JP4768947B2 - 耐衝撃性が改良された熱可塑性ポリエステルおよび衝撃改質剤組成物 - Google Patents
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Description
本発明は耐衝撃性が改良された熱可塑性ポリエステル組成物と、衝撃改質剤組成物とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリエステル、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)は優れた寸法安定性、耐熱性および耐薬品性を有し、電気、電子および自動車分野で使用されている。しかし、成形操作中の高温でポリマーの分子量が減少し、耐衝撃性が低下する。さらに、ポリエステルはノッチ付の部品では破断抵抗性が不十分である。
【0003】
米国特許第4、753,890号(=欧州特許第174,343号)にはエチレン−アルキル(メタ)アクリレート−グリシジル(メタ)アクリレートコポリマーで改質されたポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)が記載されている。
欧州特許第737,715号にはエチレン−メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレートコポリマー/コア−シェルコポリマーアロイによって改質されたPBTが記載されている。コア−シェルコポリマーはエラストマコアと熱可塑性シェルとを有する微粒子である。
【0004】
欧州特許第531,008号にはコア−シェルコポリマーと、エチレン−グリシジルメタクリレートコポリマーまたはエチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレートコポリマーとを含むPBT/ポリカーボネートアロイが記載されている。
米国特許第5,369,154号には4つの異なる改質剤を含むPET/ポリカーボネートアロイが記載されている。改質剤はエポキシドを含むコポリマー、コア−シェル型コポリマー、SBR−またはSBS−またはEPR型エラストマおよびSANまたはABS型のコポリマーである。
【0005】
欧州特許第115,015号には直鎖の低密度ポリエチレン(LLDPE)と、ガラス繊維と、任意成分としてのコア−シェルコポリマーとを含むPETまたはPBTが記載されている。
欧州特許第133,993号にはコア−シェルコポリマーと、エチレン/アルキルアクリレートまたは(メタ)アクリル酸コポリマーとを含むPETが記載されている。
特開平1−247454号公報(1989年10月3日公開)にはエチレン−アルキル(メタ)アクリレートコポリマーと、エチレン−グリシジルメタクリレートコポリマーとを含むPBTが記載されている。
【0006】
欧州特許第838,501号および第511,475号には上記日本国特許と同じ組成物が記載されている。
欧州特許第803,537号にはグリシジルメタクリレートを含むコポリマーを含むPETおよびポリカーボネートが記載されている。この特許では初めにポリカーボネートとグリシジルメタクリレートを含むコポリマーとを混練し、得られたアロイをPETと混合する。
欧州特許第187,650号にはコア−シェルコポリマーおよびエチレンと無水マレイン酸または(メタ)アクリル酸とのコポリマーを含むPETが記載されている。
【0007】
コア−シェルコポリマーの添加によって飽和ポリエステルの耐衝撃性が向上することは従来技術からわかっている。このコア−シェルコポリマーは厳密に定義された構造を有し、コアはエラストマ特性を有するポリマーからなり、シェルは熱可塑性を有する。さらに、ポリエステルの官能基と反応可能な反応性官能基を任意成分として含む衝撃改質剤の分散相を混和させることによって衝撃強度を改良することができることもわかっている。この反応性によって改質剤を微細、均質に分散でき、良好な付着性を得ることができる。マトリックスに良く付着させるようにコア−シェルコポリマー自身を官能化することもできるが、コポリマーの反応性が高くなり、それによってメルトフローインデックスが低下する。メルトフローインデックスの低下は大型部品や精密な部品の射出成形には不利である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人は3種類の改質剤すなわち(a)コア−シェルコポリマー、(b)エチレン不飽和エポキシドコポリマーまたはエチレン不飽和無水カルボン酸コポリマーまたはこれらのアロイ、(c)エチレンアルキル(メタ)アクリレートコポリマーまたは必要に応じて中和されたエチレン(メタ)アクリル酸コポリマーまたはこれらのアロイを添加することによって熱可塑性ポリエステルの耐衝撃性を改良できるということを見出した。
【0009】
この改質剤はメルトフローインデックスを従来のものより低下させず、むしろ向上させる。
この改質剤は欧州特許第511,475号および欧州特許第174,343号に記載の組成物よりも室温または低温(3種の成分(a)、(b)および(c)の間の比に依存する)での耐衝撃性を改良させる。
さらに、この改質剤は欧州特許第737,715号に記載の組成物よりも熱可塑性ポリエステルのメルトフローを良くする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の対象は下記の(i)と(ii)を含む熱可塑性ポリエステル組成物(合計100重量%)にある:
(i) 熱可塑性ポリエステル 60〜99%、
(ii)下記(a)、(b)および(c)からなる衝撃改質剤 1〜40%:
(a)コア−シェルコポリマー(A)
