JP4627915B2 - 密封用積層体、これを備えた包装用容器及び包装用容器の製造方法 - Google Patents

密封用積層体、これを備えた包装用容器及び包装用容器の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は密封用積層体、これを備えた包装用容器及び包装用容器の製造方法に関し、より詳しくは、密封用積層体、該密封用積層体と容器本体との組み合わせを少なくとも有する包装(ないし収容)用容器及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品、医薬品、化粧品等の内容物を収容するための合成樹脂製の包装用容器は、主として、開口部を有する合成樹脂製の有底容器本体と、該開口部に接続される蓋材とから構成されている。従来、内容物を有底容器本体内に収容した状態で所定の期間保存する際に、内容物に対する異物の混入や、外的要因(酸素、光、熱、水分等)による内容物の変質又は劣化等の問題の発生を十分に防止する必要がある場合には、通常、蓋材を接続する以前の有底容器本体の開口部に密封用積層体(シール材ということがある)を取り付けることにより、上記の問題の発生の防止が図られている。
【0003】
この密封用積層体にはシール強度が高く密封性に優れていることと、容器本体の開口部における接着部位からの剥がし易さ(以下、イージーピール性という)に優れていることが要求され、このような要求を満たす密封用積層体を得るための様々な検討がなされている。そして、この密封用積層体としては、該積層体の基材となる層(以下、基材層という)と、有底容器本体の開口部を密封するために基材層の一方の面に隣接して配置されたシーラント層とを有するものが一般に知られている。
【0004】
従来より、このような構成を有する密封用積層体としては、基材層として良好なガスバリア性を有するアルミニウム箔を使用し、このアルミニウム箔上にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン系共重合体などのオレフィン系樹脂を構成材料とするシーラント層を形成したいわゆる「アルミシール材」が賞用されてきた。このアルミシール材は、これを構成するアルミニウム箔に基づく良好な酸素等に対するガスバリア性を有するのみならず、打ち抜き加工時の切り口が鋭利であり(即ち、打ち抜き加工性に優れる)、しかも、合成樹脂からなる有底容器本体の開口部への熱封止が容易であって、該シール材と容器開口部との密封状態が容易に得られるという長所がある。
【0005】
しかし、アルミシール材のような金属箔とプラスチックとからなる積層体は、廃棄物として処理する際の環境負荷が大きく、廃棄物の分別収集及び容器に係わる材料の再生利用の観点から、基材層として金属箔を含まない密封用積層体の開発が検討されている。
【0006】
例えば、特開平9−278068号公報には、金属箔の層に代わる層として、ガスバリア性に優れた合成樹脂(ポリアクリル酸と糖類等からなる熱水難溶性樹脂)とから構成された酸素ガスバリア層と、シーラント層として熱密着性樹脂層とを有する密封用積層体、又は、上記の酸素ガスバリア層と熱密着性樹脂層との間に配置されるポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製の層を金属箔の層に代わる層の一つとして更に加えた構成を有する密封用積層体、を備えた包装用容器が提案されている。
【0007】
また、上記のような包装用容器の有底容器本体は、従来、ブロー成形法(ダイレクトブロー成形法や延伸ブロー成形法等)又は射出成形法により製造されている。特に、内容物の粘性が高い場合には、内容物を絞り出すことの可能な軟質性の包装用容器が好まれ、有底容器本体は原料の合成樹脂を押出機からダイを介して押し出すことにより得られるパリソン(予備成形されたチューブ状のもの)を直接金型内に導入してブロー成形するダイレクトブロー成形法により製造されている。
【0008】
そして、内容物を充填する以前に内容物に対する異物や雑菌が混入してしまうことを防止する等の衛生上の観点から、ブロー成形により製造された有底容器本体は、開口部を設けず密封状態で製造される。そのため、ブロー成形後の有底容器本体からブローピンを抜き取る際にできる穴は有底容器本体からブローピンを抜き取るとほぼ同時に熱融着などの所定の処理を施すことにより塞がれる。密封状態で製造された包装用容器は、その内部に内容物を収容(或いは充填)する直前まで密封状態を保って所定の場所に保管される。例えば、包装用容器の製造工程を行なう場所と異なる場所において内容物充填の工程を行うような場合には、密封状態で製造された包装用容器は、内容物充填の工程を行う場所まで密封状態を保って搬送される。そして、密封した状態で製造される有底容器本体の一部を切断することにより切断部分に開口部が形成される。
【0009】
従って、この場合には、同じく衛生上の観点、先述の内容物の変質や劣化を防止する観点及び生産効率の観点から、有底容器本体の所定の一部分を切断し開口部を形成する工程は、内容物を有底容器本体に収容(或いは充填)するほぼ直前に行われている。更に、ヒートシール法やレクトラシール法等により開口部を密封用積層体を用いて密封する工程も内容物を有底容器本体に収容したほぼ直後に行われている。そして、密封用積層体により密封された開口部に蓋材が被せられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者等は、上記の特開平9−278068号公報に記載の密封用積層体及び該密封用積層体を用いて上記従来の製造方法により製造された包装用容器であっても、未だ十分なものではないことを見出した。
【0011】
すなわち、上記のようにダイレクトブロー成形により製造された有底容器について、開口部の形成と、それに次ぐ内容物の充填と、更にそれに次ぐ密封用積層体の開口部へのシールとを連続的に行い、内容物の充填された包装用容器を、所定の生産速度(例えば、毎分200本以上)で大量生産する場合、開口部の形成のための切断は生産効率の観点から簡便な方法(例えば、インラインでのナイフカット等)により製造ライン上で連続的に行われるため、形成される開口部の切断面(図4(a)参照)はフラットな状態ではなく、凹凸、段差及び/又は傾斜を有している。従って、この開口部を特開平9−278068号公報に記載の密封用積層体を用いてヒートシール法やレクトラシール法等によりシールしても、密封用積層体を常に開口部の切断面の全面に密着させることが困難であり、密封不良の発生を十分に防止できていなかった。また、この場合、有底容器の開口部の凹凸、段差及び/又は傾斜により突出した部分がシールの際に密封用積層体を突き抜けてしまう場合もあった。更に、上記の特開平9−278068号公報に記載の密封用積層体の場合、シールの際の加熱と加圧条件によって溶融したシーラント層が開口部の切断面から多量に脱落した状態で密着してしまい、使用時に密封用積層体を開口部から剥離する際に剥離しにくい場合や、剥離した際にシーラント層がきれいに剥がれずにその一部が開口部に残存してしまう場合があり、安定なイージーピール性を常に得ることができていなかった。
【0012】
また、上記の特開平9−278068号公報に記載の密封用積層体においては使用時に密封用積層体を開口部から剥離する際に、密封用積層体にかかる力によって、シーラント層に隣接して配置されている基材層の破断が起こる場合があり、結果的に密封用積層体の一部が開口部に残存してしまう場合もあった。
【0013】
更に、上記の特開平9−278068号公報に記載の密封用積層体のように、基材層として金属箔の層にかわって合成樹脂からなる層を使用した場合、開口部へ密封する際に密封用積層体に熱がかかると、密封用積層体の各層間の収縮率の差に起因して、密封用積層体がシール前のフラットな状態からシール後において反り返ってしまういわゆる「カール」の現象(以下、単にカールという)が起こる場合があった。特に、反り返った密封用積層体の中央部が開口部の方向に突出するとともに、その縁部が該密封用積層体の上方より被される蓋材の方向に突出するようにしてカールした場合、蓋材を開口部に取り付ける際に密封用積層体の縁部が蓋材の内壁に引っ掛かかり、その状態のまま蓋材を開口部に取り付けようとすると開口部と密封用積層体との接触部の一部の剥離や密封用積層体の破断が起こってしまったり、密封用積層体が折れ曲がり開口部に対して蓋材が所定の位置に所望の状態で取り付けられないいわゆるキャッピング不良が生じてしまう場合があった。
【0014】
なお、本明細書においては、上記のように密封用積層体がカールした状態を「上向きのカール」といい、上記と反対に、密封用積層体の中央部が該密封用積層体の上方より被される蓋材の方向に突出するとともに、その縁部が開口部の方向に突出するようにしてカールした状態を「下向きのカール」という。
