JP4698981B2 - 繊維状酸化チタン粒子とその製造方法ならびに該粒子の用途 - Google Patents

繊維状酸化チタン粒子とその製造方法ならびに該粒子の用途 Download PDF

Info

Publication number
JP4698981B2
JP4698981B2 JP2004223864A JP2004223864A JP4698981B2 JP 4698981 B2 JP4698981 B2 JP 4698981B2 JP 2004223864 A JP2004223864 A JP 2004223864A JP 2004223864 A JP2004223864 A JP 2004223864A JP 4698981 B2 JP4698981 B2 JP 4698981B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titanium oxide
oxide particles
group
particles
fibrous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004223864A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005068001A (ja
Inventor
嗣雄 小柳
勝博 城野
田中  敦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Original Assignee
JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JGC Catalysts and Chemicals Ltd filed Critical JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Priority to JP2004223864A priority Critical patent/JP4698981B2/ja
Publication of JP2005068001A publication Critical patent/JP2005068001A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4698981B2 publication Critical patent/JP4698981B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Description

本発明は、新規な繊維状酸化チタン粒子およびその製造方法ならびに該粒子の用途に関する。
酸化チタン粒子、酸化チタン系複合酸化物粒子はその化学的特性を利用し、広範な用途で使用されている。
たとえば酸化チタンは酸素と適当な結合力を有するとともに耐酸性にも優れているので、酸化還元触媒あるいは担体として使用されている。また、酸化チタン自体は紫外線の遮蔽力が高く、この特性を利用して化粧材料またはプラスチックの表面コート剤にも使用されている。さらに、酸化チタンは高屈折であるため、光の反射を抑制することを目的とした反射防止コート材に使用されている。また酸化チタン(特に低次酸化チタン)は導電性を有していることがあり、かかる導電性を利用して帯電防止材として用いられている。さらにまた、上記効果を組み合わせて機能性ハードコート材としても用いられている。また、酸化チタンは防菌剤、防汚剤、超親水性被膜などに用いられている。
近年、酸化チタンは、高いバンドギャップを有することから、光触媒、または光エネルギーを電気エネルギーに変換する、いわゆる光電変換材料として好適に用いられるようになっている。また、リチウムバッテリーのような2次電池の固体電解質、水素吸蔵材料、プロトン伝導材料等にも利用されるようになってきている。
このように、酸化チタン、酸化チタン系複合酸化物は多くの用途に用いられており、いずれの場合であっても酸化チタン、酸化チタン系複合酸化物には多くの機能が要求される。たとえば、触媒として酸化チタンを用いる場合には、主反応に対する活性だけでなく、選択性、機械的強度、耐熱性、耐酸性、あるいは耐久性が求められ、また化粧料として酸化チタンを用いる場合には、紫外線の遮蔽効果だけでなく、円滑性、肌ざわり、透明性などが求められている。
さらにコート材として酸化チタンを用いる場合には、透明性、高屈折率に加えて、さらに優れた被膜形成性、密着性、被膜硬度、機械的強度、耐摩耗性などが求められている。
このような観点から、従来の酸化チタン系粒子とは異なる粒子として、本願出願人は特許文献1(特開昭62−283817号公報)に、長軸の長さをLとし、短軸の長さをDとしたときに、L/Dが2以上の棒状チタニア粒子とその製造方法および該チタニア粒子がハードコート膜等に好適に用いることができることを開示している。
特開昭62−283817号公報
しかしながら、従来の方法では、L/Dが概ね10以上、さらには20以上の長手方向に延びた繊維状チタニア粒子を安定的に得ることが困難であった。また、仮に得られたとしても得られた繊維状チタニア粒子は、比表面積や結晶性が低下する傾向にあり、このため触媒活性や光電変換効率等が不充分となる問題があった。
このため、充分な繊維長を有するとともに、結晶性が高く、効率的に製造することが可能な繊維状酸化チタン粒子の出現が望まれていた。
このような状況のもと、本発明者らは、新規な繊維状結晶性酸化チタン粒子の製造方法について鋭意検討した結果、酸化チタンゾルをアルカリ存在下で水熱処理することで、管状酸化チタン粒子を調製したのち、加熱処理することによって管状酸化チタン粒子の管内が閉塞して、充分な長さおよび高い結晶性を有する繊維状酸化チタン粒子が得られ、しかも、かかる方法は製造効率が高く、再現性も高く、さらには、繊維状酸化チタン粒子の太さ、長さを容易に制御できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る繊維状酸化チタン粒子は、
短軸の平均幅(W)が5〜40nmの範囲にあり、長軸の平均長さ(L)が25〜1000nmの範囲にあり、平均アスペクト比(L/W)が5〜200の範囲にあることを特徴としている。
このような、繊維状酸化チタン粒子は、触媒、触媒担体、吸着剤、光触媒、化粧材料、光学材料、光電変換材料等として有用である。
前記繊維状酸化チタン粒子はアナタース型酸化チタンである。アナタース型は、光触媒作用が高く、しかも光電変換効率にも優れている。
繊維状酸化チタン粒子中のナトリウム含有量がNa2Oとして0.1重量%以下である
と、触媒性能、触媒担体性能、光触媒性能等に優れている。
本発明に係る繊維状酸化チタン粒子の製造方法は、
酸化チタン、または酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物との複合物からなる、酸化チタン系粒子の水分散ゾルを、
アルカリ存在下で水熱処理して、管状酸化チタン粒子を調製したのち、
該管状酸化チタン粒子を洗浄し、乾燥した後、
350〜900℃の温度で焼成する
ことを特徴としている。
前記酸化チタン系粒子の平均粒子径は2〜100nmの範囲にあることが好ましい。このような範囲にあると、安定な水分散ゾルを得ることが可能となり、また、効率的に繊維状酸化チタン粒子を得ることができる。
前記アルカリがアルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム、または有機塩基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記酸化チタン以外の酸化物として、周期律表の第Ia族、第Ib族、第IIa族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族、第IVb族、第Va族、第Vb族、第VIa族、第VIb族、第VIIa族、第VIII族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物であることが好ましく、特にSiO2、ZrO2、ZnO、Al2
3、CeO2、Y23、Nd23、WO3、Fe23、Sb25からなる群から選ばれる
少なくとも1種の酸化物が好適である。このような酸化物を含んでいると、繊維状酸化チタン粒子の収率が高く、またこれらの酸化物が残存することにより得られる繊維状酸化チタン粒子の紫外線吸収領域、誘電率、光触媒活性、プロトン伝導性、固体酸特性等を調節することができ、さらに熱的安定性や化学的安定性等を調節することもできる。
このような酸化チタン系粒子は、酸化チタン以外の酸化物を、1〜50重量%の範囲で含んでいることが望ましい。
前記酸化チタン系粒子は、ペルオキソチタン酸を加水分解して得られたものが好ましい。ペルオキソチタン酸に由来する酸化チタン粒子は、粒子径が均一で、水分散ゾルが非常に安定である。このため、均一な太さ・長さの繊維状酸化チタン粒子を得ることができる。
アルカリ存在下で水熱処理した後、さらに得られた分散液を酸の存在下で水熱処理してもよい。酸存在下での水熱処理を施しておくと、製造時に使用したアルカリが中和され、かつ粒子に入り込んだアルカリ分も中和除去され、最終的にはアルカリ金属含量の少ない繊維状酸化チタン粒子を得ることができる。
本発明に係る光電気セルは、前記記載の繊維状酸化チタン粒子を半導体膜成分として用いることを特徴としている。
本発明に係る触媒は前記記載の繊維状酸化チタン粒子を含むことを特徴としている。