(b)エチレンと不飽和無水カルボン酸とのコポリマー(B1)、エチレンと不飽和エポキシドとのコポリマー(B2)およびこれらのアロイの中から選択されるエチレンコポリマー(B)
(c)エチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマー(C1)、中和されていてもよいエチレンと(メタ)アクリル酸とのコポリマー(C2)およびこれらのアロイの中から選択されるコポリマー(C)。
【0011】
本発明の別の対象は、ポリエステルに添加して耐衝撃性を向上させる下記(a)、(b)および(c)からなる衝撃改質剤組成物にある:
(a)コア−シェルコポリマー(A)
(b)エチレンと不飽和無水カルボン酸とのコポリマー(B1)、エチレンと不飽和エポキシドとのコポリマー(B2)およびこれらのアロイの中から選択されるエチレンコポリマー(B)
(c)エチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマー(C1)、必要に応じて中和されたエチレンと(メタ)アクリル酸とのコポリマー(C2)およびこれらのアロイの中から選択されるコポリマー(C)
【0012】
【実施の形態】
「MFI」(メルトフローインデックスの略号)は所定の温度および所定の荷重下でのg/10分で表されるメルトフローインデックスを意味する。
「熱可塑性ポリエステル」という用語はグリコールとジカルボン酸またはその誘導体との飽和縮合ポリマーを意味し、8〜14個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸と、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールおよび化学式:HO(CH2)nOHの脂肪族グリコール(nは2〜10の整数)からなる群の中から選択される少なくとも1種のグリコールとの縮合物であるのが好ましい。芳香族ジカルボン酸は最大50モル%まで8〜14個の炭素原子を有する少なくとも1種の他の芳香族ジカルボン酸に代えることができ、および/または、その最大20モル%を2〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸に代えることができる。
【0013】
好ましいポリエステルはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(1,4−ブチレン)テレフタレート(PBT)、1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート/イソフタレートおよび芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル酸、ジ安息香酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェニレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン酸、エチレンビス(p−安息香酸)、1,4−テトラメチレンビス(p−オキシ安息香酸)、エチレンビス(パラ-オキシ安息香酸)、1,3−トリメチレンビス(p−オキシ安息香酸)と、グリコール、例えばエチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,8−オクタメチレングリコール、1,10−でカメチレングリコールとから導かれるその他のポリエステルである。
【0014】
これらポリエステルのMFI(PBTの場合は250℃、2.16kgまたは5kgの荷重下、PETの場合は275℃、2.16kgの荷重下で測定)は2〜100、好ましくは10〜80であるのが好ましい。
複数の二酸および/または複数のジオールからなるポリエステルも本発明の範囲を逸脱するものではない。また、各種のポリエステルのアロイを用いることもできる。
【0015】
ポリエステルがコポリエーテルエステルを含んでいても本発明の範囲を逸脱するものではない。このコポリエーテルエステルはポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)またはポリテトラメチレングリコール(PTMG)のようなポリエーテルジオールに由来するポリエーテル単位と、テレフタル酸のようなジカルボン酸単位と、グリコール(1,2−エタンジオール)または1,4−ブタンジオールのような短い連鎖延長剤ジオール単位とを有するポリエステルブロックおよびポリエーテルブロックを含むコポリマーである。ポリエーテルと二酸の鎖が軟いセグメントを形成し、グリコールまたはブタンジオールと二酸との鎖がコポリエーテルエステルの硬いセグメントを形成する。これらのコポリエーテルエステルは熱可塑性エラストマである。このコポリエーテルエステルの比率は熱可塑性ポリエステル100部に対して0〜500部にすることができる。
【0016】
ポリエステルがポリカーボネートを含んでいても本発明の範囲を逸脱するものではない。一般に、「ポリカーボネート」という用語は〔化1〕で表される単位を有するポリマーを意味する。
【0017】
【化1】
【0018】
(ここで、R1は脂肪族、脂環式または芳香族の基であり、脂肪族および脂環式基は最大で8個の炭素原子を有することができる)。
R1の例としてはエチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、ドデカメチレン、ポリ[1,4−(2−ブテニレン)]、ポリ[1,10−(2−エチルデシレン)]、1,3−シクロペンチレン、1,3−シクロへキシレン、1,4−シクロへキシレン、m−フェニレン、p−フェニレン、4,4‘−ジフェニレン、2,2−ビス(4−フェニレン)プロパンおよびベンゼン−1,4−ジメチレンが挙げられる。ポリカーボネート中の少なくとも60%のR1基、好ましくは全てのR1基が〔化2〕で表される芳香族基であるのが有利である。
