以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。なお、以下においては、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗に適用される電子棚札システムを例として説明する。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.電子表示札の利用概要>
図1は、本実施の形態に係る電子棚札システムが備える複数の電子表示札が、店舗の商品棚60に配置された様子を示す図である。図に示すように、商品棚60はフェース61と呼ばれる空間に区分され、各フェース61には同一種の商品6が集約されて陳列される。つまり、フェース61は、商品6の陳列位置となる。
商品棚60には、各フェース61に対応して、可搬性の小型通信装置である電子表示札5が取り付けられている。これらの電子表示札5はそれぞれ一の商品6(正確には、一の商品の種類)に対応付けられており、その対応する商品6のフェース61の下側のフレーム62に配置される。各電子表示札5は表示部を備えており、表示部には対応する商品6に係る売価等の商品データが表示される。店舗の顧客(消費者)は、このような電子表示札5の表示により商品6の売価を認識することになる。電子表示札5の位置は固定されるものではなく、電子表示札5をフレーム62から取り外して別の位置に再配置することも可能である。本実施の形態においては、図1に示すような商品棚60が店舗内の販売スペースに複数配置されている。
このように店舗内の全ての商品はそれぞれ電子表示札5と対応付けられ、その陳列位置に配置された電子表示札5により売価等の商品データが顧客に提供されるようになっている。その一方で、本実施の形態の電子表示札5は、商品6の陳列位置とは異なる店舗内の掲示領域にも配置可能となっている。
図2は、電子棚札システムが備える複数の電子表示札5が、店舗内の掲示領域たる掲示板7に配置された様子を示す図である。このような掲示板7は、店舗の入り口付近など、販売スペース内の顧客が注目しやすい位置に設けられる。図に示すように、掲示板7には複数の電子表示札5がマトリクス状に配列して配置されている。
店舗内の複数の商品のうちの一部の特定商品は、この掲示板7に配置された電子表示札5にも対応付けられる。そして、特定商品の売価等の商品データは、掲示板7においても顧客に提供される。このような掲示の対象となる特定商品は、システムのユーザたる店舗スタッフにより、店舗で取り扱う商品のうちから選択されるようになっている(詳細は後述)。例えば、その時点で特売の対象となっている商品や、店舗側が顧客に対して特に販売を促進したい商品など、その時点の「おすすめ商品」が特定商品として選択される。これにより、顧客は掲示板7を視認することで、その時点の「おすすめ商品」に関する商品データを容易に把握できるようになっている。
図1のように商品の陳列位置に配置される電子表示札5と、図2のように掲示領域に配置される電子表示札5とは、装置構造としては同一の装置である。以下では便宜上、商品の陳列位置に配置される電子表示札5を「棚札」5a、掲示領域に配置される電子表示札5を「掲示札」5bとそれぞれ称して区別する。
<1−2.店舗情報システムの構成>
図3は、店舗に適用される、電子棚札システム1を含む店舗情報システムの構成例を示す図である。図に示すように、店舗情報システム100は、電子棚札システム1とともに、ストアコントローラ2及びPOSシステム3を備えている。POSシステム3が備えるPOSサーバ31、及び、電子棚札システム1が備えるESLサーバ10は、LAN21を介してストアコントローラ2に接続されている。これにより、ストアコントローラ2、POSシステム3及び電子棚札システム1の相互間でデータ通信が可能とされている。
ストアコントローラ2は一般的なコンピュータで構成され、店舗情報システム100を統括的に管理する装置として機能する。また、ストアコントローラ2はインターネットなどの外部ネットワークに接続されており、外部ネットワークを介して、店舗を管理する本部センターに配置されたコンピュータ等と通信可能とされている。
POSシステム3は、商品の販売に係る情報をその販売時点において収集して分析するシステムであり、POSシステム3を統括的に管理するPOSサーバ31とともに、商品の精算を行う複数のレジスタ32を備えている。POSサーバ31とレジスタ32とは専用の通信ケーブルで接続されている。
POSサーバ31は一般的なコンピュータで構成され、そのハードディスクには、商品の売価などの商品データを示す商品マスタ301が記憶されている。複数のレジスタ32のそれぞれにおいては、商品マスタ301に記載される売価に基づいて商品の精算がなされる。
店舗内の全商品に係る商品データは、この商品マスタ301により一元的に管理されている。商品マスタ301に記載される商品データには、商品の識別情報となる「商品コード」、商品の名称である「商品名」、商品が属する部門を示す「部門」、通常の売価である「通常価格」、レジスタ32の精算において実際に使用する売価である「取引価格」、及び、商品に顧客を惹きつけるための文言である「アイキャッチ情報」等のデータ項目が含まれている。ここで、「部門」とは、青果、鮮魚、精肉など、商品の属性を示すものである。商品マスタ301に記載される「取引価格」等は、POSサーバ31の直接的な操作等により変更可能となっている。
<1−3.電子棚札システムの構成>
電子棚札システム1は、上述した複数の電子表示札5と、電子表示札5に表示すべき商品データを配信する配信側装置40とに大別される。配信側装置40は、ESLサーバ10と、ベースステーション41と、複数のトランシーバ42とを備えて構成される。
ESLサーバ10は、電子棚札システム1を統括的に管理するサーバ装置であり、店舗内の販売スペースとは別室のバックヤードなどに配置される。ベースステーション41は、ESLサーバ10及び各トランシーバ42に接続され、ESLサーバ10と各トランシーバ42との間の信号の中継器として機能する。
