JP2003055841A - 酸化チタン繊維およびそれを用いてなる光触媒体 - Google Patents

酸化チタン繊維およびそれを用いてなる光触媒体

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fiber
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Yoshiaki Sakatani
能彰 酒谷
Hiroyuki Ando
博幸 安東
Hironobu Koike
宏信 小池
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空気中のNOx、悪臭物質の分解、または水
中の有機溶剤、農薬、界面活性剤の分解に対して有効な
光触媒体であって、取扱いが容易で、使用時に飛散、流
出、脱落といったことのないものを提供する。 【解決手段】 国際照明委員会が定めるXYZ表色系に
おける三刺激値X、Y、Zから、下式(I) y=Y/(X+Y+Z) (I) で求められるyが0.35以上であることを特徴とする
酸化チタン繊維およびその酸化チタン繊維を含む光触媒
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸化チタン繊維およ
びそれを用いてなる光触媒体に関するものである。詳細
には、ハロゲンランプ、蛍光灯、白熱灯のような照明光
源による光照射に対して高い触媒活性を示す酸化チタン
繊維およびそれを用いてなる光触媒体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】半導体に光を照射すると強い還元作用を
持つ電子と強い酸化作用を持つ正孔が生成して、半導体
に接触した分子種を酸化還元作用により分解する。半導
体のこのような光触媒作用を利用して、空気中のNO
x、悪臭物質の分解、または水中の有機溶剤、農薬、界
面活性剤の分解を行うことが試みられている。また最近
では、可視光照射に対して光触媒作用を示す半導体が注
目され、ある種の酸化チタンからなる光触媒が知られて
いるが、これらは、通常、微細な粒子であるため、その
ままでは取扱いが難しく、また使用時において飛散、流
出する問題があり、その適用範囲が制限されていた。
【0003】従来より、光触媒粒子の飛散や流出を防止
するとともに、使用後、大気や水から容易に分離できる
ように、光触媒粒子を樹脂などにより固定化して使用す
る方法が提案されている。例えば、特開平4-284851号公
報には光触媒粒子とフッ素樹脂の混合物を積層し、圧着
する方法が記載され、また特開平4-334552号公報には光
触媒粒子をフッ素樹脂に熱融着する方法が記載されてい
る。しかし、これらの方法では、固定化に用いる樹脂の
ために、光触媒粒子がもつ本来の触媒活性を引き出せな
いことがあり、また長期間の使用により接着剤である樹
脂が劣化して、光触媒粒子が脱落する問題があった。ま
た光触媒粒子を接着させるのではなく、通気性シートに
光触媒粒子を内包して固定化する方法も提案されている
(例えば、特開平7-108175号公報)。しかしこの方法で
得られる光触媒体では、シート内にある光触媒粒子に十
分な光を照射することが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、空気
中のNOx、悪臭物質の分解、または水中の有機溶剤、
農薬、界面活性剤の分解に対して有効な光触媒体であっ
て、取扱いが容易で、使用時に飛散、流出、脱落といっ
たことのないものを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、酸化チタ
ンの固定化および可視光照射に対する触媒活性の向上に
ついて検討した結果、特定の光学特性をもつ酸化チタン
繊維がハロゲンランプ、蛍光灯、白熱灯のような照明光
源による光照射に対して高い触媒活性を示すこと、およ
び取扱い性などが改善できることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、国際照明委員会が定め
るXYZ表色系における三刺激値X、Y、Zから、下式
(I) y=Y/(X+Y+Z) (I) で求められるyが0.35以上であることを特徴とする
酸化チタン繊維を提供するものである。
【0007】また本発明は、前記の酸化チタン繊維を含
む光触媒体を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明の酸化チタンは、TiO2なる組成式を有
する繊維状のものであり、かつ国際照明委員会(Commis
sion International de l'Eclairage)が定めるXYZ
表色系における三刺激値X、Y、Zから、前記式(I)で
算出されるyが0.35以上のものである。なお、XY
Z表色系は日本ではJIS Z8701に規定されてい
る。ここでのyは光学特性を表す指標であり、具体的に
は色度図の座標(色度座標)の一つである。酸化チタン
繊維は、そのyの値が大きくなると、順に、緑色〜黄色
を呈するように変化する。yの上限は、もう一つの色度
座標であるxの値に応じて異なり、通常、xを横軸、y
を縦軸とした場合の色度図において、xの値についてy
軸に平行に直線を引いたとき、スペクトル軌跡または準
紫軌跡と交差するところのyの値となる。yの値は大き
いほど好ましく、例えば、0.36以上、さらには0.