【0015】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、密封性が高くかつ接着部位から容易に剥離でき、然もリサイクルが容易で低環境負荷性の密封用積層体、これを備えた密封性の高い包装用容器及びこの包装用容器を得るための製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、金属箔からなる層のかわりに合成樹脂からなる層を基材層とした密封用積層体であっても、シーラント層を合成樹脂製の有底容器の開口部に面するように配置される第一のシール層と、該第一のシール層の基材層の側の面上に形成された第二のシール層とを有する少なくとも2つの層を有する構成とし、第二のシール層には、第一のシール層に含有される合成樹脂よりも高い融点を有する合成樹脂材料を所定量含有させることと、このような構成を有する密封用積層体を用いて有底容器の開口部を密封する際の温度及び圧力の条件を所定の範囲に調節することにより、有底容器の開口部に対する密封用積層体の優れた密封性とイージーピ−ル性を十分に確保できることを見出し、本発明に到達した。
【0017】
すなわち、本発明の密封用積層体は、開口部を有する、合成樹脂製の有底容器の該開口部を密封するための合成樹脂からなる基材層と開口部に面するように該基材層に隣接して配置されたシーラント層を少なくとも有する密封用積層体であって、
シーラント層は開口部に面する第一のシール層と、該第一のシール層の基材層の側の面上に形成された第二のシール層とを有しており、
第一のシール層は、スチレン系重合体50〜80質量%と、エチレン−メチル(メタ)アクリレート系共重合体15〜50質量%と、エチレン−メチル(メタ)アクリレート系共重合体を除く軟質性エチレン系共重合体5〜25質量%とを含んでおり、
第二のシール層は、スチレン系重合体15〜50質量%と、エチレン−メチル(メタ)アクリレート系共重合体4.5〜30質量%と、エチレン−メチル(メタ)アクリレート系共重合体を除く硬質性エチレン系重合体30〜70質量%とを含んでおり、かつ、
軟質性エチレン系共重合体の融点X[℃]と硬質性エチレン系重合体の融点Y[℃]とが、それぞれ下記式(1)〜(3)の条件を同時に満たしていることを特徴とする。
90≦X≦115 …(1)
115≦Y≦130 …(2)
5≦(Y−X)≦40 …(3)
【0018】
本発明の密封用積層体は金属箔からなる層のかわりに上記の基材層を有しているのでリサイクルが容易で環境に対する負荷が低い。そして上記のようにシーラント層に高融点の硬質性エチレン系重合体を含有させた第二のシール層を設けた構成とすることにより、合成樹脂製の有底容器の開口部の切断面が凹凸、段差及び/又は傾斜を有していても、密封用積層体を確実に該切断面の全面に対して密着させることが容易に可能となり、更には、開口部の凹凸、段差及び/又は傾斜により突出した部分がシールの際に密封用積層体を突き抜けてしまうことを確実に防止することができる。これにより、合成樹脂製の有底容器の開口部に対する密封用積層体の優れた密封性を十分に確保できる。また、第一のシール層を主に構成する材料の組成と、第二のシーラント層を主に構成する材料の組成とをそれぞれ上記のように調節することにより接着部位から剥離する際の密封用積層体のイージーピ−ル性を十分に確保できる。
【0019】
そして、第二のシール層を設けた構成とすることによりシーラント層全体の剛性が向上するので、接着部位から剥離する際の密封用積層体の破断の発生を防止することができる。従って、この点においても密封用積層体のイージーピ−ル性を十分に確保でき、然もきれいに剥がすことができる。また、シーラント層全体の剛性が向上することによりシーラント層の取り扱い性が向上し、シーラント層を基材層上に容易にラミネートすることが可能となるので生産効率も向上させることができる。
【0020】
そして、従来の密封用積層体に比べてこの密封用積層体は剛性の高いシーラント層を有しているので、有底容器の開口部を密封する際に発生する密封用積層体のカールの度合いを当該カールに起因する上述の不具合の発生を防止可能な水準にまで容易に低減することができる。また、基材層の構成材料及び厚みを調節することや、必要に応じて酸素ガスバリア層、保護層等を設けてこれらと組み合わせるることにより、容易にカールの方向を調節することができ、特に上述の開口部と密封用積層体との接触部の一部の剥離や密封用積層体の破断といった不具合の発生の起し易い上向きのカールの発生を効果的に防止することができる。
【0021】
ここで、第一のシール層に含有されるスチレン系重合体(以下、PSという)の含有量が50質量%未満となると、有底容器の開口部から密封用積層体を剥がす際の十分なイージーピール性が得られなくなる。一方、PSの含有量が80質量%を超えると、有底容器の開口部を密封用積層体によりシールした後の十分な密封性が得られなくなる。なお、第一のシール層に含有されるPSの含有量は50〜80質量%であるが、上記と同様の観点から、第一のシール層に含有されるPSの含有量は、50〜70質量%であることが好ましく、55〜65質量%であることがより好ましい。
なお、スチレン系重合体としては、スチレン単独重合体又はスチレン共重合体が用いられ、好ましくはスチレン共重合体が用いられる。例えば、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0022】
また、第一のシール層に含有されるエチレン−メチル(メタ)アクリレート系共重合体(以下、EM(M)Aという)の含有量が15質量%未満となると、有底容器の開口部を密封用積層体によりシールした後の十分な密封性が得られなくなる。一方、EM(M)Aの含有量が50質量%を超えると、有底容器の開口部から密封用積層体を剥がす際の十分なイージーピール性が得られなくなる。なお、上記と同様の観点から、第一のシール層に含有されるEM(M)Aの含有量は、20〜30質量%であることが好ましい。
ここで、本発明において、EM(M)Aとは、エチレン−メチルメタクリレート系共重合体、エチレン−メチルアクリレート系共重合体の両方を示すが、好ましくはエチレン−メチルメタクリレート系共重合体である。
【0023】
更に、第一のシール層に含有されるEM(M)Aを除く軟質性エチレン系共重合体(以下、E1という)の含有量が25質量%を超えると、有底容器の開口部から密封用積層体を剥がす際の十分なイージーピール性が得られなくなる。なお、上記と同様の観点から、第一のシール層に含有されるE1の含有量は、5〜25質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。
ここで、E1としては、前述の式(1)〜(3)の条件を満たすものであれば特に限定されないが、エチレン50質量%以上と、エチレンと共重合可能な1種以上の単量体との共重合体である。例えば、少なくとも1種類のα−オレフィン(好ましくは、炭素数が4ないし8)を含むエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、若しくは金属として亜鉛(Zn)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)の少なくとも1種類を含むその金属塩部分中和物(このようなポリマーを、単に「アイオノマー樹脂」と称する場合がある)が挙げられる。
【0024】
また、第二のシール層に含有されるPSの含有量が15質量%未満となると、有底容器の開口部から密封用積層体を剥がす際の十分なイージーピール性が得られなくなる。一方、PSの含有量が50質量%を超えると、有底容器の開口部を密封用積層体によりシールした後の十分な密封性が得られなくなる。なお、上記と同様の観点から、第二のシール層に含有されるPSの含有量は、20〜40質量%であることが好ましい。
【0025】
更に、第二のシール層に含有されるEM(M)Aの含有量が4.5質量%未満となると、有底容器の開口部を密封用積層体によりシールした後の十分な密封性が得られなくなる。一方、EM(M)Aの含有量が30質量%を超えると、有底容器の開口部から密封用積層体を剥がす際の十分なイージーピール性が得られなくなる。なお、上記と同様の観点から、第二のシール層に含有されるEM(M)Aの含有量は、7〜20質量%であることが好ましい。
【0026】
また、第二のシール層に含有されるEM(M)Aを除く硬質性エチレン系重合体(以下、E2という)の含有量が30質量%未満となると、有底容器の開口部を密封用積層体によりシールした後の十分な密封性が得られなくなるとともに、ラミネートする際の取り扱い性が悪くなる。一方、E2の含有量が70質量%を超えると、有底容器の開口部から密封用積層体を剥がす際の十分なイージーピール性が得られなくなる。なお、上記と同様の観点から、第二のシール層に含有されるE2の含有量は、40〜60質量%であることが好ましい。
