JP4312299B2 - ブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の製造方法 - Google Patents

ブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、触媒、触媒担体、光触媒、化粧材料および光学材料などの用途に有用なブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
酸化チタン粒子は、その化学的特性を利用した用途が広く、たとえば酸素と適当な結合力を有するとともに耐酸性を有するため、酸化還元触媒あるいは担体、紫外線の遮蔽力を利用した化粧材料またはプラスチックの表面コート剤、さらには高屈折を利用した反射防止コート材、導電性を利用した帯電防止材として用いられたり、これらの効果を組み合わせて機能性ハードコート材に用いられたり、さらに光触媒作用を使用した防菌剤、防汚剤、超親水性被膜などに用いられている。
【0003】
このように、酸化チタンは多くの用途に用いられており、いずれの場合であっても酸化チタンには多くの機能が要求される。たとえば、触媒として酸化チタンを用いる場合には、主反応に対する活性だけでなく、選択性、機械的強度、耐熱性、耐酸性、あるいは耐久性が求められ、また化粧料として酸化チタンを用いる場合には、紫外線の遮蔽効果だけでなく、円滑性、肌ざわり、透明性などが求められている。さらにコート材として酸化チタンを用いる場合には、透明性、高屈折率に加えて、さらに優れた被膜形成性、密着性、被膜硬度、機械的強度、耐摩耗性などが求められている。
【0004】
このような酸化チタン粒子としては、ルチル型の酸化チタン粒子およびアナターゼ型の酸化チタン粒子が知られている
本出願人は、特開平2−255532号において、触媒、触媒担体、光触媒、化粧材料、光学材料などに用いて有用なルチル型酸化チタン粒子が、過酸化水素を加えて溶解した水和酸化チタンをスズ化合物の存在下で加熱することにより、高温で加熱焼成することなく得られることを提案している。
【0005】
また、本出願人は、アナターゼ型結晶酸化チタン粒子の製造方法として、特開昭63−229139号公報にて、含水チタン酸のゲルまたはゾルに過酸化水素を加えて含水チタン酸を溶解したのち、得られたチタン酸水溶液を無機化合物の共存化で加熱してアナターゼ型酸化チタンゾルを製造する方法を提案している。
近年、アナターゼ型酸化チタンは、高いバンドギャップを有することから光触媒、さらには光エネルギーを電気エネルギーに変換する、いわゆる光電変換材料として好適に用いられるようになっている。
【0006】
一方、前記アナターゼ型酸化チタンとルチル型酸化チタン以外にブルッカイト型酸化チタンの存在が知られており、ブルッカイト型酸化チタン粒子は、無定型酸化チタンを特定組成範囲のTiO2−Na2O−H2Oの混合物を高温で水熱処理することで得られることが知られている(Zeitschrift fur anorganische unt allgemeine Chemie. Band 346.1966参照)。
【0007】
しかしながら、この方法では、得られるブルッカイト型酸化チタン粒子中にアルカリが残存するために機能の発現が不充分となることがあり、用途が制限されてしまうという問題があった。
また、得られたブルッカイト型酸化チタンは粒子径が100μm以上と大きく、不均一であったり、分散媒への分散性が悪いために、透明性コート材として用いる場合などには透明性が低く、被膜形成性、基材との密着性、被膜硬度、耐摩耗性などが不充分であった。
【0008】
このような情況のもと、本発明者らは、さらに鋭意研究を重ねた結果、特定の条件下でペルオキソチタン酸を水熱処理することにより、加熱焼成することなくブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子が得られることを見いだして本発明を完成した。
【0009】
【発明の目的】
本発明は、触媒、触媒担体、光触媒、化粧材料、光学材料、光電変換材料として有用なブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【発明の概要】
本発明に係るブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の製造方法は、
下記の(a)〜(c)の工程からなることを特徴としている;
(a)チタン化合物を中和ないし加水分解してオルソチタン酸のゾルまたはゲルを調製する工程
(b)過酸化水素を加えて解膠したのち、脱イオン処理してイオン濃度が1000ppm以下のペルオキソチタン酸溶液を調製する工程
(c)ペルオキソチタン酸溶液に、有機塩基または、有機塩基およびアンモニアを、ペルオキソチタン酸水溶液のTiO 2 のモル数(T M )と有機塩基のモル数(B M )のモル比(B M )/(T M )が0.02〜0.25の範囲となるように添加し、かつペルオキソチタン酸溶液のpHを8〜14の範囲に維持しながら120℃〜350℃の温度範囲で水熱処理する工程。