本発明の繊維状酸化チタン粒子によれば、従来の酸化チタンに比べて、紫外線の遮蔽効果だけでなく、円滑性、肌ざわり、透明性などに優れ、コート材として用いた場合には、透明性、高屈折率に加えて、さらに優れた被膜形成性、密着性、被膜硬度、機械的強度、耐摩耗性に優れた被膜を形成できる。このため、このような繊維状酸化チタン粒子は、触媒、触媒担体、光触媒、化粧材料、光学材料、光電変換材料などに有用である。
また、本発明によれば、酸化チタン源として特定粒子径範囲に酸化チタン系粒子(酸化チタン単独または酸化チタンを含む複合酸化物)の水分散ゾルを用いる。このため、酸化チタン源を高温で焼成して結晶化させる必要が無く、得られる繊維状酸化チタン粒子は、収率が高く、凝集体が少なく粒子形状が均一であり、また酸化チタン以外の酸化物を含んでいたり、アルカリ金属残存量の少ない繊維状酸化チタン粒子が得られる。そして、触媒、触媒担体、光触媒、化粧材料、吸着剤、光学材料、光電変換材料などの機能性材料として有用なアスペクト比の高い繊維状酸化チタン粒子の製造方法を提供することができる。
以下に、本発明に係る繊維状酸化チタン粒子とその製造方法ならびに該粒子の用途について具体的に説明する。
まず、本発明に係る繊維状酸化チタン粒子について説明する。
[繊維状酸化チタン粒子]
本発明に係る繊維状酸化チタン粒子は、短軸の平均幅(W)が5〜40nm、好ましくは8〜30nmの範囲にある。なお、短軸の平均幅とは、繊維状酸化チタン粒子の繊維太さのことである。
なお本発明に係る繊維状酸化チタン粒子は、全長さ領域に亘って、平均短軸の幅(W)に対して短軸の幅(W)が(1±0.2)W、好ましくは(1±0.1)Wの範囲にある。すなわち、短軸の幅が均一な粒子である。
このような大きさの短軸を有する繊維状酸化チタン粒子は、比表面積が高く、触媒担体あるいは吸着材等として好適に用いることができる。
繊維状酸化チタン粒子の短軸の幅(W)が前記範囲よりも小さいものは、得ること自体が困難である。また、短軸の幅(W)が前記範囲よりも大きいものは得ることは可能であるものの、繊維状粒子の特性が充分に発現できず、たとえば比表面積が低くなり、触媒、触媒担体あるいは吸着材等として用いた場合等に充分な性能が得られないことがある。さらには、短軸の幅が大きいと、繊維状酸化チタン粒子からなる膜を形成し場合、ボイドが生成しやすく、基材との密着性が低下したり、さらには膜の透明性が低下することがある。
また、繊維状酸化チタン粒子は、長軸の平均長さ(L)が25〜1000nm、好ましくは50〜600nmの範囲にある。なお長軸の長さとは、繊維状粒子の長手方向の長さ
をいう。
さらに、繊維状酸化チタン粒子は、アスペクト比(L/W)が5〜200、好ましくは10〜100の範囲にある。
繊維状酸化チタン粒子の長軸の平均長さ(L)が前記範囲にあれば、充分な繊維長を有しているので、基材との密着性が高く、また強度に優れた平滑な被膜を形成できる。また、厚膜を形成した場合、膜にクラックが発生することもない。
繊維状酸化チタン粒子の長軸の平均長さ(L)が前記下限未満の場合は、繊維が短いため、基材との密着性が低下したり、膜の強度が低下することがある。また、厚膜を形成した場合に、膜にクラックを発生することがある。
繊維状酸化チタン粒子の長軸の平均長さ(L)が前記上限を越えると、膜表面の平滑性が低下することがあり、また膜の形成方法にもよるが、例えばスクリーン印刷法等では塗工性が低下し、基材との密着性、透明性、膜強度、膜厚の均一性等の充分な膜が得られないことがある。
このような範囲のアスペクト比であれば、酸化チタン粒子は、繊維状を示す。また、このようなアスペクト比を有するものは、基材との密着性が高く、被膜の強度も高い。
アスペクト比(L/W)が上記範囲を超えて大きいものは得ることが困難な場合があり、得られたとしても、繊維状酸化チタン粒子を用いた膜を形成した場合に、繊維が長すぎて、からみあったりして、光の散乱が増大したり、膜の形成方法にもよるが、塗工性が低下し、基材との密着性、透明性、膜強度、膜厚の均一性等の充分な膜が得られないことがある。
アスペクト比(L/W)が5未満の場合は、長さが短くて繊維状とはならない。また被膜を形成しても、基材との密着性が低下したり、膜の強度が低下したりすることがある。
上記短軸の平均幅(W)、長軸の平均長さ(L)等は透過型電子顕微鏡写真を撮影し、100個の粒子について各値を測定し、この平均値を算出して求める。
つぎに、本発明に係る繊維状酸化チタン粒子の結晶型は、酸化チタンが取りうるものであれば、そのいずれであってよい。具体的には、無定型、アナタース型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれであってもよい。
また、酸化チタンは、TiO2で表される酸化チタンに限られず、たとえば、TiOn(nは2未満)で表される低次(すなわち還元型)酸化チタンであってもよい。また、その一部が窒素で置換されていてもよい。
本発明では、これらの中でもアナタース型酸化チタンであることが好ましい。
アナタース型酸化チタンは、無定型の酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンに比して触媒性能、触媒担体性能、吸着性能、光触媒性能、光電変換性能等に優れている。
前記繊維状酸化チタン粒子中のナトリウム含有量は用途によっても異なるが、Na2
として0.1重量%以下、さらには0.01重量%以下、光電変換用等の用途の場合は0.001重量%以下であることが好ましい。
繊維状酸化チタン粒子中のナトリウム含有量がNa2Oとして0.1重量%を越えると
触媒性能、触媒担体性能、光触媒性能等が低下する傾向にある。
このような本発明に係る繊維状酸化チタン粒子の具体例の電子顕微鏡写真を図1に示す
このような繊維状酸化チタン粒子は、以下のようにして、製造することが可能である。つぎに、本発明に係る繊維状酸化チタン粒子の製造方法について説明する。
[繊維状酸化チタン粒子の製造方法]
本発明に係る繊維状酸化チタン粒子の製造方法は、
酸化チタン、または酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物との複合物からなる、酸化チタン系粒子の水分散液を、アルカリ存在下で水熱処理して、管状酸化チタン粒子を調製したのち、
該管状酸化チタン粒子を洗浄し、乾燥した後、
350〜900℃の温度で焼成する
ことを特徴としている。
酸化チタン系粒子の調製
まず、本発明では、管状酸化チタン粒子の原料となる酸化チタン系粒子を調製する。管状酸化チタン粒子は、かかる酸化チタン系粒子の水分散液を、アルカリ存在下で水熱処理することで調製される。
なお、本発明で使用される酸化チタン系粒子としては、酸化チタン単独のものであっても、酸化チタンと他の酸化物との複合物であってもよい。これらをまとめて本明細書では「酸化チタン系粒子」と言う。
本発明で原料として使用される酸化チタン系粒子としては、平均粒子径が2〜100nm、好ましくは5〜80nmの範囲にあることが望ましい。
このような平均粒子径の酸化チタン系粒子は、水中で安定に分散する。このため、これらの酸化チタン系粒子から生成する管状酸化チタン粒子(繊維状酸化チタン粒子の前駆体)の収率を高めることが可能であるとともに、分散性にも優れた管状酸化チタン粒子を得ることができる。
平均粒子径が2nm未満の場合は、安定な水分散ゾルを得ることが困難であり、平均粒子径が100nmを越えても、得られる管状酸化チタンの収率がさらに向上することもなく、またより単分散した管状酸化チタンが得られるなどの効果がさらに向上することもない。かえって原料である酸化チタン系粒子を製造するのに長時間を要すことがある。
本発明では、前記粒子が水に分散した水分散液を用いるが、必要に応じてアルコール等の有機溶媒を含むことができる。
前記酸化チタン系粒子の水分散液中の濃度としては、特に制限はないが、酸化物として2〜50重量%、さらには5〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
このような範囲で酸化チタン系粒子を含んでいると得られる管状酸化チタンの収率が高く、また、安定に分散した粒子を得ることができる。
前記濃度が薄いと、添加されるアルカリ自体も少なくなるので管状酸化チタンの生成に長時間を要したり、得られる管状酸化チタンの収率が低く効率的でない。また、前記濃度が多くしても、酸化チタン系粒子の水分散ゾルの安定性が低下したり、管状酸化チタンが凝集する傾向にある。
本発明では、原料として酸化チタン粒子を単独で使用しても、また、酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン系複合酸化物粒子を使用しても、あるいは双方を混合使用してもよい。
酸化チタン以外の酸化物としては周期律表の第Ia族、第Ib族、第IIa族、第II
b族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族、第IVb族、第Va族、第Vb族、第VIa族、第VIb族、第VIIa族、第VIII族から選ばれる元素の1種または2種以上の酸化物であることが望ましい。
具体的には、SiO2、ZrO2、ZnO、Al23、CeO2、Y23、Nd23、W
3、Fe23、Sb25、CuO、AgO、AuO、Li2O、SrO、BaO、RuO2等を挙げることができる。
