JP4883025B2 - 二次電池 - Google Patents

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Description

この発明は、ラミネートフィルムにて外装された二次電池に関し、特に高温環境下に晒されるような使用状態および/または作製方法であっても、高電池容量かつ高サイクル特性を維持することが可能な二次電池に関する。
近年、カメラ一体型VTR(Videotape recorder:ビデオテープレコーダ)、携帯電話あるいはラップトップコンピュータなどのポータブル電子機器が多く登場し、それらの小型化および軽量化が図られている。それに伴い、ポータブル電子機器の電源として用いられる電池の需要が急速に伸びており、機器の小型軽量化実現のために、電池設計も軽く、薄型であり、かつ機器内の収納スペースを効率的に使うことが求められている。このような要求を満たす電池として、エネルギー密度および出力密度の大きいリチウムイオン二次電池が最も好適である。
中でも、ラミネートフィルムを外装材として用いたリチウムイオン二次電池が広く用いられている。このようなリチウムイオン二次電池は、例えば、以下の特許文献1および特許文献2に示すように、電極端子を接続した帯状の正極および負極をセパレータを介して積層した後、長手方向に巻回して電池素子を作製する。そして、この電池素子をラミネートフィルムで外装して封止することにより、二次電池が作製される。二次電池は、保護回路が設けられた回路基板と接続し、例えば樹脂モールドケースや、硬質のラミネートフィルム等に収納することにより、電池パックとしている。ラミネートフィルムを外装材として用いた場合、軽量で、金属缶外装では難しい薄型大面積の電池を作製することができる。
特開2002−8606号公報 特開2005−166650号公報
また、電解液を高分子(マトリクスポリマ)によってゲル化し、正極および負極のそれぞれの表面に固定化したゲル電解質を用いたポリマー電池も実用化されている。マトリクスポリマとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)およびポリエチレンオキサイド(PEO)等が用いられる。ポリマー電池は、電解液の漏液がないため、非常に高い信頼性が得られる。
一方、ラミネートフィルムを外装材に用いた電池では、電池内部でガスが発生した場合、電池外形が変形しやすくなってしまう。このため、電解質の非水溶媒に、沸点の高い環状炭酸エステルが高い割合で含まれるようにすることで、電池内部でのガス発生を抑制するようにしている。環状炭酸エステルは、鎖状炭酸エステルと比較して高誘電率であり、高い電気伝導度を有している。このため、電解質塩の混合量を比較的少なくすることができる。
しかしながら、上述のような二次電池において、電池の高容量、高体積効率化を図るために正極活物質層および負極活物質層を厚くした場合、活物質層の一部に電池反応が起きにくい領域が生じるという問題が発生する。この問題は、電解質中の電解質塩の濃度をより高くすることにより解決できるが、電解質塩濃度が高くなったことにより、高温環境下で集電体と活物質層との密着性が低下して、場合によっては活物質層の剥離や剥落が生じてしまうという新たな問題が生じてしまう。活物質層の剥離および剥落は、電池容量やサイクル特性の低下につながってしまう。また、活物質層の剥離および剥落は、剥離・剥落した活物質層片がセパレータを突き破り、電極の短絡につながるおそれがある。活物質層の剥離または剥落は、高温環境下において活物質層中の結着剤が膨潤してしまうためであり、非水溶媒として誘電率の高い環状炭酸エステルを用いた場合は、結着剤の膨潤をさらに促進してしまうこととなる。
さらに、ポリマー電池においては、ゲル電解質を形成するために加熱工程を有する場合がある。これは、ポリマーをいったん溶解させるためであったり、ゲル電解質を架橋させるためであったり、または高温で溶融した状態のゲル電解質前駆体を電極表面に塗布する工程であったりしている。この場合、活物質層と電解質とが共存した状態で加熱されるため、活物質層中の結着剤が非水溶媒により膨潤して活物質層が集電体から剥落してしまい、電池の作製自体が困難となる場合もある。
このような問題は、活物質層における結着剤の含有量を増加させることでも解決可能であるが、電池反応に寄与しない結着剤が負極活物質層中で電池容量の低下が生じるため好ましくない。
また、活物質層と集電体との密着性が低下することは、電池の信頼性の点からも問題がある。例えば負極活物質層が負極集電体から剥落して負極集電体が露出してしまった場合、負極集電体が対向する正極集電体と短絡して発熱するおそれがある。発熱量が多く電池が異常発熱してしまった場合、負極中にポリフッ化ビニリデン等のフッ化ビニリデンを成分として含む結着剤を用いると、結着剤に含まれるフッ素と負極に吸蔵されたリチウムとの発熱反応により、電池温度がさらに上昇してしまい、結着剤の分解が生じるおそれもある。
したがって、この発明は、上記問題点を解決し、高温環境下に晒されるような使用状態、作製方法においても、高電池容量かつ高サイクル特性を維持すると共に、高い安全性を有する二次電池を提供することを目的とする。
課題を解決するため第1の発明の二次電池は、正極と、
負極集電体の少なくとも一方の面に負極活物質層が設けられた負極と、
電解質と、
正極、負極および電解質を収納するラミネートフィルム外装材と
を有する二次電池において、
電解質に含まれる非水溶媒が、環状炭酸エステルを全非水溶媒の80%以上100%以下含有し、
電解質に含まれる電解質塩が、六フッ化リン酸リチウム(LiPF 6 )および四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF 4 )の少なくとも一方であり、電解質塩の濃度が、1.2mol/kg以上1.8mol/kg以下であり、
負極活物質層が、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位を成分として含み、一部もしくは全部が架橋体である重合体を含有し、
負極活物質層と負極集電体との剥離強度が、負極活物質層を溶剤に漬け込んだのちにおいて、4mN/mm以上であることを特徴とする。
上述の二次電池では、電解質の非水溶媒が、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジエチルカーボネート(DEC)のうち、エチレンカーボネート(EC)およびプロピレンカーボネート(PC)の少なくとも一方を含む1種以上が混合されてなることが好ましい。
また、非水溶媒が、プロピレンカーボネート(PC)を30%以上80%以下含むことが好ましい。
また、電解質が、マトリクスポリマとしてフッ化ビニリデン成分を70質量%以上100質量%以下含有するゲル電解質であることが好ましい。
さらに、溶剤が、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)であることが好ましい。
また、第2の発明の二次電池は、正極と、
負極集電体の少なくとも一方の面に負極活物質層が設けられた負極と、
電解質と、
正極、負極および電解質を収納するラミネートフィルム外装材と
を有する二次電池において、
電解質に含まれる非水溶媒が、環状炭酸エステルを全非水溶媒の80%以上100%以下含有し、
電解質に含まれる電解質塩が、六フッ化リン酸リチウム(LiPF 6 )および四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF 4 )の少なくとも一方であり、電解質塩の濃度が、1.2mol/kg以上1.8mol/kg以下であり、
負極活物質層が、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位を成分として含み、一部もしくは全部が架橋体である重合体を含有し、
充電時における負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量が、230℃以上370℃以下の範囲内において、450J/g以下であることを特徴とする。
なお、上述の発熱量が400J/g以下であることがより好ましい。
また、第3の発明の二次電池は、正極と、
負極集電体の少なくとも一方の面に負極活物質層が設けられた負極と、
電解質と、
正極、負極および電解質を収納するラミネートフィルム外装材と
を有する二次電池において、
電解質に含まれる非水溶媒が、環状炭酸エステルを全非水溶媒の80%以上100%以下含有し、
電解質に含まれる電解質塩が、六フッ化リン酸リチウム(LiPF 6 )および四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF 4 )の少なくとも一方であり、電解質塩の濃度が、1.2mol/kg以上1.8mol/kg以下であり、
負極活物質層が、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位を成分として含み、一部もしくは全部が架橋体である重合体を含有し、
充電時における負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量の最大値と、100℃における発熱量との差が、1.60W/g以下であることを特徴とする。
なお、上述の発熱量の最大値と、100℃における発熱量との差が、1.40W/g以下であることがより好ましい。
この発明では、負極活物質層にフッ化ビニリデンを成分として含む重合体を含有するようにしたので、高温環境下における負極活物質層中の結着剤の膨潤を抑制し、負極活物質層と負極集電体との密着性を向上させることができる。
この発明によれば、高温環境下での使用もしくは電池を作製した場合であっても負極活物質層の剥離および/または剥落を抑制し、高電池容量かつ高サイクル特性等の高い電池特性および高い安全性を維持することが可能となる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下、ゲル電解質を用いた電池について説明するが、電解質はこれに限られるものではない。
(1)第1の実施形態
(1−1)二次電池の構成
この発明の一実施形態の二次電池に用いる負極は、例えば熱処理により負極活物質層中にフッ化ビニリデン(VdF)に由来する繰り返し単位を成分として含む重合体が含有され、負極活物質層と負極集電体との剥離強度が、負極活物質層を溶剤に漬け込んだのちにおいて、4mN/mm以上となるようにしたものである。なお、この発明において重合体とは、三次元網目構造を有するもの、すなわち架橋体を含むものとし、重合体の一部もしくは全部が架橋体である場合を含む。
