JP4535721B2 - 圧電磁器および積層型圧電素子並びに噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電磁器および積層型圧電素子並びに噴射装置に関し、特に、内部電極を有し同時焼成型の積層型圧電アクチュエータ、圧電トランス、インクジェット用プリンターヘッド等に適する圧電磁器および積層型圧電素子並びに噴射装置に関するものである。
従来より、内部電極を有する同時焼成型の積層型圧電素子が開発され、積層型の圧電アクチュエータ、圧電トランス、インクジェト用プリンターヘッド等に応用されている。同時焼成型の積層型圧電素子は、セラミックグリーンシートと導体パターンを交互に積層した積層体を同時焼成し、これに外部電極を形成することによって作製され、圧電体が有する逆圧電効果を利用するものである。
このような積層型圧電素子を構成する圧電磁器としては、例えば、下記の特許文献1および2に開示されたものが知られている。まず、特許文献1に記載されたペロブスカイト型複合酸化物は、Pbを主成分とするAサイトをCa、Sr及びBa等で置換するとともに、一方、ZrおよびTiを主成分とするBサイトを、Wや、Dy等の希土類元素で置換し、さらにA/Bサイト比を0.955〜0.99とし、圧電歪定数やキュリー温度の向上が図られている。
一方、特許文献2に記載された圧電磁器は、ペロブスカイト型複合酸化物を構成する上記AおよびBサイトの構成元素のうち、Bサイトの一部を、W、ZnおよびNbにより置換したものであり、特に、前記ZnやNb等の添加物により低温焼成化が図られ、Ag比率が90質量%以上を有する内部電極との同時焼成が可能になるとされている。
なお、上記2報に記載された圧電磁器は、まず、PbO、ZrO、TiO等素原料粉末を所定量秤量してボールミル等で湿式混合し、次いで、この混合物を乾燥した後、所定の温度条件にて仮焼を行い、当該仮焼物を再びボールミル等を用いて所望の粒度分布になるように粉砕し、次に、得られた粉砕原料に対し、有機バインダや有機溶剤などを加えて所望の成形体を形成した後に焼成して作製されている。
特開2002−293625号 特開2002−299710号
しかしながら、上記特許文献1に記載された圧電磁器のように、ペロブスカイト型複合酸化物のA、Bサイト比の調整だけでは、圧電特性を高めるために焼成温度を1150℃と極めて高く設定する必要があり、例えば、1000℃以下での低温焼成が困難なために内部電極中のAg比率を低くし低コストを図ることが困難という問題があった。
つまり、このような組成の磁器では、例えば、上記のような1000℃以下の低温焼成を行うと、1150℃以上の温度で焼成した場合に比較して、キュリー温度や圧電歪定数が低くなり、所望の圧電変位特性が得られなかった。
一方、特許文献2の圧電磁器では、この圧電磁器の主成分であるPb、Zr、Tiに対して、ZnやNbなどの副成分を添加することにより、Agの比率が90質量%以上の内部電極との同時焼成を可能にしているものの、ZnやNbなどの添加量の増加とともにキュリー温度が低下するため、こうして得られた積層型圧電素子は高温耐久信頼性が低いという問題があった。
つまり、従来の圧電磁器では、高い圧電特性と低温焼成という課題を同時に満足したものは無く、近年の低コストおよび高性能の圧電磁器の開発が待たれていた。
従って、本発明は、低温焼成が可能で、キュリー温度および実効的な圧電歪定数が高く、高温耐久信頼性に優れた圧電磁器および積層型圧電素子並びに噴射装置を提供することを目的とする。
本発明の圧電磁器は、AサイトにPbおよびM1(M1は、Ca、Sr、Ba、Nd、Liのうち少なくとも1種)を、BサイトにZrTi、YbおよびWを少なくとも含むペロブスカイト型複合酸化物からなる圧電磁器であって、前記Bサイトの平均価数が4.002〜4.009であることを特徴とする。
本発明によれば、ペロブスカイト型複合酸化物を構成するBサイトの平均価数を4.002〜4.009とすることにより、キュリー温度および実効的な圧電歪定数が高く、高温耐久信頼性に優れた圧電磁器を得ることができる。
上記圧電磁器は、ペロブスカイト型複合酸化物が、
PbA−aM1M2M3(Zr1−XTiX1−b−c3+α
と表したとき、少なくとも前記A、a、b、c、Xが、
0.98≦A≦1.01
0.01≦a≦0.1
0.005≦b≦0.025
0.005≦c≦0.015
0.45≦X≦0.55
M1は、Ca、Sr、Ba、Nd、Liのうち少なくとも1種、
M2はYb、M3はであることを特徴とする。