ここで、E2としては前述の式(2)〜(3)の条件を満たすものであれば特に限定されないが、エチレン単独重合体又はエチレン50質量%以上と、エチレンと共重合可能な1種以上の単量体との共重合体である。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、少なくとも1種類のα−オレフィン(好ましくは、炭素数が4ないし8)を含むエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、若しくは金属として亜鉛(Zn)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)の少なくとも1種類を含むその金属塩部分中和物が挙げられる。
【0027】
更に、上記のE1の融点Xが90℃未満となると、有底容器の開口部から密封用積層体を剥がす際の十分なイージーピール性が得られなくなる。一方、E1の融点Xが115℃を超えると、有底容器の開口部を密封用積層体によりシールした後の十分な密封性が得られなくなる。なお、上記と同様の観点から、この融点Xは、100〜110℃であることが好ましい。
【0028】
また、E2の融点Yが115℃未満となると、有底容器の開口部から密封用積層体を剥がす際の十分なイージーピール性が得られなくなる。一方、E2の融点Yが130℃を超えると、有底容器の開口部を密封用積層体によりシールした後の十分な密封性が得られなくなる。なお、上記と同様の観点から、この融点Yは、118〜125℃であることが好ましい。
【0029】
更に、E2の融点YとE1の融点Xとの差(Y−X)が5℃未満となると、有底容器の開口部から密封用積層体を剥がす際の十分なイージーピール性が得られなくなる。一方、(Y−X)が40℃を超えると、有底容器の開口部を密封用積層体によりシールした後の十分な密封性が得られなくなる。なお、上記と同様の観点から、この(Y−X)は、3〜70℃であることが好ましく、8〜25℃であることがより好ましい。
【0030】
なお、本発明において、E1及びE2の融点とは、示差走査熱量計(以下、DSCという)により測定された値を示す。
【0031】
また、本発明の密封用積層体において、第二のシール層には、15質量%以下のE1が更に含まれていることが好ましい。これにより積層体の剥離強度がより高くなり、密封性がより向上する。ここで、第二のシール層にE1が更に含まれている場合、E1の含有量が15質量%を超えると、有底容器の開口部から密封用積層体を剥がす際の十分なイージーピール性が得られなくなる。なお、上記と同様の観点から、第二のシール層に含有されるE1の含有量は、0.1〜15質量%であることが好ましく、3〜13質量%であることがより好ましく、5〜10質量%であることが更に好ましい。
【0032】
ここで、本発明において「剥離強度」とは、合成樹脂製の有底容器の開口部(口頚部)の接着部位から本発明の密封用積層体を剥がす際に、該接着部位と該接着部位に密着している密封用積層体のシーラント層の接着面との間に働く引き剥がし力を示す。より具体的には、有底容器のの開口部と密封用積層体のシーラント層の接着面とを、シール温度200℃の平熱板にて、シール圧力50N/cm2、4秒間の条件でヒートシールした後、東洋ポールドウィン社製TENSILON UTM−4−100を用いて、引張速度50mm/分で剥離し、その時の強度[N]を剥離強度とする。なお、この剥離強度の測定に際しては、時間変化する強度を連続的に測定し、得られる最大値を採用する。この剥離強度の最大値を測定することにより、密封用積層体が接着部位に対して密封性とイージーピール性とをバランスよく兼ね備えているか否かを定量的に評価することができる。密封用積層体が合成樹脂製の有底容器の開口部に対する密封性とイージーピール性とをバランスよく兼ね備えている場合には、この剥離強度の最大値は8〜20Nとなる。ここで、この剥離強度の最大値が8N未満であると、その密封用積層体により有底容器の開口部をシールしても十分な密封性が得られず、内容物の漏洩、内容物の変質或いは劣化等の不具合の発生を招くおそれがある。一方、この値が20Nを超えると、その密封用積層体は有底容器の開口部から容易に剥がすことができず、剥がす際に密封用積層体が破断してその一部が開口部に残ってしまうなどの不具合の発生を招くおそれがある。
【0033】
また、本発明の包装用容器は、開口部を有する、オレフィン系樹脂の層を少なくとも表層として有する単層又は多層の構成から形成された有底容器本体と、開口部を密封するためのシール材と、シール材を覆う蓋材とを有する包装用容器であって、前述の本発明の密封用積層体をシール材として備えていることを特徴とする。
【0034】
これにより、密封性が高くかつ接着部位から容易に剥離でき、然もリサイクルが容易で低環境負荷性の密封用積層体を備えた密封性の高い包装用容器を提供することができる。
【0035】
ここで、「オレフィン系樹脂」とは、オレフィンの単独重合体、又は、オレフィンと1種以上の他の単量体との共重合体を示す。例えば、エチレン系樹脂(以下、PEという)又はプロピレン系樹脂(以下、PPという)が好適に用いられる。また、「オレフィン系樹脂の層」とは、オレフィン系樹脂単独又は、これを主成分とする組成物からなる。更に、有底容器本体は、上記構成のシーラント層を有する密封用積層体とのマッチングの観点からオレフィン系樹脂の含有量が50質量%以上、好ましくは70質量%以上であるものを示す。オレフィン系樹脂の含有量が50質量%未満となると、十分なシール強度(剥離強度)が得られないため密封性が不十分となる。
また、本発明において、有底容器本体は、別の有底容器本体(例えば、使用済みの有底容器本体等)を粉砕することにより得られるオレフィン系樹脂の層の成分として含まれていてもよく、又は、別の層の成分として含まれていてもよい。
【0036】
更に、この場合、有底容器本体がダイレクトブロー成形等のブロー成形又は射出成形により形成されており、前述のように有底容器の開口部の切断面が凹凸、段差及び/又は傾斜を有していても、本発明の密封用積層体を備えることにより、十分な開口部の密封性を有するとともに密封用積層体を開口部から容易かつきれいに剥がすことができる包装用容器を構成することができる。
【0037】
また、本発明の包装用容器の製造方法は、開口部を有する、オレフィン系樹脂の層を少なくとも表層として有する単層又は多層の構成から形成された有底容器本体と、開口部を密封するためのシール材と、シール材を覆う蓋材とを有する包装用容器の製造方法であって、有底容器本体をブロー成形又は射出成形により成形する工程と、有底容器本体の一部を切断し開口部を形成する切断工程と、上述の本発明の密封用積層体をシール材として用いて開口部を密封するシール工程とを有しており、シール工程おけるシール温度が150〜230℃であり、かつ、シール圧力が20〜180N/cm2であることを特徴とする。
【0038】
このように、本発明の密封用積層体を上記のシール条件のもとで有底容器本体の開口部に密着させることにより、開口部の密封性と開口部から密封用積層体を容易かつきれいに剥がすことのできる密封性の高い包装用容器を容易に製造することができる。
【0039】
ここで、シール工程おけるシール温度が150℃未満であると、有底容器の開口部を密封用積層体により密封する際の溶着が不完全となり、十分な密封性が得られなくなる。一方、シール温度が230℃を超えると、シール時に有底容器の開口部が熱変形してしまう。なお、上記と同様の観点から、このシール温度は、180〜210℃であることが好ましい。
【0040】
また、シール工程おけるシール圧力が20N/cm2未満であると、有底容器の開口部を密封用積層体によりシールした後の十分な密封性が得られなくなる。一方、シール圧力が180N/cm2を超えると、シール時に有底容器の開口部が押圧されて変形してしまう。なお、上記と同様の観点から、このシール圧力は、30〜120N/cm2であることが好ましい。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0042】
図1は、本発明の密封用積層体の好適な一実施形態を示す概略断面図である。本発明の密封用積層体の用途は特に限定されないが、例えば、食品(マヨネーズ、トマトケチャップ,トマトソース等のトマト加工品類、ソース類、わさび,からし等の香辛料類、食用油、ドレッシング、焼き肉のタレ等)、医薬品、化粧品等の内容物を収容するための包装容器の容器本体の開口部を密封するためのシール材として使用することができる。
【0043】