図1Aは、この発明の一実施形態にかかる二次電池1の外観の一例を示す略線図であり、図1Bは、二次電池1の一構成例を示す略線図である。二次電池1は、図2に示す構成の電池素子10が、外装材であるラミネートフィルム4にて外装されたものである。電池素子10は、図3に示すように、帯状の正極11と、正極11と対向して配された帯状の負極12とが、セパレータ13と交互に積層され、長手方向に巻回されている。また、図示しないゲル電解質層が正極11および負極12の両面に形成されている。電池素子10からは、正極11と接続された正極端子2aと、負極12と接続された負極端子2b(以下、特定の電極端子を示さない場合は電極端子2と適宜称する)とが導出されている。
電池素子10は、外装材であるラミネートフィルム4にて外装されている。ラミネートフィルム4には、例えば予め絞り加工が施されることにより、凹部5が形成されている。電池素子10はこの凹部5に収納され、凹部5の開口を覆うようにラミネートフィルム4が配置され、凹部5開口の周囲を熱融着等により封止されている。このとき、正極端子2aおよび負極端子2bは、ラミネートフィルム4の封止部分から外部に導出される。正極端子2aおよび負極端子2bのうちラミネートフィルム4と接する部分には、正極端子2aおよび負極端子2bとラミネートフィルム4との接着性を向上させるために、密着フィルム3aおよび3bがそれぞれ被覆されている。
[負極]
図3は、この発明の一実施形態にかかる負極12の構成を示したものである。負極12は、例えば、一対の対向面を有する負極集電体12bの両面上に、負極活物質を含有する負極活物質層12aが形成されてなる。なお、図示しないが、負極集電体の片面のみに負極活物質層を形成する領域を設けてもよい。
負極集電体12bは、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有することが必要である。負極12は還元性の高い雰囲気に晒されるため、アルミニウム(Al)をはじめとする多くの金属はリチウム(Li)と合金を形成して粉末状になってしまう。このため、合金化を起こさない金属材料を用いる必要がある。このような金属材料としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)あるいはステンレス(SUS)等が挙げられる。特に、銅(Cu)は高い電気伝導性を有し、柔軟性に富んでいるため、好ましい。
負極活物質層12aは、例えば負極活物質と、導電剤と、結着剤とを含有して構成されている。負極活物質としては、リチウム金属、リチウム合金またはリチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料または金属系材料と炭素系材料との複合材料が用いられる。具体的に、リチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料としてはグラファイト、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素等が挙げられ、より具体的には熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス)、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。
特に、天然黒鉛および人造黒鉛などの黒鉛類は、化学的安定性に富みリチウムイオンの脱挿入反応も繰り返し安定して起こすことができ、さらに工業的にも容易に入手出来るため、リチウムイオン電池に広く用いられている。
また、炭素以外の材料としては多様な種類の金属ありは半金属等が使用可能であるが、例えば、リチウムと合金を形成可能なマグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)およびこれらの合金が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
さらに、リチウムをドープ、脱ドープできる材料としては、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnO2等の酸化物を使用することができる。
また、負極活物質層12aは、結着剤を含んでいる。結着剤としては、フッ化ビニリデン(VdF)に由来する繰り返し単位を成分として含む重合体が好ましい。二次電池内での安定性が高いからである。このような重合体としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)あるいはフッ化ビニリデン(VdF)を成分とする共重合体が挙げられる。共重合体の具体例としては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン(TFE)共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−カルボン酸共重合体、あるいはフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−カルボン酸共重合体などが挙げられる。フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−カルボン酸共重合体には、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−モノメチルマレイン酸エステル共重合体が挙げられる。結着剤としては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上述のような重合体は、負極活物質中において例えば架橋しており、これにより重合体の膨潤が抑制され、負極活物質層12aと負極集電体12bとの密着性を向上させることができるようになっている。
また、負極12を溶剤に漬け込んだのちにおける負極活物質層12aと負極集電体12bとの剥離強度は、4mN/mm以上であることが好ましく、5mN/mm以上であればより好ましい。溶剤に漬け込んだのちにおいても、この程度の剥離強度があれば、十分な特性を得ることができるからである。
なお、溶剤に漬け込んだのちの剥離強度は、例えば、以下の方法を用いて測定することができる。すなわち、負極12を溶剤に漬けた状態で80℃で1時間加熱した後、乾燥させる。その後、例えば、図4に示すように、負極活物質層12aに図示しないテープを貼り付け、テープを矢印方向(180°方向)に引っ張る引張試験により、負極活物質層12aの剥離強度を測定する。テープ幅は、例えば25mm幅の物が使用出来る。引張試験は、例えば、テープを100mm/minの速度で180°方向に60mm引っ張ることにより測定する事が出来る。剥離強度値は10mm−60mm間の平均値をとり、テープ幅で規格化した値とする。
このとき、溶剤には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が最も有効であるが、プロピレンカーボネート(PC)、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、またはジメチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン類、またはアセトンなどのケトン類を用いる。
[正極]
正極11は、一対の対向面を有する正極集電体11bの両面上に、正極活物質を含有する正極活物質層11aが形成されてなる。正極集電体11bとしては、例えばアルミニウム(Al)箔等の金属箔が用いられる。
正極活物質層11aは、例えば正極活物質と、導電剤と、結着剤とを含有して構成されている。正極活物質としては、LiXMO2(式中、Mは、一種以上の遷移金属を表し、xは、電池の充放電状態によって異なり、通常0.05以上1.10以下である)を主体とする、リチウムと遷移金属との複合酸化物が用いられる。リチウム複合酸化物を構成する遷移金属としては、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)およびマンガン(Mn)等が用いられる。
このようなリチウム複合酸化物として、具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)等が挙げられる。また、遷移金属元素の一部を他の元素に置換した固溶体も使用可能である。例えば、ニッケルコバルト複合リチウム酸化物(LiNi0.5Co0.52、LiNi0.8Co0.22等)がその例として挙げられる。これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度が優れたものである。さらに、正極活物質としてTiS2、MoS2、NbSe2、V25等のリチウムを有しない金属硫化物または金属酸化物を使用してもよい。正極活物質としては、これら材料を複数混合して用いてもよい。
また、導電剤としては、例えばカーボンブラックあるいはグラファイトなどの炭素材料等が用いられる。また、結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が用いられる。
[ラミネートフィルム]
外装材として用いるラミネートフィルム4は、図5に示されるように、金属箔4aの両面にそれぞれ外側樹脂層4bと内側樹脂層4cとが形成された、防湿性、絶縁性を有する多層フィルムからなる。外側樹脂層4bには、外観の美しさや強靱さ、柔軟性などからナイロン(Ny)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられる。金属箔4aは、水分、酸素、光の浸入を防ぎ、内容物である電池素子を守る最も重要な役割を担っており、軽さ、伸び性、価格、加工のしやすさからアルミニウム(Al)が最もよく使われる。内側樹脂層4cは、熱や超音波で溶け、互いに融着する部分であり、ポリオレフィン系樹脂材料、例えば無延伸ポリプロピレン(CPP)が多用される。
[セパレータ]
セパレータ13は、例えばポリプロピレン(PP)あるいはポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂材料よりなる多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜が積層された構造のものを用いてもよい。中でも、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)の多孔質フィルムが最も有効である。
一般的にセパレータの厚みは5μm以上50μm以下が好適に使用可能であるが、5μm以上20μm以下がより好ましい。セパレータは、厚すぎると活物質の充填量が低下して電池容量が低下するとともに、イオン伝導性が低下して電流特性が低下する。逆に薄すぎると、膜の機械的強度が低下し、異物などで正負両極がショートしたり、破れたりする。
