JP4742423B2 - 不斉銅錯体の製造法およびそれを用いる光学活性シクロプロパン化合物の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学活性N−サリチリデンアミノアルコールと銅化合物を用いる不斉銅錯体の新しい製造法および得られた不斉銅錯体を触媒として用いる光学活性シクロプロパン化合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
光学活性なシクロプロパンカルボン酸エステルは医薬、農薬の中間体として重要な化合物である。例えば、第一菊酸として知られている(+)−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸は、合成ピレスロイド系殺虫剤の酸成分を構成するものである。また、(+)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸はβ-ラクタム系抗生物質の合成中間体として、有用なことが知られている。
これまでに、合成的手法により、光学活性シクロプロパンカルボン酸誘導体を直接製造する方法としては、例えば、配位子として光学活性ビス〔2−(4,5−ジフェニル−1,3−オキサゾリニル)〕メタンを用いた不斉銅錯体の存在下に、プロキラルなオレフィン類とジアゾ酢酸エステルを反応させる方法(Tetrahedron Lett.,32,7373,1991等)が知られている。
しかしながら、この方法では配位子合成に使用する原料が高価であることや、配位子合成法が複雑という問題があり、工業的に有利な方法とは必ずしも言い難いものであった。
また、第3級水酸基を有するアミノアルコールとサリチルアルデヒド誘導体とのシッフ塩基である光学活性サリチリデンアミノアルコールに対して、等モル以上の第二銅塩を反応させて二核銅錯体を製造する方法が報告されている(特公昭53-43955号公報)。この銅錯体は、菊酸エステルなどのシクロプロパンカルボン酸エステルの不斉合成に使用できることが報告されている(特開昭50-151842号公報、特開昭54-73758号公報、特開昭59-225194号公報)。
しかしながら、光学活性シッフ塩基に対して、銅化合物を過剰に用いる方法では、当該シッフ塩基当たりの錯体の収率が低い上に、過剰の銅化合物をメタノールなどによって洗浄・除去したり、再結晶することによって精製することが必要となり、濾液の処理や溶媒の回収等を含めて操作が繁雑となること、さらには再現性に乏しいなど必ずしも有利な方法とは言い難いものであった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、これまで知られている方法に比して、より簡便な操作で、より有効な不斉銅錯体を製造する方法と、得られた不斉銅錯体を触媒とする光学活性シクロプロパン化合物の製造法を完成するに至った。
すなわち、本発明は一般式(1)
(式中、*は不斉炭素を表わし、R1は置換基を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリールまたはシクロアルキルを表わし、R2は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいフェニル基を表わす。R1およびR2における置換基はアルキル、アルコキシル、アラルコキシル、アリールオキシルまたはシクロアルコキシル基を表わす。また、X1およびX2はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシル基またはシアノ基を表わす。また下記基
で2−ヒドロキシ−1−ナフチル基または1−ヒドロキシ−2−ナフチル基を表わしてもよい。)
で示される光学活性N−サリチリデンアミノアルコールと該アルコールに対して、一価または二価の銅化合物を等モル未満用い、不活性溶媒中で混合処理することによる不斉銅錯体の製造法、および得られた不斉銅錯体を触媒として用いる光学活性シクロプロパン化合物の製造法を提供するものである。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
一般式(1)で示される光学活性N−サリチリデンアミノアルコールは下記の各々対応する一般式(5)で示される光学活性アミノアルコールと一般式(6)で示されるサリチルアルデヒド誘導体とを脱水縮合させることにより得られる。
(式中、*、R1、R2、X1およびX2は、前述と同じ意味を有する。)
【0005】
上記反応は通常、溶媒中で室温もしくは溶媒の沸点以下で行われる。溶媒としてはトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール等のアルコール類が例示される。例えば、それぞれ等モルをトルエン溶媒中、反応液の沸点近くまで加熱・攪拌し、生成する水分を除去しながら反応させる。反応はほぼ定量的に進行するので、生成物を精製せずに次の錯体化に用いることができる。場合によっては生成物を再結晶法等により精製して用いてもよい。
一般式(5)で示される光学活性アミノアルコールと一般式(6)で示されるサリチルアルデヒド誘導体から得られる光学活性N−サリチリデンアミノアルコール(1)の中、N−3−フロロ体、5−ニトロ体、5−フロロ体、5−クロロ体、5−ブロモ体等から製造される銅錯体を触媒として、不斉シクロプロパン化を行なうと、従来よりもさらに少ない触媒量でより好ましい結果が得られる。
【0006】
光学活性N−サリチリデンアミノアルコール(1)は、(S)あるいは(R)体のいずれをも用いることができ、以下のものを例示すことができる。