図1に示すように、密封用積層体100は、主として、基材層10と、基材層10の一方の面上に形成されたシーラント層20とから構成されている。
【0044】
シーラント層20は、先に述べたように、主として、密封用積層体100が使用される包装用容器の有底容器本体200(図3及び図4参照)の開口部の面F200(図4参照)に面する第一のシール層22と、該第一のシール層22の基材層22の側の面上に形成された第二のシール層24とから構成されている。第一のシール層22は、先に述べたように、50〜80質量%のPSと、15〜50質量%のEM(M)Aと、25質量%以下のE1とを含んでいる。また、第二のシール層24は、15〜50質量%のPSと、4.5〜30質量%のEM(M)Aと、30〜70質量%のE2とを含んでいる。なお、先に述べたように、第二のシール層24には、必要に応じて15質量%以下のE1が更に含まれる。そして、シーラント層20に含有されるE1とE2とは、E1の融点X[℃]とE2の融点Y[℃]とが、先に述べた式(1)〜(3)の条件を同時に満たしている。
【0045】
ここで、第一のシール層22の構成は上記の構成を有していれば特に限定されないが、上記の成分の他の成分としては、例えば、プロピレンを優位量とするα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。この第一のシール層22の厚みは、有底容器本体200の開口部に対するイージーピール性及び密封性の観点から、5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。
【0046】
また、第二のシール層24の構成も上記の構成を有していれば特に限定されないが、上記の成分の他の成分としては、例えば、プロピレンを優位量とするα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。この第二のシール層24の厚みは、有底容器本体200の開口部に対するイージーピール性及び密封性の観点から、5〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
【0047】
基材層10は、エステル系樹脂及びアミド系樹脂からなる群から選択される樹脂からなることが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTという)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(以下、PENという)及びポリアミド(単独重合体又は共重合体)からなる群から選択される樹脂からなることが好ましい。
【0048】
特に、切断の容易さの観点から、PETを用いることが好ましい。この場合、基材層10の厚みは、15〜75μmであることが好ましい。このようにすれば、有底容器本体200の開口部から密封用積層体100を剥離する際に密封用積層体100が破断してしまうことを十分に防止することができる。ここで、基材層10の厚みが15μm未満であると、有底容器本体200の開口部から密封用積層体100を剥離する際に密封用積層体100が破断するおそれがある。一方、基材層10の厚みが75μmを超えると、密封用積層体100の厚みが大きくなりすぎて、密封用積層体100により密封された有底容器本体200の開口部に蓋材(図示せず)を被せる際に密封用積層体100が蓋材の内壁の形状に合わせて変形せずに反発してしまい、蓋材が所望の状態で取り付けられないといった前述のキャッピング不良を起すおそれがある。なお、上記と同様の観点から、この基材層10の厚みは、25〜50μmであることが好ましい。
【0049】
また上記のような構成を有する密封用積層体100は、曲げ硬さを示すループステフネス値が20g以下であることが好ましい。ここで、本発明において「ループステフネス値」とは、密封用積層体を20×100mm以上の大きさを有する矩形のサンプル(20×100mmの大きさのループを形成する部分とつかみしろを形成する部分とを合わせた大きさを有するサンプル)とし、東洋精機社製のループステフネステスタを用いて測定される値を示す。このループステフネス値により、サンプルの柔軟性を定量的に評価することができる。ループステフネス値が20g以下である密封用積層体は、十分な柔軟性を有していることになる。ループステフネス値が20g以下である密封用積層体は、有底容器の開口部を密封する際にカールが発生しても、シール後に蓋材を取り付ける際に十分な柔軟性を有しているので密封用積層体の縁部が蓋材の内壁に引っ掛かかることがなく、開口部と密封用積層体との接触部の一部の剥離や密封用積層体の破断といった不具合の発生をより効果的に防止することができる。一方、ループステフネス値が20gを超える密封用積層体は、柔軟性に乏しく、シール後に蓋材を取り付ける際に上記の不具合を発生する傾向が大きい。
【0050】
次に、図2を参照しながら東洋精機社製のループステフネステスタにより密封用積層体100のループステフネス値を測定する場合について簡略的に説明する。図2に断面方向からみた場合として示すように、前述の大きさを有する矩形状の密封用積層体100をその20mmの長さを有する短手の縁部分同士が対向するよう2つ折りにし、折り目の部分に周の長さが100mmとなる密封用積層体100のループR100を形成する。このとき、2つのクランプ930で密封用積層体100のループR100以外の部分を挟み、形成したループR100を固定する。そして、圧子920にてループR100を押圧し、最大となるのときの値をループステフネス値として読み取る。
【0051】
また、密封用積層体100を製造するための方法は、公知の積層方法から適宜選択して利用することが可能であるが、生産効率の点からは、ドライラミネーション、および/又は熱(サーマル)ラミネーションが好適に使用可能である。このようなラミネーション法の詳細については、例えば文献(松本宏一、工業材料,第39巻(第2号),pp18−29(1991))を参照することができる。
【0052】
上記ドライラミネーションにおいては、接着剤を用いることが好ましい。このような接着剤は、通常のドライラミネーションで使用される公知のもの(例えば、ウレタン系、ポリエステル系、アクリル系等の接着剤)から適宜選択して用いることが可能であるが、積層間の接着力の点からは、例えぱ、ポリエステル系の主剤とイソシアネート系の硬化剤とから構成される二液混合性のウレタン系接着剤(例えば、東洋モートン(株)製のAD−817(主剤)およびCAT−RT56(硬化剤))が特に好ましく使用可能である。
【0053】
また、密封用積層体100の全体の厚みは100μm以下であることが好ましく、15〜75μmであることがより好ましい。密封用積層体100の全体の厚みが100μmを超えると柔軟性が乏しくなり、ループステフネス値が20gを超えてしまうおそれがある。
【0054】
次に、本発明の包装用容器の好適な一実施形態について説明する。本実施形態の包装用容器(図示せず)は、先に述べたように、開口部を有するPE又はPPを主成分とする合成樹脂製の有底容器本体200(図3参照)と、開口部を密封するための密封用積層体100(図1参照)と、密封用積層体100を覆う蓋材(図示せず)とから構成されている。
【0055】
合成樹脂製の有底容器本体200はオレフィン系樹脂の層を少なくとも表層として有する単層又は多層の構成から形成されており、ブロー成形又は射出成形により形成されるものである。ここで、本発明において有底容器本体の形状は、開口部を有する有底形態である限り特に制限されず、公知の開口を有する有底の容器形状(例えば、ボトル、カップ、チューブ状等)から任意に選択することが可能である。また、本発明においては、密封用積層体と開口部との熱封止面積を増大させて、より良好な密封性を得るために、開口部は適宜顎部(ないし頚部)を有していてもよい。
【0056】
合成樹脂製の有底容器本体200の少なくとも表層を構成するポリオレフィンとしては、より具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン;少なくとも1種類のα−オレフィン(好ましくは、炭素数が4ないし8)を合むエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、若しくは金属として亜鉛(Zn)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)の少なくとも1種類を含むその金属塩部分中和物(このようなポリマーを、単に「アイオノマー樹脂」と称する場合がある)等が挙げられる。また、有底容器本体200を構成する表層以外の層を構成する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、再生樹脂等が挙げられる。