[電解質]
電解質は、リチウムイオン二次電池に一般的に使用される電解質塩と非水溶媒が使用可能である。非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)およびエチレンカーボネート(EC)および/または環状炭酸エステルが全非水溶媒の80%以上100%以下含有されている。また、非水溶媒は、環状炭酸エステルの他に、鎖状炭酸エステルであるジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジエチルカーボネート(DEC)のうち、1種以上が混合されていてもよい。環状炭酸エステルが80%未満の場合、電解質の沸点が低い鎖状炭酸エステルの割合が増えるため、電池内部における電解質の分解に伴うガス発生が生じやすく、電池膨れが発生しやすくなる。また、電解質の誘電率が低くなり、電気伝導度が小さくなってしまう。
また、環状炭酸エステルのうち、プロピレンカーボネート(PC)が全非水溶媒の30%以上80%以下含まれることが好ましい。プロピレンカーボネート(PC)は、負極の黒鉛と反応して分解し、ガスになってしまうため、プロピレンカーボネート(PC)単独での使用は難しく、他の溶媒と混合して用いることが多い。黒鉛との反応性が低い溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)がよく知られ、広く用いられている。エチレンカーボネート(EC)は環状炭酸エステルの一つで沸点も高いため、好適である。
プロピレンカーボネート(PC)の含有量はエチレンカーボネート(EC)との相対的な関係で決定される。プロピレンカーボネート(PC)の含有量が30%未満であった場合、エチレンカーボネート(EC)の含有量が70%を超えるが、エチレンカーボネート(EC)は融点38℃であるため、非水溶媒が低温となった際のイオン伝導率が小さくなり、電池の低温特性が悪くなってしまう。また、プロピレンカーボネート(PC)の含有量が80%を超える場合、エチレンカーボネート(EC)の含有量が20%未満となり、黒鉛との反応性が高くなり、容量低下、初回充電時のプロピレンカーボネート(PC)分解に伴うガス発生による電池膨れが問題となってしまう。ここで、「%」は、重量百分率を表す。
電解質塩としては、上記非水溶媒に溶解するものが用いられ、カチオンとアニオンが組み合わされてなる。カチオンにはアルカリ金属やアルカリ土類金属が用いられる。アニオンには、Cl-、Br-、I-、SCN-、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CF3SO3 -等が用いられる。具体的には、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3SO22)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(C25SO22)過塩素酸リチウム(LiClO4)等が挙げられる。電解質塩濃度としては、リチウムイオン濃度が非水溶媒に対して0.8mol/kg以上1.8mol/kg以下の範囲とされる。
ゲル電解質を用いる場合は、非水溶媒と電解質塩とを混合した電解液をマトリクスポリマに取り込むことでゲル電解質を得る。マトリクスポリマは、非水溶媒に相溶可能な性質を有している。このようなマトリクスポリマとしては、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリフォスファゼン変性ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドおよびこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変性ポリマー等が用いられる。また、フッ素系ポリマーとして、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン(VdF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、フッ化ビニリデン(VdF)−テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体等、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位を含むポリマーが挙げられる。このようなポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよく、フッ化ビニリデン(VdF)成分を70質量%以上100質量%以下含有していることが好ましい。
(1−2)二次電池の製造方法
上述のような構成の二次電池1は、以下のようにして作製する。
[正極の作製]
まず、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを均一に混合して正極合剤とし、この正極合剤を溶剤中に分散させてスラリー状にする。次に、このスラリーをドクターブレード法等により正極集電体11b上に均一に塗布し、乾燥させて溶剤を除去した後、ロールプレス機等で圧縮成型することにより、正極活物質層11aを形成する。ここで、正極活物質、導電剤、結着剤および溶剤は、均一に分散していればよく、その混合比は問わない。
次に、正極集電体11bの一端部にスポット溶接または超音波溶接により正極端子2aを接続する。この正極端子2aは金属箔、網目状のものが望ましいが、電気化学的および化学的に安定であり、導通がとれるものであれば金属でなくとも問題はない。
[負極の作製]
続いて、負極活物質と、結着剤と、必要であれば導電剤とを均一に混合して負極合剤とし、この負極合剤を溶剤中に分散させてスラリー状にする。次にこのスラリーをドクターブレード法等により負極集電体12b上に均一に塗布し、乾燥させて溶剤を除去した後、ロールプレス機等で圧縮成型する。ここで、負極活物質、導電剤、結着剤および溶剤は、均一に分散していればよく、その混合比は問わない。
続いて、負極集電体12b上に圧縮成型された負極活物質層前駆体に、電子線あるいは紫外線等を照射するか、もしくは負極活物質層前駆体を加熱することにより、負極活物質層前駆体中の結着剤を重合させて、負極活物質層12aを形成する。このとき、電子線あるいは紫外線等の照射時間および出力、または加熱時間等の諸条件を適宜変化させることにより、結着剤の重合の度合いを調整する。これにより、この発明の負極12が得られる。
電子線あるいは紫外線を負極活物質層前駆体に照射する場合は、3分以上照射することが好ましい。また、電子線あるいは紫外線の照射時間は、長くなるほど重合の度合いが増し、負極活物質層12aと負極集電体12bとの剥離強度が強く、また電池特性も向上するため好ましい。電子線あるいは紫外線の照射時間が3分未満の場合、結着剤の重合の度合いが低く、十分な剥離強度を得られないおそれがある。
負極活物質層前駆体を加熱する場合は、180℃以上の高温で加熱することが好ましい。また、負極活物質層前駆体の加熱温度は、高くなるほど重合の度合いが増し、負極活物質層12aと負極集電体12bとの剥離強度が強く、また電池特性も向上するため好ましい。負極活物質層前駆体の加熱温度が180℃未満の場合、結着剤の重合の度合いが低く、十分な剥離強度を得られないおそれがある。
次に、負極集電体12bの一端部にスポット溶接または超音波溶接により負極端子2bを接続する。この負極端子2bは金属箔、網目状のものが望ましいが、電気化学的および化学的に安定であり、導通がとれるものであれば金属でなくとも問題はない。
なお、正極端子2aおよび負極端子2bは同じ方向から導出されていることが好ましいが、短絡等が起こらず電池性能にも問題がなければ、どの方向から導出されていても問題はない。また、正極端子2aおよび負極端子2bの接続箇所は、電気的接触がとれているのであれば取り付ける場所、取り付ける方法は上記の例に限られない。
[ゲル電解質層の形成]
環状炭酸エステルが80%以上100%以下含有された非水溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)または四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)等の電解質塩を0.8mol/kg以上1.8mol/kg以下の濃度となるように溶解して電解液を作製した後、例えばフッ化ビニリデン(VdF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体等のマトリクスポリマと電解液とを混合させてゾル状の電解質を作製する。
続いて、ゾル状の電解質を正極活物質層11aおよび負極活物質層12a上にそれぞれ塗布し、冷却してゲル電解質層を形成する。または、例えばジメチルカーボネート(DMC)等を希釈溶剤として低粘度のゾルを作製し、正極活物質層11aおよび負極活物質層12a上にそれぞれ塗布した後、希釈溶剤を揮発させてゲル電解質層を形成することもできる。
この後、正極11、セパレータ3、負極12およびセパレータ3を順次積層し、この積層体を長手方向に多数回巻回する。そして、巻回最外周に保護テープを設けることにより、巻回型の電池素子10を作製する。
次に、予め内側樹脂層4cから外側樹脂層4b方向に向けて絞り加工が施されることにより凹部5が形成されたラミネートフィルム4を用い、図1Bに示すように、凹部5に電池素子10が収納されるようにして外装する。このとき、ラミネートフィルム4の内側樹脂層4c同士が対向するようにして外装する。続いて、減圧しながらラミネートフィルム4に形成された凹部5の開口の周囲部分を熱融着することにより、二次電池1が作製される。
なお、二次電池1は、以下のような方法により作製しても良い。まず、上述の方法と同様にして正極端子2aが接続された正極11と、負極端子2bが接続された負極12とを作製し、セパレータ3を介して積層および巻回し、巻回最外周に保護テープを設けて電池素子10を作製する。このとき、ゲル電解質層は設けられていない。次に、電池素子10をラミネートフィルム4にて外装し、一辺を除く外周縁部を熱融着して、ラミネートフィルム4を袋状とする。続いて、非水溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤等の他の材料とを含む電解質用組成物とを用意し、袋状のラミネートフィルム4の内部に注入する。
電解質用組成物を注入した後、ラミネートフィルム4の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次に、電池素子10と電解質用組成物とが収納されたラミネートフィルム4を加熱してモノマーを重合させ、高分子化合物とすることにより、ゲル電解質を形成し、二次電池1を作製する。