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジフェニル-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジ(2-メトキシフェニル)-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジ(2-イソプロポキシフェニル)-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジ(2-ブトキシ-5-t-ブチルフェニル)-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジフェニル-3-フェニル-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジ(2-メトキシフェニル)-3-フェニル-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジ(2-イソプロポキシフェニル)-3-フェニル-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジ(2-ブトキシ-5-t-ブチルフェニル)-3-フェニル-1-プロパノール、
N-サリチリデン-2-アミノ-1,1-ジ(2-メトキシフェニル)-3-メチル-1-ブタノール、
N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−1−プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−オクチルオキシ−5−t−ブチルフェニル)−1−プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニル−1−プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)2−アミノ−1,1−ジ(2−ベンジルオキシ−5−メチルフェニル)−3−(4−イソプロキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−3−フェニル−1−プロパノール、
N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−3−メチル−1−ブタノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−3−フェニル−1−プロパノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−1−プロパノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニル−1−プロパノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ベンジルオキシ−5−メチルフェニル)−3−(4−イソプロキシフェニル)−1−プロパノール、
N-(5-ニトロサリチリデン)-2-アミノ-1,1-ジ(2-メトキシフェニル)-1-プロパノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)−3−フェニル−1−プロパノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(4−t−ブチルフェニル)−1−プロパノール、
N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2-メトキシフェニル)−3−メチル−1−ブタノール、
N−(5−ブロモサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(5−ブロモサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3,5−ジブロモサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(3,5−ジブロモサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3,5−ジクロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3,5−ジクロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(3,5−ジニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3,5−ジニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(3−メトキシ−5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3−メトキシ−5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(3−ブロモ−5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3−ブロモ−5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、
N−(3−ニトロ−5−ブロモサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)−1−プロパノール、
N−(3−ニトロ−5−ブロモサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール、などである。
【0007】
一価又は二価の銅化合物としては、具体的には以下のものを例示すことができる。酢酸銅、ナフテン酸銅、オクチル酸銅等の炭素数2〜15の有機カルボン酸銅、塩化銅、臭化銅、硝酸銅、硫酸銅、メタンスルホン酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅、シアン化銅、炭酸銅、酸化銅などである。
【0008】
