JP2004215626A - 無塩味噌の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】味噌本来の旨味を保持しつつ塩分を含有しない無塩味噌を製造する方法を提供する。
【解決手段】水中に味噌の原料となる穀類を少なくとも1時間以上浸漬し、前記穀類を水中で穀類が柔らかくなるまで煮沸し、少なくともアルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、トリプトファンおよびシスチンを含む総合アミノ酸を添加して、前記穀類を潰して麹菌を潰した穀類に添加して室内または冷蔵手段で熟成させる。
【選択図】 なし
【解決手段】水中に味噌の原料となる穀類を少なくとも1時間以上浸漬し、前記穀類を水中で穀類が柔らかくなるまで煮沸し、少なくともアルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、トリプトファンおよびシスチンを含む総合アミノ酸を添加して、前記穀類を潰して麹菌を潰した穀類に添加して室内または冷蔵手段で熟成させる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期間保存可能でかつ塩分を含有しない無塩味噌の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
味噌は長期間保存可能な高たんぱく食品として、味噌汁を初めとして種々の食品の調味料等に古くから用いられている。
味噌は、大豆、麦、米等の穀類を水でふやかした後、これらの原料が柔らかくなるまで水中で煮詰め、柔らかくなった原料を粉砕し、そして略等量の麹菌と塩化ナトリウムを加えて熟成させることによって製造される。
【0003】
近年、腎臓病、心臓病を初めとする生活習慣病の予防および治療の観点から、塩分含有量を減らした減塩味噌が開発されている。また、塩分の制限された患者に対しては、極少量の味噌を使用したいわゆる薄い味噌汁を提供しているのが現状である。
【0004】
そのため、特許文献1では、味噌、特に減塩又は無塩味噌の単体を、あるいは味噌を主成分としてこれに他の栄養食品を混合したものを乾燥粉末化した粉末味噌、あるいはこの粉末味噌からペレット味噌又はカプセル味噌を製造することを提案している。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−346536号公報(要約書、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の図1に記載の通り、この技術には乾燥粉末化を必須要件としており、タンパク質の変性等により味噌本来の味が損なわれるという課題があった。
したがって、本発明の課題は、味噌本来の旨味を保持しつつ塩分を含有しない無塩味噌を製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、大豆等の味噌の原料となる穀類を常法に従って、製造する際に、麹菌を穀類に植え付けるに先立って、複数のアミノ酸を含む総合アミノ酸の添加によって麹菌の発育環境を整えると、得られた味噌に塩分を添加しなくとも保存中に雑菌類、特にカビ類が増殖することがないことを見出して本発明を創作するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の無塩味噌の製造方法は、下記工程:
(a) 水中に味噌の原料となる穀類を少なくとも1時間浸漬する工程、
(b) 前記穀類を水中で穀類が柔らかくなるまで煮沸する工程、
(c) 少なくともアルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、トリプトファンおよびシスチンを含む総合アミノ酸を添加する工程、
(d) 前記穀類を潰す工程および
(e) 麹菌を潰した穀類に添加して室内または冷蔵手段で熟成させる工程
を含むことを特徴とするものである(請求項1)。
このように構成すると、塩化ナトリウムを添加しなくとも長期間保存可能な味噌を製造することが可能となる。
【0009】
請求項2によると、前記水はクラスタが細分化された水であることが好ましく、請求項3によると、前記クラスタが細分化された水は、水に微細カーボンが分散された水であることがさらに好ましい。
このような水を使用すると、原料となる穀類をふやかす時間および煮る時間を短縮することが可能となるだけでなく、麹菌の排他的成長に好結果を及ぼす。さらに得られた無塩味噌が美味しくなるという効果も奏する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の無塩味噌に使用する原料は、従来味噌の製造に使用されてきた穀類であれば特に限定されるものではなく、例えば大豆、麦、米、これらの混合物が挙げられる。以下、本発明においては単に原料と言う。
【0011】
