JP4827335B2 - 走査型レーザ顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は染色した標本上をレーザ光により走査することにより、得られる標本からの光を分光し、分光データを得ることのできる走査型レーザ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞や組織を観察し易くするために、染色用の試薬で染色することが行われている。染色用の試薬には種々のものがあり、生体組織は成分により、染まり易い試薬と、染まり難い試薬とがある。これを利用して、目的に応じた所望の試薬により試料(標本)を染色して、顕微鏡観察に供することが行われている。そして、現在では更に一歩進めて、複数種の蛍光試薬で染色した試料にレーザ光を照射し、このレーザ光照射により試薬から励起された蛍光放射を分光して得られたスペクトルのデータを収集し、分析に用いることが行われている。
【0003】
そのために用いるのが走査型レーザ顕微鏡であり、これは、レーザ光を対物レンズを介して集光して走査装置により標本上を走査し、標本からの光を分光器に与えて分光するとともに、前記走査装置からの走査信号に同期して分光データを得ることで、試料におけるレーザ照射位置からの光のスペクトル情報を得るものである。
【0004】
(従来技術1)
走査型レーザ顕微鏡の一例をあげると、特表平9−502269号公報に示す如きの技術がある。ここに開示された技術は蛍光光束をプリズム等のスペクトル分解手段により分光し、一方では第一スペクトル範囲を絞り込み、他方では絞りを通過しないスペクトル範囲の少なくとも一部分を反射して第二スペクトル範囲をなす二つの光路を構成し、それぞれの光路に対して光検出器を設けて構成した共焦点走査型レーザ顕微鏡である。
【0005】
図5は、上記共焦点走査型レーザ顕微鏡の構成を示す図である。レーザ光源202から出射されたレーザ光束203は、方向変更ミラー204、レーザラインフィルタ205、レンズ206、絞り207を介してダイクロイックミラー208に導かれて、ここで反射させ、レンズ209、X−Y走査光学系210、瞳投影レンズ211、対物レンズ212を経て試料213に達する。
【0006】
試料213からの反射光および蛍光からなる光束214は、対物レンズ212、瞳投影レンズ211、X−Y走査光学系210、レンズ209を経てダイクロイックミラー208に戻る。そして、光束214のうち、蛍光分はダイクロイックミラー208を透過して蛍光光束217となり、このうち、共焦点絞り215を通過したものが分光器216へと入射する。
【0007】
図6は、分光器216の構成を示す図である。選択装置225は、光束217を分解するスペクトル分解手段227と、一方では第一スペクトル範囲229を絞り込み、他方では絞りを通過しないスペクトル範囲の少なくとも一部分230を反射する手段228とを有している。光検出器226は、絞り込まれた第一スペクトル範囲229の光路に配置された第一光検出器231と、反射されたスペクトル範囲の光路に設置された第二光検出器232とを有している。
【0008】
さらに選択装置225は、反射されたスペクトル範囲230の光路に設置され、第二スペクトル範囲234を絞り込む手段233を有する。第二光検出器232は、絞り込まれた第二スペクトル範囲234の光路に設置されている。
【0009】
(従来技術2)
また、別の例として、特開2000−56244号公報には、反射光や蛍光のような、分散しながら分割される照明光と対象物からの光との両方または一方を波長選択するための、照明と検出工程との両方または一方に、選択的に切り替え可能な少なくとも1基の微小鏡配列(DMD)を持つ走査型レーザ顕微鏡が開示されている。
【0010】
この公報に開示された走査型レーザ顕微鏡の構成は図7に示す如きである。すなわち、この構成において、レーザ光源Lsからのレーザ光LBは走査手段Scnにより間欠的に位置を移動させるかたちで走査されることにより試料Smp上をX−Y走査され、その走査位置にある試料Smpからレーザ光LBにより励起された蛍光が放射される。
【0011】
試料Smpから放出される(蛍光)放射は対象物と共役な平面内に位置する共焦点ピンホールPh上へ焦点を結ぶ。このピンホールPhは同時に分光装置の開口部でもあり、プリズムPを用いた分光器は当該プリズムPの分散作用によって試料放射をそのスペクトル成分へ分離する。試料放射の焦点面には1次元のDMDがあり、ここに試料スペクトルが光学的に結像される。
【0012】
1次元のDMDは個別に駆動可能な多数の切り替え鏡からなる。そして、レーザ光源Lsからのレーザ光LBが試料Smpの上に留まる間、逐次的に鏡が1つずつ個別に駆動(そしてこれにより切り替え)されることにより、その位置に分光されて到達した光を検出器Dtcに送る。こうして試料放射の個々のスペクトル成分が逐次的に検出器Dtcにて検出され、試料Smpから放出される(蛍光)放射の全スペクトルデータが得られる。
【0013】
また別の方法として、複数の鏡を同時に駆動して、試料からの所望のスペクトル域の光を選択的に検出器に導くこともできる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
近年蛍光観察においては、単染色のみならず多重染色が多用されている。もとより、蛍光染色は細胞、組織内の特定対象を視認可能にするために行われる。このため多重染色観察では、各染色部位が明確な色の差、すなわち、蛍光波長の違いとして検出されなければならない。しかも、蛍光波長の部分的な重なり(クロスオーバ部分)を効率良く除去して検出する必要がある。
【0015】
さらに、細胞機能の研究を行う上で、細胞内のカルシウムイオン濃度を検出するための蛍光プローブが広く利用されるようになった。カルシウムイオンは細胞の活動状況に密接な関係を持つためである。カルシウムイオンの染色には蛍光試薬として“INDO−1”が良く知られているが、この“INDO−1”を用いることで、定量的に細胞内カルシウムイオン濃度を測定できる。
【0016】
“Indo−1”で染色した試料(標本)は、UV光(紫外線)を照射することにより、蛍光を発する。そして、発生した当該蛍光を2つの異なる波長域(中心波長405[nm]と480[nm])で検出し、検出光量の比(中心波長405[nm]の蛍光/中心波長480[nm]の蛍光)を演算して求めることにより、カルシウムイオン濃度を測定できる。
【0017】
走査型レーザ顕微鏡を用いて試料に対し、レーザ光の走査を繰り返し行い、前記演算により細胞内カルシウムイオン濃度の時間変化を測定する。なお、一般的には特定波長帯の光を反射し、他は透過させる光学特性を持つダイクロイックミラーにより、試料からの蛍光を450[nm]で二つの光路に分岐し、一方は中心波長405[nm]、バンド幅約20[nm]、他方は中心波長480[nm]、バンド幅約20[nm]のバンドパスフィルタBPF1,BPF2を使用して検出波長領域を絞るようにしている。
【0018】
しかしながら、前記蛍光の中心波長は細胞の状態、例えばpH(ペーハー;水素イオン濃度)によりシフトする。例えば、上記Ca2+maxおよびCa2+minなる蛍光が図8に示すようにその中心波長がO1,O2にシフトしたとすると、この場合、バンドパスフィルタBPF1,BPF2の中心波長BPF1o,BPF2oと蛍光Ca2+maxおよびCa2+minの中心波長O1,O2との間にズレが生じ、その結果、本来得られるべき光量が得られなくなるので、データのS/N(信号/雑音)が劣化するだけでなく、光量比で表わされる演算結果も本来得られるべき値とは違ったものとなる可能性がある。
