JP2011257691A - レーザ顕微鏡装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】標本の状態変化に応じて観察条件を変化させ、高速かつ高分解能な観察を行うことができるレーザ顕微鏡装置を提供する。
【解決手段】CARS励起光およびラマン散乱励起光を同軸で標本に照射可能なレーザ照射光学系10と、標本105から発生したラマン散乱光のスペクトルを検出するラマン散乱スペクトル検出部3と、ラマン散乱光のスペクトルを解析して標本中の分子の特定の振動数を算出するラマン散乱スペクトル解析部110と、ラマン散乱スペクトル解析部110により算出された振動数をCARS励起光の離調として設定する離調追加/削除制御部111と、設定された離調のCARS励起光をレーザ照射光学系10により照射することで標本105から発生したCARS光を検出するCARS検出部5とを備えるレーザ顕微鏡装置21を採用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、CARS光およびラマン散乱光を観察するレーザ顕微鏡装置に関するものである。
従来、生細胞の研究において、コヒーレントアンチストークスラマン散乱(以下、「CARS」という)の原理を用いたCARS顕微鏡観察や、共焦点効果とラマン散乱の原理を用いた共焦点ラマン顕微鏡を用いた観察を行うためのレーザ顕微鏡装置が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
生細胞は時間と共に変化するものであり、生細胞の細胞***から細胞死までの過程を無染色で行うにはラマン散乱の原理を使った顕微鏡が有効である。例えば細胞***は、細胞周期と呼ばれるいくつかの状態を経て起こる。このような細胞の状態変化や細胞死へ至る過程で、生細胞内には中間生成物の分子が出現する。このような生細胞の変化を分子レベルで追跡したいという要望がある。
また、観察対象の標本、特に生細胞において***時や、薬剤刺激等を行った際に、細胞に取り込まれた薬剤分子および、生細胞内のタンパク質や核酸の分子構造が変化することに起因して、ラマン散乱光のスペクトルが変化することが知られている。したがって、ラマン散乱顕微鏡を使えば、生細胞の変化を観察することが可能となる。
また、ラマン散乱顕微鏡によれば、タイムラプス観察において標本のラマン散乱光のスペクトルに、新たなピークが立ち上がったり、ピークが消えたりするような場合でも、後処理によってラマン散乱光のスペクトルが変化した波長についてのXY画像を構築可能であるため、標本の変化に追従した観察画像を得ることができる。
特開2009−47435号公報 特開2009−58578号公報
しかしながら、ラマン散乱の原理を用いた顕微鏡による標本の観察において、標本が動いたり、標本のラマン散乱スペクトルが高速に変化した場合には、これらの現象に追従した画像を高分解能、高解像度で取得することは極めて難しい。
その一方、CARS顕微鏡を用いれば、高分解能で高速な画像取得が可能である。しかしながら、CARS顕微鏡では、2色のパルスレーザ光の振動数差(以下「離調」という)と標本の振動準位とを一致させたときにしか観察画像が得られない。そのため、振動準位が予め明らかな標本でしか観察画像を得ることができず、生細胞のタイムラプス観察中などにおいて、ラマン散乱スペクトルが変化したり、新たな振動準位が生まれたりしても、標本の変化に追従した顕微鏡観察をすることは不可能である。
特許文献1に開示されている顕微鏡は、標本を動かすことなくラマン散乱光観察と、CARS光観察を切り替えて行うものである。したがって、ラマン散乱光のスペクトルの利用は、観察の開始時においてCARS光観察を行う分子振動数を選択する際に限られており、標本の変化に追従したCARS光観察を行うことができない。
また、特許文献2に開示されている顕微鏡は、標本のラマン散乱光のスペクトルをCARS光観察に先立って取得し、標本の分子振動数に合わせて励起レーザ波長や分光フィルタ条件を設定するものである。したがって、ラマン散乱光のスペクトルの利用は、CARS光観察条件の設定時に限られており、標本の変化に追従したCARS光観察を行うことができない。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、標本の状態変化に応じて観察条件を変化させ、高速かつ高分解能な観察を行うことができるレーザ顕微鏡装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、CARS励起光およびラマン散乱励起光を同軸で標本に照射可能な照射光学系と、該照射光学系によりラマン散乱励起光を照射することで前記標本から発生したラマン散乱光のスペクトルを検出するラマン散乱光スペクトル検出手段と、該ラマン散乱光スペクトル検出手段により検出されたラマン散乱光のスペクトルを解析して前記標本中の分子の特定の振動数を算出するスペクトル解析手段と、該スペクトル解析手段により算出された前記振動数をCARS励起光の離調として設定する離調設定手段と、該離調設定手段により設定された離調のCARS励起光を前記照射光学系により照射することで前記標本から発生したCARS光を検出するCARS光検出手段とを備えるレーザ顕微鏡装置を採用する。
本発明によれば、照射光学系によりラマン散乱励起光が標本に照射されることで、標本からラマン散乱光が発生し、そのスペクトルがラマン散乱光スペクトル検出手段により検出される。検出されたラマン散乱光のスペクトルはスペクトル解析手段により解析され、標本中の分子の特定の振動数が算出される。そして、離調設定手段により、スペクトル解析手段により算出された振動数にCARS励起光の離調が設定される。このように離調が設定されたCARS励起光が照射光学系により標本に照射されることで、標本からCARS光が発生し、CARS光検出手段により検出される。
上記のようにすることで、ラマン散乱光のスペクトルに応じてCARS励起光の離調を設定し、設定された離調に対応したCARS光を検出することができる。これにより、標本の状態変化に追従したCARS光観察を行うことができ、標本の状態が変化した場合にも高速かつ高分解能な観察を行うことができる。