不斉銅錯体の製造方法としては、一般式(1)で示される不斉配位子に対して、前記の銅化合物は等モル未満用いられ、通常は0.4〜0.99モル倍である。錯体化反応は通常、溶媒中で両者を混合することによって行われる。かかる溶媒としては、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、クロロホルム、ジクロロエタン、モノクロロブタン等のハロゲン化炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル、または不斉合成に用いる共役ジオレフィン等、あるいはこれらの混合溶媒が用いられ、生成した不斉銅錯体がある程度溶解するものであることが望ましい。
【0009】
反応はこれらの溶媒中で、通常、室温から溶媒の沸点以下の温度範囲で行われる。生成した酸類は水洗して除去した後、用いてもよいが、そのまま用いることもできる。必要によっては、溶媒を除去して単離精製することもできる。また、錯体化反応を完結させるために、アルカリ性化合物を加えて該反応を促進させる方法もとられる。このようなアルカリ性化合物としては例えば、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラートが用いられ、粉末のまま用いてもよいし、メタノール、エタノール等の溶液として用いてもよい。また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。これらは通常、水溶液として用いられる。これらのアルカリ性化合物は銅化合物に対して、0.1〜8モル倍、好ましくは0.5〜3モル倍程度用いられる。
【0010】
反応時間は通常、1時間〜20時間である。生成した酸類(例えば、酢酸銅を用いた場合は酢酸、ナフテン酸銅を用いた場合はナフテン酸、もしくはこれらのナトリウム塩)を除去しないでそのまま触媒反応に用いることもできるが上述のように水洗によって除去して用いる方が好ましい。この場合、通常、脱水して用いてもよいが、そのままでも用いることができる。
【0011】
かくして得られた不斉銅錯体は通常、溶液として得られ、特に精製工程は不要であるが、溶媒を除去して単離して用いることもできる。溶液としてそのまま用いることができるので、連続反応の触媒として用いる場合、フィードする上で都合がよく、かかる点からも本調製法は従来法に比し、はるかに有利である。
【0012】
ここで得られる不斉銅錯体の構造は定かではないが、前記一般式(2)で示されるプロキラルオレフィンと、一般式(3)で示されるジアゾ酢酸エステル類との反応において、対応するシクロプロパン化合物の不斉合成の触媒として従来以上の卓効を示す。
すなわち、前述で得られた不斉銅錯体触媒の存在下に、一般式(2)
(式中、R3、R4、R5、R6は、それぞれ水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン原子もしくは低級アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基;ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基もしくはハロゲン化アルコキシカルボニル基で置換されていてもよいアルケニル基;ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基で置換されていてもよいアリール基もしくはアラルキル基を示す。また、R3とR4もしくはR3とR6が結合して炭素数2から4のメチレン基を形成してもよい。ただし、R3とR6が同一の基である場合には、R4とR5とは異なる基を示す。)
で示されるプロキラルオレフィンと、一般式(3)
(式中、R7は炭素数1〜8のアルキル基、低級アルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基、または低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはフェノキシ基で置換されていてもよいフェニル基もしくはベンジル基を示す。)
で示されるジアゾ酢酸エステル類とを反応させることにより不斉シクロプロパン化反応は極めて円滑に進み、目的とする一般式(4)
(式中、R3、R4、R5、R6 、R7は、前記と同じ意味を表わす。)
で示される光学活性シクロプロパン化合物が収率よく得られる。
【0013】
以下、上記製造法について詳しく説明する。
プロキラルオレフィン(2)としては、モノオレフィンとして例えば、プロペン、1−ブテン、イソブチレン、2−メチル−2−ブテン、1,1,1−トリクロロ−4−メチル−3−ペンテン、1,1,1−トリブロモ−4−メチル−3−ペンテン、2−ブロモ−2,5−ジメチル−4−ヘキセン、2−クロロ−2,5−ジメチル−4−ヘキセン、1−メトキシ−2−メチル−1−プロペン、1−エトキシ−2−メチル−1−プロペン、1−プロポキシ−2−メチル−1−プロペン、1−メトキシ−3−メチル−2−ブテン、1−エトキシ−3−メチル−2−ブテン、1−プロポキシ−3−メチル−2−ブテン、1,1−ジメトキシ−3−メチル−2−ブテン、1,1−ジエトキシ−3−メチル−2−ブテン、イソプロピリデンシクロプロパン、イソプロピリデンシクロブタン、イソプロピリデンシクロペンタン等を例示することができる。
【0014】
また、共役ジエンとしては、例えば2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、2−クロロ−5−メチル−2,4−ヘキサジエン、2−フルオロ−5−メチル−2,4−ヘキサジエン、1,1,1−トリフルオロ−2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、1,1−ジフルオロ−4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,1−ジクロロ−4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,1−ジブロモ−4−メチル−1,3−ペンタジエン、1−クロロ−1−フルオロ−4−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フルオロ−1−ブロモ−4−メチル−1,3−ペンタジエン、2−メトキシカルボニル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン、2−ヘキサフロロイソプロポキシカルボニル−5−メチル−2,4−ヘキサジエン、1−低級アルコキシ(メチル、エチル、プロピル)−4−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フルオロ−1−低級アルコキシ(メチル、エチル、プロピル)−4−メチル−1,3−ペンタジエン等を例示することができる。好ましくは、イソブチレン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン等が挙げられる。
【0015】
プロキラルオレフィン(2)の使用量は、ジアゾ酢酸エステル類(3)に対し、通常1モル倍以上であり、好ましくは2〜50モル倍程度である。
【0016】
本発明で用いられるジアゾ酢酸エステル類(3)は、公知の方法で得ることができ、例えば、対応するアミノ酸エステル類をジアゾ化反応に付し、次いでクロロホルム、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、または基質であるプロキラルオレフィン(2)等の溶媒で抽出することにより得ることができる。必要に応じて蒸留等により単離することもできる。
【0017】
一般式(3)で示されるジアゾ酢酸エステルにおいて、R7は炭素数1〜8のアルキル基、低級アルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基、または低級アルキル基、低級アルコシル基もしくはフェノキシ基で置換されていてもよいフェニル基やベンジル基を示し、R7の具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1−メンチル、d−メンチル、ベンジル、シクロヘキシル、フェニル、m−メチルフェニル、m−メトキシフェニル、m−フェノキシフェニル、3,5−ジメチルフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、4−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェニル、m-フェノキシベンジルなどが挙げられる。
【0018】
本発明の不斉銅錯体を触媒としてプロキラルオレフィン(2)とジアゾ酢酸エステル類(3)とを反応させる(不斉シクロプロパン化)製造法の具体的な方法としては、例えば、前記のようにして得られた不斉銅錯体とプロキラルオレフィン(2)の混合物に、溶媒に溶解させたジアゾ酢酸エステル類(3)を加える方法が挙げられる。
【0019】
用いられる溶媒としては、例えば、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、モノクロロブタン等のハロゲン化炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン、等の芳香族炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル類が挙げられ、プロキラルオレフィン(2)を溶媒として用いることもできる。また、これらは混合して用いることもできる。
溶媒の使用量は、ジアゾ酢酸エステル類(3)に対し、通常、2〜50重量倍、好ましくは3〜30重量倍程度である。
【0020】
また、必要によっては、二価の銅から成る不斉銅錯体に一般式(7)
(式中、Rはアリール基、アラルキル基またはアルキル基を示す。)で示されるモノ置換ヒドラジンを作用させて触媒を活性化させることができる。
このようなモノ置換ヒドラジンとしては、例えば、フェニルヒドラジンが挙げられる。モノ置換ヒドラジンの使用はバッチ式反応において特に有効であり、その量は銅錯体触媒の銅に対して0.2〜2倍モル量、好ましくは0.5〜1倍モル程度である。このような不斉銅錯体触媒の活性化は比較的低温で不斉シクロプロパン化反応を行なうときに円滑に反応を開始させる効果を有する。
【0021】
不斉銅錯体触媒の使用量は、ジアゾ酢酸エステル類(3)に対して通常、0.00001モル倍〜0.01モル倍であり、好ましくは0.00002モル倍〜0.005モル倍程度である。
【0022】
不斉シクロプロパン化の反応を行なう際には、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下で実施される。反応温度は通常-20℃〜160℃であり、好ましくは-10℃〜130℃程度である。反応時間は触媒の使用量や反応温度によっても異なるが、通常30分〜20時間程度で行われる。
反応方法は適宜選択されるが、例えば反応容器に上記反応温度下で、不斉銅錯体触媒、ジアゾ酢酸エステル類、プロキラルオレフィンを連続的にフィードし、反応液を連続的に抜き出していく方法も不斉銅錯体触媒を有効に作用させる上で効果的な反応方法である。
【0023】
上記反応で得られた光学活性シクロプロパンカルボン酸エステル類は、必要に応じ、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法により単離することができる。
かくして得られる光学活性シクロプロパン化合物(4)の具体的な化合物としては、例えば、2−メチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2,3−トリメチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2,2,2−トリクロロエチル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2,2,2−トリブロモエチル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−クロロ−2−メチル)プロピルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−ブロモ−2−メチル)プロピルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−メトキシシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−エトキシシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−メトキシメチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−エトキシメチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−プロポキシシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−プロポキシメチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−ジメトキシメチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−ジエトキシメチルシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(1,3−ジオキサ−2−シクロペンチル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3,3−シクロプロピリデンシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3,3−シクロブチリデンシクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3,3−シクロペンチリデンシクロプロパンカルボン酸エステル等の光学活性体を挙げることができる。
【0024】
また、光学活性なアルケニル置換シクロプロパン化合物としては、例えば、2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−クロロ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−フルオロ−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−クロロ−2,2,2−トリフルオロメチルエテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2,2−ジフルオロ−1−エテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2,2−ジクロロ−1−エテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2,2−ジブロモ−1−エテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−フルオロ−2−クロロ−1−エテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−フルオロ−2−ブロモ−1−エテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−メトキシカルボニル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−ヘキサフルオロイソプロポキシカルボニル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−アルコキシ−1−エテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル、2,2−ジメチル−3−(2−フルオロ−2−アルコキシ−1−エテニル)シクロプロパンカルボン酸エステル等の光学活性体を挙げることができる。
【0025】
ここで光学活性シクロプロパン化合物(4)のエステル残基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、メンチル、4−メチル−2,6−ジt−ブチルフェニル、m−フェノキシベンジル等を挙げることができる。
【0026】
かくして得られた光学活性シクロプロパン化合物は、公知の方法により脱エステル化反応に付して、置換基R7が水素原子である光学活性なシクロプロパンカルボン酸に変換することができる。その際、本発明の方法で製造した光学活性シクロプロパン化合物は単離精製することなく脱エステル化反応に付すこともできる。
【0027】
上記脱エステル化反応の方法は特に限定されず、公知の方法に準拠して実施されるが、例えば、アルカリ金属の水酸化物等で加水分解する方法、酸触媒存在下、加熱により分解して脱離する方法等により実施することができる。
【0028】
【実施例】
つぎに実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はもちろんこれらに限定されるものではない。
なお、収率、光学純度は以下の式により計算した。
シクロプパンカルボン酸エステル収率(%)=B×100/A
ただし、
A=仕込みジアゾ酢酸エステル(mol)
B=反応後、生成したシクロプパンカルボン酸エステル(mol)
C=(+)−トランス体
D=(−)−トランス体
E=(+)−シス体
F=(−)−シス体
【0029】
(参考例1)
(R)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−1−プロパノール0.968g(2.0mmol)とサリチルアルデヒド 0.244g(2.0mmol)をエタノール20mlとトルエン20mlに溶解し、1時間還流下に加熱した。反応物より溶媒を留去後、乾燥し黄色の固形物として(R)−N−サリチリデン−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−1-プロパノール 1.17g得られた。
【0030】
(実施例1A)
内容積50mlのガラス製シュレンク管を窒素置換した後、参考例1で得られた(R)−N−サリチリデン−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−1−プロパノール 58.8mg(0.1mmol)と5%ナフテン酸銅 トルエン溶液63.5mg(0.05 mg−atom Cu含有)をトルエン25mlに室温下、1時間溶解した後、28%ナトリウムメチラート(メタノール溶液)を19.3mg添加、室温下1時間攪拌して錯体触媒液を調製した。
【0031】
(実施例1B)
内容積100mlのガラス製シュレンク管を窒素置換した後、実施例1Aで調製した錯体触媒5ml(Cu0.01mg−atom)を入れる。次に、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン 30g(273mmol)を加えた後、フェニルヒドラジン 1.1mg(0.01mmol)を添加した。その後、80℃まで加温した。ジアゾ酢酸エチルのトルエン溶液10ml(ジアゾ酢酸エチル:20mmol含有)を2時間かけて添加した。その後、30分、80℃に保持した後、室温まで冷却した。生成物の菊酸エチルエステルの収率、トランス/シスの異性体比をGCで分析し、光学純度をLCで分析した。菊酸エチルエステルの収率 90.1%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、トランス/シス=55/45、光学純度 71%e.e.(t)、60%e.e.(c)であった。
【0032】
(参考例 2〜19)
参考例1と同様にして光学活性アミノアルコールとサリチルアルデヒド誘導体より光学活性N−サリチリデンアミノアルコール(光学活性シッフ塩基)を合成した。結果を表−1に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0033】
参考例で得られたN−サリチリデンアミノアルコールの諸性値を以下に示す。
m.p.はメトラ−社製自動融点測定装置による。
参考例2
(R)−N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−1−プロパノール
1H-NMR(CDCl3、TMS) δ 0.87〜1.56(m,35H)、3.72〜3.81(m,4H)、5.08(s,1H)、5.5(s,1H)
6.63〜8.05(m,10H)
m.p. 67.9℃
【0034】
参考例3
(R)−N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−1−プロパノール
1H-NMR(CDCl3、TMS) δ 0.86〜1.57(m,35H)、3.66〜3.77(m,4H)、4.95(s、1H)、5.34(s、1H)、6.4〜8.01(m、10H)
m.p. 51.9℃
【0035】
参考例6
(R)−N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール
1H-NMR(CDCl3、TMS) δ 1.34〜1.36(d、3H)、2.59(s、1H)、4.64〜4.66(q、1H)、6.82〜6.9(m、1H)、7.2〜7.54(m、10H)、8.12〜8.15(m、2H)、8.26(s、1H)
m.p. 208.3℃
【0036】
参考例7
(R)−N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール
1H-NMR(CDCl3、TMS) δ 1.27〜1.29(d、3H)、2.58(s、1H)、4.54〜4.61(q、1H)、6.7〜7.54(m、13H)、8.34(s、1H)
m.p. 100℃
【0037】
参考例8
(R)−N−(5−ブロモサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール
1H-NMR(CDCl3、TMS) δ 1.25〜1.27(d、3H)、2.56(s、1H)、4.55〜4.62(q、1H)、6.76〜6.91(d、1H)、7.15〜7.54(m、13H)、8.28(s、1H)
m.p. 173℃
【0038】
参考例9
(R)−N−(3,5−ジブロモサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−1−プロパノール
1H-NMR(CDCl3、TMS) δ 1.28〜1.30(d、3H)、2.59(s、1H)、4.52〜4.59(q、1H)、7.1〜7.66(m、12H)、8.13(s、1H)
m.p. 128.1℃
【0039】
参考例10
(S)−N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ベンジルオキシ−5−メチルフェニル)−3−(4−イソプロキシフェニル)−1−プロパノール
1H-NMR(CDCl3、TMS) δ 1.26〜1.31(q、6H)、1.94(s、3H)、2.13(s、3H)、2.87〜2.91(d、2H)、4.42〜4.50(m、1H)、4.82〜4.95(m、4H)、5.86(s、1H)、6.59〜8.02(m、24H)
【0040】
参考例11
(S)−N−(3−フロロサリチリデン)2−アミノ−1,1−ジ(2−ベンジルオキシ−5−メチルフェニル)−3−(4−イソプロキシフェニル)−1−プロパノール
1H-NMR(CDCl3、TMS) δ 1.27〜1.31(t、6H)、1.94(s、3H)、2.11(s、3H)、2.91〜2.94(m、2H)、4.42〜4.50(m、1H)、4.77〜4.92(m、4H)、5.67(s、1H)、6.31〜7.39(m、24H)
m.p. 82.7℃、
【0041】
参考例12
(R)−N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニル−1−プロパノール
