JP4688330B2 - 圧電磁器及び積層型圧電素子並びに噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電磁器及び積層型圧電素子並びに噴射装置に関し、例えば、セラミックフィルタ、超音波応用振動子、圧電ブザー、圧電点火ユニット、超音波モータ、圧電ファン、圧電アクチュエータ、および加速度センサ、ノッキングセンサ、AEセンサ等に適する圧電磁器及び積層型圧電素子並びに噴射装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来から、圧電磁器を利用した製品としては、例えばセラミックフィルタ、超音波応用振動子、圧電ブザー、圧電点火ユニット、超音波モータ、圧電ファン、圧電アクチュエータ、および加速度センサ、ノッキングセンサ、AEセンサ等の圧電センサが知られている。
【0003】
ここで、圧電アクチュエータは、圧電体が有する逆圧電効果を利用するものであり、従来、圧電磁器と内部電極とを交互積層し圧電縦効果を応用した積層型圧電アクチュエータが知られている。圧電アクチュエータでは、大きな変位が必要な場合、使用する圧電磁器としては、圧電歪定数の大きなものが適している。また、低電圧で大きな変位を得るために、薄層圧電磁器と内部電極を交互に積層した同時焼成型のものが種々考案されている。
【0004】
同時焼成型の圧電アクチュエータに使用される圧電磁器は、圧電歪定数が優れていることに加え、内部電極の材料費を低減するために、焼結温度の低いものが求められている。比較的圧電性が大きく、焼結温度を低下させた材料として、例えば、特開平9−194258号公報にPb(Zr、Ti)O3−Pb(Mn、Sb)O3−Pb(Zn、Nb)O3系圧電材料が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、車載用途など高温雰囲気下での動作が要求される圧電アクチュエータに、圧電歪定数の大きなPb(Zr、Ti)O3−Pb(Mn、Sb)O3−Pb(Zn、Nb)O3系圧電材料を用いた場合、キュリー温度が低いため、キュリー温度付近で誘電率が急激に変化するという問題があった。
【0006】
また、一般に圧電磁器では、圧電歪定数が大きくなるとキュリー温度が低くなる傾向があるため、高温用途においては、積層型圧電アクチュエータを構成する圧電セラミックスにキュリー温度の高いものを用い、積層数を増加させることによって必要変位量を確保してきた。しかしながら、安易に積層数によって変位量を大きくすることは、信頼性の低下、及び製品コストの増加につながるといった問題があった。
【0007】
本発明は、低温焼成できるとともに、キュリー温度が高く、しかも圧電歪定数が大きい圧電磁器及び積層型圧電素子並びに噴射装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧電磁器は、Pb、Zr及びTiを主成分とするペロブスカイト型複合酸化物であって、一般式を、Pb 1−a M a (Yb 2/3 W 1/3 ) x (Cr 1/2 Nb 1/2 ) y (Zr 1−z Ti z ) 1−x−y O 3 と表したとき、前記x、y、z、aが、0.01≦x≦0.05、0.005≦y≦0.03、0.48≦z≦0.50、0.03≦a≦0.10、Mは、Ca、Sr及びBaのうち少なくとも1種の関係を満足し、1000℃以下の温度で焼結して成ることを特徴とする。
【0009】
本発明の圧電磁器では、Bサイトの一部を、WとYbとで置換することにより、比較的少量の固溶量で、ジルコン酸チタン酸鉛が本来有している高いキュリー温度をほとんど低下させることなく圧電性を高めることができる。
【0010】
また、Bサイトの一部を、NbとCrとで置換することにより、1000℃以下の焼成温度で、金属元素W、Ybなどの固溶効果による大きな圧電歪定数と高いキュリー温度を維持した圧電磁器を得ることが可能となる。
【0011】
さらに、Aサイトの一部をCa、Sr、Baで総量3モル%以上10モル%以下置換することにより、高いキュリー温度を保持したまま、圧電歪定数を向上させることができる。
【0013】
このような圧電磁器では、1000℃以下で焼成できるとともに、270℃以上のキュリー温度を得ることができ、しかも高い圧電歪定数を得ることができる。これにより、製品コストが低く、しかも高温での駆動が可能で、かつ信頼性の高い積層型圧電アクチュエータを実現できる。
【0014】
本発明の積層型圧電素子は、圧電体と電極とを交互に積層してなるとともに前記圧電体と前記電極とが1000℃以下の温度で同時焼結してなり、前記圧電体が、前記圧電磁器からなるとともに、前記電極中の全金属に対するAg含有量が90重量%以上であることを特徴とする。このような積層型圧電素子では、圧電磁器が、上記したように、1000℃以下で焼成できるため、圧電体と電極を同時焼成して積層型圧電素子を作製する際に、電極中の全金属に対するAg含有量を90重量%以上とすることができ、高価なPt等の貴金属の含有量を低減でき、安価な積層型圧電素子を得ることができる。