上記発明において、前記ラマン散乱光スペクトル検出手段により検出されたラマン散乱光のスペクトルを記憶するラマン散乱光スペクトル記憶部を備え、前記離調設定手段は、前記ラマン散乱光スペクトル記憶部に記憶されたラマン散乱光のスペクトルが時間変化した周波数を前記CARS励起光の離調として設定することとしてもよい。
このようにすることで、ラマン散乱光のスペクトルが時間変化した周波数を、CARS励起光の離調として設定して、CARS光を検出することができる。これにより、標本の状態変化に追従したCARS光観察を行うことができる。
上記発明において、前記離調設定手段が、ラマン散乱光のスペクトルの強度がピークとなる周波数を前記CARS励起光の離調として設定することとしてもよい。
ラマン散乱光のスペクトルの強度がピークとなる周波数を、CARS励起光の離調として設定することで、高速かつ容易にCARS光を検出することができる。
上記発明において、前記離調設定手段が、ラマン散乱光のスペクトルの強度が所定の閾値を超えた前記ピークとなる周波数を、前記CARS励起光の離調として設定することとしてもよい。
ラマン散乱光のスペクトルの強度が低い場合には、CARS励起光の離調の再設定を行ってもCARS光は検出されない。したがって、ラマン散乱光のスペクトルの強度が所定の閾値以下のピークに対して、CARS励起光の離調の設定を行わないようにすることで、不要な処理を防止して安定したCARS光観察を行うことができる。
上記発明において、前記ラマン散乱光スペクトル検出手段が、前記標本から発生したラマン散乱光をスペクトルに分光する分光部と、該分光部により分光されたラマン散乱光のスペクトルをそれぞれ検出するチャネルが複数配列された多チャネル検出器とを有することとしてもよい。
このようにすることで、標本から発生したラマン散乱光を分光部によりスペクトルに分光し、これらスペクトルを多チャネル検出器によりそれぞれ検出することができる。
上記発明において、前記照射光学系が、CARS励起光よりも少ない照射ポイント数でラマン散乱励起光を照射することとしてもよい。
このようにすることで、ラマン散乱光スペクトル検出手段により検出されるラマン散乱光のデータポイント数を、CARS光検出手段により検出されるCARS光のデータポイント数よりも小さくすることができる。ここで、ラマン散乱光は、CARS励起光の離調を設定できればよいため、データポイント数は小さくてもよい。したがって、上記のようにすることで、CARS励起光の離調設定時の処理を容易化することができ、標本の状態変化に追従したCARS光観察を高速で行うことができる。
上記発明において、前記ラマン散乱励起光源の光路上に励起光源の波面を変調するレンズを備え、前記照射光学系により前記標本を面照明することとしてもよい。
このようにすることで、ラマン散乱励起光を標本に面照射することができ、一括して標本のラマン散乱スペクトルを取得して、より高速な測定が可能になる。
上記発明において、前記ラマン散乱光スペクトル検出手段が、光ファイバを用いた受光部と、該光ファイバで受光した光を分光する分光部とを備えたファイバ分光器であって、前記受光部が、対物レンズの瞳と共役な位置に配置されることとしてもよい。
ラマン散乱光スペクトル検出手段をファイバ分光器として、光ファイバの受光部を対物レンズの瞳と共役な位置に配置することで、対物レンズで集めたラマン散乱光を一括して取り込むことができる。
上記発明において、タイムラプス観察を行うタイムラプス観察手段を備えることとしてもよい。
このようにすることで、タイムラプス観察手段によりタイムラプス観察画像が得ることができ、標本の変化を観察することができる。
上記発明において、観察位置を指定するためのプレビュー画像を取得する画像取得手段を備えることとしてもよい。
このようにすることで、プレビュー画像から観察領域を容易に設定することが可能となる。
本発明によれば、標本の状態変化に応じて観察条件を変化させ、高速かつ高分解能な観察を行うことができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係るレーザ顕微鏡装置の全体構成図である。 図1のCARS励起光源の構成を示すブロック図である。 図1のラマン散乱励起光源の構成を示すブロック図である。 図1のダイクロイックミラーの波長特性を示すグラフである。 図1のCARS検出部の構成を示すブロック図である。 図1のバンドパスフィルタの光学特性を示すグラフである。 図1のラマン散乱スペクトル検出部の構成を示すブロック図である。 図1のレーザ顕微鏡装置による観察条件設定フェーズにおける処理を示すフローチャートである。 図1のレーザ顕微鏡装置により取得されたプレビュー画像の一例であり、(a)はラマン散乱スペクトル取得範囲設定前、(b)はラマン散乱スペクトル取得範囲設定後である。 図1のレーザ顕微鏡装置による観察フェーズにおける処理を示すフローチャートである。 ラマン散乱スペクトルの時間変化を示すグラフの一例である。 CARS観察により取得された画像の一覧(一例)である。 本発明の第2の実施形態に係るレーザ顕微鏡装置の全体構成図である。 図13のラマン散乱励起光源の構成を示すブロック図である。 図13のラマン散乱スペクトル検出部の構成を示すブロック図である。 図13のレーザ顕微鏡装置により取得されたプレビュー画像の一例である。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るレーザ顕微鏡装置21について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るレーザ顕微鏡装置21は、図1に示されるように、CARS励起光を発するCARS励起光源1と、ラマン散乱励起光を発するラマン散乱励起光源2と、これら光源からの光を標本105に照射するレーザ照射光学系(照射光学系)10と、ラマン散乱光を検出するラマン散乱スペクトル検出部(ラマン散乱光スペクトル検出手段)3と、CARS光を検出するCARS検出部(CARS光検出手段)5と、これらを制御する制御部6とを備えている。