トランシーバ42は、店舗内の電子表示札5との間で、赤外線通信などの無線通信を利用して信号の送受信を行う。より具体的には、トランシーバ42は、電子表示札5が表示すべき商品データ等を示す無線信号であるデータ信号を電子表示札5に対して送信する機能を有している。トランシーバ42は、販売スペースの全域にわたって天井に略一定距離ごとに固定的に配置される。これにより、配信側装置40は、商品棚60に配置された棚札5aと、掲示板7に配置された掲示札5bとを含む販売スペースに配置された全ての電子表示札5にデータ信号を配信することが可能となっている。
ESLサーバ10のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。図4は、ESLサーバ10の基本構成を示す図である。図に示すように、ESLサーバ10は、各種演算処理を行うCPU11、基本プログラムを記憶するROM12、演算処理の作業領域となるRAM13、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク14、各種表示を行うディスプレイ15、キーボード及びマウスなどで構成される入力部16、並びに、データ通信機能を有するデータ通信部17を備えている。
さらに、ESLサーバ10は、ベースステーション41と通信するためのインターフェイス18を備えている。電子表示札5を制御するための制御信号や電子表示札5に表示すべき商品データを含むデータ信号は、インターフェイス18を介してベースステーション41に送信され、さらに、ベースステーション41からトランシーバ42を介して電子表示札5へ送信される。
ESLサーバ10のハードディスク14には、オペレーティングシステム用のプログラムの他、ESLサーバ専用のプログラムが予め記憶されており、このプログラムに従ってCPU11が演算処理を行うことにより、ESLサーバ10としての各種機能が実現される。ESLサーバ10のオペレーティングシステムとしては、マウス操作に応答可能なGUIをサポートしたものが採用されている。
<1−4.データファイルの構成>
また、ESLサーバ10のハードディスク14には、電子表示札5への商品データの配信に利用するデータファイルである商品ファイル101と掲示ファイル102とが記憶されている。
商品ファイル101は、主として店舗内の商品に係る各種の情報を示すものであるが、商品と棚札5aとの対応関係を示す対応情報としても利用される。一方、掲示ファイル102は、主として商品(特定商品)と掲示札5bとの対応関係を示す対応情報として利用される。
図5は、商品ファイル101の一例を示す図である。図に示すように商品ファイル101はテーブル形式となっており、レコード101aのそれぞれが一の商品に係る商品データを示している。具体的には、各レコード101aごとに「商品コード」、「商品名」、「通常価格」、「取引価格」及び「アイキャッチ情報」等のデータ項目が登録されている。これらの商品データは、ESLサーバ10とPOSシステム3との通信により、上述したPOSシステム3の商品マスタ301の商品データに基づいて登録される。これにより、商品ファイル101と商品マスタ301とでは、商品データの内容が常に一致されるようになっている。
また、商品ファイル101の各レコード101aには、電子棚札システム1が備える複数の電子表示札5のそれぞれにユニークなハード識別情報(ハードウェアID)である「装置コード」のデータ項目が登録されている。このように各レコード101aに「装置コード」が登録されることにより、店舗内の全ての商品と、棚札5aとなる複数の電子表示札5とがデータ的に対応付けられることになる。
商品ファイル101の各レコード101aには、さらに、当該商品が掲示板7において商品データを提供すべき特定商品として選択されているか否かを示す「特定商品フラグ」のデータ項目が含まれている。「特定商品フラグ」が「ON」であれば当該商品が特定商品として選択されていることになり、「OFF」であれば当該商品が特定商品として選択されていないことになる。
図6は、掲示ファイル102の一例を示す図である。図に示すように掲示ファイル102もテーブル形式となっており、レコード101aのそれぞれが一の掲示札5bに係る情報を示している。具体的には、各レコード102aごとに「座標位置」、「装置コード」及び「商品コード」等のデータ項目が登録されている。
「座標位置」は、掲示板7における当該掲示札5bの配置位置を示している。「座標位置」には、「VVHH」という形式が採用されている。前半の2桁の「VV」は当該掲示札5bが上から何番目の行にあるか(縦方向の位置)を示し、後半の2桁の「HH」は当該掲示札5bが左から何番目の列にあるか(横方向の位置)を示している。例えば、左上端部の掲示札5bの「座標位置」は「0101」と示される。また、例えば、上から3番目の行、かつ、左から2番目の列に存在する掲示札5bの「座標位置」は「0302」と示される。
「装置コード」は、当該掲示札5bの装置コードを示しており、実際に掲示板7に配置された電子表示札5に基づいて登録される。また、「商品コード」は、当該掲示札5bに商品データを表示すべき特定商品の商品コードを示している。このように各レコード102aに「装置コード」と「商品コード」とが登録されることで、掲示札5bである電子表示札5と、特定商品である商品とがデータ的に対応付けられる。したがって、特定商品は、商品ファイル101において棚札5aに対応付けられるとともに、掲示ファイル102において掲示札5bにも対応付けられることになる。
なお、掲示札5bは、常に商品と対応付けられるものではなく、商品と未対応の状態となる場面もある。このような未対応の状態の掲示札5bに係るレコード102aにおいては、「商品コード」は登録されていない。
<1−5.電子表示札の構成>
次に、電子表示札5の構成について説明する。図7は、電子表示札5の外観構成を示す図である。前述のように、この電子表示札5は、棚札5aと掲示札5bとのいずれとしても利用可能である。