【0019】
つまり、従来技術1における前述したようなフィルタのセットは常に最良であるとは限らない。
【0020】
一方、特表平9−502269号公報の装置は各検出器に導く試料からの蛍光の波長域を自由に変更できるので、従来技術1における上記のような問題点を解決する上で、有効と考えられる。事実、多重染色観察において蛍光波長の部分的な重なり(クロスオーバ部分)を効率良く除去して検出する目的においては、繰り返し走査して画像を確認しながらスリットを制御することにより、試料からの蛍光スペクトルを自由に選択できるので、光学的なバンドパスフィルタを利用する方式より遙かに良い。但し、繰り返しレーザ走査を行うことにより試料は退色するのでレーザ走査は可能な限り少なくできることが望ましい。
【0021】
しかしながら、上記細胞内カルシウムイオン濃度を測定する例では、細胞の状態、例えば、pHは検査者にとっては未知であり、蛍光の中心波長がどこにあるのか、蛍光波長の部分的な重なり(クロスオーバ部分)がどのレベルであるかを事前に正確に知る術はないことから、得られた結果が最善か否かがわからないと言う問題がある。
【0022】
すなわち、カルシウムイオン濃度の変化を捉えることができたとしても、その結果が最善のものであるかどうかは検査者は全くわからないということであり、最善の結果が得られている保証はないわけである。
【0023】
試行錯誤的に繰り返し試験を行うことが可能であれば、得られる結果を最適なものに近づけることは可能ではある。しかし、この種の試験は一度データ取得を行うと、基本的には試料を交換しなければならず(一般的には薬品で刺激を与えることにより試験を開始するが、一旦刺激を与えると2度目の刺激は効果がない。)、したがって、細胞の準備等に莫大な手間と費用が必要であり、現実的には困難と言わざるを得ない。
【0024】
このように、上記従来技術の根本的な欠点は、試料の像を作るために、あらかじめ設定したスペクトル、つまり、スリットを通過する蛍光の平均強度だけしか利用できない点にある。
【0025】
一方、特開2000−56244号公報の技術は、試料からの蛍光の分光データを得るに際して、全分光データを収集しようとする場合、DMDのミラー素子を一枚ずつ駆動して光検出器に試料からの蛍光の分光スペクトルを導かなければならないので、全スペクトル領域のスペクトルデータを得るには時間がかかるという欠点がある。
そのため、細胞内カルシウムイオン濃度のような変化の速い現象を観察、測定するには不向きな装置となる。従って、従来技術では、細胞内カルシウムイオン濃度のような変化の速い現象を観察、測定の対象とすることはできなかった。故に、これを打開する技術の早急な開発が嘱望されている。
【0026】
従って、本発明の目的とするところは、細胞内カルシウムイオン濃度を測定するような場合のように、試料からの蛍光スペクトルを正確に知ることができない試験や撮像を行うに当たり、最適な解析結果を確実に得ることのできる走査型レーザ顕微鏡を提供することにある。
【0027】
また、本発明の目的とするところは、染色した試料の放出する光の全スペクトルを一度にデータ収集できるようにした走査型レーザ顕微鏡を提供することにある。
【0028】
また、本発明の目的とするところは、多重染色観察において、試料の退色を防止するために、少ない走査回数で、所望のスペクトルについて反映された画像を表示できるようにした走査型レーザ顕微鏡を提供することにある。
【0029】
また、本発明の目的とするところは、多重染色観察において、試料の退色を防止するために、少ない走査回数で、望ましくは1回の走査で蛍光波長の部分的な重なり(クロスオーバ部分)を効率良く除去して画像表示することのできる走査型レーザ顕微鏡を提供することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の走査型レーザ顕微鏡は以下のように構成する。
【0031】
[1] レーザ光源からのレーザ光を観察対象の試料に集束させて照射させると共に試料に対して前記レーザ光を移動走査させ、試料から得られた光を分光手段により分光させて検出することにより、スペクトルのデータを得るようにした走査型レーザ顕微鏡において、
入射光量対応に電気信号を発生する複数の微小受光素子を直線的に配列させた1次元光検出手段を用い、前記分光手段の分光出力をこの1次元光検出手段の微小受光素子配列範囲にその入射位置と波長域とが所定の関係を以て入射される配置関係とすることにより画素単位でスペクトルのデータを得る検出器と、
前記検出器の各微小受光素子より得られる電気信号を収集して画素単位でのスペクトル分布データとして記憶保存する手段と、
画像表示するためのスペクトル域の指示を受け付ける手段と、
前記記憶保存されたデータのうち、前記指示されたスペクトル域に対応するデータを抽出して加算し、前記スペクトル域の画像を生成する手段と、
前記生成された画像を表示する手段を備え、
スペクトル域の前記指示入力とそれに対応したスペクトル域の画像生成と表示を、前記記憶保存された同じデータに基づいて繰り返して実施可能にしたことを特徴とする。
[2] また、[1]項の構成において、前記スペクトル域の指示を受け付ける手段は、画面上で表示されたスペクトル分布の中から所望の前記スペクトル域を指示するためのインターフェースを備えたことを特徴とする。
【0032】
レーザ光源からのレーザ光を観察対象の試料に集束させて照射させると共に試料に対して前記レーザ光を移動走査させ、試料から得られた光を分光手段により分光させ、検出手段で検出することにより、試料における1地点毎のスペクトルデータを得るが、スペクトルデータは例えばプリズム等による分光手段を用い、この分光手段により分光して1次元光検出手段に入射させることで得る。1次元光検出手段は、複数の微小受光素子を直線的(1次元的)に配列させた構成であり、前記分光手段の分光出力をこの1次元光検出手段の微小受光素子配列範囲にその入射位置と波長域とが対応関係を以て入射される配置関係としてあることから、微小受光素子はその位置がどこであるかにより、入射される波長域が定まる。従って、特定位置の微小受光素子にはスペクトルの特定波長域の光が入射する構成となるから、この各微小受光素子よりその入射光量対応の信号を得てこれを受光素子個別にディジタルデータ化し、受光素子の並び順に収集すると波長成分が特定できるデータ、すなわち、全てのスペクトル分布がわかるデータとして収集されると言う効果がある。
【0033】
しかも、試料に照射するレーザ光は、試料上を移動走査させるので、その時々で収集される上記データは試料に対するレーザ光の照射点における放出光のデータであり、走査範囲で定まる画面を構成する画素単位でのスペクトル分布データとなる。そのため、画素毎に全てのスペクトル分布が把握できるデータとして収集できる。
【0034】
従って、本発明によれば、試料からの蛍光の分光データを短時間に一度に全て取得することが可能な技術が確立する。また、本発明によれば、細胞内カルシウムイオン濃度を測定するような場合のように、試料からの蛍光スペクトルを正確に知ることができない試験や撮像を行うに当たり、最適な解析結果を確実に得ることのできる走査型レーザ顕微鏡を提供できる。
【0035】
また、多重染色観察において、試料の退色を防止するために、少ない走査回数で、必要な蛍光スペクトルのデータを収集できるようになる走査型レーザ顕微鏡を提供できる。
【0037】