即ち、ペロブスカイト型複合酸化物を構成するAサイトおよびBサイトの一部をそれぞれ上記の成分を用いて置換することにより、キュリー温度および実効的圧電歪定数をさらに高めることができ、高温耐久信頼性をさらに向上できる。
上記圧電磁器では、前記ペロブスカイト型複合酸化物の平均結晶粒径が1〜6μmであることを特徴とする。このように磁器の平均結晶粒径を上記の範囲とすることにより、キュリー温度および実効的圧電歪定数を高く維持しつつ圧電磁器の機械的強度をさらに高めることができる。
上記圧電磁器では、Aサイト/Bサイト比が0.98〜1.02であることを特徴とする。また、本発明では、Aサイト/Bサイト比を上記の範囲とすることにより、焼結性が高く緻密でキュリー温度および実効的圧電歪定数の高い圧電磁器を得ることができる。即ち、0.98より小さいと緻密化が困難となり、1.02より大きいとデラミネーションが発生しやすくなる。
そして、上記圧電磁器では、前記PbA−aM1M2M3(Zr1−XTiX1−b−c3+αで示される酸素過剰量αを−0.03〜0.02とすることにより本発明の圧電磁器の圧電特性および機械的強度をさらに高く安定化できる。
本発明の積層型圧電素子は、圧電体と内部電極とを交互に積層してなる積層型圧電素子において、前記圧電体を上記の圧電磁器により構成したことを特徴とする。本発明によれば、圧電磁器を上記ペロブスカイト型複合酸化物により構成し、特に、この複合酸化物を構成するBサイト元素の平均価数を4.002〜4.009とすることにより、低温焼成しても、また、ZnやNbなどの添加剤を加えなくても、高いAg比率を有する内部電極との同時焼成を可能にでき、それとともに、キュリー温度および実効的な圧電歪定数が高く、高温耐久信頼性に優れた積層型圧電素子を得ることができる。
即ち、上記積層型圧電素子では、内部電極中の全金属に対するAg含有量が90質量%以上であることが望ましく、特に、内部電極がPtを0.1質量%以上含有することがさらに望ましい。
即ち、本発明によれば、内部電極中のAg比率を高くしても、Ptを0.5質量%以上含有させることにより、Agのイオンマイグレーションを防止できる。
そして、積層型圧電素子は、以下の構造を有する各種燃料やガスなどの媒体用の噴射装置として有用である。即ち、本発明の噴射装置は、噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内に収容された上記の積層型圧電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする。
こうして得られた噴射装置は、この装置の心臓部であるアクチュエータとして上記の高性能で低コストの積層型圧電素子を採用しているために、噴射装置としても高性能かつ低コスト化が図れるものである。
即ち、本発明によれば、上記詳述したように、ペロブスカイト型複合酸化物を構成するBサイトの平均価数を特定の範囲とすることにより、キュリー温度および実効的な圧電歪定数が高く、高温耐久信頼性に優れた圧電磁器を得ることができる。また、本発明の製法によれば、Pb、ZrおよびTiを含むそれぞれの金属酸化物を、メディアを用いて混合する際の粉砕工程を設けるだけで、900℃以下の低温で仮焼した後に軽めの解砕工程を設けるだけであるために焼結性の高い仮焼粉末が得られ、これにより低温焼成が可能で高い圧電特性の得られる圧電磁器を容易に得ることができる。
こうして得られた圧電磁器を用いることにより、Ag比率の高い内部電極を有し、圧電特性の優れた積層型圧電素子を得ることができ、しいてはこのような積層型圧電素子により信頼性の高い噴射装置を得ることができる。
まず、本発明の圧電磁器について説明する。本発明の圧電磁器は、AサイトにPbを、BサイトにZrおよびTiを少なくとも含むペロブスカイト型複合酸化物からなる圧電磁器であって、前記Bサイトの平均価数が4.002〜4.009であることを特徴とする。
そして、Bサイトの元素の平均価数は、特に、4.003以上、4.007以下がより望ましい。なお、Aサイトの元素の平均価数は、許容範囲として、1.99〜2.01が好ましい。
価数が本発明の範囲外の場合、つまり、Bサイトについて、その平均価数が4.002より小さい場合もしくは4.009より大きい場合には実効的圧電歪定数が低下し、また、同時にキュリー温度が低下する。
なお、本発明におけるBサイトの平均価数は、以下のようにして求める。価数は周期表における元素の一般的な電子の過不足から生じるイオン化の価数とする。例えば、Bサイトについて、それぞれの元素を金属酸化物として用いたとき、価数が+4のZrを0.4モル、同じく+4のTiを0.4モル、+6のWを0.1モル、および+3のYbを0.1モル混合する場合、これらの平均価数は、4×0.4+4×0.4+6×0.1+3×0.1=4.1となる。