図に示すように電子表示札5の前面には、対応する商品の売価等の商品データを表示するための表示部51と、配信側装置40からのデータ信号等の無線信号を受信可能な通信部52とが配置されている。
表示部51は、複数の画素から構成されるドットマトリクス方式のカラー表示可能な液晶表示デバイスで構成されており、数値のみならず、文字、記号、図形など各種の情報の表示が可能となっている。図7の例においては、対応する商品についての「商品名」6a、「通常価格」6b及び「取引価格」6cなどが表示部51に表示されている。また、表示部51の表示画面の上部の一部の領域は、顧客を惹きつけるためのアイキャッチ領域51aとされており、当該領域51aに対応する商品についての「アイキャッチ情報」6dも表示される。
また、電子表示札5はその内部に、装置動作を制御するための集積回路で構成された制御部53を備えており、制御部53には各種情報を記憶する不揮発性のメモリ54が設けられている。メモリ54には、自装置の装置コードが予め記憶されている。また、トランシーバ42から送信され通信部52に受信されたデータ信号に含まれる商品データは一旦メモリ54に記憶された後、制御部53の制御により図7に示す如く表示部51に表示されるようになっている。
<1−6.商品データの配信動作>
電子棚札システム1の基本動作は、配信側装置40から電子表示札5へ商品データを配信して、その表示部51に商品データを表示させることである。このような商品データの配信は、システム起動時、及び、商品の売価の更新時等になされる。ここで、売価の更新時とは、商品マスタ301の「通常価格」が変更されたときや、タイムセール等の特売の実施にあたって「取引価格」を臨機に変更するときなどが該当する。
システム起動時には、店舗内の全商品に対応する電子表示札5に対して商品データが配信され、一方、売価の更新時には、対象となる商品に対応する電子表示札5のみに対して商品データが配信される。このように必要に応じて商品データを配信することにより、電子表示札5に表示される売価と、実際のレジスタ32による精算時の売価(取引価格)とが常時に一致されることになる。さらに、特定商品に関しては、対応する棚札5aのみならず、対応する掲示札5bにも商品データが配信されることになる。以下、このような商品データの配信動作について説明する。
図8は、一の商品に関する商品データの配信に係る電子棚札システム1の動作の流れを示す図である。図中において、符号Paで示す動作は棚札5aとなる電子表示札5の動作を示し、符号Pbで示す動作は掲示札5bとなる電子表示札5の動作を示し、他の動作は配信側装置40の動作を示している。なお、この説明において対象となる一の商品を「対象商品」という。
まず、配信側装置40のESLサーバ10のCPU11により、商品ファイル101から、対象商品の「商品コード」を含むレコード101aが検索される。そして、当該レコード101aから、対象商品の「商品名」、「通常価格」、「取引価格」及び「アイキャッチ情報」等の商品データが取得される(ステップS11)。さらに、当該レコード101aから、対象商品の「商品コード」に対応付けられた「装置コード」が取得される。ここで取得された「装置コード」は、対象商品に対応する棚札5aを示すものとなる(ステップS12)。
次に、当該「装置コード」と、取得された商品データとを含むデータ信号がトランシーバ42から発信される。これにより、当該「装置コード」に係る棚札5aに対して、表示すべき商品データが送信される(ステップS13)。
発信されたデータ信号は、そのデータ信号に含まれる「装置コード」の棚札5aの通信部52に受信される(ステップS21)。そして、棚札5aの制御部53の制御により、そのデータ信号に含まれる商品データは、図7に示す如く棚札5aの表示部51に表示されることになる(ステップS22)。
棚札5aに対して商品データが配信されると、次に、ESLサーバ10のCPU11により、対象商品が特定商品であるか否かが判断される。この判断には、対象商品のレコード101aの「特定商品フラグ」が利用される(ステップS14)。この際、対象商品が特定商品でない場合は(ステップS14にてNo)、対象商品に関する商品データの配信動作は終了する。
一方、対象商品が特定商品である場合は、CPU11により、掲示ファイル102から、対象商品の「商品コード」を含むレコード102aが検索される。そして、当該レコード102aから、対象商品の「商品コード」に対応付けられた「装置コード」が取得される。ここで取得された「装置コード」は、対象商品に対応する掲示札5bを示すものとなる(ステップS15)。
次に、当該「装置コード」と、ステップS11にて取得された商品データとを含むデータ信号がトランシーバ42から発信される。これにより、当該「装置コード」に係る掲示札5bに対して、表示すべき商品データが送信される(ステップS16)。
発信されたデータ信号は、そのデータ信号に含まれる「装置コード」の掲示札5bの通信部52に受信される(ステップS31)。そして、掲示札5bの制御部53の制御により、そのデータ信号に含まれる商品データは、図7に示す如く掲示札5bの表示部51に表示されることになる(ステップS32)。
以上のような動作により、対象商品が特定商品である場合には、その商品データが棚札5aと掲示札5bとの双方に配信される。これにより、棚札5aと掲示札5bとの双方において、特定商品に係る同一の商品データが表示される。したがって、実際のレジスタ32による精算時の売価(取引価格)と一致する特定商品の正確な売価が、特定商品の陳列位置とともに、その陳列位置とは離れた掲示板7においても顧客に提供される。その結果、計画外のタイムセール等を実施するために特定商品の「取引価格」を臨機に変更したとしても、その時点で最新の正確な「取引価格」を特定商品の陳列位置と掲示領域との双方において顧客に提供できることになる。
<1−7.掲示ファイルの作成>