37以上であることが好ましい。このような光学特性を
もつ、本発明の酸化チタン繊維が何故、ハロゲンランプ
のような照明光源の光照射により、高い触媒活性を示す
のかその理由は必ずしも明らかではないが、XYZ表色
系における色度座標であるyの値で特定された酸化チタ
ン繊維を励起するために必要な光のスペクトルとハロゲ
ンランプの発光スペクトルが近似していることが影響し
ているものと推察される。
【0009】また本発明の酸化チタンでは、XYZ表色
系における三刺激値X、Y、Zから、下式(II) x=X/(X+Y+Z) (II) で算出されるxが0.3以上、好ましくは0.33以
上、より好ましくは0.34以上である。このxも光学
特性を表す指標であり、色度座標の他の一つである。前
記のyを具備する酸化チタン繊維であって、そのxの値
が大きくなると、順に、黄色〜オレンジ色を呈するよう
に変化する。このように特定のxおよびyを具備する酸
化チタン繊維は、ハロゲンランプのような照明光源の光
照射に対してより高い光触媒活性を示す。
【0010】さらに本発明の酸化チタン繊維は、その表
面または内部にチタン以外の金属の酸化物を含むことが
好ましい。酸化チタン繊維は、このような金属酸化物を
含むことにより、照明光源の光照射に対して優れた光触
媒活性を示す。酸化チタン繊維に含まれる金属酸化物と
しては、例えば、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウ
ム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、マ
ンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、アルミニウム、
ガリウム、インジウム、スズ、ナトリウム、カリウム、
マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウ
ム、ランタン、セリウム、亜鉛のような金属の1元系酸
化物、珪素−亜鉛、珪素−ジルコニウム、珪素−マグネ
シウム、珪素−カルシウム、珪素−ガリウム、珪素−ア
ルミニウム、珪素−ランタン、珪素−チタン、チタン−
亜鉛、チタン−銅、チタン−亜鉛、チタン−アルミニウ
ム、チタン−ジルコニウム、チタン−鉛、チタン−ビス
マス、チタン−鉄、亜鉛−マグネシウム、亜鉛−アルミ
ニウム、亜鉛−ジルコニウム、亜鉛−鉛、亜鉛−アンチ
モンのような金属の複合酸化物などが挙げられる。金属
酸化物の量は、基材である酸化チタンのチタンに対し金
属元素換算で通常0.05mol%以上、好ましくは
0.1mol%以上であり、また50mol%以下、好
ましくは30mol%以下、より好ましくは15mol
%以下である。
【0011】また本発明の酸化チタン繊維は、その内部
に酸化珪素を含むものであってもよい。酸化珪素がアナ
ターゼ型の酸化チタン繊維中に含まれていると、アナタ
ーゼ型の結晶構造を安定化させ、かつ繊維を構成する酸
化チタン一次粒子の粒成長を抑制する作用を示す。この
とき、酸化チタン繊維に含まれる酸化珪素の量は例えば
5重量%以上、50重量%以下である。
【0012】上で示した、本発明の酸化チタン繊維は、
繊維径が通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上で
ある。この酸化チタン繊維は、繊維径に対する繊維長の
比、いわゆるアスペクト比が2以上、さらには10以上
であることが好ましい。また連続繊維である酸化チタン
繊維は、ストランドもしくはヤーンとして、もしくは加
工して織物などとして、空気中または水中で好適に使用
可能な光触媒体とすることができる。この酸化チタン繊
維は、結晶構造がアナターゼ型であることが好ましく、
このときのアナターゼ結晶子径が5nm以上であり、ま
たBET比表面積が通常10m2/g以上である。酸化
チタン繊維のBET比表面積が低くなると、光触媒活性
が低下することがある。
【0013】特定の光学特性を示す、本発明の酸化チタ
ン繊維は、例えば、チタンアルコキシドを2−プロパノ
ールのようなアルコールに溶解させた後、加水分解して
スラリーとし、得られるスラリーにテトラヒドロフラン
のような溶媒を添加して紡糸液とし、この紡糸液を紡糸
して酸化チタン繊維前駆体とし、次いでこの酸化チタン
繊維前駆体をアンモニア処理した後、焼成する方法など