このような酸化物が含まれていると、管状酸化チタン粒子が生成しやすくなることがある。この理由は未だ明確に判明していないが、酸化物がアルカリ可溶の酸化物である場合、溶解した酸化物が酸化チタン粒子に吸着し、酸化チタン粒子の特定結晶面の成長を阻害するものと思料される。
またアルカリ難溶の酸化物であっても、前記したように、酸化チタンの溶解・析出が生じているので管状酸化チタン粒子は生成する。そして、溶解していない酸化物が得られる繊維状酸化チタン粒子中に残留し、複合酸化物として、たとえば固体酸触媒機能、イオン交換機能等を有する繊維状酸化チタン粒子が得られる。したがって、酸化物はアルカリに易溶解性、難溶解性のいずれであってもよい。
これらのうち、前記酸化チタン以外の酸化物がSiO2、ZrO2、ZnO、Al23、CeO2、Y23、Nd23、WO3、Fe23、Sb25からなる群から選ばれる少なくとも1種が好適である。
このような酸化物を含んでいると、繊維状酸化チタン粒子の収率が高く、またこれらの酸化物が残存することにより得られる繊維状酸化チタン粒子の紫外線吸収領域、誘電率、光触媒活性、プロトン伝導性、固体酸特性等を調節することができ、さらに熱的安定性や化学的安定性等を調節することもできる。
複合酸化物粒子を使用する場合、該粒子中の酸化チタン以外の酸化物(MOx)の含有
量は、通常、1〜50重量%、さらには2〜25重量%の範囲にあることが好ましい。
酸化チタン以外の酸化物の含有量が少ないと、酸化チタンのみを用いる場合と実質的に同一となり、酸化チタン以外の酸化物を使用する有効性が発現しない。また、酸化チタン以外の酸化物の含有量が多いと、酸化チタン自体の量が少ないので繊維状酸化チタンの収率が低下したり、繊維状酸化チタンが得られないことがある。
以上のような酸化チタン系粒子が分散した水分散液の製造方法としては、特に制限はないが、本願出願人の出願による特開昭62−283817号公報、特開昭63−185820号公報、特開平2−255532号公報等に開示した酸化チタンゾル、酸化チタン系複合酸化物ゾルを好適に用いることができる。
たとえば、チタニアゾルまたはチタニアゲルに過酸化水素を加えてチタニアゾルまたはチタニアゲルを溶解し、ついで得られた溶液に酸化チタンゾルあるいは水酸化チタンゾル、または酸化チタン以外の無機酸化物ゾルあるいは水酸化チタン以外の無機水酸化物ゾルを混合した後、加熱することによって製造することができる。
このように原料として使用される酸化チタン系粒子として、酸化チタン源としてペルオキソチタン酸に由来する酸化チタンを用いることが好ましい。ペルオキソチタン酸を用いて得られる酸化チタン系粒子は、平均粒子径が均一で、安定な水分散ゾルを得ることができる。
ペルオキソチタン酸を用いる酸化チタン系粒子の水分散液(ゾル)の製造方法としては以下(a)〜(b)の工程を例示することができる。
(a)オルソチタン酸のゲルまたはゾルの調製工程
まず、従来公知の方法によってチタン化合物を加水分解してオルソチタン酸のゾルまたはゲルを調製する。
オルソチタン酸のゲルは、チタン化合物として塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニルなどのチタン塩を使用し、この水溶液にアルカリを加えて中和し、洗浄することによって得ることができる。
また、オルソチタン酸のゾルは、チタン塩の水溶液をイオン交換樹脂に通して陰イオンを除去するか、
あるいはチタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシドなどのチタンアルコキシドを水および/または有機溶媒に溶解または分散させた液に、酸またはアルカリを加えて加水分解する
ことによって得ることができる。
中和あるいは加水分解する際、チタン化合物の溶液のpHは7〜13の範囲にあることが好ましい。チタン化合物溶液のpHが上記範囲を外れると、得られたゲルが過酸化水素水で溶解しにくくなるので、酸化チタン粒子を生成しにくくなり、維状酸化チタン粒子、特に結晶性の繊維状酸化チタン粒子の生成が低下する傾向がある。
さらに、中和あるいは加水分解する際の温度は0〜40℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましい範囲は0〜30℃の範囲である。中和あるいは加水分解する際の温度が上記範囲にない場合は繊維状酸化チタン粒子、特に結晶性の繊維状酸化チタン粒子の生成が低下する傾向がある。
得られたゲルまたはゾル中のオルソチタン酸粒子は、非晶質であることが好ましい。
(b)酸化チタン微粒子の水分散ゾルの調製工程
次に、オルソチタン酸のゲルまたはゾルあるいはこれらの混合物に、過酸化水素を添加してオルソチタン酸を溶解してペルオキソチタン酸水溶液を調製する。
ついでさらに高温で熟成して酸化チタン微粒子の水分散ゾルを調製する。
ペルオキソチタン酸水溶液を調製するに際しては、オルソチタン酸のゲルまたはゾルあるいはこれらの混合物を、必要に応じて約50℃以上に加熱したり、攪拌したりすることが好ましい。また、この際、オルソチタン酸の濃度が高くなるすぎると、その溶解に長時間を必要とし、さらに未溶解のゲルが沈殿したり、あるいは得られるペルオキソチタン酸水溶液が粘調になることがある。このため、TiO2濃度としては、約10重量%以下で
あることが好ましく、さらには約5重量%以下であることが望ましい。
添加する過酸化水素の量は、H22/TiO2(オルソチタン酸はTiO2に換算)重量比で1以上であれば、オルソチタン酸を完全に溶解することができる。H22/TiO2
重量比が1未満であると、オルソチタン酸が完全には溶解せず、未反応のゲルまたはゾルが残存することがある。また、H22/TiO2重量比は大きいほど、オルソチタン酸の
溶解速度は大きく反応時間は短時間で終了するが、あまり過剰に過酸化水素を用いても、未反応の過酸化水素が系内に残存するだけであり、経済的でない。このような量で過酸化水素を用いると、オルソチタン酸は0.5〜20時間程度で溶解する。
ついでさらに50℃以上の高温で熟成して酸化チタン微粒子の水分散ゾルを調製することができる。
さらに、得られた酸化チタン微粒子の水分散ゾルは、必要に応じて水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の存在下、50〜300℃、好ましくは80℃〜250℃の温度範囲で水熱処理することができる。有機塩基としては後述する有機塩基と同様のものを用いることができる。
水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の使用量は、分散液のpHが室温基準で8〜14、さらには10〜13.5となるように添加することが好ましい。
上記温度範囲および分散液のpH範囲で水熱処理すると、最終的に得られる繊維状状酸化チタン粒子の結晶性および収率が向上する傾向にある。
なお、上記(a),(b)工程において、チタン化合物として水素化チタン微粉体を使用することによってペルオキソチタン酸水溶液、ついで酸化チタン微粒子の水分散ゾルを調製することもできる。
この場合、このような水素化チタン微粉体を水に分散させれば、上記(a)工程で調製したオルソチタン酸のゲルまたはゾルの代わりとなる。
水素化チタン微粉体を水に分散させる際に、TiO2濃度としては、約10重量%以下
であることが好ましく、さらに望ましい範囲は約5重量%以下である。また、オルソチタン酸の代わりに、水素化チタン微粉体を用いる場合であっても、添加する過酸化水素の量は、同様にH22/TiO2(水素化チタンはTiO2に換算)重量比で1以上であればよい。このとき、水素化チタン微粉体の水分散体を、必要に応じて約50℃以上に加熱したり、攪拌したりしてもよい。
なお、酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散液(ゾル)を調製するには、前記オルソチタン酸のゲルまたはゾルに、過酸化水素を添加し、オルソチタン酸を溶解してペルオキソチタン酸水溶液を得た後、
たとえばチタン以外の元素の無機化合物粒子(例えば、シリカ粒子、シリカゾル、アルミナ粒子、ジルコニア粒子)、アルコキシシラン、金属アルコキシド、塩化ジルコニウム、塩化マグネシウム等の塩を混合して加熱し、
さらに必要に応じて前記工程(b)と同様にして水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の存在下、50〜300℃、好ましくは80℃〜250℃の温度範囲で水熱処理することによって調製することができる。
管状酸化チタン粒子の調製
このようにして調製した酸化チタン系粒子の水分散ゾルをアルカリ存在下に水熱処理することで、管状酸化チタン粒子が精製される。
このように管状酸化チタン粒子が生成する理由は明確ではないものの、酸化チタンがアルカリ存在下で溶解・析出を繰り返し、一方方向のみの結晶成長が選択的に生じ、管状酸化チタン粒子が生成するものと思料される。
アルカリとしては、アルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム、有機塩基が挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としてはLiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOHおよびこれらの混合物を用いることができ、とくにNaOH、KOHおよびこれらの混合物は管状酸化チタン粒子の収率が高く好適である。