このような原料を、従来公知の方法で水でふやかすが、この際に使用する水は、クラスタが細分化された水を使用することが好ましい。
クラスタが細分化された水とは、磁気処理、水の電気分解により得られた水、オリエントグリーン株式会社からアルファアミノンの名称で販売される微細化されたカーボンにより処理された水等が挙げられる。このような水を使用することによって原料をふやかす時間を短縮可能であるだけでなく、後段で麹菌を原料につける工程において麹菌が選択的かつ排他的に繁殖することができる点で好ましい。特にオリエントグリーン株式会社からアルファアミノンの名称で販売される微細化されたカーボンにより処理された水を使用することが麹菌の選択的かつ排他的な繁殖および原料を柔らかくなるまで煮る時間を短縮可能である点で好ましい。
原料をふやかす工程は、少なくとも1時間、通常は8時間以上、好ましくは一晩行なうことが一般的である。
【0012】
このようにしてふやかした原料を水で、好ましくは前記のクラスタが細分化された水で常法に従って原料がやわらかくなるまで煮詰める。
【0013】
次いで、本発明の無塩味噌の製造方法において、総合アミノ酸を添加するが、従来タンパク質を添加して珍味食品を製造する特開昭58−175463号公報に記載の技術とは異なり、本発明におけるアミノ酸の添加は、麹菌の最適な生活環境を構築して,選択的かつ排他的に麹菌を成長させることが目的である。
【0014】
そのため本発明者が鋭意検討した結果、総合アミノ酸として少なくともアルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、トリプトファンおよびシスチンを必須成分として含有するアミノ酸類を使用することによって麹菌の最適な生活環境を構築して、塩分を添加せずともカビ等が増殖することなしに得られた味噌を長期間保存することが可能となる。本発明で言う総合アミノ酸とは、これらの各アミノ酸成分が配合された液体、粉末を言う。
【0015】
これらのアミノ酸の配合は、このような目的が達成できれば特に限定されるものではないが、例えばアルギニン70mg±10mg、リジン110mg±10mg、ヒスチジン40mg±10mg、フェニルアラニン80mg±10mg、チロシン50mg±10mg、ロイシン130mg±10mg、イソロイシン70mg±10mg、メチオニン20mg±10mg、バリン90mg±10mg、アラニン70mg±10mg、グリシン70mg±10mg、プロリン60mg±10mg、グルタミン酸160mg±10mg、セリン70mg±10mg、スレオニン60mg±10mg、アスパラギン酸160mg±10mg、トリプトファン30mg±10mgおよびシスチン20mg±10mgを含有する総合アミノ酸液を使用することができる。
【0016】
このような総合アミノ酸は、所定量の各アミノ酸をブレンドしてもよいが、タンパク質源、例えば大豆ホイ(オカラ)等を水、好ましくはクラスタが細分化された水、特に好ましくは水に微細カーボンが分散された水に浸し、次いで麹菌を添加してタンパク質源からアミノ酸を常温で数日、一般には7〜14日間抽出することによって得られる。麹菌に加えて乳酸菌等の味噌の製造に悪影響を及ぼさない菌類を添加してもよい。従って、このような無塩味噌製造用の総合アミノ酸も本発明の範囲内である。
【0017】
このような総合アミノ酸の添加は、一度に全量、原料を煮ている間に添加してもよくあるいは小分けして添加してもよいが、アミノ酸の変性またはラセミ化を考慮すると原料が完全に煮えた後に放冷した際、特に原料を潰す工程の直前にアミノ酸を添加することが好ましい。また、原料を浸漬するための水に予め総合アミノ酸を添加してもよい。
このように総合アミノ酸を添加した後、原料を潰しながら、総合アミノ酸を原料全体に均一になるようによく混ぜ合わせる。
このようにして得られた総合アミノ酸を添加した原料は、麹菌が選択的かつ排他的に育成する環境となる。換言すると、麹菌以外の雑菌、特にカビ類が繁殖できない環境となる。
【0018】
次いで、この原料に乾燥基準で50〜200質量%の麹菌を添加して24時間から48時間程度4℃〜35℃程度の温度で熟成することによって、塩分の添加されていない無塩味噌を製造することができる。
【0019】
このような本発明の無塩味噌の製造方法は、従来の味噌の製造方法に若干の改良を加えたものであり、既存の設備で容易に塩分の添加されていない味噌を製造することができる。
なお、本発明の無塩味噌の応用例として、所望により微量の塩分を添加することも本発明の範囲内である。従って本発明の方法は、塩分を調整した味噌の製造方法にまで拡大することができる。
塩分の調整として、麹菌の添加の際に若干の塩分を加える場合及び通常の味噌とのブレンドが挙げられる。
このようにして製造された味噌は、塩分が制限されている患者用のタンパク源はもとより、健常者等のタンパク源としても有効に使用できる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明するが、本発明は特定の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