【0019】
【化2】
【0020】
(ここで、R2およびR3は二価の単環式基であり、YはR2およびR3を分離している1個または2個の原子を含む結合基である)。
遊離原子価は一般にYに対してメタ位またはパラ位にある。R2およびR3は置換フェニレンまたは非置換フェニレンにすることができる。置換基の例としてはアルキル、アルケニル、ハロゲン、ニトロおよびアルコキシが挙げられる。フェニレンは非置換であるのが好ましい。これらは共にまたは別々にメタまたはパラにすることができ、パラにするのが好ましい。結合基Yは1個の原子がR2とR3を分離するものが好ましい。この結合基Yは炭化水素基、例えばメチレン、シクロヘキシルメチレン、2−[2.2.1]ビシクロヘプチルメチレン、エチレン、2,2−プロピレン、1,1−(2,2−ジメチルプロピレン)、1,1−シクロへキシレン、1,1−シクロペンタデシレン、シクロドデシレン、カルボニル、オキシラジカル、チオラジカルおよびスルホンであるのが好ましい。R1はビスフェノールAに由来する2,2−ビス(4−フェニレン)プロパンであるもの、すなわちYがイソプロピリデンで、R2およびR3がそれぞれp−フェニレンであるのが好ましい。25℃の塩化メチレン中で測定したポリカーボネートの固有粘度は0.3〜1dl/gであるのが有利である。
【0021】
ポリカーボネートの比率は熱可塑性ポリエステル100部に対して0〜300部にすることができる。
コア−シェルコポリマー(A)(以下、CSという)は、エラストマーのコアと少なくとも1種の熱可塑性のシェルとを有する微粒子の形をしており、粒径は一般に50〜1000nm、好ましくは100〜500nmである。
【0022】
コアの例としてはイソプレンのホモポリマーまたはブタジエンのホモポリマー、イソプレンと最大で30モル%のビニルモノマーとのコポリマーおよびブタジエンと最大で30モル%のビニルモノマーとのコポリマーが挙げられる。ビニルモノマーはスチレン、アルキルスチレン、アクリロニトリルまたはアルキル(メタ)アクリレートにすることができる。他のコア群はアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーおよびアルキル(メタ)アクリレートと最大で30モル%のビニルモノマーとのコポリマーからなる。アルキル(メタ)アクリレートはブチルアクリレートにするのが有利である。ビニルモノマーはスチレン、アルキルスチレン、アクリロニトリル、ブタジエンまたはイソプレンにすることができる。コポリマー(A)のコアは完全または部分的に架橋されていてもよい。必要なことはコアの製造中に少なくとも二官能性のモノマーを添加することだけである。このモノマーはポリオールのポリ(メタ)アクリルエステル、例えばブチレンジ(メタ)アクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートの中から選択することができる。他の二官能性モノマーは例えばジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、酢酸ビニルおよびビニルメタクリレートである。不飽和官能性モノマー、例えば不飽和無水カルボン酸、不飽和カルボン酸および不飽和エポキシドを重合中にグラフトするか、コモノマーとして導入することによってもコアを架橋することができる。その一例としては無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸およびグリシジルメタクリレートが挙げられる。
【0023】
シェルはスチレンのホモポリマー、アルキルスチレンのホモポリマーまたはメチルメタクリレートのホモポリマーまたは少なくとも70モル%の上記モノマーの1種と、上記以外のモノマー、酢酸ビニルおよびアクリロニトリルの中から選択される少なくとも1種のコモノマーとからなるコポリマーである。シェルは不飽和官能性モノマー、例えば不飽和無水カルボン酸、不飽和カルボン酸および不飽和エポキシドを重合中にグラフトするか、コモノマーとして導入することによって官能化することができる。その一例としては無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸およびグリシジルメタクリレートが挙げられる。
【0024】
例としてはポリスチレンのシェルを有するコア−シェルコポリマー(A)およびPMMAのシェルを有するコア−シェルコポリマー(A)が挙げられる。2つのシェルを有する(一つのシェルがポリスチレンからなり、外側のシェルがPMMAからなる)コア−シェルコポリマー(A)もある。コポリマー(A)の例およびその製造方法は米国特許第4,180,494号、第3,808,180号、第4,096,202号、第4,260,693号、第3,287,443号、第3,657,391号、第4,299,928号および第3,985,704号に記載されている。
【0025】
例としては、アルキルアクリレートまたはポリオルガノシロキサンゴムまたはこれらの混合物をベースとするコアと、ポリアルキルメタクリレートまたはスチレン−アクリロニトリルコポリマーをベースとするシェルとを有するコア−シェルコポリマー(A)が挙げられる。このコア−シェルコポリマー(A)の衝撃改質剤は下記(a)および(b)を含むことを特徴としている:
【0026】
(a)下記(1)および(2)からなる架橋したエラストマーのコア 70〜90重量%