【0057】
次に本発明の包装用容器の製造方法の好適な一実施形態について説明する。本発明の包装用容器の製造方法は、主として、有底容器本体200をブロー成形(ダイレクトブロー成形又は延伸ブロー成形)又は射出成形により成形する工程と、有底容器本体200の一部を切断し開口部を形成する切断工程と、密封用積層体100を用いて開口部を密封するシール工程とを有する。
【0058】
先ず、有底容器本体200をブロー成形(ダイレクトブロー成形又は延伸ブロー成形)又は射出成形により成形する工程を図3を参照して説明する。図3は、有底容器本体をブロー成形又は射出成形により成形する工程の一例を示す工程図である。図3に示す成形工程は、回転軸910に接続されたテーブル900上に設置された複数の対になった金型600がターンテーブル900により周回しながら、パリソンの押出し[A]、ブロー成形[B]、ブロー成形品の冷却[C]、ブロー成形品の搬出[D]からなる成形工程を連続的に繰り返して行う場合の例を示している。まず、図3に示すように、密封用積層体100の各層を構成する合成樹脂をホッパなどを通して押出機300に投入し、押出機300の先端に設けられたダイ(サーキュラダイ)400から、溶融したパリソン(中空状パリソン)500を一定速度で押し出す。このとき、対になった金型600は、相互に離隔して対向配置しておく。ここで、一対の金型600は、これらの接合時に、これらの金型600によって後に得られる有底容器本体200の外形と相補的な形状のキャビティを形成する。そして、パリソン500が所定の長さに達したならば、対向する金型600を閉じて、パリソン500の両端部を切断しつつ保持する。ここで、パリソン500の肉厚の調整は、例えばパリソン500の押出量を増加させたり、パリソン500を引っ張ったりすることで行われる。
【0059】
次に、図3に示すように、一対の金型600によって挟み込まれたパリソン500の内部にブローピン700を挿入し、このブローピン700から所定流量のガスを供給することによりブロー成形を行う。これによりパリソン500が金型600の内壁まで拡張される。そして、所定時間放置して冷却した後、金型600同士を離し、拡張されたパリソン500を切り離すと、有底容器本体200が得られる。得られた有底容器本体200は、ベルトコンベア800に載せられて搬出される。このとき、有底容器本体200にはブローピン700が引き抜かれた後にできる穴が空いている。先に述べたように、有底容器本体200の用途に応じてこの穴は熱溶着などにより塞がれる。
【0060】
切断工程は、成形工程において得られた有底容器本体200の一部(有底容器本体200開口部を形成するために予め設けられている部分領域210)を切断することにより開口部を形成する。このとき、図4(a)に示すように、有底容器本体200を所定の生産速度(例えば、毎分200本以上)で大量生産する場合には、形成される開口部の面F200はフラットな状態ではなく、凹凸、段差及び/又は傾斜を有している。
【0061】
シール工程は、内容物を有底容器本体内に収容(或いは充填)した後に、公知の方法により別途作製した密封用積層体100のシーラント層20の面を有底容器本体200の開口部の面F200に密着させるようにして、ヒートシール法やレクトラシール法等により先に述べたシール温度条件とシール圧力条件のもとで、密封用積層体100により該開口部を密封する工程である。このとき、密封用積層体100は先に述べた構成を有しているので、凹凸、段差及び/又は傾斜を有する開口部の面F200であっても該面F200の全面に対して密着させることが容易にでき、十分な密封性とイージーピール性を確保することができる。
【0062】
すなわち、図4(b)に示すように、シール時の温度と圧力により開口部の面F200の凹凸、段差及び/又は傾斜により突出した部分が第一のシール層22を突き抜けても、開口部の面F200のの突出した部分の基材層10に向けた進行を高融点のE2を含有させた第二のシール層24において効果的に停止させることができる。
【0063】
次に、得られた密封用積層体100により開口部を密封された有底容器本体200の開口部に蓋材を被せることにより包装用容器が完成する。
【0064】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0065】
例えば、図1に示した密封用積層体100においては、第一のシール層22と第二のシール層24とからなるシーラント層20を有する密封用積層体について説明したが、本発明の密封用積層体のシーラント層の構成は前述の第一のシール層と第二のシール層とを有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、本発明の密封用積層体のシーラント層は、図5(a)に示す密封用積層体110のように、基材層10と第二のシール層24との間に中間層26を更に配置した構成を有していてもよい。この中間層26を更に設けることにより、基材層とシーラント層とをドライラミネート法により接合する際の取り扱い性を向上させることができる。この中間層26の構成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等が挙げられる。この中間層26の厚みは、柔軟性の観点から、5〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。
ここで、中間層26には再生樹脂を使用することができる。
【0066】
また、図1に示した密封用積層体100においては、基材層10とシーラント層20とから構成される密封用積層体について説明したが、本発明の密封用積層体の構成は前述の基材層とシーラント層とを有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、本発明の密封用積層体は、図5(b)に示す密封用積層体120のように、図1に示した密封用積層体100と同様の構成に加えて、基材層10のシーラント層20の側と反対の面上に酸素ガスバリア層30を更に形成した構成を有していてもよい。このとき、シーラント層20には、先に述べた中間層26(図示せず)を更に設けてもよい。
【0067】
この場合、酸素ガスバリア層30は、熱水難溶性樹脂から構成されることが好ましい。ここに、「熱水難溶性樹脂」とは、該樹脂の10mg(粉末状ないし細片状)を、80℃の蒸留水5ml中に投入し、そのまま10分間処理した後、不溶分を回収、乾燥した場合に、元の質量の80質量%以上(更には85質量%以上)が不溶分として回収される樹脂をいう。
【0068】
この熱水難溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)と(メタ)アクリル酸系ポリマーとの組合せ;糖類と(メタ)アクリル酸系ポリマーとの組合せ;PVAと(メタ)アクリル酸系ポリマーの部分中和物;あるいは糖類と(メタ)アクリル酸系ポリマーの部分中和物との組合せが好適に使用可能である。
【0069】
上記したPVAと(メタ)アクリル酸系ポリマーとの組合せにおいては、質量比PVA:(メタ)アクリル酸系ポリマーが95:5〜90:10の範囲内であることが好ましく、更には80:20〜20:80の範囲内であることが好ましい。一方、上記糖類と(メタ)アクリル酸系ポリマーとの組合せにおいては、質量比が糖類:(メタ)アクリル酸系ポリマーが80:20〜5:95の範囲内であることが好ましく、更には60:40〜10:90の範囲内であるとが好ましい。
【0070】
ここで、使用可能な「糖類」としては、種々の単糖類の縮重合によって生体系で合成される生体高分子、およびそれらを化学修飾してなるもが挙げられる。このような「糖類」の具体例としては、例えば、単糖類、オリゴ糖類、糖アルコール及び多糖類等が挙げられ、更に好ましくは、ソルビトール、デキストリン及び水溶性澱粉が挙げられる更に、上記の糖類と(メタ)アクリル酸系ポリマーの部分中和物との組合せにおいては、上記の部分中和(ポリマーのカルボキシル基を部分的にカルボン酸塩の基とする)は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化アンモニウムの群から選択される少なくとも1種類を用いて行われることが好ましい。このような態様においては、中和度が0〜20%(更には0〜18%)の部分中和物が好適に用いられる。ここに、「中和度」は、下記式(4)により求められる。
【0071】
中和度=(A/B)×100…(4)
【0072】
ただし、式(4)中、Aは部分中和された(メタ)アクリル酸系ポリマー1g中の、中和されたカルボキシル基の全物質量[mol]を示す。また、Bは部分中和されるべき(メタ)アクリル酸系ポリマー1g中の、部分中和前のカルボキシル基の全物質量を示す。