無農薬大豆1000gを、オリエントグリーン株式会社からアルファアミノンの商品名で販売される水3.5Lに一晩浸した。次いで、この大豆をそのまま鍋にて大豆が柔らかくなるまでかき混ぜながら煮詰めた。大豆が柔らかくなった所で煮沸を中断した(約2〜3時間)。
次いで、これを放冷した後、アルギニン約70mg、リジン約110mg、ヒスチジン約40mg、フェニルアラニン約80mg、チロシン約50mg、ロイシン約130mg、イソロイシン約70mg、メチオニン約20mg、バリン約90mg、アラニン約70mg、グリシン約70mg、プロリン約60mg、グルタミン酸約160mg、セリン約70mg、スレオニン約60mg、アスパラギン酸約160mg、トリプトファン約30mgおよびシスチン約20mgを含有する総合アミノン酸を添加した。
次いで、アミノ酸が添加された大豆をよくすりつぶし、麹菌(大関酒造株式会社製)200gを添加し、そのまま放置して無塩味噌を製造した。
【0021】
<実施例2>
実施例1においてアルファアミノンの代わりに水道水を使用した以外、実施例1を繰り返して無塩味噌を製造した。この実施例において大豆が柔らかくなるまで大豆が柔らかくなるまでに約4〜5時間要した。
<比較例1>
実施例1において総合アミノ酸を添加しない以外、実施例1を繰り返して無塩味噌を製造した。
【0022】
<評価1>
実施例1、2および比較例1で得た無塩味噌を室温および冷蔵庫中で放置して、カビの繁殖の有無を目視評価した。
その結果、実施例1で得た無塩味噌は、3ヶ月以上室温(25℃)および冷蔵庫(4℃)で放置してもカビの繁殖は観察されず、そして実施例2で得た無塩味噌は、約1週間室温および冷蔵庫で放置してもカビの繁殖は観察されなかった。これに対して、室温および冷蔵庫で放置した比較例1で得た無塩味噌は、24〜48時間で多量の黒カビの発生が観察されたとともに腐敗臭が見られた。
【0023】
このことから、本発明の方法により所定のアミノ酸を添加することによってカビの繁殖を抑え長期間保存できることが判る。
<評価2>
実施例1および実施例2により製造した無塩味噌(製造後2日目)を10人に美味い、どちらとも言えない、不味いの三点評価によりパネル試験を行なった。その結果、実施例1で得られた無塩味噌を美味いと答えたもの9人、どちらとも言えないと答えたもの1人およびまずいと答えたもの0人であった。一方、実施例2で得られた無塩味噌を美味いと答えたもの7人、どちらとも言えないと答えたもの3人およびまずいと答えたもの0人であった。
【0024】
このことから、本発明により製造された無塩味噌、特に実施例1の方法により製造された無塩味噌が食品や調味料としておいしいものであると評価された。
【0025】
<評価3>
(a)市販のインスタント味噌汁(10g入り)10g、(b)市販のインスタント味噌汁(10g入り)5gと実施例1により製造された無塩味噌(製造1日後)5gとの混合物、(c)市販のインスタント味噌汁(10g入り)5gを熱湯180ccに溶してインスタント味噌汁を製造した。これらの味噌汁のうち一番美味い味噌汁について10人のパネラーに調査した所、(A)と答えたもの4名、(b)と答えたもの6名であった。逆に、これらの味噌汁のうち一番不味い味噌汁について10人のパネラーに調査した所、全員(C)であった。
このことから、本発明の無塩味噌は、味噌汁等の塩分調整用として十分使用できることが判った。
【0026】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の無塩味噌の製造方法は、塩化ナトリウムを添加しなくとも長期間保存可能な味噌を製造することが可能となる(請求項1)。
また、請求項2および請求項3に記載の発明によると、原料となる穀類のふやかす時間を短縮可能となるだけでなく、麹菌の排他的成長に好結果を及ぼす。さらに得られた無塩味噌が美味しくなるという効果も奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期間保存可能でかつ塩分を含有しない無塩味噌の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
味噌は長期間保存可能な高たんぱく食品として、味噌汁を初めとして種々の食品の調味料等に古くから用いられている。
味噌は、大豆、麦、米等の穀類を水でふやかした後、これらの原料が柔らかくなるまで水中で煮詰め、柔らかくなった原料を粉砕し、そして略等量の麹菌と塩化ナトリウムを加えて熟成させることによって製造される。
【0003】
近年、腎臓病、心臓病を初めとする生活習慣病の予防および治療の観点から、塩分含有量を減らした減塩味噌が開発されている。また、塩分の制限された患者に対しては、極少量の味噌を使用したいわゆる薄い味噌汁を提供しているのが現状である。
【0004】