(1)炭素数5〜12のアルキル基を有するn−アルキルアクリレートコポリマー(I)、あるいは、炭素数2〜12の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基を有するアルキルアクリレート混合物、または、ポリオルガノシロキサンゴム、少なくとも1種の不飽和基がCH2=C<ビニル型である複数の不飽和基を含む分子を有する多官能性架橋剤と、少なくとも1種の不飽和基がCH2=CH−CH2−アリル型である複数の不飽和基を含む分子を有する任意成分としての多官能性グラフト化剤との混合物からなるコアであって、0.05〜5%のモル量の架橋剤と、任意成分としてのグラフト化剤とを含むコア 20〜100重量%、好ましくは20〜90重量%、
【0027】
(2)炭素数4〜12のアルキル基を有するn−アルキルアクリレートコポリマー(II)、または(1)で定義したアルキルアクリレートと、少なくとも1種の不飽和基がCH2=CH−CH2−アリル型である複数の不飽和基を含む分子を有するグラフト化剤との混合物からなる表皮であって、0.05〜2.5%のモル量のグラフト化剤を含む、コアを取り囲む表皮 80〜0重量%、好ましくは80〜10重量%
【0028】
(b)炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートのポリマーあるいは炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートと炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレートとのランダムコポリマーからなり、5〜40モル%のアルキルアクリレートを含むか、スチレン−アクリロニトリルコポリマーからなる、上記コアにグラフトされたシェル 30〜10重量%
【0029】
ビニルモノマーの0.1〜50重量%は必要に応じて官能基を有することができる。
この型のコア−シェルコポリマーは本出願人の欧州特許第776,915号および米国特許第5,773,520号に記載されている。
【0030】
コア−シェルコポリマー(A)の例としては、少なくとも93モル%のブタジエン、5モル%のスチレンおよび0.5〜1モル%のジビニルベンゼンを含むコア75〜80部(i)と、内側がポリスチレンからなり、外側がPMMAからなるほぼ同じ重量の2つのシェル25〜20部(ii)とで構成されるコポリマーが挙げられる。
コアは(A)の70〜90重量%であり、シェルは30〜10重量%であるのが有利である。
【0031】
エチレン/不飽和無水カルボン酸コポリマー(B1)は不飽和無水カルボン酸がグラフトされたポリエチレンまたはラジカル重合等で得られるエチレンと不飽和無水カルボン酸とのコポリマーにすることができる。
不飽和無水カルボン酸は例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アリルコハク酸、シクロヘキシ−4−エン−1,2−無水ジカルボン酸、4−メチレンシクロヘキシ−4−エン−1,2−無水ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−無水ジカルボン酸、X−メチルビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,2−無水ジカルボン酸の中から選択することができる。無水マレイン酸を用いるのが好ましい。無水物の全部または一部の代わりに不飽和カルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸を用いても本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0032】
不飽和カルボン酸をグラフトするポリエチレンはポリエチレンのホモポリマーまたはコポリマーを意味する。
コモノマーの例としては下記を挙げることができる:
(1) αオレフィン、好ましくは3〜30個の炭素原子を有するαオレフィン。αオレフィンの例としてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1− ブテン、1−ヘキセン、4−メチル-1- ペンテン、3−メチル−1− ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセンおよび1−トリアコンテンが挙げられる。これらのαオレフィンは単独または2種類以上の混合物で使用することができる。
【0033】
(2) 不飽和カルボン酸のエステル、例えばアルキル基が最大で24個の炭素原子を含むアルキル(メタ)アクリレート。アルキルアクリレートまたはメタクリレートの例としてはメチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。
(3) 飽和カルボン酸ビニルのエステル、例えば酢酸ビニルまたはプロピオン酸ビニル等。
(4) ジエン、例えば1,4−ヘキサジエン等。
【0034】
ポリエチレンは上記コモノマーを複数含むことができる。
ポリエチレンは複数のポリマーのアロイにすることができ、少なくとも50モル%、好ましくは75モル%のエチレンを含み、密度が0.86〜0.98g/cm3であるのが有利である。MFI(メルトフローインデックス、190℃/2.16kg)は0.1〜1000g/10分であるのが有利である。
ポリエチレンの例としては下記を挙げることができる:
(1)低密度ポリエチレン(LDPE)
(2)高密度ポリエチレン(HDPE)
(3)直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)
(4)超低密度ポリエチレン(VLDPE)
【0035】