掲示板7に掲示札5bとして配置する電子表示札5の数は一定ではなく、適宜に変更可能となっている。このような場合、掲示ファイル102を新たに作成することになる。図9は、掲示ファイル102を作成する処理の流れを示す図である。この処理は、ESLサーバ10の入力部16を介して所定の操作をすることで、そのCPU11により実行される処理である。以下、この処理について説明する。
まず、掲示板7に使用する電子表示札5の数をユーザから受け付けるダイアログが、ディスプレイ15の表示画面に表示される。図10は、このダイアログD1を示す図である。このダイアログD1には、電子表示札5の縦の数(列数),横の数(行数)をそれぞれ指定する2つのテキストボックスTb1,Tb2、及び、「作成」ボタンCb1が含まれている。
ユーザは、入力部16を介してテキストボックスTb1,Tb2に所望の数を入力して、「作成」ボタンCb1をクリックする。これにより、テキストボックスTb1,Tb2に入力された数値がそれぞれ、掲示板7に使用する電子表示札5の縦の数,横の数としてCPU11に受け付けられることになる(ステップS41)。
次に、受け付けられた電子表示札5の数に基づいて新規に掲示ファイル102が作成される。この掲示ファイル102に含まれるレコード102aの数は、電子表示札5の数(縦の数×横の数)に一致される。作成される掲示ファイル102の形式は、図6に示すものと同様であるが、データ項目のうち「座標位置」のみが登録されており、「装置コード」及び「商品コード」については全レコード102aに関して未登録となる(ステップS42)。
次に、掲示ファイル102の各レコード102aに「装置コード」を登録する処理がなされる(ステップS43)。この場合は、図11に示すダイアログD2がディスプレイ15の表示画面に表示される。このダイアログD2の下部には、装置コードを入力するテキストボックスTb3、「登録」ボタンCb2、「削除」ボタンCb3、及び、「終了」ボタンCb4が含まれている。
また、ダイアログD2の中央部には、掲示板7に配置された複数の掲示札5bを模式的に示す表示領域である掲示仮想領域Ba1が含まれている。掲示仮想領域Ba1は、掲示板7の領域に対応付けられている。そして、掲示板7における掲示札5bの配置位置に相当する位置にはそれぞれ、指標となるテキストラベルL1が表示されている。このような掲示仮想領域Ba1内のテキストラベルL1は、掲示ファイル102の各レコード102aの「座標位置」のデータ項目に基づいて配置される。つまり、一のテキストラベルL1は、掲示ファイル102の一のレコード102aに対応し、さらには、掲示仮想領域Ba1内のその表示位置に相当する掲示板7内の位置に配置された一の掲示札5bに対応することになる。以下、掲示札5bに対応するテキストラベルを「掲示札ラベル」という。
ユーザは、ダイアログD2を参照し、掲示札ラベルL1に対応するレコード102aのそれぞれに対して、実際の掲示札5bの「装置コード」を登録していくことになる。掲示札ラベルL1のうち、対応するレコード102aの「装置コード」が登録されたものには「登録済」と表示され、「装置コード」が登録されていないものには「未登録」と表示される。
ユーザは、入力部16を介して、「未登録」と表示されたいずれかの掲示札ラベルL1をクリックにより選択し、テキストボックスTb3に「装置コード」を入力した後、「登録」ボタンCb2をクリックする。これにより、選択された掲示札ラベルL1に対応するレコード102aに対して入力された「装置コード」が登録され、当該掲示札ラベルL1には「登録済」と表示される。なお、「装置コード」は、実際の掲示板7に配置された掲示札5bに基づいて入力する必要があり、棚札5aとして利用済の電子表示札5の「装置コード」を入力してはならない。
また、「登録済」と表示された掲示札ラベルL1について「装置コード」の登録関係を修正したい場合は、当該掲示札ラベルL1をクリックにより選択し、「削除」ボタンCb3をクリックする。これにより、当該掲示札ラベルL1に対応するレコード102aの「装置コード」が削除され、掲示札ラベルL1は「未登録」と表示される。その後、改めて、当該掲示札ラベルL1に関して他の「装置コード」を登録すればよい。
全ての掲示札ラベルL1に関する「装置コード」の登録が完了した後、「終了」ボタンCb4をクリックすると、掲示ファイル102を作成する処理が終了することになる(図9参照。)。
<1−8.特定商品の選択と対応付け>
上記のようにして作成された掲示ファイル102においては、各レコード102aの「商品コード」については未登録の状態である。このため、店舗内の複数の商品のうちから所望の特定商品を選択し、その選択した特定商品をいずれかの掲示札5bに対応付ける必要がある。また、特定商品を変更する場合もあり、この際にも新たな特定商品を選択し、その特定商品をいずれかの掲示札5bに対応付ける必要がある。
図12は、このような場合になされる特定商品の選択及び対応付けに係る処理の流れを示す図である。この処理も主に、ESLサーバ10の入力部16を介して所定の操作をすることで、そのCPU11により実行される処理となるが、図中符号Pbで示す動作は掲示札5bとなる電子表示札5の動作を示している。以下、この処理について説明する。
まず、特定商品の選択及び対応付けを行うためのダイアログが、ディスプレイ15の表示画面に表示される(ステップS51)。図13は、このダイアログD3の例を示す図である。ダイアログD3には、左側に掲示仮想領域Ba2が含まれ、右側に新対応商品領域Ga1、現対応商品領域Ga2及び「終了」ボタンCb8が含まれている。
掲示仮想領域Ba2は、図11にて例示したダイアログD2の掲示仮想領域Ba1と同様に、掲示板7に配置された複数の掲示札5bを模式的に示す表示領域である。すなわち、掲示仮想領域Ba2は、実際の掲示板7の領域に対応付けられており、掲示板7における掲示札5bの配置位置に相当する位置にそれぞれ指標として掲示札ラベルL2が表示されている。この掲示仮想領域Ba2の表示も、掲示ファイル102の各レコード102aの「座標位置」のデータ項目に基づいて行われる。