【0011】
また、以下(b')および(c')の工程でブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子を製造することもできる。
(b')水素化チタン微粉末の水分散物に、過酸化水素を加えてペルオキソチタン酸溶液を調製する工程
(c')ペルオキソチタン酸溶液に、有機塩基または、有機塩基およびアンモニアを、ペルオキソチタン酸水溶液のTiO 2 のモル数(T M )と有機塩基のモル数(B M )のモル比(B M )/(T M )が0.02〜0.25の範囲となるように添加し、かつペルオキソチタン酸溶液のpHを8〜14の範囲に維持しながら120℃〜350℃の温度範囲で水熱処理する工程。
【0012】
チタン化合物を加水分解する際のpHが8〜13の範囲にあることが好ましい。
また、ペルオキソチタン酸溶液を調製した後、除去することが好ましい。
【0013】
【発明の具体的な説明】
以下に、本発明に係るブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の製造方法について具体的に説明する。
本発明では、以下(a)〜(c)の工程によりブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子を製造する。
【0014】
(a) オルソチタン酸のゲルまたはゾルの調製工程
本発明に係るブルッカイト型酸化チタン微粒子の製造方法では、まず、従来公知の方法によってチタン化合物を加水分解してオルソチタン酸のゾルまたはゲルを調製する。
オルソチタン酸のゲルは、チタン化合物として塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニルなどのチタン塩を使用し、この水溶液にアルカリを加えて中和し、洗浄することによって得ることができる。
【0015】
また、オルソチタン酸のゾルは、チタン塩の水溶液をイオン交換樹脂に通して陰イオンを除去するか、あるいはチタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシドなどのチタンアルコキシドの水および/または有機溶媒に酸またはアルカリを加えて加水分解することによって得ることができる。
【0016】
中和あるいは加水分解する際のチタン化合物の溶液のpHは8〜13の範囲にあることが好ましい。チタン化合物溶液のpHが上記範囲にない場合は後述するゲルまたはゾルの比表面積が低すぎることがあり、結晶性酸化チタン、特にブルッカイト型酸化チタンの生成が低下する傾向がある。
さらに、中和あるいは加水分解する際の温度は0〜40℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましい範囲は0〜30℃の範囲である。中和あるいは加水分解する際の温度が上記範囲にない場合は、ブルッカイト型酸化チタンが生成しないことがあり、後工程の条件にもよるが、アナターゼ型酸化チタンまたはルチル型酸化チタンのみが生成する傾向がある。
【0017】
得られたゲルまたはゾル中のオルソチタン酸粒子は、非晶質であることが好ましく、さらに、比表面積が120m2/g以上であることが、ブルッカイト型酸化チタンを製造する上で好ましい。
前記比表面積は、ゲルまたはゾルを乾燥し250℃で10時間加熱処理した後の粒子をBET法で測定した値である。
【0018】
(b) ペルオキソチタン酸水溶液の調製工程
次に、オルソチタン酸のゲルまたはゾルあるいはこれらの混合物に、過酸化水素を添加してオルソチタン酸を溶解してペルオキソチタン酸水溶液を調製する。
このようなペルオキソチタン酸水溶液を調製するに際しては、オルソチタン酸のゲルまたはゾルあるいはこれらの混合物を、必要に応じて約50℃以上に加熱したり、攪拌したりすることが好ましい。また、この際、オルソチタン酸の濃度が高くなるすぎると、その溶解に長時間を必要とし、さらに未溶解のゲルが沈殿したり、あるいは得られるペルオキソチタン酸水溶液が粘調になることがある。このため、TiO2濃度としては、約10重量%以下であることが好ましく、さらに約5重量%以下であることが望ましい。
【0019】
添加する過酸化水素の量は、H22/TiO2(オルソチタン酸はTiO2に換算)重量比で1以上であれば、オルソチタン酸を完全に溶解することができる。H22/TiO2重量比が1未満であると、オルソチタン酸が完全には溶解せず、未反応のゲルまたはゾルが残存することがある。また、H22/TiO2重量比は大きいほど、オルソチタン酸の溶解速度は大きく反応時間は短時間で終了するが、あまり過剰に過酸化水素を用いても、未反応の過酸化水素が系内に残存するだけであり、経済的でない。このような量で過酸化水素を用いると、オルソチタン酸は0.5〜20時間程度で溶解する。
【0020】