(5)メタロセン触媒、すなわち一般に金属(例えばジルコニウムまたはチタン)原子とこの金属に結合した2つの環状アルキル分子とで構成されるモノサイト触媒の存在下でエチレンとαオレフィン(例えばプロピレン、ブテン、ヘキセンまたはオクテン)とを共重合して得られるポリエチレン。メタロセン触媒は一般に金属に結合した2つのシクロペンタジエン環で構成される。この触媒は共触媒または活性剤としてのアルミノオキサン、好ましくはメチルアルミノオキサン(MAO)と一緒に用いられることが多い。シクロペンタジエンが結合する金属としてハフニウムを用いることもできる。他のメタロセンにはIVA、VAおよびVIA族の遷移金属が含まれる。ランタニド系列の金属を用いることもできる。
【0036】
(6)EPR(エチレン−プロピレン−ゴム)エラストマ
(7)EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン)エラストマ
(8)ポリエチレンとEPRまたはEPDMとのアロイ
(9)エチレン−アルキル(メタ)アクリレートコポリマー(最大で60%、好ましくは2〜40重量%の(メタ)アクリレートを含むことができる)。
グラフト操作自体は周知である。
エチレンと不飽和無水カルボン酸とのコポリマー(すなわち不飽和カルボン酸無水物がグラフトされていないコポリマー)は、エチレンと無水不飽和カルボン酸とのコポリマーである(任意成分として、グラフトされるエチレンコポリマーに関して述べた上記コモノマーの中から選択することができる他のモノマーを含むことができる)。
【0037】
エチレン−無水マレイン酸コポリマーおよびエチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸コポリマーを用いるのが有利である。これらのコポリマーは0.2〜10重量%の無水マレイン酸と、0〜40重量%、好ましくは5〜40重量%のアルキル(メタ)アクリレートとを含み、MFIは0.5〜200(190℃/2.16kg)である。アルキル(メタ)アクリレートは既に説明したものである。複数のコポリマー(B1)のアロイを用いることができ、エチレン−無水マレイン酸コポリマー/エチレン−アルキル(メタ)アクリレート−無水マレイン酸コポリマーアロイを用いることもできる。
コポリマー(B1)は200〜2500barの圧力でラジカル重合によって製造された顆粒の形で市販されている。
【0038】
エチレン−不飽和エポキシドコポリマー(B2)は、エチレンと不飽和エポキシドとの共重合か、ポリエチレンに不飽和エポキシドをグラフトすることによって得ることができる。グラフトは溶媒相で行うか、ペルオキシドの存在下で溶融状態のポリエチレンに対して行うことができる。これらのグラフト法自体は周知である。エチレンと不飽和エポキシドとの共重合は通常200〜2500barの圧力で操作されるいわゆるラジカル重合を用いることができる。
【0039】
不飽和エポキシドの例としては特に下記のものを挙げることができる:
1)脂肪族グリシジルエステルおよびエーテル、例えばアリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、グリシジルマレート、グリシジルイタコネート、グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレート、
2)脂環式グリシジルエステルおよびエーテル、例えば2−シクロヘキセン-1-グリシジルエーテル、シクロヘキセン−4,5−ジグリシジルカルボキシレート、シクロヘキセン−4−グリシジルカルボキシレート、5−ノルボルネン−2−メチル−グリシジルカルボキシレート、エンド−シス−ビシクロ[2.2.1]−5−へプテン−2,3−ジカルボキシレート。
【0040】
化合物(B2)のグラフト操作では、無水物の代わりにエポキシドをグラフトする点を除いて(B1)で述べたのと同様に、ポリエチレンのホモポリマーまたはコポリマーにグラフトする。共重合も、エポキシドを用いる点を除いて(B1)で述べたのと同様である。(B1)の場合と同様に、他のコモノマーを含むこともできる。
化合物(B2)はエチレン−アルキル(メタ)アクリレート−不飽和エポキシドコポリマーであるのが有利である。この化合物(B2)は最大で40重量%、好ましくは5〜40重量%のアルキル(メタ)アクリレートと、最大で10重量%、好ましくは0.1〜8重量%の不飽和エポキシドとを含むのが有利である。
【0041】
エポキシドはグリシジル(メタ)アクリレートであるのが有利である。
アルキル(メタ)アクリレートはメチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよび2-エチルヘキシルアクリレートの中から選択するのが有利である。アルキル(メタ)アクリレートの量は20〜35重量%であるのが有利である。MFIは0.5〜200(g/10分、190℃/2.16kg)であるのが有利である。
複数のコポリマー(B2)のアロイを用いることができ、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート−不飽和エポキシドコポリマー/エチレン−不飽和エポキシドコポリマーアロイを用いることもできる。
このコポリマー(B2)はモノマーのラジカル重合で得ることができる。
コポリマー(B1)と(B2)とのアロイを用いることもできる。
【0042】