掲示仮想領域Ba2の一の掲示札ラベルL2を選択することは、その位置に相当する掲示板7の位置に配置された一の掲示札5bを選択することに実質的に相当する。ユーザは、ダイアログD3を利用して、これらの掲示札ラベルL2が示す掲示札5bのそれぞれに対して、特定商品を対応付けていくことになる。これにより、掲示ファイル102のレコード102aに「商品コード」が登録される。掲示札ラベルL2のうち、対応する掲示札5bが商品と対応付けられたものには「対応済」と表示され、商品と未対応のものには「未対応」と表示される。
新対応商品領域Ga1は、掲示札5bに新たに対応付ける対象となる特定商品を示す領域である。新対応商品領域Ga1には、特定商品の商品コード及び商品名それぞれを示すテキストボックスTb4,Tb5、「選択」ボタンCb5及び「対応」ボタンCb6が含まれている。
一方、現対応商品領域Ga2は、掲示札5bにその時点で対応付けられている特定商品を示す領域である。現対応商品領域Ga2には、特定商品の商品コード及び商品名それぞれを示すテキストボックスTb6,Tb7、及び、「解除」ボタンCb7が含まれている。
対応済の掲示札ラベルL2をクリックにより選択すると、その掲示札ラベルL1が示す掲示札5bに対応付けられた商品の「商品コード」と「商品名」とが掲示ファイル102等から取得され、現対応商品領域Ga2のテキストボックスTb6,Tb7にそれぞれ表示される。これにより、掲示札5bにその時点で対応付けられている特定商品を確認することが可能となっている。また、その掲示札5bの商品との対応関係を解除したい場合は、「解除」ボタンCb3をクリックする。これにより、当該掲示札5bのレコード102aの「商品コード」が削除される。そして、当該掲示札5bに係る掲示札ラベルL2は「未対応」と表示されることになる。商品と対応済の掲示札5bであっても、このようにして既対応商品との対応関係を解除すれば、別の商品を新たに対応付けることも可能である。
未対応の掲示札5bに商品を対応付ける際には、まず、ユーザが新対応商品領域Ga1のテキストボックスTb4に特定商品としたい商品の「商品コード」を入力し、「選択」ボタンCb5をクリックする。これにより、入力された「商品コード」の商品が掲示札5bへの対応付けの対象となる特定商品として選択され、選択された特定商品がCPU11に受け付けられる(図12:ステップS52)。
そして、商品ファイル101から、入力された「商品コード」に係る「商品名」が取得され、テキストボックスTb5に表示される。この際、入力された「商品コード」が商品ファイル101に存在しない場合はエラー表示がなされ、当該「商品コード」の商品は特定商品と認識されないようになっている。これにより、必ず店舗で取り扱う複数の商品のうちから特定商品が選択される。なお、「商品コード」でなく「商品名」の入力により、特定商品を選択できるようになっていてもよい。
次に、ユーザは、特定商品に対応付けたい「未対応」と表示された一の掲示札ラベルL2をクリックにより選択する。選択された掲示札ラベルL2に対応する掲示札5bは対応付けの対象としてCPU11に受け付けられ、その掲示札ラベルL2にはフレームFrが表示される。前述のように、各掲示札ラベルL2は、実際の掲示板7における対応する掲示札5bの位置に基づいて表示されている。このため、ユーザは、一の掲示札ラベルL2を選択するのみで、特定商品の商品データを表示させる対象として所望の配置位置の掲示札5bを容易に選択できることになる(ステップS53)。
「対応」ボタンCb6をクリックするまでは(ステップS54にてNo)、ステップS52とステップS53とは繰り返し行うことができ、また、ステップS52とステップS53との順番は入れ替えることも可能である。
「対応」ボタンCb6をクリックすると(ステップS54にてYes)、これに応答して、ステップS52で選択された特定商品と、ステップS53で選択された掲示札ラベルL2が示す掲示札5bとが対応付けされる。より具体的には、CPU11の制御により、掲示ファイル102における、選択された掲示札ラベルL2のレコード102aに、特定商品の「商品コード」が登録されることになる(ステップS55)。
次に、商品ファイル101における特定商品の「商品コード」を含むレコード101aの「特定商品フラグ」が「ON」に書き替えられ、当該商品が特定商品として選択された旨が商品ファイル101に示される(ステップS56)。
次に、この特定商品のレコード101aから、「商品名」、「通常価格」、「取引価格」及び「アイキャッチ情報」等、特定商品の商品データが取得される(ステップS57)。続いて、掲示ファイル102から、対応付けの対象となった掲示札5bの「装置コード」が取得される。そして、この掲示札5bに対して、特定商品に係る商品データを含むデータ信号が送信される(ステップS58)。送信されたデータ信号は当該掲示札5bに受信され(ステップS61)、データ信号に含まれる商品データが表示部51に表示されることになる(ステップS62)。これにより、特定商品に係る商品データの掲示板7における顧客への提供が開始されることになる。
以上の一連の動作は、「終了」ボタンCb8をクリックするまで(ステップS59にてNo)、繰り返し行うことができる。これにより、ユーザは、店舗内の所望の商品を特定商品として選択することができ、また、その選択した特定商品の商品データを所望の掲示札5bに表示させることができることになる。「終了」ボタンCb8をクリックすると(ステップS59にてYes)、特定商品の選択及び対応付けに係る処理が終了する。
このように、本実施の形態では、ユーザ(店舗スタッフ)が、店舗内の複数の商品のうちから特定商品の選択をすることができるため、所望の商品の商品データを掲示板7において顧客に提供できる。図12に示す処理は任意のタイミングで行うことが可能であり、ユーザは特定商品とする商品を臨機に変更することも、もちろん可能である。したがって、タイムセールの対象となる商品など、その時点で最も販売を促進したい商品を適宜に特定商品として選択することで、その商品の商品データを顧客に効果的に提供できることになる。