このときのアルカリ金属水酸化物の添加量は、酸化チタン系粒子ゾル中の酸化チタン系粒子のTiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(
AM)/(TM)が1〜30、さらには2〜15となるような量であることが好ましい。
このようなモル比でアルカリ金属水酸化物を含んでいると、管状酸化チタン粒子を効率よく製造することができる。
このモル比(AM)/(TM)が1未満の場合は、酸化チタン粒子または酸化チタン系複合酸化物粒子の結晶性化(すなわち、管状酸化チタンの生成)が起きにくい。このため、最終的に繊維状酸化チタン粒子が得られないことがある。
また、モル比(AM)/(TM)が30を越えると板状の酸化チタン粒子が増加して前駆体である結晶性管状酸化チタン粒子の収率が低下する傾向にある。
本発明ではこれらアルカリ金属水酸化物の代りに、または、アルカリ金属水酸化物とともに、水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基の共存下に水熱処理してもよい。
有機塩基としては、テトラメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩または水酸化物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類を挙げることができる。
アルカリ金属水酸化物の代りに使用する場合、通常、前記したアルカリ金属水酸化物同じ添加量で添加される。
また、アルカリ金属水酸化物と併用する場合、このような水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基は、これらのモル数(OBM)とアルカリ金属水酸化物(AM)との合計モル数とTi
2のモル数(TM)との比((AM)+(OBM)/(TM))が1〜30、好ましく
は2〜25となるように添加することが望ましい。
また(AM):(OBM)モル比は0:1〜1:1、好ましくは0:1〜0.5:1の範囲にあることが望ましい。
このように水酸化アンモニウムおよび/または有機塩基を共存させると、最終的に得られる繊維状酸化チタン粒子中のアルカリ金属の量が低減する傾向にあり、触媒や光触媒として好適に使用することが可能となるので望ましい。
本発明では、酸化系チタン粒子の水分散ゾルをアルカリ存在下に、50〜350℃、好ましくは80℃〜250℃の温度範囲で水熱処理する。
このような温度で水熱処理することで、管状酸化チタン粒子が効率的に生成する。
水熱処理温度が50℃未満では、管状酸化チタン粒子の生成に長時間を要したり、収率が低下し、水熱処理温度が350℃を越えても結晶性管状酸化チタン粒子の生成速度が速くなったり収率がさらに高くなることもなく、余計に熱エネルギーを使用することになる。
得られた管状酸化チタン粒子は、ついで、必要に応じて洗浄し、乾燥する。
洗浄方法としてはアルカリ金属等を低減できれば特に制限はなく、従来公知の脱水濾過法、限外濾過膜法、イオン交換樹脂法、電気透析、逆浸透法等を採用することができる。また、塩酸、硝酸などの酸を用いて洗浄することもできる。
上記水熱処理して得られる管状酸化チタン粒子は、アルカリ含有量がNa2Oとして0
.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。
こうして得られた管状酸化チタン粒子の水分散液を、さらに酸の存在下で水熱処理することが好ましい。
酸としては、塩酸、硝酸等の鉱酸、酢酸、蓚酸、クエン酸、グリコール酸、グリシド酸、
マロン酸、マレイン酸等の有機酸およびこれらの混合物を用いることができる。
酸存在下に水熱処理を行うと、結晶性を高く維持したまま大幅にアルカリを低減することができる。
このような酸の使用量は、酸化チタン粒子または酸化チタン系複合酸化物粒子中のTiO2のモル数(TM)と前記酸のモル数(PM)とのモル比(PM)/(TM)が1〜3
0、さらには2〜15の範囲にあることが好ましい。
また、酸の使用量は、分散液のpHが概ね2〜6、さらには3〜5となるように添加することが好ましい。水熱処理温度は、前記第1段目と同じである。さらに、必要に応じて水熱処理を繰り返し行うことができる。
このような酸存在下での水熱処理を経て得られる管状酸化チタン粒子中のNa2O含有
量は1000ppm以下である。
また、このようにして得られる管状酸化チタン粒子は、概ね管外径(Dout)が5〜5
0nmの範囲にあり、管内径(Din)が4〜30nmの範囲にあり、管の厚みが0.5〜20nmの範囲にあり、管長(L)が25〜1000nmの範囲にあり、この管長(L)と前記管外径(Dout)との比(L)/(Dout)が5〜200の範囲にある。
上記管外径(Dout)、管内径(Din)、管長(L)等は透過型電子顕微鏡写真を撮影
し、100個の粒子について各値を測定し、この平均値としてもとめる。また、管内径(Din)は、外径を求める線の内側に認められるコントラストの境をなす線より求めることができる。
なお、管状酸化チタン粒子の太さは、使用する酸化チタン粒子の大きさ、調製時の固形分濃度、塩基量、温度、反応時間等に依存する。目的の大きさのものを得るために適宜選択される。
焼成工程
ついで、上記で得られた管状酸化チタン粒子を、必要に応じて洗浄した後乾燥し、ついで350〜900℃、好ましくは500〜750℃の範囲で焼成する。
この温度で焼成することで、管状酸化チタン粒子の内部空間が閉塞し、繊維状酸化チタン粒子となる。
このとき、焼成を減圧下、好ましくは真空排気しながら行うと、より低温で、結晶性の高い酸化チタンが得られる傾向にある。
焼成温度が350℃未満の場合は、管状酸化チタン粒子が繊維状酸化チタン粒子に転化しないことがあり、また転化したとしても充分な触媒性能や半導体性能等が得られないことがある。
焼成温度が900℃を越えると焼結が起こり、非孔質で比表面積の低い繊維状酸化チタン粒子となる。
焼成時間は、管状酸化チタン粒子が転化して前記繊維状酸化チタン粒子が得られれば特に制限はなく、焼成温度によっても異なるが通常0.5〜10時間である。
上記において、焼成温度が上記範囲にあるとアナタース型の繊維状酸化チタン粒子が得られる。なお、従来の酸化チタンを600℃以上で焼成すると、ルチル型酸化チタンに転化するが、本発明のように、特定製法で得られた酸化チタンを焼成すると、選択的に結晶性の高いアナタース型酸化チタン粒子が得られる。
なお、焼成すると、管状酸化チタン粒子が収縮し、内部空洞が閉塞する。すなわち、管状粒子の管外径が大きく収縮する。(ただし全体的に収縮する)
以上のような本発明の繊維状酸化チタン粒子は、触媒、触媒担体、吸着剤、光触媒、化粧材料、光学材料、光電変換材料などの機能性材料と有用である。
[用途]
本発明に係る光電気セルは、半導体膜成分として前記繊維状酸化チタン粒子を含んでなることを特徴としている。光電気セルとしては、半導体膜成分として前記繊維状酸化チタン粒子を含んでなる以外は従来公知の光電気セルと同様である。例えば、本願出願人の出願による特開平11−339867号公報、特開2000−77691号公報等に開示した光電気セルにおいて、繊維状酸化チタン粒子を、金属酸化物半導体に用いたアナタース型酸化チタン粒子の代わりに、あるいはこれと混合して使用すればよい。
前記した本発明に係る繊維状酸化チタン粒子は、半導体膜以外に従来酸化チタン粒子が用いられる薄膜であれば好適に用いることができ、例えば、薄膜光触媒、偏光フィルム等にも好適に用いることができる。本発明に係る繊維状酸化チタン粒子はアスペクト比が高く、結晶性も高いために得られる薄膜の強度が高く、触媒性能、半導体性能等に優れている。
このような薄膜は通常、繊維状酸化チタン粒子とバインダー成分からなり、例えば繊維状酸化チタン粒子とバインダー成分と分散媒と、必要に応じて成形助剤とからなる塗膜形成用塗布液等を塗布、乾燥し、加熱硬化して得ることができる。
バインダー成分としては、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル等のコロイド粒子分散液、樹脂バインダー、有機ケイ素化合物の加水分解物等が用いられる。
塗布方法としては、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ジェット噴射法等従来公知の方法で塗布することができる。塗布した後、加熱硬化、紫外線照射等により硬化させることによって薄膜を得ることができる。
また、繊維状酸化チタン粒子はそのまま触媒担体として用いることもできるが、ペレット状、球状、板状、ハニカム状に成形して用いることもできる。
繊維状酸化チタン粒子は、酸化チタン固有の触媒としての機能を有している。この場合、繊維状酸化チタン粒子をそのまま触媒として用いることもできるが、ペレット状、球状、板状、ハニカム状に成形して用いることもできる。
また、繊維状酸化チタン粒子はそのままで高い光触媒活性等を有しているが、さらに活性成分として周期律表 VIIA、VIII、IB、IIB族及び希土類元素から選ばれた少なくとも1種の元素成分を金属および/または金属酸化物として担持して用いることもできる。
上記活性成分としては、Mn、Tc、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、La、Ce、Pr、Nd、Pm等の各元素の金属および/または金属酸化物が例示される。
このような本発明に係る触媒が用いられる反応としては、各種酸化、部分酸化、脱硫、脱硝、光触媒等が挙げられる。
[実施例]