【0073】
上記した「カルボキシル基の全物質量」は、アクリル酸については、アクリル酸のモノマー単位である分子量72を用いてアクリル酸系ポリマーの質量から物質量を求め、メタクリル酸については、メタクリル酸のモノマー単位である分子量86を用いてメタクリル酸系ポリマーの質量から物質量を求めた。
【0074】
また、この酸素ガスバリア層30の厚みは、内容物の保存性と密封用積層体120全体の柔軟性との観点から、0.1〜5μmであることが好ましく、0.2〜2μmであることがより好ましい。なお、この酸素ガスバリア層30の厚みの条件は、密封用積層体120以外の酸素ガスバリア層30を有する構成の密封用積層体全てに適用できる。更に、酸素ガスバリア層30は、例えば、アルミナ蒸着膜、シリカ蒸着膜、アルミナとシリカとの共蒸着膜、又は、エチレン・ビニルアルコール共重合体からなる膜等から形成されるものであってもよい。
【0075】
更に、本発明の密封用積層体は、例えば、図5(c)に示す密封用積層体130のように、図5(b)に示した密封用積層体120と同様の構成に加えて、酸素ガスバリア層30の基材層10の側と反対の面上に保護層40を更に形成した構成を有していてもよい。このときにも、シーラント層20には、先に述べた中間層26(図示せず)を更に設けてもよい。
【0076】
また、この保護層40の構成材料としては、ポリエステル、ポリウレタン、ゴム、紙、不織布等が挙げられる。更に、この保護層40の厚みは、密封用積層体130全体の柔軟性の観点から、0.1〜50μmであることが好ましく、1〜30μmであることがより好ましい。なお、この保護層40の厚みの条件は、密封用積層体130以外の保護層40を有する構成の密封用積層体全てに適用できる。
【0077】
ここで、先に述べた密封用積層体100を構成する各層の説明に述べた各層の成分組成、物性等の条件は、密封用積層体100以外の構成を有する密封用積層体(例えば、密封用積層体110、密封用積層体120、密封用積層体130等)を構成する同一の層にも適用できる。また、先に述べた密封用積層体100以外の構成を有する密封用積層体も、密封用積層体100と同様の製造方法により作製することができる。更に、上記密封用積層体100以外の構成を有する密封用積層体を備える密封用容器も先に述べた密封用積層体100備える密封用容器と同様の製造方法により作製することができる。
【0078】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例の密封用積層体及びこれを備えた包装用容器の構成要素について、前述の実施形態と同一または相当する部分には同一符号を付して説明する。なお、以下に示す実施例及び比較例の各密封用積層体の厚みについて、接着剤を使用して形成されている密封用積層体についてはその接着剤の厚み(2〜3μm)を除いた値を示している。
【0079】
(実施例1)
以下の手順により、図1に示した密封用積層体100と同様の構成を有する密封用積層体を製造した。先ず、PSとしてゴム変成ポリスチレン(住友化学工業社製,商品名「スミブライト」、軟質成分粒子の含有率:20質量%)のペレットを60質量%、EM(M)Aとして住友化学工業社製の商品名「アクリフト」(メチルメタクリレート単位の含有率38質量%、融点60℃)のペレットを23質量%、E1としてエチレン−ヘキセン1共重合体(融点108℃)のペレットを15質量%、相溶化剤としてスチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム水添物(クラレ社製、商品名「セプトン」)のペレットを2質量%それぞれ配合し、得られた混合物をユニオン・プラスチックス社製30mmφ単軸押出機を用いて温度210℃にて造粒することにより、第一のシール層22形成用のペレットを調製した。
【0080】
次に、PSとしてゴム変成ポリスチレン(住友化学工業社製,商品名「スミブライト」、軟質成分粒子の含有率:20質量%)のペレットを30質量%、EM(M)Aとして住友化学工業社製の商品名「アクリフト」(メチルメタクリレート単位の含有率38質量%、融点60℃)のペレットを12質量%、E1としてエチレン−ヘキセン1共重合体(融点108℃)のペレットを6質量%、E2として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE,住友化学工業社製,商品名「スミカセンα」、融点120℃)のペレットを50質量%、相溶化剤としてスチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム水添物(クラレ社製、商品名「セプトン」)のペレットを2質量%それぞれ配合し、得られた混合物をユニオン・プラスチックス社製30mmφ単軸押出機を用いて温度210℃にて造粒することにより、第二のシール層24形成用のペレットを調製した。
【0081】
次に、3つの押出機1〜3を備えたプラ技研社製キャストフィルム製膜装置(押出機1〜3には押出しTダイがそれぞれ備えられている。)を用い、上記の第一のシール層22形成用のペレットを、押出機2及び3により230℃の温度条件で押出すとともに、第二のシール層24形成用のペレットを押出機1により230℃の温度条件で押出し、引き取り速度12m/分の条件にて第一のシール層22上に第二のシール層24が積層されたフィルムとした。そして、このフィルムの第二のシール層24の表面を、JIS K 6768-1999に記載されている「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」における「ぬれ張力」が45mN/mとなるようにコロナ処理した。このようにして得られたフィルムの第一のシール層の厚みは35μm、第二のシール層24の厚みは10μm、全フィルム体の厚みは45μmであった。
【0082】
次に、上記フィルムのコロナ処理面と基材層10となるPET単層フィルム(東レ社製、商品名「ルミラーS10」、厚み:50μm)とを接着剤(東洋モートン社製、AD−817(主剤)CAT−RT56(硬化剤))を使用しドライラミネートした。そして、基材層10(50μm)/第二のシール層24(10μm)/第一のシール層22(35μm)からなる密封用積層体(厚み:95μm)を得た。
【0083】
(実施例2)
以下の手順により、図5(a)に示した密封用積層体110と同様の構成を有する密封用積層体を製造した。先ず、実施例1と同様にして、第一のシール層22形成用のペレットと、第二のシール層24形成用のペレットを調製した。そしてこれらに加えて、ポリエチレン(メルトフローレート:8.0g/10分,密度:0.938g/cm3)からなるペレットを中間層26形成用のペレットを調製した。
【0084】
次に、3つの押出機1〜3を備えたプラ技研社製キャストフィルム製膜装置(押出機1〜3には押出しTダイがそれぞれ備えられている。)を用い、上記の第一のシール層22形成用のペレットを、押出機3により230℃の温度条件で押出し、第二のシール層24形成用のペレットを押出機2により230℃の温度条件で押出し、更に、中間層26形成用のペレットを押出機1により230℃の温度条件で押出し、引き取り速度12m/分の条件にて第一のシール層22上に第二のシール層24が積層され、更に第二のシール層24上に中間層26が順次積層されたフィルムとした。そして、このフィルムの中間層26の表面を、JIS K 6768-1999に記載されている「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」における「ぬれ張力」が45mN/mとなるようにコロナ処理した。このようにして得られたフィルムの第一のシール層の厚みは15μm、第二のシール層24の厚みは15μm、中間層26の厚みは15μm、全フィルム体の厚みは45μmであった。
【0085】
次に、実施例1と同様にして上記フィルムのコロナ処理面上に基材層10となるPET単層フィルムをドライラミネートした。そして、基材層10(50μm)/中間層26(15μm)/第二のシール層24(15μm)/第一のシール層22(15μm)からなる密封用積層体(厚み:95μm)を得た。
【0086】
(実施例3)
以下の手順により、図5(b)に示した密封用積層体120と同様の構成を有する密封用積層体を製造した。先ず、実施例1と同様にして第一のシール層22上に第二のシール層24が積層されたフィルムを作製し、更に、このフィルムの第二のシール層24の表面を、実施例1と同様の条件のもとでコロナ処理した。次に、実施例1に使用したものと同様の基材層10となるPET単層フィルム上に糖類とポリアクリル酸の部分中和物とからなる混合水溶液を塗工して乾燥熱処理をおこなうことにより酸素ガスバリア層30(厚み:1μm)を形成したフィルムを作製した。
【0087】