第1の実施形態の二次電池1は、負極活物質層12a中にフッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位を成分として含む重合体を含有しているため、高温環境下で二次電池1を使用した場合や、負極12が高温環境に晒される電池作製方法を用いた場合においても、負極集電体12bから負極活物質層12aが剥離および/または剥落することを抑制することができる。
また、結着剤の含有量を増加させることなく負極集電体12bから負極活物質層12aが剥離および/または剥落することを抑制することができるため、電池容量を低下させることなく、高電池特性を有する二次電池を得ることができる。
(2)第2の実施形態
(2−1)二次電池の構成
第2の実施形態では、負極以外の構成は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、第2の実施形態における負極の構成は第1の実施形態における負極と同一であるため、以下の説明では同一の符号を用いて説明する。
[負極]
第2の実施形態の二次電池に用いる負極12は、第1の実施形態と同様に、一対の対向面を有する負極集電体12bの両面上に、負極活物質を含有する負極活物質層12aが形成されてなる。負極活物質層12aは、例えば負極活物質と、導電剤と、結着剤とを含有して構成されている。負極活物質としては、リチウム金属、リチウム合金またはリチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料または金属系材料と炭素系材料との複合材料が用いられる。負極活物質、導電剤および結着剤は、第1の実施形態と同様の材料を用いることができる。
第2の実施形態における負極12は、負極活物質層12aが加熱処理されることにより、負極活物質に吸蔵されたリチウムと発熱反応して電池温度を上昇させてしまう負極活物質層中のフッ素の量を減少させたものである。加熱処理は、負極活物質層12aに含まれる結着剤の融点以上の温度で行われる。これにより、負極活物質に吸蔵されたリチウムなどと、結着剤中のフッ素との発熱反応による電池温度の上昇が抑制されるようになっている。
具体的には、リチウムなどを吸蔵した負極活物質層12a、すなわち充電状態の負極活物質層12aを示差走査熱量測定(DSC;Differential Scanning Calorimetry)した際に、リチウムとフッ素との反応ピークがある230℃以上370℃以下の範囲内において、発熱量の総量が450J/g以下であることが好ましく、400J/g以下であればより好ましい。または、充電状態の負極活物質層12aを示差走査熱量測定した際に、リチウムとフッ素との反応ピークがある230℃以上370℃以下の範囲内において、発熱量の最大値と、100℃における発熱量との差が1.60W/g以下であることが好ましく、1.40W/g以下であればより好ましい。この範囲内であれば、負極活物質層12aの負極集電体12bに対する密着性を高め、発熱反応を抑制する効果が高いからである。
(2−2)二次電池の製造方法
上述のような構成の二次電池1は、以下のようにして作製する。なお、以下、負極12の製造方法についてのみ説明する。
[負極の作製]
負極活物質と、結着剤と、必要であれば導電剤とを均一に混合して負極合剤とし、この負極合剤を溶剤中に分散させてスラリー状にする。次にこのスラリーを負極集電体12b上に均一に塗布し、乾燥させて溶剤を除去した後、ロールプレス機等で圧縮成型する。
続いて、負極集電体12b上に圧縮成型された負極活物質層前駆体を加熱することにより、負極活物質層前駆体中のフッ素量を減少させて負極活物質層12aを形成する。
負極活物質層前駆体は、結着剤の融点以上の温度で加熱する。結着剤としてポリフッ化ビニリデンを用いる場合、その融点は130℃〜170℃程度である。負極活物質層前駆体の加熱温度は、高くなるほどフッ素量の減少が大きくなり、負極活物質に吸蔵されたリチウムと負極活物質層12a中のフッ素との発熱反応が起こりにくくなるため好ましい。負極活物質層前駆体の加熱温度が150℃未満の場合、結着剤のフッ素の減少量が少なく、負極活物質に吸蔵されたリチウムと負極活物質層12a中のフッ素との発熱反応が抑制できないおそれがある。
次に、負極集電体12bの一端部にスポット溶接または超音波溶接により負極端子2bを接続する。この負極端子2bは金属箔、網目状のものが望ましいが、電気化学的および化学的に安定であり、導通がとれるものであれば金属でなくとも問題はない。
第2の実施形態の二次電池1は、リチウムとフッ素との反応ピークがある230℃以上370℃以下の範囲内において、充電状態の負極活物質層の発熱量が450J/g以下または、充電状態における負極活物質層の発熱量の最大値と、100℃における発熱量との差が1.60W/g以下とすることにより、負極活物質層12a中に含有されるフッ素量が減少するため、負極活物質に吸蔵されたリチウムとの発熱反応が抑制される。また、これに伴って電池の異常発熱時においても結着剤の分解を抑制することができる。このため、結着剤の含有量を増加させることなく負極集電体12bから負極活物質層12aが剥離および/または剥落することを抑制することができるため、電池容量を低下させることなく、高電池特性および高い安全性を有する二次電池を得ることができる。
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
(1)負極処理方法:電子線照射
<サンプル1>
[正極の作製]
炭酸リチウム(Li2CO3)と炭酸コバルト(CoCO3)とを0.5:1のモル比で混合し、空気中において900℃で5時間焼成してコバルト酸リチウム(LiCoO2)を得た。続いて、正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)と、導電剤である黒鉛と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを質量比91:6:3となるように均一に混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状の正極合剤を調製した。このスラリー状の正極合剤を、厚さ20μmのアルミニウム(Al)箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布し、120℃雰囲気下で12時間減圧乾燥することにより正極活物質層を形成した。次に、これをロールプレス機で加圧成型することにより正極シートとし、当該正極シートを帯状に切り出して正極とした。
さらに、正極集電体上の正極活物質層未形成部分にアルミニウム(Al)リボンからなる正極端子を溶接した。なお、アルミニウム(Al)リボンには、後にラミネートフィルムで外装する際にラミネートフィルムと対向する部分に、酸変性ポリプロピレンからなる密着フィルムを設けた。
[負極の作製]
負極活物質として、平均粒径20μmのメソフェーズ黒鉛小球体を用い、結着剤として、フッ化ビニリデンとモノメチルマレイン酸エステルとが質量比99:1で共重合された数平均分子量80万の共重合体を用い、負極活物質と結着剤とが質量比95:5となるように均一に混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状の負極合剤を調製した。次に、このスラリー状の負極合剤を、厚さ15μmの銅(Cu)箔からなる負極集電体の両面に、それぞれ厚さ50μmで均一に塗布し、120℃雰囲気下で10分間減圧乾燥することにより負極活物質層を形成した。次に、これをロールプレス機で加圧成型することにより負極シートとし、当該負極シートを帯状に切り出した。
続いて、負極活物質層に対して電子線照射を行わず、負極活物質層中の結着剤を重合(架橋)させることなく負極とした。さらに、負極集電体上の負極活物質層未形成部分にニッケル(Ni)リボンからなる負極端子を溶接した。なお、ニッケル(Ni)リボンには、後にラミネートフィルムで外装する際にラミネートフィルムと対向する部分に、酸変性ポリプロピレンからなる密着フィルムを設けた。
[ゲル電解質層の形成]
非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とを質量比4:6で混合した混合溶媒を用い、この混合溶媒に、電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が0.3mol/kgとなるように溶解させ、非水電解液を作製した。また、マトリクスポリマとして、フッ化ビニリデン(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とが質量比93:7で共重合された数平均分子量70万の共重合体を、希釈溶剤としてジメチルカーボネート(DMC)を用い、マトリクスポリマと、非水電解液と、希釈溶剤とを質量比1:10:10で混合し、70℃で溶解してゾル状の電解質を得た。
次に、正極および負極のそれぞれの両面に、上述のゾル状の電解質を塗布し、100℃の温風で希釈溶剤を揮発させることにより、正極および負極表面に厚さ20μmのゲル電解質層を形成した。続いて、ゲル電解質層が形成された正極と負極とを、厚さ20μmの多孔質ポリエチレンフィルムからなるセパレータを介して積層、巻回し、電池素子を作製した。
さらに、作製した電池素子をアルミラミネートフィルムで外装し、封止して二次電池とした。アルミラミネートフィルムは、厚さ40μmのアルミニウム(Al)箔の両面に、厚さ30μmのナイロン(Ny)フィルムと、厚さ30μmの結晶性ポリプロピレン(PP)フィルムをそれぞれ貼り合わせた構造とし、結晶性ポリプロピレンフィルム側を内側(電池素子側)とした。電池素子は、アルミラミネートフィルムに予め形成された凹部に収容し、アルミラミネートフィルムを折り返して凹部の開口を覆った後、折り返した一辺を除く外周縁部の三辺を熱融着し、真空封止した。正極端子および負極端子は、アルミラミネートフィルムの封止部分から外部に導出した。また、正極端子および負極端子と、アルミラミネートフィルムとが対向する部分は、密着フィルムにより気密性高く封止した。
<サンプル2>
負極活物質層前駆体に対して電子線を3分間照射し、負極活物質層中の結着剤を重合(架橋)させた以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル3>
負極活物質層前駆体に対して電子線を10分間照射し、負極活物質層中の結着剤を重合(架橋)させた以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル4>