以下、実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではな
い。
酸化チタン粒子(T−1)分散液の調製
塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiO2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液を
調製した。この水溶液を、温度を5℃に調節した濃度15重量%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。塩化チタン水溶液添加後のpHは10.5であった。ついで、生成したゲルを濾過洗浄し、TiO2として濃度9重量%のオルソチタン酸のゲルを得た。
このオルソチタン酸のゲル100gを純水2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水素水800gを加え、攪拌しながら、85℃で3時間加熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調製した。得られたペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度は0.
5重量%であった。
ついで95℃で10時間加熱して酸化チタン粒子分散液とし、この酸化チタン粒子分散液に分散液中のTiO2に対するモル比が0.016となるようにテトラメチルアンモニ
ウムハイドロオキサイド(TMAH MW=149.2)を添加した。このときの分散液のpHは11であった。ついで、230℃で5時間水熱処理して酸化チタン粒子(T−1)分散液を調製した。
酸化チタン粒子(T−1)の平均粒子径は表1に示した。
繊維状酸化チタン粒子(FT−1)の調製
上記酸化チタン粒子(T−1)分散液に、濃度40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM)
/(TM)が10となるように添加し、150℃で2時間水熱処理した。
得られた粒子は純水にて充分洗浄した。このときのNa2O残存量は0.9重量%であ
った。ついで陽イオン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸化チタン粒子(PT−1)を調製した。得られた管状酸化チタン粒子(PT−1)のNa2O残存量、平均粒子長、
平均管外径、平均管内径、平均粒子長/平均管外径比、比表面積を表1に示した。
つぎに、管状酸化チタン粒子(PT−1)を80℃で10時間乾燥し、ついで650℃で3時間焼成して繊維状酸化チタン粒子(FT−1)を得た。
得られた繊維状酸化チタン粒子(FT−1)について、平均短軸幅、平均長軸長、アスペクト比、比表面積およびX線回折法により結晶性を測定した。
また、図2に、得られた繊維状酸化チタン粒子(FT−1)の高分解能透過電気顕微鏡写真および電子線回折図を示す。電子線回折図より、結晶性の高いアナタース型酸化チタンである。
図3には、繊維状酸化チタン粒子(FT−1)を得る前の管状酸化チタン粒子(PT−1)の高分解能透過電気顕微鏡写真および電子線回折図を示す。電子線回折図より、結晶性の不充分なアナタース型酸化チタンである。
結果を表1に示した。
光電気セル(C−1)の作成
10gの水素化チタン粉末を純水2Lに懸濁し、これに濃度5重量%の過酸化水素水800gを30分間で添加し、ついで、80℃に加熱し、ペルオキソチタン酸の溶液を調製した。
酸化物としての濃度が10%の繊維状酸化チタン粒子(FT−1)の分散液を調製した。バインダー成分の前駆体として前記ペルオキソチタン酸溶液を使用して、ペルオキソチタン酸と繊維状酸化チタン粒子の酸化物換算の重量比(ペルオキソチタン酸/繊維状酸化チタン粒子(FT−1))が0.1となるように、繊維状酸化チタン粒子(FT−1)分散液と混合し、全酸化物の重量に対して、30重量%となるように膜形成助剤としてヒドロキシプロピルセルロースを添加して半導体膜形成用塗布液を調製した。
次いで、フッ素ドープした酸化スズが電極層として形成された透明ガラス基板上に前記塗布液を塗布し、自然乾燥し、引き続き低圧水銀ランプを用いて6000mJ/cm2
紫外線を照射してペルオキソ酸を分解させ、塗膜を硬化させた。
塗膜を300℃で30分間加熱してヒドロキシプロピルセルロースの分解およびアニーリングを行って膜厚15μmの金属酸化物半導体膜(SC−1)を形成した。得られた金属酸化物半導体膜(SC−1)の窒素吸着法によって求めた細孔容積と平均細孔径を表2に示した。
次に、光増感材としてシス−(SCN-)−ビス(2,2’−ビピリジル−4
,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)で表されるルテニウム錯体の
濃度3×10-4モル/リットルのエタノール溶液を調製した。
この光増感材溶液を、rpm100スピナーを用いて、金属酸化物半導体膜(SC−1)上へ塗布して乾燥した。この塗布および乾燥工程を5回行った。得られた金属酸化物半導体膜の光増感材の吸着量を表2に示した。
ついで、アセトニトリルと炭酸エチレンとを体積比(アセトニトリル:炭酸エチレン)が1:4となるように混合した溶媒に、テトラプロピルアンモニウムアイオダイドを0.46モル/リットル、ヨウ素を0.06モル/リットルの濃度となるように溶解して電解質溶液を調製した。
前記で調製した電極を一方の電極とし、他方の電極としてフッ素ドープした酸化スズを電極として形成し、その上に白金を担持した透明ガラス基板を対向して配置し、側面を樹脂にてシールし、電極間に上記の電解質溶液を封入し、さらに電極間をリード線で接続して光電気セル(C−1)を作成した。
光電気セル(C−1)は、ソーラーシュミレーターで100W/m2の強度の光を照射
して、Voc(開回路状態の電圧)、Joc(回路を短絡したときに流れる電流の密度)、FF(曲線因子)およびη(変換効率)を測定した。
結果を表2に示す。
繊維状酸化チタン粒子(FT−2)の調製
実施例1と同様にして得られた前駆体管状酸化チタン粒子(PT−1)の水分散液(TiO2としての濃度5重量%)に有機酸としてクエン酸をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加した。このときのpHは3.0であった。
ついで、分散液を190℃で5時間水熱処理して管状酸化チタン粒子(PT−2)を調製した。
管状酸化チタン粒子(PT−2)のNa2O残存量、平均粒子長、平均管外径、平均管
内径、平均粒子長/平均管外径比、比表面積を表1に示した。
ついで、管状酸化チタン粒子(PT−2)を80℃で10時間乾燥し、ついで650℃で3時間焼成して繊維状酸化チタン粒子(FT−2)を得た。
得られた繊維状酸化チタン粒子(FT−2)について、平均短軸幅、平均長軸長、アスペクト比、比表面積およびX線回折法により結晶性を測定し、結果を表1に示した。
光電気セル(C−2)の作成
実施例1において、繊維状酸化チタン粒子(FT−2)を用いた以外は同様にして光電気セル(C−2)を作成し、性能を評価した。
結果を表2に示した。
繊維状酸化チタン粒子(FT−3)の調製
酸化チタン粒子(デグサ社製:P25、平均粒子径30nm)の分散液(TiO2とし
ての濃度5重量%)112gに、濃度40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2
モル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM)/(TM)が10となるように添加し、150℃で2時間水熱処理した。
得られた粒子は純水にて充分洗浄した。
このときのNa2O残存量は1.1重量%であった。ついで陽イオン交換樹脂にてアル
カリを低減した前駆体である管状酸化チタン粒子(PT−3)を調製した。管状酸化チタン粒子(PT−3)のNa2O残存量、平均粒子長、平均管外径、平均管内径、平均粒子
長/平均管外径比、比表面積を表1に示した。
つぎに、管状酸化チタン粒子(PT−3)を80℃で10時間乾燥し、ついで650℃で3時間焼成して繊維状酸化チタン粒子(FT−3)を得た。
得られた繊維状酸化チタン粒子(FT−3)について、平均短軸幅、平均長軸長、アスペクト比、比表面積およびX線回折法により結晶性を測定した。
結果を表1に示した。
光電気セル(C−3)の作成
実施例1において、繊維状酸化チタン粒子(FT−3)を用いた以外は同様にして光電気セル(C−3)を作成し、性能を評価した。
結果を表2に示した。
酸化チタン粒子(T−4)分散液の調製
実施例1と同様にしてTiO2として濃度が0.5重量%ペルオキソチタン酸水溶液3
800gを調製した。これにシリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−350、SiO2濃度30重量%、平均粒子径8nm)7.0gを混合し、95℃で3時間加熱し、Ti
2・SiO2としての濃度が0.56重量%の酸化チタン系複合酸化物粒子(T−4)分散液を調製した。複合酸化物粒子(T−4)の平均粒子径は表1に示した。
繊維状酸化チタン粒子(FT−4)の調製
上記複合酸化物粒子(T−4)分散液に、濃度40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM)
/(TM)が10となるように添加し、150℃で2時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄した。このときのNa2O残存量は1.5重量%であった。ついで陽イ