CARS励起光源1は、観察対象の標本105からCARS光を発生させるためのCARS励起光を発する光源であり、図2に示すように、第1パルスレーザ光源1aと、第2パルスレーザ光源1bと、反射ミラー1cと、ダイクロイックミラー1dとを備えている。
ダイクロイックミラー1dの特性は、第1パルスレーザ光源1aの波長だけを透過し、第2パルスレーザ光源1bの波長を反射するように構成されている。
CARS励起光源1において、第1パルスレーザ光源1aから出力したレーザ光は、ダイクロイック反射ミラー1dを透過してCARS励起光源1から出射される。第2パルスレーザ光源1bから出力したレーザ光は、反射ミラー1cで反射させた後、さらにダイクロイックミラー1dの表面で反射させ、第1パルスレーザ光源1aからのレーザ光と同軸に合成して射出される。上記構成を有することで、CARS励起光源1は、第1パルスレーザ光源1aと第2パルスレーザ光源1bから2色の波長を有するレーザ光を同軸に出射させて、CARS励起光として射出するようになっている。
また、本実施形態では、第1パルスレーザ光源1aを波長固定のパルスレーザとし、第2パルスレーザ光源1bを波長可変のパルスレーザとすることで、CARS励起光源1から出射する2色のパルスレーザ光の振動数差(以下「離調」という)Δωを、観察対象の標本105における素励起の振動数ωに応じて調整できるようになっている。ここで、第2パルスレーザ光源1bとしては、例えばチタンサファイアレーザ等の波長可変なパルスレーザ光源等を使用するものとする。
ラマン散乱励起光源2は、標本105からラマン散乱光を発生させるためのラマン散乱励起光を発する光源であり、図3に示すように、単色の連続発振レーザ光(例えば波長748nmや785nm)の近赤外LDであるラマン散乱励起光源2aを有している。
レーザ照射光学系10は、図1に示すように、反射ミラー117と、ダイクロイックミラー118と、光走査部4と、瞳投影レンズ100と、反射ミラー122と、結像レンズ101と、対物レンズ102とを備えている。レーザ照射光学系10は、CARS励起光源1から射出されたCARS励起光と、ラマン散乱励起光源2から射出されたラマン散乱励起光とを標本105に照射するようになっている。
光走査部4は、例えばガルバノミラーであり、偏向ミラー4aと、偏向ミラー4bとを有している。各偏向ミラーの回転軸同士は、互いに直交するように構成されている。また、各偏向ミラーの回転軸と入射レーザ光の光軸は、互いに直交するように構成されている。また、各偏向ミラーの振り角が0度のとき、各偏向ミラーの反射面と、レーザ光の光軸方向のなす角は45度になるように構成されている。
ダイクロイックミラー118の波長特性は、CARS励起光源1からのCARS励起光を透過する一方、ラマン散乱励起光源2からのラマン散乱励起光を反射する特性とする。また、ダイクロイックミラー121の波長特性は、図4に示すように、CARS励起光源1からのCARS励起光と、ラマン散乱励起光源2からのラマン散乱励起光を透過する一方、標本105からのストークスラマン散乱光を反射する特性とする。
上記構成を有することで、CARS励起光源1から射出されたCARS励起光は、ダイクロイックミラー118とダイクロイックミラー121を透過し、光走査部4へ導かれる。光走査部4へ導かれたCARS励起光は、偏向ミラー4a,4bにより反射された後、瞳投影レンズ100を透過する。瞳投影レンズ100を透過したCARS励起光は、反射ミラー122により90度折り返され、結像レンズ101、対物レンズ102を透過して、光軸方向に上下動可能な焦準ステージ103上に載置された標本105の標本面104上に集光される。
また、ラマン散乱励起光源2より射出したラマン散乱励起光は、反射ミラー117で反射させた後、ダイクロイックミラー118の表面で反射され、CARS励起光の光軸方向へ折り返される。ラマン散乱励起光は、CARS励起光と同軸に合成されてダイクロイックミラー121を透過し、光走査部4を経て、瞳投影レンズ100を透過する。瞳投影レンズ100を透過したラマン散乱励起光は、反射ミラー122により90度折り返され、結像レンズ101、対物レンズ102を透過して、ステージ103上に載置した標本105の標本面104へ集光される。
本実施形態において、CARS光の検出は透過型で行うため、CARS検出部5は、標本105に対して入射光の透過側に配置される。
標本105において発生したCARS光は、標本105に対して入射光の透過側に配置されたレンズ123を透過し、反射ミラー124で90度折り返され、光路上へ挿脱可能なフィルタホルダ(例えば回転式フィルタターレット)により保持されるバンドパスフィルタ106を透過してCARS検出部5へと導かれる。
バンドパスフィルタ106は、図6に示すように、CARS励起光の波長を反射する一方、CARS光だけを透過する光学特性を有している。CARS検出部5へ入射したCARS光は、集光レンズ125を透過して、光検出器107へ入射するようになっている。
CARS検出部5は、図5に示すように、標本105において発生したCARS光を光検出器107に集光する集光レンズ125と、光検出器107により集光されたCARS光を検出する光検出器(例えば光電子増倍管等)107とを備えている。
一方、本実施形態において、ラマン散乱光の検出は反射型で行うため、ラマン散乱スペクトル検出部3は、標本105に対して入射光の反射側に配置される。
標本105から発生したラマン散乱光は、ラマン散乱励起レーザの進路を逆に辿る。すなわち、標本105から発生したラマン散乱光は、対物レンズ102、結像レンズ101を透過し、反射ミラー122で90度折り返して、瞳投影レンズ100、光走査部4を経て、ダイクロイックミラー121へと至り、90度折り返してラマン散乱スペクトル検出部3へ導かれる。
ラマン散乱スペクトル検出部3は、図7に示すように、CARS励起光とラマン散乱励起光を反射する一方、ラマン散乱光だけを透過させる特性を有するバンドパスフィルタ3aと、バンドパスフィルタ3aを透過してきたラマン散乱光を分光検出器3Aのスリット部3cへ集光する集光レンズ3bと、ラマン散乱光スペクトルを検出する分光検出器3Aとを有している。
