JP4507060B2 - 創薬スクリーニング方法および装置 - Google Patents
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Description
図7は特許文献1に記載のスクリーニング装置の構成図である。この装置は、カメラに対して1−100倍の倍率を持つ標準的な対物レンズと、電源2を持つ光源(例えば、100W水銀−アーク灯または75Wキセノンンランプ)を使用するZeiss Axiovert倒立型蛍光顕微鏡のような倒立型蛍光顕微鏡1が使用される。顕微鏡対物レンズ上にはXY方向にプレート4を移動させるためのXYステージ3がある。
このようにして、試薬の細胞に対する作用効果を検出することができる。
(1)従来の装置では、生きている細胞の原形質流動と、死んだ細胞内のオルガネラのブラウン運動の違いが区別できず、画像処理では生きている細胞か死んでいる細胞かが判定できないという欠点がある。このため、十分時間が経過し、死ぬか生きるかに区別された状態で、食性をみるのが現実的な方法となっており、試薬の効果を観測するのに時間がかかるという問題があった。
(2)細胞に対する試薬の効果はオペレータが目視により判定しており、煩雑であるばかりでなく、誤判定もあるなどの問題があった。
(3)光学的な蛍光顕微鏡では、細胞の上から下までのすべての部分にピントの合った画像は得られず、焦点ボケしたぼやけた画像でしか検査できない。したがって、細胞全体にわたる形態や動態がよく把握できないという問題があった。
本発明の他の目的は、蛍光画像の時間差分画像からオプティカルフローを演算により求め、これに基づいて細胞内の循環活動とブラウン運動を区別する推論を行って細胞の活性度を決定し、その活性度について良否判定が行われ、かつスクリーニング開始初期においてその良否判定結果が得られるようにした創薬スクリーニング方法および装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、細胞および試薬をあらかじめ設定した条件に従ってウェルへ自動注入できる創薬スクリーニング装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、測定後のプレートから最適ウェルや最悪ウェルなどを見出すのを容易にするために、着目ウェルにマーキングを施すことのできる創薬スクリーニング装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、ニポウ方式の共焦点スキャナを用いて細胞の上から下までピントの合った画像を得て細胞の形態や動態などがよく把握できる創薬スクリーニング装置を提供することにある。
試薬と蛍光標識された細胞とをプレート上の複数のウェルに注入しておき、各ウェルごとに細胞から発生する蛍光画像を読取り、その蛍光画像の時間差分画像から演算によりオプティカルフローを求め、このオプティカルフローに基づいて原形質流動とブラウン運動を区別し、前記原形質流動に基づいて細胞の活性度を求めて各ウェルごとに細胞の活性度の良否判定を行い、その良否判定に基づいて前記試薬の細胞に対する効果が確認できるようにしたことを特徴とする。
試薬と蛍光標識された細胞とをプレートの複数のウェルに注入するディスペンサと、
前記ウェルに励起光を照射して得られた細胞からの蛍光画像に基づいて細胞の画像を求める画像処理部と、
この画像処理部で処理された蛍光画像の時間差分画像からオプティカルフローを演算し、このオプティカルフローに基づいて原形質流動とブラウン運動を区別する推論部を持ち、前記原形質流動に基づいて細胞の活性度を求めて前記各ウェルについてその活性度の良否を判定する判定部と、
前記活性度の良否判定結果を各ウェルについて表示する表示部と、
を具備し、前記細胞の活性度の良否判定結果から試薬の効果が把握できるように構成したことを特徴とする。
このとき、活性度はスクリーニング開始初期において素早く判定されるので、試薬の効果を短時間で検出することができる。
(1)細胞の活性度の判定により、各ウェルの薬効を迅速かつ正確に把握することができる。その際、表示画面上で各ウェルは活性度の判定結果に対応して色分け表示されるため、薬効の良否を容易に把握することができる。
(2)活性度の判定では、時間差分画像から演算されるオプティカルフローをもとに細胞内の循環活動とブラウン運動を区別するプログラムを組み込んだ推論部により判別するため、誤判定なく、細胞の活性度の判定することができる。