また、ダイアログD3の掲示仮想領域Ba2においては、掲示札5bの配置位置に相当する位置にそれぞれ掲示札ラベルL2が示される。そして、ユーザは、それらのうちからの一の掲示札ラベルL2を選択することにより、特定商品と対応付けるべき掲示札5bを選択することが可能である。このため、ユーザは、実際の掲示板7を想定しながら、所望の特定商品の商品データを所望の位置の掲示札5bに容易に表示させることができる。例えば、特に販売を促進したい商品の商品データを、より目立つように一番上の行に配置された掲示札5bに表示させるといったことも容易に行うことが可能である。
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、掲示札5bが商品の部門にそれぞれ対応する複数のグループに区分されて利用されるようになっている。本実施の形態の電子棚札システム1は、構成については第1の実施の形態と同一であり、データの内容や処理内容が第1の実施の形態と相違する。以下では、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
図14は、本実施の形態の掲示ファイル102の一例を示す図である。この掲示ファイル102では、各レコード102aに関して、第1の実施の形態と同様のデータ項目(図6参照)に加えてさらに「グループ」のデータ項目が登録されている。この「グループ」は、当該掲示札5bが属するグループを示すものである。本実施の形態では、「青果」、「鮮魚」、「精肉」という商品の部門にそれぞれ対応するように、「青果グループ」、「鮮魚グループ」、「精肉グループ」という3つのグループが準備されており、掲示札5bはいずれかのグループに属するように設定される。
このようなグループは、掲示ファイルの作成する処理において、各掲示札5bの装置コードを登録する際(図9:ステップS43)に、装置コードとともに設定される。図15は、このときにESLサーバ10のディスプレイ15の表示画面に表示されるダイアログD4の例を示す図である。このダイアログD4には、第1の実施の形態におけるダイアログD2(図11参照。)に含まれるコントロール群に加えて、さらに、グループを指定するためのコンボボックスCnが含まれている。
ユーザは、このようなダイアログD4において、掲示札ラベルL1を選択し、テキストボックスTb3に「装置コード」を入力し、さらに、コンボボックスCnでグループを指定した後、「登録」ボタンCb2をクリックする。これにより、ユーザは、掲示札5bごとに所属させるグループを設定することが可能である。
いずれの掲示札5bをいずれのグループに設定するかはユーザが任意に決定できるものであるが、互いに近傍に配置される掲示札5bについては、同一グループに設定することが望ましい。例えば図16の例では、上段2列に含まれる掲示札5bは「青果グループ」、中段2列に含まれる掲示札5bは「鮮魚グループ」、下段2列に含まれる掲示札5bは「精肉グループ」に設定されている。
次に、本実施の形態における特定商品の選択及び対応付けに係る処理について説明する。図17は、この処理の流れを示す図である。この処理においても、まず、特定商品の選択及び対応付けを行うためのダイアログが、ESLサーバ10のディスプレイ15の表示画面に表示される(ステップS71)。図18は、このダイアログD5の例を示す図である。
このダイアログD5においても、第1の実施の形態におけるダイアログD3(図13参照。)と同様に、左側に掲示仮想領域Ba2が含まれ、右側に新対応商品領域Ga1、現対応商品領域Ga2及び「終了」ボタンCb8が含まれている。
ただし、掲示仮想領域Ba2においては、各掲示札ラベルL2が対応する掲示札5bがいずれのグループに属するかが明示される。また、新対応商品領域Ga1には新たに対応付ける対象となる特定商品の「部門」を示すためのテキストボックスTb8が含まれており、現対応商品領域Ga2には掲示札5bに既対応の特定商品の「部門」を示すためのテキストボックスTb9が含まれている。なお、新対応商品領域Ga1には、図13に例示したダイアログD3に含まれていた「対応」ボタンCb6は含まれていない。
本実施の形態においても、未対応の掲示札ラベルL2に商品を対応付ける際には、まず、ユーザが新対応商品領域Ga1のテキストボックスTb4に特定商品としたい商品の「商品コード」を入力し、「選択」ボタンCb5をクリックする。これにより、入力された「商品コード」の商品が特定商品として選択され、選択された特定商品がCPU11に受け付けられる(図17:ステップS72)。
そして、商品ファイル101から、入力された「商品コード」に係る「商品名」及び「部門」が取得され、それぞれテキストボックスTb5,Tb8に表示される。つまり、CPU11により、特定商品の「部門」が特定されることになる(ステップS73)。なお、この際、入力された「商品コード」が商品ファイル101に存在しない場合はエラー表示がなされる点は、第1の実施の形態と同様である。
次に、掲示ファイル102にそれぞれレコード102aとして登録された複数の掲示札5bのうちから、「部門」のデータ項目に基づいて、特定商品の「部門」に対応するグループに属する掲示札5bが抽出される。例えば、図18の例では、特定商品の「部門」が「青果」であるため、この場合は、「青果グループ」に属する掲示札5bが抽出される。さらに、抽出された掲示札5bのうちから、商品と未対応の掲示札5bが抽出される。各掲示札5bが商品と未対応であるか否かは、掲示ファイル102の各レコード102aにおいて「装置コード」のデータ項目が登録されているか否かに基づいて判断される。
これにより、特定商品の「部門」に対応し、かつ、商品と未対応の掲示札5bが抽出されることになる。そして抽出された掲示札5bのうちから、一の掲示札5bが特定商品と対応付ける対象としてCPU11により選択される。選択された一の掲示札5bに対応する掲示札ラベルL2にはフレームFrが表示され、これによりいずれの掲示札5bが選択されたかがユーザに示される。なお、抽出された掲示札5bが複数存在するときには、いずれの掲示札5bを選択してもよいが、例えば、レコード102aの登録順位が最上位となる掲示札5bを選択すればよい(ステップS74)。
