JP4660701B2 - 銀被覆銅粉およびその製造方法並びに導電ペースト - Google Patents

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本発明は、導電性ペースト等の用途に適した銀被覆銅粉およびその製造方法、並びにその銀被覆銅粉を使用した導電ペーストに関する。
導電ペーストは、実験目的から電子産業用途に至るまで幅広い分野で使用されている。中でも、高い電気伝導性が要求される用途においては、銀粉を導電フィラーとして使用した「銀系ペースト」が主として使用されている。しかし、「銀系ペースト」は銅粉を導電フィラーとして使用した「銅系ペースト」と比較し、i) 地金価格が高いため高価である、ii) マイグレーションが起こりやすい、iii) ハンダ食われ性が劣る、といった欠点を有している。これら欠点を克服する手法の一つとして、銀被覆銅粉が提案されている。
銀被覆銅粉の製造方法には、銅と銀の置換反応を利用とした置換法や、還元剤を用いた還元法がある。
特許文献1には、硝酸銀、炭酸アンモニウム塩及びEDTA(エチレンジアミン四酢酸)三ナトリウムの銀錯塩溶液を用いて金属銅粉の表面に金属銀を析出させる方法が開示されている。
特許文献2には、硝酸銀、アンモニア水及びEDTAの銀錯塩溶液を用いて金属銅粉の表面に金属銀を析出させる方法が示されている。
特許文献3には、キレート化剤溶液に銅粉を分散させた後、分散液に銀イオン溶液を加えて還元反応を促し、さらに還元剤を添加して完全に還元析出させて、銅粉の表面に銀被膜を析出させる方法が開示されている。
しかし、これらはいずれも水溶液中での反応を利用するものであり、水溶媒中での銅粉の分散性を確保する観点から、脂肪酸等の疎水性の表面処理が施された銅粉、あるいは界面活性剤等の発泡性の表面処理が施された銅粉を、そのまま銀被覆反応に供することは困難である。したがって、一般的に入手しやすいこれらの銅粉を使用するには予め前処理を施して分散性を確保する必要があり、工程増による製造コストの増大を招く。
ところで、導電ペーストで用いるフィラー形状には、球状のものとフレーク状のものとがあり、通常は、球状のものとフレーク状のものを組み合わせて使用することが多い。球状のものは、粘度の低減、ペーストを硬化または焼結させた際の密度向上等に寄与し、フレーク状のものは、粘性(チキソ性)の調整、塗布性等の調整、嵩密度の抑制等に必要とされる。このうちフレーク状のものとしては、導電ペーストとして安定した粘度を持ち、適度な塗布性を持たせるために、粒径・厚みが均一であるものが望ましい。特に、ペーストの焼結性や接着強度を低減させるためには、粒径・厚みの揃ったフレーク状フィラーは不可欠である。また、電極として優れた導電性を有するためには、フレーク状フィラー中の不純物量が少ないことが望ましい。
フレーク状フィラーに要求されるこれらの特性は、銀被覆銅粉をフィラーとして使用した場合についても当てはまることである。しかしながら、銀被覆フレーク銅粉に関する銀被覆の均一性や、粒径・厚みを揃えることについては、未だ十分に研究がなされていない。
特許文献4には、アトマイズ粉を原料とし、助剤としてのステアリン酸を混合して偏平化することによりフレーク状銅粉を製造し、得られたフレーク状銅粉を脱脂・水洗後、銀被覆反応をすることにより銀被覆フレーク状銅粉を作製することが記載されている。この場合、銀被覆の効果は認められるものの、製造工程中の脱脂・水洗処理が問題である。すなわち、脱脂・水洗工程が追加されることにより工程が増加する。また、脱脂が不十分で脂肪酸が表面に残留したりすると、銀被覆が不均一となってしまう。さらに、脱脂することによりフレーク銅粉の無垢な表面が大気と接触することとなり、表面酸化を引き起こしてしまう。酸化した表面は銀被覆処理において銀被覆が不均一に形成する原因となり、銀被覆反応の再現性の低下、銀被覆フレーク状銅粉の酸化による経時劣化、信頼性の低下に繋がる。銀被覆が不均一に形成した銀被覆フレーク状銅粉の場合、析出した銀表面の凹凸による乱反射により、銀被覆フレーク状銅粉の色が黒くなったり、素地の銅の色が現れて赤色を帯びたりする。
特許文献5には、球状の銅粉を偏平化処理し、銀被覆したのち、粒子同士を機械的に接触させて平滑化を図ることが記載されている。この場合、銀および銅に展性・延性があるとはいえ、機械的接触により銀被覆層が破れてしまうことがあり、不均一な銀被覆となりやすい。不均一な銀被覆の形成は、酸化による経時劣化、信頼性の低下を招く恐れがある。また、同文献には偏平化の際に疎水性の脂肪酸等ではなく、水溶性の界面活性剤を助剤として使用することが開示されている。しかしこの場合も界面活性剤を十分に洗浄する必要があるため、特許文献4の場合と同様、フレーク銅粉の無垢な表面が大気と接触することなり、表面酸化を引き起こしてしまう。仮に界面活性剤を洗浄せずにフレーク状銅粉を銀被覆反応に供した場合は、多量の泡が発生してしまい、反応液が溢れたり攪拌が十分に行えなかったりする不都合を招く。
