JP4589855B2 - 衝突物保護装置 - Google Patents
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Description
この衝突物保護装置では、車両への衝突を検知または予知したときに、エアバッグの膨張力によってカウルトップの一部を前方または後方に開くことにより、エアバッグが車両の上面に膨張展開するように構成されている。
また、リテーナにカウルトップを組み付けるときには、リテーナの上部開口部が塞がれるように、両者の位置を微調整する必要があるが、リテーナとカウルトップは、車両に対して別々に組み付けられるため、両者の位置合わせが困難となり、組み付け作業が煩雑になってしまうという問題がある。
さらに、エアバッグの膨張力によって、カウルトップの一部を確実に開くためには、カウルトップが十分な柔軟性を備えている必要があり、そのために、低温でも硬くならない高価な材料を用いた場合には、カウルトップの製造コストが高くなってしまうという問題がある。
また、リテーナの上部開口部をカウルトップによって塞ぐ必要がなくなり、リテーナとカウルトップを車両に組み付けるときに、両者の位置を微調整する必要がなくなるため、リテーナおよびカウルトップを容易に組み付けることができる。
さらに、エアバッグは、リテーナに取り付けられた蓋体を開いて膨張展開することになり、カウルトップを変形させることなく、エアバッグを膨張展開させることができるため、カウルトップには、低温でも十分な柔軟性を備えている高価な材料を用いる必要がなくなり、カウルトップの製造コストを低減することができる。
なお、蓋体の上面には、蓋体を車幅方向に分割した箇所に境界溝が表れることになるが、リテーナの周りにはカウルトップが配置されており、外見上はリテーナがカウルトップの一部に見えるため、蓋体の境界溝もカウルトップのデザインの一部に見えて目立たなくなる。また、一般的にカウルトップは黒色であるため、蓋体も黒色にした場合には、蓋体の境界溝を一層目立たなくすることができる。
また、前記した衝突物保護装置では、隣接する分割蓋体において、上方の分割蓋体の側端部の下面から突出したピン部材が、下方の分割蓋体の側端部に設けられた貫通穴に嵌め込まれているように構成することができる。
また、前記した衝突物保護装置では、隣接する分割蓋体において、上下に重なった側端部の間に車両前後方向に延設された止水材が介在されているように構成することができる。
また、リテーナの上部開口部をカウルトップによって塞ぐ必要がなくなり、リテーナとカウルトップを車両に組み付けるときに、両者の位置を微調整する必要がなくなるため、リテーナおよびカウルトップを容易に組み付けることができる。
さらに、カウルトップを変形させることなく、エアバッグを膨張展開させることができるため、カウルトップには、低温でも十分な柔軟性を備えている高価な材料を用いる必要がなくなり、カウルトップの製造コストを低減することができる。
図1は、本実施形態の衝突物保護装置を示した図で、(a)はエアバッグを膨張展開させる前の状態の平面図、(b)はエアバッグを膨張展開させた後の状態の平面図である。図2は、本実施形態の衝突物保護装置を示した分解斜視図である。図3は、本実施形態の衝突物保護装置を示した図で、図1(a)のA−A断面図である。図4は、本実施形態の衝突物保護装置の側端部を示した斜視図である。図5は、本実施形態の衝突物保護装置を示した図で、図2のB−B断面図である。図6は、本実施形態の衝突物保護装置を示した図で、エアバッグを膨張展開させた状態の側断面図である。
また、エアバッグ10の本体部11およびピラー部12,12の内部には、図6に示すように、上面部と下面部とを繋いでいるテザー11a,11aが長手方向に延設されており、エアバッグ10を膨張展開させたときに、車両2の上面に重なる領域には、窪み部が形成されることになる。これにより、膨張展開させたエアバッグ10の軸断面形状が幅広になり、車両2の上面に沿って展開するため、車両2の上面に重なる領域の幅が広くなるとともに、エアバッグ10全体のずれが防止されている。
ダッシュアッパ50は、側断面が略コの字形状となるように折り曲げられた鋼板であり、下板51の前端部51aはフード2cの後端部の下方に配置され、下板51の後端部51bはフロントウインドガラス2aの下方に配置されている。
下板51の前端部51aは、後端部51bよりも上方に配置されており、下板51の前後方向における中央部よりも前側には、垂直部51cによって段差が形成されている。
下板51の後端部51bからは、後板52が垂直に立ち上げられており、後板52の上端部52aからは、前方に向かって上板53が延長されている。
また、下板51の上面において前後方向の中央部には、補強用のクロスビーム51dが車幅方向に延設されている。このクロスビーム51dは、側断面が台形状となるように折り曲げられた鋼板であり、前端部および後端部が下板51の上面に接合されている。