また、商品と未対応の掲示札5bが存在せず、特定商品と対応付ける掲示札5bを選択できないときには(ステップS75にてYes)、特定商品の「部門」に対応するいずれかの掲示札5bについて商品との対応関係を変更することが必要である。このため、その旨をユーザに示すエラー表示がなされる。この表示を受けて、掲示札ラベルL2のクリックにより、変更対象とする掲示札5bがユーザによって選択される。ユーザにより選択された掲示札5bはCPU11に受け付けられ、当該掲示札5bが特定商品と対応付ける一の掲示札5bとして選択される(ステップS76)。
次に、特定商品と対応付ける対象となった一の掲示札5bと、ステップS72で選択された特定商品とが対応付けされる。より具体的には、CPU11の制御により、掲示ファイル102における、当該一の掲示札5bに係るレコード102aに、特定商品の「商品コード」が登録されることになる(ステップS77)。
次に、商品ファイル101における特定商品のレコード101aの「特定商品フラグ」が書き替えられ(ステップS78)、この特定商品のレコード101aから特定商品の商品データが取得される(ステップS79)。
続いて、掲示ファイル102から、対応付けの対象となった一の掲示札5bの「装置コード」及び「グループ」が取得される。そして、この掲示札5bに対して、特定商品に係る商品データ及び「グループ」を含むデータ信号が送信される(ステップS80)。その後、「終了」ボタンCb8をクリックすると(ステップS81にてYes)、特定商品の選択及び対応付けに係る処理が終了する。
送信されたデータ信号は当該掲示札5bに受信される(ステップS91)。掲示札5bでは、これに応答して、制御部53の制御により、データ信号に含まれる「グループ」に対応するグループカラーが特定される(ステップS92)。
本実施の形態では、掲示札5bが属する複数のグループにはそれぞれ固有の色がグループカラーとして対応付けられている。具体的には、「青果グループ」のグループカラーは「緑色」、「鮮魚グループ」のグループカラーは「青色」、「精肉グループ」のグループカラーは「赤色」となっている。このようなグループとグループカラーとの対応関係は、予めテーブルデータとしてメモリ54に記憶されている。制御部53は、このメモリ54に記憶されたテーブルデータを参照することで、受信したデータ信号に含まれる「グループ」に対応するグループカラーを特定する。ここでデータ信号に含まれる「グループ」とは、掲示ファイル102において当該掲示札5bに設定された「グループ」である。つまり、このような処理により、制御部53は、データ信号から自装置が属するグループを特定し、そのグループに対応するグループカラーをさらに特定できることになる。
グループカラーが特定されると、次に、データ信号に含まれる商品データが図7に示す如く表示部51に表示され(ステップS93)、特定商品に係る商品データの掲示板7における顧客への提供が開始される。またこの際、アイキャッチ領域51aにおいては、背景色がグループカラーで表示される。これにより、顧客は、掲示札5bのアイキャッチ領域51aの背景色を確認すれば、当該掲示札5bがいずれの部門に属する商品の商品データを示しているかを直感的に把握することが可能である。このため、より効果的に特定商品の商品データを顧客に提供することができる。
また、図16に示すように掲示札5bのグループを設定した場合においては、図19に示すように、各掲示札5bのアイキャッチ領域51aの背景色が、各掲示札5bが属するグループのグループカラーで表示される。すなわち、アイキャッチ領域51aの背景色が、上段2列の「青果グループ」の掲示札5bでは「緑色」、中段2列の「鮮魚グループ」の掲示札5bでは「青色」、下段2列の「精肉グループ」の掲示札5bでは「赤色」にそれぞれなる。顧客は、このようなグループカラーを手がかりにして各掲示札5bに対応する商品の部門を把握し、どの部門の商品が掲示板7のどのあたりに掲示されているかをおおまかに認識できるため、掲示板7から所望の商品に関する商品データを容易に探し出すことができることになる。
以上のように、本実施の形態では、商品と未対応の掲示札5bのうちから一の掲示札5bがCPU11により自動的に選択され、当該選択された掲示札5bと特定商品とが対応付けされる。このため、ユーザは特定商品と対応付けるための掲示札5bを選択する必要がなく、特定商品と掲示札5bとの対応付けを容易に行うことが可能である。
また、特定商品の部門が特定され、その部門に対応するグループに属する掲示札5bのうちから、特定商品との対応付けの対象となる一の掲示札5bがCPU11により選択される。このため、特定商品を、その部門に対応するグループの掲示札5bに自動的に対応付けることが可能である。したがって例えば図16に示す如く、掲示板7において近傍に位置する掲示札5bを同一グループに設定しておくことで、同一部門に係る特定商品の商品データを集約的に顧客に提供でき、商品データをわかりやすく提供することができる。
<3.第3の実施の形態>
上記実施の形態では、電子表示札5の表示部51は液晶表示デバイスで構成されていたが、「電子ペーパ」とも呼ばれる、表示内容の書き替えが可能で、かつ、駆動電力の非供給状態において表示内容を維持する不揮発性の表示デバイスで構成してもよい。
不揮発性の表示デバイスとしては、例えば、特許文献2に開示されているものが利用可能である。以下、このような不揮発性の表示デバイスについて簡単に説明する。
図20は、不揮発性の表示デバイスで構成される表示部51の断面図である。図に示すように、表示部51は、ガラスなどの透明材料で構成される2つの基板91,92を所定の間隔を隔てて平行に備えている。これらの2つの基板91,92の相互間には、空間を仕切るように所定の間隔毎に隔壁93が形成される。この隔壁93によって仕切られた空間のそれぞれが一つの画素90として機能する。表示面側(図中、矢印Arで示す側)から表示部51を見た場合、このような画素90がマトリクス状に配置されている。