オン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸化チタン粒子(PT−4−1)を調製した。
得られた管状酸化チタン粒子(PT−4−1)の水分散液(TiO2としての濃度5重
量%)に、有機酸としてクエン酸を、TiO2に対するモル比が0.1となるように添加
した。このときのpHは3.0であった。ついで、分散液を190℃で5時間水熱処理して管状酸化チタン粒子(PT−4−2)を調製した。
得られた管状酸化チタン粒子(PT−4−2)のNa2O残存量、平均粒子長、平均管
外径、平均管内径、平均粒子長/平均管外径比、比表面積を表1に示した。
ついで、管状酸化チタン粒子(PT−4−2)を80℃で10時間乾燥し、ついで700℃で3時間焼成して繊維状酸化チタン粒子(FT−4)を得た。
得られた繊維状酸化チタン粒子(FT−4)について、平均短軸幅、平均長軸長、アスペクト比、比表面積およびX線回折法により結晶性を測定した。
結果を表1に示した。
光電気セル(C−4)の作成
実施例1において、繊維状酸化チタン粒子(FT−4)を用いた以外は同様にして光電気セル(C−4)を作成し、性能を評価した。
結果を表2に示した。
酸化チタン粒子(T−5)分散液の調製
実施例1と同様にしてTiO2として濃度が0.5重量%ペルオキソチタン酸水溶液3
800gを調製した。これにシリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−350、SiO2濃度30重量%、平均粒子径8nm)15.8gを混合し、95℃で3時間加熱し、T
iO2・SiO2としての濃度が0.62重量%の酸化チタン系複合酸化物粒子(T−5)分散液を調製した。複合酸化物粒子(T−5)の平均粒子径は表1に示した。
繊維状酸化チタン粒子(FT−5)の調製
上記複合酸化物粒子(T−5)分散液に、濃度40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM)
/(TM)が10となるように添加し、150℃で2時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄した。このときのNa2O残存量は2.0重量%であった。ついで陽イ
オン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸化チタン粒子(PT−5−1)を調製した。
得られた管状酸化チタン粒子(PT−5−1)の水分散液(TiO2としての濃度5重
量%)に有機酸としてクエン酸をTiO2 に対するモル比が0.1となるように添加し
た。このときのpHは3.0であった。ついで、分散液を190℃で5時間水熱処理して前駆体管状酸化チタン粒子(PT−5−2)を調製した。
管状酸化チタン粒子(PT−5−2)のNa2O残存量、平均粒子長、平均管外径、平
均管内径、平均粒子長/平均管外径比、比表面積を表1に示した。
ついで、管状酸化チタン粒子(PT−5−2)を80℃で10時間乾燥し、ついで750℃で3時間焼成して繊維状酸化チタン粒子(FT−5)を得た。
得られた繊維状酸化チタン粒子(FT−5)について、平均短軸幅、平均長軸長、アスペクト比、比表面積およびX線回折法により結晶性を測定し、結果を表1に示した。
[比較例1]
酸化チタン粒子(RT−1)分散液の調製
実施例1と同様にして調製した酸化チタン粒子(T−1)分散液を乾燥し、ついで600℃で2時間焼成し、これを粉砕して平均粒子径200nmの酸化チタン粉体とした。ついで、水に分散してTiO2としての濃度10重量%の酸化チタン粒子(RT−1)分散
液を調製した。
繊維状酸化チタン粒子(RFT−1)の調製
上記酸化チタン粒子(RT−1)分散液に、濃度40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM
)/(TM)が10となるように添加し、150℃で2時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄した。このときのNa2O残存量は2.5重量%であった。ついで陽
イオン交換樹脂にてアルカリを低減した管状酸化チタン粒子(RPT−1−1)を調製した。
得られた管状酸化チタン粒子(RPT−1−1)の水分散液(TiO2としての濃度5
重量%)に有機酸としてクエン酸をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加し
た。このときのpHは3.0であった。ついで、分散液を190℃で5時間水熱処理して管状酸化チタン粒子(RPT−1−2)を調製した。
管状酸化チタン粒子(RPT−1−2)のNa2O残存量、平均粒子長、平均管外径、
平均管内径、平均粒子長/平均管外径比、比表面積を表1に示した。
ついで、管状酸化チタン粒子(RPT−1−2)を80℃で10時間乾燥し、ついで650℃で3時間焼成して繊維状酸化チタン粒子(RFT−1)を得た。
得られた繊維状酸化チタン粒子(RFT−1)について、平均短軸幅、平均長軸長、アスペクト比、比表面積およびX線回折法により結晶性を測定し、結果を表1に示した。結晶性については、無定型が認められ、結晶性の低いアナタース型酸化チタンであった。
光電気セル(RC−1)の作成
実施例1において、繊維状酸化チタン粒子(RFT−1)を用いた以外は同様にして光電気セル(RC−1)を作成し、性能を評価し、結果を表2に示した。
[比較例2]
酸化チタン粒子(RT−2)分散液の調製
実施例4と同様にして調製した複合酸化物粒子(T−4)分散液を乾燥し、ついで600℃で2時間焼成し、これを粉砕して平均粒子径300nmの複合酸化物粉体とした。ついで、水に分散してTiO2・SiO2としての濃度10重量%の複合酸化物粒子(RT−2)分散液を調製した。
繊維状酸化チタン粒子(RFT−2)の調製
上記複合酸化物粒子(RT−2)分散液に、濃度40重量%のNaOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM
)/(TM)が10となるように添加し、150℃で2時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄した。このときのNa2O残存量は5.0重量%であった。ついで陽
イオン交換樹脂にてアルカリを低減した前駆体管状酸化チタン粒子(RPT−2−1)を調製した。
得られた管状酸化チタン粒子(RPT−2−1)の水分散液(TiO2としての濃度5
重量%)に有機酸としてクエン酸をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加し
た。このときのpHは3.0であった。ついで、分散液を190℃で5時間水熱処理して
管状酸化チタン粒子(RPT−2−2)を調製した。
このときのNa2O残存量、平均粒子長、平均管外径、平均管内径、平均粒子長/平均
管外径比、比表面積を表1に示した。
ついで、管状酸化チタン粒子(RPT−2−2)を80℃で10時間乾燥し、ついで650℃で3時間焼成して繊維状酸化チタン粒子(RFT−2)を得た。
得られた繊維状酸化チタン粒子(RFT−2)について、平均短軸幅、平均長軸長、アスペクト比、比表面積およびX線回折法により結晶性を測定し、結果を表1に示した。
結晶性については、無定型が認められ、結晶性の低いアナタース型酸化チタンであった。
[比較例3]
特開昭62−283817号公報実施例1の方法で繊維状酸化チタン粒子を調製した。
すなわち、硫酸チタンをイオン交換水に溶解し、TiO2として、0.4重量%を含む
水溶液を得た。この水溶液を撹拌しながら、この水溶液に15%アンモニア水を徐々に添加し、pH8.5の白色スラリー液を得た。このスラリーを濾過した後洗浄し、固形分濃度が9重量%であるチタニアゾルのケーキを得た。
このケーキ5.55Kgに、33%過酸化水素水6.06Kgと水13.4Kgとの混合物を加えた後、80℃で5時間加熱し、TiO2として2.0重量%の溶液25Kgを
得た。このチタニア溶液は、黄褐色透明で、pHは8.1であった。
次に、粒子径が7mμであり濃度が15重量%であるシリカゾル130gと、上記のチタニア溶液9Kgと、水191Kgとを混合した後、95℃で60時間加熱し乳白色透明なコロイド液を得た。
このようにして得られたコロイド溶液を真空蒸発法で濃縮し、ついで80℃で10時間乾燥し、650℃で3時間焼成して酸化チタン粒子(RFT−3)を調製した。
得られた繊維状酸化チタン粒子(RFT−3)について、平均短軸幅、平均長軸長。アスペクト比、比表面積およびX線回折法により結晶性を測定し、結果を表1に示した。
なお、繊維状酸化チタン粒子(RFT−3)は形状が細長いタグビーボール状であった。また、得られた繊維状酸化チタン粒子(RFT−3)は、9.8重量%のSiO2を含
み、結晶形はアナタ−スであったが、実施例1に比べて結晶性が低いものであった。
光電気セル(RC−3)の作成
実施例1において、繊維状酸化チタン粒子(RFT−3)を用いた以外は同様にして光電気セル(RC−3)を作成し、性能を評価し、結果を表2に示した。
図1は本発明に係る繊維状酸化チタン粒子の透過型電子顕微鏡写真を示す。 図2に、得られた繊維状酸化チタン粒子(FT−1)の高分解能透過電気顕微鏡写真および電子線回折図を示す。 図3には、繊維状酸化チタン粒子(FT−1)を得る前の管状酸化チタン粒子(PT−1)の高分解能透過電気顕微鏡写真および電子線回折図を示す。