【0015】
また、本発明の噴射装置は、噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内に収容された上記積層型圧電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなるものである。
【0016】
上記したように、積層型圧電素子は、低温で同時焼成して作製できるため、内部電極中におけるAg含有量を低減して製品コストを削減でき、しかも構成する圧電磁器の圧電歪定数が大きいため、所望の変位量を少ない積層数で実現できる。これにより、低コストで噴射特性の優れた高温雰囲気での使用が可能な噴射装置を提供できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の積層型圧電素子である積層型圧電アクチュエータの斜視図を示すもので、この積層型圧電アクチュエータは、複数の圧電体1と複数の内部電極2とを交互に積層してなる活性体3aと、この活性体3aの両端面に形成された不活性体3bからなる柱状積層体3の対向する側面において、内部電極2の端部に1層おきに絶縁体4を形成し、絶縁体4を形成していない内部電極2の端部を同一の外部電極5に接続して構成されている。
【0018】
活性体3aと不活性体3bは同時焼成されて柱状積層体3が形成されており、活性体3aの圧電体1と不活性体3bは、同一圧電セラミック材料から構成されることが、焼成時における収縮差を小さくするという点から望ましい。活性体3aは、変位を発生させる部分であり、不活性体3bは、柱状積層体3を機械的に保持し、発生する力を外部へ伝達する機能を有する。
【0019】
内部電極2は、同時焼成時には柱状積層体3の全ての側面に露出しているが、そのうち対向する側面において、内部電極2端部を含む圧電体1の端部1層おきに溝が形成され、該溝にガラス、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーンゴム等の絶縁体4が充填され、これにより、内部電極2の一方の端部が絶縁されている。
【0020】
なお、絶縁体4は低ヤング率の材質、例えばシリコーンゴム等が好ましい。このように、内部電極2は互い違いに1層おきに絶縁され、絶縁されていない内部電極2の他方の端面は、例えば、予め塗布しておいた導電性耐熱接着剤5aに導電性部材5bを密着させた状態で、導電性耐熱接着剤5aを加熱硬化させることにより、外部電極5が形成されている。外部電極5の下側端部にはリード線6が取り付けられている。
【0021】
活性体3aの圧電体1の厚みは0.05〜0.25mm、内部電極2の厚みは0.003〜0.01mm、不活性体3bの厚みはそれぞれ0.5〜3mmとされ、圧電体1、内部電極2の積層数は、所望の特性を得るためにそれぞれ100〜400層とされている。
【0022】
さらに、内部電極2間の沿面放電を防止し、大きな電圧を印加するために、柱状積層体3の側面がシリコーンゴムなどの伸縮性をもつ絶縁物からなる被覆層(図示せず)で被覆されている。
【0023】
内部電極2は、全金属に対するAg含有量が90重量%以上とされている。内部電極2は、Agと、貴金属(Pd、Ptなど)とからなり、これらの全金属中に対するAg量が90重量%以上、言い換えれば、Pd、Ptなど貴金属の含有量が10重量%以下とされている。このように貴金属量を低減できるため、低コスト化を図ることができる。低コスト化という点から、金属材料としてはAgのみからなることが望ましい。尚、内部電極中には、ガラスを含有していても良い。
【0024】
そして、本発明では、圧電体1を構成する圧電磁器は、Pb、Zr及びTiを主成分とするペロブスカイト型複合酸化物であって、該ペロブスカイト型複合酸化物のAサイトをCa、Sr及びBaのうち少なくとも1種で3モル%以上10モル%以下置換するとともに、Bサイトを、Wと、Nbと、Crと、Ybとで合計1.5モル%以上8モル%以下置換してなることを特徴とする。
【0025】
金属元素WおよびYbの2種を合わせて選択することにより、比較的少量の固溶量で、ジルコン酸チタン酸鉛が本来有している高いキュリー温度をほとんど低下させることなく圧電性を高めることができる。
【0026】
更に、Bサイトの一部を金属成分Nb、およびCrで少量固溶させることにより、金属元素W、Ybなどの固溶効果による大きな圧電歪定数と高いキュリー温度を維持した圧電磁器を、1000℃以下の焼成温度で得ることができる。
【0027】
このとき、Bサイトに含まれる副成分の総量、即ち、Wと、Nbと、Crと、YbとによるBサイトの置換量を8モル%以下とすることが重要である。これにより、キュリー温度を280℃以上と非常に高くすることができる。なお、上記副成分による置換量が10モル%よりも多いと、キュリー温度が低下する傾向がある。特にBサイトに含まれる副成分の総量として好ましくは、2〜5モル%である。
【0028】
また、Aサイトの一部をCa、Sr、Baからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素で3モル%以上10モル%以下置換することが重要である。これにより、高いキュリー温度を保持したまま、更に、圧電歪み定数を向上させることができる。Aサイトに含まれる副成分の量が10モル%より多くなるとキュリー温度の低下が大きくなるため、Aサイトに含まれる副成分の量としては、10モル%以下が好ましい。特にAサイトに含まれる副成分量として、キュリー温度向上という点から、4〜8モル%であることが望ましい。
【0029】
本発明の圧電磁器は、一般式を、Pb1-aMa(Yb2/3W1/3)x(Cr1/2Nb1/2)y(Zr1-zTiz)1-x-yO3と表したとき、x、y、z、aが、0.01≦x≦0.05、0.005≦y≦0.03、0.48≦z≦0.50、0.03≦a≦0.1、Mは、Ca、Sr及びBaのうち少なくとも1種の関係を満足することが望ましい。
【0030】
一般式において、AサイトのCa、Sr及びBaのうち少なくとも1種による置換量を示すaを0.03〜0.1としたのは、この範囲ならば、キュリー温度を高く維持することができるからである。一方、aが0.03より小さくなると圧電歪定数の向上効果が小さく、0.1よりも大きい場合にはキュリー温度が低下するからである。aは、高いキュリー温度を維持し、圧電歪定数を向上するという点から0.04〜0.07であることが望ましい。
【0031】
また、Aサイトの置換は、Ca、Sr、BaのうちSrとBaの組合せが望ましい。
【0032】
さらに、Bサイトの、W及びYbの置換量を示すxは、0.01〜0.05であることが望ましい。これにより、高いキュリー温度を維持した状態で圧電性を高めることができるが、置換量xが、0.01よりも小さい場合には焼成温度が高くなる傾向があり、また、0.05より置換量が多いときにはキュリー温度が低下する傾向がある。Bサイトの、W及びYbによる置換量xは、焼成温度を低下し、高いキュリー温度を維持するという点から、0.01〜0.03であることが望ましい。
【0034】
また、Bサイトの(Cr1/2Nb1/2)による置換量を示すyが0.005〜0.03を満足することにより、大きな圧電歪定数と高いキュリー温度を維持した圧電磁器を、1000℃以下の焼成温度で得ることができるが、yが0.005よりも小さい場合には、低温焼成化の効果が小さく、一方、yが0.03よりも大きい場合には、他成分との組み合わせによってはキュリー温度の低下が大きくなってしまうからである。yは、0.01〜0.02であることが望ましい。
【0035】
TiによるZrの置換量を示すzは、0.48≦z≦0.5の範囲内に優れた圧電歪定数を示す組成領域が存在する。一方、zが0.48よりも小さい場合、あるいは0.5よりも大きい場合には、圧電歪定数が小さくなる傾向がある。
【0036】
以上のように構成された同時焼成型の積層圧電アクチュエータは、以下のプロセスにより製造される。先ず、原料粉末として高純度のPbO、ZrO2、TiO2、Cr2O3、Nb2O5、WO3、BaCO3、SrCO3、CaCO3およびYb2O3などの各原料粉末を所定量秤量し、ボールミル等で10〜24時間湿式混合し、次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、800〜900℃で1〜3時間仮焼し、当該仮焼物を再びボールミル等で粒度分布がD50で0.5±0.2μm、D90で0.8μm未満となるように湿式粉砕する。
【0037】
得られた粉砕原料と有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、スリップキャステイング法によりセラミックグリーンシートを作製する。
【0038】
このグリーンシートの片面に、Ag含有量が90重量%以上のAg/Pt導電性ペーストをスクリーン印刷法により印刷する。この導電性ペーストを乾燥させた後、導電性ペーストが塗布された複数のグリーンシートを所定の枚数だけ積層し、この積層体の積層方向の両端部に、導電性ペーストが塗布されていないグリーンシートを積層する。
【0039】
次に、この積層体を50〜200℃で加熱を行いながら加圧を行い、積層体を一体化する。一体化された積層体は所定の大きさに切断された後、400〜800℃で5〜40時間、脱バインダーが行なわれ、1000℃以下で本焼成が行われ、柱状積層体となる積層焼結体を得る。この柱状積層体の側面には、内部電極2の端部が露出している。