リテーナ31の前面31bの下部は、下板51の垂直部51cの内面に重ね合わされており、下板51の垂直部51cに形成された貫通穴に外方からボルトB1を挿通し、このボルトB1をリテーナ31の前面31bに形成された雌ネジ穴に螺着させている。
また、リテーナ31の後面31cの下部には、後方に向かって突出するようにL字形状に折り曲げられた取り付け板31dが接合されている。この取り付け板31dの後端部は、クロスビーム51dの上面に重ね合わされており、取り付け板31dおよびクロスビーム51dに形成された貫通穴に上方からボルトB2を挿通させ、クロスビーム51dの下面側でボルトB2にナットN1を螺着させている。
このようにして、リテーナ31はダッシュアッパ50の下板51の上面に取り付けられている。なお、リテーナ31とダッシュアッパ50との取り付け箇所は、車幅方向に所定間隔を離して複数設けられている。
インフレータ20には、エアバッグ10の外側からバンド部材(図示せず)が外嵌されており、このバンド部材に突設されたボルトB3をリテーナ31およびダッシュアッパ50の下板51に形成された貫通穴に挿通させ、下板51の下面側でボルトB3にナットN2を螺着させることにより、エアバッグ10およびインフレータ20をリテーナ31内に固定している。
なお、本実施形態では、二体のインフレータ20,20がエアバッグモジュール30のリテーナ31内に配置されており(図1(a)参照)、各インフレータ20,20が前記した構成によってリテーナ31内に固定されている。
また、図3に示すように、各分割リッド32b1,32b2の後端部には、嵌合クリップのピン部材32cが下方に向かって突出しており、ピン部材32cの下端部は、後方カバー34の上端部に設けられた貫通穴に嵌め込まれて引っ掛かった状態となっている。
なお、各分割リッド32b1,32b2を飛散させることなく確実に開くためには、各分割リッド32b1,32b2が十分な柔軟性を備えている必要があるため、各分割リッド32b1,32b2は、寒冷地等の低温状態でも硬くならない材料によって形成されており、例えば、フッ素樹脂やポリエチレンのように脆化温度が低い材料が用いられている。
この前方カバー33は、上端部からフード2cの後端部の下方に入り込むように、前方に向かって斜め下方に傾斜し、途中で屈曲することにより、下方に向かって略垂直に延長されている。
また、屈曲箇所の前面には、車幅方向に延設された突出部33aが形成されており、突出部33aの全幅に渡ってゴム製のシール部材33b(図2では省略)が被せられている。このシール部材33bがフード2cの下面に当接することにより、エアバッグモジュール30とフード2cとの間が止水されている。
これにより、前方カバー33、リテーナ31の前面31bおよびダッシュアッパ50の下板51によって囲まれた通気流路36が、リテーナ31の前面31bに沿って、車幅方向に延設されることになる。
また、前方カバー33の上部には、車幅方向に所定間隔を離して四箇所に通気口33d・・・が貫通しており、図4に示すように、車両前方の空気がフード2c内から各通気口33d・・・を通じて通気流路36内に取り込まれ、通気流路36の両側端部に向かって流れるように構成されている。
この後方カバー34の前面からは、嵌合クリップのピン部材34bが前方に向かって突出しており、ピン部材34bがスペーサ34aに形成された貫通穴に嵌め込まれることにより、後方カバー34がスペーサ34aに取り付けられている。なお、後方カバー34とスペーサ34aとの嵌合箇所は、車幅方向に所定間隔を離して複数設けられている。
そして、リテーナ31の後方および両側にカウルトップ40が配置されることにより、フード2cとフロントウインドガラス2aとの間が、リテーナ31およびカウルトップ40によって塞がれている(図3参照)。
また、本体部41の後端部の下面からは、嵌合クリップのピン部材41cが下方に向かって突出しており、ピン部材41cがダッシュアッパ50の上板53の前端部53aに形成された貫通穴に嵌め込まれている。
なお、本体部41と後方カバー34およびダッシュアッパ50との嵌合箇所は、車幅方向に所定間隔を離して複数設けられている。
このようにして、本体部41はリテーナ31およびダッシュアッパ50に取り付けられている。
この側部42の内部は、リテーナ31の前面31bに形成された通気流路36からの空気を、本体部41の下方に設けられた車内空調用の流路(図示せず)に導くための空間となっており、内側の側板42dには、通気流路36の側端部に連通している側方開口部42eが形成されているとともに、底板42cには本体部41の下方に設けられた車内空調用の流路に連通している下方開口部42fが形成されている。
本実施形態の衝突物保護装置1では、図3に示すように、エアバッグ10が収納されているリテーナ31の周りにカウルトップ40を配置することにより、フード2cとフロントウインドガラス2aとの間を塞ぐとともに、リテーナ31の上部開口部31aをカウルトップ40と別の蓋体であるリッド32によって塞いでいる。これにより、リテーナ31は内部が密閉された単体の部品として取り扱われることになり、車両2の製造工程において、カウルトップ40が組み付けられていない状態であっても、リテーナ31の内部が露出しないため、リテーナ31の内部に水や異物等が入ってしまうことを確実に防ぐことができ、エアバッグ10を確実に作動させることができる。