この構成によれば、前記検出器の各微小受光素子より得られる電気信号を収集して得たデータを画面構成分収集し、記憶保存し、この保存データを用いて画像を生成するが、画素毎に全てのスペクトル分布が把握できるデータとして収集されていることから、所望にスペクトル範囲を種々指定してその指定範囲のスペクトルによる画像を表示でき、従って、1度データを収集してしまえば、そのデータを利用して種々に画像を生成することで、最適な画像を見付けることができる。
【0038】
従って、本発明によれば、多重染色観察において、試料の退色を防止するために、少ない走査回数で、所望のスペクトルについて反映された画像を表示できるようになる走査型レーザ顕微鏡を提供できる。
【0039】
[3] また、[1]項の構成において、前記スペクトル域の指示を受け付ける手段は、前記レーザ光源の出力レーザ波長より長い波長である少なくとも二種のスペクトル域の指示を受け付け、
前記スペクトル域の画像を生成する手段は、前記保持されたデータのうち、前記指示された二種のスペクトル域に対応するデータをそれぞれ抽出して加算するとともに、両者の比を求めて当該比に基づく画像を生成し、次の画像を生成するまでの間、前記生成した画像を出力し、
前記表示する手段が前記出力された画像を表示することを特徴とする。
【0040】
この構成においては、1画面分の走査を終えると時間をおいて再びレーザ光による試料の1画面分の走査を実施する間欠走査において、一つの走査が終了するたびに画像表示されるので、検査者は画像の変化の様子を確認できる。そのため、もし、試験が上手くいっていないようなら、そこで試験を中止する等の対応ができ、時間の浪費をせずに済むようになる。
【0041】
その他、本発明は次のような態様が包含され得る。
【0042】
(1)本発明の走査型レーザ顕微鏡は、レーザ光を対物レンズを介して集光して走査装置により試料上を走査し、試料からの光を分光器に投射するとともに、前記走査装置からの走査信号に同期して所定のスペクトル帯に対応する分光データを得ることのできる走査型レーザ顕微鏡であって、前記分光データにおいて、所望のスペクトル域のデータのみを抽出して演算し、この演算結果をもとに、走査終了後に画像表示を行うものである。
【0043】
(2)本発明の走査型レーザ顕微鏡は、上記(1)に記載の走査型レーザ顕微鏡であり、所望のスペクトル域を変更することによりデータの演算を再度行い、この演算結果をもとに再度画像表示を行うものであり、またこのシーケンスを繰り返し行うものである。
【0044】
(3)本発明の走査型レーザ顕微鏡は、上記(1)、(2)に記載の走査型レーザ顕微鏡であり、前記分光データにおいて、複数の所望のスペクトル域を指定し、これら各スペクトル域のデータのみを抽出して演算し、この演算結果をもとに、少なくとも1枚の画像プレーンに画像表示するものである。
【0045】
(4)本発明の走査型レーザ顕微鏡は、上記(1)、(2)に記載の走査型レーザ顕微鏡であり、前記分光データにおいて、複数の所望のスペクトル域を指定し、これら各スペクトル域のデータのみを抽出して演算し、この演算結果をもとに、前記指定された複数のスペクトル域に対応する画像をそれぞれ各画像プレーンに表示するものである。
【0046】
(5)本発明の走査型レーザ顕微鏡は、上記(1)〜(4)に記載の走査型レーザ顕微鏡であり、前記画像表示は、所望のスペクトル域のデータ(光強度データ)の合計値をもとに行うものである。
【0047】
(6)本発明の走査型レーザ顕微鏡は、上記(3)に記載の走査型レーザ顕微鏡であり、2つの所望のスペクトル域を指定し、各スペクトル域のデータのみを抽出して、それぞれの合計値を演算するとともに、これら合計値の比を演算し、この演算結果をもとに画像表示するものである。
【0048】
(7)本発明の走査型レーザ顕微鏡は、上記(1)〜(6)に記載の走査型レーザ顕微鏡であり、前記画像表示は、レーザ波長を除く全スペクトル域のデータ(光強度データ)の合計値またはレーザ波長を除く、これよりも長いスペクトル域のデータ(光強度データ)の合計値をもとに行うことが、あらかじめ設定されている。
【0049】
(8)本発明の走査型レーザ顕微鏡は、上記(1)〜(6)に記載の走査型レーザ顕微鏡であり、前記画像表示は、レーザ波長を除く全スペクトル域のデータ(光強度データ)の合計値またはレーザ波長を除く、これよりも短いスペクトル域のデータ(光強度データ)の合計値をもとに行うことが、あらかじめ設定されている。
【0050】
(9)本発明の走査型レーザ顕微鏡は、上記(1)に記載の走査型レーザ顕微鏡であり、前記分光器は1次元、または2次元のCCD配列を含んでいる。
【0051】
(10)本発明の走査型レーザ顕微鏡は、上記(1)に記載の走査型レーザ顕微鏡であり、時間経過観察のために試料走査は所定回数だけ間欠的に行われ、前記画像表示は走査後に所定回数行われる。
【0052】
【発明の実施の形態】
本発明は、試薬により染色された試料からの蛍光の分光データを全スペクトル範囲に亙り、短時間に全て取得することができるようにし、この取得した全スペクトル範囲の分光データの中から、所望のスペクトル領域の分光データを用いて解析や画像表示を行えるようにしたもので、以下、図面を参照して本発明の実施例の詳細を説明する。
【0053】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる共焦点走査型レーザ顕微鏡の構成を示す図である。図において、1は所望の波長のレーザ光を発振出力するレーザ光源であり、測定対象を例えば、Indo−1で標識された細胞内カルシウムイオン濃度とする場合にはレーザ光源1として、351[nm]の発振線を有するアルゴンレーザ光源を用いる。2はこのレーザ光源1から出射されたレーザ光束(レーザビーム)である。
【0054】
3はビームエキスパンダであり、レーザ光源1から出射されたレーザ光束2を、対物レンズ瞳径に略一致するようにビーム径を拡大させるための光学系である。4はレーザラインフィルタであって、予め設定した所望の波長の光を選択的に透過させるフィルタである。測定対象をIndo−1で標識された細胞内カルシウムイオン濃度とする場合には、351[nm]の波長を選択的に透過させる光学フィルタとする。また、5はダイクロイックミラーであって、特定波長帯の光を反射し、他は透過させる光学特性を持つハーフミラーである。測定対象物を細胞内カルシウムイオン濃度とする場合には、351[nm]の波長を選択的に反射させ、他は透過させる光学特性を持つミラーを用いる。
【0055】
また、6はX−Y走査光学系であって、7は瞳投影レンズ、8は結像レンズ、9は対物レンズ、10は試料である。試料10は目的に応じた試薬で染色してある。対物レンズ9は試料10に近接して進退調整可能であって、試料10に対する光学系の焦点を合わせるためのレンズであり、結像レンズ8および瞳投影レンズ7はその光軸を対物レンズ9の光軸に一致させて配されている。
【0056】
また、11は共焦点レンズ、12は共焦点絞り、13はコリメートレンズ、15はプリズムであって、これら共焦点レンズ11、共焦点絞り12、コリメートレンズ13は試料10からの光をプリズム15に導く光学経路上にその光軸を一致させて配置されている。
【0057】
プリズム15は、入射された各波長の光を分光するためのものである。
【0058】
ダイクロイックミラー5は試料10からの光をプリズム15に導く光学経路上であって共焦点レンズ11とX−Y走査光学系6との間の光路にその面を斜めにして配置され、レーザラインフィルタ4を介してレーザ光源1から導かれたレーザ光束2を、ここで反射させて試料10側に導くと共に、試料10側からの光を共焦点レンズ11側に導くよう、レーザ光源1の光軸上との交点に配置してある。