エチレン−アルキル(メタ)アクリレートコポリマー(C1)は、アルキル基が最大で24個の炭素原子を含むことができる。アルキルアクリレートまたはメタクリレートの例としては特にメチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。これらのコポリマーのMFI(190 ℃/2.16kg)は0.1〜50であるのが有利である。アルキル(メタ)アクリレート含有率は最大で(C1)の40重量%にすることができる。(メタ)アクリレート含有率は(C1)の5〜35重量%であるのが有利である。これらのコポリマーは300〜2500barの圧力の管またはオートクレーブでラジカル重合によって製造することができる。
【0043】
エチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー(C2)は、メタアクリル酸含有率を最大で(C2)の10モル%にすることができ、1〜5モル%にするのが有利である。(C2)がアルキル(メタ)アクリレートを最大で(C2)の40重量%の比率で含んでいても本発明の範囲を逸脱するものではない。酸官能基はカチオン、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛およびカドミウムで完全または部分的に中和することができる。これらのコポリマーのMFI(190 ℃/2.16kg)は0.1〜50であるのが有利である。これらのコポリマーは300〜2500barの圧力の管またはオートクレーブでラジカル重合によって製造することができる。
【0044】
また、(C1)および(C2)のコポリマーのアロイを用いることもできる。
衝撃改質剤の各成分は下記の比率である(合計100重量%)のが有利である:
(A)15〜80%
(B)5〜60%
(C)5〜80%
特に有用な比率は下記の通り:
【0045】
【表1】
【0046】
本発明の熱可塑性ポリエステル組成物は全体を100重量部とした時に65〜95重量部のポリエステルと、35〜5重量部の衝撃改質剤とを含むのが有利である。
【0047】
本発明はさらに、上記特性を有する衝撃改質剤組成物に関するものである。
本発明の熱可塑性ポリエステルは、衝撃改質剤組成物の他に滑剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、紫外線安定剤および充填剤をさらに含むことができる。充填剤はガラス繊維、難燃剤、タルクまたはチョークにすることができる。これらの充填剤は衝撃改質剤に入れることができる。
【0048】
熱可塑性ポリエステルおよび衝撃改質剤のアロイは一軸または二軸スクリュー押出機、コニーダ型のBUSS(登録商標)混練機で熱可塑性ポリマーの通常の混合方法で作ることができる。ポリエステルと衝撃改質剤の各成分すなわちコポリマー(A)、(B)および(C)は混練機に別々に導入することができる。衝撃改質剤の各成分は予め作成しておいたアロイとして、場合によってはポリエステル中のマスターバッチとして添加することもできる。添加剤、例えば滑剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、紫外線防止剤および充填剤はそのままあるいはポリエステル中のマスターバッチまたは1種以上のコポリマー(A)〜(C)とのマスターバッチとして上記の機械に添加することができる。ポリエステルに添加するための(A)〜(C)を含む衝撃改質剤組成物は従来の通常の熱可塑性ポリマーの混練法で作ることができる。
【0049】
【実施例】
全ての実施例は70〜80重量%のポリエステルと、30〜20重量%の衝撃改質剤とからなる組成物を用いて作った。衝撃改質剤はA、B、Cからなる(本発明の実施例)か、AとB、またはBとC、またはA、またはB、またはCからなる。シャルピーノッチ付き衝撃強度はISO 179:93規格に従って測定した(測定単位kJ/m2)。アイゾットノッチ付き衝撃強度はASTM D256規格に従って測定した(測定単位フートポンド/インチ)。値が高いほど、衝撃強度が良い。
下記実施例ではポリエステルとしてPBTまたはPETを用いた。
下記実施例では80重量%のPBTと、20重量%の衝撃改質剤とからなる組成物を用いた。
【0050】
実施例で使用した材料は以下の通り:
AX 8900:
25重量%のアクリレートと8%のGMAとを含む、MFIが6(190 ℃、2.16kg)のエチレン−メチルアクリレート−グリシジルメタクリレート(GMA)コポリマー。アトフィナ(Atofina)社から商品名Lotader(登録商標)で市販。
AX 8930:
25重量%のアクリレートと3%のGMAとを含む、MFIが6(190 ℃、2.16kg)のエチレン−メチルアクリレート−グリシジルメタクリレート(GMA)コポリマー。エルフアトケム社から商品名Lotader(登録商標)で市販。
【0051】
Lotryl:
35重量%のアクリレートを含む、MFIが2(190 ℃、2.16kg)のエチレン−2−エチルヘキシルアクリレートコポリマー。
E 920:
ブタジエン−スチレンを主成分とするコアとPMMAのシェルとからなるMBS型コア−シェルコポリマー。アトフィナ社から商品名METABLEND(登録商標)で市販。
EXL 2314:
エポキシで官能化したアクリルコア−シェルコポリマー。Rohm and Haas社から商品名PARALOID(登録商標)で市販。
PBT:
MFIが20(250℃/2.16kg)であるポリブチレンテレフタレート。BASF社から商品名ULTRADUR(登録商標)B4500で市販。
【0052】
[図1]はAX8900を含むPBT(比較例)、EXL2314を含むPBT(比較例)およびAX8900とLotrylとコア−シェルコポリマーとを同時に含むPBT(本発明)のシャルピーノッチ付き衝撃強度を示している。衝撃改質剤の各成分の重量比率は下記の通り:
(AX8900/Lotyl/コア−シェル=2.8/11.2/6)(実施例)。