により調製することができる。本発明の酸化チタン繊維
のうち、表面または内部にチタン以外の金属の酸化物を
含むものは、前記の酸化チタン繊維を、上で示した、チ
タン以外の金属の酸化物を構成する元素を含む水溶液、
例えばパラタングステン酸アンモニウム水溶液に添加
し、混合した後、この混合物を焼成する方法などにより
調製することができる。本発明の酸化チタン繊維のう
ち、酸化珪素を含むものは、例えば、チタンアルコキシ
ドをアルコールに溶解させた後、加水分解してスラリー
とし、得られるスラリーに溶媒を添加し、これに珪素化
合物、例えばエチルシリケートを添加して紡糸液とし、
この紡糸液を紡糸して酸化チタン繊維前駆体とし、次い
でこの酸化チタン繊維前駆体をアンモニア処理した後、
焼成する方法などにより調製することができる。これら
の調製方法において、アンモニア処理は、例えば、酸化
チタン繊維前駆体をアンモニアガス存在雰囲気に保持す
る方法で行うことができる。処理温度は通常50℃以
上、好ましくは100℃以上、また200℃以下、好ま
しくは150℃以下であり、処理時間は通常10分以
上、好ましくは1時間以上である。アンモニア処理する
ときの雰囲気のアンモニアガス濃度は、温度、時間によ
り異なり一義的ではないが、通常1体積%以上、好まし
くは10体積%以上、より好ましくは30体積%以上で
ある。アンモニア処理した酸化チタン前駆体の焼成は2
00℃以上、さらには250℃以上で行われることが好
ましく、また600℃以下、さらには500℃以下で行
われることが好ましい。
【0014】本発明の酸化チタン繊維は、それ自身が光
触媒作用を示すものであり、かつその形状が繊維である
ので、使用に際して特に基体に固定化する必要がない。
すなわち、酸化チタン繊維は基体の役割も有し、そのま
ま繊維としてまたはこの繊維に織物加工など施して用い
ることができる。したがって、光触媒粒子のように接着
剤を用いて基体に固定化するといった煩雑な操作を省略
することができ、また固定化に用いる接着剤によって酸
化チタンの光触媒活性が低下するのを防止できる。
【0015】本発明の光触媒体は、上で示した特定の光
学特性を示す酸化チタン繊維を含む。
【0016】この光触媒体は、酸化チタン繊維だけから
なるものであってもよいし、必要に応じて他の材料、例
えば有機繊維または酸化チタン繊維以外の無機繊維と組
み合わせたものであってもよい。この光触媒体の具体例
としては、連続繊維である酸化チタン繊維をヤーンと
し、これを用いて得られる編織布、適度な長さに揃えた
酸化チタン繊維とパルプを混合し、これを抄紙して得ら
れるシートなどがある。
【0017】酸化チタン繊維だけからなる光触媒体また
は編織布状やシート状の光触媒体は、空気の浄化などに
適用することができ、例えば、この光触媒体を可視光線
を透過するガラス容器に入れた後、アルデヒド類のよう
な悪臭物質を含む空気を導入し、光源を用いて光触媒体
に波長が430nm以上である可視光線を照射すること
により、空気中の悪臭物質を分解することができる。こ
のときの光の照射時間は、光源の光線強度および悪臭物
質の種類や濃度により適宜選択すればよい。用いる光源
としては、波長が430nm以上である可視光線を含む
光線を照射できるものであれば制限されるものではな
く、例えばハロゲンランプ、蛍光灯、白熱灯、太陽光
線、ブラックライト、キセノンランプ、水銀灯などが適
用できる。また、光源には必要に応じて紫外線カットフ
ィルターまたは赤外線カットフィルターを装着してもよ
い。
【0018】また、これらの光触媒体は、屋内または屋
外において、空気中で光が当たるところに設置すれば、
空気中のNOxや悪臭成分を分解して低減することがで
きるものであり、水中で光が当たるところに設置すれ
ば、水中の有機溶剤、農薬、界面活性剤などを分解して
低減することができるものである。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。これら実施例では、ハロゲンランプで光照射し
たときのアセトアルデヒドの分解作用で酸化チタン繊維
の光触媒活性を評価しているが、本発明は本実施例に限
定されるものではない。尚、酸化チタン繊維の光学特
性、元素分布、繊維径、アスペクト比、BET比表面
積、結晶構造およびアナターゼ結晶子径の測定は以下の
方法で行った。
【0020】光学特性(X、Y、Z): 色差計(商品