また、この活性度の判定によれば、スクリーニング開始初期において素早く判定でき、容易にスクリーニングの高速化を図ることができる。
(3)プレート上の最適ウェルや最悪ウェルなどの着目ウェルにマーキングしておくことができるため、観測後にプレート上で着目ウェルを容易に見出すことができる。
(4)細胞の活性度のトレンドも容易に把握できる。
(5)共焦点スキャナを用いると共に、対物レンズの焦点位置を光軸方向に変化させて細胞の画像を観測するため、細胞全体にわたってボケのない画像を得て、活性度決定に供することができる。
(6)ウェルへの細胞および試薬の注入条件を様々に設定でき、その条件に従って容易に自動注入することができる。
レーザ光源110から発生した励起光としてのレーザ光は、ニポウ方式の共焦点スキャナ120を通り、対物レンズ130によりプレート400のサンプル401上に集束する。レーザ光により励起され発光した細胞からの蛍光は対物レンズ130を経由して共焦点スキャナ120に戻って来て、カメラ150に入力される。カメラ150ではサンプル401のXY平面の蛍光像が得られる。
図2において、励起光であるレーザ121は、マイクロレンズディスク122に配置された各マイクロレンズ123により個別の光束に集光され、ダイクロイックミラー124を透過後、ピンホールディスク(ニポウディスクともいう)125に設けられた個々のピンホール126を通過し、対物レンズ130によりサンプル401に集光される。
ここで使用されるダイクロイックミラー124は、励起光121を透過し、サンプル401からの蛍光を反射するように設計されている。
処理した画像は制御部500により表示部600に表示される。
制御部600は、例えばマイクロコンピュータが使用され、機構制御部200、アクチュエータ140、画像処理部300、判定部500、ディスペンサ800を適宜制御する。
時間(t )の画像と、ある時間経過後(t+Δt)の画像との間の差分画像から、微粒子の動きベクトルを抽出する。このΔt 刻みのベクトルの流れの総体はオプティカルフローと呼ばれる。このオプティカルフローは、原形質流動の場合、一方向となり、ブラウン運動の場合、フロー方向はランダムで、積算しても長距離に行くことはない。
なお、判定結果は必要に応じて記憶手段(図示せず)に記憶しておくことができる。
なお、閾値を2つ以上用いて良否を判定するようにしても構わない。
ウェルへの注入後、機構制御部200の駆動により、プレート400がセンサ部100上の所定位置に設置される。
このようにして各ウェルとも同様して画像測定する。この画像測定は所定の時間間隔で行われる。
なお、画像処理にハフ変換を用いてもよい。また、アクチュエータ140をZ軸方向に連続走査し、超深度の蛍光画像がカメラ150上で撮影されるようにしてもよい。
判定部500では、AI推論エンジンにより、時間(t )の画像と、ある時間経過後(t+Δt)の画像との差分画像からオプティカルフローを演算し、ウェルごとに細胞の活性度を求める。
判定結果は表示部700上に図5に示すような形式で表示される。なお、図では、活性度が良と判定されたウェルについては黒色で表示してある。図5(a)〜(c)は、図3に対応した経過時刻t1,t2,t3での各判定結果の表示である。
なお、図5は単純にウェルの各列ごとに種類の異なる試薬を注入した場合の良否判定結果の表示パターン例であるが、種類とその濃度の異なる試薬を各ウェルに注入した場合はより複雑な表示パターンとなる。
例えば、ディスペンサは電磁ポンプを使用したものではなく、ピエゾアクチュエータを用いて高速化したものでもよい。
また、プレート400は1個とは限らず、それぞれ条件の異なる複数個のプレートについて、注入条件設定、観測、判定を連続的に行うことができる。
また、画像処理部300や判定部500は、図では独立の構成要素として示してあるが、制御部600に含めた構成としてもよい。
あるいはまた、対物レンズ130をピエゾアクチュエータで駆動するのではなく、対物レンズ130と共焦点スキャナ120の間に電圧制御型の可変焦点レンズを挿入して電圧制御により対物レンズのサンプルへの焦点位置を可変するようにしてもよい。
また、ニポウ方式の共焦点スキャナにおいて、その出力画像をラインセンサを用いて検出するようにしてもよい。これによれば、同時性と更なる高分解能性を同時に達成することができる。この場合、ラインセンサとして、マルチカラーラインセンサを用いてもよい。
110 レーザ光源
120 共焦点スキャナ
121 レーザ
122 マイクロレンズディスク