得られたペルオキソチタン酸は、イオン交換樹脂と接触させて、洗浄後残存する中和・加水分解時に副生した塩、残存するアルカリなどを除去する。このとき、除去後の塩またはアルカリの量は、陽イオンおよび陰イオンの合計値で表して、チタンをTiO2に換算した時に、TiO2に対して1000ppm以下、好ましくは500ppm、さらに好ましくは200ppm以下となるようにする。
【0021】
陽イオンおよび陰イオンの合計値が1000重量ppmを越えると得られるブルッカイト型酸化チタンの含有量(生成割合)が低下する傾向にある。
(b') ペルオキソチタン酸水溶液の調製工程
なお、本発明では上記(a),(b)工程の代わりに、チタン化合物として水素化チタン微粉体を使用することによってペルオキソチタン酸水溶液を調製することもできる。
【0022】
この場合、このような水素化チタン微粉体を水に分散させれば、上記(a)工程で調製したオルソチタン酸のゲルまたはゾルの代わりとなる。
水素化チタン微粉体を水に分散させる際に、TiO2濃度としては、約10重量%以下であることが好ましく、さらに好ましい範囲は約5重量%以下であることが望ましい。また、オルソチタン酸の代わりに、水素化チタン微粉体を用いる場合であっても、添加する過酸化水素の量は、同様にH22/TiO2(水素化チタンはTiO2に換算)重量比で1以上であればよい。このとき、水素化チタン微粉体の水分散体を、必要に応じて約50℃以上に加熱したり、攪拌したりしてもよい。
【0023】
このような水素化チタン微粉体を用いると、水素化チタン微粉体自体が高純度である上に、中和・加水分解のために酸あるいはアルカリを用いていないため、得られたペルオキソチタン酸水溶液中に、塩あるいはアルカリが残存することがない。このため、必ずしも上記のような脱イオン処理をしなくともよい。
(c) 水熱処理工程
上記のようにして調製されたペルオキソチタン酸水溶液に有機塩基および/またはアンモニアを加え、pHを8〜14の範囲に維持しながら120℃〜350℃の温度範囲で水熱処理する。
【0024】
本発明で用いる有機塩基としては、テトラメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩または水酸化物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類を挙げることができる。
なお、本発明では、有機塩基を単独で使用してもよく、またアンモニアを単独で使用してもよく、さらには有機塩基とアンモニアとを組み合わせて使用してもよい。
【0025】
添加する有機塩基および/またはアンモニアの量は、水熱処理温度によっても異なるものの、ペルオキソチタン酸水溶液のTiO2のモル数(TM)と有機塩基のモル数(BM)のモル比(BM)/(TM)が0.02〜0.25の範囲にあることが好ましい。さらに好ましい範囲は0.05〜0.20である。
モル比(BM)/(TM)が上記範囲にあれば、ブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の生成割合が高い傾向にあり、モル比(BM)/(TM)が0.02未満の場合は実質的にアナターゼ型酸化チタンのみが生成したり、無定型酸化チタンが増加する傾向がある。
【0026】
モル比(BM)/(TM)が0.25を越えてもブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの生成割合が低下することがあるので好ましくない。
有機塩基および/またはアンモニアを添加したペルオキソチタン酸水溶液のpHは、8〜14、好ましくは10〜14、さらに好ましくは11〜14の範囲にあることが望ましい。
【0027】
水熱処理温度は120〜350℃の範囲にあることが好ましく、さらに好ましい温度は150〜350℃の範囲である。
水熱処理温度が120℃未満では、有機塩基の種類と量によっては、ブルッカイト型結晶を含む酸化チタンが生成しないことがあり、得られたとしても長時間を要するので好ましくない。また粒子成長速度が遅いために、平均粒子径が大きな微粒子が得られないことがある。
【0028】
水熱処理温度が350℃を越えてもブルッカイト型結晶を含む酸化チタンの生成割合がさらに高くなることもない。
こうして得られたブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子は、
ブルッカイト型酸化チタンの他に、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタンを含んでいてもよい。
【0029】
ブルッカイト型酸化チタン以外にアナターゼ型酸化チタンを含む場合は屈折率は低下するもののバンドギャップが高く、また種々化合物の吸着量が多い傾向がある。また、ブルッカイト型酸化チタン以外にルチル型酸化チタンを含む場合はバンドギャップは低下するもの屈折率、誘電率が高く、また種々化合物の吸着量が多い傾向がある。
【0030】
このため、ブルッカイト型酸化チタン以外にアナターゼ型酸化チタンまたはルチル型酸化チタンを含む粒子を高屈折率ハードコート材に用いると紫外線遮蔽効果とともに、高屈折率域で屈折率を調節することができ、また光電変換材料として、たとえば光電気セルの半導体膜に用いた場合は、光増感材の吸着量が高くかつ電子移動性の高い半導体膜を得ることができるなどの優れた特徴を有している。