【0059】
共焦点レンズ11は試料10に対する対物レンズ9の焦点位置と共役な焦点位置を持つレンズであり、共焦点絞り12はこの共焦点レンズ11の共焦点位置に配置された絞りである。共焦点絞り12はピンホールの役割を担うものであり、抽出対象の光の持つ波長により理想のピンホール径は異なるので、調整できるよう、絞りとしての機能も備えている。
【0060】
試料10から放出される蛍光は試料における観察対象物部分と共役な平面内に位置するこの共焦点絞り12上へ焦点を結ぶので、この共焦点絞り12を通った光が分光器14に入射し、当該分光器14のプリズム15に入射されて分光される仕組みである。
【0061】
X−Y走査光学系6はダイクロイックミラー5と、瞳投影レンズ7との間の光路中に配され、所定の範囲内で光路を光学的に移動させることができるものである。16は集光レンズ、17は1次元CCD(画素が一列に配列された固体撮像素子)であって、集光レンズ16はプリズム15により分光された光を所定範囲に集めるためのレンズであり、1次元CCD 17上に集光するためのものである。なお、1次元CCD 17は集光レンズ16の焦点位置に配置されている。
【0062】
図2に示すように、1次元CCD 17は画素に相当する複数の受光セルを一列に密に配列してなるラインイメージセンサであり、プリズム15により分光された光を集光レンズ16により1次元CCD 17の受光セル配列範囲内に集めることにより、特定のスペクトルの光は特定のセル位置に入射して検出される構成となっている。そして、CCD 17は光の入射によってそのセルに生成された電荷による画素信号(輝度信号)を、読み出し時にはセルの並ぶ順番に直列データで出力する構成であるから、画素信号の直列データの位置がそれぞれ特定スペクトルの検出信号となる対応関係を持つ構成である。
【0063】
尚、プリズム15、集光レンズ16、1次元CCD 17で分光器14を構成している。レーザ光はX−Y走査光学系6により試料10に対してX−Y走査するものであり、ある瞬間でのレーザ光により励起された蛍光のプリズム15による分光後の1次元CCD 17出力は、レーザ光が照射された位置での励起蛍光(或いは反射光)に含まれる全てのスペクトル分を個別に含む検出画素信号ということになる。
【0064】
31は制御装置であって、X−Y走査光学系6を駆動制御するものであり、30は信号処理装置であって、1次元CCD 17で検出された入射光強度対応の信号を、制御装置31のサンプリング信号に同期して、ディジタル信号に変換して出力するものであり、32はコンピュータであって、信号処理装置30の出力するデータを受けてこれをファイルとして記憶手段に保存すると共に、保存されたこれらファイルを用いてスペクトル画像を生成したり、スペクトルのグラフ表示をしたり、スペクトル範囲を指定することで、その指定したスペクトル範囲の画像を生成したりするといった機能を有する。33はモニタ装置であり、コンピュータ32の出力画面を表示する画像表示装置である。
【0065】
尚、コンピュータ32は、画像生成のアプリケーションと、検査者の操作や指示を行い易くサポートするインタフェースであるGUI(Graphical User Interface;画面上に表示されたアイコンやウインドウなどのグラフィカルな要素を、マウスなどのポインティング・デバイスを用いてコンピュータを操作する方式のインタフェース)を持ち、画像毎に収集された全てのスペクトル分布を画面に表示したり、表示されたスペクトル分布の中から、所望のスペクトル範囲を少なくとも1つ以上個別に指定したり、その指定スペクトル領域についてのデータを記憶手段から抽出して画像を生成して表示したりすると云った機能を有する。
【0066】
次にこのような構成の本装置の作用を説明する。いま、細胞内カルシウムイオン濃度に関する測定を実施しようとする場合を考える。この場合、試料10の染色には蛍光試薬として“INDO−1”を用いる。また、この場合、レーザ光源1としてはアルゴンレーザ光源を用いる。“INDO−1”により染色された試料10を対物レンズ9の下に置き、対物レンズ9の焦点を合わせる。
【0067】
その後、レーザ光源1からレーザ光を出射させる。レーザ光源1は351[nm]の発振線(レーザ光)を有するアルゴンレーザ光源であり、当該レーザ光源1から出射された351[nm]のレーザ光束2は、ビームエクスパンダ3により対物レンズ瞳径に略一致するようにビーム径が拡大される。そして、レーザラインフィルタ4を介してダイクロイックミラー5へと導かれる。
【0068】
レーザラインフィルタ4では351[nm]の発振線を選択的に透過させる。レーザラインフィルタ4を透過した351[nm]の波長を有するレーザ光はダイクロイックミラー5で反射され、X−Y走査光学系6、瞳投影レンズ7、結像レンズ8、対物レンズ9を経て試料10に達する。
【0069】
ここで、試料10に対するレーザ光集束点は対物レンズ9で定まり、試料10上でのレーザ光集束位置はレーザ光をX−Y走査するためのX−Y走査光学系6によるX−Y走査位置により定まる。
【0070】
試料10は蛍光試薬“INDO−1”で標識されており、351[nm]の波長を有するレーザ光が試料10に照射されることにより、その照射点となった試料10からは反射光もしくはレーザ光による励起によって蛍光が生じる。試料10からの反射光および蛍光からなる光束20は、対物レンズ9、結像レンズ8、瞳投影レンズ7、X−Y走査光学系6、を経てダイクロイックミラー5に戻る。そして、光束20はダイクロイックミラー5を透過し、ここで、元のレーザ光波長成分の光が除去されて、蛍光成分の光のみとなり、これはさらに共焦点レンズ11を透過し、前記試料10の前記照射点となった位置からの光が集束されて共焦点絞り12の側に焦点を結ぶ。そして、その集束点にある共焦点絞り12により、前記試料10の前記照射点となった位置からの光が取り出され、それ以外は共焦点絞り12の絞り開口部(ピンホール)から外れることにより除去される。共焦点絞り12を通過した光はコリメートレンズ13によりコリメート(平行光線化)され、分光器14に入る。
【0071】
分光器14はプリズム15、集光レンズ16、および1次元CCD 17からなり、共焦点絞り12を通過してコリメートレンズ13により平行光線化された光束はプリズム15でスペクトル分解され、集光レンズ16を介して1次元CCD 17上に集光される。1次元CCD 17は集光レンズ16の焦点位置に配置されており、しかも、微少なサイズの複数の受光セルが、リニアに、且つ、密に配列されたものであって、分光されるスペクトルの分布範囲が1次元CCD 17における受光セルの配列範囲に見合うように、集光レンズ16により集光される。
【0072】
従って、各受光セルの配列位置と、分光されるスペクトルの波長域は特定の関係にある。分光されて得られたスペクトルの波長と1次元CCD 17におけるその波長のスペクトルを検出する受光セルの位置が定まっているわけである。
【0073】
従って、プリズム15によりスペクトル分解されることにより、各波長別に分離された光は、1次元配列された1次元CCD 17上における分光光路対応位置の受光セルに入射する。そして、1次元CCD 17には試料10におけるその時点でのレーザ光照射位置における出力光の持つスペクトル成分が、その成分対応の受光セルに入射する結果、その受光セルは入射光量相当の電荷を生成する。
【0074】