分光検出器3Aは、スリット3cを抜けてきた光を受ける凹面鏡3dと、入射光をスペクトル分解するグレーティング(分光部)3eと、グレーティング3eにより分光されたスペクトル成分を後段のライン検出器3gへ結像する凹面鏡3fと、スペクトル成分をそれぞれ検出するライン検出器(多チャネル検出器)3gとを有している。
ライン検出器3gは、例えばライン状に複数の光電子増倍管を並べた、マルチチャネル光電子増倍管を有しており、本実施形態ではツェルニーターナー配置と呼ばれる分光検出方式としている。
制御部6は、図1に示すように、標本105の画像を生成する画像生成部126と、CARS励起光の離調を設定する離調追加/削除制御部(離調設定手段)111と、ラマン散乱スペクトルを解析するラマン散乱スペクトル解析部(スペクトル解析手段)110とを有している。
画像生成部126は、CARS検出部5により検出された標本105からのCARS光から、標本105の画像を生成するようになっている。
ラマン散乱スペクトル解析部110は、ラマン散乱光スペクトル検出部3により検出されたラマン散乱光のスペクトルを解析して、標本105中の分子の特定の振動数を算出するようになっている。
離調追加/削除制御部111は、ラマン散乱スペクトル解析部110により算出された前記振動数をCARS励起光の離調として設定するようになっている。
制御部6には、CARS励起光源1と、ラマン散乱励起光源2と、光走査部4と、CARS検出部5と、ラマン散乱スペクトル検出部3とが、通信インターフェースを介して接続されている。また、制御部6には、例えばマウスやキーボード等の入力装置112と、モニタ等の外部出力装置113とが接続されている。
制御部6は、図示しない、ラマン散乱励起光源制御機能、CARS励起光源制御機能、ラマン散乱取得ポイントの記憶機能、CARS顕微鏡観察画像取得領域記憶機能、およびCARS励起光源の離調設定記憶機能を有している。
ラマン散乱スペクトル解析部110は、複数のラマン散乱スペクトルとこれを検出した位置および検出した時刻の情報とを対応付けて保持する記憶機能と、スペクトルのピークを検出する機能と、複数のラマン散乱スペクトル同士を相互に比較してピーク振動数の変化および強度の変化を検出する機能とを備えている。
上記構成を有するレーザ顕微鏡装置1を用いた顕微鏡観察方法について、図8に示す観察条件設定フェーズと、図10に示す観察フェーズに分けて説明する。
以下に、観察条件の設定手順について、図8に示す観察条件設定フェーズのフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS1(プレビュー画像の取得)では、標本の観察条件を設定するためのプレビュー画像を作成する。プレビュー画像の取得は、ラマン散乱励起光源2とレーザ照射光学系10による標本105の光走査照明と、光検出器107をとを用いた透過顕微鏡観察を行う。
この際、標本105を透過したレーザ光が光検出器107へ入射するように、バンドパスフィルタ106は光路から外しておく。
次に、上記の装置を用いた透過顕微鏡観察の詳細について説明する。
標本105の照明は、制御部6の命令によりラマン散乱励起光源2から射出したレーザ光を、光走査部4、瞳投影レンズ100、反射ミラー122を経て、結像レンズ101、対物レンズ102へと導き、光走査部4の回動する偏向ミラー対4a、4bによって標本105上を2次元走査して行う。
標本105を透過させた照明光は、レンズ123を透過して反射ミラー124で方向を変えて光検出器107へと導かれ、光検出器107により光の強度が検出される。制御部6は、標本105上の各照明ポイントに対応する偏向ミラー4a、4bの角度情報と、光検出器107が検出した輝度情報を対応付けて、画像生成部126へ出力する。
画像生成部126は、位置情報と輝度情報を基に画像を生成して、外部出力装置113へ画像情報を出力し、外部出力装置113は画面上に透過顕微鏡観察画像をプレビュー画像として映し出す。
ここで、上記方法により取得したプレビュー画像の例と、後述するステップS2とステップS3において実施する設定の例を図9(a)および図9(b)に示す。図9(a)および図9(b)において、鎖線で囲んだ範囲は、例として512×512画素でCARS顕微鏡観察する範囲を示している。一方、黒点で示す点は、ラマン散乱スペクトルを取得する点を示している。この例に示すように、ラマン散乱スペクトルを取得する点の数は、CARS顕微鏡観察の画素数よりも少ない数でとるようにする。なお、取得するラマン散乱スペクトルは、画像そのものではないので、画像取得時のように多数の点でとる必要は無い。したがって、ラマン散乱スペクトルの取得時間は短く済ませることができる。
ステップS2(CARS画像取得領域の設定)では、プレビュー画像上で、CARS顕微鏡観察による画像取得領域を入力装置112を用いて設定する。
ステップS3(ラマン散乱スペクトルの測定点設定)では、プレビュー画像上で、ラマン散乱スペクトルの測定点を指定する。測定点の指定方法は、標本内に分子が局在しているような場合においても、漏れなくラマン散乱スペクトルを取得できるように、細胞内の特徴的な複数のポイントを入力装置112を用いて設定する。または、図9(b)に示すように、ラマン散乱スペクトルの測定点を迅速かつ、ムラ無く設定する目的で、測定者は測定ポイント数と、測定範囲の指定(ROIを描く)だけをして、具体的な測定ポイントは制御部6でランダムに設定するようにしても良い。
ステップS4(タイムラプス観察時間の設定)では、観察フェーズで行うタイムラプス観察時間(インターバルと回数)の設定を行う。
以上、ステップS1からステップS4の操作で観察条件設定フェーズを終了し、図10のフローチャートで示す観察フェーズへ移行する。
以下に、観察フェーズにおける手順について図10を用いて説明する。
ステップS5(ラマン散乱スペクトル測定)では、制御部6の命令により光走査部4は、ステップS3で設定したラマン散乱スペクトル取得ポイントに対応するように、偏向ミラー4aおよび4bの角度を調整する。一方、ラマン散乱励起光源2は、ラマン散乱励起光を射出させる。ラマン散乱励起光が照射されることで標本105から発生したラマン散乱光は、ラマン散乱スペクトル検出部3へ導光される。