【0031】
なお、結晶子径は、X線解折により、ブルッカイト型酸化チタンの場合は(1.1.1)面のピークの半値幅を測定し、アナターゼ型酸化チタンの場合は(1.0.1)面のピークの半値幅を測定し、またルチル型酸化チタンが混在する場合は(2.1.1)面のピークの半値幅を測定し、Debye-Scherrerの式により計算によって求めることができる。各結晶における格子定数、面指数および強度(ピーク)を表1に示す。
【0032】
本発明では、結晶性酸化チタンの同定には、以下の面指数、格子定数および強度のデータを用いる。混晶の場合は、互いに重なり合わない●を付した格子定数に対応するX線回折ピークの存在により確認する。
【0033】
【表1】
Figure 0004312299
【0034】
こうして得られたブルッカイト型酸化チタンを含む微粒子は、1〜50nmの範囲の大きさの結晶子径を有し、この結晶子が成長した粒子であるか、結晶子の集合した多結晶体からなり、平均粒子径が1〜600nmの範囲にある。
結晶子径が1nm未満の場合は結晶性が不充分な傾向があり、結晶子径が50nmを越えるものは得ることが困難である。
【0035】
また、平均粒子径が1nm未満の場合は結晶性が不充分な傾向があり、平均粒子径が600nmを越えるとやはり得ることが困難であり、得られたとしても安定なゾルを得ることが困難となり、このような粒子径の微粒子を用いて形成された膜は、密着性、膜強度が不充分であったり、クラックを生成することがある。
【0036】
前記水熱処理した後のブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子が分散した分散液はそのままゾルとして目的の用途に供することができるが、さらに濃縮して用いることもできる。また、用途によっては、イソプロパノールなどのアルコール、エチレングリコールなどのグリコール、ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒と混合または溶媒置換して有機溶媒分散ゾルとすることもできる。
【0037】
また本発明により得られるブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子分散ゾルをプラスチックの配合剤として用いれば、プラスチックの紫外線による変質防止など種々の効果が期待でき、食品包装用のプラスチックシートに配合すれば、食品の長期保存が可能となる。
さらに、本発明により得られるブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子は、紫外線遮蔽効果とともにアナターゼ型酸化チタンよりも高屈折率で、ルチル型酸化チタンなみの高屈折率を示し、また導電性を示すことから、ガラス、プラスチックなどの基材の表面コート剤として用いれば、透明性、紫外線遮蔽効果に優れた高屈折率の導電性被膜が得られる。したがって、高屈折率を要求されるレンズのコーティング剤、あるいは帯電防止機能が要求されるブラウン管などの前面板コート剤として有用である。また、合成繊維にブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子を配合すると帯電防止繊維を得ることができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、ブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子が得られる。このようなブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子は、触媒、触媒担体、光触媒、化粧材料、光学材料、光電変換材料などの機能性材料原料として好適に使用することができる。
【0039】
また、得られるブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子がアナターゼ型酸化チタンまたはルチル型酸化チタンを含む場合は、高屈折率域で屈折率を調節することができ、また光電変換材料として、たとえば光電気セルの半導体膜に用いた場合は、光増感材の吸着量が高くかつ電子移動性の高い半導体膜を得ることができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0041】
【実施例1】
塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiO2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液を調製した。この水溶液を、温度を5℃に調節した濃度15重量%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。塩化チタン水溶液添加後のpHは12.5であった。ついで、生成したゲルを濾過洗浄し、TiO2として濃度9重量%のオルソチタン酸のゲルを得た。得られたゲルの比表面積を測定した。