なお、リッド32を車幅方向に分割した箇所の上面には、境界溝が表れることになるが、リテーナ31の周囲にはカウルトップ40が配置されており、外見上はリテーナ31がカウルトップ40の一部に見えるため、リッド32の境界溝もカウルトップ40のデザインのように見えて目立たなくなる。また、一般的にカウルトップ40は黒色であるため、リッド32も黒色にすることにより、リッド32の境界溝を一層目立たなくすることができる。
また、隣接する分割リッド32b,32bの側端部は、互いの側端部が重なるように構成されており(図5参照)、境界溝からリテーナ31の内部が露出しないため、境界溝からリテーナ31の内部に水や異物等が入ってしまうことを確実に防ぐことができる。
このとき、リッド32の各分割リッド32b1,32b2は、図3に示すように、車両外部に向かって伸長可能なヒンジ部材32aを介してリテーナ31に取り付けられており、図6に示すように、分割リッド32b1,32b2の移動に伴ってヒンジ部材32aが車外方向、例えば、上方に伸長することになり、分割リッド32b1,32b2の移動量が大きくなるため、分割リッド32b1,32b2が車両2のフード2cの上面に重ね合わされた状態となる。これにより、膨張展開するエアバッグ10は、開いた分割リッド32b1,32b2に影響されることなく、フード2cの上面に乗り上げることができ、フード2cの上面の広範囲に膨張展開することができる。
図7(a)に示す構成では、上方の分割リッド32b1の側端部の下面から下方に向かって突出しているピン部材32dを、下方の分割リッド32b2の側端部に設けられた貫通穴32eに嵌め込むように構成されており、上下に重なった側端部の間に、前後方向に延設されたゴム材等の止水材32f,32fを介在させることにより、各分割リッド32b1,32b2の境界溝の止水性を高めている。
2 車両
2a フロントウインドガラス
2c フード
10 エアバッグ
20 インフレータ
30 エアバッグモジュール
31 リテーナ
31a 上部開口部
32 リッド(蓋体)
32b1 分割リッド(分割蓋体)
32b2 分割リッド(分割蓋体)
32a ヒンジ部材(連結部材)
33d 通気口
36 通気流路
40 カウルトップ
50 ダッシュアッパ
Claims (6)
- 車両への衝突を検知または予知したときに、前記車両の上面に膨張展開させるエアバッグを備えている衝突物保護装置であって、
前記エアバッグは、前記車両のボンネットフードとフロントウインドガラスとの間に設けられた箱状のリテーナ内に収納され、
前記リテーナの周りにカウルトップが配置されることにより、前記ボンネットフードと前記フロントウインドガラスとの間が塞がれており、
前記リテーナの上部開口部は、前記カウルトップと別の蓋体によって塞がれ、
前記蓋体は、脆化温度が低いフッ素樹脂またはポリエチレンを用いて形成され、
前記蓋体は、車幅方向に並設された複数の分割蓋体からなり、隣接する前記分割蓋体の側端部が互いに上下に重なり合うように、一方の前記分割蓋体の側端部は上半分が切り欠かれ、他方の前記分割蓋体の側端部は下半分が切り欠かれており、
前記分割蓋体の下面には、車外に向かって伸長可能な連結部材の一端が取り付けられ、前記連結部材の他端は前記リテーナの内面における車両前側の面に取り付けられ、
膨張展開した前記エアバッグの膨張力によって、前記分割蓋体が押し開けられたときに、前記分割蓋体の移動に伴って前記連結部材が伸長し、前記分割蓋体が車両前側に向かって開くことで、前記分割蓋体が前記ボンネットフードの上面に重ね合わされることを特徴とする衝突物保護装置。 - 隣接する前記分割蓋体において、中央側に配置された前記分割蓋体の側端部は、両側に配置された前記分割蓋体の側端部の上面に重なり合っていることを特徴とする請求項1に記載の衝突物保護装置。
- 隣接する前記分割蓋体において、上方の前記分割蓋体の側端部の下面から突出したピン部材が、下方の前記分割蓋体の側端部に設けられた貫通穴に嵌め込まれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の衝突物保護装置。
- 隣接する前記分割蓋体において、上下に重なった側端部の間に車両前後方向に延設された止水材が介在されていることを特徴とする請求項3に記載の衝突物保護装置。
- 前記リテーナは、車両外部から見える部位にカバー部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の衝突物保護装置。
- 前記リテーナには、車両前方側に通気口を有する通気流路が形成されており、
前記通気流路は、車内空調用の流路に連通されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の衝突物保護装置。
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