次に、第一のシール層22上に第二のシール層24が積層されたフィルムのコロナ処理面と、上記基材層10上に酸素ガスバリア層30を形成したフィルムの基材層10の面とを実施例1と同様の条件のもとでドライラミネートして接合し、酸素ガスバリア層(1μm)/基材層10(50μm)/第二のシール層24(10μm)/第一のシール層22(35μm)からなる密封用積層体(厚み:96μm)を得た。
【0088】
(実施例4)
基材層10の厚みを16μmとした以外は実施例3と同様の構成を有する、酸素ガスバリア層30(1μm)/基材層10(16μm)/第二のシール層24(10μm)/第一のシール層22(35μm)からなる密封用積層体(厚み:62μm)を実施例3と同様の作製手順により作製した。
【0089】
(実施例5)
以下の手順により、図5(c)に示した密封用積層体130の基材層10と第二のシール層24との間に中間層26を更に配置した構成を有する密封用積層体を製造した。先ず、実施例2と同様の手順により、基材層10の厚みが38μmであること以外は実施例2と同様の構成を有するフィルムを作製した。次に、保護層40となるPET単層フィルム(12μm)上に糖類とポリアクリル酸の部分中和物とからなる混合水溶液を塗工して乾燥熱処理をおこなうことによりにより酸素ガスバリア層30(厚み:1μm)を形成したフィルムを作製した。
【0090】
次に、上記の実施例2と同様の構成を有するフィルムの基材層10の面と、上記の保護層40上に酸素ガスバリア層30を形成したフィルムの酸素ガスバリア層30の面とを実施例1と同様の条件のもとでドライラミネートして接合し、保護層40(12μm)/酸素ガスバリア層30(1μm)/基材層10(38μm)/中間層26(15μm)/第二のシール層24(15μm)/第一のシール層22(15μm)からなる密封用積層体(厚み:96μm)を得た。
【0091】
(実施例6)
以下の手順により、図5(c)に示した密封用積層体130と同様の構成を有する密封用積層体を製造した。先ず、実施例1と同様にして第一のシール層22上に第二のシール層24が積層されたフィルムを作製し、更に、このフィルムの第二のシール層24の表面を、実施例1と同様の条件のもとでコロナ処理した。次に、保護層40となるPET単層フィルム(25μm)上に糖類とポリアクリル酸の部分中和物とからなる混合水溶液を塗工して乾燥熱処理をおこなうことにより酸素ガスバリア層30(厚み:1μm)を形成したフィルムを作製した。次に、基材層10となるPET単層フィルム(厚み:12μm)を準備した。
【0092】
次に、第一のシール層22上に第二のシール層24が積層されたフィルムの酸素ガスバリア層30の面と、上記の基材層10の面とを実施例1と同様の条件のもとでドライラミネートし、第二のシール層24上に基材層10を更に積層したフィルムを作製した。次に、この第二のシール層24上に基材層10を更に積層したフィルムの基材層10の面と、上記の保護層40上に酸素ガスバリア層30を形成したフィルムの酸素ガスバリア層30の面とを実施例1と同様の条件のもとでドライラミネートして接合し、保護層40(25μm)/酸素ガスバリア層30(1μm)/基材層10(12μm)/第二のシール層24(10μm)/第一のシール層22(35μm)からなる密封用積層体(厚み:83μm)を得た。
【0093】
(実施例7)
基材層10の厚みを100μmとした以外は実施例3と同様の構成を有する、酸素ガスバリア層30(1μm)/基材層10(100μm)/第二のシール層24(10μm)/第一のシール層22(35μm)からなる密封用積層体(厚み:146μm)を実施例3と同様の作製手順により作製した。
【0094】
(実施例8)
第二のシール層24にE1を含有させず、第二のシール層24の構成成分の組成を、PSを30質量%、EM(M)Aを12質量%、E2を56質量%、相溶化剤のスチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム水添物を2質量%とした以外は実施例1と同様の構成を有する、基材層10(50μm)/第二のシール層24(10μm)/第一のシール層22(35μm)からなる密封用積層体(厚み:95μm)を実施例1と同様の作製手順により作製した。なお、上記第二のシール層24に含有させたPS、EM(M)A、E2、及び相溶化剤は実施例1と同様のものを使用した。
【0095】
(比較例1)
第二のシール層24を設けなかったこと以外は実施例1と同様の構成を有する基材層10(50μm)/第一のシール層22(45μm)からなる密封用積層体(厚み:95μm)を実施例1と同様に手順により作製した。なお、この場合の第一のシール層22の組成は実施例1と同様であり、上記のコロナ処理は第一のシール層22の基材層10側の面に施した。
【0096】
(比較例2)
第二のシール層24にE2を含有させず、第二のシール層24の構成成分の組成を、PSを30質量%、EM(M)Aを12質量%、E1を56質量%、相溶化剤のスチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム水添物を2質量%とした以外は実施例1と同様の構成を有する、基材層10(50μm)/第二のシール層24(10μm)/第一のシール層22(35μm)からなる密封用積層体(厚み:95μm)を実施例1と同様の作製手順により作製した。なお、上記第二のシール層24に含有させたPS、EM(M)A、E1、及び相溶化剤は実施例1と同様のものを使用した。
【0097】
(比較例3)
第二のシール層24にE1を含有させず、第二のシール層24の構成成分の組成を、PSを12質量%、EM(M)Aを6質量%、E2を80質量%、相溶化剤のスチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム水添物を2質量%とした以外は実施例1と同様の構成を有する、基材層10(50μm)/第二のシール層24(10μm)/第一のシール層22(35μm)からなる密封用積層体(厚み:95μm)を実施例1と同様の作製手順により作製した。なお、上記第二のシール層24に含有させたPS、EM(M)A、E2、及び相溶化剤は実施例1と同様のものを使用した。
【0098】
(比較例4)
基材層10となるPET単層フィルム(25μm)上に酸素ガスバリア層30(1μm)と保護層40となるPET単層フィルム(75μm)とを順次積層させた以外は比較例1と同様の構成を有する、保護層40(75μm)/酸素ガスバリア層30(1μm)/基材層10(25μm)/第一のシール層22(45μm)からなる密封用積層体(厚み:146μm)を実施例6と同様の作製手順により作製した。なお、この場合の第一のシール層22の組成は実施例1と同様であり、上記のコロナ処理は第一のシール層22の基材層10側の面に施した。
【0099】
[密封用積層体の接着部位に対する密封性及びイージーピール性の評価試験]実施例1〜実施例8及び比較例1〜比較例4の密封用積層体ついて、先に述べた方法に基づいてそれぞれの剥離強度を測定した。これらの密封用積層体の被着体となる有底容器は、低密度ポリエチレン(住友化学社製、商品名「スミカセンF114−1」)を用い、タハラ社製単層用ブロー成形機により肉厚1mmの円形状の開口部を有する有底容器を作製した。なお、この容器の開口部の内径は15mmであり、開口部のリング状の切断面の厚みは1mmであった。
【0100】
各密封用積層体を20×30mmの大きさに切断し、それぞれのシーラント層の側の面を容器の開口部の切断面に密着させ、シール温度200℃、シール圧力80N/cm2、シール時間4秒、の条件のもとでヒートシールした。ヒートシールされた各密封用積層体を東洋ボールドウィン社製TENSILON UTM−4−100(引張試験機)を使用して、剥離強度を測定した。各密封用積層体の縁部を掴みしろ(大きさ;20×10mm)として引張試験機に把持させ、引張速度50mm/分で各密封用積層体を開口部の切断面の法線方向に剥離するように引張り、その時に検出される剥離強度の最大値を測定した。その結果を表1に示す。
【0101】
そして、得られた剥離強度の最大値から、有底容器の開口部に対する各密封用積層体の密封性を、2;剥離強度の最大値が8N以上であり十分な密封性を有する、1;剥離強度の最大値が8N未満で密封性に劣り内容物の洩れ、変質及び又は劣化を生じる、とした評価基準に基づき評価した。また、有底容器の開口部に対する各密封用積層体のイージーピール性を、2;剥離強度の最大値が20N以下であり十分なイージーピール性を有する、1;剥離強度の最大値が20Nを超えイージーピール性に劣り剥離中に積層体の破断が生じる、とした評価基準に基づき評価した。その結果を表1に示す。
【0102】
[蓋材を取り付ける際における各密封用積層体を備えた包装用容器の密封性の評価試験]