負極活物質層前駆体に対して電子線を30分間照射し、負極活物質層中の結着剤を重合(架橋)させた以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル5>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が0.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させた以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル6>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が0.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、負極活物質層前駆体に対して電子線を3分間照射した以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル7>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が0.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、負極活物質層前駆体に対して電子線を10分間照射した以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル8>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が0.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、負極活物質層前駆体に対して電子線を30分間照射した以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル9>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.2mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させた以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル10>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.2mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、負極活物質層前駆体に対して電子線を3分間照射した以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル11>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.2mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、負極活物質層前駆体に対して電子線を10分間照射した以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル12>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.2mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、負極活物質層前駆体に対して電子線を30分間照射した以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル13>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させた以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル14>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、負極活物質層前駆体に対して電子線を3分間照射した以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル15>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、負極活物質層前駆体に対して電子線を10分間照射した以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル16>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、負極活物質層前駆体に対して電子線を30分間照射した以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル17>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.9mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させた以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル18>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.9mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、負極活物質層前駆体に対して電子線を3分間照射した以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル19>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.9mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、負極活物質層前駆体に対して電子線を10分間照射した以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル20>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.9mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、負極活物質層前駆体に対して電子線を30分間照射した以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。
(2)負極処理方法:真空中加熱
<サンプル21>
負極活物質層をロールプレス機で加圧成型した帯状の負極シートを、真空中において、加熱温度25℃で12時間加熱した以外はサンプル1と同様にして二次電池を作製した。なお、加熱時間12時間のうち、加熱開始から4時間は昇温時間とする。
<サンプル22>
加熱温度を180℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル23>
加熱温度を200℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル24>
加熱温度を220℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル25>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が0.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させた以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル26>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が0.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、加熱温度を180℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル27>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が0.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、加熱温度を200℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル28>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が0.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、加熱温度を220℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル29>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.2mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させた以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル30>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.2mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、加熱温度を180℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル31>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.2mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、加熱温度を200℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル32>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.2mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、加熱温度を220℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル33>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させた以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル34>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