ラマン散乱スペクトル検出部3では、バンドパスフィルタ3aでラマン散乱励起光をカットした後、レンズ3bで分光検出器3Aのスリット3c位置に結像される。スリット3cから回折して広がるラマン散乱光は、凹面鏡3dで反射して平行光として、グレーティング3eで分光した後、凹面鏡3fで反射してライン検出器3g上に結像される。ライン検出器3gを構成する各受光素子はラマン散乱光を検出すると、制御部6へラマン散乱スペクトル信号として出力する。制御部6は、上記のように各ポイントで取得したラマン散乱スペクトル信号を積算した1つのラマン散乱スペクトル信号にする。
ステップS6(ラマン散乱スペクトル記憶)では、ラマン散乱スペクトル解析部110に積算したラマン散乱スペクトル信号と、受信時刻を対応させて記憶する。
ステップS7(ラマン散乱スペクトルからCARS離調設定)では、ステップS5で取得したラマン散乱スペクトルから、CARSで励起したい振動数を選択する。この際、手動で設定するようにしても良いし、ラマン散乱スペクトル解析部110でピーク振動数を検出することで自動設定するようにしても良い。手動の場合には、CARSで励起する振動数を入力装置112を用いて指定する。制御部6は、CARS励起光源から射出する2色のレーザ光の振動数差を、指定した離調に一致するように算出して、レーザ光源1b(波長可変レーザ)の振動数(波長)を調整する。
ステップS8(CARS顕微鏡観察で画像取得)では、制御部6は、CARS励起光源1からCARS励起光を射出させる。一方、光走査部4は、偏向ミラー4a、4bの偏向角を振って、ステップS2で設定したCARS顕微鏡観察領域を走査する。こうして励起された標本105からはCARS光が発生し、CARS光はレンズ123、反射ミラー124、バンドパスフィルタ106を経てCARS検出部5へ入射する。その後、CARS光は、集光レンズ125を透過して光検出器107の図示しない光電子増倍管により検出される。制御部6は、位置情報と、分光検出器107が検出した輝度信号を対応付けて、画像生成部126へ出力する。画像生成部126は、位置情報と輝度信号から画像を生成した後、制御部6へ出力して画像を記憶する。
ステップS9(タイムラプス時間チェック)では、制御部6は、タイムラプス観察の経過時間とステップS4で設定したタイムラプス観察時間を比較して、タイムラプス測定継続の有無を判断する。
ステップS17(終了)では、上記ステップS9において設定時間を経過していたら、タイムラプス観察を終了する。
ステップS10(ラマン散乱スペクトル測定)では、ステップS9にて、タイムラプス測定継続と判断したら、上記のステップS5と同じ処理が実行される。
ステップS11(ラマン散乱スペクトル記憶)では、上記のステップS6と同じ処理が実行される。
ステップS12(ラマン散乱スペクトル相互比較解析)では、ラマン散乱スペクトル解析部110は、記憶済みのラマン散乱スペクトル情報を相互に比較して、ピーク振動数およびピーク強度の相互比較を実施する。
ステップS13(離調を設定しているピーク振動数が閾値を下回ったか)では、ステップS12の解析結果において、CARSの離調を設定している振動数のピーク強度が、閾値を下回っているか判断する。下回っていなければ、何もしないでステップS15へ移行する。
ステップS14(離調を削除)では、上記のステップS13の判断において、閾値を下回ったときはその振動数へのCARSの離調設定を削除する。
ステップS15(ラマン散乱スペクトルに新たなピークが出現したか)では、ステップS12の解析結果において、ラマン散乱スペクトルに新たなピークが出現したか判断する。ステップS15において、NOと判断した場合は何もせず、ステップS8へ戻る。
ステップS16(離調を追加設定)では、上記のステップS15の判断において、YESと判断した場合は、新たに出現したピーク振動数にCARSの離調を追加設定して、ステップS8へ戻る。
ステップS18(刺激を実行)では、上記観察の実施例において、標本に薬剤投与などの刺激を実施する場合は、ステップS8以降に行うものとする。
なお、上記の説明において、ステップS16では、新たに出現したピーク振動数にCARSの離調を追加としているが、ラマンスペクトル強度の低下がみられた振動数にCARSの離調を追加するなど、「ラマンの変化した振動数」にCARSの離調を合わせれば、標本105の注目すべき現象をCARS画像として捉えることができる。
本実施形態の構成にて、ラマン散乱スペクトルが時間変化する標本105を観察した結果を図11および図12を用いて説明する。
図11は、標本105のラマン散乱スペクトルを時間T1〜T4まで取得し、並べて表示したものである。ラマン散乱スペクトルの解析によるCARS離調の追加・削除操作として、時間T3において新たに発生したピーク振動数をCARS顕微鏡観察の離調に追加し、時間T3および、時間T4において、閾値を下回ったピーク振動数の離調を削除する。
図12は、上述の時間T1〜T4までCARS顕微鏡観察を行った結果である。観察の始めはピーク振動数Aとピーク振動数BにCARSの離調設定をして画像取得を行った。その後、時間T3に出現したピークに離調を追加設定して画像を取得し、時間T3に離調Aを削除して画像取得を中止した。さらに、時間T4では離調Bの設定を削除した。
このように、本実施形態ではCARSをとっている最中に、追加や削除などを行っているが、始めはひたすらラマン散乱をタイムラプスでとって、強度の変化を検出したら、それをトリガーとして、変化した振動数にCARSの離調を設定し、初めてCARS顕微鏡観察を始めても良い。このようにすることで、標本105の変化をCARS画像として捉えることができるうえ、標本105へのダメージを減らす効果が得られる。
上記のように各処理が実行されるレーザ顕微鏡装置1の効果について説明する。
本実施形態に係るレーザ顕微鏡装置21によれば、標本105の振動準位を2色のパルスレーザ光(CARS励起光)によって励起することで、高速に画像取得が可能なCARS顕微鏡観察を行うことができる。