【0040】
その後、該柱状積層体の2つの側面において、内部電極2端部を含む圧電体1の端部に該2側面において互い違いになるように、1層おきに深さ50〜150μm、積層方向の幅50〜100μmの溝を形成し、該溝にシリコーンゴム等の絶縁体を充填する。以上のように、内部電極は互い違いに1層おきに絶縁され、交互に同一の外部電極に接続される。
【0041】
この後、正極用外部電極、負極用外部電極にリード線を接続し、アクチュエータの外周面にデイッピング等の方法により、シリコーンゴムを被覆した後、3kV/mmの分極電界を印加し、分極処理することで、最終的な積層型圧電アクチュエータを得る。
【0042】
なお、本発明の積層型圧電アクチュエータは、四角柱、六角柱、円柱等、どのような柱体であっても構わないが、切断の容易性から四角柱状が望ましい。
【0043】
本発明の圧電体を構成する圧電磁器は、ペロブスカイト型結晶を主結晶相とするもので、異相は殆ど存在しないことが望ましい。また、Ag、Al、Fe、S、Cl、Eu、K、P、Cu、Mg、Si等が不可避不純物として混入する場合もあるが、特性上問題ない。
【0044】
また、Bサイトに固溶させるW、Nb、Cr以外の副成分は、Y、Dy、Ho、Er、Tm、LuおよびYbからなる群より選ばれた金属元素であれば、特に1種類に限定されるものでなく、複合して選択しても同様の効果が得られる。
【0045】
また、本発明の圧電磁器におけるペロブスカイト結晶相のAサイトとBサイトの原子数比(A/B比)は、0.98〜1.02の範囲であれば、特性調整の為に変更しても問題ない。
【0046】
図2は、本発明の噴射装置を示すもので、図において符号31は収納容器を示している。この収納容器31の一端には噴射孔33が設けられ、また収納容器31内には、噴射孔33を開閉することができるニードルバルブ35が収容されている。
【0047】
噴射孔33には燃料通路37が連通可能に設けられ、この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が一定の高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるように形成されている。
【0048】
また、ニードルバルブ35の上端部は直径が大きくなっており、収納容器31に形成されたシリンダ39と摺動可能なピストン41を有している。そして、収納容器31内には、上記した圧電アクチュエータ43が収納されている。
【0049】
このような噴射装置では、圧電アクチュエータ43が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41が押圧され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると圧電アクチュエータ43が収縮し、皿バネ45がピストン41を押し返し、噴射孔33が燃料通路37と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
【0050】
【実施例】
原料粉末として高純度のPbO、ZrO2、TiO2、BaCO3、SrCo3、CaCO3、WO3、Yb2O3、Y2O3、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Lu2O3、Nb2O5およびCr2O3の各原料粉末を所定量秤量し、ボールミルで20時間湿式混合した。次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、900℃で3時間仮焼し、当該仮焼物を再びボールミルで湿式粉砕し脱水、乾燥して粉砕原料を得た。
【0051】
次いで、その粉砕原料に有機バインダー(PVA)を混合し、造粒した。得られた粉末を1500kgf/cm2の圧力でプレス成形し円柱形状の成形体を得た。更に、これらの成形体をMgO等からなる容器内に密閉し、大気中1000℃で2時間の条件で焼成した。
【0052】
得られた円柱形状の焼結体の両主面にAgペーストを焼付けることにより電極を形成し、80℃のシリコンオイル中で2kV/mmの直流電界を30分間印加して分極処理した後、インピーダンスアナライザーを用いた共振・***振法による測定によって得られた測定値を用い、日本電子材料工業会標準規格EMAS−6100に基づいて圧電歪定数d33を評価した。また、比誘電率の温度特性から比誘電率が極大値となる温度をキュリー温度とした。
【0053】
尚、表1では、組成式を、Pb0.925Ba0.04Sr0.03(R2/3W1/3)0.015(Cr1/2Nb1/2)y(Zr0.52Ti0.48)1-yO3と固定し、希土類元素Rの元素、yを変化させたときの圧電歪定数d33、磁器密度、キュリー温度を求め、記載した。
【0054】