そして、前記ペロブスカイト型複合酸化物が、
PbA−aM1M2 M3(Zr1−XTiX1−b−c3+α
PbA−aM1がAサイト、M2M3(Zr1−XTiX1−b− Bサイト、
と表したとき、少なくとも前記A、a、b、c、Xが、
0.98≦A≦1.01、特に、0.992≦A≦1.007、
0.01≦a≦0.1、特に、0.03≦a≦0.08、
0.005≦b≦0.025、特に、0.008≦b≦0.02、
0.005≦c≦0.015、特に、0.006≦c≦0.009、
0.45≦X≦0.55、特に、0.47≦X≦0.53、
酸素過剰量αは−0.03〜0.02、特に、−0.02〜0.01、さらには、−0.01〜0.005、
M1は、Ca、Sr、Ba、Nd、Liのうち少なくとも1種、
M2はYb、M3はであることを特徴とする
ここで、A、Bサイトにて置換されるM1は、圧電磁器の平均価数の調整およびキュリー温度並びに実効的な圧電歪定数を高めるという点で下記の元素を選択することがより好ましい。それらの元素は、M1が、Ca、Sr及びBaのうち少なくとも1種、特に、SrとBaとを合せて用いることが好ましくい。なお、これらSrとBaとの比率は、Sr:Ba=1.5〜2.5:2.5〜3.5が好ましい。また、本発明のペロブスカイト型複合酸化物の組成パラメータであるA、a、b、c、X、αについても上記の範囲に特定することにより、さらに、圧電磁器の平均価数の調整およびキュリー温度並びに実効的な圧電歪定数を高め、かつ高温耐久性を向上できる。
さらに本発明のペロブスカイト型複合酸化物において、PbとM1をAサイト、M2、M3、Zr、Tiの4元素をBサイトとしたときの、A/B比は、これも圧電磁器のキュリー温度および実効的な圧電歪定数を高め、10サイクルまでの高温耐久試験における出力の低下率が10%以下であるという点および低温焼成という点で0.98〜1.02、特に、0.99〜1.01の範囲であることが望ましい。
即ち、本発明のペロブスカイト型複合酸化物においては、前述のように、A/B比を0.98〜1.02の範囲に、また、M2、M3、Zr、Tiの4元素の平均価数を4.002〜4.009の範囲とすることにより、圧電磁器中の酸素量を過剰にでき、またこの磁器のキュリー温度並びに圧電歪み定数を高めることができるのである。さらに本発明の圧電磁器は、上記の圧電特性を高めるとともに、磁器の機械的強度を向上させるという点で、平均結晶粒径が1〜6μm、特に、1.5〜2.5μmであることが望ましい。
次に、本発明の圧電磁器の製法について説明する。本発明の圧電磁器の製法は、(1)素原料として、Pb、ZrおよびTiを含むそれぞれの金属酸化物を、メディアを用いて混合し微粉化する工程と、
(2)該混合物を900℃以下で仮焼する工程と、
(3)該仮焼物に対し、少なくとも有機バインダを加えて成形体を形成後焼成する工程と、を具備することを特徴とする。
即ち、本発明では、仮焼前の平均粒径が1μmを越える素原料を素原料混合段階で微粉化すること、微粉化され混合された素原料の混合物を900℃以下、特に、800℃以下、さらには、760℃以下の低い温度で仮焼し、この後軽めの解砕を施すことが重要であり、一般に行われている仮焼後の強力な粉砕を行わないことを特徴とする。つまり、このような工程を経ることにより、焼成前の粉末に過度の熱処理や粉砕による衝撃が加わらないことで、高い反応性を保有することができ、これにより1000℃以下という低温焼成が可能となる。
そして、本製法の微粉化は、例えば、振動ミル、アトライタ、ボールミルなどの工法が採用されるが、用いるメディアとしては球状のボールが好ましく、特に、その直径は、素原料を微粉化するという点で、5mm以下が好ましい。なお、ボールの材質としては、素原料への不純物の混入を抑制するという点、もし、混入しても圧電特性の低下を抑えることができるという理由からジルコニアが好ましい。
そして、微粉化後の仮焼物の平均粒径D50は0.8μm以下、そして、D90が0.9μm以下とより均一な粒度分布とすること、比表面積は7m/g以上、特に、8m/g以上となるように粉砕することが望ましい。
また、本発明の製法では、圧電磁器の主構成元素であるPb成分は、難水溶性であり水などの溶媒を用いて混合や粉砕を行っても、溶解による組成変動が少ないという点、および粉砕が容易という点でPbが好ましい。