特許文献6には、銀被覆フレーク状銅粉の粒度分布や銀被覆反応液について記載されているが、銀被覆層の均一性、偏平化時の助剤の種類や除去方法等については特に言及されておらず、特許文献4あるいは5と同様の方法で製造されていることから、均一な銀被覆層が形成されるとは推測しがたい。
特公昭57−59283号公報 特開昭61−3802号公報 特開平1−119602号公報 特開平8−161929号公報 特開2002−245849号公報 特開2004−68111号公報
本発明は上記の現状に鑑み、原料銅粉に銀被覆処理を施す際、[1] 原料銅粉の粒子表面に付着している疎水性物質や界面活性剤を除去するための脱脂や洗浄などの工程(以下「除去工程」という)を省略すること、[2] 薄く均一な銀被覆を安定して形成すること、を一挙に実現する銀被覆処理技術を開発し、導電ペースト用フィラーに適した高品質の銀被覆銅粉およびそれを用いた導電ペーストを安価に提供しようというものである。
発明者らは種々検討の結果、銀イオンと金属銅との置換反応を、銀イオンが存在する有機溶媒含有溶液中好ましくは有機溶媒相と水溶媒相からなるエマルジョン中で起こさせることにより、上記目的に叶う銀被覆銅粉の製造が可能になることを見出した。銀イオン源としては硝酸銀が好適に使用でき、有機溶媒としては硝酸銀等の銀塩に対して溶解度を有するアルコール、ケトン、アルデヒドおよびエーテルの1以上を使用することができる。液中にはキレート化剤やpH緩衝剤を含有させることが好ましい。また、原料銅粉としては湿式還元法またはアトマイズ法により製造された銅粉に由来するものの他、機械的に偏平化されたフレーク状銅粉が好適に使用できる。
また本発明では、上記の製造方法により得ることが可能な銀被覆銅粉として、JIS Z8729に規定される明度L*が50以上である銀被覆銅粉、あるいはまた、銀被覆層の平均厚さt(nm)と銀被覆銅粉の明度L*が下記(1)式の関係を満たす銀被覆銅粉が提供される。明度L*は銀被覆層の均一性を評価する指標となり、銀被覆層の平均厚さtが同じである場合、L*が大きいほど均一性が高いと判断される。
39+0.76t−3.5×10-32≦L* ……(1)
このようなものにおいて、本発明では特に、下記(a)〜(c)の銀被覆銅粉が提供される。
a)フレーク状粒子で構成され、粒子の平均厚さdが0.2μm以上、D50が1〜30μm、下記(2)式で定義されるA値が0.1以下である銀被覆銅粉。
A値=Sd/(D90/D50) ……(2)
ただし、平均厚さdは電子顕微鏡を用いて測定される100個以上の粒子の平均厚さ、Sdは前記平均厚さdの標準偏差、D50はレーザー回折法で測定される粒度分布における50%径(平均径)、D90は同粒度分布における90%径、D10は同粒度分布における10%径である。
(b)フレーク状粒子で構成され、下記(4)式で表される関係が成立する銀被覆銅粉。
Y=aX+b ……(4)
ここで、Yは下記(3)式におけるB値、XはD90/D10の値、aは定数で0.05〜0.2の値、bは定数で0.01〜0.2の値である。
B値=Sd/d ……(3)
ただし、dは電子顕微鏡を用いて測定される100個以上の粒子の平均厚さ、Sdは前記平均厚さdの標準偏差、D50はレーザー回折法で測定される粒度分布における50%径(平均径)、D90は同粒度分布における90%径である。
(c)BET法で測定した比表面積が0.2〜2.5m 2 /g、タップ密度が1.5〜5g/cm 3 である銀被覆銅粉。
なお、銀被覆層の平均厚さtは下記(5)式によって算出される。
t=x/(10.5×S)×10 ……(5)
ただし、xは銀被覆銅粉中における銀の含有量(質量%)、10.5は金属銀の密度(g/cm3)、Sは金属被覆銅粉の比表面積(m2/g)である。
また、このような銀被覆銅粉をフィラーとして使用した導電ペーストが提供される。
本発明によれば、原料の銅粉に脱脂・洗浄等の前処理を施すことなく、そのまま銀イオンと金属銅との置換反応を利用した銀被覆処理に供することが可能になった。その省工程化により銀被覆銅粉の製造コストが低減される。また、銀被覆処理において有機溶媒を用いるため、機械的偏平化によってフレーク状銅粉を製造する際に使用する助剤についても選択の自由度が拡がり、原料銅粉の段階において粒子形状等の適正化が容易になる。さらに、脱脂・洗浄後の表面酸化に起因する銀被覆層の不均一形成の問題が解消され、従来より薄くかつ均一な銀被覆層を安定して形成することができる。したがって本発明は、品質およびコストの両面から銀被覆銅粉およびそれを用いた導電ペーストの普及に寄与するものである。