名“Z-300A”、日本電色工業製)を用い、JIS Z8701 19
99に従って測定した。
【0021】元素分布: 試料を導電性カーボンテープ
上に立てて固定したうえ、ロビンソン型反射電子検出器
(商品名“EMAX Energy200”、堀場製作所製)を備えた
走査電子顕微鏡(型番“S-3500”、日立製作所製)を用
いて、加速電圧:25kV、倍率:3000倍の条件で測定し
て、試料の表面および内部の元素(タングステン)分布
を求めた。
【0022】繊維径(μm)、アスペクト比: 試料1
0個各々について、走査電子顕微鏡(型番“JSM-T30
0”、日本電子製)を用いて、繊維径および繊維の長さ
を測定した。繊維径に対する繊維長の比を求めてアスペ
クト比とした。繊維径、アスペクト比はこれらの測定値
の平均値で表した。
【0023】BET比表面積(m2/g): 窒素吸着
法により求めた。
【0024】結晶構造、アナターゼ結晶子径(nm):
試料を粉砕して粉末状にしたものについて、X線回折
装置(商品名“RAD-IIA”、理学電機製)を用い、X線
管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:35mA、発散スリッ
ト:1度、散乱スリット:1度、受光スリット:0.3mm、
サンプリング幅:0.02度、走査速度:2度/分,測定積
算回数:1回の条件で、X線回折スペクトルを測定し
た。このスペクトルから試料の結晶構造を同定した。ま
たスペクトルのうち、アナターゼ型酸化チタンの最強干
渉線(面指数101)のピークの半価幅β(ラジアン)
とピーク位置2θ(ラジアン)を求め、Scherrerの式(II
I) L(nm)=K×λ/(β×cosθ) (III) 〔式(III)中、KはScherrer定数0.94、λ(nm)は測定
X線波長(CuKα線:0.154056nm)を表す。〕により、
アナターゼ結晶子径Lを算出した。
【0025】実施例1 〔酸化チタン繊維前駆体の調製〕2−プロパノール80
g、チタンテトライソプロポキシド(試薬特級、和光純
薬工業製)225gおよびアセト酢酸エチル41gの混
合溶液に、水27gと2−プロパノール243gを混合
して得られたアルコール水を添加し、チタンテトライソ
プロポキシドを加水分解して、スラリーを得た。このス
ラリーについて、溶媒を2−プロパノールからテトラヒ
ドロフランに置換した後、濃縮して紡糸液とし、得られ
た紡糸液を紡糸口金より押し出して、酸化チタン繊維前
駆体を得た。
【0026】〔酸化チタン繊維の調製〕上で得られた酸
化チタン繊維前駆体1gを、温度85℃、湿度95%の
空気雰囲気下に1時間保持した後、ステンレス製シャー
レに入れ、10重量%アンモニア水18gを他のステン
レス製シャーレに入れ、それぞれのステンレス製シャー
レをステンレス製耐圧タンク内に入れ、密閉した後、タ
ンク内を110℃に加熱して、そのままの温度で12時
間保持した。このときのタンク内のアンモニアガス濃度
は47体積%であった。アンモニアガス処理した酸化チ
タン繊維前駆体を400℃の空気中で1時間焼成して、
酸化チタン繊維を得た。
【0027】水50gにパラタングステン酸アンモニウ
ム5水和物〔(NH4)10W12O41・5H2O、和光純薬工業製〕を
水に溶解させて得られたタングステン濃度1重量%のパ
ラタングステン酸アンモニウム水溶液25gに、上で得
られた酸化チタン繊維1gを添加、混合し、この混合物
を150℃の空気中で乾燥した後、400℃の空気中で
1時間焼成して、タングステン含有酸化チタン繊維を得
た。このタングステン含有酸化チタン繊維の光学特性を
表1に示す。また、このタングステン含有酸化チタン繊
維は、該酸化チタンのチタンに対してタングステン換算
で10.9mol%の酸化タングステンを有するもので
あり、タングステンは酸化チタン繊維の表面および内部
にほぼ均一に存在していた。さらに、このタングステン
含有酸化チタン繊維は、繊維径が24μmであり、アス
ペクト比が10以上であり、BET比表面積が93.4
2/gであり、結晶構造がアナターゼ型であり、アナタ
ーゼ結晶子径が7.8nmであった。
【0028】〔光触媒体の活性評価〕直径8cm、高さ
10cm、容量約0.5Lの密閉式ガラス製反応容器内
に、直径5cmのガラス製シャーレを設置し、そのシャ
ーレ上に、上で得られた酸化チタン繊維だけからなる光
触媒体0.1gを置いた。反応容器内を酸素と窒素との