衝撃強度値は各組成物に対して4つの異なる温度で示し、これらの値は〔表2〕にも示してある。
【0053】
【表2】
【0054】
[図2]は各種衝撃改質剤を含む上記組成物のMFIと、改質剤を含まないPBTすなわち「純粋なPBT」のMFIとを示している。これらの値は〔表3〕にも示してある。
【0055】
【表3】
【0056】
本発明の改質剤ではAX8900またはEXL2314よりも特に低温での衝撃の結果が良いことは明らかである。MFIはEXL2314を単独で用いた場合よりも低く、AX8900を単独で用いた場合よりもはるかに高いが、射出成形には十分である。
[図3]は衝撃改質剤としてAX8900またはLotrylまたはこれらの衝撃改質剤の混合物を含むPBTの+23℃でのシャルピーノッチ付き衝撃強度を示している。これらの組成物は本発明の組成物ではない。[図4]は[図3]と同じ組成物の他の温度での衝撃強度を示している。これらの値は〔表4〕および〔表5〕にも示してある。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
[図5]は各種衝撃改質剤を含む上記組成物のMFIと、改質剤を含まないPBTすなわち「純粋なPBT」のMFIとを示している。これらの値は〔表6〕にも示してある。
【0060】
【表6】
【0061】
[図1]と[図4]とを比較すると、本発明の改質剤によって、他の改質剤よりも高いMFIを維持しながら、特に0℃および0℃以下での衝撃強度がより良くなることがわかる。
[図6]は衝撃改質剤としてAX(AX8900またはAX8930)か、あるいはコア−シェル(EXL2314またはE920)またはこれらの衝撃改質剤の混合物を含むPBTの−40℃でのシャルピーノッチ付き衝撃強度を示している。これらの組成物は本発明の組成物ではない。
[図7]は[図6]と同じ組成物の+23℃での衝撃強度を示している。[図6]および[図7]では、エポキシドコポリマーがAXで表され、コア−シェルコポリマーがCSで表されている。これらの値は〔表7〕および〔表8〕にも示してある。
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
【0064】
[図8]は各種衝撃改質剤を含む上記組成物のMFIと、改質剤を含まないPBTすなわち「純粋なPBT」のMFIとを示している。これらの値は〔表9〕にも示してある。
【0065】
【表9】
【0066】
[図1]と[図6]とを比較すると、本発明の改質剤によって低温衝撃強度が優れた値になることがわかる。[図2]、[図5]、[図8]を考察すると、A、B、Cを組合せた本発明の組成物のMFIが、これらのコポリマーを2つずつ、すなわちAとBまたはBとCとを組合せた組成物よりも予想外に高いことがわかる。
下記の実施例は〔表10〕に定義された重量%のPBT/衝撃改質剤組成物を用いて作った。〔表10〕には種々の温度T(T=20℃、−20℃、−30℃および−40℃)で上記定義の規格に応じてアイゾットノッチ付き衝撃挙動を測定した衝撃強度とともに、表中の組成物のMFI等の他の値も示されている。
【0067】
下記の実施例は下記の材料を用いて作った:
PBT:
MFIが8.4(250℃/5kg)であるポリブチレンテレフタレート。Ticona社から商品名CELANEX(登録商標)1600Aで市販。
Lotryl:
30重量%のアクリレートを含む、MFIが2(190 ℃/2.16kg)のエチレン−ブチルアクリレートコポリマー。
AX8900:
上記定義の組成物
AM939:
n−オクチルアクリレートコアとメチルメタクリレートシェルとを、n−オクチルアクリレート70〜90重量%、メチルメタクリレート10〜30重量%の比率で有するコア−シェル。
【0068】
〔表10〕の値から、衝撃改質剤としてAX8900のみを含む組成物(比較例1)またはAM939のみを含む組成物(比較例2)とは違って、本発明の衝撃改質剤を含む組成物は室温から−40℃までの実施温度範囲内での衝撃強度の結果が良いことは明らかである。
【0069】
2種の衝撃改質剤を含む組成物(本発明の組成物ではない)を用いて衝撃強度試験を行った。〔表10〕ではこれらの組成物は比較例3、5、6で表されている。これらの組成物で得られた衝撃強度の結果をAM939/Lotryl/AX8900の3つを組合わせた組成物で得られた結果と比較すると、本発明の衝撃改質剤の使用により、実施温度範囲にわたって、比較例5および比較例6では得られない極めて良好な衝撃強度の値が得られ、また、比較例3では得られない極めて良好なメルトフローインデックスが得られることがわかる。
【0070】
すなわち、本発明のAM939/Lotryl/AX8900の3つを組合せた組成物に衝撃改質剤の相乗効果がみられ、本発明の熱可塑性ポリエステル組成物の衝撃強度とメルトフローとをかなりバランスさせることができる
下記の実施例は〔表11〕に定義された重量%のPET/衝撃改質剤組成物を用いて作った。〔表11〕には種々の温度T(T=20℃、0℃、−30℃)で上記定義の規格に応じてシャルピーノッチ付き衝撃挙動を測定した衝撃強度とともに、表中の組成物のMFI等の他の値も示されている。
【0071】
下記の実施例は下記の材料を用いて作った:
PET:
MFIが40〜50(275℃/2.16kg)であるポリブチレンテレフタレート。Eastman社から商品名ESTAPAK(登録商標)9921で市販。
AX8900:
上記定義の組成物
E920:
上記定義の組成物
AM939:
上記定義の組成物
Lotryl:
30重量%のアクリレートを含む、MFIが2(190 ℃/2.16kg)のエチレン−ブチルアクリレートコポリマー。
【0072】