各画素90においては、基板91及び基板92のそれぞれの内部側の面に、ITOなどで構成された電極94,95が設けられている。さらに、これらの電極94,95及び隔壁93で囲まれた空間内には、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質で構成される2種類の粒子96,97が封入されている。これら2種類の粒子のうちの一方は所定の色で着色された有色粒子96であり、他方は白色の白色粒子97となっている。また、有色粒子96は比較的高電位に帯電しており、白色粒子97は比較的低電位に帯電している。
このような構成の画素90において、図21に示すように表示面側とは逆の背面側の電極95の電位が高くなるように電極94,95間に電位差を与えると、クーロン力により、高電位に帯電した有色粒子96が表示面側に移動し、低電位に帯電した白色粒子97が背面側に移動する。したがって、表示面側から当該画素90を見ると、当該画素は有色粒子96の色に見えることになる。
一方、図22に示すように表示面側の電極94の電位が高くなるように電極94,95間に電位差を与えると、クーロン力により、高電位に帯電した有色粒子96が背面側に移動し、低電位に帯電した白色粒子97が表示面側に移動する。したがって、表示面側から当該画素90を見ると、当該画素は白色に見えることになる。
このように電極94,95に与える電位差を各画素毎に制御することにより、各画素の発色/非発色状態を切り替えることができる。これにより、表示部51は、各種の画像を表示することができ、その表示内容の書き替えが可能となっている。また、粒子96,97の性質により駆動電力が供給されない状態においても、粒子96,97の位置は保持される。このため、表示部51への駆動電力の非供給状態においても、表示内容が維持されることになる。
電子表示札5の表示部51では、基本的には対応付けされた商品の商品データを常時に表示するようになっている。このため、表示部51として不揮発性の表示デバイスを採用すれば、表示内容の書き替え時以外は電力を消費することがないため、液晶表示デバイス等を採用した場合と比較し、電力の消費量を大幅に抑制することが可能となる。
また、有色粒子96は、有色粒子96を着色する着色材料を選択することで任意の色とすることができる。したがって、表示部51の表示画面を複数の領域に分け、領域毎に異なる色の有色粒子96を利用すれば、部分的に異なる色を利用して情報の表示を行うことも可能である。
例えば、図23に示すように、表示部51の表示画面を、「アイキャッチ情報」6dを表示するアイキャッチ領域51aと、「取引価格」6cを表示する売価領域51bと、その他の領域51cとに分ける。そして、アイキャッチ領域51aには緑色の有色粒子96を利用し、売価領域51bには赤色の有色粒子96を利用し、その他の領域51cには黒色の有色粒子96を利用する。これにより、「アイキャッチ情報」6dを緑色、「取引価格」6cを赤色、その他の情報を黒色で表示することができる。また、電極94,95に与える電位差を逆にすれば、背景色と字色とは入れ替えることも可能であり、例えば、アイキャッチ領域51aでは背景色を緑色、字色を白色で示すことなども可能である。
また、アイキャッチ領域51aの背景色に利用される有色粒子96の色が互いに異なる複数のタイプの電子表示札5を用意し、同一タイプの電子表示札5を第2の実施の形態における同一グループの掲示札5bとして利用すれば、図19と同様の色表示を簡易に行うことが可能である。
より具体的には、アイキャッチ領域51aに「緑色」の有色粒子96を利用する緑色タイプの電子表示札5と、「青色」の有色粒子96を利用する青色タイプの電子表示札5と、「赤色」の有色粒子96を利用する赤色タイプの電子表示札5とを準備する。そして、緑色タイプの電子表示札5を「青果グループ」に属する掲示札5bとして利用し、青色タイプの電子表示札5を「鮮魚グループ」に属する掲示札5bとして利用し、赤色タイプの電子表示札5を「精肉グループ」に属する掲示札5bとして利用する。このようにすることで、各掲示札5bの制御部53が自装置が属するグループやそのグループカラーを特定せずとも、図19と同様に、各掲示札5bが自装置が属するグループに対応する色をアイキャッチ領域51aの背景色として表示することが可能となる。
また、3原色(RGB,CMYなど)のそれぞれに対応する有色粒子96を利用する3種類の不揮発性の表示デバイスを重ね合わせて、フルカラー表示を行うようにしてもよい。これによれば、第2の実施の形態と同様の制御手法を採用できる。
<4.その他の変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
上記実施の形態では、ESLサーバ10のディスプレイ15の表示画面に表示されるダイアログの一部の領域が掲示仮想領域Ba1,Ba2として利用されていたが、ディスプレイ15の表示画面の全体の領域が掲示仮想領域として利用されてもよい。
また、第2の実施の形態では、電子表示札5の表示部51の表示画面の一部の領域であるアイキャッチ領域51aの背景色がグループカラーにされていたが、表示部51の表示画面の全体領域の背景色がグループカラーにされてもよい。
また、第2の実施の形態では、掲示札5bがグループカラーを特定していたが、ESLサーバ10のCPU11がグループカラーを特定し、そのグループカラーを示す情報を掲示札5bに送信してもよい。
また、上記実施の形態では、一つの掲示ファイル102が利用されていたが、複数の掲示ファイル102を作成できるようにしてもよい。このようにすれば、店舗内に複数の掲示領域を設けることも可能である。
また、上記実施の形態では、掲示領域は販売スペース内の顧客が注目しやすい位置に設けるものとして説明したが、店舗スタッフへの指示用に店舗スタッフのみが参照できる位置に設けてもよい。