また、CARS顕微鏡観察に先立ち、CARS顕微鏡観察時の画素数よりも少ないデータポイント数でラマン散乱スペクトルを取得して、同スペクトルの変化を解析することで、タイムラプス観察中に標本のラマン散乱スペクトルが変化したとしても、その変化した振動数にCARSの離調をすばやく追加設定できる。これにより、変化に対して高速に追従した高分解能の画像取得が可能となる。
したがって、標本のラマン散乱スペクトルの変化に対する追従性に難のあるCARS顕微鏡観察と、顕微鏡観察画像の取得に多大な時間を要するラマン散乱顕微鏡の問題点を相互に補った顕微鏡観察が可能となる。
また、ラマン散乱スペクトルの取得を複数のポイントで実施するようにしたので、標本105内に分子が局在しているような場合においても、漏れなくラマン散乱スペクトルを取得することができる。
また、ラマン散乱スペクトルの測定ポイント数と、測定範囲の指定をするだけで、自動的に測定ポイントを設定できるようにしたので、測定点を迅速かつ、ムラ無く設定することができる。
また、CARS顕微鏡観察の離調を追加するだけでなく、ピークの消失に追従して離調の削除もまた実施するようにしたので、不要な照明を無くして標本105への侵襲を最小限に抑えることができる。
また、観察開始に先立って、標本105のプレビュー画像を取得するようにしたため、標本105におけるラマン散乱スペクトル取得ポイントと、CARS顕微鏡観察領域を容易に設定することができる。
なお、本実施形態において、離調追加/削除制御部111は、ラマン散乱光のスペクトルが時間変化した周波数をCARS励起光の離調として設定したが、これに代えて、ラマン散乱光のスペクトルの強度がピークとなる周波数をCARS励起光の離調として設定することとしてもよい。
このようにCARS励起光の離調を設定することで、高速かつ容易にCARS光を検出することができる。
また、離調追加/削除制御部111は、ラマン散乱光のスペクトルの強度が所定の閾値を超えたピークとなる周波数を、CARS励起光の離調として設定することとしてもよい。
ラマン散乱光のスペクトルの強度が低い場合には、CARS励起光の離調の再設定を行ってもCARS光は検出されない。したがって、ラマン散乱光のスペクトルの強度が所定の閾値以下のピークに対して、CARS励起光の離調の設定を行わないようにすることで、不要な処理を防止して安定したCARS光観察を行うことができる。
[第2の実施形態]
以下に、第2の実施形態に係るレーザ顕微鏡装置22について、図13を参照して説明する。以降では、本実施形態に係るレーザ顕微鏡装置22について、第1の実施形態に係るレーザ顕微鏡装置21と共通する点については同一の符号で示して説明を省略し、異なる点について主に説明する。
本実施形態に係るレーザ顕微鏡装置22は、図13に示されるように、CARS励起光を発するCARS励起光源1と、ラマン散乱励起光を発するラマン散乱励起光源7と、これら光源からの光を標本105に照射するレーザ照射光学系(照射光学系)10と、ラマン散乱光を検出するラマン散乱スペクトル検出部(ラマン散乱光スペクトル検出手段)8と、CARS光を検出するCARS検出部(CARS光検出手段)5と、これらを制御する制御部6とを備えている。
ラマン散乱励起光源7は、図14に示すように、単色の連続発振レーザ光、例えば波長748nmや785nmの近赤外LDであるラマン散乱励起光源7aと、単色レーザ光の光路上にあって少なくとも2枚のレンズ間距離を調整可能な波面変調部7bとを有している。
CARS励起光源1の光軸とラマン散乱励起光源7の光軸とは、ダイクロイックミラー118により同軸に合成されている。
ラマン散乱励起光源7からのラマン散乱励起光は、光走査部4を経て、瞳投影レンズ100を透過した後、ダイクロイックミラー121で光路を90度変え、結像レンズ101を透過する。結像レンズ101を透過したラマン散乱励起光は、対物レンズ102を経てステージ103上に載置した標本105の標本面104上に面照明される。
一方、CARS励起光源1からのCARS励起光は、ダイクロイックミラー118を透過して、光走査部4を経て、瞳投影レンズ100を透過した後、ダイクロイックミラー121により反射されて90度光路の方向を変えて、結像レンズ101、対物レンズ102を透過して標本面104に集光される。
ダイクロイックミラー121の分離光路上には、ラマン散乱スペクトル検出部8が配置されている。
ラマン散乱スペクトル検出部8は、図15に示すように、バンドルファイバ8aと、集光レンズ8bと、分光検出器3Aとで構成されている。
ダイクロイックミラー121とラマン散乱スペクトル検出部8の間には、対物レンズ102の瞳をバンドルファイバの入射端面8cに投影するための瞳投影レンズ127と、ラマン散乱光の波長だけを透過する特性を有するバンドパスフィルタ128とが配置されている。
バンドルファイバ8aの入射端面8cの位置は、対物レンズ102の瞳と共役な位置となるように配置されている。
一方、バンドルファイバ8aの出射端8e側には、集光レンズ8bを介して分光検出器3Aが配置されている。
バンドルファイバ8aは、入射端8cを符号8dに示すように、円形状に形成するとともに、出射端8eを符号8fに示すように、ファイバ束を直線状に配列させた形状とされている。これにより、出射端8eから出射する光を、集光レンズ8bにより分光検出器3Aの入射スリット3cに集光させるようにしている。
入射スリット3cは、グレーティング3eの分散方向と直交する向きに配置されている。また、バンドルファイバ8aの出射端8eのファイバ束の配列方向は、入射スリット3cと平行な向きとされている。
上記構成を有するレーザ顕微鏡装置22の作用について以下に説明する。ここでは、第1の実施形態で説明した作用と異なる部分について主に説明し、同一の作用については省略する。
本実施形態に係るレーザ顕微鏡装置22において、ラマン散乱励起光源7の光路中に配置された波面変調部7bのレンズ間距離を光軸方向に変化させると、ラマン散乱励起光の波面曲率が連続的に変化する。これにより、標本105上でのレーザスポット径、すなわち標本105へのラマン散乱励起光の照明範囲が変化する。