Claims (10)

  1. 短軸の平均幅(W)が5〜40nmの範囲にあり、長軸の平均長さ(L)が25〜1000nmの範囲にあり、平均アスペクト比(L/W)が5〜200の範囲にあり、
    アナタース型酸化チタンであり、ナトリウム含有量がNa2Oとして0.1重量%以下であることを特徴とする内部が閉塞した繊維状酸化チタン粒子。
  2. 酸化チタン、または酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物との複合物からなる、酸化チタン系粒子の水分散ゾルを、
    アルカリ存在下で水熱処理して、管状酸化チタン粒子を調製したのち、
    該管状酸化チタン粒子を洗浄し、乾燥した後、
    350〜900℃の温度で焼成することを特徴とする、短軸の平均幅(W)が5〜40nmの範囲にあり、長軸の平均長さ(L)が25〜1000nmの範囲にあり、平均アスペクト比(L/W)が5〜200の範囲にあり、アナタース型酸化チタンであり、ナトリウム含有量がNa 2 Oとして0.1重量%以下である内部が閉塞した繊維状酸化チタン粒子の製造方法。
  3. 酸化チタン系粒子の平均粒子径が2〜100nmの範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の繊維状酸化チタン粒子の製造方法。
  4. 前記アルカリがアルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム、または有機塩基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2または3に記載の繊維状酸化チタン粒子の製造方法。
  5. 前記酸化チタン以外の酸化物が周期律表の第Ia族、第Ib族、第IIa族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族、第IVb族、第Va族、第Vb族、第VIa族、第VIb族、第VIIa族、第VIII族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の繊維状酸化チタン粒子の製造方法。
  6. 前記酸化チタン以外の酸化物がSiO2、ZrO2、ZnO、Al23、CeO2、Y23、Nd23、WO3、Fe23、Sb25からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の繊維状酸化チタン粒子の製造方法。
  7. 酸化チタン系粒子が、酸化チタン以外の酸化物を、1〜50重量%の範囲で含むことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の繊維状酸化チタン粒子の製造方法。
  8. 酸化チタン系粒子がペルオキソチタン酸を加水分解して得られたものであることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の繊維状酸化チタン粒子の製造方法。
  9. アルカリ存在下で水熱処理した後、さらに得られた分散液を酸の存在下で水熱処理することを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の繊維状酸化チタン粒子の製造方法。
  10. 請求項1に記載の繊維状酸化チタン粒子を半導体膜成分として用いることを特徴とする光電気セル。
JP2004223864A 2003-08-01 2004-07-30 繊維状酸化チタン粒子とその製造方法ならびに該粒子の用途 Expired - Fee Related JP4698981B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004223864A JP4698981B2 (ja) 2003-08-01 2004-07-30 繊維状酸化チタン粒子とその製造方法ならびに該粒子の用途