〔表11〕に記載のMFIおよび衝撃強度から、衝撃改質剤としてAX8900のみを含む組成物(比較例1)およびLotryl/AX8900の組み合わせのみを含む組成物(比較例4)では、良好な衝撃強度が得られるがメルトフローインデックスが損なわれて並みになることがわかる。さらに、衝撃改質剤としてコア−シェル(比較例2の場合はAM939、比較例3の場合はE920)のみを含む組成物の結果を調べると、これらの組成物は衝撃強度が不十分であるが、溶融粘度は十分であることがわかる。
【0073】
本発明の衝撃改質剤を含む組成物で得られた結果を分析すると、本発明組成物は比較例1〜4よりも粘度を向上させ、比較例2および比較例3よりも衝撃強度を向上させることが明らかになる。
これらの結果から、本発明衝撃改質剤は比較例の衝撃改質剤よりも優れていることが確証され、本発明の衝撃改質剤によって、本発明の衝撃改質剤となるCS/Lotryl/AX8900化合物が熱可塑性ポリエステル組成物のメルトフローインデックスおよび衝撃強度に与える相乗効果が証明される。
【0074】
【表10】
【0075】
【表11】
【図面の簡単な説明】
【図1】 AX8900を含むPBT(比較例)、EXL2314を含むPBT(比較例)およびAX8900とLotrylとコア−シェルコポリマーとを同時に含むPBT(本発明)のシャルピーノッチ付き衝撃強度を示す図。
【図2】 各種衝撃改質剤を含む上記組成物のMFIと、改質剤を含まないPBTすなわち「純粋なPBT」のMFIとを示す図。
【図3】 衝撃改質剤としてAX8900またはLotrylまたはこれらの衝撃改質剤の混合物を含むPBTの+23℃でのシャルピーノッチ付き衝撃強度を示す図。
【図4】 図3と同じ組成物の他の温度での衝撃強度を示す図。
【図5】 各種衝撃改質剤を含む上記組成物のMFIと、改質剤を含まないPBTすなわち「純粋なPBT」のMFIとを示す図。
【図6】 衝撃改質剤としてAX(AX8900またはAX8930)か、あるいはコア−シェル(EXL2314またはE920)またはこれらの衝撃改質剤の混合物を含むPBTの−40℃でのシャルピーノッチ付き衝撃強度を示す図。
【図7】 図6と同じ組成物の+23℃での衝撃強度を示す図。
【図8】 各種衝撃改質剤を含む上記組成物のMFIと、改質剤を含まないPBTすなわち「純粋なPBT」のMFIとを示す図。
Claims (10)
- 下記の(i)と(ii)を含む熱可塑性ポリエステル組成物(合計100重量%):
(i) 熱可塑性ポリエステル 60〜99重量%、
(ii) 下記(a)、(b)および(c)からなる衝撃改質剤 1〜40重量%:
(a)エラストマーのコアと少なくとも1種の熱可塑性ポリマーのシェルとからなるコア−シェルコポリマー(A)
(b)エチレンと不飽和無水カルボン酸とのコポリマー(B1)、エチレンと不飽和エポキシドとのコポリマー(B2)およびこれらのアロイの中から選択されるエチレンコポリマー(B)
(c)エチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマー(C1)、中和されていてもよいエチレンと(メタ)アクリル酸とのコポリマー(C2)およびこれらのアロイの中から選択されるコポリマー(C)。 - ポリエステルがPETまたはPBTから選択される請求項1に記載の組成物。
- コポリマー(A)がn−オクチルアクリレートのエラストマーのコア、と、少なくとも1種のメチルメタクリレートの熱可塑性のシェルとからなる請求項1または2に記載の組成物。
- エチレン/不飽和エポキシドコポリマー(B2)が0〜40重量%のアルキル(メタ)アクリレートと最大で10重量%の不飽和エポキシドとを含むモノマーの共重合で得られるエチレン−アルキル(メタ)アクリレート−不飽和エポキシドコポリマーである請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
- 100重量部に対して、65〜95部のポリエステルと、35〜5部の衝撃改質剤とを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
- (A)、(B)および(C)の重量比率がそれぞれ15〜80重量%、5〜60重量%、5〜80重量%であり、(A)+(B)+(C)=100%である請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
- (A)、(B)および(C)の重量比率がそれぞれ20〜35重量%、40〜60重量%、10〜40重量%であり、(A)+(B)+(C)=100%である請求項6に記載の組成物。
- (A)、(B)および(C)の重量比率がそれぞれ40〜75重量%、10〜35重量%、10〜35重量%であり、(A)+(B)+(C)=100%である請求項6に記載の組成物。
- 下記の(a)、(b)および(c)からなる衝撃改質剤組成物:
(a)コア−シェルコポリマー(A)
(b)エチレンと不飽和無水カルボン酸とのコポリマー(B1)、エチレンと不飽和エポキシドとのコポリマー(B2)およびこれらのアロイの中から選択されるエチレンコポリマー(B)
(c)エチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマー(C1)、中和されていてもよいエチレンと(メタ)アクリル酸とのコポリマー(C2)およびこれらのアロイの中から選択されるコポリマー(C)。 - (A)、(B)および(C)の重量比率がそれぞれ15〜80重量%、5〜60重量%、5〜80重量%である請求項9に記載の組成物。
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