、加熱温度を180℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル35>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、加熱温度を200℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル36>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.8mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、加熱温度を220℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル37>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.9mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させた以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル38>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.9mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、加熱温度を180℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル39>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.9mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、加熱温度を200℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル40>
電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が1.9mol/kgとなるように混合溶媒に溶解させ、加熱温度を220℃とした以外はサンプル21と同様にして二次電池を作製した。
[特性評価]
(a)高温サイクル試験
サンプル1ないしサンプル40の各二次電池について、60℃の環境下において、1Cの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.2Vの定電圧で充電時間の合計が2.5時間となるまで定電圧充電を行った。次に、1Cの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで定電流放電を行い、1サイクル目の放電容量を測定した。
続いて、同様の条件で充放電を400サイクル行った後、400サイクル目の放電容量を測定し、1サイクル目の放電容量に対する400サイクル目の放電容量の容量維持率を算出した。
なお、容量維持率は70%以上を良品とした。
(b)高温保存試験
サンプル1ないしサンプル40の各二次電池について、1Cの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.2Vの定電圧で充電時間の合計が2.5時間となるまで定電圧充電を行った。さらに、二次電池を80℃の環境下において14日間保存した後、0.2Cの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで定電流放電を行い、残存容量を測定した。(a)のサイクル試験で測定した1サイクル目の放電容量を保存前容量として、保存前容量に対する残存容量の維持率を算出した。
これを再び同様の条件で充電、放電を行い、回復容量を測定した。(a)のサイクル試験で測定した1サイクル目の放電容量を保存前容量として、保存前容量に対する回復容量の回復率を算出した。
なお、残存容量は維持率61%以上、回復容量は、回復率85%以上を良品とした。
(c)溶解剥離試験
サンプル1ないしサンプル40の各二次電池について、1Cの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.2Vの定電圧で充電時間の合計が2.5時間となるまで定電圧充電を行った。次に、各二次電池を解体して負極を取り出し、ジメチルカーボネート(DMC)で洗浄した。さらに、この負極を80℃の環境下でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に1時間含浸させた後乾燥し、負極集電体と負極活物質との剥離強度を測定した。
剥離強度は、負極活物質層にテープを貼り付け、テープを図4の矢印方向(180°方向)に引っ張ることにより測定する。テープは幅25mmとし、テープを100mm/minの速度で180°方向に60mm引っ張った。剥離強度値は、10mm−60mm間の平均値をとり、テープ幅で規格化した値とした。
以下の表1に、サンプル1ないしサンプル20の各二次電池の評価結果を示す。また、表2に、サンプル21ないしサンプル40の各二次電池の評価結果を示す。なお、以下の表中では、負極活物質層が負極集電体から剥落していないものについては「○」、負極活物質層が負極集電体から剥落しているものについては「×」とする。
Figure 0004883025
Figure 0004883025
表1に示すように、電解質における電解質塩濃度が0.8mol/kgの場合、電子線照射時間が0分であるサンプル5は負極活物質層の剥落は生じていないものの、負極集電体と負極活物質層の剥離強度が低くなってしまう。同様の電解質塩濃度(0.8mol/kg)で電子線照射を行い、結着剤を重合(架橋)させたサンプル6ないしサンプル8の二次電池は、電子線照射を行わないサンプル5と比較して容量維持率、保存試験維持率、保存試験回復率および剥離強度の全てが向上した。また、電子線の照射時間が長くなるにつれて剥離強度が大きくなり、電池特性もより向上した。
また、電解質における電解質塩濃度が1.2mol/kgおよび1.8mol/kgの場合においても同様に、電子線照射を行い、結着剤を重合(架橋)させた二次電池は、電子線照射を行わない二次電池と比較して電池特性が向上した。また、電子線の照射時間が長くなるにつれてより高い特性を有する二次電池を得ることができた。
一方、電解質における電解質塩濃度が0.3mol/kgであるサンプル1ないしサンプル4では、電解質塩濃度が低いため、電子線の照射時間に関わらず負極活物質層の剥離・剥落は生じない。しかしながら、電解質塩濃度が低いことから電池反応が十分に起こらず、電池特性は低くなってしまう。
また、電解質における電解質塩濃度が1.9mol/kgであるサンプル17ないしサンプル20では、電解質塩濃度が高すぎるため、電子線の照射時間に関わらず負極集電体と負極活物質層との密着性の低下や負極活物質の剥離・剥落が生じてしまい、電池特性も低下してしまう。
また、表2に示すように、電解質における電解質塩濃度が0.8mol/kgの場合、加熱温度が25℃であるサンプル25は負極活物質層の剥落は生じていないものの、負極集電体と負極活物質層の剥離強度が低くなってしまう。同様の電解質塩濃度で加熱温度を180℃〜220℃とし、結着剤を重合(架橋)させたサンプル26ないしサンプル28の二次電池は、サンプル25と比較して容量維持率、保存試験維持率、保存試験回復率および剥離強度の全てが向上した。また、加熱温度が高くなるにつれて剥離強度が大きくなり、電池特性もより向上した。
サンプル29およびサンプル33では、サンプル25よりも電解質塩濃度が高くなるため、負極活物質層が剥落する。しかしながら、加熱温度を180℃以上としたサンプル30ないしサンプル32およびサンプル34ないしサンプル36では、剥離強度が向上し、容量維持率、保存試験維持率、保存試験回復率および剥離強度の全てが良好な値となった。
サンプル21ないしサンプル24は、サンプル1ないしサンプル4と同様に、電解質塩濃度が低すぎるため、負極の剥落は生じないものの、電池反応が十分に起こらず電池特性が低下してしまう。また、サンプル37ないしサンプル40は、サンプル17ないしサンプル20と同様に、電解質塩濃度が高すぎるため、負極活物質層中の結着剤を重合(架橋)させても負極活物質層が剥落してしまい、電池特性が低下してしまう。
上述の評価から、電解質塩濃度が0.8mol/kg以上1.8mol/kg以下の二次電池においては、電子線照射もしくは真空中加熱のいずれの方法を用いた場合であっても、負極活物質層中の結着剤が重合(架橋)し、剥離強度が4mN/mm以上であれば、容量維持率、保存試験維持率、保存試験回復率が良好な二次電池を得ることができることが分かる。
<実施例2>
実施例2では、負極活物質層を加熱して負極活物質層中のフッ素量を調整して電池性能を評価する。負極活物質層中のフッ素量は、充電状態の負極活物質層を示差走査熱量測定した際に、リチウムとフッ素との反応ピークがある230℃以上370℃以下の範囲内における発熱量、および発熱量の最大値と100℃における発熱量との差によって示す。
<サンプル41>
[正極の作製]
正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)と、導電剤である黒鉛と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)との質量比を91:6:10となるようにした以外はサンプル1と同様にして正極を作製した。
[負極の作製]
負極活物質である粉砕した黒鉛粉末と、結着剤であるポリフッ化ビニリデンとを、質量比90:10となるように均一に混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状の負極合剤を調製した。次に、このスラリー状の負極合剤を、厚さ15μmの銅(Cu)箔からなる負極集電体の両面に、それぞれ厚さ50μmで均一に塗布し、120℃雰囲気下で10分間減圧乾燥することにより負極活物質層を形成した。次に、これをロールプレス機で加圧成型し、さらに80℃で加熱処理することにより負極シートとし、当該負極シートを帯状に切り出した。加熱処理は、アルゴン(Ar)雰囲気下のオーブンで指定の温度に8時間電極を晒すことで行った。
続いて、負極集電体上の負極活物質層未形成部分にニッケル(Ni)リボンからなる負極端子を溶接した。なお、ニッケル(Ni)リボンには、後にラミネートフィルムで外装する際にラミネートフィルムと対向する部分に、酸変性ポリプロピレンからなる密着フィルムを設けた。
[ゲル電解質層の形成]