このようにして生成された電荷は受光セルの並び順にしたがって順番に読み出され、受光セル単位で連なる光強度信号として信号処理装置30に与える。信号処理装置30は制御装置31からのサンプリング信号に同期して1次元CCD 17で検出された光強度信号をディジタル信号に変換処理し、そして、例えば、パソコンの標準バスであるPCIバスを経由してコンピュータ32に転送する。
【0075】
コンピュータ32では、これを受け取って記憶手段に記憶する。この記憶した1ライン分の各受光セルのディジタル信号は、試料10における特定走査位置での出力光の持つ全スペクトル成分の成分別データ(スペクトル分布特性のデータ)である。そのため、試料10における特定走査位置での出力光の持つ全スペクトル成分の成分別データが一度に収集できることになる。
【0076】
一地点でのデータ収集が終わったならば、制御装置31は自己の発生するサンプリング信号に同期させながらX−Y走査光学系6を駆動制御して次の画素のスペクトルデータを取得すべく、試料10に対するレーザ光2の位置を移動させる。そして、上述のようにその位置からの光をプリズム15により分光してその位置での試料10のスペクトル成分の全データ(スペクトル分布特性のデータ)を収集する。
【0077】
制御装置31はサンプリング信号に同期させながらX−Y走査光学系6を駆動制御して試料10に対するレーザ光2の位置を移動させることで、試料10の各位置を網羅するようにX−Y走査し、各位置での試料10のスペクトル成分の全データを収集していくことになる。
【0078】
上述した1次元CCD 17は、例えば、受光セル数が256素子相当のラインイメージセンサであり、最短波長350[nm]、1素子あたり約1[nm]に相当するようにプリズム15と集光レンズ16の焦点距離が光学的に設定されていたとすると、この場合、1次元CCD 17は350[nm]から605[nm]までの範囲のスペクトルが検出可能な構成となる。
【0079】
そして、信号処理装置30は1次元CCD 17の出力を各素子毎に、例えば、8ビット分解能でディジタル化処理する構成であったとする。するとこの場合には、制御装置31の一つのサンプリング信号毎に(つまり画像上の1ピクセル(1画素)に対して)、256[Byte](バイト)の容量のデータ(スペクトル分布特性のデータ)が収集されることになる。X−Y走査光学系6は256×256ピクセルに亙り、走査するものとすれば、1画面当たり、256×256回分のサンプリング信号が出力されることになるので、画像1枚(256×256ピクセル)につきデータ容量は17[MByte]の容量を持つことになる。
【0080】
256×256ピクセル構成の1枚の画像を1秒で取得するものとする場合、信号処理装置30からコンピュータ32にデータ転送する転送レートは17[MByte/秒]程度であるから、一般的なコンピュータに搭載されているPCIバス経由で十分に転送可能である。
【0081】
また、コンピュータ32に1[GByte]のメモリを搭載しておくことにより、少なくとも画像50枚分のピクセル別のスペクトル分布特性のデータをコンピュータに転送し、コンピュータメモリ上に記録することが可能である。
【0082】
以上のことから、観察対象の試料について、ピクセル毎に、全スペクトルに亙り、各成分別の光強度のデータ(ピクセル別のスペクトル分布特性のデータ)を含んだ50秒間(画像50枚)分の経時観察データを得ることができるようになる。
【0083】
ここで、以下に示すように、各画像ピクセル(Xi,Yj)n(但し、(Xi,Yj)は画素位置、nはn枚目の走査画像を指す)についての全スペクトルデータ列を、そのスペクトル成分別にI(K1)n,I(K2)n,I(K3)n,…,…, …,I(Km)n、例えば、I(350)n,I(351)n,I(352)n,…,…,…,I(605)nと表記することにする(n=1〜50、また、K1,K2,…は波長を示していて、I(350)nならば、n枚目の画像の波長350[nm]の入射光量値,I(351)nならば、n枚目の画像の波長351[nm]の入射光量値,…であることを示している)。
【0084】
以上が、本発明の走査型レーザ顕微鏡におけるスペクトル成分のデータ収集である。次に画像表示方法について説明する。
【0085】
データ取得後、検査者は画像表示するためのスペクトル範囲を選択する。これはコンピュータ32の持つソフトウエアにより実施する。
【0086】
コンピュータ32は、画像生成のアプリケーションと、検査者の操作や指示を行い易くサポートするインタフェースであるGUIや操作手段等を持つ。そして、これらのソフトウエアによるメニュー画面をモニタ装置33に表示して検査者に何の処理を行わせたいのか、指示させる。今、収集されたスペクトルのデータから検査者が所望のスペクトル成分の画像を生成する指示をしたとすると、この指示を受けてコンピュータ32は、そのスペクトル範囲の指定画面を生成し、モニタ装置33に送って表示させる。そして、検査者は所望のスペクトル範囲を指示する。
【0087】
例えば、収集されたスペクトルのデータからスペクトル特性の分布図をグラフ表示し、その表示された分布図上で所望のスペクトル範囲を指定する。その結果、図3(a)において符号p,qを付したハッチング領域で示すように、2つのスペクトル範囲を指定したとする。すなわち、一つは波長390[nm]から420[nm]までの範囲(p)、他方は465[nm]から485[nm]までの範囲(q)である。
【0088】
この指定情報を受けてコンピュータ32は、その指定範囲のスペクトルデータ積算値ΣI(K)nをそれぞれピクセル単位で求める。上述の例の場合、
【数1】
として演算するわけである。そして、画面全体の構成ピクセルそれぞれについての当該演算を行い、その結果を反映させた画像を生成する。
【0089】
390[nm]から420[nm]のスペクトルに対応する画像をA、465[nm]から485[nm]のスペクトルに対応する画像をBとする。カルシウムイオン濃度の上昇とともに試料10からの蛍光スペクトルはそれまでの図3(a)のような特性から図3(b)に示すように、短波長側に移動したとすると、これにより、画像Aは明るさを増し、画像Bは暗くなることが認められる。
【0090】
そして、カルシウムイオン濃度を求めるために、
【数2】
但し、αは検査者が定めることのできる適宜な定数である。
を演算する。
【0091】
例えば、“INDO−1”で染色した試料(標本)は、UV光(紫外線)を照射することにより、当該試料から励起される蛍光を2つの異なる波長域(中心波長405[nm]と480[nm])で検出し、検出光量の比(中心波長405[nm]の蛍光/中心波長480[nm]の蛍光)を演算して求めることにより、カルシウムイオン濃度を測定できる。
【0092】
従って、このことを利用して[数2]の演算をコンピュータ32にて行うことで、カルシウムイオン濃度を求めることができる。
【0093】
各ピクセル別にこのようなカルシウムイオン濃度を求め、1画面全てのピクセルについてこのような演算を終えたならば、次にコンピュータ32はピクセル毎に求めたカルシウムイオン濃度を反映させた画像を生成する。
【0094】
そして、得られたカルシウムイオン濃度を表わす画像表示のためのデータをCとすれば、1画像毎に図1(b)に示すように、画像A,B,Cが得られるので、上記の例では50枚分それぞれにおけるA,B,Cの画像が得られることになる。得られたこれらの画像はモニタ装置33に表示させ、検査者はこの表示画像を観察することになる。
【0095】
尚、上述の例では50枚分の画像を得ているので、これら50枚の画像を順次表示すれば、細胞内カルシウムイオン濃度の変化を動画として表示することができる。
【0096】
