8,9,10は、食塩3%を添加した対照区2に対応する仕込用配合物に有機酸を添加した本発明の実施例の仕込用配合物、テスト区11は、食塩5%を添加した対照区3に対応する仕込用配合物に有機酸を添加した本発明の実施例の仕込用配合物、テスト区12は、従来のみそ用麹に代え、これと同歩合のクエン酸生成麹を使用したが、有機酸を添加しない本発明の実施例の仕込用配合物である。
Figure 0004885802
Figure 0004885802
これら7種類の仕込用配合物の仕込み直後、熟成2日後及び熟成後30℃で1週間放置後の一般生菌数の測定結果を下記表8,9に示す。
Figure 0004885802
Figure 0004885802
下記表10,11は、これら7種類の仕込用配合物の55℃で2日間熟成後の分析並びに官能テストの結果を示す。
Figure 0004885802
Figure 0004885802
上記表6〜表11から明らかなように、テスト区8〜12の夫々の仕込用配合原料に混入している一般細菌は、夫々添加されている夫々有機酸により、著しい微生物抑制効果を受け、熟成後の一般生菌数は著しく減少し、食感、風味良好なみそ系調味料をもたらす。
尚また、夫々の熟成物を熟成後、30℃で1週間放置しておいても、一般細菌が増殖することがなく、良好な品質を維持し、有機酸を含有することにより、保存性が付与され、特に保存剤を添加する必要がない。
尚、クエン酸生成麹を使用した場合は、別個に有機酸を添加しないでも、微生物抑制効果をもたらすことが判った。
結局、本発明の実施例であるテスト区8〜12の仕込用配合物が示すように、食塩5%以下の無塩の仕込用配合物であっても、クエン酸、乳酸、酢酸の単独又は乳酸、クエン酸との併用により、酸敗を防止し、而も、みその旨味を有するが、その発酵臭がない酸味を有する洋風の調味料にも適した、而も長期保存の効くみそ系調味料として得られることが確認された。
尚、上記のテスト区1〜12の実施例から明らかなように、有機酸の添加量は、食塩の添加量が増大すれば、これに反比例して少なくて済む。多くの試験研究の結果、無塩又は低塩の仕込用配合物を45〜65℃で1〜10日間の短期間で仕込み時から熟成まで有機酸による耐熱性細菌などの微生物の増殖を抑制し、旨味と酸味を有する良質の本発明の新規なみそ系調味料が得られることが確認された。無塩の仕込用配合物への有機酸の添加量は、クエン酸、乳酸、酢酸の各単独の場合、2%又はそれ以下で充分であり、クエン酸生成麹は、生成クエン酸含有量約2%に対応する麹歩合20で足りる。これらの各酸又はクエン酸生成麹との併用の場合は、各有機酸の添加量はそれ以下でよいことが判った。
勿論、経済的見地を度外視すれば、上記の添加量以上添加してもよい。但し、みそ麹を使用する場合は、有機酸によるみそ用麹の酵素の蛋白質、澱粉を分解する性能の低下を予め考慮し、上記の高温で1〜10日の短期間で熟成できるように有機酸の添加量を決定することが好ましい。
尚、食用有機酸として、上記実施例で使用したクエン酸、乳酸、酢酸の他のリンゴ酸、コハク酸、酒石酸でも同様の作用効果をもたらす。
次に、比較試験例1のテスト区2を用い、55℃で2日間熟成させて得られた無塩のみそ系調味料(以下“調味料”と略称する)を使って各種料理を下記のように調理した。
調理例1
ビーフシチュー(10人分)
牛バラ肉 1Kg
デミグラスソース 1Kg
調味料 500g
赤ワイン 適量
玉ねぎ 1個
人参 1個
ブイヨン 1000ml
付け合せ野菜 適量
作り方:肉はフライパンで表面を焼く。赤ワインのアルコールを火をつけて飛ばす(フランベ)。鍋にデミグラスソース、ブイヨン、熟成調味料、炒めた玉ねぎ、人参を入れ火にかけて、肉を入れて煮込む。灰汁を取りながら3時間煮込んで出来上がり。
調理例2
トマトのみそ汁(3人分)
トマト中玉 2個(缶詰のホールトマトでも良い)
調味料 40g
水 2カップ
固形ブイヨン 1個
作り方:トマトを一口サイズに切り分ける。鍋に水、ブイヨン、トマト切り分けたものを入れ煮込み、火が通ったところで、熟成調味料を入れ沸騰したら出来上がり。
調理例3
トマトと春野菜のサラダ(10人分)
トマト(小) 4個
春野菜 適量
調味料 大さじ2杯
白ワインビネガー又はレモン汁 大さじ2杯
サラダ油 大さじ1杯
オリーブ油 小さじ1杯
塩、胡椒 適量
作り方:トマトを湯むきする。調味料、ビネガー、油、塩、胡椒を入れドレッシングを作る。トマト一口サイズに切り、春野菜を皿に盛り、ドレッシングをかけて出来上がり。

Claims (5)

  1. 蒸煮大豆、みそ用麹、0〜5%の食塩及び種水から成る配合物に少なくとも1種の食用有機酸を添加し、混合したものを容器内に仕込み、45〜65℃の温度で熟成せしめることを特徴とする無塩又は低塩のみそ系調味料の製造法。
  2. クエン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸から成る群から選択した1種又は2種以上の食用有機酸を該配合物に添加することを特徴とする請求項1に記載のみそ系調味料の製造法。
  3. 該みそ用麹に代えクエン酸生成麹を蒸煮大豆、0〜5%の食塩及び種水とから成る配合物を、食用有機酸を添加することなく、混合したものを容器内に仕込み、45〜65℃の温度で熟成せしめることを特徴とする無塩又は低塩のみそ系調味料の製造法。
  4. 請求項3に記載の配合物に少なくとも1種の食用有機酸を添加し、混合したものを容器内に仕込み、45〜65℃の温度で熟成せしめることを特徴とする無塩又は低塩のみそ系調味料の製造法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の製造法により製造した無塩又は低塩のみそ系調味料。
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