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003285092 2003-08-01
JP2003285092 2003-08-01
JP2004223864A JP4698981B2 (ja) 2003-08-01 2004-07-30 繊維状酸化チタン粒子とその製造方法ならびに該粒子の用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005068001A JP2005068001A (ja) 2005-03-17
JP4698981B2 true JP4698981B2 (ja) 2011-06-08

Family

ID=34425114

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004223864A Expired - Fee Related JP4698981B2 (ja) 2003-08-01 2004-07-30 繊維状酸化チタン粒子とその製造方法ならびに該粒子の用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4698981B2 (ja)

Families Citing this family (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4728666B2 (ja) * 2005-03-07 2011-07-20 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 アモルファスチタニアの製造方法
JP2007047605A (ja) * 2005-08-11 2007-02-22 Toyo Ink Mfg Co Ltd 光散乱膜用組成物、およびそれを用いた光散乱膜
JP4818691B2 (ja) * 2005-11-09 2011-11-16 日揮触媒化成株式会社 ハニカム成形体およびその製造方法
JP4587485B2 (ja) * 2006-03-13 2010-11-24 マツモトファインケミカル株式会社 ブルッカイト型二酸化チタンの製造方法
JP4784985B2 (ja) * 2006-05-19 2011-10-05 岩谷産業株式会社 繊維状酸化チタン含有繊維またはシート
JP4739120B2 (ja) * 2006-06-02 2011-08-03 日揮触媒化成株式会社 導電性酸化チタンとその製造方法
JP2008012432A (ja) * 2006-07-05 2008-01-24 Mitsubishi Paper Mills Ltd 分散液、シート状物及び調湿用シート状物
JP5354960B2 (ja) 2008-05-30 2013-11-27 日揮触媒化成株式会社 光電気セル用多孔質金属酸化物半導体膜形成用塗料および光電気セル
JP2010095417A (ja) * 2008-10-17 2010-04-30 Doshisha 細線状チタン化合物およびその製造方法
JP5426876B2 (ja) * 2008-12-25 2014-02-26 日揮触媒化成株式会社 多孔質半導体膜形成用塗料の製造方法および光電気セル
US9090512B2 (en) * 2009-11-26 2015-07-28 Toyama Prefecture Anisotropically shaped powder and method for producing the same
JP5734053B2 (ja) * 2011-03-30 2015-06-10 大阪瓦斯株式会社 高アスペクト比の金属ナノ構造体の単離方法
JP5642007B2 (ja) * 2011-03-30 2014-12-17 大阪瓦斯株式会社 酸化チタン構造体
CN103562135B (zh) * 2011-05-24 2016-10-19 信越化学工业株式会社 锐钛矿型或金红石型氧化钛微粒分散液的制造方法及在表面上具有光催化剂薄膜的部件
JP5741491B2 (ja) * 2011-05-24 2015-07-01 信越化学工業株式会社 ルチル型酸化チタン微粒子分散液の製造方法
WO2012160986A1 (ja) * 2011-05-24 2012-11-29 信越化学工業株式会社 アナターゼ型又はルチル型酸化チタン微粒子分散液の製造方法及び光触媒薄膜を表面に有する部材
JP5741490B2 (ja) * 2011-05-24 2015-07-01 信越化学工業株式会社 アナターゼ型酸化チタン微粒子分散液の製造方法
JP6328365B2 (ja) * 2012-03-28 2018-05-23 大阪瓦斯株式会社 高結晶性高比表面積酸化チタン構造体
JP6075964B2 (ja) * 2012-03-28 2017-02-08 大阪瓦斯株式会社 アルカリ金属分を低減した酸化チタンナノワイヤの製造方法、及び酸化チタンナノワイヤからアルカリ金属分を除去する方法
JP6097490B2 (ja) * 2012-04-18 2017-03-15 国立大学法人 岡山大学 酸化物の製造方法
JP6570153B1 (ja) * 2018-10-31 2019-09-04 株式会社アースクリーンテクノ 空気中浮遊物捕集材、これを用いる空気浄化部材及び空気浄化装置
EP4074655A4 (en) * 2019-12-12 2024-01-17 Resonac Corporation HIGHLY HEAT-RESISTANT ANATARSE TYPE TITANIUM OXIDE AND PRODUCTION METHOD THEREFOR
CN115672299B (zh) * 2021-07-30 2024-04-30 国家能源投资集团有限责任公司 二氧化钛纳米线及其制备方法、脱硝催化剂及其制备方法、烟气脱硝的方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000077691A (ja) * 1998-08-31 2000-03-14 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 光電気セル
JP2001114519A (ja) * 1999-08-12 2001-04-24 Sumitomo Chem Co Ltd 多孔質チタニア、それを用いた触媒およびその製造方法
JP2002534351A (ja) * 1999-01-12 2002-10-15 ハイピリオン カタリシス インターナショナル インコーポレイテッド 炭化物系およびオキシ炭化物系の組成物およびナノロッド
JP2003055841A (ja) * 2001-08-10 2003-02-26 Sumitomo Chem Co Ltd 酸化チタン繊維およびそれを用いてなる光触媒体
JP2003137549A (ja) * 2001-10-30 2003-05-14 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 管状酸化チタン粒子の製造方法および管状酸化チタン粒子

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0811693B2 (ja) * 1986-05-30 1996-02-07 触媒化成工業株式会社 チタニアゾルおよびその製造方法
JPH07100611B2 (ja) * 1986-09-26 1995-11-01 触媒化成工業株式会社 改質チタニアゾルの製造方法
JP2783417B2 (ja) * 1989-03-30 1998-08-06 触媒化成工業株式会社 ルチル型酸化チタンゾルの製造法
JP3952103B2 (ja) * 1998-05-29 2007-08-01 触媒化成工業株式会社 光電気セルおよび光電気セル用金属酸化物半導体膜の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000077691A (ja) * 1998-08-31 2000-03-14 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 光電気セル
JP2002534351A (ja) * 1999-01-12 2002-10-15 ハイピリオン カタリシス インターナショナル インコーポレイテッド 炭化物系およびオキシ炭化物系の組成物およびナノロッド
JP2001114519A (ja) * 1999-08-12 2001-04-24 Sumitomo Chem Co Ltd 多孔質チタニア、それを用いた触媒およびその製造方法
JP2003055841A (ja) * 2001-08-10 2003-02-26 Sumitomo Chem Co Ltd 酸化チタン繊維およびそれを用いてなる光触媒体
JP2003137549A (ja) * 2001-10-30 2003-05-14 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 管状酸化チタン粒子の製造方法および管状酸化チタン粒子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005068001A (ja) 2005-03-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4698981B2 (ja) 繊維状酸化チタン粒子とその製造方法ならびに該粒子の用途
Mamaghani et al. Hydrothermal/solvothermal synthesis and treatment of TiO2 for photocatalytic degradation of air pollutants: Preparation, characterization, properties, and performance
Zhang et al. Titanate and titania nanostructured materials for environmental and energy applications: a review
JP4093744B2 (ja) 管状酸化チタン粒子の製造方法および管状酸化チタン粒子
Yin et al. Synthesis and photocatalytic properties of fibrous titania prepared from protonic layered tetratitanate precursor in supercritical alcohols
US7431903B2 (en) Tubular titanium oxide particles and process for preparing same
JP5157561B2 (ja) 可視光応答型光触媒とその製造方法
CN101525152B (zh) 一种菊花状三维TiO2纳米材料及其制备方法
WO2009116181A1 (ja) 可視光応答型光触媒とその製造方法
JP4294245B2 (ja) 光電気セルおよび光触媒
JP4312299B2 (ja) ブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の製造方法
JP4180316B2 (ja) 管状酸化チタン粒子および管状酸化チタン粒子の製造方法
JP2009012444A (ja) 積層体およびその製造方法
JP4941980B2 (ja) 酸化タングステンナノシート、および、その製造方法
KR101272318B1 (ko) 이산화티타늄 또는 금-이산화티타늄을 껍질로 갖는 핵/껍질 구조의 나노구조체의 제조방법 및 이에 의하여 제조되는 나노구조체
JP4139090B2 (ja) 結晶性酸化チタン被覆層付球状粒子の製造方法
JP2010040172A (ja) 光電気セルの製造方法
JP5354960B2 (ja) 光電気セル用多孔質金属酸化物半導体膜形成用塗料および光電気セル
JP2005052718A (ja) 一酸化炭素酸化触媒および該触媒の製造方法
JPH10128110A (ja) 光触媒組成物とその形成剤
US8420046B1 (en) Method of preparing high crystalline nanoporous titanium dioxide photocatalyst
Stathatos et al. Simple procedure of making room temperature mesoporous TiO2 films with high purity and enhanced photocatalytic activity
KR101144676B1 (ko) 섬유성 산화티타늄 입자, 그의 제조방법 및 입자의 이용
US8852548B2 (en) Method of preparing high crystalline nanoporous titanium dioxide at room temperature
JP4817219B2 (ja) 可視光を吸収する薄片状酸化チタンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070604

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100810

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110131

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110302

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4698981

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees