JP4839528B2 - 不斉コバルト錯体およびそれを触媒とする光学活性シクロプロパン化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学活性N−サリチリデンアミノアルコールとコバルト化合物から得られる新規不斉コバルト錯体およびこれを触媒として用いる光学活性シクロプロパン化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステルは医薬、農薬の中間体として重要な化合物である。例えば、第一菊酸として知られている(+)−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸は、合成ピレスロイド系殺虫剤の酸成分を構成するものである。また、(+)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸はβ-ラクタム系抗生物質の合成中間体として、有効なことが知られている。
これまでに、合成的手法により、光学活性シクロプロパンカルボン酸誘導体を直接製造する方法としては、例えば、配位子として光学活性ビス〔2−(4,5−ジフェニル−1,3−オキサゾリニル)〕メタンを用いた不斉銅錯体の存在下に、プロキラルなオレフィン類とジアゾ酢酸エステルを反応させる方法(Tetrahedron Lett.,32,7373,1991等)が知られている。
また、第3級水酸基を有するアミノアルコールとサリチルアルデヒド誘導体とのシッフ塩基である光学活性サリチリデンアミノアルコールに対して第二銅塩を反応させて二核銅錯体を製造する方法が報告されている(特公昭53-43955号)。この銅錯体は、菊酸エステルなどのシクロプロパンカルボン酸エステルの不斉合成に有効であることも知られている(特開昭50-151842号、特開昭54-73758号、特開昭59-225194号)。
前記公報に示されているようにR体の光学活性N-サリチリデンアミノアルコールから誘導される不斉銅錯体触媒を用いてプロキラルなオレフィン類とジアゾ酢酸エステルを反応させると、有用な(+)体のシクロプロパン化合物が優先的に合成される。しかし、R体のN-サリチリデンアミノアルコールは、入手し難い非天然物アミノ酸から誘導する必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の不斉シクロプロパン化に用いられる不斉金属錯体触媒は、現在も光学活性シクロプロパン化合物の合成における触媒性能及び経済性を考慮した更に優れた不斉触媒の研究が続けられている。本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、新規で、より有効な不斉コバルト錯体およびこれを触媒とする光学活性シクロプロパン化合物の製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、一般式(1)
(式中、*は不斉炭素を表わし、R1は置換基を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリールまたはシクロアルキルを表わし、R2は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。ここでR1およびR2における置換基はアルキル、アルコキシル、アラルコキシル、アリールオキシルまたはシクロアルコキシル基を表わす。また、X1およびX2はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、またはシアノ基を表わす。)
で示される光学活性サリチリデンアミノアルコールとコバルト化合物を反応させて得られる不斉コバルト錯体および得られた不斉コバルト錯体を触媒として用いる光学活性シクロプロパン化合物の製造方法を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
一般式(1)で示される光学活性サリチリデンアミノアルコールは、下記に示す各々対応する光学活性アミノアルコールとサリチルアルデヒド誘導体とを常法通り、脱水縮合させることによって得られる。
(式中、*、R1、R2、X1およびX2は、前述と同じ意味を有する。)
【0006】
本発明で用いられる光学活性サリチリデンアミノアルコール(1)は、(S)あるいは(R)体のいずれをも用いることができ、以下のものを例示すことができる。
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジフェニル-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジ(2-メトキシフェニル)-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジ(2-イソプロポキシフェニル)-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジ(2-ブトキシ-5-t-ブチルフェニル)-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジフェニル-3-フェニル-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジ(2-メトキシフェニル)-3-フェニル-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジ(2-イソプロポキシフェニル)-3-フェニル-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジ(2-ブトキシ-5-t-ブチルフェニル)-3-フェニル-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジ(2-メトキシフェニル)-3-メチル-1-ブタノール、
N-(3-t-ブチルサリチリデン)-2-アミノ-1,1-ジフェニル-1-プロパノール、
N-(3,5-ジ-t-ブチルサリチリデン)-2-アミノ-1,1-ジフェニル-1-プロパノール、
N-(3-イソブチルサリチリデン)-2-アミノ-1,1-ジフェニル-1-プロパノール、N-(3-イソプロピルサリチリデン)-2-アミノ-1,1-ジフェニル-1-プロパノール、N-(3-エチルサリチリデン)-2-アミノ-1,1-ジフェニル-1-プロパノール、N-(3-メチルサリチリデン)-2-アミノ-1,1-ジフェニル-1-プロパノール、N-(3-メトキシサリチリデン)-2-アミノ-1,1-ジフェニル-1-プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−1−プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−オクチルオキシ−5−t−ブチルフェニル)−1−プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニル−1−プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)2−アミノ−1,1−ジ(2−ベンジルオキシ−5−メチルフェニル)−3−(4−イソプロキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−3−フェニル−1−プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−3−メチル−1−ブタノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−3−フェニル−1−プロパノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−1−プロパノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニル−1−プロパノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ベンジルオキシ−5−メチルフェニル)−3−(4−イソプロキシフェニル)−1−プロパノール、
N-(5-ニトロサリチリデン)-2-アミノ-1,1-ジ(2-メトキシフェニル)-1-プロパノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)−3−フェニル−1−プロパノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(4−t−ブチルフェニル)−1−プロパノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2-メトキシフェニル)−3−メチル−1−ブタノール、
N−(5−ブロモサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(5−ブロモサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3,5−ジブロモサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(3,5−ジブロモサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3,5−ジクロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3,5−ジクロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(3,5−ジニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3,5−ジニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(3−メトキシ−5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3−メトキシ−5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(3−ブロモ−5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3−ブロモ−5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(3−ニトロ−5−ブロモサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3−ニトロ−5−ブロモサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、などである。
【0007】
コバルト化合物としては、酢酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト等の炭素数2〜15の有機カルボン酸コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、メタンスルホン酸コバルト、トリフルオロメタンスルホン酸コバルト、炭酸コバルト、酸化コバルトなどをあげることができる。
これらのコバルト化合物と前記の一般式(1)で示される光学活性サリチリデンアミノアルコールとを反応させることによって、不斉コバルト錯体が得られる。
【0008】
不斉コバルト錯体の製造方法において、上記のコバルト化合物の用いる量は、光学活性サリチリデンアミノアルコール(1)に対して、通常は0.1〜3モル倍であり、好ましくは0.3〜2倍である。錯体化反応は通常、溶媒中で両者を混合することによって反応させる。かかる溶媒としては、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、クロロホルム、ジクロロエタン、モノクロロブタン等のハロゲン化炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル等、あるいはこれらの混合溶媒が用いられ、生成した不斉コバルト錯体がある程度溶解するものであることが望ましい。
【0009】
反応はこれらの溶媒中、室温でまたは加熱して行われる。錯体化反応を完結させるために、アルカリ性化合物を加えて該反応を促進させる方法もとられる。
このようなアルカリ性化合物としては例えば、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラートが用いられ、粉末のまま用いてもよいし、メタノール、エタノール等の溶液として用いてもよい。また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。これらは通常、水溶液として用いられる。これらのアルカリ性化合物は銅化合物に対して、0.1〜8モル倍、好ましくは0.5〜3モル倍程度用いられる。
反応時間は通常、1時間〜20時間である。得られた触媒溶液は必要によっては、これらの処理によって生成した塩(酢酸コバルトを用いた場合は酢酸ナトリウム、ナフテン酸コバルトを用いた場合はナフテン酸ナトリウム)を水洗によって除去して用いる。そのまま触媒溶液として反応に用いることもできるが通常は水洗後、脱水して用いる。溶媒を除去して単離して用いることもできる。
【0010】
かくして得られた不斉コバルト錯体は通常、溶液として得られ、ここで得られた不斉コバルト錯体は、下記一般式(2)で示されるプロキラルオレフィンと、一般式(3)で示されるジアゾ酢酸エステル類との反応において、対応するシクロプロパン化合物の不斉合成の触媒として有用である。
【0011】
すなわち、前述で得られた不斉コバルト錯体触媒の存在下に、一般式(2)
(式中、R3、R4、R5、R6は、それぞれ水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン原子もしくは低級アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基;ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基もしくはハロゲン化アルコキシカルボニル基で置換されていてもよいアルケニル基;ハロゲン原子、低級アルキル基もしくは低級アルコキシ基で置換されていてもよいアリール基;またはハロゲン原子、低級アルキル基もしくは低級アルコキシ基で置換されていてもよいアラルキル基を示す。また、R3とR4もしくはR3とR6が結合して炭素数2から5のメチレン基を形成してもよい。ただし、R3とR4が同一の基である場合には、R5とR6とは異なる基を示す。)
で示されるプロキラルオレフィンと、一般式(3)
N2CHCO2R7 (3)
(式中、R7は炭素数1〜8のアルキル基;低級アルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基;低級アルキル基、低級アルコキシ基もしくはフェノキシ基で置換されていてもよいフェニル基または低級アルキル基、低級アルコキシ基もしくはフェノキシ基で置換されていてもよいベンジル基を示す。)
で示されるジアゾ酢酸エステル類とを反応させることにより一般式(4)
(式中、R3、R4、R5、R6、R7は、前記と同じ意味を表わす。)
で示される光学活性シクロプロパン化合物を収率よく得ることができる。
【0012】
以下、上記製造法について詳しく説明する。
プロキラルオレフィン(2)としては、モノオレフィンとして例えば、プロペン、1−ブテン、イソブチレン、2−メチル−2−ブテン、1,1,1−トリクロロ−4−メチル−3−ペンテン、1,1,1−トリブロモ−4−メチル−3−ペンテン、2−ブロモ−2,5−ジメチル−4−ヘキセン、2−クロロ−2,5−ジメチル−4−ヘキセン、1−メトキシ−2−メチル−1−プロペン、1−エトキシ−2−メチル−1−プロペン、1−プロポキシ−2−メチル−1−プロペン、1−メトキシ−3−メチル−2−ブテン、1−エトキシ−3−メチル−2−ブテン、1−プロポキシ−3−メチル−2−ブテン、1,1−ジメトキシ−3−メチル−2−ブテン、1,1−ジエトキシ−3−メチル−2−ブテン、イソプロピリデンシクロプロパン、イソプロピリデンシクロブタン、イソプロピリデンシクロペンタン等を例示することができる。
【0013】
また、共役ジエンとしては、例えば2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、2−クロロ−5−メチル−2,4−ヘキサジエン、2−フルオロ−5−メチル−2,4−ヘキサジエン、1,1,1−トリフルオロ−2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、1,1−ジフルオロ−4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,1−ジクロロ−4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,1−ジブロモ−4−メチル−1,3−ペンタジエン、1−クロロ−1−フルオロ−4−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フルオロ−1−ブロモ−4−メチル−1,3−ペンタジエン、2−メトキシカルボニル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン、2−ヘキサフロロイソプロポキシカルボニル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン、1−低級アルコキシ(メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ等)−4−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フルオロ−1−低級アルコキシ(メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ等)−4−メチル−1,3−ペンタジエン等を例示することができる。好ましくは、イソブチレン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン等が挙げられる。
【0014】
プロキラルオレフィン(2)の使用量は、ジアゾ酢酸エステル類(3)に対し、通常1モル倍以上であり、好ましくは2〜50モル倍程度である。
【0015】
本発明で用いられるジアゾ酢酸エステル類(3)は、公知の方法で得ることができ、例えば、対応するアミノ酸エステル類をジアゾ化反応に付し、次いでクロロホルム、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、または基質であるプロキラルオレフィン(2)等の溶媒で抽出することにより得ることができる。必要に応じて蒸留等により単離することもできる。
【0016】
一般式(3)で示されるジアゾ酢酸エステルにおいて、R7は炭素数1〜8のアルキル基、低級アルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基、または低級アルキル基、低級アルコシル基もしくはフェノキシ基で置換されていてもよいフェニル基、または低級アルキル基、低級アルコシル基もしくはフェノキシ基で置換されていてもよいベンジル基を示し、R7の具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1−メンチル、d−メンチル、ベンジル、シクロヘキシル、フェニル、m−メチルフェニル、m−メトキシフェニル、m−フェノキシフェニル、3,5−ジメチルフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、4−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェニル、m-フェノキシベンジルなどが挙げられる
【0017】
本発明の1つは、前記の不斉コバルト錯体を触媒としてプロキラルオレフィン(2)とジアゾ酢酸エステル類(3)とを反応させるもの(不斉シクロプロパン化)であるが、その具体的な方法としては、例えば、前記のようにして得られたコバルト錯体とプロキラルオレフィン類(2)の混合物に、溶媒に溶解させたジアゾ酢酸エステル類(3)を加える方法が挙げられる。
ここで溶媒としては、例えば、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、等の芳香族炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類が挙げられ、プロキラルオレフィン類(2)を溶媒として用いることもできる。また、これらは混合して用いることもできる。
【0018】
溶媒の使用量は、ジアゾ酢酸エステル類(3)に対し、通常、2〜50重量倍、好ましくは5〜30重量倍である。
【0019】
また必要によっては、不斉コバルト錯体にアミン化合物やイミダゾール化合物を添加して触媒を活性化させることができる。アミン化合物としては、例えば、4-ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ブチルアミン、ピペリジン等、が挙げられる。また、イミダゾール化合物としては、例えば、N−エチルイミダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、N−メチルベンズイミダゾール等が挙げられる。
アミン化合物やイミダゾール化合物の使用量はコバルト錯体触媒のコバルトに対して0.2〜5倍モル量、好ましくは0.5〜2倍モルである。
【0020】
不斉錯体触媒の使用量は、ジアゾ酢酸エステルに対して0.0001モル倍〜0.05モル倍であり、好ましくは0.005モル倍〜0.002モル倍程度である。
不斉シクロプロパン化の反応を行なう際には、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下で実施される。反応温度は通常0℃〜130℃であり、好ましくは10℃〜120℃である。反応時間は触媒の使用量や反応温度によっても異なるが、通常30分〜20時間で行われる。
反応方法としては、反応容器に上記反応温度下で、不斉コバルト錯体触媒、ジアゾ酢酸エステル、当該オレフィンを連続的にフィードし、反応液を連続的に抜き出していく方法も不斉コバルト錯体を有効に作用させる上で効果的な反応方法である。
【0021】
上記反応で得られた光学活性シクロプロパン化合物は、必要に応じ、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法により単離することができる。
かくして得られる光学活性シクロプロパン化合物(4)の具体的な化合物としては、例えば、2−メチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2,3−トリメチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2,2,2−トリクロロエチル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2,2,2−トリブロモエチル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−クロロ−2−メチル)プロピルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−ブロモ−2−メチル)プロピルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−メトキシシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−エトキシシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−メトキシメチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−エトキシメチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−プロポキシシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−プロポキシメチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−ジメトキシメチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−ジエトキシメチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(1,3−ジオキサ−2−シクロペンチル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3,3−シクロプロピリデンシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3,3−シクロブチリデンシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3,3−シクロペンチリデンシクロプロパンカルボン酸エステル等の光学活性体を挙げることができる。
【0022】
また、アルケニル基を有する化合物、すなわち、光学活性アルケニル置換シクロプロパン化合物(4)としては、例えば、2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−クロロ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−フルオロ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−クロロ−2,2,2−トリフルオロメチルエテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2,2−ジフルオロ−1−エテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロ−1−エテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2,2−ジブロモ−1−エテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−フルオロ−2−クロロ−1−エテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−フルオロ−2−ブロモ−1−エテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−メトキシカルボニル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−ヘキサフルオロイソプロポキシカルボニル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−アルコキシ−1−エテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−フルオロ−2−アルコキシ−1−エテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル等の光学活性体を挙げることができる。
【0023】
ここで光学活性シクロプロパン化合物(4)のエステル残基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、メンチル、4−メチル−2,6−ジt−ブチルフェニル、m−フェノキシベンジル等を挙げることができる。
【0024】
かくして得られた光学活性シクロプロパン化合物(4)は、公知の方法により脱エステル化反応に付して、置換基R7が水素原子である光学活性なシクロプロパンカルボン酸に変換することができる。その際、本発明の方法で製造した光学活性シクロプロパン化合物は単離精製することなく脱エステル化反応に付すこともできる。
【0025】
上記脱エステル化反応の方法は特に限定されず、公知の方法に準拠して実施されるが、例えば、アルカリ金属の水酸化物等で加水分解する方法、酸触媒存在下、加熱により分解して脱離する方法等により実施することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明の不斉コバルト錯体は、不斉シクロプロパン化反応に有効である。
【0027】
【実施例】
つぎに実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はもちろんこれらに限定されるものではない。
なお、収率、光学純度は以下の式により計算した。
シクロプパンカルボン酸エステル収率(%)=B×100/A
光学純度:(+)−トランス体e.e.%=(C−D)×100/(C+D)
(+)−シス体e.e.% =(E−F)×100/(E+F)
ただし、
A=仕込みジアゾ酢酸エステル(mol)
B=反応後、生成したシクロプパンカルボン酸エステル(mol)
C=(+)−トランス体
D=(−)−トランス体
E=(+)−シス体
F=(−)−シス体
【0028】
(参考例1)
(+)(R)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール0.455g(2.0mmol)と3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド 0.469g(2.0mmol)をエタノール20mlとトルエン20mlに溶解し、1時間還流下に加熱した。反応物より溶媒を留去後、乾燥し黄色の固形物として(+)(R)−N−(3,5−ジ−t−ブチルサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール 0.89g得た。
【0029】
(実施例1A)
内容積50mlのガラス製シュレンク管を窒素置換した後、参考例1で得られた(+)(R)−N−(3,5−ジ−t−ブチルサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール 88.7mg(0.2mmol)と酢酸コバルト31.8mg(0.18 mg−atom Co含有)を窒素ガスで飽和させた乾燥トルエン20mlに80℃、1時間溶解した後、室温下に28%ナトリウムメチラートを69.4mg添加、1時間攪拌して錯体触媒液を調製した。
【0030】
(実施例1B)
内容積100mlのガラス製シュレンク管内を窒素ガス置換した後、実施例1Aで調製した錯体触媒15ml(Co0.135mg−atom)をいれる。次に、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン 15g(136mmol)を加えた。その後、80℃まで加温した。ジアゾ酢酸エチルのトルエン溶液10ml(ジアゾ酢酸エチル:10mmol含有)を2時間かけて仕込んだ。仕込み後、30分、80℃に保持した後、室温まで冷却した。生成物のシクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率、トランス/シスの異性体比をGCで分析し、光学純度をLCで分析した。シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率 85%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、トランス/シス=66/34、光学純度 トランス体(+)33%e.e.、シス体(−)26%e.e. であった。
【0031】
(実施例1C)
実施例1Bにおいて、4−ジメチルアミノピリジン 16.5mg(0.135mmol)を加えた他は、実施例1Bと同様にして反応を実施した。シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率 82%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、トランス/シス=71/29、光学純度 トランス体(+)52%e.e. 、シス体(−)4%e.e. であった。
【0032】
(実施例1D)
実施例1Bにおいて、反応温度を90℃にし、N-エチルイミダゾール 13mg(0.135mmol)を加えた他は、実施例1Bと同様にして反応を実施した。シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率 76%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、トランス/シス=70/30、光学純度 トランス体(+)50%e.e. 、シス体(−)7%e.e. であった。
【0033】
(実施例2A)
内容積50mlのガラス製シュレンク管を窒素置換した後、参考例1で得られた(+)(R)−N−(3,5−ジ−t−ブチルサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール 88.7mg(0.2mmol)と酢酸コバルト35.3mg(0.2 mg−atom Co含有)を窒素ガスで飽和させた乾燥トルエン20mlに80℃、1時間溶解した後、室温に冷却後、28%ナトリウムメチラートを69.4mg添加、室温下1時間攪拌した。これに10mlの蒸留水を加え、全体を分液ロートに移し、攪拌した後、静置し、水層を分液した。蒸留水を10ml入れて再び攪拌した。静置分液し、油層をナスフラスコに移し、真空下で乾燥し黒色の粉体として不斉コバルト錯体触媒 95mgを得た。
【0034】
(実施例2B)
実施例2Aで調製した不斉コバルト錯体 75mg(0.15mg-atomCo)を用いた他は実施例1Aと同様に実施した。シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率 75%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、トランス/シス=67/33、光学純度 トランス体(+)37%e.e. 、 シス体(−)27%e.e. であった。
【0035】
(実施例2C)
実施例2Bにおいて、4−ジメチルアミノピリジン 18.3mg(0.15mmol)を加えた他は、実施例2Bと同様にして反応を実施した。シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率 72%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、トランス/シス=73/27、光学純度 トランス体(+)65%e.e. 、 シス体(+)11%e.e. であった。
【0036】
(実施例3A)
実施例1Aにおいて、(+)(R)−N−(3,5−ジ−t−ブチルサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノールかわりに(+)(R)−N−サリチリデン−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール 66mg(0.2mmol)を用いた他は実施例1Aと同様にして錯体触媒液を調製した。
【0037】
(実施例3B)
実施例3Aで調製した不斉コバルト錯体を2ml(0.018mg-atomCo)用い、反応温度を100℃とした他は実施例1Aと同様に実施した。シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率 82%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、トランス/シス=70/30、光学純度 トランス体(−)13%e.e. 、シス体(−)33%e.e. であった。