そのため、特許文献1では、味噌、特に減塩又は無塩味噌の単体を、あるいは味噌を主成分としてこれに他の栄養食品を混合したものを乾燥粉末化した粉末味噌、あるいはこの粉末味噌からペレット味噌又はカプセル味噌を製造することを提案している。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−346536号公報(要約書、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の図1に記載の通り、この技術には乾燥粉末化を必須要件としており、タンパク質の変性等により味噌本来の味が損なわれるという課題があった。
したがって、本発明の課題は、味噌本来の旨味を保持しつつ塩分を含有しない無塩味噌を製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、大豆等の味噌の原料となる穀類を常法に従って、製造する際に、麹菌を穀類に植え付けるに先立って、複数のアミノ酸を含む総合アミノ酸の添加によって麹菌の発育環境を整えると、得られた味噌に塩分を添加しなくとも保存中に雑菌類、特にカビ類が増殖することがないことを見出して本発明を創作するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の無塩味噌の製造方法は、下記工程:
(a) 水中に味噌の原料となる穀類を少なくとも1時間浸漬する工程、
(b) 前記穀類を水中で穀類が柔らかくなるまで煮沸する工程、
(c) 少なくともアルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、トリプトファンおよびシスチンを含む総合アミノ酸を添加する工程、
(d) 前記穀類を潰す工程および
(e) 麹菌を潰した穀類に添加して室内または冷蔵手段で熟成させる工程
を含むことを特徴とするものである(請求項1)。
このように構成すると、塩化ナトリウムを添加しなくとも長期間保存可能な味噌を製造することが可能となる。
【0009】
請求項2によると、前記水はクラスタが細分化された水であることが好ましく、請求項3によると、前記クラスタが細分化された水は、水に微細カーボンが分散された水であることがさらに好ましい。
このような水を使用すると、原料となる穀類をふやかす時間および煮る時間を短縮することが可能となるだけでなく、麹菌の排他的成長に好結果を及ぼす。さらに得られた無塩味噌が美味しくなるという効果も奏する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の無塩味噌に使用する原料は、従来味噌の製造に使用されてきた穀類であれば特に限定されるものではなく、例えば大豆、麦、米、これらの混合物が挙げられる。以下、本発明においては単に原料と言う。
【0011】
このような原料を、従来公知の方法で水でふやかすが、この際に使用する水は、クラスタが細分化された水を使用することが好ましい。
クラスタが細分化された水とは、磁気処理、水の電気分解により得られた水、オリエントグリーン株式会社からアルファアミノンの名称で販売される微細化されたカーボンにより処理された水等が挙げられる。このような水を使用することによって原料をふやかす時間を短縮可能であるだけでなく、後段で麹菌を原料につける工程において麹菌が選択的かつ排他的に繁殖することができる点で好ましい。特にオリエントグリーン株式会社からアルファアミノンの名称で販売される微細化されたカーボンにより処理された水を使用することが麹菌の選択的かつ排他的な繁殖および原料を柔らかくなるまで煮る時間を短縮可能である点で好ましい。
原料をふやかす工程は、少なくとも1時間、通常は8時間以上、好ましくは一晩行なうことが一般的である。
【0012】
このようにしてふやかした原料を水で、好ましくは前記のクラスタが細分化された水で常法に従って原料がやわらかくなるまで煮詰める。
【0013】
次いで、本発明の無塩味噌の製造方法において、総合アミノ酸を添加するが、従来タンパク質を添加して珍味食品を製造する特開昭58−175463号公報に記載の技術とは異なり、本発明におけるアミノ酸の添加は、麹菌の最適な生活環境を構築して,選択的かつ排他的に麹菌を成長させることが目的である。
【0014】
そのため本発明者が鋭意検討した結果、総合アミノ酸として少なくともアルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、トリプトファンおよびシスチンを必須成分として含有するアミノ酸類を使用することによって麹菌の最適な生活環境を構築して、塩分を添加せずともカビ等が増殖することなしに得られた味噌を長期間保存することが可能となる。本発明で言う総合アミノ酸とは、これらの各アミノ酸成分が配合された液体、粉末を言う。
【0015】