実施例1〜実施例8及び比較例1〜比較例4の各密封用積層体によりそれぞれ開口部を密封された有底容器を上述の評価試験と同様の手順及びシール条件に従って作製した。そして、蓋材を取り付ける際におけるこれらの有底容器の密封性を、開口部をシールしている各密封用積層体のカールの方向を観測することと、各密封用積層体のループステフネス値を測定することにより総合的に評価した。各密封用積層体のカールの方向についてはその結果を表1に示した。
【0103】
先に述べたように、カール方向が下向きの場合に比して上向きの場合には、その状態のまま蓋材を開口部に取り付けようとすると開口部と密封用積層体との接触部の一部の剥離や密封用積層体の破断が起こってしまったり、密封用積層体が折れ曲がり開口部に対して蓋材が所定の位置に所望の状態で取り付けられないいわゆるキャッピング不良が生じてしまうおそれがある。
【0104】
また、ループステフネス値の測定は、先に述べた東洋精機社製ループステフネステスタを用いて行った。各密封用積層体を20mm幅に切出し、ループ周長100mmのループステフネス値を測定した。得られたループステフネス値が20g以下である場合には、その積層体は十分な柔軟性を有しているので密封用積層体の縁部が蓋材の内壁に引っ掛かかることがなく、開口部と密封用積層体との接触部の一部の剥離や密封用積層体の破断といった不具合の発生を効果的に防止することができる。一方、20gを超える場合にはその積層体は柔軟性に乏しく、シール後に蓋材を取り付ける際に上記の不具合を発生するおそれがある。
【0105】
そして、上記の結果から、蓋材を取り付ける際における各密封用積層体を備えた包装用容器の密封性(キャッピング時の密封性)を、3;カール方向が下向きであり、かつ、ループステフネス値が20g未満であり十分な密封性を有する、2;ループステフネス値が20gを超えるがカール方向が下向きであるため実用に耐え得る水準の密封性を有する、又は、カール方向が上向きであるがループステフネス値が20g未満であるため実用に耐え得る水準の密封性を有する、1;カール方向が上向きであり、かつ、ループステフネス値が20gを超え、蓋材を取り付ける際における包装用容器の密封性に劣り内容物の洩れ、変質及び又は劣化を生じる、とした評価基準に基づき評価した。その結果を表1に示す。
【0106】
【表1】
Figure 0004627915
【0107】
また、表1に示した評価試験以外に、シール温度を200℃として、180N/cm2を超えるシール圧力のもとで実施例1〜実施例8及び比較例1〜4の密封用積層体を表1に示した評価試験に用いた有底容器の開口部にヒートシールしたところ、全ての密封用積層体について、開口部に熱による変形が観測されるか或いは、開口部に熱による変形が観測されない場合においても剥離時において積層体の破断が観測されるといった不具合が生じることが確認された。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の密封用積層体は、密封性が高くかつ接着部位から容易に剥離でき、然もリサイクルが容易で環境に対する負荷を低減することが可能となる。そして、本発明の包装用容器は、本発明の密封用積層体を備えることにより高い密封性を有する。また、本発明の包装用容器の製造方法によれば、本発明の密封用積層体を備えた高い密封性を有する包装用容器を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の密封用積層体の好適な一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の密封用積層体のループステフネス値の測定方法を示す概略断面図である。
【図3】本発明の包装用容器の製造方法における有底容器本体200をブロー成形又は射出成形により成形する工程の一例を示す工程図である。
【図4】(a)及び(b)は、図1に示す密封用積層体を用いて開口部を有する合成樹脂製の有底容器の該開口部を密封する工程を示す概略断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、図1に示す密封用積層体の他の実施形態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10…基材層、20…シーラント層、22…第一のシール層、24…第二のシール層、26…中間層、30…酸素ガスバリア層、40…保護層、100,110,120,130…密封用積層体、200…有底容器本体、210…有底容器本体の開口部の形成される部分領域、300…押出機、400…ダイ、500…パリソン、600…金型、700…ブローピン、800…ベルトコンベア、900…ステージ、910…回転軸、920…圧子、930…クランプ、F200…有底容器本体の開口部の面、R100…密封用積層体の一部を用いて形成されるループ。

Claims (10)

  1. 開口部を有する合成樹脂製の有底容器の該開口部をシールするための合成樹脂からなる基材層と前記開口部に面するように該基材層に隣接して配置されたシーラント層を少なくとも有する密封用積層体であって、
    前記シーラント層は前記開口部に面する第一のシール層と、該第一のシール層の前記基材層の側の面上に形成された第二のシール層とを有しており、
    前記第一のシール層は、スチレン系重合体50〜80質量%と、エチレン−メチル(メタ)アクリレート系共重合体15〜50質量%と、エチレン−メチル(メタ)アクリレート系共重合体を除く軟質性エチレン系共重合体5〜25質量%とを含んでおり、
    前記第二のシール層は、スチレン系重合体15〜50質量%と、エチレン−メチル(メタ)アクリレート系共重合体4.5〜30質量%と、エチレン−メチル(メタ)アクリレート系共重合体を除く硬質性エチレン系重合体30〜70質量%とを含んでおり、かつ、
    前記軟質性エチレン系共重合体の融点X[℃]と前記硬質性エチレン系重合体の融点Y[℃]とが、それぞれ下記式(1)〜(3)の条件を同時に満たしていることを特徴とする密封用積層体。
    90≦X≦115 …(1)
    115≦Y≦130 …(2)
    5≦(Y−X)≦40 …(3)
  2. 前記第二のシール層には、15質量%以下の前記軟質性エチレン系共重合体が更に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の密封用積層体。
  3. 前記基材層がエステル系樹脂及びアミド系樹脂からなる群から選択される樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の密封用積層体。
  4. 前記合成樹脂製の有底容器がオレフィン系樹脂の層を少なくとも表層として有する単層又は多層の構成から形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の密封用積層体。
  5. 曲げ硬さを示すループステフネス値が20g以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の密封用積層体。
  6. 開口部を有する、オレフィン系樹脂の層を少なくとも表層として有する単層又は多層の構成から形成された有底容器本体と、前記開口部を密封するためのシール材と、前記シール材を覆う蓋材とを有する包装用容器であって、
    請求項1〜5の何れかに記載の密封用積層体を前記シール材として備えていることを特徴とする包装用容器。
  7. 前記有底容器本体がブロー成形又は射出成形により形成されていることを特徴とする請求項6に記載の包装用容器。
  8. 前記ブロー成形がダイレクトブロー成形または延伸ブロー成形であることを特徴とする請求項7に記載の包装用容器。
  9. 開口部を有する、オレフィン系樹脂の層を少なくとも表層として有する単層又は多層の構成から形成された有底容器本体と、前記開口部を密封するためのシール材と、前記シール材を覆う蓋材とを有する包装用容器の製造方法であって、
    前記有底容器本体をブロー成形又は射出成形により成形する工程と、
    前記有底容器本体の一部を切断し前記開口部を形成する切断工程と、
    請求項1〜5の何れかに記載の密封用積層体を前記シール材として用いて前記開口部を密封するシール工程とを有しており、
    前記シール工程おけるシール温度が150〜230℃であり、かつ、シール圧力が20〜180N/cm2 であることを特徴とする包装用容器の製造方法。
  10. 前記ブロー成形がダイレクトブロー成形または延伸ブロー成形であることを特徴とする請求項9に記載の包装用容器の製造方法。
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