【0038】
(実施例4A)
実施例1Aにおいて、(+)(R)−N−(3,5−ジ−t−ブチルサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノールかわりに(−)(S)−N−サリチリデン−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール 66mg(0.2mmol)を用いた他は実施例1Aと同様にして錯体触媒液を調製した。
【0039】
(実施例4B)
実施例4Aで調製した不斉コバルト錯体を2ml(0.018mg-atomCo)用い、反応温度を100℃とした他は実施例1Aと同様に実施した。シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率 83%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、トランス/シス=70/30、光学純度 トランス体(+)11%e.e. 、シス体(+)32%e.e. であった。
【0040】
(実施例5A)
実施例1Aにおいて、(+)(R)−N−(3,5−ジ−t−ブチルサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノールかわりに(+)(S)−N−(3,5−ジ−t−ブチルサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール 100.7mg(0.2mmol)を用いた他は実施例1Aと同様にして錯体触媒液を調製した。
【0041】
(実施例5B)
実施例5Aで調製した不斉コバルト錯体を用いた他は実施例1Aと同様に実施した。シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率73%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、トランス/シス=63/37、光学純度 トランス体(−)10%e.e. 、シス体(+)56%e.e. であった。
【0042】
(実施例6A)
実施例1Aにおいて、(+)(R)−N−(3,5−ジ−t−ブチルサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノールのかわりに(+)(S)−N−サリチリデン−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール 78.3mg(0.2mmol)を用いた他は実施例1Aと同様にして錯体触媒液を調製した。
【0043】
(実施例6B)
実施例6Aで調製した不斉コバルト錯体5mlを用い、反応温度 100℃にした他は実施例1Aと同様に実施した。シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率79%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、トランス/シス=65/35、光学純度 トランス体(+)29%e.e. 、シス体(+)53%e.e. であった。
【0044】
(実施例7A)
実施例1Aにおいて、(+)(R)−N−(3,5−ジ−t−ブチルサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノールのかわりに(+)(S)−N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−プロパノール 75.3mg(0.2mmol)を用いた他は実施例1Aと同様にして錯体触媒液を調製した。
【0045】
(実施例7B)
実施例7Aで調製した不斉コバルト錯体を5ml(0.045mg-atomCo)用いた他は実施例1Aと同様に実施した。シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率 75%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、トランス/シス=72/28、光学純度 トランス体(+)11%e.e. 、シス体(+)36%e.e. であった。
Claims (3)
- 一般式(2)
(式中、R3、R4、R5、R6は、それぞれ水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン原子もしくは低級アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基;ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基もしくはハロゲン化アルコキシカルボニル基で置換されていてもよいアルケニル基;ハロゲン原子、低級アルキル基もしくは低級アルコキシ基で置換されていてもよいアリール基;またはハロゲン原子、低級アルキル基もしくは低級アルコキシ基で置換されていてもよいアラルキル基を示す。また、R3とR4もしくはR3とR6が結合して炭素数2から5のメチレン基を形成してもよい。ただし、R3とR4が同一の基である場合には、R5とR6とは異なる基を示す。)
で示されるプロキラルオレフィンと、一般式(3)
N2CHCO2R7 (3)
(式中、R7は炭素数1〜8のアルキル基;低級アルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基;低級アルキル基、低級アルコキシ基もしくはフェノキシ基で置換されていてもよいフェニル基または低級アルキル基、低級アルコキシ基もしくはフェノキシ基で置換されていてもよいベンジル基を示す。)
で示されるジアゾ酢酸エステル類とを反応させる際に、一般式(1)
(式中、*は不斉炭素を表わし、R1は置換基を有していてもよいアルキル、シクロアルキル、アラルキルまたはアリールを表わし、R2は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基を表わす。ここでR1およびR2における置換基はアルキル、アルコキシル、アラルコキシル、アリールオキシルまたはシクロアルコキシル基を表わす。また、X1およびX2はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、またはシアノ基を表わす。)
で示される光学活性サリチリデンアミノアルコールとコバルト化合物とを反応させて得られる不斉コバルト錯体を触媒として用いることを特徴とする一般式(4)
(式中、R3、R4、R5、R6、R7は、前記と同じ意味を表わす。)
で示される光学活性シクロプロパン化合物の製造方法。 - 請求項2において、アミン化合物またはイミダゾール化合物の存在下に反応させることを特徴とする請求項2記載の光学活性シクロプロパン化合物の製造方法。
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