【0042】
結果を表2に示す。
このオルソチタン酸のゲル100gを純水2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水素水800gを加え、攪拌しながら、85℃で3時間加熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調製した。得られたペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度は0.5重量%であった。
【0043】
ついで、このチタン酸水溶液1000gに両イオン交換樹脂(三菱化学(株)製ダイヤイオン SMNUPB)で脱イオンを行った。
脱イオン後のイオン濃度をイオンクロマトグラフィー法で測定し、結果をTiO2中のイオン量(ppm)として表2に示した。
この脱イオン後のペルオキソチタン酸水溶液に濃度25重量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH MW=149.2)をTiO2に対するモル比が0.1となるように添加した。このときのpHは13.2であった.
ついで、TMAHを添加したペルオキソチタン酸水溶液をオートクレーブに入れ、160℃で10時間水熱処理してブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の分散液を得た。得られたブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の平均粒子径および結晶性を評価した。各結晶の含有量は、ブルッカイト型酸化チタンの生成量を仮に5%とし、このときのアナターゼ型酸化チタンを100%−5%=95%として求める方法で相対的な生成量を求めた。
【0044】
結果を表2に示す。
【0045】
【実施例2】
ペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度が2重量%にした以外は、実施例1と同様にしてブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の分散液を調製し、ブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の平均粒子径および結晶性を評価した。
【0046】
結果を表2に示す。
【0047】
【実施例3】
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドをTiO2に対するモル比が0.2となるように添加し、水熱処理温度を200℃とした以外は実施例2と同様にしてブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の分散液を調製し、ブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の平均粒子径および結晶性を評価した。
【0048】
結果を表2に示す。
【0049】
【実施例4】
水熱処理温度を300℃とした以外は実施例3と同様にしてブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の分散液を調製し、ブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の平均粒子径および結晶性を評価した。
結果を表2に示す。
【0050】
【実施例5】
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドに代えてトリエタノールアミン(TEA)を用いた以外は実施例3と同様にしてブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の分散液を調製し、ブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の平均粒子径および結晶性を評価した。
【0051】
結果を表2に示す。
【0052】
【実施例6】
10gの水素化チタン(微粉体)を1リットルの純水に懸濁し、濃度5重量%の過酸化水素液800gを30分かけて添加し、ついで80℃に加熱して溶解してペルオキソチタン酸の溶液を調製した。ついで、ペルオキソチタン酸の溶液中のチタンをTiO2とし、このTiO21モルに対し0.1モルのトリエタノールアミンを添加した。このときpHは13.1であった。
【0053】
ついで、TEAを添加したペルオキソチタン酸水溶液をオートクレーブに入れ、200℃で5時間、水熱処理を行ってブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の分散液を調製し、ブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の平均粒子径および結晶性を評価した。
結果を表2に示す。
【0054】
【実施例7】
塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiO2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液を調製した。この水溶液を、温度を20℃に調節した濃度15重量%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。塩化チタン水溶液添加後のpHは12.2であった。ついで、生成したゲルを濾過洗浄し、TiO2として濃度9重量%のオルソチタン酸のゲルを得た。得られたゲルの比表面積を測定した。
【0055】
結果を表2に示した。
このオルソチタン酸のゲル100gを純水2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水素水800gを加え、攪拌しながら、90℃で5時間加熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調製した。得られたペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度は2重量%であった。
【0056】
ついで、このチタン酸水溶液1000gに両イオン交換樹脂(三菱化学(株)製
ダイヤイオン SMNUPB)で脱イオンを行った。
この脱イオン後のペルオキソチタン酸水溶液に濃度25重量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)をTiO2に対するモル比が0.2となるように添加した。このときのpHは13.6であった.
ついで、TMAHを添加したペルオキソチタン酸水溶液をオートクレーブに入れ、330℃で15時間水熱処理してブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の分散液を調製し、ブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の平均粒子径および結晶性を評価した。
【0057】
結果を表2に示す。
【0058】
【比較例1】
脱イオン処理を行わず、有機塩基としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドを用いなかった以外は、実施例1と同様にして酸化チタン微粒子の分散液を調製し、酸化チタン微粒子の平均粒子径および結晶性を評価した。
結果を表2に示す。
【0059】
【比較例2】
脱イオン処理を行わなかった以外は実施例3と同様にして酸化チタン微粒子の分散液を調製し、酸化チタン微粒子の平均粒子径および結晶性を評価した。
結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
Figure 0004312299

Claims (4)

  1. 下記の(a)〜(c)の工程からなることを特徴とするブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の製造方法;
    (a)チタン化合物を中和ないし加水分解してオルソチタン酸のゾルまたはゲルを調製する工程
    (b)過酸化水素を加えて解膠したのち、脱イオン処理してイオン濃度が1000ppm以下のペルオキソチタン酸溶液を調製する工程
    (c)ペルオキソチタン酸溶液に、有機塩基または、有機塩基およびアンモニアを、ペルオキソチタン酸水溶液のTiO 2 のモル数(T M )と有機塩基のモル数(B M )のモル比(B M )/(T M )が0.02〜0.25の範囲となるように添加し、かつペルオキソチタン酸溶液のpHを8〜14の範囲に維持しながら120℃〜350℃の温度範囲で水熱処理する工程。
  2. チタン化合物を中和ないし加水分解する際のpHが8〜13の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の製造方法。
  3. 下記の(b')および(c')の工程からなることを特徴とするブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の製造方法;
    (b')水素化チタン微粉末の水分散物に、過酸化水素を加えてペルオキソチタン酸溶液を調製する工程
    (c')ペルオキソチタン酸溶液に、有機塩基または、有機塩基およびアンモニアを、ペルオキソチタン酸水溶液のTiO 2 のモル数(T M )と有機塩基のモル数(B M )のモル比(B M )/(T M )が0.02〜0.25の範囲となるように添加し、かつペルオキソチタン酸溶液のpHを8〜14の範囲に維持しながら120℃〜350℃の温度範囲で水熱処理する工程。
  4. 加水分解温度は0〜40℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブルッカイト型結晶を含む酸化チタン微粒子の製造方法。
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