非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とを質量比1:1で混合した混合溶媒を用い、この混合溶媒に、電解質塩である六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を重量モル濃度が0.3mol/kgとなるように溶解させ、非水電解液を作製した。また、マトリクスポリマとして、フッ化ビニリデン(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とが質量比93:7で共重合された数平均分子量70万の共重合体を、希釈溶剤としてジメチルカーボネート(DMC)を用い、マトリクスポリマと、非水電解液と、希釈溶剤とを質量比1:10:10で混合し、70℃で溶解してゾル状の電解質を得た。
次に、正極および負極のそれぞれの両面に、上述のゾル状の電解質を塗布し、100℃の温風で希釈溶剤を揮発させることにより、正極および負極表面に厚さ20μmのゲル電解質層を形成した。続いて、ゲル電解質層が形成された正極と負極とを、厚さ20μmの多孔質ポリエチレンフィルムからなるセパレータを介して積層、巻回し、電池素子を作製した。
さらに、作製した電池素子をアルミラミネートフィルムで外装し、封止して二次電池とした。アルミラミネートフィルムは、サンプル1と同様のものを用いた。
なお、この二次電池は、充電時における負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は、230℃以上370℃以下の範囲内において550J/gであった。また、充電時における負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量の最大値と、100℃における発熱量との差は、1.80W/gであった。
上述の発熱量、および、発熱量の最大値と100℃における発熱量との差(以下、発熱量差と適宜称する)は、以下の手順により測定した。まず、電池電圧が4.20Vになるように二次電池を充電したのち、これを解体して負極を取り出し、ジメチルカーボネート(DMC)で洗浄した。次に、この負極の負極活物質層を4mg採取し、示差走査熱量測定を行い、230℃〜370℃における発熱量と、発熱量差とを測定した。なお、示差走査熱量測定は、セイコーインスツル社製の示差走査熱量計DSC220Uを用い、測定に用いる基準物質をアルミナ(Al23)、走査速度を10℃/分とした。
<サンプル42>
負極の加熱処理温度を150℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は450J/gであり、発熱量差は1.60W/gであった。
<サンプル43>
負極の加熱処理温度を200℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は400J/gであり、発熱量差は1.40W/gであった。
<サンプル44>
負極の加熱処理温度を220℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は300J/gであり、発熱量差は1.30W/gであった。
<サンプル45>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を0.8mol/kgとした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル46>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を0.8mol/kgとし、負極の加熱処理温度を150℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は450J/gであり、発熱量差は1.60W/gであった。
<サンプル47>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を0.8mol/kgとし、負極の加熱処理温度を200℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は400J/gであり、発熱量差は1.40W/gであった。
<サンプル48>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を0.8mol/kgとし、負極の加熱処理温度を220℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は300J/gであり、発熱量差は1.30W/gであった。
<サンプル49>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を1.2mol/kgとした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル50>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を1.2mol/kgとし、負極の加熱処理温度を150℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は450J/gであり、発熱量差は1.60W/gであった。
<サンプル51>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を1.2mol/kgとし、負極の加熱処理温度を200℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は400J/gであり、発熱量差は1.40W/gであった。
<サンプル52>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を1.2mol/kgとし、負極の加熱処理温度を220℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は300J/gであり、発熱量差は1.30W/gであった。
<サンプル53>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を1.8mol/kgとした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル54>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を1.8mol/kgとし、負極の加熱処理温度を150℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は450J/gであり、発熱量差は1.60W/gであった。
<サンプル55>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を1.8mol/kgとし、負極の加熱処理温度を200℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は400J/gであり、発熱量差は1.40W/gであった。
<サンプル56>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を1.8mol/kgとし、負極の加熱処理温度を220℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は300J/gであり、発熱量差は1.30W/gであった。
<サンプル57>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を1.9mol/kgとした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。
<サンプル58>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を1.9mol/kgとし、負極の加熱処理温度を150℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は450J/gであり、発熱量差は1.60W/gであった。
<サンプル59>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を1.9mol/kgとし、負極の加熱処理温度を200℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は400J/gであり、発熱量差は1.40W/gであった。
<サンプル60>
非水電解液における六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)の重量モル濃度を1.9mol/kgとし、負極の加熱処理温度を220℃とした以外はサンプル41と同様にして二次電池を作製した。この二次電池の負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量は300J/gであり、発熱量差は1.30W/gであった。
[特性評価]
(a)高温保存試験
サンプル41ないしサンプル60の各二次電池について、1Cの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.2Vの定電圧で充電時間の合計が2.5時間となるまで定電圧充電を行った。次に、1Cの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで定電流放電を行い、放電容量を測定して保存前容量とした。
続いて、別のサンプル41ないしサンプル60の各二次電池について、1Cの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.2Vの定電圧で充電時間の合計が2.5時間となるまで定電圧充電を行った。さらに、二次電池を60℃の環境下において14日間保存した後、0.2Cの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで定電流放電を行って残存容量を測定し、保存前容量に対する残存容量の維持率を算出した。
さらに、これを再び同様の条件で充電、放電を行い、回復容量を測定し、保存前容量に対する回復容量の回復率を算出した。
なお、残存容量は、維持率65%以上、回復容量は、回復率85%以上を良品とした。
(b)解体観察
保存試験後のサンプル41ないしサンプル60の各二次電池について、電池を解体して負極活物質層の様子を確認した。
(c)釘刺し試験
サンプル41ないしサンプル60の各二次電池について、1Cの定電流で電池電圧が4.35Vに達するまで定電流充電を行ったのち、この電池の厚み方向に直径2.5mmの釘を貫通させて電池の最高到達温度を測定した。