体積比が1:4である混合ガスで満たし、アセトアルデ
ヒドを13.4μmol封入し、反応容器の外から可視
光線を照射した。可視光線の照射には、100Wハロゲ
ンランプ(商品名“ネオハロクールヒ゛ーム110V75W/K5S”,東芝
ライテック製)を取り付けた光源装置に、波長約430
nm以下の紫外線をカットするフィルター(商品名“Y-
45”、旭テクノグラス製)と赤外線をカットするフィル
ター(商品名“IRA-25S”、旭テクノグラス製)とを装
着したものを光源として用いた。可視光線の照射により
アセトアルデヒドが分解すると、二酸化炭素が発生する
ので、二酸化炭素の濃度を光音響マルチガスモニタ(型
番“1312”、INNOVA製)で経時的に測定し、濃度
変化より算出した二酸化炭素の生成速度により、光触媒
体のアセトアルデヒドに対する光分解作用を評価した。
この例における二酸化炭素の生成速度は3μmol/h
であった。なお、ここで用いた光触媒体は取扱いが容易
であり、反応容器内へ設置するときでも飛散することが
なかった。
【0029】比較例1 実施例1の〔酸化チタン繊維前駆体の調製〕と同じ操作
を行って得られた酸化チタン繊維前駆体1gを温度85
℃、湿度95%の雰囲気下に1時間保持した後、400
℃で空気中で1時間焼成して、酸化チタン繊維を得た。
この酸化チタン繊維の光学特性を表1に示す。また、こ
の酸化チタン繊維は、繊維径が24μmであり、アスペ
クト比が10以上であり、BET比表面積が125.2
2/gであり、結晶構造がアナターゼ型であり、アナタ
ーゼ結晶子径が7.2nmであった。
【0030】得られた酸化チタン繊維だけからなる光触
媒体について、実施例1の〔光触媒体の活性評価〕と同
じ条件で、アセトアルデヒドに対する光分解作用を評価
した。この例における二酸化炭素の生成速度は0μmo
l/hであった。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】本発明の酸化チタン繊維によれば、ハロ
ゲンランプ、蛍光灯、白熱灯のような照明光源による光
照射に対して高い触媒活性を示し、かつ取扱いが容易
で、使用時に飛散、流出、脱落といったことのない光触
媒体が提供される。また本発明の光触媒体は、空気中の
NOx、悪臭物質の分解、または水中の有機溶剤、農
薬、界面活性剤の分解のために好適に用いることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 宏信 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化学 工業株式会社内 Fターム(参考) 4G047 CA02 CB06 CB08 CC03 CD05 4G069 AA02 AA08 BA04A BA04B BA48A BC60B CA10 DA06 EA03X EA03Y FB08 4L037 AT02 CS36 CS38 FA03 FA12 PA39 PC10 PS03 PS12 UA01 UA20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 国際照明委員会が定めるXYZ表色系に
    おける三刺激値X、Y、Zから、下式(I) y=Y/(X+Y+Z) (I) で求められるyが0.35以上であることを特徴とする
    酸化チタン繊維。
  2. 【請求項2】 XYZ表色系におけるX、Y、Zから、
    下式(II) x=X/(X+Y+Z) (II) で求められるxが0.3以上である請求項1記載の酸化
    チタン繊維。
  3. 【請求項3】 その表面または内部にチタン以外の金属
    の酸化物が含まれる請求項1または2記載の酸化チタン
    繊維。
  4. 【請求項4】 繊維径が0.1μm以上である請求項1
    〜3のいずれか1項に記載の酸化チタン繊維。
  5. 【請求項5】 繊維径に対する繊維長の比(アスペクト
    比)が2以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の酸化チタン繊維。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸
    化チタン繊維を含む光触媒体。
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