1H-NMR(CDCl3、TMS) δ 0.91〜1.57(m、34H)、3.78〜3.96(m、4H)、5.05(s、1H)、5.75(s、1H)、6.62〜8.57(m、15H)
オイル
【0042】
参考例13
(R)−N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニル−1−プロパノール
1H-NMR(CDCl3、TMS) δ 0.87〜1.56(m、34H)、3.71〜3.97(m、4H)、4.85(s、1H)、5.75(s、1H)、6.62〜8.57(m、15H)
オイル
【0043】
参考例14
(R)−N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−3−フェニル−1−プロパノール
m.p. 202℃
【0044】
参考例15
(R)−N−(3−フロロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジフェニル−3−フェニル−1−プロパノール
m.p. 159.8℃
【0045】
参考例16
(S)−N-(5-ニトロサリチリデン)-2-アミノ-1,1-ジ(2-メトキシフェニル)-3−メチル−1-ブタノール
m.p. 118.7℃
【0046】
参考例17
(S)−N-(3-フロロサリチリデン)-2-アミノ-1,1-ジ(2-メトキシフェニル)-3−メチル−1-ブタノール
m.p. 79.6℃
【0047】
(実施例 2A〜17A)
実施例1Aと同様にして、表−1に示す光学活性シッフ塩基とナフテン酸銅、ナトリウムメチラートを用いて錯体触媒液を調製した。結果を表−2に示す。
【表5】
【表6】
【0048】
(実施例 2B〜16B)
実施例 1Bと同様にして、表−2に示す錯体触媒を用いて、反応を実施した。結果を表−3に示す。
【表7】
【表8】
【0049】
(実施例18Aおよび19A)
内容積100mlのガラス製シュレンク管に、表−4で示す不斉配位子0.2mmol、酢酸銅・1水和物 35.9mg(0.18mmol)、トルエン50mlを仕込み後、80℃で攪拌しながら1時間反応させた。これを室温まで冷却した後、0.13%水酸化ナトリウム水溶液30mlを加えた。全体を分液ロートに移し、攪拌した後、静置し分液した。水10mlを入れて再び攪拌した。静置分液し、油層をシュレンク管に移し、摘出管付き冷却管を上部に設置後、反応液を加熱し、共沸脱水した。室温に冷却後、トルエンを加えて50mlとし、不斉銅錯体触媒を調製した。
【表9】
【0050】
(実施例17Bおよび18B)
内容積100mlのガラス製シュレンク管内を窒素置換した後、上記で調製した不斉銅錯体触媒溶液を1ml入れ、実施例1Bと同じ原料を用い、同様の方法で反応をおこなった。結果を表−5に示す。
【表10】
【0051】
実施例20A
内容積50mlのガラス製シュレンク管を窒素置換後、参考例2で得られたシッフ塩基 16.4mg(0.0259mmol)と5%ナフテン酸銅 トルエン溶液29.9mg(0.0235mg−atom Cu含有)を酢酸エチルエステル13mlに溶解した後、室温下、1時間攪拌して錯体触媒液を調製した。
【0052】
実施例21A
内容積50mlのガラス製シュレンク管を窒素置換後、(R)−N−(5−ニトロサリチリデン)−2−アミノ−1,1−ジ(2−メトキシフェニル)―1−プロパノール 11.3mg(0.0259mmol)と5%ナフテン酸銅 トルエン溶液29.9mg(0.0235mg−atom Cu含有)を酢酸エチルエステル13mlに溶解した後、室温下、1時間攪拌して錯体触媒液を調製した。
【0053】
実施例19B
内容積100mlのガラス製シュレンク管内を窒素置換後、実施例20Aで調製した不斉銅錯体触媒溶液を4ml入れ、実施例1Bと同じ原料を用い、同様の方法で反応をおこなった。菊酸エチルエステルの収率 89.2%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、トランス/シス=54/46、光学純度 66%e.e.(t)、46%e.e.(c)であった。
【0054】
実施例20B
内容積100mlのガラス製シュレンク管内を窒素置換後、実施例21Aで調製した不斉銅錯体触媒溶液を4ml入れ、実施例1Bと同じ原料を用い、同様の方法で反応をおこなった。菊酸エチルエステルの収率 90.9%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、トランス/シス=59/41、光学純度 55%e.e.(t)、47%e.e.(c)であった。
【0055】
(実施例21B)
内容積100mlのステンレス製オートクレーブを窒素置換後、実施例1Aで調製した錯体触媒10ml(Cu0.02mg−atom)を入れる。次にフェニルヒドラジン 2.2mg(0.02mmol)を加えた後、イソブチレン 4.5g(80.4mmol)を添加にした。その後、40℃まで加温し、ジアゾ酢酸エチルのトルエン溶液10ml(ジアゾ酢酸エチル:20mmol含有)を2時間かけてポンプで仕込んだ。仕込み後、1時間、40℃に保持した後、室温まで冷却して生成物のシクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率をGCで分析した。光学純度はシクロプロパンカルボン酸エチルエステルを加水分解した後、l−メントールエステルに誘導化してGC分析した。シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率 91%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、光学純度 81%e.e.であった。
【0056】
(実施例22Bおよび23B)
実施例21Bと同様にして、表−2に示す錯体触媒を用いて、反応を実施した。結果を表−6に示す。
【表11】
【0057】
(実施例22A)