本発明の製法は、具体的には、下記の工程で行われる。先ず、素原料粉末として高純度のPb、ZrO、TiO、WO、BaCO、SrCO、CaCOおよびYbなどの各原料粉末を所定量秤量し、ボールミル等で湿式混合し、素原料を上記所定の平均粒径になるように微粉化する。次に、この混合物を脱水、乾燥した後、上記した温度にて仮焼を行い、次いで、この仮焼物を軽く凝集物が解れる程度の解砕を行う。
こうして得られた仮焼粉末に対して、有機バインダおよび有機溶剤を混合して成形用粉末を調製し、この後上記温度での焼成を行うことにより本発明の圧電磁器が得られる。
次に、本発明の積層型圧電素子について説明する。図1は本発明の積層型圧電素子の一実施例を示す概略断面図である。本発明の積層型圧電素子は、図1に示すように、それぞれ複数の圧電体1と内部電極2とを交互に積層してなる圧電積層体3の側面に外部電極4を接続し、さらに、各外部電極4にリード線6を接続して構成されている。
圧電体1の厚みは、0.05〜0.25mm、内部電極2の厚みは0.003〜0.01mmが好ましく、また、本発明の圧電体1の平均結晶粒径は、1〜6μm、特に、圧電特性を高めるという理由から、1.5μm以上、特に、2μm以上、機械的強度を高めるという理由から、4μm以下、特に、3μm以上が好ましい。さらに、圧電体1、内部電極2の積層数は、所望の特性を得るためにそれぞれ100〜400層が好ましい。
そして、本発明の積層型圧電素子における内部電極2は、全金属に対するAgの含有量が90質量%以上であることを特徴とするものであり、特に、95質量%であることがより望ましい。また、この内部電極にはPtを0.1質量%以上含有することが望ましく、更には、AgとともにPd含有することが好ましい。なお、本発明においては、前記AgやPd等の貴金属のみならず、CuやNi等の卑金属も用いることができる。
次に、本発明の積層型圧電素子の製法について説明する。以上のように構成された同時焼成型の積層型圧電素子は、以下のプロセスにより製造される。積層型圧電素子の製法において用いる仮焼粉末は、前記圧電磁器を得るのに用いた仮焼粉末と同じである。
得られた仮焼粉末に対して有機バインダー、有機溶剤および可塑剤とを混合したスラリを調製し、シート成形法によりグリーンシートを作製する。
このグリーンシートの片面にAg/Pdの比率が所定比率である導体ペーストをスクリーン印刷法により印刷し導体パターンを形成する。この導体パターンを乾燥させた後、導体パターンが形成された複数のグリーンシートを所定の枚数だけ積層し、この積層体の積層方向の両端部に、導電性ペーストが塗布されていないグリーンシートを積層する。
次に、この積層体を50〜200℃で加熱を行いながら加圧を行い、積層体を一体化する。一体化された積層体は所定の大きさに切断された後、300〜600℃で5〜40時間、脱バインダが行われ、950〜1000℃で2〜5時間で本焼成が行われ、圧電積層体3となる積層焼結体を得る。この圧電積層体3の側面には、内部電極2の端部が露出している。
その後、該圧電積層体3の2つの側面において、内部電極2の端部を含む圧電磁器の端部に該2側面において互い違いに接続されるように外部電極4を形成する。また、本製法では、この圧電積層体3の内部電極2を1層おきに深さ50〜150μm、積層方向の幅50〜100μmの溝を形成し、該溝にシリコーンゴム等の絶縁体7を充填して絶縁してもよい。この後、正極用外部電極、負極用外部電極にリード線6を接続し、アクチュエータの外周面にデイッピング等の方法により、シリコーンゴムを被覆した後、3kV/mmの分極電界を印加して分極処理することで、最終的に圧電アクチュエータとなる積層型圧電素子を得る。
なお、本発明の積層型圧電アクチュエータは、四角柱、六角柱、円柱等、どのような柱体であっても構わないが、切断の容易性から四角柱状が望ましい。
本発明の積層型圧電素子を構成する圧電磁器は、上記したように、ペロブスカイト型結晶を主結晶相とするもので、異相は殆ど存在しないことが望ましい。また、Ag、Al、Fe、S、Cl、Eu、K、P、Cu、Mg、Si等が不可避不純物として混入する場合もあるが、特性上問題ない。
次に、上記の積層型圧電素子により構成される噴射装置について説明する。図2は、本発明の噴射装置を示すもので、図において符号31は収納容器を示している。この収納容器31の一端には噴射孔33が設けられ、また収納容器31内には、噴射孔33を開閉することができるニードルバルブ35が収容されている。
噴射孔33には燃料通路37が連通可能に設けられ、この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が一定の高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるように形成されている。
また、ニードルバルブ35の上端部は直径が大きくなっており、収納容器31に形成されたシリンダ39と摺動可能なピストン41を有している。そして、収納容器31内には、噴射装置において圧電アクチュエータとなる積層型圧電素子43が収納されている。
このような噴射装置では、圧電アクチュエータ43が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41が押圧され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると圧電アクチュエータ43が収縮し、皿バネ45がピストン41を押し返し、噴射孔33が燃料通路37と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
本実施例では、圧電磁器についても、本発明の積層型圧電素子にて評価を行った。まず、原料粉末として高純度のPb、ZrO、TiO、BaCO、SrCO、WO、およびYbなどの各原料粉末を所定量秤量し、直径5mmのジルコニア製ボールを有するボールミルで20時間湿式混合した。組成は、PbA−aM1M2
(Zr1−XTiX1−b−c3+αとし、M1にBaCO、SrCOを3:2の比率とし、a=0.05とした。M2、M3Yb およびWO を用いた。なお、本実施例では、Aサイトの平均価数は2とし、A/B比は1とした。次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、750℃で3時間仮焼した後に解砕し、上記本発明の仮焼物の平均粒径および比表面積の範囲に調整した。本発明の圧電磁器および積層型圧電素子を作製するのに用いる仮焼粉末を得た。まず、圧電磁器のみの密度を評価するために直径10mm厚み1mmの成形体を作製し1000℃で焼成した。
次に、得られた仮焼原料と、有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、スリップキャステイング法により、厚み150μmのセラミックグリーンシートを作製した。このグリーンシートの片面にAg−Pdを主成分とし、Ag/Pd比が所定値を有する導体ペーストを、スクリーン印刷法により5μmの厚みに印刷し、導体パターンを乾燥させた後、導体パターンが形成された複数のグリーンシートを200枚積層し、この積層体の積層方向の両端部に、導電性ペーストが塗布されていないグリーンシートを10枚積層した。
次に、この積層体を100℃で加熱を行いながら加圧を行い、積層体を一体化し、12mm×12mmの大きさに切断した後、800℃で10時間の脱バインダを行い、950〜1000℃で2時間本焼成を行ないアクチュエータ本体となる積層焼結体を得た。
その後、この積層焼結体の2つの側面において、内部電極端部を含む圧電磁器の端部に該2側面において互い違いになるように、外部電極を形成した。この後、正極用外部電極、負極用外部電極にリード線を接続し、積層型圧電素子の外周面にデイッピングにより、シリコーンゴムを被覆した後、3kV/mmの分極電圧を印加し、積層型圧電素子全体を分極処理して本発明の積層型圧電素子を得た。
まず、得られた圧電磁器の密度を測定した。相対密度95%より低いものを低密度として不良とした。磁器の粒径は、断面研磨した試料について電子顕微鏡を用いて求めた。積層型圧電素子については、実効的な圧電歪定数、キュリー温度、高温耐久性試験の評価を行った。実効的な圧電歪定数の評価は、防震台上に固定した積層型圧電素子試料に対し積層方向に150kgfの予荷重を加えた状態で、0〜200Vの電圧を印加し、その時の積層型圧電素子試料の全長の変化量を測定し、この変化量を積層数および印加電圧で除することにより算出した。キュリー温度は、圧電磁器の静電容量の温度特性を測定して求めた。高温耐久性試験は、高温槽を用いて、150kgfの荷重を印加した状態で、温度150℃、周波数50Hzの条件にて10回までの繰り返し駆動を評価した。
比較例として、A、Bサイトの平均価数を本発明外の範囲としたものを上記本発明の試料と同じ方法により作製し評価した。
Figure 0004535721
表1の結果から、本発明の積層型圧電素子である試料No.2〜6、8〜17では、磁器の相対密度がいずれも95%以上、平均結晶粒径が組成によって異なるものであったが、いずれも1〜6μmであった。また、これらの試料では、キュリー温度が325℃以上、実効的な圧電歪定数が860pm/V以上、高温耐久性試験では10サイクルの作動試験において不良が無かった。
特に、圧電体の平均結晶粒径を2μmとした試料No.3〜5、9〜11、14〜16では、キュリー温度が328℃以上、実効的な圧電歪定数が865pm/V以上、高温耐久性試験では10サイクルにおいても変位量の低下率が10%以下であった。
一方、本発明外の試料No.1、7では、実効的な圧電歪定数が低く、高温耐久試験において変位量の低下率が10%より大きかった。
本発明の積層型圧電圧電素子を示す概略断面図である。 本発明の噴射装置の説明図である。
符号の説明
1・・・圧電体
2・・・内部電極
31・・・収納容器
33・・・噴射孔
35・・・バルブ
43・・・圧電アクチュエータ

Claims (14)

  1. AサイトにPbおよびM1(M1は、Ca、Sr、Ba、Nd、Liのうち少なくとも1種)を、BサイトにZrTi、YbおよびWを少なくとも含むペロブスカイト型複合酸化物からなる圧電磁器であって、前記Bサイトの平均価数が4.002〜4.009であることを特徴とする圧電磁器。
  2. ペロブスカイト型複合酸化物が、
    PbA−aM1M2M3(Zr1−XTiX1−b−c3+αと表したとき、少
    なくとも前記A、a、b、c、Xが、
    0.98≦A≦1.01
    0.01≦a≦0.1
    0.005≦b≦0.025
    0.005≦c≦0.015
    0.45≦X≦0.55
    M1は、Ca、Sr、Ba、Nd、Liのうち少なくとも1種、
    M2はYb、M3はであることを特徴とする請求項1に記載の圧電磁器。
  3. 前記ペロブスカイト型複合酸化物の平均結晶粒径が1〜6μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電磁器。
  4. Aサイト/Bサイト比が0.98〜1.02であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか記載の圧電磁器。
  5. 前記PbA−aM1M2M3(Zr1−XTiX1−b−c3+αで示される
    酸素過剰量αが−0.03〜0.02であることを特徴とする請求項乃至4のうちいずれかに記載の圧電磁器。
  6. 圧電体と内部電極とを交互に積層してなる積層型圧電素子において、前記圧電を請求項1乃至5のうちいずれか記載の圧電磁器により構成したことを特徴とする積層型圧電素子。
  7. 内部電極中の全金属に対するAg含有量が90質量%以上であることを特徴とする請求項に記載の積層型圧電素子。
  8. 前記内部部電極がPtを0.1質量%以上含有することを特徴とする請求項またはに記載の積層型圧電素子。
  9. 前記内部電極中の金属組成物がVIII族金属、Ib族金属のいずれか、あるいは、前記VIII族金属および前記Ib族金属を主成分とすることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の積層型圧電素子。
  10. 前記内部電極中の前記VIII族金属の含有量をM1(重量%)、前記Ib族金属の含有量をM2(重量%)としたとき、0<M1≦15、85≦M2<100、M1+M2=100を満足することを特徴とする請求項記載の積層型圧電素子。
  11. 前記VIII族金属がNi、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Osのうち少なくとも1種以上であり、前記Ib族金属がCu、Ag、Auのうち少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項または1のいずれかに記載の積層型圧電素子。
  12. 前記VIII族金属がPt、Pdのうち少なくとも1種以上であり、前記Ib族金属がAg、Auのうち少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項乃至1のいずれかに記載の積層型圧電素子。
  13. 前記Ib族金属がCuであることを特徴とする請求項乃至1のいずれかに記載の積層型圧電素子。
  14. 噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内に収容された請求項乃至1のうちいずれか記載の積層型圧電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする噴射装置。
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