この場合において、ラマン散乱スペクトル取得の際は、標本105を面で照明するものとし、透過顕微鏡観察によるプレビュー画像取得の際は、標本105を点で照明するようにレーザ光の波面を調整する。
ラマン散乱励起光源7により標本105を面照明して発生したラマン散乱光は、ラマン散乱励起光の光路を逆に辿る。すなわち、ラマン散乱光は、対物レンズ102、結像レンズ101、ダイクロイックミラー121を透過して、光軸の延長上に配置した、瞳投影レンズ127、バンドパスフィルタ128を経てラマン散乱スペクトル検出部8へ導光される。
このように導光されたラマン散乱光は、バンドルファイバ8aの入射端面8cで取り込まれ、ファイバ内を透過させた後、ファイバの出射側端面8eから出射させて、集光レンズ8bで分光検出器の入射スリット3cに結像される。入射スリット3cから入射した光は、第1の実施形態と同様に、凹面鏡3dで平行光にして、グレーティング3eで分散が与えられた後、凹面鏡3fでライン検出器3g上に結像して検出される。
本実施形態における観察条件設定フェーズでは、ラマン散乱励起光の照明範囲を、図16の二点鎖線部に示すように、プレビュー画像の視野全体となるように、波面変調部7bを調整する。鎖線で囲んだ範囲は、例として512×512画素でCARS顕微鏡観察する範囲を示している。このように、ラマン散乱スペクトルは領域指定で一括して取得する。
上記作用を呈するレーザ顕微鏡装置22の効果について以下に説明する。
本実施形態に係るレーザ顕微鏡装置22によれば、ラマン散乱励起光源7aの光路上に波面変調部7bを配置したので、標本105上を面で照明できる。そのため、標本105内に分子が局在しているような場合においても、漏れなくラマン散乱スペクトルを取得できるようになる。さらに、一度の露光でラマン散乱スペクトルが取得できるので、迅速な測定が可能となる。
また、バンドルファイバ8aの入射端面8cを対物レンズ102の瞳と共役な位置に配置したため、ディスキャンされていない光であっても、漏れなくバンドルファイバ8aに取り込むことができる。さらに、ラマン散乱光は、バンドルファイバの入射端面8cでは2次元偏向している状態で入射するが、出射端面8eではファイバ束を直線状に形成しているので、分光検出器3Aの入射スリット3cと平行であり、対物レンズ102で集光した光を無駄なく分光検出器3Aに導くことができ、明るい分光検出を行うことができる。
[第1の変形例]
以下に、第1の変形例に係るレーザ顕微鏡装置について説明する。
第1の実施形態では、ラマン散乱スペクトルの取得ポイント位置を変えずにタイムラプス観察するようにしたが、観察のインターバルを一回終える度に、取得ポイント位置を変えるようにしても良い。
具体的な同取得ポイント位置を変える方法について以下に説明する。
制御部6は、同取得ポイント位置を、ROIを描いた範囲内において、異なるランダムな位置に、再設定する動作をインターバル毎に実施するようにすればよい。
測定ポイント位置変更のタイミングは、図10におけるステップS10の直前とする。従って当然ながら、本変形例において、ステップS10では新たに設定し直した位置にてラマン散乱スペクトルの取得を行うものとする。
ここで、通常ラマン散乱スペクトルの励起レーザ光は、迅速にスペクトルを取得するため、パワーの強いものを用いる。これに対して、本変形例に係るレーザ顕微鏡装置によれば、測定ポイントをインターバル毎に変えることで、標本105への侵襲を最小限に抑えることができる。
[第2の変形例]
以下に、第2の変形例に係るレーザ顕微鏡装置について説明する。
観察対象の標本105が測定中に動くような場合、測定者は注目する細胞の指定と、ラマン散乱スペクトル測定ポイント数の指定だけを行い、図8のステップS2で実施するCARS顕微鏡観察範囲と、ラマン散乱スペクトル測定ポイント位置の設定は、制御部6で細胞の位置や形状に合わせて動的に変化させるようにしても良い。
この際、細胞の外形と位置の認識は、細胞追跡ソフトウェア(例えば、特開2006−209698号公報参照)によって行えばよい。ソフトウェアによる解析の結果、標本の変位や変形を検出しなかった場合は、設定済みの領域およびポイント位置で測定を実施する。
また、標本の変位や変形を検出しなくても、観察のインターバルを1回終えるたびに、ラマン散乱スペクトルの取得ポイント位置をランダムに変えるようにしても良い。
上記の細胞の位置と形状変化の解析と、CARS顕微鏡観察範囲の再設定と、ラマン散乱スペクトル測定点の再設定動作について以下に説明する。標本の解析は、プレビュー画像を用いて行うものとし、タイムラプス観察の手順ステップS10の直前にて、インターバル毎に同画像を取得する。
次に、取得した画像同士を解析して、標本の変位や変形を検出したら、同解析でROIを描いてその範囲内に、CARS顕微鏡観察範囲の再設定と、ラマン散乱スペクトル測定ポイント位置の再設定を行う。この際、ラマン散乱スペクトル測定ポイント位置は、取得ポイント数だけランダムに再設定するものとする。
したがって当然ながら、ステップS8でのCARS顕微鏡観察画像取得と、ステップS10でのラマン散乱スペクトル測定は、それぞれ新たに再設定された領域とポイント位置にて行うものとする。
本変形例に係るレーザ顕微鏡装置によれば、細胞の移動や、形状の変化を制御部6で認識できるようにしたので、CARS顕微鏡観察範囲やラマン散乱スペクトル取得ポイントを、標本の変位や変形に合わせて常に最適設定できる。
さらに、タイムラプス観察のインターバル毎に、ラマン散乱スペクトルの取得ポイント位置を異なるランダムな位置に変えれば、前述の第1の変形例と同様の効果を奏する。
なお、前述の各実施形態および各変形例では、プレビュー画像の取得に透過顕微鏡観察画像を用いたが、位相差顕微鏡観察画像や、微分干渉画像や、蛍光画像としても良い。
位相差顕微鏡観察画像をプレビュー画像とする場合は、対物レンズを位相膜付のものとし、集光レンズ123に例えば位相差コンデンサを用いて、挿脱可能な位相リングを配置するようにする。プレビュー画像の取得を終えて、CARS顕微鏡観察を実施する際は、位相リングを抜くようにすれば、光量をロスすることなく顕微鏡観察が可能である。