本実施形態に示した走査型レーザ顕微鏡装置は、もとになる全てのスペクトル成分のデータを、コンピュータ32のメモリ上に保持させてあるので、選択するスペクトル範囲はコンピュータ32に対して指定することにより、何度でも再設定できる。そのため、選択するスペクトルの範囲を種々変更して画像の状態を比較することにより、カルシウムイオン濃度の変化を表わす最善の画像を得ることができる。
【0097】
以上、この実施形態に示したものは、レーザ光源からのレーザ光を観察対象の試料に集束させて照射させると共に試料に対して前記レーザ光を移動走査させ、試料から得られた光を分光手段により分光させて検出器で検出することにより、スペクトルのデータを得るようにした走査型レーザ顕微鏡において、前記検出器は入射光量対応に電気信号を発生する複数の微小受光素子を密に直線的に配列させた1次元光検出手段を用い、前記分光手段の分光出力をこの1次元光検出手段の微小受光素子配列範囲にその入射位置と波長域とが所定の関係を以て入射される配置関係とするようにしたものである。
【0098】
また、前記分光手段の分光出力をこの1次元光検出手段の微小受光素子配列範囲にその入射位置と波長域とが所定の関係を持つよう集光させる光学系を設けて構成した。
【0099】
また、前記1次元光検出手段の各微小受光素子の出力電気信号をディジタル信号化して微小受光素子配列順のデータを得る信号処理手段(信号処理装置30)と、この得られたデータを保持する保持手段とを設けた。
【0100】
更には、保持手段に保持したデータを用いて指定のスペクトル範囲のデータを抽出しその指定範囲のスペクトル成分による画像を生成する構成とした。
【0101】
レーザ光源からのレーザ光を観察対象の試料に集束させて照射させると共に試料に対して前記レーザ光を移動走査させ、試料から得られた光を分光手段により分光させて検出器で検出することにより、試料における1地点毎のスペクトルデータを得るが、スペクトルデータは例えばプリズム等による分光手段を用い、この分光手段により分光して1次元光検出手段に入射させることで得る。1次元光検出手段は、複数の微小受光素子(受光セル)を密に直線的(1次元的)に配列させた構成であり、前記分光手段の分光出力をこの1次元光検出手段の微小受光素子配列範囲にその入射位置と波長域とが関係を以て入射される配置関係としてあることから、微小受光素子はその位置がどこであるかにより、入射される波長域が定まる。従って、特定位置の微小受光素子にはスペクトルの特定波長域の光が入射する構成となる。そのため、この各微小受光素子よりその入射光量対応の信号を得てこれを受光素子個別にディジタルデータ化し、受光素子の並び順に収集すると波長成分が特定できるデータ、すなわち、全てのスペクトル分布がわかるデータとして収集されると言う効果がある。
【0102】
しかも、試料に照射するレーザ光は、試料上をX−Y走査させるべく移動させるので、その時々で収集される上記データは試料に対するレーザ光の照射点における放出光のデータであり、X−Y走査範囲で定まる画面を構成する画素単位でのスペクトル分布データとなる。そのため、画素毎に全てのスペクトル分布が把握できるデータとして収集できる。このデータを画面構成分収集し、記憶保存し、この保存データを用いて画像を生成するが、画素毎に全てのスペクトル分布が把握できるデータとして収集されていることから、所望にスペクトル範囲を種々指定してその指定範囲のスペクトルによる画像を表示でき、従って、1度データを収集してしまえば、そのデータを利用して種々に画像を生成することで、最適な画像を見付けることができる。
【0103】
蛍光試薬による試料染色した試料(蛍光染色試料)の蛍光観察においては、単染色のみならず多重染色が多用されており、特に、蛍光染色は細胞、組織内の特定対象を視認可能にするために行われることが多い。このため、多重染色観察では、各染色部位が明確な色の差、すなわち、蛍光波長の違いとして検出されなければならない。しかも、蛍光波長の部分的な重なり(クロスオーバ部分)を除去して検出する必要がある。
【0104】
本発明では画素毎に全てのスペクトル分布が把握できるデータとして収集でき、このデータを画面構成分収集して記憶保存し、この保存データを用いて所望のスペクトル範囲の画像を生成するが、データが保存されているので、スペクトル範囲を繰り返し何度でも種々指定し直して画像を表示できることから、1度データを収集してしまえば、そのデータを利用して種々に画像を生成することで、最適な状態の画像を見付けることができるようになる。
【0105】
また、スペクトル領域の範囲指定は同時に複数可能であり、しかも、指定したスペクトル領域内のスペクトル成分のデータを加算してその指定領域のスペクトル成分による画像を生成し、さらにそれを利用してイオン濃度などを演算にて求めることができ、その求めたイオン濃度の画像を表示したり他の画像と合成したりして表示できるので、検査者に試験結果についての詳細な情報を提供できる効果もある。
【0106】
なお、上記例では2次元画像を対象としたが、ライン走査(1次元)であってもよいことは言うまでもない。この場合には画像の横方向には走査の空間軸が、縦軸には時間(または走査回数)がとられる。また、分光にはプリズムを用いた例を示したが、これは回折格子を利用しても良く、分光可能な手段であれば利用することができる。
【0107】
以上は、ピクセル毎のスペクトル分布のデータを収集して保持しておき、その保持データを用いて所望のスペクトル領域を定めてその領域の成分による画像を求める方式であったが、試験を実施しながらその状況を把握できるようにし、状況如何により試験継続か中止かを判断できるようにして、もし、試験が上手くいっていないようであるならば、そこで試験を中止する等の対応ができて、時間の浪費をせずに済むようにした実施形態を次に第2の実施形態として説明する。
【0108】
(第2の実施形態)
この実施形態では、スペクトルデータの収集時に、あらかじめレーザ光源の出力レーザ波長成分を除く、これよりも長い二つのスペクトル域のデータの合計値を演算するとともに、ピクセル毎の比を演算し、これらの演算結果をもとに画像表示するように構成するとともに、試料に対する1画面分のレーザ走査終了のたびに画像表示を更新するようにして経過を逐次、把握できるようにするものである。
【0109】
図4(a)は、本発明の第2の実施の形態に係わる共焦点走査型レーザ顕微鏡の構成を示す図である。この実施形態においても、基本構成は第1の実施形態で説明したものと同じで良い。但し、第2の実施形態では、レーザ光源1として442[nm]の発振線を有するヘリウムカドミウムレーザ光源を用いている点、X−Y走査光学系6は512×512ピクセルに亙り、走査するようにした点、1次元CCD 17は例えば、1024素子相当のラインセンサであり、最短波長430[nm]、1画素当たり約0.25[nm]に相当するように、プリズム15と集光レンズ16の焦点距離が光学的に設定されていて、1次元CCD 17は400[nm]から685[nm]のスペクトルが検出可能に構成されている点、コンピュータ32は予めレーザ波長(442[nm])成分を除く、これよりも長い二つのスペクトル域のデータの合計値を求めるとともに、ピクセル毎の比を演算し、これらの演算結果をもとに画像を生成し、モニタ装置33に画像表示するように設定されており、X−Y走査光学系6による1画面分の画素範囲のレーザ光走査終了のたびにモニタ装置33に対する画像表示の更新をするようにした点が第1の実施形態と異なる。尚、34はコンピュータ32に接続されたハードディスクなどの大容量記憶装置である。