これらのアミノ酸の配合は、このような目的が達成できれば特に限定されるものではないが、例えばアルギニン70mg±10mg、リジン110mg±10mg、ヒスチジン40mg±10mg、フェニルアラニン80mg±10mg、チロシン50mg±10mg、ロイシン130mg±10mg、イソロイシン70mg±10mg、メチオニン20mg±10mg、バリン90mg±10mg、アラニン70mg±10mg、グリシン70mg±10mg、プロリン60mg±10mg、グルタミン酸160mg±10mg、セリン70mg±10mg、スレオニン60mg±10mg、アスパラギン酸160mg±10mg、トリプトファン30mg±10mgおよびシスチン20mg±10mgを含有する総合アミノ酸液を使用することができる。
【0016】
このような総合アミノ酸は、所定量の各アミノ酸をブレンドしてもよいが、タンパク質源、例えば大豆ホイ(オカラ)等を水、好ましくはクラスタが細分化された水、特に好ましくは水に微細カーボンが分散された水に浸し、次いで麹菌を添加してタンパク質源からアミノ酸を常温で数日、一般には7〜14日間抽出することによって得られる。麹菌に加えて乳酸菌等の味噌の製造に悪影響を及ぼさない菌類を添加してもよい。従って、このような無塩味噌製造用の総合アミノ酸も本発明の範囲内である。
【0017】
このような総合アミノ酸の添加は、一度に全量、原料を煮ている間に添加してもよくあるいは小分けして添加してもよいが、アミノ酸の変性またはラセミ化を考慮すると原料が完全に煮えた後に放冷した際、特に原料を潰す工程の直前にアミノ酸を添加することが好ましい。また、原料を浸漬するための水に予め総合アミノ酸を添加してもよい。
このように総合アミノ酸を添加した後、原料を潰しながら、総合アミノ酸を原料全体に均一になるようによく混ぜ合わせる。
このようにして得られた総合アミノ酸を添加した原料は、麹菌が選択的かつ排他的に育成する環境となる。換言すると、麹菌以外の雑菌、特にカビ類が繁殖できない環境となる。
【0018】
次いで、この原料に乾燥基準で50〜200質量%の麹菌を添加して24時間から48時間程度4℃〜35℃程度の温度で熟成することによって、塩分の添加されていない無塩味噌を製造することができる。
【0019】
このような本発明の無塩味噌の製造方法は、従来の味噌の製造方法に若干の改良を加えたものであり、既存の設備で容易に塩分の添加されていない味噌を製造することができる。
なお、本発明の無塩味噌の応用例として、所望により微量の塩分を添加することも本発明の範囲内である。従って本発明の方法は、塩分を調整した味噌の製造方法にまで拡大することができる。
塩分の調整として、麹菌の添加の際に若干の塩分を加える場合及び通常の味噌とのブレンドが挙げられる。
このようにして製造された味噌は、塩分が制限されている患者用のタンパク源はもとより、健常者等のタンパク源としても有効に使用できる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明するが、本発明は特定の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
無農薬大豆1000gを、オリエントグリーン株式会社からアルファアミノンの商品名で販売される水3.5Lに一晩浸した。次いで、この大豆をそのまま鍋にて大豆が柔らかくなるまでかき混ぜながら煮詰めた。大豆が柔らかくなった所で煮沸を中断した(約2〜3時間)。
次いで、これを放冷した後、アルギニン約70mg、リジン約110mg、ヒスチジン約40mg、フェニルアラニン約80mg、チロシン約50mg、ロイシン約130mg、イソロイシン約70mg、メチオニン約20mg、バリン約90mg、アラニン約70mg、グリシン約70mg、プロリン約60mg、グルタミン酸約160mg、セリン約70mg、スレオニン約60mg、アスパラギン酸約160mg、トリプトファン約30mgおよびシスチン約20mgを含有する総合アミノン酸を添加した。
次いで、アミノ酸が添加された大豆をよくすりつぶし、麹菌(大関酒造株式会社製)200gを添加し、そのまま放置して無塩味噌を製造した。
【0021】
<実施例2>
実施例1においてアルファアミノンの代わりに水道水を使用した以外、実施例1を繰り返して無塩味噌を製造した。この実施例において大豆が柔らかくなるまで大豆が柔らかくなるまでに約4〜5時間要した。
<比較例1>
実施例1において総合アミノ酸を添加しない以外、実施例1を繰り返して無塩味噌を製造した。
【0022】
<評価1>
実施例1、2および比較例1で得た無塩味噌を室温および冷蔵庫中で放置して、カビの繁殖の有無を目視評価した。
その結果、実施例1で得た無塩味噌は、3ヶ月以上室温(25℃)および冷蔵庫(4℃)で放置してもカビの繁殖は観察されず、そして実施例2で得た無塩味噌は、約1週間室温および冷蔵庫で放置してもカビの繁殖は観察されなかった。これに対して、室温および冷蔵庫で放置した比較例1で得た無塩味噌は、24〜48時間で多量の黒カビの発生が観察されたとともに腐敗臭が見られた。
【0023】