123 マイクロレンズ
124 ダイクロイックミラー
125 ピンホールディスク
126 ピンホール
127 部材
128 回転軸
129 リレーレンズ
130 対物レンズ
140 アクチュエータ
150 カメラ
151 受光素子
200 機構制御部
300 画像処理部
400 プレート
401 ウェル
500 判定部
600 制御部
700 表示部
800 ディスペンサ
Claims (12)
- 試薬と蛍光標識された細胞とをプレート上の複数のウェルに注入しておき、各ウェルごとに細胞から発生する蛍光画像を読取り、その蛍光画像の時間差分画像から演算によりオプティカルフローを求め、このオプティカルフローに基づいて原形質流動とブラウン運動を区別し、前記原形質流動に基づいて細胞の活性度を求めて各ウェルごとに細胞の活性度の良否判定を行い、その良否判定に基づいて前記試薬の細胞に対する効果が確認できるようにした創薬スクリーニング方法。
- 前記各ウェルの活性度の良否判定結果を色分け表示することを特徴とする請求項1に記載の創薬スクリーニング方法。
- 試薬と蛍光標識された細胞とをプレートの複数のウェルに注入するディスペンサと、
前記ウェルに励起光を照射して得られた細胞からの蛍光画像に基づいて細胞の画像を求める画像処理部と、
この画像処理部で処理された蛍光画像の時間差分画像からオプティカルフローを演算し、このオプティカルフローに基づいて原形質流動とブラウン運動を区別する推論部を持ち、前記原形質流動に基づいて細胞の活性度を求めて前記各ウェルについてその活性度の良否を判定する判定部と、
前記活性度の良否判定結果を各ウェルについて表示する表示部と、
を具備し、前記細胞の活性度の良否判定結果から試薬の効果が把握できるように構成したことを特徴とする創薬スクリーニング装置。 - 前記表示部では前記各ウェルの活性度が前記良否判定の結果に対応した表示色で色分け表示されるように構成したことを特徴とする請求項3に記載の創薬スクリーニング装置。
- 前記ディスペンサは、前記プレート上に有色塗料を付着させるディスペンサを備え、
前記判定部の判定結果に基づいて着目ウェルに対してのみその近傍に有色塗料を付着させるディスペンサでマーキングするように構成されたことを特徴とする請求項3ないし4のいずれかに記載の創薬スクリーニング装置。 - 前記蛍光画像は、対物レンズと、この対物レンズを介して前記ウェルに励起光を照射して細胞から発生する蛍光を受け細胞の蛍光画像を得るニポウ方式の共焦点スキャナと、この共焦点スキャナの出力画像を撮像するカメラを含むセンサ部により得られるように構成したことを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の創薬スクリーニング装置。
- 前記センサ部は、対物レンズまたはセンサ部全体を光軸方向に移動し、複数のスライス画像が得られるように構成されたことを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の創薬スクリーニング装置。
- 前記画像処理部は、3次元データ処理によって前記複数のスライス画像または長焦点画像に基づいて細胞の画像を求める機能を備えたことを特徴とする請求項3ないし7のいずれかに記載の創薬スクリーニング装置。
- 前記センサ部は、互いに焦点位置の異なるマルチヘッドを使用して、マルチヘッドを切り換えることにより焦点位置を切り換えるようにしたことを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の創薬スクリーニング装置。
- 前記センサ部は、励起光として赤外光を使用し、2光子吸収を誘起して前記細胞から蛍光を発生させるようにしたことを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の創薬スクリーニング装置。
- 前記ウェルに注入された細胞があらかじめ量子ドットを用いて染色されており、
前記センサ部は、前記細胞に短波長のレーザ光を照射し、識別機能を持つ分光特性を持つフィルターを介して、共焦点スキャナの出力画像をカメラで撮像するように構成したことを特徴とする請求項6ないし10のいずれかに記載の創薬スクリーニング装置。 - 前記センサ部は、前記共焦点スキャナの出力画像をラインセンサを用いて検出するように構成したことを特徴とする請求項6ないし11のいずれかに記載の創薬スクリーニング装置。
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