以下の表3に、サンプル41ないしサンプル60の各二次電池の評価結果を示す。なお、以下の表中では、負極活物質層が負極集電体から剥落していないものについては「○」、負極集電体と負極活物質層との剥離強度が低く、負極活物質層が負極集電体から剥落しているものについては「×」とした。また、釘刺し試験において、電池が異常発熱し、ガスが噴出したものについては「ガス噴出」とした。ガスが噴出した電池は、電池の最高到達温度が300℃以上となった。
Figure 0004883025
表3に示すように、電解質における電解質塩濃度が0.8mol/kgの場合、加熱温度が80℃であるサンプル45は負極活物質層の剥落が生じてしまった。また、釘刺し試験において電池が異常発熱し、ガスが噴出してしまった。同様の電解質塩濃度(0.8mol/kg)において、負極の加熱温度を結着剤の融点以上の150℃以上とし、負極活物質層中のフッ素量を減少させたサンプル46ないしサンプル48の二次電池は、サンプル45と比較して保存試験維持率、保存試験回復率および剥離強度の全てが向上した。また、負極の加熱温度が高くなるにつれて電池特性がより向上し、釘刺し試験時の最高到達温度もより低くなった。
また、電解質における電解質塩濃度が1.2mol/kgおよび1.8mol/kgであるサンプル49からサンプル56の場合においても同様に、負極の加熱温度を結着剤の融点以上の150℃以上とし、負極活物質層中のフッ素量を減少させた二次電池は、加熱温度が低いサンプル49およびサンプル53の二次電池と比較して電池特性が向上し、加熱温度が高くなるにつれてより電池特性を向上させることができた。また、釘刺し試験時のガス噴出を抑制し、加熱温度が高くなるにつれて電池の最高到達温度をより低くすることができた。
一方、電解質における電解質塩濃度が0.3mol/kgであるサンプル41ないしサンプル44では、電解質塩濃度が低いため、負極の加熱温度に関わらず負極活物質層の剥離・剥落は生じなかった。しかしながら、電解質塩濃度が低いことから電池反応が十分に起こらず、電池特性は非常に低くなってしまった。
また、電解質における電解質塩濃度が1.9mol/kgであるサンプル57ないしサンプル60では、電解質塩濃度が高すぎるため、負極の加熱温度が200℃となっても負極活物質の剥離・剥落が生じてしまい、電池特性も低下してしまう。また、電解質塩濃度が高いため、負極活物質層と負極集電体との密着性が低下し、保存試験維持率、保存試験回復率が低下してしまう。
上述の評価から、電解質塩濃度が0.8mol/kg以上1.8mol/kg以下の二次電池においては、負極を負極活物質層に含まれる結着剤の融点以上の温度で加熱することにより、保存試験維持率、保存試験回復率の低下を招くことなく電池温度の上昇を抑制することができることが分かった。
すなわち、充電時における負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量を、230℃以上370℃以下の範囲内において450J/g以下、あるいは発熱量の最大値と100℃における発熱量との差を1.60W/g以下とすることにより、高い電池特性と高い安全性を両立することができることが分かった。
また、充電時における負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量を、230℃以上370℃以下の範囲内において400J/g以下、あるいは発熱量の最大値と100℃における発熱量との差を1.40W/g以下とすることにより、釘刺し試験時の最高到達温度を100℃未満とすることができるため、より安全性を高めることができることが分かった。
以上、この発明の一実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の一実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
また、この発明の二次電池の負極および電解質は、ラミネートフィルムを外装に用いた電池のみならず、電池缶を外装に用いた電池に適用してもよい。
この発明の一実施形態にかかる二次電池の一構成例を示す略線図である。 この発明の一実施形態にかかる二次電池に収納される電池素子の一構成例を示す略線図である。 この発明の一実施形態にかかる二次電池に収納される電池素子の一構成例を示す略線図である。 この発明の一実施形態にかかる二次電池の引張強度の測定方法を示す略線図である。 この発明の一実施形態にかかる二次電池に用いられるラミネートフィルムの一構成例を示す断面図である。
符号の説明
1・・・二次電池
2a・・・正極端子
2b・・・負極端子
3a,3b・・・セパレータ
4・・・ラミネートフィルム
4a・・・金属箔
4b・・・外側樹脂層
4c・・・内側樹脂層
5・・・凹部
10・・・電池素子
11・・・正極
11a・・・正極活物質層
11b・・・正極集電体
12・・・負極
12a・・・負極活物質層
12b・・・負極集電体
13・・・セパレータ

Claims (12)

  1. 正極と、
    負極集電体の少なくとも一方の面に負極活物質層が設けられた負極と、
    電解質と、
    上記正極、上記負極および上記電解質を収納するラミネートフィルム外装材と
    を有する二次電池において、
    上記電解質に含まれる非水溶媒が、環状炭酸エステルを全非水溶媒の80%以上100%以下含有し、
    上記電解質に含まれる電解質塩が、六フッ化リン酸リチウム(LiPF 6 )および四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF 4 )の少なくとも一方であり、該電解質塩の濃度が、1.2mol/kg以上1.8mol/kg以下であり、
    上記負極活物質層が、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位を成分として含み、一部もしくは全部が架橋体である重合体を含有し、
    上記負極活物質層と上記負極集電体との剥離強度が、該負極活物質層を溶剤に漬け込んだのちにおいて、4mN/mm以上である
    ことを特徴とする二次電池。
  2. 上記電解質の上記非水溶媒が、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジエチルカーボネート(DEC)のうち、エチレンカーボネート(EC)およびプロピレンカーボネート(PC)の少なくとも一方を含む1種以上を混合してなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
  3. 上記非水溶媒が、プロピレンカーボネート(PC)を30%以上80%以下含む
    ことを特徴とする請求項2に記載の二次電池。
  4. 上記電解質が、マトリクスポリマとしてフッ化ビニリデン成分を70質量%以上100質量%以下含有するゲル電解質である
    ことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
  5. 上記溶剤が、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)である
    ことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
  6. 正極と、
    負極集電体の少なくとも一方の面に負極活物質層が設けられた負極と、
    電解質と、
    上記正極、上記負極および上記電解質を収納するラミネートフィルム外装材と
    を有する二次電池において、
    上記電解質に含まれる非水溶媒が、環状炭酸エステルを全非水溶媒の80%以上100%以下含有し、
    上記電解質に含まれる電解質塩が、六フッ化リン酸リチウム(LiPF 6 )および四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF 4 )の少なくとも一方であり、該電解質塩の濃度が、1.2mol/kg以上1.8mol/kg以下であり、
    上記負極活物質層が、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位を成分として含み、一部もしくは全部が架橋体である重合体を含有し、
    充電時における上記負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量が、230℃以上370℃以下の範囲内において、450J/g以下である
    ことを特徴とする二次電池。
  7. 上記発熱量が、400J/g以下である
    ことを特徴とする請求項6に記載の二次電池。
  8. 上記電解質の上記非水溶媒が、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジエチルカーボネート(DEC)のうち、エチレンカーボネート(EC)およびプロピレンカーボネート(PC)の少なくとも一方を含む1種以上を混合してなる
    ことを特徴とする請求項6に記載の二次電池。
  9. 上記非水溶媒が、プロピレンカーボネート(PC)を30%以上80%以下含む
    ことを特徴とする請求項8に記載の二次電池。
  10. 上記電解質が、マトリクスポリマとしてフッ化ビニリデン成分を70質量%以上100質量%以下含有するゲル電解質である
    ことを特徴とする請求項6に記載の二次電池。
  11. 正極と、
    負極集電体の少なくとも一方の面に負極活物質層が設けられた負極と、
    電解質と、
    上記正極、上記負極および上記電解質を収納するラミネートフィルム外装材と
    を有する二次電池において、
    上記電解質に含まれる非水溶媒が、環状炭酸エステルを全非水溶媒の80%以上100%以下含有し、
    上記電解質に含まれる電解質塩が、六フッ化リン酸リチウム(LiPF 6 )および四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF 4 )の少なくとも一方であり、該電解質塩の濃度が、1.2mol/kg以上1.8mol/kg以下であり、
    上記負極活物質層が、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位を成分として含み、一部もしくは全部が架橋体である重合体を含有し、
    充電時における上記負極活物質層の示差走査熱量測定による発熱量の最大値と、100℃における発熱量との差が、1.60W/g以下である
    ことを特徴とする二次電池。
  12. 上記発熱量の最大値と、100℃における発熱量との差が、1.40W/g以下である
    ことを特徴とする請求項11に記載の二次電池。
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