また、表2では、組成式を、Pb0.96Ba0.04(Yb2/3W1/3)x(Cr1/2Nb1/2)y(Zr1-zTiz)1-x-yO3と固定し、x、y、zを変化させたときの圧電歪定数d33、磁器密度、キュリー温度を求め、記載した。
【0055】
表3では、組成式を、Pb1-e-f-gBaeSrfCag(Yb2/3W1/3)0.015(Cr1/2Nb1/2)0.02(Zr1-zTiz)0.965O3と固定し、e、f、g、zを変化させたときの圧電歪定数d33、磁器密度、キュリー温度を求め、記載した。
【0056】
表4では、組成式を、Pb0.93Ba0.04Sr0.03(Yb2/3W1/3)x(Cr1/2Nb1/2)y(Zr1-zTiz)1-x-yO3と固定し、x、y、zを変化させたときの圧電歪定数d33、磁器密度、キュリー温度を求め、記載した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
表1から、(Cr1/2Nb1/2)を含まない試料No.1の場合には、1000℃での焼成では磁器密度が低く、圧電歪定数d33が低いことが判る。これに対して、本発明の実施例では、磁器密度が7.4g/cm3以上であり、圧電歪定数d33が500pC/N以上、キュリー温度が295℃以上であることが判る。また、希土類元素の中でもYbが最も特性が良好であることが判る。
【0062】
また、表2から、Bサイトの副成分(Yb2/3W1/3)、(Cr1/2Nb1/2)による置換量の合計が10モル%以下の場合には、キュリー温度が290℃以上と高いが、10モル%よりも多くなると、キュリー温度が低下することが判る。
【0063】
さらに、表3から、AサイトのCa、Sr、Baによる置換量が10モル%以下の場合には、キュリー温度が280℃以上と高く圧電歪定数d33も485pC/N以上と大きいが、10モル%を越えると、キュリー温度が低下することが判る。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、Bサイトの一部を、Wと、Y、Dy、Ho、Er、Tm、Lu及びYbのうち少なくとも1種とで置換することにより、比較的少量の固溶量で、ジルコン酸チタン酸鉛が本来有している高いキュリー温度を大きく低下させることなく圧電性を高めることができ、また、Bサイトの一部をNbとCrで置換することにより、1000℃以下の焼成温度で金属元素W、Ybなどの固溶によって得られる材料の大きな圧電歪定数と高いキュリー温度を維持した圧電磁器を得ることができ、さらに、Aサイトの一部をCa、Sr、Baで総量10モル%以下置換することにより、高いキュリー温度を保持したまま、更に圧電歪み定数を向上させることができる。従って、本発明によれば、圧電歪定数が大きくキュリー温度の高い圧電磁器を1000℃以下の焼成温度で得ることができ、高信頼性、低コスト及び高温での駆動が可能な積層型圧電素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電アクチュエータを示す斜視図である。
【図2】本発明の噴射装置の説明図である。
【符号の説明】
1・・・圧電体
2・・・内部電極
31・・・収納容器
33・・・噴射孔
35・・・バルブ
43・・・圧電アクチュエータ
Claims (3)
- Pb、Zr及びTiを主成分とするペロブスカイト型複合酸化物であって、一般式を、Pb 1−a M a (Yb 2/3 W 1/3 ) x (Cr 1/2 Nb 1/2 ) y (Zr 1−z Ti z ) 1−x−y O 3
と表したとき、前記x、y、z、aが、
0.01 ≦x≦0.05
0.005≦y≦0.03
0.48 ≦z≦0.50
0.03 ≦a≦0.10
Mは、Ca、Sr及びBaのうち少なくとも1種の関係を満足し、
1000℃以下の温度で焼結して成ることを特徴とする圧電磁器。 - 圧電体と電極とを交互に積層してなるとともに前記圧電体と前記電極とが1000℃以下の温度で同時焼結してなり、前記圧電体が、請求項1に記載の圧電磁器からなるとともに、前記電極中の全金属に対するAg含有量が90重量%以上であることを特徴とする積層型圧電素子。
- 噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内に収容された請求項2に記載の積層型圧電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする噴射装置。
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- 2001-03-30 JP JP2001100380A patent/JP4688330B2/ja not_active Expired - Fee Related
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