内容積100mlのガラス製シュレンク管に、(R)−N−サリチリデン−2−アミノ−1,1−ジ(2−ブトキシ−5−t−ブチルフェニル)−3−フェニル−1−プロパノール 0.133g(0.2mmol)、酢酸銅・1水和物 35.9mg(0.18mmol)、トルエン50mlを仕込み後、80℃で攪拌しながら1時間反応させた。これを室温まで冷却した後、0.13%水酸化ナトリウム水溶液30mlを加えた。全体を分液ロートに移し、攪拌した後、静置し分液した。水を10ml入れて再び攪拌した。静置分液し、油層をシュレンク管に移し、摘出管付き冷却管を上部に設置後、反応液を加熱し、共沸脱水した。室温に冷却後、トルエンを加えて50mlにし、不斉銅錯体触媒を調製した。
【0058】
(実施例24B)
実施例22Aで調製した不斉銅錯体溶液 10ml(Cu0.036mg−atom)を用いる以外は実施例21Bと同様にして反応した。
シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率 91%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、光学純度 87%e.e.であった。
【0059】
(実施例23A)
内容積50mlのガラス製シュレンク管を窒素置換後、参考例2で得られたシッフ塩基 8.2mg(0.013mmol)と5%ナフテン酸銅 トルエン溶液15mg(0.0118 mg−atom Cu含有)を酢酸エチルエステル13mlに室温下、1時間溶解した後、28%ナトリウムメチラート(メタノール溶液)を4.6mg添加、室温下1時間攪拌した後、フェニルヒドラジン1.3μl添加して錯体触媒液を調製した。
【0060】
(実施例24A)
参考例12で得られたシッフ塩基10mgを用いた以外は、実施例23Aと同様に実施した。
【0061】
(実施例25B)
実施例23Aで調製した錯体触媒液 5ml(Cu 0.0045mg−atom含有)を用いる以外は実施例21Bと同様にして反応した。シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率 91%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、光学純度 86%e.e.であった。
【0062】
(実施例26B)
実施例24Aで調製した錯体触媒液 5ml(Cu 0.0045mg−atom含有)を用いる以外は実施例21Bと同様にして反応した。シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの収率 92%(対仕込みジアゾ酢酸エチル)、光学純度 87%e.e.であった。
Claims (3)
- 一般式(1)
(式中、*は不斉炭素を表わし、R 1 は置換基を有していてもよいアルキル、アラルキル、アリールまたはシクロアルキルを表わし、R 2 は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいフェニル基を表わす。R 1 およびR 2 における置換基はアルキル、アルコキシル、アラルコキシル、アリールオキシルまたはシクロアルコキシル基を表わす。また、X 1 およびX 2 はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、アルコキシル基またはシアノ基を表わす。また下記基
で2−ヒドロキシ−1−ナフチル基または1−ヒドロキシ−2−ナフチル基を表わしてもよい。)
で示される光学活性なN−サリチリデンアミノアルコールと、該アルコールに対して、二価の銅化合物0.5〜0.9モル倍とを、溶媒中で混合処理する工程(A)と、
前記工程(A)で得られた不斉銅錯体の存在下、一般式(2)
(式中、R3、R4、R5、R6は、それぞれ水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン原子もしくは低級アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基;ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基もしくはハロゲン化アルコキシカルボニル基で置換されていてもよいアルケニル基;ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基で置換されていてもよいアリール基もしくはアラルキル基を示す。また、R3とR4もしくはR3とR6が結合して炭素数2から4のメチレン基を形成してもよい。ただし、R3とR6が同一の基である場合には、R4とR5とは異なる基を示す。)
で示されるプロキラルオレフィンと、一般式(3)
(式中、R7は炭素数1〜8のアルキル基;低級アルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基;または低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはフェノキシ基で置換されていてもよいフェニル基もしくはベンジル基を示す。)
で示されるジアゾ酢酸エステル類とを反応させる工程(B)と
を有することを特徴とする一般式(4)
(式中、R3、R4、R5、R6、R7は、前記と同じ意味を表わす。)
で示される光学活性シクロプロパン化合物の製造法。 - 前記工程(B)が、前記ジアゾ酢酸エステル類に対して、0.00002〜0.005モル倍の前記不斉銅錯体の存在下で、前記プロキラルオレフィンと、前記ジアゾ酢酸エステル類とを反応させる工程である請求項1記載の光学活性シクロプロパン化合物の製造法。
- 一般式(2)で示されるプロキラルオレフィンと一般式(3)で示されるジアゾ酢酸エステル類との反応において、モノ置換ヒドラジンの存在下に反応させることを特徴とする請求項1又は2記載の光学活性シクロプロパン化合物の製造法。
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