また、微分干渉画像をプレビュー画像とする場合は、対物レンズの光源側に挿脱可能なノマルスキープリズムを配置すれば良い。
蛍光画像をプレビュー画像として用いる際は、蛍光励起用のレーザ光をラマン散乱励起レーザと同軸に合成すると共に、ラマン散乱スペクトル検出部3に、共焦点レンズと、共焦点ピンホールを設け、バンドパスフィルタ3bの位置に、フィルタホイールを設けて、検出対象の蛍光波長だけを透過する特性を有するフィルタと、バンドパスフィルタ3bを相互に入れ替えられるようにすればよい。このように構成した場合においては、高分解能の蛍光画像をプレビュー画像として用いることができるので、ラマン散乱スペクトル取得ポイントの設定や、CARS顕微鏡観察画像の取得領域の設定をより詳細に実施することができる。
[第3の変形例]
以下に、第3の変形例に係るレーザ顕微鏡装置について説明する。
第1の実施形態では、ラマン散乱スペクトルの取得とCARS顕微鏡観察を、交互に実施したが、同時に行うようにしても良い。後述するように、光走査部4で光走査した場合でも、ラマン散乱スペクトル検出部3に入射するラマン散乱光の光軸がぶれないため、ラマン散乱光観察とCARS顕微鏡観察とを同時に行うことも可能である。この場合は、CARS励起光源1とラマン散乱励起光源2からレーザ光を同時に射出させ、ステージ103に載置した標本102上の同じ点に集光させる。
この際、光走査部4にて励起レーザ光を走査しても、ラマン散乱光は励起レーザ光の光路を逆に辿る(デスキャン)ために、ラマン散乱スペクトル検出部3へ入射するラマン散乱光の光軸がぶれることはない。したがって、光軸のずれによる分光特性の劣化が生じることはない。
スキャンする1点あたりの、ラマン散乱励起時間が短くなることで、得られるスペクトルは微弱になるが、その分励起光の出力を上げて対応すればよい。各点で得られたスペクトル信号は、上述したように積算を行い一つのラマン散乱スペクトルとする。その後、タイムラプス観察の各時間に取得した、ラマン散乱スペクトル同士を比較解析して、変化を検出する。CARS顕微鏡観察と、ラマン散乱スペクトル取得のタイミングが同時であること以外は、第1の実施形態と同様に行うものとする。
本変形例に係るレーザ顕微鏡装置によれば、CARS顕微鏡観察とラマン散乱スペクトルの取得を同時に行うので、それぞれ別に行う場合よりもすばやい顕微鏡観察が可能になる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の各実施形態および各変形例に適用したものに限定されることなく、これらの実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定されるものではない。
1 CARS励起光源
2 ラマン散乱励起光源
3 ラマン散乱スペクトル検出部(ラマン散乱光スペクトル検出手段)
4 光走査部
5 CARS検出部(CARS光検出手段)
6 制御部
7 ラマン散乱励起光源
8 ラマン散乱スペクトル検出部(ラマン散乱光スペクトル検出手段)
10 レーザ照射光学系(照射光学系)
21 レーザ顕微鏡装置
22 レーザ顕微鏡装置
105 標本
110 ラマン散乱スペクトル解析部(スペクトル解析手段)
111 離調追加/削除制御部(離調設定手段)
126 画像生成部

Claims (10)

  1. CARS励起光およびラマン散乱励起光を同軸で標本に照射可能な照射光学系と、
    該照射光学系によりラマン散乱励起光を照射することで前記標本から発生したラマン散乱光のスペクトルを検出するラマン散乱光スペクトル検出手段と、
    該ラマン散乱光スペクトル検出手段により検出されたラマン散乱光のスペクトルを解析して前記標本中の分子の特定の振動数を算出するスペクトル解析手段と、
    該スペクトル解析手段により算出された前記振動数をCARS励起光の離調として設定する離調設定手段と、
    該離調設定手段により設定された離調のCARS励起光を前記照射光学系により照射することで前記標本から発生したCARS光を検出するCARS光検出手段とを備えるレーザ顕微鏡装置。
  2. 前記ラマン散乱光スペクトル検出手段により検出されたラマン散乱光のスペクトルを記憶するラマン散乱光スペクトル記憶部を備え、
    前記離調設定手段は、前記ラマン散乱光スペクトル記憶部に記憶されたラマン散乱光のスペクトルが時間変化した周波数を前記CARS励起光の離調として設定する請求項1に記載のレーザ顕微鏡装置。
  3. 前記離調設定手段が、ラマン散乱光のスペクトルの強度がピークとなる周波数を前記CARS励起光の離調として設定する請求項1に記載のレーザ顕微鏡装置。
  4. 前記離調設定手段が、ラマン散乱光のスペクトルの強度が所定の閾値を超えた前記ピークとなる周波数を、前記CARS励起光の離調として設定する請求項2に記載のレーザ顕微鏡装置。
  5. 前記ラマン散乱光スペクトル検出手段が、
    前記標本から発生したラマン散乱光をスペクトルに分光する分光部と、
    該分光部により分光されたラマン散乱光のスペクトルをそれぞれ検出するチャネルが複数配列された多チャネル検出器とを有する請求項1に記載のレーザ顕微鏡装置。
  6. 前記照射光学系が、CARS励起光よりも少ない照射ポイント数でラマン散乱励起光を照射する請求項1に記載のレーザ顕微鏡装置。
  7. 前記ラマン散乱励起光源の光路上に励起光源の波面を変調するレンズを備え、
    前記照射光学系により前記標本を面照明する請求項1に記載のレーザ顕微鏡装置。
  8. 前記ラマン散乱光スペクトル検出手段が、光ファイバを用いた受光部と、該光ファイバで受光した光を分光する分光部とを備えたファイバ分光器であって、
    前記受光部が、対物レンズの瞳と共役な位置に配置された請求項7に記載のレーザ顕微鏡装置。
  9. タイムラプス観察を行うタイムラプス観察手段を備える請求項1に記載のレーザ顕微鏡装置。
  10. 観察位置を指定するためのプレビュー画像を取得する画像取得手段を備える請求項1に記載のレーザ顕微鏡装置。
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