【0110】
このような本実施形態で開示した構成の装置の作用を説明する。ここで観察対象とする試料10は2種類の蛍光蛋白(例えば、CFPとYFPの2種類の蛍光蛋白)を遺伝子発現させた細胞であるとする。
【0111】
442[nm]の発振線を有するヘリウムカドミウムレーザ光源1から出射されたレーザ光束2は、ビームエクスパンダ3により対物レンズ瞳径に略一致するようにビーム径が拡大されレーザラインフィルタ4に導かれる。レーザラインフィルタ4は442[nm]の発振線を選択的に透過させる。
【0112】
レーザラインフィルタ4を透過した442[nm]の波長を有するレーザ光束はダイクロイックミラー5で反射され、X−Y走査光学系6、瞳投影レンズ7、結像レンズ8、対物レンズ9を経て試料10に達する。
【0113】
試料10は、CFPとYFPの2種類の蛍光蛋白を遺伝子発現させた細胞であり、細胞内カルシウムイオン濃度の変化により、CFPからYFPへのエネルギ移動の変化が生じ、これにより蛍光量が変化するもので、この光量の比を測定することで細胞内カルシウムイオン濃度を測定することができる。
【0114】
試料10に到達したレーザ光によってその到達位置での蛍光蛋白を励起し、または反射光を生じる。
【0115】
ここで、試料10に対するレーザ光集束点は対物レンズ9で定まり、試料10上でのレーザ光集束位置はレーザ光をX−Y走査するためのX−Y走査光学系6によるX−Y走査位置により定まる。
【0116】
試料10からの反射光および蛍光からなる光束20は、対物レンズ9、結像レンズ8、瞳投影レンズ7、X−Y走査光学系6、を経てダイクロイックミラー5に戻る。そして光束20はダイクロイックミラー5、共焦点レンズ11を透過し、共焦点絞り12、コリメートレンズ13を介して分光器14に入る。
【0117】
分光器14はプリズム15、集光レンズ16、および1次元CCD17からなり、ダイクロイックミラー5を透過した光束はプリズム15でスペクトル分解され、集光レンズ16を介して1次元CCD 17上に集光される。なお1次元CCD 17は集光レンズ16の焦点位置に配置されている。
【0118】
X−Y走査光学系6を駆動制御する制御装置31のサンプリング信号に同期して、信号処理装置30は1次元CCD 17で検出された光強度信号をディジタル信号に変換し、PCIバス経由でコンピュータ32に転送する。
【0119】
1次元CCD 17は例えば、受光セルが1024素子相当のラインセンサであり、最短波長430[nm]、1画素当たり約0.25[nm]に相当するように、プリズム15と集光レンズ16の焦点距離が光学的に設定されている。したがって、受光セル1024素子は、順に400[nm]から685[nm]のスペクトル範囲をカバーしている。そして、その各受光セルは、自己の対応する波長成分の光の強度に対応する電気信号を発生することになる。すなわち、1次元CCD17は400[nm]から685[nm]のスペクトルが検出可能に構成されているわけである。
【0120】
信号処理装置30は1次元CCD 17の出力を各素子毎に8ビット分解能で処理し、その並び順に並ぶデータとして出力する。
【0121】
したがって、この信号処理装置30の出力するデータは、制御装置31の一つのサンプリング信号に対して(つまり画像上の1ピクセルに対して)、1[KByte](キロバイト)のデータ容量を有する。
【0122】
X−Y走査光学系6によるX−Y走査の範囲は、1画像当たり512×512ピクセル相当であるから、制御装置31はこれに対応するサンプリング信号を出力することとなるので、画像1枚(512×512ピクセル)につき268[MByte]のデータ容量となる。
【0123】
1枚の画像を60秒おきに取得する場合、信号処理装置30からコンピュータ32に必要な転送レートは、一般的なコンピュータに搭載されているPCIバス経由で十分に対応可能である。また、このデータをコンピュータ32に接続されたハードディスクなどの大容量記憶装置34に、試料に対する1画面分のレーザ走査終了ごとに書き込むことにより、少なくとも画像50枚分のデータを記録することが可能である。信号処理装置30からコンピュータ32へのデータ転送時間とハードディスク(大容量記憶装置34)ヘの書き込み時間の合計が画面毎のレーザ走査間隔時間に対して小さければ良いことになる。
【0124】
この実施形態では、コンピュータ31での処理は、あらかじめレーザ波長(442[nm])成分を除く、これよりも長い二つのスペクトル域のデータの合計値を演算するとともに、ピクセル毎の比を演算し、これらの演算結果をもとに画像を生成して画像表示するように設定されており、レーザ走査終了のたびに画像表示を更新するようになっている。
【0125】
すなわち、二つのスペクトル範囲をあらかじめ指定しておく。一つは465[nm]から495[nm]までを、他方は520[nm]から550[nm]までである。
【0126】
この指定情報を受けてコンピュータ32は、その指定範囲のスペクトルデータ積算値ΣI(K)nを、それぞれピクセル単位で求める。上述の例の場合、
【数3】
として演算するわけである。そして、画面全体の構成ピクセルそれぞれについての当該演算を行い、その結果を反映させた画像を生成する。
【0127】
465[nm]から495[nm]のスペクトルに対応する画像をA、520[nm]から550[nm]のスペクトルに対応する画像をBとする。カルシウムイオン濃度の上昇とともに試料からの蛍光スペクトルはエネルギ移動により、画像Bは明るさを増し、画像Aは暗くなる。
【0128】
そしてカルシウムイオン濃度を求めるために、
【数4】
但し、αは検査者が定めることのできる適宜な定数である。
を演算する。
【0129】
そして、演算により求めたカルシウムイオン濃度を表わす画像表示のためのデータによる画像をCとすれば、1画像毎に図4(b)に示すように、画像A,B,Cが得られるので、例えば、n=1の画像のための走査が終了段階でそのn=1の画像は生成が可能であるから、その生成画像を表示するようにする。
得られたこれらの画像は大容量記憶装置34に保存させ、また、モニタ装置33に表示させるので、検査者はこの表示画像を観察することになる。
【0130】
n=2の画像のためのレーザ走査が終了した段階で、n=2の画像を生成し、大容量記憶装置34に保存し、また、n=1の画像に代えてそのn=2の画像を表示し、n=3の画像のためのレーザ走査が終了した段階でn=3の画像を生成し、大容量記憶装置34に保存し、また、n=2の画像に代えてそのn=3の画像を表示し、…と云う具合に、画像A,B,Cを走査終了の度に画像の生成とその生成した画像のモニタ装置33への更新表示を実施する。これにより試験の状況を把握しながら、時間経過観察ができることになる。
【0131】
また、生成画像は大容量記憶装置34に保持させてあるので、所定回(前記例では50画面に亘って)のレーザ走査終了後に当該保持させてある所定枚(前記例では50枚)の画像を順次表示すれば細胞内カルシウムイオン濃度の変化を動画として表示して時間経過観察することができる。
【0132】
すなわち、この実施形態においては時間経過観察のために試料走査は所定回数だけ間欠的に行われ、前記画像表示は各レーザ走査終了毎にあるいは全枚数分の画像取得のためのレーザ走査全てが完了した後に所定回数行われるようにした。
【0133】
また、レーザ走査によって収集された各ピクセル毎のスペクトル分布のデータは保存されているので、選択するスペクトル範囲は何度でも再設定し直して画像表示できることから、カルシウムイオン濃度の変化を表わす最善の画像を得ることができる。