従来から銀イオンと金属銅との置換反応を利用して銅粒子表面に銀を被覆する方法は知られているが、本発明ではその置換反応を有機溶媒存在下で行う。すなわち、有機溶媒含有溶液中、あるいは有機溶媒相と水溶媒相からなるエマルジョン中で、銀イオンと金属銅との置換反応を起こさせる。有機溶媒を使用すると、原料銅粉の表面に疎水性の物質が付着している場合でも、反応液中での銅粉の分散性を確保することが可能になる。また、界面活性剤が付着している場合でも、反応液中での発泡を抑えることができる。このため、これらの付着物質を除去する工程を経ずに、直接置換反応を進行させることが可能になるのである。特に、フレーク状銅粉を機械的偏平化工程により製造する際には、一般的に助剤を添加することが行われ、その助剤には疎水性のものが使用されることが多い。また助剤に界面活性剤を含ませる場合もある。本発明はフレーク状銅粉を原料とする場合に極めて有効である。
ただし、単に有機溶媒を使用すれば良いわけではない。前記置換反応を進行させるためには銀イオンが溶けている必要があり、硝酸銀等の一般的に入手しやすい銀塩に対して十分な溶解度を確保しなければならない。以下、本発明に従う銀被覆の方法について具体的に説明する。
原料の銅粉としては、湿式還元法またはアトマイズ法によって製造された球状銅粉や、機械的に偏平化加工されたフレーク状銅粉など、種々のものが使用できる。
本発明に従う銀被覆処理では、後述のように銀の被覆量が少ないこともあり、被覆処理の前後で粒子形状や粒度分布はほとんど変化しないと見て良い。このため、製品となる銀被覆銅粉に要求される粒子形状および粒度分布をもつ原料銅粉を用意すればよい。
発明者らの検討の結果、導電ペースト用の銀被覆フレーク状銅粉の場合、粒子の平均厚さdが0.2μm以上、D50が1〜30μmであり、下記(2)式で定義されるA値が0.1以下、あるいは更に下記(3)式で定義されるB値が0.5以下である銀被覆フレーク状銅粉が適していることがわかった。
A値=Sd/(D90/D50) ……(2)
B値=Sd/d ……(3)
ただし、平均厚さdは走査型電子顕微鏡観察像(SEM像)により測定されるランダムに選んだ100個以上の粒子の平均厚さが採用でき、Sdは前記平均厚さdの標準偏差である。D50はレーザー回折法で測定される粒度分布における50%径(平均径)である。D90は同粒度分布における90%径、D10は同粒度分布における10%径である。
粒子の平均厚さdは0.2μm以上であることが望ましいが、0.3〜1.5μmが一層好ましい。D50は1〜30μmであることが望ましいが、2〜22μmが一層好ましい。
A値は粒度分布と厚みの均一性を表す尺度となる。A値が0.1を超えると、その均一性が損なわれ、ペーストにしたときに粘度・焼け・焼成後の平面性などのバラツキが大きくなるので好ましくない。B値は厚みのバラツキを表す尺度となり、B値は0.5以下であることが望ましい。また(2)式、(3)式中のSdの値は0.5未満であるのが良い。B値が0.5を超える場合や、Sdが0.5以上の場合は、ペーストにしたときに粒子同士の接触面積が少なくなり、焼結後の電気伝導性および表面平滑性の劣化につながるので好ましくない。なお、Sdは0.4以下であることがより好ましく、0.2以下が一層好ましい。
また、導電ペースト用の銀被覆フレーク状銅粉の場合、D50/dで表されるアスペクト比が5〜70であることが好ましい。アスペクト比が5未満では、ペーストとして加工・塗布した際、外観形状の保持性および表面平滑性において球状粉の場合に比べた優位性があまり発揮されない。他方、アスペクト比が70を超えるとペーストに加工した際の増粘による粘度調整が困難になり、ペースト塗布時の外観形状の保持性および表面平滑性が劣化するようになる。このため、アスペクト比は5〜70の範囲とすることが好ましい。5〜65が一層好ましい。
さらに、フレーク状粒子において、下記(4)式で表される関係が成立することが望ましい。
Y=aX+b ……(4)
ここで、Yは前記(3)式におけるB値、XはD90/D10の値、aは定数で0.05〜0.2の値、bは定数で0.01〜0.2の値である。
B値とD90/D10の間には一定の相関があり、(4)式のaが0.05〜0.2の値、bが0.01〜0.2の値をとるときに良好なフレークの形状(厚み・粒径・その比)および粒度分布が得られる。この場合、Xの値(すなわちD90/D10の値)は2〜5の範囲にあるのが好ましい。Xがこの範囲にあるとき、ペーストに要求されるレオロジーおよびチキソ性を得る上で有利となる。Xは2〜4であることが一層好ましい。
以上のような粒子形状および粒度分布をもつフレーク状銅粉は、例えば球状銅粉などを素材としてボールミル等で機械的に塑性変形させて偏平化する方法により製造することができる。偏平化に際しては、粒子同士の凝集や結合を防止しながら各粒子を独立した状態で加工するために、助剤を添加することが極めて有効である。例えばステアリン酸などの脂肪酸や、界面活性剤などを、0.1〜3質量%程度添加すればよい。
銀被覆反応を行う反応液としては、有機溶媒を含む溶液、または有機溶媒相と水溶媒相からなるエマルジョンを用いる。水に対する溶解度が大きい有機溶媒を使用する場合は均一な混合溶液となるが、溶解度が低い有機溶媒の場合は、静止状態では水相と有機溶媒相が分離するため、液を攪拌することによりエマルジョンを形成させた状態で銀被覆反応を行う。これらの反応液を使用することにより、偏平化の際に添加した助剤を除去することなく、フレーク状銅粉をそのままの銀被覆反応に供することができる。
上記有機溶媒としては、水との相溶性、銀塩(主として硝酸銀)の溶解度を有する、アルコール、ケトン、アルデヒド、エーテルを使用することができる。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−メチルプロパノール、3−メチルプロパノール、1,1,−ジメチルエタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、テルピネオール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルエーテル、エチルエーテル、もしくはメチルエチルエーテル等を使用することができる。特に水を含有せず有機溶媒を単独の反応液として使用する場合は、銀塩を直接溶解することが可能な多価アルコールが好ましい。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
有機溶媒と水との混合溶液、またはエマルジョン中にて銀被覆を行う場合は、有機溶媒として室温(20〜30℃)において液体となるものを用いる必要がある。水と有機溶媒との混合比率は、使用する有機溶媒により適宜調整することができる。
また、有機溶媒と混合する水としては、不純物が混入する恐れがなければ、蒸留水、イオン交換水、工業用水等、いずれを用いても良い。
銀被覆反応に使用する銀原料としては、銀イオンを液中に存在させる必要があるため、水あるいは多くの有機溶媒に対して溶解度を有する硝酸銀を用いることが望ましい。できるだけ均一な被覆反応を実現するために、硝酸銀を固体状で添加せず、水溶液、有機溶媒、または水―有機溶媒混合液に硝酸銀を溶解した硝酸銀溶液として使用することが好ましい。目的とする銀被覆量に応じて、使用する硝酸銀溶液の濃度、有機溶媒量、および使用する硝酸銀溶液量を決める。
銀被覆層をより均一に形成させるために、有機溶媒を含有する反応液(混合溶液あるいはエマルジョン)中にキレート化剤を添加しても良い。キレート化剤としては、銀イオンと金属銅との置換反応により副生成する銅イオンが再析出しないよう、銅イオンとの錯安定度定数の高いものが好ましい。具体的には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、イミノジ酢酸、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、およびそれらの塩を使用することができる。
銀被覆反応を安定かつ安全に行うにあたり、pH緩衝剤を添加しても良い。具体的には、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アンモニア水、炭酸水素ナトリウムをpH緩衝剤として使用することができる。
銀被覆反応を行わせる際には、まず銀塩を添加する前の液中に銅粉原料を入れて攪拌し、銅粉が液中に十分分散している状態で銀塩を含んだ液を添加することが望ましい。反応温度は、反応液が凝固したり蒸発したりしなければ特に規定されるものではないが、概ね20〜80℃で設定可能である。反応時間は、銀の被覆量・反応温度によって異なるが、概ね1分〜5時間の範囲で設定可能である。
このようにして得られる銀被覆銅粉は、「除去工程」を得て製造されるものと比べ銀被覆層の均一性に優れるものであるが、発明者らは銀被覆層の均一性を評価する指標として、JIS Z8729に規定される明度L*が使用できることを見出した。明度L*は例えば色差測定装置によって計測することができる。具体的には、粉体を測定装置の試料容器に厚さ10mmとなるように入れ、10回タッピングして平滑化し、その粉体表面についてL*を測定すればよい。L*の値が大きいほど銀被覆層の均一性が高いと判断される。
本発明の方法に従えば、L*が50以上の銀被覆フレーク状銅粉が得られる。これは、導電ペースト用フィラーとして優れた導電性および信頼性を有するものである。L*が55以上のものが一層好ましい対象となる。
また、L*は銀被覆層の厚さが厚くなるほど高い値を示す傾向を有する。このため、銀被覆層の均一性をより精度良く評価するには、銀被覆層厚さに応じて適正なL*値の範囲を規定することが望ましい。発明者らの検討の結果、下記(1)式を満たす銀被覆フレーク状銅粉は、種々の銀被覆量において、導電ペースト用フィラーとしての優れた導電性および信頼性を安定して呈することがわかった。特に下記(1)'式を満たすものが一層好ましい。
39+0.76t−3.5×10-32≦L* ……(1)
43+0.76t−3.5×10-32≦L* ……(1)'
ここで、tは銀被覆層の平均厚さ(nm)であり、前述の(5)式によって定めることができる。
本発明に従えば銀被覆層の均一性が顕著に改善されるため、銀の被覆量を低減しても導電ペースト用フィラーとしての特性を確保することが可能である。例えば上記のL*の規定を満たすフレーク状導電ペーストにおいて、銀の被覆量を30質量%以下としたものが好適な対象となる。25質量%以下としたものが更に好適である。このように銀の使用量を低減した銀被覆銅粉は、銀粉と比較して大きなコストメリットを生じる。
このように規定される粒子形状および粒度分布をもつ銀被覆フレーク状銅粉において、BET法で測定した比表面積が0.2〜2.5m2/g、タップ密度が1.5〜5g/cm3であるのが望ましい。特に、焼成型導電性ペーストのフィラーとして使用する場合は、BET比表面積が0.2〜1.2m2/g、タップ密度が3〜5g/cm3が良い。フィラーコンテンツを少なくして導電性を確保するタイプの樹脂硬化型導電性ペーストのフィラーとして使用する場合は、BET比表面積が0.2〜2.5m2/g、タップ密度が1.5〜5g/cm3であるのが望ましい。
銀被覆銅粉において、酸素含有量が1質量%を超えると、電極、電子配線、ビアホール中に銅酸化物が残留することによる耐候性の劣化や信頼性の低下が懸念される。炭素含有量が2質量%を超えると、ペーストとして使用時の焼け特性の劣化(焼きムラ・難焼成)や信頼性の低下を招く恐れがある。したがって、酸素含有量が1質量%以下、炭素含有量が2質量%以下の銀被覆銅粉が好適な対象となる。
本発明に従う銀被覆フレーク状銅粉をフィラーとして使用した導電ペーストでは、銀被覆フレーク状銅粉の粒子同士の接触面積が大きく、かつ、互いに重なり合った状態で塗布されるため、導電性の点、表面の平滑さの点、形状保持の点で従来のものにない良好な導電回路や外部電極を形成することができる。ペーストを製作する際に、本発明に従う銀被覆フレーク状銅粉だけを樹脂に分散させても良いが、粒径が0.5〜10μmの球状の銀被覆銅粉および/または銀粉と適切な割合で混合して樹脂に分散させても良い。0.5μm未満の球状粉を混合した場合は、粒子同士の凝集が激しくなって均一な分散が得られず、ペーストとして適度な特性を保てない。逆に10μmを超える球状粉を混合すると、通常の電子部品、配線導体やビアホールに要求される精密な電極や焼成パターンを形成することが困難となり、また焼結性が悪化するので好ましくない。なお、本発明に従う銀被覆フレーク状銅粉は、前記の球状粉と複合してまたは単独に他の形状の銀被覆銅粉を適量混合して樹脂に分散させることもできる。
〔実施例1〕
原料銅粉としてフレーク状銅粉を用い、銀含有量が4質量%となるように銀被覆処理を行った。銀被覆処理に用いたフレーク状銅粉の粒度分布を、ベックマンコールター社製の粒度分布測定装置LS230を用いて測定したところ、D10=5.5μm、D50=11.3μm、D90=21.4μm、D90/D10=3.9であり、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、粒子の平均厚さd=0.8μm、厚さの標準偏差Sd=0.33を得た。A値、B値、アスペクト比D50/dを算出したところ、A値=0.09、B値=0.41、D50/d=14.1であった。このフレーク状銅粉は、助剤として0.4質量%のステアリン酸が含まれているものである。
銀被覆処理は次のようにして行った。まず、フレーク状銅粉37gを、25℃のエチレングリコール(EG)713g溶液中で分散させ、30分間攪拌し、5質量%フレーク状銅粉を含むフレーク状銅粉分散液を準備した。また、硝酸銀2.33gを25℃のエチレングリコール27.09g溶液中で30分間の攪拌を行い溶解させ5質量%の銀を含む硝酸銀溶液を作製した。次に、前記フレーク状銅粉分散液と硝酸銀溶液を混合し、25℃で管理した混合溶液を60分間攪拌した。
その後、スラリーを濾別し、IPA(イソプロピルアルコール)にて洗浄、窒素中で120℃乾燥して、銀被覆フレーク状銅粉を得た。
得られた銀被覆フレーク状銅粉を評価したところ、銀被覆量3.7質量%、BET比表面積0.47m2/g、タップ密度3.6g/cm3、酸素量0.3質量%、炭素量0.4質量%、銀被覆層の平均厚さt=5nm、L*=50であり、均一性の高い銀被覆層を有するフレーク状銅粉であることが確認された。
なお、比表面積はBET一点法、色差測定は東京電色製TCD−1500DX、銀被覆量は銀被覆フレーク状銅粉を酸に溶解させてICPにて評価した。
〔実施例2〕
フレーク状銅粉を用い、銀含有量が20質量%となるように銀被覆処理を行った。銀被覆処理に用いたフレーク状銅粉について実施例1と同様の方法で測定したところ、D10=3.3μm、D50=6.3μm、D90=12.9μm、D90/D10=3.9、d=0.4μm、Sd=0.14、A値=0.04、B値=0.35、D50/d=15.8であった。このフレーク状銅粉は、助剤として0.7質量%のステアリン酸が含まれているものである。
銀被覆処理は次のようにして行った。炭酸アンモニウム47.2gとエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物(EDTA・2Na)94.5gを純水376gに溶解した溶液と、純水48.7gに硝酸銀15.7gを溶解した硝酸銀水溶液を混合して、硝酸銀水溶液を調製した。また、炭酸アンモニウム19gとEDTA・2Na塩19gを純水111gに溶解させた後、イソプロピルアルコール(IPA)198gを添加し、フレーク状銅粉40gを加え攪拌してフレーク状銅粉分散液を準備した。このフレーク状銅粉分散液の液温を50℃に調整し、前記の硝酸銀水溶液を添加し、60分間攪拌しながら保持した。
攪拌中は、イソプロピルアルコールが主成分の有機溶媒相と、純水が主成分の水相からなるエマルジョン状態となっていた。反応終了後、室温まで冷却して攪拌を止めると、エマルジョンを形成していた反応スラリーは、比重の差により相分離した。
反応スラリーを濾別し、純水およびIPAにて洗浄、窒素中で120℃乾燥して、銀被覆フレーク状銅粉を得た。
得られた銀被覆フレーク状銅粉を実施例1と同様の方法で評価したところ、銀被覆量21質量%、BET比表面積1.2m2/g、タップ密度2.2g/cm3、酸素量0.6質量%、炭素量0.3質量%、銀被覆層の平均厚さt=16nm、L*=56であり、均一性の高い銀被覆層を有するフレーク状銅粉であることが確認された。
〔実施例3〕
フレーク状銅粉を用い、銀含有量が10質量%となるように銀被覆処理を行った。銀被覆処理に用いたフレーク状銅粉について実施例1と同様の方法で測定したところ、D10=2.6μm、D50=4.1μm、D90=7.3μm、D90/D10=2.9、d=0.8μm、Sd=0.27、A値=0.09、B値=0.33、D50/d=5.1であった。このフレーク状銅粉は、助剤として0.7質量%のステアリン酸が含まれているものである。
銀被覆処理は次のようにして行った。炭酸アンモニウム31.5gとエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物(EDTA・2Na)63gを純水250gに溶解した溶液と、純水32.4gに硝酸銀10.5gを溶解した硝酸銀水溶液を混合して、硝酸銀水溶液を調製した。また、炭酸アンモニウム28.6gとEDTA・2Na塩28.6gを純水166gに溶解させた後、t−ブチルアルコール166gを添加し、フレーク状銅粉60gを加え攪拌してフレーク状銅粉分散液を準備した。このフレーク状銅粉分散液の液温を50℃に調整し、前記の硝酸銀水溶液を添加し、60分間攪拌しながら保持した。
攪拌中は、t−ブチルアルコールが主成分の有機溶媒相と、純水が主成分の水相からなるエマルジョン状態となっていた。反応終了後、室温まで冷却して攪拌を止めると、エマルジョンを形成していた反応スラリーは、比重の差により相分離した。
反応スラリーを濾別し、純水およびIPAにて洗浄、窒素中で120℃乾燥して、銀被覆フレーク状銅粉を得た。
得られた銀被覆フレーク状銅粉を実施例1と同様の方法で評価したところ、銀被覆量10質量%、BET比表面積0.49m2/g、タップ密度3.6g/cm3、酸素量0.3質量%、炭素量0.5質量%、銀被覆層の平均厚さt=20nm、L*=58であり、均一性の高い銀被覆層を有するフレーク状銅粉であることが確認された。
〔実施例4〕
フレーク状銅粉を用い、銀含有量が15質量%となるように銀被覆処理を行った。銀被覆処理に用いたフレーク状銅粉は、実施例3で用いたものと同じである。
銀被覆処理は次のようにして行った。炭酸アンモニウム33gとエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物(EDTA・2Na)67gを純水266gに溶解した溶液と、純水34.4gに硝酸銀11.1gを溶解した硝酸銀水溶液を混合して、硝酸銀水溶液を調製した。また、炭酸アンモニウム19gとEDTA・2Na塩19gを純水111gに溶解させた後、イソプロピルアルコール152gを添加し、フレーク状銅粉40gを加え攪拌してフレーク状銅粉分散液を準備した。このフレーク状銅粉分散液の液温を50℃に調整し、前記の硝酸銀水溶液を添加し、60分間攪拌しながら保持した。
攪拌中は、イソプロピルアルコールが主成分の有機溶媒相と、純水が主成分の水相からなるエマルジョン状態となっていた。反応終了後、室温まで冷却して攪拌を止めると、エマルジョンを形成していた反応スラリーは、比重の差により相分離した。
反応スラリーを濾別し、純水およびIPAにて洗浄、窒素中で120℃乾燥して、銀被覆フレーク状銅粉を得た。
得られた銀被覆フレーク状銅粉を実施例1と同様の方法で評価したところ、銀被覆量16質量%、BET比表面積0.48m2/g、タップ密度4.0g/cm3、酸素量0.2質量%、炭素量0.2質量%、銀被覆層の平均厚さt=32nm、L*=62であり、均一性の高い銀被覆層を有するフレーク状銅粉であることが確認された。
〔実施例5〕
フレーク状銅粉を用い、銀含有量が5質量%となるように銀被覆処理を行った。銀被覆処理に用いたフレーク状銅粉は、実施例1で用いたものと同じである。
銀被覆処理は次のようにして行った。炭酸アンモニウム20gとエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物(EDTA・2Na)40gを純水160gに溶解した溶液と、純水20.5gに硝酸銀6.6gを溶解した硝酸銀水溶液を混合して、硝酸銀水溶液を調製した。また、炭酸アンモニウム38gとEDTA・2Na塩38gを純水222gに溶解させた後、イソプロピルアルコール222gを添加し、フレーク状銅粉80gを加え攪拌してフレーク状銅粉分散液を準備した。このフレーク状銅粉分散液の液温を50℃に調整し、前記の硝酸銀水溶液を添加し、60分間攪拌しながら保持した。
攪拌中は、イソプロピルアルコールが主成分の有機溶媒相と、純水が主成分の水相からなるエマルジョン状態となっていた。反応終了後、室温まで冷却して攪拌を止めると、エマルジョンを形成していた反応スラリーは、比重の差により相分離した。
反応スラリーを濾別し、純水およびIPAにて洗浄、窒素中で120℃乾燥して、銀被覆フレーク状銅粉を得た。
得られた銀被覆フレーク状銅粉を実施例1と同様の方法で評価したところ、銀被覆量5質量%、BET比表面積2.4m2/g、タップ密度2.1g/cm3、酸素量0.8質量%、炭素量0.2質量%、銀被覆層の平均厚さt=2nm、L*=50であり、均一性の高い銀被覆層を有するフレーク状銅粉であることが確認された。
〔比較例1〕
フレーク状銅粉を用い、有機溶媒を使用せずに、銀含有量が10%重量となるように銀被覆処理を行った。銀被覆処理に用いたフレーク状銅粉は、実施例2で用いたものと同じである。
フレーク状銅粉は、そのままでは水に分散しないため、助剤のステアリン酸を洗浄除去した後、銀被覆処理を行った。助剤の洗浄除去として、純水100g、50質量%のNaOH水溶液20gおよびイソプロピルアルコール150gを混合し、これにフレーク状銅粉120gを加え、15分間攪拌し、濾別・純水洗浄した。洗浄により、炭素量(すなわちステアリン酸に由来する炭素の量)が0.2質量%まで減少し、ある程度水に分散するようになる。また、酸素量とL*を測定したところ、酸素量は1.7質量%、L*=38であった。
濾別・純水洗浄したフレーク状銅粉のケーキは、乾燥させることなく、そのまま銀被覆処理に用い、銀被覆処理を次のようにして行った。炭酸アンモニウム42gとエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物(EDTA・2Na)84gを純水330gに溶解した溶液と、純水43.3gに硝酸銀14gを溶解した硝酸銀水溶液を混合して、硝酸銀水溶液を調製した。また、炭酸アンモニウム38gとEDTA・2Na塩38gを純水443gに溶解させた後、助剤を洗浄除去したフレーク状銅粉のケーキ80gを加え攪拌した。液温を50℃に調整し、準備していた硝酸銀水溶液を添加し、60分間攪拌しながら保持した。
冷却後、スラリーを濾別し、純水およびIPAにて洗浄、窒素中で120℃乾燥して、銀被覆フレーク状銅粉を得た。
得られた銀被覆フレーク状銅粉を実施例1と同様の方法で評価したところ、銀被覆量10質量%、BET比表面積1.1m2/g、タップ密度2.7g/cm3、酸素量1.3質量%、炭素量0.2質量%、銀被覆層の平均厚さt=8nm、L*=44であった。この銀被覆銅粉は見た目にも色が暗く、前記各実施例のものと比べ銀被覆層の均一性が低い。
図1には、後述の実施例および比較例の銀被覆フレーク状銅粉(一部は原料銅粉)について、銀被覆層の平均厚さt(nm)とL*の関係を例示する。本発明に従えば、(1)式、あるいはさらに(1)'式を満たす銀被覆フレーク状銅粉の実現が可能になる。
実施例および比較例の銀被覆フレーク状銅粉(一部は原料銅粉)について、銀被覆層の平均厚さt(nm)とL*の関係を例示したグラフ。

Claims (15)

  1. 銀イオンが存在する有機溶媒含有溶液中で、銀イオンと金属銅との置換反応により、銀を銅粒子の表面に被覆する銀被覆銅粉の製造方法。
  2. 有機溶媒相と水溶媒相からなり、且つ銀イオンが存在するエマルジョン中で、銀イオンと金属銅との置換反応により、銀を銅粒子の表面に被覆する銀被覆銅粉の製造方法。
  3. 有機溶媒がアルコール、ケトン、アルデヒドおよびエーテルの1以上である請求項1または2に記載の銀被覆銅粉の製造方法。
  4. 銀イオン源として硝酸銀を使用する請求項1または2に記載の銀被覆銅粉の製造方法。
  5. 湿式還元法またはアトマイズ法に由来する銅粉を使用する請求項1または2に記載の銀被覆銅粉の製造方法。
  6. 機械的に偏平化されたフレーク状銅粉を使用する請求項1または2に記載の銀被覆銅粉の製造方法。
  7. キレート化剤を含有する液中で銀を銅粒子の表面に被覆する請求項1または2に記載の銀被覆銅粉の製造方法。
  8. pH緩衝剤を含有する液中で銀を銅粒子の表面に被覆する請求項1または2に記載の銀被覆銅粉の製造方法。
  9. フレーク状粒子で構成され、粒子の平均厚さdが0.2μm以上、D50が1〜30μm、下記(2)式で定義されるA値が0.1以下であり、JIS Z8729に規定される明度L * が50以上である銀被覆銅粉。
    A値=Sd/(D90/D50) ……(2)
    ただし、平均厚さdは電子顕微鏡を用いて測定される100個以上の粒子の平均厚さ、Sdは前記平均厚さdの標準偏差、D50はレーザー回折法で測定される粒度分布における50%径(平均径)、D90は同粒度分布における90%径、D10は同粒度分布における10%径である。
  10. フレーク状粒子で構成され、下記(3)式で定義されるB値が0.5以下であり、JIS Z8729に規定される明度L * が50以上である銀被覆銅粉。
    B値=Sd/d ……(3)
    ただし、dは電子顕微鏡を用いて測定される100個以上の粒子の平均厚さ、Sdは前記平均厚さdの標準偏差である。
  11. フレーク状粒子で構成され、下記(4)式で表される関係が成立し、JIS Z8729に規定される明度L * が50以上である銀被覆銅粉。
    Y=aX+b ……(4)
    ここで、Yは下記(3)式におけるB値、XはD90/D10の値、aは定数で0.05〜0.2の値、bは定数で0.01〜0.2の値である。
    B値=Sd/d ……(3)
    ただし、dは電子顕微鏡を用いて測定される100個以上の粒子の平均厚さ、Sdは前記平均厚さdの標準偏差、D50はレーザー回折法で測定される粒度分布における50%径(平均径)、D90は同粒度分布における90%径である。
  12. BET法で測定した比表面積が0.2〜2.5m2/g、タップ密度が1.5〜5g/cm3あり、JIS Z8729に規定される明度L * が50以上である銀被覆銅粉。
  13. JIS Z8729に規定される明度L * が50以上であることに代えて、銀被覆層の平均厚さt(nm)と銀被覆銅粉の明度L * が下記(1)式の関係を満たす、請求項9〜12のいずれかに記載の銀被覆銅粉。
    39+0.76t−3.5×10 -3 2 ≦L * ……(1)
  14. 銀の被覆量が30質量%以下である請求項9〜13のいずれかに記載の銀被覆銅粉。
  15. 請求項9〜14のいずれかに記載の銀被覆銅粉をフィラーとして使用した導電ペースト。
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