このことから、本発明の方法により所定のアミノ酸を添加することによってカビの繁殖を抑え長期間保存できることが判る。
<評価2>
実施例1および実施例2により製造した無塩味噌(製造後2日目)を10人に美味い、どちらとも言えない、不味いの三点評価によりパネル試験を行なった。その結果、実施例1で得られた無塩味噌を美味いと答えたもの9人、どちらとも言えないと答えたもの1人およびまずいと答えたもの0人であった。一方、実施例2で得られた無塩味噌を美味いと答えたもの7人、どちらとも言えないと答えたもの3人およびまずいと答えたもの0人であった。
【0024】
このことから、本発明により製造された無塩味噌、特に実施例1の方法により製造された無塩味噌が食品や調味料としておいしいものであると評価された。
【0025】
<評価3>
(a)市販のインスタント味噌汁(10g入り)10g、(b)市販のインスタント味噌汁(10g入り)5gと実施例1により製造された無塩味噌(製造1日後)5gとの混合物、(c)市販のインスタント味噌汁(10g入り)5gを熱湯180ccに溶してインスタント味噌汁を製造した。これらの味噌汁のうち一番美味い味噌汁について10人のパネラーに調査した所、(A)と答えたもの4名、(b)と答えたもの6名であった。逆に、これらの味噌汁のうち一番不味い味噌汁について10人のパネラーに調査した所、全員(C)であった。
このことから、本発明の無塩味噌は、味噌汁等の塩分調整用として十分使用できることが判った。
【0026】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の無塩味噌の製造方法は、塩化ナトリウムを添加しなくとも長期間保存可能な味噌を製造することが可能となる(請求項1)。
また、請求項2および請求項3に記載の発明によると、原料となる穀類のふやかす時間を短縮可能となるだけでなく、麹菌の排他的成長に好結果を及ぼす。さらに得られた無塩味噌が美味しくなるという効果も奏する。
Claims (3)
- 下記工程:
(a) 水中に味噌の原料となる穀類を少なくとも1時間浸漬する工程、
(b) 前記穀類を水中で穀類が柔らかくなるまで煮沸する工程、
(c) 少なくともアルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、トリプトファンおよびシスチンを含む総合アミノ酸を添加する工程、
(d) 前記穀類を潰す工程および
(e) 麹菌を潰した穀類に添加して室内または冷蔵手段で熟成させる工程
を含むことを特徴とする無塩味噌の製造方法。 - 前記水はクラスタが細分化された水であることを特徴とする請求項1に記載の無塩味噌の製造方法。
- 前記クラスタが細分化された水は、水に微細カーボンが分散された水であることを特徴とする請求項2に記載の無塩味噌の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003038958A JP2004215626A (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | 無塩味噌の製造方法 |
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---|---|---|---|---|
JP2007082441A (ja) * | 2005-09-21 | 2007-04-05 | Ajinomoto Co Inc | 呈味、風味の良好な速醸型味噌様食材の製造方法 |
JP2007129985A (ja) * | 2005-11-11 | 2007-05-31 | Ina Food Ind Co Ltd | 大豆発酵物含有食品、並びに食品の吸油量抑制組成物、食品の剥離性向上組成物、食品の乳化安定化組成物、糖類の結晶化阻害組成物、油脂の結晶化阻害組成物、メイラード反応促進組成物、食品の異臭・異味抑制組成物、及び澱粉食品の老化遅延化組成物 |
JP2009000065A (ja) * | 2007-06-22 | 2009-01-08 | Marusan I Kk | 無塩又は低塩のみそ系調味料の製造法及びその製品 |
JP2018033351A (ja) * | 2016-08-30 | 2018-03-08 | 片岡 二郎 | 味噌及びその製造方法 |
CN113057313A (zh) * | 2021-04-15 | 2021-07-02 | 贵州纳雍农和牧业有限责任公司 | 一种富硒氨基酸麦酱的制备方法 |
JP2021170964A (ja) * | 2020-04-22 | 2021-11-01 | 勝 大谷 | 香り及び/又は味の濃さを調節した味噌製品を生産する方法 |
-
2003
- 2003-01-14 JP JP2003038958A patent/JP2004215626A/ja active Pending
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