【0134】
このようにこの実施形態に示したものは、レーザ光源からのレーザ光を観察対象の試料に集束させて照射させると共に試料に対して前記レーザ光を移動走査させ、試料から得られた光を分光手段により分光させて検出器で検出することにより、スペクトルのデータを得るようにした走査型レーザ顕微鏡において、スペクトルデータの収集時に、あらかじめレーザ光源の出力レーザ波長成分を除く、これよりも長い二つのスペクトル域のデータの合計値を演算するとともに、ピクセル毎の比を演算し、これらの演算結果をもとにした画像を表示するように構成したものであり、レーザ光による試料の走査終了のたびに画像表示を更新するようにして経過を逐次、把握できるようにしたものである。
【0135】
そのため、試験を実施しながらその状況を把握できるので、状況如何により試験継続か中止かを判断できるようになり、もし、試験が上手くいっていないようであるならば、そこで試験を中止する等の対応ができて、時間の浪費をせずに済むようになる等の効果が得られる。
【0136】
従って、この実施形態においては、1画面分の走査を終えると時間をおいて再びレーザ光による試料の1画面分の走査を実施する間欠走査において、一つの走査が終了するたびに画像表示されるので、検査者は試験途中でCFP,YFPそれぞれの画像と、カルシウムイオン濃度の変化を確認できる。そのため、もし、試験がうまくいっていないようならば、そこで試験を中止する等の対応をとることができ、時間の浪費をせずに済むようになる。
【0137】
尚、上記例ではレーザ光源としてヘリウムカドミウムレーザ光源を用いて1光子励起で観察を行っているが、モードロックチタンサファイヤレーザ等の赤外域の波長を有する超短パルスレーザ光源を用いて、2光子励起観察を行い、これよりも短い2つのスペクトル域のデータの合計値を演算するとともに、ピクセル毎の比を演算し、これらの演算結果をもとに画像表示するように設定し、走査終了のたびに演算結果の画像表示を更新するようにしてもよい。ここで、2光子励起(2光子励起法)とは吸収波長の何倍化の波長を有する長波長のレーザ光を高密度で照射することにより、焦点面で局所的に蛍光分子を励起する方式で多光子励起法とも呼ばれるものであり、ピンホールなしで共焦点観察法と同等なセクショニング画像を得ることができる手法である。
【0138】
そして、このような超短パルスの長波長レーザ光を用いて、2光子励起によりデータを取得する方法は細胞に対する光毒性が少なく、より長時間に亙る観察が可能になる。
【0139】
また、この例では1次元のCCDを用いたが、試料からの光束が集光レンズ16により集光され、ここで形成される回折スポット径がCCDの画素サイズよりも大きい場合は2次元CCDを用いる構成としてもよい。これにより、スポット径が大きい場合に、試料からの光を効率良く検出でき、S/Nの良いデータを取得することができるようになる。
【0140】
なお、本発明は上述した実施形態に示す例に限定されるものではなく、種々変形して実施可能である。
【0141】
また、本発明において、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得るものである。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、当該実施形態での構成要件が一部削除された構成についても発明として成立し得るものである。
【0142】
【発明の効果】
本発明によれば、走査ピクセル毎にスペクトルデータを有しており、画像表示のためのスペクトル域を自由に選択することができ、しかも何度でもスペクトル域の指定を変更できるので、細胞内カルシウムイオン濃度を測定するような、試料からの蛍光スペクトルを正確に知ることができない試験や撮像を行う場合でも、最適な解析結果を得ることのできる、自由度の高い走査型レーザ顕微鏡を提供することができる。
【0143】
さらに、多重染色観察において、試料の退色を防止するために、少ない走査回数で蛍光波長の部分的な重なり(クロスオーバ部分)を効率良く除去して画像表示することのできる走査型レーザ顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明するための図である。
【図2】本発明を説明するための図であって、本発明の走査型レーザ顕微鏡における分光器の構成例を説明するための図である。
【図3】得られたスペクトルの例とスペクトル範囲指定の例およびその遷移状況の例を説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を説明するための図である。
【図5】従来技術を説明するための図である。
【図6】従来技術を説明するための図である。
【図7】従来技術を説明するための図である。
【図8】従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
1…レーザ光源、 2…レーザ光束
3…ビームエクスパンダ、
4…レーザラインフィルタ
5…ダイクロイックミラー、6…X−Y走査光学系
7…瞳投影レンズ、 8…結像レンズ
9…対物レンズ、 10…試料
11…共焦点レンズ、 12…共焦点絞り
13…コリメートレンズ、14…分光器
15…プリズム、 16…集光レンズ
17…1次元CCD、 20…試料からの光束
30…信号処理装置、 31…制御装置
32…コンピュータ、 33…モニタ装置
34…ハードディスク装置(HDD)
Claims (3)
- レーザ光源からのレーザ光を観察対象の試料に集束させて照射させると共に試料に対して前記レーザ光を移動走査させ、試料から得られた光を分光手段により分光させて検出することにより、スペクトルのデータを得るようにした走査型レーザ顕微鏡において、
入射光量対応に電気信号を発生する複数の微小受光素子を直線的に配列させた1次元光検出手段を用い、前記分光手段の分光出力をこの1次元光検出手段の微小受光素子配列範囲にその入射位置と波長域とが所定の関係を以て入射される配置関係とすることにより画素単位でスペクトルのデータを得る検出器と、
前記検出器の各微小受光素子より得られる電気信号を収集して画素単位でのスペクトル分布データとして記憶保存する手段と、
画像表示するためのスペクトル域の指示を受け付ける手段と、
前記記憶保存されたデータのうち、前記指示されたスペクトル域に対応するデータを抽出して加算し、前記スペクトル域の画像を生成する手段と、
前記生成された画像を表示する手段を備え、
スペクトル域の前記指示入力とそれに対応したスペクトル域の画像生成と表示を、前記記憶保存された同じデータに基づいて繰り返して実施可能にしたことを特徴とする走査型レーザ顕微鏡。 - 前記スペクトル域の指示を受け付ける手段は、画面上で表示されたスペクトル分布の中から所望の前記スペクトル域を指示するためのインターフェースを備えたことを特徴とする請求項1記載の走査型レーザ顕微鏡。
- 前記スペクトル域の指示を受け付ける手段は、前記レーザ光源の出力レーザ波長より長い波長である少なくとも二種のスペクトル域の指示を受け付け、
前記スペクトル域の画像を生成する手段は、前記保持されたデータのうち、前記指示された二種のスペクトル域に対応するデータをそれぞれ抽出して加算するとともに、両者の比を求めて当該比に基づく画像を生成し、次の画像を生成するまでの間、前記生成した画像を出力し、
前記表示する手段が前記出力された画像を表示することを特徴とする請求項1記載の走査型レーザ顕微鏡。
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